モバP「ココだけの話」(38)
―とあるアパート前にて―
ピーンポーン♪
亜子「……」
インターホン『山』
亜子「岩木山」
インターホン『……』
インターホン『川』
亜子「天竜川」
ガチャ
忍「……入って(小声)」
亜子「お邪魔します(小声)」コソコソ
土屋亜子(15)
http://i.imgur.com/SunfPpG.jpg
工藤忍(16)
http://i.imgur.com/OGM9iz1.jpg
忍「ニューウェーブの2人には気付かれなかった?」
亜子「さくらは大丈夫やけど泉はちょっと不審がっとるなあ。今度アリバイ作りに
協力してくれへん?」
忍「わかった。こっちも穂乃香ちゃんが怪しがってるからうまく合わせてね」
亜子「当然やん。ウチらはもう共犯やで」
忍「そうだったね。ふふふ……」
亜子「うひひ……」
保奈美「……毎回飽きないわねあなた達」ハア
亜子「だんだんうまなってない?『愛人と密会ごっこ』」ニヤリ
忍「私も亜子ちゃんにノセられてやってたけど、楽しくなってきちゃって」
保奈美「その小芝居を見せられている私はどうリアクションをとればいいのかしら?
そもそも忍ちゃんは愛人ってキャラじゃないでしょ」
西川保奈美(16)
http://i.imgur.com/hBIZKUo.jpg
亜子「何言うてるん?愛人役はほなみんやで?」キョトン
保奈美「私だったの!? 」ギョッ!!
忍「私は2人の密会現場を提供する協力者の役だったんだけど」
保奈美「なにその手の込んだ配役!? 」
亜子「も~、あかんやんほなみん。ちゃんと見とかな」
保奈美「愛人役を承諾した憶えはないけど。ていうかその役嫌なんだけど」
亜子「でもウチのアイドルで愛人役が似合うのほなみんしかおらんしなあ」
保奈美「私まだ16歳なんだけど!? 私以外にもいるでしょ!! 」グワッ!!
亜子「たとえば?」
保奈美「え?そ、それはほら、あの人とか……」アセアセ
保奈美「……ってそんなの言えるわけないじゃない!失礼でしょ!」
亜子「ほなみんホンマおもろいわ~♪」ケラケラ
忍「とりあえずお茶淹れるね。あ、りんごもむいてあげる」スタスタ
―とあるアパート 改め 忍のアパート―
亜子「やっぱこの部屋落ち着くなあ。実家みたいな安心感やわあ」ゴロゴロ
保奈美「ちょっと亜子ちゃん、行儀悪いわよ」
忍「あはは、いいよいいよ。保奈美ちゃんもくつろいでくれていいんだよ」
亜子「ほなみんいつも正座やもんなあ。足痛くならへんの?」
保奈美「時々崩してるわよ。悟られないようにするのがコツね」フフン
忍(何のコツなんだろ……?)
保奈美「そういえば忍ちゃん、ちひろさんに聞いたんだけど事務所が紹介した寮を
また断ったんですって?」
亜子「また?これで100件達成したんちゃうん?」
忍「そ、そんなに断ってないから!紹介してもらった寮は事務所から近くてキレイ
だったから、迷ったんだけどね」
保奈美「この部屋が好きなのね。いつお邪魔しても綺麗にしてるし、インテリアや
家具もこだわってるものね」
忍「上京した時に散々探し回ってやっと見つけた部屋だから、思い入れも強くてさ。
あの頃はまさか自分が寮つきの事務所に入るなんて思わなかったし、最低でも
5年は住むって決めてたからなかなか引っ越す気になれなくて……」
保奈美「まだこの部屋に住んで1年経ってないんでしょ?短期間に住居が頻繁に
変わるのは良くないし、忍ちゃんのやりたいようにすればいいと思うわ。
でもこの部屋セキュリティは大丈夫なの?」
忍「それは大丈夫だよ。この部屋一見すると普通のアパートだけど、鍵は最新の
ピッキング対策のやつに変えてあるし、ドアも強化ガラスなんだ。Pさんが
これくらいはさせてくれって大家さんに交渉してくれたの」
保奈美「ふふ、さすがPさん、細やかな心配りが素敵だわ」
亜子(いつも思てるけど、ほなみんが忍ちゃんと同じ歳には見えへんな。完全に
忍ちゃんのおかんの目線やん)
保奈美「私16歳なんだけど?」ジロリ
亜子「あ、アタシ何も言うてへんで!? 」ビクッ!!
忍「亜子ちゃん顔に出てたよ。わかりやすいって」クス
亜子「地元ではクールでナイスバディな美少女で通っててんけどなあ」
保奈美「それはどっちかと言えば泉ちゃんじゃない?」
亜子「アタシとさくらがナイスバディじゃないって言いたいん!? 」グワッ!!
保奈美「そこは『クールじゃないって言いたいん!? 』ってボケるところでしょ!!
ていうかさくらちゃんどこから出て来たのよ!? 」グワッ!!
亜子「わざとやがな~♪ さくらも拾ってくれてありがとさん☆ 」ニヤニヤ
保奈美「反応してしまう自分が悔しい……!」ギリリ
忍(2人とも大きいなあ。私普通だと思ってたけど小さいのかな……)ペタペタ
亜子「……」ジー
保奈美「……」ジー
忍「な、なに2人とも、急に黙って……」ビクッ
亜子「やっぱり青森の子ってみんな……」ヒソヒソ
保奈美「いや、あの子が変わってるだけで出身は関係ないでしょ……」ヒソヒソ
忍「誰のこと言ってるのか何となくわかるけど、私は普通だからね?ゆかりちゃんと
七海ちゃんもそんな子じゃないからね?」
―――
忍「ところでさ、2人にちょっと相談したいことがあるんだけど」
保奈美「私で良かったら聞くけど、亜子ちゃんもいるのに話して大丈夫?」
亜子「なんでやねん!アタシこう見えて財布のヒモの次に口堅いねんで!」
忍「……やっぱりやめとこうかな」
亜子「わー!ウソウソ!冗談やて!誰にも言わへんから!」
忍「まあ秘密の話ってわけでもないんだけど……」ゴソゴソ
保奈美(スマホ?メールか写真かしら?)
忍「昨日穂乃香ちゃんからこんな写メが送られてきたんだけど、どう思う?」サッ
保奈美「これは……」
亜子「穂乃香ちゃんがごっつでっかいぴにゃ太郎に抱きついてベッドで寝とるな。
これぬいぐるみやのうて抱き枕か?」メガネクイッ
忍「全長160センチのぴにゃ彦抱き枕だって。穂乃香ちゃんすっごく嬉しそうに
話してて、毎日これに抱きついて寝てるらしいよ」
亜子「ひょえ~、ぴにゃ介もここまでデカなったらキモい通り越して怖いな」
忍「うん、怖い。大きくなってもぴにゃ吉は相変わらずブサイクだけど」
保奈美「2人とも私が『ぴにゃこら太でしょ!』ってツッコむの待ってない?」
亜子「さっすがほなみん!わかってるぅ♪」
忍「私はブサイクの名前なんてどうでもいいけど」
保奈美(忍ちゃんは素だったんだ)
亜子「それでこの写真がどうかしたん?穂乃香ちゃんがぴにゃこら太好きなんは
みんな知っとるし、忍ちゃんもようわかっとるやろ?」
保奈美「そうよね。特に何も思うとことはないけど……」
忍「本当に?私この写メ見て穂乃香ちゃんの将来が心配になったんだけど」
亜子「将来て、そんな大げさな」
忍「だってさ、人間サイズのブサイクとベッドインしてるんだよ!? これってつまり
もう人間の男には興味ないってことじゃ……」
保奈美「スト―――――ップ!! アイドルとしてそれ以上口に出しちゃダメッ!! 何が
言いたのかわかるけど!! わかっちゃうけど!! 」
忍「……ごめん、ちょっと取り乱した。亜子ちゃんもいたよね」フー、フー
亜子「アタシそんなにコドモちゃうで?」
保奈美「と、とにかく、こういう話題は女子中学生と女子高生には相応しくないわ。
もう少し大人の人がいないと的確な判断が出来ないと思うし……」
亜子「大人の人って、さおりんとか?」
忍「沙織さん?」
保奈美「沙織さん……」
~~~
沙織『ぅえ!? 穂乃香ちゃんが、ぴにゃこら太と……』
沙織『え、えど、えと、えっどぉ……』
沙織『わ、わだすにはわがんねーですぅーっ!! 』
~~~
奥山沙織(19)
http://i.imgur.com/TnaWD5e.jpg
忍「……無理じゃない?」
亜子「無理やな」
保奈美「無理でしょ。いえ、決めつけるのは失礼かもしれないけど。かといって
他の人の名前を出したら、今度はその人がそういう人だって決めつける
ことになるし、そうであってもなくても失礼ね」
忍(真面目だなあ)
亜子(ムッツリやなあ)
保奈美「発想を変えてみるのはどう?大きなネコの抱き枕に抱きついているって
考えれば、穂乃香ちゃんの将来を心配する事もないでしょ」
忍「いや、ぴにゃこら太はぴにゃこら太だし……」
亜子「せやな。キビしいわ」
保奈美「え?ぴにゃこら太ってネコじゃないの?」キョトン
忍「え?」
亜子「は?」
保奈美「あ、あれ?違うの?私ずっとネコだと思ってたんだけど。だ、だってほら、
ネコの耳ついてるし、口もヒゲもしっぽもネコっぽいし……」アセアセ
亜子「なんちゅうこっちゃ、今までツッコミ専門やと思とったほなみんが特大の
ボケかましてきたで」
忍「パーツで見たらネコっぽいかもしれないけど、トータルで見たら絶対ネコじゃ
ないでしょ。みくちゃんに怒られるよ」
保奈美「私ずっとネコだと思ってたのに、恥ずかしい……」カアア
亜子「まあ元ネタ明らかになってないし、もしかしたらネコかもしれへんけどな。
でもまさかほなみんにはネコに見えとったとはなあ~」ニヤニヤ
保奈美「忘れて!今の話はなかったことにして!」
忍「それで話を戻すけど、同じユニットのメンバーとして、それ以前に人として
私は穂乃香ちゃんがこのままぴにゃこら太にハマっていくのを黙って見てて
いいと思う?私が穂乃香ちゃんとぴにゃこら太を会わせたんだし、結構責任
感じてるんだよね……」
保奈美「そこまで深刻に悩まなくてもいいんじゃないかしら?一時夢中になって、
後になって『どうしてこんなのが好きだったのかしら?』って思う事は
誰でも人生で一度は経験あるし」
亜子「ほなみんホンマに16歳やんな?後で学生証見せてくれへん?」
保奈美「16歳よっ!! 」
忍「私も変なおまけをいっぱい集めて後悔したことあるけど、穂乃香ちゃんもそれと
同じなのかな。だといいんだけど……」
亜子「泉も昔変なキャラのグッズ集めとったで。『タッチおじさん』やったかなあ」
保奈美「タッチおじさん?聞いたことないわね」
忍「どんなキャラだったの?」
亜子「ようは知らんけど、結構前におったパソコンメーカーのマスコットらしいわ。
波平のパクりみたいなオッサンで、ぴにゃこら太よりブサイクやったで」
忍「い、泉ちゃんってそんなキャラが好きなの……?」
亜子「泉はちょっとズレとるからなあ。ボケとかじゃなくてたまに変なこと言うし、
人間って頭良すぎてもあかんみたいやで」ケラケラ
保奈美「過去形ということは、今はもう集めてないの?」
亜子「ぱったりやめたな。『当時の私はウイルスに感染して異常動作していた』とか
『好きじゃないけど希少性の高いキャラだから将来の高騰を見越して』とか
ようわからん言い訳連発しまくっとったわ」
忍「ねえ、今更だけどそれって私達が聞いてもいい話だったの?」
亜子「あ」
保奈美「明らかに泉ちゃんの消したい過去よね」
亜子「やば!この話あかんかったわ!聞かんかったことにして!」
忍「うーん、どうしようかな。青森県民ってだけで登山家にされたし……」
保奈美「ちょっとひどいわよねえ……」
亜子「言わへん!もう言わへんから!泉怒らせたらめっちゃ怖いねん!」
忍「ふふ、冗談だって。ここだけの話ね」
保奈美「ぴにゃこら太の件とおあいこね」
亜子(あれ?今何かさらっと口止めさせられたような……?)
保奈美「いいわよね、亜子ちゃん?」ジロリ
亜子「は、はひ!わかりました!」ビクッ!!
忍「ココだけの話が2つも出来ちゃったね」
亜子「ぐぬぬ、せっかくほなみんをイジるネタが出来たと思たのに……」
保奈美「ボケとツッコミは対等な関係じゃないと成り立たないのよ」
亜子「こうなったら忍ちゃんも道連れやで!何か秘密とかないん?」
忍「この流れで言うわけないでしょ。イジる気満々じゃん」
亜子「ほなみんも手伝ってや!」
保奈美「やめなさい、一歩間違えれば人間関係にヒビが入るから……」ゴトン
保奈美「あ、ごめんなさい。スマホ落としちゃったわ」スッ
忍「大丈夫だよ、カバーもつけてるし」
保奈美(あら、ボタン押しちゃったかしら?写真が表示されて……)
保奈美「え……?」ピタ
亜子「どしたんほなみん?スマホ拾おうとして固まってええええええええっっっ!? 」
忍「どわっ!? ダメッ!! その写真は見ちゃダメッ!! 」バッ!!
保奈美「……亜子ちゃん、何が見えた?」
亜子「この部屋の脱衣所で、パン一になっとるPちゃんが写っとった……」
保奈美「忍ちゃんの部屋だったわよね?それでほぼ全裸のPさんってことは……」
忍「違うよ!誤解だよ!ほら!私達のトークバトルの時って梅雨時だったじゃん!
それでPさんがアパートまで送ってくれた時にいきなり降られて、2人とも
びしょ濡れになって、Pさんが風邪を引いたらいけないからウチに上がって
もらってシャワー浴びてもらって服乾かしたんだよ!」アセアセ
保奈美「仮にそうだとして、どうして写真を撮ったの……?」
亜子「Pちゃん後ろ向いとったし、隠し撮りっぽかったな……」
忍「そ、それはたまたま見えちゃったからというか、つい魔が差しちゃって……」
忍「う、うううぅぅ……」カアアアアア
保奈美(うわ、リンゴみたいに真っ赤になっちゃった)
亜子(このネタはガチすぎてちょっといじれんなあ……)
忍「も、もうこの話はおしまい!誰にも言わないでよ!」
おわり
最近雨が多いので雨の日トークバトルショーのメンバーで。少しませた女子中高生の
会話をイメージしました。なので奥山さんはまた別の機会にでも。ほなみんって劇場で
いつもツッコミ役だから亜子と漫才してそう。
ついでにタッチおじさんの声が坂田利夫だったと知って今更びっくり。我が家にも
グッズあったなあ。バザールでござーるも好きでした。では
乙
このSSまとめへのコメント
TBSの面子か、それぞれの弄り方が面白かった