星井美希は、ステージで踊る自分を見て考える。
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「ねえねえ春香、春香ってミキの好きなお弁当のおかず、知ってる?」
「えっ、どうしたのいきなり?」
「いいから。答えてほしいの」
「お、おにぎり……だよね?あっ、でもおにぎりっておかずかな?」
うん、正解なの。
「どったのミキミキ?そんなん誰でも知ってるよ」
あっ、真美。
真美にも聞いてみるの。
「じゃあ真美にもクイズ。真美は、ミキが好きなスイーツ、知ってる?」
「いちごババロア!こんなのサービス問題すぎるよー!」
真美も正解。
『星井さん、お宅の美希ちゃんは、友だちとどこか壁を作ってしまっているようです。
話しかけてくる友だちはたくさんいるのですが、表面上だけの付き合いというか…本心で接していないようで…。
担任教師としてとても心配です』
『それが…恥ずかしいことですが…親である…わたしにも…なにが原因なのか…』
「どうしたの真美。楽屋で騒いじゃダメでしょう」
「そうだぞー真美!本番前に喉痛めたりしたら大変だぞ!」
あっ、千早さんと響なの。
「だってだって、ミキミキが変なクイズ出すんだもん!」
「変なクイズ?」
ちょうどいいから2人にも聞いちゃおっと。
「千早さんにもクイズしちゃうの」
「えっ、私?」
「問題。ミキが好きな飲み物はなーんだ?」
「えっと、キャラメルマキアート?だったかしら。私は飲んだことはないけれど」
やっぱり千早さんも正解。
「ねえ美希!自分にもクイズ出してよ!完璧に答えてみせるさー!」
「うーん……じゃあ、ミキの家族構成、知ってるかな?」
「そんなの簡単だぞ!お母さんとお父さんと、それからお姉さんの菜緒さん!でしょ?」
もちろん響も正解なの。
子供の時から思ってたの。 町に住んでいると、すっごくたくさんの人と出会う。
でも、普通の人たちは、
一生でホントに気持ちがかよい合う人が、いったい何人いるのかな…?
「こっちこっち!ミキミキクイズだよー!」
「美希のクイズかぁ。どんな問題なんだろ?」
「も、もし間違えちゃったらどうしよう……」
真美。いつの間にかいなくなったと思ったら、皆をつれてきちゃった。
「うっうー!がんばります!」
「美希のことならば、なんでも存じておりますよ」
ありゃりゃ、全員集合しちゃったの。
「んー、じゃあ最初は雪歩からね」
「はうぅ……」
「ミキの好きなこと、なにか答えてほしいの」
「えーっと……ネイルアートと、友達とおしゃべりすることと……あとは、お昼寝……かな?あとはおしゃれすること、とか」
雪歩も正解。
ミキの携帯のアドレス帳は、クラスや学校の人たちの名前と電話番号でいっぱい。
50人くらいかな? 100人くらいかな?
でも、ホントのミキを知っている人はだーれもいないの。
みんなミキがかわいいから近寄ってきてるだけ。
好きなお弁当のおかずも、好きなスイーツも、好きな飲み物も知らない。ミキの大好きな家族のことなんかこれっぽっちも知らない。
みーんなミキの外側しか見てないの。
「じゃあ次は貴音の番」
「お待ちしておりました」
「ミキが尊敬してる先生、誰でしょう」
「ふふっ、美希。それは先日話してもらったばかりですよ。答えはカモ先生です。私も1度お会いしたいものです」
貴音も正解。今度つれてってあげるね。
「じゃあ次はやよい……は最後にしよっと。真君からね」
「オッケー!なんでも聞いてよ」
自信満々なの。
ごめんね真君。つらい質問押しつけて。
「……ミキが最近、1番悲しかったことを答えてほしいの」
母には父がいる。 父には母がいる。
お姉ちゃんも最近、結婚するかもしれない彼氏さんができたと言っていた。
自分はちがう。
TVに出ている有名人とか、ロックスターはきっとたくさんいるんだろうな。
自分はちがう。
「えっ……美希、それは……」
しーんと静かになっちゃったの。
9人も人がいるのに、変なカンジ。
「……言っていいの?美希」
真君もなんだかテンション下がっちゃったみたい。
なんでもどんとこいなの。答えちゃっていいよ。
「……じゃあ言うよ」
ありがと、真君。
「美希が悲しかったことは……竜宮小町に入れてもらえなかったこと……だよね」
……正解なの。
「自分にはもしかして、一生、誰ひとりとしてあらわれないのかな」
「だって、ミキの内側を、ミキのココロを見てくれる友だちはだれもいないもん…
そんな人たちと本当に気持ちがかようはずがないもん…」
皆暗い感じになっちゃった。
これからステージなのに、これじゃお客さん心配しちゃうの。
こんなこと、聞かなきゃよかったかな。
でも、どうしてもみんなに聞いてみたかったの。
「あのぅ……美希さん」
「うん、最後はやよいね。だいじょーぶ。これは明るいクイズだからね」
「はっ、はい!」
最後はとっておきのサービス問題なの。
「じゃあ、ミキが今目指してる、1番なりたいモノ。やよいは知ってるかな~?」
「!はいっ!美希さんが目指してるモノ、それは……」
「「「「「「「「トップアイドル!!!」」」」」」」」
ありゃ、みんなで言われちゃったの。
「だよね!美希!」
真君。
「美希ちゃん、最近レッスンすごく頑張ってるもんね?」
雪歩。
「でも自分たちだって負けないさー!」
響。
「真美だって、すぐにミキミキよりもナイスバデーになっちゃうもんね!」
真美。
「その、竜宮小町のことで美希さんはすっごく落ち込んでて、みんなすごく心配したんです」
やよい。
「しかし今回の騒動を終えて、美希はよりいっそう強くなりましたね」
貴音。
「くじけた心から立ち直る。それは誰にでもできることじゃない。あなたは尊敬に値する人間よ、美希」
千早さん。
「だから!このステージ絶対成功させようね!美希!!」
春香。
……うん。やっぱり美希は幸せ者なの。
美希はひとりぼっちじゃないの。
春香、千早さん、みんな、そしてプロデューサー。
そう、この事務所のみんなに出会うまでずっとひとりぼっちだと思ってた。
でこちゃんやあずさ、亜美や律子のことを考えると、背中に鳥肌が立つのはなぜだろう。
それは、目的が一致した初めての仲間だったから。
アイドルのトップを目指す。この長く険しい道のり。
ライバルであり、同時に頼もしい味方であり、本当に気持ちがかよい合っていた仲間だったからなの。
「今律子からメールがあった。今全力で向かってる、絶対間に合わせる、って」
「だからそれまではミキたちでなんとかする……でしょ?」
「……ああ!頼んだぞ美希!」
「頼まれたの!」
『Day of the future』の後に、またミキの『マリオネットの心』。
こんな激しい曲を続けてなんて、ほーんとやれやれってカンジなの。
でも……なんだかワクワクしてるの。
仲間と、みんなといっしょなら、ミキはなんだってできちゃいそう。
だって、輝いたステージに立てば、もう最高の気分だもん!
あっ、そうだ。
プロデューサーにも聞いちゃうの。
「ねえプロデューサー、ミキはもっともっとキラキラできるよね!」
星井美希は、ステージで踊る自分を見て考える。
きっと、自分のことを本当に理解してくれる人がいつか現れる。
すてきな男の人だといいなぁ。
なんて呼んであげようかな。ダーリン?あなた?ハニー?
ハニー。うん、ハニーがいいの。
大好きハニー。
未来は二人でカランカランって鳴らしたいの。
ずーっと見ててね?いつか出会うハニー。
終わりです。
時系列はアニメ13話でした。
スレタイや全体の元ネタは「ジョジョの奇妙な冒険」第3部の花京院からです。
乙です
乙
最後ふるふるフューチャーで締めたとこ好き
乙
乙!
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