逆転検事のSSです
時系列や細かいこと、矛盾を気にしない人向けです
御剣「信楽さんから誘われたのだ。前の事件で世話になったお礼がしたいとな」
糸鋸「あの人がパーティを開くッスか?」
御剣「いや、前に信楽さんが弁護した依頼人が開くらしい。複数人で来るように言われたから私達を誘ったみたいだな」
糸鋸「ならミクモちゃんも誘わなきゃッスね!」
御剣「すでに誘っている。検事局の前で待ち合わせをした」
糸鋸「じゃあ、今すぐ行くッスよ。いやー、久しぶりにまともな飯にありつけるッス!」
御剣「(前に給料を上げてやったはずなのだが…)」
美雲「あっ、御剣さん!ノコちゃん!お久し振りです!」
御剣「フッ、相変わらずのようだな」
糸鋸「記憶を無くした時はどうなるかと思ったッスけど……。元気そうで良かったッス!」
美雲「ありがとうノコちゃん!そういえば今日のパーティってどんな感じなんですか?」
御剣「どうやら豚料理で有名な料理人が主催しているらしい。名前は…豚足長士(とんそく ながし)だったか」
美雲「えーー!?豚足さんって言ったら、今や日本一とも言われてる料理人兼格闘家の有名人じゃないですか!」
御剣「ム、そうなのか?」
糸鋸「御剣検事はテレビを見ないッスからね。自分でも彼の事は知ってるッス!」
御剣「……刑事。警察局のテレビを見ている暇があったらもっと熱心に働くべきだな」
糸鋸「ど、どうしてわかったッスか……」
御剣「(君の家にテレビが無いことくらい想像がつく)」
いい加減給料あげてやれよ
??月??日 午後6時12分
豚足邸会場
御剣「信楽さん。待たせてすいません」
信楽「おっ、来たねレイジ君。それといつものお二人さんも」
美雲「シガラキさん!誘ってくれてありがとうございます!」
信楽「んー、相変わらず美雲ちゃんはキュートだねぇ。まずは再会のハグ……」
美雲「ダメです!」
信楽「おー、こりゃ手厳しい」
御剣「あの……信楽さん。本当にここが会場なのですか?どちらかと言えば道場のように思えるのですが…」
信楽「あれ?言わなかったっけ?豚足さんは料理人兼格闘家なんだよ」
御剣「(そういえば…ミクモ君も言っていたな……)」
信楽「まあ、オジサンも道場が会場っていうのは驚いたけどね」
???「信楽さん、よく来て下さいました」
信楽「どうも、豚足さん」
豚足「お連れの方もどうかごゆっくりしてて下さい」
美雲「きゃあ!血だらけですよ!」
糸鋸「ケ、ケーサツを呼ぶッスよ!」
御剣「落ち着きたまえ糸鋸刑事。まずは救急車を…」
豚足「いえいえ。その必要はございません。このようなもの、かすり傷にすぎませんよ。道場の前にある河で洗ってきますよ」
御剣「……少々驚いたな」
美雲「私なんか少々どころじゃありませんでしたよー!いきなり血だらけの人が出てくるんですから」
信楽「ちょっと変わった人だけど、優しくて面白い人には違いないよ」
美雲「なるほど、ミツルギさんみたいな人ってことですね!」
信楽「そーゆーこと!」
御剣「(二人は私の事をそんな風に思っていたのか…)」
御剣「彼が血を流していたということは…」
信楽「格闘家の修行でもしてたんだろうね。初めて会ったときも血だらけで、その時も目の前の河で体を洗っていたなぁ」
御剣「(どんな修行なのだ…?)」
美雲「うう…。大ドロボウの修行ももっとハードにしなくちゃいけないのかなぁ…」
御剣「……ミクモ君。変なところで対抗意識を燃やさないように」
豚足「では改めて自己紹介の方をさせていただきます。豚足長士、料理人兼格闘家をやっております」
御剣「検事の御剣怜侍です」
美雲「一条美雲です!ミツルギさんの助手をやっております!」
糸鋸「自分は刑事!糸鋸圭介やってるッス!」
美雲「ノコちゃん!逆だよ逆!」
御剣「(この男は時々信じられない間違いをするな)」
この蝴蝶夫人催淫剤のおかげで、彼女と二人の関係はもっと親密になって、セックスの快感も増加しました。人気媚薬催淫剤通販サイト薬堂を皆さんにおすすめします。
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→豚足長士
料理人兼格闘家
美雲「豚足さん、今はテレビの料理番組に引っ張りだこですよね!」
豚足「ええ、おかげさまで。我が豚足亭はいまや全国47店舗!どの店も大変盛況しております」
御剣「(丁度一つの都道府県に一つ…か)」
豚足「本店以外の全ての店のオーナーが私の弟子なのです。何千人もいる弟子の中でも特に優秀な者が豚足亭の名で店を出すことを許すのです」
美雲「何千人もいるなかで店長になれるのはたったの47人かぁ……」
豚足「豚足亭のウリはなんと言っても豊富な豚料理!同じ食材を使って全く違う"美味しい"を届けるのが私どものモットーでございます!」
御剣「(なるほど……料理人としてのプライドはあるみたいだな…。だが、尚更格闘家である意味がわからんな)」
逆検は和むなぁ
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豚足長士
→料理人兼格闘家
御剣「さっきから気になっていたのですが、格闘家というのは…」
豚足「この豚足長士、料理の腕だけでなく腕の太さも自慢の一つでしてね。昔、格闘家を目指していたときがありましてね」
信楽「彼は総合格闘技の元世界王者でもあったのさ」
御剣「そのようなタイトルを持ちながら何故料理人に?」
豚足「そもそも格闘技を始めたのも、どんな食材も軽々扱えるようにするというのが目的でした」
豚足「食材の中には100kgを越える物もありますしね…」
御剣「では、料理の幅を広げるために格闘技を?」
豚足「その通り!いつの間にか総合格闘技で優勝していました。弟子にも格闘技を習わせていますよ」
御剣「なるほど。どうやら根っからの料理人らしいな」
???「あなた、お仕事の方はよろしいんですの?」
御剣「(ム?この女性は一体?)」
???「シガラキさん、お久し振りです。あの時はありがとうございました」
信楽「いえいえ、細子さん。貴女の無実だったと証明されただけですから」
豚足「ああ、御剣さん。彼女は豚足細子(とんそく さいこ)。私の妻です」
細子「どうも、初めまして」
美雲「うひゃー!アンバランスな夫婦ですねー、身長的なイミで!」
御剣「(失礼な物言いだが…体格に違いがありすぎる。まるで父と娘だ)」
御剣「信楽さん。弁護の依頼は豚足長士さんの方だったのでは?」
信楽「あー、単純な話だよ。依頼は確かに長士さんがしたけどその内容が彼女の弁護だったのさ」
細子「御剣検事様でしたか?以後、お見知りおきを…」
信楽「そういえば今夜のパーティの内容はどういったもので?詳しいことはあまり知らなくて」
豚足「我が豚足亭の自慢の料理の数々を皆様にお召し上がりいただきたいのです」
糸鋸「うひょー!こりゃ楽しみッス!」
豚足「私だけでなく妻や弟子の知人達にも招待状を送っているのですよ」
美雲「じゃあ、ここにいる人たち全員が日本一の料理人の味を堪能出来るってわけですね!」
豚足「いや、作るのは私の一番弟子です」
美雲「あれ、豚足さんが作るんじゃ……」
御剣「(主催者が作らない……不自然だな)」
???「や、止めてください。もうすぐ支度を…」
???「そんなこと言わずにさー!」
御剣「(こ、このあまりにもケーハクで怒りが込み上げる声は……!!)」
矢張「………あ。な、な、な、なんでお前がここにいるんだよ!御剣ィ!」
御剣「矢張ィィィィィィィィ!!キサマか!」
矢張「矢張じゃねぇって言ってんだろ!コック天流斎マシスだ!」
御剣「(ま、また面倒そうな肩書きを…!)」
美雲「矢張さん!お久し振りです!」
矢張「おっ!美雲チャン!今日もかわいいぜ!」
信楽「そういうマシス君も中々イケてるよ~?」
矢張「へへ、オッサンもな!」
御剣「(頭が痛くなってきた…)」
御剣「率直に言う。何しにここへ来た」
矢張「な、何しに来たかって……そりゃあ……って!俺は絶対言わねぇぞ!」
美雲「御剣さん、アレの出番じゃないですか?」
御剣「いや、ロジックチェスをするまでもない。大方さっきの女性を口説きに押し掛けてきたのだろう」
矢張「な、な、な、なんでそれをしってるんだよ!キョーコちゃんは渡さねぇからな!」
御剣「なるほど。キョーコという女性に会いに来たのか」
矢張「あ、あれ?おい!ズルイぞ御剣!」
御剣「貴様が勝手に喋ったのではないか!」
豚足「京子。何故彼を追い出した?」
京子「そ、その……」
豚足「どんな状況でも料理を作ることを優先しろといったはずだ。どんな邪魔が入ってもだ」
京子「でも……」
豚足「お前はいつもそうだな。辛いことばかりから逃げていては一流の料理人になれないといつも言っているはずだが」
京子「………」
豚足「この出来損ないめ、さっさと作れ。仮にも豚足亭の名を使っているのだ。半端なものを出すんじゃないぞ」
京子「はい……」
矢張「な、なんか大変なことになってねーか?」
御剣「ああ。君のせいでな」
矢張「お、俺ェ!?ご、ゴメンよ京子ちゃん!」
京子「あ、いいんです。矢張さん、せっかくなんで厨房で手伝って欲しいことがあるんです」
矢張「任せてくれよ!キョーコちゃんの言うことなら何でも聞いちゃうぜ!」
豚足「申し訳ありません。お見苦しい所を…」
美雲「豚足さん!なんであんなこと言うんですか!」
豚足「……これは私達師弟の問題です。他人のあなた方に口出しされる筋合いはありません」
美雲「そ、そんなぁ…!」
豚足「信楽さん、後で私の執務室に来てくださいませんか?相談したい事があるのです」
信楽「……そのためにボクが呼ばれたみたいだしね。モチロンいいですよ豚足さん!」
豚足「では皆様はパーティを楽しんで下さい」
糸鋸「なんか、思ったより嫌な感じッスね」
御剣「………彼の言葉を全て真に受ける必要もないと私は思うがな」
??月??日 午後7時05分
豚足邸会場
美雲「今更ですけど道場に並べられるテーブルってなんかシューズですね」
御剣「……ミクモ君。シュールだ」
信楽「やあ、帰ってきたよ」
糸鋸「どんな話をしてたッスか?」
信楽「おっと、勘弁してくれよ。オジサン秘密にするって約束しちゃったんだからさ」
糸鋸「……気になるッス!」
御剣「刑事。君も信楽さんを困らせるんじゃない」
細子「皆様。もうすぐ料理が出来ますよ」
糸鋸「待ってたッス!」
ミクモ「最初はどんな料理が?」
細子「豚汁ですわ。京子の得意料理なの」
御剣「豚汁を…この会場にいる人数分ですか?」
細子「はい。料理は常に多めに作れ、が夫のモットーでございます」
細子「こちらが豚汁でございます」
御剣「ウム。ではいただくとしよう」
美雲「!」
糸鋸「!」
信楽「!」
御剣「!」
細子「どうされました?」
御剣「いや……その……」
細子「まさか…お口に合いませんでしたか?あの子の豚汁に限ってそんな………!?」
細子「これは……一体どういうこと?彼女が本当に作ったのかしら?こんな料理と呼べないような食べ物を…」
美雲「どうやら失敗しちゃったみたいですね」
御剣「そのようだな」
御剣「(何か口直しになるものを食べたくなったな……)」
御剣「(しかし……。私はあの豚汁の味を知っている気がしたが……気のせいか?)」
細子「次の子豚の丸焼きならきっと美味しいに決まってます!」
美雲「丸焼きなら失敗しようがないんじゃ…」
信楽「でも、シンプルなモノほど腕の差が出るとも言うよね」
糸鋸「食えりゃあ何でもいいッス!」
細子「その……実は発注ミスで子豚を一頭しか買えなかったみたいなの。彼女にしては珍しいんですが…」
御剣「発注ミス……ですか」
細子「でも京子ったら冷凍室に入ってる子豚を誰にも触らせなかったのですよ。よっぽど自分で成功させたかったみたい」
美雲「あっ!京子さんが豚の丸焼きを持ってきましたよ!」
京子「どうぞ、召し上がって下さい」
御剣「糸鋸刑事、命令だ。君が最初に食べるのだ」
糸鋸「じ、自分がッスか!?」
御剣「お腹を空かせているのだろう?」
糸鋸「うう……それなら!これをやらしていただくッス!」
美雲「それは……タッパー?」
糸鋸「皮の部分をお持ち帰りするッスよ!」
御剣「(はしたない真似をするなと言いたいところだが…。それで毒味役を止められても困るしな)」
御剣「なぜ皮を?」
糸鋸「噛んでも噛んでも噛みきれないあの食感!あれだけで三時間はイけるッス!」
信楽「……ねぇ、レイジ君。彼の給料はもう少し上げてあげた方がいい気がするよ」
御剣「(糸鋸刑事……。そこまでひもじい思いをしていたとは…)」
糸鋸「じゃあ、肉も食べるッスよ」モグモグ
美雲「どう、ノコちゃん?」
糸鋸「こ、こんな上手い豚肉を食べたのははじめてッスよ!!味の大革命ッス!」
御剣「ウム。では私達もいただくとしよう」
美雲「おいしー!」
信楽「へへ、オジサンこんな美味しい豚肉を食べたの初めてだよ」
御剣「確かに素晴らしい……」
御剣「(しかし、彼女は豚足さんに説教をされていた。一流の料理人にはなれないと)」
糸鋸「じゃあもう一口…」
御剣「止めたまえ刑事。後ろの人だかりが見えないのか」
糸鋸「こ、ここの会場にいる全員がこの丸焼きを狙ってるッスよ!」
美雲「そう言えば一つしかないんでしたよね、豚の丸焼き」
御剣「(あのこの世のモノとは思えない豚汁を飲んでしまったのだ。すぐ口直ししたくなる気持ちはわかる)」
京子「気に入ってもらえて良かったです!」
細子「まだまだ色んな豚料理を堪能出来ますわよ。お願いね、京子」
京子「はい!奥さま!」
??月??日 午後8時40分
豚足邸会場
御剣「ム、もうこんな時間か」
美雲「いやー、美味しかったですね!お腹いっぱいですよ!」
糸鋸「自分、後一週間は食わずして働けるッス!」
御剣「豚足さんに挨拶をしてから会場を出るか」
美雲「じゃあ、みんなでお礼を言いに行きましょう!」
??月??日 午後8時42分
執務室
御剣「……………」コンコン
御剣「豚足さん、開けてもよろしいでしょうか?」コンコン
信楽「あれ、おかしいなぁ。ここにいるはずなんだけど」
美雲「きっと疲れて寝ちゃってるんですよ!」
御剣「…………開けますよ」ガチャ
美雲「き、きゃあああああ!」
御剣「こ!これは!豚足さん!」
御剣「信楽さん!局にすぐ連絡を!糸鋸刑事は豚足邸から人を出すな!」
信楽「りょーかい!」
糸鋸「しましたッスゥゥ!」
御剣「ミクモくん。君は私と一緒に現場を捜査してもらう」
美雲「わかりました!」
捜査開始~執務室~
御剣「この死体だが…撲殺されている。後頭部が陥没するほどの衝撃に加え傷の面積を見る限り、凶器の質量は相当なものだ。」
美雲「やっぱり……即死ですか?」
御剣「だろうな」
証拠ファイルに記録した
遺体所見
被害者は豚足長士。後頭部を鈍器で殴られ即死。相当な質量を持った凶器と考えられる。
>>1
今更ながらオリキャラ注意です
御剣「ム、これは鼻を骨折しているのか?」
美雲「鼻を骨折……でも頭を殴られて即死なんですよね?殺した後に鼻を折る意味なんかあるのでしょうか?」
美雲「私は争ってるうちに鼻を骨折、その後殴られて死亡………の方が筋が通っている気がします!」
御剣「ウム。中々いい推理だ」
御剣「(鼻を骨折したタイミングか……鑑識が来たら再検討する必要がありそうだ)」
証拠ファイルに記録した
鼻の骨折
被害者の鼻が骨折していた。何故骨折したのかは不明
御剣「次は犯人の侵入ルートを考えよう」
ロジック:犯人の侵入ルート[犯人はどのようにして部屋に入ったのだろうか?]
美雲「見て下さい!窓が開けられた形跡はなさそうですよ!」
御剣「ホコリが溜まっているな。見る限り何日もこの窓を開けていないみたいだ」
ロジック:使われていない窓[窓が特に使われた形跡はなかった]
SSで全部やっていくのか
美雲「この部屋、検察局にある御剣さんの部屋に似てますね!」
御剣「ああ。窓や扉、机の位置も全く同じだ」
美雲「机の上は……書類が沢山あります」
御剣「手書きのサインがされている書類とそうでない書類があるな。仕事の途中だったみたいだ」
ロジック:机[被害者はここで書類にサインをしていた]
美雲「でも死体は机の前にありますよ?」
御剣「殺害される直前に席を離れたみたいだな」
美雲「うーん……これ以上はこれといった手がかりがありませんね」
御剣「(フム…、証拠が集まってきたみたいだな。推理をするとしよう)」
ロジック:窓×犯人の侵入ルート
御剣「窓がここ最近使われた形跡はない。だとすれば残りの侵入ルートは…」
美雲「扉ですね!」
御剣「ウム、その通りだ。犯人は堂々と扉から入ってきた事になる」
ロジック:部屋への侵入[犯人は扉から部屋へ侵入した]
美雲「一つ解決ですね!」
ロジック:机×部屋への侵入
御剣「この部屋で豚足さんは書類にサインをする作業をしていた。少なくとも豚足さんは犯人の顔を見たはずだ」
美雲「知り合いだったんじゃないですか?机から離れていますし!」
御剣「(しかし、妙だな。現場から見つかっていない凶器を持って犯人はこの部屋に侵入したはずだ)」
御剣「(豚足さんの行動はまるで凶器の存在を知らなかったように思える)」
捜査終了
信楽「レイジ君!警察がこっちに着いたよ!」
御剣「わかりました。現場の指揮をとれないか試してみます」
信楽「頼んだよレイジ君」
糸鋸「御剣検事!この建物にいる人間はとりあえずここから離れないように要請したッス!」
御剣「ウム、ご苦労だったな」
糸鋸「ついでに事件の目撃者も見つけたッスよ!」
御剣「も、目撃者だと!一体、だれが…」
???「あ、あんた…!!間違いない!師匠を殺したのは…あんただ!」
信楽「え、お、オジサン!?」
美雲「な!」
糸鋸「な、な!」
御剣「なんだとぉぉぉぉぉ!!」
??月??日 午後9時15分
豚足邸執務室
御剣「君は一体何者なのだ?」
黄鳥「俺は黄鳥照焼(おうとり てりや)。師匠の二番弟子だ!」
御剣「(被害者の関係者か)」
黄鳥「許せねぇ!そのオッサン、師匠を殺しやがっていたのさ!」
信楽「オジサン本当に身に覚えがないんだって!」
黄鳥「そうはいかねぇ!俺は見たんだ!執務室に入るこのオッサンを!そしてその後に師匠を殺してやがったのさ!」
美雲「こ、殺したところも見たんですか!」
桜鳥「お、………おうよ!」
糸鋸「タ、タイホッス!」
御剣「待った!糸鋸刑事!逮捕はまだ早計だ!彼の証言を聞くべきだろう」
糸鋸「うっ……。す、すまねッス…」
御剣「彼の証言を聞く前に情報を整理してみよう」
美雲「えーと、証拠品はこれですね!」
遺体所見
被害者は豚足長士。後頭部を殴られ即死。相当な質量と面積を持った凶器と考えられる
鼻の骨折
被害者の鼻が骨折していた。何故骨折したのかは不明。
御剣「それで先程判明したことも証拠に入れるとしよう」
証拠ファイルに記録した
窓
被害者が殺害された部屋にある窓。使われた形跡はなかった。
机
被害者の仕事机。被害者の死体は机の目の前にあった。
書類
被害者の机の上にあった。サインの有無から仕事中だったと思われる
御剣「解剖記録は現在鑑識に調べさせている。詳しい情報は後々わかるだろう」
黄鳥「おい、まだかよ?」
御剣「ウム、待たせてすまなかったな。証言を聞くとしよう」
~証言開始~
「俺は京子と一緒に厨房で
ジュンビをしていた
でも途中でトイレに
行ったんだよ
そこから厨房に戻る時に
オッサンが師匠と部屋に入っていった!
オッサンが犯人だ!間違いねぇ!」
黄鳥「わかったろ?これでオッサンが犯人ってことはよぉ!」
信楽「全く、デタラメ言っちゃってさぁ…」
御剣「信楽さん。貴方の無実は私が証明してみせます」
信楽「頼んだよ、レイジ君!」
~尋問開始~
「俺は京子と一緒に厨房で
ジュンビをしていた 」
御剣「待った!では君も豚を使った料理を?」
黄鳥「モチロン!こう見えてもオーナーとして豚足亭を師匠にまかされてるのさ!」
御剣「(豚足さんの認めた弟子のみが任される……本人がそう言っていたな)」
糸鋸「でも、料理人とは思えない体格ッスね」
黄鳥「師匠は格闘技も俺達弟子に教えてくれる。あんたも師匠を知ってるなら聞き覚えがあるんじゃないか?」
御剣「料理人兼格闘家か…」
黄鳥「師匠は料理だけでなく腕っぷしも強かった。俺は海の底より深い尊敬の念を抱いている。だからこそそこのオッサンが許せねぇ!」
御剣「フッ、君の早とちりじゃなければいいな?」
黄鳥「ケッ!」
「でも途中でトイレに
行ったんだよ 」
御剣「待った!それはいつ頃だろうか?」
黄鳥「えーと、そうだ!俺がトイレに行く前、なんか迷惑な男が京子につきまとっていたな。だから京子が会場に追い出そうとして厨房を出たんだよ」
御剣「(矢張のことだな)」
黄鳥「でも何故だか知らんが、結局一緒に厨房へ帰ってきててよぉ。その後にこっそりトイレにいったな」
美雲「こっそり?」
黄鳥「料理人が料理を作ってる時に厨房を離れるのはご法度さ。少なくとも豚足亭ではな」
御剣「(あの時の彼女と豚足さんの会話……このことだったのか。矢張のせいなのは変わりないが)」
美雲「じゃあ黄鳥さんもご法度を破ってるじゃないですか!」
黄鳥「つ、次から気を付ける!とにかく!食材や料理を運んでいた京子以外の人間は部屋を出ていねぇ!……おれは出ちまったけど。」
糸鋸「我慢は毒ッスからねー」
黄鳥「でも!その時以外は俺もずっと厨房にいた!」
御剣「(部屋を出たのは彼と京子さんだけか…)」
>>34
ミス
美雲「じゃあ、黄鳥さんもその"ご法度"なんじゃ……」
「そこから厨房に戻る時に
オッサンが師匠と部屋に入っていった!」
御剣「待った!本当にその場面を見たというのだな?」
黄鳥「あったりめーよ!」
信楽「彼が言っているのは、恐らく僕が豚足さんから相談を受けていた時のことだろうね」
御剣「ム……確かにさっき言った時間帯とも一致するようです。信楽さん達が出る前に京子さんと矢張は厨房へ向かっていましたから」
黄鳥「きまりだぜ!犯人はオッサンしかいない!」
御剣「(今までの彼の証言……問題がないだろうか?)」
御剣「待て、結論をを出すには早すぎる。君はまだ喋っていないことがあるからな」
黄鳥「お、俺が…?」
御剣「惚けるんじゃない。最も重要な事を喋ってはいないではないか!」
御剣「彼が喋っていない重要な事とは?」
→殺人の瞬間
大小どちらをしたか
厨房での出来事
御剣「君は見ているはずだ!被害者が犯人に殺されたという決定的な瞬間を!」
黄鳥「そ、その事か…簡単な事だぜ。」
黄鳥「包丁でグサッ!とやってたぜ!」
御剣「……証言に加えていただこう」
「包丁でグサッ!と
師匠の事を刺したんだ!」
つきつける:遺体所見
異議あり!
御剣「残念だが……君の証言はムジュンしている」
黄鳥「な、なんだと!?」
御剣「被害者は撲殺されていたのだ。刺し傷など一つもない!」
黄鳥「んげっ!」
黄鳥「み、見間違いだった。トンカチでカツン!と殴ったんだよ!」
御剣「それも、ムジュンしているな」
黄鳥「ぶひへぇ!?」
御剣「被害者後頭部を強く殴られていたのだ。陥没するほどな」
黄鳥「な、ならムジュンしてねーじゃねぇか。トンカチで強く殴られたって陥没くらいはするはずだ!」
御剣「問題は陥没した部分の面積だ。被害者の後頭部の殆どが陥没していた」
御剣「トンカチで被害者の状態にすることは不可能だ!」
黄鳥「ぶひぃ!」
御剣「そもそも殺害の瞬間を見たのなら真っ先に警察に知らせるはずだ!」
御剣「キサマ!殺害の瞬間を見ていないな!」
黄鳥「ぶ……ブヒヘェェェエェェッッ!!!!」
黄鳥「オッサン……すまねぇ…。あんたが殺したって思い込んでいたみたいだ…」
美雲「どういうことですか?」
黄鳥「師匠が殺されたって聞いたとき、目の前が真っ暗になったんだ」
黄鳥「その時に思い出したのが…」
御剣「信楽さんと豚足さんが執務室に入るところだったのか」
黄鳥「二人は俺のことを気づいていなかったみたいだけどな。ショックのせいか俺は…オッサンが殺したと思い込んじまった。本当にすまねぇ!」
信楽「僕が無実だって納得してくれたからいいよ。それに…」
信楽「大切な人がいなくなる悲しみ、僕にもわかるからね」
御剣「(信楽さん………)」
美雲「結局、どこまでが本当何ですか?」
黄鳥「殺害の瞬間以外は本当のことだ。つまらねぇ手間をかけさせて悪かったな」
御剣「いや、そんなことはない。わかったこともあったしな」
糸鋸「御剣検事!ジブンなりに調べたッス」
御剣「わかった。報告したまえ」
糸鋸「道場から廊下に出てすぐトイレがあるから黄鳥はここに来たことになるッス」
御剣「それは知っている」
糸鋸「廊下を出て突き当たりのT字路を右に行くと執務室があるッス」
御剣「………それも知っている」
糸鋸「執務室の更に奥には厨房があるッス」
御剣「む、では黄鳥さんは執務室の前を通っているのか」
糸鋸「更に!さっきの突き当たりを左に曲がると冷凍室があるッス!そこで食材の保管をしていたみたいッスね」
御剣「つまり、厨房から冷凍室へ行くにも執務室を通る必要があるということだ」
御剣「(この事実……無視できん。犯人は恐らく……あの人だ!)」
御剣「刑事!関係者を集めるのだ!」
糸鋸「了解しましたッス!」
鑑識「御剣検事!被害者の解剖記録が届きました!」
御剣「ウム、ご苦労だったな」
証拠ファイルに記録した
解剖記録
被害者は豚足長士。後頭部を巨大な鈍器で一発殴られ即死。
御剣「やはり、凶器は相当大きいものだったみたいだ」
鑑識「また、鼻の骨折は死後のものとわかりました!」
御剣「鼻の骨折は死後……か」
証拠ファイルに記録した
鼻の骨折
被害者の鼻が骨折していた。死後に鼻が折れたことがわかった。
美雲「あれ?死後に骨折したということは……私の推理は外れちゃったみたいですね」
御剣「そのようだ。少なくとも争った形跡もないみたいだしな」
美雲「でもこの骨折は一体…?」
御剣「(しかし、私の推理が正しければあの人が犯人だが……凶器はどこへいったのだろうか?)」
??月??日 午後10時14分
豚足邸執務室
糸鋸「関係者をつれてきたッス!」
細子「警察の方に夫が亡くなったと聞かされた時は信じられませんでしたが…どうやら本当のことみたいですね」
京子「奥さま……」
美雲「細子さん……」
御剣「関係者をここに集めたのは他でもない。一番犯人の可能性の高い人物に今日の行動を証言させるためだ」
御剣「…………いいですね、京子さん」
京子「!私……ですか」
御剣「黄鳥さんの証言によると厨房から出た人間はトイレに行った彼と食材と料理を運んでいた貴女のみ」
御剣「執務室に入ることの出来たのはあなたと彼だけだ。証言をしてくれるな」
京子「ええ、喜んで」
御剣「その前に情報を整理しよう」
糸鋸「パーティー中に外に出た人間は信楽さんだけッス!」
御剣「なるほどな。では証拠品を整理するぞ」
証拠品
解剖記録
被害者は豚足長士。後頭部を巨大な鈍器で一発殴られ即死。
鼻の骨折
被害者の鼻が骨折していた。死後に鼻が折れたことがわかった。
窓
被害者が殺害された部屋にある窓。使われた形跡はなかった。
机
被害者の仕事机。被害者の死体は机の目の前にあった。
書類
被害者の机の上にあった。サインの有無から仕事中だったと思われる
京子「そろそろよろしいでしょうか?御剣さん」
御剣「ああ、待たせてしまったな。ではさっそく証言を……」
待った!!!
美雲「えっ!」
糸鋸「だ、誰ッスか今のは!」
矢張「おい!フザケンナよな御剣!!キョーコちゃんが犯人なわけないだろ!」
御剣「(し、しまった!この男の事をすっかり忘れていた!)」
御剣「矢張、落ち着け。私はただ証言を聞こうと…」
矢張「矢張じゃねぇ!コック天流斎マシスだ!」
矢張「キョーコちゃん!見ててくれ!アイツのヒビを俺がもっと割らせてやるぜ!」
矢張「キョーコちゃんの代わりに俺が証言してやるぞ御剣ィ!」
美雲「いいんですか御剣さん?」
御剣「………仕方があるまい。ここで納得させなければ邪魔をしてくるだろうからな」
御剣「二度とその口を利けなくさせてやる!」
美雲「うう…。御剣さんが悪役っぽくなっちゃった…」
~証言開始~
俺の話を聞け
「お前はキョーコちゃんを
疑っているんだろう?
残念だが彼女と俺はずっと
一緒にいたぜ!
ずっと厨房にいるのに
殺人なんざ出来るはずがねぇ! 」
美雲「京子さんは本当にずっと厨房に居たんでしょうか?」
御剣「今の証言はハッキリ言って無茶苦茶だ。矢張自身が矛盾に対して気づいていないだけだろう」
糸鋸「どういうことッスか?」
御剣「黄鳥さんの証言を思い出したまえ」
"食材や料理を運んでいた京子以外は部屋を出ていねぇ!……俺は出ちまったけど"
美雲「あっ、本当だ!ムジュンしています!」
御剣「矢張は話していないことがあるはずだ」
御剣「ヤツが京子さんとずっと一緒に居たというなら、京子さんが厨房から離れていたときに何をしていたか…?これを聞く必要がある」
美雲「いつもの"ゆさぶる"ですね!」
御剣「たいした相手でもない。手早く終わらせるとしよう」
~尋問開始~
俺の話を聞け
「お前はキョーコちゃんを
疑っているんだろう? 」
御剣「待った!少なくとも執務室に入ることの出来る人間だな」
矢張「なら、アレじゃねーか!その、ショーコはまだねぇんだろ!」
御剣「(そのショーコを掴むために尋問をしようとしたらキサマが邪魔をしてきたのだがな)」
矢張「だがなミツルギ、お前の推理は見当違いってヤツだぜ!」
御剣「ほう、どういうことだ?」
「残念だが彼女と俺はずっと
一緒にいたぜ! 」
御剣「待った!本当に一緒にいたと主張するのだな?」
矢張「当たり前じゃねぇの!ずっと俺を見守っていてくれたんだぜ」
御剣「見守っている?どういうことだ?」
矢張「ああ、俺が豚汁を作っている間ずっとな!」
御剣「あ、あの豚汁はキサマが作ったのか!?」
矢張「俺にしてはケッコーうまくいったんだぜ?」
美雲「大きい声では言いづらいですけど……、全然美味しくなかったですよね。…………御剣さん?」
御剣「(お、思い出した!何故私があの料理を食べた事があると感じたのかを!)」
矢張「そういやオマエとアイツはこれで二回目だったな。俺の料理をたべたのは」
美雲「どういうことですか?」
御剣「小学生時代……調理実習の授業。こいつの作ったシチューを食べる少年二人がいた。」
御剣「間もなく二人は保健室に運ばれたがな」
矢張「お前の顔のヒビが一層強く割れて、アイツの髪がサラサラになったもんな。いやー、懐かしいなぁ」
御剣「何を懐かしがっている!大体キサマの作ったシチューと豚汁が何故同じ味になるのだ!」
矢張「それは……企業秘密ってヤツ?」
美雲「み、御剣さん。私達どうなってしまうんですか………?」
御剣「(は、早くこの事件を解決せねば!)」
御剣「とにかく!キサマはずっと豚汁をつくっていたのだな?」
矢張「おう!間違いないぜ!」
「ずっと厨房にいるのに
殺人なんざ出来るはずがねぇ!」
御剣「待った!ではどうやって彼女は食材を運んだというのだ?」
矢張「それはモチロン冷凍室に……あれ?」
矢張「ズルいぞミツルギ!俺がムジュンしちまったみてーじゃねぇか!」
御剣「ムジュンしているのだ!」
矢張「思い出したぜ!俺が豚汁を作り終わった後、彼女が凍った子豚の丸焼きを持ってきたのをさ!」
御剣「なるほどな。部屋から出たのは大体何分前か憶えているか?」
矢張「ハッキリしねぇが、豚汁を作る前ってのは確実だぜ!」
御剣「やはりな…。京子さん」
京子「は、はい」
御剣「貴方には矢張が豚汁を作り終わるまでのアリバイがないのだ」
京子「………そのようですね」
黄鳥「……検事さん。京子は無実なんだよな?」
御剣「………いや。少なくとも犯人の可能性が高いと考えている」
黄鳥「あんたらは知らねぇんだ。アイツがどんなに師匠を尊敬していたか…!」
京子「照焼さん。どうか落ち着いて下さい」
黄鳥「落ち着いてなんざ…!」
京子「私は大丈夫です。それに御剣さんが証明したのは矢張さんが豚汁を作っている間にアリバイがないということだけ。殺人の立証はされてません」
京子「弁護士さんもアナタも完全なアリバイはありませんがだからと言ってそれが殺人に繋がるわけではありません」
京子「そうですよね?」
御剣「!………その通り、だ」
京子「やはり、この部屋に第三者が現れたのです」
今更ですが、SS速報VIPの方に移りました。不快な思いをした方、申し訳ありませんでした
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