春川英輔「エクサメモリ……これだ、これしかない」 (31)



君が、遠い


0と1


死と生


隣り合っている筈の両者の距離が……


何故、こんなにも遠いのだ


だが、私はあきらめない

例えどんな手段を使ってでも





もう一度君に、会いに行く











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電子データに人間と同じ人格を与える

果たしてそんな夢のような事が可能だろうか?

私は自らの意識をHALとして造り上げたが、ついに他人の精神構造を100%電子データ化する事は出来なかった

それは今後百年以上は無理だと結論を出していた








――――だが、違った









できるのだ













完璧なトレースが……!







目の前に現れた「光」が!

また懐かしいものを



私は、決断をだせずにいた

一歳にも満たずに心臓病で亡くなった息子の一人、そのDNAをデータ化し、疑似人格プログラム……

「ネットナビ」として転生させるかどうかを


この理論が正しければ息子は……

「彩斗」にもう一度会える


だが、ニンゲンの……


人の死の領域を踏み荒らす私の理論は……






――――間違っている





彩斗! 目を開けて! 彩斗ぉ!


――――いやぁあああああああ!!!







息子が永遠に目を覚まさないと知ったときの妻の悲鳴は、余りにも痛ましく、見ていられなかった




もし、もう一人の息子……


熱斗がいなかったら、確実に妻の精神は崩壊していただろう。


それでも何時まで持つかわからない


私は




……私は






「光 祐一郎さんですね?」


「はじめまして、私は春川 英輔。錯刃大学の教授をしている者です」







刹那ァーッ!!

幸せだったろう!!!

あの方の

実験動物(モルモット)になれたのだから!!


刹那ァーッ!!

幸せだったろう!!

あの方がひととき遊ぶ

玩具になれたのだから!!






刹那ァアアアアアアアア!!










ごめん













あの方は悪くない








悪いのはあの方に逆らえない自分だ







それでも、もう一度






もう一度、会って話せるなら




わしは







どれだけ叡智を積み重ねようと

どれだけ倫理を振りかざそうと


人はたった一つの愛情で簡単にそれらを打ち破る



平然と禁忌に触れ、失ったモノを取り返そうとする天才たち




その憐れながらも健気で、美しい姿を















一体誰が否定できると言うのか












さわりはここまで

春川英輔がロックマンエグゼ世界にいたら絶対やりそうな事を妄想してみる

エグゼファンとネウロファンが被るかどうかが最大の問題点だが……

ロックマンエグゼか、懐かしい、今にしてみればPETは今のスマートフォンの登場を予言していたんだ。
ネウロも懐かしい、しかし光博士も苦渋の決断だったんだろうな。

ココロネットワークは何と無く電子ドラックっぽい

いるさ!ここに一人な!

きっちり纏め上げることを期待して乙
小学校でコロコロのエグゼ、中高でジャンプのネウロ読んでた世代がここにいるぞ

世代的にはめちゃくちゃ被ってるだろ
GBA持っててエグゼ持ってないやつは俺の周りには10%ぐらいしかいなかったし、みんなジャンプ読んでたし

ロックマンエグゼは、1とスピンオフを除き全シリーズやったし、ネウロははまって全巻読んだ

少し前……


「世界初の自律起動ナビ……だが、それは同時にニンゲンのパートナー抜きの孤独を意味する」


「せめて……強くあってほしい。ただただ強くあれ」


「その願いを込めてお前にこの名前を授けよう」





        "フォルテ"










「このプログラムは不完全だ。簡単に侵入を許したぞ」


「せ、せっかく組んだノルマが!」


「この程度の実力では到底この施設をボウエイできるとは思えんな」


「わ、私のナビがー!!」









「コサック博士!」


「いい加減あのフォルテをなんとかしてください!」


「やれやれまたフォルテが何かやったのかな?」


「あれはいっつもいっつも揚げ足ばっかりとる問題児です!」


「だいたいナビのクセに自我が強すぎるんですよ! 生意気な!」


「キミタチの怠慢を棚に上げてそれはないんじゃないかね?」


「ぐ……! と、とにかく、早急にフォルテの拘束を要求します!」


「あいつは科学省じゃ殆どのニンゲンから嫌われてますよ!」


HAL



「博士……」


「ン? おお、フォルテ、どうかしたかな?」


「スミマセン……オレのせいで、博士に迷惑を」


「何を言うか、お前はまだ生まれたばっかりなんだ。いわばアカンボウのようなものだ。これから少しずつ人付き合いを学べばよい」


「だが、科学省のニンゲンの殆どはお前をただのプログラムとしてしか見ていない……」


「ネットナビとて成長する。その考えが浸透しないのは悲しいものだ」


「セイチョウ……オレがですか?」


「そうだ、お前だけじゃない。ネットナビにはムゲンの可能性がある」


「光博士もその可能性を信じたからこそ、ココロネットワークの開発に取り組んでいた。まあ、あれはまだまだ未完成だったがな」


「ムゲンの、可能性」











――――可能性か、それは悪意による進化も含まれているかな?





「……!」ぞくっ


「こ、これはこれは……! 来ていただけるならもてなしを用意したものを……!」


「ああ、いいよ。今日は彼に会いに来たのだから」


「はじめましてフォルテくん」


「私はシックス……君のお父さんの友人だよ」





「フォルテ、挨拶なさい。この方がわれわれのスポンサーだよ。この方がいなければお前は生まれなかったんだ」


「……はじめまして」


「うん、いい子だね。そこらのナビの機械的な反応とは一味違う」


「そんなに恐ろしいかね? 私が」


にこり


「!?」ぞわ


「ふふ、いいさ。恐怖を感じ取れる。それだけで君はネットナビの次元を一つ上回っている」


「私のように人の進化の行程からハズレた新しい血族。君はまさにネットナビ版のわれわれなのさ」


「お、お褒めに頂き、光栄の極みです!」







「悪いがフォルテくん、少し席を外してくれないかな? お父さんと話があるんだ」


「フォルテ、向こうで待機してなさい」


「……はい、わかりました。コサック博士」




--



「それで、話というのは……」


「ああ、特に大した話じゃないのだがね、例のアレ……プロト」


「少しずつだが、バグを溜め込んでるみたいなんだ」


「ほ、本当ですか!? あのプロトが!?」


「今は別にどうと言う事はないが、このまま放って置くと悪いことになるかもしれんな」


「ただちに修正します」


「ああ、いや、違うんだコサックくん」


「はい?」













――――アレ、そのままにしときなさい














「プ、プロトのバグを放っておけと!? なぜですか!?」


「何か問題でも?」


「プ、プロトは現在の主要機関のほとんどにアクセスしています! 一般の電子機器から超大型サーバーまで……もし、バグが表面化したら」


「大惨事になるだろうね」


「で、でしたら」


「コサックくん」


にこり









私が何に対して悦びを抱くか知ってるだろう?








「~~~~!?」



「それと、あの子……」


「……!!」


「いいよね、アレ。何処までも白く、ケガレない無垢なままの新雪だ」


「あ、あああ……!」


「是非とも踏み荒らしたい。なあ、くれるだろう?」






--





「今日からここがお前の生活する場所だ」


「けっ、いい気味だぜコウモリ野郎」


「……」


『すまん、フォルテ。周りの反対を止められなかった』

『そのプロテクトも窮屈だろうがガマンしてくれ』



(博士……あなたに迷惑をかける位ならこの程度平気です)


(しかし……何故、プロトのメインサーバーの近くに収容を……?)



じゅる
ぐじゅる


(……? なんだ?)



キュウシュウ
キュウシュウセヨ
キュウシュウ
キュウシュウ
キュウシュウ


「な、なんだこいつらは!?」




ガバッ!


「うおっ!?」


ぐじゅる


「こ、こいつら、オレを取り込む気か!?」


「くそっ、プロテクトがなければこんな……!」


ん?



「トビラが開いてる? ……そうか! 博士が!」


「速くこの事を知らせなければ!」




「な、なんだこの光景は!?」

どこもかしこも妙なウイルス?に取り付かれている


「こいつら、片っ端からデータを取り込んでいる! このままじゃ科学省全ての機能が麻痺してしまう」


「くそ、誰か! 誰かいないのか! 平気なやつは……!」


いたぞ!

こっちだ!


「よかった! 聞いてくれ! 今……」


「プロトが狂ったのは貴様が原因か! フォルテ!」


「……は?」


「この欠陥品め! とうとう本性を現しやがったな!」


「な、何を言って」


「残念だよフォルテくん」


「あなたは……シックス! これは一体どういうことですか!?」


「君にはプロト暴走のウタガイがかけられている」


「なん、ですって」


「残念だが、君はデリートされることに決まったよ」



「ち、違う! オレは何も知らない! オレもあのウイルスに襲われて」


「ならなんであの厳重なロックをすり抜けられたんだ! アレはコサック博士特製のプログラムだぞ!」


「それは、そ、そうだ、博士! コサック博士と話をさせてくれ!」


「ああ、彼も快く君のデリートに賛成してくれたよ」


「…………え?」


「手に余るから、好きにしてくださいだとさ。その為のプロテクトだよ?」


「う、嘘だ」


「なあ、もう理解してるんじゃないかな?」






君は、裏切られたんだよ

















「嘘だァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」











「嘘だ……そんな……」


「ふむ、まだ信頼があるみたいだ」


もういい、デリートしたまえ


「了解、死ね! フォルテ!」


ザシュ



「が……あ…」


ドサ


「……」


人を信じた結果が今の君さ

本当に信じられるのは己だけ

君にはその力がある

悔しいだろう? 憎いだろう?

その怒りをぶつけたいだろう?

――――人間に


にこり












「……それがキサマらニンゲンの本性か」









「こいつ! しぶといやつだ!」


「さっさとデリートし」


パァン!


「――――」


「お、おい、オマエ、なんで頭がないんだ」


ヴイィイイイイイイイイイイ……



「フォルテ!? キサマ、プロテクトが」






「消えろ」








--







「素晴らしい。まさに電脳の破壊神とでも言うべきか」






「……キサマもいつか消してやる」


「ああ、楽しみに待ってるよ。フォルテくん」




カッ!






――――本当に素晴らしい。アレはいつかこの星を滅ぼすネットナビになるだろうな




そうだな、アースブレイカー
彼の奔流にはこう名付けようかな?




後に、プロトの反乱と呼ばれる史上最悪の事件が起こる

そのウラに消えた一体のネットナビが、いずれ世界を戦慄させる存在になって帰ってくることを、殆どの人間は知らない


以上

プロトの反乱なんてシックスの最高のおもちゃじゃないか

期待

確かに電脳世界の発達してるロックマンの世界なら春川の願いは叶ったのか

この一連のくだりは鷹岬版のオマケを参考にしているのかな。

春川が救われるのはいい

だがHALの謎無しにネウロは6に勝てるか?

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