【モバマスSS】 藤原肇「心に描く一枚の絵」 (17)

秋なので成宮由愛ちゃん、藤原肇ちゃん、古澤頼子ちゃん、吉岡沙紀ちゃんのSSを書きました

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少し肌寒くなってきた11月。

私服でおしゃれをすることに慣れていない私にとって、季節の変わり目というのは、ハードルが高い。

いっそもう少し寒ければ冬っぽい服もできるのに

そして、上野駅の構造もなかなかにハードルが高かった。

公園口集合ということだったけれど、その出口にどういったらいいのかわからず、右に左に歩きまわってしまった。

寒さを警戒した服装で歩き回ると、どうしても暑くなってしまう。ハンカチで額の汗をぬぐう。秋という季節は難しい。

周りを見回してみたけれど、まだ誰も来ていないみたい。

予定より少し遅くなってしまったけど、約束の時間の10分前。

そろそろみんなも来るかな?




「肇さん……?」

「頼子さん。いらしてたんですね」

声の方を振り向くと、今日の約束相手の一人、古澤頼子さんがいた。

いつも通りの落ち着いた服装に、きれいな赤い縁のメガネ、カチューシャ

「どうしました……? 何か、変ですか」

「あ、いえ。素敵なファッションだなって」

「そんなことないです……ありがとうございます。肇さんも素敵な服装です」

私たちは二人で目を見合わせて、うふふ、と笑う。もちろん、照れ隠し

「肇~ 頼子ちゃん」

素敵なお兄さん風の人が、左手を高く上げながら声を出す。

右手は小柄な女の子とつないでいる。

「沙紀さん、由愛ちゃん」

私も確信を持って手を挙げて応じる

「あの、肇さん。まずいのでは……?」

隣に立つ、頼子さんが私にそっと耳打ちをする。

どういうことだろう、と周りを見渡してハッとした。

周囲が私たちに気づいたのか、ざわつき始めている。

「こういうとき、どうしたらいいんでしょうか」

上げていた手を、ゆっくりおろしながら私は頼子さんに尋ねた。

「慌てて動くと、むしろ確信されてしまいます。ここは……」

頼子さんは何かを決心したような顔をして、大きく深呼吸した。

「あ! あんなところに高垣楓が!」

え、高垣楓? マジかよ、どこどこ、と周囲がさっきよりさらにざわつき始める

「さて……急いで動きましょう、肇さん」

「え? あ、はい!」

言うが早いか、頼子さんは私の手をつかんで走り出した。





「いやぁ、突然走り出したんでびっくりしたっすよ」

くすぐったそうな笑顔で沙紀さんが言った。ほかの3人は息を切らしているのに、沙紀さんだけは涼しい顔だ。

「あの場所にあのままいたらばれてしまいそうだったので……」

「それにしたって、あの逃げた方は……ぷふっ」

頼子さんの言葉に、もう耐えられないとばかりに沙紀さんが吹き出した。

つられて、クスクスと由愛ちゃんも笑い始める。そして、私も。

「あの……それは……だって、一度やってみたかったんですもの。あの逃げ方」

耳まで顔を赤くしながら頼子さんは言った。

「怪盗ぽくて良かったっすよ、さすがって感じっす!」

最初はうーん、という表情をしていた頼子さんだったけど、とうとう耐えられなくなって笑顔をこぼした。



「さっそく一つ、みんなでの思い出ができましたね」

みんなでひとしきり笑ったあと、由愛ちゃんが言った。

「そっすね! それも、飛び切り面白いの」

「不本意……ですが、良かったです」

「さて、じゃあ行きますか、美術館!」

あはは、とさわやかに笑って沙紀さんが歩き出す。颯爽と歩く沙紀さんはかっこいいし、素敵だ。

デートってこんな感じなのかな、なんて勝手に想像して、顔が赤くなる。

みんなで思い出を作りに行きましょうか、そう言い出したのも沙紀さんだった。

それは3日前のことだった。











ヴーン、と鞄の中で携帯が揺れた。

歩みを止めて鞄から携帯を取り出そうとするも、バイブレーションは携帯に触れる前に止まってしまった。

電話かな、と思いながらロックを解除すると、電話ではなくメールが届いたことがわかった。

『業務連絡

 新しい仕事が決まったので、打ち合わせをしたい。

 レッスン終了後、32Fの小会議室Cに来れますか』

メッセージアプリでも、Eメールでもなく、電話番号だけで送れるショートメール

『承知しました。楽しみにしています』

私もショートメールで返す。

この手段で連絡を取るのはPさんだけで、通知のマークがショートメールというだけで、私はちょっとうれしくなってしまう。

携帯を鞄に戻して、私はまた歩き始める。どんな仕事だろう。さっきより少し速足で私は事務所に向かった。



ビジュアルレッスンを終え、ジャージから私服に着替える。

今日は表情が明るくて良いね、とトレーナーさんに褒められた。

ヴィジュアルレッスンは、どうしても表情が硬くなってしまいがちで、私にとって苦手なレッスンだ。

所作は美しいんだけど、と褒められることはあっても、表情で褒められることは滅多にない。

新しい仕事が入ったんです、と私が答えると、仕事に前向きに向き合う姿勢が良いね、とさらに褒めてもらえた。

もっと仕事が入るように、プロデューサーに言っておかないとな、といたずらっ子みたいな表情で冗談を言いながら。

油断をするとスキップをしてしまいそうになりながら、私は更衣室を後にした。




「あ、肇も呼ばれたんすね」

こんちはっす、と先客はきりりとほほ笑みながら言った。

「ということは、沙紀さんも?」

「そうっす。新しい仕事ってPさんから連絡があって」

どんな仕事っすかね~ わくわくするっすね~ とニコニコとする沙紀さんはカッコいいとかわいいの間に立っている。

ファッションもボーイッシュなんだけれど、ボーイじゃない。なんて言ったらいいんだろう。

ファッションはまだまだ勉強中だ。とにかく、ショートカットで活発そうなイメージのある沙紀さんに似合った服装をしている。

「難しい顔をして、どうしたんすか? あ、あー……ひょっとして、Pさんと二人きりを期待してた、とか?」

ニヤッといたずらっ子みたいな顔をして沙紀さんは言った。

そのことを考えてたわけじゃないけど、言われてみたらそんな節もあって、図星じゃないのに図星みたいな感じになってしまって、顔があつくなる。

「もう……違います。そういうことを言ういたずらっ子に似合うファッションを、なんて言ったらいいのか考えてたんです」

もう一度にやりと笑い、沙紀さんは口を開いた。

「これはっすね」

コンコン、とドアを叩く音がして、沙紀さんがはーい、と応える。

この話はまた後で、と言って沙紀さんが立ち上がる。座って人を出迎えない、そんな沙紀さんなりのルールなんだろう。

私もそれに従って立ち上がった。

「ごめん、待たせたな」

そう言ってPさんは部屋の中に入ってくる。そして、手で座って、と促す。

Pさんの後ろからあと二人、頼子さんと由愛ちゃんが入ってきた。

「お隣の県立美術館の修繕工事がもうじき終わるんだ。

 美術館再開を知らせるポスターに、頼子と由愛が抜擢されてな。今日はその撮影が長引いたんだ」

Pさんの説明に、二人がぺこり、とお辞儀をする。二人とも品があるなあ……

「さて、これで全員集合だな。仕事の説明を始めようか」




Pさんから与えられた新しい仕事、それはトークバトルショーだった。

美城プロダクションのアイドルがトークバトルチアーとして舌戦を盛り上げる人気番組、トークバトルショー

「今回のテーマは、芸術の秋。美術関係から、食べ物の美やら、あ、あとスポーツの美学やら。まあいろいろ、2時間の中で」

うへー、と沙紀さんが声を上げる。

「なんかもう、なんでもありな芸術っすね」

「そう。何でもありがこの番組のウリの1つ。沙紀は一回経験あるからわかるだろ?」

確かにそうっすね、と沙紀さんは相槌を打つ。あの時もいろいろあったなぁ、と困ったような、くすぐったそうな笑みを浮かべる。

「テーマが芸術だし、こちらも芸術系に強いメンバーを人選したわけだ。あ、頼子」

「なんでしょう?」

「当日はメガネ着用な。メガネの種類、心配だったら春菜に相談するけど」

うーん、と小声でうなって頼子さんは目を閉じる。

「……アイドルとして着用するメガネはありませんし、お願いしてもいいでしょうか」

わかった、と頼子さんの言葉にPさんはうなずく。

「あ、あの」

「大丈夫。あんまりアツくなり過ぎないようにくぎを刺しておくから」

Pさんの言葉に頼子さんはホッと息をつく。少し悩んだ理由はやっぱりそこにあったみたいだ。

「何か質問はあるか? 再来週の収録までに、この後も何回か打ち合わせは持つけど」

「まだ打ち合わせあるなら大丈夫っす。メンバーわかればそれでOKっすね」

私たち一人ひとりに目配せをしながら沙紀さんは言った。

気づいたらもうリードしてくれている。

「経験者がいると助かるよ。じゃあ残りはみんなでどうぞ。この部屋は20時まで取ってあるから」

了解っす、と沙紀さんは答えるが早いか、Pさんは立ち上がって部屋を後にした。

プロデューサーって忙しいんだなあ、なんて私はその後ろ姿をのんきに見送った。




Pさんがいなくなったあと、沙紀さんは私たち一人ひとりを改めて見渡して、にこっと笑った。

「最高のメンバーっすね! 今から仕事が楽しみっす」

沙紀さんは何を言うんだろう、そう思ってたのは私だけではなかったみたいで、みんなからホッとした雰囲気が伝わってくる。

沙紀さんはこのメンバーの中で唯一のトークバトルショー出演経験者だ。その沙紀さんが何を言うのか、私たちにとって重要だ。

「でも、まだ足りないっす」

ホッとした空気がまたピリッとする。

ポン、と由愛ちゃんの頭に沙紀さんが優しく手を置き、そして優しく撫でる。

手を置かれた瞬間、びくりとした由愛ちゃんだったけど、一瞬でとろんとした表情になる。

「そう硬くならずにリラックス、リラックス」

はぁい、ととろんとした返事を由愛ちゃんがする。雰囲気も、とろんとする。

とろんとする私に対し、冷静な私が、年少者の由愛ちゃんからまず緊張をほぐす辺り、さすが沙紀さんだなと分析する。

冷静な私は、冷静に分析して改めて良さを感じ、とろんとする。

「トークバトルショーってチームワークが大事なんすよ」

「それは……なぜ、ですか」

頼子さんの問いに、ナイス質問っすと沙紀さんが答える。

「みんなが一緒になって盛り上げるのって、人数がいればそこそこ簡単にできちゃうもんっす。

 でも、バラバラになって各チームを盛り上げて、番組そのものを盛り上げるとなると、難しいっす」

なるほど、と頼子さん。

「盛り上げ方も人それぞれですし、どこかのチームが目立ちすぎたり、目立たなすぎたりしてもダメですよね……」

じっと聞いていた由愛ちゃんが口を開く。

その通りっす、と沙紀さんが由愛ちゃんの頭を撫でると、由愛ちゃんは顔を真っ赤にした。かわいい。

「お互いがお互いの個性を知って、相手を尊重しながら動く必要があるっす。それも、ライバルチームという立場で」

少し想像してみる。

ライバルチームで戦うみんなと、連携を取りながら応援する。敵同士だから、離れ離れで……

「それはすごく難しいことですね」

私の正直なコメントに対し、沙紀さんは私の目を見て笑顔を見せる、という回答をくれた。

すごく安心感のある笑顔……

「難しいことを、簡単にする方法が1つ」

私たち全員が真剣なまなざしを沙紀さんに送った。

それを沙紀さんは一人ひとり見渡す。

「仲良くなりましょ。今よりもっと! みんなで思い出を作りにいきましょうか」










東京都立美術館では、モネ展が開かれていた。

陶芸が好きな私は、美術、絵画や彫刻にも興味はあったけれど、そこまで詳しいわけではない。

私の故郷が岡山の中でも田舎だったこともあって、こんな立派な美術館に来たのは生まれて初めてで、今までと異なった意味で都会ってすごい、と思う。

そんな私でもモネは聞いたことがあるし、モネと言ったら睡蓮だろう、というくらいの印象は持っていた。

が、びっくりした。

「頼子さん……睡蓮ってたくさんあるんですね」

私の言葉に、頼子さんはふふ、と優しく微笑んだ。

「私も初めてそれを知ったとき、肇さんと同じような感想を持ちました」

頼子さんは小さな声でも聞こえるように、私に近づき、話始めた。

「モネは連作の名匠なんです」

「連作?」

「はい。1つのテーマに対し、いろいろな条件下で描き続けるんです」

「なるほど……だからこんなにたくさんあるんですね。それぞれに味わいがあって、とてもステキです」

私の言葉に、頼子さんはゆっくりとうなずいて、言った。

「私たちアイドルも、そういうものなのかもしれませんね。私と言う題材に、いろいろな仕事、衣装、表現」

一呼吸おいて、頼子さんは私に向き合った。

「1つひとつが大切な作品で、私にとってかけがえのないものです。それがファンの皆さんにとってもそうであってほしいですね」

私自身、自分を1つの作品、器と見立てることがある。備前の焼き物は使えば使うほど、味わいが出てくる。

だから、1つの連続性だったけれど、こんな風に連なっていくのもまた1つの形なのかもしれない。

「次の仕事、トークバトルショーも良い作品にしたい、そう思います」

頼子さんの言葉に、私は強くうなずいた。




「モネっていろいろな作品があるんすね~」

美術館を出て、沙紀さんが言った。目は子犬みたいにきらきらしている。

沙紀さんは、私が頼子さんに案内してもらったように、由愛ちゃんに案内されながら作品を見ていた。

私と頼子さんが1つひとつの作品をじっくり見るスタイルだったのに対し、

沙紀さんは自分が見たい作品を見つけてはじっくりと足を止めて、逆にあんまりピンと来ない作品はスッと見て終わり、という見方をしていた。

それが面白かったのか、由愛ちゃんはそれについて回っていた。

その光景はほほえましかったし、外からそれを見ていた私と頼子さんにとって、良い思い出になった。

「沙紀さん、日の出、をずっと見てましたよね」

由愛ちゃんの言葉に、沙紀さんはうん、とうなずいた。

「柔らかくって優しい感じがして良かったんすよね。海辺の作品とか、みんな好みっす」

思い出すように上を向きながら沙紀さんは言った。私の横で、日の出、と頼子さんが小さく反芻する。

「日の出、という作品はモネの印象派としての出発地点と言える作品です」

へええ、ともっと詳しく知りたい、と促すように沙紀さんが相槌を打つ。

「その作品を出した当初、こんなものは絵じゃない、印象だ、とモネは強い批判を受けたそうです。

 でも、その批判のために使った印象、という言葉が世間に広がり、モネは仲間を得たそうです」

「それ、すっごい面白い話っすね」

「良いものは認めてくれる人が必ずいる、きっとそういうことなんだと思います」

頼子さんの言葉に、うんうんと沙紀さんはうなずき、言った

「アタシたちももっともっと良いものになれるように頑張らなきゃっすね!」






その後、私たちは上野動物園に移動して、動物たちを眺めた。

一向に動こうとしないパンダに、みんなで動けーと念を送ってみたり、

飼育員の人がエサをもって現れたら、念では全く動かなかったパンダがあっさり動いてがっかりしてみたり。

私たちは時間をかけて、ぐるーっと一周動物園を回った。

そして、休憩場にやってきて、腰を下ろした。目の前には猿山があって、サルたちが各々気ままに過ごしている。

「お待たせっす」

ちょっと待ってて、と言って頼子さんをつれてどこかに言った沙紀さんが手に温かい飲み物を持って戻ってきた。

「年長の二人からってことで」

沙紀さんが言うと、頼子さんが照れたようにほほ笑んだ。

「ありがとうございます」

私と由愛ちゃんはそれを受け取りながらお礼を言った。ホットココアだ。

自分の作った器に入れて飲むココアは特別な味がするけれど、友達と一緒に寒い外で飲む温かい缶のココアも特別な味がする。

これもまた大切な思い出だ。

「スケッチ、始めたんすね」

由愛ちゃんが広げたスケッチブックを見て、沙紀さんが言った。

「はい、しばらくここでゆっくり、ということでしたので」

「いいっすね、じゃあ由愛ちゃんのスケッチの出来上がりを楽しみに、少しのんびりしましょうか」






「絵って、おもしろいですよね」

スケッチを描きながら、由愛ちゃんが言った。

「それは、どういう意味で?」

私の問いかけに、由愛ちゃんははい、と相槌を売って、続けた。

「写真ってピントが合う、合わないって言うのがあって、どこかだけがはっきりしていて、どこかがぼやけたりして」

由愛ちゃんの言葉を、私たちはうんうん、とうなずきながら聞く。

「でも、絵は見たものすべてにピントを合わせることができますよね。そして、その逆も」

確かにそうかもしれない。すべてを詳細に描けば、すべてにピントが合う、というかすべてを主役にできるかもしれない。

逆に、主役にしたいものだけをより目立つように描いて、他を目立たせないように描くこともできる。

「そういう意味で、絵ってその人の心を表現することができるんだろうな、って思ったんです。

 印象派って呼ばれるモネさんの作品は、まさに心を描いたんだろうなって、おもしろいなって」

頼子さんも、沙紀さんも、感心したように目をぱっちりと開いてなるほど、とうなずいた。きっと、私も同じ表情をしていると思う。

「ファンの皆さんの心に、素敵な絵を描いてもらえるように、今度のイベント頑張らないとですね」

にこにこほほ笑みながら由愛ちゃんが言う。うん、と私たちがうなずくと、由愛ちゃんは沙紀さんが前にしたように、一人ひとりを見渡した。

そして、スケッチブックを私たちに見えるようにひっくり返す。

「これ……ひょっとして」

「アタシたちっすか?」

にっこりほほ笑んで、由愛ちゃんははい、と答えた。

「今日の印象を、絵にしてみました」

私たちの特徴を、特徴だけとらえたような柔らかい絵に、笑顔があふれている。なんて表現したらいいんだろう、心があたたかくなる。

「猿山の前だったんで、サルをスケッチしてるもんだと思ったっすよ。これは一本取られたっすね」

「すごく……すごく素敵な絵です」

沙紀さんと頼子さんの言葉に、えへへ、とほっぺを少し赤くしながら由愛ちゃんは笑う。

「心があたたかくなりました。由愛ちゃん、ありがとう」

私の言葉にゆっくりと2回、由愛ちゃんは首を振った。

「お礼を言いたいのは私の方です。ちょっと、お仕事不安だったんです。でも、今は大丈夫だって思えます。

 皆さんのおかげです。今日はどうもありがとうございます」

ぺこり、と上品にお辞儀をして、上げた顔には、由愛ちゃんの描いた絵に負けない満点の笑顔があった。










前略

テレビで活躍する姿を見ました。 

器がまた一段と磨かれたようで何よりです。

時節柄、風邪などひかぬよう気をつけるように。

                    草々
 
                    祖父

藤原肇様                  



終わり

"""""良さ"""""

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