更新遅め
性懲りもなくテニヌもどき
前作あり
以上のことが大丈夫な方はぜひお付き合いください。
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前作
【ラブライブ】穂乃果「テニスをしよう!」
【ラブライブ】穂乃果「テニスをしよう!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451052732/)
――――――
穂乃果「というわけで! 始まりました!」
穂乃果「第2回チーム対抗! μ'sテニス大会!!」
希「いぇーい!!」
穂乃果「第1回からは随分空いちゃったけど!」
希「そうやねぇ……でも、今回は前回よりパワーアップしてるんやろ?」
穂乃果「その通り! 今回はね、なんとスペシャルゲストを呼んでます!」ドヤッ
希「えぇ!? 誰やろなぁ?」
穂乃果「ふっふっふっ……それはね! この人たちだ!!」
ツバサ「綺羅ツバサ!!」ドヤッ
あんじゅ「優木あんじゅよ♪」フフフ
英玲奈「……統堂英玲奈だ」ハァ
穂乃果「なんと! A-RISEの3人が来てくれました!!」
希「いぇーい!」
ツバサ「こうやってμ'sとまた対決できるの、とても楽しみにしてたのよ?」
穂乃果「あ、わ、私もです!」
ツバサ「今度は負けないから、覚悟してね?」
穂乃果「っ、私たちも負けませんっ!」
ツバサ「そうこなくちゃね♪」
穂乃果「おっと、さらに、さらに!!」
希「なんと!!」
穂乃果「穂乃果たちにも知らされてないゲストがいるんだって!」
希「うーん? 誰が来るんやろね?」
あんじゅ「ふふふ♪ それは来てからのおたのしみよぉ?」
穂乃果「ますます楽しくなってきたね!」
希「そやねぇ、っと、それじゃあ穂乃果ちゃん?」
穂乃果「うん!!」
穂乃果「そんなわけで! 第2回チーム対抗! μ'sテニス大会を始めるよー!!」
――――――
――――――
穂乃果「こんな感じでどうかな!!」
海未「……いや、完全においてけぼりです」
絵里「えぇ、動画を見ている人は今に至るまでの出来事なんて分からないのよ?」ノゾミモノラナイノ
希「まぁ、そうやねぇ」ツイツイナァ
英玲奈「まったくだ……」ヤレヤレ
穂乃果「えー! じゃあ、どうしたらいいのさ!」
海未「せめて、経緯を話す必要があるでしよう?」
穂乃果「いき、さつ……?」ウムム
ことり「あ、いままでの流れって意味だよ」コソッ
穂乃果「な、なるほど」ボソッ
穂乃果「……それじゃ、えっとねぇ――」
―― 回想 ――
にこ「動画を配信するわよ!!」
「「動画配信??」」
にこ「そう!」
海未「えぇと……PVですか?」
ことり「それならこの間撮ったのが……」
にこ「いいえ! それじゃダメ!」
真姫「はぁ? なんでよ?」イミワカンナイ
にこ「いい? 確かに、私たちがライブPVを配信すれば再生数を稼げるわ」
希「うん。ウチらは、あのA-RISEを破ったわけやし」
真姫「なら、やっぱり注目が集まっているうちにまたライブをした方が――」
にこ「……甘いわね」フッ
にこ「マンネリ、という言葉を知っているかしら?」
真姫「いや、それくらい知ってるけど……」
凛「むしろ、にこちゃんが知ってる方が意外にゃ」プププ
にこ「うっさいわ!!」ゲシッ
凛「にゃ!?」イタイニャァァ
ことり「……えっと、それで……?」
にこ「……コホン、いい?」
にこ「にこたちはスクールアイドル! だから、ライブを配信するのは当然なの! けど、それだけでは飽きられてしまうのよ!」
花陽「た、たしかに! あまり短期間でライブ配信をするとファンも過剰な供給に飽きてしまうこともあります!」
希「そういうものなん?」
にこ「そういうものなのよ!」
海未「ふむ……?」
ことり「えっと……つまり……?」
絵里「……なるほどね」
絵里「つまり、ライブ以外の手段で私たちに注目を集めたい、と……」
にこ「その通りにこ♪」
真姫「まぁ……」
海未「にこの言いたいことは分かったような気がしますが……」
希「うん。問題は、何を配信するか、やない?」
絵里「そうね。にこ? それに関してはなにか案はあるのかしら?」
にこ「ふっふっふっ」
花陽「不敵なほほえみ……もしかして、にこちゃんもう……?」
にこ「えぇ! その通りよ、花陽! にこにはもうそのビジョンが見えているわ!!」
花陽「っ!?!?」
にこ「そのビジョンとは――」
花陽「……ゴクリ」ドキドキ
にこ「――これよっ!!」ドヤッ
『ドキッ♪ にこにーのラブリーお――
真姫「却下」
にこ「ぬぅわんでよっ!?」
希「まぁ、ここまではお約束やね」
凛「いつも通りの漫才だにゃ」
絵里「……とにかく動画を配信するのはいいけれど……」
ことり「う、うん。内容、どうしよっかぁ……」
「…………」ポチポチ
海未「って、そういえばさっきから妙に静かだったのですが……穂乃果は……?」チラッ
ことり「えっとぉ、さっきからなんだかスマホをさわって――」チラッ
―― バンッ ――
ことり「ぴいっ!?」
花陽「ピャァァァっ!?」
穂乃果「ふっふっふっ……」
絵里「ほ、穂乃果……? いきなりどうしたの……?」
穂乃果「思いついた、思いついたよっ!!」
希「……えぇと? 思い付いたって、配信する内容のこと?」
穂乃果「うん!」
ことり「穂乃果ちゃん、なにをするの?」
――――――
穂乃果「テニスをしよう!」
――――――
海未「テニス、ですか?」
凛「またこの間みたいにやるの?」
穂乃果「うん! だって、楽しかったし、前のも評判よかったんだよね?」
希「まぁ、評判はよかったね」
花陽「うん。再生数もすごくおおかったよ」
凛「それに、楽しかったにゃ~!!」ギュッ
花陽「うんっ、そうだね♪」クスグッタイヨォ
穂乃果「だよね! なら!」
絵里「……けど、穂乃果? よく考えてみて?」
穂乃果「??」
絵里「それこそ、にこの言っていたマンネリになってしまうんじゃないかしら? 組み合わせを変えても、あくまでも私たちだけの試合なわけだし……」
にこ「ま、そうね。メンバーが代わり映えしないんじゃあ、マンネリもマンネリよ」
穂乃果「……ふっふっふっ」
海未「……穂乃果?」
穂乃果「それに関しては安心していいよ……だって――」
―― 回想終了 ――
真姫「それでA-RISEを呼ぶあたり、恐ろしい行動力よね」
絵里「ほんとにね」
穂乃果「えへへぇ」テレテレ
ツバサ「こちらとしてもありがたいわ。貴女たちに破れて、私たちも新しいことをしたいと思っていたから」
あんじゅ「渡りに船って感じね♪」フフフ
英玲奈「……それにしたって時期というものがあると思うのだが……μ'sも大事な時期だろうに……」
希「まぁ、ウチらはいつもこんな感じやからねぇ」
海未「穂乃果は言い出したら止まらないのです……」ハァ
英玲奈「そちらも苦労しているのだな……」
海未「昔からこうですから、まぁ、慣れてしまいました」
あんじゅ「それで……ほんとにいいのかしらぁ?」チラリ
海未「あぁ、人数のことならば心配には及びません。そちらも足りないのでしょうから」
英玲奈「それは確かに。シングルス3試合にダブルス2試合だと、ゲストを含めたとしても必然的にこちらの人数が二人ほど足りないのは事実だが……」チラッ
真姫「え? あぁ」チラッ
凛「…………ふーん!」ツーン
花陽「うぅぅぅ」シュン
真姫「……むしろ引き受けてもらって助かったわ。あのままじゃダブルスなんて組めないもの」
海未「かといって、二人ともシングルスできるわけではありませんからね」
英玲奈「……なるほどな」
あんじゅ「それでこのチームわけってことなのね」
希「そういうことやね。あ、それじゃあ、チームも発表しておこうかな」
―― μ'sチーム ――
穂乃果「えへへ! もっと褒めて!」
絵里「はいはい」ナデナデ
花陽「うぅぅぅ……凛ちゃん……」シュン
ことり「元気だしてぇ、はなよちゃん」ナデナデ
真姫「なにかしらね、この統率のなさ……」ハァ
海未「えぇ、激しく不安です」
希「……まぁ、こっちはこんな7人やね」
――A-RISE連合チーム ――
ツバサ「ふふふ……可愛いわね、穂乃果さん」
英玲奈「……おい、ツバサ、自重しろよ」
あんじゅ「うふふっ♪」ニコニコ
凛「……むぅ、かよちん、ことりちゃんと仲良くしてる」ボソボソ
にこ「はぁぁぁ、めんどくさいわね、あんたも」ポンポン
真姫「そっちはあと二人ゲストが来るのよね?」
ツバサ「えぇ、穂乃果さんの驚く顔が目に浮かぶわ♪」
海未「…………」ジッ
凛「……むぅぅぅ」
にこ「はぁ、まったく……」
凛「……知らないもん」
花陽「……はぁぁぁ」ズゥゥゥン
ことり「……げ、元気だして、ね?」ナデナデ
花陽「…………ぐすっ」
ことり「あわわわわっ」
穂乃果「絵里ちゃんのなでなで、さいこーだよぉぉ」ボヘェ
絵里「ふふっ、よしよし」
英玲奈「……とにかく始めようか」
希「……そうやね」
あんじゅ「ふふっ、楽しみねぇ♪」
――――――
それぞれが様々な想いを抱えながらッ!
今、戦いの火蓋は切って落とされたッ!!!
――――――
――――――
真姫「さて、今回はシングルス3試合にダブルス2試合の計5試合を行う予定よ」
真姫「もちろん、この動画を撮影する前には2週間の練習期間があって、どちらのチームも練習はしてあるわ」
真姫「前回同様、両チームのオーダーは各々決めてもらっているから私はわからないわよ? まぁ、今回は私も試合に出るから当然だけど」
真姫「それで、今回も各チームから一人ずつ解説役をお願いしてるわ。シングルス3は……」
ツバサ「A-RISE連合からは私、綺羅ツバサよ!」ニカッ
海未「μ'sチームからは私です。園田海未と申します」ペコリ
ツバサ「よろしくね、園田さん?」ニコリ
海未「はい。よろしくお願いしますね」ニコリ
真姫「…………なんだか不穏な空気を感じるんだけど……」
海未「気のせいでしょう」
ツバサ「えぇ、気のせいね」
真姫「…………えぇ、まぁ、信じましょう」
真姫「まず、最初に対戦するのはこの2人よ」
「うーん? なんだかウチ斬り込み隊長みたいなポジションになってる気がするなぁ」
「ふむ、確かにこの間もシングルス2だったな」
「ありゃ、もう動画見られてるみたいやね」
「勿論だ。テニスをするのは想定外だったが、対戦するからには全力を尽くすのが私のポリシーだからな」
「それは怖いなぁ♪」
「……その割りには楽しそうだな」
「そう見えるん?」
「あぁ」
「楽しそう、かは分からんけど、気合は十分よ。だって――」
希「――ウチはμ'sの斬り込み隊長やからね!」バンッ
「東條希……。ふっ、相手にとって不足はない。だが――」
英玲奈「――私も負けられないからな」バンッ
――――――
シングルス3
東條希 vs 統堂英玲奈
試合開始
――――――
今日はここまで。
絶対書かないと言っていたのに結局書いてしまいました。
よろしければまたお付き合いください。
おつ
そろそろ誰かが血まみれになりそう
このスレはつまらんな
『1セットマッチ』
『サービス 希』
希「……さて、どう攻めようかな」ターンターン
英玲奈「……来い」
希「それじゃあ――」スッ
希「――ほっ!」ポーン
英玲奈「下からのサーブ……これはっ!」ダッ
―― コツンッ ――
英玲奈「イレギュラーかっ!!」ブンッ
希「よし、まずは1本やね」ニシシ
『希 15 - 0 英玲奈』
――――――
真姫「出たわね、希の『イレギュラー』」
ツバサ「へぇ、すごいのね、彼女」
海未「はい。サーブといえども、小さな石に当てるそのコントロールはまさに神業です」
ツバサ「技巧派って感じね」
真姫「えぇ……っていうか、前の動画見てなかったわけ……ですか?」
ツバサ「敬語じゃなくていいわよ?」フフッ
真姫「……分かったわ」
ツバサ「そうね。前の動画は、穂乃果さんの試合しか見ていないわ!」ニコリ
海未「…………」
真姫「…………そ、そう」
ツバサ「あ、英玲奈はしっかり見ていたみたいだけど」
希「さ、次行うか」ターンターン
英玲奈「…………」
希「……っ!」スッ
希「よっ!」ポーン
英玲奈「今度は――」ダッ
―― コツンッ ――
英玲奈「――返す!!」パァァン
「返された!!」
「大丈夫よ。希にはまだ『あれ』があるわ」
希「強烈、やけど!!」ダッ
希「でも、まだ終わりやないよ? 次は……」グッ
希「これや!」ペチッ
―― ベチッ ――
「『コードボール』だ!」
「や、やっぱりすごいですっ」
「ふふっ、すごいことするのね♪ でも――」
英玲奈「あぁ、予測済みだ」ポンッ
―― トンットンッ ――
希「!?」
英玲奈「確かに、このコントロールは恐るべきものだな」
希「……なんで」
英玲奈「…………」
英玲奈「初見で見破られた、そう思っているのか?」
希「…………」
英玲奈「初見ならば確かに返せなかっただろう。だが――」
英玲奈「もう何度も『観て』いるからな」
『希 15 - 15 英玲奈』
――――――
真姫「確かに、前回の試合でプレイスタイルは見せていたけど……」
海未「ああもあっさりと『イレギュラー』や『コードボール』を返すとは……」
真姫「絵里ですら苦戦していたのに、ね」
海未「……それだけ研究されているということでしょう」
真姫「えぇ。でも……」
――――――
英玲奈「ふっ!!」バシッ
希「うっ……」
『希 0 - ① 英玲奈』
希「はぁ……はぁ……」
英玲奈「まずは先取させてもらったぞ」
――――――
真姫「希がこんなあっさりと、なんて……」
海未「……研究されているとしても、なにかが……」
ツバサ「英玲奈、強いわね♪」フフッ
海未「……なにか秘密があるのではないですか?」
ツバサ「さぁ?」
海未「は、はぁ?」
ツバサ「私、よく知らないもの」
海未「え゛?」
真姫「……なんで、解説役になったのよ」ハァ
ツバサ「ふふっ、私も早く試合したいわ♪」
――――――
『チェンジサービス』
『サービス 英玲奈』
英玲奈「…………」ターンターン
希「はぁっ……」スッ
英玲奈「……大丈夫か?」
希「はぁっ、ふふっ、心配してくれてるん? 優しいなぁ」ハァハァ
英玲奈「…………いや、もう打ち終わっているんだが」
希「え?」
―― トンットンッ ――
『希 0 - 15 英玲奈』
――――――
海未「統堂さんのサーブは、普通のサーブでしたよね?」
真姫「えぇ、絵里のような強いサーブでもなかったわ。平凡なサーブ、なのに……なんで?」
あんじゅ「それにはわたしが答えるわね♪」
海未真姫「「!?」」
ツバサ「あんじゅ? どうしたの? あんじゅはまだ」
あんじゅ「ふふっ、ツバサがすこし心配でねぇ」
ツバサ「???」
海未「……助かります」
あんじゅ「ふふふっ、ごめんなさいね~? うちのリーダー、こうなのよぉ」
真姫「……とにかく解説をしてほしいわね。絵里のサーブですら返した希があっさりとサービスエースを許すとは思えないわ」
海未「統堂さんは一体何をしているのですか?」
あんじゅ「英玲奈はね――」
あんじゅ「――『死角』を突いてるの」
――――――
英玲奈「…………」ターンターン
希「……っ」
希(いったい、なにをされてるんやろ……)
希(集中はしてた)
希(でも、ボールが一瞬認識できないようになってた)
希(いったい……)
英玲奈「ふっ」スッ
希「っ!!」グッ
英玲奈「はあっ!!」パァァン
希「……っ」
英玲奈「…………ふぅ」
希「っ、またっ!?」キョロキョロ
英玲奈「……そこだ」ユビサシ
希「っ!?」
―― トンットンッ ――
『希 0 - 30 英玲奈』
希(いったい何が起きてるん……?)
――――――
真姫「『死角』を突く、ですって?」
あんじゅ「そうよぉ」
あんじゅ「元々、英玲奈の観察力は秀でていたの」
あんじゅ「だれよりも周りを冷静に見て、だれよりも状況を分析するのがうまかったわ」
海未「観察と分析、ですか」
あんじゅ「えぇ」
真姫「でも、だからといって、他人の『死角』を突くなんてこと簡単には――」
あんじゅ「英玲奈にはできるの」
あんじゅ「いえ、できるようになったって言ったほうが正しいかしらぁ?」チラッ
ツバサ「ん?」
海未「…………彼女がなにか?」
あんじゅ「ツバサが英玲奈のそれを引き上げた、ってこと」
海未「!?」
あんじゅ「いまの英玲奈は……」
――――――
英玲奈「はぁっ!!」パァァン
希「…………っ」
英玲奈「……どうした? 君の正面に打ったのだが?」
希「っ、反応も……」ガクッ
『希 0 - ② 英玲奈』
英玲奈「さて、あと2ゲームか」
英玲奈「思ったよりも早く終わりそうだな」
一旦ここまで。
レス感謝です。
英玲奈「スケスケだぜ」
乙
今回は真姫ちゃんも試合をしてくれるのか!!
本日更新予定。
――――――
真姫「サーブ権が移って、希のサーブ」
真姫「けれど……」
――――――
―― パァァァン ――
「ま、またリターンエース」
「もう『イレギュラー』は通じないみたい……」
「希ちゃーーんっ!! がんばれぇ!」
「…………希」
『希 0 - 30 英玲奈』
希「…………はぁ、はぁ……」
英玲奈「……流石の君も『死角』を突かれては反応できないようだな」
希「……っ、ふふっ、まだまだよ」ニヤッ
英玲奈「…………」
希「はぁ……っ、ふぅ……」
希「…………ふうっ!」ターンターン
英玲奈「…………さて」グッ
希「っ!」スッ
希「やぁっ!」パァァン
英玲奈「上からのサーブ……『イレギュラー』では通じないと分かったようだな」ダッ
英玲奈「だが……」グッ
英玲奈「無駄だよ」
「また『死角』だ!?」
「希ちゃんっ」
希「……っ」キョロキョロ
―― パァァァン ――
「決まっちゃいました……」
「うぅぅぅ……」
英玲奈「ふっ」
英玲奈「…………さて、次――」クルッ
希「――やぁぁぁっ!!」ダッ
英玲奈「なっ」バッ
希「っ!!」ガクッ
『希 0 - 40 英玲奈』
――――――
あれ?
ウチ、なにしてるんだっけ?
…………。
あぁ、そっか。
『死角』突かれて……。
もう2ゲームも取られちゃったなぁ。
しかも、今のゲームだってあと一点で取られちゃうしなぁ。
アハハ……。
ウチ、やっぱりダメやね……。
これじゃあ、みんなに――
「――――み」
え?
いま……?
「……ぞみ」
「希ッ!!!」
――――――
「希ッ!!!」
希「っ、はっ!?」
絵里「希……大丈夫なのっ!?」
希「え? あ、うん……」
絵里「よかったっ」
―― ギュッ ――
希「あっ……えりち」
絵里「……っ、よかった……ほんとう……」ギュゥゥゥ
希「…………試合」
絵里「もうっ、そんなのどうだっていいわよっ」
希「…………」
絵里「……無理しないで」
希「……う――
「希」
希「え?」
にこ「…………」
希「にこっち?」
にこ「…………」ジッ
希「……にこっちも心配してくれるん? アハハ、なんだか照れるなぁ」
にこ「…………」
希「……にこっち?」
にこ「あんた――」
にこ「――本気でやんなさいよ」
希「え?」
絵里「っ、にこ! 希はもう!!」
にこ「もう? にこはそうは思わないけど」
絵里「えっ? でも?」
希「…………」
にこ「前回もそうよ。あんたのテニスにはどこか違和感があるわ」
絵里「違和感……?」
希「…………っ」ビクッ
にこ「……あんた、なんか隠してない?」
希「……そんな、ウチは別に」メソラシ
にこ「ほんとに?」
希「…………」ウツムキ
絵里「……希?」
にこ「なにを考えてるのかは知らないけど……」
にこ「全力を出さずに負けたら、あいつらに胸張れる?」ユビサシ
花陽「……うぅぅぅ」
穂乃果「大丈夫だよっ! 花陽ちゃん!」
ことり「うん、そうだよぉ」
凛「……希ちゃん」ボソッ
海未「希、無理をしないといいのですが……」ウウム
真姫「……そう、ね」クルクル
希「…………みんな」
希「…………うん」スッ
絵里「のぞみ?」
にこ「……はぁ、まったくやっと気合が入ったみたいね」ヤレヤレ
希「……ごめん、えりち。みんな」
希「もうちょっとだけ心配かけ――ううん」
希「すぐ終わらせてくる」ニヤッ
――――――
英玲奈「話は終わったようだな」
希「そうやね。待ってもらって悪いなぁ」
英玲奈「いや、気にしなくてもいい」
希「……ふふっ、優しいんやね」ターンターン
英玲奈「……いや」
希「……っ」スッ
英玲奈「すぐに終わらせるからな」ニッ
希「ほっ!」パァァン
「上からのサーブだ!」
英玲奈「球威は若干上がった、か」ダッ
英玲奈「ふっ」パァァァン
希「…………」
英玲奈「だが、関係ない。人は『死角』を突かれれば動くことすら出来ない」クルッ
「ふふふっ、さすが英玲奈ね。ようしゃないわぁ」
「えぇ、残念だけど、東條さんももう諦めて――え?」
希「ふふっ」
―― ザワッ ――
英玲奈「なっ、『死角』が消え――」
希「やっ!」パァァァン
英玲奈「なにっ!?」
「返した!!」
「すごいよぉ! 希ちゃんっ」
「『死角』を突いた英玲奈の球を? そんなのって……」
英玲奈「くっ!?」ダッ
英玲奈「はっ!」パァァン
英玲奈(あんじゅやツバサでさえ、『死角』は存在する)
英玲奈(それは人間ならば仕方のないことだ)
英玲奈(だが、その『死角』が消える?)
英玲奈(そんなことは――)
希「集中せな、ダメやで?」
英玲奈「っ」ゾワッ
希「その意識を――」ユラユラ
希「――――断ち切る」
英玲奈「しまっ――」ダッ
―― ギュォォォォ ――
英玲奈「『ツバメ返し』……か」
希「ふぅ!」
英玲奈「…………東條希。君は一体?」
『希 15 - 40 英玲奈』
希「さ、反撃開始やね♪」
――――――
海未「『死角』が消える。そう言っていましたね」
真姫「えぇ」
海未「そんなこと有り得るのですか?」
あんじゅ「…………そうねぇ」
あんじゅ「どんな相手でも『死角』は存在する」
あんじゅ「『死角』を突かれれば、相手は動くことすら出来ない」
あんじゅ「英玲奈はそう言ってたわ」
海未「ですが、実際に……」
真姫「えぇ、希は動けて、しかも、弾まない打球『ツバメ返し』でポイントを決めた」
ツバサ「…………」
海未「…………」
真姫「…………」
あんじゅ「もし、英玲奈が本当に東條さんの『死角』を突けていたなら……」
真姫「希はその『死角』を克服したってこと?」
――――――
英玲奈(『死角』を克服? そんなこと出来るわけがない)
英玲奈(だが、これはなんだ)
希「ふっ!」パァァァン
―― ギュォォォォ ――
英玲奈「くっ、また『ツバメ返し』か」
希「さて、あと一点やな♪」
『希 Ad - 40 英玲奈』
英玲奈「…………」
英玲奈(試合の中でも観察し、分析し、東條希の『死角』は明らかだ)
英玲奈(その上、それは突けている)
英玲奈(だが、彼女は反応する)
英玲奈(反応して返してくる)
英玲奈(…………ならば)
希「それじゃ次、行くな~」ターンターン
英玲奈「……あぁ、来い」グッ
希「……よっ」スッ
希「ほっ!」ポーン
「おぉ!! ここで希ちゃんの必殺技だ!!」
「不意打ち! さすが希ちゃんですっ」
「さすがね。でも、英玲奈は読んでるわ!」
英玲奈「っ」ダッ
英玲奈「はっ!!」パァァァン
「強烈なトップスピン!! 希!」
希「わかってるよ、えりち!」ユラユラ
英玲奈「…………」グッ
英玲奈(さぁ、来い)
英玲奈(それは誘い球だ。来る技さえ分かっていれば返すことは容易い)
希「ふっ!」パァァァン
英玲奈「っ、やはり来たな!」ダッ
英玲奈「これで――」グッ
―― キュゥゥゥ ――
「ああっ!?」
「ボールがホップしちゃいました!?」
「アウト、ね」
英玲奈「回転をかけすぎたようだな」
英玲奈「アウト。これで振り出しだ」
希「それは、どうやろね?」ニッ
英玲奈「なにを……?」
―― スッ ――
―― トンッ ――
「っ!? 英玲奈!! 後ろよっ!!」
英玲奈「――は?」
―― キュルキュルキュルキュル ――
―― パァァァン ――
英玲奈「なっ!?」バッ
英玲奈「ボールが、戻って……」
希「…………」パシッ
英玲奈「それは一体……なんなんだ……」
希「『三種の返し球』」
希「『白鯨』」
希「ウチのホントの必殺技よ♪」ニッ
『希 ① - ② 英玲奈』
短いですが今日はここまで。
レス感謝です。
ようやくテニヌしてきた
少し更新。
――――――
昔のお話。
ウチがまだ音乃木坂に来る前のお話。
転校ばかりを繰り返していたウチは、ある少女に出会った。
テニスが好きな女の子。
その子は、幼いながらも負けず嫌いで。
そうやね。
真姫ちゃんみたいな雰囲気かな?
とにかく、彼女とはそれなりに仲も良くなって、たまに遊ぶ程度の仲にはなっていた。
ただ、その関係は終わりを急に告げた。
その原因。
それは、ウチが彼女とテニスをしたから。
テニス経験者である彼女は、どうやらウチにテニスの腕を自慢したかったみたいで、自分と試合をしてみないかと提案してきた。
たぶん……嬉しかったんやろね。
ウチはそれに何も考えず頷いた。
結果は惨敗。
…………ウチじゃなくて、彼女の、ね。
何回やっても結果は同じ。
圧倒的だった。
ウチは彼女を圧倒してしまった。
初めてラケットを握るウチに負けた彼女。
彼女は涙を流しながらこう言ったんよ。
「化け物っ」
ってね。
今でも思い出すよ。
彼女がウチを化け物だって言ったときの目。
恐怖、やった。
…………。
そのとき悟ったんよ。
ウチのテニスは相手に恐怖を植え付けるものなんだって。
ウチはテニスをしちゃダメなんだって。
…………。
だから、ウチはテニスなんてする気もなかった。
なにかの間違いでテニスをしたとしても、テキトーに流すつもりやったんよ。
前回だって、えりちには悪いけど、手を抜いていたし。
でも、えりちが倒れて……ウチは怖くなった……。
…………。
…………けれど。
けれど、今は――
――――――
――――――
英玲奈「…………」ターンターン
希「…………」
英玲奈「…………大丈夫か?」
希「え? あぁ、大丈夫よ」ニッ
英玲奈「……そうか」スッ
英玲奈「ふっ!」パァァァン
希「……やっ!」パァァン
英玲奈「くっ、いいコースにっ!!」ダッ
英玲奈「だが、まだだ」グッ
英玲奈「はあっ!!」パァァァン
希「…………」スッ
希「――ほっ!」パァァン
―― キュゥゥゥ ――
英玲奈「っ、来たな、『白鯨』」ダッ
英玲奈「だが、何度もやられるわけないだろう」グッ
「英玲奈さんが飛びましたっ!!」
「上手いわ!! さすが英玲奈、ホップしきる前にスマッシュで叩くわけね」
「これなら東條さんも――」
英玲奈「はぁぁぁぁっ!!」バシィィィン
希「ふふっ」
英玲奈「っ、またっ」ゾワッ
希「ウチにスマッシュは効かんよ?」ダッ
希「――――」ポーーーン
英玲奈「スマッシュに直接――!?」
―― フワッ ――
―― トンッ ――
希「――よし、上出来やね」ニッ
英玲奈「…………なっ」
英玲奈「スマッシュをダイレクトに返した、だと……」ボーゼン
希「だから、言ったやん? 『三種の返し球』だって」
英玲奈「……なるほどな。三種、か」クッ
希「そ。 これが三種類目。スマッシュを無効にして相手の真後ろにロブで返す技」
希「『羆落とし』」
「すごいよ! 希ちゃーーんっ!!」ピョンピョン
「す、すごいです! 希ちゃんっ! 英玲奈さんに勝っちゃうなんて!!」キラキラ
「うん♪ ことり、信じてました♪」
「……す、すごいにゃ、希ちゃん」チラッ
「ふふっ、さすが希。頼りになりますね」
「えぇ……ほんとにね」フフッ
「希っ……」ウルウル
「……ま、上出来じゃないの? 今は敵だけど」
希「…………」
英玲奈「……すごいな、君は」
希「ううん。ウチは別に」フルフル
英玲奈「……そうか。君達はと言った方が正解だろうな」
希「ふふふっ」
――――――
うん。
もう、大丈夫。
ウチは『本当』を見せてもいいんだ。
本当の自分を。
本当の気持ちを。
やりたいことを全部、見せてもいいんだ。
だって、みんな受け止めてくれるから。
私は、もう――
――――――
希「ひとりじゃない」ニコッ
――――――
『希 ④ - ① 英玲奈』
『勝者 東條希』
――――――
――――――
『希 ④ - ② 英玲奈』
『勝者 東條希』
――――――
――――――
穂乃果「ほへぇ……」
希「えぇと、穂乃果ちゃん?」
穂乃果「はっ!!」
希「どうかしたん?」
穂乃果「ううん! ただ、すごい試合だったな~、って思っただけ!」
希「えっ、あ、そっかぁ」
穂乃果「うんっ!! すごかった! 希ちゃん、すごかったよっ!!」ズイッ
希「えっ、わっ!? ちょっと、穂乃果ちゃんっ!?///」アセアセ
穂乃果「あんな! 『三種の返し球』なんて、とにかくすごいよっ!!」ズイズイッ
希「なっ/// ち、ちかいってほのかちゃん……///」
穂乃果「だって! だってさっ!!」ズイズイズイッ
英玲奈「そこまでだ」グイッ
穂乃果「うわっ!? あ、英玲奈さん?」
英玲奈「彼女、困っているだろう?」
穂乃果「え? そうですか?」キョトン
希「え、あっ、うぅぅぅ///」
穂乃果「?」
英玲奈「なんというか……すごいな、彼女」
希「そ、そうやね、ほんと……///」
穂乃果「?」ンン?
英玲奈「とにかくだ。次はダブルス2だな」
希「そ、そうやね! 解説はこの3人でやっていくからよろしくなぁ」アセアセ
穂乃果「うん!」
希「えぇと、それで、次はこの2ペアに試合してもらうみたいやね」
「いこっか♪」
「は、はいっ!」
「う~ん? そんなに固くなっちゃだめです!」
「…………う、うん」
「…………だいじょうぶ」
「え?」
「きっとわかってくれるよ」
「……っ、うん!」
「それじゃあ、いこっか♪ ね?」
ことり「花陽ちゃんっ♪」
花陽「がんばろうねっ、ことりちゃんっ」
「…………むぅ」
「あらあら♪ かわいいわねぇ」
「っ、かわいくなんか……ことりちゃんの方がかわいいにゃ……だから――」
「フフフ」
「っ、なにがおかしいっ、んですか……」
「ふふっ、いつもどおりでいいわよ?」
「っ、なにがおかしいのっ?」
「なんだか、ヤキモチ妬いてるみたいだったから♪」
「そんなことないにゃっ!!」
「あら? そう?」
「うんっ!」
あんじゅ「それじゃ、わたしとちゃんと仲よくしてね~?」
凛「っ、わかってるよっ!」
――――――
ダブルス2
南ことり 星空凛
小泉花陽 vs 優木あんじゅ
試合開始
――――――
今日はここまで。
おつ
乙
りんぱなが分裂したか
凛ちゃん脳ミソ溶けそうやね
μ’s側は残ってるの穂乃果海未真姫絵里の四人か
誰がダブルスで組むんだ
ほのうみ?うみえり?
ずいぶん間が空いてしまいましたが、明日できれば更新します。
――――――
花陽「……はぁっ……」ガクッ
ことり「はなよちゃんっ!?」
「っ、はなよっ!!」
「真姫! だめよっ! 今、助けに行ったら花陽の努力が無駄になるわ」
「っ、じゃあ、どうしたらいいのよっ!!」
「…………今は耐えるしか」
「……っ」ギリッ
花陽「大丈夫、大丈夫だよ、ことりちゃん」
ことり「……でもぉ」チラッ
『いい調子だよ、凛ちゃん♪』
凛「うん!」
『このまま一気に終わらせよう♪』
凛「りょーかいにゃ!」
『……でも、本当に大丈夫?』
凛「うん! だって――」
凛「――凛とかよちんのペアは無敵だもん!」
花陽『うん。そうだね、凛ちゃん』ニコリ
――――――
―― 回想 ――
『1セットマッチ』
『サービス 花陽』
花陽「……すぅ、はぁぁ……」ターンターン
凛「…………」ジッ
あんじゅ「ふふっ、気楽にいきましょう♪」ニコリ
凛「……っ、わかってるにゃ」
花陽「っ」スッ
花陽「やっ」パァァン
あんじゅ「ふふっ」パァァン
「甘い球です!」
「ことりちゃ~~ん!」
ことり「うんっ」ダッ
ことり「えいっ」パァァン
凛「っ!?」
『ことぱな 15 - 0 りんあん』
花陽「ナイスボレーですっ」
ことり「うん♪」
凛「…………」ジッ
あんじゅ「あら、ごめんなさい?」
凛「……ううん、大丈夫」
ことり「花陽ちゃん、落ち着いてね?」
花陽「……うん」ターンターン
花陽「……」スッ
花陽「はあっ」パァァン
凛「っ」スッ
凛「にゃっ!!」パァァン
ことり「花陽ちゃんっ、おねがい」
花陽「うんっ」ダッ
花陽「あ、あれっ!?」ポーーーン
「花陽があんなに浅いロブを!?」
「らしくないミスね」
「……とにかく向こうのチャンスボールね」
凛「っ!!」ダッ
あんじゅ「まかせて?」ダッ
凛「え、うん?」
あんじゅ「っ」スッ
―― スカッ ――
凛「え……?」
あんじゅ「……あ、えぇと……ごめんなさい?」
凛「え、えっと……」
『ことぱな 30 - 0 りんあん』
――――――
希「えぇと、もしかして、優木さんって……?」
英玲奈「……あぁ、見ての通りだ」ハァ
穂乃果「? どういうこと?」
英玲奈「あんじゅはな――」
英玲奈「――運動が出来ないんだ」
穂乃果「ええっ!?」
希「えっと、でも、ダンスはあんなに上手かったやん?」
英玲奈「まぁ、あれは……相当練習を積んでいるからな。それに…………いや」
希「ん?」
英玲奈「いや、なんでもないさ」
希「なにか引っかかる感じやけど……?」
英玲奈「いや。本当に気にしなくてもいい。それに、たかが2週間で、あんじゅにそれなりを求めるのは酷と言うものだろう」
希「…………」
穂乃果「へぇぇ、そうなんだぁ。あんなに上手かったのになぁ……」ホェェ
英玲奈「…………」
――――――
花陽「……」スッ
花陽「やっ!」パァァン
あんじゅ「えいっ」ポーーーン
凛「にゃにゃ!? なんでロブぅぅ!?」
花陽「ことりちゃんっ!」
ことり「うんっ♪」ダッ
ことり「やぁぁぁぁ」フワッ
凛「あっ!?」ダッ
「凛が前に出ました!」
「ことりの『ダウンドロップ』をよんだのね」
ことり「ふふっ♪」
―― ポーーーン ――
凛「しまっ――!?」
あんじゅ「……あっ」
―― ピタッ ――
花陽「『ダウンロブ』! さすがことりちゃんですっ!」
ことり「えへへ♪」
『ことぱな 40 - 0 りんあん』
――――――
英玲奈「ふむ。あれが南ことりの『ダウンロブ』か」
穂乃果「うん! ふわっと飛んでふわっと打つって感じ!」
希「穂乃果ちゃん、それじゃ抽象的すぎん?」
穂乃果「?」
英玲奈「通常であれば、ロブに対してはスマッシュを打つものだが」
英玲奈「空中から打つドロップショット『ダウンドロップ』」
英玲奈「それと同じフォームから繰り出すロブ『ダウンロブ』」
英玲奈「どちらもボールが地面に着いた後、ほぼ静止する」
英玲奈「長い滞空時間と柔らかいタッチをもつ彼女ならではの技だな」
希「さ、さすがの分析力やね」
穂乃果「そういえば、ことりちゃんの技は凛ちゃんじゃ止められないよね?」
希「……あぁ、この間の試合もそうやったね。花陽ちゃんがいたから……」
穂乃果「うん」
英玲奈「だが、今は小泉花陽はいない。むしろ敵チームだからな」
穂乃果「!! じゃあ、この試合は――」
――――――
―― ピタッ ――
『ことぱな ① - 0 りんあん』
ことり「やったぁ♪」
花陽「う、うんっ! さすが、ことりちゃんですっ」
ことり「ううん! 花陽ちゃんが繋いでくれたから♪」
花陽「え、えっと……///」
凛「……ぅ」
あんじゅ「……凛さん?」
凛「え、あっ……」
あんじゅ「ごめんなさい……足を引っ張っちゃって……」シュン
凛「え? あ、ううんっ! 大丈夫にゃ!」
あんじゅ「……本当に?」
凛「うん! 凛に任せて!!」
あんじゅ「うん、ありがとう」ニコッ
あんじゅ「――凛、ちゃん♪』
凛「え?」
あんじゅ『どうかした?」
凛「え、ううん……なんでも……ないけど」
あんじゅ「…………』
あんじゅ「ふふふっ♪』
――――――
今日はここまで。
レス感謝です。
やばい...あんじゅさんにねとられる...
もっとテニヌしてくれよな~頼むよ
本日も更新予定です。
昨日は更新できなかったので
少しですが更新します。
『チェンジサービス』
『サービス あんじゅ』
あんじゅ「……いくわよぉ」ターンターン
花陽「……」スッ
あんじゅ「――」スッ
あんじゅ「えいっ」ペシッ
花陽「っ!」
ことり「花陽ちゃん!」
花陽「うんっ」ダッ
花陽(花陽のリターンはそこまで強くない。けど、この遅いサーブになら!)
花陽「やっ!」パァァン
凛「にゃ!?」ビクッ
あんじゅ「あ、あら……」
『ことぱな 15 - 0 りんあん』
「ストレートへ強打……ですか」
「へぇ、上手いわね。サイドの甘い星空さんの脇を抜いたわけね」
「凛! 油断するんじゃないわよっ!!」
「さすが花陽ちゃんやね。いいところを突く」
「うん! 頑張れぇ! 花陽ちゃん、ことりちゃーん!」
花陽「…………よしっ」グッ
凛「…………」ジッ
あんじゅ「…………なるほど。そう来るのね」ターンターン
花陽「え?」
あんじゅ「ふふっ、なんでも――」スッ
あんじゅ「ないわ♪」ペシッ
花陽「っ、ことりちゃん」チラッ
ことり「うん♪ おそい、ですっ」グッ
ことり「えいっ!」パァァン
凛「またっ!?」
あんじゅ『――凛ちゃん!」
凛「うんっ、わかってる――」クルリン
凛「――にゃっ!!」パァァン
「出たわね。凛の『背面ボレー』」
「前回は最後まで温存していたようだけれど……」
「今回はそうも言ってられなくなったのでしょう。それに、ほら、見てください」
―― ポーーーン ――
ことり「っ、ごめん。花陽ちゃんっ」
花陽「ううん、でも、下がって!」グッ
凛「にゃぁぁぁぁぁ!!!」ピョーン
花陽「来ますっ!」
凛「『ダンクスマッシュ』!!」
―― バシィィィィィン ――
『ことぱな 15 - 15 りんあん』
花陽「や、やっぱり、すごい……」
ことり「花陽ちゃんっ、切り替えよう?」
花陽「う、うんっ」チラッ
あんじゅ「ふふっ」ターンターン
凛「……かよちん」チラッ
あんじゅ「まだ……足りないみたい♪」スッ
花陽「……え?」
あんじゅ「ふふふっ♪」ペシッ
ことり「花陽ちゃん!」
花陽「っ、は、はいっ!」グッ
花陽「ぴゃあっ!」トンッ
凛「今度はドロップ!?」ダッ
あんじゅ「……ふふっ、まかせてぇ」スッ
凛「え!? ここは、凛でも――」
あんじゅ「やっ」ポーーーン
凛「ろ、ろぶ!? そんなことしたら!!」
ことり「……っ」フワッ
凛「や、やっぱり!! くるよっ!」
ことり(……なにか、引っかかります)
ことり(たしかに、花陽ちゃんのドロップは巧かったです。でも、凛ちゃんの運動神経なら拾えたはず、なのに……)
ことり(誘い球? …………でもっ)
ことり「――――っ」スッ
―― ポーーーン ――
凛「また『ダウンロブ』!? 取れないにゃ!!」
ことり(二人とも、前に出てきてるからこれで決まっちゃい――)
『凛ちゃん! そこから1歩で届くよ!』
ことり「え?」
凛「っ、うんっ」ピョーン
凛「にゃぁぁぁ!!」
―― バシィィィィィン ――
『ことぱな 15 - 30 りんあん』
凛「お、おぉ!? 届いたよっ! やったにゃ!!」
ことり「え、さっきのって……?」クルッ
花陽「ううんっ! 花陽じゃない、です……」
ことり「……じゃ、じゃあ――」
『やっぱりすごいね、凛ちゃん♪』
凛「……え? あ、あれ?」
『どうかした?』
凛「えっと、凛……?」
『??』
凛「…………んんんん?」ゴシゴシ
あんじゅ「そんなに目を擦っちゃダメよぉ?」
凛「あ、あれ? 今、一瞬……?」
あんじゅ「……どうかしたのぉ?」
凛「ううん……」ナンデモナイニャ
あんじゅ「そう? ふふっ、ナイススマッシュだったわね♪」ナデナデ
凛「あ、うん……///」
あんじゅ「かわいい……』ニコリ
あんじゅ「…………」ターンターン
ことり「…………」グッ
ことり(なんだろう……。イヤな感じ……)
ことり(それがなにかはわからないんだけど……)
ことり(でも――)
あんじゅ「えいっ」ペシッ
ことり(今、決めなきゃだめな気がするからっ)ダッ
ことり「えいっ!」パァァン
凛「にゃ!?」
「また凛の横を抜きました!」
「さすがことりね。花陽もそうだけど二人とも周りがよく見えているわ」
「……そうかな?」
「穂乃果?」
「何となくだけど、ことりちゃん……なにか焦ってるみたい……」
凛「うっ」
『凛ちゃん! 後ろに!』
凛「え?」
『はやくっ!!』
凛「っ、うんっ!」ダッ
ことり「え? 凛ちゃんが後ろに……」
花陽「――っ!?」
『ぴゃぁぁっ!!』パァァン
ことり「ああっ!?」
『ことぱな 15 - 40 りんあん』
花陽「…………」ボーッ
ことり「……花陽、ちゃん?」
花陽「…………そ……」ボソッ
ことり「っ、花陽ちゃん」
花陽「…………うそだよ」
ことり「は、花陽ちゃん!」ユサユサ
花陽「っ!!」ハッ
ことり「……だいじょぶ……?」
花陽「あ、ごめんなさいっ」フルフル
ことり「……ね、ねぇ、花陽ちゃん、さっきのって、もしかして……」
花陽「あの動き……う、ううん……そんなの……ありえないよ……」
凛「すごいにゃ!!」
あんじゅ「ううん、凛ちゃんのおかげよ♪』
凛「っ! そんなことないよっ!」
あんじゅ『……ふふっ」
凛「? どうしたの?」
あんじゅ「ううん。ねぇ、凛ちゃん?』
『あと一点、二人でとろうね?』
凛「うん! がんばるにゃぁぁ!!」
あんじゅ「……すぅ、ふぅ』ターンターン
ことり「花陽ちゃん、きりかえようっ」
花陽「…………」
ことり「花陽ちゃん?」
花陽「…………」
花陽(……ありえない。ありえないよ)
花陽(…………)
花陽(でも、あの動き。それに、あの指示は……)
花陽(……ううんっ! そんなの絶対――)
ことり「花陽ちゃん!!」
花陽「っ!」ハッ
あんじゅ「やっ!』パァァン
花陽「っ、やっ!」パァァン
ことり「花陽ちゃん、集中だよっ」
花陽「ご、ごめんっ」
花陽(そうです。ことりちゃんの言うとおり。今は目の前の試合に集中しなきゃ!)
花陽(大丈夫! 凛ちゃんの一番のペアは花陽だか――――)
『凛ちゃん!』ダッ
凛「うんっ!」ダッ
ことり「入れ替わって!?」
凛「にゃぁぁ!!」パァァァン
花陽「っ」グッ
ことり「花陽ちゃん!?」
花陽「大丈夫っ……ですっ!」パァァン
花陽(そう。大丈夫)
花陽(だって、花陽は――――)
『凛ちゃん、その打球アウトだよ』
凛「うん、わかったにゃ」
『アウト』
花陽「っ、あっ、え?」ゾクッ
『ことぱな ① - ① りんあん』
花陽「…………あっ、え?」
ことり「え? なんで? あれ?」ゴシゴシ
花陽「……そんなっ、こんなことって……」ガクッ
ことり「っ、花陽ちゃんっ」ダキカカエ
花陽「っ、そんなぁ……」ガクガク
凛「えへへ! やっぱり凛たち無敵だね!」
『えへへ、そう……だといいな///』
凛「いいな、じゃなくて、そうに決まってるのっ!!」
『そ、そっかぁ///』
凛「よし! このちょーしで! ドンドン行くにゃぁぁぁ!!」
『う、うん! がんばろうね、凛ちゃん♪』
凛「もちろんにゃ――」
凛「――かよちんっ!!」
花陽『えへへ♪』
――――――
――――――
穂乃果「え? あれ?」ゴシゴシ
穂乃果「な、なんで花陽ちゃんが二人いるの?」
希「……あれは、いったい?」
英玲奈「…………」
希「説明してもらえる?」
英玲奈「…………」
英玲奈「たまに、人を真似るのが上手い人間がいるだろう?」
英玲奈「あんじゅはまさにそんな人間なんだ」
穂乃果「モノマネってこと?」
英玲奈「まぁ、平たく言えばそういうことになるな。ダンスの件もそうだが、あんじゅはツバサや私のダンスを見て、上達していったらしい」
希「でも、それだけじゃあ……」
英玲奈「あぁ、説明はつかないだろうな」
希「なら、どうやって?」
英玲奈「申し訳ないが、私も詳しいことは分からない」
英玲奈「ただ言えるのは、あんじゅの『それ』は私の観察と似ているということだ」
希「…………」
英玲奈「相手を観察し、分析する」
英玲奈「あんじゅの運動神経が悪いのは事実だが、最初の1ゲーム目は観察していたのもあったんだろう」
英玲奈「とにかく、それを利用して『死角』を突くのが私のテニスだが、あんじゅはそれを『真似る』」
英玲奈「癖や仕草、雰囲気や話し方。プレイスタイルや技。挙げ句には歩き方まで」
英玲奈「真似る」
英玲奈「その結果、姿すら変えたように見せることが出来る」
穂乃果「それで、あんな風に見えるんだ……」
希「今の花陽ちゃんの前で姿を真似て、凛ちゃんと組むなんて…………酷なことするんやね」
英玲奈「……本当にな」
英玲奈「『イリュージョン』」
英玲奈「あんじゅはそう呼んでいたが」
英玲奈「私に言わせれば、あれは性質の悪い『詐欺』だ」
――――――
今日はここまで。
レス感謝です。
この状況でかよちんコピーとか精神的にきついな
あんじゅさんえげつないな
りんぱなで前回ダブルス組んだし余計にえぐい…
1週間更新なしか…
はよ書いてくれよ
風邪と仕事が長引き更新遅れてます。
一週間後にはあるいは……。
待っていただけると幸いです。
>>84
把握
お大事に
多少回復したので少しだけ更新。
『チェンジサービス』
『サービス ことり』
ことり「…………」ターンターン
凛「一本集中にゃ! かよちん!」
花陽『うん! 凛ちゃん』
花陽「っ」
ことり「花陽ちゃん……」
花陽「……だ、だいじょうぶだよ」
ことり「…………うん」
ことり(『イリュージョン』)
ことり(たしかに見た目は花陽ちゃんに見えちゃってます)
ことり(……でもっ)
ことり「……っ、えいっ!」パァァァン
ことり(花陽ちゃんをコピーするなんて、そんなこと――)
花陽『えいっ!』パァァァン
凛「かよちん!」ダッ
花陽『うん』ダッ
ことり「っ、また凛ちゃんが後衛に――」
花陽「……あっ」フラッ
ことり「花陽ちゃん!?」
―― ポーン ――
花陽『凛ちゃん!』
凛「りょーかい!!」ピョーーーン
凛「『ダーーーンクスマッシュ』!!」バシィィィィン
『ことぱな 0 - 15 りんあん』
花陽「ご、ごめんね、ことりちゃん……」シュン
ことり「ううん、次取り返そ?」
花陽「うん……」コクッ
ことり「…………」
ことり(……『イリュージョン』)
ことり(花陽ちゃんをコピーするなんて……ううん、それだけじゃない)
ことり(凛ちゃんの力を全部引き出してる感じ)
ことり(……まるで凛ちゃんと花陽ちゃんを相手にしてるみたい)
花陽『凛ちゃん♪』
凛「うん!」
花陽『えへへ』
凛「よーしっ! 次にゃ!!」
ことり「……」ターンターン
凛「来るにゃ!!」グッ
花陽『うん!』
ことり「えいっ」スッ
ことり「やあっ」パァァァン
凛「っ、にゃ!!」パァァン
「上手いわね、凛さん」
「ことりと花陽のちょうど真ん中にリターン……本来ならば、フォア側が返すものだけれど」
ことり(ことりたちの間に!?)
ことり「花陽ちゃんっ」
花陽「う、うん」ダッ
花陽「え、えい!」パァァン
「ふふふっ』ダッ
ことり「前に!?」
花陽『やっ』ポンッ
―― トントン ――
ことり「!?」
花陽「…………っ」
ことり(ことりも花陽ちゃんも凛ちゃんのリターンに対応が遅れたところを狙われて……)
ことり(この視野の広さ……本当に花陽ちゃんみたい……)
『ことぱな 0 - 30 りんあん』
凛「次はよろしく、かよちん」
花陽『任せて、凛ちゃん』
ことり「……」ターンターン
花陽「…………」
ことり「花陽ちゃ――」
花陽「――だいじょぶ、ですっ」
ことり「っ、うん……」スッ
ことり「えい!」パァァン
花陽『やっ』ポンッ
ことり「え……?」
花陽「……ドロップショット?」
―― トンットンッ ――
『ことぱな 0 - 40 りんあん』
――――――
希「……完全に凛ちゃんたちのペースやね」
英玲奈「あぁ」
穂乃果「むむむ」
希「……穂乃果ちゃん?」
穂乃果「なんだか、変な感じ……モヤモヤするぅぅ!」ジタバタ
希「ちょっ!? 暴れんといてっ」アセアセ
穂乃果「だって! ~~っ、だってだよ!!」バンッ
穂乃果「凛ちゃんと花陽ちゃんのダブルスじゃないのに凛ちゃんと花陽ちゃんのダブルスみたいなんだもん!」
希「うん、まぁ……」
英玲奈「つまり、どういうことだ?」
穂乃果「なんかイヤだ!!」
英玲奈「なるほど……」
希「それは……たぶん花陽ちゃんが一番思ってるやろね」
英玲奈「だが、イヤだと言うだけではなにも変わらない。現に押しているのはあんじゅたちで、小泉花陽の精神はそのプレイの影響で……」
希「そう、やね」
穂乃果「…………」
――――――
ことり「…………」ターンターン
ことり(どうすればいいんだろう?)
ことり(今のままじゃ負けちゃう)
ことり(ううん、それだけじゃなくて……なんだかもっと大切なものがなくなっちゃうような……)
ことり(……ことりはなにをすれば……なにをしたら……)チラッ
花陽「…………」
ことり(花陽ちゃん……あんなに暗いかおしてる……)
ことり(…………そうだ)
ことり(そう、です。ことりはあの娘の……あの娘たちの先輩なんだもん)
ことり(ことりが、しっかりしなきゃ!)
ことり「っ」スッ
ことり「えいっ!!」パァァン
凛「甘い、よっ!!」パァァン
凛「って、ありゃ?」
「大振りすぎね、アウトだわ」
「って、花陽!!」
「避けてっ!!」
花陽「……え?」
ことり「っ、花陽ちゃ――」
―― パァァン ――
花陽「っ!!」ギュッ
花陽「…………」
花陽「…………」
花陽「あ、あれ……?」
ことり「いたたた……腕ビリビリしてるよぉ」
花陽「ことり、ちゃん……?」
ことり「あはは……だいじょぶ? 花陽ちゃん?」
花陽「……え、え? なんで?」
ことり「……大丈夫そうだね。よかったぁぁ」
花陽「ことりちゃんこそ……」
ことり「えっと、ことりは大丈夫だよ? とっさだったけどラケットで受けたから。ちょっとだけ腕はしびれてるけどね」アハハ
花陽「っ、ごめ――」
ことり「謝っちゃ、ダメだよ?」
花陽「……っ」グッ
ことり「ことりは当たり前のことをしただけだもん」
花陽「当たり前のこと……?」
ことり「だって、ことりは――」
ことり「――花陽ちゃんのペアだから♪」ニコリ
花陽「あっ……」
ことり「今だけのペアだけどね」エヘヘ
花陽「そんなことっ!!」
ことり「あるよ」
ことり「だって、花陽ちゃんが一番力を出せるのは凛ちゃんだって分かってるから」ニコリ
花陽「…………っ」
ことり「ふふふっ、二人はμ'sのゴールデンペアだもんね」
花陽「う、うんっ///」
ことり「ふふふっ……だからね?」
ことり「今だけは全力で花陽ちゃんを支えるよ」
ことり「支えて凛ちゃんと戦うよ」
ことり「二人の絆を取り戻すために」
花陽「…………」
ことり「それで、いい、かな?」
花陽「お願いっ、しますっ!!」
ことり「おまかせください♪」
ことり「あ、そうそう! それにね?」
花陽「え?」
ことり「凛ちゃんが本気を出せるのもやっぱり花陽ちゃんだけだと思うよ」フフッ
『ことぱな ① - ② りんあん』
――――――
希「花陽ちゃんの目に光が戻ったね」
英玲奈「どうやらそのようだな。これは一筋縄にはいかなそうだ」フフ
穂乃果「さすが、ことりちゃん!! 頼りになるよっ!!」
希「うん。それに『支える』っていうのがことりちゃんらしいやん♪」
穂乃果「うんっ!! うぉぉぉぉ!! 頑張れ! ことりちゃん!! 花陽ちゃん!!」
英玲奈「…………」
英玲奈(あんじゅの『イリュージョン』)
英玲奈(先ほどの一件で少しだけ解れたようだが……)
英玲奈(どうにか誤魔化したようだな)
英玲奈(星空凛の精神状態も多少乱れたようだったが今は戻っている)
英玲奈(……水を差すようで悪いが、このままなら勝つのは星空凛とあんじゅのダブルスだろう)
英玲奈(南ことりも言っていたが、小泉花陽のポテンシャルを活かせるのは星空凛で、逆もまた然りだ)
英玲奈(ならば、南ことりたちが勝てる要素はほぼないと言っても過言ではない)
英玲奈(あんじゅの『イリュージョン』と小泉花陽)
英玲奈(偽物か本物か)
英玲奈(唯一の差異はそれだけで)
英玲奈(もし活路を見出だすとしたらそれしかないだろう)
英玲奈(偽物ではできなくて本物にしかできないこと。それは――)
英玲奈「ダブルスの奇跡、か」ボソッ
英玲奈(いや。二人が敵である今ではあり得ない話だ)フッ
――――――
今日はここまで。
ずいぶん空いてしまい申し訳ない。
見ている方も少ないかもしれませんが土曜にも更新できるようにします。
いい先輩だな
本日更新。
『チェンジサービス』
『サービス 凛』
花陽『切り替えていこう、凛ちゃん』
凛「う、うん……」ターンターン
花陽『凛ちゃん?』
凛「っ、ううん……大丈夫」
花陽『…………」
凛「……よっ!」スッ
凛「にゃぁっ!!」パァァン
ことり「花陽ちゃん!」
花陽「うんっ! 分かって――るっ!」パァァン
花陽『浅い! 凛ちゃん!』
凛「りょーかいにゃ!」ダッ
凛「えい!」パァァン
凛「――よしっ」ダッ
「凛がさらに前に出ました!」
「なるほど。凛を前に誘い出して、向こうにあのフォーメーション……『花陽の領域』を使わせないってわけね」
ことり「……」チラッ
花陽「!」コクリ
―― ポーン ――
花陽『……え?』
「ええ!? ここでロブ!?」
「しかも、あのロブ浅いわ!? 凛の絶好球よ!」
凛「っ!!」ピョーーーン
凛「『ダーーーンクスマッシュ』!!」バシィィィィン
『ことぱな 0 - 15 りんあん』
花陽「…………」チラッ
ことり「…………」ニコッ
花陽「…………」コクリ
凛「よーしっ! どんどんいくにゃ!!」ターンターン
花陽『……うん。凛ちゃんがんばって!』
凛「うん!」スッ
凛「よっ!!」パァァァン
ことり「っ、えいっ」パァァン
花陽『……今度は、させませんっ!!』パァァン
花陽『――っ!!』ダッ
「今度は、花陽ちゃんが前に出た!!」
「穂乃果? あれは花陽じゃなくて……」
あんじゅ(さっきのプレイはたしかに変だったけれど……)
あんじゅ(とにかく流れはこっちに向いてるわぁ♪ このまま一気に――)
―― ポーン ――
花陽『……え?』
凛「にゃぁぁぁぁ!!!」ピョーーーーン
凛「やぁぁぁっ!!!!」バシィィィィン
『ことぱな 0 - 30 りんあん』
凛「ぜっこーちょーにゃぁ!!」ピョンピョン
花陽『ま、またロブ……?』
花陽「…………」
あんじゅ(いったいなにを……?)
花陽『…………』
あんじゅ(なにかおかしいわぁ)
あんじゅ(ミスを誘ったショットでもないのに、ロブを打ってくるなんて)
あんじゅ(……わからない、けれど)
凛「~~♪」ターンターン
花陽『凛ちゃん、気を引きしめ――』
凛「ほっ」スッ
凛「やっ!!」パァァァン
花陽『……凛ちゃん?』
花陽「っ、重っ――」グッ
花陽「ピャァァ!!」ベシッ
花陽『当たり損ないっ!?』
あんじゅ(……いえ、でもこれはネット際に落ちる……ここはわたしが――)
凛「凛に任せて!!」ダッ
花陽『え!?』
凛「ぜっこぉ――」クルリン
凛「――ちょー!!!」パァァァン
「あの球に『背面ボレー』!?」
「なんて強引な……」
「流石にこれは予想外ね。星空さんのポテンシャルはおそろしいわ」
花陽『…………』
あんじゅ(たしかに、そうね)
あんじゅ(一瞬わたしの声を無視したのが気になった)
あんじゅ(けど、彼女の能力の高さなら問題は――)
花陽「っ、えいっ」ポンッ
花陽『な!?』
「凛の打った先に花陽がいます!」
「っ、花陽は凛のあのプレイを読んでいたっていうの!?」
花陽『っ』
あんじゅ(なんで!? 彼女の『背面ボレー』はペアであるわたしだって予測していなかったのに!)
あんじゅ(なんで、あなたが――)
花陽「っ、重っ」ヨロッ
ことり「花陽ちゃんっ」
花陽「だ、だいじょうぶ、ですっ」
花陽「それより――くるよ!!」グッ
花陽『っ、凛ちゃん! 一旦立て直そう!』
凛「~~っ!!」ニカッ
花陽『え……?』
凛「次いくにゃ!!」バッ
「なっ!? さっき前に出たばかりだと言うのに、今度は横に跳びました!」
「なるほど。あのバネ、さすが星空さんと言ったところかしら」
凛「えいにゃ!!」パァァァン
花陽『今度こそっ』
花陽「まだだよっ!!」グッ
花陽「ぴゃぁぁぁぁっっ!!!」パァァン
―― ベチッ ――
凛「っ、ふふっ」クルリン
凛「よっ!!」バシィィィィン
『ことぱな 0 - 40 りんあん』
――――――
穂乃果「えっと? なにが起こったの?」ボヘー
英玲奈「……ふむ」
英玲奈「ネット際に落ちた小泉花陽のリターンに対して星空凛が『背面ボレー』を打った」
希「そのあと、それを読んでた花陽ちゃんがドロップで打ち返したんやね」
英玲奈「だが、星空は持ち前の反射神経で横へ跳びボレーで角度をつけて打ち返し……」
希「花陽ちゃんが返した球はコードボールになって」
英玲奈「最後は倒れ込みながらの『背面ボレー』で星空が決めた」
穂乃果「ほ、ほぇぇぇ……」アゼン
希「……まぁ、そうなる穂乃果ちゃんの気持ちもわからんではないよ」
英玲奈「あぁ。私も正直驚いている。あんなハイレベルなプレーは今の星空凛や小泉花陽に出来るわけがない」
希「まるで、次の打球を予想してたみたいやった……」
英玲奈「…………次の打球を予想、か」
穂乃果「? どうしたの? 英玲奈さん?」
英玲奈「…………まさか、あの二人……」
穂乃果「英玲奈さん?」
英玲奈「踏み込んでいるというのか……?」
英玲奈「……『――』に」
――――――
花陽『……凛ちゃん』
凛「~~♪」
花陽『っ、凛ちゃん!!』
凛「っ、あっ、ご、ごめん……なに?」
花陽『ちょっとだけ勝手、すぎるよ……』
凛「あ、ごめんにゃ……なんだかね? すごく楽しくなっちゃって……」
花陽『楽しく……?』
凛「うん……。なんだろう? 凛が打ちたいときに打ちたいところにあるって感じで……」
花陽『…………』
凛「うん、ちゃんとかよちんの指示に従うね!」
花陽『……うん』
あんじゅ(凛さんのテンションがなんだかおかしいわ)
あんじゅ(ハイになりすぎてる?)
あんじゅ(いいえ、これはなにか……)
あんじゅ(…………)
あんじゅ(次で流れをかえましょう……それで……)
花陽「ふぅ、はぁっ……」
ことり「……花陽ちゃん」
花陽「だいじょぶ、です……」
ことり「……うん」
花陽「っ、もうちょっと……もうちょっとでなにかつかめそうなの……」
ことり「わかった」コクリ
花陽「……たぶんあんじゅさんは次から動くと思います。だから、ことりちゃんもすごく負担かけちゃうかも……」
ことり「ことりは花陽ちゃんを支えるって決めたから♪ だから、だいじょうぶ、です♪」フフフ
花陽「ご、ごめんね、ことりちゃん。花陽のわがままに付き合ってくれて」
ことり「ううん。ことりにできるのはこれくらいだから。でも、ごめんじゃない方がいいなぁ?」
花陽「…………あっ」
ことり「…………ふふっ」
花陽「……ありがとう」エヘヘ
ことり「ううん。がんばって」ニコリ
凛「……よし」ターンターン
花陽『凛ちゃん』
凛「うん! ……っ」スッ
凛「にゃっ!!」パァァン
ことり「っ、やぁっ」パァァン
「凛の球威、上がってない?」
「……えぇ。たしかに今までの凛のサーブとはなにかが……」
花陽『ぴゃっ!』パァァン
花陽『凛ちゃん!』ダッ
凛「うん!」ダッ
「凛がまた後ろに!」
「『花陽の領域』よ!」
花陽「っ、えいっ!!」パァァン
花陽『……これで!』ダッ
ことり「――させません」バッ
花陽『っ、ブラインドに!?』
ことり「…………」ジリッ
花陽『っ、なっ……」
凛「ん~~、にゃっ!!」パァァン
花陽「やあっ!」パァァン
凛「! ここにゃ!!」バシィィィィン
花陽「まだ、だもんっ!」ベシッ
凛「こっちもまだまだにゃ!!」パァァァン
花陽『……っ』バッ
ことり「…………」バッ
花陽『…………』スッ
ことり「…………」ジリッ
花陽『いったい……」
ことり「…………」
あんじゅ「なんの真似、なのかしらぁ?」
ことり「なんの真似って……」
あんじゅ「……徹底的にマークしてわたしを自由にさせないつもり~?」
ことり「……う~ん、それもあるけどぉ……ちょっとだけ違います」
あんじゅ「じゃあ?」
ことり「……ただ、二人の邪魔をしてほしくないんです」
あんじゅ「じゃま? いったいなんの……?」
ことり「いま、花陽ちゃんは凛ちゃんを呼び戻してるところだから」
ことり「……だから」
―― バシィィィィン ――
あんじゅ「っ!!」バッ
『ことぱな ① - ③ りんあん』
ことり「あと1ゲーム……」
あんじゅ「ふふっ、このゲームはわたしの勝ちだね』
ことり「……それはまだわからないです」
花陽『……でも、あと1ゲームで凛ちゃんと花陽に勝てるの? ほら、ことりちゃんのペアだってあんなに消耗してるよ?』
ことり「うん。でも、見て?」
花陽「はぁっ、はぁ……」
凛「はぁっ、はぁ……」
花陽『え? 凛ちゃんもあんなに疲れて……?』
ことり「うん。花陽ちゃんと同じくらい……ううん、たぶんだけど……」
凛「……はあっ、ふぅ」
花陽「……はあっ、ふぅ」
凛「…………すぅぅ」
花陽「…………すぅぅ」
りんぱな「「ふふっ」」ニコリ
―― ドクンッ ――
――――――
今日はここまで。
更新遅れて申し訳ない。
レス感謝です。
完全にストレートフラッシュさんの負けフラグが立ったな(確信)
ストレートフラッシュじゃなくてフルコンボだろいい加減にしろ!
フルボッコだ、ドン!
いつもROMってるのにこういうときにイキイキするお前らすこ
レス感謝です。
本日更新予定。
『チェンジサービス』
『サービス 花陽』
花陽「――――」ターンターン
花陽『…………』
あんじゅ(……雰囲気が変わった?)
あんじゅ(『イリュージョン』で真似た彼女とはなにかがちがうわ……)
あんじゅ(それに、この娘からも彼女と同じようなかんじが……)チラッ
凛「――――」
花陽「――――」スッ
あんじゅ(いけない、今は集中して――)
花陽「――――」
―― パァァァァン ――
花陽『なっ!?」
花陽「……なんで……』
あんじゅ「球速が上がって……?」
花陽「――――」
『ことぱな 15 - 0 りんあん』
花陽「――――」ターンターン
凛「――――」グッ
あんじゅ「…………」ボーゼン
あんじゅ(コースもスピードも違う、想像していたのとぜんぜん)
あんじゅ(彼女のことは『イリュージョン』のために観察していたはずだったのに)
あんじゅ(まるで、まるで、別人だわぁ……)
ことり「……『イリュージョン』、崩れてますよ?」
あんじゅ「っ」スッ
花陽「凛ちゃん! 気を付けて!』
凛「――――」
花陽『あれ? え? 凛ちゃん?』
花陽「――――」パァァァン
凛「――」パァァン
「コースギリギリのいいサーブです!」
「けど、凛も難なく返したわね」
「…………」
花陽「――――」グッ
凛「――――」ダッ
「凛が動いたわ!!」
「でも、花陽が打つ前よ!?」
花陽「――――」ポーーーン
「あぁ、やっぱり、ロブを打たれて――」
花陽『っ、凛ちゃん! 下がって!』
凛「――――」グッ
花陽『――え?』
―― ピョーーーーン ――
「なっ!? 凛が跳びました!!」
「届くわ!!」
「……あのタイミング……まさか、花陽さんのロブに合わせたの?」
凛「――――――――」バシィィィィン
花陽『決まっ――』
ことり「まだだよ♪」
花陽『え?』
花陽「――――」バッ
―― トンッ ――
『ことぱな 30 - 0 りんあん』
花陽「――――」パァァァン
凛「――」パァァン
花陽「……いったい』
あんじゅ「……いったいなんなの?」
ことり「……『イリュージョン』また崩れてますよ?」
あんじゅ「っ」スッ
あんじゅ「………………え?」
あんじゅ「な、なんで?」
ことり「もうなれないみたいですね」
あんじゅ「っ、いったい彼女はなにをしたの? まさかわたしの『イリュージョン』を封じるなにかをしたっていうのかしら……?」
ことり「……花陽ちゃんはなにもしてません」
あんじゅ「けれど――」
ことり「ただ花陽ちゃんは――」
ことり「――凛ちゃんを『ゾーン』に入らせたんです♪」
――――――
――――――
穂乃果「ぞーん……ってなに?」
希「『ゾーン』」
希「簡単に言えば120%の力が出せる状態のことやね」
希「いいプレイや最高のテンションで試合を進めるうちに、その試合に没頭して極度の集中状態になる」
希「それが『ゾーン』よ」
英玲奈「周りが遅く見えたり、視覚や聴覚が機敏になったりすることもあるようだな」
穂乃果「ほぇぇぇ? えっと、それって希ちゃんや英玲奈さんも入れるの?」
英玲奈「……いや、無理だな」
希「意識して入れたら苦労せんよ」アハハ
穂乃果「そ、そっか……でも……」チラッ
希「うん。花陽ちゃんは意識的に、しかも他人である凛ちゃんを『ゾーン』に入れた」
英玲奈「星空凛の打ちやすい場所、得意なコースへわざとボールを配球することで調子を上げていったのだろう」
穂乃果「す、すごい!!」
英玲奈「彼女が相手のことを熟知していなくては出来ない所業だ」
希「そやね。それに……凛ちゃんと花陽ちゃんが対戦してたから出来たこと、なんやろね」
穂乃果「……うん。すごいや」
穂乃果「…………」
穂乃果「……ん? あれ?」
希「ん? どうかしたん?」
穂乃果「う、うん。凛ちゃんの動きがよくなったのは『ゾーン』なんだって分かったんだけど……」
穂乃果「じゃあ、花陽ちゃんは?」
穂乃果「花陽ちゃんも『ゾーン』に入ってるよね!?」
希「そうやね」
穂乃果「それに、なんか……うーん? うまく説明出来ないんだけど……」ウムム
英玲奈「二人ともお互いが打つ前に動いている」
英玲奈「そう言いたいのではないか?」
穂乃果「!! そう! そうだよ!!」
穂乃果「二人とも、お互いの動きが全部わかってるみたいだよ!!」
穂乃果「あれも『ゾーン』なの!?」
希「いや、あれはたぶん……」チラッ
英玲奈「あぁ」コクリ
英玲奈「絶体絶命の危機に陥ったダブルスが至ることができるという到達点」
英玲奈「お互いの心が繋がり、お互いの心を通わせるというダブルスの奇跡」
英玲奈「『同調』」シンクロ
――――――
あんじゅ「『同調』」
あんじゅ「それで、自分も強制的に『ゾーン』に引き上げたっていうの……?」
ことり「うん」
あんじゅ「そんな……まるで、バクチね。まず『ゾーン』に入らせることができるかも、『同調』できるかもわからないのに……」
ことり「…………」
あんじゅ「貴女はそんなものに賭けたの?」
ことり「……ううん。ことりは信じてたから」
あんじゅ「……なにを」
ことり「花陽ちゃんと凛ちゃんの――」
ことり「――二人の絆を信じてました♪」ニコッ
花陽「――――」トンッ
凛「――――――」ダッ
―― ポーーーン ――
花陽「――――」バシィィン
『ことぱな 40 - 0 りんあん』
――――――
凛「なんで!?」
花陽「……ごめんね、凛ちゃん」
凛「ごめんねじゃないよっ!! なんで、そんな……凛とダブルス組まないなんて言うの!?」
花陽「…………」
凛「っ、下向いてちゃわかんないよっ!!」
花陽「……ごめん」
凛「凛と、かよちんのダブルスはさいきょーなのにっ!!」
花陽「ごめんね、凛ちゃん……はなよ……」
凛「だからっ! ごめんね、じゃないにゃ!!」
花陽「……あ、あのね……凛ちゃん……」
凛「もう知らないっ!!」
花陽「え、え……?」
凛「ダブルスかいしょーだよ!! 凛はA-RISEチーム行く!!」
花陽「ま、まって、凛ちゃ――」
――――――
――――――
「……ん、あ、あれ?」ムクッ
「あ、凛ちゃん、起きた?」
「かよちん? ……あれ? ここは? 凛たち、テニスの試合してたはずじゃ……?」
「えっと……花陽もよくわかんないや。気づいたらここにいたから」アハハ
「……そっか」
「……うん」
「…………」
「…………」
「…………ねぇ」
「…………」
「ねぇ、かよちん」
「なに? 凛ちゃん?」
「……なんで、凛とダブルスやらないなんていったの?」
「…………最初のとき?」
「うん。A-RISE相手に凛とかよちんのダブルスで戦いたかったのに……」
「…………」
「かよちん!!」
「……ほんとはね? 花陽も凛ちゃんとダブルスを組みたかったの」
「じゃあ!!」
「…………でもね」
「凛ちゃんに頼りきりじゃダメなんだって」
「今のままじゃ花陽たちは『さいきょー』になれないから」
「そんなこと……」
「ううん。あるよ。きっと今のままの花陽じゃ足を引っ張っちゃう」
「でも!!」
「……凛ちゃん。花陽ね、自信がないんだ。ビビりんぼで運動だってそんなに得意じゃないから」
「……かよちん」
「けど、みんなが助けてくれたから。ことりちゃんからは勇気をもらって。にこちゃんは凛ちゃんと戦う機会を作ってくれた」
「にゃ!? じゃあ、にこちゃんがA-RISEチームに来たのって!?」
「うん。花陽と凛ちゃんが試合できるようにするため」
「『A-RISEと一緒にテニスしたいにこ♪』……てかんじかと思ってたにゃ……」
「あはは……」
「……すぅ、はぁ……よし」
「……だからね、凛ちゃん」
「花陽は証明するよ」
「花陽は凛ちゃんと対等なんだって。凛ちゃんとも互角に戦えるくらいに強いんだって」
――――――
凛「――――――」バシィィィィン
「今度こそ決まったわ!」
「っ、まだです! 花陽は凛の動きを読み切っています!」
花陽「――――――」ポンッ
―― トンッ ――
『ことぱな ② - ③ りんあん』
『チェンジサービス』
『サービス あんじゅ』
あんじゅ「……はぁ」ターンターン
凛「――――」
あんじゅ「なかなかに悲しい気分ね」スッ
あんじゅ「蚊帳の外ってかんじっ」パァァン
花陽「――――」パァァン
凛「――――」パァァァン
花陽「――――」ポーーーン
凛「――――――」バシィィィィン
あんじゅ「完全にフルハウス……」ハァ
ことり「ですね♪」
あんじゅ「こうなること、予想していたの?」
ことり「なんとなく、かな」
あんじゅ「……すごいわね」
ことり「……ことりは誰かを支えることしかできませんから」フフッ
あんじゅ「それができたから十分ってかんじかしらぁ?」
ことり「はい♪」ニコッ
あんじゅ「……そう。でも、やっぱり悲しいわねぇ。蚊帳の外なうえに、こっちのチームも二連敗よぉ」
ことり「…………」
あんじゅ「? どうかしたの?」
ことり「二連敗、はないと思いますよ?」
あんじゅ「……え?」
ことり「たぶん、だけど――」
ことり「――この試合は、凛ちゃんの勝ちです」
――――――
――――――
「~~っ」
「……凛ちゃん?」
「~~にゃぁぁぁぁぁっっ!!」
「ぴゃぁぁぁ!?」ビクッ
「あ、ごめんにゃ!」
「び、びっくりしたよぉ……」
「えへへぇ、ごめんね? つい嬉しくなっちゃって!」
「嬉しく……?」
「うん!」
「だって、初めてだから!」
「かよちんが凛に勝つなんて言ってくれたの!」
「かよちん、いっつも凛を大切にしてくれて。凛のこと第一に考えてくれて」
「かよちんが凛とぶつかることなんてなかった。ケンカしてもすぐに謝ってくれたし」
「でも、凛はね、かよちんともっとぶつかってみたかったの」
「凛はかよちんと親友で! パートナーで! ライバルになりたいの!!」
「親友で、パートナーで、ライバル……」
「うん! それ、ぜーーんぶ!」
「……ふふっ、欲張りだね?」
「うん! よくばりにゃ!」
「…………」
「…………」
「ねぇ、かよちん?」
「うん、なに? 凛ちゃん?」
「ぶつかるよ」
「うん」
「凛も本気でかよちんに勝つからね!」
「うん! 花陽も負けないよ!」
――――――
―― パァァァァン ――
「!? 凛の球威が上がりました!」
「花陽も対応はしてるわ。来るところが分かっているから先回りも出来てる。でも……」
花陽「――――」グググッ
花陽「――――」パァァン
あんじゅ「……球威に押されてる?」
ことり「……うん。花陽ちゃんも『ゾーン』に入ってるけど、それは凛ちゃんだって同じ。むしろ凛ちゃんの方が先に入ってるから使い慣れるのも早いんです」
あんじゅ「……そう。なら――」
凛「――――――」パァァァァン
花陽「――」グググッ
―― カランッ ――
「ラケットを落としたわね」
「…………」
「これで、マッチポイント、ですか」
『ことぱな 15 - 40 りんあん』
『マッチポイント りんあん』
あんじゅ「…………」ターンターン
凛「――――」
あんじゅ「最後、よろしくね、凛さん」スッ
凛「――――」コクリ
あんじゅ「っ、やっ!」パァァン
花陽「――――」グッ
―― パァァァァン ――
「ここで、凛への前衛アタック!?」
「意表を突いたのですね!」
「けれど、それも共有済みなのよね?」
凛「――――」クルリン
凛「――――――」パァァァァン
花陽「――――」ダッ
花陽「――」トンッ
「今度はドロップ!! さすが花陽だわ!」
「けど、凛も動いてるわ!」
「追い付いて――」
凛「――――」パァァン
花陽「――――」スッ
―― ポーーーン ――
「トップスピンをかけたロブ、これはいくら凛でも……」
凛「――――」グッ
―― ピョーーーーン ――
「凛が跳んだわ」
「あのロブに届くというのですか!!」
あんじゅ「っ、凛さんっ!!」
――――――
「かよちん!!」
「凛ちゃん!」
「いくよっ!!」
「『ダンクスマッシュ』だよね」
「うん! 全力で行くにゃ!!!」
「うん。花陽も絶対返すよ」
「にゃぁぁぁぁっ!!!」
「っ!!!」
――――――
凛「にゃ……」ベシッ
―― フワッ ――
―― トンッ ――
花陽「――――え、あれ?」
ことり「え、ここで、ドロップショット……?」
あんじゅ「あ、時間切れ?」
凛「う、にゃぁぁ……」フラッ
あんじゅ「!?」
ことり「凛ちゃんっ」
花陽「っ、凛ちゃん!?」ダッ
―― ダキッ ――
花陽「は、はぁぁ、よ、よかったぁ……倒れちゃうかと思ったよぉ……」
凛「あはは……ごめんにゃ、かよちん……」
花陽「ううん。凛ちゃんが無事ならそれで……」
凛「…………全力でぶつかりたかったのに……時間切れなんて……」ウウウ
花陽「仕方ないよ」
花陽「また今度、やろう?」
凛「…………」
花陽「……凛ちゃん?」
凛「……イヤだ」
花陽「ふぇっ!? り、りんちゃん!?」
凛「やっぱり、ぶつかるのもいいけど……次は……」
花陽「……あ」
凛「……ね、かよちん?」
凛「またいつか、凛と戦ってほしいにゃ。……でも、今度は――」
花陽「……うん」ニコッ
花陽「今度は、『一緒に』、ね♪」
凛「っ、うんっ!!」
――――――
『ことぱな ② - ④ りんあん』
『勝者 星空凛・優木あんじゅ』
――――――
――――――
凛「かよちん♪ か~~よちん♪」モギュモギュ
花陽「えへへぇ、凛ちゃん♪」モギュモギュ
あんじゅ「…………」
英玲奈「…………なんだこれは」
あんじゅ「解説席よぉ」
英玲奈「それは分かる。この状況がなんだ、という話だ」
あんじゅ「……幸せそうで、なんだか……」
英玲奈「あれを壊そうとしてたんだな、お前は」ボソッ
あんじゅ「うっ……」グサッ
英玲奈「冗談だ」
あんじゅ「冗談に聞こえないわぁ……」
英玲奈「さて、向こうは帰ってくるのに時間がかかりそうだからな。我々だけで次の試合の選手を紹介しよう」
あんじゅ「……えぇ、そうねぇ」
英玲奈「シングルス2はこの二人だ」
「えー♪ わたしが試合するんですかぁ? うまくできるかわかりませんよぉ? でもぉ、やるからにはガンバります♪」ニコッ
「……キモチワルイ」
「ぬぅぁんでよっ!?」
「……はぁぁ、憂鬱ね」
「ふふん! それは負けるのが憂鬱って意味かしら?」
「はぁ!? 寝言は寝てから言ってもらえる?」
「はんっ! いいわっ!」
にこ「にこがこてんぱんにしてあげるわよっ!!」バンッ
「……ふんっ、あまり強い言葉を使わない方がいいわよ?」
真姫「弱く見えるわ」フフンッ
――――――
シングルス2
西木野真姫 vs 矢澤にこ
試合開始
――――――
今日はここまで。
ずいぶんと長くなってますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
まきちゃんオサレかわいい
あれ?
まきちゃん前作でテニスできないとか言ってなかったか?
テニスはできない(テニヌできないとは言っていない)
本日更新予定です。
『1セットマッチ』
『サービス にこ』
にこ「にこが弱く見えるですって……?」ターンターン
真姫「……えぇ」
にこ「むっ……ならっ!」スッ
―― ドクンッ ――
にこ『返してみなさいっ!!』
真姫「っ!?」ゾクッ
―― パァァァァン ――
真姫「っ、これは絵里の……ってことはっ!!」
にこ『そう。『無我の境地』よ』
真姫「まさか、もうコントロール出来るようになってるっていうの……?」
にこ『…………』
にこ『ニコ♪』
『真姫 0 - 15 にこ』
にこ『次、いくにこ♪』ターンターン
真姫「……うっ」
にこ『つーぎーはー』スッ
にこ『これよっ!』パァァン
真姫(さっきとまったく同じフォーム。普通なら絵里のサーブが来るはず……だけどっ!!)
―― グググッ パァァァン ――
「今度は『スライスサーブ』やね」
「……にこのあれには苦戦しました。まったく同じフォームから違うサーブを繰り出すことができるんですからね」
「それに加えて色々な技を出せる『無我の境地』もあるのだから、今のにこは――」
真姫「っ、このくらいならっ」ベシッ
―― ポーーーン ――
にこ『っ、ふっ!』ピョーーーーン
にこ『『ダンクスマッシュ』!!』バシィィィィン
真姫「っ」
『真姫 0 - 30 にこ』
真姫「……うぅぅ」グヌヌ
にこ『ふふ♪ 真姫ちゃん、どうしたのぉ?』ニヤニヤ
真姫「な、なによ!!」
にこ『え~っ、なんだかさっきまでの勢いがないっていうか~、弱く見えるにこぉ♪』
真姫「くぅぅ!! にこちゃんのくせにっ!!」ダンダン
にこ『ふふんっ、悔しかったら』ターンターン
にこ『にこを――』スッ
にこ『――倒してみなさい!!』パァァァン
真姫「言われなくても!!」ダッ
―― ギュルルルル パァァァン ――
真姫「ほらっ! 当たりよっ」パァァン
にこ『そう……ねっ!!』パァァン
―― ググググッ ――
―― パァァァン ――
真姫「今度は『スネイク』っ」ダッ
真姫「まだよっ!!」パァァン
真姫「次! どんな技だって返してあげるわ!!」
にこ『ううん、終わりにこ♪』スッ
―― トンッ ――
真姫「なっ!?」
真姫「ここ、で、ただのドロップ?」
真姫「……い、い」
真姫「イミワカンナイ!!」
『真姫 0 - 40 にこ』
にこ『…………』ターンターン
真姫「っ、来なさい!!」
にこ『……』スッ
にこ『ほっ!』ポーン
「下からのサーブだ!」
「ということは……」
「ウチの『イレギュラーサーブ』かな?」
真姫(希の『イレギュラー』……確かにどこに跳ねるか分からないから一見厄介だけど、対処は簡単よ)
真姫(まずは跳ね際に!!)ダッ
「真姫ちゃんが動いたよ!」
「なるほど。跳ね際を返すのね」
「確かにそれならば返せます!」
真姫「はっ!!」パァァン
真姫(返せた! この調子で――)
にこ『よっ!』パァァン
―― キュゥゥゥ ――
真姫「ボールが伸びた……アウト――」
―― スッ ――
―― トンッ ――
―― キュルキュルキュルキュル ――
真姫「――っ」ゾクッ
真姫「アウトじゃない!? まさか、この音は!?」クルッ
―― パァァァン ――
真姫「……これは、希の――」
にこ『『白鯨』……ニコ♪』
にこ『さ、どうかしら? これでもまだ真姫ちゃんは、にこのこと弱いとか言えるぅ?』ニヤニヤ
真姫「うぅぅぅ!!」
『真姫 0 - ① にこ』
――――――
英玲奈「絢瀬絵里の『高速サーブ』に『スネイク』」
英玲奈「星空凛の『ダンクスマッシュ』に東條希の『イレギュラー』や『白鯨』か」
英玲奈「まさに変幻自在、だな」
あんじゅ「ふふふっ、彼女が味方なんだもの心強いわねぇ」
英玲奈「あぁ。ところで……」チラッ
花陽「あ、うぅぅぅ、すみませんでした……/// 凛ちゃんとなかよくできるのがうれしくて、つい……///」
凛「かよちん分ほきゅーかんりょーにゃ!!」ツヤツヤ
あんじゅ「なかなおりしたみたいでほほえましいわねぇ」フフフ
英玲奈「……まぁ、気にするな。それよりも解説をお願いしたいのだが……」
花陽「え、あっ、はい!」
英玲奈「西木野真姫」
英玲奈「前回の試合にはまったく出ていなかったようだから我々は分からないのだが……」
あんじゅ「あの娘、強いのかしらぁ?」
花陽「え、あっ……」チラッ
あんじゅ「気は使わなくてもいいのよ? どうせここの話なんて試合してる当人たちには聞こえてないんだから♪」フフフ
花陽「えっと……」
英玲奈「あぁ、今回はそちらのチームは君しかいないんだ。単なる一情報として教えてくれ」
花陽「あ、は、はい」
花陽「真姫ちゃんは――」
――――――
今日はここまで。
レス感謝です。
次は明日の夜か日曜の昼間に更新できるかと思います。
気長にお待ちください。
1週間も空いてしまいましたが
本日更新予定です。
期待
更新します。
『チェンジサービス』
『サービス 真姫』
真姫「……ふぅ」ターンターン
にこ『さ、来なさい!』
真姫「言われ――」スッ
真姫「――なくても!!」パァァァン
にこ『なかなか、強烈ね』ダッ
にこ『こんなの返せな~~い』スッ
にこ『わけないわよ!!』パァァァン
真姫「っ、今度は……」
にこ『そ。穂乃果の『リターン』にこ♪』
『真姫 0 - 15 にこ』
真姫「……ほんと、真似だけは上手いわね」ターンターン
にこ『はぁ? だけってなによ!』
真姫「事実でしょ?」スッ
真姫「はっ!!」パァァァン
にこ『……はんっ! 言ってなさい!』グッ
「!! あの構え……」
「あれは私の――」
にこ『『疾きこと風の如く!!』』パァァァン
真姫「はやっ……」キョロキョロ
にこ『……そこよ』
―― トンッ トンッ ――
真姫「~~っ!!」
『真姫 0 - 30 にこ』
真姫「……ま、まだよ」ターンターン
にこ『ふふんっ、強がってるのバレバレよ』ニヤニヤ
真姫「~~っ、このっ!!」スッ
真姫「やっ!!」パァァァン
にこ『っと……』ポーーーン
「あ! ロブだよ!」
「真姫ちゃん! チャンスやよ!」
真姫「分かってるわよ!」ダッ
真姫「これで――」
―― バシィィィィン ――
「いいスマッシュです!」
「これなら、きっと決まるよ!」
にこ『……』
にこ『そうね。確かに』
にこ『これで終わりよ』
―― ポンッ ――
真姫「……」
「真姫ちゃん?」
「なぜ、打ち返さないのですか?」
「動きもしない、なんて……」
真姫「……は?」
真姫「え? ボールはどこに……?」キョロキョロ
―― トンッ ――
真姫「っ!?」
にこ『見えなかった、でしょ? 当然ね』
真姫「……これはまさか……」
にこ『真姫ちゃんの『死角』、丸見えにこ♪』
『真姫 0 - 40 にこ』
――――――
英玲奈「私の『死角』まで使えるのか」
花陽「それに、穂乃果ちゃんの『リターン』に海未ちゃんの『風』も簡単には返せるものではありませんし……」
英玲奈「『無我の境地』か。なるほど、なかなかのものだな」
あんじゅ「……ところでさっきの話、真姫さんの話だけどぉ……」
花陽「あ、はい。えっと、さっきも言ったんですが……」チラッ
凛「真姫ちゃん、弱いにゃ」ズバリ
花陽「り、りんちゃん!?」アセアセ
英玲奈「ふむ」ジーッ
英玲奈「なるほどな」
英玲奈「矢澤にこは確かに強い。『無我の境地』も使いこなしている」
英玲奈「だが、決して対応できないほどではないはずだ」
英玲奈「よく観察してみれば、どの技もオリジナルには劣っているように見える」
凛「うん! 凛の『ダンクスマッシュ』だってもっと強いもん!」
花陽「……う、うん。それは、そうかも……」
英玲奈「身体能力に依存する技は特に、だな。さっきの『死角』も私に言わせればまだ甘い」
英玲奈「……つまり、あれはあくまでも『模倣』。園田海未が前の試合で見せたように『本物の技』ならば、打ち合うことはできる」
英玲奈「……だが」チラッ
あんじゅ「……ねぇ、もしかして、真姫さんって?」ワクワク
花陽「あ、はい」 コクリ
花陽「真姫ちゃんは――」
花陽「――『技』は使えません」
――――――
―― パァァァァァァン ――
『真姫 0 - ② にこ』
――――――
希「『技』が使えない。まるで、どこかの誰かさんやね」フフフ
真姫「うるさい……」
絵里「真姫、ドリンクよ」ハイ
真姫「……ありがと」ボソッ
海未「…………真姫」
真姫「…………なによ」
海未「い、いえ……」
真姫「………………」
ことり(く、くうきがおもいよぉ……)チラッ
絵里(……仕方がないといえば仕方がないことだけど……)チラッ
海未(こういうときこそ……)チラッ
穂乃果「!!!」
穂乃果「…………」コクリ
穂乃果「よしっ!!」
穂乃果「ま、真姫ちゃん!」
真姫「……なに?」
穂乃果「えっと……ファ、ファイトだよ!!」グッ
真姫「…………いってくる」ハァ
穂乃果「!!!」
穂乃果(失敗したァァァァ)アワワワ
真姫「…………」スタスタ
希「真姫ちゃん」
真姫「……なに? 今度は希?」
希「うん」
真姫「……占いでもしてくれるわけ? にこちゃんに勝てる方法」
希「…………」
真姫「……希?」
希「…………ねぇ、真姫ちゃん」
希「本当に勝てないの?」
真姫「は?」
希「……にこっちに勝つ方法、ほんとにないのかなぁって」
真姫「…………」
真姫「はぁぁぁぁ」
真姫「私、みんなが使うような『技』使えないのよ?」
真姫「これで、分かるでしょ?」
希「…………ほんとに?」
真姫「ほんとよ! にこちゃんに勝てないのは癪だけど……」プイッ
希「…………ねぇ」
希「ねぇ、真姫ちゃん?」
希「左目、『充血』しとるよ」
真姫「っ!?」バッ
希「…………」
真姫「…………希」
希「なに?」
真姫「貴女まさか気づいて……」
希「……」
真姫「……」
希「ウチが、ウチが知ってるのは、真姫ちゃんが試合数日前に誰かに会いに行ったってことだけよ」
真姫「…………そう」
希「…………」
真姫「…………」
希「にこっちならきっと大丈夫」
真姫「っ」
希「真姫ちゃんがなにをしたとしても、きっと受け止めてくれるよ」
希「だからな?」
希「思いっきりやったらいいんじゃないかな?」
希「ウチみたいに♪」ニコッ
真姫「…………」
希「…………」
真姫「……いって、くる」
希「うん。行ってらっしゃい」
――――――
――――――
ツバサ「はい、タオル」
にこ「あ! ありがとうござ――ありがと」
ツバサ「…………」
にこ「…………」
ツバサ「ね、にこさん?」
にこ「……なに?」
ツバサ「貴女、気づいてるのね」
にこ「気づいてるって……なにに……」
ツバサ「決まってるでしょ?」
ツバサ「彼女が隠してるもの」
にこ「…………」
ツバサ「ふふっ、じゃなかったら、あんなに煽ったりしないでしょう?」
にこ「……真姫ちゃんとはいっつもあんな感じで……」
ツバサ「別にいいのよ、隠さなくても」
にこ「…………」
ツバサ「凛さんのフォローに彼女の心を解放すること。大変ね、優しい先輩は」フフッ
にこ「べ、べつにそんなんじゃっ///」
ツバサ「まぁ、それはいいわ。ただひとつだけ。忠告よ」
ツバサ「この試合は早く決めた方がいいわ」
にこ「え?」
ツバサ「彼女の『アレ』を開花させたのは、確かに私。だからこそ、言えるわ」
ツバサ「彼女は危険よ」
――――――
『チェンジサービス』
『サービス にこ』
にこ「……すぅ」ターンターン
にこ『よし』
にこ『…………』チラッ
真姫「…………」ジッ
にこ(真姫ちゃんがなにかを隠してるのはわかってた)
にこ(たぶんそれがあまり見せたくないものだということも)
にこ(だから、前回は解説に徹したんでしょうね)
にこ(でも……)
にこ『っ、やっ!』
―― パァァァァァァン ――
真姫「っ、また……」
『真姫 0 - 15 にこ』
にこ(だからこそ、それを見せてほしい)
にこ(真姫ちゃんにはちゃんとそういうのも曝け出してもらわないと……。じゃないと、またあの時……μ'sを止めようとしたときみたいになるから)
にこ(はぁぁぁぁ、まったく面倒なやつよね)
にこ(でも、仕方ない。大事な後輩だもの。だから、こう言ってやるわ!)
にこ『ほら、早くにこを倒してみなさいよ』ニヤッ
にこ(悔しかったら倒してみなさい。真姫ちゃんの全部を曝け出して、ね)
本日はここまで。
レス感謝です。
まきちゃん
すげえわくわくする
次の更新も楽しみだ乙
目が充血?
それってもしかしてワカメか?
だとすると矢澤が危ない!?
まだかな?
ただそうなると「このワカメ野郎」に代わるセリフがどうなるかが気になるな
レス感謝。
本日夜に更新する予定です。
にこ『……さ、次も『高速サーブ』いくにこ♪』ターンターン
真姫「…………」
真姫(…………)
真姫(にこちゃんなら大丈夫、とか)
真姫(きっと受け止めてくれる、とか)
真姫(……馬鹿馬鹿しい。そんなのは妄想よ)
真姫(そんなの私のテニスを見たことがないから言えること。私がアレを使ったら……)
真姫(…………)
真姫(……なにを考えてるのよ、私はっ! 使ったら、なんて仮定がそもそもあり得ない。使えるわけが――)
―― パァァァァァァン ――
真姫「っ!?」
『真姫 0 - 30 にこ』
真姫「っ、危ないじゃないっ!!」
にこ『……それは真姫ちゃんが余所見してるからでしょ?』
真姫「そ、それは……」
にこ『…………』
にこ『……次、行くわよ』ターンターン
真姫「…………」
真姫(余所見してる……?)
真姫(そんなこと、ない)
真姫(私はちゃんと見てるわよ……。今、ちゃんとにこちゃんを見てる)
真姫(だから)
真姫(見えちゃってるからこそ、傷つけたくなくて、使えないんじゃない!)
にこ『さ、次いく――』
にこ『――にこっ!!』パァァァン
―― ギュルルルル パァァァン ――
真姫「『ツイストサーブ』なんて、私には効かな――」グッ
―― カランッ ――
『真姫 0 - 40 にこ』
真姫「……え?」
にこ『…………』
真姫「な、なんでよ……。さっきは普通に返したじゃない……」
にこ『…………』
真姫「技は使えなくても完璧に捉えて、それで返せたのに……」
真姫「まさか、にこちゃんの球威が上がって……?」
にこ『んなわけないでしょ』ハァ
真姫「なら、なんで……?」
にこ『…………』
真姫「っ、答えなさいよっ!!」
にこ『…………』
にこ『はぁぁぁぁ』
真姫「!! なにため息吐いてるの!!」
にこ『まだ気づかない? 真姫ちゃん?』
真姫「気づくって、なにを……」
にこ『…………』
にこ『ねぇ、真姫ちゃん』
真姫「……なによ」
にこ『あんたの試合の相手は誰?』
真姫「は、はぁ? そんなのにこちゃんに決まってるでしょ?」
にこ『そう。そうよ。真姫ちゃんの相手はにこよね』
真姫「そんな当たり前のこと――」
にこ『じゃあ、なんでにこを見てないのよ』
真姫「…………え?」
にこ『ちゃんと……にこを見なさい』
真姫「なにを……」
にこ『真姫ちゃんさ、なにか隠しながらプレイしてるわよね』
真姫「っ!?」
にこ『分かるわ。なにかを隠そうと、押さえ込もうとしてる奴が身近にいたから』
真姫「…………」
にこ『そういう奴って大体同じ。余所見してる』
にこ『『自分のせいで』どうにかなっちゃうんじゃないか。『自分のせいで』傷つけてしまうんじゃないか』
にこ『そんな風に相手を直視しないで、自分のことだけ見てる。余所見してるのよ』
真姫「…………っ」
にこ『…………』
にこ『ねぇ、真姫ちゃん?』
にこ『……そいつに言われなかった? 』
にこ『思いっきりやれ、って』
真姫「……っ」
にこ『図星?』
真姫「…………」プイッ
にこ『みたいね』
にこ『真姫ちゃん。もう気づいたわよね』
真姫「…………」
にこ『あんたの相手は自分じゃない。相手はにこよ』
にこ『だから、あんたはそのためにやれることをやりなさい』
にこ『自分を受け入れて、曝け出して』
にこ『そしてさ』
にこ『思いっきりぶつかってきなさい!!』
真姫「にこ、ちゃん……」
にこ『本気の真姫ちゃんがどんなテニスをするか知らない。けど、にこが全部叩き潰してあげるわ!』
にこ『どうせ勝つのはにこだし♪』ニヤッ
真姫「…………」スッ
―――――― ジワッ ――――――
――――――
そう。
本当に希の言う通りだったわね。
にこちゃんは、きっと受け止めてくれる。
だから、私は使うわ。
思いっきりぶつかってやる。
ねぇ、にこちゃん。
先に言っておくわね?
「ごめんなさい」
――――――
――――――
英玲奈「っ」ゾワリッ
英玲奈「なんだ……今の悪寒は」
あんじゅ「……あら、英玲奈もかんじたのね」
英玲奈「……あんじゅもか。どうやら思い違いではなかったようだな」
あんじゅ「えぇ。そして、たぶん原因は……」チラッ
花陽「真姫、ちゃん?」
凛「だよね……?」
花陽「う、うん。でも、雰囲気がいつもと全然……。それに、真姫ちゃんの目、真っ赤に充血してる」
凛「……なんたか、怖いにゃ……」ギュッ
花陽「……大丈夫」ギュッ
凛「うん」
花陽「大丈夫だよね、にこちゃん……」
――――――
真姫「…………」
にこ『…………』ターンターン
にこ『…………』チラッ
にこ(目が真っ赤に充血してる)
にこ(それに、雰囲気が変わった……?)
にこ(なによ、これ。いつものあったかい真姫ちゃんとは全然違う……。冷たくてざらつくみたいな空気……)
にこ『……えっと、真姫ちゃん?』
真姫「………………フフッ」
にこ『……っ』ゾワリッ
にこ『っ!』スッ
―― パァァァァァァン ――
「また絵里ちゃんのサーブだよ!」
「このゲームを取りにいったのね」
「賢明ですね。これで――」
真姫「――アハッ♪」バッ
にこ「なっ!?」
にこ(絵里の『高速サーブ』に追い付いた!? スピードが上がってる!? この終盤で……?)
にこ(しかも――)
真姫「ふふッ!!」パァァァァァァン
「打ち返しました!!」
「まさか!! 私のサーブよ……?」
にこ『……っ』ダッ
にこ(……絵里のサーブは確かに速い。でも、それより脅威なのがその打球の重さ)
にこ(…………なるほど。あの『赤目モード』、スピードと、それにパワーも上がるのね)
にこ(確かに絵里のサーブを返されたのは想定外……だけど!!)
にこ『まだ――』クルリン
にこ『――まだよっ!!』パァァァン
「今度は凛ちゃんの『背面ボレー』やね」
「……角度もついてるわ 。これで――」
にこ『――終わりよ!!』
真姫「ハァ? 終わらせるわけないデショ♪」グッ
「あの体勢……ボレーにスマッシュを!?」
「って、待ってください!! そこでスマッシュを打ったら、にこに当たってしまいますっ!!!」
「っ!?」
「にこっち!!!」
にこ『………………え?』
―― バシィィィィィン ――
『アウト』
『真姫 0 - ③ にこ』
「あ、あうと……」ホッ
「さすがに強引すぎた、みたいね……」フゥ
「き、きっと手元が狂ってしまったのでしょう」
「…………」
にこ『…………』プルプル
にこ『っ』ガクッ
にこ『……はぁ、はぁ……』ガクガク
にこ(……震えが止まらない)
にこ(アウトとか、手元が狂ったとかそういうんじゃない)
にこ(あれはわざとだ)
にこ(避けなかったら、顔に当たってた……)
にこ(……ううん。あれはたぶんわざと外したのよね……)
にこ(だって、さっき、あの娘言ってたもの……)チラッ
――――――
真姫「フフフ、よかったわ、当たらなくて」
真姫「まだパーティーは終わらナイワ♪」アハッ
――――――
今日はここまで。
予想通り真姫ちゃん赤目モード。
デビル化に近いかもですが……。
リアル多忙のため次の更新は未定です。
だらだら待っていていただけるとありがたいです。
从廿_廿从 ヴェエ
乙
赤也か懐かしいな
前回の海未戦といいにこちゃん身体を酷使しまくりね
露骨なKO狙いか
これぞテニヌだよな
>>181
たしかに
矢澤酷使しすぎぃぃ
もう無我は使ってるからどうやって勝つのか見物
本日夜に更新予定。
期待
更新。
真姫「……フフッ」ターンターン
にこ『…………』ブルッ
にこ(落ち着きなさい、にこ)
にこ(確かにさっきのは狙われたわ)
にこ(けど、あれは至近距離だったから。つまり、前に出さえしなければ……)
にこ『……大丈――』
――ギリギリギリギリ ――
にこ『っ!?』
真姫「いくワヨ?」スッ
真姫「フッ!!!」バァァァァァァン
「強烈なサーブです!」
「あの『赤目モード』はパワーが格段に上がるみたいやね」
「うん。でも、今のにこちゃんなら……」
にこ『そうよっ、関係ない!!』ダッ
にこ(パワーがあっても今のにこなら! 穂乃果の『リターン』で決めるわっ!)
真姫「フフッ」
にこ『――』ゾワリッ
―― ギュルルルル ――
にこ『っ、この回転っ!?』
真姫「いい忘れてたワ。その打球、どこに跳ねるか全くワカラナイわよ?」
真姫「私以外は……ネ♪」フフッ
―― パァァァン ――
にこ『っ!?』
―― バシィィン ――
「にこ!?」
「にこちゃん!!」
「にこっち!!!」
『真姫 15 - 0 にこ』
にこ『……はあっ、はっ……』
真姫「……避けたのネ」
にこ『はんっ、あんなの余裕で避けられるわよ』ガクガク
真姫「フゥン……そのわりには、手、震えてるわヨ?」
にこ『っ』バッ
真姫「ま、いいワ。次は……フフッ♪」
にこ『――』ゾワッ
「に、にこちゃん、避けたんだね! よかったぁぁぁ」
「そう、みたいね。でも……」
「……えぇ。嫌な予感がします」
「ことりも……」
「…………」
真姫「さ、次、行きまショ?」ターンターン
にこ『……』ブルッ
―― ギリギリギリギリ ――
真姫「あ、忘れてたわネ、このサーブの名前――」スッ
真姫「『ナックルサーブ』!!!」バァァァァン
にこ『またっ――』ダッ
―― ギュルルルル ――
にこ『はぁぁぁっ!!』グッ
―― パァァァン ――
―― バシンッ ――
にこ『――痛っ』
「あぁっ!?」
「あ、当たっちゃったっ……」
「にこ!!」
にこ『…………っ』
真姫「……フフッ、今度は当たったワ♪」
にこ『――』
真姫「やっぱりこれが相手に当たるといい気分ネ」フフフッ
にこ『っ、はっ、残念だけど……かすっただけよ」
真姫「……は?」
にこ「ほら、この通りにこっ♪」ブンブン
真姫「……そう」クルッ
にこ「…………」
にこ「……」ズキズキ
『真姫 30 - 0 にこ』
真姫「今度は確実に決めるカラ……」ターンターン
にこ「きてみなさい!!」
―― ギリギリギリギリ ――
真姫「決めるッ!!」バァァァァン
にこ「なめるんじゃないわよ!! にこだって何度もやられはしない!」
にこ「返すわ!!」
―― ズキッ ――
にこ「痛っ」
―― ギュルルルル ――
にこ「しまっ――!?」
―― パァァァン ――
にこ「あ――っ、がっ……~~~~っ」ウズクマリ
絵里「にこっ!!」ダッ
穂乃果「にこちゃんっ!!!」
海未「っ、ことり! 救急箱を!!」
ことり「あっ、えっ……?」
海未「はやくっ!!」
ことり「うんっ」ダッ
にこ「っ、はっ――――」
花陽「にこちゃんっ」
ことり「救急箱、それと氷! 持ってきましたっ」
絵里「ことり! それ、貸して!!」
ことり「うんっ!!」
絵里「っ、膝に当てるわよ…………」
にこ「っ、は……痛っ」
絵里「少しだけ、我慢して……」
にこ「……っ、ん、はっ」
海未「花陽、包帯の方をお願いします!」
花陽「は、はいっ」
海未「にこ、少々失礼します」バッ
にこ「っ、えぇっ……」
海未「……膝の外側がかなり赤く……」
にこ「……はっ、痛――」
海未「絵里、氷をそのまま当てておいてください。ことりと花陽は――」
―― バンッ ――
真姫「……なにするノヨ」
凛「なにするって!!? それは真姫ちゃんのほうだよっ!!」ガシッ
真姫「つかまナイデ」
凛「っ!! 真姫ちゃんっ!!」
真姫「イミワカンナイ」
凛「にこちゃんにあんなひどいことしてっ!!」
真姫「…………ハァ、クダラナイ」
凛「なっ!?」
真姫「そもそも挑発してきたのはにこちゃんのホウヨ?」
凛「っ、でもっ!!」
真姫「でも、じゃないワヨ。わかる? つまり、自業自得……ってヤツ」フフッ
凛「っ、もう……許さない……許さないッ!!」バッ
――――――
「そこまでや、凛ちゃん」
――――――
凛「っ、なんで止めるのッ!!」
凛「希ちゃんっ!!」
希「…………」
凛「にこちゃんにひどいことしたんだよっ!! なのに、反省しないでっ!! こんなのッ!!」
真姫「フンッ」
希「…………たしかに」
希「たしかに、ゆるせない。ウチだって凛ちゃんと同じ気持ちよ」
凛「だったらっ!!」
希「でも、今の真姫ちゃんは正気じゃない。『ソレ』に人格も支配されてる、みたいやから」チラッ
真姫「……フフッ」ジワッ
凛「でもっ――じゃあ……」
希「…………」
凛「…………」シュン
希「……大丈夫」ボソッ
凛「のぞみ、ちゃん?」
希「真姫ちゃんはちゃんと正気に戻る」
希「ううん。戻してくれるから」スッ
凛「――え?」
――――――
「邪魔よ」
「退きなさい、凛」
にこ「まだ試合は終わってないわ」
――――――
凛「にこ、ちゃん……」
にこ「ったく。揃いも揃って……。試合も終わってないのに、コートに入るのはマナー違反よ」
凛「でもっ! だって!!」
にこ「……とにかく退いてなさい。あとはにこがやることよ」
凛「……うん」シュン
にこ「…………」チラッ
凛「…………」シュン
にこ「はぁぁぁ」
にこ「まぁ、でも……」
にこ「にこのために怒ってくれたのは……ありがと」ナデナデ
凛「っ、うんっ……」ウルッ
にこ「ほら、泣かないの!」
凛「っ、りょうかいにゃっ」ゴシゴシ
にこ「ん、ならよし。あっちでみんなと待ってなさい」
凛「……うん!」タッ
希「…………にこっち」
にこ「……なによ?」
希「ごめん」
にこ「……いきなりね。なにがよ?」
希「……凛ちゃんの手前、ああは言ったけど……」
希「真姫ちゃんがこうなったのはウチのせい」
希「ウチが背中を押したから……そのせいで真姫ちゃんは……にこっちも……」ウツムキ
にこ「…………」
希「…………」
にこ「希」
希「……うん」
にこ「違うわよ、それ」
希「え…………違うって……」
にこ「あんたのせいじゃなくて――」
にこ「希。あんたのおかげ」
にこ「あんたのおかげで」
にこ「本気の真姫ちゃんと戦える」ニッ
希「……にこっち?」
にこ「だから、その無駄にデカイ胸を張りなさい!」ニヤッ
希「で、でも……このままじゃ……」
にこ「はっ! 安心しなさい!」
にこ「大丈夫! にこは負けないわ!!」
『試合再開』
『真姫 40 - 0 にこ』
にこ「…………」
真姫「…………」
にこ「…………」
真姫「…………」
にこ「待たせたわね」
真姫「ううん、かまわないワ」
にこ「続きからやるわよ」
真姫「……大丈夫なの?」
にこ「……なんのこと?」
真姫「その左膝」ターンターン
にこ「…………」
真姫「見たところ、内出血してて、立ってるのも辛いはずダケド?」ターンターン
にこ「…………ハンデよ、ハンデ」フンッ
真姫「……ソ」ターンターン
真姫「なら――」ターンターン
―― ギリギリギリギリ ――
―― パァァァン ――
にこ「っ、あがっ――」
真姫「安心して痛めつけてあげらレル♪」
にこ「~~っ、はっ、効かないわ、よっ!!」ズキズキ
真姫「…………は?」
にこ「このっ……程度で!! 音を上げるわけないでしょ!!」
真姫「……なに、ソレ」イラッ
にこ「はんっ、何度も言ってるでしょ? 悔しかったらね……」
にこ「にこを倒してみなさいよ!!」ニカッ
真姫「イミワカンナイ……」キッ
『真姫 ① - ③ にこ』
――――――
矢澤にこの膝が壊れるまで
あと『 』球
――――――
本日はここまで。
この休み中にはまた更新できるようにします。
がんばれ、にこ。
ヒエッ・・・やっぱりダイレクトアタックか・・・
乙
ダイレクトアタック…遊戯王かな?
まきちゃん怖い
矢澤勝てるのか……
本日更新予定。
――――――
凛「…………」ゴシゴシ
花陽「凛ちゃん、大丈夫?」
凛「うん、凛は大丈夫」
花陽「そっか……」
あんじゅ「……矢澤さんはだいじょぶそうなの?」
花陽「わかりません。アイシングして少しはよくはなったみたいですけど」
凛「…………」ウツムキ
英玲奈「長くは保たないだろうな」
英玲奈「……ふむ」
英玲奈「『赤目モード』」
英玲奈「なにが原因かは分からないが、身体能力が格段に上がっているようだ」
英玲奈「さらに、攻撃性も上がる、と」
あんじゅ「相手にしたくはないわねぇ」
英玲奈「あぁ、私もごめんだ」
花陽「…………」
凛「でも、にこちゃんは戦ってるんだよね」
花陽「……うん。きっとにこちゃんなら――」
――――――
『チェンジサービス』
『サービス にこ』
にこ「……はぁっ」ターンターン
真姫「息が上がってるワ」フフッ
にこ「……気のせいよ」ハァ
真姫「それにもう『無我の境地』も使えないジャナイ」
にこ「ふんっ、そんなのなくても」スッ
にこ「はっ!!」パァァァン
真姫「ホラ、ただのサーブ♪」グッ
真姫「自分の技も打てないヨウジャ――」
真姫「フフッ」パァァァン
にこ「それはそっちだって同じよ!」
にこ「『ナックルサーブ』じゃないならっ!!」
―― ズキッ ――
にこ「っ、痛っ」グラッ
―― パァァァン ――
にこ「…………っ」
真姫「にこちゃんを倒してみろッテ?」
真姫「フフッ♪ お望み通り倒してア・ゲ・ル♪」
『真姫 15 - 0 にこ』
にこ「……っ、はぁっ」
真姫「フフッ、サーブしないノ?」
にこ「する、わよ」スッ
―― ズキッ ――
にこ「かっ……」ベシッ
真姫「あーあ♪ こんなサーブジャ……」グッ
真姫「狙われちゃうワヨ?」ニヤリ
―― パァァァン ――
「今度はダイレクトにっ」
「にこちゃん! よけてっ!!」
にこ「っ!?」
―― バシンッ ――
にこ「がっ――はっ……」
『真姫 30 - 0 にこ』
――――――
―― バシンッ ――
にこ「っ、がぁっ――」
『真姫 40 - 0 にこ』
――――――
絵里「見て、られないわ……」
穂乃果「もういいよっ!!」
海未「っ、そうです……穂乃果の言う通り止めに入りましょう!!」
ことり「うんっ」
希「…………いや、まだ。にこっちなら――」
――――――
―― バシィンッ ――
にこ「いっ――は、はっ」
『真姫 ② - ③ にこ』
――――――
希「…………」
絵里「にこの意志は尊重したいけれど」
希「……うん。もうム――」
にこ「…………っ」ジッ
希「え? にこっち?」
にこ「…………」ニカッ
――――――
『チェンジサービス』
『サービス 真姫』
真姫「…………」ターンターン
にこ「はっ、痛……」ズキズキ
真姫「…………」
―― ギリギリギリギリ ――
真姫「ハッ!!」パァァァン
―― ベシィィンッ ――
にこ「~~っ、あがっ」
『真姫 15 - 0 にこ』
にこ「は、ふっ……はぁ、はぁっ」
真姫「…………」
にこ「~~っ、ふっ…………はっ」スッ
真姫「……っ」
にこ「さ、次来なさい」ニカッ
真姫「っ、なんでまだ立てるノヨッ」
にこ「は? あんたこそなに言ってるのよ」
にこ「まだ試合は終わってないでしょ?」
真姫「ッ、あ~っ、モウッ!!」イライライライラ
真姫「イライラするイライラするイライラスルノヨッ!!!」
真姫「そんなにやられたいなら――」
―― ギリギリギリギリ ――
真姫「――終わらせてアゲルッ!!」パァァァン
――――――
にこ「そう、来るわよね」ニヤッ
―― トンッ ――
――――――
―― トンッ トンッ ――
「にこちゃん、返したよ……?」
「ど、ドロップショット」
「……にこっち」
真姫「ナ……」
真姫「私の『ナックルサーブ』を……」
にこ「はっ、はぁっ……」
真姫「なんで返せタノヨ」
にこ「……はぁっ、はんっ! こんなに執拗に膝狙われたらそりゃ返せるわよ」
真姫「っ」
にこ「まずは一点」ニカッ
『真姫 15 - 15 にこ』
真姫「……」イライラ
にこ「…………ふふっ」
真姫「なにがおかしいノ……」イラッ
にこ「イライラしてる、わね」
真姫「っ」
―― ギリギリギリギリ ――
真姫「ハァァッ!!!」パァァァン
―― ギュルルルル ――
にこ「……次は」スッ
にこ「顔でしょ!!」パァァァン
真姫「ッ!?」
『真姫 15 - 30 にこ』
真姫「また私の『ナックルサーブ』を返しタ? イミワカンナイ……」
にこ「はぁっ、はっ……ふぅ。そりゃイミワカンナイでしょうね」
真姫「…………」
にこ「今のあんたは、にこを痛めつけることしか考えられない、でしょ?」
真姫「ッ」
にこ「図星ね」フフンッ
真姫「…………」ギリッ
にこ「たしかに、バウンドする方向が分からない『ナックルサーブ』を返すのは難しいわ。でも、もう『あんた』のサーブは全部読めたわよ」
真姫「……」
にこ「だから、もし、にこを倒したいんだったら――」
にこ「早く戻ってきなさい!! 『真姫』!!」
―――――― ドクンッ ――――――
――――――
「……だそうダケド」
「…………」
「…………ハァ、臆病者ね」
「…………っ、なにをッ!?」
「自分で戦うのが怖いンデショ?」
「…………」
「図星ネ。だから、ワタシを作り上げた……」
「私は……」
「…………」
「…………私」
「……ネェ」
「え?」
「にこちゃんが言ってたこと……オボエテル?」
「にこちゃんが言ってたこと…………」
『だから、あんたはそのためにやれることをやりなさい』
『自分を受け入れて、曝け出して』
『そしてさ』
『思いっきりぶつかってきなさい!!』
「………………」
「ワタシだけじゃ勝てないワヨ? 悔しいケド」
「…………」
「あなたもいないと勝てない」
「…………」
「……えぇ、分かってるわ」
「私はワタシ」
「そうヨ、ワタシは私」
「「だから」」
――――――
――――――
花陽「あ、あれ?」
凛「真姫、ちゃん?」
英玲奈「どうしたんだ?」
花陽「あ、はい。なんだか、真姫ちゃんの雰囲気が変わったような気がして……」
あんじゅ「そうかしら?」
英玲奈「目の色も変わっていないようではあるが……」
凛「うん……」
凛「でも、やっぱり違う! あれは真姫ちゃんにゃ!」
花陽「うん! あれは真姫ちゃんです!」
――――――
真姫「…………」ターンターン
にこ「真姫ちゃん……?」
真姫「……なに?」
にこ「…………ふふっ」
真姫「なに、笑ってるのよ」
にこ「……別に?」
真姫「ふんっ、笑ってられるのも今のうち……」スッ
―― ギリギリギリギリ ――
真姫「はあっ!!」パァァァン
「また『ナックルサーブ』」
「でも、にこなら――」
にこ「……さっきまでならね」グッ
―― ギュルルルル ――
―― パァァァン ――
「ネット側に跳ねた!?」
「バックスピン!?」
「にこの体を狙わない……ってことは!!」
にこ「さすがにそれは返せないわね」フゥ
真姫「とうぜんよっ」フフンッ
にこ「…………ふふっ」
真姫「…………ふんっ」
にこ「おかえり、真姫」ニカッ
真姫「ただいま、にこちゃん」フフッ
『真姫 30 - 30 にこ』
今日はここまで。
予想以上に長くなっていますが懲りずにお付き合いくださると嬉しいです。
从廿_廿从 デッショー
まきちゃん戻ってきたみたいでよかった
今回はまきちゃんの勝ちか
まきちゃん戻ってきてくれてなんか嬉しい
まきちゃん
まきちゃんが赤目の役割っていいよなぁ
すげぇ合ってるし燃える
レス感謝。
更新できたら本日の夜に更新します。
真姫「次、行くわよ」ターンターン
にこ「……来なさい」
―― ギリギリギリギリ ――
真姫「――」スッ
真姫「ハッ!!」パァァァン
にこ「『ナックルサーブ』……今度は……」
―― ギュルルルル ――
―― パァァァン ――
にこ「っ、真正面ならっ!!」グッ
にこ「やっ!」パァァァン
「!! にこちゃん、返したよ!」
「正面に来たサーブたからでしょう。ですが……」
―― トンッ ――
にこ「ドロップショット、ね」
真姫「……えぇ」
にこ「…………」
真姫「…………」
にこ「卑怯、なんて言わないわよ?」
真姫「……えぇ。私は全力でいく。それが――――でしょ?」
にこ「はんっ! 分かってるじゃない」
『真姫 40 - 30 にこ』
真姫「…………」ターンターン
―― ギリギリギリギリ ――
真姫「次!」パァァァン
にこ「今度はっ――」グッ
―― ギュルルルル ――
―― パァァァン ――
「バウンドが低い。足元を狙ったってわけね」
「いままでは普通にバウンドしてたから、不意打ちやね」
「……でも、返せるわよね? にこさん?」
にこ「当然っ! まだよっ!!」グッ
―― ズキッ ――
にこ「痛っ!?」グラッ
にこ「っ」ポーーーーン
「にこが甘いロブをっ!」
「にこっち、やっぱり膝が……」
真姫「にこちゃんっ……」
にこ「……っ」ズキズキ
にこ(失敗、したわね)
にこ(完全に忘れてたわ……)
にこ(でも、ここで引くわけには――)
にこ「来いっ!!」キッ
真姫「っ、上等よッ!!!」バッ
にこ(真姫が本気でぶつかってきてる)
にこ(だから、引くわけにはいかないのよっ!!)
真姫「『ナパーム』ッ!!!」バシィィィィン
にこ「なっ!?」
―― カランッ ――
――――――
花陽「にこちゃんのラケットがベースラインの後ろまで弾かれちゃった……」
凛「す、すごいスマッシュにゃ……」
英玲奈「『赤目モード』で上がったスピードでロブへと追いつき、渾身の力を込めて打ち込むスマッシュか」
英玲奈「相手のグリップに当たっただけであの威力……」
英玲奈「なるほど、まさに『ナパーム』だ」
あんじゅ「あれは『イリュージョン』でも真似できそうにないわねぇ」
英玲奈「……そうだろうな。しかし、これで――」
――――――
にこ「なんてパワーよ……」ビリビリ
真姫「どう? これが私の『ナパーム』」フフンッ
にこ「…………まぁまぁにこ」
真姫「むっ」
にこ「…………」
真姫「まぁ、いいわ! どちらにせよこれで!」
『真姫 ③ - ③ にこ』
真姫「追いついた」フフンッ
にこ「…………」
にこ(正直まいったわ)
にこ(真姫の『赤目モード』は予想以上に強い)
にこ(あの『ナパーム』なんて返せる気がしないわ)
にこ(膝はこれだし)
にこ(そのうえ、頼みの綱である『無我の境地』も使えない)
にこ(はぁぁぁぁ……)
にこ(残念だけど、この試合はここで…………)
にこ(………………)
にこ(…………あれ?)
にこ(『無我の境地』が頼みの綱?)
にこ(いやいやいやいや)
にこ(思い出すのよ、矢澤にこ!!)
にこ(そう。にこは元々技なんて使えない。使えなかった)
にこ(それであの海未と戦った。戦って勝ったの!)
にこ(…………そう!)
にこ(『無我の境地』? そんなのいらないわ!)
にこ(にこは戦う。にこの武器で!)
にこ(さぁ、考えるのよ)
にこ(今の真姫はスピードもパワーも高い)
にこ(『ナックルサーブ』と『ナパーム』なんて技もある)
にこ(次はにこのサーブだから『ナックルサーブ』は考えなくていい)
にこ(ただ膝のコンディションは最悪)
にこ(強いサーブは打てないわ)
にこ(かといって弱いサーブを打ってサイドに振られたらアウト。第一動くことだって…………)
にこ(ああぁぁぁっ!!! もうっ!!!)
にこ(もうやめよ! やめ!)
にこ(考えても分からないわよっ!!)
にこ(威力の高いサーブも打てないし、弱いサーブも無理とかどうすりゃいいってのよっ!?)
にこ(そもそも走り回ることもできないのにッ!!)
にこ(…………ん?)
にこ(いや、待って。逆よ、逆)
にこ(動けないなら――)
――――――
にこ「動かなければいい……?」
――――――
真姫「は? 動か……なに?」
にこ「あっ……いや、なんでもないわ」
真姫「……そう」
にこ「……えぇ」
真姫「……じゃあ、ほら、早くしなさいよ。にこちゃんのサーブからよ」
にこ「分かってるわよ」
にこ「……………………」
『チェンジサービス』
『サービス にこ』
にこ「…………ふぅ」ターンターン
真姫「…………」グッ
にこ「っ」スッ
にこ「やっ!!」シャッ
真姫「……え?」
「下からのサーブ!?」
「まさか希の『イレギュラー』ですか?」
「いいえ! 違うわ! にこは『無我の境地』を使ってない」
「じゃあ……?」
「…………」
真姫「っ、ふっ!!」パァァァァン
真姫「なんのつもり! にこちゃんっ!」
――グッ ――
にこ「!!」
にこ「なんのつもりって……っ」ダッ
にこ「もちろん、勝つつもり、ニコッ♪」パァァァン
真姫「なら、なんで下からのサーブなんて」ダッ
真姫「諦めたなら言いなさい、よねっ!!」パァァァン
―― ググッ ――
にこ「はんっ! そんなわけ――」
―― ズキッ ――
にこ「っ」
―― パァァァン ――
『真姫 15 - 0 にこ』
にこ「ったくついてないわ」サスサス
真姫「…………大丈夫?」
にこ「……ふぅ。えぇ、まぁどうにか」
真姫「そう」
にこ「……さ、とっととつぎ、いくわよ」
真姫「…………そう、ね」
真姫(本気でにこちゃんを倒す)
真姫(それが私を呼び戻してくれたにこちゃんへの礼儀)
真姫(そのためなら、私はにこちゃんの弱点を突くことを躊躇わない)
真姫(それに、さっきの諦めたとも思える下からのサーブで、私は少し気が立ってしまって……)
真姫(だから、さっきのショットだって、追いつけない位置に打った――はずだったのに)
真姫(たぶんだけど、あのままなら、ギリギリ届いていた)
真姫(そんなわけない、なんて――)
にこ「さ、構えなさい。真姫」ニカッ
真姫(――言えない)
真姫(きっと、にこちゃんは本気だわ)
真姫(体力は限界で、膝だって痛いはずなのに)
真姫(まだ諦めてない)
真姫(なら、私も――)
真姫「いつでもいいわよ、にこちゃん」ニッ
真姫(最後まで、全力で!)
――――――
花陽「にこちゃんはそのあとも下からのサーブを打ち続けました」
花陽「スピードもパワーもそこまで高くない普通のアンダーサーブでした」
花陽「けれど、真姫ちゃんはそれをコーナーへは返しません。きっとにこちゃんの膝のことを気にしてるんでしょう」
花陽「ただ、やっぱりにこちゃんは限界みたいで、このゲームは真姫ちゃんが決めました」
花陽「あと1ゲームを真姫ちゃんがとれば、試合は終わって……」
花陽「……って、凛ちゃん?」
凛「……んー」ゴシゴシ
花陽「どうかした?」
凛「かよちーん……目が疲れるにゃぁぁ」
花陽「うーんと? もしかして、眠くなっちゃった? 花陽のおひざで寝る?」
凛「……んー、それもいいけど……。でも、眠いわけじゃないにゃ。ただ……」グシグシ
凛「にこちゃんのボール、すごく回転かかってて見てるの疲れるんだぁ」
花陽「回転……?」
――――――
『真姫 ④ -③ にこ』
『ゲームセットまであと1ゲーム……?』
――――――
今日はここまで。
次回でシングルス2完結予定。
信じられるか?
3ヶ月でまだ3試合しかやってないんだぜ?
この調子だと、全編完結までにあと2ヶ月かかりそうですが、お付き合いくださると幸いです。
乙
矢澤ゾーンかな
信じられるか?
完結したらさらにサンシャイン編も書いてくれるんだぜ?
何でもサンシャイン編では満を持して波動球が解禁されるそうな…
ナパームとかまたマイナーな技をww
いっそのこと銀華三昧やってほしいわww
自分のペースでやってくれ
本日更新予定。
急な仕事のため更新できなくなりました。
申し訳ありません……。
待ってるから気にすんな
面白いし完結してくれればそれでいいんやで
まつてる
本日更新します。
『チェンジサービス』
『サービス 真姫』
真姫「……」ターンターン
にこ「……」ハァハァ
真姫(あと、1ゲーム)
真姫(けど、なにかがおかしいわ)
真姫(さっきのゲーム、にこちゃんのアンダーサーブに私は全力で返球した。コーナーを突こうとしてた)
真姫(なのに、私のリターンはコーナーには返ることはなかったわ)
真姫(これは、一体……)
真姫(…………)
真姫(いいえ。にこちゃんが何をしてるのかわからないけど!)
―― ギリギリギリギリ ――
真姫「っ」スッ
真姫「決めるッ!!」パァァァァァン
「『ナックルサーブ』!」
「真姫ちゃん、このゲームで決める気やね」
にこ「重っ! でも!!」グッ
にこ「まだよ!!」パァァァァァン
真姫「こっちだってまだ余裕、よっ」パァァァァァン
「真姫ちゃん巧い! コーナーギリギリに打った」
「あれは流石ににこでも無理だわ!」
真姫(今度こそコーナーよ! これで――)
―― グググッ ――
真姫「なっ!? またっ!?」
にこ「っ」ズキッ
にこ「――ふっ」フワッ
―― トンッ ――
真姫「……っ」
にこ「――しっ」グッ
『真姫 0 - 15 にこ』
真姫(さっきのプレー)
真姫(私の打った打球がにこちゃんの方に引き寄せられたように見えたけれど……)
真姫(……ありえない。そうは思うけど)
真姫「……」ターンターン
にこ「……はっ、はぁっ……」
真姫「……」スッ
真姫「ハッ!!」パァァァァァン
にこ「重い……っての!」パァァァァァン
真姫「っ」ダッ
真姫(私の渾身の技で!!)ジワッ
真姫(見極めるッ!!)
真姫「返してみなさい!!」
―― ギュルルルルル ――
真姫「『ナックルショット』!」パァァァァァン
「あれは!?」
「私たちにはわからない……けど」チラッ
「そうやね」チラッ
「――ツバサさんなら知ってるんやない?」
「…………えぇ」
「打ち出す瞬間に体と手首にひねりを加えることで『ナックルサーブ』のように複雑な回転をするショット」
「『赤目』の真姫さんが使える最強の技よ」
真姫「これが私の全力よ!!」
真姫「これで終わり――」
―― ググググッ ――
真姫「っ、やっぱり打球がにこちゃんに引き寄せられてる!?」
真姫「私の『ナックルショット』を引き寄せる、なんて……!?」
にこ「終わり?」
にこ「そんなわけないわ! やっと見つけたのよ?」
にこ「にこの『技』、にこだけの『武器』」グッ
にこ「真姫ちゃん、今答えるわ!」
にこ「これがにこの全力、ニコッ♪」トンッ
―― トンッ ――
―― シュルルルルル ――
―― ポスンッ ――
真姫「……ボールが跳ねずに、戻って――」
にこ「……そうね」
にこ「『にこ式ドロップ』」
にこ「にこの初めての『技』、そう呼ぶことにするわ」ニカッ
『真姫 0 - 30 にこ』
――――――
あんじゅ「バックスピンのかかったドロップショット」
あんじゅ「わたしもできないことはないでしょうけど、まったく跳ねないのはすごいわねぇ」
英玲奈「そうだな。だが、それだけではない。星空には見えていたようだが……」チラッ
凛「うん! にこちゃんのボール、すごい回転がかかってたにゃ」
花陽「あ、さっき言ってたこと?」
凛「そう!」コクコク
英玲奈「相手の回転を予測した上で回転をかけることで、相手が打球を打ち返しても、その場を殆ど動く事無く、相手の球を打ち返し続ける技、か」
花陽「花陽には回転が見えないから、にこちゃんの周りにボールが勝手に集まってくるみたいに見えます」
花陽「にこちゃんのゾーン……名前をつけるとするなら『にこに――」
凛「『矢澤ゾーン』にゃ!!」ババンッ
花陽「……え、あ、うん」
あんじゅ「まあ、ふつうに考えたらありえないわよねぇ」
英玲奈「あぁ。同じフォームから違う回転のサーブを繰り出せる技能と『無我の境地』で体験してきた様々な経験がなせる技、まさに神業だ」
花陽「…………凛ちゃん」
凛「……ん? なに、かよちん?」
花陽「……すごいね」
凛「うん、すごいにゃ」
花陽「これが部長、なんだね」
――――――
――――――
花陽「にこちゃんの『矢澤ゾーン』と『にこ式ドロップ』」
花陽「真姫ちゃんも頑張りますが、ゲームを落としてしまいます」
花陽「そして、ゲームはタイブレークへ」
花陽「にこちゃんの『ツイストサーブ』」
花陽「新技『にこ式ドロップ』」
花陽「真姫ちゃんの『ナパーム』」
花陽「『矢澤ゾーン』からのコーナーを突いたショット」
花陽「『ナックルサーブ』と『ナックルショット』」
花陽「二人の技がぶつかって」
花陽「ゲームはついに終盤――」
――――――
『マッチポイント にこ』
――――――
にこ「……ふぅ」
真姫「……疲れてるわね」
にこ「そういう真姫ちゃんこほ息上がってるわよ?」
真姫「はあ? 私は全然疲れてないけど?」
にこ「えー、にこはそれよりもっと疲れてないニコ♪」
真姫「…………」
にこ「…………」
にこまき「「ふふっ」」
にこ「じゃ、最後の一球、付き合いなさいよ」ニカッ
真姫「はあ? あと三球の間違いデショ?」フフンッ
にこ「じゃあ、まずは――」スッ
にこ「――これ!!」パァァァァァン
―― グググッ パァァァン ――
真姫「『スライスサーブ』は」ダッ
真姫「効かないわッ」パァァァァァン
真姫「『赤目モード』なら不意打ちも怖くないわ。それに逆サイドにリターンすれば――」
―― ググググッ ――
真姫「って、まぁ、そうよね」スッ
にこ「当然! にこにーゾーンで――」
真姫「……『矢澤ゾーン』デショ?」ププッ
にこ「違うわよ!! それ、かわいくないッ!!」パァァァァン
真姫「ふふっ、じゃ、私が勝ったら『矢澤ゾーン』……ね」グッ
にこ「はんっ! 上等よ」スッ
真姫「じゃあ、これで決まり!」
―― ギュルルルルル ――
真姫「はぁぁぁっ!!」パァァァァァン
―― グググググッ ――
にこ「それはこっちの台詞、ニコ♪」トンッ
真姫「『にこ式ドロップ』ッ!?」
にこ「間に合わない、わよね? これでホントに……」
真姫「っ!!」ゾワリ
真姫「終らせナイワヨ」ダッ
にこ「なっ!? 一瞬で前に!?」
真姫「これはまだ使いナレテナイカラネ」
にこ「あんたッ!」
真姫「ダイジョブよ」
真姫「これで、終わりだから」トンッ
にこ「なっ!?」
にこ(やばいやばいやばいやばい)
にこ(完全に虚を突かれた!)
にこ(追いつけな――いや)
にこ「追いつくのよっ!!」ダッ
―― ズキンッ ――
にこ「痛ッ!!」グラッ
にこ(もうこれは……走れないわね……)
にこ(これが最後の一球ってことね)
にこ(『にこにーゾーン』で引き寄せる?)
にこ(……無理ね。足がこんなんじゃ次で決められて終わりよ)
にこ(じゃあ、『にこ式ドロップ』?)
にこ(いや、今の真姫ちゃんの位置じゃ決まらない。バウンド前にとられる)
にこ(……………………)
にこ(…………ふぅ)
にこ(…………笑えてくるわね)
にこ(最後の一球が――)
にこ「こんな博打になるなんて」ニカッ
―― シャァァァァァァァァァァァァ ――
にこ「ニコッ!!」パァァァァァン
真姫「山なりの打球」
真姫「ロブまではいかない、けどッ」グッ
真姫「『ナパーム』ッ!!!」バシィィィィン
真姫「決まっ――」
―― グググググッ ――
―― パァァァァァァァン ――
『アウト』
真姫「え?」
にこ「は、はは……上出来、にこ」バタッ
真姫「な、なんで? 『矢澤ゾーン』はボールを引き寄せる技なんじゃ……」
にこ「にこはそんなこと言った覚えはないわよ?」
真姫「え…………あっ」
にこ「引き寄せることができるなら、その逆だって出来ても不思議じゃないでしょうが」
真姫「……まさか、にこちゃん」
にこ「そのまさか」
にこ「逆に回転をかけて、真姫ちゃんの『ナパーム』がコートに入らないようにした」
にこ「それだけニコッ♪」
真姫「……ムチャクチャよ」
にこ「ムチャクチャで結構よ」ムクッ
にこ「これで『にこにーゾーン』に決定ね」ニカッ
真姫「…………はぁ、勝手にすればいいわ」アキレ
にこ「…………ふぅ」
真姫「…………」
にこ「……っと」フラッ
真姫「…………」ギュッ
にこ「あんがと」
真姫「……ううん。肩貸すわ」グッ
にこ「じゃあ、借りる」
真姫「…………」
にこ「…………」
真姫「…………ねぇ」
にこ「なに?」
真姫「…………」
にこ「なによ」
真姫「…………ごめん」
にこ「……いいわよ」
真姫「…………」
にこ「…………」
真姫「…………ありがと」
にこ「ん」
――――――
『真姫 ④ - ⑤ にこ』
『勝者 矢澤にこ』
――――――
今日はここまで。
更新頻度低くて申し訳ない。
完結はちゃんとするのでその点は安心してください。
でも矢澤ゾーンなんでしょう?
テニヌの矢澤はニコニーじゃなくパイセンだから可愛さは求められてない模様
おつ
前のもそうだけどこの人のにこはかなりイケメンだよな
しかもメンタルも恐ろしく強いし
少し更新。
――――――
凛「ねぇ、にこちゃん! 凛にも『矢澤ゾーン』教えてほしいにゃ!!」
にこ「『にこにーゾーン』だって言ってるでしょうがッ!」ゲシッ
凛「にゃにゃ!?」
にこ「ったく」
にこ「……そもそもあれは教えるとかそういうんじゃないわ。感覚的なものもあるし」
凛「えー」ブーブー
にこ「とにかくブーブー言わない」
凛「ニャーニャー!!」
にこ「うっさい!」ゲシッ
凛「いたっ!! いたいにゃー」
にこ「花陽、あとで凛にはちゃんと言っときなさい」
花陽「あ、あはは……」
花陽「そ、それよりもにこちゃん、大丈夫?」
にこ「あぁ、これ?」
花陽「う、うん」
にこ「ま、大したことはないわ。ちょっと痛むだけよ。この試合、ダブルス1の解説くらいは出来るわ」
花陽「……そ、そっか」
にこ「真姫ちゃんにも見てもらって、冷やしておけば問題ないらしいし」
花陽「それならいいんだけど……」
にこ「…………」
にこ「……ま、気持ちは受け取っておくわよ」ナデナデ
花陽「……あ、えへへ///」
凛「むむむ!」
凛「にゃー!!」グイッ
花陽「ぴゃっ!? り、りんちゃん!?」アワアワ
凛「にこちゃん!」
にこ「? なによ?」
凛「……かよちんを盗っちゃダメだよ!」
花陽「り、りんちゃんっ///」
にこ「…………別に盗るつもりはないわよ」ハァァ
あんじゅ「ほほえましいわぁ」フフフ
英玲奈「…………」
あんじゅ「英玲奈、どうかしたぁ?」
英玲奈「その微笑ましい光景を壊そうとしてたのはどこの――」
あんじゅ「……や、やめて」メソラシ
英玲奈「さて、あんじゅを責めるのはそろそろ止めて、次の試合の選手を紹介するとしようか」
花陽「あ! 次のダブルス1って……」
英玲奈「あぁ。君たちにも知らせてなかったゲスト二人。その二人がこちらのダブルスだ」
花陽「それは一体……」
英玲奈「そうだな。では、早速紹介しよう」
「私たちがゲストって……プレッシャーが……」
「~~っ」
「って、あれ? 大丈夫?」
「~~~~っ」
「おーい?」
「~~~~~~っ、ついに!!」
「このときがきた!」ババンッ
「び、びっくりしたぁ……。ていうか、緊張してるのかと思ったけど、興奮してたんだね」
「うん、まな板のコイって感じだね!」
「……えっと、それはちょっと違う気がするけど……」
「?」
「ま、緊張してるわけじゃないからいいか」
「あ、キンチョーはしてるよ? だって、憧れの人と試合するんだもん!」
「……でも、緊張、してるようには見えないよ」
「うーん? それは安心できる人がペアたから、かな?」エヘヘ
「っ……そ、そっか」プイッ
「えへへ」
「…………///」
「楽しみだね♪」
「…………はぁ、もう!」
雪穂「行くよ! 亜里沙っ!」
亜里沙「うん、いこう! ユキホ!」
「はぁぁ……」
「大丈夫……ではなさそうですね」
「えぇ。まさか亜里沙が相手なんてね……」
「まぁ、確かに相手としてはやりずらそうです」
「慕ってくれる相手だから?」
「え、あっ……その……はい///」
「ふふっ……もう1人は雪穂ちゃん、か」
「雪穂も正直戦いたくはないのですが……」
「あぁ。歳は違うけれど、雪穂ちゃんも幼馴染だものね」
「はい。ですが、試合とあっては関係ありません。相手が誰であれ全力を尽くすのが礼儀ですから」
「……それは私も分かってる。もちろん、私も全力を出すわ」
「はい。では――」
海未「――頼りにしていますよ、絵里」
絵里「……えぇ、任せて」
――――――
ダブルス1
絢瀬絵里 絢瀬亜里沙
園田海未 vs 高坂雪穂
試合開始
――――――
少ないですが、今日はここまで。
次回からダブルス1に入ります。
おつー
楽しみ
少し更新します。
『1セットマッチ』
『サービス 絵里』
絵里「さ、始めるわよ?」ターンターン
海未「一本集中ですよ、絵里」
絵里「えぇ」ターンターン
亜里沙「気をつけてね、ユキホ」
雪穂「うん、分かってる」グッ
絵里「……っ」スッ
絵里「――ふっ!!」パァァァァン
雪穂「っ!?」
『うみえり 15 - 0 ありゆき』
海未「流石、絵里です」スッ
絵里「えぇ」スッ
―― パシンッ ――
絵里「さ、もう一本いくわ。手加減はしないわよ?」ターンターン
亜里沙「モチロン! 受けてたつよ」
絵里「ふふっ」スッ
絵里「――はっ!!」パァァァァン
亜里沙「っ」ブンッ
『うみえり 30 - 0 ありゆき』
海未「絵里!」スッ
絵里「順調ね」スッ
―― パシンッ ――
亜里沙「…………」
雪穂「亜里沙? どう?」
亜里沙「……うん」
雪穂「そっか」
――――――
にこ「さすがに速いわね」
花陽「長身と体のバネをフルに使った『高速サーブ』」
花陽「絵里ちゃんだからこその技だよね」
凛「にこちゃんのとは全然違うにゃー」
にこ「そりゃそうよ。にこのはあくまでもにこの体で再現してるだけだし。本家はやっぱり別格ね」
英玲奈「あれを返せるのは、東條希だけか?」
にこ「でしょうね。といっても、前回のは絵里が疲れてたし、ベストコンディションならたぶん誰も返せないわ」
あんじゅ「あっ、そういってるあいだに……」
――――――
絵里「――もう一本!」パァァァァン
亜里沙「えいっ」ブンッ
『うみえり ① - 0 ありゆき』
絵里「まずはこれでいいかしら?」スッ
海未「はい。十分です」スッ
―― パシンッ ――
絵里「次は私、前に行くけれど」
海未「分かっています。後ろは任せてください」コクリ
絵里「ふふっ、頼もしいわね」
海未「い、いえ。そんなっ」
絵里「謙遜しなくていいわ。頼りにしてる」ナデナデ
海未「っ、はい///」
亜里沙「…………」ジィィィ
雪穂「亜里沙?」
亜里沙「…………」ジィィィ
雪穂「亜里沙ったら!」
亜里沙「え! あ、うん! おしるこだよね!」
雪穂「…………はぁぁ」
亜里沙「ごめん、ユキホ……」
雪穂「まぁ、いいけど。どうせ、海未ちゃんのこと見てたんでしょ?」
亜里沙「……うん」
雪穂「…………」
亜里沙「…………」
雪穂「……大丈夫そう?」
亜里沙「…………うん」
『チェンジサービス』
『サービス 雪穂』
雪穂「……行きますよ、絵里さん」ターンターン
絵里「いつでもいいわよ?」ニコリ
雪穂「っ!」スッ
雪穂「やっ!!」パァァァァン
絵里「穂乃果よりは強いわね。けど!!」ダッ
絵里「はあっ!!」パァァァァン
雪穂「っ」ダッ
雪穂(余裕で返されたっ! やっぱりサーブじゃ崩せないよね)
雪穂(……なら)
雪穂「はっ!」パァァァァン
「打ち頃、ですね」
―― パァァァァン ――
雪穂「っ!?」キョロキョロ
―― トンッ トンッ ――
雪穂「見えなかった……」
雪穂「これが……」ゴクリッ
海未「『疾きこと風の如く』」
海未「全力でいかせてもらいます」
海未「手加減はなし、ですよ。雪穂」ニコリ
雪穂「っ」ゾクッ
『うみえり 15 - 0 ありゆき』
雪穂「…………」ターンターン
亜里沙「きりかえて! ユキホ!」
雪穂「う、うん」ターンターン
雪穂(……やっぱり海未ちゃんも強い。たぶん私じゃ敵わない)
雪穂(だから……)チラッ
亜里沙「……」ジィィィ
雪穂「……うん」スッ
雪穂「やっ!」パァァァァン
海未「……行きますよ、雪穂」グッ
雪穂「えっ?」
海未「一射必中」シャァァァ
海未「『ラブアローシュート』!!!」パァァァァン
雪穂「なっ!?」
『うみえり 30 - 0 ありゆき』
雪穂「こんな序盤で……しかも、リターンで使ってくるなんて……」
海未「言ったでしょう? 手加減はしません、と」
雪穂「っ」
絵里「ナイスショット、海未」スッ
海未「はい!」スッ
―― パシンッ ――
――――――
英玲奈「恐ろしく強いな、彼女」
花陽「はい! どんな相手でも対応できる『風林火山』に海未ちゃんの必殺ショット『ラブアローシュート』」
花陽「たぶん海未ちゃんはμ'sの中で一番強いと思います」
英玲奈「だろうな」
にこ「…………」
あんじゅ「そんな海未さんに勝ったんだもの、にこさんってすごいわよねぇ」
にこ「ま、まぁ? にこはμ's最強だから~?」ダラダラ
凛「にこちゃん、汗すごいにゃ」プププ
にこ「うっさい!」
にこ「……とは言っても、まぁ、分かってる」
にこ「あれは運が良かったのよ。次やったら勝てる自信はさっぱりないわ」
英玲奈「無論、君が彼女に勝ったのは紛れもない事実だ」
にこ「そうね。まぁ、よくも悪くも海未はまっすぐだし、案外にことか希とかには弱いのかもしれないけど」
花陽「それでも、やっぱり……」
にこ「えぇ、海未は最強よ」
――――――
――――――
海未「『侵掠すること火の如く』ッ!!!」ベシィィィィィン
『うみえり ② - 0 ゆきあり』
――――――
海未「2ゲーム先取です」スッ
絵里「流石、海未ね♪」スッ
―― パシンッ ――
絵里「この調子で行きましょう」
海未「はい!」
絵里「次は海未のサーブだけど、大丈夫かしら?」
海未「任せてください。絵里は前衛に入って『ショートスネイク』で決めていただけるとありがたいです」
絵里「了解よ♪」
海未「では」
絵里「えぇ、あと2ゲーム! そして、穂乃果へ繋げましょう!」
海未「はい!!」
――――――
――――――
雪穂「亜里沙、ごめん」
亜里沙「ううん! ユキホは悪くないよ! アリサも全然動けなかったし……」
雪穂「絵里さんのサーブも海未ちゃんの技も全然止められなかった……」
雪穂「…………これじゃあ……」ウツムキ
亜里沙「…………」
亜里沙「……ダイジョウブ」
雪穂「え?」
亜里沙「心配しないで、ユキホ」
亜里沙「もう準備カンリョーだから!」ニコリ
雪穂「っ! じゃあ……っ!!」
亜里沙「うん! イメージと目の前のズレはなくなったよ」
雪穂「……絵里さんの方は?」
亜里沙「それもダイジョウブ! おねえちゃんはいつも見てるし。それよりも――」
亜里沙「……海未さんはアリサのイメージよりずっとカッコよかったよ」
亜里沙「……そのズレもなくなったから」
亜里沙「もうダイジョウブ」
亜里沙「エヘ、エヘヘヘ……」
――――――
今日はここまで。
レス感謝です。
いつも励みになります。
書けるときに書くようにしますので少々お待ちください。
本日も少し更新する予定です。
更新ないがどうした?
書けるときに書くってあるだろ
前回は書けなくて申し訳ない。
8話見てちかりこもいいなと思いました。
少し更新します。
『チェンジサービス』
『サービス 海未』
海未「……」ターンターン
雪穂「……」
絵里「さ、海未。このゲームも決めましょう」
海未「はい!」スッ
海未「はっ!!」パァァァァン
雪穂「っ」グッ
雪穂(重いっ、けどっ!)
雪穂「返せるッ」パァァァァン
「おぉ! 雪穂返した!」
「そうやね。けど、返った先は海未ちゃんやから――」
海未「申し訳ないですが、決めさせていただきます!!」グッ
海未「『侵掠すること火の如く』ッ!!!」ベシィィィィィン
絵里「……ナイスショットね、海未」スッ
海未「……ありがとうございます、絵里」スッ
亜里沙「ふふふっ」フワッ
―― トンッ ――
海未「――え?」
『うみえり 0 - 15 ありゆき』
海未「ボールがなぜ……こちらのコートにあるのですか……」
絵里「海未の『火』は確かに……」
亜里沙「エヘヘヘ」
絵里「あ、亜里沙……?」
海未「まさか、亜里沙が返したのですか……?」
亜里沙「はい! そうですよ! 海未さん!」エヘヘ
海未「ッ!?」
絵里「亜里沙が!? 亜里沙の力じゃあのショットは――」
雪穂「……早く試合の続きをしませんか?」
雪穂「海未ちゃんのサーブ、だよね」
海未「……っ」
海未「…………」ターンターン
亜里沙「……エヘヘ」ニコニコ
海未「っ」スッ
海未「はあっ!!!」パァァァァン
亜里沙「!」グッ
雪穂「……亜里沙?」
亜里沙「スゴイ……重くて……エヘヘ」ベシッ
絵里「! リターンミスよ! ここは、私が――」タッ
海未「絵里!!」
絵里「海未!?」ビクッ
海未「私が打ちますっ!!」
絵里「っ、分かったわ」
海未「今度こそ、決めますっ!!」グッ
海未「『侵掠すること火の如く』ッ!!!!」ベシィィィィィン
亜里沙「あ、また……」
雪穂「亜里沙!」
亜里沙「うん♪」
亜里沙「えいっ」フワッ
―― トンッ ――
絵里「ま、また……?」
海未「~~~~ッ!?」
雪穂「亜里沙!」
亜里沙「ユキホ! どうだった?」
雪穂「うん。完璧だったよ」
亜里沙「フフ、エヘヘヘ♪」
雪穂「…………」ナデナデ
海未「…………雪穂」
雪穂「……海未ちゃん」
海未「さっきのは、一体なんなのですか……」
雪穂「…………」
海未「なぜ、亜里沙が私のショットをああも簡単に……」
雪穂「……海未ちゃんさ、さっき亜里沙が『火』を返したのマグレだと思ったでしょ?」
海未「っ」
雪穂「図星、みたいだね」
海未「……亜里沙はなぜ私の『火』を返せるのですか」
雪穂「……簡単に言えば、亜里沙は『イメージ』したんだよ」
雪穂「テニスをする海未ちゃんを」
海未「『イメージ』? 私を?」
雪穂「そう」
雪穂「この2週間……ううん、海未ちゃんのテニスをする姿を動画で見てからずっと、亜里沙は『イメージ』してたんだ」
雪穂「『イメージ』して戦ってた」
海未「イメージトレーニング、ですか」
絵里「けれど、それだけで――」
雪穂「普通はそうですよね。それだけで海未ちゃんのショットを返すなんてありえない。けど……」
雪穂「2000試合」
雪穂「亜里沙が『イメージ』して、海未ちゃんと戦った回数ですよ」
海未「にせんっ!?」
絵里「っ」ゾワッ
雪穂「最初は1000試合は負けっぱなしだったらしいけど……」
雪穂「3日前から試合前までの結果、聞きますか?」
雪穂「35戦全勝」
雪穂「だ、そうです」
海未「っ!?」
絵里「なっ!?」
雪穂「…………話、長くなっちゃったね。海未ちゃんのサーブだよ」
雪穂「この2週間……ううん、海未ちゃんのテニスをする姿を動画で見てからずっと、亜里沙は『イメージ』してたんだ」
雪穂「『イメージ』して戦ってた」
海未「イメージトレーニング、ですか」
絵里「けれど、それだけで――」
雪穂「普通はそうですよね。それだけで海未ちゃんのショットを返すなんてありえない。けど……」
雪穂「2000試合」
雪穂「亜里沙が『イメージ』して、海未ちゃんと戦った回数ですよ」
海未「にせんっ!?」
絵里「っ」ゾワッ
雪穂「最初は1000試合は負けっぱなしだったらしいけど……」
雪穂「3日前から試合前までの結果、聞きますか?」
雪穂「35戦全勝」
雪穂「だ、そうです」
海未「っ!?」
絵里「なっ!?」
雪穂「…………話、長くなっちゃったね。海未ちゃんのサーブだよ」
『うみえり 0 - 30 ありゆき』
海未「…………」ターンターン
海未(……35戦全勝……ですか)
海未(っ、いけません! あれはあくまでも亜里沙の『イメージ』での話です!)
海未(……確かに『火』は返されましたが)
海未(いえ! ならば、攻め方を変えるだけです!)
海未(『イメージ』など!!)
海未「関係ありません!!」パァァァァン
雪穂「……っ」グッ
雪穂「ふっ」ポーーーン
「え!? なんで雪穂ロブなんか??」
「ミス、かなぁ?」
「……ううん。さっきの今、やからね。これはたぶん」
絵里「ロブ!? まさかっ――」
海未「っ!!!」
海未(これは誘われているのですかっ!! 打ってこい、と……)
雪穂「亜里沙、来るよ」
亜里沙「うん!」
海未「っ、そんなに打ってほしいのならっ!!」グッ
「また『火』だ!!」
「海未ちゃんっ、だめぇぇ!」
絵里「海未!! ダメよ!!」
海未「――『疾きこと風の如く』」
―― パァァァァン ――
絵里「あっ……」
「案外、海未ちゃん冷静みたいやね。誘い球に乗らずちゃーんと攻め方を変えた」
「うん! それに今度は雪穂の方に打って――」
亜里沙「やっぱり『イメージ』どーり♪」タッ
海未「なっ!?」
絵里「なんで亜里沙がそこにっ!?」
雪穂「……残念だけど――」
雪穂「――これも『イメージ』通り、だって」
亜里沙「エイっ!!」パァァァァン
『うみえり 0 - 40 ありゆき』
海未「くっ……」ターンターン
海未(『火』だけではなく『風』までも……)
海未(『山』はダブルスでは真価を発揮できませんし、『林』はそもそも決めるためのものではありません)
海未(……ならば、残るは……)
絵里「海未……?」
海未「…………」
絵里「海未!」
海未「っ、あっ、はい! なんでしょうか?」
絵里「……切り替えていきましょう。冷静に」
海未「……はい」
海未「……っ」スッ
海未「はあっ!!」パァァァァン
亜里沙「っ、やっ!!」パァァン
絵里「っ」タッ
「えりちがポーチに出た!」
「ってことは!」
絵里「『ショートスネイク』!」
―― グググググ ――
―― バシィィィン ――
雪穂「すごい角度、だけどっ」ダッ
雪穂「っ、やっ!!」ポーーーン
「おぉ!? 雪穂とった!!」
「ナイスカバーやね。けど、雪穂ちゃんは体勢を崩してる」
「でも、絵里ちゃんもポーチに出たばかりだから追いつかないよっ」
「ってことは……」
絵里「海未!」
海未「はいっ!!」
雪穂「亜里沙!」
亜里沙「うん!」
海未「亜里沙! これを返してみなさいっ!!」グッ
亜里沙「! はい!」パァ
海未「一射必中」シャァァァ
海未「『ラブアローシュート』!!!」パァァァァン
「海未ちゃんの『ラブアローシュート』!!」
「これならっ」
亜里沙「エヘヘヘ」
亜里沙「やっぱり『イメージ』よりカッコイイなぁ」
亜里沙「そーぞうをぜっするカッコよさ!」
亜里沙「エヘヘヘ♪」ニコニコ
亜里沙「あ、でも、『それ』は『イメージ』と同じです」
亜里沙「亜里沙の『イメージ』どーりの強さ、回転、コース」
亜里沙「それじゃあ、その『技』も――」
亜里沙「――消しちゃいますね、海未さん」
亜里沙「『已滅無』 」フワッ
―― トンッ ――
海未「っ、そんな……」
絵里「……海未の『ラブアローシュート』も効かない、なんて……」
雪穂「ナイスショット、だったよ。亜里沙」スッ
亜里沙「ありがとう、ユキホ♪」スッ
―― パシンッ ――
『うみえり ② - ① ありゆき』
――――――
花陽「あの海未ちゃんが、あんなにあっさり……」
凛「す、すごすぎないかにゃ……?」
あんじゅ「海未さんのショットはどれも強力そうなのにねぇ」
英玲奈「これが園田海未との試合を2000回シュミレートした結果なのだろう」
英玲奈「相手のすべてのリアクションを『イメージ』し経験する」
英玲奈「それによって、実際に彼女の打球を見た瞬間に、その情報を掌握し、威力や回転を完全に消し去ることができる」
英玲奈「それが絢瀬亜里沙の『已滅無』」
英玲奈「『技』を殺す『技』か」
英玲奈「こうなっては『風林火山』も『ラブアローシュート』も、彼女には通用しない」
凛「にゃ、にゃぁ……」
花陽「……もしかして、海未ちゃんが出るのが分かってて亜里沙ちゃんを……」
にこ「……」
凛「……にこちゃん?」
にこ「ごめん」
にこ「にこが教えたのよ。海未がダブルス1に出ること」
りんぱな「「ええっ!?」」
にこ「にこが真姫ちゃんと当たるのと交換条件でね」
花陽「あっ……」
凛「っ、そんなの!!」
花陽「り、凛ちゃん、にこちゃんは……」
凛「え、あっ……そっか。凛とかよちんのこともあったから……それも……」
にこ「…………ごめん」
凛「ううん、凛の方こそごめんにゃ」
あんじゅ「ちょっとまって?」
にこ「……なに?」
あんじゅ「教えた? わたしはなにも聞いてないわよぉ?」
英玲奈「……私もだ」
にこ「……え、そうなの?」
あんじゅ「えぇ。そもそも、わたしもえれなもオーダーを知ったのはつい昨日のことだし」
英玲奈「私も同じだ」
にこ「じゃあ、にこが流した情報を知ってるのは……」
――――――
「…………さ、見せてもらおうかしら」
「自分の『技』を完全に封じられたら」
「海未さん、貴女は――」
「――どう輝くのかしらね♪」フフッ
――――――
今日はここまで。
レス感謝。
書くと言っておきながら……。
申し訳ないです。
次作の構想も練り始めてます。
テニヌではなく百合モノですが。
乙
種ヶ島センパイのいめつむか
ノノc√σ_σV ハラショー
乙
亜里沙が予想以上に強キャラでびびったわ
だが風林火山だけでは終わらんだろ?
おつおつ自分のペースでええんやで
百合ものも楽しみ
これは残りの二つも来るか!!
残りの2つというか、隠は才気相手しか使えなさそうだから雷か…
さてそろそろ来るかな?
楽しみです
更新します。
『チェンジサービス』
『サービス 亜里沙』
亜里沙「いくよ、おねえちゃん」ターンターン
絵里「ええっ」チラッ
海未「……っ」
亜里沙「やっ!」パァァァァン
絵里「っ、はっ!!」パァァァァン
絵里(……さっきのゲームでハッキリしたわ。亜里沙は海未のショットをすべて返せる)
絵里(その上、海未の動きも予測できる……)
絵里(なら、狙うのは――)
雪穂「……ま、そうなりますよね」グッ
雪穂「でも!!」パァァァァン
絵里「っ、海未の方に!?」
海未「っ」ビクッ
絵里「海未!!」
海未「わ、分かっています!」グッ
海未「『疾きこと風の如く』ッ!」
―― パァァァァン ――
亜里沙「ふふっ、もういっかい」
海未「っ」ゾクッ
亜里沙「『已滅無』」フワッ
―― トンッ ――
海未「また消されて……」
絵里「これは……」
雪穂「海未ちゃんに打たせれば、あとは亜里沙が全部決めてくれる」
海未「っ」
雪穂「考えることは一緒です。絵里さんはもう狙いませんよ。だって、私たちが狙うのは――」
雪穂「海未ちゃんだから」ニコッ
亜里沙「ハラッセォ♪」
『うみえり 0 - 15 ゆきあり』
亜里沙「いきますよ! 海未さん!」ターンターン
海未「っ、はい」
亜里沙「ふぅぅ……」スッ
亜里沙「やっ!」パァァァン
絵里(亜里沙がセンターに寄ってる……これならサイドを打ち抜けば!!)
絵里「海未!」チラッ
海未「は、はい!」コクッ
海未「『ラブアロー……」グッ
亜里沙「!」ニコッ
海未「あっ……っ!!」ゾワッ
海未「……くっ!?」パァァァァン
「海未、今の……」
「技を打とうとして止めた。亜里沙ちゃんを意識し過ぎて打てなくなってるみたいやね」
「……海未ちゃん」
絵里「海未っ」
海未「……っ」
雪穂「『風林火山』を使えないなら……」グッ
雪穂「はああっ!!」パァァァァン
海未「なっ……」ダッ
―― スカッ ――
海未「くっ……」
雪穂「ふぅぅ」
亜里沙「ハラッセォ! ユキホ!」スッ
雪穂「うん」スッ
―― パシンッ ――
『うみえり 0 - 30 ありゆき』
亜里沙「♪」ターンターン
海未「絵里、すみません……」
絵里「大丈夫よ。切り替えていきましょう」
海未「は、はい」
絵里「…………」
絵里(こういうときこそ冷静になりなさい、私)
絵里(今の海未は、亜里沙に返されるのを恐れて、本来の力を発揮できていないわ)
絵里(それを打破するためには……まずは流れを変えること)
絵里(……一点。まずは一点ね)
亜里沙「えい!!」パァァァァン
絵里「っ」ダッ
絵里(まずは……)
絵里「ふっ」フワッ
「ドロップショット!?」
「さすが、えりち。誰もそれを予想してない、いいタイミングや」
亜里沙「ユキホ!」
雪穂「大丈夫!」ダッ
雪穂「っ」ポーーーン
「雪穂もとった!」
「けど、これで雪穂ちゃんはすぐには動けないよ」
「そうね。これで実質2対1」
絵里「海未!」
海未「っ、私は……っ」
絵里「……任せて!」ダッ
絵里(海未はやっぱり萎縮しきってる)
絵里(ここは私がスマッシュで決めて――)
亜里沙「……っ!!」グッ
絵里(いえ、ここは――)
絵里「はああっ…………」
絵里「ふっ」フワッ
「またドロップショット!?」
「これは、予想外や! しかも、雪穂ちゃんの反対側に!」
「決まるわ!」
海未「流石、絵里です!」パァァ
絵里「ふふっ、これで――」
絵里「――決まりよ!!!」
亜里沙「……ねぇ、おねえちゃん?」
絵里「…………え?」
亜里沙「アリサ、たしかに『イメージ』したよ、海未さんのこと」
絵里「なんで、あなたが――」
亜里沙「でもね? おねえちゃんのことは『イメージ』しなくてもいいんんだ。だって――」
絵里「――そこに、いるのよ……?」
亜里沙「おねえちゃんのことはずっと見てきたから」
亜里沙「ぜんぶわかっちゃうもん♪」エヘヘ
亜里沙「『已滅無』」フワッ
―― トンッ ――
絵里「…………」
海未「……まさか……私だけでなく絵里まで……? 」
『うみえり 0 - 40 ありゆき』
――――――
英玲奈「……これは……」
あんじゅ「一方的、ねぇ」
凛「にゃぁ……」
にこ「……ただ、スコア的にはまだ絵里たちが勝ってるわ」
花陽「で、でも……」
にこ「えぇ。流れは完全に亜里沙ちゃんたちの方ね」
花陽「うん。二人とも3ゲーム目に入ってから一点も取れなくなっちゃったし……」
あんじゅ「……あら? でも、1ゲーム目と2ゲーム目は……」
にこ「…………絵里のサーブと海未の『技』で一点も落としてないわね」
凛「あ、そういえばそうにゃ」
にこ「…………この点数の開き」
英玲奈「……なるほどな」
英玲奈「彼女、恐ろしいことをする」
花陽「え、え?」
あんじゅ「彼女って……亜里沙さん?」
英玲奈「いや」
英玲奈「高坂雪穂だ」
凛「雪穂ちゃん? でも、雪穂ちゃんは特に目立ってないような……」
英玲奈「あぁ。確かに目立った技は打っていない。むしろ、絢瀬亜里沙に頼っているようにすら見える。だが……」
英玲奈「このゲームをコントロールしているのは恐らく高坂雪穂だろう」
にこ「…………」
花陽「コントロール……?」
英玲奈「あぁ」
英玲奈「1ゲーム目と2ゲーム目」
英玲奈「勿論、絢瀬亜里沙が『イメージ』とのズレを修正していたのもあるだろうが、しかし、あそこまで綺麗に点を取らせた」
英玲奈「それは恐らく相手を油断させる目的もあったのだろう」
英玲奈「そして、3ゲーム目から牙を剥く」
英玲奈「ペアの実力を存分に見せつける試合展開」
英玲奈「園田海未を無力化したうえで、それを支えようと奮起する絢瀬絵里をも封じ込めた」
英玲奈「中々に凝った『演出』だ」
花陽「え、『演出』……」
凛「そ、そんなことできるの……?」
にこ「ペアを生かすって点では花陽と似たようなタイプね。相当毛色は違うけど」
英玲奈「…………」
あんじゅ「えれな? どうかしたのかしらぁ?」
英玲奈「……いや、彼女と練習をしたときはそんなプレイスタイルではなかった気がするんだが……」
あんじゅ「そうだったかしらぁ?」
英玲奈「……忘れてくれ。きっと気のせいだろう」
あんじゅ「そう? あ、話してるあいだに、もう……」
――――――
―― パァァァァン ――
海未「くっ……」
絵里「……っ、これで……」
亜里沙「エヘヘ、これで並んだよ、おねえちゃん! 海未さん!」
雪穂「…………よし、これで――」
『うみえり ② - ② ありゆき』
短いですが今日はここまで。
台風気をつけましょう。
おつ
『チェンジサービス』
『サービス 絵里』
絵里「…………」ターンターン
海未「……え、えり」
絵里「大丈夫……大丈夫よ」
絵里(大丈夫。落ち着くのよ、私)
絵里(ここまでのこと……それは確かに想定外のことだわ)
絵里(海未のショットは全て封じられて、私のプレイも亜里沙には読まれている)
絵里(そのお陰で、海未は完全に萎縮していて、自分のプレイができていない)
絵里(……なるほど。大した『演出』ね)
絵里(けれどッ!!)
絵里「ふっ――」スッ
亜里沙「ユキホ!」
雪穂「分かってる!」グッ
絵里「はっ!!!」パァァァァン
雪穂「っ」ブンッ
『うみえり 15 - 0 ありゆき』
絵里「よしっ」
絵里(大丈夫。まだ終わってないわ)
絵里(私にはこのサーブがある)
絵里「……海未」ターンターン
海未「は、はい……」
絵里「まずは1ゲーム取り返すわよ」
海未「っ、はい!」
絵里「もう――」スッ
亜里沙「……」グッ
絵里「――一本!!」パァァァァン
亜里沙「――」スッ
雪穂「亜里沙!!」
亜里沙「っ」ビクッ
―― パァァァァン ――
『うみえり 30 - 0 ありゆき』
海未「流石ですっ、絵里!」スッ
絵里「えぇ」スッ
―― パシンッ ――
亜里沙「ユキホ……?」
雪穂「…………まだ」
亜里沙「う、うん」
――――――
にこ「流石に絵里の『高速サーブ』は返せないみたいね」
花陽「う、うん」
英玲奈「そのようだな」
あんじゅ「…………」
英玲奈「ん、どうかしたか? いきなり黙り込むなんて、あんじゅらしくないが……」
あんじゅ「ん~、べつになんでもないわぁ。ただ……」
あんじゅ「これも『演出』じゃないか、なんて思っちゃっただけよぉ」
英玲奈「……これも?」
花陽「そ、それって……」
あんじゅ「次の次、ありさちゃんが『高速サーブ』を返すかもしれないってこと」
凛「あ、『已滅無』!」
花陽「たしかに、絵里ちゃんのプレイを読んでる亜里沙ちゃんなら、サーブのコースさえ読めれば……」
にこ「でも、亜里沙ちゃんが返したとして状況は変わらないわ。このままならこのゲームは確実に絵里たちがとる」
凛「……えっと……次、絵里ちゃんたちのポイントで……その次、亜里沙ちゃんたちがとって……絵里ちゃんが決めて……あ、ほんとにゃ!」
英玲奈「……まぁ、気にすることはないだろう」
あんじゅ「そうねぇ」
――――――
絵里「海未、今のうちに切り替えておきましょう」
海未「はい。絵里、申し訳ありませんでした……」
絵里「ふふっ、気にすることはないわ。後輩には少しくらい頼られた方が嬉しいしね♪」
海未「先輩禁止、なのにですか?」フフッ
絵里「ふふっ、それはそれよ」
絵里(少しだけ流れが変わった。それをハッキリと感じる)
絵里(海未も余計な力が抜けたみたいで、笑顔が出てきてる)
絵里(……それに、私も)
絵里(腕が軽い。身体も軽い)
絵里(今の私のこのサーブはきっと、誰にも止められないわ!!)
雪穂「…………絵里さん」
絵里「え、あっ。ごめんなさい、すぐ再開するわ」
雪穂「はい」
絵里「…………」ターンターン
絵里(見れば雪穂ちゃんの表情は少し暗い)
絵里(流れが変わったから、かしら?)
絵里(なんにせよ、私のサーブでこの試合の流れを掴んで、次のゲームもとれば……よし)
絵里「行くわよ」
雪穂「……」グッ
絵里「一球――」スッ
絵里「――入魂!!!」パァァァァン
絵里(相手のバック側。ハラショー!)
絵里(これで決まりよ!!)
雪穂「ありがとうございます、絵里さん」
雪穂「『そっち』に、最高のサーブを打ってくれて」
雪穂「おかげで」
雪穂「『演出』し終わりました」スッ
――――――――――
―― トンッ ――
『うみえり 30 - 15 ありゆき』
亜里沙「ハラッセォ♪ さすがユキホ!!」
雪穂「……ふぅ」
海未「…………なっ」
絵里「………………え?」
海未「今のは……なぜ、ボールが私達の足元に、あるのですか……?」
雪穂「見えなかった?」
絵里「っ」
海未「雪穂……?」
雪穂「そっか。二人とも見えなかったんですね。じゃあ、私の『これ』も十分通用するんだ」
海未「……雪穂、そのショットは一体……」
雪穂「おねえちゃんと同じだよ、海未ちゃん」
海未「穂乃果と?」
雪穂「私も一点特化。バックハンドの時だけ『これ』が打てるんだ」
海未「…………それは……」
雪穂「『レーザービーム』」
――――――
ぅゎ雪穂っょぃ
――――――
英玲奈「なにかするとしても、『已滅無』を使える絢瀬亜里沙の方だと思っていた」
英玲奈「その上、高坂雪穂は『演出』するだけで『技』はないと思っていた」
英玲奈「だが、それは大きな間違いだった、というわけか」
あんじゅ「『演出』だったってわけねぇ」
にこ「……そうでしょうね」
にこ「絵里の心を折るための『演出』」
花陽「……っ」ブルッ
凛「で、でも! 絵里ちゃんと海未ちゃんだよ!? あの二人が組んで負けるのなんて、全然想像できないよ!!」
にこ「…………」
凛「海未ちゃんには『風林火山』があるし、絵里ちゃんの『高速サーブ』が……」
にこ「……どっちも返されてるわよ」
凛「にゃ!? ……で、でも!」
にこ「なら、見てみなさい。絵里の表情」
凛「え?」
にこ「絵里の心はもう――」
花陽「折れ、ちゃった……?」
――――――
――――――
亜里沙「『已滅無』」フワッ
―― トンッ ――
絵里「~~~~っ」ダッ
『うみえり 30 - 30 ありゆき』
絵里「っ、こんな……っ」ギリッ
海未「え、絵里……」
絵里「…………ごめんなさい。次は決めるわ」スッ
海未「…………絵里」
絵里「……大丈夫。大丈夫よ」
海未「………………」
絵里「…………」ターンターン
絵里(大丈夫、大丈夫よ)
絵里(まだ、私はサーブを打てる)
絵里(次は雪穂ちゃんのサーブだから、バックハンドにさえ打たなければ……)
雪穂「……」スッ
絵里「なっ!?」
海未「……あんなに端に寄って……これでは……」
絵里「バックハンド側に打つしかない……?」
絵里(っ、いえ。まだ狭いコースだけど、サイドギリギリに打てばっ!!)
絵里「ふっ!」スッ
絵里「はぁぁぁぁっ!!!」パァァァァン
―― ポスッ ――
『フォルト』
絵里「っ、今度こそ!!」スッ
絵里「はぁぁぁぁっ!!!」パァァァァン
―― ポスッ ――
『ダブルフォルト』
『うみえり 30 - 40 ありゆき』
―― ポスッ ――
『フォルト』
―― ポスッ ――
『ダブルフォルト』
『うみえり ② - ③ ありゆき』
絵里「……な、なんで……?」
海未「絵里……」スッ
絵里「っ!?」バッ
海未「あっ……」
絵里「…………っ」
海未「………………」
絵里「…………」
絵里「ご、ごめんなさい、海未……」
海未「……いえ」
絵里「……だいじょうぶ、なんて。あれだけ言ってたのに……」
海未「絵里……」
絵里「だいじょうぶ。きっと、そうやって自分に言い聞かせていただけ、だったのよ。これじゃあ……」
海未「…………」
絵里「…………」
海未「………………」
――――――
きっとこのまま終わってしまうのだと。
そう思っていました。
絵里も。
私も。
私の技は亜里沙に通じず。
絵里の心は雪穂に折られて。
だから、大丈夫なんて言えません。
そんな強がりは言えません。
私の心にあったのは、絵里をどう励ますかということ。
負けた後にどうやって励まそうかということでした。
もう絵里は十分頑張りました。
途中折れかけた私を何度も支えてくれたのですから。
……こんなところでしょうか?
あぁ、これも言わなくてはなりませんね。
絵里のここまで頑張りを讃えて。
きっと心が折れても強がろうとする彼女のために。
もう頑張らなくても――
――――――
穂乃果「海未ちゃんっ!!!」
穂乃果「絵里ちゃんっ!!!」
穂乃果「がんばって!!!」
――――――
絵里「……ほの、か?」
海未「穂乃果……」
どこからか聞こえてきた声。
幼馴染みの声。
その声は私と絵里に言いました。
頑張れ、と。
無責任な外野の声です。
私や絵里の心情も知らずに。
この辛さも知らずに。
頑張れ?
これ以上どうやって頑張れと?
分かりません。
全くもって理解不能です。
………………。
ただ、なぜでしょうか。
その無責任な声はなぜか私の心に響きます。
諦めようとした心を震わせるように。
ふと、そちらを見れば。
彼女は瞳を潤ませていました。
あぁ……。
そうでしたね。
貴女はそういう人でした。
私の幼馴染みの貴女は、無責任で無計画で。
諦めることをまるで知りません。
そして、なにも疑わずに。
根拠などなにもなくとも。
私を、私達を信じてくるのです。
…………ならば、私は――。
――――――
海未「…………絵里」
絵里「……海未?」
海未「変わることを恐れないで、突き進む勇気」
絵里「え……?」
海未「……貴女にはそれがありますか?」
絵里「それは……」
海未「もし……もし、それがあるというのなら――」
海未「絵里」
海未「貴女のテニスをすべて、捨ててもらえますか?」
――――――
今日はここまで。
レス感謝です。
ほのかわいい
ええぞ、ええぞ~
海未ちゃん穂乃果の声で復活か
熱い展開は嫌いじゃないよ
レス感謝です。
少しですが更新します。
『チェンジサービス』
『サービス 雪穂』
雪穂「…………」ターンターン
絵里「……」スッ
雪穂「………………」
雪穂(『演出』は終わった)
雪穂(……はずなのに)
海未「絵里、来ますよ」
絵里「……えぇ」グッ
雪穂「っ、やっ!!」パァァァァン
絵里「はあっ!」パァァァァン
雪穂「まだっ……」
雪穂(まだ二人とも折れてない……)
雪穂(……ここはもう一回っ)
「雪穂が回り込んで!!」
「えりち! 海未ちゃん!」
「来るわよ、二人とも!!」
雪穂「『レーザービーム』ッ!!」
――――――――――
海未「っ」
絵里「また……っ!?」
―― トンッ ――
『うみえり 0 - 15 ありゆき』
雪穂「……」ターンターン
海未「……」スッ
雪穂(…………まだ折れてない、かぁ)
雪穂(なら、次は……)
雪穂「亜里沙」チラッ
亜里沙「え、あっ……うんっ」コクッ
雪穂「ふっ!」パァァァァン
雪穂(もう一回、海未ちゃんを――)
海未「……行きますよ、絵里」グッ
絵里「ええ……」ジッ
海未「――『疾きこと風の如く』」パァァァァン
雪穂(やっぱり来た!)
雪穂「亜里沙!!」
亜里沙「うん!」
亜里沙「『已滅無』」フワッ
海未「くっ」
「やっぱり海未ちゃんの『風林火山』は……」
「……効かないってわけね」
「っ、まだだよ!!」
雪穂「っ!?」
亜里沙「あっ!」
海未「ええ、その通りです!!」ダッ
海未「加えて――」
海未「『疾きこと風の如く』ッ!!」パァァァァン
雪穂「また『風』!?」
亜里沙「ユキホ!」ダッ
雪穂「お願い!」
亜里沙「『已滅無』」フワッ
「また返されたわ」
「でも、海未ちゃん、またうごいてる!」
海未「まだまだです!!」グッ
海未「『疾きこと風の如く』!」パァァァァン
雪穂「なっ!?」
亜里沙「え、えぇ!?」
雪穂「っ、亜里沙もう一回!!」
亜里沙「う、うんっ……『已滅無』」フワッ
―― トンッ ――
海未「くっ……」
『うみえり 0 - 30 ありゆき』
雪穂「……ふぅ」
亜里沙「……ユキホ」
雪穂「ありがと、亜里沙」
亜里沙「うん……でも……」チラッ
雪穂「うん。海未ちゃん、なにか変……」チラッ
海未「……すみません、絵里」
絵里「いいえ。こっちこそごめんなさい、海未」
海未「いえ! これは私が言い出したことですから。それに、これくらいどうということはありません」
絵里「……ありがとう、海未」
海未「それよりも絵里は集中してください」
絵里「……えぇ」コクッ
雪穂「……」ターンターン
絵里「……」ジッ
雪穂「やっ!!」パァァァァン
絵里「はあっ!」パァァァァン
亜里沙「ユキホ、いったよ!」
雪穂「わかって、るっ!」パァァァン
雪穂(絵里さんは普通に返してきた。普通のスピードボールだ)
雪穂(だけど、海未ちゃんは……)
海未「『疾きこと風の如く』!!」パァァァァン
雪穂「また『風』……なにをっ」
亜里沙「返すよ、ユキホ!」
雪穂「お願い!」
亜里沙「『已滅無』」フワッ
絵里「海未、私が――」
海未「いいえ! 私が取ります!!」ダッ
海未「『疾きこと風の如く』!!」パァァァァン
雪穂「っ」
雪穂(絵里さんの守備範囲まで入って打ち返して……もう絵里さんには打たせないってこと?)
雪穂(……『演出』は成功……だったってことかな)
雪穂(どっちにしろ海未ちゃんじゃあ、亜里沙のことは打ち抜けない)
亜里沙「『已滅無』」フワッ
雪穂(……うん。やっぱりもう終わって――)
海未「はぁぁぁぁっ!!!」ダッ
雪穂「っ!?」ビクッ
亜里沙「っ」ビクッ
「あの構え!!」
「海未ちゃんの必殺技や!」
「しかも、ネット際でのショット。体感スピードはいつもよりもずっと速いはずよ!」
雪穂「亜里沙!!」
亜里沙「う、うん!」
海未「これで――終わりです!!」
海未「一射必中」シャァァァ
海未「『ラブアローシュート』!!!」パァァァァン
雪穂「そっか。それを狙ってたんだね、海未ちゃん」
雪穂「でも、言ったはずだよ」
雪穂「亜里沙には効かないって」
亜里沙「エイっ!」
―― フワッ ――
「そ、そんなぁ……」
「……っ、やっぱりダメなの……?」
海未「っ、まだ……ですっ……」ベシッ
―― フワッ ――
「返した!!」
「あっ、で、でも……」
雪穂「バックハンド側……」
雪穂「打てってことだよね」グッ
雪穂「『レーザービーム』」
――――――――――
雪穂「……ふぅ」
亜里沙「って、おねえちゃん!?」
雪穂「え?」
絵里「…………っ」
「あぶない! よけて!」
「絵里!!」
「えりち!!」
雪穂「ッ!?」
雪穂(力みすぎたっ!? このままじゃ絵里さんに――)
絵里「……………………」ユラッ
―― パァァァァン ――
雪穂「…………え? 避け、た……?」
『うみえり 0 - 40 ありゆき』
『マッチポイント ありゆき』
――――――
にこ「よ、避けたのね……ふぅ……」
凛「よかったにゃぁ……」ホッ
花陽「うぅぅぅ、心臓に悪いです……」バクバク
あんじゅ「けがなくてよかったわぁ」
にこ「えぇ」
凛「あっ……でも、さっきので」
花陽「う、うん。マッチポイント、だね」
あんじゅ「これじゃあ、ツバサまで回りそうにないわねぇ」
英玲奈「いや」
英玲奈「それはどうだろうな」
あんじゅ「えれな?」
花陽「えっと……?」
英玲奈「試合はまだ分からない」
にこ「……はぁ、慰めならいらないわよ」
にこ「海未の『ラブアローシュート』ですら返されてる」
にこ「『レーザービーム』を避けたとはいっても、絵里はそもそも全然打ってないし」
にこ「この状況で勝てるわけがないわ」
凛「…………?」
凛「…………あれ?」
凛「んんん?」
花陽「凛ちゃん?」
凛「………………」
凛「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
花陽「ピャァァッ!? り、凛ちゃん!?」
にこ「~~っ、ウッサイ!!」ゲシッ
凛「にゃにゃ!?」
あんじゅ「……どうかしたのかしらぁ?」
英玲奈「どうやら、気付いたようだな」
凛「うん! そう! そうにゃ!!」
凛「まだわかんないよ! たぶんだけど!!」
にこ「ど、どういうことよ?」チラッ
英玲奈「高坂雪穂と絢瀬亜里沙ペアの決め手はなんだ?」
花陽「えっと、亜里沙ちゃんの『已滅無』?」
あんじゅ「んー、それは決め手にはならないんじゃないかしら?」
英玲奈「あぁ。あれはあくまで園田海未のショットを返すためのものだ。決め手というには威力に欠けるだろう」
花陽「それじゃあ……」
にこ「『レーザービーム』ね」
英玲奈「その通りだ」
花陽「た、たしかに、そうです。あのショットは凛ちゃんでも見えないだろうし」
凛「うん、さっぱりにゃ!」
英玲奈「見えないほどに速いショット。返すのはまず無理だろうな」
にこ「……それが一体――」
凛「にこちゃん!」
にこ「あによ?」
凛「頭使うにゃ!」
にこ「……けんか売ってる?」
凛「たぶんだけど、まだ戦えるにゃ!! だって、絵里ちゃん――」
凛「――『避けた』んだよ?」
――――――
今日はここまで。
次の更新でダブルス1ラストかと思います。
しばしお待ちください。
ここでまさかのエリーチカ
雷フラグかと思ったら
かしこい
かわいい
本日できれば更新します。
雪穂「……」ターンターン
雪穂(気のせい、じゃない)
雪穂(確かに絵里さんは私の『レーザービーム』を避けた)
雪穂(ということは、見えてるってこと)
雪穂(…………うん)
雪穂「亜里沙! 最後まで油断しないでね」
亜里沙「わかってるよ、ユキホ!」
雪穂「よしっ」スッ
海未「…………」
雪穂「はあっ!!」パァァァァン
海未「っ!」
海未「『ラブアローシュート』!!!」パァァァァァァン
「リターンで『ラブアローシュート』!?」
「奇襲ってわけやね。でも……」
雪穂「予測済みだよ! 亜里沙!!」
亜里沙「うんっ」スッ
亜里沙「『已滅無』」フワッ
「ああっ!?」
「決まっちゃ――」
絵里「――決まらないわよ!!」ダッ
絵里「はぁぁぁぁっ!!!」パァァァァン
「絵里ちゃん、前に出た!」
「さすがえりち、読んでたんや!」
雪穂「うん。ありがとう、絵里さん」
雪穂「きっと絵里さんなら取るって信じてました」
「雪穂が回り込んでる!?」
「っ、これも読まれてたってわけ……?」
「だ、だめっ、雪穂ちゃんのバックハンドは――」
雪穂「そう。これで終わりです」
雪穂「『レーザービーム』」
――――――――――
――――――
絵里「私のテニスを捨てる?」
海未「はい」
絵里「……分かったわ」
海未「……即答、ですか」
絵里「? なにかおかしい?」
海未「い、いえ。ただもう少しなにか聞かれるかと思ったのですが……」
絵里「……そうね」
絵里「海未」
絵里「私は貴女を信じてるわ」
海未「……絵里」
絵里「それだけじゃ即答する理由としては不十分かしら?」
海未「…………いえ、十分……十分すぎます」
絵里「じゃあ、聞かせてもらえる? 私はなにをすればいいの?」
海未「はい。現状を打破するためには、『レーザービーム』の攻略は必須です」
絵里「雪穂ちゃんの『レーザービーム』ね」
海未「バックハンド側に打たないという方法ならあるにはありますが……」
絵里「根本的な解決にはなってない、か」
海未「はい。だから、その『レーザービーム』を真っ向から打ち破るんです」
絵里「…………一体どうやって?」
海未「絵里、貴女にはスピードボールに慣れてほしいんです」
絵里「慣れる?」
海未「……私の『風』と『ラブアローシュート』、そして、雪穂の『レーザービーム』」
海未「これから私はその2つしか打ちませんし、雪穂にも出来るだけそれを打たせるようにコースを誘導します」
絵里「…………なるほどね」
海未「そして、確実に打ち返せるタイミングを見つけてください」
絵里「…………」
海未「…………絵里?」
絵里「もし、できなかったら……?」
絵里「あと1ゲーム。私が『レーザービーム』を目で追えるようにならなかったら……」
絵里「……私達は負けるのよ?」
絵里「もし…………できなかったら――」
海未「――出来ない? ふふっ、そんなことはきっとありませんよ」
絵里「……なんで?」
海未「絵里」
海未「私は貴女を信じていますから」
――――――
――――――
絵里「海未! 今よ!!」
海未「はい! 信じていました!!」
――――――
雪穂「ここで、海未ちゃんっ!?」
雪穂「何か来る!? 亜里沙!!」
亜里沙「うん!!」ジッ
雪穂「残念だけど、海未ちゃんのプレイは亜里沙には効かないよ! 『風林火山』も『ラブアローシュート』も!!」
海未「…………」
亜里沙「あ、あれ?」
雪穂「亜里沙?」
亜里沙「ユキホ、ごめんっ、海未さんの次のショットがわかんないよっ」
雪穂「え!?」
海未「『知り難きこと陰の如し』」
雪穂「なっ!? で、でも、そこからじゃ『レーザービーム』を打ち返すことなんてできないよ!」
絵里「えぇ、そうね」
亜里沙「おねえちゃん?」
絵里「ただ、海未は返すわよ?」
海未「――――っ」バッ
亜里沙「え……?」
雪穂「一瞬であんなところに!?」
絵里「さぁ、見せてあげなさい。海未!!」
海未「はいッ!!」グッ
――――――
海未「『動くこと雷霆の如し』ッ!!!」
―― パァァァァァァァァン ――
――――――
雪穂「新技!?」
雪穂(でも、『風』ほどじゃない!!)
雪穂(なら!)
雪穂「亜里沙!!」
亜里沙「うんっ!!」スッ
―― グググググッ ――
――ブチッ ――
亜里沙「『已滅無』」スカッ
亜里沙「あれ……?」
亜里沙「アリサのガットに……穴あいてる? え?」
雪穂「……っ!?」
雪穂「こ、これが……」
海未「絵里」
絵里「流石海未ね」
海未「……信じていました」スッ
絵里「えぇ、私もよ」スッ
―― パシンッ ――
――――――
『うみえり ② - ③ ありゆき』
『試合続行不能のため』
『勝者 園田海未・絢瀬絵里』
――――――
――――――
にこ「まさか、ガットが焼き切れるなんてね」
亜里沙「ラケット1本しかなくてごめんね、ユキホ……」シュン
雪穂「あ、いや、しょうがないって! 普通、ガットに穴空くなんてあり得ないし!!」アセアセ
絵里「そ、そうよ! あまり落ち込んじゃダメよ、亜里沙!!」アセアセ
にこ「ほんと、あんた、化物よね」
海未「うっ、必死だったんです! 仕方ないでしょう!?」
にこ「っていうか、『陰』と『雷』だっけ?」
にこ「次のプレイを読ませない技に一瞬で移動した上物凄い回転のショットを打てる技」
にこ「あんなのあるなら、最初から使っときなさいよ」
海未「あ、あれは使えるまでに体が十分慣れないと危ないんです! 今回だって絵里が『レーザービーム』を見極めてくれたから打てたってだけで」
にこ「……結構ヤバかったってこと」
海未「結構どころではないくらいには」
にこ「ふーん」
英玲奈「……話をしているところ悪いんだが」
雪穂「え? あっ、はいっ!!」ビシッ
英玲奈「……そんなに恐縮しないでくれ」
雪穂「は、はい……」
英玲奈「…………」
あんじゅ「シングルス1のことでしょ?」
英玲奈「あ、あぁ」
凛「二勝二敗かぁ」
花陽「最後は……」チラッ
希「やっぱり大将同士の試合になったなぁ」
真姫「やっぱり……? まさか希、こうなるの分かってたんじゃ……」
りんぱな「「ええっ!?」」
希「ふふっどうやろね♪」
絵里「ほら、また適当なこと言わないのよ? 凛と花陽が信じちゃうでしょ?」
希「ふふっ、そうやね」
にこ「……じゃ、これで最後ね」
海未「はい。それではシングルス1で戦う選手を紹介しましょう」
「フフッ、やっぱりこうなったわね」
「やっぱり……?」
「えぇ、なんとなくこうなる気はしてたのよ」
「…………偶然ですね。わたしもです」
「敬語」
「え?」
「いらないわ。いつもの貴女で向かってきてほしいの」
「っ、うんっ!!」
「さぁ、私達のテニスを始めましょうか」ニコリ
ツバサ「穂乃果さん♪」
穂乃果「うん! 勝負だよ!!」
――――――
最終戦
シングルス1
高坂穂乃果 vs 綺羅ツバサ
試合開始
――――――
今日はここまで。
レス感謝です。
長かったテニヌもあと一戦となりました。
もう少しだけお付き合いください。
エリーチカは観測手だったのか
乙
まさかの逆転劇で草
やっぱテニヌはラケット破壊しないとな!
試合続行不可はテニヌの醍醐味だよな
まあさすがにアイドルだからKOでは無かったけど
まさにKKEだな
まさか陰まで使うと思ってなかったから少し驚いたよ
おつ
最終戦はやっぱりこの二人でしたね
期待です
ツバサさんだったら幸村やりかねん
期待
少しだけ
少しだけ更新します。
『1セットマッチ』
『サービス ツバサ』
ツバサ「フフッ、行くわよ? 穂乃果さん?」ターンターン
穂乃果「うんっ!!」
ツバサ「まず、はっ――」スッ
ツバサ「はあっ!!」パァァァン
「強烈なサーブ!!」
「うん、でも、ほのかちゃんにはあれがあるよっ」
穂乃果「っ」グッ
穂乃果「やあっ!!!」
―― パァァァァン ――
『穂乃果 15 - 0 ツバサ』
穂乃果「よしっ!!」グッ
ツバサ「流石ね♪」
穂乃果「ありがとうございます!」
ツバサ「敬語になってるわよ?」
穂乃果「あっ、えへへ、ごめんね?」
ツバサ「いいえ、大丈夫よ」ニコリ
ツバサ「動画では見たけれど、その『リターン』は中々に強烈ね」ターンターン
穂乃果「それほどでも///」
ツバサ「なら――」スッ
ツバサ「はっ!!」パァァン
―― グググググッ ――
「スライスサーブです!」
「かなり変化してるにゃ!?」
「なるほど。変化をつけて『リターン』を打たせない気か」
「考えたわねぇ」
「……ふふっ」
「なにか、おかしい?」
「えぇ。ね?」
「はい。穂乃果にそんな戦法は無駄、ですよ」
穂乃果「はあああっ!!!」パァァァァァン
ツバサ「あっさりと……」
『穂乃果 30 - 0 ツバサ』
ツバサ「っと、驚いたわね」
穂乃果「?」
ツバサ「ごめんなさい。変化には弱いものかと思い込んでいたわ」
穂乃果「あー、うん。弱かったんだけどね……」
ツバサ「?」
穂乃果「むしろ、得意になっちゃったというかなんというか……」アハハ
――――――
英玲奈「無駄、とはどういうことだ?」
海未「そのままの意味ですよ。変化をつけたサーブは穂乃果に通用しないんです」
あんじゅ「それはどうしてかしらぁ?」
英玲奈「確かに彼女の『リターン』は強力だが、彼女の本質を考えると変化に強いようには思えないな」
海未「はい。事実その通りでした」
にこ「けど、今はってわけね」
海未「はい」コクリ
凛「凛たち、練習場所も別だったからわかんないけど、なにかすごい特訓とかしたのかにゃ?」
海未「はい。それは……」チラッ
絵里「この2週間、私と海未がピッチリ張り付いて練習したのよ♪」ウインク
海未「『風林火山』で随時プレイスタイルを変化させながら」
絵里「曲球の『スネイク』と直球の『高速サーブ』を受け続ける」
海未「その結果、穂乃果は緩急にも剛柔にも対応できるようになったのです!!」
海未「名付けて、『リーダー強化プラン』!!」
――――――
穂乃果「穂乃果は最後なのだから、強くなってもらわないと困るのです……って」
ツバサ「それは……」
穂乃果「アハハ……」トオイメ
ツバサ「大変だったわね」
穂乃果「うん……」
ツバサ「まぁ、でも、その結果、確かに強くなっているんだもの」ニコリ
穂乃果「う、うん!! そうだよねっ!」
ツバサ「じゃあ、お次は……」ターンターン
ツバサ「はあっ!!!」パァァァァァン
穂乃果「直球!!」
ツバサ「えぇ! つまらない小細工は通用しないらしいし♪」
穂乃果「っ」ニコッ
穂乃果「はあっ!!!」パァァァァァン
ツバサ「ふっ」フワッ
「ど、ドロップっ!?」
「はぁ、まったく、ツバサは。小細工しないと言ったばっかりだろう……」
ツバサ「小細工じゃないわよ? 歴とした戦術♪」
ツバサ「まぁ、でも――」
―― ダッ ――
穂乃果「やあっ!!!」パァァァァァン
『穂乃果 40 - 0 ツバサ』
ツバサ「フフッ、追いつかれるとは思わなかったわ」
ツバサ「やっぱり、凄いわね、穂乃果さん」ニコリ
穂乃果「えへへ///」
ツバサ「……それじゃあ、次はどうしようかしら」ターンターン
穂乃果「なんでも返すよっ!!」グッ
ツバサ「フフッ、それは心強い――」スッ
ツバサ「――わねっ!!」パァァァァァン
穂乃果「やっ!!」パァァァァン
ツバサ「ふっ」フワッ
「っ、またドロップぅぅ!?」ビックリニャ
「ほのかちゃん、これもよんでるよ!」
穂乃果「っ」ダッ
穂乃果「はあっ!!!」パァァァァァン
ツバサ「なら、これよ」ポーーーーン
「今度はロブだよっ」
「上手いわね。さっきより一手分攻めてるわ」
「……ふふっ」
「……これも彼女には効かないのか?」
「勿論ですよ」
穂乃果「はああああ――」バッ
ツバサ「そこからっ……跳べるのねっ!」
穂乃果「――やぁぁぁぁっ!!!」ベシィィィィィン
ツバサ「っ、これは……とれないわね」
穂乃果「っと……やったぁぁ!!」
ツバサ「凄いわ、穂乃果さん。動画で見た時とはまるで別人ね」
穂乃果「えへへ、海未ちゃんと絵里ちゃんのおかげ、かな」
ツバサ「……フフッ、そうかもしれないわ」
『穂乃果 ① - 0 ツバサ』
――――――
希「1手ずつ相手に合わせて攻めるのがツバサさんのプレイスタイルなんやね」
あんじゅ「まぁ、そうねぇ」
花陽「直球のサーブからドロップショット、それからロブ」
ことり「流れるみたいにスムーズなプレイでした!」
亜里沙「ハラッセォ、です!」
絵里「ふふっ、でも――」チラッ
海未「ええ! 穂乃果の前では無意味です!」ドヤッ
真姫「…………」
雪穂「真姫さん……」
真姫「……雪穂ちゃんもそう、だったのね」
雪穂「……はい」コクリ
にこ「…………どうかした?」
雪穂「あっ……」
真姫「いえ、なんでもないわ」
にこ「……?」
雪穂「真姫さん……」
真姫「……大丈夫。穂乃果ならきっと……」
雪穂「……お姉ちゃん……」
――――――
『チェンジサービス』
『サービス 穂乃果』
穂乃果「よーしっ! この調子で行くぞぉぉ!!」ターンターン
ツバサ「私も負けないように頑張るわよ♪」
穂乃果「やっ」スッ
穂乃果「はあっ!!」パァァァン
ツバサ「……なるほど。サーブも強くなっているみたい」
穂乃果「練習したからです!」
ツバサ「えぇ、そうね」スッ
ツバサ「はっ!!」パァァァァン
「っ!! 上手いわ!」
「穂乃果ちゃんの逆サイド、しかも、ギリギリにリターンを返した!」
「す、すごいですっ!」
穂乃果「っ」ダッ
穂乃果「うっ!!」ベシッ
―― ポーーーーン ――
「にゃー!? ロブがっ!?」
「穂乃果! 気をつけなさいよっ!」
穂乃果「う、うん」グッ
ツバサ「はあっ!!」ベシィィィィン
穂乃果「足下っ!?」
「コントロール、すごすぎにゃ!?」
「穂乃果ちゃんっ」
穂乃果「っ」
ツバサ「フフッ、返してみせて?」
穂乃果「~~っ、うん!」グッ
穂乃果「はあっ!!」パァァァァン
「あの体勢から!?」
「ホノカさん、ハラッセォですっ」
「よくとりました! 穂乃果!!」
ツバサ「えぇ、流石ね」フワッ
穂乃果「えっ!?」
―― トンッ ――
『穂乃果 0 - 15 ツバサ』
穂乃果「ドロップ、ショット……」
「……相変わらず巧いな」
「えぇ、そうねぇ」
ツバサ「フフッ、とても楽しいわね、穂乃果さん♪」
穂乃果「…………よしっ!」ターンターン
ツバサ「……フフッ」
穂乃果「……ふっ」スッ
穂乃果「えいっ!」パァァァァン
ツバサ「っ、はあっ!」パァァァァン
穂乃果「っ、まだまだ!」ダッ
穂乃果「やあっ!」パァァァァァン
ツバサ「こちらもまだまだよ!」パァァァァン
穂乃果「っ」スッ
穂乃果「やっ」フワッ
ツバサ「!?」
―― トンッ ――
『穂乃果 15 - 15 ツバサ』
ツバサ「ドロップショット……」
穂乃果「えへへ!」
ツバサ「面白いわ♪」
穂乃果「次、行くよ?」ニコッ
ツバサ「ええ、いつでも」ニコリ
――――――
絵里「……凄いわね、彼女」
海未「はい……強くなった穂乃果と互角とは……想像以上です」
絵里「いえ、でも、穂乃果の方がまだ――」
にこ「親バカたちは放っといて……実際どうなのよ?」
英玲奈「……どう、とは?」
にこ「ツバサちゃ……ツバサはあれで本気なの?」
英玲奈「……さぁ」
にこ「さぁ……って、あんたねぇ……」
あんじゅ「本気ねぇ……」
にこ「……なによ?」
英玲奈「我々も知らないんだ」
にこ「は?」
英玲奈「ツバサの本気は我々も知らない」
英玲奈「本気を出さずとも大抵の相手には勝ってしまうからな」
花陽「えっ……」
にこ「……でも、親バカじゃないけど、穂乃果は結構いい感じに打ち合ってるわよ?」
希「そうやね。さっきのゲームは穂乃果ちゃんがストレートでとったわけやし」
あんじゅ「あぁ、あれはあの娘の悪い癖よぉ」
凛「くせ?」
英玲奈「……いや、あれは癖というよりは、ツバサのプレイスタイルだと言った方がいいだろうな」
亜里沙「?」
ことり「えっと、つまり……?」
英玲奈「まぁ、詳しいことは実際に体験した人間に聞くのが一番だろうな」チラッ
真姫「…………」
雪穂「…………」
希「真姫ちゃん?」
亜里沙「ユキホ?」
真姫「……あの人は――」
―― パァァァァァァン ――
『穂乃果 40 - 30 ツバサ』
穂乃果「はあっ、はあっ……」
ツバサ「ふっ、はあっ……」
穂乃果「ふぅぅ…………えっと」
ツバサ「……どうかした? 穂乃果さん?」
穂乃果「え、あっ、ううん!」
穂乃果(気のせい、だよね?)
穂乃果(あの時と似てる感じだった。ことりちゃんと組んで、花陽ちゃんと凛ちゃんと戦ったあの時と……)
穂乃果(なんとなく、だけど……『来る』って感じた)
穂乃果(あの時は風。今はツバサさんの打球が来るって分かった。そんな――)
穂乃果「――『予感』がした……?」
ツバサ「フフッ♪」
短いですが、今日はここまで。
ずいぶん間が空いてしまって申し訳ないです。
来週の土日には更新できると思います。
期待せずお待ちください。
穂乃果のは徳川さんの予感か!
それで前回は風を予測したと
天候を操ったのかと思ってた
乙
ほのかな予感だな
レス感謝。
土曜日に更新できそうなのでその予告だけ。
『フィジカルお化けの果南』を試合に出させたい自分がいて怖いです。
アクアとの試合も組んでいいのよ
aquaとの試合見たい
けど百合も見たい
はよ
昨日は更新できませんでした。
申し訳ない。
もう少ししたら更新します。
――――――
真姫「……はぁっ、はっ……」
ツバサ「単身乗り込んで来た。それは評価するわ」ニコリ
真姫「っ、なによ、それ……バカにしてるわけ……」
ツバサ「いいえ。褒めているのよ?」
ツバサ「……でも、この程度なのね」ボソッ
真姫「っ」
――ジワッ ――
ツバサ「『技』も使えない。身体能力も並」
真姫「くっ」
ツバサ「前回、試合をしなかったのはいい判断だったわねこんなんじゃ貴女――」
ツバサ「ただの『お荷物』よ」フフフ
―――――― ジワッ ――――――
真姫「あ、ああぁあぁ……ぁアァ……」
真姫「あ゛あぁあ゛アァァア゛ア゛ァッ!!!」
真姫「…………」
真姫「……アハッ♪」
ツバサ「フフフ、初めまして『真姫』さん」
真姫「貴女、真っ赤に染めてアゲル♪」
――――――
――――――
真姫「あの人は試合相手を『引き出す』のよ」
花陽「……引き出す?」
凛「どういうことかにゃ?」
希「もしかして、花陽ちゃんが使った『ゾーン』に入らせる技と同じ感じ?」
真姫「……いえ。あれとは別よ。あれはあくまでも『ゾーン』に入らせるだけで、『引き出して』いるわけじゃないわ」
にこ「要領を得ないわね。つまり、どういうことよ?」
真姫「にこちゃん、試合をしてるなかで成長するってことあると思う?」
にこ「? まぁ、あるんじゃないの? にこだって今回の試合で『回転』を使えるようになったわけだし」
真姫「うん。それはにこちゃんが自分できっかけを見つけたから」
にこ「?」
真姫「ねぇ。もし、そのきっかけを――」
真姫「相手が、意図的に作り出しているとしたら?」
凛「……えっ?」
花陽「意図的に……って……?」
雪穂「……っ」ブルッ
亜里沙「……ユキホ?」
雪穂「大丈夫……大丈夫……」
あんじゅ「……えれな」チラッ
英玲奈「あぁ」コクン
英玲奈「……簡潔に言おう」
英玲奈「綺羅ツバサは――」
英玲奈「相手のプレイを『完成』させる」
英玲奈「そして、そのプレイを――」
――――――
穂乃果「…………」ターンターン
ツバサ「……どうしたのかしら、穂乃果さん?」
穂乃果「あっ、ううん……行くよ!」スッ
穂乃果「はあっ!!」パァァァァン
ツバサ「いいサーブね」グッ
穂乃果「あっ……」
穂乃果「――――足下に……来る……」ボソッ
ツバサ「はああっ!」パァァァァン
穂乃果「っ」ダッ
「足下に!?」
「でも、見て! 穂乃果はもう前に出ているわ!」
穂乃果「っ、やっ」トンッ
ツバサ「っ、ドロップ……ねっ」ダッ
穂乃果「――――っ、今度は……ストレートを抜いてくる……?」ボソッ
ツバサ「これならどうかしら!!」パァァァァン
「上手いわ!」
「穂乃果の重心がやや左に寄ったのを見て、ストレートですか!!」
「これじゃ穂乃果は追いつけ――」
穂乃果「やああぁぁぁぁ!!!」パァァァァァァン
『穂乃果 ② - 0 ツバサ』
「追い付いた……!?」
「一体、穂乃果は……?」
穂乃果「はぁっ……はっ……」
―― ドクン ――
穂乃果「…………はぁっ、はぁ……そっか」
―― ドクンドクンドクン ――
穂乃果「……あの時からおかしいなって思ってたんだ」
穂乃果「なんでか分かんないけど、ずっと風が来ることが分かってた」
穂乃果「だけど、これはそう、なんだね」
ツバサ「そうね」
穂乃果「ツバサ、さん……?」
ツバサ「貴女の考え通りよ。それは貴女の力」ニコッ
穂乃果「穂乃果の……?」
ツバサ「『一点特化』なんかよりずっと上の『能力』」
穂乃果「…………」
ツバサ「分かるでしょう? いえ、分かっているわよね、穂乃果さん」
穂乃果「…………」
ツバサ「だって、私がこれから言うことですら分かっているはずだもの」
穂乃果「…………うん」コクン
ツバサ「貴女の本当の『能力』。その名は――――」
「「『予感』」」
――――――
――――――
絵里「『予感』?」
海未「簡単に言えば先読みでしょうか。相手の動きや仕草から次にどこへ打ってくるかを瞬時に予測できる……」
絵里「……予測ね。穂乃果が一番苦手そうなものだけど」
海未「……いえ、恐らく穂乃果は私と絵里の修行でその領域まで至ったのでしょう」
絵里「なるほどね」
海未「思えば、前回の試合の時にその兆候はあったのです。まるで風を読むようなプレイをしていましたから」
絵里「予測というよりは野生の勘に近いわね……」
海未「フフッ、確かにその方が穂乃果らしいですね」
エェェェェ!?
ソンナノハンソクニャ!!
ダガソレガジジツダ
ソレジャアホノカチャンハ……
絵里「……それにしても」チラッ
海未「はい。少し解説が騒がしいですね」チラッ
絵里「ちょっとみんな! 穂乃果の試合ちゃんと見てるのかしら?」
海未「穂乃果が頑張っているのです! 私達が応援をせずにどうするのですか!!」
のぞことにこりんぱな「「………………」」
絵里「……あら?」
海未「…………?」
――――――
『チェンジサービス』
『サービス ツバサ』
ツバサ「……『予感』なんてすごいわね」ターンターン
穂乃果「あ、ありがとうっ!」
ツバサ「フフッ、ねぇ、穂乃果さん? 私は貴女に勝てるかしら?」
穂乃果「……それは分からないけど、全力で戦おう!!」
ツバサ「…………フフッ」スッ
ツバサ「そうね♪」パァァァァン
穂乃果「っ、コーナーギリギリ」グッ
穂乃果(……これも『予感』通り!)
穂乃果「はあっ!!」パァァァァァン
『穂乃果 15 - 0 ツバサ』
ツバサ「……フフッ♪」
ツバサ「さぁ、次も行くわよ?」ターンターン
穂乃果「うん!」
ツバサ「このサーブ……」スッ
ツバサ「読んでみて!」パァァァァァン
―― グググググッ ――
「スライスサーブです!」
「1ゲーム目のものより速いわね。でも!」
穂乃果「うん! それも分かってたよ!」ダッ
穂乃果「やぁぁぁっ!!」パァァァァァン
『穂乃果 30 - 0 ツバサ』
ツバサ「角度をつけて……」
穂乃果「っ、はあっ……」
ツバサ「流石ね、穂乃果さん」ニコリ
穂乃果「えへへ」テレテレ
ツバサ「……本当に素敵だわ♪」ボソッ
――――――
『穂乃果 ③ - 0 ツバサ』
『穂乃果 15 - 0 ツバサ』
『穂乃果 30 - 0 ツバサ』
――――――
海未「試合は圧倒的で」
海未「その時はすぐにやって来ました」
海未「ふふっ」
海未「穂乃果、本当に頑張りましたね。流石はリーダーです」
海未「……なんて、穂乃果の前では言えないのですけれど」
海未「ただ……そうですね」
海未「やはりこのゲームに穂乃果が勝ったならば、言うことにしましょうか」
海未「信じていました、と」フフッ
――――――
『穂乃果 40 - 0 ツバサ』
『マッチポイント 穂乃果』
――――――
穂乃果「最後行くよ、ツバサさん!」ターンターン
ツバサ「えぇ♪」
穂乃果「ふっ」スッ
穂乃果「はぁっ!!」パァァァァァン
ツバサ「っ」グッ
穂乃果「――今度は、ドロップだよ!!」ダッ
ツバサ「……ふっ」フワッ
穂乃果「当たりっ!!」パァァァァァァン
ツバサ「っ、さすが、ねっ」ダッ
穂乃果「――届く、けど、ロブになる!」スッ
ツバサ「これも、読まれてるのね……」ポーーーン
穂乃果「よしっ!!」グッ
ツバサ「…………」
穂乃果「やぁぁぁっ!!!」ベシィィィィィン
「体勢を崩したところにスマッシュ!!」
「しかも、逆サイドです! これは決まりました!」
ツバサ「……本当に素敵ね、穂乃果さん」
ツバサ「初めてよ、ここまで長く試合をしたいって思ったのは……フフッ♪」
穂乃果「――――えっ?」
ツバサ「そんな貴女なら、きっとこれも――」
―――――― ジワッ ――――――
穂乃果「――なん、で、ツバサさんが……?」ゾワッ
ツバサ「『予感』してくれたのヨネ♪」フフッ
穂乃果「真姫ちゃんの『赤目』を……?」
ツバサ「さ、行くワヨ?」バッ
穂乃果「っ!?」
穂乃果(速い!?)
穂乃果(いや! 穂乃果には『予感』がある!)
穂乃果(これで次を読むよ!!)
穂乃果(――次は)
穂乃果「穂乃果の後ろにロブだ!!」クルッ
ツバサ「その通り」ポーーーン
穂乃果「よしっ!」ダッ
ツバサ「けど、とれないわよ?」
穂乃果「えっ!?」
―― フワッ ――
穂乃果「…………あ、れ?」キョロキョロ
―― トンッ ――
穂乃果「っ、な、なんで!?」
ツバサ「『予感』したのに、なんでとれなかったのか、そんな表情ね」フフッ
穂乃果「っ」
ツバサ「簡単よ? だって、そのロブ――」
ツバサ「穂乃果さんの『死角』に落ちたんだもの」ニコリ
穂乃果「……えっ……?」
穂乃果「え? 『死角』って、えっ!? それって英玲奈さんの『技』じゃないんですか!?」
ツバサ「……フフッ、どうかしら?」
穂乃果「それに、真姫ちゃんの『赤目モード』も使ってて……まさか……」
穂乃果「『無我の境地』」
ツバサ「――ではないわ」
穂乃果「っ」
ツバサ「見た『技』をそのまま使うことができる『無我の境地』」
ツバサ「私の『それ』はそんな便利なものじゃないわ。戦った相手の『技』しか使えないのよ」
穂乃果「……じゃあ――」
ツバサ「――いいえ。穂乃果さんの言おうとしたことは間違いね」
ツバサ「相手の『技』をそのまま使える訳じゃない」
穂乃果「っ、なんで穂乃果の言おうとしたこと……っ」ゾクッ
ツバサ「あら、気付いたのね。……いいえ、『予感』したのね」ニコリ
穂乃果「……っ」
ツバサ「『完成』」
ツバサ「対戦相手の『能力』を引き出してそれを『完成』させて使うことができる」
ツバサ「それが私の『能力』」
ツバサ「ねぇ、穂乃果さん?」
穂乃果「な、なんですか……?」
ツバサ「貴女の『予感』はどのくらい先のことまでわかるのかしら?」
穂乃果「それは……」
ツバサ「……あ、答えなくていいわ」
ツバサ「2秒間ね?」
穂乃果「っ、また……っ」
ツバサ「『私の』は……そうね……」
ツバサ「10秒、といったところかしら♪」ニコリ
――――――
『穂乃果 40 - 15 ツバサ』
『マッチポイント 穂乃果』
――――――
――――――
海未「こんなの、聞いていませんっ!!!」バンッ
海未「『完成』? 相手の技を『完成』させて使える!? なんなんですか!!」
英玲奈「……私たちにも詳細は分からない。ただ分かるのは、ツバサには『完成』された『技』があるということだけだ」
にこ「完全に『無我の境地』の上位互換じゃない……」
凛「チートにゃぁ……」
希「……いっこ、確認してもええかな?」
あんじゅ「なにかしらぁ?」
希「ツバサさんと戦ったことがあるのは……」
英玲奈「私が知っている限りでは、私とあんじゅ、それから……」チラッ
真姫「私と……」
雪穂「……私です」
絵里「四人……ね」
ことり「……じゃあ、ツバサさんは、まきちゃんたちの『技』をつかえるってことですか……?」
英玲奈「あぁ」
英玲奈「西木野真姫の『赤目モード』」
英玲奈「高坂雪穂の『演出』」
英玲奈「あんじゅの『イリュージョン』」
英玲奈「そして、私の『死角』」
英玲奈「ツバサはその全てを引き出し『完成』させている」
絵里「四人の技……いえ、それを超える『技』ってわけね」
亜里沙「ハラショ……」
あんじゅ「いいえ……それはちがうわぁ」
花陽「ちがうって……なにが、ですか……?」
あんじゅ「4人じゃないのよ」
にこ「は? 四人でしょ? 真姫ちゃんに雪穂ちゃんに……」
真姫「…………」
雪穂「…………」
英玲奈「そちらの二人は理解しているようだな。勿論、私も……。当然か……」
希「四人じゃない。なら……?」
英玲奈「50人」
英玲奈「それが、君達の動画を見て、ツバサがテニスを始めてから今日までに試合をした人数だ」
凛「50っ!?」
花陽「そ、それじゃあ……」
あんじゅ「えぇ」
英玲奈「ツバサは50人の技を引き出し、自らのものとして『完成』させている」
英玲奈「勿論、その50人全員に勝利している」
英玲奈「人の『能力』を開花させながら、それを超え、自らが『完成』させる」
英玲奈「神に愛されているとしか思えないその力と強さ」
英玲奈「それをその身をもって知った者は、ツバサをこう呼ぶ」
「『神の子』綺羅ツバサ」
――――――
今日はここまで。
レス感謝です。
ツバサさんチート過ぎて勝てる気がしません。
穂乃果ちゃんだけ黒子のバ◯ケや!
乙
ツバサ化物やんけ
前作読んで追いついた
矢澤さんかっこよすぎるんだが
本日更新予定です。
キタキタキタ!
穂乃果「……」ターンターン
ツバサ「フフッ、怖い顔よ?」
穂乃果「あっ、ご、ごめんっ」
穂乃果(『完成』……)
穂乃果(真姫ちゃんや英玲奈さん、あんじゅさん、それに雪穂の『技』も使えるってことだよね……)
穂乃果「…………」ゴクッ
ツバサ「……いつでもいいわよ」ニコリ
穂乃果「っ」スッ
穂乃果「はぁぁっ!!」パァァァン
ツバサ「さ、まずは――」グッ
――――――――――
穂乃果「え?」
―― トンッ ――
『穂乃果 40 - 30 ツバサ』
ツバサ「バックハンドに打ったらダメよ? 穂乃果さん」
ツバサ「貴女の妹さんの『技』覚えてるでしょう?」
穂乃果「っ、雪穂の……っ」
ツバサ「えぇ」
ツバサ「『レーザービーム』♪」
穂乃果「…………」ターンターン
ツバサ「……今度は何で行こうかしら」ニコッ
穂乃果「っ」スッ
穂乃果「はぁぁっ!!」パァァァン
穂乃果(だい、じょうぶ)
穂乃果(まだ穂乃果のマッチポイントだもん! たしかに『リターン』よりはポイント取りにくいけど!!)
ツバサ「はっ!」パァァン
穂乃果「――クロスに角度つけたショット!!」
穂乃果「そうだ! まだ穂乃果には『予感』がある」
穂乃果「負けないよ!!」ダッ
穂乃果「やぁぁぁぁ!!」パァァァン
ツバサ「やっぱり素敵ね、穂乃果さん♪」
ツバサ「そのお礼に私も素敵なものを見せてあげるわね?」グッ
ツバサ「――」フワッ
穂乃果「――え!? ポールに向かって打った!?」
「アウトです!」
「穂乃果!」
ツバサ「アウト? そんなわけないじゃない♪」
―― カンッ ――
穂乃果「……あ、れ?」
―― ツツツツツーッ ――
穂乃果「ボール、ネットの上を渡って……!?」
―― トンッ ――
穂乃果「…………そんな……」
ツバサ「驚いた?」
ツバサ「神奈川のスクールアイドルの娘の『技』よ。本人の『技』はここまで綺麗じゃなかったのだけれどね♪」フフッ
ツバサ「『妙技・綱渡り』」
ツバサ「素敵な『技』よね♪」
『穂乃果 40 - 40 ツバサ』
穂乃果「……つ、つよい」
ツバサ「ありがとう。嬉しいわ」ニコリ
穂乃果「っ、でも!」スッ
穂乃果「負けない!」パァァァン
ツバサ「……そう」グッ
ツバサ「なら――」
ツバサ「返してみて?」フワッ
穂乃果「――また!?」
「穂乃果ちゃんっ」
「前よ!」
「とりなさい! 穂乃果ァ!!」
穂乃果「うんっ!!」ダッ
―― カンッ ――
―― ツツツツツーッ ――
穂乃果「はあっ!」ベシッ
「取ったにゃ!!」
「でも、体勢が……」
「お姉ちゃんっ!!」
穂乃果「っ、うんっ」
穂乃果(今度はなにがくる)
穂乃果(『予感』で――――っ)
穂乃果(――見えた! あのフォームからは……)
穂乃果「ロブだ!!」バッ
「穂乃果ちゃん動いたよっ」
「流石穂乃果ね。あそこからすぐ動けてる!」
―― パァァァァァァァン ――
穂乃果(やっぱりロブだ!)
穂乃果(これならとれる!!)
ツバサ「残念ね。それはただのロブじゃないのよ」
―― シュルルルルル ――
穂乃果「この音っ、なに?」
「上よ!」
「穂乃果さんっ!!」
「ホノカチャンッ!」
穂乃果「う、え?」
―― パァァァァァァァァァァァン ――
穂乃果「っ、そんな……」
ツバサ「その打球は最高到達点から急激にスピードを上げるのよ」
ツバサ「物凄いスピードで見えないところから落ちてくるロブ。彼女の『技』はそこまでだった」
ツバサ「だから、私が『完成』させたのよ」
ツバサ「バウンドした後に大きく跳ね上がって、フェンスの外へ逃げていく『技』にね」
ツバサ「『メテオドライブ』」
ツバサ「確か、そんな名前だったわね」フフッ
『穂乃果 40 - Ad ツバサ』
ツバサ「どうかしら? 私の『技』」
穂乃果「……っ、すごいです」ターンターン
ツバサ「フフッ、ありがとう♪」
穂乃果「っ」スッ
穂乃果「はぁぁっ!!」パァァァン
穂乃果(すごい、ほんとに……)
穂乃果(でも、負けない! 負けられないよっ!)
穂乃果(穂乃果は絶対諦めな――)
ツバサ「褒めてくれたお礼、しなきゃね♪」
穂乃果「……え?」
ツバサ「見せてあげるわ」
ツバサ「穂乃果さんの到達点。貴女の『完成』を」グッ
―― パァァァァァァァン ――
―― トンッ ――
穂乃果「……あ、あれ?」
穂乃果「それ、穂乃果の……ですよね」
穂乃果「穂乃果の『リターン』……なのに……」
ツバサ「ねぇ、穂乃果さん」
ツバサ「これが貴女の『技』よ。『完成』した貴女の本当の『技』」
ツバサ「『リターン』なんて平凡なものじゃない」
ツバサ「『リターンエース』」
ツバサ「それが貴女の……いえ」
ツバサ「私の『技』よ♪」
『穂乃果 ③ - ① ツバサ』
――――――
ことり「『妙技・綱渡り』に『メテオドライブ』……」
花陽「どっちもすごく強いよ……」
絵里「……えぇ」
希「ついには穂乃果ちゃんの『リターン』も『完成』させた、ってことやね」
英玲奈「一つ一つが決め技と言っても過言ではない。それほどに『完成』されている」
希「……『神の子』」
凛「強すぎるよ……」ブルッ
真姫「…………」
――――――
真姫「真っ赤にっ、真っ赤に染まりなサイッ!!!」パァァァン
ツバサ「……っ」パァァァン
真姫「防戦一方じゃナイ♪ それでも『神の子』ナノ?」
ツバサ「…………」パァァァン
真姫「笑っちゃうワネ!!」パァァァン
ツバサ「……」ポーーーン
真姫「ここでロブ……」
真姫「アハッ♪ これは壊しちゃってもイイのよネ?」ニタァァ
真姫「『ナパーム』」バシィィィィン
ツバサ「……フフッ」
真姫「え……?」
ツバサ「ほんと、笑っちゃうワネ♪」
―― パァァァァァァン ――
――――――
真姫「同じ、だわ……」
凛「……真姫ちゃん?」
真姫「同じ、よっ、私の時と……っ」ブルッ
花陽「ま、まきちゃんっ!?」
ことり「どうかしたの?」
絵里「っ、真姫!?」
真姫「……っ、引き出されて、追い詰めたのに……」ガクガク
真姫「っ、あ、アァァァっ……」ガクガク
花陽「真姫ちゃんっ、真姫ちゃん!?」
凛「真姫ちゃんっ!」
海未「英玲奈さん!!」
英玲奈「くっ、あんじゅ!! 彼女を外へ!」
あんじゅ「わかったわっ」ダッ
――――――
英玲奈「フラッシュバック……か」
にこ「……何があったのか、考えたくもないわね」
英玲奈「……向こうはあんじゅたちに任せよう。あまり大人数いても刺激するだけだからな」
絵里「……えぇ」
雪穂「…………」
海未「……雪穂は、大丈夫ですか?」
雪穂「う、うん……っ、たぶん……」
海未「なら、いいのですが……」
雪穂「…………」ブルッ
亜里沙「ユキホ……」ギュッ
雪穂「……ありがと、亜里沙」
ことり「ほのかちゃん……は……」
希「……ううん、きっとダイジョブよ」
絵里「…………」
――――――
にこ「大丈夫よ」
――――――
ことり「にこ、ちゃん……?」
希「にこっち……?」
絵里「大丈夫って……なんで言い切れるの?」
にこ「……海未は分かってるでしょ?」
海未「えぇ、にこが何を根拠にそう言っているのか、それは分かっています」
にこ「……見てみなさい」
にこ「穂乃果の目」
にこ「あいつ、まだ諦めてないわ」
――――――
穂乃果「………………」
―― ドクンッ ――
穂乃果「……………………よしっ!」
――――――
にこ「……そう」
にこ「使うのね、穂乃果」
――――――
『チェンジサービス』
『サービス ツバサ』
ツバサ「さぁ、まずは1ゲームとったわよ♪」ターンターン
穂乃果「……はい」
ツバサ「フフッ♪ まだ諦めてないわね」
穂乃果「はいっ!」
ツバサ「いいわ、本当に……」スッ
ツバサ「最高よっ!!」バッ
「跳んだ!?」
「また来るわよ! 穂乃果!」
穂乃果「っ!!」グッ
ツバサ「そうこなくちゃ!!」
―― パァァァァァァァァァァン ――
穂乃果「っ」ダッ
穂乃果「『リタ――痛っ!?」グッ
―― カランッ ――
『穂乃果 0 - 15 ツバサ』
ツバサ「残念。穂乃果さんの筋力じゃ『予感』しても返せないわ」
ツバサ「これが『ビッグバン』だもの」
ツバサ「次は……」
ツバサ「これよ♪」シャッ
穂乃果「アンダーサーブ……っ」ダッ
穂乃果「――――この打球はっ」
―― スッ ――
穂乃果「っ!?」スカッ
穂乃果「消え――」
ツバサ「『バニシングカット』」
ツバサ「その打球、消えるのよ」ニコリ
『穂乃果 0 - 30 ツバサ』
ツバサ「今度はこれよ」スッ
ツバサ「はっ!!」パァァァン
穂乃果「っ、今度こそ!!」グッ
―― ギュルルルルルル ――
穂乃果「なっ!?」
穂乃果「な、なんで……弾まない……」
ツバサ「『タンホイザーサーブ』って言うのよ」
ツバサ「元々はこんなに弾まないサーブじゃなかったのだけれど……『完成』させたから♪」
『穂乃果 0 - 40 ツバサ』
――――――
絵里「にこ……」
にこ「黙ってみてなさい」
絵里「……っ」
にこ(分かってるじゃない)
にこ(ツバサの『完成』は確かに強いわ。完全に上位互換だし)
にこ(だから、重要なのはタイミング)
にこ(油断しきってるところに、叩き込みなさい! 穂乃果!)
――――――
ツバサ「さ、次は違うパターンの消えるサーブを打つわよ」ターンターン
穂乃果「……」
ツバサ「『予感』できるかしら?」フフッ
穂乃果「…………」
ツバサ「……ふっ」スッ
ツバサ「『神隠し』!」パァァァン
―― シャァァァ ――
「また消えた!」
「いえ、さっきのとは違います!」
穂乃果「――見えたよっ!」ダッ
ツバサ「さ、返してみて!!」
穂乃果「ここだぁぁぁぁ!!!」パァァァン
「『リターン』!」
「本家の『リターン』か。だが、やはり……」
穂乃果(……うん。分かってる)
穂乃果(たぶんツバサさんには、穂乃果の『技』は効かないってことも)
穂乃果(『リターン』を余裕で返してくるってことも)
ツバサ「流石穂乃果さんね♪」
ツバサ「でも、大勢が崩れてるわ。そのコース突かせてもらうわね」グッ
ツバサ「『バイキングホーン』!!」
「!? 逆手に持ち代えて……!?」
「あんなフォーム見たことない!」
穂乃果(うん。やっぱりだ)
穂乃果(…………)
穂乃果「使わせてもらうね」
穂乃果「にこちゃん」
穂乃果「海未ちゃん」
―― ドクンッ ――
――――――
穂乃果『『動くこと雷霆の如し』ッ!!』
―― パァァァァァァァァァァン ――
――――――
英玲奈「一瞬で移動した!? あれは!!」
絵里「海未の『雷』!?」
希「海未ちゃんの『技』を穂乃果ちゃんが使えるってことは……!!」
にこ「そうよ!! 『無我の境地』!!」
にこ「穂乃果を特訓したのは、絵里や海未だけとは言ってないでしょ?」ニカッ
希「! にこっち!」
にこ「さ、決めなさい! 穂乃果!!」
海未「穂乃果!!」
――――――
ツバサ「――そう来ると思ってたわ」
ツバサ「……いえ」
ツバサ「10秒前には、もう――」
ツバサ「――『予感』していたわ」
――――――
穂乃果『……え?』
ツバサ「返すわね」スッ
―― ギリギリギリギリ ――
―― パァァァァァァン ――
―― パァァァァァァン ――
―― パァァァァァァン ――
―― パァァァァァァン ――
―― パァァァァァァン ――
穂乃果『…………な、んで……?』
ツバサ「『雷』はガットを焼き切るほどの高回転のショット」
ツバサ「なら、ガットを使わないで返せばいい」
ツバサ「例えば、フレームでね」
ツバサ「フレームを使う『技』に『あばれ球』というものがあってね。本来はもっと増えるんだけど、今回は残念ながら五球程度にしかならなかったわね」
ツバサ「流石の威力だわ」フフッ
穂乃果『ち、ちがっ……』
ツバサ「ん? ……あぁ、『そっち』か」
ツバサ「ねぇ、穂乃果さん」
ツバサ「言ったはずよ? 私の『予感』は10秒だって」
ツバサ「つまりね?」
ツバサ「貴女のテニスは既に終わっているのよ」ニコリ
『穂乃果 ③ - ② ツバサ』
今日はここまで。
これは勝てない。
油断云々の時点で10秒前から予感してるから意味なくねって思ってはいたけれど...
勝てない(勝てないとは言っていない)
ほのかわいそう
もう一週間だな
はよ
待ってるからはよ
レス感謝。
お待たせしてしまい申し訳ないです。
明日の夕方頃に更新予定です。
しばしお待ちを。
――――――
2ゲーム目をとられて。
気づいたら、追いつかれてた。
そして、もう1ゲームもとられてた。
このゲームをとられたら……?
それを考えたら、すごく怖くなった。
穂乃果が負けたら全部無駄になっちゃうんだって思っちゃったから。
ここまで繋いでくれたみんなのために勝ちたい。
そう思うのに……。
…………。
なのに、ツバサさんには全部効かなかった。
『一点特化』も。
『予感』も。
にこちゃんに教えてもらった『無我の境地』だって効かなかった。
全部、全部、効かなかったんだ。
…………こわい。
こわいよ。
誰か助けて。
――――――
――――――
「ほのかちゃんっ」
――――――
その声は目の前から……ううん。
穂乃果の名前を呼んだその声の主は、今はもう穂乃果の腕のなかにいる。
ぴったりと。
まるで、穂乃果をなにかから守ってくれるみたいに、ぎゅっと。
その子は穂乃果を抱き締めてくれていた。
穂乃果「ことり、ちゃん……?」
ことり「~~っ、ほのかちゃんっ」
抱きついていることりちゃんの表情は見えない、けど……。
その声はいつもの優しい声じゃなくて、少しかすれた声。
……ことりちゃん?
ことり「もう、やめよ……?」
穂乃果「え?」
ことり「もう、いいよぉ……」
もういい。
ことりちゃんはそう言った。
……でも。
穂乃果「でも、穂乃果は……」
勝たなくちゃ。
その言葉は――
「……っ、穂乃果」
――後ろから回されたその腕に止められた。
ことりちゃんに負けないくらいぎゅっと抱きしめるその腕は、
海未「もう、いいですっ……」
穂乃果「海未ちゃん……」
海未ちゃんのもので。
なりきり板からの宣伝。主はスレを投げ出して逃げたり他のスレで害悪行動を繰り返したカス
一度投げ出したスレを板が過疎だからとまた堂々と立てる。害悪行動に関しては悪びれる気無し
何やっても良いスレだから皆何したって良いぜ
海未「もう、止めましょう……」
穂乃果「海未ちゃん?」
海未「……穂乃果が勝たないといけないと思ってるのは分かります」
穂乃果「っ」
貴女が責任感が強いのは、私とことりが誰よりも分かっているつもりですから。
穂乃果をぎゅっとしたまま、海未ちゃんはそう言う。
そして、
海未「けれどっ!」
海未「貴女が、こんなに辛そうなのはっ……見て、られませんっ!」
そう続けた。
辛そう?
穂乃果が?
海未「はい。そうですよ……。だって、穂乃果」
海未「笑ってないじゃないですか……」
穂乃果「あ、れっ……?」
あ、そうだ。
穂乃果、全然笑えてない。
――――――
――――――
ツバサ「ふぅ……」
ツバサ「中断、したのはいいけれど……」
ツバサ「…………」
ツバサ「穂乃果さんは戻ってこれるのかしら?」
ツバサ「…………」
ツバサ「……はぁ、結局『完成』の前では、穂乃果さんでも……」
「…………」
ツバサ「……中断したとは言え、まだ試合中よ?」
「…………」
ツバサ「試合中にコートに入るのはマナー違反だと思うけれど……」
「…………」
ツバサ「それとも、貴女が相手をしてくれるのかしら?」フフッ
「……えぇ」
ツバサ「……………………そう」
「……私が相手になるわ」
ツバサ「『また』後悔するわよ?」
ツバサ「西木野真姫さん♪」フフッ
真姫「それは、どうかしらねっ」ブルッ
真姫(頼むわよ、みんな)
――――――
――――――
希「穂乃果ちゃん……」
絵里「……穂乃果」
今まで気づけなかったけど、希ちゃんも絵里ちゃんも穂乃果を心配そうに見てた。
花陽「……ほのかちゃん」
亜里沙「ホノカさんっ、無理しないでください……」
凛「そうにゃ! 穂乃果ちゃん、もう頑張ったもん!」
そうかな?
穂乃果、頑張った……のかな?
にこ「穂乃果」
穂乃果「にこちゃん……?」
にこ「ごめん……」
穂乃果「なんであやまるの?」
にこ「にこが……『無我の境地』なんて教えたから……あんたは……」
にこちゃんはそう言って俯いちゃった。
ううん。
ちがうよ。
それはちがうんだよ、にこちゃん。
にこちゃんに教えてもらったから、穂乃果はここまで戦えたんだ。
きっと教えてもらってなかったら、もっと前に折れちゃってたはずだもん。
だから……。
穂乃果「…………」
あれ?
言葉が出ないや。
行ってくるって言いたいのに……。
海未「穂乃果」
ことり「ほのかちゃん」
そっか……。
穂乃果はもう皆に心配かけたくないんだ。
だから、言葉が出てこない。
なら――。
――――――
「お姉ちゃん、いいの?」
――――――
穂乃果「……雪穂?」
雪穂「…………」
雪穂は何も言わない。
ただじっと穂乃果の目を見つめてくるだけ。
目に涙を溜めながら。
雪穂「……ほんとに後悔しない?」
穂乃果「…………」
雪穂「………………」
穂乃果「…………うん」
……うん。
そうだね。
危うく後悔するとこだった。
穂乃果「~~っ!!!」バチンッ
海未「穂乃果!?」
ことり「ほのかちゃん!?」
穂乃果「よしっ!!!」
気合いを入れるため、ほっぺたを強く叩く。
うん。
これで大丈夫!
立ち上がる。
そして、歩き出す。
雪穂「……無理しないでよ、お姉ちゃん」
穂乃果「約束はできない、かなぁ」
雪穂「……バカ」
穂乃果「あはは……」
絵里「穂乃果……」
希「……穂乃果ちゃん」
花陽「穂乃果ちゃん……」
凛「ほのか、ちゃん……」
亜里沙「ホノカさん……」
にこ「…………」
穂乃果「行ってくるね!」
雪穂「いってらっしゃい」
道を開けてくれるみんなに、笑う。
そして、もう一度前を向いて……うん。
……そう、だよね。
海未「……本当に行くつもりなのですかっ」
ことり「試合、するの……?」
海未ちゃんとことりちゃん。
二人の言葉に黙って頷く。
ことり「そんなのっ――」
穂乃果「無茶、だよね?」
海未「…………」
穂乃果「分かってる」
海未「なら、なぜっ――」
穂乃果「けど!」
穂乃果「ここで止めたら絶対後悔するから」
きっと後悔する。
スクールアイドルを止めたあの時みたいに。
そうだよ。
スクールアイドルだってそうだった。
最初は廃校を阻止するためで。
廃校を阻止して。
だけど、ことりちゃんの留学に気づかなくて。
それで止めた。
けど、穂乃果は本当は――。
それと、おんなじだ。
穂乃果「やりたいんだ!」
穂乃果「ツバサさんすっごく強くて!」
穂乃果「たぶん、今を逃したら二度とこんな強い人と試合できない!」
穂乃果「ここで止めたら絶対後悔する!!」
穂乃果「だから!!」
海未「…………」
ことり「…………」
穂乃果「穂乃果、最低かな?」
海未「…………最低です」
ことり「うん……」
穂乃果「あはは、やっぱり……」
海未「そんな風に言われたら、送り出すしかないではないですかっ」
ことり「うぅぅぅ、ずるいよぉ……」
本当に穂乃果はずるいよね。
だって、二人とも絶対送り出してくれるって分かってたから。
たって、二人はいつだって穂乃果の味方なんだもん。
穂乃果「…………ごめんね?」
ことり「……っ、でも」
海未「っ、えぇ。穂乃果らしいです」
ことり「うんっ♪」
無理矢理笑顔を見せる二人。
ありがとうとごめんね。
2つの気持ちを込めて、穂乃果は笑う。
穂乃果「いってきます!」
――――――
――――――
真姫「はあっ……はぁっ……」
ツバサ「息、あがってるわね」フフッ
真姫「うるっ……さい!」パァァァァン
ツバサ「……それはごめんなさい? それじゃあ」グッ
ツバサ「終わりにしまショウ♪」パァァァァン
真姫「っ!!」ブルッ
真姫(だめっ、やっぱり怖いっ)
真姫(足がすくんでっ!?)
真姫(だめ……当たる……)ギュッ
『……ふっ』
―― フワッ ――
―― トンッ ――
真姫「え?」
『ふぅ、カンイッパツだ!』
真姫「あっ、今の……」
『うん。亜里沙ちゃんの『已滅無』だよ』
真姫「…………」
『真姫ちゃん? えっと、大丈夫?』
真姫「……っ、それはこっちの台詞よ! そっちこそ大丈夫なんでしょうね?」
『…………うん』
真姫「…………そう。なら――」
真姫「――よろしく、穂乃果」
穂乃果『うん!!』
ツバサ「……そう。戻ってきたのね」
穂乃果『うん』
ツバサ「フフッ、そうこなくっちゃね♪」
穂乃果『ごめんね? 待たせちゃって』
ツバサ「いいわ。それより倒せるのかしら、この私を」
穂乃果『……分からないです』
ツバサ「わから、ない……?」
穂乃果『……うん。ツバサさんは強くて『完成』には手も足も出ないよ』
ツバサ「…………」
穂乃果『けど、やるしかない!』
穂乃果『ううん! やりたいんだ!』
穂乃果『穂乃果は穂乃果らしく、全力でぶつかるだけだよ!』
ツバサ「……フフッ、そう。それが貴女の答えなのね」
穂乃果『うん!』
穂乃果『やるったらやる!!』
――――――
――――――
『穂乃果 ③ - ④ ツバサ』
『試合再開』
――――――
短いですが、今日はここまで。
レス感謝です。
あと更新二回ほどで完結予定です。
お、穂乃果持ち直したな
どうやって勝つのかは謎だが
ほのかっこいい
本日更新します。
『チェンジサービス』
『サービス 穂乃果』
穂乃果『…………』ターンターン
ツバサ「……フフッ」
穂乃果(みんなのおかげで、気持ちは折れないで済んだけど……)
穂乃果(やっぱりツバサさんの隙は見えないや)
穂乃果(……でも!)
穂乃果『行くよ!』スッ
ツバサ「ええっ!!」
穂乃果『はあぁっ!!!』パァァァァァァン
「絵里の『高速サーブ』!」
「けど、不完全よ!」
ツバサ「もらうわよ!」
ツバサ「『リターンエース』!」パァァァァン
「ホノカさんの『技』ッ!!」
「穂乃果!」
「お姉ちゃん!!」
穂乃果『っ、うんっ!』ダッ
穂乃果『はぁっ!!』パァァァン
―― ポスッ ――
穂乃果『ネット……』
ツバサ「それはそうよ。『リターン』ではなく『リターンエース』なのよ?」
穂乃果『………………ふぅ』
『穂乃果 0 - 15 ツバサ』
穂乃果『……次、いきます!』ターンターン
ツバサ「えぇ。次はなにかしら?」フフッ
穂乃果『っ、ふっ!』パァァァァン
―― ギュルルルルルル ――
「あれは!?」
「ツバサの『タンホイザーサーブ』か!」
「あれなら『リターンエース』は出来ないわ!」
ツバサ「なるほど。考えたわね♪」
ツバサ「けど!!」ダッ
ツバサ「返すのなんて訳ないわ!」パァァァァン
穂乃果『うん。分かってたよ!』スッ
「穂乃果がもう前につめています!」
「『予感』でよんでたみたいやね」
「あの構えはにこちゃんの……」
穂乃果『ふっ』トンッ
―― トンッ ――
―― シュルルルルル ――
「決まったにゃ!」
「えぇ、『にこ式――」
ツバサ「フフッ♪」
穂乃果『っ』ゾクッ
ツバサ「『にこ式ドロップ』でしょう?」
ツバサ「こちらも勿論『予感』してるわよ♪」フワッ
―― カンッ ――
―― ツツツツツーッ ――
「やっぱりツバサさんも『予感』をっ!?」
「でも、ほのかちゃん、前に出てるから『綱渡り』返せるよっ」
穂乃果『うんっ!!』グッ
穂乃果『やあっ!!』ポーーーーン
ツバサ「ただのロブ……じゃないわね」
―― シュルルルルル ――
ツバサ「この音はっ!」バッ
穂乃果『『メテオドライブ』!!』
―― パァァァァァァァァァァァン ――
ツバサ「ふふっ、いい選択ね。けれど、まだ甘いわ」グッ
ツバサ「ふっ」トンッ
穂乃果『っ、ボールは……』キョロキョロ
―― トンッ ――
穂乃果『……『死角』』
ツバサ「さぁ、あと二点ね」
『穂乃果 0 - 30 ツバサ』
穂乃果『…………ふーっ』ターンターン
ツバサ「次は……『ビッグバン』?」
穂乃果『っ』スッ
穂乃果『はぁぁぁっ!!』パァァァァン
ツバサ「やっぱり♪」スッ
ツバサ「けど……」グッ
ツバサ「はぁっ!」パァァァァン
「あれを返した!?」
「自分の『技』だからな。恐らくだが、対処の仕方も知っているのだろう」
「けど、今がチャンスですっ」
「うん! 球威が落ちてるにゃ!!」
「穂乃果!!」
穂乃果『…………」
「ホノカちゃん……?」
穂乃果「っ、はぁっ!!』パァァァァン
「えっ!?」
「ただのドライブだと!?」
「このチャンスに穂乃果はなにを……って!」
「う、うん。もしかしたら、穂乃果ちゃん……」
ツバサ「時間切れ、かしら?」ダッ
穂乃果『…………」
ツバサ「見れば、『無我の境地』も解けかかってるわ。長時間の使用だもの。無理もないけれど……」
穂乃果『…………っ」グッ
ツバサ「……それでも戦おうとする意志」スッ
ツバサ「ホント、貴女って――」
―― ギュルルルル ――
ツバサ「――最高よッ!!!」
―― パァァァァァァァン ――
「私の『ナックルショット』!!」
「穂乃果!」
「お姉ちゃんっ、逃げてッ!?」
穂乃果「………………」
――――――
みんなの『技』を使っても。
ツバサさんが使った『技』を穂乃果が使っても。
ツバサさんには全然効いてない。
あぁ。
やっぱり強いや。
そう思う。
敵わないなって思うんだ。
『リターン』を使った。
返された。
『予感』を使った。
超えられた。
『無我の境地』を使った。
それでも届かない。
………………。
だから、今のままじゃダメだ。
今のままじゃ……。
じゃあ、穂乃果にできることってなんだろう?
『神の子』のツバサさんには出来なくて。
『一点特化』の穂乃果に出来ること。
…………うん。
ひとつだけ、やってないことがある。
にこちゃんに教えてもらった後、ひとりで散々練習はしたけど、結局できなかったことだけど……。
……うん、やろう!
やってみよう!
後悔しないために!
全力で!!
――――――
穂乃果『――――はぁぁぁぁ!!!』
―― ギュルルルルルルルル ――
―― パァァァァァァァァァァン ――
ツバサ「っ!?」
「返しました!」
「しかも、同じ『ナックルショット』です!!」
「まだ『無我の境地』は維持できてるってことね!」
ツバサ「っ、まだよ!」ダッ
ツバサ(そう、まだよ!)
ツバサ(さっきは『予感』を使えなかったけれど、今度は使って確実に――)
ツバサ「――――」ゾワッ
ツバサ「――――今のは……?」
ツバサ「っ、いえ、何かの間違いよ!!」グッ
ツバサ「はぁぁぁ――」
―― カランッ ――
ツバサ「……ラケットが……?」
『穂乃果 15 - 30 ツバサ』
穂乃果『…………』ドクンッ
穂乃果「……次、いくよ!』ターンターン
ツバサ「……ええっ」スッ
穂乃果「はぁぁぁっ!!!」パァァァァン
ツバサ「っ!!」
「今度はただのフラットサーブ!?」
「穂乃果ちゃんは一体……?」
ツバサ「はぁぁぁ……」グッ
ツバサ「これで!!」
―― パァァァァァァァン ――
「『リターンエース』!?」
「決めにかかったな。これは――」
穂乃果『やぁぁぁっ!!!』
―― パァァァァァァァァァン ――
―― トンッ ――
ツバサ「っ、また……」
『穂乃果 30 - 30 ツバサ』
ツバサ「…………」
穂乃果「……ふぅ……よしっ」
ツバサ(……なにかおかしい)
ツバサ(穂乃果さんの体力はきっと限界に近いはず。その証拠に彼女の『無我の境地』はもう弱々しくなっているわ)
ツバサ(今だって、オーラが少しも出ていないもの)
ツバサ(けれど、さっきも今もポイントをとられた)
ツバサ(一本目は『ナックルショット』。二本目は『リターンエース』)
ツバサ(…………)
ツバサ「……まさか……?」
穂乃果「…………うん』ドクンッ
穂乃果「ツバサさん!」ターンターン
ツバサ「……ええ!」
穂乃果「ふっ」スッ
穂乃果「やあっ!」パァァァァン
ツバサ「また普通のサーブ……なら!」
ツバサ「ふっ」ポーーーーン
「ここでロブ!?」
「いや。ただのロブではない。あれは――」
―― シュルルルルル ――
ツバサ「『メテオドライブ』!」
―― パァァァァァァァァァァァン ――
ツバサ「さぁ、返してみせて!」
穂乃果「……はいっ!!』グッ
穂乃果『やあぁぁっ!!!』パァァァァン
―― シュルルルルルルルル ――
―― パァァァァァァァァァァァン ――
ツバサ「っ、これ――」
―― カランッ ――
『穂乃果 40 - 30 ツバサ』
――――――
英玲奈「何が起こっている……? ツバサのショットが悉く返されているのは……」
海未「分かりません。穂乃果に一体何が……」
希「にこっちなら、なにか知ってるんとちゃうん?」
にこ「……残念だけど知らないわよ。『無我の境地』を教えたのは、たしかににこだけどね」
凛「あれ?」
花陽「どうかした? 凛ちゃん?」
凛「うん。かよちん、穂乃果ちゃんの周り見て?」
花陽「う、うん? えっと……」
絵里「凛が気になっているのは、『無我の境地』のオーラ……かしら?」
凛「そうにゃ!」
真姫「……前半よりもオーラは淡くなって……え?」
絵里「あっ!」
海未「『無我の境地』の光が!!」
ことり「ほのかちゃんの右腕に集まってるの……?」
希「光が淡くなってるのは、そのせいみたいやね」
花陽「……でも、あれって?」
にこ「…………っ、まさか!!」
――――――
ツバサ「……なるほど、ね。それが貴女の答え」
穂乃果「……はい』コクリ
ツバサ「『無我の境地』。それから『一点特化』ね」
穂乃果「うん』
穂乃果「穂乃果に出来るのはそれだけだから』
穂乃果「『無我の境地』だけじゃダメだし、『一点特化』も今のままじゃ効かないから』
穂乃果「だから、全部右手に集めたんだ』
穂乃果「『無我の境地』の『一点特化』』
ツバサ「『無我の境地』の爆発的な力を右腕だけに集める」
ツバサ「そうすることで、爆発的なな力を生む」
ツバサ「なるほどね。球威、スピード、回転までも倍返しになっていたのはそういう理由だったわけね」
穂乃果「うん』
穂乃果『これが、穂乃果の答え』
穂乃果『『百錬自得の極み』だよ!!』
今日は短めですがここまで。
あと更バーーーローー回では終われませんね。
もう少しお付き合いください。
今日は短めですがここまで。
あと更新一回では終われませんね。
もう少しお付き合いください。
はい。
純黒の悪夢見ました。
いきなりバロってて草
倍返しなら予知しようと意味ないわな
本日更新予定。
穂乃果「……すぅ、ふぅ」ターンターン
ツバサ「……」スッ
穂乃果「――っ!!』スッ
穂乃果「やあっ!!』パァァァァン
ツバサ「っ、はぁっ!!」パァァァァン
「ただのショット……?」
「ツバサ、『技』を使わないつもりか!」
ツバサ(その通りよ、英玲奈)
ツバサ(ただ……)チラッ
穂乃果「はあっ!!』パァァァァァァァン
ツバサ「っ、ただのショットでもこの威力……」グッ
ツバサ「はあっ!!」パァァァァン
「ツバサが力負けしている……」
「ただのショットでもこの威力ですか。確かに『技』を使わないのが賢明でしょう」
ツバサ「…………そうね」
ツバサ「『百錬自得の極み』」
ツバサ「全ての打球を倍返しにするその『技』は確かに強いわ」
ツバサ「けれど――」グッ
――――――――――
「ユキホのっ――」
「『レーザービーム』!!」
ツバサ「見えなければ、倍返しもないでしょう!!」
――――――――――
―― トンッ ――
ツバサ「なっ!?」
穂乃果「見えてるよ。目ではわかんないけど」
ツバサ「……な、なんで……」
穂乃果「目には見えてないよ。けど、2秒後の未来は見えるから!」
ツバサ「! 『予感』ね……」
穂乃果「追いついたよ……ツバサさん!!』
『穂乃果 ④ - ④ ツバサ』
『タイブレーク突入』
『サービス ツバサ』
ツバサ「まさかあそこから追いつかれるなんてね」ターンターン
穂乃果「……まだ」
ツバサ「……え?」
穂乃果「追い越すよ!」ニコッ
ツバサ「フフッ、やってみて!!」スッ
ツバサ「はっ!!」パァァァァン
穂乃果「っ』スッ
穂乃果「はぁぁぁっ!!』パァァァァァァァン
ツバサ「……倍返し……馬鹿に出来ないわね」グッ
ツバサ「フフッ、こっちも全力でいくわよ!!」
穂乃果「! はいっ!」
ツバサ「はぁぁぁっ――」
ツバサ「――ふっ」フワッ
穂乃果「!?」
「なっ!? ここでドロップですって!?」
「大胆すぎにゃ!!」
「穂乃果! とれるわっ!」
穂乃果「っ、うんっ」ダッ
穂乃果「えいっ」ベチッ
「とったぁ!」
「だが、『百錬自得の極み』が崩れている」
ツバサ「フフッ♪」
ツバサ「はぁぁぁっ!!」パァァァァン
穂乃果「っ!」
ツバサ「……言ったでしょ? 全力って」ニコッ
穂乃果「うん!」ニコッ
『穂乃果 0 - 1 ツバサ』
――――――
『穂乃果 1 - 1 ツバサ』
『穂乃果 2 - 1 ツバサ』
『穂乃果 2 - 2 ツバサ』
『穂乃果 3 - 2 ツバサ』
――――――
にこ「差が開かないわね」
英玲奈「実力は互角と言ったところか」
凛「でも、さっきまで穂乃果ちゃん、『百錬自得の極み』でリードしてたのに……?」
にこ「まぁ、スタミナ切れもあるでしょうけど……」チラッ
英玲奈「あぁ」コクリ
英玲奈「ツバサが対応し始めているんだ」
凛「対応って……『百錬自得の極み』に?」
英玲奈「あぁ」
亜里沙「でも、どうやって……ですか? どんなショットも倍返しできるなら……」
にこ「…………なんとなくツバサの球種で多くなってるものがあるの気付かない?」
りんゆき「「?」」
にこ「花陽は?」
花陽「えっ? あ、えっと……」
花陽「ドロップショット?」
にこ「そ。それよ」
凛「? でも、それって……」
絵里「凛? ドロップショットを『百錬自得の極み』で打ち返したらどうなるかしら?」
凛「えっと、倍返しに……あっ!!」
希「そういうこと、やね」
絵里「ドロップショットを倍返しにしたところで、その球威は大して脅威ではないわ」
希「それで隙を狙って……ってことね」
絵里「えぇ」
亜里沙「ハラショ……」
凛「すごいにゃぁ……」
英玲奈「まぁ、ツバサも伊達に『神の子』と呼ばれているわけではないさ」
花陽「じゃあ、『百錬自得の極み』は攻略されちゃったってことですか……?」
海未「……いえ。そうとも言い切れませんよ」
花陽「えっ?」
海未「穂乃果の『百錬自得の極み』が完全に消えない限り、ツバサさんはパワーやスピードのある『技』は打てませんから」
花陽「あ、そっか」
絵里「牽制、ってことね」
海未「はい。……ただ……」
ことり「海未ちゃん……」
海未「えぇ、ただ1つ気がかりなのは……」
――――――
―― トンッ ――
穂乃果「っ、これって……』
ツバサ「……ふぅ、やっとね♪」
穂乃果「…………」
ツバサ「ごめんなさい、穂乃果さん。私も勝ちたいの」
ツバサ「だから、これからは――」
ツバサ「――貴女の『死角』にしか打たないようにするわ♪」ニコリ
『穂乃果 3 - 5 ツバサ』
――――――
海未「くっ、恐れていたことを……」
ことり「ほのかちゃん……」
希「均衡が崩れた、ね」
――――――
ツバサ「フフッ♪」ターンターン
穂乃果「っ、いつでも――」グッ
ツバサ「えぇ」スッ
ツバサ「はぁっ!!」パァァァァン
穂乃果「……っ!? また!?」バッ
穂乃果「ボールは……!?」キョロキョロ
―― トンッ ――
『穂乃果 3 - 6 ツバサ』
穂乃果「っ、そんなっ!」
ツバサ「……終わりね」
穂乃果「う、ううんっ! まだだよ!!」
ツバサ「いいえ。終わりよ。『死角』は『百錬自得の極み』では破れないわ」
穂乃果「…………っ、まだっ……穂乃果は……」
ツバサ「………………」
ツバサ「貴女の『予感』なら……」ボソッ
穂乃果「……え?」
ツバサ「あらかじめどこに落ちるか分かっていれば、打ち返せないことはないわ」
ツバサ「2秒先しか分からないんじゃ、意味ないわね」
穂乃果「…………」
ツバサ「…………」
穂乃果「ツバサさん……?」
――――――
――――――
――――――
なんで、だろう?
なんでツバサさんは穂乃果にあんなことを言ったんだろう?
穂乃果の『予感』なら……って。
……よくわかんない。
よくわかんないけど、なぜだかツバサさんが助けを求めてるような気がした。
助けて。
誰か私を倒して。
そんな風に聞こえた。
………………。
穂乃果の思い違いかもしれない。
ただの勘違いかもしれないけど。
穂乃果は――。
――――――
――――――
―― ドクンッ ――
――――――
『チェンジサービス』
『サービス 穂乃果』
穂乃果『………………』
ツバサ「……」スッ
穂乃果『………………』
ツバサ「……穂乃果さん?」
穂乃果『………………』
穂乃果『……【4球目】』ボソッ
穂乃果『っ!』スッ
ツバサ「っ!?」
穂乃果『やあっ!!』パァァァァン
ツバサ「……ただのフラットサーブ?」
ツバサ「こんな打球じゃあ!」グッ
ツバサ「終わりよ」パァァァァン
「マッチポイントまで、『死角』にっ!!」
「ツバサ……」
「穂乃果ちゃん!!」
「取りなさい! なにがなんでも!!」
「穂乃果ぁぁぁぁ!!!」
穂乃果『うん!』
穂乃果『やぁぁっ!!』パァァァァン
ツバサ「なっ、まさか!?」
「ツバサ!」
「はしるのよっ!」
ツバサ「分かってるわっ!!」バッ
ツバサ「今度こそ、終わりよ!」パァァァァン
―― ポスッ ――
ツバサ「っ、ネットに……」
『穂乃果 4 - 6 ツバサ』
『マッチポイント ツバサ』
穂乃果『………………』
ツバサ「……穂乃果さん、一体どうやって……」
穂乃果『………………』
ツバサ「……また……?」
穂乃果『【5球目】』ボソッ
穂乃果『ふっ』スッ
ツバサ「来なさい!」グッ
穂乃果『やっ!』パァァァァン
ツバサ「……もう一回……」グッ
ツバサ「ふっ……!」フワッ
「ドロップショット!」
「いや、ただのドロップではない! また『死角』をついている!」
「抜け目ないわぁ」
「……でも、穂乃果ちゃん」
「動いてるよ?」
穂乃果『やぁぁっ!!』パァァァァン
ツバサ「っ、やっぱり……」
ツバサ(はっきりしたわ)
ツバサ(どうやってるかは知らないけれど、穂乃果さんは既に『死角』を克服してる)
ツバサ(『予感』? いえ、穂乃果さんは2秒程度しか保たないはず)
ツバサ(若干打ち合いの中で成長したとしても……)
ツバサ(……いえ、考えるのは止めよ! ここはこれで決めるわ!!)
ツバサ「『予感』したところでこれは返せない」スッ
―― ギリギリギリギリ ――
ツバサ「『あばれ球』!!!」
―― パァァァァン ―― パァァァァン ――
―― パァァァァン ―― パァァァァン ――
―― パァァァァン ―― パァァァァン ――
―― パァァァァン ―― パァァァァン ――
―― パァァァァン ―― パァァァァン ――
「なっ!?」
「さっきとは全然違うにゃ!?」
「っ、1、2、3……10!?」
ツバサ「そう、10球よ! 全部返して見せて!!」
穂乃果『うん!』
―― トンッ ――
『穂乃果 5 - 6 ツバサ』
『マッチポイント ツバサ』
ツバサ「――え?」
――――――
花陽「一振り、でした」
真姫「……えぇ。まるで最初からそれだと分かっていたような……」
あんじゅ「……まさか?」
英玲奈「見極めた、のか? あのクセ球を……」
にこ「…………」
希「にこっち? どうかしたん?」
にこ「希、気付かなかった?」
希「……?」
にこ「海未と花陽は?」
花陽「え? うーん? なんのこと、かな?」
海未「……いえ。私もにこが何を言いたいのか分かりません」
にこ「【5球目】よ」
花陽「え……あっ!!!」
海未「…………っ!?」
にこ「……気付いたのね。その様子だと他のみんなも」
亜里沙「あ、あの……なにが、ですか?」
雪穂「……亜里沙? お姉ちゃんがサーブの前に言った【5球目】って呟き聞こえた?」
亜里沙「え? あ、うん! 聞こえたよ!」
雪穂「じゃあ、今のプレー何球目で決まった?」
亜里沙「? えづと、ホノカさんのサーブが1で、レシーブが2…………」
亜里沙「あっ!!!」
絵里「そういうことね」
希「うん。実際に決まったのも【5球目】で、さっきも【4球目】に決まってた」
海未「『始めから予言していた……というわけですか」
にこ「予言……じゃないわ」
真姫「……にこちゃん、なにか知ってるの?」
にこ「まぁね」
にこ「あれは『絶対予告』」
にこ「『百錬自得の極み』とは別の『無我の境地』の到達点」
にこ「『無我の境地』の力をシミュレーションに注ぎ込んだ形よ。その名は――」
「――『才気渙発の極み』」
――――――
『チェンジサービス』
『サービス ツバサ』
ツバサ「……『絶対予告』ですって?」ターンターン
穂乃果『……うん』
ツバサ「フフッ、面白いわ!」スッ
ツバサ「はっ!!」パァァァァン
穂乃果『……あと』スッ
穂乃果『【3球】』パァァァァン
ツバサ「上等っ!!」グッ
「バックハンド、ということは……」
「『レーザービーム』!!」
穂乃果『っ』バッ
ツバサ「動いたわね!!」
ツバサ「ふっ!!」シャァァァ
―― パァァァァン ――
「『レーザービーム』じゃない!?」
「スライスショットですっ」
ツバサ「ただのスライスじゃないわ。高速で急激に落ちる――」
「『『かまいたち』!!』」
穂乃果『……だよね?』
ツバサ「まさか、これも……っ!?」
穂乃果『うん! 分かってたよ!』
穂乃果『やあっ!!』パァァァァン
『穂乃果 6 - 6 ツバサ』
ツバサ「……見せたことのないショットですら……」
穂乃果『これで追いついた! そして――』
穂乃果『穂乃果が勝つよ!』ニコッ
――――――
――――――
μ'sに負けて。
私は考えた。
私になにが足りなかったのか。
勝つための練習?
勝利を求める気持ち?
それとも……?
それが一体何なのか、その答えが出る前に、今回の話が飛び込んできた。
μ'sとテニスの試合をしないか。
そんな話。
勿論私はその誘いにすぐさま飛びついた。
それからずっと練習を続けた。
勝つために。
幸い私には非凡な才能があったようで、テニスの技術はどんどん伸びていった。
これならきっとμ'sに勝てる。
そう思って、沢山の人達を打ち倒してきた。
…………。
たしかあれは、対戦相手が10人を越えた辺りのことだった。
静岡のスクールアイドルを倒した後、偶然そこで出会った女の子と戦った。
技術もろくになく、ただ粘り強いだけのテニス。
そのフィジカルですらこちらに通じなかったのだけれど。
……けれど、私に完敗した彼女は言った。
「楽しかったです!」
……と。
私には理解できなかった。
それから、何十人と戦って。
けれど、結局彼女のあの言葉を理解することはできなかった。
それに……。
「いや……もう……」
「わたしなんかじゃ、ツバサ様の相手なんて……」
「勝てるわけなかったのに……」
私の周りには、楽しかったと言ってくれる人間はいなくなっていたから。
私は一人になった。
――――――
――――――
ツバサ「はぁっ!」パァァァァン
穂乃果『……ふっ』トンッ
ツバサ「っ、まだよっ!!」ダッ
ツバサ「はぁぁぁっ!!」パァァァァン
穂乃果「まだまだぁ!!』パァァァァン
――――――
けれど、今は違う。
一人じゃない。
目の前には、彼女がいる。
私と互角に……ううん、それ以上に打ち合っていて。
彼女は笑ってる。
とっても楽しそうに……。
……あれ?
え?
もしかして、私も…………笑ってる?
――――――
―― パァァァァァァァン ――
穂乃果「ふっ……はぁ、はぁ……」
ツバサ「はっ、はぁ……」
穂乃果「……っ、ね、ツバサさん?」
ツバサ「なに、かしらっ……?」
穂乃果「楽しいねっ」
ツバサ「…………」
ツバサ「フフッ」
ツバサ「えぇ、楽しいわ♪」
『穂乃果 7 - 6 ツバサ』
『マッチポイント 穂乃果』
『チェンジサービス』
『サービス 穂乃果』
穂乃果『………………』
ツバサ「『絶対予告』?」
穂乃果『……うん』
ツバサ「最後は何球?」
穂乃果『【1球】』ターンターン
ツバサ「……そう」スッ
穂乃果『…………ほんとはもっと長く続けてたいんだけど……』
ツバサ「いいわ。全力、で戦ってくれるんでしょ?」フフッ
穂乃果『うん!』
ツバサ「それじゃあ、終わりにしましょうか♪」
穂乃果『……』スッ
ツバサ「さぁ! 来なさい!!」
穂乃果『はぁぁぁ――』
――――――
―― パァァァァァァァン ――
――――――
――――――
ねぇ、穂乃果さん?
なに?
ツバサさん?
もし、もう一度テニスする時があったら。
また遊んでくれる?
もちろんだよ!
……ううん!
もう一度なんて言わないで、何回でも遊ぼう!!
……うん。
ありがとう。
――――――
やっと。
やっと負けられた。
――――――
――――――
『穂乃果 ⑤ - ④ ツバサ』
『勝者 高坂穂乃果』
――――――
――――――
――――――
数日後。
穂乃果は秋葉原駅前にいました。
時計はちょうど約束の時間を指してます。
穂乃果「うーむ……おかしいなぁ」
首をひねる。
うーん?
穂乃果より遅いなんてあり得るのかな?
時間は正しいはずだし……。
はっ!
まさか穂乃果が日にちをまちがえた!?
「……だーれだ?」
と、突然誰かに目をふさがれました。
穂乃果「わわっ!? だ、だれ?」
なんて、驚いたフリ。
その声には聞き覚えがあるもんね!
ただ、少し遅れた罰としてからかってあげようかなって!
ふふふ!
慌てるがいい。
「………………」
穂乃果「……あれ?」
あわてて、ない?
むしろ、
「ごめんなさい……人違いだったわ……」
落ち込んでる!?
って!
穂乃果「うそ! うそだよ! 分かってるってば!」
「……フフッ♪」
穂乃果「…………あれ? も、もしかして……穂乃果、騙されてる?」
「その通り♪」
クスクスと笑いながら。
彼女は、だーれだを止めて。
向き直った穂乃果の顔を見て、また笑った。
もうっ!
穂乃果も少しだけ怒ったフリをして。
目の前で笑う彼女の名前を呼んだ。
穂乃果「ツバサさんっ!!」
ツバサ「フフッ、ごめんなさい? 穂乃果さん♪」
今回は罰ゲームはなしのつもりだったんだけど……。
どうしても、って言って。
試合に勝った穂乃果に罰ゲームをリクエストしたツバサさん。
全然考えられなかった穂乃果は1日一緒に遊ぶことを提案したんだ。
なぜかことりちゃんや海未ちゃんからは反対されたんだけどね。
結局、二人には、遊ぶ日の日にちを教えるからってことで、納得してもらった。
……まぁ、嘘ついたけど。
だって、絶対着いてくるつもりだったし!
二人は穂乃果のお母さんかっ!!
そんなわけで、今日はツバサさんと二人でお出掛けなんです!
ツバサ「どうかした?」
穂乃果「え?」
ツバサ「なんだか表情がコロコロ変わってたから」
面白いわ。
そう言って、ツバサさんは笑う。
うーむ?
そんなに表情に出てたかなぁ?
ツバサ「フフッ、分かりやすい」
穂乃果「うっ……」
ツバサ「でも、そんなところも素敵よ♪」
穂乃果「うっ///」
さ、さすがにツバサさんみたいなすごい人にそう言われると……。
流石の穂乃果でも照れます……。
穂乃果「そ、そうだ! どこに行こっか?」
誤魔化すように話題を反らして。
ツバサ「穂乃果さんの行きたいところならどこへでも♪」
穂乃果「うぅぅぅ……///」
そんなツバサさんの答えにまた照れる。
アクジュンカンだぁぁ!
ツバサ「……ところで、美味しいケーキ屋さんを見つけたのだけど」
穂乃果「行きます!!」
ツバサ「フフッ、じゃあ、行きましょうか♪」
穂乃果「うんっ!」
――――――
――――――
後日、穂乃果たちのテニス動画がものすごい再生数を記録するのも。
海未ちゃんとことりちゃんからツバサさんと一緒に逃げ回るのも。
とあるスクールアイドルグループがテニスをしだすのも。
これまた別のお話。
え?
結局、今回のお話がどんな話だったかって?
うーん?
……そうだ!
穂乃果に友達が一人増えたってお話!
―――――― fin ――――――
以上で
『穂乃果「テニスをしよう!」ツバサ「おもしろそうね」』完結になります。
レスをくださった方
読んでくださった方
稚拙な文章・表現にお付き合いいただき、また、更新遅い中でも読んでいただき、ありがとうございました。
以下、前作及び過去作です。
よろしければどうぞ。
前作
穂乃果「テニスをしよう!」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1451052732
過去作
海未「花陽と歩く帰り道」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1455969755
にこ「海未のお姉ちゃん」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1444644429
そろそろサンシャインにも手を出そうと思います。
百合ものを予定してます。
もしよろしければまた読んでいただければ幸いです。
では、また。
乙
サンシャイン楽しみにしてる
6ヶ月か...長かったな....
乙
おつ
無事完結してなにより
今回も相変わらず矢澤がかっこよかった
乙でしたリ`・ワ・)
乙でした
やっと百合ものが読めるんですね
待ってます
このSSまとめへのコメント
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