オリジナルSSです。
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どれほどの月日が経ったのだろうか…
あの世の人となり何年もこうして皿を数えている。
何年も何年もただ皿を数えている毎日。
もう本当にどれほど時間がたったのかわからくなっていてもなお数えている。
こうして思案している間も数えている。
今数えたもので3億4989枚だ。
私は一体何をしているのだろうか。
死んでもなおこんなことをしているなんて
人を恨むこともなく、ただこうして皿を数えている毎日。
というか私は本当にいつまでこうして数えるつもりなのだろうか。
お菊「(というかそもそもなんで私は皿を数えているのだろうか?
死んでもこうして皿を数えることに何の意味があるのだろうか?
さっぱりわからない。というか忘れてしまった。なぜ私は皿を数えていたのだ?)」
お菊「3億4995枚…3億4996枚…3億4997枚…
(あっ…思い出した。確か誤って皿を割ってしまったから数え直していたら井戸に落ちて…
そういえばそうだった。ああ、やっと思い出した。しかし、こうして数えていて何が楽しいのだろうか。
こんなことをしても最早無意味なんだ…)」
お菊「3億4998枚…3億4999枚……
(丁度キリがいいところだ。)3億5000枚…!!
…………」
お菊「いつの間にかこんなに数えてしまった。我ながらすごいわ…
今までこんなことしてたなんてね………
これからどうしようか。」
お菊「というかここはどこなんだ。すっかり夢中になってしまったけど、今何年になっているのかしら。」
この世を去ってお菊さん。西暦2016年までずっと皿を数えてこの世に留まり続けました。
恨みなどまるでなくなってしまいましたが、ただ皿を数える人生(?)に疑問を抱き、外へ出ます。
しかし、彼女は幽霊でありながらとんでもないものを身につけていたことにまだ気がついていないのです。
お菊「外へ出てみたけど…なんか変な建物ばっかりで随分変わってしまったなぁ…
もうどこに行けばいいかわからないや」
お菊さん「とにかく歩こう、皿数えるよりはマシだと思うし。
そうしたらなにか面白いもの見つけたりしてね」
男「はぁ……」
ドン…ドン…ドン…
お菊「あら?あの人なんで柱に頭ぶつけているのかしら?このままじゃあの人死んでしまうわ。
ねえちょっとー!」
男「……!?」
お菊「ねえなにやってるのよ!そんなことしてたら死んじゃうわよ!やめなさいよ!」
男「ああ…別にいいですよ…だって俺…死んでいるだから…」
お菊「えっ?あなたもしかして…」
男の頭は電柱に頭をぶつけて血だらけになっている。
そこにはきれいな花束が添えられていたのだ。
男幽霊「俺さぁ…事故で死んだんだよね。あなたもそうでしょう?もう俺生きてないんだ…」
お菊「だったらなんであんなことしてたのよ?」
男幽霊「だってさぁ…そうだろ…この花誰が添えてたと思う?
俺の幼馴染だぜ?その娘さぁ俺に気があったみたいだったけど、俺が死んじゃったから泣いてばっかりでよぉ…
けどもう死んでるだろ?どうしたらいいかわからなくて…」
お菊「あらそう…大変ねえ…でも、そうやっていつまでもそこで頭ぶつけてると
私みたいにいつの間にか時間が経ってわけわからなくなるわ。」
男幽霊「えっ?一体何言って…」
お菊「だったらなにか言ってやりなさいよ!幽霊になってもなにか伝えられるでしょ!?」
男幽霊「で…でも…」
お菊「ごちゃごちゃ言わない!とにかくその幼馴染のところまで連れて行きなさいよ!
私が手伝ってあげるわ!あなたのこと!」
~幼馴染宅~
男幽霊「それでなにするんですか?まさか『彼女も前に出ろ!』なんていいませんよね!?
俺幽霊ですよ!一応!」
お菊「なに言ってるのよ!一旦やってみなさいよ!試してみたら案外上手くいくかもしれないし。」
男幽霊「は…はぁ…」
お菊「私が見ててあげるから、行ってらっしゃいよ。」
男幽霊「は、はい。」
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お菊「ちょっと!なに突っ立てるのよ!」
男幽霊「いや、だって幽霊って夜に出るものでしょ。
だから、夜まで待っているんですよ」
お菊「はぁ!?何言ってるのあなた!!そんなことどうでもいいでしょ!男なんだから潔く行きなさいよ!」
男幽霊「ええ……」
お菊「はぁ…わかったわ。夜まで待ってあげる。その代わりきちんとしなさいよね。」
男幽霊「は、はい!あっ」
そのとき男幽霊の幼馴染が帰ってきたのだ。
その顔はとても暗く、活気がまるでなかったのだった。
幼馴染「………」
男幽霊「あいつだ…あんな暗い顔して…」
お菊「あれがあなたの幼馴染ね。結構かわいい娘じゃない。
でもあんな白けた顔じゃあせっかくのべっぴんさんが台無しね。」
幼馴染「男君…なんでよ…なんで…」
男幽霊「あいつ…まだあんなこと言ってるのか…
俺が死んだばっかりに…」
ガチャン
幼馴染「ただいま…」
バタン
男幽霊「あいつ…」
乙
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