前川みく「アテナ」 (17)
-都内某所 撮影現場-
P「ふぅ。やっと夕立止んでくれたみたいだな」
P「まさかの野外撮影のタイミングで降られるとは…とほほ」
テレビじゃ「全国的にカラッとした快晴になるでしょう」
って言ってたのに、これはなかなかに酷い仕打ちだにゃ
猫ちゃんは雨の日が苦手なんだよ?
やっぱりあの眉毛のオジサンの予報は楓さんの禁酒宣言くらいあてにならないにゃ
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みく「にゃあー…」
P「ん?濡れちまったか?」
みく「にゃはは、ちょっとね」
みく「でも雨が止んでから気持ちいい風が吹いてるし、案外これで乾いちゃうかもしれないにゃ」
雨は好きじゃないけど
止んだ後に吹き抜けてく涼しい風って
みく、大好きなんだ
優しく撫でられてるみたいな感じがして
P「そう言うなって!ほら、風邪引くといけないから俺のタオルでバッチリ拭いてやるぞー」ガシガシ
みく「に゛ゃあああ!!状況が色々悪化したにゃあ!!」フシャー
P「はははっ。照れるな照れるなこのー」
みく「照れてなんかないもん!」//
デリカシーが無いにゃ!もう!ぷんぷん!
……ホントは嬉しかったんだけど、少し恥ずかしくなっちゃったにゃ
みく「不意討ちされるとその…私も弱いっていうか…」モジモジ
P「何か言ったかーみくー?」
みく「…はっ!な、何でもないにゃあ!」
いつもは悩まされてばっかりだけど
今回だけはPチャンの遠い耳に助けられたにゃ
P「んーそっか。じゃ、撮影も終わったことだし車乗ってくれ」
みく「にゃ?監督とかスタッフさんたちと打ち合わせはいいのかにゃ?」
P「あー。この後みくスケジュール入ってるから撮影の間に済ませといた」
みく「スケジュール?」
P「そ。大事なスケジュール」
みく「みく分かったにゃ!Pチャンみくをディナーに連れてってくれるんだにゃ!」キラキラキラ
P「よーしそれじゃあ終わった後に築地行くかぁ」
みく「外道だにゃ…」ズゥゥゥン
一体どこに行くのかにゃ?
-原宿 アイドルライブハウス-
P「うわー、なっつかしいなー(棒)」
みく「Pチャン演技がわざとらしすぎるにゃ」ムスッ
流石のみくもここまでの道のりは忘れないにゃ
途中からそうじゃないって信じたかったけど
だって、ここは—
P「…随分嫌そうな表情してるな」
みく「それはそうだにゃ。冗談ならここで帰るけど、いいかにゃ?Pチャン」
P「まーまーそんなこと言わずにみくにゃんさん!こっちこっち!!」グイグイ
みく「…………………」
こんなとこの事なんて—もう忘れたいにゃ
全部、一つ残らず
-原宿 アイドルライブハウス ○ヵ月前-
元P「おい、また負けかよ前川ぁ」イライラ
みく「ご、ごめんなさいにゃあ…」
元P「チッ…そのにゃあにゃあいうの表に出てる時以外止めろ。正直鬱陶しいんだよ!」ドンッ
みく「ビクッ…は、はい…すみませんでした…」
元P「ったく、なんでこんな見込みのないヤツの担当なんだか…」
そう言ってプロデューサーさんは帰っていきました
私は…ただぽつんとそこに立ち尽くしたままでした
そんなことが何度も何度も続きました
そうして私は何度も何度も泣きました
みく「…ぐすっ」
みく「嫌だよ゛…あいどるや゛めだぐないよ…」
みく「いや゛だよぉ…うぇぇぇん!!」
-アイドルライブハウス入口 ○ヵ月前-
??(んんー…果たして話しかけていいものか。俺、元が元だしそこら辺なぁ)
??(ま、いっか!みくにゃん泣いてんの嫌だし!)
P「あー…そこのみくにゃん!」
みく「ひっく…ふぇ?さっきのライブバトルの…?」
P「そのー、キミは笑顔の方がいい!そう!うん!君の笑顔にフォーリンラブ!!」テヲギュッ
みく「」ポカーン
P「………………ハッ。そそそ、それじゃあさらば!!!」ダダダダ
みく「…一体何だったんだろう」
でも…ふふっ。面白い人
そうだ、さっきのにこじつけてあの人の事務所に移籍しちゃおう
こんな所で苦しい思いなんてもうしない。私は—みくは生まれ変わるんだ
あと、お返しにとんでもない挨拶をかまして入っていってやるんだにゃ
それから—それから—
-アイドルライブハウス モニタールーム-
「—く、おー 、聞こえてるかー?」
みく「ん…?」
P「ぼーっとしちゃってどうしたとですかみくにゃんさん?」
みく「…別に」ムスッ
P「沢尻エリカかお前は」
カメラ映像「ガヤガヤ ガヤガヤ」
みく「」
みく「って、え!?何…コレ」
P「てへ。所謂サプライズってヤツ?」のワの
P「今度ドームで初ワンマンやるけど、みくの古参のファンの人たちにはこの場所でみくのライブ聴いて欲しいなぁって」
みく「Pチャン…」
みく「でも何でこの場所で?」
みく「…………もしかしてワンマンやるみくに天狗になるなって戒めるためだけにこんなことしたの?」キッ
P「はぁ…これからちょっとお真面目モードな」
P「みくがウチに所属してからファンになってくれた人はぐんと増えた」
P「それでみくが大きく活躍することになったのは事実だ」
P「だがな、ウチに来る前からもずーっと支えてくれていた人ってお前が思ってる以上に凄く多いんだぜ?」
P「ちゃんとその目で見てみろよ」スッ
Pチャンがモニターを指す
ホールはもう鮨詰め状態で—
でも、みんながみんな顔が満面の笑顔で—
「あんなデビューもしてない時期の…」
みくのグッズをボロボロになってもみんな大切に持ってくれてて—
みく「あ、れ…あの人…あの人も…」
よく見ると—いつも欠かさずライブに来てくれている人ばっかりで—
みく「………」ポロッ
みく「………」ポロポロ
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