終結の彼方 (29)

最終兵器彼女読みながらデレステのガチャ引いたら小梅が出たんで記念に

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「こういう時は大人がしっかりしないといけないのに。ごめんね小梅」

「だっ、大丈夫……です」

小梅の不安そうな顔を見ると自分がこのまま不安に飲み込まれると小梅もただでさえ不安なのにこの不安を大きくしてしまう、そう思うと少しは落ち着く事が出来た。そして自分が大丈夫だと精一杯の笑顔を作ると怯えて体が震えている小梅の頭を撫でてあげた。

少しは落ち着いたもののやっぱり自分の心はざわついていた。研究員が乱していた姿を見る限りもう『終わり』が始まっているのかもしれない。後一時間、そんなものは科学者達の推測でしかない、本当の時間を知っているのは神様ぐらいか。

「ぷっ、プロデューサー……顔色悪い」

「いや、大丈夫。少し疲れてるのかも。小梅は大丈夫?」

「大丈夫……です」

小梅は一言だけ呟くと、小さな声で歌い始めた。呼吸がうまくできないで息苦しく顔色が悪い自分を安心させようとしているのか、小梅自信が自分は大丈夫だと伝えたいのか。小梅の顔を見る限り彼女も顔色が悪くなっているというのに、息苦しくなっているだろうに歌ってくれた。小さな声でも分かる彼女の繊細で綺麗な歌声はちゃんと自分の耳に届いてくれた。

小梅の歌を聴いていると、だんだん視界が薄く小梅の姿が見えなくなってくる。視界だけではなく頭の中も真っ白で何も考える事が出来ない、小梅の歌声と一緒に自分という存在が消えてしまう。

「あの子が消えた」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

「……サー……」

「…………」

「プロ……サー……」

「…………」

「プロデューサーさん……!」

「こっ、小梅……」

まだハッキリとしない視界、小梅の呼び掛けだけだけが聞こえる。目を擦るとぼやけていた視界も少しだけ回復。そこは薄暗く小梅の顔を確認すると狭いだけの此処がシェルターの中だという事を再認する。

「やっ、やっと……起きました……」

「寝てる場合じゃなかったよね。ごめん」

どうして眠ってしまったのかまるで覚えていない。覚えているのは小梅の歌声だけ。それから後の事は何も覚えていない。思い出そうとしても変な頭痛が邪魔をしてくるせいで諦める事にした。

「寒いね」

「扉……あっ、開いてる……」

時間が経つまで開かない扉。開いているという事は意識が無く眠ってしまったその間に終わってしまったという事。この扉の先は自分の知らない終わった後の虚無の空間。何も知らない恐怖でしかない先を考えるだけで息が荒々しく心臓の鼓動も激しくなっていく。

でもそんな事を思っている場合でもない。小梅に心配をさせてはいけない。小梅だってこの扉の先が不安と恐怖でしかないと思っているだろう。深呼吸をするとほんの少しだけ落ち着けた。

「先に出てみる。小梅は待ってて」

「でも……」

「すぐに戻ってくるから」

「ひっ、一人にしないで……! わっ、私も一緒に……」

ごめんなさい、途中から投稿してしまいました
スレ立て直します

ふざけんなよ失敗したくらいで無駄に乱立させんなボケカス
このスレでかけ

>>9 そうですね!ごめんなさい!

最初から書きます

「後一時間もすれば最後。小梅は大丈夫か」

「だっ、大丈夫……です……」

本日をもって争いばかりのこの世界は終わりを告げる。世界が終わる事を知った人類は自分だけが自分達だけが生き残りたいと争いを続けた。そして国と国とが生きる希望を信じて戦いこの世界を傷付けた。

平和を望む人間なんていない、自分の事だけしか考えない。終わる事を知って助かる方法を話し合おうともしない、そんな人間ばかりの世界に天罰が下る。

そんな争いだけの世界に平和を望み歌い続けたアイドル白坂 小梅とそのプロデューサーである自分の二人だけを残して人類は全滅する。 小梅も自分も平和を望み世界に歌を届けたけどその歌声は届かなかった。

日本の科学者が秘密に開発していた特殊なシェルター、人がたった二人だけ入れる程の小さなシェルター、この中で過ごせば生き残れるらしいけど結局はその時にならないと分からない。科学者から平和を望み続けた小梅と自分に生き残れたら次の世界を見届けて欲しいと頼まれてシェルターに入る事にした。

「小梅は意味があったと思うか、この人類に」

「あったと……思い、ます……。ほっ、ホラー映画を作ったり……」

「大好きだもんね、ホラー映画」

「ずっと、あっ、アイドルがあったから……プロデューサーさんに、であ、出会えました……」

「僕もプロデューサーをしてなかったら小梅には出会えなかった。最初は小さいスタートだったのに、いつの間にか大きくなったね」

「それも、プロデューサーさんの、おか、おかげ……です……。じっ、自分が変われたのも……プロデューサーさんのおかげです」

白坂 小梅、彼女と一番最初に出会ったのはアイドルオーディションの開場だった。おとなしく人と話をするのが苦手、話を聞いてもアイドルになる気はないと言っていた小梅だが、いざ好きなものの話をさせてみると、パッと笑顔でホラー映画の話をしてくれた。

その時の自分は彼女の笑顔を見てトップアイドルとして花開く姿ばかりが頭の中を膨らませていた。小梅を合格させてレッスンの日々、苦手分野が多い彼女で最初は上手くいかずにマイナスな発言ばかりもしていた。唯一歌ならとボーカルレッスンをさせてみるとその透き通る歌声がまたその時の自分の心に響かせてくれたっけ。

一歩ずつ一歩ずつ、小さな仕事を受けては反省と成長。日に日に彼女の歌声は日本を包み、大きな存在になっていった。いつの間にか大人気アイドル、自分の頭の中で想像していた小梅の姿が目の前にはいてくれた。自分が何かしたと言うより小梅が成長して変わってくれた。

「世界に向けて歌うようになって、本当に頑張ったよ小梅」

「へっ、平和には……ならなかった……です」

「小梅は悪くない。小梅は必死に頑張った」

「ぷっ、プロデューサーも。次はいつ、ゾンビ映画……見れるかな……」

彼女の言葉が耳に届いたその時、シェルター越しでも分かる大きな震動が地面を伝う。シェルターに付いている四角い小さな窓に視線を変えて見渡してみると、施設の中は亀裂だらけ。逃げ惑う研究員は建物の破片に押し潰されて地面を深紅色に染めていく。

まだ残っている研究員は自分と小梅のいるシェルターを見付けると凄い形相でこちらに近付いてくる。窓から自分達を覗き込むその瞳からは大粒の涙、大声で何かを叫んでいるだろうけどシェルター内には届かない。細い腕小さな拳から強く叩かれるシェルター。シェルター越しでも分かる死にたくないという意志。このシェルターは時間が経つまで開かない、この研究員を助けたくても自分には何も出来ない。

「ぷっ、プロデューサーさん……!」

「この人達を見捨てる事しか出来ない。このシェルターの中にいる限り助ける事は……」

窓から見えた研究員も落ちてくる破片に押し潰されて視界からは消えてしまった。研究員の返り血が窓を真っ赤に染め上げていくと自分は耐えきれずに吐瀉。人が目の前で消えていく光景、自分が生き残るために他を犠牲にする罪悪感と自分が生き残る意味はあるのか、これからどうなるのかという不安と疑問で頭の中が割れてしまいそうだ。

「こういう時は大人がしっかりしないといけないのに。ごめんね小梅」

「だっ、大丈夫……です」

小梅の不安そうな顔を見ると自分がこのまま不安に飲み込まれると小梅もただでさえ不安なのにこの不安を大きくしてしまう、そう思うと少しは落ち着く事が出来た。そして自分が大丈夫だと精一杯の笑顔を作ると怯えて体が震えている小梅の頭を撫でてあげた。

少しは落ち着いたもののやっぱり自分の心はざわついていた。研究員が乱していた姿を見る限りもう『終わり』が始まっているのかもしれない。後一時間、そんなものは科学者達の推測でしかない、本当の時間を知っているのは神様ぐらいか。

「ぷっ、プロデューサー……顔色悪い」

「いや、大丈夫。少し疲れてるのかも。小梅は大丈夫?」

「大丈夫……です」

小梅は一言だけ呟くと、小さな声で歌い始めた。呼吸がうまくできないで息苦しく顔色が悪い自分を安心させようとしているのか、小梅自信が自分は大丈夫だと伝えたいのか。小梅の顔を見る限り彼女も顔色が悪くなっているというのに、息苦しくなっているだろうに歌ってくれた。小さな声でも分かる彼女の繊細で綺麗な歌声はちゃんと自分の耳に届いてくれた。

小梅の歌を聴いていると、だんだん視界が薄く小梅の姿が見えなくなってくる。視界だけではなく頭の中も真っ白で何も考える事が出来ない、小梅の歌声と一緒に自分という存在が消えてしまう。

「あの子が消えた」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

「……サー……」

「…………」

「プロ……サー……」

「…………」

「プロデューサーさん……!」

「こっ、小梅……」

まだハッキリとしない視界、小梅の呼び掛けだけだけが聞こえる。目を擦るとぼやけていた視界も少しだけ回復。そこは薄暗く小梅の顔を確認すると狭いだけの此処がシェルターの中だという事を再認する。

「やっ、やっと……起きました……」

「寝てる場合じゃなかったよね。ごめん」

どうして眠ってしまったのかまるで覚えていない。覚えているのは小梅の歌声だけ。それから後の事は何も覚えていない。思い出そうとしても変な頭痛が邪魔をしてくるせいで諦める事にした。

「寒いね」

「扉……あっ、開いてる……」

時間が経つまで開かない扉。開いているという事は意識が無く眠ってしまったその間に終わってしまったという事。この扉の先は自分の知らない終わった後の虚無の空間。何も知らない恐怖でしかない先を考えるだけで息が荒々しく心臓の鼓動も激しくなっていく。

でもそんな事を思っている場合でもない。小梅に心配をさせてはいけない。小梅だってこの扉の先が不安と恐怖でしかないと思っているだろう。深呼吸をするとほんの少しだけ落ち着けた。

「先に出てみる。小梅は待ってて」

「でも……」

「すぐに戻ってくるから」

「ひっ、一人にしないで……! わっ、私も一緒に……」

小梅は腕にしがみつくと、こちらに視線を向けてくる。小梅の目を見ると彼女は今にでも消えてしまいそうでこのまま一人で出るともう会えなくなるんじゃないかと思えてしまう。そして薄暗く狭いこんなシェルターで一人待たされるなんて不安でしかないと今更になって気付いた。

「何も考えずに発言した。ごめん」

「じゃ、じゃあ……一緒に……」

「うん。一緒に出よう」

不安な要素は消えないし外に出たいとは思わない。それでも生き残った自分には次を見届けなければいけない。例えそれがどんな風になっていても受け入れて最後まで見届ける、争いばかりの次の世界、もしかしたら自分達が求めていた世界かもしれない。

唾を飲み込みもう一度小梅に視線を向けると、小梅はコクりと頷いてくれる。彼女も覚悟が出来たのだろう。シェルターの扉は壊れたのかそれとも意図的になのか分からないけど半分に割れてしまい壊れていた。

「じゃあ、行くよ」

「……はい」

狭いシェルターの壊れた扉、小梅と二人で恐る恐る近付いていく。割れた扉をどかしてその先の世界に足を踏み入れる。

「何もない……」

そこは薄暗く強い風と雪だけが降り積もっていて人類が作り出した建物や自動車、それだけじゃなく人類その物が自分と小梅だけでそれ以外は死体も残さずに跡形もなく消えていた。広がる景色は雪に埋もれた枯れた草原だけで生き物なんてまるでいない。

本当にこの争いだけの人類、世界は終わってしまった。周囲を見渡しても何もない世界、無意識の内に自分は涙を流していた。泣かずにはいられない、生き残った所で結局自分にはどうしていいのか分からない、そんな絶望が自分の心臓を鷲掴みしている。

「ぷっ、プロデューサー……さん……」

「これから二人きりの世界でどうしようか」

「あの子が最後に言ってた……。歌ってて」

「あの子って……」

「歌えば……見えてくるって……」

何もないこの世界で孤独な歌声だけが響き渡る。陽も当たらないで雪降る暗いこの場所で雪を被りながら歌い続ける。そんな小梅の歌う姿を見ていると彼女を一番最初に見付けた時の事を思い出していた。

陰気で自信なんかない弱気な女の子。そんな彼女が歌っている。今までとは何かが違う歌声。そんな歌声を聴いているとまた涙が流れ出てくる。でもさっきまでの恐怖心からの涙ではなく、彼女に対する涙。

小梅は音のないこの終わりの世界で歌い続ける。何度も何度も何度も何度も。歌う事をやめない、自分も止めようとはしなかった。ただただ小梅の歌声に魅了されてずっと聴いていた。何度も繰返し終わらない歌を聴いていた。

「ひっ、ひかり。太陽だ」

薄暗いだけの世界に太陽が訪れ照らしてくれる。次第に雪は溶け、陽に当たる枯れた草は緑に染まって草原は生い茂る。冬を越して春が始まったかのように動物達が顔を出す。太陽に照らさせれて歌う小梅はいつの間にか笑顔だった。

終わりの世界は小梅の歌声で変化した。それはまるでこれから新しい世界が始まるかのように。希望に満ちた次の世界、次は争いなんて起きない世界、誰もが助け合い問題が起きても協力をする世界。

「ひっ、陽の光……当たりたくない……。でもプロデューサーさん……と一緒だから」

「ありがとう小梅。次は争いのない世界にしたいね」

「はい」

「おやすみ」

「おやすみ……なさい……」

END

ぐだぐだになってしまって申し訳ありませんでした

はいご苦労さん

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