飛鳥「キミたちは、いったい」 モバP「!?」 (24)

梨沙「晴とはどうなのよ?」モバP「!?」
梨沙「晴とはどうなのよ?」 モバP「!?」 - SSまとめ速報
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晴「……はぁ」

飛鳥「……ふぅ」

梨沙「なに疲れた顔してんのよ、2人とも!」

P「俺も疲れたんだが……」

梨沙「アンタは鼻の下伸ばしてただけでしょーに」

P「つっこむ気にもなれない……。これからどうしようか、落ち着いたとこでも行く? 喫茶店とか」

飛鳥「そうだね、このまま帰るのはなんだか負けた気分だ」

晴「何にだよ……ま、オレも賛成だけどさ」

梨沙「いいんじゃない? 今日の用事は済んだわけだし」

P「じゃあ決まりってことで。そうだなあ、あの店でどうかな?」

晴「あそこか。こっから遠くないしさっさと行こうぜ、つかここに長居したくねぇ……」

飛鳥「……あの店? あそこ?」

梨沙「…………」

梨沙「へぇ~、こんなとこあったのね」

P「安い割にどれもなかなか美味いんだ。デザートはあまり頼んだことないからわからないけど」

晴「オレはカツサンド! あとコーラな」

梨沙「はやっ! メニュー開いてすらないじゃないの――って、ま、まぁこういうとこなら大抵あるわよねカツサンド?」

飛鳥「ボクはとりあえずアイスコーヒーで。えっと、化粧室は……」

晴「おう、あっちにあるぜ。ちょっとわかりにくいよなー」

梨沙「~~!!」

飛鳥「…………ありがとう。注文は取っておいてくれ」

P「わかった、アイスコーヒー頼んでおくよ。さて俺はっと」

梨沙「……飛鳥、中入ったわね。アンタたち、特に晴! なにやってんのよ!」

晴「ん? 何かしたっけ?」

梨沙「アンタねぇ、いつもこのお店来てますみたいな態度抑えなさいってば。アタシはともかく飛鳥もいるの忘れてない?」

P「あっ……」

晴「う……そ、そっか。オレがこの店知ってるの、飛鳥からしたら変に思うよな」

P「いや、この店を選んだ俺のせいだ。慣れないとこにいたからつい安心する場所を選んでしまった……」

梨沙「もう遅いけど気をつけなさいよ? 2人の仲、勘ぐられてもおかしくないんだから」

晴「べ、別にオレとPは……って何で梨沙がそんな知った風に言うんだよ」

P「…………すまん。それも、俺だ。梨沙には話してあるんだ、というか話させられたと言うべきだなあれは?」

梨沙「そう言えないこともないかしら?」

晴「くっ、何のつもりだ梨沙!」

梨沙「そうねぇ、とりあえずフォローしてあげてることの意味は察してほしいわね」

P「だそうだ。ただ面白がってるわけじゃなさそうなのは分かってやってくれ」

晴「…………ほんとだな?」

梨沙「信用ないわね……無理もないか」

梨沙「強引に踏み込んだのは悪かったわ。でも、この様子じゃいずれ誰かに勘付かれてたんじゃない?」

P「な、晴。悪いようにはしないって言ってくれてるんだ。梨沙なら大丈夫だよ」

晴「……そうかもしれねーけどさ。Pのことで前に散々からかわれたからなぁ」

梨沙「そっち!? 意外と根に持ってたのね晴……」

晴「あん時の梨沙は麗奈を上回る小悪党っぷりだったぜ」

梨沙「せめて小悪魔とかにしときなさいよ! とにかく安心しなさい。むしろ応援してるんだから」

晴「応援ってなんだよ……」

P「ま、まあこの辺にしよう。梨沙、注文は決まったか? 頼んでおかないとまた変に思われるかもしれないぞ」

梨沙「その時はアタシが決めかねてる振りしとくわよ」

P「……な? 頼りになるだろ?」

晴「さすが小悪党」

梨沙「やめてー! 今度アタシ怪盗やるんだから! どうせなら大悪党にしておいて、ってそれもヤだけど!」





飛鳥「……? 梨沙まで疲れているように見えるが何かあったのかい?」

梨沙「何でもないわ……ここ最近のアタシの妙なイメージ、絶対覆してやる……!」

飛鳥「?」

P「お、きたか。飲み物先でよかったよな?」←アイスコーヒー

梨沙「そうね……なんかやけに喉乾いたわ」←グレープフルーツジュース

晴「オレも……」←コーラ

飛鳥「ボクはそもそもこれしか頼んでないけどね」←アイスコーヒー

P「何か追加で頼んでいいぞ。甘いもの苦手ってわけじゃないんだろう?」

飛鳥「……まぁ、少しメニューを見ながら考えるよ」

梨沙「あら? Pはミルクとかシロップ入れるのね」

P「んー、気分で変えるよ。ブラックも飲みたい時は飲むって感じで」

晴「飛鳥はいっつもそのまま飲んでるよな。美味いのかそれ?」

飛鳥「そういう気分になるのさ。いずれキミらも通るかもしれない道に辿り着いた者として、ね」

梨沙「その割には苦いの苦手よね飛鳥。少し顔に出るし」

晴「ん? じゃあPみたくいろいろ入れたらいいんじゃねーの?」

P「晴、言ってやるな。本人が飲みたいと思ったものを飲めばいいんだ。そっとしといてやれ」

飛鳥「P、フォローしてるつもりなのだろうが、ボクにはまったく違うように聞こえてならないんだが」

P「いや、俺も昔通った道だしな……。それに飛鳥の素の部分が見えた気がして、なんか可愛げがあっていいと思うんだ」

飛鳥「…………ふん、そうやってコドモ扱いしてるといいよ。いつか痛い目を見ることになるだろうから」

P「痛い目というか、白い目でならもう見られてるぞ。どうした晴、梨沙」

晴「なんつーか……なぁ?」

梨沙「こうやって少しずつたらしこんでいくのね……」

P「うん?」

飛鳥「……。ショコラケーキ、注文していいかな」

P「お、いいぞ。すみませーん――」


 P宅


P「うちに荷物置いといたんだよな」

晴「結局あんまり進まなかったけどな宿題。……なぁ」

P「どうした? 暗くなってきたし送ってやるぞ」

晴「あー、サンキュ。じゃなくって、その……」

P「?」

晴「やっぱ、オレらがこうしてるの、みんなに黙ってた方がいいのかな」

P「……そうだなあ。職場を離れて、個人的な付き合いをしてるってことだから声を大にしては言えないかもな」

晴「それって、オレが女だからか?」

P「それもあるし、そもそも晴はアイドルだ。プライベートで身内以外の異性と親しくしてるのをよくは思われないだろう」

晴「……堅苦しいな、なんか」

P「そういう世界だ。俺にしたって、仕事を共にする女の子達の中から特定の子とばかりオフを過ごしたりすれば、変に勘ぐられても仕方ない」

晴「女ってその辺めんどくせーんだよな……ただの友達付き合いだってのに」

P「でもうちはみんな仲良くて助かってるよ……。まあ男女間の友情なんて存在しない、なんて思う人も少なくないし、俺と晴は友達だからって言い訳は苦しいだろうなあ」

晴「ふぅん、オレはよく男友達と混ざってサッカーしてるからピンとこねーや」

P「晴はそれでいいんだよ。そういう晴が俺は好きだな」

晴「おまっ、さらっとそういうこと言うな! ……。そろそろ帰んねーと、送ってくれんだろ?」

P「ああ。車の鍵取ってくるから晴も忘れ物ないか確認しておいてくれ」

晴「おう」

P「眠い?」

晴「んー……かもな」

P「今日はお互い疲れたもんな……気疲れで。着く頃に起こすから寝てていいぞ」

晴「そうする……」




晴「…………」

晴(……好き、か。面と向かって言われると……悪い気はしない。ったく、ほんと物好きなヤツだよなPは)

晴(オレだってPのことはす――き、嫌いじゃねーけど、クラスの連中とはちょっと違うような気がする)

晴(なんつーんだっけ? なんかこういうの、女子が言ってたような……)

晴(……あ、そうだ。ライクの好きかラブの好きか、だった)

晴(好きだっつっても2通りの意味があるんだよな。とすると、Pはオレのこと、やっぱりライクの意味でなのか?)

晴(……)

晴(そっちの方が確率高いよな、うん。ああいうこと飛鳥にだって言ってたし多分そうだろ)

晴(……)

晴(オレは……どうなんだろう。クラスの連中も好きといえば好きだし、梨沙や他のアイドル達のことも好きっちゃ好きだ)

晴(じゃあ、Pのことは? あいつらと同じ好きの部類でいいのか?)

晴(……でも、そうじゃないとするとオレは……ライクじゃなくてラブ……?)

晴(!?!? いやいやいやいや、待て待て! 別にそうと決まったわけじゃないだろ!)

晴(だいたいそういうのわかんねーからこうしてPと友達になったんじゃねーか……)

晴(ああーーーー、わっかんねーー…………)



晴「うぅーん……」

P(うなされてる……? 悪い夢でもみてるのか?)

書き溜めが切れました。溜まり次第また投下します

タイトルの通り今回の出番は飛鳥多めの予定です。多分、おそらく

来たか

とりあえず上脱いで期待機

なら俺は下(意味深)脱いで舞ってる




梨沙「飛鳥って電車似合わないわね」

飛鳥「どういう意味なんだいそれは……」

梨沙「なんとなくよ。みんなが使ってるようなものを簡単には使いたがらないじゃない? 捻くれてるから」

飛鳥「……。場合によるさ。世界の在りように何でもかんでも逆行したところで仕方がないだろう?」

梨沙「じゃあ特に理由もないけどあえてガラケー使う、ぐらいのことはするってこと?」

飛鳥「この場合はポケベルの方がそれっぽいかな。いや、やりすぎか」

梨沙「ポケ……? なにそれ?」

飛鳥「ボクらの生まれた頃には存在を認められなくなってしまった遺物さ」

梨沙「なんでそんなもの知ってんのよ……。アタシは移動するなら断然パパの助手席がいいわね!」

飛鳥「運転手の邪魔をするために助手席へ座るのかい? なかなか業が深いね」

梨沙「邪魔なんかしないわよ! 隣に座らなきゃアタシのこと見れないでしょ!」

飛鳥「まぁ、そうだろうな。とはいえハンドルを握るからにはなるべく前を向いていてほしいものだが」

梨沙「信号待ちの時とかあるじゃない、それに横の方が話しやすいもん」

飛鳥「わかったわかった。……まぁ、ボクも車がいいかな」

梨沙「自転車は?」

飛鳥「電車は似合わないのに自転車なら似合うとでも言いたいのか……」

梨沙「ふふん、言ってみただけー。でも想像するとシュールよね、飛鳥がペダル漕いでるの」

飛鳥「……どうせならアヒルボートでも漕いでやろうか?」

梨沙「お腹が鍛えられそうだからやめて、絶対だからね!」

飛鳥「なぁ、梨沙」

梨沙「んー?」

飛鳥「……いや、なんでもない」

梨沙「ちょ、最後まで言いなさいよ。気になるじゃない」

飛鳥「似合わないというなら、こんなことを気にしているボクこそらしくないと笑われそうでね」

梨沙「そ。じゃあ聞かないであげる」

飛鳥「…………」

梨沙「……もう、アタシに何か聞きたいんでしょ? いいわよ、なぁに?」

飛鳥「すまない。……キミは今日、Pに連れていかれた店に行ったことはあるのかい?」

梨沙「ないわ。あの辺行ったことそんなにないし」

飛鳥「そうか。じゃあ……晴はどうなんだろうな」

梨沙「……本人に聞いたら?」

飛鳥「そうしようとも考えた。でもどうしてだか出来なかった。聞きたくない、と思ってしまった」

梨沙「…………、それで?」

飛鳥「それで、そうだな。だから梨沙に聞いた、ってところか。笑うかい?」

梨沙「笑わないわよ! 一応聞くけど、どうしてアタシに聞いたの?」

飛鳥「あの2人のことで以前、一枚噛まされたからね。当然の帰結だろう?」

梨沙「ま、そうよね。うーん……あれ以来、アタシもどうなったかよく知らなかったのよ」

梨沙(昨日知ったばかりだし、嘘とも言い切れないわよね?)

飛鳥「……そう、か」

梨沙「アタシにしてみればどっちに転んでもよかったっていうか、まぁ気にはなってたけどさ」

飛鳥「…………」

梨沙(――ああもう、だからってこんな飛鳥を放っておけないじゃない!)

梨沙「結局は本人次第でしょ? どっちかが歩み寄らなきゃ何も始まらないわよ」

飛鳥「それは、そうかもしれないが……」

梨沙「アタシはパパが好きよ。大好きだから今日だってパパのために買い物したし、これを着る日が待ち遠しいわ!」

飛鳥「梨沙?」

梨沙「でもね、好きだーって気持ちを溜め込んでたって都合よく振り向いてくれたりしないの。だから動く! こっちを向いてほしいならね!」

飛鳥「……想いは募らせるだけでは伝わらない、か」

梨沙「アンタがどうしたいのか聞いてないけどさ、のんびりしてる間にPか晴、どっちかが動いたのは確かよ。あんまり進展ないみたいだけど」

飛鳥「ボク、は……」

梨沙「Pと晴もあんなだから、時間かかりそうよ~? 飛鳥も似合わないことしてるくらいなら、1回くらい素直になりなさいよ」

飛鳥「……。いいのかい? 今のボクを焚きつけるのは晴のためではない、のだろう?」

梨沙「んーー……難しいとこよねぇ。晴をアタシは応援するけど、チャンスぐらいは誰にもあっていいじゃない? もうくっついてるならともかく」

飛鳥「結局は本人次第、ってやつかな」

梨沙「あはっ、そーゆーことにしといて! それに飛鳥が似合わないことするせいよ? 応援はしてあげないけど頑張りなさい、飛鳥は捻くれてなきゃ調子狂うわ」

飛鳥「……ありがとう。お礼にアヒルボートの助手席に招待しよう」

梨沙「いやーー! パパに割れたお腹なんて見せたくないーー!!」

短いですが区切りがよかったのでとりあえずここまで

過去作から妙に梨沙が聡いというか察しがいいというか、万能感を消したいがためにコメディ色で中和をはかってます……ただの悪あがきですね?
でも最近の光とのやり取りで世話焼き具合はこんなもんかなと

――――――
――――
――
.


晴「なー、梨沙」

梨沙「? なによ」

晴「梨沙ってさ、いつもことあるごとにパパパパってうっせーじゃん?」

梨沙「そんなにうるさかったかしら……」

晴「それはまぁいいんだけど、お前ってそのパパをどっちの意味で好きなんだ?」

梨沙「どっちの意味って言われてもわかんないわよ。どっちって?」

晴「クラスの女子が言ってたの思い出したんだよ。好きっつってもライクとラブがあるらしいじゃねーか」

梨沙「ラブライカ?」

晴「違う!」

梨沙「冗談よ、晴からそんなこと聞かれるとはねぇ……いいわ! なんでも聞きなさい!」

晴「さっきから聞いてるっつの。……で、どうなんだ?」

梨沙「んー、そういう話は確かに聞くけど、アタシはあまり考えたことないわね。パパに対して」

晴「そうなのか? 本当は好きじゃなかったんだな、親父さんも可哀想に」

梨沙「違うわよ! 大好きに決まってるでしょ! そうじゃなくて、小さい頃からこんなだったし、しいて言えばどっちもなんじゃない?」

晴「どっちも? そんなのありなのか?」

梨沙「さぁ? でもアタシにはこれ以上なんて言ったらいいかわからないわ」

晴「そういうもんなのか……」

梨沙「まぁ、アタシの場合は相手がパパだし、家族愛ってまた特別じゃない? 世界に何十億人いようと、アタシのパパは1人しかいないもん」

晴「あー、そうかもな。となると家族愛も含めて好きは3つ……?」

梨沙「落ち着きなさいよ、普段頭にないこと考え出してこんがらがってきてるでしょ」

晴「……かもしれねー」

梨沙「アンタは難しいこと考えないで、感じるままに行動したら?」

晴「どういう意味だよそれ」

梨沙「だってそういうのが何となくでもわかってたら、Pと今の関係にはならなかったんじゃないの?」

晴「……」

梨沙「ライクでもラブでも何だっていいじゃない。どちらにせよ、アタシにせよ、一緒にいたいって気持ちは同じなんだから」

晴「一緒にいたい気持ち、か」

梨沙「一緒にいればそのうちわかるわよきっと。晴の好きって気持ちがライクだったのかラブだったのか、ってね」

晴「……今すぐ決める必要なんてなかったんだった。そっか、忘れてたぜ」

梨沙「Pもそこんとこよくわかってないみたいだしまぁお似合いよねぇ。他のアイドルの目もあるから、事務所でも一緒にいたいなら晴から声かけた方がよさそうだけども」

晴「わかってるよ。……なぁ、梨沙」

梨沙「んー? まだあるの?」

晴「そうじゃねーよ。まぁその、オレ――とPのこと、気にしてくれてたんだってな。からかい半分とかじゃなくってさ」

梨沙「まーねぇ。あんまりからかうと晴ってすぐ怒るし?」

晴「……ありがとな。オレ、梨沙のなんだかんだ世話焼きなとことか、結構好きだぜ」

梨沙「…………。それってライク? それともラブ?」

晴「へへッ、うっせ。さってと、そろそろ帰ろうぜ」

梨沙「あー、荷物取ってくるからちょっと先言ってて。すぐ行くから」

晴「わかった。ちゃんと追い付いてこいよ?」




梨沙「……そっかぁ。ほたるが前に様子おかしくなったの、ほんとの意味でわかった気がする」

梨沙「晴のことよく知っててもうっかりときめきそうになるわね……Pの前でもそうしてればいいのに、もう!」

P「……」カタカタ カタカタ

飛鳥「……」ジーッ

P「……」チラッ

飛鳥「……」サッ

P「飛鳥? 残ってるのお前だけだぞ。用があるなら早く――あれ、デジャブ?」

飛鳥「うん、わかってる。わかってはいるんだ」

P「そうか。ならなるべく早急に頼むよ」

飛鳥「……。P、ボクは自分がもっと冷めたヤツだと思っていた」

P「うん? ああ、うん」

飛鳥「退屈な世界もいつかは変わるものだと、変わらない世界をただ俯瞰して何かが変化しないか待っていたのかもしれない」

P「うん」

飛鳥「だからかな。キミのもとでアイドル活動をしていくうちに、見たことのない景色が目に映るたびに心が躍ったものさ」

P「そう言ってもらえると、スカウトした甲斐もあるな」

飛鳥「感謝してるよ。でもボクは、アイドルという非日常な世界にキミが連れ出してくれたから、景色も変わったんだとずっと勘違いしていた」

P「?」

飛鳥「変わっていたのはボクの方だったんだよ、P。変化したのはボクなんだ」

P「多感な時期だからなあ」

飛鳥「水のように揺れ動くことなんてないと、氷の膜に包まれていたはずのボクのハートは……今は熱を求めているらしい」

P「そう、なのか?」

飛鳥「そうさ。心を溶かした熱源ともいうべき、二宮飛鳥を変えたP――ボクの視界に、いまのボクの世界に必ず存在しているキミを」

P「……」

飛鳥「ボクは、求めている」

P「……求めている、ってお前……それは」

飛鳥「い、いや、P。おそらくキミが推察しているような意味ではなくて、その……ボクにもよくわかっていないんだが」

P「お、おおう?」

飛鳥「ボクはキミについて、Pだと思っていた存在について、知らないことばかりだと思ったから」

P「……うん」

飛鳥「キミが……ボクには見せない顔もあるというなら、それも含めてボクはキミのことを知りたい。知りたく、なった」

P「……」

飛鳥「迷惑だというなら、いまここで拒絶してくれていい。今後はアイドル二宮飛鳥という仮面を外さないようにするから」

P「迷惑だとかそういうことじゃあない、んだけど……うん、ちょっとビックリした」

飛鳥「……率直に訊ねるが、晴とは私的に通じているんじゃないのかい? キミたちは、いったいどういう――」

P「!? えーっと、そうだな……多分それも飛鳥が考えてるようなものじゃない。ないんだが……」

飛鳥「説明はできない?」

P「うーん……実はその、晴とは友達になったんだ。友達を始めた、というか、友達から始めた、というか」

飛鳥「トモダチ? ……フフ、なんともキミらしい」

P「俺らしい?」

飛鳥「キミは覚えてないだろうが、アイドルになって間もない頃、ボクもPから言われたな。トモダチになりたい、って」

P「え……そうだっけ?」

飛鳥「まぁ、キミとしては知らない世界に連れてきたボクを気遣っての言葉だったのだろうけど、ね。変わったヤツだと思ったものさ」

P「そう言われると……言ったような言ってないような」

飛鳥「トモダチ、か。一度はふいにしたけれど、ボクがいま求めているのは案外そういうことなのかもしれないな」

P「……じゃあ、なるか?」

飛鳥「……? えっ?」

P「忘れてたとはいえ、俺が持ちかけたことだったんだろう? 飛鳥がそう望むのなら、俺は」

飛鳥「…………ボクは――」



 後日

晴「……」チラチラ

梨沙「晴? 何をそんなにチラ見してんのよ」

晴「うわっ! 梨沙かよ……な、なんでもねーよ」

梨沙「ほんとにー? どれどれ――」



飛鳥「――――」

P「――」


梨沙「……へぇ~。そういえば最近よく一緒にいるわねあの2人」

晴「やっぱりそうだよな? どうしたんだ飛鳥のやつ……」

梨沙「気になる?」

晴「気にな――らないこともねーけど、Pんとこ行きにくくってさ。せっかく梨沙に言われて吹っ切れたのによ」

梨沙「じゃあアタシがあの2人のとこ行ってくるわよ。気になるなら晴はそこで待ってて」

晴「べ、別にそんなに気にしてねーって」

梨沙「……たぶん、アタシが原因かもしれないしね」

晴「ん? 何か言ったか?」

梨沙「なんでもない! 行ってくるわ!」

飛鳥「そういえば、キミはスーツ以外に服を持っていないのかい?」

P「持ってるよ。でもほとんどの場合これで事足りるっていうか、これでいる方が楽になっちゃってさ」

飛鳥「……つまりキミは服を着ているようでいて、服に着られているわけか」

P「服だけに征服されたってか?」

梨沙「なにつまんないこと言ってんのよ……」

P「お。梨沙か。俺としては上手いこと言ったつもりなんだけど」

飛鳥「……ボクは何も聞いていない。聞こえなかったよ」

P「駄目みたいですね」

梨沙「そんなことより、最近仲良さそうね? 何かあったの?」

P「な、何かってなんだよ。俺は別に――」

飛鳥「どこかの捻くれ者が少しばかり素直になっただけの話さ」

P「……飛鳥?」

梨沙「そ。具体的には?」

飛鳥「ボクはPと、トモダチにはならなかった。それぐらいかな」

梨沙「ふぅん……えっ? ならなかった?」

飛鳥「あぁ。人は絶えず自分が何者なのかを思考し続けるように、ボクたちもボクたちが何者であるかを定めるだけ無駄なのさ」

梨沙「?? えーっと、つまりどういう?」

飛鳥「不変のものなどないのなら、いまのボクたちの関係を無理に定義付ける必要はない。全てはあるがままに、たとえボクらに決別の道が待っていようともね」

梨沙「…………わかる?」

P「難しいな。まあ、いつかわかる時がくるんだろう。俺達がどんな関係を築き上げられるのか」

飛鳥「もしくは、粉々に散りゆくか……。それでもボクは、この熱を知ってしまった。凍えるばかりではもういられない」

梨沙「そう。よくわかんないけど、アンタたちにはアンタたちの付き合いがあるってことね?」

P「それでいいと思う。まあ実際、先のことなんて誰にもわからないしな。梨沙のパパが娘の人生のプロデュースも頼む、って俺に本気で言ってくるようになるかもしれないぞ」

梨沙「それって冗談なら言われたことあるってこと?」

P「…………」

梨沙「え、ちょ、ほんとなの!? パパったらそんなことアンタに言ったの!? ねぇ、嘘でしょ? 黙ってないでなんか言いなさいよ!!」

P「いや、その、それはだな……」

飛鳥「……ボクも興味があるな、その発言。どうなんだい、P?」

P「」








晴(梨沙のやつおせーな……)

P「おうふ……余計なこと言わなきゃよかった……」

P「何か飲み物でも飲んで切り替えよう……ん?」

晴「…………よう」

P「晴も飲み物買いに来てたのか?」

晴「いや、別に……」

P「じゃあついでに何か買ってやろうか。何がいい?」

晴「……。いらねぇ」

P「えっ」

晴「いらねぇって言ったんだよ」

P「お、おう」

P(……あれ? 晴怒ってるのか? なんだか態度が冷たい……心当たりはないんだけどな)

晴「そんなもんより」

P「ん?」

晴「……今度のオフ、サッカーしようぜ。いいよな?」

P「う、うん。まだ細かいスケジュール見てないけど、約束だ」

晴「約束だからな。……絶対だからな!」ダッ

P「あ、おい、晴! ――行ってしまった。……なんだろう、もしかして果たし状的なアレなのか? 知らない内に晴を怒らせちゃったのか?」

P「…………。何しに来たんだっけ、戻るか……」




晴「……はぁ、……………………はぁぁ」

晴(何にイラついてんだオレ……? 後で謝らねーと……でもどうしてオレ……)

晴「…………。顔合わせづれーな……」




その日はずっと心ここにあらずな2人だったとかなんとか


おしまい

アブソリュート・ゼロの飛鳥の台詞を眺めてたら、飛鳥なりに結構デレてるのかなと思うのですがどうなのやら

それはともかく、晴ちんに嫉妬されてみたい人生でした
でも次回があるとしたらいちゃコラ多めにしてあげたいですね。あればですが

それではお疲れ様でした

飛鳥がんばった

乙です

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