遊矢「ラブレター?」(21)
柚子の部屋……
遊矢「柚子の部屋に来るのも何だか久しぶりだな」キョロキョロ
柚子「来て早々いきなり人のベッドの上に座らないでよ。後あんまりキョロキョロもしないで」
遊矢「固いこと言うなよ」
柚子「全く遊矢は……あ、飲み物入れて来るけど何が良い?」
遊矢「う~ん、じゃあクリームソーダ。アイス多めで♪」
柚子「ウチは喫茶店じゃないからそんなのないわよ。コーヒー淹れて来るからちょっと待っててね」
遊矢(にしてもしばらく見ないうちに柚子の部屋も大分変わったな。前より何処となく女の子らしい部屋になったような気がするし)
遊矢「あれ、本棚のあの漫画は……へー新刊出てたんだ」
遊矢(待ってる間暇だしちょっと読ませて貰おうっと。しかし柚子って結構漫画持ってるよな……ん?)
遊矢「何だこれ? 本の後ろに封筒が……手紙か?」
遊矢(何でこんな所に手紙が? 白い封筒にハートマークのシールで止められてて……いや、まさかこれ……)
遊矢「ラブレター?」
遊矢(わざわざこんな所に隠していたんだからその可能性はあるよな)
遊矢(誰かからは知らないけど柚子の奴、こんなの貰ってたのか。い、意外と隅に置けない奴だな、柚子って)
遊矢「…………」ソワソワ
遊矢(あれ、何で俺ちょっと動揺してんだ?)
遊矢(仮にこれがラブレターでそれを柚子が持ってても俺には関係ないはずなのに……そうだよ、あいつはただの幼馴染なんだから)
遊矢「…………」ソワソワ
遊矢(それにしても誰だよこんな手紙を柚子に渡したのは? あんなストロング女にラブレター出すなんてよっぽどの物好きだよな)
遊矢(封筒には名前は書かれてないけど……中の手紙読めば多分分かるよな)
遊矢「…………」
遊矢(いや、流石に手紙読むのはまずいだろ。プライバシーの侵害だし……でも何か気になるし……う~ん)
柚子「お待たせ。ごめんね、買って置いた筈の砂糖が見つからなくて……」
遊矢「うわっ!?」ビクッ
柚子「どうしたのよ、大声あげて?」
遊矢「い、いや別に。柚子が急に来たからびっくりしただけだよ」
柚子「急にって普通に入って来ただけじゃない。ってちょっと、人の漫画何勝手に本棚から出してるのよ?」
遊矢「ご、ごめん。これ俺も読んでてちょっと気になってさ……」
柚子「もう、別に読んでも良いけど一言くらい許可取ってからにしてよね」
遊矢「あ、ああ」
遊矢(まずい。慌てすぎて反射的に手紙をポケットに入れちゃった……ど、どうしよう?)
…………
柚子「それでこの前セレナと出かけた時にね……」
遊矢(あーくそ。ポケットの中の手紙が気になって仕方ない)
遊矢(どのタイミングで本棚に戻せば良いのか……バレたら絶対大変な事になる。ハリセン一発じゃ済まされないだろうな)
遊矢(でも一体誰からの手紙何だろう? 隠すように保管していたっていうのが気になるんだよな)
遊矢(まさかもう手紙の相手と付き合ってるとか? いや、でも大体柚子と一緒に居るけどそんな素振り無かったし……)
柚子「遊矢? ねえ遊矢?」
遊矢「な、何?」ハッ
柚子「私の話ちゃんと聞いてた?」
遊矢「え? えっと、何を?」
柚子「もう、やっぱり聞いてないのね」
遊矢「わ、悪い。ちょっと考え事してて」
柚子「考え事って?」
遊矢「そ、それは……」
遊矢(どうしよう? まさかお前の部屋から見つけたラブレターの事を考えてたなんて言えないし……)
柚子「…………」
遊矢「だから、えっと、考え事というのは、その、モンキーボードはどうやったら緩和されるのかとか、そういう感じ、ではなくて……」アセアセ
柚子「……ねえ、遊矢」
遊矢「な、何?」
柚子「もしかして何か悩み事でもあるの?」
遊矢「え?」
柚子「だって明らかに何時もと様子がおかしいし……何か悩んでいる事でもあるのかなと思って」
遊矢(確かに悩んでいるけど……主にポケットの中の手紙をどうするかで)
柚子「何か悩んでいる事があるなら正直に教えて欲しいな。悩んでいる遊矢より笑ってる遊矢の方が私好きだし」
遊矢「柚子……」
柚子「勿論無理にとは言わないよ。私に言い難い事なら権現坂とかに相談しても良いから」
柚子「でも遊矢には本当に今まで色々助けて貰ったし」
柚子「私に何が出来るかは分からないけど……こんな時には力になりたいって何時も思ってたから」ニコッ
遊矢「…………」
遊矢(何か、胸が痛い。柚子の笑顔が痛い)
遊矢(罪悪感もやばい……てか、実際悪い事だよなこれ)
遊矢(悪気は無かったとはいえ、勝手に手紙取って……あまつさえどうやったらバレないように戻せるかなんて考えて……)
遊矢「…………」
柚子「遊矢?」
遊矢「柚子……ごめん」
柚子「……はい?」
遊矢「その、この手紙……」ソ-
柚子「それ!? な、何で遊矢が持ってるの!?」
遊矢「本当にごめん! さっき漫画取った時に偶然見つけちゃって! その、中は見てない! それは信じてくれ!!」
遊矢「だけど戻すタイミング無くしてさっきまでずっと隠し持ってて……本当に悪かった! ごめん!!」
柚子「…………」
遊矢「……あの、やっぱり怒る?」
柚子「怒らないと思った?」ニコッ
遊矢(ですよねー)
遊矢「本当に悪気は無かったんだ……だけど怒るのは当然だよな、勝手にラブレター持ち出されたら……」
柚子「えっ? ちょっと、ラブレターって何よ?」
遊矢「へ? これラブレターだろ? ハートのシールで封されてるし」
柚子「……はぁー」
遊矢「いや、何でそこで溜め息?」
柚子「……中、見て良いわよ」
遊矢「え?」
柚子「本当は嫌だけど……そういう風に思われたままの方が嫌だし」
遊矢「いや、でも流石に人のラブレター見るのは……」
柚子「良いから見る!」
遊矢「あ、はい! じゃあ……って、え?」
柚子「…………」
遊矢「これって……シンクロ次元で俺がお前に渡した手紙?」
柚子「そうよ。ラブレターじゃなくてそれ。遊矢から貰った手紙」
遊矢「まだ持ってたのかこれ?」
柚子「当たり前でしょう。遊矢から手紙貰ったの始めてだったし」
柚子「それ読んだ時は、凄く嬉しかったし」
柚子「遊矢と離れていた時も、辛い時とかに何度も読み返してたし」
柚子「捨てられる訳、ないよ」
遊矢「柚子……」
遊矢「まさかその手紙なんて想像して無かったから……本当に悪かった。ごめんな」
柚子「全くよ。それにしてもラブレターと勘違いされるとは思わなかったわ」
遊矢「仕方ないだろ。俺そんな封筒に入れた覚えないし、ましてやハートのシールなんて持ってないし……そもそも何であんな所に隠してたんだよ?」
柚子「ああ、これは私が新しく用意した封筒だから。シールはこれしか無かったのよ」
柚子「隠してたのは一度お父さんに見つかりそうになって……やっぱり他の人に見られるには恥ずかしいから」
遊矢「紛らわしいな……まあラブレターじゃなくて良かったけど」ホッ
柚子「え?」
遊矢「あ」
柚子「ねえ遊矢」
遊矢「な、何だよ?」
柚子「何が良かったの?」ニヤニヤ
遊矢「……何の話だ?」
柚子「今この手紙がラブレターじゃなくて良かったって言ったよね。何で良かったのよ?」
遊矢「う、うるさいな! 別に良いだろう、何だって!!」
柚子「え~気になるな~。勝手に手紙取ったんだからそれくらい教えなさいよ遊矢ぁ♪」
遊矢「絶対嫌だ! あーもう!!」
…………
修造「ただいまー……っと、この靴は遊矢の奴来てるな」
<ワ-ワ-
修造「…………」
修造「久々だな、家がこんなに騒がしいのは」フッ
修造「さて、多分夕飯も食べて行くだろうし久々に俺の作った飯でもご馳走してやるか」
修造「~♪」
<おわり>
以上です。ありがとうございました。
ゅぅゃかわいい
ゅぅゃ・・・ゅぅゃ・・・ぃぃょゅぅゃ・・・
笑顔を……
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