京子「結衣、私結衣のこと大好きだよ」 (30)


世にも奇妙なゆるゆり

登場人物がかなり酷い目にあったりキャラ崩壊してたりします
読む方はこの事を心して読んでください

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あかり「………ここは……どこ?」キョロキョロ

あかり「あれ、おかしいな…… あかり、今まで一体なにしてたんだっけ。なにも思い出せないや……」

あかり「ここって……通学路の途中? でもあかり、私服だし。なんでここにいるんだろう?」

あかり「それになんか……頭が痛い気がする…………なにか硬いものにぶつけちゃったのかなぁ…………………………」

あかり「……………あれ? あの後ろ姿はもしかしてちなつちゃん? なにか荷物持ってるけれど……」


ちなつ「…………………」


あかり「お買い物の帰りなのかなぁ? よし、ちなつちゃんのことを手伝ってあげよう!」

京子「あれ、あかりじゃん?」

あかり「うひゃあ!?」ポーン

京子「おおう! 今日もあかりは元気だなぁ~」

あかり「京子ちゃんいまあかりのお団子見てそう言ったでしょ~!!」プンプン

京子「別にそんなことないってば。それよりこんなところでどうしたのさ?」

あかり「え、えっと…………」

あかり(なんでここにいるかの記憶がないことは言わない方がいいよね。ここは適当にお茶を濁しちゃえ)

あかり「ちょ、ちょっとお散歩してたんだよぉ! 京子ちゃんはどうしたの?」

京子「私は電池を買いに行くところだよ。時計のの電池が切れちゃってさ」

あかり「それならあかりも付き合うよ! 特に用事もなかったから!」

京子「おっし! そんじゃレッツゴー!」

あかり「うん!」

そして歩き出そうと道を振り返った瞬間だった

あかり「うわっ!? とっととと!!」バタン

京子「なにやってんだよあかり~」

あかり「ご、ごめんね京子ちゃん。ちょっと足が縺れちゃって…………」

京子「ったくしょうがないなぁあかりは…………」

あかり「えっへへへ」

そう言って恥ずかしがりながら立ち上がろうとした時だった




ププー!!



あかり「え?」

京子「あかり危ない!!」




音のした方を向いた瞬間、これまで感じたことの無いような衝撃と激痛があかりの全身を襲った

何か大きなものにぶつかったような衝撃が二回

それが車に跳ねられた衝撃と地面に叩きつけられた衝撃だとあかりが理解したのは、京子ちゃんの悲鳴を聞いてからだった

既に霞み始めている視線の先に、大粒の涙を流している京子ちゃんが見えた

あぁ……なんだか眠くなってきた。もうあかりは死んじゃうのかな。そんなことを何故か客観的に考えてしまう

ごめんね、パパ、ママ、お姉ちゃん、ちなつちゃん、結衣ちゃん、京子ちゃん…………………………









ガシャン

あかり「うわぁああっ!!」ガバッ

あかり「…………はぁ、はぁ ゆ、夢……だったの?」


ガラララ


あかね「あかり? なにか大きな声が聞こえたけれどもどうかしたのかしら?」

あかり「あ、お姉ちゃんおはよう。ううん、なんでも無いよ。ただ少し寝ぼけちゃったみたいで」

あかね「あらそう。もう朝ごはんも出来てるから早く下に降りてきたほうがいいわよ。急がないと覚めちゃうわ」

あかり「う、うん……ありがとうお姉ちゃん」



あかり(夢……にしてはとってもリアルだったよね? だって今でもあの時の衝撃と痛みが残ってるもん…………)

あかり(で、でもさっきからドンドンそれも無くなっていってるし……やっぱりただの夢、だったのかな)

あかり(夢ならそうで良かったよぉ~ 本当に怖かった…………)グスッ

あかり(あ、思わず涙が……えへへ、こうやって泣けるのもあれが夢だったからだよね! 今日も1日頑張らなくちゃ)

あかり「おはよう、ちなつちゃん!」

ちなつ「あ、おはようあかりちゃん! 今日はいつもより少し遅くなかった?」

あかり「えへへ、ちょっとね」

あかり(夢のことを考えたらいつもより慎重になっちゃっただけなんだけどねぇ)

ちなつ「?」

あかり「大丈夫、なんでも無いよぉ。ところでちなつちゃん、昨日のお昼頃お買い物とかしてた?」

ちなつ「買い物? いや、してないけど。どうかしたの?」

あかり「ううん、なんでも無いよぉ」

ちなつ「ふふ、変なあかりちゃん」

あかり(やっぱりあれは夢だったんだよねぇ)

ちなつ「あ、そんなことよりも今日一時間目美術室だよ。筆とかの準備しとかなくちゃ!」

あかり(よし! もう夢のことをくよくよ考えるのはやめよう! このままじゃみんなにも心配かけちゃうもんねぇ!)


美術室


東「はい、それでは今日はこの石膏像の絵を描きます。それぞれの机の石膏には各々特徴がありますので、それを注意して書いてくださいね」


ちなつ「よし! 私の美的センスを存分に活かす時が来たわよ!」

あかり「そ、そうだねぇ…… がんばってねちなつちゃん…………」

あかり(と、とりあえずあかりも頑張って絵を完成させなくちゃ…………って!)

あかり「あぁ!!」

ちなつ「どうしたのあかりちゃん?」

あかり「ちなつちゃん、どうしようこれ……」

ポッキリ

ちなつ「うわ! 筆が折れてる!?」

あかり「ちゃんと美術セットの中に入れておいたのに……なんであかりのだけ折れちゃってるのぉ!!」

ちなつ「これはもう借りるしかないんじゃない?」

あかり「そうするしかないかぁ……先生、あかりの筆が折れちゃってるので貸して頂いてもいいですか?」

東「あら、それは困ったわね。それなら美術準備室の胸像の置いてある棚の左の方の引き出しに入れてあるわ。自由にとってきていいわよ」

あかり「はぁ~い!」

やっはろー!

美術準備室


あかり「えっと…………この棚かな?」ガラッ

あかり「あ、あった! えっと、じゃああかりはこの筆を借りることにするよ!」



ガタガタガタガタッ!!



あかり「え、あわわわ地震だぁ!! こ、こういう時はきちんと棚に掴まってないとぉ!!」

あかり「け、結構大きいけど大丈夫かなぁ…………」

グラッ……

あかり「え? ………………ぁ」



何かが落ちてくる気配がして上を向こうとした瞬間、あかりの後頭部に硬くて重いものがぶつかった

あかり「ぁ……がっ…………!」

声をあげることも出来ずにそのまま突っ伏す

手でかばうことすら出来ず顔から崩れ落ちたけど、その痛みを無視できるほどの鈍痛が後頭部からジワジワと広がってくる

あかり(い、痛いッ! 痛いよぉ……!! し、死ぬ……死んじゃうよぉ……ッ!!)

頭を手で覆いたくても腕が動かない。助けを呼びたくても声が出ない。顔を伝っていく生ぬるい液体が、この上ない嫌悪感であかりの心を蝕んでいく

しかしあかりは次第になにか眠いような気持ちいいような感覚に襲われた。そのぼうっとした頭であかりはこう思う

あかり(あれ…………これってもしかして……血? こんなにイッパイ、なんでこんなに出てるんだろぉ…………)

あかり(なんでだろ……もうあかりの頭全然痛くないのに。それどころかとっても眠いんだぁ………)

あかり(なんで、あかりこんな所で寝ているんだろ……筆も借りたんだし早く美術室に戻って絵を描かないと)

あかり(あ、そうだ……ちなつちゃんに後で絵を見せてもらおうかな。ちなつちゃんがどんな絵を描くのかあかりとっても気になるもん)

あかり(それで……ごらく部て京子ちゃんたちにもそれを見せて、それでみんなで……………ふふっ…)

あかり(…………………………………………………………………………………………………………)









ガシャン

あかり「うわぁあああっ!!」ガバッ

あかり「……はぁ…………はぁ…………はぁ…………え?」

あかり「ここは、保健室?」キョロキョロ

あかり「あれ、あかり確か美術準備室で……頭に何か落ちてきて…………痛ッ!!」

慌ててあかりは頭に手をやる……が

あかり「な、なんともなってない……? な、なんで!?」

あかり(だんだん引いて行っているけれども、まだ頭に鈍い痛みは残ってる…………それに夢にしてはあまりにもリアルだった…………)


ガラララ


櫻子「あ、起きたんだあかりちゃん! もう大丈夫?」

あかり「さ、櫻子ちゃん!」

櫻子「いやぁ~ビックリしたよ! あかりちゃんったら、いきなり倒れちゃうんだもん」

あかり「え? いきなり倒れた?」

櫻子「うん。体育の時間にさ、急に倒れたんだよ。覚えてない?」

あかり「た、体育!? 美術じゃなくて?」

櫻子「美術? 今日は美術の授業はないじゃん」

あかり「え、えぇ!? だって今日は一時間目が美術だったでしょ!?」

櫻子「え、違うよ。今日の一時間目は国語だったじゃん。二時間目は数学、三時間目は社会、そんで四時間目が体育」

あかり「そ、そんな! だって今日は月曜日でしょ!?」

櫻子「ううん、今日は火曜日じゃん」

あかり「火曜……日…………?」

櫻子「そだよ。あ、もうすぐ給食なんだけどあかりちゃん来れる?」

あかり「え、うん。大丈夫だと思う……」

ちなつ「いただきます」

櫻子「いっただきま~す! もぐしうめぇ!」

向日葵「こら櫻子! お行儀が悪いですわよ!」

あかり「………………」モグモグ

あかり(みんないつも通り。あかりが頭を打ったことなんて誰も知らないみたい……)

あかり(いや、むしろ頭を打った事実なんて“無かった” みたい……)

あかり(あかりは頭を打った痛みをまだ覚えている。夢なんて思えない……あれは絶対に“実際にあった事”だった)

あかり(それなのに……いったいどうして…………)

櫻子「あかりちゃん、どうしたの? やっぱりまだ調子悪い?」

あかり「え、あぁうん……まだちょっとダメかも」

向日葵「やはり倒れたという事はそれなりに疲労などが溜まっていたという事なのでしょう。お大事になさってください」

櫻子「そうそう! ほら、私の春巻きあげるから元気出して!」

あかり「あ、ありがとう櫻子ちゃん。でも遠慮しとこうかな……なんか、食欲がなくて」

ちなつ「本当に大丈夫? きょうはごらく部休んだほうがいいんじゃない?」

あかり「う、うん……考えておくね」

向日葵「顔色も良くないようですし、もう一度保健室に行っては?」

あかり「………………うん、そうしよっかな」

ちなつ「あ、それなら私もついていくよ」

あかり「ううん、大丈夫だよぉ。あかり1人で行ってくるから。先生によろしく言っておいてね」



ガラララ




あかり(はぁ、やっぱり体調がおかしいなぁ…… なんでだろ。それに月曜日だと思ってた今日が火曜日になってて…………)

あかり(わけが分からないよぉ…… あかりがおかしくなっちゃったのかなぁ…………)


ガクンッ

あかり「え、きゃっ!?」



二度も見た悪夢とそのあまりにリアルな痛みに、精神が多少疲弊していたあかり

だから普段はあまり躓かないような場所でも躓いてしまった

空中に投げ出された浮遊感、その少し後に頭の中に響いた古い木がへし折れるような乾いた音



あかり「ぅ…………が………………」ピクピクッ



誰にも想像できないような痛みがあかりを襲う。ただし、あかりはその痛みがなぜ発生したのかを理解する事はできなかった

もしここに他人がいたらあかりの痛みの原因を知る事ができただろう。しかしたとえそんな事が分かったとしても、あかりには何の救いにもならない

首が決しては曲がってはいけない方向に曲がってしまい、痙攣の中死へと誘われているあかりには何をしても救いなどないからだ


あかり(あ、あれ? なんであかり、うつ伏せに寝てるのに天井が見えてるんだろう……)

あかり(それになんか首のあたりがジンジンと痛い…………痛ッ……い…………?)

あかり(え、なんで? なんで首がこんなに痛いの…………え、待ってよ! なんでこんなに……え、あ…………うぁ……!!)

あかり(痛い! 痛いよぉ!! なんで痛いの!? 嫌だ嫌だ助けて! ちなつちゃん! 櫻子ちゃん向日葵ちゃん!! )

あかり(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!)



あかり(嫌…………! 誰……たすけっ…ぁあ゛ぁあああああ゛ッッッッ!!!)









ガシャン

あかり「嫌ぁああッ!!」ガバッ

あかり「はぁ、はぁ……こ、ここって……………うぐっ……!!」

あかり(い、痛い……! 首が凄く痛い!! いや、嫌だっ!)

ちなつ「あかりちゃん!! ど、どうしたの!?」オロオロ

櫻子「あかりちゃん!? ちょ、しっかり!! 大丈夫!?」

あかり「い、痛いッ! 痛いよぉ!! やだッ! 誰か助けてぇええ!!」

向日葵「あ、赤座さん!! しっかり!! せ、先生!! 赤座さんを早く保健室へ!!」

あかり「うぐっ! がっ……うぁあああっ!!」






あかり「ご、ごめんねみんな……し、心配かけちゃって…………」

ちなつ「う、うん…………でも大丈夫なの…………? なんか尋常じゃないくらい痛がってたけれども…………」

あかり「う、うん…………いまは大丈夫…………」

ちなつ「ねぇ、あかりちゃん。いったい何があったの?」

あかり「う、えっと…………」

櫻子「そうだよ。授業中いきなり痛がって机から崩れ落ちるだなんて…………首の後ろ、そんなに痛かったの?」

あかり「う、うん…………」

ちなつ「一応いま救急車呼んでるみたいだから、今日は病院で精密検査するんだって」

あかり「そ、そっか……そうだねぇ…………その方がいいよね」


ガラララ


向日葵「赤座さん、救急車が到着しました! さ、こちらへ急いで」

ちなつ「ほら、手を貸すよ」

あかり「う、うん……ごめんねみんな」

櫻子「いいっていいって! 私たち友達じゃん!」


あかり(そのままあれよあれよと運ばれて、あかりはいま救急車で病院に運ばれている)

あかり(……………………なんだったんだろうあの激痛は。あかり、いままであんなに痛い目にあったこと一度もないよぉ……)

あかり(やっぱりあかり、脳の病気なのかな…… 夢の中で痛い目に何度も遭って、その痛みが夢が覚めた後も続くだなんて)

あかり(あんまりにもリアルな痛みだから、もしかしたら夢じゃないんじゃって思ったりもしたけど、周りのみんなはあかりの体験したことがまるで“無かったこと”のように振舞っている)

あかり(これは間違いかなぁ。実際は振舞ってるんじゃなくて実際に無かったんだろうけども……それならあかりの体験したあの現実はなんなの……?)

あかり「あ、その……」

「なんだい? もしかしてどこか痛かったりするかな?」

あかり「いえ、ちょっと聞きたいんですけれども今日は何曜日ですか?」

「今日かい? 水曜日だよ」

あかり「…………そうですか」

あかり(やっぱり……日付が1日進んでる…………)

あかり(つまり、あかりが一度夢を見ると…………日付もそれに連れて1日進む?)

あかり(それは……どうして?)




グシャ




あかり「…………え」



なんの唐突もなくあかりの視界が歪んだ。まるでなにかとてつもない力で体全体を握りつぶされた感覚

それがあかりを運んでいた救急車に突然突っ込んできた大型トレーラーによるものだとあかりは気付くことができない

ただ一つあかりにとって幸運だったのは、ほとんど即死だった故の無痛にも近い最期を遂げた事であった









ガシャン


ーーーーー


ーーー








あかり「………………」フラフラ

あかり(あれから何日経ったんだろう……)

あかり(もう数えるのも面倒になってしまうくらいの回数、あかりは“死”を体験した)

あかり(そう。なんども経験してようやく分かった。あかりは何度も何度も死を経験している事に)

あかり(そしてその度にあかりの“死”が無かった事になっている事に)

あかり(厳密に言うと死が無くなっている訳じゃなく、死に至るまでのその日の出来事自体が全て無くなっている)

あかり(そしてあかりが死に戻ったら、なぜか次の日になっている……)

あかり(そして一番嫌な事が一つある。それは、死の体験に発生した苦痛が死に戻った後にはも暫く継続してしまうという事)

あかり(そして痛みが大きければ大きいほど継続する時間も長引く事)

あかり(もう100を超える死の中で、あかりはようやくこれだけの事に気付く事ができた)

あかり(でも……なぜあかりにそんな事が起こっているのか、その理由にはまだ気付けていない…………)



あかり「はぁ…………まだ、大丈夫…………まだ……死にそうな事は起きていない…よね…………」

あかり(最近はもう死ぬ事への恐怖で、ずっと笑っていない気がする。でも他のみんなからしたら、あかりはいつも通り笑っている。だからこのあかりが死に戻った瞬間塞ぎ込んでしまったように感じるみたい)

あかり「…………はぁ、どうすればあかりは助かるんだろう」

あかり(幸い死に戻った場所はごらく部の部室。それに今はあかり1人だからさっきの悲鳴を聞いても誰も心配させずに済んだ)

あかり「はぁ………ん? あんな所に本なんて置いてあったっけ?」

あかり「………あなたにでも出来る黒魔術入門…………………………?」

あかりは単なる興味でその本を開いてみた。すると、不自然にページの端がおられた箇所があった

あかり「えっと………あなたにでも出来る恋愛成就のための黒魔術……?」

どんなおまじないの本にもあるような陳腐な内容、ただしそこの一節にあかりの目を引くものがあった

あかり「え……“もし相手に好きな人がいた場合、相手の意思をねじ曲げようとした貴方に黒魔術の呪いが降りかかるでしょう。その内容はP128に記載”」

あかり「えっと……128ページ………………え?」


“永劫不変の死”

あかり「こ、これって!?」

あかりがそのページを読み進めると、まさに今の自分に降りかかっている事態と同じであった

1日に一度死の苦しみ与える黒魔術。これが死に戻ると日付が1日進んでいた理由だ

でもあかりはこの本を見るのは初めてだし、もちろん誰かに呪いをかけた訳でもない。それなのに何故?

その答えは最後の一文に書いてあった


“もし貴方にこの呪いが降りかかったのならば、その時は解呪をする事によってその不幸を他人になすりつける事ができます”


あかり「こ、これだ!! 誰かがこのお呪いをかけたけれど失敗して、呪いがその人に降りかかっちゃったんだ! だから誰かがあかりにこの呪いを擦りつけたんだ!」

あかり「そ、それならこの解呪の方法を試してみれば!!」


“呪いを擦りつけたい人を殺す”


あかり「………………え?」


“安心すべきは、殺したとしてもその事実は無かった事になる。その経験はこのページを読んでいる貴方にも理解出来るはずです”

“そして呪いを擦りつけた瞬間、それまでの貴方の記憶も消失します。貴方に罪悪感を感じる必要性も機会も永遠にありません”


あかり「…………………………………」


あかり(これってつまり……あかりは昔誰かに殺されたっていう事…………?)

あかり(そしてその呪いを誰かに擦りつけられた)

あかりの胸の中に今まで感じた事のない感情がメラメラと燃え上がってくるのを感じる

そう、あかりとは縁遠いと思われていた怒り、憎しみが………………

そしてそんな感情を抱いてしまったあかりが、精神的に不安定になっているあかりがそんな自分の事を許せるわけもなく…………


あかり「う、うわぁああぁああッ!!」

堪らず炊事場にあった包丁を自らの胸へと突き刺した


あかり「うっ…………げほっ…………!!」


冷たいフローリングの床へ、血を撒き散らしながら倒れこむあかり


あかり(あぁ、そう言えば今まで自殺はした事なかったなぁ…………)

あかり(ふふ、みんな安心してね…… あかりは絶対にみんなに呪いを擦りつけたりなんてしないから…………………………)

そんな事を考えつつ、あかりの意識は深い闇へと溶けていった









ガシャン

ーーーーー


ーーー










京子「それにしても今日のあかりは様子がおかしいなぁ~ なんかあった?」

あかり「…………………………」

京子「そんな無口になっちゃってさぁ~ あ、そうだ! 今日このまま私の家に遊びに来なよ! ラムレー用意してあるよ!」

あかり「…………………………」

京子「ラムレーってのはラムレーズンの略ね! ラムレー食おうぜ!」ビシィッ

あかり「…………………………」

京子「…………………あ、あかり? どうしたのそんなに思い詰めた顔しちゃって? さっきまではすごく元気だったのに!」

あかり「……………ねぇ、京子ちゃん」

京子「んぇ!? な、なになに!?」

あかり「京子ちゃんってさ、あかりの事大切に思ってる? あかりの事大好き?」

京子「きゅ、急になにさ!?」

あかり「答えてよ京子ちゃん…………京子ちゃんはあかりの事どう思ってるの?」

京子「そ、そりゃあかりの事は大切な幼馴染だしさ……もちろん大好きだよ」

あかり「本当に…………?」

京子「もちろんだとも! 京子ちゃん嘘付かない!!」

あかり「本当? ありがとう京子ちゃん」ダキッ

京子「う、うわっと!? あかり!?」

あかり「ありがとう、京子ちゃん……あかりとても嬉しいよぉ!」

京子「ははは、まったく可愛い奴め!」ナデナデ

あかり「えへへ」



















あかり「京子ちゃん、あかり京子ちゃんのこと大好きだよ」




























あかり「だからね?」


ドンッ!



京子「え?」



あかり「あかりの為に死んで」ニコッ

目の前を通り過ぎた大型トラックによって、京子ちゃんの肉片はグチャグチャに弾け飛んだ

でもあかりには京子ちゃんが死んだ悲しみは欠片もない。だってこれであかりは救われたのだから………………



あかり「京子ちゃんあかりの事が大好きなんだもんね? あかりの為に死ぬことは幸せなことなんだよね!!」

あかり「もういいよね京子ちゃん? だってあかり、もう1000回以上我慢したんだもん! もう解放されても誰も文句言わないよね、だよね京子ちゃん!」ニコッ

あかり「あ、あっは…………やったぁ、やったおよぉ…………これで、これであかりは…………あは…………アハッ…………ヒッ……ヒヒッ…………」












あかり「あっははははははははははははッ!! 」












ガシャン

京子「………ここは……どこ?」キョロキョロ

京子「あれ、おかしいな……今まで一体なにしてたんだっけ。なにも思い出せないや……」

京子「ここって……通学路の途中? でも私、私服だし。なんでここにいるんだろ?」

京子「それになんか……体が痛い気がする…………あ痛たた…………なんでこんなに痛いんだよ……」

京子「……………あれ? あの後ろ姿はもしかしてあかりか? なにか荷物持ってるけれど……」


あかり「…………………」


京子「お買い物の帰りなのかなぁ? よし、ちなつちゃんのことを手伝ってあげよう!」

結衣「あれ、京子?」

京子「うひゃあ!?」

結衣「なんだよいきなり……てかお前は今日もバカみたいに元気だな……」

京子「いやぁ、そんなに褒めるなってば☆」

結衣「褒めてない。それよりこんなところでどうしたんだよ?」

京子「え、えっと…………」

京子(なんでここにいるかの記憶がないことは言わない方がいい。頭おかしい奴に認定されそうだし。ここは適当にお茶を濁しちゃえ)

京子「ちょ、ちょっと散歩してたんだ! 結衣の方はどうしたの?」

結衣「私は電池を買いに行くところだよ。ゲーム機の電池が切れちゃってさ」

京子「それならこの京子ちゃんも付き合うよ! ちょうど暇だったんだ!」

結衣「まぁ別にいいけど」

京子「おっし! それじゃあレッツゴー」

そして歩き出そうと道を振り返った瞬間だった

京子「うわっ!? とっととと!!」バタン

結衣「なにやってんだよお前は」

京子「おっとと。ちょっと足が縺れちゃって…………」

結衣「ったくしょうがない奴だよお前は…………」

京子「えっへへへ」

そう言って恥ずかしがりながら立ち上がろうとした時だった




ププー!!



京子「え?」

結衣「京子危ない!!」






















ガシャン

おわり


無限ループな感じでいい意味で不気味

前作がギャグだったからその反動でホラー書きたくなったらこうなった
この後京子がどんな行動をとるかは、スレタイ参照

あかり「赤ちゃんが産まれるんだぁ」
あかり「赤ちゃんが産まれるんだぁ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1452808052/)

ちなみに前作
オールギャグなのでこちらもよろしく

>>21

>京子「お買い物の帰りなのかなぁ? よし、ちなつちゃんのことを手伝ってあげよう!」



京子「買い物の帰りなのかな? よし、あかりのことを手伝ってあげよう!」

黒魔術の突然の登場に困惑した

結衣「京子、どうしたんだうずくまって……お腹でも痛いのか?」

京子「私は何回死ぬんだ……次は、いつ、どこから『襲って』くるんだ…… 私は、私は……」


京子「私のそばに近づくなあぁーーーーーーーー!!」

第5部 完

>>23
スレタイに続くオチか

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