未来「あれ、もしかして響ってモテるんじゃ…?」 (131)
―――リディアン音楽院・放課後・ゴミ集積所にて―――
未来「…ふぅ、結構重いなぁこれ」
未来「もう、弓美ってば、運ぶの手伝うって言って結局忘れちゃうんだから…」
未来「まあ、別にいいんだけどね…よいしょ」
「あ、あの…!」
未来「え?」
女生徒「あの、小日向未来さん…ですよね」
未来「は、はい、そうですけど…」
女生徒「あの…これ受け取ってください!」
未来「えっ…」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1465082523
そう言って彼女が渡してきたのは、どうやら便箋のようだった。
あれ、これって…ええ…まさかそんな…?
未来「あの、これって…」
女生徒「えっと!是非読んでほしいんです!」
女生徒「お願いします!」
未来「ええ~…」
うわぁ、これってもしかして…、いやもしかしなくてもアレだよね…
女子高だと女の子同士で…なんて話は、マンガとかでよく見かけるけど
うーん…まさか、現実でもこういうことが起こるなんて…
未来「あの、一応確認するんだけど…これって手紙だよね?」
女生徒「は、はい、そうです!」
女生徒「…い、今の私の気持ちが全部書いてあります!」
未来「そ、そうなんだ…」
未来(う~ん、どう対応すればいいものか…)
女生徒「それじゃあ、是非お願いします!」
女生徒「立花先輩に渡しておいてください!」
未来「…………」
未来「…ん?えっ…?」
―――その後・校門前にて―――
未来「…うーん…」
なんだろう、このもやっとした気持ち…
いやまあ、確かに私に読んでほしいとは言ってなかったけどさ…
あの状況であんな渡し方されたら、そういう風に受け取っちゃうのも仕方なくないかな…?
…別に、がっかりとかしてないけど。むしろ色んな意味で安心してるくらいなんだけど
うーん、なんだかよく分からないけど、敗北感があるなぁ…
弓美「ごめんね未来~、さっきは運ぶの手伝えなくてさ」
弓美「急に職員室に呼び出しくらっちゃってさぁ」
未来「…ああ、うん」
弓美「まったく、校門の前で部活の勧誘することのなにがいけないっていうんだか…」
詩織「それは、コスプレしながら勧誘を行ったからなのでは?」
弓美「なにおう!コスプレの一体何がいけないっていうのさ!?」
弓美「ほら見てよ!校則には生徒がコスプレしながら部活の勧誘するの禁止なんて書いてないよ~!?」
創世「…ど、どこから突っ込めばいいのやら」
未来「…………」
「お~い、みんなお待たせ~!」
詩織「あ、立花さん来ましたよ」
響「いやーごめんねぇ、思いのほか補修が時間かかっちゃってさぁ」
弓美「補修ねぇ」
創世「なんか話によると、今日の補修ってビッキーを含めて3人くらいしかいなかったとか聞いたけど…」
詩織「まあまあ、人には誰しも得手不得手が…」
響「う、うう…面目ない…」
創世「ごめんごめん、ちょっといじりすぎちゃったかな」
創世「まあそんなに気にすることもないよ」
弓美「うん、そうそう。勉強ができないくらいで死んだりしないし」
響「な、なるほどぉ~!確かにそうだね!」
詩織「そ、そういう問題なんでしょうか…」
―――その後―――
創世「それじゃあ二人とも、またね」
弓美「ばいば~い」
詩織「ごきげんよう」
響「うん、また明日~!」
響「…いやぁ~、頭いっぱい使ったらさぁ、なんかお腹空いてきちゃったよ~」
響「ねえ未来、何かコンビニで買っていかない?」
未来「…………」
響「…あれ、未来?」
未来「え、な、なに?」」
響「えっと、コンビニいかないかな~って…」
未来「ああ、うん…別にいいけど…」
響「そ、そっか」
響「…………」
―――コンビニ店内―――
響「うわぁ、見てよ未来~、苺フェアだってさー」
響「苺アイスに、苺シュークリームに、苺ケーキ!どれもおいしそうだなぁ」
響「ねえ、未来はどれにする?」
未来「…え、ああ…えーっと」
未来「響と一緒のやつでいいかな…」
響「えっ…」
未来「わ、私、苺ならなんでも好きだし…」
響「そ、そっか…」
―――学生寮・二人の部屋にて―――
響「いや~、今日の補修さあ、私最後の一人になるまで帰れなくってさ」
響「先生に、もう帰りたいです~って言っても、これが終わるまではダメって」
未来「…そう」
響「…ああえっと、このシュークリームさぁ、苺の酸味が効いてて美味しいねぇ!」
未来「うん、そうだね」
響「…お、おいしいなぁ~」
響「…………」
未来「…………」
あの手紙って、やっぱり、そういう意味の手紙…だよね
早く渡すべきなんだろうけど、う、うーん…
それにしても、女の子同士でも、やっぱりそういうのってあるものなのかなぁ…?
まあ確かに、響はちょっとカッコいいところあるかもしれないけど
それでも、やっぱりなんだかもやっとするというか…
未来「…うーん」
響「…あ、あのさ未来」
未来「ん?」
響「ごめん、私何か怒らせるようなことしちゃったかな…」
未来「え?」
響「だって未来、今日帰る時からずっと怖い顔してるし…」
響「話しかけてもなんか反応薄いし…その~…」
未来「あ、あ~…」
未来(…しまった。色々と考えこんでいたうちに、響に気を遣わせちゃってたんだ)
未来(これは早く打ち明けて誤解を解かないと、響に悪いなぁ)
未来「あのね、響」
響「は、はい」
未来「ごめんね、さっきからちょっと考え事してたから、響の話、半分くらいしか聞けてなかったの」
未来「別に、怒ってるとかじゃないからね」
響「そ、そっか~、よかったぁ」
未来(ふう、誤解は解けたかな?)
未来「…あ、そうだ。さっき学校でね、1年生の子から預かったんだけど」
響「え?」
未来「はい、これ」
響「これって…手紙?」
未来「よ、読んでみれば?」
響「あ、うん…」
響「…………」
うわぁ、響の顔がみるみる赤くなっていく…
これはやっぱり、私が予想した通りの内容だったってことなんだろうなぁ…
それにしても、やっぱり響ってこういうことに耐性ないのかな?
ふふっ、ちょっと面白いかも…
未来「えっと、なんて書いてあったの?」
響「え?あ、ああ~、その~…なんていうか…」
未来(おやおや、狼狽してるなぁ…)
響「…えっと、その~…」
未来「…もしかして、愛の告白だった、とか?」
響「えっ!?」
未来「…なーんて、そんなわけないよね」
響「あ、あう…あう…」
未来(…響、なんて分かりやすい…)
未来「あれ、もしかしてホントにラブレターだったの?」
響「…う、うん…」
未来「そ、そうなんだ…」
響「う、うーん…」
未来「…えっと、なんて返事するの?」
響「え?ああ、うん…それはなんていうか~…まあ…」
響「申し訳ないけど、ごめんなさいするしかないかなぁ…」
未来(まあ、そりゃそうだよね…)
未来(いくらなんでも、女の子同士で付き合うわけにもいかないだろうし)
響「うーん、困ったなぁ…なんで最近こういうの多いんだろう」
未来「……ん?」
未来「えっと、ちょっと待って響」
響「ん?」
未来「今、最近こういうの多いって言わなかった?」
響「……あ!?」
さっきまでリンゴみたいに赤かった響の顔がみるみる青ざめていく
しまった~!って顔してるけど…え、なに…どういうこと?
こういうの多いってことは、つまり…え、嘘でしょ?
というか…ちょっと待って、私、全然そんなこと聞いてないんだけど…
……なんだろう、なんだかよく分からないんだけど
なんか、ものすご~くもやっとする…
未来「……響」
響「は、はい」
未来「全部話して」
響「は、はい…」
―――翌日・楽院の中庭―――
未来「…はぁ」
未来(まさか、響が今まで何度も告白されてたなんてなぁ…)
未来(…しかも同姓から)
未来(そういえば、放課後急にいなくなることとかあったけどさ…)
未来(また任務かなーとか思ってたけど、私の知らない裏でまさかそんなことが…)
「おいおい、なにため息なんかついてんだよ」
未来「…あ、クリス」
クリス「お前がため息つくってことは、どーせまたあのバカのことだろ?」
未来(へ、変なところで鋭いなぁ…)
未来「…まぁ、そうだけどさ」
クリス「なんかあったのか?」
未来「…えっとね」
未来「クリスは、誰かから告白されたことある?」
クリス「は、はぁ!?」
クリス「そ、そんなもん…!」
クリス「…ね、ねえよ」
未来「…そっか」
クリス「ったく、なんだよ藪から棒に…」
未来「えっと、響が…」
未来(…さすがに、そのまま言うのはまずいかなぁ)
未来「…響がね、友達から相談受けたみたいなんだけど」
未来「その友達が…なんか、最近よく女の子から告白されて困ってるんだって」
クリス「あのバカの友達って…それ男か?」
未来「ううん、女の子」
クリス「…そ、そりゃあ困るだろうな」
未来「うん…それでさ」
未来「女の子同士なのに、どうしてそんなにモテるんだろうねって、なんか不思議で…」
クリス「……ん?」
クリス「…なあ、その友達ってまさか…」
未来「え…」
クリス「もしかして…風鳴先輩のことか?」
未来「え…ち、違うけど」
クリス「あれ、そうなのか…」
未来(び、びっくりした…)
未来「というか、なんで翼さん…?」
クリス「え?ああ、まあたまに見かけるからさ」
クリス「先輩が、後輩やら同級生やらに呼び出されてるとこ」
未来「え」
クリス「最初はさ、これが噂のいじめってやつかと思って、助太刀しようと後から着いていったんだが」
クリス「様子を見てるとさ、どうも色恋の話らしくてな」
クリス「…ったく、着いていって損したぜ。今思い出しても恥ずかしい」
未来「え、ええ~…」
未来(翼さん…モテるんだなぁ)
未来(まぁ、スタイルも良くてカッコいいし、なにより世界的なアイドルなんだから、それくらい寧ろ当然なのかも)
未来(それにしても、どうして私の周りって…同姓から好かれる女の子ばっかりいるんだろう…)
未来「うーん…」
クリス「まあ、なんにせよだ」
クリス「男だろうが、女だろうが、人から好かれるってぇのは、そんなに悪いこととも思えないけどな」
未来「え?」
クリス「いやだってよ、告白されるってことは、そいつにそれなりの魅力があるってことだろ?」
クリス「まったく魅力がなかったら、告白どころか誰も近寄ってこねーだろうし…」
未来「…うん、そうだね」
未来「ありがとうクリス、相談に乗ってくれて」
クリス「べ、別に相談に乗ったつもりなんかねーよ…」
未来「ふふっ、そっか」
未来「…ちなみにさ、クリスは女の子から告白されたらどんなふうに対応するの?」
クリス「…は、はぁ!?何言ってんだお前!?」
クリス「そ、そんなこと聞いてどうするってんだよ?」
未来「ん~、一応…参考までに聞いておきたいな~、って思って」
クリス「…お前、本当のバカだな…」
未来「お願い☆」
クリス「や、やだよ…」
未来「…………」ジー
クリス「…………」
クリス「…あ~くそ、お前と話してるとなんでこう調子狂うかな」
クリス「…別に、そんな気の利いたことも言えねーし」
クリス「な、なるべく…、相手のこと、その…傷つけないような言い方で…だな」
未来(…うーん、前から感じてたけど、クリスって響とは違うタイプで誠実だよね)
クリス「ああもう!なんでアタシがこんなアホなこと答えなくちゃいけないんだ!」
クリス「ったくバカらしい…もう行くからな」
未来「あ、クリス」
クリス「その友達とやらに伝えておけ、ご愁傷様ってな」
未来「う、うん…」
未来「…行っちゃった」
それなりの魅力…か
確かに、なんにも魅力がない人だったら、告白されることなんてないよね…
というか、同姓相手に告白するって、ある意味異性を相手に告白するよりハードル高いんじゃないかな…?
…なんか、よく分からないな
でも…
なんで、こんなに気持ちがもやっとするんだろう…
未来「…はぁ、もう」
未来「響のばか…」
―――お昼休み・廊下―――
未来「ふう、やっと買えた…」
未来「お弁当忘れるとこれだもんね…次からは気をつけないと」
未来「そういえば響、やきそばパンがいいって言ってたっけ…」
未来「コロッケパンしかなかったけど…謝れば許してくれるかな」
「ねえ聞いて聞いて、今朝立花先輩見かけたんだけどね」
未来(え?)
女生徒A「通学路の木の上で子猫が鳴いててさ」
女生徒A「結構高い所にいるから、みんな子猫には気づいてるんだけど、助けるのは諦めちゃっててさ」
女生徒A「でも立花先輩ったらね、ヒョイヒョイ~って木に登って、あっという間に子猫助けちゃうんだもん」
女生徒B「え~!すごいねえ!」
女生徒A「でしょ~!?あのときの先輩、かっこよかったなぁ」
女生徒B「やだ~、子猫助けるとか、マンガに出てくる王子様みたーい」
未来「…………」
―――教室―――
響「いっただっきまーす!」
響「う~ん、今日もパンがうまぁい!」
未来「…ねえ、響」
響「ん?ふぁあに?」
未来「響、今朝子猫助けてたの?」
響「えっ、…んぐんぐ…」
響「…ん、ん~、そんなことがあったような、なかったような~」
未来「1年生の子が見てたって」
響「さ、さいですか…」
未来「はぁ、だから遅刻してきたんだ…?」
響「は、はい~…」
未来「えっと、子猫を助けるのにそんなに時間かかったの?」
響「いやぁ~…子猫はすぐに助けられたんだけど…」
響「そのあと、親猫を探すのにだいぶ手間取っちゃいまして…たはは」
未来(あ~、そういうことか…)
未来「人助け…いや、猫助け?もいいけど、遅刻してたら元も子もないと思うよ」
響「お、おっしゃる通りで…」
シンフォギアならそう書けよ
未来に響だからアイドルの方だと思っただろks
未来(…まあ、そういうところ響らしくて、私は好きだけどさ)
未来(それにしても、昨日の手紙の件といい、響ってどうも1年生から人気があるみたいだけど…)
未来(同学年だとそこまでアプローチされてる姿とか見ないし、なんか気になるなぁ…)
未来(誰か1年生に知り合いとかいれば、色々と聞いてみたいんだけど…うーん…)
未来「…ん?あれ」
響「…?どうしたの、未来」
未来「あ、…いた」
―――放課後・イルズベイル―――
調「それで、聞きたいことって…」
切歌「なんデスか?」
未来「ああ、えーっと…」
ここは、やっぱり率直に聞いた方がいいのかなぁ…響って1年生から人気あるの?って
いやでも、それを聞く理由がなんか変だよね。なんでそんなこと聞くのかっていう…
えーっと、学内アンケート…いや、意味が分からないし…っていうか、そもそも
なんで私、こんなこと聞くためにわざわざ二人に来てもらってるんだろう…
別に誰かに頼まれてる訳でもないのに…
はあ…私って暇なのかな?
未来(普通に聞くのもなんとなく恥ずかしいし、やっぱりそれとなく聞いてみようかな)
未来「あのね、えーっと…二人を呼んだのは…」
未来「その、単純に…今まで仲良く遊ぶ機会もなかったし、誘ってみたいな~って前から思ってて…」
未来(ちょっぴり罪悪感あるけど、まあこれは本音でもあるし…いいよね)
切歌「おお、そういえば、未来さんとは今まで遊んだことなかったデスね」
調「確かに、ちょっと新鮮…」
未来「うん、二人が転入してきてからの話とか、ゆっくり聞いたことなかったし…」
未来「せっかくだから、いっぱい話したいなって」
調「そういうことなら」
切歌「大歓迎デース!」
未来「そっか、よかった」
未来「学校にはもう慣れたの?」
切歌「はい、そりゃあもうばっちりデスよ!」
調「……じ~……」
切歌「し、調、なんデスかその目は…?」
調「きりちゃん、毎朝私が起こさないとねぼすけさんだから起きない…」
切歌「ちょっ、それは秘密だって言ったじゃないデスか~!?」
調「一回起こしても、二度寝するから大変」
切歌「し、調~!」
未来「ふふっ、なんだか楽しそうだね」
未来「新しい友達はもうできたの?」
調「うん、できた」
切歌「まあ、当然デスね~」
切歌「学校って色々と不思議なものだらけなので」
切歌「あれなにこれなにっていっぱい質問してたら、いつの間にか仲良くなってたデス」
調「私はあんまり自分から話しかけてないんだけど、気がついたら色んな人から話しかけられてて…」
切歌「そうなんデスよ、もう初日は取り巻きから調を守るのが大変で…」
調「べつに変なことされてるわけじゃないんだから、守らなくてもいいのに」
切歌「そ、そういうわけにはいかないデスよ!」
調「…変なきりちゃん」
未来「そっか…仲良くやれてるならよかった」
未来「クリスなんてね、初めて学校にきたとき、人見知りが酷すぎて教室から逃げちゃったらしいよ」
切歌「ええ!そうなんデスか!?」
調「意外…」
未来「うん、あの子ああ見えてかなり恥ずかしがり屋だから」
切歌「ふっふっふ、今度きねくり先輩にそのこと聞いてみるデス…」
調「また頭グーで叩かれちゃうよ、きりちゃん」
未来(…あ、本題のこともそろそろ聞いてみようかな)
未来「えっと、先輩とは交流あったりするの?」
切歌「先輩デスか?」
切歌「…うーん、奏者の先輩方となら…」
切歌「あとは、特にないデスよね?」
調「うん、ないと思う」
未来「そ、そっか」
クリスちゃんきゃわわ
切歌「どうしてそんなこと聞くんデスか?」
未来「えーっと、その~…」
未来「…ひ、響とね…」
調「響さん…?」
未来「…そ、そうそう、響とこの前話したんだけど」
未来「私たちも後輩ができたんだから、翼さんみたいにしっかりしないといけないよねって…」
未来「1年生たちから見て、2年生の私たちって何か悪い噂とかないかな~…って」
切歌「悪い噂…デスか?」
未来「うん、もしあれば、ちゃんと直していかないとなって思って」
未来「こんなこと、2人にしか聞けなくて…」
切歌「…うーん、とくにそういうのは聞かないデスけど」
調「うん、私も」
未来「そ、そっか」
切歌「あれ、でもそういえば…」
切歌「悪い噂じゃないデスけど…最近響さんの話題を聞くことがあるような」
調「そういえば…」
未来「えっ、それってどんな?」
切歌「うーん、いつも同じグループで固まって話してるのをよく見かけるんデスけど…」
切歌「教室の隅で話してるから、話の内容はそこまで詳しくは知らないデス…」
切歌「でも確か…、響さんのことカッコいいとかなんとか言ってたような」
未来「そ、それ、本当なの!?」
切歌「は、はい…」
切歌「でも、それ以上のことはよく分からないデス」
未来「そっか…」
調「…あ」
切歌「どうしたデス?調」
調「…そういえば昨日、よしこちゃんが響さんにラブレター渡すって言ってたような」
切歌「え!?」
調「前に変質者から助けてもらって、それ以来好きになっちゃったとかなんとか」
未来(…え、え~…)
未来(…もう響ったら、ほんとに所構わず人助けするんだから…)
未来(っていうか、昨日私に手紙渡した子、よしこちゃんって言うんだ…)
切歌「えぇ~!?ラブレタぁ~?」
切歌「というか、なんで調がそんなこと知ってるデスか…?」
調「私、色んなグループの子と話するから」
調「よしこちゃんの話だと、響先輩って今1年生の間で密かに人気上昇中なんだって」
調「前は翼先輩が大多数を占めてたんだけど、最近は響先輩のファンも増えてるみたい」
未来「そ、そうなんだ…」
…どうやら、私の想像以上に響は人気だったみたい
いやまあ、別に人気なのはいいことなんだろうけど…
響って人懐っこいし、すぐに人の懐に飛び込んでくるからなぁ
そういうところが色んな意味で、好意を持ってくれた相手に期待を持たせちゃうのかも…
というか、本人がその辺まったく無自覚なところがなんとも…うーん
切歌「というか調!」
調「なに、きりちゃん?」
切歌「わ、私の知らないところで、そんなふうに他の友達とヨロシクしてたんデスか!?」
調「ヨロシク…?」
切歌「聞いてないデスよ~!」
調「…きりちゃん、やきもち?」
切歌「えっ、そ…そんなことはないデス…」
調「…じ~…」
切歌「あう…そんな目で見られると困るデスよ…」
調「心配しなくても、私の一番の友達はきりちゃんだよ」
調「だから、やきもちなんか焼かないで」
切歌「し、調~…!」
未来(相変わらず、仲良いなぁこの二人…)
―――その後―――
未来「二人とも、今日はありがとう」
切歌「いえいえ、こちらこそデース」
調「楽しかった」
切歌「またこういう風に、気軽に誘ってほしいデスよ」
未来「うん、今度は響とクリスも連れてくるね」
切歌「おお、それは是非に」
調「それじゃあ、未来さん…また今度」
未来「うん、またね」
切歌「ばいばいデ~ス」
未来「…さて、今日の晩御飯どうしようかな」
未来「それにしても…響…」
今まで、世界を救う戦いとか、人助けとか、色んなことがありすぎて全然考える暇もなかったけど
響だって年頃の女の子なんだから、恋愛に興味あるはずだよね
なんか女の子ばっかりにモテてるのは、ちょっぴり可哀そうというか、響らしいというか…
響は、恋とか、そういうの…どういう風に考えてるんだろう…
というか、かく言う私も恋とかしたことないから、そういうのよく分からないんだけど…
未来「恋…かぁ」
未来「恋って、どんな感じなんだろう…」
「…あれ、未来ちゃん?」
未来「え?」
洸「あぁ、やっぱり未来ちゃんだ」
未来「あ…響のお父さん…」
洸「どうしたんだい?こんなところで」
未来「ああえっと、そこのイルズベイルで友達と話してて…」
洸「えっ、そうだったのかい?」
未来「あの、響のお父さんこそ、ここで何を…?」
洸「ああ、私もイルズベイルにいたんだよ」
未来「え?」
洸「まあ、いたというか、働いていたというか…」
未来「えっ、そうだったんですか?」
洸「ああ、1ヵ月前からここのキッチンで働かせてもらってるんだ」
未来「そ、そうだったんですか…」
洸「今から帰るところかな?」
未来「あ、はい、そうです」
洸「そうか…えーっと、その…」
洸「よければ…途中まで一緒にどうかな?」
未来「え…?」
―――その後―――
…うーん、なんか途中まで一緒に帰ることになっちゃったけど
私、響のお父さんとそんなに話したことないんだよね…
小さい頃は、響と一緒によく遊んでもらった記憶があるけど
でも、それくらいだしなぁ…
どうしよう…なに話せばいいかな…
洸「…う、うーん、自分から一緒に帰らないかとか誘っておいてなんなんだけど」
未来「え?」
洸「なんかこう、いざとなるとなにを話せばいいのか悩んでしまうね」
洸「ごめんね未来ちゃん、こんなおじさん相手じゃ、話すこともないだろう?」
未来「そ、そんなことないですけど…」
未来(…響のお父さんも、同じこと考えてたんだ…)
洸「…本当はね、学校での響の様子だの、交友関係だの」
洸「父親として、聞きたいことは山ほどあるはずなんだけど…」
洸「やっぱり、緊張しちゃうと…どうもね…」
未来「お父さん…」
洸「それに、友達のお父さんとはいえ」
洸「ほとんど話したこともない相手に、友達のこと話せるわけないよね…」
未来「…………」
未来「…響のことで聞きたいことあるなら、何でも答えますよ」
洸「え?」
未来「まあ、答えられる範囲でなら…ですけど」
洸「そ、そうか…」
洸「いやぁ、それはなんていうか…ありがたいなぁ」
未来「いえいえ」
未来(…なんだろう、やっぱり…)
未来(この人、響に似てるなぁ…)
未来(本当は言いたいことあるのに、我慢して…笑いながらごまかしちゃうところとか)
未来(あと、照れくさそうに笑う顔とか…)
未来(…やっぱり、この人は響のお父さんなんだ…)
洸「えーっと、響は…学校では上手くやれているかい?」
未来「はい、友達も多いし、たぶん上手くやれてると思います」
洸「そ、そうなんだ」
洸「そうか…友達、多いんだね…」
洸「…な、何人くらいいるの?」
未来「えーっと…たぶん」
未来「先輩・後輩含めれば…特に仲良い人は8人くらいいますね」
洸「そ、そんなに…!?」
未来「あと、学校外にもいるから」
未来「それ含めると、たぶん10人くらい…?」
洸「10人…そうか、10人も…」
洸「響、そんなに友達ができたのか…」
未来「なんだか最近は、後輩の子たちからも人気あるみたいですよ」
洸「へえ、そうなんだ」
洸「…話を聞く限り、元気でやってるみたいで安心したよ」
未来「元気というか、元気すぎるというか…」
洸「ははは、そうか」
洸「相変わらず、人助けもしているのかい?」
未来「ええ、相変わらず…」
未来「困ってる人見かけると、いっつも人助けしちゃうんです」
未来「今朝も、木から降りられなくなってる猫を助けて、授業遅刻してました」
洸「あ、あ~…」
洸「なんていうか、あの子らしいね」
未来「はい、響らしいです…」
未来(…でも、どうしてだろう)
未来(最近、響のそういう姿に、心のどこかでもやもやする自分がいる…)
未来(響の人助けなんて、別に今に始まったことじゃないのに)
未来(…なんで、今さら…)
洸「…なにか、悩みがあるみたいだね?」
未来「…えっ?」
洸「あっ…間違ってたらごめんよ」
未来「えっと…その、悩みというか…」
未来「…その…と、友達のことなんですけど」
未来「その子、今まで誰かを好きになったことがないらしくて、その…」
未来「そういう気持ちって、どんな感じなのかなって、相談…されたんですけど」
未来「私も、こ、恋とかしたことないから、答えられなくて…」
洸「…………」
未来(…なに言ってるんだろう、私)
未来(なんだか、すっごくバカなこと言ってる気がする…)
洸「そうか…恋、か」
洸「うーん、それはなんていうか、難しい相談だねぇ」
洸「相手を好きになる気持ちって、人それぞれだからなぁ」
洸「正しい答えがない分、他人にアドバイスし辛いよね」
未来「そ、そうですよね」
洸「…でも、一つだけ分かることがあるよ」
未来「え?」
洸「相手のことを好きになるかどうかは…」
洸「実際に、その相手とぶつかり合ってみなくちゃ分からない、ってこと」
未来「ぶつかり合う…」
洸「…なーんて、ね」
洸「ごめん、これ実はうちの奥さんの受け売りなんだ」
未来「えっ…」
洸「俺が大学生の頃の話なんだけど…」
洸「うちの奥さんに…あっ、当時同じ大学に通っててね」
洸「それで…好きな人がいるんだけど、告白するかどうか悩んでるって相談してさ」
洸「ファミレスで何時間もうじうじしてたら、うちの奥さん、しびれを切らしたのか…」
洸「そんなの、実際に相手とぶつかり合ってみないと、結果もなにも分からないでしょ…って」
未来「…………」
洸「確かにその通りだなと思って、意を決して、告白することに決めたんだ」
洸「…目の前に座ってる人に」
未来「…え、ええ~!?」
未来「え、好きな人って…ええ~…?」
洸「や、やっぱり呆れちゃうよね…」
未来「い、いえ、そんなこと…」
洸「奥さんも、今の未来ちゃんみたいに驚いてたよ」
洸「それでまあ、呆れてた…」
未来「…………」
洸「…でも、その気持ちに嘘はないってことを伝えたら」
洸「呆れながらだったけど、OKしてくれたんだ」
未来(な、なんかすごいなぁ…)
洸「…ぶつかり合うことってさ」
洸「確かに、怖いし…傷ついたらどうしようって、不安にもなるんだけど」
洸「でも、やっぱり必要なことなんだと思う」
洸「…2年ぶりに、あの子と…響とぶつかり合ってみて痛感したよ」
未来(…ぶつかり合う、か…)
洸「その友達にもさ、言ってあげたらいいんじゃないかな」
洸「気になるなら、もっとたくさん話してみれば…って」
未来「…はい、そうします」
洸「…あ、そういえば…」
洸「これ、職場の人にもらったんだけど…未来ちゃんいる?」
未来「え?」
洸「水族館のペアチケットなんだけど」
洸「行きたい友達とかいれば、使ってやってくれないかな?」
未来「行きたい友達…」
洸「…あっ、もし必要なければ、その友達にあげてもいいからさ」
未来「…それじゃあ、せっかくなのでいただきます」
洸「そうか、それはよかった」
洸「それじゃあ、楽しんでおいで」
洸「…まぁ、人からの貰いものだけど…」
未来「ふふっ、ありがとうございます」
未来(水族館かぁ…)
未来(前に、響とスカイタワーのやつに行って以来だっけ)
未来(あのときは、結局事故に巻き込まれてうやむやになっちゃったし…)
未来(…よし、せっかくだから、あのときのやり直ししよう)
洸「…未来ちゃん」
未来「え、はい」
洸「響のこと…よろしく頼むね」
未来「え…」
洸「俺は父親だけど、あの子が一番大変なときに逃げ出した、卑怯なやつだ」
洸「本当に、愚かだったと後悔してる…」
未来「そ、そんな…」
洸「…でも、そんな響が、逃げ出したいくらいに、死ぬほど辛い思いをしていたとき」
洸「一番側で支えてくれたのは、君だ」
未来「…………」
洸「だから、どうか…」
洸「これからも、どうか響の一番の友達でいてくれないかな?」
未来「…はい、分かりました」
洸「…そうか、ありがとう」
未来「あの、響とは最近会ってます?」
洸「ん?ああ、そういえば、最近忙しくて会えてないな…」
未来「…だめですよ?ちゃんとぶつかり合わないと」
洸「ははは、こりゃ一本取られたね…」
>>35
しね豚巣に帰れ
―――水族館―――
未来(わ~…すっごい大きい蟹…)
未来(この蟹って、食べられたりするのかなぁ…?)
「…おりゃっ!」
ピトッ
未来「ひゃっ!?」
響「いよぅし!どっきり大成功~」
未来「も~…なにするのよ」
響「えへへ、前に私が水槽見てたとき、未来におんなじことされたからさ」
響「そのお返しだよ~ん」
未来「もう、そんな子供じゃないんだから…」
響「…あっ、なんだこのでっかい蟹は~!」
響「おお~、この蟹ってさぁ、食べられたりするのかな~?」
響「もし食べられるなら、一人のお腹じゃ厳しそうですなぁ」
未来(…どうやら私は、響と同レベルのことを考えてたらしい…)
未来(な、なんか、若干恥ずかしい…)
響「ねえねえ未来!あっちにおっきいサメがいるよ!」
響「ほら、見に行こうよ」
未来「わ、分かったから引っ張らないでよ~…」
未来(まあ、響も楽しそうだし…別にいいか)
―――その後・水族館の屋外スペースにて―――
響「いや~、満喫したねえ」
未来「うん、そうだね」
響「私はさぁ、あのなんかオレンジ色で、ちっちゃい魚が好きだったな~」
未来「ああ、カクレクマノミ?」
響「そうそう、それ」
響「未来はさ、なにが一番よかった?」
未来「そうだなぁ、私は…」
なんか、こういう穏やかな時間って久しぶりだな…
シンフォギアとか、ノイズとか、世界の危機とか
そういう毎日が、一時期は日常になってしまっていたけど
そうだよね、私も響も、こうやって普通に遊んで、普通に笑って…
普通に過ごすのが当り前の、女子高生なんだ
響「…おーい、未来?」
未来「…え、ああごめん」
響「んも~、また考え事ですかな?」
未来「ん~、考え事というか…」
未来「…そういえばさ、響も」
響「ん?」
未来「響も、考え事っていうか…悩みとか、ある?」
響「え、悩み?」
未来「うん」
響「そ、そうだな~…」
響「…うーん、そういえば今月はお財布が心もとなくて、ちょっと悩んでおりますな~」
響「あとは~、あ!そうそう、来週の定期テスト!あれは悩みの種だよ~」
響「他にはえーっと…」
未来「ふふ、響もいっぱい悩みあるんだね」
響「むむ、私に悩みなんて似合わない…とでも言いたげだね?未来くん」
未来「そんなことないよ」
響「そういう未来は、何か悩みとかあるの?」
未来「私?私は…」
未来(私の…悩み…)
未来「…………」
響「…未来?」
未来「…響は」
響「ん?」
未来「響は…恋とかしたこと、ある?」
響「えっ…」
未来「…………」
響「…………」
響「…そ、そうだなぁ」
響「私は…」
響「…な、ないかな?」
未来「ほんとに?」
響「う、うん」
未来「そっか…」
未来「興味とかはないの?」
響「え…えっと…」
響「…こ、困ったなぁ、なんていうかその~」
響「わ、分かんないや…」
未来「…ふーん」
響「えっと、なんでそんなこと…?」
未来「…………」
未来「…ねえ、響」
未来「響の戦いはさ、もう終わったんだよ?」
響「え…」
未来「錬金術の騒動以来、ノイズも出てないし、世界が危険に晒されるような事件も起きてない」
未来「だからね、響」
未来「響は、もう普通に恋愛したり、してもいいんだよ」
響「未来…」
未来「べつに、人助けをするのは全然いいと思う」
未来「でもね、そろそろ…」
未来「そろそろ、もっと普通の女子高生みたいなこと、やってもいいんだよ」
未来「シンフォギアに出会って、装者として戦う前の…普通の女の子だったころみたいに」
響「…………」
こんなこと言うなんて、なんか昔のことを蒸し返すみたいで響も嫌だよね…
でも、私はそれでも響に…できるだけ普通の生活を送ってもらいたい
だってもう…戦う敵なんて、どこにもいないんだから…
響「…私は…」
「や、やめてください!」
未来「え?」
男「てめえ!さっさと離さねえか!」
女性「や、やめてください…!」
男「…このっ!」
シャキンッ!
男「オラッ!」
ピュッ
女性「きゃあっ!?」
男「くそっ、手こずらせやがって…!」
「お、おい、あいつナイフ持ってるぞ…!」
「なに、ひったくり?」
女の子「ママ…!ママ!」
女性「だ、大丈夫、大丈夫だから…」
女の子「ママ…おててから血出てるよ…」
女の子「…やだ、ママのバック持ってかないで!」
男「っち!とっととずらかるか…!」
女の子「お願い…だれかあのおじさんつかまえて…!」
「お、おい誰か警察呼べよ…」
「女の子泣いてんじゃん、かわいそ~…」
響「…!」
ダッ
未来「待って!響!」
響「えっ?」
未来「こんな人ゴミの中じゃ変身できないでしょ!?」
響「うん分かってる、大丈夫…あれくらいの相手、変身しなくても問題…」
未来「そうじゃなくてっ!」
未来「…もし、もし響が刺されちゃったりしたらどうするの…?」
響「未来…」
未来「私は、私はそんなの…」
そんなの…嫌だ
私が響に対して感じてた不安は、たぶんこれなんだ…
シンフォギアをまとっていれば、響は誰にだって負けない
でも…もし変身できないときに、危ない目にあったら…?
そうなってしまったら…響は…
未来「…………」
響「…ごめん未来、私…」
響「危ないことも、怖いことも、未来が待っててくれるなら大丈夫って思ってた」
響「でも、私の怖さも、痛みも全部…」
響「それは…未来の痛みでもあるんだよね」
未来「…………」
響「…でも、ごめん」
響「誰かが泣いてる、誰かが助けを求めている。その声に対して…」
響「私は…その場しのぎの笑顔や、言い訳なんかを言ってごまかしたくない」
響「だって私は…私だから!」
未来「響…」
響「ごめん未来!行ってくるね!」
響「大丈夫、へいき、へっちゃら。だよ!」
そう言って飛び出す響を、私は見送るしかなった
待つって決めたのに、信じてるって決めたはずなのに
響はどんどん強くなって、前に進んでいくのに…私は…
私は…
――――――
響「待てっ!」
男「はあっ、はあっ、な、なんなんだてめぇは…!」
響「あのお母さんのバッグを返して!」
男「ああ!?正義の味方きどりかぁ!?」
男「てめえ!これが見えねえのか!ぶっ殺すぞ!」
響「…私はまだ死なないし、死ねない!」
響「それに、あなたにも、誰も殺させやしない!」
男「なにをワケわかんねぇことを…!」
男「オラッ!」
ヒュンッ!
響「…………」ヒュッ
男「な…?避け…」
響「…ナイフは振り回すものじゃなくて、突くための武器…!」
トンッ…
響「…ッはぁ!」
ドンッッッ!!!!
男「がっっっはっ……!!?!!?」
…カランッカランッ
響「…ふー…」
響「…なんて、師匠の映画の受け売りだけどね」
―――――
「すげえなあ、ナイフ持ってる相手を倒したって」
「え?誰がやったの?」
「なんか、そこの女子高生?があっという間に…」
未来「響!」
響「あ、未来…」
未来「ひったくりは…?」
響「うん、気絶してるから、もう大丈夫」
響「…えっと、さっきはその」
未来「それはあとでいいから」
響「えっ」
未来「すみません、このバッグ、あとで警察が来たら渡してもらえますか?被害者の人の持ち物なんです」
おじさん「あ、ああ…分かった」
未来「お願いします」
未来「…それじゃ、いくよ響」
響「え…あ、ちょっとまっ…」
―――その後・丘の上の公園――
未来「はぁ、はぁ…」
未来「ここまで来れば、もう大丈夫かな…」
響「え、えっと…」
未来「…あの場にいたら、響、後々表彰されて、新聞にも載っちゃったんじゃないの?」
響「あ、あー…」
未来「一応国連直轄の組織に所属してるんだから、目立つようなことはしちゃダメだよ」
響「め、面目ない…」
未来「…………」
響「…………」
響「…あ、あのさ、未来」
未来「…響」
未来「ほら見て、夕日…すごくきれい」
響「え、あ…ほんとだ」
未来「…………」
未来「…響、私ね」
未来「私最近、なんだか響が段々遠くにいっちゃうような気がしてたんだ…」
響「え…」
未来「響が人助けしたり、誰かのために動こうとしたりする度に…」
未来「なんだか、響の背中が遠くに行っちゃうような感じがしてた」
響「み、未来それは…」
未来「でもそれは、私の勘違いだった」
響「え…?」
未来「響が私を置いて遠くに行っちゃうんじゃなくて…」
未来「…私が、ただいつもの場所から動いていないだけだったんだ…って」
響「…………」
未来「響はどんどん強くなって、色んな人と手を繋ぐ努力をしているのに」
未来「私は…変われてないね…」
未来「私も…私も響みたいに…」
未来「もっと、変わらないといけないよね…」
そうすれば、もっと…
響の近くに…いられるのに
響「未来」
響「そんなことない。未来は、今の未来のままでいい」
響「ううん、今のままの未来が、私は大好きなんだ」
未来「…………」
響「私は、この先…」
響「なにがあっても、未来の側から離れない」
響「未来と繋いだこの手は、絶対離したりしない」
響「未来は、今まで私の辛さも、寂しさも、悲しみも、全部背負ってくれた…」
響「だから、今度は…」
響「今度は、私に未来の全部を背負わせて」
未来「…………」
響「…側に、いさせてほしいんだ」
響「だって、未来は私にとって…」
響「一番の…ひだまりだから」
未来「…………」
響「だから未来、私…!」
響「って、あれ…」
響「…えっと、未来?」
未来「…………」
…ん?ん~?ん~…?
なんか、さっきからものすごく顔が熱いんだけど…
あれ、ちょっとまって…これって…
響「未来、どうしたのその顔…すごい赤いけど」
未来「へぁ…!?」
響「熱でもあるんじゃ…?」
未来「な、ないないない!大丈夫だから!」
響「そ、そう…?」
…ちょっと待って、なんなの…?
もうなんなの響、そのセリフは…
それ…
それもう、告白じゃん…
未来「…もうやだ、響きらい」
響「え、ええー!?なんでぇ!?」
未来「お願いだから向こう行ってて」
響「ご、ごめん!謝るから…なんでもするから許して!」
未来「じゃあもうあっち行ってて、今響の顔見たくない」
響「み、未来~!?」
どうしてこんな…好きな男の子から言われたいようなシチュエーションで
しかも、好きな男の子から言われたいようなセリフを、恥ずかしげもなく、そんなにいっぱい言えちゃうわけ?
響…あなた女の子のはずだよね?
…もう、ばかばかばかばか!響のばか!おたんこなす!とうへんぼく!にぶちん!
ああ、もうやだ…しかもこの人、自覚なく言ってるだろうし
はあ、どうして神様は…こんなかっこよくて、強くて、優しくて、頼りがいのある人を、女の子にしちゃったんだろう…
そんな人に、そこまで言われたらさ…
女の子なのに…本気になっちゃうじゃん…
―――後日・とある放課後・あるお店にて―――
響「いや~、未来さん、これなんていかがでしょうか~?」
未来「…やだ、こっちがいい」
響「え゛、それはちょっとお値段が高すぎやしませんか…」
未来「…響、この前許してほしいから何でもするって言ったよね?」
響「あうぅ…確かに言いましたけど~…」
未来「それじゃあこれ、頼んでもいいよね?」
響「は、はい…」
未来「すみません、このスーパーデラックスムートロン苺パフェください」
店員「はい、かしこまりました」
響「う、うう~…お財布が死んでしまう~」
未来「…知らない、響が悪いんだもん」
なんやかんや色々あったし、私の心は大いにかき乱されたけど
こうして、またいつもの日常に戻っていく
私と響の関係は、今までとなにも変わっていない
これまでも、これからも…ずっと
近いようで遠い、遠いようで近い。私にとっての一番の友達
ただ、今までと少しだけ変わったのは…
店員「お待たせしました。ムートロンパフェです」
響「う、うわー!でかっ!?」
未来「てんこ盛りだね」
響「ちょ、ちょっと未来…こんなの一人で食べられるの?」
未来「…え?食べられるわけないでしょ」
響「え、ええ~!?じゃあなぜ頼んだんだい!?」
未来「そんなの、響と二人で食べるからに決まってるじゃん」
響「…え、私も食べていいんですか?」
未来「むしろ、一人じゃ食べきれないから、一緒に食べて」
響「み、未来さま~…!」
響「むふふ、それでは、いただきま~…」
ピルル…ピルル…ピルル…
響「ん?あれ…携帯鳴ってる」
未来「誰から?」
響「えーっと…あ…」
響「……S.O.N.Gからだ…」
響「…………」
未来「…早く出た方がいいんじゃない?」
響「う、うん…」
響「…はい、立花です。…はい、そうです、えっと…ショッピングセンターの中のお店です」
響「…はい、分かりました…」
ピッ
未来「…任務?」
響「…うん、災害救助の要請だって」
響「…未来、ごめん…私また…」
未来「…響」
未来「泣いている誰かが、いるんでしょ?」
響「え…」
未来「なら、助けてあげて」
未来「だって、響は…」
未来「響は…響なんだから」
響「未来…」
響「…うん!私、行ってくる!」
未来「いってらっしゃい」
響「行ってきます!」
私と響の関係は、今までとなにも変わっていない
ただ、今までと少しだけ変わったのは…
私が、恋ってどういう感じなのかを、ようやく知ることができたってだけ
未来(もし行き遅れたら、響に責任とってもらおっと…)
未来「…あれ、っていうか…」
未来「このパフェ、どうしよう…」
未来「…………」
このあと、滅茶苦茶胸やけした。
完
おしまい
おつおつ
いいひびみくだった
大変素晴らしいものを読ませてもらった
乙
ムートロンパフェって、ライディーンから?
乙!
ああ^~
ひびみく可愛いんじゃあ~
乙、良いひびみくだった
>>2
便器にみえた
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません