提督「ひるよる鎮守府?」【安価、コンマ】 (68)
夕闇に包まれた砂利道を、辺りを見回しながら進み続ける。靴の下でざりざりと音が鳴った。
遠くの高台に見えるのは、鎮守府のような施設の……残骸だ。過去の人間たちの遺物であるのか、
あるいは戦闘の痕跡なのか、外観は見るからにボロボロである。中々味があるとも言えるかもしれない。こんな時でなければ。
四方が海、目が覚めた砂浜から見えたものはボロボロの鎮守府施設のみ。服が濡れていたことから打ち上げられたことは明らか。
要するに、遭難したのだ。さらに、季節と太陽の高度から見ると、位置的にここは本土から見て存在しない位置にあるというおまけつきだ。
……流れ着いて生きながらえたのは、幸運か不幸か、結論はでないが、無聊に時を過ごすわけにはいかない。
首筋をカリカリと掻きながら、高台にそびえる建物を、恨みがましい目で睨みつけた。
※艦これ安価、コンマスレです。
※全年齢です。
※ヤンデレが中心になると思います
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1758 上弦の月
砂浜から一時間。やっとの思いで鎮守府に到着したときには、太陽は今にも沈んで行こうとしていた。
息を吐きながら沈みゆく夕日を眺めて、少しぼんやりとしてみる。どこで見ても其れなりに美しい……、……?
なんだろうか、辺りが暗くなっていくのは当然なのだが、なんだか、違和感が……。
1759→1800
……夕日の方向から、此方に向かって黒い影が流れ出るように海を覆い始めている。
橙色を反射している海水面が、塗りつぶされるように覆われていき、四方八方から島に迫っている。
海岸にいたならば、すぐさまあの影に飲まれていた。もっとも、ここも時間の問題かもしれないが。
表情筋に力が入りながらとにかく施設に逃げ込もうと後ろを振り向く。そこには――
本土と同じように整備されている、立派な鎮守府の姿があった。
息を飲みながら、一番大きな建物に逃げ込んだ。とにかく生き残るため、屋上を目指さなければならない。
今日は上限の月、月と星の明かりで辛うじて窓の近くは見ることができる。
しかし、いきなり小奇麗になった鎮守府だ、何があるか分からない。入口に電灯かそれに準ずるものが見つかればいいのだが……。
……あまり時間もかけていられない。とにかく辺りをかけずって、屋上で神に祈るとしよう。
体力50
精神力100
汚染度0
安価↓、下一桁コンマ
0,1,2,3 ライターを見つけた。
3,4,5,6 懐中電灯を見つけた。
7,8 何も見つからない……
9 ……黒い……毛玉?
0 懐中電灯と鎮守府の見取り図を見つけた。
ゾロ目 ???
あ
糞スレやんけ
とっととエタれや
懐中電灯が、しゃんと入り口横の花瓶に置いてあった。手の行き届いた整備がされていて、すこし嬉しくなった。
黄白い光が先を照らす。すぐ前に廊下があって右と左に分かれている。
とりあえず、階段を探して歩く。そのとき、この鎮守府についての資料があれば拾っていこう。
鼻を腕で擦って、一歩ずつ前に進み始めた。
直下コンマ
0.1、2,3 無事に階段を見つけた。
4、5,、6、7 階段を見つけた。けれどもなんだ、黒い毛玉が浮いているぞ。
8、9 照らした先に、黒い影が。
ゾロ目 ???
はい
つまんね
ミムラ
反応を見るに、残存電池量はたっぷりありそうな懐中電灯を片手に、闇を照らして進んでいく。
ところで、気になったことはこの施設内、直前まで誰か、というか手段が使っていた痕跡が至る所にある。
夕暮れ越しに見た景色はあんなにもぼろぼろであったのに……。
そんなことを考えている間に、階段を見つけた。喜び勇んでそこにまで走ろうとした足はしかし、
今更かもしれないが、非、現実的なものを前にして止まる。黒い毛玉のようなものがふわふわと浮いて、
ちょうど階段の前に漂っていた。
どうしようか、どうにも反応がない。ライトに照らされているのに気がついていないのだろうか。
ならば素通りしても気がつかれないだろうか。……驚かしてみるのも一手かもしれない。
攻撃してもいいが、実体があるのだろうか?
安価↓
1 素通りする。
2 ギリギリまで近づいてライトで驚かしてみる。
3 蹴り飛ばそう。
ミムラ
4自害する
2
1
一旦明かりを消して、動かないことを願いながらにじり寄って行く。
そしてぎりぎりの位置にまで近づいて、おもむろに光をつけてみた。
光に驚いたのだろうか、文字通り総毛だった毛玉は、まるで子供のように逃げ出し、
途中で壁にぶつかりながら廊下の角を曲がって行った。
少しの罪悪感と、奴らは壁をすり抜けることができないということを確認しながら、
屋上を目指して、階段を上り始め、そして上り切って、屋上の扉に手を掛ける。
手を掛けた先に見えた景色は、満天の星空と、四人の少女――。
眠い、眠い、眠い眠い……。
一瞬、ふら付いて再び見返すと、四つの黒い毛玉がそこに浮いていた。
退くか先ほどのように追い払うか、悩み、後ろを振り向いたところで、
黒い影が階段を飲むように覆っていることに気がついて、急いで屋上に乗り込んで。
後ろ手で扉を閉めた。再び前を眺めると、四つの毛玉はこちらににじり寄ってきていた。
そして、そのまま、黒い毛玉はこちらの身体に触れて――
『人間』『人』『艦娘が守るべき人』『提督?』
『私たちの提督?』『このひとが……』
やめてやめてやめていたいたいいたいどうしてどうしてどうして
ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない
どうして、私たちがこんな目に?
汚染度0→5
体力50→100
精神力100
600
目を覚ました。身体の節々の痛みとなんとなくの気怠さを抱えながら立ち上がる。
……ちょうど、朝日が昇り始めていた。昨日はどうかしたのだったか。確か、黒い毛玉が、集ってきて……
辺りを見回す、屋上はところどころからツタが生えていて、遠望したボロボロの鎮守府に戻っていた。
昨日は、あれからどうなったのだろう。分からないことが多すぎる。考えが堂々巡りになってどうにもならなくなったとき――。
蝶番が音を立てて、屋上の扉が開いた。
安価↓2 艦娘名
ゴーヤ
舞風
舞風「ワンツー、ワンツー♪ ……あれ?」
扉が開いて身構えたところで、姿を現したのは艦娘だった。
駆逐艦型だろうか、深海棲艦と戦う人類の兵器。リズミカルな声を出しながら、金髪の少女が入ってきた。
舞風「…………」
先ほどまで、感情豊かだった少女の瞳から色が消えて、能面のような顔になって此方を眺める。
じっとその瞳を見つめ返して、相手がどう出るか、対応を図っていると、
舞風「ああ、この鎮守府に着任した提督だねー!」
思いもよらない言葉が出てきて、思考が止まってしまった。提督? 誰が?
頭を巡らせる。ここに流れ着く前に、自分は何をしていたのだったか?
士官学校に入ったことは覚えている。しかし、そこからの記憶が完全に朧になっている。
昨日から着ているこの服は海軍の、提督の軍服だ。砂浜に打ち上げられていたときも着ていた。
……そういえば、海岸に打ち上げられたとき、何故この服は、部分的にしか濡れてなかったのだろう?
舞風「ほら、提督、ここから出よう? 色々ガタがきてて危ないしさー」
皆のことも紹介するよ! そんな少女の声を聞きながら懐中電灯を掴んで思考を続けたが、
これも結論が出そうになかった。
安価↓ 艦娘名4人まで一人一つでお願いします。
朝潮
時雨
秋月
春雨
施設の外、どこそこもボロボロだったが運動場は辛うじて整備されていた。
私たち、頑張ったんだよ! 舞風が胸を張っていると、
朝潮「新しく着任された司令官ですか?」
秋月「こんなところにまで良く……」
黒いロングヘアーの少女と後ろでまとめた少女がきびきびとした様子で、此方に声を掛けてきた。
駆逐艦、朝潮です。ピシッっと少女が敬礼すると、秋月型駆逐艦、一番艦秋月です。隣の少女も敬礼した。
クー、とお腹が鳴る音がして、朝潮が隣を睨みつけ、秋月が顔を赤くした。
その光景が微笑ましくて、少し悩みが薄らいだ。
時雨「春雨、ほら、隠れちゃだめだよ」
春雨「うう~で、でも~」
時雨だよ、よろしくね。 は、春雨です。僕たちは姉妹なんだよ。よろしくね、提督。よろしくお願いします。司令官。
二人が恭しげに頭を下げる。その様子に、少し絆されたが、続いて朝潮が、以上五名です。と声を上げて、
五名? と聞き返す。朝潮が、ハイ! と頷いた。
こんな小さな少女たちが、五人だけで――。
全く状況は把握できていなかったが、状況が変わるまでは、提督の真似事ぐらいはしてやってもいいかと思った。
今日はこれまででです。次は明日の夜から始めます。
乙
乙
おつ
提督
精神力100
汚染度5
※体力オミットします。すみません。
執着度
舞風 0/50
朝潮 0/50
秋月 0/50
時雨 0/50
春雨 0/50
その後、春雨が用意してくれた朝食を何故か運動場でとったが、先に艦娘たちは済ませていたらしく、一人食べ終わった。……お腹の音は?
戻ってきた春雨から、食器を回収しつつの、またお昼頃運動場に来てくださいとの言葉をいただく。
すぐさま去って行こうとする春雨の後ろを追いかけたが、彼女はなぜか鎮守府近郊の森に入り、そのまままかれてしまった。
900
……提督、提督とはいったい……。提督呼ばわりはされたものの、なんの仕事の要求もされず、放置されっぱなしだ。
それに、彼女たちにはいくつも聞くことがある。何とか問いただせればいいのだが。
安価直下
0,1 舞風
2,3 朝潮
4,5 秋月
6,7 時雨
8,9 春雨
ぽいぽい
秋月「あ、駄目です! 司令部施設その他は危険なので入ってはいけません」
お腹の音といい、ツッコミどころを増やしていく秋月。
あの後、屋外はどこを探しても艦娘たちを発見することができなかったので、建物を調べようとしたら、これだ。
昼間の時間は、どこで何をやっているのか、提督として何をすればいいのか、聞く。
秋月「え、えーっと、実は、本当に言いにくいのですが、私たち、死守命令を受けているんです」
この島を死守するように……けれども、敵襲も増援もないので、両方ともこの島を忘れているのかもしれませんね。
秋月の言うことに、昨晩のことを引き合いに出して反論するが
秋月「……? 昨晩も平和な一夜でしたけど」
はぐらかしたのか、本当に知らないのか、納得のいく回答は得られなかった。
秋月「すみません、失礼かもしれませんが、、私の仕事に助力していただけませんか?」
質問にも、続けて回答しますから、そう言われて、特にやることもなかったので、彼女と野草取りに励んだ。
900→1130
仕事をしながら、いくらか質問をしたが、
秋月「食料は十分にあります。連絡手段、交通手段については、本土からの物資や装備がなければ……」
とのことだった。味方がこの島に来るまでは、やはり、ここで暮らさなければならないらしい。
ため息を吐くのを抑えながら、彼女と別れた。
執着度
舞風 0/50
朝潮 0/50
秋月 5/50
時雨 0/50
春雨 0/50
1200
昼食を終えたところで、また、他の艦娘を探すことにする。
見つからなくても、いざとなれば、また建物に侵入しようとすれば、誰かしら寄って来るかもしれない。
どうやって感知しているのかは知らないが。
安価直下
0,1 舞風
2,3 朝潮
4,5 秋月
6,7 時雨
8,9 春雨
フミィ
時雨「ごめんね、春雨も悪い子じゃないんだ」
運動場で、アリスのウサギのように去って行く春雨を見送ったところで、後ろから話しかけられびくりとする。
彼女は、時雨だったか。物腰穏やかな艦娘である。春雨についての釈明をいくらか受けたところで、
昨晩、異常はなかったか、尋ねてみる。
時雨「昨日の夜? 特に異常はなかったけど……」
秋月と同じような回答が帰ってきた。この質問についてはどの艦娘に聞いても同じかもしれない。
時雨「そうだ、もし時間があるなら、この鎮守府を案内するよ。 大体ボロボロなんだけどね」
願ってもない誘いだ。にべもなく頷いて、先導する彼女の背中に、ついていくことにした。
1200→1430
時雨「司令部のある本棟はボロボロで入らない方がいいね、資材倉庫も二人以上で入るようにしてるんだ」
あと、あれが僕たちの宿舎。あれと運動場は何とか整備して使っているんだよ。
時雨が指を向けたのはこちらが初めにいた砂浜とは逆方向の場所だ。……昨日の夜、完全に影に飲まれていた。
時雨「提督も、あそこで眠ってもいいけれど……なるべく、節度は守ってね」
時雨の忠告を聞きながら、今日の夕陽が沈むだろう場所を、少し、眺めてみた。
執着度
舞風 0/50
朝潮 0/50
秋月 5/50
時雨 5/50
春雨 0/50
安価直下
0,1 舞風
2,3 朝潮
4,5 秋月
6,7 時雨
8,9 春雨
あ
※申し訳ありません。やはり自分にはシステム系安価は向いていないということがわかりました。
ヤンデレをかきたいのですが、自分の力量ではどうしてもそこまで続けることができません。
皆様にご迷惑をかけたお詫びとして、このスレはリクエストで短編を書いて埋めます。
すぐに投げ出してしまい本当に申し訳ございませんでした。
とりあえず、安価↓5まで、同一IDでも可です。艦娘名とシチュエーション、あと属性(ヤンデレなど)をお書きください。すべて書きます。
迷惑ばかりかけて、本当に申し訳ございませんでした。
安価下5までってんならちょうど今いる5人の艦娘をイッチの好きなように料理した短編を書けばいいんじゃない
コンマをやめて安価オンリーにすれば良いのでは
安価なら下
舞風とデート
埋めるって事は艦娘一人につき約200レスも物語を書いてくれるのか(大歓喜)
まあ無理しないで埋まらんと思ったら依頼出してもいいんよ
安価コンマやめてこの面子で非安価で物語を作ればいい
確かにわざわざ5つに分けなくてもこのまま非安価で続き書いてくれると俺も嬉しい
※とりあえず、舞風と他四人の短編と、非安価で続きを書きます。
あと、どうにも他四人の短編のシチュエーションが思いつかないので、どうかアイデアを授けてください、お願いいたします。
明日から短編から先に書いていきます。皆さんにご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした。
朝潮↓ シチュエーションや要素
秋月↓2
時雨↓3
春雨↓4
逆レ
一緒にお食事にいこう
ケッコン ヤンデレ
無難にデートで
※ありがとうございました。とりあえず、舞風短編です。
季節は秋になって、鎮守府近くの早朝の並木道を、舞風と色づき始めた紅葉を上に眺めながら、手を繋いで並んで歩く。
体格の違い、歩幅の違い。舞風の方がどうしても遅れてしまうので、なるべく彼女の速度に合わせようとする。
そのせいで、不規則な歩き方になったからだろうか、舞風はぷりぷり怒り出して
舞風「もー、提督のリズムが崩れちゃうでしょ!」
提督の歩幅の感覚、あたしにとって気持ち良いんですから、気を使わないで下さいよね! 背伸びをしながら、目を閉じて、
怒ってますよというポーズを舞風は取った。その有様が妙に可愛らしくて、髪の毛をくしゃくしゃとなでる。
んもー! という声を聞きながら、離してしまった手を差し出すと、誤魔化されないんですから! 舞風は言いながらも手を取った。
他と比べると短髪の金色で、頭がちょうどいい位置にあるものだから、ついつい親愛の象徴に手が伸びてしまう。ちょうど良いってことだ、と舞風に話すと、
舞風「あとで、のわっちに、言いつけてやるもん」
野分は、舞風のことになるとねちねちとしかりつけてくる。とっても過保護だ。さすが面倒くさくなりそうなので、此方が悪かったと真面目に謝ろうとして、
少し、嗜虐的な気持ちが沸いてきた。此方の反応をへへんとしながら見ている舞風に、
それなら、野分には、那珂ちゃんコンサートに一緒に行って、許してもらうかな。言いおわってから、横目でチラリと舞風の顔を眺める。
舞風「えっ……、提督、のわっちと一緒にデートするんですか……?」
あれ、なんだか、反応が……。舞風は、でものわっちなら、でも提督と、のわっちだって……ブツブツ考え事を口から漏らすと、
やがて、処理しきれなくなったのか、瞳に涙を浮かべて、しゃっくり上げ始めて、
舞風「ううー、のわっちは大事だし、提督のことも、好きだけど、……でも、二人に仲良くなりすぎてほしくないよう」
やはり、彼女たちは、一部では及びもつかぬほどの判断力を見せるのに、情緒面では恐ろしく幼げな面も見せる。……どちらにせよ、言うべきでなかった。
ぽろぽろ泣き始めてしまった舞風を、近くのベンチに担ぎ上げて座らせて、横について、平謝りした。
あんまり子ども扱いするもんじゃない、舞風、立派に成長してるなあ。
でも、としゃっくり上げて、否定しようとする舞風を制して、言葉を続ける。
そう言う感情を持つことは、まったくおかしなことじゃない。そしてこっちは、舞風、お前がそういう感情を感じないようにしないといけなかったんだ。
ごめんな、舞風、言うと、舞風は、でも、と食い下がるので、そのまま互いに制し合った。どちらともなく無言になった。
そして、しばらく一緒に座って、並木道の枝から覗く日差しを手を繋いで眺めた後、やがてゆっくりと、共に立ち上がる。
舞風「ねえ、提督……?」
あとで一緒に踊ろうよ。そう言う舞風を撫でようとして、やっぱり手の握り方を変えてやった。
えへへと笑う舞風を横目に、微妙に歩幅がずれながらも、並んで鎮守府の帰路に就くのだった。
※朝潮の短編、というか舞風もそうですが、小ネタレベルの量ですね、すみません。
子供のような柔らかさを残した指が、首に巻きつく。見た目からは想像もできない力で圧が加えられ、気道が締められていく。
思えば、朝潮という少女は最初からとても従順であり、此方に奉仕することこそ最上の喜びであると、公言していた。
まるで子犬のように後ろをついてきて、懐いてくるので、ついつい甘くしてしまうこともしばしばであった。
朝潮「司令官……♥」
そんななか、いつものように朝潮を褒めていると、満潮から苦言を呈される場面があった。曰く、くっつき過ぎだと。
彼女の発言から考えると、確かに最近、朝潮からのスキンシップが激しくなっているように思える。
報告ごとに、頭を撫でることをせがみ、手を差し出すと頬を擦りつけ、指を出すとぺろぺろと舐める。
どこまで深い関係になっているか知らないけれど、時と時間ぐらいはわきまえなさい。厳しくも正しい提言であった。
朝潮「申し上げますが、朝潮は貴方の呼吸にさえ介在したいのです」
頭部につながる血流が遮断されていき、思考野の運用がどんどん鈍らされていく。朝潮の普段のキビキビした様とは正反対の甘い声は、
枯死していく脳内にどこまでもしみわたって行きそうだった。
……それからは、ことあるごとに成果を報告に訪れ、褒美をねだって来る朝潮に、声を掛けるのみで終わらせた。
初回は、何が起こっているのか分からないという顔をしていた朝潮だったが、その後も繰り返していくうちに、
まるで、親に見捨てられていく子供のような態度になり、このような態度をとるのは、己の成行に不足があるからだと、
やがて成果を上げようと無茶を繰り返すようになっていく。……酷く艤装を破損させ、自分の命をかえりみなかいので、きつく叱責した。
不意に朝潮の唇が、此方の口に触れた。舌でこじ開けられ、朝潮の息が吹き込まれていく、同時に締められていた首が解放され、
脳に血流が戻って来る、おそらくはそのせいであるとどこかでわかっているのに、朝潮の息で、生命が吹き込まれたような気になる。
朝潮「司令官、朝潮の味は、いかがですか……?」
叱責を受けた朝潮はひどく取り乱し、部屋にこもって塞ぎこんでしまった。朝潮が、ここまでこちらに依存しているとは思わなかった。
その日の晩、朝潮に理由と、人気のないときならば、以前と同じ対応をとると伝え、そのまま床に就いたところで、この有様だ。
朝潮「この数日間、私、本当につらかったです」
成果を、際立った成果をあげられないくせに、司令官の傍にいようとしたことで、司令官は朝潮の心根が穢れたものだと思われになったのだ、と
私が司令官に媚を売ることで、鎮守府内での栄達の見返りを期待している、ただ純粋に司令官に奉仕したいだけであるのに……!
だから、……理由がわかった今であっても、別の面でも司令官に朝潮を捧げなければ、いつかそれが現実になってしもうとも、思います。
朝潮「だから、司令官」
私の肢体を使用して、司令官の情欲を満たしていただきたいのです。司令官のことですから、普通に迫っても躱されてしまうでしょう。
だから、強硬手段に出てしまいました。ですが、この罪は、朝潮の身体を、配慮無しで貪っていただくことでことで埋めてください。
朝潮は、そういうと、身に着けた艤装の一部からの、艦娘本来の力を使って、こちらの抵抗をおしこめて――!
ほ
※遅れてすみません。秋月小ネタです。
世の中は、冷たい……! すっかり薄くなってしまった財布を叩きながら嘆く。
金銭は何だかんだ言っても心の保温材の一つである。あればポカポカしてくるし、なければ寒々しい。
そして、いま現在、全裸マンと化しているんだと言わんばかりの寒さに晒されている感覚がある、身体にまで伝播してきそうだ!
いや、冬のこんな時期にあんまり日当たりのよくない鎮守府の裏庭にいるのが原因なのかもしれないが……。ため息がでてしまう。
秋月が走って来る。訓練中で鎮守府内をぐるぐると走っているようだ。艦娘たちは気候変化に強いらしい。
戦えど戦えど我が暮らし楽にならざるなり、……いや、給料はきちんともらっている。それなりにいい指揮官であろうとしてきたからか、
それなりの地位でそれなりの金額が出ている。いや、それなりで満足しては駄目だ! 男たるもの頂点を目指すべし。狙うは元帥。
そしてそのためには、出費を惜しむことがあってはならない! ……装甲空母って男の子だよな……。 お腹の音が、なった。
秋月が走ってきた。お腹を抱えている此方に大丈夫ですか、と、声を掛けてきた。優しい娘だ。
鎮守府の運営に支障を出すわけにはいかない。預貯金根こそぎ振りまくり、ついに大鳳と邂逅した、のはいいのだが、この大鳳、
実に風変りなところが目立つ。酒を顔が赤くなるまで飲み喰らい、裂帛の気合を込めた掛け声、百派ーで、式を飛ばして敵を討つ。
それに胸がデカい。髪も紫色だ! あれは大鳳あれは大鳳あれは大鳳……。大鳳、なんだ! 思わず大きな声が出てしまった。
三週目秋月、掛け声とともに風に襲われ、その真っ赤な中身を露わにする。頭の先まで同じ色に染まらせていく。
赤、か。そうだ、我々は搾取されているんだ。あれ、大鳳じゃねえよ、隼鷹だよ。
……思ったことだが、いくら特別だと言っても、艦娘の建造にあれだけの資材が飲み込まれていくものだろうか?
もしかして、建造妖精たちによる中抜きが行われているのではないだろうか、
だとしたら我々が汗水たらして稼いだ資源、戦闘要員の妖精、艦娘たちが必死に稼いだ資源を、建造妖精たちは不正に奪い取っていることになる。
視線を移す。赤がまた目に入る。我々は立ち上がらなければならないのではないか。
いや、立ち上がらなければならない。建造妖精たちによる不正な富の収奪体制を打倒し、我々労働者が平等に富を分かつ鎮守府を……! シャッター音、一つ。
秋月から見ないで下さい! と声がとぶ。赤いシンボルに胸の情熱は収まるところをしらない、スマホカメラに収め続ける。
「何、撮っているんですかー!」
秋月が何か投げてきた。身をかわして避けたそれは、空になった牛缶だった。不意に、涙があふれてくる。
「え、な、何? 大丈夫ですか?」
世間のどうしようもない壁にぶつかって泣き続ける俺に、秋月はしばし困惑した後、飯を作ってくれた。
沢庵と牛缶と麦飯の、あんまりにも質素すぎる食事の有様に、自分の甘えっぷりを自覚させられる。
一時の貧しさに文句言ってる場合じゃない、次の給料日まで希望を灯して働こう……そう、思った。
「ひとーつ、ふたーつ、……よーっつ」
「う、うう、あああ」
「ほらほら、早く認めないと数がどんどん増えていくぞう、やーっつ」
秋月の瞳孔は揺れた! 口からは言葉にならない音が漏れ、身体は小刻みに振動している。
増やすごとに増やすごとに、彼女の動揺はひどくなり、いつもしゃきっとした姿からはかけ離れた状態になって行く。
「良いじゃないか、ご飯を奢るくらい。じゅうろく」
「だって、だって、私、いままで外食、なんて、したことなかったん、です。そんな私がおしゃれな店に行くなんて、皆さんも――」
「ええい、いいから来い! 行かないと、さんじゅうに!」
「ああ、やめて、やめてください! そ、そんなに積まれたら、私、私、牛缶、牛缶があ」
「ふん、そんなこと言いながら身体は正直みたいだな。上の口が湿っているようだぞ。……これで最後だ、ろくじゅうよん!」
目の前に置かれた牛缶の山を蹴散らすように牛缶を叩きつける。秋月は堪えきれなくなったのか目を回して意識を失った。
……うん、やりすぎてしまったな。目の前の牛缶の山を眺めながら考える。この前の食事の礼をしようと、回転ずしにでも連れて行こうといたが、
秋月が拒否しそうなことは目に見えていた。そのため、ついでに牛缶をプレゼントする方式で攻めていったわけであるが、給金に任せて倍々ゲームで増やしたらこのざまである。
「提督命令で、普通に連れ出すことにしよう……」
涎をたらしながら眠る秋月の口元をふき取ってやりつつ抱き上げて、パンツは赤でも身体は青なんだなとか思いながら、行く店の算段を立てるのだった。
乙
※時雨小ネタです
鎮守府最高の技量の証として、艦娘たちに勲章を与える――上層部からの通達が届いたのはいつのことだっただろうか?
届いたときには、どのようなものになるかは想像もつかなかったけれども、きっと艦娘の献身と名誉を称えるものになると、信じきっていた。
「提督、どんなものになるんだろうね?」
彼女は秘書艦を務めてくれている時雨、実務能力の高さと初期からいることによる戦闘力の高さを買って秘書艦を任せている。
欲しいか、と聞くとううん、あんまり欲しいとは思わないよ。表面から見てもあまり欲しそうには思えない。
「僕は、提督の傍にいられれば、それで」
黒い髪の毛が犬耳のようにピンと跳ねた彼女は、自分の感情を抑え込んでしまう傾向がある。姉妹がいれば姉妹に譲り、
仲間がいれば仲間に譲る。構って欲しいときさえも、自分からはあまり言い出さない。そんな彼女もけれども構ったときには、
心の底から嬉しそうな顔、安心感に包まれているような顔を見せてくれる。彼女の弛んだ顔を見ると、此方もとっても心が安らぐのだ。
今日の彼女は幾分か積極的なようであった。言い終わった彼女は顔を紅潮させて俯き、主張しすぎちゃったかな、と漏らすと、
此方をチラリと見上げてはまた俯く。加護欲を掻き立てる彼女の様子に、右手で軽く彼女の頭をポンポン、と叩いてやる。
弾力ある犬耳のような髪の毛が手を押し返し、指の間からはぴょこんと出た髪の毛が覗いた。
「わわ、もう、子ども扱いして……、でも、ありがとう」
頭を撫でる手を彼女は取って、両手で首の前に持ってきて吐息を漏らした。彼女の安心している様子に癒されているこの感情は、
軍人としてあるまじきことだろうが、どうやら娘を持った父親のような感情を抱いてしまっているらしい。
もし、戦争が終わったら、彼女たちの面倒を見て行ける職業に就きたいな。心の底から、そう思った。
上が寄越した勲章は、随分悪趣味な形をして、授与する相手は提督に一任するという、随分悪趣味な指令を送ってきた。
銀に輝くその勲章は指輪の形をしていて、女性としての姿を取っている艦娘たちにとっては、こちらの男性を強く意識させるものだ。
現在、提督たる此方と艦娘たる彼女たちは、性別に関して意識しない、上司と部下、ギリギリで教師と生徒程度の関係を築いていると思う。
しかし、この指輪はその関係をぶち壊しかねない爆薬になる。こちらがそう思わなくとも、艦娘たちの意識を変えてしまうかもしれない。
指輪は装備した艦娘の戦闘能力を向上させるとの通達があった。ならば、何故一つしか送ってこないのか。
期日までにいずれかの艦娘に授与することとは、上層部は何を考えている。
一名のみにこれを送り付けて、その艦娘を取り巻く環境は間違いなく悪化するだろうに。いや、此方が意識しすぎているだけなのか?
艦娘たちはこれは単なる勲章だと思い込んで自分もやるぞと努力する……してくれるか?
これについて考え続けていても答えが出ることはないだろう。今考えるべきなのは誰に渡すのが一番いいのか、だ。
初期からいる艦娘のいずれかを選ぶべきではない。純然たる実力のみの評価から選ばなければならない。
ならば、戦艦か、正規空母……赤城はどうだろうか。技量は群を抜く一航戦の一人で、
性格はおっとりとしていて、暴走することもない。ただの勲章だといえばその通り受け入れてくれるはずだ。
「新しい勲章って、指輪型なんだね」
執務室にはいてきた時雨は、机の上に置かれた白い小型の箱に目をやってこれは何かと聞いてきた。
彼女相手ならば、中身を率直に伝えたとしても騒ぎ立てるような真似はしないだろう。勲章が入ってると伝える。
何だか、指輪が入っているような箱だね、時雨は笑みを浮かべる。指輪が入っているからな。時雨は目をパチクリさせた。
勘違いさせるような形状で困るね。ちなみに、誰にあげるの? 時雨は、今度は初めのような自然な笑みではなく、
取り繕うような笑みを浮かべると、どこかぎこちない声でそんなことを言った。……まあ、大丈夫だろう。彼女は信頼を裏切る真似はしない。
伝えたところで、邪推したり、喧伝して煽ったりもしない。純然たる実力の評価から、赤城に与える。
「…………」
時雨は自分の指を見つめ始める。何を見ているのだろう。
視線を左手の薬指辺りに集中させている。指がどうかしたのか、聞いてみると、時雨は、問いには答えを返さず、
提督、少し、指を貸してくれないかな、言われるがままに指を差し出す。そして、時雨は左手薬指に手を這わせる。
「左手薬指って、どんな意味を持っているのか知ってる?」
左手薬指? 確か、心臓につながる血管があると昔の人は信じていたらしいな。答えを返しつつ、
彼女がどうしてこんなことを聞いたのか考える。やっぱり、指輪のことから、そういうことを連想したのだろうか?
……時雨も考えてしまうのか。それならばやはり、懲罰覚悟で、この指輪は誰にも与えない方がいいのかもしれない――。
「ねえ、提督」
提督の指を、噛んでもいい?
……唐突なことを言われて思考が定まらなくなる。指を噛む? なぜ?
聞き返す前に、時雨は訥々と理由を話し始める。ごめんね、勲章から、結婚指輪のことを考えちゃって、
……ちょっと、赤城さんがうらやましくなっちゃったんだ。
時雨は一度息を切った。
「ごめんね、こんな、今の関係を壊すようなことを言って」
この後、秘書艦から外してもらっても構わない……けれど、その前に、一つお願いがあるんだ。
……提督のことだから、こういうこ都にならないように赤城さんに渡すんだってわかってるよ、でも、
「もう、抑えきれなくなっちゃった」
提督の薬指から、提督の心臓の鼓動を感じたくって、
提督と僕とがつながってるって、僕が提督の身体に循環していくんだって、そんな風に思いたくって、だから
「提督の左手薬指、噛ませて」
乙
乙
ほ
ほ
ほ
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