白銀の意思 アルドノア・ギアス ~五星物語~(4)

タイトルの通り。

ロボットアニメのごった煮。

開き直るつもりはないが、細けぇこたぁ気にすんな。

雰囲気で楽しんでくれたらと思います。

ルルーシュ、伊奈帆、トキムネの三人が主人公だけれど、基本的にギアスの世界観で話が進行ですです。

よろすくね。

すぶり、と。

体に埋まる剣。

仮面の英雄が突き立てた剣により、ブリタニア99代皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの生涯は幕を閉じたはずだった。

しかし。

霊魂は実在する。肉体は死を迎えたが、その魂は魂の集積所――集合無意識へと組み込まれ、あまねく世界を見守り続けることになった。

……これが俺の望んだ世界なのか?

数多の魂に埋没し、集合無意識として自我と彼我の境界が曖昧になりながらも男は考える。

……多大な犠牲を払いながらも、俺が成し遂げたことは全くの無意味だったのか?

世界の憎悪を皇帝ルルーシュが一身に集め、その存在が死することで憎悪を解消しようとした。

ゼロレクイエム。

この計画を要にして世界平和を実現しようとした。実際、事を成し遂げ、これで世界はよりましなものになると思った。なにより、ナナリーやスザクなど、その後の世界を生きる者たちによって、今よりも生きよい明日がつくられていくものだと確信していた。

だが、現実はどうだ。

俺の死後十年で黒の騎士団は堕落した。悲願であった日本国の復権を成した後、組織は存在の理由を世界平和の維持活動という曖昧なものに変えた。だが、結果、目的が不明瞭である組織が統制をとれるはずもなく、一枚岩ではいられなくなった。そのくせ皇帝ルルーシュ打倒に尽力した功績により、権力ばかりが肥大化し、軍備と発言力は増す一方だった。

が、黒の騎士団ばかりではない。

元神聖ブリタニア帝国の属領であった国々は民族自決を標榜するなど独立国家として新たに生まれ変わろうとしていた。が、新興国家が興るにあたって、領土や人種、宗教、文化などの軋轢が顕在化されるようになり、争いの絶えない世界となった。特に新興国は経済的に不安定なところが多く、経済の安定化を図って侵略戦争を仕掛ける国もあった。

たしかに、神聖ブリタニア帝国が諸国を支配していた頃は圧政の時代であったのかもしれない。しかし、強大な神聖ブリタニア帝国が支配することで、ある種の平和が実現されていたとも言える。

いつ戦火になるともしれない火種が世界中広がり、そして、本来であればそれを調停すべき黒の騎士団が堕落しきった今、世界は再び争いの時代へと転がりつつある。

誰が悪いという話ではない。

ナナリーやスザク達はよくやっている。優しい世界になるよう、苦悩しながらも努力している。けれど、時代の流れは止められない。

このことで責任を負うべきは俺なのだ。

誰が悪いという話ではない。

俺が悪い。

俺の見通しが甘かった。

だから、俺は望む。

ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが望む。

もう一度、もう一度だけ、やり直すチャンスを。

今度こそ俺は間違えない。二度と間違えたりはしない。

だから……。

ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが世界に命じる。

時間を巻き戻せ!

俺に今一度チャンスを与えろ、次こそは完全な世界平和を創り上げてみせる。

俺にやり直しの機会をッ!

集合無意識に飲み込まれたはずの意識が強い願いにより目覚める。飲み込み、取り込もうとする有象無象の魂を払いのけ、一際強い輝きを放ち、世界に主張する。魂が赤い鳥の形をとって羽ばたき、願いを乗せて世界に溶け込んだ。

そして。

今、ここにルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの命令は聞き入れられた。

しかし、時を巻き戻すなど世界の理を無視した無理な命令。理が、歪み、崩れ、形をなくす。時空が、次元が、ズレて、重なり、あるいは離れて、畢竟、本来は交わることのない運命もまた交錯することになる。

界塚伊奈帆。

ススム・トキムネ。

ここに三者の運命が交錯しようとしていた。

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