水嶋咲(俺は何で空回るんだろう) (32)
この作品の咲ちゃんは『実は水嶋咲のキャラは演技だった』
という体で書いているので性格は別人です。
でも原作と同一世界と考えても矛盾させないよう、
そして完走できるよう頑張ります。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1463837552
CafeParade。315プロのアイドルとして活躍する彼ら。・
そんな中自分らしく輝くアイドルが居た。・
それが『水嶋咲』だった。しかし彼は思っていた。『どうしてこうなった』、と。・
水嶋咲、彼は男らしくを自負していたはずの熱血漢である。・
どのくらい遡ることになるか分からないが、・
彼は荘一郎からある提案を受けていた。・
「メイドさん、やりませんか?」・
「そういうのは言い出しっぺの法則だろ」・
「1ミクロンも興味ありませんから。私の意見じゃなくて、客の要望なんですよ」・
「自分が嫌なことを他人に押し付けるなよ!」・
「それに、あなたに関してはあまりいい印象もありませんし」・
いわく、『あの水嶋咲って人、暑苦しくない?』とか『文句をいう客に激昂してるところを見て漏らした』とか『クレームする方もする方だけど怒りすぎじゃないか』とか。・
それによる客離れこそ起きてないが印象がいいとはいえない。・
「うっ、それをいわれると何もできないな……」
咲にメイド服を勧めたのは東雲荘一郎。・
彼は和菓子職人の一家の跡取りだが餡子が食べられず、・
半ば家出当然にパティシエになった経緯を持つ。・
ちなみに咲は元々料理人志望で、神谷幸広の懐の広さに感服してこのパフェで働いている。・
アスラン=BBII世、彼は多分アスランという部分が本名であると思われる。・
中二病を抜きにしても、常識に疎いし間違いないと思っていい。・
卯月巻緒、彼はケーキへの執着は強いが商品を食べたりしないので優秀なウェイターである。・
まあ、試作品は真っ先に食い尽くすことが多いけど。・
ともかく咲はちょっとキツすぎるのでメイドやらせたらテコ入れになるだろう、・
というのが(本人を除いて)満場一致の意見なのだった。・
ともかく、メイド姿となった咲はもう大好評だった。・
最初は『ボク』といっていたが客の要望で『あたし』といったり、・
「今日もハピッと行かせて貰うよ!」・
といって料理を運んだりしていた。・
『あの水嶋咲がメイド服着てる』というスレは瞬く間に祭りとなり、・
『まじかよ咲ちゃん可愛い』とか『咲ちゃんって男子トイレからメイド姿で出てきそうだよな』とか『これからもメイド姿でいて欲しい』とか書かれていた。・
一行あけたりしてくれちょっと読みにくい
それから半年後『水嶋咲』はすっかり『女装メイド』として定着しており、・
CafeParadeの面々がアイドルグループの野外イベントに出店する運びとなっていた。
「はあ、どうしてこんなところまで来てしまったんだろう。人は、世界は……」
男姿かつ男子トイレの個室で愚痴る咲ちゃん、いや男姿だから咲ちゃんと呼んだら不味いだろう。
本人に聞かれたら巴投げされた上で追加の背負い投げをされかれない。
ちなみにアスランは咲に対して震え上がっていた。
だがそれは咲が柔道を習っていたので、彼が華奢でありながらもCafeParadeの面々の中で一番強かったからだ。
そんな相手に中二病なこと以外は一般人なアスランがいくらフィジカル枠だといっても勝てるわけないし、
そりゃ震え上がるわけだ。
「客の要望とはいえ俺が女装し続けたのがいけない、というんだろうか?」
用を終えた彼はトイレから出る。
(トイレもしたしメイド服に着替えてくるか)
ちなみにトイレから水嶋咲が出るところを常連客が目撃し、
やがて女装姿で出たのを見たという話が一人歩きする。
だが、それを知ったのは彼が自分の特集号である雑誌を見たときである。
そしてこの野外イベントの日が、水嶋咲にとって運命の日でもあった。
「あの、君達?」
そうCafeParadeの面々に声を掛けたのは315プロのプロデューサーである。
女性のプロデューサーであり、
咲ちゃんの噂は元の性格についてを含め色々聞いていたようである。
無論そのことを今の水嶋咲は知らないが。
「アイドル……」
「いいんじゃないのか、我らが下々の者を魅力するには絶好の好機だ」
アスランはそういうが、要はCafeParadeの名を広めたいということだ。
彼はいうことはあれだが、結構お人好しなのだ。
「アスランがそういうなら、あたしは文句なしよ」
というわけでCafeParadeの面々がアイドルデビューを決める切欠は咲ではなく、
アスランだったのである。
咲は自分らしくを考えればアイドルが合ってる旨の発言をしたもののの、それはキャラとしての物だったのだ。
今日はここまでです。
「咲ちゃんはどうしてアイドルになりたいの?」
「料理ってみんなを楽しませる物だからね。あたしが『水嶋咲』で居るなら、アイドルはうってつけだと思うの」
水嶋咲の真意はプロデューサーも知っていた。
知っていたからこそ、表向きは可愛い物を着れるからという理由になったのだ。
アイドルデビュー決定で二足のわらじを履くため、開店日も少なくなる。
それを見越してGreenParadeという企画を開いていた日のことである。
「食べ物を粗末にするなってお母さんからいわれなかったの!?」
そのイベントの日、咲は客のクレームを受けておこになっていた。
「農家さんが畑を耕して、雨の日も風の日も毎日お世話して」
「そしてその食材からあたし達が料理を作っているのに!ごちゃごちゃいわないで食べたらどうなの?」
クレーム客は小声で「すみません……」というしかなかった。
咲の発する威圧感に思わず気圧されたようだ。
「またのご利用よろしくお願いいたします」
ちゃんと謝罪したので、咲も鞘を収めたのだった。
みてるよ
(初詣がお仕事になるなんて、アイドルらしいとは思うけど)
咲がそう考えてからお祈りすると、巻緒にこう聞かれた。
「サキちゃんお参りに熱心だったけど、何をお願いしていたの?」
とっさのことで『水嶋咲』のキャラクターを崩さないよう、
咲はこう答えるのがやっとだった。
「早く運命の人に出会えますように、かな?」
だがそれは本来待つよりも積極的に動くタイプの咲が願うようなことではなく、
そのため周りが動揺する。
(さすがに盛りすぎたか!)
咲はそう思いつつ、すかさず挽回する。
「嘘だよ!みんな本気になりすぎ!」
ちなみにこれは咲の本心でもある。
周りは当然『お前に限ってそれはないよな』という反応だった。
「それに、こういう願いっていったら叶わないって聞いたことがあるしね」
巻緒が問い質した、というのは盛られた事実である。
(運命の人ってのも捨てがたい案ではあったけど、今の『水嶋咲』が目標とすべき物……)
(それは今年こそ誰にも負けないトップアイドルになることだろう)
それは願うだけでなく、自分でも努力しないといけないことだ。
だから水嶋咲はそれを口に出さなかった、という一面もある。
今日はここまでです。
「次の仕事は何なんだ、プロデューサー?」
自分の事情をプロデューサーが知っていると分かったため、
素の口調で次の仕事について聞く水嶋咲。
「次は子供達相手のお仕事よ」
「小学生か、未就学生か?」
「未就学生よ。あなたには赤ずきんちゃんをお願いするわ」
「損な役回りだな。まあそれが『水嶋咲』のやるべきことなら、やりきってみせる」
というわけで未就学児の前で劇を行うこととなったCafeParadeの面々。
だが、さすがに未就学児ともなるととても無邪気だ。
「サタンを触らせてー!」
アスランの傍らにある人形のような物(彼はそれを自らの主サタンと呼んでいる)を触りたい一心で、
未就学児はアスランに群がっていた。
(このままじゃ不味い。アスランって実は気が弱いし。俺がいえた義理じゃないけどさ)
咲は考えた。
(そうだ!この手がある!)
隠し芸にした手品に嵌まってた彼は、それを使い未就学児を惹き付けることにした。
「はーい、注目ー!」
布を取りだすがその中には何もない。
だが再び布を翻すと、その中からお菓子の入った籠が出てくる。
手品のネタは本人だけの秘密である。
「仲良くできるって約束した子にはこのお菓子をあげるよー!」
お貸しで釣るというのは現金だが、子供には効果てきめんの方法であった。
トリップつけ忘れましたが本人です。
ついでに訂正。
誤:お貸し→正:お菓子
そして劇のセットの中のことである。
「うわっ……」
ケーブルに引っ掛かり、思わずこけて思わず変な声を出した(といっても崩しはしなかった)咲。
「いてて……」
(受け身は完璧だと思ったけど、スカートじゃ難しかったか)
「わっ……わっー!?」
アスランは思わず叫んで、目を覆った。『まさかのスパッツかよ!』ということである。
荘一郎が咲を支える。
「大丈夫ですか。気をつけてください」
「ありがとう」
自分で立てるが、気づかってくれたのは素直に嬉しい咲であった。
「あ、今見たことは内緒だからね?」
釘を刺されたアスランは、咲の背後から漂う威圧感に気圧されたのはいうまでもない。
「咲は俺達の中で一番強いからな」
幸広も思わずアスランに呟いたのだった。
今日はここまでです。
初詣から暫く経った水族館イベント。
そこで水嶋咲はクマノミの人形を見つける。
「クマノミの人形だ。水族館らしいし、可愛いよね」
一見咲ちゃんらしいが、直ぐに飛び付かないあたり素の男性的な部分も垣間見える。
「あたし買ってくるね」
記念にしようと思って買ったという側面が強い咲だったが、
キャラ崩壊を防ぐためすかさず袋を開封する。
すると荘一郎に不思議がられる。
「買ったものを直ぐに開けるんですか?」
「そうだけど?」
すると咲は自撮りを行うが、自信がないのか数度撮りなおす。
「それは何だ?何かの儀式なのか?」
アスランに問い質されたので、咲は返す。
「アスランは自撮りを知らないのかな?」
「自撮りか……」
「いつでもファンに自分を伝えられるし、こういうのはやれた方がいいかなって」
「ほら、アスランも!」
二人揃って撮っていると、咲はあることを思い出す。
「そうだ!ほっぺた膨らますと可愛く写るんだって」
咲はそういい、アスランと共にもう一度写真を撮るのだった。
今日はここまでです。
CafeParadeの面々が七夕イベントの準備をしていた時のことである。
「涼が男性アイドルとしてデビュー、か……」
すると幸広は咲の表情を見やる。
「複雑そうですね」
「まあな。祝福したいけど、割りきれないというか」
すると巻緒は咲を見やる。
「君は水嶋咲以上に水嶋咲なのかもしれない」
「その虚構をいつまで守りきれるかは分からないけど、やれることはやってみるさ」
「俺は『水嶋咲』なんだからな」
今日はここまでです。
そして幸広が余った笹を持ってくると、短冊を飾ることになった。
(『今年もおいしいケーキにたくさん出会えますように』、か。巻緒らしいな)
咲は感心しているが、願いの案が浮かばない。
(『男性アイドルとして真っ当な路線に行きたい』じゃ『水嶋咲』らしくないしな……)
真剣に考えていたため、巻緒が横から見ていた。
「真剣だね。何書こうと思ってるの?」
この流れが雑誌に乗っても大丈夫なよう、咲は即興で短冊を書き切る。
『自分らしく自由に生きる☆』と書かれ、豚の顔まで描かれた短冊を見て幸広は指摘する。
「それは願いごとというより咲の目標だな」
巻緒もそれに同意する。
「まあ、サキちゃんらしいと思うよ」
「『あたし』はここに居るみんなのためにも、これからも『水嶋咲』らしく笑顔で生きて行くよ!」
しばらくすると、CafeParadeの面々が暑さでバテ始める。
(このままじゃみんな熱中症でぶっ倒れるぞ!どうすれば……)
すると彼の目に浴衣が留まる。
(そうだ!浴衣をタオル代わりにすれば!)
咲は浴衣を取ると、それを堀に溜まっていた水へくぐらせるように濡らした。
「はい、みんな!」
すると幸広は返す。
「ありがとう」
(当然のことをしたまでだが、お礼をされるのは嬉しいな)
するとアスランがうちわを仰ぐ。
「我からも清涼の贈り物だ」
「うわー、涼しい!」
そういいつつ、『アスランは中二病がなければ人当たりのいい好青年なんだがな』と思う咲であった。
今日はここまでです。
七夕から更に時は経ち、お月見イベントに出ることとなった咲。
CafeParadeの面子は彼以外にアスランと巻緒が居た。
「今回の衣装、すっごく可愛いー!」
表向きはテンションを上げてるが、実際のテンションは上がってない咲。
テンションの高さが飾りなので、巻緒から『落ち着いて』ともいわれていない。
しかしテンションを上げる演技を咲が看過されない辺り、さすがにこなれてきたということだろうか。
「耳長族の化身か、なんと面妖な。だが、このままでは足りないのではないか?」
アスランにいわれ、咲ははっとする。
「もっとウサギになりきらないといけないかな」
「咲はどうすればいいと思うのだ?」
「鳴き声とか?」
しかし三人は硬直する。
鳴き声が分からなかったからだが、アスランが沈黙を破る。
「ぴょん?」
「安直すぎる気もするけど、カワイイからいいんじゃないかな」
『安直すぎる』という感想が出るあたり、若干素が出た咲だった。
「ウサギらしく、跳ねながらいえばもっとカワイイぴょん」
若干戸惑っているからか☆が見えるほどではない咲の提案。
実際跳ねてみると疲れるといわれ、咲はこう返す。
「頑張るぴょん!こういうのは忍耐がいるんだぴょん!」
今日はここまでです。
咲はマーチングバンドのイベントで女装姿のまま学校に出ることとなる。
幸い、クラスメイトは真意をくみ取っているようではあったものの咲にとっては軽い罰ゲームのようであった。
ともかく、彼は今10分間の休憩になったため日陰へと入る。
大分慣れてきたとはいえウイッグを付けての運動はやはり勝手が違うのだ。
「水嶋さんって肌キレーですよね。どこのメーカー使っているの?」
「えっと……」
嘘を付くのは悪いので、咲は少し考えた。
「クリームはキレイ堂の定番の物(貰いもの)で化粧品は手作りしたやつ(買ってたら変な目でみられるから)……」
「コスメって手作りできるの?」
幸い、声を掛けて来たクラスメイトはノッてくれたようでほっとした咲であった。
純粋に何使ってるのか気になって声かけしたのかもしれないが、
咲は女装アイドルする上で肌の手入れに気を使っていたのだ。
「うん、できるよー。石鹸とかも作れるし、メーカーだと今CMしてるのが(試しに使ってみたけど)すっごく保湿してくれておススメかな」
「あー、あれ気になってたんですよぉー。やっぱいいんだぁ」
(どうやら単に気になってただけみたいだな。まあ無理もないか)
そう思いつつ、咲は続ける。
「あと、汗に強い下地の作り方があってね(夏だと汗でメイク落ちやすいし)」
「休憩終わりだよ!」
先生が突っ込んだので、咲は急ぐ。
「この話は後でね!」
クラスメイトは思わずこぼす。
「こういうところでちょっと地が出ちゃうんだよね、この子」
そして練習が終わると、咲は質問責めにあっていた。
(だがこういうのも仕事のうちだ。ここまでの手入れで得た知識で、しのぎきって見せる!)
「じゃあ次のピピッとビューティお悩み相談ね。簡単だから今夜からできるよ!」
今日はここまでです。
一年が終わり、咲はアラビアンナイトのイベントの練習をしていた。
「プロデューサーに質問があるんだが」
プロデューサーは思わずコーヒーを吹いた。
「俺が女装したまま素を出すのはいつものことだろ……」
「いや、吹いたのは急に質問されたからよ。あなたのそれには慣れてるし」
「いやさ、新曲の振り付けでセクシーさが足りないっていわれてな」
もしかしたら、と咲は続ける。
「イスラムの戒律だと女装が禁止されてるってのが引っ掛かってるのかもな」
「うーん……」
プロデューサーが考え込むのを見て咲も今までのことを振り返り、考えていた。
(何で俺は空回るんだろう。ブラスバンドの時でも俺は『キャラを崩さないよう』必死だった)
(だけどブルカまで羽織るとなると、いよいよ行くところまで来てしまったんだと思う)
(どうしてこんなところまで来てしまったかは分からない……けど!)
するとプロデューサーは咲に提案する。
「それなら翔真さんに聞いてみるのがいいんじゃない?」
「あいつに?」
「女形の経験もあるって聞いたから、女性らしい仕草をよく知っているはずだよ」
「ちょっとカマっぽいとは思ってたが、そのせいか」
咲のいい方に思うことがあったのか、プロデューサーは返す。
「カマっぽいって……」
「ともかく、ありがとう」
そしてイベント当日。
「今日の咲ちゃん、いつもと違って色っぽいね」
観客の反応も良かったので、咲は安心したのだった。
『咲ちゃんは実は演技をしていた!水嶋咲の笑顔の裏側を暴く!』という文面の雑誌が出たのは、
CafeParadeの面々によるAPコーヒーのCMが流れていた時だった。
(何故このタイミングで?俺が演技していたことくらい、調べようと思えばすぐ調べられそうな物なんだが)
咲は一瞬不思議がったが直ぐにあるプロダクションが思い浮かぶ。
(961プロか。前にも如月千早のゴシップを提供し、彼女を追い込んだことがあると聞く)
(ジュピターの居ない今、逆襲の機会を伺っていたとしても不思議でない)
そう思いつつ、咲は否定する会見を開こうとは思えなかった。
(だがここで否定してしまえば、俺はもうこの演技を続けるしか無くなる)
(それは『俺』が『あたし』でいられなくなるまでだが、それでもまだ数年はあるだろう)
(なら、『俺』はこの『疑惑』を肯定する。受けるべき咎は俺が全て受けるさ)
つまり咲は報道を敢えて肯定し、その咎を受けるつもりだったのだ。
しかし、世間の反応は思ったより咲に同情的であった。
咲の性格が演技であることは常連客の証言もあり、疑われはしなかった。
では何故世間が同情的だったかといえば、秋月涼という前例が居たことが大きい。
また、この手のゴシップは一度あったことだったからだ。
とはいえ咲も念のために会見を開くこととなった。
服装はスーツだが顔立ちは女装の時のそれ。
まあシュールな図にならないような物を咲が選んだのだが。
ともかく、咲はマイクの前に経ち、会見を始める。
「会見に来てくれた人はありがとう。ここに集まった人々が知っての通り、俺についての記事が雑誌に出てる」
「この姿なのは俺があの『水嶋咲』であることを証明するために過ぎない」
「メイクを落とし、ウィッグを取ったら普通の男だと俺は自負している」
「俺は男らしくあろうと思っていた、だがみんなも知っての通り『水嶋咲』は性別に囚われない性格だった」
「それを演じていて思ったんだ。性別に囚われることも囚われないことも、結局は『自分らしさ』なんだろうと」
「性別に囚われることへ疑問を持つのは悪くない。しかし誰もがみんなそうなってしまったら世界は立ち行かないだろう」
だからこそ、と咲は続ける。
「俺は『自分らしさ』について矛盾する立場に居たのかもしれない」
「そしてここに居るみんなへ伝えたいことがある」
それは、と更に咲は続ける。
「人の数だけ性別があるというなら男らしさや女らしさとは何かで悩む人も居るということだ」
「咲ちゃんの再デビュー見た?」
「涼ちゃんの時くらいに盛り上がっていたけど、もう咲ちゃんって呼べないよね」
「『咲くん』か、『水嶋さん』かな?」
「ところで、『咲』って名前は本名だったのかな」
「本名なんじゃない?『水嶋咲』って名前のまま普通に男性アイドルとしてデビューするんだから」
一方、控え室。
「くしゅん。ああ、くそっ。『咲ちゃん』の時の癖が出ちまった」
だがそれにアスランが突っ込む。
「そういえば、何故お前は『水嶋咲』のままなのだ?」
「母親が『女の子が欲しい』ってんで名付けてたんだとさ。親から貰った名前だし、大切にしてるんだよ」
水嶋咲(俺は何で空回るんだろう)完
無事完走しました。
咲ちゃんの性格が演技ってだけで色々変わるんだなというのを痛感しました。
Q:ところで、公式の咲ちゃんは本名だと思ってるの?
A:あの性格なので、咲ちゃんが偽名を使うことはないと思います。
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