【艦これ】地獄艦娘(あきつ丸ver.) (44)
熟練重巡「よし2巡目、航空戦力で一気に叩いて!」
熟練空母「了解!」
吹雪「ざ、残存艦艇は回避運動!……だめ、間に合わない!」
ドドォーン!
審判『勝負あり!鬼元帥艦隊のS勝利です』
鬼元帥「ふん、他愛もない」
丙提督「くっ…!」
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吹雪「すみません司令官……負けちゃいました」
丙提督「いや、よく頑張ってくれた」
鬼元帥「頑張ってくれた、か。馬鹿にされたものだな」
丙提督「げ、元帥閣下…」
鬼元帥「少し話がしたい。時間いいかね?」
丙提督「はい、大丈夫です」
吹雪「司令官…」
丙提督「大丈夫だ。先に戻って補給を済ませておきなさい」
吹雪「…わかりました」
司令官にはああ言ったけど、やっぱり心配です。
私はこっそりと、応接室の前で聞き耳を立ててみました。
案の定、聞こえてきたのは司令官に対する、情け容赦ない罵詈雑言の数々でした。
―勝て、とは言わないが、夜戦に持ち込むことすらできないとは
―君のところの艦隊は無駄飯食らいの集まりかね?
―そもそも私の艦隊を相手に駆逐艦を旗艦にして挑むなど、思い上がりもはなはだしい
―そんなに嫁艦候補を大事にしたいなら、二人揃って除隊するといい
―なに、君より優秀な人材など、ごまんと…
…これ以上はとても聞いていられませんでした。
吹雪「ひっく……司令官ごめんなさい……ぐすっ」
睦月「ふ、吹雪ちゃん、泣きながらご飯食べるのちょっと怖いよ?」
吹雪「私、もっともっと強くなりますから……えぐっ」
睦月「吹雪ちゃん鼻!鼻拭いて!カレーに入っちゃうよ!」
立目蓮「あの娘が今回の依頼人っぽい?」
かも女「そうかも」
瑞雲道「うーむ、これはあまり気が進まんな」
立目蓮「うん……何事にも前向きで健気で一生懸命だよね」
かも女「とても依頼するタイプに見えないかも」
瑞雲道「まあ、お嬢の考えはわからんが、いつも通り仕事にかかるか」
立目蓮「要はあの娘が演習で元帥さんに勝てば、お仕置きもしなくていいっぽい?」
かも女「じゃあ瑞雲道が艦隊に入ってサポートすれば、無事解決かも!」
瑞雲道「…待て待て、ワシにそんな力はないぞ」
立目蓮「またまた謙遜しちゃって~」
かも女「航空戦艦で力不足って言うなら、あたしの存在なんてゴミかもー!」
瑞雲道「おぬしら、勘違いしてるようだが……ワシはただの瑞雲じゃぞ?」
立目蓮「ぽい!?」
かも女「かも!?」
瑞雲道「長年、使い続けた道具には魂が宿って付喪神となることがある。それがワシじゃ」
立目蓮「じゃ、じゃあ瑞雲道の外見がおっきい妖精さんなのは…」
かも女「某航空戦艦が瑞雲に恋い焦がれるあまり、せめてパイロットと同じ姿になろうとしたんじゃないの!?」
瑞雲道「バカ者。お嬢を乗せる時以外は、人の形でないと何かと不便じゃろうが」
かも女「い、今明らかになった衝撃の事実…!」
立目蓮「ぽいー…」
閻魔まる「……」
瑞雲道「ぬお!お嬢、いつの間に!?」
かも女「お、お嬢?これは決してサボってたわけじゃ…」
閻魔まる「立目蓮…」
立目蓮「ぽい!あの駆逐艦の娘に近づいて、情報集めてきまーす」
閻魔まる「かも女…」
かも女「あ、あたしは元帥さんとこかも!ほら、大艇ちゃんが活躍できるでしょ?」
閻魔まる「……」
瑞雲道「二人ともふざけてはいても、お嬢のために何をすべきかはわかっておるようですな」
閻魔まる「……」
瑞雲道「お嬢、もしかして配置先が違ってたとか?」
閻魔まる「…で、あります」
―丙提督鎮守府―
立目蓮「さあ、早速潜入捜査開始よ!と言いたいとこだけど」
第一艦隊
吹雪、赤城、加賀、長門、金剛、鳥海
立目蓮「これじゃあたしの入る余地ないっぽい…」
―鬼元帥鎮守府近海―
かも女「さあ、二式大艇ちゃん出撃だよ!情報集めは戦略の基本かも!」
ブォォォン…
秘書艦「閣下、所属不明の機体が1機、当鎮守府に向けて侵攻中です」
鬼元帥「鎮守府砲台による威嚇射撃、無視するなら当てても構わん。その間に基地航空隊の発進を急がせろ」
秘書艦「はっ!」
鬼元帥「同時に近海出撃中の第二艦隊に打電。索敵網を広げて不明機の出撃元を探るように」
秘書艦「了解しました」
ドン!ドンドンドン!
かも女「た、大艇ちゃぁぁぁん!!!」
軽巡『こちら第二艦隊旗艦。不明機を飛ばしたと思われる艦を発見、拿捕します』
かも女「うぅ、こんなに傷だらけになっちゃって……ごめんね大艇ちゃん」
駆逐艦「そこの艦に告ぐ。貴艦に武装解除を命じます」
かも女「かも!?」
駆逐艦「解除の後、貴艦の船名、所属を答えなさい」
かも女「あ、あたしは敵じゃなく、新規配属艦かも!」
軽巡『…ええ、はい。配属先どころか自分の事もわからない様子。密偵の可能性もありますが、撃沈しますか?』
かも女「わーわーわー!本日付で鬼元帥鎮守府に配属された秋津洲ですぅぅ!」
駆逐艦「船名と所属をデータ照合……水上機母艦秋津洲と確認、鎮守府へ連行します」
かも女「あたしはともかく、大艇ちゃんにはひどいことしないでほしいかも…」
<演習一戦目>
二軍戦艦「敵艦隊旗艦に向けて、主砲一斉射!」
吹雪「きゃあああ!!!」
審判『鬼元帥艦隊のS勝利です』
<二戦目>
二軍雷巡「開幕雷撃!」
吹雪「ちょ、直撃!?」
審判『以下同文』
鬼元帥「君も成長せん男だな」
丙提督「申し訳ありません…」
吹雪「まだまだ……もっと頑張らなきゃ。走り込み……行ってくるね」
睦月「ふ、吹雪ちゃんスカート!スカートはき忘れてるよ!」
長門「提督、最近の吹雪のことですが、少し無理をさせ過ぎではありませんか?」
丙提督「ああ、わかってはいるのだが」
長門「何をそんなに焦っておられるのですか?」
丙提督「……」
長門「立ち入ったことをお聞きしてすみません。ですが吹雪を旗艦から外し、休養を取らせるよう進言します」
丙提督「私の期待は、そんなにも吹雪を追い詰めていたか…?」
長門「……」
丙提督「…わかった。旗艦は誰か別の駆逐艦を見繕っておいてくれ」
長門「了解しました」
立目蓮「えっ、あたしが艦隊旗艦!?」
長門「うむ、そうだ」
吹雪「そんな……じゃあ私は?」
長門「吹雪、お前には三日間の休養を命じる」
吹雪「わ、私は司令官のためにもっと強くならなきゃいけないんです!休んでるヒマなんて…」
長門「これは命令だ。海に出ることも、鍛錬室の使用も禁止する」
吹雪「……」ギリッ
長門「お前の努力は誰もが認めている。だが、今のお前は危なっかしすぎるんだ」
吹雪「わかり……ました。駆逐艦吹雪、休養に入ります」
立目蓮(どうしよう……これじゃ全然近づけないっぽい)
<演習>
立目蓮「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」
二軍空母「あ、当たらない!?」
立目蓮「みんなは最大射程からの全力射撃、命中率より足止め優先して欲しいっぽい!」
長門「任せておけ。主砲斉射!」
二軍戦艦「くっ、水柱で視界が……魚雷!?」
審判『丙提督艦隊のA勝利です』
鬼元帥「ふむ、あのような艦を隠し持っていたとは…」
丙提督「お、恐れ入ります」
鬼元帥「次回からは元通り、主力艦隊を連れて来よう。楽しみにしていてくれ」
丙提督「……」
丙提督(ウチの夕立ってあんなに強かったか!?一艦だけまるで別次元の戦いじゃないか!)
鬼元帥「君、少しいいかね?」
立目蓮「ぽい?」
鬼元帥「うーむ、改止まりで練度もそんなに高くはない、装備も普通。なのにケッコン艦に匹敵する強さ…」
立目蓮(ひ、久しぶりの戦いに浮かれて、やり過ぎたっぽい?正体はバレてないと思うけど)
鬼元帥「その目……君は何者かね?」
立目蓮「ゆ、夕立、なんかお腹空いたっぽーい!ごっはん~ごっはん~」
鬼元帥「……」
立目蓮(もー、なんなのあの人!?めちゃくちゃヤバいっぽい!)
睦月「吹雪ちゃん、元気出して?」
吹雪「私じゃ……何度やっても勝てなかったのに」
睦月「長門さんも言ってたじゃない。吹雪ちゃんあれこれ背負いすぎて、本当の力が発揮できてないだけだよ」
吹雪「元帥さん、私だけが嫌いなのかな?私にはあんな風に、声かけてくれることすら無かった…」
立目蓮(こっちもデンジャラス!あたしのせいで依頼とかになったら、お嬢に怒られる…!)
睦月「吹雪ちゃんは……元帥さんのことをどう思う?」
吹雪「……」
睦月「あのね吹雪ちゃん。睦月、遠征先で会った人に地獄通信っていうのを教えてもらったことがあるの」
吹雪「地獄……通信?」
立目蓮(あばばばばばばばば)
一方、鬼元帥鎮守府では
かも女「とほほ……謹慎が終わったかと思ったら、資料室勤務だなんて」
かも女「いくら今、新規艦を育ててる暇が無いからってこの扱いはあんまりかも」
かも女「でも、あたしはメゲないかも!元帥さんの過去の戦績から大艇ちゃんの上手な運用法を学んで…」
かも女「鎮守府ナンバーワンの頼れる艦娘になって、汚名を返上するかも!」
…完全に目的を忘れているかも女の姿があった。
かも女「さて、元帥さんの資料によると、ふむふむ……えっ!?」
かも女「こ、これすごい情報入手しちゃったかも。お嬢に伝えないと!」
まるの家
かも女「…というわけで、元帥さんは過去にケッコン間近の駆逐艦を沈めちゃったかも」
閻魔まる「……」
立目蓮「水雷戦隊で手柄を立て続け、初めて連合艦隊を使った大規模作戦に参加。そこでの大敗…」
かも女「損害を受けた艦を再編しての撤退中に、待ち伏せされたって」
立目蓮「じゃあ丙提督さんに厳しいのは、過ちを繰り返さないようにして欲しいから?」
かも女「どう?お嬢。ちょっとした失敗もあったけど、あたしはちゃんと仕事できたかも!」
閻魔まる「…でありますか」
立目蓮「でもあの娘はそれ知らないっぽい。このままだと元帥さんが…」
かも女「依頼の対象になるかも!?お嬢、早く教えてあげないと!」
閻魔まる「…それはできない相談であります」
かも女「ど、どうして!?」
立目蓮「追い詰められた今の状況じゃ、契約しちゃうっぽい!」
閻魔まる「決めるのはあくまで本人次第。自分たちが介入し、助言することは重大な規定違反なのであります」
立目蓮「そんな…」
かも女「もし違反したら、どうなるの?」
閻魔まる「…聞きたい、でありますか?」
かも女「遠慮しておくかも」
立目蓮「そ、そういえば瑞雲道は?」
かも女「えっと、あたしの方では見てないかも」
閻魔まる「…瑞雲道は任務中であります。話も聞かずに飛び出した貴官たちとは違って」
立目蓮「」
かも女「」
閻魔まる「…ニイサンゴ―マル。準備万端であります。二人とも出撃するであります」
立目蓮「えっ!?それじゃやっぱりあの娘…」
かも女「依頼、しちゃったかも!?」
閻魔まる「……」
午前〇〇〇〇
閻魔まる「…定刻通り、到着したであります」
吹雪「だ、誰!?それに夕立ちゃん?」
立目蓮「ごめんね、あたしは夕立じゃないっぽいー」
かも女「あたしはかも女!よろしく、って言うのは変かも?」
閻魔まる「自分は閻魔まる。地獄艦娘であります」
吹雪「睦月ちゃんが言ったこと……本当だったんだ」
閻魔まる「…立目蓮」
立目蓮「ぽい、お嬢」
吹雪「夕立ちゃんが……ぬいぐるみに!?」
閻魔まる「受け取るであります」
吹雪「は、はい…」
閻魔まる「貴殿が本当に怨みを晴らしたいと思うなら、そのぬいぐるみのマフラーを解くと良いであります」
吹雪「……」
閻魔まる「マフラーを解けば、正式に自分と契約したことになり、怨んだ相手は速やかに地獄へ流されるであります」
吹雪「地獄って……どんなところなんですか?」
閻魔まる「……」
地獄艦娘の力によって刹那の間、地獄の責め苦を経験する吹雪。
吹雪「う……ぁっ……」
そのあまりの恐怖と絶望に身体を震わせ、言葉を失うのだった。
閻魔まる「自分と契約すれば、貴殿にも代償を支払ってもらうであります」
吹雪「だ、代償って私、あんまりお金持ってないんです」
かも女「そうじゃなくて、あなたの魂は深海に捕らわれて、地獄に落ちるかも……じゃなくて落ちるの!」
閻魔まる「轟沈した後の話ではありますが」
吹雪「い、嫌……どうして私が…!?」
閻魔まる「人を呪わば穴二つ、であります。あとは、貴殿が決めることであります」
チリーン…
吹雪「契約すれば、私も地獄に…」
立目蓮(こんな形になってしまってごめんなさい。ホントはちゃんと謝りたかったけど…)
<演習>
吹雪「今日こそは…!」
長門「吹雪、前に出過ぎだ!これでは主砲が撃てん!」
熟練駆逐艦「空母は後でいい。戦艦、重巡が動けないうちに各個撃破して夜戦に持ち込め」
審判『夜戦終了。鬼元帥艦隊のS勝利です』
鬼元帥「前回活躍した艦はどうしたのだ?」
丙提督「…疲労の蓄積により、休養中です」
鬼元帥「そうか。駆逐艦にこだわるのは構わんが、君は基本的なことを忘れているようだな」
丙提督「基本、ですか?」
鬼元帥「練度だけが全てではないと、いつ気付くのかね」
丙提督「自分は、元帥閣下が間違っていなかったと証明したいがために…!」
鬼元帥「…それは君のやるべきことではない。失礼するよ」
丙提督「……」
吹雪「あのっ元帥閣下、お話があります!」
鬼元帥「…ふむ、いいだろう。私も少し君と話してみたいと思ったところだ」
吹雪「ありがとうございます。えっと…」
鬼元帥「……」
吹雪(ひ、怯んじゃダメ!私は……いつでもこの人を地獄に流せるんだから!)
鬼元帥「今日は互いに駆逐艦を旗艦にしての演習。君の敗因は何だと思うね?」
吹雪「経験の差、だと思います」
鬼元帥「うむ。それは普通に正しく、ある意味間違っているな」
吹雪「ど、どういうことでしょうか…」
鬼元帥「経験の差イコール練度の差、ではないということだ」
吹雪「……」
鬼元帥「君は、自分が最も効果的に戦えるよう動いている。だが、僚艦たちはどうだね?」
吹雪「わ、私がまだまだ弱くて上手く戦えないから……みんなの迷惑になってて」
鬼元帥「練度ではない。戦艦、空母の特性を活かしきれていない、艦隊運用の経験不足だ」
吹雪「運用…?」
鬼元帥「旗艦とは自ら率先して戦うのではなく、艦隊の実力を最大限に発揮させることがなにより重要なのだ」
吹雪「でも、司令官は私に期待してるって…」
鬼元帥「高レベル艦を旗艦にしたからといって、戦いに勝てるものではない。彼にもそれに気付いて欲しかったのだが」
吹雪「……」
鬼元帥「今のままでは、いつか取り返しのつかないことになる。かつて私がそうであったようにな」
吹雪「どうしてそれを、司令官に伝えないんですか?」
鬼元帥「一人の指揮官として鎮守府を任されている以上、自分で考え、行動しなければならない。教えを乞えるのは士官学校までだ」
吹雪「じゃ、じゃあ、私には何故…?」
鬼元帥「…君の表情に、なにやら悪い意味での覚悟を感じたのでな。手遅れになるよりはいい」
吹雪「!!!」
吹雪(全部、見抜かれてるみたい……勝てないわけだ。拗ねていじけてこの人を怨んでた私なんかじゃ)
吹雪「ぐすっ……ごめんなさい元帥閣下。私は危うく、あなたを地獄へ流してしまうところでした」
鬼元帥「今まで大勢の艦娘を沈めてしまった私だ。天国に逝けるとは端から思っておらんよ」
吹雪「そういう意味じゃなくて…」
閻魔まる「……」
吹雪「じ、地獄艦娘さん!?いつからそこに?」
吹雪「すみません。このぬいぐるみお返しします。私には必要のないものでした」
閻魔まる「…そうでありますか」
鬼元帥「誰だね君は?」
閻魔まる「…自分は閻魔まる。貴殿を地獄へと誘う者であります」
鬼元帥「何…?」
吹雪「ちょ、ちょっと待ってください!私はもう、怨まないって…!」
閻魔まる「……」
鬼元帥「ぬお!?」
吹雪「元帥閣下!」
驚く声に振り返る吹雪。鬼元帥の足元からは無数の腕が伸びており、まさに今、地獄へ引きずり込もうとしているところだった。
吹雪「やめてください!契約していないのにどうして!?」
閻魔まる「…ここは既に地獄への入り口。近づけば貴殿も巻き込まれるであります」
吹雪「ひっ…!」
鬼元帥「彼女の言う通りだ。離れていなさい!」
吹雪「で、でも…!」
鬼元帥「彼をよろしく頼む。私と同じ道は歩ませないでやってくれ…」
吹雪「元帥閣下ぁぁーーっ!」
吹雪一人だけ取り残された部屋。そこはまるで、何事も無かったかのように静寂に包まれていた。
吹雪「どうして……こんなことに……」
鬼元帥の行きついた先―
そこは荒れ果てた荒野にも、光の届かない海の底のようにも見えた。
鬼元帥「くっ…足から離れん!」
立目蓮「それ、ひどいことしたらダメっぽい?」
鬼元帥「な、何?君は一体…」
戦艦霊「アツイ……アツイヨ……」
空母霊「ツメタイ……ウミノソコ……」
重巡霊「クルシイ……タスケテ……」
鬼元帥「これは……私が沈めてしまった艦娘たち!?」
瑞雲道「お前さんがもがけばもがくほど、また苦しみを与えることになるな」
立目蓮「…あれ、瑞雲道?」
かも女「いたの?」
瑞雲道「おぬしらの代わりに仕事しておったんじゃ!」
駆逐艦霊「モエテイク……ナニモカモガ……」
鬼元帥「お、お前までもがそんな姿に…!」
立目蓮「覚悟はいーい?元帥さんはこれから、もっとひどい目に合うっぽい」
鬼元帥「…覚悟などとうにできておるが、この娘たちをこのままにはしておけん!」
かも女「な、何を!?」
自分の身体が焼けただれるのにも構わず、艦娘霊たちの腕を取って抱きしめる鬼元帥。
鬼元帥「私が全ての業を受け止めよう。どうか、この娘たちの魂に安らぎを…」
瑞雲道「霊たちが……消えていく!?」
かも女「すごいかも…」
立目蓮「あたしたち、すっごく悪者っぽい?」
鬼元帥「これで……思い残すことは何もない」
瑞雲道「元帥殿に敬意を表し、特別な瑞雲を使ってやろう」
立目蓮「さあ、ステキなパーティしましょ!」
かも女「あたしはえーっと、えーっと……大艇ちゃん行くかもー!」
ドドドドドドドド
鬼元帥「ぬうぅっ!これしき、あの娘たちの苦しみに比べたら!」
立目蓮「…これ、お仕置きにならないっぽい?」
かも女「そうかも」
瑞雲道「お嬢、どうなさいますか?」
閻魔まる「……」
鬼元帥「ふむ。任務遂行に一切の躊躇がない、いい目をしている」
閻魔まる「闇に惑いし哀れな影よ……艦娘を傷つけ貶めて……」
鬼元帥「だが、それ故に哀しい目だな」
閻魔まる「罪に溺れし業の魂……」
鬼元帥「……」
閻魔まる「いっぺん、死んでみる?であります」
鬼元帥「…ッ!」
無数の走馬灯が浮かぶ静かな海面
その中を一隻の大発動艇がゆっくりと進んでいく
鬼元帥は姿勢よく座し、ただ静かに前だけを見つめていた
鬼元帥「愛する我が娘たちよ……死してなお、そばには行けぬ私を許してくれ……」
閻魔まる「…この怨み、地獄へ流すであります」
チリーン…
吹雪「司令官、昇進おめでとうございます」
丙提督「ああ、ありがとう。みんなも今回の作戦ではよく頑張ってくれた」
長門「提督と吹雪が、この長門の力を最大限に発揮させてくれたおかげだな」
吹雪「そんな……私なんてまだまだです」
丙提督「いや、私も吹雪にはずいぶん助けられた。感謝してるよ」
長門「胸を張れ吹雪。お前はこのビッグセブンを自在に使いこなす、素晴らしい駆逐艦だぞ」
吹雪「あ、あははは…」
丙提督「今の私の姿を、元帥閣下にも見てほしかった…」
吹雪(結局、誰が依頼したんだろう?司令官でも無さそうだし)
睦月(良かった……吹雪ちゃん幸せそう)
睦月(このまま最大練度になれば、きっと提督とケッコンカッコカリできるよね)
睦月(ケッコンしても、退役しても、吹雪ちゃんが睦月の大切なお友達なのは変わらない)
睦月(だから、吹雪ちゃんを泣かせる人は絶対に許さないのです!)
睦月(吹雪ちゃん、睦月がずっと守ってあげるからね)
睦月(にゃししし…)
瑞雲道「やれやれ、疲れたわい」
かも女「今回は、瑞雲道がずっと裏で暗躍してたかも?」
瑞雲道「暗躍言うでないわ!誰のせいでこんなに苦労したと思っとる!」
立目蓮「まあまあ、一番頑張ったのはお嬢も認めてるっぽい」
閻魔まる「…瑞雲道、褒賞であります」
瑞雲道「お嬢……よろしいんで?」
かも女「あーっ、間宮券だー!いいないいなー、あたしもアイス食べたいかも!」
立目蓮「間宮券……って、それあたしが演習MVPでもらったやつっぽいーっ!」
瑞雲道「ま、お前さんへの罰ということじゃな」
立目蓮「なんか、ちょっと本格的にヘコむっぽい…」
かも女「ねえねえ、あたしの分はないかも?」
閻魔まる「…貴官にはこちらであります」
かも女「さっすがお嬢!話がわかるかも!」
つ【秋津洲ちゃれんじ×5回】
かも女「…ねえお嬢。これ、間宮券じゃないかも」
閻魔まる「……」
瑞雲道「現実を見るがいいぞ」
立目蓮「お嬢、容赦ないっぽい」
かも女「大艇ちゃんの働きに免じて、待遇改善を要求するかも!」
閻魔まる「却下」
かも女「お嬢の鬼!悪魔!大淀!」
閻魔まる「…プラス3回、であります」
かも女「かも!?」
立目蓮「余計な事言うから…」
瑞雲道「自業自得じゃな」
もし、あなたが単艦放置の秋津洲を見つけたら…
それは懲罰中のかも女かも?
地獄艦娘(あきつ丸ver.)―完―
乙
そういうオチだったとはすばらしかった
轟沈したら必ず地獄行きって事は解体も退役も無いって事なのか
乙乙
睦月がヤンでやがる、はやすぎたんだ…
乙
乙
名前の改変すき
乙です
原作の地獄少女らしい展開だわ
胸糞悪い(褒め言葉)
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