千歳「よいしょ、よいしょっ」
千歳「ふぅ~、お洗濯終わりや!」
千歳「お掃除もお洗濯も終わって……」
千歳「あら? ちょっと暇になってもうたな~、何しよかな~?」
何する? >>2
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昼寝
今回は平和だな
千歳「あっ、せや。こんなに天気もいいんやし、お布団も干しとこか~」
千歳「よいしょっ、と」フトンモチ
千歳「日当たりのいい縁側の部屋に持ってって……」テクテク
千歳「これを、こーして」テキパキ
千歳「完成や!」フトンホシカンセイ
千歳「冬用の布団やけど、今日は少し寒いし、干した後この布団で寝るんもええなぁ」
千歳「ん~……」フトンミツメ
千歳「布団の上、気持ちよさそうやなぁ……」
千歳「よっと」フトントビノリ
千歳「おおぅ、やっぱ気持ちええわ~」ポフン
千歳「お日様もぽかぽかや…… 布団につつまれて…… うち……」
千歳「……」zzz
テクテク
千鶴「? 姉さん?」
千歳「zzz」
千鶴「寝てるの?」
千歳「zzz」
千鶴「……」ジー
テクテクテク ガラガラ ドシドシ
千鶴「……」ポフン
千鶴(姉さんと一緒にお昼寝しよう)
千鶴「……」ジー
千鶴(姉さん、気持ちよさそう……)
千鶴「……」ポカポカ
千鶴(あったかい……)ウツラウツラ
千鶴「……」zzz
千歳「zzz」
千鶴「zzz」
GW最後にktkr
期待
少し経って
千歳「ん、ん~~~……」
千歳「……あら? うち、寝とったんか?」
千歳「あはは、あかんやん。お布団干そう思うてたんに、お布団ぺしゃんこや」アハハ
千歳「あら? 千鶴?」
千鶴「zzz」
千歳(ふふふ、なんや千鶴もお布団干そうとして寝とるんか)
千歳(丸まって眠って猫みやいやなぁ)ナデナデ
千鶴「ん……」
千歳(あかんわ! こんなに気持ちよさそうに寝とるんに起こしてまう!)
千歳(もっかい寝ようかな? ……ん~、もう眠けも無いなぁ……)
千歳(何か違うことしようかなぁ?)
次は何する? >>8
所属する組織へ定時報告
千歳(せや、綾乃ちゃんは今何してるんやろ?)
千歳(ちょっと連絡してみようかなぁ)
千歳(ほな、うちの部屋に戻って……)ソロリソロリ
千鶴「zzz」
千歳(千鶴~、ゆっくり休んでなぁ~)ナデ
千歳の部屋
千歳「えっと、綾乃ちゃんのグループは……」スマホイジイジ
千歳「あら? 生徒会グループに新しいメッセージが」
千歳「なになに?」スマホイジイジ
LINE 生徒会(5)
メンバー:りせ、綾乃、千歳、櫻子、向日葵
櫻子『定期報告を行います!! 私今起きました!!』11:45
向日葵『今起きたってもう昼前ですわよ…… 後、生徒会グループで入れる内容ではありませんわよ……』11:45
向日葵『先輩方、申し訳ありません』11:46
櫻子『はぁ!? 何いい子ぶってんのさ!!』11:46
向日葵『すみません。櫻子には直接言い聞かせましたので、お騒がせしました』13:10
千歳「あはは、大室さんも古谷さんも相変わらずやなぁ」
千歳「せや! うちも定時報告をしとこか!」
LINE 生徒会(5)
メンバー:りせ、綾乃、千歳、櫻子、向日葵
千歳『うちは今起きたで~』14:03
千歳「あはは、どう返してくるかな~?」
テコテン♪
千歳「お、綾乃ちゃんや~」
綾乃『千歳…… あなた流石に寝すぎじゃないかしら?』14:05
テコテン♪ テコテン♪
千歳「大室さんもや! 古谷さんも!」
櫻子『休日は早く起きられないですよね! すごくわかります!!』14:06
向日葵『分からないで頂戴……』14:06
向日葵、櫻子に対する返し早すぎだろ…
千歳「あら? 綾乃ちゃんから直接メッセージが」
LINE 綾乃ちゃん(2)
メンバー:綾乃、千歳
綾乃『こんな時間に起きたなんてどうしたの? 体調悪くしちゃったのかしら?』14:07
千歳「あらら…… えらい誤解が……」
千歳『違うで。お掃除してたら気持ちよくなって寝てしもうたんや』14:08
綾乃『あら? そうだったのね』14:08
千歳『心配させてごめんなぁ』14:09
千歳「心配かけさせてしもうたなぁ」
千歳「せやけど、綾乃ちゃんと連絡しようと思ったんに生徒会のみんなに連絡する形になったなぁ~」
千歳「このままみんなと会話してるのもええけど、どうしようかなぁ?」
次の行動 >>12
失礼! >>14
綾乃を遊びに誘う
千歳「そうや。心配させてしもうたし、綾乃ちゃんを誘ってどっか遊びにいこうかなぁ?」
千歳「そうと決まれば」プルルルプルルル
綾乃『はい。どうしたの千歳?』ガチャ
千歳「綾乃ちゃん、さっきはごめんなぁ。大室さんが面白いことしとったでうちもやってみたんや」
綾乃『もうっ、あんまり後輩に示しが付かないことをするのは駄目よ?』
千歳「わかっとるってぇ~」
千歳「話は変わるけど、綾乃ちゃん今暇かなぁ?」
綾乃『ええ、暇だけど。どうしたの?』
千歳「一緒に遊ばへん?」
綾乃『いいわよ。千歳の家に行けばいいかしら?』
千歳「そうやなぁ……」
どこに行こう? >>17
スパ
↑
千歳「せや! この前、おばあちゃんが貰ってきたスパのペアチケットがあったんや!」
綾乃『え?』
千歳「えっと、プールと温泉があるらしいで。綾乃ちゃん、どう? いかへん?」
綾乃『えっと…… いいのかしら?』
千歳「ええでええで! おばあちゃんももらい物だから誰かと行って来てって言うとったし」
綾乃『それじゃあ…… 行きましょうか』
千歳「うん! 楽しみやなぁ~」
綾乃『うふふ、私も楽しみよっ』
千歳「あっ、そうや。ちゃんと水着も用意してきてなぁ~」
綾乃『うえっ!?』
千歳「30分後に駅集合でな~!」
綾乃『もうっ、わかったわよ。急いで用意して行くからねっ』
千歳「うふふ、ほなな~」ガチャ
千歳「楽しみやなぁ~、おばあちゃんに感謝や」
千歳「って、うちも準備せな!」ドタバタ
駅
綾乃「千歳~」ノシノシ
千歳「綾乃ちゃん~」ノシノシ
綾乃「ごめんね、水着とか準備が時間かかっちゃって遅れちゃったわ」
千歳「ううん、うちも今来たとこやし。流石に30分は短すぎたな~」アハハ
綾乃「って、もう電車も来ちゃうわね! 行きましょうか!」グイッ
千歳「ほんまや、急がんと!」タタタタ
電車に乗ってスパ前
綾乃「あっという間に着いちゃったわね」
千歳「せやな~」
綾乃「……後、先に言っておくけど」
千歳「?」
綾乃「私、スパは初めてなのよ…… ど、どうやって入ればいいのかしら?」
千歳「うちも始めてやで~、とりあえずチケット見せてはいってみよか」テクテク
綾乃「ちょ、まって! 千歳~」タタタタ
スパ内部
千歳「チケット見せたらすんなり入れたなぁ」
千歳「……あら? 綾乃ちゃん?」
綾乃「千歳! こっちに来て」
千歳「? どないしたん?」
綾乃「記念撮影よっ。ほら、このロビーのところで」
千歳「! まってえなぁ!」タタタタ
綾乃「じゃあ、これが入るように一緒に並んで」グググ
千歳「はい、チーズやでっ!」パシャッ
綾乃「どうかしら…… 大丈夫ねっ、綺麗に撮れてるわ!」
千歳「ほんまや! バッチリやな~」
綾乃「うふふ、後で千歳の携帯に送っておくわね」
千歳「おおきに~。あっ、綾乃ちゃんあっちにも面白いもんがあるで!」グィッ
綾乃「あら、本当ね!」タタタタ
数十分後
千歳「あかんわ! こんなんしてたらすぐ夜になってまう!」
綾乃「本当ね、ついつい色々と見ちゃったわね」
千歳「ほんま面白いもんありすぎやで~…… って!」
千歳「いやいや、うちらの目的はそうやない! 今日のうちらの目的は……」
綾乃「目的は?」
千歳「……特に無いなぁ、しいて言うなら楽しむことかなぁ?」
綾乃「それならもう楽しんでいるから大丈夫ね」クスクス
千歳「せやな」ニコニコ
綾乃「でも、折角だし温泉もプールも両方入りたいわよね。千歳はどっちからにしたい?」
千歳「せやなぁ……」
次の行動 >>24
今日はここまでで。
それでは、またー。
歳納京子と出会う
プールに入る
毎回同じ奴が安価とってるのか
それとも同じ安価にあえてしてるのか
生徒会行ってお決まりカプ作ってヤンデレやキチガイパターンでバッドエンド
ワンパターンすぎていい加減飽きたわ
今回はほのぼのしてるな
期待
あかり→頭打って結衣レイプ。植物END
京子→唐突な謎デスゲームに敗北。走馬灯END
結衣→072END
ちなつ→姉殺してキチガイ化。監禁END
綾乃→不慮の事故により幽霊化。悪霊END
ワンパではないんだよなぁ。
安価スレってやっぱ突拍子もないこと起こるから面白いんであって
ほのぼのが見たいならもうそれ安価スレでやる必要もないしさぁ
考え方の違いかもしれんけど
>>27
072が一番まともとか全然ゆるくないなw
>>27
結衣のだけみたことないな
千歳「うちプールに行きたいわぁ」
綾乃「プールねっ。えっと…… あっちみたいね。行きましょうか!」グイッ テクテクテク
千歳「うん」テクテク
更衣室
綾乃「……」
千歳「……」ジー
綾乃「ね、ねぇ。あまり見られると恥ずかしいんだけど」
千歳「綾乃ちゃん…… ちょっと大きくなった?」
綾乃「なっ!? ど、どどどこ見てるのよ!?」
千歳「うふふ~」
綾乃「もうっ! 早く千歳も着替えて行きましょ! 追いてっちゃうわよ?」テクテク
千歳「ああっ! まってぇなぁ~」ヌギヌギ
プール
綾乃「わぁ~、広いわね~」
千歳「綾乃ちゃん綾乃ちゃん! あそこスライダーもあるで!」
綾乃「あら、本当ね。あっちは流れるプールもあるし、目移りしちゃうわ」
千歳「うちスライダーやってみたかったんや~、一緒にいかへん?」
綾乃「いいわよ! 行きましょうか」
シャー キャァー ザブーン
パシャパシャ
キャッキャウフフ
綾乃「結構遊んだわね~」
千歳「せやなぁ、うちこんなに泳いだん初めてやで~」
綾乃「ここのプールは隅から隅まで泳ぎつくしたし、探検しつくしたものね」
千歳「もうここは誰と来ても案内できるなぁ」
千歳「……今度歳納さんと来たらどう?」
綾乃「なぁっ!? な、なんで歳納京子と来ないといけないのよっ!!」
千歳「うふふ~、綾乃ちゃんが誘って案内したら歳納さんきっと喜ぶと思ってな~」
綾乃「んなななな!?」
千歳「そうしたら…… あ~なって…… こ~なって……」ホワンホワン
千歳「はっ! あ、あかん、鼻血がっ!」タラー
綾乃「もう、千歳ったら」
綾乃「はい、ティッシュ」チトセノハナオサエ
千歳「あっ、おおきに~」フキフキ
綾乃「……ふふっ」
千歳「? どしたの?」
綾乃「ううん、やっぱり、千歳と一緒に遊ぶのは楽しいし落ち着くなぁって思ったの」
千歳「急にどうしたん? 照れるやん」テレテレ
綾乃「ほんとのことよ? 多分歳納京子とかと遊んだとしたらこんな気持ちになれないと思うし」
千歳(!! そ、それは、どんな気持ちになるんや!?)タラー
綾乃「あっ、また! もう、何を考えてるのよっ!」フキフキ
千歳「あはは、ごめんなぁ」
綾乃「千歳も鼻血が出てるし、そろそろプールからあがりましょうか」
千歳「せやな~」
テクテクテク
次の行動 >>33
風呂に入る
数十分後
千歳「もう鼻血も止まったみたいやで~」
綾乃「いつものこととはいえ、こういう場所で鼻血が出ちゃうと何も出来なくなっちゃうわね」
千歳「ほんまごめんなぁ~、でももう大丈夫やで!」
綾乃「そう? それじゃあ、お風呂にいく?」
千歳「うん! いこいこ~」
テクテクテク
お風呂
綾乃「すごい、いい香りが……」
千歳「アロマ成分のあるお風呂らしいで~」
綾乃「へぇ~、いろいろあって目移りしちゃうわね」
千歳「せやな~、色々試してみよか!」
綾乃「ええ!」
ワシャワシャ ザバー
トプン キモチイー
千歳「ああ~~~、気持ちええわぁ~~~」
綾乃「ぷっ、千歳、それおばさんくさいわよ」クスクス
千歳「ん~~? だってきもちええやん~~」クター
綾乃「確かに気持ちいいわねぇ~」クター
綾乃「はぁ~、こうやってリラックスできるのも千歳のおかげね」
千歳「ん~~? そんなことないでぇ?」
綾乃「そんな事あるわよ。本当に今日は誘ってくれてありがとね、千歳」
千歳「もともとはお詫びのつもりで誘ってん、喜んでもらえて何よりやで~」
綾乃「お詫び? 何の?」
千歳「さっきの~~」
綾乃「もうっ、それじゃ分からないわよっ」
千歳「んふふ~、きもちよくて頭がぼーっとしてきたわぁ~」
綾乃「仕方ないわねぇ…… あんまり入っていてのぼせちゃってもいけないしそろそろ上がる?」
千歳「ん~、そやなぁ」
千歳「綾乃ちゃんはもう満足した?」
綾乃「ええ、満足できたわよ」
千歳「そっかぁ~、ならあがろっかぁ~」ザバァ
綾乃「そうね、あがってゆっくりしましょうか」ザバァ
休憩スペース
千歳「あぁ~~、身体がふにゃふにゃやで~」クター
綾乃「もう、そんな姿してだらしないわよ?」
千歳「そんな事言ってもなぁ~」クター
綾乃「いつもはもっとしっかりしてるのに、今日は疲れちゃったのかしら?」
千歳「ん? ん~ん、そんなことあらへんよ? いつもよりリラックスしてるだけやで~」
綾乃「ああ、確かにさっきの温泉はリラックスできたものね」
千歳「ん~~~……」
綾乃「? 違うの?」
千歳「あ、さっき綾乃ちゃんが言った意味わかったわぁ」ポンッ
綾乃「え?」
千歳「綾乃ちゃんと一緒に遊ぶのは楽しいし何より落ちつくんや~」
千歳「だからこうやってだらけてるんやで~」ダラー
綾乃「何よそれ、私のせいなの?」クスクス
千歳「せやで~」ダラー
綾乃「も~、ちゃんとしなさいっ!」クスクス
千歳「えへへ~、いややで~」ダラー
スパの外
千歳「あっという間に夕方やなぁ」
綾乃「ほんとあっという間だったわね。もうこんな時間になっちゃった」
千歳(今日は楽しかったなぁ~、もうちょっと遊びたいけど今から遊んでたら夜になってまう)
千歳(どうしようかなぁ)
どうする? >>38
家に帰ろう
綾乃「それじゃあ、帰りましょうか?」
千歳「あっ、せやな~。帰ろうか~」
テクテクテク
綾乃「今日は楽しかったわ、またこうやってこのスパに行ったりしたいわね」
千歳「! むふふ……」
綾乃「? ど、どうしたの? 変な笑い方して?」
千歳「綾乃ちゃん! これあげるわ!」スッ
千歳が見せたものは、今回行ったスパのペアチケットだった。
綾乃「あれ? これって」
千歳「さっきのスパのペアチケットやで。もう一回いけるんやで?」
綾乃「本当にっ!?」
千歳「うん。んでな、次は、綾乃ちゃん……」
綾乃「?」
千歳は綾乃にチケットを手渡しながらそっと言った。
千歳「歳納さんと一緒にいくんやで?」
綾乃「なっ!?」
千歳「うふふ~」
綾乃「ま、またそんな事を言って! 私は歳納京子とは……」
千歳「綾乃ちゃん。この前歳納さんと校舎裏で話してたやろ?」
綾乃「!? な、ななななんでそのことを!?」
千歳「うち見てたんやで?」
綾乃「~~~っ!!」カァァァ
千歳「綾乃ちゃんが歳納さんを嫌いって言った誤解を解くためとはいえ、あんなに頑張って歳納さんに自分の気持ちを伝えようとしていたところをな」
綾乃「ど、どこから見てたのよっ!!」
千歳「全部やで~」
綾乃「っ~~」
千歳「うち思うんや。綾乃ちゃん最初に会った頃からどんどん変わって行ってる。人見知りだった綾乃ちゃんが、自分の好きな人にあんなに堂々と自分の気持ちをいったんやで?」
綾乃「す、すすすす、すきなひとって!?」カァァァァ
千歳「もうそろそろ、一歩踏み出してもいいんやないかなって、思うんや」
綾乃「ち、千歳っ! まって! 待ってよ!」
千歳「? どしたん?」
真っ赤な顔をした綾乃は荒い息を落ち着かせながら話し始める。
綾乃「わ、私は、まだそんな事を、歳納京子にどうするかとかなんて考えても…… 考えれないわよっ!」
千歳「え~、でも綾乃ちゃんはどんどん魅力的になってるんやで? 綾乃ちゃんが告白すれば歳納さんも……」
綾乃「だから! まだ告白なんて考えられないのよっ!」
千歳「? どういうことなん?」
綾乃は千歳の疑問にぽつりぽつりと答え始めた。
綾乃「……私、千歳が言うように魅力的な女の子じゃないもの」
千歳「そんなこと……」
綾乃「あるわよ! だって、私は今でも臆病で恥ずかしがり屋で、一人じゃ何も出来ない子なんだから……」
千歳「……」
綾乃「ああやって、歳納京子と話せたのもみんなのおかげ、みんなが私に気付かせてくれた」
千歳「……そうやって気付いて、動けたのは綾乃ちゃん自身やんか」
綾乃「……」
千歳「やっぱり綾乃ちゃんはどんどん素敵になってるんやで! 自分に自身をもってぇな!」
綾乃「……うん、やっぱり」
千歳「やっぱり?」
綾乃「やっぱり、千歳はいつだって私の背中を押してくれるのよね」
千歳「え?」
綾乃「私が迷ったとき、不安で押しつぶされそうなとき、どんなときでも千歳は私の背中をそっと押してくれて道を照らしてくれるのよ」
綾乃「そんな私が、千歳の力を借りっぱなしの私が、誰かに気持ちを伝えることなんて……」
千歳「綾乃ちゃん……」
千歳(ど、どうしよう…… 綾乃ちゃんが歳納さんに気持ちを伝える後押しをしようと思ったんに、綾乃ちゃんこんなこと考えてたなんて……)
千歳(……)
千歳の次の行動 >>44
ksk
抱きしめる
綾乃の笑顔が自分も幸せな気持ちにしてくれることを話して、これからも応援していると伝える。
千歳は綾乃を抱きしめた。
抱きしめながらも、千歳は自分がした行動に驚きを隠せずにいた。
千歳(えっ? うち、何をやってるんや?)
綾乃「ち、千歳?」
千歳(ただ…… 綾乃ちゃんがそんな事を考えてるってわかったら、気が付いたら抱きしめてた)
綾乃「ち、千歳、どうしたの? ねぇ?」
千歳(うちのことをそこまで信頼してくれてたんやって、そう思ったら急に、うちの心の中でなんかが大きくなって……)
綾乃「ちょっと、どうしちゃったの?」
千歳(あ、あかん。綾乃ちゃんも心配してる。なんか話さな……)
千歳「え、えと、あんな……」
千歳「……き、今日はもう暗くなってきてん、早く帰ろか?」
綾乃「え? え、ええ、そうね」
千歳(な、何言ってんのや! 綾乃ちゃんになんか言わな!)
千歳(うちの力なんて無くても綾乃ちゃんは動いてたやんとか、綾乃ちゃんは不安に思ってるけど、綾乃ちゃんは勇気のある素敵な女の子なんやとか)
千歳(いくらでも言えばええねん! で、でも……)
千歳は抱きしめた綾乃から身体を離し、目線すら綾乃に向けれずそっぽを向きながら言った。
千歳「ああ~~! そういえばうち今日はご飯つくらなあかんのやった! 早く帰らなあかんわ~~!」
千歳(はぁ!? う、うち、一体何を言っとるんや!?)
綾乃「え……? わ、わかったわ」
ぎこちない動きをする千歳は、
綾乃の顔をもう一度見た。
綾乃の顔を見た千歳は、今までに聞いたことの無いほどの大きな音が自分の中から聞こえてきていた。
ドクン、ドクンと。
千歳(な、なんやねん? これ、一体、なんやねん!?)
綾乃「ちょっと、千歳? 大丈夫? なんだか顔が赤くて……」
綾乃が近寄ってくる。
千歳に向かって近寄るが、千歳は数歩後ずさるように距離を置いた。
綾乃「え?」
千歳「あ、綾乃ちゃん! 今日は楽しかったで! またなぁ~~!!」タタタタタッ
そして、千歳はそのまま駆け始めた。
綾乃「ち、千歳っ!?」
後ろから聞こえてきた綾乃の声を振り切って走り始める。
その間、自分の中から聞こえてくる鼓動は鳴り止むことは無く、
綾乃のことを考えるとより強く、綾乃の顔を思い出すとさらに強くなり、
経験したことの無い感覚に、千歳は頭を真っ白にしながら走り続け、
自分でも気が付かないうちに家にたどり着き、そのまま自分の部屋の布団に潜り込んでいた。
千歳の部屋
布団に潜り込み丸くなっている千歳は、今自分に何が起きているのか考えていた。
千歳(な、なんなんや? こんな…… こんな気持ち始めてやで?)
千歳(綾乃ちゃんのことを考えると、胸の中がキュ~~~ってなって…… でもあったかいんや……)
千歳(う、うち、どうなってしまったんや? こんなん初めてやで?)
千歳(だ、だめや。このままやと、うちおかしくなってまう)
千歳(ほ、他のこと考えな…… そ、そうや、綾乃ちゃんと歳納さんの妄想を……)
ズキンッ!!
千歳(!?)
千歳はいつものように綾乃と京子を絡ませる妄想をしようとした。
しかし、千歳に襲い掛かってきたものは胸の痛み。
先ほどまでは、壊れてしまったのかと思うくらい激しく動いていた心臓が、急に静かになり音も消え入るようになってしまった。
千歳(な、なんやの? いたい…… 胸の中がギュッて潰れるように痛い……)
千歳(一体なんやの…… この気持ちは……)
千歳(あったかいのに、苦しくて…… 綾乃ちゃんが頭から離れぇへん……)
千歳(このきもちは…………)
何? >>50
今日はここまでで。
それでは、またー。
>>27 あらためて見ても酷いっすね!
だいじけん
ほのぼのして終わりそう
乙
湧き上がる胸の痛み。
先ほどまで激しく動き続けていた心臓。
綾乃の姿を思い出すと頭が熱を持ったようになる。
千歳(……このきもち、違うわ、この感じ……)
千歳(……ま、まさか、うち……)
千歳(……違うって信じたい、せやけど……)
千歳(……全部が“それ”って言ってるわ……)
千歳(嘘やろ…… まさかうちが……)
千歳(だ、だいじけんや……)
千歳が今自分に起きている現象に見当をつけ、
まさか自分がそうなっていると、そうなってしまったと理解してしまった。
それを理解したと同時に、部屋の扉が開かれ千歳の部屋に千鶴が入ってきた。
千鶴「姉さん……? 大丈夫? 夕飯もいらないなんて、どうしちゃったの?」
千歳「ちづるぅぅぅ~~~……」ウルウルウル
千鶴「ね、姉さん!? どうしたの!?」
顔を真っ赤にしながら大粒の涙を見せる千歳を見て千鶴は狼狽えながら千歳を支えるため近づいた。
千歳「ちづる…… うち、うち……」ポロポロ
千鶴「何があったの!?」
千歳「不治の病にかかってしまったみたいなんやぁぁぁ……」ポロポロポロ
千鶴「え……?」
唐突な千歳の言葉に固まる千鶴。
しばし泣き続ける千歳をあやす様に千鶴は何があったのかを聞き始めた。
千鶴「不治の病って一体? 何があったの、姉さん?」
千歳「あんなぁ…… 今日なぁ…… うち、綾乃ちゃんと一緒に遊んでたんや……」ヒックヒック
千鶴「……杉浦さんと?」ピクッ
千歳「そんで、帰り道で、綾乃ちゃんに歳納さんと一緒に遊びに行って来ぃって、スパのペアチケットを渡したんや…… でもな、チケットは渡せんかった…… 渡せんかったんやけど……」ヒックヒック
千鶴「……?」
千歳「そんときになぁ、綾乃ちゃんから聞いたん…… 綾乃ちゃんがうちをどれだけ信頼してくれてるんかってことを、すんごく真剣な顔の綾乃ちゃん、あんときの綾乃ちゃんはうちだけを見てくれてたんや……」クスン
千鶴「……」ピクッピクッ
千歳「そんでな、うち気が付いたら綾乃ちゃんを抱きしめてた。なんでかわからんけど、綾乃ちゃんを抱きしめてたんや」カァァァ
千鶴「……」ピクッピクッピクッピクッ タパー
千歳「……それからや、うちの心臓が壊れてしまったみたいにバクバクってなり続けとる。頭の中も綾乃ちゃんのことしか考えられへん。いつもみたいに綾乃ちゃんと歳納さんの妄想もできんのや…… それどころか、妄想しようとすると胸が苦しいんや……」
千鶴「……」ピクッピクッ タパパパー
千歳「こんな症状、間違いなく不治の病やわ…… 心臓の病気かもしれへん……」ヒック
千歳「うち、どうすればいいんや…… 千鶴、教えてぇな…… うち、死にたくないわぁ……」ポロポロ
千鶴「>>55」
綾乃とキスすればいいと思うよ
涙を潤ませながら千歳は千鶴の返答をまった。
千鶴は止め処なく涎を垂れ流していたが、千歳はそれを気にもせず千鶴の目を見て待った。
千鶴は千歳を見ながら、言葉を出そうとしたが涎が邪魔をして溺れている人間が発する異音しか出なかったが、一度、いや数度涎をごくごくと飲み干して千歳に向き直った。
目を爛々と輝かせ、千歳の肩をつかみ言い放った。
千鶴「す、杉浦さんとキスするんや!!!!!!」
千歳「ほぇ?」
千鶴「うち、姉さんの病気しっとるんや!!!! その病気を治すんには杉浦さんとキスせんとあかんのや!!!!」
千歳「綾乃ちゃんと…… キス?」ホワンホワンホワン
千歳「」ボフン カァァァァァァァァァァァァァ
千歳「むむむむむむむむ無理やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
千歳「そそそそ、そんなん無理無理無理無理!!!! ずぇったいに無理やぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
千歳の顔は太陽のごとく熱を帯び、熟れたトマトよりも赤くなっていた。
無理無理と頭を振っている千歳に対し、
どこかおかしい目つきをした千鶴は言い続ける。
涎を撒き散らしながら。
千鶴「無理やないっ!!!!」
千歳「無理やって!!!!」
千鶴「そんなことない!! 姉さんは杉浦さんとキスせなあかんのやぁぁぁ!!!!」
千歳「な、なんでやねん!!!!」
千歳と千鶴の一進一退の言い争いは五分であった。
だが、この勝負、意志の強いものが勝つ勝負であった。
そして、今この時、誰よりも強い意志を持っていたのは、
千鶴であった。
千鶴「姉さん!! 聞くんや!!」ガシッ
千歳「ふぁい!?」ビクッ
千鶴「姉さんの患った病は、とてもとても恐ろしい病なんや…… どんなお医者さんでも治せないようなとんでもない病なんや!!」
千鶴の真剣なまなざしは千歳に一抹の不安を抱かせるに十分であった。
千歳「……う、うそや」サァァァ
千鶴「嘘やない!!!! せやけどな、この世界でその病を治せる人が一人だけいるんや!!!!」
千歳「それって……」
千鶴「そうや!! 杉浦さんや!! そんでもって治す方法が杉浦さんとキスすることなんやで!!??」
千歳「そんなアホな……」
アホなことを言う千鶴だが、その千鶴から溢れ出る雰囲気は鬼気迫るもの。
どこまでも真摯に千歳に言い続ける千鶴。
その原動力は欲望であったが、不安を抱いた千歳は強く言い続ける千鶴のアホな発言に耳を傾け始めていた。
千歳「ほ、ほんまに綾乃ちゃんとキスせんと治らんの?」
千鶴「せやで!!!!」
千歳「せやけど、そんな病気聞いたことも……」
千鶴「だから不治の病なんや!!!! 大丈夫やで!! 杉浦さんとキスすればその病がなんだったのかってのも分かるはずやで!!」
千歳「……ほんまに?」
千鶴「ほんまや!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
千歳「……わかったわ、千鶴がそこまで言うんやもん。この病はそうせんと治らんってことなんやな……」
千鶴「!!!!!!!!」
千歳「うち、綾乃ちゃんとキスするわ……」カァァァァァァァァ
千鶴「~~~~~~~ッッッッッッ!!」グッ ダバババババババ
千歳「もう遅いから明日になるけど、大丈夫やよね?」
千鶴「>>59」
ダメ、もう一刻の猶予もないから今すぐキスしにいくべき
千鶴「ダベッ!? ごぽぉっ!? ごくんっ!!」
千鶴「げほっ、げほっ!?」
千歳「ち、千鶴? 大丈夫か?」
千鶴「だ、大丈夫や!! そ、それよりもっ!!」
千歳「?」
千鶴「駄目やでっ!!!! もう姉さんには一刻の猶予もないんや!!!!」
千歳「!?」
千鶴「今すぐっ!! これからっ!! 杉浦さんとぉっ!!!! キスしにいくんやぁぁぁっ!!!!」
既に千鶴が醸し出す雰囲気は威圧感に変化しており、
その目は野生動物も目線があった瞬間に逃げ出すレベルになっており、
千歳は千鶴の言葉に逆らうことは出来なかった。
綾乃の家の前
ピンポーン
綾乃「はーい。あっ、千歳…… あら? 千鶴さんも?」
千歳「……あ、ああ、ああ綾乃ちゃちゃちゃん」
千鶴「こんばんは、杉浦さん」タパー
綾乃「なっ!? 千鶴さん? ふ、服が濡れてるけど?」
千鶴「気にしないでください。さあ、姉さん」グイッ
千歳「……え、ええ~~~っと……」
綾乃「? どうしたの?」
千歳「あ、あんな、ううううううち、うちな、あんなぁ~~~、うち~~~」
綾乃「???」
千鶴「姉さんは杉浦さんと一緒に少し散歩しませんかと申しています」タパー
綾乃「そうなの?」
千歳「」コクコクコクコク
綾乃「……いいけど、遠くまで行くの?」
千鶴「大丈夫です、すぐそこにいいスポットがあるんです。と姉さんは申しています」タパパパー
千歳「」コクコクコク
綾乃「ま、まあいいけど。本当にどうしちゃったの千歳……」
3人は歩き始める。
歩きながら綾乃は千歳に話しかける。
綾乃「さっきは急に帰っちゃうんだから心配しちゃったわよ?」
千歳「……」カァァァァ
綾乃「まだ顔赤いわね? やっぱり風邪でもひいちゃった?」カオノゾキコミ
千歳「~~~っ!!」ボンッ メセンソラシ
綾乃「あっ……」
千歳から明らかに目線をそらされていることに気付き綾乃は少し寂しげな顔を作り始めた。
千歳は千歳で綾乃の顔をまともに見ることが出来ずに下を向きながら歩いていた。
そして、二人は別々に思考を始める。
綾乃(どうしたのかしら…… まさか、さっき私がチケットを受け取らなかったから……?)
千歳(あ、あかん、あかんで、うちの心臓、壊れとる。ほんまに一刻の猶予もなかったんや)ドッドッドッドッ
綾乃(こんなことになるんだったら、あの時に受け取っておくべきだったわ……)
千歳(あ、綾乃ちゃんの顔もみれへん、どないすればええんや…… こんなん、綾乃ちゃんにき、キスすることなんて……)カァァァァァァァ ボンッ
綾乃(で、でも、あれを受け取ったら、と、歳納京子と……)カァァァ
千歳(ででで、でも綾乃ちゃんとキスせな、うちは死んでまう…… い、いや、こんな状態なんや、綾乃ちゃんとキスする前に心臓が爆発して死んでまうかもしれん……)ドドドドドドドドドドド
綾乃(や、やっぱり、無理よ! いくら歳納京子と色々話せるようになったって言ったとしても、プール…… ましてやお風呂を二人きりで行くなんて絶対無理!!)カァァァ
千歳(…………あ。……綾乃ちゃんはそもそもうちにキスしてくれるんかな?)トクンッ
綾乃(千歳が色々してくれるのは嬉しいけど、ああいうおせっかいはちょっと苦手ね)フフッ
千歳(……そうやん、舞い上がってたけど、うちとキスしてくれるんかなんてわからんやん…… 何一人で舞い上がって……? え? 舞い上がる?)トクンットクンッ
綾乃(でも、私の事を考えて色々してくれる千歳。やっぱり千歳は……)
千歳(……ま、待って。そうやん、うち綾乃ちゃんとキスをしようとして舞い上がってるやん…… こ、これって、まさか、うち、綾乃ちゃんのことを……)トクントクントクンッ
綾乃(誰よりも大事な私の一番の親友)
千歳(好きに、なったん?)
二人の思考は一時中断されることとなる。
先導していた千鶴が高台にある公園に二人を案内したところで。
高台の公園
綾乃「わぁ、すごいいい眺めね~」
千鶴「私の見つけた取っておきの場所です」
千歳「……」
綾乃「こんな場所が私の家の傍にあるなんて知らなかったわ」
千鶴「入り組んでますからね。でも、このベンチは町も見渡せますし、私のお気に入りです」
綾乃「そうなのね。こんなところを教えてくれて…… 千鶴さん?」
千鶴「いけない、少し忘れていたことが、私は戻りますね」
綾乃「え? え?」
千鶴「ソレデハー」
足早に千鶴は去っていき、
ベンチに座るのは綾乃と千鶴だけになった。
足早に千鶴は去っていき、
ベンチに座るのは綾乃と千鶴だけになった。
綾乃「あの……? 千歳?」
千歳「……」
綾乃「えっと…… き、今日はありがとう、とても楽しかったわ!」
千歳「……」
綾乃「さっきは急に帰っちゃうからお礼を言い忘れちゃったからね」
千歳「……」
綾乃「……? 千歳?」
俯いたままの千歳を心配し綾乃は再び千歳の顔を覗き込んだ。
そこにあった千歳の顔は、赤く赤く染まっており、口元は何かに耐えるように固く結ばれていた。
綾乃「ど、どうしたのよ? 一体何があったの?」
千歳「……」フルフル
綾乃「だ、黙っていちゃわからないわよ?」
千歳「……」フルフルフルフル
綾乃「も、もう…… ほんとにどうしちゃったの?」
綾乃は何も話そうとしない千歳に困惑の表情を浮かべる。
千歳はそのまま何も喋れず、何も口に出せずにただ俯くだけであった。
そして、その間も千歳は考え続けていた。
千歳(……なんでこんな急にこんな気持ちになったんや?)
千歳(……あんときや、綾乃ちゃんがうちのことを真剣な顔で見てくれたとき、綾乃ちゃんの気持ちを聞いたとき、なんかがうちの中で動いた)
千歳(……そんで気が付いたら綾乃ちゃんを抱きしめとった、無意識やった)
千歳(それが引き金)
千歳(そんで、それから、綾乃ちゃんの顔を見れんくなった……)
千歳(そんときはわからんかったけど、今ならわかる)
千歳(うち、綾乃ちゃんの顔を恥ずかしくてみれなかったんや)
千歳(綾乃ちゃんの顔を見れへん、綾乃ちゃんが隣にいるだけでこんなにもあったかい気持ちになれる)
千歳(こんな気持ち、初めてや……)
千歳(でも、うちは知っとる。こういう気持ちのことを)
千歳(……恋、やわなぁ)
千歳(何度も妄想したし、本とかでも見た)
千歳(せやけど、いざ自分がなってみると、全然わからんかった)
千歳(自分でコントロールできん、この気持ち)
千歳(さっきまで普通に接してた綾乃ちゃんに全然普通に接することもできへん)
千歳(そんで千鶴に言われるがままに、綾乃ちゃんとキスを……)
千歳(……違うな、うちの心の奥底でキスしたいと思ってたんやな)
深く深く思考し続けていた千歳だったが、思考の海から一瞬にして引き上げられることとなった。
自分の手にそっと重ねられた綾乃の手の、綾乃の体温を感じたその時に。
ヒュー
千歳「あっ、綾乃ちゃん!?」
綾乃「やっと、気付いてくれた……」
千歳「……」ドクン、ドクン
綾乃「もうっ、まただんまり? 私、拗ねちゃうわよ?」
千歳「うっ……」ドクンッ
綾乃「嘘。いつもからかわれているからそのお返しよっ」クスクス
千歳「……」ドクン、ドクン、ドクン
綾乃「……ねぇ、千歳。私でよかったら千歳の悩みを聞かせて?」
千歳「っ!」ドクンッ
綾乃「千歳が何か悩んでるのはすぐ分かるけど、それがなんなのかが分からないの……」
千歳「……」トクン
綾乃「私じゃ頼りないかもしれないけど、千歳の力になることが出来るわ……」
千歳「……」トクントクン
綾乃「一人で抱え込んでいたら駄目よ…… 私も一緒に千歳の悩みを、その解決策を考えるから……」
千歳「……」トクントクントクン
綾乃「私は、千歳にはいつでも笑っていてもらいたいの」
千歳「!!」ドクンッ
綾乃「いつでもあの柔らかい笑顔を見せてほしいの」
綾乃「ねっ、話して? 千歳の悩んでること」
綾乃「言葉にしないとわからないこともあるのよ?」
千歳「……綾乃、ちゃん」
綾乃「んっ」
千歳「えっと…… えっとなぁ……」
綾乃「ゆっくりでいいのよ?」
その言葉に深呼吸をする。
大きく息を吸い込み、吐き出す。
千歳「あの…… 綾乃ちゃん……」
綾乃「なに?」
千歳「う、うち、うちな、綾乃ちゃんのこと……」
綾乃「?」
千歳「あ、ああ、あやの、ちゃんのこと……」
息が絶え絶えになる。
言葉を紡ぐことがこんなにも難しいものだったのかと千歳は考えながら綾乃にその一言を言おうとした。
『好き』という一言を言おうとしたその時。
綾乃「お、落ち着いて。大丈夫よっ」
綾乃「どんなことでもちゃんと聞くから。誰にも言わないから」
綾乃は千歳の悩みが言い出しにくいものかと思い声をかけた。
綾乃「どんなに言いにくいことでも大丈夫、受け入れるわ」
千歳「あ、綾乃ちゃんっ」ドクンッ!!
綾乃「だって、私は」
綾乃「あなたの一番の親友なんだから」
千歳「ッッッ!!」ドクンッ!!!!
千歳の中で、全ての時間が止まった。
千歳(あ、あはは、そうやった、何を舞い上がってたんやうちは……)
千歳(綾乃ちゃんにとってうちはただのトモダチ、綾乃ちゃんの好きな人は別におる……)
千歳(そんなこと、知ってたはず。知ってははずなんに……)
千歳(なんで、こんなに悲しいんや…… 苦しいんや……)
千歳の頬に一筋の涙が伝い地面に吸い込まれた。
綾乃「ち、千歳!?」
それをみてうろたえる綾乃だったが、千歳は虚空を見つめながら考え続ける。
千歳(昨日までのうちだったら、それでよかった……)
千歳(でも、この気持ちを知ってもうた……)
千歳(もう、綾乃ちゃんと歳納さんが付き合う妄想をしても痛みしか感じん……)
千歳(こんなことなら、こんな気持ち知りとうなかったわ……)
千歳(こんな悲しいんやったら……)
そこまで考えた千歳だったが、再び意識を引き戻された。
綾乃「ねぇっ! どうしたのよ千歳っ!?」
千歳「……綾乃ちゃん、もうええんや」
綾乃「えっ?」
千歳「……もうええ、うちの悩みは全部解決したで」
綾乃「……」
千歳「……せやから、もう離してぇな。帰ろ、お家の人も心配するでな……」
綾乃「……」
千歳「……さ、いこか…… ? どうしたん、綾乃ちゃん?」
立ち上がろうとする千歳を綾乃は手を掴みベンチに座らせる。
綾乃「……なんで嘘つくのよ?」
千歳「? 嘘? ついてなんか……」
綾乃「ついてるじゃない! だって、千歳、すごく辛そう!」
千歳「……」
綾乃「ねぇっ! 話して! 千歳は何を悩んでるの!?」
千歳「……そんなら、綾乃ちゃん」
綾乃「……?」
千歳「綾乃ちゃんの好きな人って誰や?」
綾乃「なっ、な、なんでいきなりそんなことを!?」
千歳「いいから答えてぇや」
有無を言わせぬ迫力の千歳。
綾乃は千歳の視線を受けながら、小さな声で言った。
綾乃「………………とし、のう、きょうこ、よ」
千歳「……」ズキィン
綾乃「ど、どうして、こんな事を言わすの?」
千歳「……なんでもない」
綾乃「な、なんでもないって!? 千歳さっきからおかしいわよ!? すごく顔色も悪いし!」
千歳「なんでもあらへん言うとるやろ!? 綾乃ちゃんにとってうちはただのトモダチなんやろ!? もうほっといてぇな!!」
綾乃「っ!?」
千歳「うっ…… うぅぅっ……」ポロポロ
千歳は綾乃の気持ちを、答えを聞いてしまった。
わかっていた答え、わかっていても綾乃の口から直接聞くと、信じられないくらいの痛みが心に襲い掛かる。
そして、堪えていたものが決壊するように千歳の目から、口から吐き出される。
綾乃に対して初めて怒鳴りつけた。
綾乃に対して初めて悔し涙をみせた。
そして、綾乃に対して…………
綾乃「まって、待ちなさい千歳」
千歳「……なんや、なんやねん?」ポロポロ
綾乃「私はあなたをただの友達なんかと思っていないわよ」
千歳「……」ポロポロ
千歳(それなら何か? 親友? そんなもん聞きたくない、うちが本当に聞きたいのは……)
綾乃「あなたは私にとって誰よりも、そう歳納京子よりも大切な、かけがえの無い人よ」
千歳「え……?」
綾乃「あなたのことは、誰よりも…… そう、この世界の誰よりも尊い、私の、大事な、大事な……」
千歳「……なに、それ? なんなんや?」
綾乃「わ、わからないわよ! 言葉が思いつかないわ…… あなたは私の中で…… 誰よりも、どんなものよりも大事な存在……」
千歳「……それって、歳納さんより、うちのほうが大事ってことなん?」
綾乃「ええ」
即答だった。
迷いも無いその即答を聞いた瞬間、千歳の心に一陣の風が吹いた。
千歳「わ、わけわからんわ、普通一番大事な人って好きな人やろ?」
綾乃「そ、そんな事は無いんじゃない? ほら、大事な人っていっぱいいるでしょ。お父さんとかお母さんとか」
千歳「わからん…… わからんわ…… 綾乃ちゃんは、さっきうちのことを親友って言ったやん! 大事な存在なんて言わなかったやん!!」
綾乃「……だ、だって、言葉が思いつかなかったんだもの。それに、恥ずかしかったから……」
千歳「……っ!」
そこで初めて気付いた。
綾乃も顔を真っ赤にして千歳を見ていることに。
千歳(あ……)
千歳は思い出していた。
綾乃と初めて話したとき、綾乃は教室で一人席にいた。
誰にも話しかけれず恥ずかしそうに席に座っていた綾乃。
そこに話しかけた。
そしてそれから始まった、綾乃との付き合い。
綾乃は少しずつ、頑張りながら人に話しかけるようになっていた。
そんな綾乃を見ていると応援したくなった。
綾乃が生徒会に入ったときも一緒に入った。
また綾乃は努力しながら人と接し、生徒会副会長にまでなった。
そんな綾乃を見ていたら自分も嬉しくなっていた。
綾乃は本来恥ずかしがり屋で引っ込み思案な性格。
さっき、自分に思いを、綾乃自身が好きな人を言うのにどれだけの勇気が必要だったのか、そしてさらには自分に向かって想いを話してくれた。
それにもどれだけの勇気が必要だったのか。
そして、自分は、綾乃にただ聞くだけ聞いて、自分の気持ちは何も告げていなかった。
千歳(う、うち、なんて卑怯なことを……)
千歳(綾乃ちゃんに言わせるだけ言わして、うちは何も言わないで帰ろうとした)
千歳(それに、八つ当たりをするように綾乃ちゃんに怒鳴り散らして……)
千歳(あの綾乃ちゃんが、自分の想いを言ってくれたんに……)
千歳(最低、ほんま最低や……)
千歳(でも、でも……)
千歳(ここまで言ってくれた綾乃ちゃんに)
千歳(ううん、うちが言わせたんや)
千歳(そして、うちは綾乃ちゃんに何も告げてない)
千歳(こんなに、うちのことを心配してくれてる綾乃ちゃんに対して……)
千歳(……だめや)
千歳(このままなんて、だめや)
千歳(うちは…… うちは……)
千歳が綾乃を好きと意識してから初めて綾乃の目を見て言葉を紡ぐ。
千歳「綾乃ちゃん」
千歳「うち、綾乃ちゃんのこと、好き」
綾乃「え……」
千歳はそのまま綾乃に近づき、
選択肢
1. 綾乃に唇にキスをする
2. 綾乃に頬にキスをする
3. 綾乃に額にキスをする
>>75
2
満天の星空の下、千歳は綾乃の頬に軽く触れるキスをした。
そのふれあいは一瞬。
綾乃はただ呆然と千歳を見ている。
その手を頬に当てながら。
千歳「あんな、綾乃ちゃん」
千歳「うち卑怯モンやった。綾乃ちゃんが言ってくれるまで自分ではなんもできんかった」
千歳「ちゃんと言うわ、うちは綾乃ちゃんのことが好き。世界中の誰よりも綾乃ちゃんのことが大好き」
千歳「誰にも負けへん、歳納さんにも負けんこの気持ち、綾乃ちゃんに伝えるわ」
綾乃はただ呆然と口を開けながら千歳を見続けていた。
千歳の言葉が綾乃の脳内に入り、言葉として綾乃が理解して、目を見開きながら千歳に語りかけようとしたその時、千歳は綾乃の口を指で押さえて言葉を遮った。
千歳「綾乃ちゃんの気持ちはさっき聞いた」
千歳「これ以上綾乃ちゃんから何か言わせたら、ほんまにうちは綾乃ちゃんを諦めなきゃいけなくなるんや。だから言わんといて」
綾乃がどういう意味と聞きたかったが、千歳はそのまま続ける。
千歳「うちはこれから綾乃ちゃんに相応しい人になる為に頑張る」
千歳「そんで、いつか、もう一度告白する」
千歳「そんときに、綾乃ちゃんの気持ちを聞かせて」
千歳「今のうちじゃ、とても綾乃ちゃんの隣になんて立てへんから……」
千歳は綾乃の口を押さえていた指を離し、少しずつ後ろに下がる。
綾乃「ち、千歳っ!」
千歳「伝えたかったこと、これだけや」
千歳「うちの悩みもこれ、もうほんとに全部解決した」
千歳「綾乃ちゃんのおかげで」
綾乃「ま、待ちなさいっ!」
千歳「またへん! ここで立ち止まったらうちは絶対に綾乃ちゃんに甘えきる、そんな自信がうちにはあるんや!」
綾乃「ちょ、千歳っ!」
千歳は綾乃に振り向かずに駆け始めた。
千歳「明日からは、覚悟しといてぇな!」
綾乃「か、覚悟って!?」
千歳「ほなな~~~!!」
千歳はそのまま家まで駆け続けた。
白い肌を赤く染め上げ、全力で駆け抜けた。
月明かりは千歳を移し、千歳はキラキラと光るように輝いていた。
エピローグ
次の日 ごらく部
京子「そんじゃ、今日の部活は~~……」
パァーーーン!
結衣「!?」
ちなつ「い、池田先輩?」
あかり「び、びっくりしたよぉ~」
京子「あれ? 千歳? どしたのー? 綾乃は一緒じゃないの?」
千歳「歳納さん!!!!」
京子「は、はいっ!?」
千歳「うち、負けんから。今日から歳納さんはうちのライバルやから!」
京子「え? ライバル?」
千歳「せや、綾乃ちゃんは絶対に渡さへんで!!」
京子「??」
千歳は燃えるような目で京子を見つめる。
それに対し京子は何のことかも分からずに疑問符を浮かべていたが、
千歳の登場に乗るように笑う。
京子「ふっ、何かはわからんが、私がライバルということは、千歳は私の敵ということだね?」
千歳「ふっ、そうやで~。うちは手ごわいかんな、覚悟しとき~」
京子「ふっふっふ、簡単に倒せるとは思わないでくれたまえ!」
千歳「……そんなこと、わかっとるわ……」
京子「?」
千歳はそのままごらく部を後にしようとする。
京子「あれ? もう帰っちゃうの?」
千歳「せや、今日は宣戦布告をしにきただけやからな」
京子「えぇ~、遊んでいこうよ~」
千歳「うちにはやることが、戻るべきところがあるから、それは無理や」
京子「ちぇーっ」
千歳「ほなな、歳納さん」
千歳は戻る。
自分のいるべき場所へ。
ガラララ
千歳「ただいま~」
綾乃「もうっ、勝手にどこに行ってたのよ?」
千歳「ちょっとなぁ~、野暮用ってやつや」
綾乃の隣へ。
綾乃「……それはそうと、昨日の……」
千歳「さぁ! 仕事や! 今日はがんばるで~~!」
綾乃「ちょっと、千歳~、聞きなさいよ!」
うち、がんばるからな。
そんでいつか聞いてな。
うちの気持ち。
そんで、そん時は、綾乃ちゃんの気持ちを聞かせてもらうで。
今度はちゃんとした形でな。
絶対に負けへんでぇ~~!!
恋敵 END
6回目にしてほのぼの?を書ききれました!
安価ありがとうございました。
それではー。
乙
乙
途中平和すぎて怖かったけどほのぼのエンドでよかった
アツかった。いろんな意味で。
……ほのぼのってなんだっけ?乙
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