太陽「おう北風、バレンタインだな」(36)

太陽「どっちが多くチョコを溶かしてバレンタイン妨害できるか勝負しようぜ」

北風「えぇ…」

太陽「なんだよその反応」

北風「バレンタイン妨害するの?」

太陽「おう、あんなリア充御用達イベント成功させてなるものかよ」

北風「しばらく会わないうちに随分卑屈になったなお前」

北風「恋人たちに暖かい日差しを送るのがお前の役割だろ」

太陽「昔はそうだったよ…確かに俺は公園のベンチに座る恋人に暖かな日差しを送ってた」

北風「じゃあなんで」

太陽「北風よ、最近の奴らはちょっと日差し送ったらすぐ嫌がるんだぜ」

北風「ああ…紫外線とか、日焼けしちゃうとかか…」

太陽「親切心でがんばって日差し送ってんのにこの仕打ちだぜ、やってられっかよ」

太陽「そんな訳で最近の恋人たちはさっぱり俺をありがたがりもしねぇ」

北風「近年の夏がひどい猛暑なのは、もしかしてその恨みか?」

太陽「そうさ! これで恋人たちも参るだろうと思ったんだよ!」

北風「その様子だと失敗したのか」

太陽「あいつら真夏日だと喜んでプールとか行くんだよ! プールとか! そしてイチャイチャイチャイチャしやがる!」

北風「じゃあ冬に頑張るのはどうなんだ」

太陽「ダメだね。『今日はコートいらないね』とか言って仲良く散歩とかする」

北風「逆に働かず、気候を寒くするのは?」

太陽「それもダメだ。あいつらちょっ寒いとすぐ手をつないでイチャイチャする」

北風「もうどうしようもないじゃん、諦めろよ」

太陽「嫌だ!なんとかしてリア充どもに一泡吹かせたい!」

太陽「そもそもなんだあいつらは! 『二人でいるとあったかいねー』って!」

北風「そりゃまあ恋人はそんなもんだろ」

太陽「こちとら一人寂しくシコシコ核融合してんだよ!自家発電だよ!!」

北風「核融合をそんな風に言うなよ」

太陽「そこで俺はひらめいた、バレンタインを例年より熱い日にして、連中のチョコを溶かしてやろうと」

北風「恵まれた恒星からのクズみたいな発想」

太陽「『ば、バレンタインだし…チョコ作ってみたんだけど…』って伏し目がちに頬を染めながら手渡す!場所は彼女の家がベストだ!」

北風「それお前の理想のチョコのもらい方じゃない? 違う?」

太陽「不器用なりにがんばったラッピングをほどいて、箱を開けると…なんと!ドロドロのチョコ!!」

北風「お前不器用な子がタイプだったんだな…」

太陽「フタに付くくらいドロドロのチョコ! 言葉を失う彼女! フォローに精一杯の彼氏! ザマーミロ!!」

北風「想像が生々しい」

太陽「おおっと安心しろ、俺の日差しの前には市販品も平等にドロドロだ」

北風「そんだけ熱いなら保冷材とかで対策するんじゃないの?」

太陽「想定済みだ。デートのため外出したくらいの時間から本領を発揮する」

北風「想定と対策が気持ち悪いよ」

太陽「デートだから家に帰る暇はない。一日持って歩けば間違いなくドロドロだ」

北風「バレンタインに万人がチョコ持ってデート行くと思うなよ」

北風「…お前義理チョコとか貰わ、いや、なんでもない、ごめん、ごめんって」

北風「昔は暖かいぬくもりで旅人のコートを脱がせた太陽が…」

太陽「おいおい、俺はあの時から変わっちゃいないぜ」

北風「よく言うよ」

太陽「本当だ。相手の気持ちを考え、最も思惑通りに動くであろう手を取る! 今回もこれの応用に過ぎない」

北風「ドヤ顔してるけど発言はクズだからな」

北風「そもそも勝負になってないよ。僕にチョコは溶かせないし」

太陽「じゃあ何溶かしてもいいよ」

北風「そっちじゃないよ」

太陽「アレか、『僕は幸せな恋人たちを邪魔できない~』とか思ってんのか」

北風「能力的に無理だっていってるの」

間違えた
>>10>>11の間にこのレス

太陽「そんな訳でどっちが多くのチョコ溶かせるか勝負しようぜ」

北風「どっちにしろチョコ溶けてるわけだからお前の一人勝ちじゃん」

太陽「北風…お前変わっちまったな…」

北風「変わったのはお前だよ」

北風「そもそも勝負になってないよ。僕にチョコは溶かせないし」

太陽「じゃあ何溶かしてもいいよ」

北風「そっちじゃないよ」

太陽「アレか、『僕は幸せな恋人たちを邪魔できない~』とか思ってんのか」

北風「能力的に無理だっていってるの」

太陽「アイスを風に当てるとみるみる溶けるじゃん」

北風「あれはアイスが風より冷たいからだよ。アイス並みに冷たく融点低いチョコがあるかよ」

太陽「ならがんばって熱風吹かせろよ」

北風「僕北風だよ? 寒いものの代名詞だよ」

太陽「なら南風ちゃんに頼めば…ハッ!」

太陽「北風…お前そういうことか…」

北風「どうしたの急に」

太陽「どうも乗り気じゃないと思ったら、お前! 南風ちゃんにチョコもらうんだろ!」

北風「うわあそう来たか」

太陽「クッソ!お前もバレンタイン勝ち組かクッソ!!」ダンダン

北風「46億歳が地団駄踏むなよ」

北風「チョコもらわないよ、南風とはそんなんじゃないし」

太陽「ほら出たよ呼び捨て! それとなく距離感近いよアッピール!!」

北風「俳句を詠むな」

太陽「そういう関係じゃない~とかそんなこと言ってる奴がチョコもらってんだよ!」

北風「いや…南風は本当にただの幼馴染で…」

太陽僻みすぎワロタ
きっと>>1は太陽なんだろうなぁ

太陽「幼馴染!かぁーっ幼馴染!毎朝起こしに来てくれるんだろ!?」

北風「来ないよ。幼馴染に幻想を抱きすぎだ」

太陽「そ、そうなのか…幼馴染いたことないからつい…」

北風「南風は朝弱いからむしろ僕が起こしにいく」

太陽「ぐわああああああ!!」

太陽「他には!? 南風ちゃんと普段どういうことしてんだ!」

北風「えー…? 休みの日は基本どっちかの家で過ごすとか…」

太陽「ぐふっ」

北風「天気良かったら公園散歩したり…」

太陽「げあっ」

北風「あとは今年の夏は二人でプールにも行ったな」

太陽「おぐうぅ」

北風「あ、そういえばこないだ誕生日にマフラーもらった。珍しく顔赤くしてさ、そっぽ向きながらこっちにつきだして渡されたよ」

太陽「あああああ!!!理想的!! 理想的!!!」

太陽「神は死んだ…」

北風「だからただの腐れ縁だって。そういうのじゃなくて」

太陽「そういう関係じゃないけど一緒にいるとなんか心地いい関係なんだろ!?だろ!?」

北風「そ、それはお前の理想だろう」

太陽「いいなァー!!!」

北風「いいなーってお前」

北風「とにかく南風はそういう関係じゃないっていうか」

太陽「じゃあお前日曜の予定言ってみろよ!」

北風「南風とチョコフォンデュが有名なお店に行きます」

太陽「ほらァ!!!!!!!」

太陽「しかもお前今週日曜って14日じゃねーか!」

北風「あっ本当だ…」

太陽「えっ今気づいたの?」

北風「うん…『チョコフォンデュ行きたいんだけど、空いてる日いつ?』って言われて」

太陽「南風ちゃんから誘ってきたのかよ」

北風「それで、何も考えずに日曜って答えた」

太陽「マジかよ…」

北風「さすがに考えが足りなかったな…」

太陽「いや、リア充ってこんなあっさりと約束取り付けるのかと思って…」

北風「何だその着眼点…」


北風「悪いことしたな…誰かとバレンタイン過ごしたかったなら邪魔しちゃったな…」

太陽「…いや、それなら最初から断ったんじゃないか?」

北風「…えっ?」

太陽「向こうから誘ってきたなら、向こうにとって都合の悪い日は断るだろ…」

北風「…ということは…」



太陽「南風ちゃんは、お前とバレンタインを過ごしたいんじゃないか…?」


北風「……!」

北風「いや…そんな、あいつに限って…」

太陽「さっき、心地いい関係と言ったときにお前は言葉に詰まった…心地いいと、お前自身が思ってるんだろ」

北風「それは…確かに…。だけど、あいつがそんな…」

太陽「…そこまで考える必要はないよ、北風。お前はただ、南風ちゃんと楽しく日曜を過ごせばいい」

北風「太陽……」

太陽「南風ちゃんが何を思ってるのかは、その時確かめればいいだろ?」

北風「……おお!」

北風「ありがとうな太陽! やっぱお前はみんなを暖かな日差しで照らすあの太陽だよ!」

太陽「言ったろ? 俺はあの時から変わっちゃいないぜ、って」

北風「ははっ! 確かにその通りだ!」

太陽「おら、今日はもう帰って準備しな。バレンタインは明日だぞ?」

北風「…ああ、そうさせてもらうよ! じゃあな太陽!」ガチャ バタン

太陽「……」

太陽「……みんなを暖かな日差しで照らすあの太陽、か……」

太陽「…………」

太陽「……」

太陽「……くそったれええ!!何良い感じになってんだよあいつら!」

太陽「何だこの結末!くっそ!リア充爆発しろ!!」

太陽「もういい!あいつらなんか二人でお熱くやってしっぽりエルニーニョ起こしゃいいんだよ!!」

太陽「明日は俺も全力出すぜ…!待ってろ全国のリア充とリア充予備軍の諸君…俺様が裁きの光を照らしてやる……!!」

太陽「そのためには俺も明日に備えねぇとな……とっとと布団に入ろう」ゴソゴソ

太陽「…………………………」

太陽「………………」

太陽「……『幼馴染もの』、検索と……」

~バレンタイン当日、夜~

太陽「が、がんばった…だいぶがんばったぞ俺…」

太陽「例年に比べてだいぶ暖かくしてやった……春一番も吹かせてやったぜ…」

太陽「達成感もすごいが疲労も半端ねぇ…も、もうだめだ…今週は休むぞ…冬に逆戻りだ…」

北風「な、なあ太陽」

太陽「おう急にどうした北風…うまくいったか…? 俺は見ての通り全力で…」

北風「バレンタインのチョコのことなんだけどさ…」

太陽「はは…あんなこと言ったが俺も恨みがあるからな…お前のまで溶かしてしまったのは許してくれ…」

北風「いや、そうじゃなく…」


北風「チョコの受け渡しは、平日の15日の方が多いんじゃないかなーって…」


太陽「……え?」

北風「ほら、14日は日曜だったろ? 職場や学校で渡す人の立場なら平日の方が都合がいいじゃん?」

太陽「……昨日はチョコの受け渡しはそんなに多くなかった、と…?」

北風「……」コク

太陽「……」


太陽「……うわあああああーーーーーー!!!!」

北風「な、泣くなよ。ほら、行った店で買ったお土産のチョコやるからさ」

太陽「いらんわ!!」

以上です、お目汚し失礼しました。
バレンタイン当日に投稿したかったぜ……

チョコを溶かしたりなんかしたら慰めックスが捗っちゃうと思うの乙

いと哀れなり

いやまあ多分、影で月とかが見守ってくれてるよ

月と太陽では月が一方的に太陽を思ってる可能性はあるが、太陽は月を認識できない可能性ががが
って思ったけど、そもそも北風と太陽もだな

おつ

北風と南風でデートとか嵐になりそうだな

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