八幡「俺ガイルNGシーン集?」 (346)
俺ガイルのSSです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440430348
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。①
青春とは嘘であり、悪である。
(中略)
リア充爆発しろ。
平塚「比企谷。この舐めた作文は何だ? 一応言い訳くらいは聞いてやる」
八幡「ひ、ひや、俺はちゃんと高校生活を振り返ってますよ? 近ごろの高校生はらいたいこんな感じじゃないでしゅか! だいたい合ってますよ!」
平塚「普通こういうときは自分の生活を省みるものだろう」
八幡「だったらそう前置きしておいてください。そしたらその通り書きますよ。これは先生の出題ミスであってですね」
平塚「小僧、屁理屈を言うな」
八幡「小僧って……。いや確かに先生の年齢からしたら俺は(バキィッ!!!)ぐはあっ!!」
平塚「次は当てるぞ……すまん比企谷、本当に顔に当ててしまった」
<カットー!!
八幡「……なんかめっちゃ血ぃ出てるんすけど」
平塚「すまんすまん、わざとじゃないんだ」
雪乃「比企谷くん、これで血を押さえなさい……」
八幡「悪い、サンキュな……」
<テイクツー、アクショーン!!
八幡「小僧って……。いや確かに先生の年齢からしたら俺は(ヒュンッ!!)ってあぶなぁぁぁあああ!! 今また当てる気でしたよね!!?」
平塚「すまんすまん……わざとじゃないんだ」ニヤリ
八幡「おいこの先生役代えろ!!」
雪乃「それで、そのぬぼーっとした人は?」
平塚「彼は比企谷。入部希望者だ」
八幡「二年F組比企谷八幡です。えーっと、おい。入部ってなんだよ」
平塚「君にはペナルティとしてここでの部活動を命じる。(中略)彼の捻くれた孤独体質の更正が私の依頼だ」
雪乃「それなら、先生が殴るなり蹴るなりして躾ければいいと思いますが」
平塚「私だってできることならそうしたいが最近は小うるさくてな。肉体への暴力は許されてないんだ」
八幡「ダウト!!!」
<カットー!!
雪乃「ちょっと、次は私のセリフじゃない」
八幡「さっきこの人が俺のこと殴ろうとして何回やり直したと思ってんだよ!! まだ鼻が痛むんだぞ!!」
平塚「だからわざとじゃないと言ってるだろうに」
八幡「あんた十回近くもNG食らってよくまだそんなこと言えますね!!」
雪乃「不思議なことに優れた人間ほど生きづらいのよ、この世界は。そんなのおかしいじゃない、だから変えるのよ、人ごと、この世界を」
八幡「努力の方向性が明後日にぶっ飛びすぎだろ……」
雪乃「そうかしら。それでも、あなたのようにぐだぐだ乾いて果てるより随分とマシだと思うけれど。あなたの……そうやって弱さを肯定してしまう部分、嫌いだわ」
(中略)
──きっと俺と彼女はどこか似ている。柄にもなくそんなことを思ってしまった。
──今はこの沈黙すら、どこか心地いいと、そう感じていた。
──少しだけ、自分の鼓動が早くなるのを感じた。心臓の刻む律動が秒針の速度を追い越してもっと先へ進みたいと、そう言っている気がした。
──なら。
──なら、俺と彼女は。
八幡「なぁ、雪ノ下。なら俺と友」
雪乃「なんですかそれ口説いてるんですかごめんなさいそれは無理」
いろは「ちょっと雪ノ下先輩! 人のセリフ取らないでください!!」
<カットー!!
雪乃「ごめんなさい、一色さん……実はちょっと言ってみたかったのよね」
八幡「最後だけちゃんと台本通りなのがムカつく……」
八幡「……このビッチめ」
結衣「はぁ? ビッチって何よっ! あたしはまだ処──う、うわわ! な、なんでもないっ!」
雪乃「別に恥ずかしいことではないでしょう。この年でヴァージ──」
結衣「わーわーわー! ちょっと何言ってんの!? 高二でまだとか恥ずかしいよ! ゆきのん、女子力足んないんじゃないの!? ……あっ」
<カットー!!
八幡「お前この時まだ雪ノ下さん呼びだろ」
結衣「ごめんごめん、ついいつもの癖で……」
雪乃「次は気をつけてね」
平塚「高二でまだとか恥ずかしい……か」
小町「あれ、平塚先生どうかしたんですか?」
平塚「あっ、いや、なんでもないぞ、うん……なんでも……」
<テイクツー、アクショーン!!
結衣「わーわーわー! ちょっと何言ってんの!? 高二でまだとか恥ずかしいよ! 雪ノ下さん、女子力足んないんじゃないの!?」
雪乃「…………くだらない価値観ね」
八幡「にしても、女子力って単語がもうビッチくさいよな」
結衣「また言った! 人をビッチ呼ばわりとかマジありえない! ヒッキー、マジでキモい!」
八幡「ビッチ呼ばわりと俺のキモさは関係ねーだろ。あとヒッキーって言うな。……このビッチが」
結衣「こっの……っ! ほんとウザい! っつーかマジキモい! 死ねば?」
八幡「……」シクシク
結衣「……あれっ?」
<カットー!!
結衣「ど、どうしたのヒッキー?」
八幡「いやその……そういえばこの頃のお前ってそんな言葉遣いだったの忘れてたなーとか……ちょっと思ったより心にグサっときた」
結衣「うわわごめん! べ、別に今は本当に言ってるわけじゃないから! ね?」
八幡「十分後、ここへきてください。俺が”本当の”手作りクッキーってやつを食べさせてあげますよ」
これで勝負は俺のターン。
× × ×
雪乃「これが『本当の手作りクッキー』なの? 形も悪いし、不揃いね。それにところどころ焦げているのもある。──これって……」
結衣「ぷはっ、大口叩いたわりに大したことないとかマジウケるっ! 食べるまでもないわっ!」
八幡「ま、まぁ、そう言わず食べてみてくださいよ」
結衣「そこまで言うなら……(パクッ)ぐはっ!!」
雪乃「……(パクッ)ぐはっ!!」
八幡「あれっ?」
<カットー!!
雪乃「比企谷くん……この用意したクッキー、何を入れたの……?」
八幡「え? いや、あん時に由比ヶ浜が作ったクッキーを再現しようかと思って俺が作ったんだけど」
雪乃「べ、別に味まで再現しようとしなくても……いえ、あの時より酷──がくり」
八幡「ゆ、雪ノ下──ッ!!」
三浦「ちょ、ちょっと! あーしらまだ話終わってないんだけどっ!」
雪乃「何かしら? あなたと話す時間も惜しいのだけれど。まだ昼食をとっていないのよ」
三浦「は、はあ? いきなり出てきて何言ってんの? 今、あーしがユイと話してたんだけど」
雪乃「話す? がなりたてるの間違いじゃなくて?(中略)ついつい類人猿の威嚇と同じものにカテゴライズしてしまったわ」
三浦「~~っ」
雪乃「お山の大将気取りで虚勢を張るのは結構だけど、自分の縄張りの中だけにしなさい。あなたの今のメイク同様、すぐに剥がれるわよ」
三浦「……はっ、何言ってんの? 意味わかんないし」
八幡(……なぁ、こいつら……)
葉山(演技……なんだよな?)
戸部(こ、こえぇ……)
材木座「クククッ、まさかこんなところで出会うとは驚いたな。──待ちわびたぞ、比企谷八幡ッ!! …………あのー、他の人たちはどこ行ったのかなー……? 今日の収録はこの教室だって聞いてたんだけどなー……はちまーん? ちょっとー、はちまーん? 電話出てよー、はちまーん!?」
戸塚「ぼく、男なんだけどなぁ……。そんなに弱そうに見えるかな?」
八幡「え」
戸塚「……証拠、見せてもいいよ?」
八幡「お願いしますっ!」ドゲザッ
戸塚「えっ!?」
<カットー!!
結衣「ちょっとヒッキー、何言ってんの!?」
八幡「ばっかお前俺はこの時になんで証拠見せてもらわなかったんだって死ぬほど後悔したんだよ、もしもタイムスリップしたら今度こそ見せてもらうんだって何度も思った……今日こそ、それを実行に移す時ッ!!」
戸塚「もう、八幡ったら……まぁ別に、いい、けど……『比企谷くん?』『ヒッキー?』『先輩?』『あんた?』『えっちょっお前ら何をすアーッ!!』……いい、んだけど……」
戸塚と由比ヶ浜は腹ばいになるとゆっくり腕立て伏せを始めた。
戸塚「んっ……くっ、ふぅ、はぁ」
結衣「うぅ、くっ、……んあっ、はぁはぁ、んんっ!」
押し殺した吐息が漏れてくる。(中略)
由比ヶ浜が腕を曲げると、体操服の襟元から眩しい肌色がちらっと覗く。いかん。直視できん。
さっきから俺の心拍数がやたら上がっていて、これはもう不整脈の可能性がある。
材木座「八幡……なぜだろうな。我は今、とても穏やかな気分だ……」
八幡「奇遇だな。俺も同じ気持ちだ」
ときどきちら見しながらにへらっと笑っていると、背中に冷水をぶっかけられ冷たァああああああ────!!!
八幡「ちょっ待っ、これ本当に冷水ぶっかけるシーンじゃねぇから雪ノ下! あっ、一色タオルを持ってきてく(バシャアアアアッ!!!)冷たァアアア!!? 待て、なんで二杯目!? お、ルミルミ! このままじゃ風邪を引くからタオルを(バシャアアアアッ!!!)三杯目ェェェ!!? お前ら何を──!!?」
<カットー!!
雪乃「……ばか」
三浦「あんさぁ、雪ノ下サンが知ってるかしんないけど、あーし、テニス超得意だから」
そう言いながら、バスケのドリブルの要領でボールを地面に投げては受け、それを繰り返す。雪ノ下は目だけで三浦の言葉の続きを促した。
にぃっと三浦が笑う。雪ノ下の見せた笑顔とはまったく違う、攻撃的な獣の笑顔だ。
三浦「顔に傷とかできちゃったらごめんね」
……うわぁ、怖い。予告危険球とか初めて聞いたよ?
そう思ったときにはひゅっと鋭い風切り音と、ボールを弾いた軽快な音がした。
打球は雪ノ下の顔面に高速で(ドシャアアアアアアアアッ!!!)………………。
三浦「…………あっ、マジでごめん…………本当に顔面に行っちゃうなんて…………」
雪乃「ふ、ふふふっ……なるほど、あの時の意趣返しということね。上等よ、受けて立ってあげるわ……」ユラァッ
八幡「お、おい雪ノ下落ち着けまだ撮影中だから、あれわざとじゃないから!」
葉山「優美子! とりあえず謝ろう!! 今ならまだ許してもらえるかもしれないから!!」
八幡「雪ノ下! テニスラケットは人を殴りつけるものじゃない!! おい材木座とあとテニスの観客役やってる玉縄お前らも見てないで止めるの手伝え!!」
八幡「っ! セーシュンのばかやろおぉ──────っ!」パコーン
材木座「あ、あれは……『空駆けし破壊神・隕鉄滅殺-メテオストライク-』!!」
三浦「な、なにそれ」
葉山「優美子っ! 下がれっ!」
三浦「っ!!」
──あ、やべ。三浦がフェンスに激突する。
葉山「くっ!」
葉山はラケットを投げ捨てると、駆け出した勢いそのままに走り出す。
間に合うか!? 間に合うのか!?
三浦「はや(ガッシャァァァアアアンッ!!!)…………」
あ、間に合わなかった。
<カットー!!
葉山「……ごめん優美子、そんな速さでフェンスに突撃するとは思ってなかったんだ……」
三浦「隼人だったらこれでも受け止めてくれるって信じてたのに……」
雪乃「くっ……くくっ……」
八幡「おいお前、笑い堪え切れてないぞ」
八幡「俺なら別になんもしてないよ。礼ならあいつらに……」
と、そいつらの姿を捜して、俺は周囲を見渡す。すると、テニス部の部室の脇でひょこひょこと揺れるツインテールを見つけた。
あんなとこにいたのかよ。
礼の一つも言っておこうと部室のほうへ回り込んだ。
八幡「とつか……あっ」
思いっきり着替え中だった。
<カットー!!
結衣「……なんでさいちゃんの名前呼んだし」
八幡「悪い悪い、ミスっちまったんだ。次はちゃんとやるよ」
<テイクツー、アクショーン!!
八幡「俺なら別になんもしてないよ。礼ならあいつらに……」
と、そいつらの姿を捜して、俺は周囲を見渡す。すると、テニス部の部室の脇でひょこひょこと揺れるツインテールを見つけた。
あんなとこにいたのかよ。
礼の一つも言っておこうと部室のほうへ回り込んだ。
八幡「ざいもく……あっ」
思いっきり着替え中だった。
<カットー!!
結衣「……今度は中二? なんでそれと間違えんの?」
八幡「わ、悪い……なんかぼーっとしてたわ……次こそちゃんとやるって」
<テイクスリー、アクショーン!!
八幡「俺なら別になんもしてないよ。礼ならあいつらに……」
と、そいつらの姿を捜して、俺は周囲を見渡す。すると、テニス部の部室の脇でひょこひょこと揺れるツインテールを見つけた。
あんなとこにいたのかよ。
礼の一つも言っておこうと部室のほうへ回り込んだ。
八幡「わたりわたる……あっ」
思いっきり着替え中だった。
<カットー!!
雪乃「……比企谷くん、まさかとは思うけれど……私たちの着替えを何度も見るために、わざと間違えてないかしら?」
結衣「ええっ!!?」
八幡「ばっ、ばばばばっかちげぇよ素で間違えたに決まって『もうほんと死ねっ!』テニスラケット投げんな痛ァッ!!!?」
三浦「……」
葉山「ゆ、優美子……どうして俺の目を潰したんだ……?」
海老名「……」
戸部「あ、あの、海老名さーん……? 俺見てなかったって……!!」
藤沢「……」
本牧「目が、目がぁ……!!」
他に抱えてる長編二つの筆が止まったので、息抜きで思いついたネタを書いてたらすごい進んだ。はい。
とりあえずここはゆっくりまったりと11巻分まで書こうと思います。
それでは2巻分書き終わったら、また来ます。
乙です‼
ちょっとワロタw
こういうの好き
おもしろい
GJ!乙
いろはの真似する雪乃のは、かなり受けたw
また面白いものを…(歓喜)
なんか信者がきめぇ
内容も相当きもいけどな
>>25
叩かれるよ
ID被った!
乙、こういうSS増えてほしい
乙
戸塚役は女の子なのかな
アイマスだとよくこういうのあって面白いよね
これは微妙だけど
>>31
死ね
>>32
きも
>>33
くっさ
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。②
ゴールデンウィークも過ぎて、じわりじわりと暑くなりはじめてくる今日このごろ。
(中略)
川崎「これ、あんたの?」
その女子はさっきと変わらぬ調子で言った。
川崎「……ちょっと待ってて」
ため息混じりにそう言うと、梯子に手をかけてするすると下りてくる。
──そのとき。
風が吹いた。重く、垂れ下がった暗幕を取り払うような、そんな宿命的な風。夢を託した肌色のトライアングルを未来永劫焼き付けるように神風に靡く。
詩的に表現したが、要するにパンツが──肌色? 待て、ここで見えるべきなのは黒のレースであるはず。というかそもそも肌色なのはおかし──もしかして、何もはいてな(ブシャァァァアアア!!)
<カットー!!
川崎「……ごめん、はき忘れた」
戸塚「八幡!? 鼻血すごいよ、大丈夫!?」
八幡「やるじゃん。ラブコメの神様……ぐふっ」
戸塚「はちま──んっ!!?」
雪乃「…………」
結衣「…………」
いろは「…………」
職場見学希望調査票
希望する職業:専業主夫
平塚「比企谷。私が何を言いたいか、わかるな?」
八幡「さ、さぁ……」
平塚「……まさか、わからないと言うつもりか?」コキコキッ
八幡「さ、サーイエッサー! と言おうとしたんです! 違うんです! わかってるんです! 書き直します! 殴らないで!」
平塚「当たり前だ。まったく……少しは変わったかと思えばこれだ」
八幡「俺のモットーは初志貫徹なので」テヘッ♪
平塚「……やはり殴って直すしかないか。テレビでもなんでも殴ったほうが話が早い」
八幡「い、いや、俺、精密機械なんでそういうのはちょっと。それはそうと最近のテレビは薄いから殴りようがないですよね。やはり年の差を感じ」
平塚「衝撃のっ! ファーストブリットおぉっ!!」ゴスッ
八幡「……ぐふっ」
平塚「撃滅のっ! セカンドブリットおおっ!!」バキッ!!
八幡「ぐはっ!」
平塚「抹殺のぉっ! ラストブリットおおおっ!!!」ドガァッ!!
八幡「ひでぶっ!!」
<カットー!!
雪乃「……このシーン、確か殴るのは一度だけだったはずですが」
平塚「あれ、そうだったか。すまんな比企谷、リテイクだ」
八幡「ふざけんな! 絶対わざとだろうが!!」
結衣「け、携帯教えて? ほ、ほら! わざわざ捜して回るのもおかしいし、恥ずかしいし……。どんな関係か聞かれるとか、ありえ、ないし」
(中略)
結衣「赤外線使えるよね?」
八幡「いや、俺スマートフォンだから赤外線ついてない」
結衣「えー、じゃあ手打ち? ……めんどっ」
八幡「そういう機能は俺には必要ねぇんだよ。だいたい携帯嫌いだしな、ほれ」
結衣「あ、あたしが打つんだ……、いいんだけどさ。ていうか、迷わず人に携帯渡せるのがすごいね……」
八幡「いや、見られて困るもんないからな。妹とアマゾンとマックからしかメール来ないし」
結衣「うわぁ! ほんと……(ポチポチ)……ねぇ、ヒッキー」
八幡「ん?」(あれ、ここで俺を呼ぶセリフあったか?)
結衣「この、めぐり先輩とのメールがずらっと並んでるのは何?」
八幡「お前、今撮影中だぞ……それはあれだ、昨日城廻先輩からメールが来てたから、それに返信してたら長くなってな」
結衣「この沙希とのやつは?」
八幡「いや、それは一昨日あいつが送ってきたやつだ」
結衣「そしていっぱいあるこの留美ちゃんのは?」
八幡「留美はなんか毎日送ってくるから……あの、由比ヶ浜さん? なんか目が怖いんですけど、一体何が、あっ、ちょっ、俺の腕の関節はそちらには曲がらな」
<カットー!!
めぐり「…………」チラッ
川崎「…………」チラッ
留美「…………」チラッ
結衣「あ、あのさ……この問題なんだけど……」
俺に聞くのはプライドが許さないのか、えらく恥ずかしそうに由比ヶ浜が聞いてくる。
八幡「『ドップラー効果』か……。俺、理系は捨ててるからよくわからん。代わりに『グラップラー刃牙』なら説明できるんだけどそれじゃダメか?」
結衣「全然ダメだよ! プラーしか合ってないよ!?」
やっぱりダメか。説明にはちょっと自信があったんだが。
由比ヶ浜は諦めたように教科書とノートを閉じると、ずずーっとストローでアイスティーを飲んだ。空になったグラスを手に立ち上がろうとしたとき、あ、と何かに気づいた声を上げた。
釣られて俺もそちらを見ると、そこには野暮ったいセーラー服を着た、めちゃくちゃ可愛い、美少女がいた。
八幡「妹だ……」
俺の妹の小町が楽しそうに笑いながらレジの前に立っている。横には学ランを着た男子。
八幡「悪い、ちょっと」
言って俺は席を立つと、すぐさまゴキブリダッシュで後を追いかける。そしてその男の背中に向けてゴキブリタックルを仕掛けに行った。
平塚「時速270キロ!!?」
八幡「ゴキブリタックル……ッす」ドガアッ!!
大志「ぐぼああああっ!!! ちょっ、比企谷先輩何するんすか!!?」
八幡「その呼び方は円盤特典のネタバレになるからやめろ! それにてめぇ撮影中だからって小町に近付きやがって!!」
大志「理不尽っす!!」
川崎「ちょっとあんた、何してんの」
八幡「うるせぇノーパンはちょっと今黙って(グシャ)あれおかしいな人の首は180度も回らないはずなんだけど」
結衣「ヒッキー、次それ思い出したら360度回すからね」
それ首ねじ切れるじゃねぇか。
実験。ファーストネームで呼び合うことで人間関係は変化するか。
八幡「彩加」
戸塚「……」
八幡「ああ、悪い、今のは……」
戸塚「……嬉しい、な。初めて名前で呼んでくれたね」
八幡「なん……だと……」
戸塚「ぼ、ぼくも……、ヒッキーって呼んでいい?」
八幡「それはやだ」
戸塚「じゃあ……、八幡?」
八幡「も、もう三回呼んで!」
戸塚「……八幡」こちらの反応を窺うように照れながら、
戸塚「八幡?」小首を捻りきょとんとした表情で、
戸塚「八幡! 聞いてるの!?」頬を膨らませてちょっと拗ねたように。
八幡「……………………」
戸塚「…………八幡? セリフ忘れてるよ?」
八幡「…………はっ、うっかり見惚れていたぜ」
<カットー!!
戸塚「もう、八幡ったら……」
八幡「悪い悪い、……あとこのシーン百回くらいやり直そうぜ」
結衣「多過ぎだし!?」
雪乃「バカだわ、バカがいるわ……」
留美「……八幡」
八幡「ん、どうした?」
留美「……なんでもない」プイッ
チェーンメールシーン撮影終了後
三浦「結局さー、こん時の犯人誰だったん?」
戸部「え」
大和「え」
大岡「え」
葉山「え、ちょ、優美子」
八幡(まさか今更掘り返されるとはなぁ……)
小町「しまったぁ! 寝過ぎたぁっ! 一時間だけ寝るつもりが……、五時間寝てたぁっ!」
八幡「あーあるある、って寝すぎだろ、帰ってきて即寝たのかよ」
小町「失礼なっ! ちゃんとシャワー浴びてから寝たよっ!」
八幡「やべぇ、なんで今俺怒られたのか全然わかんねぇ」
小町「そんなことよりなんで起こしてくれなかったの!?」ブーブー
八幡「どうでもいいけどズボン履けズボン。それと勝手に俺の服着んな」
小町「ん? ああこれ、寝巻きにちょうどいいんだよ。ちょっとワンピースっぽくない?」
言いながら小町はびろーんとTシャツの襟元を引っ張る。伸ばすな伸ばすな。ブラ見えてるから。くるっと一回転すんなパンツ見えんだろって……。
俺はそのまま撮影していたリビングを出ると、近くにいた大志の目を潰してから『目が、目がぁぁぁ!!』視界に入った葉山の目に向かって指を(パシッ)
葉山「や、やぁ比企谷……どうして、俺の目に指を突っ込もうとしたのかな?」グギギ
八幡「たとえ撮影中だろうが小町の下着を視界に入れた男の目は全員潰す」グギギ
葉山「その理論だと、このドラマが放送された時は日本中の男の目を潰すことになるんだけど(ズブッ)目がああああああっ!!」
三浦「……ふんっ」
戸部「目がああああああっ!!」
海老名「……」
本牧「目がああああああっ!!」
藤沢「……」
八幡「目と鼻と肩と両手の親指人差し指中指薬指小指がああああああああっ!!」
川崎「あんた、だから人の弟に手を出すんじゃないよ……」
八幡「り、理不尽だ……」
大志「それ比企谷先輩が言うんですか……」
結衣「ね、ねぇ小町ちゃん……このドラマってノンフィクションなはずなんだけど、本当にあんなやり取りしてたの?」
小町「え? まぁ結構前なんであやふやですけど、確か」
結衣「へ、へぇ……そうなんだー……あたしもヒッキーのTシャツ欲しい……」ボソッ
平塚「……比企谷。一つ教えておいてやろう。力なき正義など、悪と変わらない」
八幡「……せ、正義なき力のほうがよほど悪じゃ、ちょま! 殴るのはノー!」バキッ
八幡(あの人また本気で殴りやがった)
平塚「まったく……このクラスは問題児が多くてたまらんな。……そう言っているうちにもう一人。川崎沙希。君も重役出勤かね?」
川崎「……」ペコッ
八幡「……またノーパン、だと?」ブシャアアアアッ
戸塚「はちま──んっ!!」
川崎「……まちがえた」
結衣「さ、沙希! パンツくらいはこうよ!」
川崎「はくの忘れてただけ……たまたま、今日だけ、偶然」
結衣「この前の撮影の時だって忘れてたじゃん!!」
<テイクツー、アクショーン!!
平塚「……比企谷。一つ教えておいてやろう。力なき正義など、悪と変わらない」
八幡「……せ、正義なき力のほうがよほど悪じゃ、ちょま! 殴るのはノー!」バキッ
八幡(何もこのシーンからリテイクしなくても)
平塚「まったく……このクラスは問題児が多くてたまらんな。……そう言っているうちにもう一人。川崎沙希。君も重役出勤かね?」
川崎「……」ペコッ
八幡「……絆創膏、だと?」ブシャアアアアッ
戸塚「はちま──んっ!!」
川崎「……まちがえた」
結衣「さ、沙希!! なんで絆創膏なの!!?」
川崎「こっちは2巻分終わったらしばらく出番ないから必死なんだよ!!」
結衣「認めた! 今わざとやってるって認めた!!」
大志「ああ、最近姉ちゃんが遠くへ……」
小町(最近会ってなかったからかなー……)
カフェ
結衣「ヒッキー、おごってー♪」
八幡「ああ? 別にいいけどよ……、何飲む? ガムシロ?」
結衣「あたしはカブトムシかっ! おごりたくないなら素直に言ってよ!」
雪乃「……みっともないからやめなさい。そういうの、あまり好きではないわ。すぐたかろうとする人は屑ね」
八幡「そうだな。俺も嫌いなタイプだ」
結衣「ええーっ!? じゃ、じゃあもう言わない!」
八幡「いや別に仲良い奴ら同士の冗談ならいいんじゃねぇの。お前は内輪で好きなだけやれば?」
雪乃「ええ、そうね。私の内輪のことではないし、構わないわ」
結衣「あたし、二人に内輪扱いされてないとかちょっとショックだ!」
由比ヶ浜が雪ノ下に泣きつくのを横目で見つつ、レジが俺の番になった。ブレンドコーヒーを注文すると、できる店員さんは素早く作り上げた。
玉縄「390円になります」クルックルッ
八幡「…………ぶふっ」
<ハチマン、アウトーッ
八幡「ふざけんな! なんで玉縄が店員役やってんだよ! こんなの絶対笑うに決まってんだろうが!!」
平塚「比企谷、笑ったからにはケツバットが待っているぞ」
八幡「いつから笑ってはいけないドラマ撮影24時になったんだよここは! 待ってそれ金属バットじゃぎゃああああああっ!!」
雪乃「…………くくっ」
陽乃「雪乃ちゃん、あうとーっ♪」
雪乃「…………不覚だわ」
カマクラ「ニャー」
雪乃「にゃー」
カマクラ「ニャ?」
雪乃「にゃ、にゃあ……」
カマクラ「ニャー!」
雪乃「にゃあ。にゃああああっ」
陽乃「こちらが先ほどの雪乃ちゃんの録画になります」
雪乃「待って。これ休憩時間だったはずよね。どうしてカメラが回っているのかしら」
陽乃「比企谷くーんっ、ちょっと見て欲しいものがあるんだけど」
雪乃「待って姉さん、やめて。待って。やめてください」
平塚「川崎、君は最近家に帰るのが遅いらしいな。朝方になるまで帰らないらしいじゃないか。いったい、どこで何をしているんだ?」
川崎「誰から聞いたんですか?」
平塚「クライアントの情報を明かすわけにはいかないな。それより、質問に答えたまえ」
川崎「別に。どこでもいいじゃないですか。それで誰かに迷惑かけたわけじゃないし」
平塚「これからかけることになるかもしれないだろう。君は仮にも高校生だ。補導でもされてみろ。ご両親も私も警察から呼ばれることになる。……君は親の気持ちを考えたことはないのか?」
川崎「先生……。親の気持ちなんて知らない。ていうか、先生も親になったことないからわかんないはずだし。そういうの、結婚して親になってから言えば?」
平塚「ぐはぁっ!」
川崎「先生、あたしの将来の心配より自分の将来の心配したほうがいいって、結婚とか」
平塚「……ぐっ、くぅ……」
八幡「いいぞもっと言ってやれ川崎ィ!!」
戸塚「は、八幡、今撮影中だよ!」
<カットー!!
八幡「あ、今声入っちゃいました? ごめんなさいテヘペロ☆ それじゃあ先生、リテイクお願いします」
平塚「ひ、比企谷ぁ……」グスン
結衣「お、鬼がいる……」
とりあえず、男女五名でメイド喫茶『えんじぇるている』に入る。
玉縄「お帰りなさいませ! ご主人様! お嬢様!」クルックルッ
八幡「ぶふぉっ!!」
<ハチマン、アウトーッ
八幡「出オチかよ!! っつーかなんで玉縄がメイドやってんだよ!! おかしいだろ!! 戸塚にやらせろよ!!」
戸塚「八幡、ぼくも男なんだけど……」
玉縄「比企谷くん……」
八幡「な、なんだよ……」
玉縄「……9巻まで出番がなくて、暇なんだよ」
八幡「知るかよ!! じゃあせめて一般客役やってろよ!!!」
ホテル・ロイヤルオークラ バーカウンター
学校で見せるのと同じ、かったるい空気を醸し出して、ふっと浅いため息をついてから、俺たちに一瞥をくれる。
川崎「……何か飲む?」
雪乃「私はペリエを」
それに答えて雪ノ下が何か言った。な、何? ペリー? 今なんか注文したの?
結衣「あ、あたしも同じのをっ!?」
八幡「あ……」
俺も今そう言おうと思ったのに……。由比ヶ浜に先を越され、完全にタイミングを逸してしまった。む、むむむ。なんだ、なんて言えばいいんだ。ドンペリだがドンペンだか言えばいいのか? ちなみにドンペンは激安の殿堂のイメージキャラクターだ。注文したところで多分出てこない。
川崎「比企谷だっけ? あんたは?」
さっきのペリーさんは飲み物だよな……。別にハリスとかアーネスト・サトーとか言わなくていいんだよな。じゃあ、とりあえず飲み物の名前を……。
八幡「俺はパン(バキッ)(ドカッ)ぐぼがっ」
両隣の雪ノ下と由比ヶ浜の両方から同時に頬にパンチを貰ってしまった。
雪乃「パンチを二回……ということでパンツ、という意味かしら?」
八幡「俺、パンジェンシーって言おうとしたんだけど…………」
ちなみに午後ティーのことである。
<テイクツー、アクショーン!!
学校で見せるのと同じ、かったるい空気を醸し出して、ふっと浅いため息をついてから、俺たちに一瞥をくれる。
川崎「……何か飲む?」
雪乃「私はペリエを」
それに答えて雪ノ下が何か言った。な、何? ペリー? 今なんか注文したの?
結衣「あ、あたしも同じのをっ!?」
八幡「あ……」
俺も今そう言おうと思ったのに……。由比ヶ浜に先を越され、完全にタイミングを逸してしまった。む、むむむ。なんだ、なんて言えばいいんだ。ドンペリだがドンペンだか言えばいいのか? ちなみにドンペンは激安の殿堂のイメージキャラクターだ。注文したところで多分出てこない。
川崎「比企谷だっけ? あんたは?」
さっきのペリーさんは飲み物だよな……。別にハリスとかアーネスト・サトーとか言わなくていいんだよな。じゃあ、とりあえず飲み物の名前を……。
八幡「俺はMAXコー」
雪乃「彼にホットコーヒーとアイスコーヒーのブレンドを」
おかしい、その二つのブレンドは一番やっちゃいけないはずだ。
<テイクスリー、アクショーン!!
学校で見せるのと同じ、かったるい空気を醸し出して、ふっと浅いため息をついてから、俺たちに一瞥をくれる。
川崎「……何か飲む?」
雪乃「私はペリエを」
それに答えて雪ノ下が何か言った。な、何? ペリー? 今なんか注文したの?
結衣「あ、あたしも『俺も同じものを』ええっ!?」
ふぅ、他にメニューも分からんしな。ここは雪ノ下に便乗しておくのが得策だろう。
結衣「ど、ど、ど」
童貞ちゃうわ。
結衣「ドンキホーテ!!」
だから激安の殿堂関係ない言うとるやろが。
朝五時 マック
川崎「大志……、あんたこんな時間に何してんの」
川崎「こんな時間ってそれこっちのセリフだよ、姉ちゃん。こんな時間まで何やってんだよ」
川崎「あんたに関係ないでしょ」
川崎「関係なくねぇよ、家族じゃん」
川崎「……あんたは知らなくていいって言ってんの」
八幡(……確かに、どっちも川崎だけどよ……)
<テイクツー、アクショーン!!
川埼「大志……、あんたこんな時間に何してんの」
川越「こんな時間ってそれこっちのセリフだよ、姉ちゃん。こんな時間まで何やってんだよ」
川島「あんたに関係ないでしょ」
川原「関係なくねぇよ、家族じゃん」
川口「……あんたは知らなくていいって言ってんの」
八幡(だ……駄目だ、まだ笑うな……こらえるんだ……し……しかし……)
<テイクスリー、アクショーン!!
川崎「大志……、あんたこんな時間に何してんの」
大志「こんな時間ってそれこっちのセリフだよ、姉ちゃん。こんな時間まで何やってんだよ」
川崎「あんたに関係ないでしょ」
大志「関係なくねぇよ、家族じゃん」
川崎「……あんたは知らなくていいって言ってんの」
八幡「川崎、なんでお前が働いていたか、金が必要だったか当ててやろう──パンツを買う金が無かったからだ」ゴキゴキッ
両肩を外された。
結衣「ふんだ」ツーン
八幡「あの、これ脱臼してるよね? ちょっとー? 由比ヶ浜さーん?」
職場見学
八幡「由比ヶ浜は、優しいよな」
結衣「へ!? あ、え!? そ、そんなことないよっ!!」
八幡「あのさ、別に俺のことなら気にする必要ないぞ。お前んちの犬、助けたのは偶然だし、それにあの事故が無くても俺、多分高校でぼっちだったし」
結衣「ヒ、ヒッキー、覚えて、たの?」
八幡「いや、覚えてないけど。一度、うちにお礼に来てくれたんだってな。小町に聞いた」
結衣「そか……小町ちゃんか……」
八幡「悪いな、逆に変な気遣わせたみたいで。まぁ、でもこれからはもう気にしなくてもいい。俺がぼっちなのはそもそも俺自身が理由だし事故は関係ない。負い目に感じる必要も同情する必要もない。……気にして優しくしてんなら、そんなのはもうやめろ」
結衣「や、やー、なんだろうね、別にそういうんじゃないんだけどなー……そんなんじゃ、ないよ……そんなんじゃ、ないのに……」
八幡「あー、まぁなんだ、ほら」
結衣「……バカ」
そう言い残して由比ヶ浜はたっと走り出し(コケッ ドシャ!!)あ、コケた。
八幡「…………お前、このドシリアスなシーンでコケるってどうなのよ」
結衣「うう~痛いよ~」
八幡「おい、立てるか?」スッ
結衣「ふえっ? あ、うん……ありがとう」
八幡(しまった、つい咄嗟に手を差し伸べてしまった……)
いろは「……やっぱ、先輩ってあざといところありますよねー」
いつだって期待して、いつも勘違いして、いつからか希望を持つのはやめた。
だから、いつまでも、優しい女の子は嫌いだ。
了
八幡「2巻分はこれで終わりか、お疲れ」
雪乃「お疲れ様」バキッ
八幡「ぐはっ! ねぇ、なんで今俺殴られたの?」
いろは「お疲れ様でーす」ドガッ
八幡「いろはす? 今すれ違いざまに蹴ったよね? 今蹴ったよね?」
留美「……」(無言の腹パン)
八幡「どうふっ! る、ルミルミ……? なぜ、腹を……!?」
留美「……優しい女の子は嫌いだって、言うから」ボソッ
京華「はーちゃんだー」トテテ
八幡「お、おう、けーちゃんか……」
京華「お腹いたいのー? いたいのとんでけー」
八幡「ありがとうな、けーちゃん……お前だけだよ、優しくしてくれるのは……」ナデナデ
京華「えへへー」ニコニコ
川崎「……」
川崎(いつか、妹とも戦う日が来るんだろうか……)
大志(いつか、優しかった頃の姉ちゃんに戻ってくれる日が来るんだろうか……)
息抜きで書いてるSSが一番捗るのはおかしい
あ、明日こそは長編どっちか更新したい……
それでは3巻分書き終わったら、また来ます。
乙
これでしばらく川崎家の出番はないのか……
まだ当分出番ないはずの玉縄の存在感半端ないww
乙
乙です
乙
しかし次から次によくネタが浮かぶもんだわ。
尊敬する。
あの超シリアスなめぐりんのSS書いてた時のあなたはどこへいったんだ
これはこれでdat保存不可避
いいぞもっとやれ
乙です
さりげなく暴力系ヒロインになっているガハマさん
ペルソナやアイマスでよく見るタイプのSSだけど
これはいまいちだね
おつ
最初本名だから副会長と書記ちゃんが誰だか分からなかった
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。③
『双剣は交錯し反転世界は流転する』
【主人公】足利義光
足利将軍正統──
八幡「すんませーん、この下りオールカットでー」
材木座「なぬぅ!? 待て、八幡!! 何故カットしようとするのだ!?」
八幡「いやだってこれ書き写すのめんどくせぇし……」
材木座「メタ的な諸事情!?」
八幡「最初はいっそ全部書き写してやろうかと思ってたんだが、正直めんどくさすぎてな……いやだってこのSS……じゃなかった、ドラマ見てる奴とか大抵原作読んでるだろうし書く必要なくねーか?」
材木座「い、いや、テレビを見てる人全員が原作読んでるとは限らないだろう? ならば、きちんと全てを書き連ねるべきでは」
<カットオーケーデース
八幡「よし、じゃあ次の撮影行くぞ」
材木座「待って! 八幡!? はちま──ん!?」
奉仕部
雪乃「何もなかったら、由比ヶ浜さんは来なくなったりしないと思うけれど。喧嘩でもしたの?」
八幡「いや、してない、と思うが」
雪乃「……由比ヶ浜さんは浅慮だし、慎みがないし、深く考えずに思いつきだけで物を言うし、人の領域に無遠慮で踏み込んでくるし、その場しのぎで誤魔化すし、何かと騒がしいし」
八幡「お前の方が喧嘩してるみたいだぞ……」
カメラの方にいる由比ヶ浜が泣いてるぞ。
雪乃「最後まで聞きなさい。いろいろと短所はあるけれど。……でも、悪い子ではないわ」
カメラの方にいる由比ヶ浜が泣いてるぞ。感動で。
八幡「いや、それは俺もわかってるよ。別に喧嘩してるとかじゃない。だいたい喧嘩なんて元々それなりに近しい連中がすることだろ。だからあれは喧嘩っつーより……」
雪乃「……諍い、とか?」
八幡「ああ、それは近いけど、ちょっと違うと思う。当たらずとも遠からずって感じか」
雪乃「じゃあ戦争?」
八幡「当たってないし遠くなったな」
雪乃「なら、埼玉千葉関東三位戦争?」
八幡「俺も由比ヶ浜も千葉住みだし、そもそも三位は千葉で決定してるから」
雪乃「東京市川浦安戦争?」
八幡「待て、それはやめろ」
雪乃「野田ナンバー」
八幡「おいカメラ止めろ」
駐輪場
戸塚「八幡? あ、やっぱり八幡だ」
八幡「よっ」
戸塚「うん。よっ。……八幡も今帰るとこ?」
八幡「ああ。戸塚ももうテニス部終わったのか?」
戸塚「まだ終わってないんだけど、夜はスクールがあるから……ちょっと先に抜けたんだ」
八幡「スクール?」
戸塚「うーんとね、テニススクール。部活だと基礎的な練習がメインになっちゃうから」
八幡「へぇ……結構本格的にやってるんだな」
戸塚「そ、そんな大したことないよ……でも、……好きだから」
八幡「え? 悪い、もう一回言ってくれ」
戸塚「えっと……そんな大したことないよ?」
八幡「じゃなくて、その次」
戸塚「……す、好きだから」
八幡「え? 悪い、もう一回言ってくれ」
戸塚「え? ……す、好きだから」
八幡「え? 悪い、もう一回言ってくれ」
戸塚「えぇ? ……す、好きだから……」
八幡「え? 悪い、もういっか(ヒュッ!!)俺の目に落花生がぁぁぁあああっ!!?」
<カットー!!
雪乃「……いつまでやってるの」
結衣「……なーんか、ヤな感じ」
八幡「お、お前ら……落花生は人の目に投げるもんじゃないぞ……」
ムー大
八幡「なぁ、材木座、さっきのあれ、友達か?」
材木座「否。あるかな勢だ」
(中略)
戸塚「でも、ゲームを通じて知り合いが増えるのってなんだか凄いね」
材木座「む。そ、そうか?」
八幡「ああ、そういうのは確かに凄いと思うぜ。もっと孤独なもんだと思ってたけどな」
材木座「いや、そんなことないぞ。マジでゲームで知り合った奴とか一瞬で掌ひっくり返すし、大きい大会で優勝した瞬間にイカサマだなんだと無実の罪を着せて2ちゃんのヲチスレで晒してくるし、病で倒れても仲間が集まるどころか倒れるとか甘えじゃないんですかーwwwとか煽られるだけだし、おまけに全く関係ないSSのまとめサイトのコメントで就活しろとか煽ってくるしで本当にロクなことがない」
八幡「…………材木座?」
材木座「ぐっ、今一瞬、我に何かが憑依してきたような……!!」
<カットー!!
八幡「いやそういうのいいから。全く何やってんだよ……ほらリテイク行くぞ」
材木座「いや、今のは本当に……信じてよハチえもーん!!」
プリクラシーン撮影終了後
戸塚「撮影だったけど、久しぶりに一緒にプリクラ撮れて楽しかったね!」
八幡「お、おう、そうだな……守りたい、この笑顔! よし戸塚、なんならもう一回これから」
陽乃「あっ、比企谷くーん! お姉さんと一緒にプリクラ撮ろうぜーい!」
八幡「えっ? あっ、ちょっ、離してくださ」
めぐり「あっ、はるさん、私も一緒に」
留美「……八幡、次は私も」
川崎「出遅れた……っ!! あ、あんた、ちょっとけーちゃんが一緒に撮りたいって言うから、その」
結衣「ああ! ……うぅ、ヒッキー……」
いろは「せ、せんぱーい! わ、わたしもその、練習でちょっとプリクラ撮ってみたいなーとか!」
小町「ほほう、これはこれは……はいはーい、並んでくださーいっ! お兄ちゃんとのプリクラ体験会はこちらの列になりまーすっ!!」
八幡「ちょっと? 動物園の珍獣との撮影会みたいにすんのやめてくんない? 俺は戸塚とっ、とっ、戸塚ァ──!!」
材木座「な、なぜあやつは女子に囲まれて……ぐっ、やはり我の青春ラブコメはまちがっているっ!!」
雪乃「すみません、このクレーンゲームのパンさんを取りたいんですけど」
平塚「ふふっ、任せろ……かつてはクレーンゲーム荒らしと言われた私にかかればこれくらい余裕だ!!」
陽乃「ほら、雪乃ちゃんも──あれ、雪乃ちゃーん? 雪乃ちゃんどこー?」
東京わんにゃんショー
小町「わー、お兄ちゃん! ペンギン! ペンギンがたくさん歩いてるよ! 可愛いー!」
八幡「ああ、そういやペンギンの語源ってラテン語で肥満って意味らしいぞ。そう考えるとあれだな、メタボサラリーマンが営業で外回りしてるみたいだよな」
小町「わ、わー。急に可愛く思えなくなってきた……」
げんなりとした表情で腕を下ろす小町。恨みがましい視線で俺を見てくる。
小町「お兄ちゃんの無駄知識のおかげでこれからペンギン見るたびに肥満の二文字が頭に浮かぶようになったよ……」
八幡「それからな、ペンギンって結構同性愛も普通だったりするんだぞ」
小町「へぇ、そうなんだー……反応に困る雑学だなー……お兄ちゃんさー、デートの時そういうこと言うのは」
八幡「あとな、ペンギンの夫婦の絆は固くてな……片方が死ぬまで同じパートナーと連れ添うらしい」
海老名「ぶ腐ッ」
小町「わ、わー……最初からそれ言えばいいのに、この流れで言われるとなんか複雑だなー……」
八幡「ペンギン……デート……夫婦……うっ、頭がっ」
小町「えっ、ちょっ、なんでいきなり泣き出してるの!? ギャグの流れじゃなかったの!? どうしてシリアスっぽい雰囲気になってるのこれ!?」
<カットー!!
雪乃「…………」
結衣「…………」
小町「あれって……雪乃さん?」
八幡「おい、そっち壁しかねぇぞ」
雪乃「あら、珍しい動物がいるのね」
八幡「出会いがしらにホモ・サピエンス・サピエンス『ホモ!? ブハッ』『海老名、擬態しろし』呼ばわりすんのやめてくんない。俺の人間性が否定されちゃってるだろ」
雪乃「間違ってはいないでしょう?」
八幡「正しいにも程があんだろ……」
第一声からして霊長類ヒト科扱いである。生物学的には正しいことこの上ないが挨拶としては最低の部類であった。
八幡「なんでお前壁に向かって歩いてんの?」
雪乃「いえ、あちら側に猫が見えたから……」
八幡「は? いや、そっちには壁しかねぇはずなんだけど」
小町「ふっふっふ……知ってますか、雪乃さん。この幕張メッセに伝わる猫の幽霊の話を……」
雪乃「……馬鹿馬鹿しい。幽霊なんていないわ」ガシッ
八幡「雪ノ下サン? そう思うんだったら俺の腕を取って関節極めないでくれると嬉しいんですけど」
小町「それは幕張メッセが建つ前のお話……実は、元々この場所は猫の墓場だったようで……雪乃さんが見たのって、もしかして──」
雪乃「そ、そんなわけがないでしょう!!」メキメキ
八幡「そのまま俺の腕が逆方向に曲げられぎぃやぁぁぁあああ──っ!!!」
陽乃「はっはっは……面白いなぁ、雪乃ちゃんは」
葉山「……陽乃さん、これは?」
陽乃「ん? ちょっと壁に猫の画像映してただけだよ」
葉山「まったく……」
結衣「ちょ、ちょっとサブレ! って、首輪ダメになってるし!」
雪乃「ひ、比企谷くん。い、ぬが……」
八幡「ほれ」ガシッ
サブレ「ハッハッハッ」ペロペロ
八幡「うおお、ぬるっとしたぁ……」パッ
雪乃「あ、バカ。手を離したら……こっちに来る──!!!?」
サブレ「ハッハッハッ」ダダダッ
雪乃「こ、来ないで──!!」ダダダッ
八幡「…………」ポカーン
結衣「サ、サブレ! ごめんなさい! サブレがご迷惑を──あれ、ゆきのんは?」
八幡「ん、なんかお前の犬と追いかけっこやってるみてーだけど」
サブレ『わんわんっ』ダダダッ
雪乃『な、なんで私のところに!!』ダダダッ
結衣「あっ、ちょっ、サブレーっ!!」ダダダッ
八幡「……なんだこれ」
<カットーッ!!
雪乃「だから、誕生日のお祝いをしてあげたいの。たとえ、今後由比ヶ浜さんが奉仕部に来ないにしても、……これまでの感謝はきちんと伝えたい、から」
八幡「そうか……」
雪乃「ねぇ、比企谷くん……」
八幡「あん?」
雪乃「そ、その……つ、つ、つき……」
八幡「つ?」
雪乃「つき…………付き、……合って、くれない……かしら…………」カァァ
八幡「お、おう……?」
八幡(そこまで恥ずかしそうにするようなシーンじゃねぇだろ……変に意識するからやめてもらえませんかね)
結衣「カ、カットカットカットーっ!!」
いろは「ちょ、ちょっと雪ノ下先輩、なんでそこまで顔赤らめてるんですか!」
雪乃「べ、別に赤くはなってないわ」
雪乃(昔の私、よくもこんな恥ずかしい言葉を……)
ららぽーと
雪乃「驚いた……かなり広いのね」
小町「はい、なんかですね、いくつにもゾーンが分かれてるんで目的を絞った方がいいですよ」
八幡「と、なると効率重視で回るべきだな。じゃあ俺こっち回るから」
雪乃「ええ、では私はあちら側を受け持つわ」
材木座「うむ、ならばこちらは我に任せておけ!」
玉縄「よし、じゃあ僕がそちらを担当しよう」
戸部「っべーわー、じゃあ俺はこっち行った方がよくねー?」
小田「じゃあ、俺はこの辺りを」
田原「なら、俺は逆の方を」
大志「まだ空いてるところあるっすよね、そっち行くっす!」
秦野「あ、なら俺その左の方行きます」
相模「あ、じゃあその右の方行きます」
八幡「じゃあ、小町はこの奥の方を」
小町「待って。待ってお兄ちゃん。小町一人じゃ突っ込みきれない」
雪乃「どうやら、男性の一人客は警戒されるようね。見た限りでは男性客は皆、カップルだったようだし」
八幡「……じゃあ、俺あっちのほうにいるから」
雪乃「待ちなさい」
八幡「あん?」
雪乃「私のセンスに任せるつもり? 自慢ではないけれど、私は一般の女子高生と離れた価値基準を持っているのよ」
八幡「自覚はあったんだな……」
雪乃「だから、その……手伝ってもらえると助かる、のだけれど……」
八幡「まぁ、手伝ってやりたいのはやまやまだけど、店の中、入れないしな……」
雪乃「この際だから仕方ないわ。あ、あまり……きょ、距離をあけないようにしてちょうだい」
八幡「は? 距離?」
雪乃「ちゅ、ちゅまり……つまり、今日一日に限り……、こ、恋……人のように振舞うことを……許可する、ということよ……」
八幡「すげぇ上から目線だな」
雪乃「何か不満でも?」
八幡「別に不満はねぇよ」
雪乃「不満を持ちなさい」バキッ!!!
八幡「顔面グーパンッ!!?」
雪乃「特に……今日一日に限り……の所とかに……で、何か不満でも?」
八幡「不満しかねぇんだけど」ヒリヒリ
雪乃「そ、そう……ならいいわ」
八幡「いや、よくないからね? なんで俺殴られたのん?」
キッチン雑貨店
八幡「なるほど……確かにこれは由比ヶ浜の弱点だな」
雪乃「比企谷くん、こっち」
八幡「ん?」
雪乃「どうかしら?」エプロンソウチャク
八幡「どうって言われてもなぁ……すげぇよく似合ってるとしか」
雪乃「ん、んん……そう、ありがとう……なら、こちらはどうかしら」ベツノエプロンソウチャク
八幡「おお、いいんじゃねぇの」
雪乃「そ、そう……次に、これは?」ベツノエプロンソウチャク
八幡「悪くないな……つかあれだな、お前猫マーク似合うな」
雪乃「あ、あああありがとう…………すみません、これ全部ください」
八幡「……あれ、そういうシーンだったっけ」
結衣「…………」イライラ
いろは「…………」チッ
川崎「…………」ダンダン
めぐり「…………」ゴゴゴゴゴ
留美「…………」バキッ
小町(お兄ちゃ──ん!! 小町的にはポイント高いけど、控え室の空気が怖いよー! 助けてお兄ちゃ──ん!!)
ゲームコーナー
雪乃「まったく……たまに真面目な顔をしたかと思ったらこんな手を使うなんて……」
八幡「別に俺は取ってやるとは言ってない。手に入れてやると言っただけだ。ほれ、やるよ」っパンさん
雪乃「これを手に入れたのはあなたでしょう。たとえそれがどんなに認めたくない手段だったとしても、あなたの功績は認められるべきだわ」
八幡「いや、俺、これいらんし。ていうかお前の金でやったし。対価を支払ったのはお前だ。なら、それを受けとる義務がお前にはある」
雪乃「……そ、そう。…………。返さないわよ」
八幡「いらんって」
雪乃「毎日抱きついて寝るわよ」
八幡「だからいらんって……え、今なんて?」
雪乃「墓まで持って行くわよ」
八幡「お前、パンさん好きすぎんだろ……」
川崎「だぁぁぁあああっ、もう見てられないあいつを殺してあたしが雪ノ下になる!!」
大志「待って。落ち着いて。姉ちゃん言ってることおかしいから」
川崎「フーッ、フーッ、ま、まぁいいよ……文化祭になったら、またあいつに愛してるって言ってもらえるから……」
結衣「待って。沙希、それちょっと詳しく」ゴゴゴゴ
小町「小町もうこの空気耐え切れないよ……」
大志「だ、大丈夫だよ比企谷さん! 俺もいるから!」
小町「た、大志くん……」
ドドドドドドドドド パリーン!
八幡「大志ィ!! 貴様、俺がいないからと小町に手を出そうとするとは許さんぞ!!」
小町「えー……お兄ちゃん撮影中なのになんで聞こえてるの……なんか小町的にポイント高いような低いようなー……」
ららぽーと 続
八幡「に、してもお前本当に好きなんだな、パンさん」
(中略)
雪乃「……誕生日プレゼント、だったのよ。そのせいで一層愛着があるのかもしれないわ。……だから、その……、取ってもらえて……」
八幡「…………」
雪乃「う、うれし……」モジモジ
八幡「…………」
八幡(ちょっと──!? ここ陽乃さんの出番でしょおおおおおお!?)
陽乃(雪乃ちゃん……比企谷くん……ガンバ!)グッb
八幡(はぁぁぁるのすわぁぁぁあああん!?)
雪乃「か……ったというか……あの時も……今日も……」
八幡「あの、ゆ、雪ノ下さーん?」
<カットー!!
雪乃「…………」
陽乃「ちょっと監督? 空気読もうねぇ~?」
<オマエガミスッタンダロウガー!! ウワナニヲスルヤメ
八幡「…………ふぅ、助かった」
遊戯部
相模「いやー秦野くん、負けちゃったねー。しまったー」
秦野「そうだなー。相模くん。油断してしまったー」
相模「困ったね」
秦野「困ったな」
二人「「だって、負けたら服を脱がなきゃいけないんだから」」ババッ!!
結衣「なっ!? 何よそのルールっ!」バンッ
相模「え? ゲームで負けたら脱ぐのが普通じゃないですか?」
秦野「そうそう。麻雀もじゃんけんも負けたら脱ぐものです」
相模「では、第二回戦参りましょう……」
結衣「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! ちょ、話を」
戸部「ヒューヒュー! やれやれヒキタニくーん! ザイモクザキくーん!」
大岡「お、おお……が、がんばれー!!」
大和「応援してるぞー!!」
結衣「ひぃぃ! ギャラリーの男子が一斉に盛り上がってきた! キモい! ちょっ、ヒッキー助けてよ!」
八幡「って言われてもなぁ……」
いや、ほら、たまには男側が優勢に立っても良いんじゃない?
それに。
海老名「…………ふんっ」バキバキ
戸部「ぎぃやぁぁあああ!! 頭蓋骨がぁぁぁあああ!!!」
大岡「うわっ、戸部の頭が落花生みたいな形に!!?」
俺が何かするまでもなさそうだし。
第三戦、第四戦と敗北し、俺は既に靴下、ワイシャツと脱いでおり、渋々ズボンに手をかける。残るのは絶対防衛線(お気に入りのパンツ)のみ……。
八幡「くそ……」
半ば涙目になりながらズボンをするすると、なるべくこっそりと脱ぐ。ふと視線を感じてそちらを見やると──
雪乃「…………」ジー
結衣「…………」ジー
いろは「…………」ジー
川崎「…………」パシャパシャ
めぐり「…………」ジー
留美「…………」ジー
八幡「…………お願い、見ないで…………」シクシク
男のプライドも何もなかった。
奉仕部 結衣誕生日プレゼントシーン
雪乃「……馬鹿ね。終わったのなら、また始めればいいじゃない。あなたたちは悪くないのだし」
(中略)
雪乃「私は平塚先生に人員補充完了の報告をしてこないといけないから」タッタッタッ
結衣「えっと、その、よ、よろしくお願いします……」
八幡「あ、ああ……」
結衣「……ね、これ開けていい?」
八幡「お好きにどうぞ」
もう渡した以上、その所有権は由比ヶ浜にある。わざわざ俺に許可を取らんでもいいのに。
由比ヶ浜は包み紙を丁寧に開くと、目を丸くして(パァンッ!!!)「きゃあああああっ!!!!」
結衣「…………」
八幡「ぷ、ぷくく…………」
結衣「…………ヒッキー」
八幡「はい」
結衣「これなに?」
八幡「びっくり箱です」
結衣「…………」ミシミシ
八幡「ねぇ知ってる? 人の首は270度も回らなぎぃやぁぁぁあああっ!!!」
<テイクツー、アクショーン!!
雪乃「私は平塚先生に人員補充完了の報告をしてこないといけないから」タッタッタッ
結衣「えっと、その、よ、よろしくお願いします……」
八幡「あ、ああ……」
結衣「……ね、これ開けていい?」
八幡「お好きにどうぞ」
もう渡した以上、その所有権は由比ヶ浜にある。わざわざ俺に許可を取らんでもいいのに。
由比ヶ浜は包み紙を丁寧に開くと、目を丸くして(パァンッ!!!)「きゃあああああっ!!!!」
結衣「…………」
八幡「に、二連続で引っ掛かった…………」ゲラゲラ
結衣「…………ヒッキー」
八幡「はい」
結衣「今のなに?」
八幡「びっくり箱パート2でございます」
結衣「矢ッ覇露──ッ!!!」バキッ!!!
八幡「鼻がぁぁぁああああああああああっ!!!」ブシャアアアアアアッ!!!
結衣「次やったら本気でやるからね」
八幡「え、今の本気じゃなかったの……あっはい、肝に免じておきます」
<テイクスリー、アクショーン!!
雪乃「私は平塚先生に人員補充完了の報告をしてこないといけないから」タッタッタッ
結衣「えっと、その、よ、よろしくお願いします……」
八幡「あ、ああ……」
結衣「……ね、これ開けていい?」
八幡「お好きにどうぞ」
もう渡した以上、その所有権は由比ヶ浜にある。わざわざ俺に許可を取らんでもいいのに。
由比ヶ浜は包み紙を丁寧に開くと、目を丸くして驚愕の色に染まった表情をこちらに向ける。
結衣「こ、これブレスレット? ねぇ、ヒッキー、サブレの首輪じゃないんだけど……これなに?」
八幡「…………撮影と被っちまったけど、お前今日誕生日だろ。だから、そのプレゼント」
結衣「えっ……」
八幡「まぁ、なんだ、その……ちょっとしたサプライズ、みたいな」
結衣「え、ええええええっ!!?」
八幡「……そこまで驚くことか。あー、いや、撮影中で悪いとは思うんだけどよ」
結衣「う、ううん! 嬉しいよ! すっごく……嬉しい……」
八幡「そ、そうか……まぁそれなら……」
小町「きゃ──っ!! なにあれお兄ちゃん!? ポイント高すぎだよ!!」
八幡「お前のポイント、マジでどこに溜まってんの? なんか貰える?」
小町「小町の愛情をあげるよ☆ ……で、最初のびっくり箱二回はなんだったの?」
八幡「……いや、ちょっとからかってやろうかなー程度で」
小町「あー、そゆこと……照れ隠しかー……」
八幡「おいばかそういうこと言っちゃうのやめろ」
ぼーなすとらっく! 「たとえばこんなバースデーソング」
結衣「やっはろー! ん、なんの話してるの?」
雪乃「あら、由比ヶ浜さん。いえ、比企谷くんが自分が立派な人間だと言って譲らないものだから」
結衣「あっはっはっ! それはないない!」
八幡「速攻で否定すんなよ……。待て落ち着け。順を追って俺の立派さを説明してやる。まず俺の顔がいい時点でプラス1ポイント」
雪乃「人のために行動することが出来る……プラス1ポイント」
結衣「い、意外と優しいし……プラス1ポイント」
雪乃「なんだかんだでやることは自分でやる。プラス1ポイント」
結衣「気が利くというかなんというか……周りをちゃんと見てるって気がするよね。プラス1ポイント」
雪乃「……この前、パンさんのぬいぐるみをまた取ってもらえて……とても嬉しかった……プラス1ポイント」
結衣「……さっき、いきなりだったらびっくりしたけど、誕プレくれてすっごい嬉しかった……プラス1ポイント」
雪乃「それから……」
八幡「もうやめて…………いっそ殺して…………」
カラオケ
戸塚「えっと……じゃ、じゃあ。由比ヶ浜さん。お誕生日、おめでとう」
雪乃「おめでとう」
小町「おめでとうございますー!」
材木座「ふむ、賀正」
八幡「いや、めでてぇけど賀正に誕生日的な意味ねぇから……」
結衣「みんなありがとーっ! じゃ、じゃあロウソク消すね。ふーっ!」
皆「「イエーッ!」」
小町「それでは、お友達の皆さんから結衣さんへメッセージを頂いております! こちらのモニターをごらんください!!」
結衣「わ、ありがとー! ……え、メッセージ? ああ、これもサプライズ……?」
三浦『結衣ー、誕生日おめでとー』
海老名『おめでとーっ!』
葉山『誕生日おめでとう、結衣』
戸部『ウェーイ! 誕生日ウェーイ!!』
結衣「優美子、姫菜、隼人くん、とべっち……!!」
いろは『おめでとうございます、結衣先輩!』
川崎『まぁ、一応……おめでとう』
平塚『うむ、おめでとう。これからも頑張っていってくれ』
結衣「いろはちゃん、沙希、平塚先生……みんな、ありがとう……!!」
玉縄『やぁ、由比ヶ浜さん。ハッピーバースデー』クルックルッ
結衣「」
玉縄『かつてビジョンを共有した仲間として嬉しく思うよ。ところで、海外でのバースデーっていうのは(ガッシャアアアアアアンッ!!!)「モニターが──!!!」
カラオケ 続
ナビ『まもなく、演奏を開始します』
雪乃「……はぁ、まったく」
結衣「ゆきのん、ほらほら、始まるよ!」
雪乃「由比ヶ浜さん、マイクを」
結衣「意外にやる気満々だ!?」
<キョウカラハジマル ワタシノBrand new birthday!!!
八幡「…………」
小町「ねぇねぇお兄ちゃん」コソコソ
八幡「……んだよ、またリテイク食らうぞ」
小町「お兄ちゃんさ、決めたの?」
八幡「何をだよ」
小町「分かってるくせにー」
八幡「……」
<ホウカゴノBright Generation チャーイームーガーナリヒビクー
<ノートノスミニカイター コーノーキモチー ケセーナーイー
八幡「……分かってるよ」
小町「ん、分かってるならよろしい」
八幡「お前何様だよ……」
<チーイーサーナーイッポデイーイー マーエーニススメルナラー
<カーレニトードケテ ハジメテシーッタコノー カンジョウー
<キットワタシタチノイマハ Brand new startline!!
八幡「…………」
八幡(それでも、俺は──)
ぼーなすとらっく撮影後 関係者カラオケ打ち上げ
材木座「ディメンションドライバー!!!」
材木座「グングニルッ、ハンマー!!!」
材木座「ブラッディナイトメアッ、スラッシャー!!!」
八幡「熱ぅい!! この部屋だけ熱ぅい!! なんで他の女子と戸塚は別部屋なの!? ねぇ、特に戸塚なんで別部屋なの!?」
材木座「ふむ、歌を歌うのは楽しいものだな」
八幡「いや、お前のそれ歌じゃねぇし」
材木座「ならば、一曲入れようではないか」
八幡「え?」
材木座「ガガガッ、ガガガッ、ガオガイガ──ッ!!!!」
八幡「勇者王──ッ!!!?」
平塚「おい、私も混ぜろ!!」
二人「「ディバイディングッ、ドライバァァァアアアッ!!!」」
八幡「……はぁ、まぁ楽しそうだからいいや」
【急募】
ネタ
感謝のやっはろーの時といい、めぐりバレンタインの時といい、息抜きで書いてるSSに限って息抜きにならないのはなんでだろう。
ところで昨日戸部の誕生日を祝うSSは余裕で書く暇なかったけど別にいいよね。よね?
それでは4巻分書き終わったら、また来ます。
あとネタが尽き掛けてるんでネタを募集してます。助けてください。正直もうきつい。助けて。
乙です
何これ面白すぎる
おつ
ネタを募集するとか正直安心した
乙
おつ
>>97
sageろks
ネタっつったって原作の展開を>>1の手腕で面白おかしくするんじゃないの?
それともこっちからあれこれ口出ししていいって事?
基本的にはおもしろいんだけど、キャラ崩壊はやめてくり……
無尽蔵ネタ生産機じゃなかったのか
>>99
あんまり細かいことは考えてなかったんですけど、とにかくネタが思いつかなくて困ってるというか、誰か良いネタ出してくれたら取り上げてみたいなとかちょっと思った程度の感じです
ほんまこれ11巻まで書くとか言った馬鹿どこのどいつだよ責任者出せやオラ
このネタ11巻までやるんだ…
1スレじゃ絶対終わらないよね(期待)
>>102 わかったー 何か考えてみる
朝小町がいるはずなのに他のヒロインが睨み合いしてるとか
もうガハマさんルート入ってる気がする
ハヤハチヲカクノデス…ハヤハチヲカクノデス…ハヤハチヲカクノデス…
おもしろい
千葉村で川遊び肝試しに別のやつがとか?
怖いなこのスレ
宗教みたい
四巻ネタなら冒頭の小説をみんなの前で読まれて恥ずかしさに身悶えする八幡とか?
こころのあれのことなら、恥ずかしがるどころかいつものことっぽそうだけど……
4巻でしょう…?
初対面のはずなのにひたすらルミルミが懐いてくる、とかかなぁ?
発想は悪くないが、ガハマさんが暴力系になってたり、ヒロイン達の性格が総じて劣化してるのがちょっと……
キッズきも
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。④
中学校 夏季休暇課題 読書感想文
夏目漱石の「こころ」を読んで 二年C組比企谷八幡
小町「う、うわぁ……お兄ちゃん、これはない。これはないよ……」
八幡「うるせ、お前が作文写させてっつったんだろーが。嫌なら見んな」
小町「いやいや、ごめんって。使えそうなところだけ使うから貸して♪ ……まぁ、ほとんど使えなさそうだけど」
八幡「なぁ、別に読書感想文じゃなくてもいいんだし、普通の作文にすれば?」
小町「えー?」
八幡「ほれ、ここ。読書感想文、または『税についての作文』って書いてあるし」
小町「この前、普通の若者になりたいとか言って音楽グループを脱退した人?」
八幡「それはゼインだ」
小町「まったく、お前たち兄妹はよく似ている」
八幡「それはゼイラム」
小町「ゼイゼアゼムゼアーズ!!」
八幡「英語の代名詞の覚え方だろそれ……あれ、何の話してたんだっけな」
小町「そういえば『こころ』の感想をグーグルで調べてた時にウィキペディアに書いてあったんだけどさ、この主人公が最初にいった海水浴の場所って由比ヶ浜って言うんだって」
八幡「感想をググるなよ……っつーかそれくらい知ってるよ」
小町「なーんだつまんないの……あれ、なんで知ってるの?」
八幡「…………いやほら、ウィキペディアに書いてあるし」
プレナ幕張 外
結衣「あ、ヒッキー?」
八幡「おう……」
結衣「うん、久しぶりー」
三浦「んだ、ヒキオじゃん」
二文字しか合ってねぇ……。
三浦「ユイー。あーし、海老名に電話してるからー」
結衣「今日は優美子たちと遊ぼうと思ってさ……。ヒッキーは何してんの?」
八幡「あー、買い物?」
結衣「そーなんだ、だれかと遊び行ったりしないの?」
八幡「しないな」
結衣「……ヒッキー、昨日お出かけしようってあたしの誘い断ったけど、何してたの?」
八幡「お前今撮影中なんだけど……昨日は、確か一色の荷物持ちを」
結衣「一昨日は」
八幡「けーちゃんの相手してた」
結衣「三日前は」
八幡「城廻先輩の大学にちょっと」
結衣「四日前は」
八幡「留美の勉強を見てた」
結衣「五日前は」
八幡「戸塚とデート……じゃなかった、ゲーセンに遊びに行ってた」
結衣「ヒッキーのバカ! スケコマシ! 女たらし!」
戸塚「由比ヶ浜さん! ぼくは男の子だよ!」
プレナ幕張 外 続
結衣「……なんか、機嫌悪い?」
八幡(今のお前が言うな)
八幡「別に普通だ。……暑いとこうなるんだよ。なんつーの、だれるっつーか。電車のレールとかも伸びたりすんだろ、あとほら、犬とかすげぇ伸びるし。熱膨張って知ってるか?」
結衣「犬は関係ないでしょ。いやぁ、うちのも伸びてるけど」
八幡「じゃあ関係あるじゃねぇか……。なんだっけ、お前んちの犬。演歌がうまそうな……サブ……サブちゃん?」
結衣「サブレだし! ……ていうか、ヒッキー夏生まれなのに夏苦手なんだ」
八幡「……なぜ私が夏生まれだと知っているのかしら。あなた、ストーカー?」
結衣「なにそれ!? ゆきのんの真似!? ちょっと似てるし!」
八幡「……来るときは前もって連絡して欲しいのよね。紅茶のストックも減りが早くなってきたし、お茶請けも余分に用意しておかなければいけないし。何より、落ち着いて本を読む時間が少なくなるのよ」ハァ…
結衣「前よりクオリティ上がってるし!?」
八幡「……猫……、カーくん、こっちに……よしよし。……にゃあ……」
結衣「それもゆきのんの真似!? 結構似てるし……うん? カーくん? もしかしてゆきのん、ヒッキーの家に行っ」
雪乃「比企谷くん、記憶を失うまで歯を食いしばりなさい」
八幡「はっはっは、雪ノ下、人の頭を掴んで壁にぶつけようとするのはやめ(ガンッ!!)ぐぼあっ(ガンッ!!)がはっ(ガンッ!!)やめっ(ガンッ!!)……(ガンッ!!)……(ガンッ!!)」
小町「お兄ちゃんの反応が──!!!」
プレナ幕張 外 続々
結衣「あ、だからさ、もうすぐヒッキーの誕生日だし、誕生日パーティーしようよ」
八幡「いい。いらん。やめろ」
結衣「即答で拒絶された! しかも三回!」
八幡「いや、ほら……女子はともかく高校生にもなった男子がお誕生日会なんて恥ずかし過ぎて無理だ」
結衣「……あー、パーティがだめなら……その、二人……でも」
材木座「うむ、八幡の誕生日会か。ならば我も参加しよう」
大志「比企谷先輩、そろそろ誕生日なんすか!? なんかやるんなら俺も行くっす!」
玉縄「なら会場の方は僕たちで押さえよう。僕たちだからこそ出来る、オリジナリティをプッシュしたパーティにしたいところだね」
戸部「ウェーイ! 誕生日ウェーイ!」
秦野「それなら」
相模「僕たちも参加しましょう」
結衣「全然ぼっちじゃないじゃん! ヒッキーのバカー!!」
八幡「いや面子見て言ってね? このうち一人でも来てもらって嬉しい奴いないんだけど? ちょっと、由比ヶ浜さん?」
自宅
朝から蝉の声がうるさい。
つけっぱなしのテレビからはこの夏一番の猛暑だとかなんとか。お前らそれ毎日言ってねぇか。なぜか毎年現われる十年に一人の逸材かっつーの。
(中略)
そういや、バイトももうずいぶんとやっていない。
奉仕部に入る前まではちょくちょくバイトをしていたもんだが……。大抵の場合、すでにできあがっている人間関係になじめず、三ヶ月くらいで辞めていた。辞めると、ユニフォームを返しに行くのもひどく億劫で、着払いで送りつけたものだ。
こうして考えてみると、俺は結構な時間を奉仕部に奪われていたのだ。だが、夏休みまでは手が出せなかったようだな。フゥーハハハハハハッ!
と、高笑いを上げていたら携帯が鳴った。
着信音『お互いにリスペクトできるパートナーシップを築いてシナジー効果を』
八幡「……くっ、くくっ……くっ……」プルプル
<デデーン
<ハチマン、アウトー
八幡「誰だよ俺の携帯の着信音を玉縄のルー語に変えた奴!!!」
折本「比企谷の顔……超、ウ、ケ、る……ぷっ……くっくっく……」ゲラゲラ
八幡「お前かよ!!!」
バスロータリー
平塚「さて……、電話に出なかったいいわけを聞こうか。比企谷八幡」
八幡「電話に出んわ」
平塚「…………」ミシミシ
八幡「あっ、やべっ、酸素が足りなくて……視界が徐々に暗く……がくっ」
<テイクツー、アクショーン!!
平塚「さて……、電話に出なかったいいわけを聞こうか。比企谷八幡」
八幡「いや……、うちラジオウェーブがインスタビィリティなんですよ。多分あのプレジデントのヘアーの量とアンテナの量に何かリレートがあると思うんですけど。Kitaroの妖怪アンテナ的な感じで。ほんともうカンパニーのネームからしてウィークネスだと思ってたんですよ、何がソフトなんだよ! 文庫クリエイティブする前に電波クリエイティブしろよ! 好きでリーディングしてるけど!」
平塚「……比企谷?」
八幡「はっ、すんませんつい意識が高くなってしまいました」
平塚「そのまま意識飛ばしてやろうか……」
八幡「さっき飛ばされたばっかなんですけど……」
材木座「時に八幡、SBから文庫とは何が出ていたかな?」
八幡「はぁ? お前ニャル子とかダンまちとか読んでないの?」
材木座「なぬ? しかしあれはGA文庫のはず……」
八幡「いや、GA文庫ってSB系列の出版社のレーベルなんだけど……お前本当にラノベ作家志望かよ」
結衣「SBって?」
小町「白い犬 電波届かない 社長の髪が薄い」
結衣「あ、あはは……」
バスロータリー 続
結衣「ヒッキー。遅いし」
八幡「え、なんでお前らいんの?」
結衣「なんでって、部活じゃん。小町ちゃんに聞いたからここに来たんじゃないの?」
くそっ! 卑怯だぞ! 小町に誘われたらウキウキ気分で出かけてしまう妹への愛情を利用するなんて! まんまと外出しちまったじゃねぇか!
小町「結衣さんっ! やっはろー!」
結衣「小町ちゃん、やっはろー!」
小町「雪乃さんもっ! やっはろー!」
雪乃「やっ…………こんにちは、小町さん」
小町「玉縄さんもっ! やっはろー!」
玉縄「小町ちゃん、やっはろー!」
八幡「えぐり込むように打つべし、打つべし」バキッ!! バキッ!!
玉縄「ごばあっ!!?」
八幡「なんでお前混ざってるんだよしかも気持ち悪いんだよ無駄に声だけいいから逆に反応困っちゃうだろなんでお前なんかに日野ちゃまボイスが当てられてるんだよ中の人ご結婚おめでとうございます!!」バキッ!! バキッ!!
玉縄「ギブ」ガクガク…
バスロータリー 続々
八幡「暑いですし、ちゃっちゃと終わらせません?」
平塚「そう急くな。今最後の一人が来る」
戸塚「八幡っ!」
八幡「戸塚っ!!?」
小町「戸塚さん、やっはろー!」
戸塚「うん。やっはろー」
なにそれ可愛い。もっと流行らそうぜ。
八幡「戸塚も呼ばれてたのか」
戸塚「うん、人手が足りないからって。でも……ぼく、行っていいのかな?」
八幡「いいに決まってるだろ! ……材木座は?」
材木座「フハハハハハハ!! 我を呼んだか、八幡よ!!」
八幡「…………えっ、いやお前千葉村イベントん時いなかっただろ。帰れ帰れ」
材木座「八幡が呼んだのであろう!?」
八幡「いやだって台本通りだし……」
材木座「それに我も千葉村には行ったではないか!! 共に梨を運び、共に夜を明かし、共に肝試しをしただろう!」
八幡「いや、それゲーム版だけの話だから……じゃあな」
材木座「ま、待って八幡! はちま──ん!?」
千葉村
平塚「ふむ。全員揃ったようだな。さて、今回君たちを読んだ理由はわかっているな?」
雪乃「泊まりがけのボランティア活動だと伺っていますが」
戸塚「うん、お手伝い、だよね」
結衣「え? 合宿じゃないの?」
小町「小町、キャンプするって聞いてますよー?」
八幡「そもそもなんも聞かされてねぇんだけど……」
玉縄「視野を広げるため、そして人間的成長を得るために、ボランティア合宿が行なわれると聞いていましたが」
折本「成長! それある!」
海浜生徒1「相手は小学生なんだから、世代間のギャップを埋めていくために、まず話し合う場を設ける必要があるんじゃないかな」
海浜生徒2「そうだね、小学生とも価値観をシェア出来たらいいっていうのかな、学ぶべきことは多いはずだと思うよ」
海浜生徒3「小学生と僕たちの間でWIN-WINの関係を築いていけたらいいなって感じるね」
八幡「あー、いるよねー意識高い系のボランティア活動。で、こいつら帰らせていいの?」
千葉村 梨剥き
戸塚「八幡凄い。上手だね」
結衣「げっ! ほんとだ! ヒッキー無駄にうまい……きもい」
八幡「げっ、ってなんだ、げって。……え、きもい?」
密かにショックを受けた。
雪乃「……確かに、男子にしては結構上手ね」
珍しく雪ノ下に褒められた。おい、むしろこれ初めてなんじゃないか。思わず、雪ノ下へ顔を向ける。
雪乃「……けれど」
見れば、雪ノ下の前には梨のうさぎさんが群れをなしていた。
雪乃「まだまだね」
素敵なぐらいに勝ち誇った笑顔が眩しい。だが、前に千葉村に来てからそれなりの時間が経っている。俺にだって新しい芸があることを教えてやる。
八幡「お前がうさぎさんというなら……俺はこれだ!」
結衣「こ、これは……!?」
八幡「ふなっしー」
雪乃「そのままじゃない」
駄目だったかー。
千葉村 カレー作り
平塚「どうした比企谷、元気がないな。文学少年はアウトドアは嫌いかね?」
八幡「なんすか文学少年って……おい、小町。何話したんだお前」
小町「え? お兄ちゃんは小町の読書感想文のために、昔の作文読ませてくれたり手伝ってくれたりする超頼れる優しい兄なんですよっていう営業活動。あ、これ小町ポイントためたサービスね♪」
八幡「OK。だいたい把握した。お前、泣かすから」
小町「小町はお兄ちゃんのためを思って言ったのにー、納得いかないー」
平塚「まぁその辺にしておいてやれ。実際半分以上は君とののろけ話みたいなものだったよ。小さい頃の思い出から何から聞かされ」
小町「わうあー! ちょっと、それいうのは反則っていうか……小町的に超ポイント低いっていうか……」
平塚「家出した時に君が迎えに行き、それ以来早めに帰ってくるようになったとか」
小町「わうあー!!」
平塚「あの時の生徒会選挙の件でも、妹の助けがあっただとか」
小町「わうあー!!」
平塚「実は結構最近まで一緒にお風呂に入っていただとか」
雪乃「比企谷くん?」ガシッ
結衣「ヒッキー?」ガシッ
八幡「待ってくれ冤罪だ!! そんな事実は存在しない!! あと小町、実は一緒にお風呂に入りたかったっていうなら俺に言ってくれればよかったのに(バキッ!!)(ゴキッ!!)すみません俺がまちがっていました許してください後生です」
カレー作り 続
八幡「あいつ、バカか……」
留美「ほんと、バカばっか……」
八幡「まぁ、世の中大概はそうだ。早めに気づいてよかったな」
雪乃「あなたもその、大概でしょう」
八幡「あまり俺を舐めるな。大概とかその他大勢の中ですら一人になれる逸材だぞ俺は」
雪乃「そんなことをそこまで誇らしげに言えるのはあなたくらいでしょうね……。呆れるのを通り越して軽蔑するわ」
八幡「通り越したら尊敬しねぇか、普通……」
留美「……名前」
八幡「あ? 名前がなんだよ」
留美「名前聞いてんの。普通さっきので伝わるでしょ」
雪乃「……人に名前を尋ねるときはまず自分から名乗るものよ」
留美「……比企谷留美」
八幡「おい」
雪乃「私は雪ノ下雪乃。そこのは、……ロリコンさんだったかしら」
八幡「違っ」
留美「うん、そうだよ。八幡の机の引き出しに入ってる保健の参考書、全部ロリ物だもん」
八幡「ちょっと待て留美、あれいきなり入っててビビったんだがもしかして入れたのお前じゃ」
雪乃「ちょっと待ちなさい、部屋に小学生……今は中学生だったわね……を上げている時点で否定は出来ないのではないかしら」
八幡「いや、留美がほとんど強引に入ってきただけで……待ってその電話をしまってくださいお願いします」
夕飯
葉山「まぁ、カレーは男子みんな好きだったから殺気立つよな。あと、麦芽ゼリーの日とかも。他県出身の友達に聞いたんだけど、あれ給食で出るの千葉県だけらしいね」
結衣「え!?」
三浦「マッジかよ!」
小町「ほ、本当なんですか……」
八幡「おいおい、じゃあ、四六都道府県民は総じて不幸じゃねぇか……」
葉山の千葉知識が火を噴いていた。
しかし、この程度で千葉ペディアを名乗られるわけにはいかない。他は負けてもいい! 千葉のことだけでは負けたくない!
八幡「知ってるか? みそピーが給食で出るのも千葉だけだぜ?」
雪乃「伊勢とついているけれど、伊勢海老の漁獲高一位の件は千葉県よ」
結衣「内出血のこと、青なじみっていうのも千葉県だけだよね?」
平塚「茨城も言うらしいがな……千葉といえば、東京ドイツ村も東京と銘打ちながら千葉にあるな」
小町「小学校の2時間目と3時間目の間の休みを行間休みって呼ぶのも千葉くらいらしいですね」
わいわいと千葉ネタで盛り上がる一同。そうだ、人類皆千葉県に住めば平和になるのではないだろうか。
八幡「ま、みそピーご飯の旨さを知ってるのも千葉県民くらいなもんだしな」
雪乃「いえ、さすがにご飯にはかけないと思うのだけれど……」
八幡「お前ちょっと表出ろ」ガタッ
雪乃「上等よ、返り討ちにしてあげるわ」ガタッ
前言撤回。やはり人類は分かり合えない。
議論
三浦「つーかさー、あの子、結構可愛いし、他の可愛い子とつるめばよくない? 試しに話しかけてみんじゃん、で、仲よくなるじゃん。余裕じゃん?」
戸部「それだわー。優美子冴えてるわー」
三浦「ふっ、だしょ?」
結衣「そ、それは優美子だからできるんだよ……」
葉山「言葉は悪いけど、足がかりを作るって意味では優美子の言ってることは正しいな。けど、その状況下だとそもそも話しかけるハードルが高いかもしれない」
八幡「ノーノー。そうじゃない。ブレインストーミングはね、相手の意見を否定しないんだ。留美が周囲に溶け込めない、話し掛けづらい、じゃあどう対応していくか。そうやって議論を発展させていくんだよ。すぐに結論を出しちゃいけないんだ。だから君の意見はだめだよ」
三浦「ウザ」
結衣「きも」
雪乃「言ってて恥ずかしくないの?」
八幡「正直悪かったと思ってる」
風呂
男の風呂なんてカラスの行水みたいなもんでそう時間もかからない。これが戸塚の入った後の風呂ならじっくりと浸かっているところなのだが、俺の前に入っていたのが戸部、葉山なのでさくさく上がってしまった。
あまり広くない脱衣場で身体をばっちり拭いてから、脱衣カゴの中をまさぐる。
八幡「ぱんつぱんつっと……おっ?」
俺の手がパンツを探り当てるのと、脱衣所のドアが開くのとが同時だった。つまり、今からパンツを履いても、間に合わない。はわわ! ご主人様、敵がきちゃいました><!
からりと開かれた扉から顔を出したのは……留美!?
留美「あ、はち……」
八幡「 」
<ピーポーピーポー
<ゴカイダァァァアアア!!!
結衣「る、留美ちゃん、どうして管理棟の内風呂の方に行ったの!?」
留美「八幡の背中を洗ってあげようと思って」
結衣「この子もだいぶ駄目になってきてる!」
夜 バンガロー
葉山「電気消すぞ」
戸部「ちょ、隼人くん、なんかこれ修学旅行の夜みてぇじゃね」
葉山「ああ、そんな感じだなー」
戸部「……好きな人の話しようぜ」
葉山「嫌だよ」
戸塚「あはは……、ちょっと、恥ずかしいよね」
戸部「なんでだよ!? いいじゃん、語ろうぜ! わかった! じゃあ先に俺が言うから」
こいつ、絶対自分が言いたいから話振っただけだろ……。
戸部「俺、実はさ…………」
しかし懐かしいな、前に千葉村に来た時にもこんな話を──
戸部「優美子のこと、ちょっといいなって思ってんだ……」
<ジョウダンダッテ、ハヤトクーン!!
雪乃「あら、比企谷くん──と戸塚くん? 次のシーンは比企谷くんだけだったと思うのだけれど」
八幡「や、ちょっと修羅場ってて避難してるだけ」
戸塚「あ、あはは……」
雪乃「?」
<テイクツー、アクショーン!!
戸部「俺、実はさ……海老名さん、ちょっといいなって思ってんだ……」
八幡「……マジで?」
戸部「あ? ……お、おう。んだよー、ヒキタニくん聞いてたのかよー。反応しないから寝てんだと思ってたわー」
戸塚「うん、でも意外。戸部君は三浦さんのことが好きなんだと思ってた」
戸部「いやー、優美子には手出せないって。……怖いし」
その怖いって言うのが、三浦自身なのか葉山なのか気になるところだ。
戸塚「でも、そのわりに三浦さんとばっかり喋ってるよね?」
戸部「あ、あー……、それは、そのよく言うべ? 将を射んと欲すればまず馬を射よってやつ」
八幡「いや、明らかに三浦のほうが将っぽいけどな」
けど、意外なくらい、戸部の思いに共感できてしまった。好きな子ほど話しかけられない、というのは男子としてよくわかる。
戸部「結衣も結構いいけど、あいつアホじゃん?」
ああ、そうね。アホね。でも、お前程度がそう言っていいほどアホじゃねぇと思うぜ。
戸部「それに、地味に人気あるから競争率超高ぇし」
…………。まぁ、そうだろうな。
優しい女子はモテる。勘違いしたモテない男子が恐ろしいほどよく引っかかる。爆釣だ。そこらのルアーなんて目じゃない。フィーッシュ!! ってグランダー武蔵だって真っ青だ。
だから別に驚きもしないし動揺もしないし意外にも思わないしびっくりもしないし動揺もしないし驚きもしないし慌てたりもしないし動揺もしないし驚愕もしないし青ざめたりもしないし絶句もしないしびっくりもしないし平静も失ってないし仰天もしないし動揺もしないし面食らってたりしないし驚きもしないしショックも受けないし動転もしないし精神的ダメージも受けないしびっくりもしないし冷静さを失うこともないし唖然とすることもないし驚きもしないしドギマギとかしないし衝撃も受けないし意外にも思わないしまごついたりしないしパニックにならないし動揺もしないしあたふたしないしドッキリしないし落ち着きをなくしたりしないしびっくりしないし動揺もしないし驚きもしない。何これ凄い心臓が──
戸塚「はちま──ん!! しっかりしてぇ──!!」ユッサユサ
八幡「はっ! あぶねぇ過呼吸で意識飛んでた!!」
戸塚「過呼吸って意識飛ぶのかな……? それより、大丈夫?」
八幡「……えっ、うんだいじょうぶへいきへいきちょうよゆう」
朝
夢を、夢を見ていた。
がしがしと俺を気遣いもせずに身体を揺する大きくて硬い手。肌を通して感じるむわっとした熱い体温。少し困ったように俺の名前を呼ぶ暑苦しい声。
それはまるで悪夢のように思えた。
けれど、これが夢だと知っている。妹は普段俺を起こしに来ないし、両親に至っては俺が起きるより前に家を出てしまう。俺を夢から覚ますのはいつだって無機質で無慈悲な携帯電話のアラームだけだ。
だから、これは夢なのだと、心も身体もそう判断していた。
???「八幡よ、朝だ。起きないと……」
何度もそう言っては俺の身体を揺さぶってくるので、ようやく俺の瞼が開いてくる。朝の光が眩しい。その光の中で、材木座が無駄に鬱陶しいドヤ顔を浮かべていた。
材木座「やっと起きたか……。おはよう、八幡☆」
八幡「絵面も声も暑苦しいんじゃああああああああああああっ!!!」バキッ!!
材木座「あふぅ!!」ドサッ
<テイクツー、アクショーン!!
夢を、夢を見ていた。
ゆっくりと俺を気遣うように身体を揺する小さく柔らかい手。肌を通して感じるほんのりとした寝起きの体温。少し困ったように俺の名前を呼ぶ甘やかな声。
それはとても幸せな夢のように思えた。
けれど、これが夢だと知っている。妹は普段俺を起こしに来ないし、両親に至っては俺が起きるより前に家を出てしまう。俺を夢から覚ますのはいつだって無機質で無慈悲な携帯電話のアラームだけだ。
だから、これは夢なのだと、心も身体もそう判断していた。
???「八幡、朝だよ。起きないと……」
何度もそう言っては俺の身体を揺さぶってくるので、ようやく俺の瞼が開いてくる。朝の光が眩しい。その光の中で、留美が俺と同じ布団に入っていた。……ん?
留美「やっと起きた……。おはよ、八幡」
八幡「…………留美サン? どうして俺と同じ布団に入ってるんでせう?」
留美「……そっちから入ってきたくせに。八幡のえっち」
八幡「は? ま、待て、もしかしてここ女子小学生のとこか!? いや違う! 留美が俺たちの部屋に来たんだよね!?」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ガシャーン!!
雪乃「…………やはり、比企谷くんは一度警察に突き出す必要があるようね」
結衣「…………ヒッキー、京華ちゃんとも遊んでたって言ってたけど、やっぱりロリコンなんだね」
八幡「違うッ、誤解だ!!!」
留美「そうだよ、八幡は年下の女の子が好きなの。だからオバサンたちは早く帰ったら?」ギュー
雪乃「あ?」
結衣「は?」
留美「ん?」
八幡(ふえぇ怖いよぅ……)ガクブル
川
ぱしゃぱしゃと何度か顔を洗っていると不意に聞き慣れた声が聞こえた。
雪乃「あら、川に向かって土下座?」
八幡「んなわけねーだろ。あっちの方向に聖地があって一日五度の礼拝をだな……
冷たく挑発的な言葉に反射的に顔を上げる。
その瞬間、呼吸することを忘れた。
雪ノ下雪乃はその名の如く、さながら雪の化身であるかのように見えた。
透き通るような白い素肌、形のいいふくらはぎから腰まで続く脚線美、驚くほど細くくびれた腰、控えめながらも一応主張はしている胸元。
だが、それもほんの一瞬のことですぐにパレオで隠されてしまう。あっぶねー、危うく窒息するとこだったわ」
雪乃「…………」
小町「……お兄ちゃん、全部声に出てるよ」
八幡「忘れてくれぇぇぇえええええええええええええっ!!!」ダダダッ
肝試し 準備
八幡「肝試しの衣装……これ仮想っていうか、コスプレだろ……」
結衣「かわいいわよ、つぐみ!!」
戸塚「かっ……! かわいくなどありません……!」
結衣「またそういう……つぐみも女の子なんだから、それらしい格好しないとね!」
戸塚「……必要ありません。私はお嬢を守り、お嬢との約束を果たすためにここにいるのですから……」
お前ら声似すぎだろ、コスプレの領域越えてるんだけど。
雪乃「つぐみさん、おいしいケーキがありますよ!」
小町「つぐみちゃん、こっちおいでー」
戸塚「え、ええ?」
惜しい、かなり惜しいけど、そっちのつぐみは春鳥じゃなくて誠士郎ちゃんだ。つぐみはつぐみだけど、ソウルイーターノット! じゃなくてニセコイの方だ。
ていうかお前らも声超似てるな。もう声優やれよ。
肝試し 本番
戸塚「スタートしたら森の奥にある祠から御札を取ってきてください」
森への入り口で魔女姿の戸塚(凡矢理高校の制服は着替えてしまったらしい)が簡単なルールのアナウンスを行なう。最初は緊張していたのか、よくトチっていたが、何組か送り出し、慣れてきてからはごらんの通り、きちんとこなしている。
ここについては小町と戸塚に任せて大丈夫だろう。それに、平塚先生もいる。大きな問題は起こらないはずだ。
俺は肝試しの様子を観察するためにこそっと行動を開始する。他の連中の仕事ぶりも見させてもらうとしよう。
小学生たちに気取られないよう、木立に紛れつつしばらく歩く。
最初に配置されていたのは誰だったかな。
小学生たちが通りかかると、何者かが木陰から飛び出してきた!
玉縄「フレキシブル! コンセンサス! インフルエンサー! コミット!」クルックルッ
小学生「ぎゃあっ! 妖怪・タマナワだ!」
小学生「あの手はやべぇ! 逃げろ!!」
小学生「きゃああああっ、意識が高くなるー!!」
腹筋が耐えられるわけがなかった。
<デデーン
<ハチマン、アウトー!!
肝試し 本番 続
女子「この肝試し全然怖くないしー!」
女子「高校生なのに頭わるーい!」
戸部「あ? お前、何タメグチ聞いてんだよ?」
三浦「ちょっと、あんたらチョーシのってんじゃないの? 別にあーしら、あんたたちの友達じゃないんだけど?」
女子「え……」
三浦「つーかさー、なんかさっき超バカにしてた奴いるよねー? あれ言ったの誰?」
女子「ご、ごめんなさい……」
三浦「何? 聞こえないんだけど」
戸部「舐めてんのか? あ? おい」
女子「ふえっ、ごめんなさっ、うえっ、びえええええん!!」
戸部「えっ、ちょ」
女子「ごめんなざいいいいい、うえええええん!!」
戸部「待っ、これ演技……いやごめんやりすぎたって、ほら今度なんか奢っからさ、許してくんね? な?」
女子「ほんと? お兄さん大好きー」パアッ
戸部「えっ、ちょ、ええ……」
八幡(あいつ、ハメられたな……)
キャンプファイアー
雪乃「比企谷くん……。あなた、本当は誰のために解決したかったの?」
八幡「そりゃルミルミのためだろ」
雪乃「……そう。ならいいのだけれど」
雪ノ下はそれきり問うことをやめ、広場の中央にあるキャンプファイアーへと目を向ける。ちょうどフォークダンスを終えて、解散したところだった。
俺たちのすぐ脇の道を生徒たちが歩いていく。
視界にはちょうど留美がいる。
俺を見つけて、けれどもすっとごくごく自然に俺の膝の上にぽすっと座った。……ん?
八幡「おい、留美……なんで俺の膝に座ってんの」
雪乃「比企谷くん?」
八幡「通報はもうやめてくださいお願いします」
留美「……別に、そういえばお礼言ってなかったなって」
八幡「今更だろ、もう時効だ」
留美「ううん、そんなことない……おかげで、楽になったところあるし……遅くなったけど、ありがとう」
八幡「……ん、どういたしまして」
留美「じゃあ八幡、撮影終わったし一緒にお風呂入ろ?」
八幡「いや、俺まだこの後葉山とのシーンが雪ノ下、どうして俺の頭をつかんでアイアンクローがあああああああああああっ!!!!」ミシミシ
帰り
陽乃「あ、比企谷くんだー。なんだー、やっぱ一緒に遊んでたのか。んー? デートか! デートだな、このこのっ! 羨ましい! 青春っ!」ウリウリー
八幡「またそのパターンかよ……。違うっつってんじゃないですか」
結衣「あ、あの! ヒッキー嫌がってますから」グイッ
陽乃「えーっと、新キャラだねー。あなたは……、比企谷くんの彼女?」
結衣「…………ち、違います! ……ぜんぜん、そんな……」
陽乃「なんだ、よかったー。雪乃ちゃんの邪魔する子だったらどうしようって考えちゃった。わたしは雪ノ下陽乃。雪乃ちゃんのお姉ちゃんです」
結衣「あ、ご丁寧にどうも……。ゆきのんの友達の由比ヶ浜結衣です」
陽乃「友達、ねぇ……。そっか、雪乃ちゃんにもちゃんと友達がいるんだね。よかった、安心したよ。あ、でも、比企谷くんに手を出しちゃだめだよ。それは雪乃ちゃんのだから」
二人「……」「違うっつーの」
八幡(おいセリフ言えよ雪ノ下)
陽乃「ほら、息ぴったり!」
八幡(今こいつ何も言ってないような)
平塚「陽乃、その辺にしておけ」
陽乃「久しぶり、静ちゃん」
平塚「きゃー! のび太さんのエッチー!!」(裏声)
陽乃「…………」
雪乃「…………」
八幡「…………」
平塚「…………笑えよ」
結衣「…………」
小町「…………」
戸塚「…………」
平塚「…………笑えよ、笑ってくれよぉぉぉおおおおおおおおっ!!」ダダダッ
あ、逃げた。
ネタ
出ない
かゆ
うま
続く
文化祭で確か雪乃と八幡がトロッコ的な何かに突っ込まれたよね?
そこで必要以上に近づいたりとか
なんで抵抗しないんだよ、避けるかカウンターでも決めてやれ
乙!先生…
妖怪・タマナワは卑怯だぞwwwwwwwwwwww
乙
面白いね
玉縄の安心感ww
夏祭りで相模と出くわして相模が嘲笑を浮かべるシーンで何故嘲笑をうかべたのかヒロイン勢に問い詰められフルボッコにされる相模とか
サブレを引き取りに来るシーンで何故か家からルミルミとけーちゃんの声がする
意識高くなるうううう!!
こんなんずるいわ。
おつ
乙です
めぐりんSSの人だったかー
おつ
シリアス書きすぎてネジ飛んだんじゃない?(名推理)
乙です、めぐりバレンタインも読んでました
乙です、
……ピーポーピーポーって救急車だよな、
sageろ早漏
そういや渋に、平塚せんせが「のび太がジャイ子と結婚した世界」のしずかちゃん本人だったっていう一発ネタがあったな
思ったよりルミルミとのイチャイチャが多かったwwwというかみんなのネタを採用して上手く使っててて笑ったわw
>>158
おおっと読者発見
サンクスww
なんだこいつ
まーぼうだっけか
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。⑤
夏季休暇課題:自由研究
花火の不思議 比企谷 小町
小町「……お兄ちゃん、これはなにかな?」
八幡「そ、その……、小町らしさを出そうと思ってな……」
小町「小町らしさ……。お、お兄ちゃんの中での小町でのこんなイメージなんだ……。ショック! 小町ショック! ていうかぜんぜん小町っぽくないよ! 最後二つなんて完全にお兄ちゃんだよ!」
八幡「わかったよ、やり直すよ、やればいいんでしょ、やれば。はいはい、やりますよ。俺の仕事じゃないけど黙ってやりますよ」
小町「そこ! 下っ端社員みたいな投げやりな態度を取らない! ……まぁ、もともと小町の宿題だし、こっからは小町がやるよ。ここまでやってくれてありがと」
八幡「その……、なんだ。俺も後半ちょっとめんどくなっちゃったからついさ……。悪かった、極力手伝うよ」
小町「お兄ちゃんならそう言ってくれると思った! だからお兄ちゃん好きだよ!」
八幡「はいはい、俺も好き好き大好き超愛してる」
小町「小町の方がもっと愛してるからね! 大好きだよ、お兄ちゃん!」
八幡「お、おう、そうか……ありがとう……」
小町「本当にお兄ちゃんのことが大好きで大好きで…………思わず手錠を掛けて家に監禁したくなるくらい愛してる…………」ハイライトOFF
八幡「怖ぇぇ!! いきなり重くなった!! ヤンデレの妹に死ぬほど愛されて家から出られなくなりそう!! 助けてくれ!!」
比企谷家 リビング
八幡「で、お前、何しに来たの?」
結衣「あの、小町ちゃんにお願いしてたサブレのことなんだけど……」
サブレ「ひゃん!」
八幡「このワンちゃんなんで連れてきたんだ?」
結衣「うち、これから家族旅行に行くんだ」
八幡「仲良いなお前んち。うちなんて」
小町「お兄ちゃんが置いていかれるだけだよね」
結衣「さすがヒッキーだ……」
八幡「……違う。中学のときに行かねぇっつったんだよ。そしたらまぁそれ以降連れてかれてないってだけだ」
<ハーチャンノヘヤダー
<ハチマンノベッド…イイニオイ…
八幡「…………で、その旅行がどうしたって?」
結衣「…………あ、うん、旅行言ってる間、ちょっとサブレを預かってほしいなーって」
<ハーチャンノフクダー
<ハチマンノシャツ…イチマイモラオウ…
八幡「…………わざわざ離れてるうちに預けなくていいだろうに」
結衣「…………ゆ、優美子も、姫菜も、ペット飼ったことなくってさ、最初、ゆきのんに頼んでみたんだけど……」
<ハーチャンノホンダー
<エッチ…ハチマン、コウイウノガイイノカナ…
八幡「待て、けーちゃん!! 留美!! それはお前らが読んでいい本じゃない!!!」ガタッ!!
結衣「待ってヒッキー!! なんで部屋に京華ちゃんと留美ちゃんがいるの!!?」ガタッ!!
One day…
Mobile talk Hachiman & Yui
FROM ☆★ゆい★☆: 19:23
TITLE nontitle
▽・w・▽コンバンワンコ サブレ、元気してる?
FROM 八 幡 19:45
TITLE Re
一日でそうそう変わんねぇよ。過保護か
FROM ☆★ゆい★☆: 19:48
TITLE Re2
だから顔文字ないと怒ってるみたいに見えるし(`・ω・´)
FROM 八 幡 19:50
TITLE Re3
そんなん使わねっつーの。つーか、これどうすんの。なんか気をつけることとかねぇの。長所とか短所とか知っとかないと対処に困るんだけど
FROM ☆★ゆい★☆: 19:55
TITLE Re4
長所……。胴( ´・ω・`)?
FROM 八 幡 19:56
TITLE Re28
いや確かにお母さんは魅力的だとは思いますけど、それでも夫も娘もいるでしょう?
ていうか、このやり取り由比ヶ浜(娘の方です)にバレてませんよね?
FROM 八 幡 19:57
TITLE nontitle
悪い、誤爆した
FROM ☆★ゆい★☆: 19:58
TITLE Re
待ってヒッキー、なんでママとメールしてるの
FROM ☆★ゆい★☆: 19:59
TITLE nontitle
ねぇ答えてよヒッキー
FROM ☆★ゆい★☆: 20:00
TITLE nontitle
なんでどうしてママとメールしてたの
教えてよ
何があったの
FROM ☆★ゆい★☆: 20:01
TITLE nontitle
ていうかあのやり取り何
ヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキーヒッキー
FROM ☆★ゆい★☆: 20:02
TITLE nontitle
でんわ でろ
予備校
一日の講義が終わり、さくさくと帰る準備を始めた。
ぼっちは帰宅時が一番元気がいい。
幸い、ここ津田沼は歓楽街としてもそこそこ発展してる。書店もかなりの数があるしゲーセンも多い。高校生男子にとっては退屈しない街だ。
帰りしなどこかに寄っていくかと算段をつけていると、机の端をとんとんと叩かれた。
音の方向を見やると、そこにいるのは不機嫌そうな顔をしたノーパ……川崎沙希だ。なんだよ、用があるなら声をかけろよ。お前の両親キツツキかなんかなの?
八幡「……何か用か?」
聞けよオラァ! みたいなオーラを出されたので、おとなしく聞いてあげることにした。すると、川崎は少しためらうように顔をそむけ、ぽっと顔を朱色に染めながら、流し目でこちらの方を見つめてきた。んだよ、お前その高等テクニックどこで覚えてきたんだよやるじゃねぇか。
川崎「ねぇ、このあと暇?」
八幡「もしかして誘ってるんですか正直ぐっと来ましたけどごめんなさい無理ですいやこのあとちょっとアレだから」
いろは「だーかーらー! 人のアイディンティ取らないでください!!」
川崎「その、ちょっとランジェリーショップに付き合ってもらいたかったんだけど」
いろは「ボケにボケを重ねないでください!! あーもうどこから突っ込めばいいんですか!!」
川崎「……はいたまま、突っ込める下着の方がいい?」
大志「シャーラップ姉ちゃん、それ以上はマジヤバい」
ルミルミだったのか…サキサキかと思った
サイゼ
大志「くっ、総武高校……。おっそろしいところやでぇ……」
八幡「環境が変わってもお前が変わるわけじゃない。高校入れば何かが変わるっていうのは幻想だ。夢を見るのはやめておけ」
小町「こら、あんまりいじめないの」
川崎「大志、あんまり真に受けなくていいよ。それより……、受かること考えな」
大志「ぐっ……」
八幡「難しそうなのか?」
川崎「正直、今のまま少し厳しいね。だから勉強しろって言ってるのに……」
大志「ううっ……」
小町「大丈夫だよ、大志君。大志君が総武高校じゃなくて小町と別の学校に行っても、小町はちゃんと友達でいるよ! 何があっても友達だよ!」
大志「で、でも今は同じ総武高校だよね!? ワ、ワンチャンスはありますか!!?」
八幡「おう大志ちょっくら面貸せや。可愛がってやるよ、相撲部屋的な意味で」
川崎「大志、そこのとの相撲はあたしが夜の部まで受けるから、あんたは自分のこと考えな」
大志「あ、ありがとう、姉ちゃん!」
八幡「ちょっまっ、川崎の力強っ……た、助け」ズルズル
サイゼ 続
八幡「もういいか? そろそろ俺と小町は帰るけど」
大志「お義兄さん! ありがとうございました」
八幡「殺すぞ」
大志「セリフ違くないっすか!?」
小町「んー? でも、沙希さんがお兄ちゃんと結婚したらお兄さんって呼んでもおかしくないよね?」
川崎「そうだね……ねぇ、あんた……こんなあたしだけど……結婚、してくれないかな」
八幡「当たり前だろ……よろしくな、沙希」
小町「おめでとう! これで沙希お義姉さんになるね!」
大志「おめでとうっす、姉ちゃん、お義兄さん!!」
八幡「おい、お義兄さんって……いや、もう正しいんだったな」
川崎「ふふっ、あたし、今最高に幸せだよ……」
大志「姉ちゃ──ん!! しっかりしてぇ──!!」
八幡「マズい、川崎意識取り戻さねぇぞ!!」
小町「撮影中にいきなり倒れるなんて……でも、なんでこんな幸せそうな顔してるんだろう……?」
One day...
Mobile talk Hachiman & Taishi(saki)
FROM 大 志 18:05
TITLE nontitle
川崎大志っす! 今日はありがとうございましたっす!
おかげでやる気でたっす!
FROM 八 幡 18:07
TITLE Re
誰?
FROM 大 志 18:08
TITLE Re2
名前超書いてあるっすよ!? 川崎大志っす!
FROM 八 幡 18:10
TITLE Re3
俺の個人情報ダダ漏れじゃね。何の用だよ。っつーか誰
FROM 大 志 18:10
TITLE Re4
お礼のメールっす。川崎大志っす!
FROM 八 幡 18:15
TITLE Re5
別にたいしたことしてねーから。で、誰
FROM 大 志 18:20
TITLE Re6
姉ちゃんはメールしなくていいっつったんすけど、俺的にはちゃんとお礼言いたかったんす。今、姉ちゃん風呂入ってるんでチャンスでした! 川崎大志っす!
FROM 八 幡 18:21
TITLE Re7
ほう、風呂
FROM 大 志 18:22
TITLE Re8
誰って聞かないんすか!? 姉ちゃん服着ないで出てくるんで困るっす
FROM 八 幡 18:22
TITLE Re9
服の定義を詳しく。下着は服にはいりますか
FROM 大 志 18:35
TITLE Re10
添付画像:5件
小町「ぎゃわーっ!? お兄ちゃんが鼻血流しながら倒れてるー!? な、何があったの!?」
海浜幕張駅
戸塚「ごめん! 八幡! 遅れちゃった!」
八幡「気にすんな。ちょっと早く来ただけだから」
そう、三時間ほど早く来ただけだから全然気にしなくていい。
八幡「それに、別に遅れてない。走ってくることないだろ」
戸塚「え、うん。でも、見つけちゃったし」
八幡「あー。で、どうする?」
戸塚「うーん、いろいろ考えてはみたんだけど……八幡がどういうの好きか、よくわかんなくて」
八幡「俺は戸塚が」
いろは「先輩はー、年下が好きなんですよねー?」
留美「……その通り。でも、八幡はただの年下じゃなくて、中学生以下が好み」
めぐり「比企谷くんは、年上のお姉さんの方が好きだよね?」
平塚「そ、そうだぞ比企谷! 年上はいいぞー! 特にわた一回り上くらいが、いいんじゃないかなー!?」
川崎「あんた、家族想いなんでしょ? だったら同じ考えを持つ人の方が合ってるよ」
海老名「ヒキタニくんは同い年のイケメンとぶはっ!!」
葉山「比企谷……君はすごいな。そうやって周りの人間を変えていく……」
八幡「まるでこいつらの暴走が俺のせいみたいに言うのやめてくんない?」
映画
意外なことに、戸塚が選んだのはホラー映画だった。
──お互いリスペクトできるパートナーシップを築いて、シナジー効果を生んでいけないかなって
──ブレインストーミングからやっていこうか。議題はイベントのコンセプトと内容面のアイディア出しから
──ロジカルシンキングで論理的に考えるべきだよ
──ノーノーそうじゃない。ブレインストーミングはね、相手の意見を否定しないんだ
──今、僕らに求められているのは若者ならではのフレキシブルで柔軟な発想なんじゃないかな
──グランドデザインをみんなと共有できたところで
──今日はもっとクリエイティビティな部分についてディスカッションしていこう
──じゃあブレストを重ねて、結果にコミットしよう
──ビジョンを共有すれば、もっと一体感を出せると思うんだ
──コンセンサスはとれてたし、グランドデザインの共有もできてたわけで
戸塚「怖かったね、八幡。……八幡?」
八幡「いや、本当怖かった……特にラストシーンで企画が固まりきってないのに、コラボしようとか言ってさらに終わらなさそうにしようとしたところはヤバかった……誰だよあんなノンフィクションホラー映画作った奴……!!」ガクブル
戸塚「は、八幡!? 体震えてるけど大丈夫!?」
八幡「ブレスト……コンセンサス……グランドデザイン……うっ、トラウマが……!!」
戸塚「八幡、いったん向こうの方で休もう?」
映画 続
材木座「うむ、我も冷コーで……あれ、八幡? 戸塚氏? どこ? どこへ行ったのだ──!?」
One day...
Mobile talk Hachiman & Zaimokuza
FROM 材木座 23:32
TITLE nontitle
ふむ。原稿なのだがメール添付でおk?
FROM 八 幡 23:46
TITLE Re146
おい留美
お前また下着置いていっただろ
FROM 八 幡 23:47
TITLE nontitle
悪い、誤爆した
FROM 材木座 23:50
TITLE Re
このメールは誰に拡散すればいい?
FROM 八 幡 23:51
TITLE Re2
お前の原稿を全部読ませてくれ
明日には感想を送る
FROM 材木座 23:57
TITLE Re3
添付ファイル:1件
それでこそ我が心の友よ
結婚式場
平塚母「あんたも早く結婚してくれるといいんだけどねぇ」
親戚「次は静ちゃんの番ね!」
おばさん「静ちゃん、おばさん、またいい人見つけたのよー。今度はうまくいくと思うから会ってみない?」
平塚父「静。父さんな、孫のために貯金始めたんだ……」
平塚「うっく……ひっく……うぐっ……なんで……なんでこんなところまでドラマで再現しようとしてるんだよぅ……」グスン
八幡「平塚先生ェ──!!!」
大通り
平塚「聞くところによると、未来の後輩のために相談に乗ってやっていたそうだな。休み中も奉仕部の活動を続けているとは感心感心」
八幡「そういうわけじゃないっす。っつーか、なんで知ってんだよ……」
平塚「君の妹から聞いている」
八幡「いつの間に仲よく……」
平塚「良い妹さんだな。私もああいう妹がいたらいいなと少し思う。……私も、ああいう妹がいたらいいなー……」
八幡「先生と小町じゃ姉妹っていう年の差じゃ、下手すりゃ親子げらげらげら……」
平塚「うわあああああああああん!! もうおうぢかえるううううううううううう!!!」ダダダッ
八幡「ご、ごめんなさいっ!」
早くっ! 早く誰か貰ってあげてっ! 早く誰か貰ってくれないと俺が貰ってしまいそうだ。そうにかしてあげてくれ。
ラーメン屋
スタッフ「平塚さんが体調を崩されたようなのでカットで」
八幡「あちゃー、平塚先生、やっぱり耐えられなかったか……」
One day...
Mobile talk Hachiman & Hiratsuka
FROM 平塚 静 22:43
TITLE nontitle
結婚したい
FROM 八 幡 22:51
TITLE Re
あの……
FROM 平塚 静 22:59
TITLE nontitle
結婚したい
FROM 平塚 静 23:06
TITLE nontitle
結婚したいんだ
FROM 平塚 静 23:20
TITLE nontitle
結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい
FROM MAILER-DAEMON 23:20
TITLE Returned mail:see transcript for details
This Message was undeliverable due to the following reason…
FROM 平塚 静 23:21
TITLE nontitle
( ´;ω;`)
比企谷家
小町「そうそう、お兄ちゃんのスマホ貸して」
八幡「別にいいけど……。何に使うんだ?」
小町「うん、なんかね、イヌリンガルっていうアプリがあるらしくてさ。それで鳴き声拾うと犬の気持ちが分かるんだって」
八幡「はぁん、そんなんあんのね」
少年DL中...
八幡「ほれ」ポイッ
小町「ほらほら、サブレ。なんか言ってみて」
サブレ「ひゃん!」(遊んで!)
八幡「まぁ、こんなもんだろうな」
小町「ほら、サブレ、もっと言ってみて!」
サブレ「ひゃん!」(最近ウチのご主人が)
サブレ「ひゃん!」(誰かさんを気にしてることが多くて)
サブレ「ひゃん!」(この前なんか自分の部屋で)
サブレ「ひゃん!」(ヒッ(ズブッ!!)「目ェェェエエエエエエエエエン!!!」
小町「どうしたのお兄ちゃん? いきなり剣道の叫び声なんか出しちゃって。それともラーメン食べたかった?」
八幡「お前が俺の目を潰したからだろ!! 俺の目はアリの巣みたいに気軽に指で突いていいもんじゃねぇぞ!!」
小町「やーこれは……ちょっと……お兄ちゃんには見せられないかなぁ……とか、とか……」
サブレの散歩
小町「お帰りって言ってくれる人がいるのは幸せなことだよね」
八幡「まぁ、そうだな。必ずしもすべての場合においてってわけじゃないだろうけど」
小町「うわー、いちいちめんどくさいなーこの人。……そういうめんどくさいお兄ちゃんでも、迎えてくれれば嬉しいんだよ」
八幡「別に、お前のためってわけじゃないけどな。お前のことはついでだついで」
小町「それでもね、いいんだよ。……今の、殊勝で健気な妹小町可愛いアピールだから」
八幡「そうかよ……」
小町「まぁ、そんな捻デレさんでも迎えてくれると嬉しいんだよ」
八幡「はっ、俺だっていつまでもいるわけじゃないんだぜ。ちゃんと兄離れしろ」
小町「え……。お兄ちゃん、家出るの? 出ないよね? 小町を一人きりになんかしないよね。お兄ちゃんずっと一緒にいてくれるって言ったよね。ずっと小町の側にいてくれるって言ったよね。ねぇ、返事してよお兄ちゃん。お兄ちゃんのことを世界で一番分かってあげられるのは小町なんだよ。お兄ちゃんを守れるのは小町だけ。お兄ちゃんは小町のことだけ見てればいいんだよねぇお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん」
八幡「ひぃっ! お、お前、ヤンデレの演技上手くなったな……」
小町「えへへ、でしょー? ……演技じゃ、ないかもしれないけどね?」ハイライトOFF
八幡「ひぃっ!」ゾクッ
比企谷家 サブレ返却
結衣「そ、その……、花火大会、一緒に行かない? サブレの面倒みてくれたお礼ってことで。なんか奢るし」
八幡「だってよ、小町。行こうぜ」
小町「あれ、でもお兄ちゃん、いろはさんと陽乃さんとめぐりさんと留美ちゃんと京華ちゃんとあと川……なんとかさんにも花火大会誘われてなかった?」
八幡「ばかお前なんでここで言っちゃうの」
結衣「へ、へー……そうだったんだ……」
小町「あと結衣さんのお母さん」
八幡「ファッ!?」
結衣「ねぇ、ヒッキー。ちょっとお話があるんだけど」ガシッ
八幡「待ってくれ由比ヶ浜、誤解だ!」
結衣ママ「はーいヒッキーくーん、来たわよ~」
結衣「あれ、ママ!? 車の中で待ってたんじゃ」
結衣ママ「ええ~? これからヒッキーくんとデートしようと思ってたのに~」
結衣「ふんっ!!」メキッ
八幡「首が360度ッ!!!!!!」グルンッ!!
小町(多分結衣さんを焚きつけるためなんだろうなー、結衣さんママ……)
Birthday(Aug.8)
Mobile talk Hachiman & Komachi(Other)
FROM 小 町 00:00
TITLE nontitle
お誕生日おめでと~!
FROM 八 幡 03:19
TITLE Re
To 戸塚 彩加,小町,雪ノ下 雪乃,☆★ゆい★☆,一色 いろは,川崎 沙希,城廻 めぐり,鶴見 留美,平塚 静,けーちゃん,大志,雪ノ下 陽乃,由比ヶ浜母,折本 かおり,妖怪タマナワ,材木座
ありがとう
FROM 小 町 03:20
TITLE Re2
お兄ちゃんモテ過ぎ
FROM 八 幡 03:21
TITLE Re3
やべ、BCCにすんの忘れてた
駅前
結衣「あ、ヒッキー。ちょっと、ばたばたしちゃって……、遅れちゃった……」
八幡「いや、それは別にいいんだけどさ。……まぁ、その……、その浴衣、いいな」
結衣「あ、あああありがと」
八幡「……とりあえず、行くか」
結衣「……うん」
結衣「……」チラッ
雪乃「…………」ジー
いろは「…………」ジー
川崎「…………」ゴゴゴゴ
めぐり「…………」ニコニコ
留美「…………」ジー
結衣ママ「あらあら~」ウフフ
結衣(撮影だから仕方ないんだけど視線が凄い……)
公園
八幡「まだ時間あるみたいだけどどうする? 帰る?」
結衣「帰らないし! なんでそんな自然に帰宅提案できるの!?」
八幡「じゃあどーする?」
結衣「えっとね、小町ちゃんからお礼のリスト、メールで貰ってるんだ」ポチポチ
小町のお買い物リスト
焼きそば 四〇〇円
わたあめ 五〇〇円
ラムネ 三〇〇円
ラムネ 三〇〇円
たこ焼き 五〇〇円
平塚先生の結婚相手 一名
かぐや姫ばりの無理難題だ。
結衣「えっと……頑張ろうね!」
八幡「何をっ!? 俺たちがここで何をしようとも無理だろこれ!!」
平塚「比企谷……無理と断言されると、そろそろ心が折れる……」
八幡「自分で捜しにいけぇぇぇえええええええっ!!!!」
花火大会会場
結衣「ね、ね、何から食べる? りんご飴? りんご飴かな?」
八幡「それリストにねぇだろ……」
結衣「じゃあ、どれからにする?」
八幡「まずは常温からでも問題ないものからだろうな。そう考えると、わたあ──」
玉縄「いらっしゃーい、わたあめはいかがですかー?」グルグルグルグル
なんか手を高速回転させてわたあめを作ってる玉縄がいた。
八幡「…………ぷっ」
結衣「あはははっ、なにあれ!」
<デデーン
<ハチマン、ユイ、アウトーッ
八幡「ふっざけんなぁぁぁあああああ!! シュール過ぎるだろうがああああああっ!!」
玉縄「やぁ比企谷くん、調子はどうだい?」
八幡「最悪だよ、お前のせいでな!」
玉縄「ちなみに僕は絶好調さ」グルグルグルグル
八幡「やかましいわああああああああああ!!!」
花火大会会場 続
相模「あ、ゆいちゃんだー」
結衣「お、さがみーん」
とりあえずこいつ誰?
そう思ったのは向こうも同じなのか、由比ヶ浜に視線で説明を求める。
相模「えっと……」
結衣「あ、うん。そうそう同じクラスの比企谷くん。こちら、同じクラスの相模南ちゃん」
へぇ、同じクラスだったのね。そういや見覚えあんな。と、相模さんにうすと軽く会釈をした。
そのとき、目が合った。
ふっ、と、
相模の表情に一瞬、殺意が浮かぶ。
相模「あ、そうなんだー! コロス。一緒に来てるんだねー! コロス。あたしなんて女だらけの花火大会だよーコロス。いいなー、青春したいなーコロス」
殺意もここまで直接ぶつけられると、いっそ清清しい。
結衣「……。あはは! 何その水泳大会みたいな言い方! こっちだって全然そういうのじゃないよ~」
相模「えー、いいじゃんいいじゃんヒキガヤコロス。やっぱ夏だしヒキガヤブッコロス」
邂逅わずか十数秒にて言動を取り繕うことすらしなくなった。ある意味でこいつ超大物になれるかもしれない。
八幡「…………焼きそば、並んでるみたいだから先行くわ」
結衣「あ、うん。すぐ行く」
俺は速やかにそこを立ち去ったが、それでも背中にビシバシと殺意の衝動が突き刺さる。痛い。やめて! 復讐は何も生まないわよ!!
……これ、文化祭の撮影どうなるんだろう……。
貴賓席
陽乃「それはそうと……。浮気は感心しませんなー」
八幡「いや、浮気じゃないし……」
陽乃「じゃあ。本気か……。なおさら許せませんなー」ギュー
八幡「いたたた! 本気でもないですよ……」
結衣「あ、あのっ!」
陽乃「えーっと……なにヶ浜ちゃんだったっけ?」
結衣「ゆ、由比ヶ浜ですっ」
陽乃「あ、そうだ。君ヶ濱ちゃんだ」
結衣「由比ヶ浜です!」
陽乃「七里ヶ浜ちゃんだ」
結衣「由比ヶ浜です」
陽乃「ん、宮ヶ浜ちゃんだね。覚えた」
結衣「由比ヶ浜です!」
陽乃「青柳ヶ浜ちゃんか!」
結衣「ゆ……由比ヶ浜……です」
陽乃「伊予長浜ちゃん、ね」
結衣「ゆ……ゆい……」
陽乃「肥後長浜ちゃん!!」
結衣「うわーん、陽乃さんがいじめるー!!」
八幡「よくまぁそんなポンポン出てきますね……なんでも知ってるんじゃないですか」
陽乃「何でもは知らないなー、知ってることだけだよ、比企ヶ浜くん」
八幡「混ざってる混ざってる」
貴賓席 続
八幡「あー。……雪ノ下さん」
陽乃「ん? わたしのことなら陽乃でいいよ。それか、お義姉ちゃんでも可。むしろ推奨」
八幡「ははは……、で、雪ノ下さんは」
陽乃「ははぁ、なかなか強情だねー。可愛いなぁ」
八幡「雪ノ下さんはうちの卒業生だったんすね」
陽乃「ん、そーだよ。比企谷くんの三つ上」
結衣「じゃあ、ゆきのんのお姉さんは二〇歳ってことですか」
陽乃「惜しい。まだ十九歳。わたし、誕生日遅いんだ」
八幡「……待ってください。俺と雪ノ下さんが初めてここで出会った時、陽乃さんは確かに十九歳で、俺たちとは三学年違うんですよね」
陽乃「……ん? うん、そうだよ?」
八幡「俺は当時の今日はすでに誕生日を迎えていて高校二年生の十七歳。もう八月も後半です」
陽乃「わたしも誕生日おめでとうメール出したもんねー」
八幡「雪ノ下さん。平塚先生と酒を飲む話をしていたのはいつの話でしたっけ」
陽乃「ええと、確かバレンタインデーイベントの時だったかな」
八幡「なら当時は二十歳になっているはず……で、雪ノ下さんの誕生日はいつでしたっけ?」
陽乃「七月七日だよ~、覚えてくれると嬉しいな~」
八幡「もひとつ質問いいっすかね、俺たちと雪ノ下さんは入れ替わりで卒業したんだから三つ上であることは確定。しかし当時の雪ノ下さんは誕生日を迎えているのにも関わらず十九歳。……誕生日と年齢の設定、どこ行った?」
陽乃「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
帰り道
由比ヶ浜の家の最寄り駅までは一駅。俺が降りようとしている駅までは三駅だ。たいした距離でもない。
五分とかからず、電車は次の駅に到着しそうなアナウンスが流れる。
結衣「……あのさ」
それまでお互い黙りこくっていたのに、由比ヶ浜はぽつっと口を開いた。
視線と息づかいだけで返事をすると、少し間を置いてから
結衣「ヒッキーは……、ゆきのんから聞いてた?」
その質問は答えを知っているのに、聞いているタイプのものだった。
八幡「いや、聞いてない」
結衣「そう、なんだ。あ、あの……。あ」
がたっと電車が揺れ止まった。扉が開き、むっとした夜気が車内に入ってくる。
由比ヶ浜は俺と外を見比べどうしようか考える。が、すぐにドアが閉じるベルが鳴った。
考える間も悩む時間もほとんどない。ふーっと短くため息を吐いて、俺は電車を降り『ダァ、シエィリェス!!』あ、降り損なった。
八幡「…………」(電車内)
結衣「…………」(駅のホーム)
ガタンガタン ガタンガタン
結衣「…………えっ、ちょっ、ヒッキ──ッ!!!?」
帰り道 続
結衣「ヒッキー。もし、ゆきのんが困ってたら、助けてあげてね」
八幡「……いや、それはないんじゃねぇか」
結衣「それでもヒッキーは助けるよ」
八幡「そんなのわからんだろ」
結衣「だってあたしのことも助けてくれたじゃん」
八幡「言っただろ。あれはただの偶然だ。お前だって知ってて助けたわけじゃない。だから別にお前を助けてない。……俺にそういうのを期待すんな」
結衣「事故がなくったってヒッキーはあたしを助けてくれたよ。そんでこうやって一緒に花火行ったと思う」
八幡「それは、ないだろ……。そもそも助けようがない」
結衣「ううん、そんなことない。だってヒッキー言ってたじゃん。事故がなくても一人だったって。事故は関係ないんだって。……あたしも、こんな性格だからさ。いつか悩んで奉仕部連れてかれてた。で、ヒッキーに会うの。そしたら、ヒッキーがまたああやってくっだらないバカな斜め下すぎる解決法だしてさ。助けてもらうんだ。きっと。それでさ、」
とくっと音がした。
自分の、あるいは彼女の。息を飲む音、もしくは鼓動の高鳴り。
一時の間、言葉の空白。
途切れた声の続きが気になり、顔を上げると由比ヶ浜と目が合った。
結衣「それで、きっと……」
──また、あたしはヒッキーのことが好きになるんだ。
ヴヴっと。
くぐもった振動音が漏れ聞こえてきた。携帯が鳴っているのだ。
結衣「あっ……」
八幡「携帯、いいのか」
結衣「……電話。ママからだ。ごめんね。……もしもし、うん、うん、もう家の近くだから──」
八幡「…………」
八幡「そのセリフは台本になかっただろうが……聞こえてんだよ、アホ」
九月一日
雪乃「あら、久しぶりね」
八幡「おう。ご無沙汰」
雪乃「比企谷くん。……姉さんと、会ったのね」
八幡「ああ、たまたまな」
雪乃「あの……」
八幡「──部活、今日から始めるのか?」
雪乃「え、ええ……、そのつもり、だけれど……」
八幡「了解。またあとでな」
今まで自分の嫌いだと思ったことなんてない。
高い基本スペックも中途半端に言い顔もペシミスティックで現実的な思考も、まったくもって嫌いじゃない。
だが、初めて自分を嫌いになりそ──
雪乃「比企谷くん」
八幡「……なんだよ」
雪乃「……私の教室って、どこだったかしら」
八幡「全部台無しだよ馬鹿野郎!!!」
ネタ
尽きた
たすてけ
6巻は長いので多分前後編とかに分かれて投稿するかもです。
それと常時ネタ募集中です。ハハッ。考え無しに長編3本同時執筆とかやり始めたちょい前の私殴り殺してぇ。
それでは6巻分前半書き終わったら、また来ます。
おつ
八幡誤爆しすぎワロタ
乙です!
ルミルミのパンツ5万で買取ります
おもろい
これ○.5巻とかやるんだっけ?
ネタは原作の声優ネタを掘り下げるとかかな?
今回はヤンデレ回だったなw
>>190ってなんかみたことあるなと思ったけど、おれが結婚してやんよ!のやつかな?
>>198
その流れはほぼ原作の流れを踏襲してる
ABではないと思う
乙です
ネタは前半が文化祭始まるまで?、のところだとして
・相模が推薦されるところでガハマさんとかがディスりはじめ、見てる側にも発展してく。
・相模とはるのんが話してる時に一旦相模よりの発言すると見せかけて叩き落とす、
・めぐりんと自己紹介するとこでめぐりんが爆弾発言かます(撮影前に会った時にラッキースケベあったりだとか?
・ゆきのんの家に見舞いに行ったら何故か迎えてくれるのがルミルミ、
とかこんな感じでいいんですかね?
妖怪にも返信してるんだね…
相模が八幡を虐めたらヒロイン達が相模を虐めるとかか?
あとは…まああのホモ劇に八幡も参加しちゃうとか??
学園祭はさがみんが八幡を弄ればいいでしょうね。玉縄、折本まで仕掛け人ってのもあり。
八幡がさがみんにフラグを建てるのもOK。
めぐりんが玉縄の真似したり、代わりに玉縄が出てきたり。遊戯部の方の相模が実行委員長立候補したり、
人替えネタは豊富そうだよね
みんなのヤンデレみたいなー(玉縄含む)
>>202 そこに玉縄も追加したらおもしろそうだな
RPG終わってる
意識高い連中が出るだけで笑えるんだからあいつら卑怯だよ…
玉入れの玉が玉縄
大玉転がしの玉が玉縄
借り物競争の借り物が玉縄
スーパーアルバイター・タマナワが各シーンに紛れてる、とか
RPG埋まってた
学園祭のライブが玉縄with意識高いブラザーズ
お前ら玉縄好きすぎだろwwww
玉縄マダー?チンチン aa(ry
とりあえず実行委員の会議に玉縄は出そうぜ
ナズェソコニイルンディス
RPGのスレの965です。
自分の書き込みのせいでスレが埋め立てられてしまい、本当に申し訳ありませんでした。皆さん、ごめんなさい(T-T)。
まさかあんなのが湧き出て来るとは思ってもおらず(-_-;)。
まとめサイトの方の感想欄で書き手が同じという記述があったので、こちらで謝罪します。本当に申し訳ありませんでした。
顔文字句読点wwwwwwwwww
10年ROMってろks
>>218
なめてんの?
意識の高いヤンデレな小町に二重の意味でガクブルする八幡みたい
誠意を見せるべきところで顔文字とか
これがゆとりか
ゆとり以前にただのキチガイ
ごめんなさいでした(ヽ´ん`)
RPGスレの埋まり方が個人的にかなりショックだったので変なテンション(本当はもっと妥当な言葉があると思うのですが)で書き込んでました。
よくよく読み直すと確かに顔文字は大変失礼でした。皆さんが不快な思いをするのは当然です。申し訳ありませんでした。
良いからROMってろ
でも僕は悪くないですよね?ROM?
それはどうすればさせられるのでしょう?
それをすればあんなことは起きないんですよね?
確かに顔文字はどうだったかとは今は後悔してます。
ですが私じゃないはずです
あんなのが沸くなんて誰もわからないではずです。
それに俺の言葉があんなことに繋がることもわからないではずです。
結果として残念なことになりましたが、僕だけが悪い訳じゃないです。
RPGは好きなので完結させられるよう頑張って欲しいです
真性だなこりゃ
わざとだろ、構わないが吉
一人称ブレすぎ
俺僕私全部入ってるwwwwww
どうせ荒らしてた奴だろ
どうでもいいことでレス増やすなよ
新着レスがいくつかあると更新来たのかと思って期待するからマジでやめろ
すまんイライラしてsage忘れた
多分あっちに湧いてた荒らしだろ
構うな
伸びるなぁ
>>234
965かな?
続きはまだかな?楽しみに待ってる
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。⑥
やはり海老名姫菜のミュージカルは腐っている。
2年F組 文化祭 出展企画書
ミュージカル『星の王子さま』
脚本 海老名姫菜
……イイハナシダナー。
そんなわけあるかです。
俺は読んでいた出展企画書をそっと机に置く。
(中略)
あの女、何考えて生きてんだ……。恐怖の混じった視線で海老名さんを見ると、海老名さんはしなをつくって照れている。
海老名「ちょっと恥ずかしいな……」
いやいやいや! 本当に恥ずかしいぞ! ちょっとってレベルじゃねぇぞ!
戸部「でも、俺はいいと思うぜ」
おっと戸部くん必死のアピールですか。恋する男子のちょろさというか可愛げは異常。
戸部「こういうの面白れぇじゃん! 普通に劇やっよりウケっと思うんだけど!」
……まぁ一理あるか。これはBL作品ではなく、あくまでミュージカル作品だ。
海老名「うん、だよね! とべっちもそう思うよね!?」
肯定されたのが嬉しかったのか、海老名さんは身を乗り出してうんうんと頷いて──あれっ、こんなシーンあったかなぁ……?
戸部「だべだべ? っつーか、これで決まりっしょ?」
海老名「とべっち乗り気ならさ! 特別にヒキタニくんとペア組ませてあげるよ! とべはち! これは今年の冬コミは貰いましたわ~!!」
戸部「へ?」
八幡「待って。おーい、撮影中だから。おーい」
戸部「隼人く~ん、俺さ、海老名さんと付き合うようになってから大分経つけどさ、未だに何言ってるか分かんねぇ時あんだけどよ~……」
葉山「ま、まぁ……その、頑張れ」ポンッ
夏休み明け 奉仕部
カタカタと窓枠が揺れ、先ほどまでより強い風が吹き抜けた。
カーテンがばさばさとなびき、読みかけのページがぐちゃぐちゃになぶられる。カ────テンッ! さっきからカーテンがカーテンカーテン自己主張が激しくて何お前ボンチューなの? お前のような小学生がいるか。
心底鬱陶しかったので舌打ち混じりに窓を睨んだ。風もなかなかにうざいが、それに簡単に流されるカーテンもよっぽどだ。お前には自分ってもんがないのかよ。風に流されていいのはマリンフィールドの打球と可愛い娘のスカートだけだ。
と、視界の端でスカートがひらひらと揺れる。そのスカートの主、由比ヶ浜は俺の傍ら、椅子一つ半ほど離れた席から立ち上がると同時に風がびゅうと吹いてスカートが大きく捲れ中身のピン(ヒュッ!!)『あっぶねえええええええ!! 雪ノ下お前今俺の目にボールペン投げてきたな!!』
雪乃「ちっ。……いえ、私はただ性犯罪者の目を潰そうとしただけよ」
八幡「今のはさすがに不可抗力だろ!!」
結衣「えっ……ヒ、ヒッキー……見、見たの?」
八幡「み、見てません……」
雪乃「比企谷くん。高二のクリスマスの時に由比ヶ浜さんに渡したシュシュの色は?」
八幡「ピンク(ザシュッ!!)額にシャーペンがぁぁぁああああああああああああ!!!」
結衣「……ヒッキーのえっち」
夏休み明け 奉仕部 続
結衣「ヒッキーはさ、もっと外出た方がいいよ絶対。なんかビタミンC? 作るらしいよ」
八幡「それはたぶんビタミンDだけどな。ビタミンC作るとかお前レモンちゃんかよ。知ってるか、レモン一個に入ってるビタミンCはレモン一個分なんだぜ。あと人は体内でビタミンC生成しねぇんだよ」
結衣「そーなの?」
八幡「ああ。ちなみにビタミンDは週二回三〇分くらい日光に当たるだけで充分作れるらしい。よってわざわざ家から出る必要性はねぇんだ」
俺の知識量に驚いたのか、由比ヶ浜が戦慄の表情を浮かべる。
結衣「なんでそんなに詳しいし……。なに健康マニア? キモい……」
酷いことを言われていた。
八幡「……昔、同じようなことを言われたから調べたんだよ」
結衣「そこまでして家から出たくないんだ……」
雪乃「引きこもりくんらしいわね」
八幡「ほっとけ」
結衣「でもヒッキー……小町ちゃんに聞いたんだけど、夏休みは大体毎日どこかに出かけてたり遊んでたって……」
八幡「あんにゃろ、口滑らせたな……ちげぇよ、手伝いとか色々押し付けられてただけだ」
結衣「夏休み最後の日なんてっ……沙希の家に泊まったってっ……!!!」ガシッ
八幡「ばっ、ちげぇよあれは……そう! 大志の夏休みの宿題を手伝ってたらけーちゃんが抱きついてきてそのまま寝ちゃったから振り解けなくてなくてそのまま泊まっただけ痛い痛い頭蓋骨が軋む(パキッ)今頭蓋骨から聞こえちゃいけない音がああああああああああああっ!!!」
学校
立ち上がってふらふらとする足取りで教室のドアからから出て行く。
ドアを開けた瞬間のことだ。
戸塚「うわっ!」
八幡「っと、わりぃ」
ドッシーン☆とはぶつからなかったものの、胸に軽い衝撃を受ける。ちょうど入れ替わりに入ってきた人と接触してしまったようだ。おい、誰だよ、「前方不注意の免許取っちゃいけないオブジイヤー」は。
薄目で睨めつけるようにしてそいつの面を拝んでやると、見慣れた小動物系男子がふるふるしていてとても可愛い。息せき切って教室に入ってきたのは、「ほんとお前は免許取らないほうがいい、ただ俺の運転する車でずっと助手席に座っていてほしい……オブジイヤー」戸塚彩加だった。
戸塚「あ、八幡。ごめん……」
八幡「い、いや! 俺のほうこそ悪かった。ちょっとぼーっとしててな……」
実のところ、今もまだぼーっとしている。偶然の産物ながら、戸塚を抱き留める形になってしまった。……ふぅ、危なかった。もし戸塚がパンを咥えていたら恋が生まれてしまうところだった。
その状態で静止していることに気づいて戸塚は俺の胸にトンと頭を預けてきた。
八幡「とっ、戸塚?」
戸塚「ごめんね、急いでたから……。でも、受け止めてくれたのが八幡で……ぼく、うれしいな」
胸の中に埋めていた顔を上げて、俺のことを見上げる。気のせいか潤んでいる瞳に見つめられると、その輝きの奥に引き込まれてしまいそうだった。
戸塚「八幡、最近色んな女の子と仲良くしてるみたいだからさ……ぼくじゃ、だめなのかなって」
八幡「何言ってるんだ戸塚。俺はお前だけのモノだ。いつだって、お前のことを受け止めてやる」
戸塚「八幡……。うんっ、ぼく、イくよ……!!」
そう言って戸塚は俺の身体をぐるりと回転させると、俺を壁に押し付けた、そして両手を腰の前に回すと、その手で──
海老名「ってな感じでとつはち……っていうのはどうかな!?」
戸塚「海老名さん、ぼく、男の子、なんだけどな……」
八幡「なっ……!? いや待て、戸塚が攻めなの? ねぇ、戸塚が攻めなの?」
結衣「なしなし! こ、こんなのなしだってばー!!」
学校 続
なん……だと……。
休み時間明け。
教室に戻ったら、いつの間にか文化祭実行委員にさせられていた。
いわゆる「お前休んでたから委員長にしといたわ(笑)」メソッドはクラスの中心人物同士で面白おかしくやるから彼らなりの楽しいものとして成立するのであって、それを違う文化圏の人間にやっちまったらっ……!
戦争だろうがっ……! ノーカウントっ……! ノーカウントっ……!
黒板の前で呆然と立ち尽くしていると、肩を叩かれた。
平塚「説明が必要かね?」
振り向くまでもなくわかる。
で、出た~、アラサーで今一番結婚したい女教師、平塚静~。
平塚「ひ、比企谷……、その、いきなり結婚したい、とか言われても、その、困る……」
で、出た~、地の文に突っ込む奴~。そういうメタいのあんまりやらない方がいいですよ。ていうかなんで読めるんですか。
平塚「し、仕方ないな……しかしお前から結婚したいと言うのであれば……なんだ、まぁ、考えてやらんでもない……というか……」
八幡「えっ、いや、俺が結婚したいって意味じゃなくて、平塚先生が結婚したがってるっていう意味で、あの、なんで腕掴んで、引きずって、ちょまっ、いやああああああああああああ!!!」ズルズル
文化祭実行委員決め
クラス長「えー、じゃあ女子の委員やりたい人、挙手で」
言われたところでもちろん誰も反応しない。ルーム長は諦めたように短いため息を吐く。
クラス長「このまま決まらないならじゃんけんに……」
三浦「はぁ?」ギロッ
クラス長「んがぐぐ」
結衣「……それって大変なの?」
クラス長「普通にやればそんなに大変じゃないと思うけど、……女子の方は結果的に大変になっちゃうかもしれない」
そう言って俺の方をちらりと見ましたよ、この眼鏡。間接的に俺を戦力外通告しましたよ、この眼鏡。
結衣「ふーん」チラッ
クラス長「正直、由比ヶ浜さんがやってくれると助かるなぁ。人望あるし、クラスをちゃんとまとめてくれると想うし、適任だと思うんだけど」
結衣「いや、あたしは別にそういんじゃ……」
三浦「あ、じゃあ、あーしがやるし」スッ
八幡「は?」
結衣「え?」
相模「うぇっ?」
海老名「いやいやー、ここは私がやるよ」スッ
八幡「は?」
結衣「え?」
相模「え、あ、じゃあ、う、うちがやります!」スッ
二人「「どーぞどーぞ」」ススッ
相模「ああああああああああああああああああああああっ!!!」
第一回実行委員会
めぐり「それでは、文化祭実行委員会を始めまーす」
肩まであるミディアムヘアーは前髪がピンで留められ、つるりとした綺麗なおでこがきらりと眩しい。制服はあくまで校則通りに着こなしているが、ワンポイントであしらわれた襟章や手首に嵌められたカラフルなヘアゴムが可愛らしさを感じさせる。その女生徒は優しげに細められた瞳で、にこやかに皆を見渡し、何故か一瞬だけこちらの方向に向かってウィンクし、なんだかほんわかした号令をかけた。すると、みんなそれぞれ居住まいを正す。
めぐり「えっと、生徒会長の城廻めぐりです。皆さんのご協力で今年もつづがなく文化祭が開催できるのが嬉しいです。……え、えっと、……み、みんなで頑張ろう! おー!」
めぐり先輩が最後やっつけとも思える簡単な挨拶を終えると、すかさず生徒会メンバーがぱちぱちと拍手をする。それに釣られるようにして会議室じゅうで拍手が起きた。それにうんとほんわか頷くめぐり先輩。
めぐり「ありがとうございます~。それじゃあさっそく実行委員長の選出に移りましょう」
すると、居合わせたメンバーがちょっとざわつく。
まぁ、そうな。俺もてっきり生徒会長が実行委員長もやるもんだと思ってたぜ。
すると、めぐり先輩も少し苦笑いする。
めぐり「知ってる人も多いと思うけど、例年、文化祭実行委員長は二年生がやることになってるんだ。私はほら、もう三年生だから」
はあ、なるほどね。まぁ、三年の秋口にこういうことやってられないもんな。受験とかあるだろうし。
めぐり「それじゃあ、比企谷くん、お願いねっ」
とはいうものの、手が挙がらな、えっ、今なんて言った?
八幡「あの、ちょっと? 城廻先輩、この時点だとまだ俺のこと知らなかったですよね?」
めぐり「ほら、比企谷くん、こっちおいで。私の隣の席座っていいから」ポンポン
八幡「あの、隣の奴が足蹴り始めてきたんですけど」
めぐり「えっと……ちょ、ちょっと恥ずかしいけど、私の膝の上でもいいよ?」
八幡「おい今カッター投げた奴誰だ! 怒らないから出てきなさい!」
めぐり「比企谷くん、不安にならなくてもいいよ。実行委員のことは私が手取り足取り教えてあげるからね。なんだったら、委員会が終わってからもずっと色々教えてあげてもいいよ?」
八幡「先代生徒会メンバーの人! お願いだからメガネを投げないで!」
めぐり「あとは……その、あはは、ここじゃ恥ずかしくて、ちょっと……言えない、かな」モジモジ
平塚「総員、比企谷を殺せぇ!!」
メンバー「「「応ッ!!」」」ガタッ!!
八幡「応じゃねぇんだよ! みんな椅子をこっちに向けて投げようとしないで!『相模さん、ナイフはトドメ用よ』『うん、分かった』分かったじゃねぇんだよ! ていうかなんで相模ナイフなんて持ってきてんだよ! あ、ちょ、みんな椅子投げないで!!」ドンガラガッシャーン
<テイクツー、アクショーン!!
めぐり「それじゃあ誰か立候補いますか?」
とはいうものの、手が挙がらない。
めぐり「誰かいませんかー?」
厚木「……お。お前、雪ノ下の妹か! あのときみたいな文化祭を期待しとるけぇの」
雪乃「実行委員として善処します」
めぐり「えーっと……。どう?」
相模「あの……、みんなやりたがらないなら、うちが──」
ゆっこ「あ、ならあたしやりまーす」スッ
めぐり「本当?」
相模「え?」
遥「じゃあ、あたしもやりまーす」スッ
めぐり「わぁ、二人も?」
相模「え? あ、え? あ、じゃ、じゃあうちも!」スッ
二人「「どーぞどーぞ」」ススッ
相模「ああああああああああああああああああああああっ!!!」
<テイクスリー、アクショーン!!
めぐり「それじゃあ誰か立候補いますか?」
とはいうものの、手が挙がらない。
めぐり「誰かいませんかー?」
厚木「……お。お前、雪ノ下の妹か! あのときみたいな文化祭を期待しとるけぇの」
雪乃「実行委員として善処します」
めぐり「えーっと……。どう?」
相模「あの……、みんなやりたがらないなら、うちが──」
玉縄「それなら、僕が引き受けましょう」スッ
相模「えっ?」
めぐり「本当? 嬉しいな! じゃあ、お願いね!」
玉縄「お任せください。若者らしいエネルギッシュでフレキシブルな文化祭にしましょう」
三日目──
玉縄「前回と同じく、ブレインストーミングからやっていこうか」
七日目──
玉縄「皆のコンセンサスは得ることが出来たね。それじゃあ、このオーダーに沿ってスケジュールをリバイズしよう」
十日目──
玉縄「みんなでグランドデザインは共有出来たね。今日は、さらに新しいアイデアをローンチしようと思うんだ」
十三日目──
玉縄「よし、問題点を把握できたところで、どう解決するべきかを皆で話し合」
めぐり「文化祭、明日だよ……」
──文化祭、失敗。
やはり海老名姫菜のミュージカルは腐っている。2
監督 海老名姫菜
演出 海老名姫菜
脚本 海老名姫菜
という、夢のスタッフィングが完成していた。他にできる奴いなさそうだしな……。製作総指揮というか、超プロデューサーというか……。
そして、さらにメインキャストの発表である。
王子さま:葉山
葉山が固まっていた。心なしか顔が青白い。
さて、残るもう一人の主役だが……。
海老名さんの手もとをじっと見ていると、白い線がとても見覚えのある字画へと変わっていく。
ぼく:比企谷
八幡「……いや、無理だって」
見た瞬間にそう声を漏らしていた。耳ざとく聞いていた海老名さんが驚愕の表情を作る。
海老名「え!? でも、葉山×ヒキタニは薄い本ならマストバイだよ!? ていうかマストゲイだよ!」
何言ってるんですかこの人……。
海老名「やさぐれた感じの飛空士を王子さまが純真無垢な暖かい言葉で巧みに攻める、それがこの作品の魅力じゃない!」
そんな作品じゃねぇよ。フランス人怒るぞ。
八幡「いや……俺、文実だから……」
葉山「そこまで言われては仕方が無いね……ヒキタニくん、俺と一緒にヤろうか」
八幡「は? え、いやなんでお前ワイシャツのボタンを外して」
海老名「そしてヒキタニくんは、彼のはだけたワイシャツの隙間から覗く肌を見て、思わず鼓動が高鳴ってしまったのを自覚した。一見細く見える隼人くんだが、体育会系である彼の胸板は思っていたよりずっと逞しかった。着やせするタイプなのだろうか。あの胸に抱かれてしまったらどうなるのだろう──それを想像してしまったヒキタニくんは、そっと目を瞑り、隼人くんに身を委ね──」
八幡「やめて」
相模の依頼
相模「失礼しまーす……って、雪ノ下さんと結衣ちゃんじゃん」
結衣「さがみん? どしたの?」
相模「へぇ~、奉仕部って雪ノ下さんたちの部活なんだぁ」
雪乃「何かご用かしら?」
相模「あ……。急にごめんなさい。ちょっと相談ごとがあって、来たんだけど……」
雪乃「?」
相模「比企谷を殺したい」
ねぇ君、高二の時の恨み引きずり過ぎでしょ。撮影中にまで持ち込まないでよ。
雪ノ下も、呆れたようにこめかみに手をやりながらため息をつく。いやあなたも大概撮影中にふざけてますけどね?
雪乃「あの、相模さん、今は撮影中で」
相模「そういえばこの前、比企谷が雪ノ下さんのお姉さんと二人で街を歩いてるのを見たんだけど」
雪乃「喜んでその依頼を引き受けるわ」
八幡「待ってくれ! あれは雪ノ下さんが勝手についてきただけで」
結衣「ゆ、ゆきのん落ち着いて!」
相模「そういえばこの前、比企谷が三浦さんとお出かけしてるのを見たんだけど」
結衣「あたしも手伝うよ、さがみん」
八幡「違う! あれはたまたま会ったあいつに、そろそろ葉山の誕生日だからってちょっとプレゼントの相談を受けてただけで──待ってヤバい俺の見間違えじゃなければ相模あいつ消火器で俺のこと殴ろうとして(ブォン!!!)『ちっ、外したか』俺は逃げるぜじゃあな!!」ダッ!!
相模「待って比企谷! うち、ずっと比企谷のこと──」
八幡「!?」
相模「ずっと──本気で殺したいって思ってた!!」
八幡「知ってるよ畜生!!!!」ダダダダッ
定例ミーティング
相模「それでは、定例ミーティングを始めます。じゃあ宣伝広報、お願いします」
担当「掲示予定もポスター製作もだいだい半分終わってます」
相模「そうですか、いい感じですね」
雪乃「いいえ。少し遅い。提示箇所の交渉、HPへのアップは既に済んでいますか?」
担当「まだです……」
雪乃「急いでください。社会人はともかく、受験志望の中学生やその保護者はHPを結構こまめにチェックしていますから。相模さん、続けて」
相模「あ、うんじゃあ、有志統制、お願いします」
担当「……はい。有志参加団体は現在一〇団体」
相模「増えたね。地域賞のおかげかな。次は……」
雪乃「それは校内のみですか? 地域の方々への打診は? 例年、地域との繋がり、という姿勢を掲げている以上、参加団体減少は避けないと。それから、ステージの割り振りはもう済んでいますか? 集客の見込みと開演時のスタッフ内訳は? タイムテーブルを一覧にして提出をお願いします」
担当「は、はい……」
相模「じゃあ次は……比企谷暗殺部隊、お願いします」
八幡「待って」
担当「この前撮影の休憩中に城廻会長とイチャコラしながら弁当を食べているのを目撃しました。次は殺したいです」
めぐり「わ、見られてたんだ……は、恥ずかしいな……」
八幡「待って」
担当「休日に一色さんとデートしているのを確認しました。うらやまけしからんと思うので次こそは殺したいです」
いろは「あー……人いたんですねー、あそこ」
八幡「待って」
玉縄「……この前撮影が終わったあと、折本さんと親しそうに話を……今すぐデストロイしたいです」
平塚「弁論の余地はないようだな。残りの時間は比企谷の虐殺に当てる、好きにやってくれ」
メンバー「「「ヒャッハー!!!」」」ガタッ!!!
八幡「ウェイ! ウェイト! 待って! なんでカメラマンとか監督までこっちに──ええい、全員かかってきやがれ! 全力で逃げ切ってやる!!!」ダッ!!
定例ミーティング 続
葉山「でも、見る限りじゃほとんど雪ノ下さんがやってるように見えるけどな」
雪乃「……ええ、そのほうが効率いいし」
葉山「でも、そろそろ破綻する」
雪乃「……」
葉山「そうなる前に、ちゃんと人を頼った方がいいよ」
八幡「そうか? 俺はそうは思わない」
言うと、葉山は俺の目をじっと見て、言葉の続きを待ってくれた。
八幡「実際、雪ノ下一人でやったほうが早いこともたくさんある。ロスが少ないのは一つメリットだろ。何より信じて任すのは結構しんどいぞ。能力差がありすぎるとなおさら」
葉山「それでうまくいくならそれでもいいよ。だけど、現状回ってないわけだし、遠からず破綻する。何より失敗できないわけだろ? なら、方法を変えていくべきだろう」
八幡「ぐっ……」
雪乃「……そう、ね」
葉山「……だから、手伝うよ」
結衣「あたしも手伝うよ!」
いろは「雪ノ下先輩、わたしも手伝いますよー?」
小町「小町も小町も! 何をすればいいですか?」
三浦「隼人がやるんならあーしもやっていいし」
海老名「まったく、優美子は素直じゃないなぁ……私も手伝うよー」
川崎「あたしにも、何か出来ることがあるなら」
戸部「っべーわ、なんか盛り上がってきたんじゃねこれ?」
玉縄「かつて貴女には救われた恩義がある。今ここで返そう」
折本「それある!」
陽乃「ふふっ、雪乃ちゃんも随分とモテるようになったねぇ」
めぐり「はいはーい、それでは仕事の割り振りを──」
雪乃「みんな……!」
平塚「ふっ、雪ノ下……お前も変わったということかな」
八幡(イイハナシダナー……でもこれリテイクなんだよなー……)
文化祭準備
戸塚「あ、八幡。おかえり」
八幡「……ただいま」
恥ずかしながら帰って参りました! 思わず敬礼するまである。戸塚がそう言って迎えてくれるなら、もう毎日でも帰ってきたいなぁ。
戸塚「あ、そうだ。これ、ありがと」
差し出されたのは一冊の本。こないだ戸塚に貸した『星の王子さま』の文庫本だ。
戸塚「それで、何かお礼を考えてたんだけど……」
戸塚は少し気合いを入れるように、うん、と大きく頷くと、見上げるようにしてまっすぐ俺を見つめてきた。
戸塚「あの……八幡って何か好きなもの、ある?」
八幡「とつ『ロリータ』『後輩ですよねー?』『先輩だよね、比企谷くん?』『家族想いとか、どうかな……』『お姉ちゃんキャラはお嫌いかな?』『お兄ちゃん、妹が一番だよ、妹!!』『ヒ、ヒッキーは胸が大きい子の方が好きなんだよね?』『あら、あなたはスレンダーの方が好みだと思うのだけれど』……あの……」
雪ノ下家訪問
平塚「雪ノ下なんだが、今日は体調を崩して休みだ、一応学校には連絡があったんだが、文実のほうには連絡は来てないんじゃないかと思ってな……」
(中略)
ピンポーン
八幡「……居留守か」
結衣「ならまだいいけど、本当に出られないくらい体調が悪かったら……」
間をおいてもう一度、ベルを鳴らす。
するとスピーカーにザッとノイズが走った。
雪乃『……はい』
結衣「ゆきのん!? あたし、結衣。大丈夫?」
雪乃『……ええ、大丈夫だから』
八幡「いいから開けろ」
雪乃『……どうして、いるの?』
来ているのが由比ヶ浜だけだと思っていたんだろう。急に聞こえた俺の声に驚いているようだった。
八幡「話がある」
雪乃『……一〇分だけ、待ってもらえるかしら』
八幡「わかった」
雪乃『……待って、確か、あれもこれも……比企谷くんのあれも片付けてな……』ボソボソ
八幡「……雪ノ下? どうかしたのか」
雪乃『ごめんなさい、一時間待ってもらえるかしら』
八幡「なげぇよ!!!」
結衣「女の子の部屋の片付けは大変なんだよヒッキー!!」クワッ!!
八幡「え、ええ……!? え、いや、そ、そんなもんなのかな……」
雪ノ下家訪問 続
由比ヶ浜は何ら確かめるように一度拳を握ると、インターホンに指を伸ばした。
質がいいのか知らないが、機械的なベル音ではなく上等な楽器じみた音がする。一度だけ鳴らしてしばらく待った。ただ数秒待っていると、不意に扉からがちゃがちゃがちゃと鍵を開く硬質な音がした。複数個の鍵が完全に開場されるまでにもう数秒。
扉の前で待っていると、すーっと音もなく、遠慮がちにドアが開かれた。そこから雪ノ下が少しだけ顔を覗かせる。
雪乃「おかえりなさい、あなた」
八幡「ただい……え、おかえ、えっ?」
雪乃「今のは聞かなかったことにしてちょうだい!!」バキッ!!
八幡「首が450度ォォォおおおおおおおおおおおお!!!!?」グルンッ!!!
結衣「だ、大丈夫だよゆきのん! あたしもたまに妄想しちゃう時あるから、ね?」
雪乃「うう……つい、思わず……」
戸塚「はちま──ん! しっかりしてぇ──!!」
雪ノ下家訪問 続々
雪ノ下に案内されるまま廊下を進み、リビングに通された。
リビングからは外側に張り出したバルコニーが覗いている。窓からの景色はとっぷりと暮れた空と新都心の夜景。西の空にはひどく物寂しげな残照があった。
小作りなガラスのテーブルの上には閉じられたノートPC。脇にはファイリングされた書類。昨夜も仕事をしていたのだろう。
来客を想定していないのか、部屋のリビングは簡素だった。それでも前に来た時より物は増えているような気もする。部屋の端に何やら物がぎっちぎちに詰まったダンボール箱が複数置いてあるのは見なかったことにした。
ソファの前には小さなチェスト。大きなテレビがあるのは少し意外だったが、よく見るとそのデッキには『パンダのパンさん』をはじめとするディスティニー作品が並んでいた。こいつこれのためにこんないいテレビ買ったんじゃないだろうな……。
そのまま続けてみてみると、そのディスティニー作品の横に、それまでとは雰囲気の異なるパッケージが並んでいる。
『これで君も意識高くなれる! 玉縄の教育講座』
八幡「ぶはっ!!」
<ハチマン、アウトーッ
八幡「なんだあれ……一周回って見てみてぇ……!!」
雪乃「あれ仕掛けたの誰かしら……」
スローガン決め
雪ノ下「それでは委員会を始めます。本日の議題ですが、城廻会長から連絡があったとおり、文化祭のスローガンについてです」
まずは挙手でアイデアを求めるが、積極性のない集団ではそれも難しい。誰もやる気などないのだ。真剣な会議もお喋りのネタ程度にしかなっていない。
葉山「いきなり発表っていうのも難しいだろうし、紙に書いてもらったら? 説明はあとでしてもらうとして」
雪乃「そうね……。少し時間をとります」
(中略)
回収された紙のうち、スローガンが記入されているものはホワイトボードに板書される。
・友情・努力・勝利
うん、まぁだいたいそんな感じのスローガンが並ぶ。
一つやたらと異質だったのが『八紘一宇』。うわぁ、書きそうな奴に心当たりがある……。
そしてもう一つ、みんなの目を引いたものがある。
『グローバル』『フレキシブル』『ネクストステージ』『カスタマーサイド』『結果にコミット』
八幡「…………」
雪乃「…………」
葉山「…………」
めぐり「…………」
玉縄「……うん? どうしてみんな僕のことを見ているのかな?」
お前以外に誰がいるんだよ、あんなの書く奴が。
スローガン決め後
雪乃「いいの?」
八幡「何が」
雪乃「誤解は解いたほうがいいと思うけれど」
八幡「誤解は解けないだろ、もう解は出てるんだからそこで問題は終わってる。それ以上解きようがない」
正解でも誤解でも、ファイナルアンサーだ。
失敗は取り返せない、押された烙印は消せない。
雪乃「……どうでもいいときばかり言い訳して、大事な時は言い訳しないのね。それってちょっと卑怯だと思うわ。それじゃあ相手も言い訳できないじゃない」
八幡「言い訳なんて意味ねぇよ。人間、大事なことほど勝手に判断するんだから」
雪乃「……そうね、そうかもしれない。言い訳なんて、無意味だもの。……だから、あなたが隠し持っていた大量の年下物の不謹慎な本についての言い訳も聞かないわ」
八幡「待ってくれそれは誤解なんだ! 全部留美が置いていったんだ!」
雪乃「それとっ……他にっ……胸の大きい子の本も持っているとっ……聞いたのだけれどっ……!!」ギリッ
八幡「えっそれは誰から……まさか川崎か雪ノ下さんかっ……待って、違うから待って頭蓋骨がっ! 割れる! なんかミシミシいってぎゃああああああああああああああ!!!!」
委員会
陽乃「やぁやぁ、しっかり働いているかね?」
八幡「……ご覧の通りですよ」
陽乃「あー、……しっかりとは働いていないみたいだね」
なんでだよ、超やってんだろ……。
陽乃「あら、不満顔。……だってさ、この議事録には比企谷くんの功績が入っていないじゃない」
八幡「……」
思わず黙ってしまった俺を見て、陽乃さんはにまぁと笑う。
陽乃「比企谷くん? ここでクイズです! 集団をもっとも団結させる問題はなんでしょ~?」
八幡「冷酷な指導者……うん? 問題? 存在じゃなくて?」
陽乃「正解はね、……比企谷くんのスキャンダルだよ」
雪乃『比企谷くん……答えなさい……姉さんとデートしていたというのは本当なの……!?』
結衣『ママとメールしてた理由……教えてよ、ねぇヒッキーヒッキーヒッキー』
小町『お兄ちゃんは家から出ていかないよね? ずっと、ずっと小町と一緒にいるんだよね?』
いろは『なんでですか……先輩は、熟女か女子中学生以下にしか興味がないんですか……!!』
川崎『あんた……まさかけーちゃんにまで手を……許さない……!!』
相模『ヒキガヤコロス』
八幡「ちょっと待ってあんたどんなデマ流したんだ!!?」
陽乃「んふふー、じゃあ比企谷くん、頑張ってね~」
八幡「や、ちょっ、待って(ドドドド!)うわぁなんか凄い勢いで地鳴りがこっちにやってきたぁぁぁあああ!!!」
文化祭前日
戸塚と葉山は二人で台詞の読み合わせをしていた。
俺はと言えば、特にすることがなく、ぼーっと舞台の端っこに腰かけている。
葉山「今晩……君は、来ちゃいけない」
戸塚「ぼくたちはずっと一緒だ」
儚げな王子さまの声に、「ぼく」はそれを支えるようにまっすぐな気持ちを伝える。
それはお芝居だとわかっているのに、ぎりぎりぎり勝手に歯ぎしりが……。くそっ、こんな想いをするんなら俺が出ればよかった。
くっ、直視していられない……。ふいっと視線を外すと、その正面に海老名超プロデューサーがいた。やけにつやつやした笑顔をしている。
海老名「ユー、出ちゃいなよ!」
八幡「本当か……いいのか、高二の文化祭の後、夢にまで見たんだ。俺が戸塚と出ても……いいのか?」
海老名「いや、隼人くんと」
八幡「くっ……分かった、ならこうしよう。一度葉山とやってやるから、その後戸塚ともやらせてくれ!!」
結衣「え、あ、その……それがありなら……あたしも、ヒッキーとしてみたいなー……とか」
海老名「えっ、本当? ヤってくれるの!? 隼人くんと!? よし分かった!! まずは保健室のベッドに行こう!!」
八幡「待って。演技の話だよな? 演技の話なんだよな?」
陽乃「隼人と比企谷くん……ありかもね」
葉山「えっ」
八幡「なんで雪ノ下さんまで乗り気に!? や、ちょっと離して!『ぐ腐腐腐、すぐに隼人くん無しでは生きられない身体にしてあげるからね』『あの、陽乃さん、なんで俺まで』離してぇぇぇえええええええ!!」
文化祭前 ある日の比企谷家
小町「お兄ちゃん、パソコンで何してんの?」
八幡「いや、別に。文化祭のスローガン、決めるとかで、なんかねーか調べてんだよ」
小町「ふーん。……それはそうと、『履歴 削除』で調べた検索ワードの履歴も消しておかないとダメだよ。こないだお母さんが『履歴 削除 復元』で調べてたよ?」
八幡「母ちゃん何やってんだよ……っつーかそういうのほんとやめてくださいよ……」
小町「なんか変なの出てきたって怒ってた」
八幡「冤罪だ! 俺じゃない! というか、そんなの調べるのは親父しかいない」
小町「お兄ちゃんじゃないって何で言い切れるの?」
八幡「家族に知られたくないこともこっそり調べられる……。そう、スマートフォンならね!」
陽乃『ここにパスワードを解析した比企谷くんのスマホがありまーす』
雪乃『姉さん、今すぐにそれを寄越しなさい』
結衣『な、何を調べてたのかな、ヒッキー……』
めぐり『えーと、履歴ってどうやってみるのかな?』
川崎『それ、あたしにも見せて』
八幡「あっ、俺のスマホがねぇ……えっちょっ待って待って待ってヤバイヤバイヤバイそれはマジでシャレになってないってちょっ雪ノ下さん返して本当にヤバ『うわぁ、これは……』『わー、ヒッキー……』返してぇぇぇええええええええええ!!!!」
まさか三週間も空くとは……。
シルバーウィーク前後が忙しかったとか、今月の円盤が発売延期した上に俺ガイルFesのチケット落選したりとかでモチベがちょい下がってたとか、6巻自体が徹頭徹尾シリアスな巻なせいで5巻よりはるかに書き辛いとか色々理由はありますが、申し訳ないです。
思いつきで立てたくせにこのスレの負担がめちゃくちゃ重いので、正直11巻まで続くのは無理くさく思えてきましたが、とりあえず6巻後半書き溜めたらまた来ます。
乙です!
ゆっくりしていいよ
頑張って
何度もすいません。これで965は卒業します
僭越ながらこの場をお借りして最後に言わせてもらいます
すいませんでした
すみませんでしたと言えるようになるまでROMってろks
この相模なら屋上に八幡が顔出しただけで
説得せずとも追いかけてきそう
こいつのやってることって普通に犯罪のライン超えてるよな
なんだろう、このはまちカラーの向こうから漂う仄かなバカテス臭は
>>263
すみませんでした
これでいいですか?
荒しはやめてください
また失礼しましたすみませんでした
やばい面白い
これは本当に神スレだから1頑張って!!
お帰り
そっか
バカテスに似てたのか
おつ
ゆっくりでもいいぜ!
うちの脳内じゃとっくの昔に下野ボイスよ
ガイル風バカテスなのかバカテス風ガイルなのか
王水弁当はよ
>>273 きっと舌が(物理的に)とろけるんだね!
頬が落ちる(物理)
ちょいちょい混じるガキ使と玉縄ネタで吹き出す
すまんあげてた
さがみんはどんだけ八幡が好きなんだよwwwwww
完結してくれるなら問題無い
ほっこりして、しかも笑える良SS
えてりましたね
ほしゅ
正直寒い
>>283 パンツ脱いで待機なんてしてるから...
どれが自演レスかな?
>>285
全部
サーがに罪を押し付けて信者を煽ってる
君たちはもう少し仲良くできないの?
全員病み過ぎwwww
ほしゅ
作者以外のに出してきますね
明日に
ダメならダメと言えばやめます
二ヶ月経てば勝手に落ちるんだからそれまで待てよ
勝手には落ちないんだよなあ
お待たせして申し訳ありません
三作品とも一応書いてはいるので、もうしばらくお待ちください
まつや
待ってる
わたしまーつーわ
いつまでもまーつーわ
たとえあなたが
DAISUKE
以来出しとくわ
今まさに総武高校は最高にフェスティバっている。
オープニングセレモニー
雪乃『──了解。ではキューだしまで各自待機』
舞台袖では俺は時計とにらめっこしている。
針が秒を刻むごとに、静けさを増していく。
開演まで一分をきると、体育館は静かの海と化す。
「──10秒前」
指はボタンから離さない。
「9」
眼は時計に釘づけだ。
「8」
息を吸うのをやめた。
「7」
合間合間に息を吐く。
「6」
息を継ぐ僅かな瞬間。
『5秒前』
誰かがカウントを奪った。
『4』
やたらに落ち着いていて、冷たさすら感じる声。
『3』
そして、カウントダウンの声が消える。
ただ、誰かの指が『2』を刻んでいるはずだ。
そして、無音の中、心中で『1』を数え終えた。
瞬間、ステージ中に目が眩むほどの光が爆ぜる。
玉縄「君たち、カルチャーしてるかー!?」
観客「うおおおおおおお!」
突如として舞台に現われた玉縄にオーディエンスが怒涛を返す。
……玉縄?
玉縄「千葉のスペシャリティ、ダンシングと────!?」
観客「フェスティバルゥゥゥウウウ!!」
台本にない玉縄が突然出てきても、きちんと乗ってあげるエキストラの皆様のノリの良さが半端ない。
玉縄「同じ阿呆なら、ダンシングせにゃ────!?」
観客「シンガッソ────!」
八幡「ねぇなんかめちゃくちゃ盛り上がってんだけど、これいつ止めればいいの? すごい止め辛いんだけどこれリテイクだよね? おいちょっと聞いてんのかよ玉縄お前インカムのスイッチ入れろやおい!」
文化祭 一日目 ホシミュ
戸塚「ぼくと一緒に遊ぼうよ。ぼくは、今すごく悲しいんだ……」
キツネ「君と俺は遊べないよ。……俺は、飼い慣らされていないから」
キツネ「最初は草の中で、こんなふうに、お互いちょっと離れて座る。俺は君を目の隅で見るようにして、君のほうも何も言わない。言葉は誤解のもとだからね」
戸塚「砂漠が綺麗なのはどこかに井戸を一つ隠しているからだよ」
葉山「王子さま……。ぼくは君の笑う声が、好きだ。……ぼくたちはずっと一緒だ……」
戸塚「前の撮影が終わってから、女の人のスタッフからやたら葉山くんとのツーショットをお願いされるんだけど、なんでだろうね?」
八幡「さ、さぁ……?」
海老名「ぐ腐っ……計画通り……!!」
八幡(まさか合法的に布教しようと……海老名さん、策士か……!!)
文化祭 一日目 続
八幡「雪ノ下の家に行ったとき、何か話したのか?」
俺が聞くと、由比ヶ浜は、んーとちょっとばかし考えてから口を開いた。
結衣「なーんにも」
八幡「は?」
態度だけで説明を求めると、由比ヶ浜はあの日の続きを語りだす。
結衣「ヒッキーが帰ってからはお腹空いたから一緒にご飯食べて、なんかDVD見て、で、あたしは帰った。……だから、ヒッキーが知りたいことは何も聞いてないよ」
八幡「……いや別に知りたいこととかねぇよ」
結衣「そう? あたしは知りたかったけどね」
八幡「じゃあ、なんで」
結衣「あたしね、ゆきのんのことは待つことにしたの。ゆきのんは、多分話そう、近づこうってしようとしてるから。……だから、待つの。でも、待っててもどうしようもない人は待たない」
八幡「ん? まあ、どうしようもない奴待ってても仕方ないわな」
すると、由比ヶ浜は少しだけ笑った。頬杖をついた姿勢からわずかに身体を捻って、じっと俺を見た。
結衣「違うよ。待たないで、……こっちから行くの」
八幡「そうか……」
結衣「うん、そうだ。……こっちから、行くの」
八幡「ん……うん? なんで今二回も言っ」
結衣「こっちから行かなきゃね……? ね、ほら、ヒッキー、もうだいぶ経ってるんだしさ、そろそろ聞かせて欲しいなって」
八幡「え、何いきなり、ちょっ近っ、いや何のことだか分からねぇんだけど、なんでそんな俺の胸倉掴んでおいちょっとやめろおい雪ノ下たちまでなんか興味深そうに見てないで助けろ!!」
戻ってきたんか
文化祭一日目夜の比企谷家
小町「あ、またパソコンでなんか調べてる。今度は何調べてるの?」
八幡「いやまぁなに。……お前さ、どっか遊びに行くっつったらどこいく?」
小町「ディスティニィーランドが安パイだと思うよ。それか、ららぽ」
八幡「千葉県民お決まりコースだな……。他にねぇのか」
平塚「そうだなぁ、やはりラーメンだな、ラーメン。そうだ、今度また食べ歩きといこうじゃないか。なりたけにかいざん、むさし野に兎に角もいいだろう。考えただけで腹が減ってきたな……今度と言わず、今から行かないか?」
八幡「ちょっと? なんでナチュラルにウチん家に侵入してきてるんですか?」
いろは「そういえば先輩今度またデートしてくださいよー、わたしの下着選んでくれるって約束してくれたじゃないですかー」
八幡「ちょっと、空想の約束をでっちあげないでくれない? 小町の俺の事を見る目がとんでもないことになってるんだけど」
めぐり「比企谷くんは、今度私の両親にご挨拶に来るんだよね?」
八幡「ギブ! 平塚先生ギブ! 誰も結婚なんて単語は口にしてないから! そもそも城廻先輩の親に会う予定もないですから!」
川崎「別にどこかに出かけなくても……あたしの家、とかでもいいし」
八幡「いや別にお前の家に用なんかないんだけど(メキョッ)そういえばこの前けーちゃんの勉強を見る約束でもしてたっけなーあははーすんません頭から手を離してください死んでしまいます」
玉縄「酷いじゃないか、比企谷くん。次のオフは、ぼくと過ごしてくれると約束してくれていたじゃないか」
いろは「えっ、先輩……やっぱりそっちの気が……」
八幡「待ってくれそんな約束をした覚えは『キマシタワアアアアアアアアアアア!!』『海老名、擬態しな』ああもうマジで収集つかなくなってきやがった!!」
文化祭 二日目
文化祭も二日目を迎えた。
二日目である今日は一般公開日で、ご近所やら他校のお友達やら受験志望者やらの来客もたくさんやってくるのだ。土曜日なのでお休みの人も多く、結構な賑わいを見せていた。
(中略)
それなりの混雑を見せるなかで俺の仕事といえば、写真撮影である。
ようやっと何枚目かの撮影を終えると、飛びかかってきたような衝撃を背中に受けた。
小町「お兄ちゃん!」
八幡「おお、小町」
振り向くと小町が俺の背中に抱きついている。そうやって甘えてくるような様は兄としてまぁ、悪い気分ではない。うわっはぁー、俺の妹可愛いぃ~。
小町「久々の再会はハグ……これ、小町的にポイント高いかもしんない」
八幡「なにそれどこのヒースロー空港だよ」
外国人の皆さんは空港でハグしすぎだと思いました。
なんだかあざとかったので小町を引っぺがそうとする。
だがしかし、小町は俺の背中に張り付いて離れる様子を見せなかった。
八幡「おい小町、そろそろ離れ……ろ?」ガチャッ
小町「うふ、うふふ……ようやく捕まえた……。お兄ちゃんはこうやって捕まえておかないと、すーぐどっか行っちゃうからね……」
八幡「お、おい、いつの間に手錠なんて……」
小町「お兄ちゃんはね、他の女の人に騙されてるだけなんだよ。それは昔から分かってたことでしょ? 全くお兄ちゃんは進歩しないなぁ。ま、だからこそ、小町が一緒にいてあげないとね♪」
八幡「小町……お前、一体何を言って……!?」
小町「これで、一生一緒にいられるね……あ、これ小町的にポイント超高いかも」
八幡「やめろ、小町……。この手錠を外してくれ……!!」
小町「──っていう、ヤンデレ妹ルートはどうかな?」
八幡「却っ下」
小町「えー、これ小町的にポイント高いルートだったのに……」
文化祭 二日目 続
雪乃「あのクラス。申請書類とやっていることが違うわ」
三年B組の壁には洞窟っぽい装飾が施され。インディ・ジョーンズっぽい書体で『トロッコ・ロッコ』と書かれた看板がある。
雪乃「代表者の方はいらっしゃいますか。申請内容と異なっているようですが」
言われた瞬間三年B組女子たちの顔色が変わる。
「やっば!」「速攻でバレちゃった!」「と、とにかく乗せちゃえ! 勢いで誤魔化しちゃえ!」
蜂の巣をつついたような騒ぎになり、先輩方は雪ノ下の両手をがしっと掴むと、そのままぐいぐいとトロッコに押し込もうとする。
雪乃「ちょ、ちょっと!」
雪ノ下が抵抗しつつ、俺に視線を送る。助けろということらしい。
だが、今この場では逆効果だ。
それまで空気と同化していた俺に三年B組の視線が集中する。
「……あれも文実?」「腕章ついてるぞ!」「放り込め!」
むくつけき男子の先輩方にあっけなく捕まった。ちょっと! なんで俺は女子の先輩方に捕まらないんですか! こんなの不公平じゃないですか!
教室の中にずるずると引きずり込まれ、かご台車を改造したトロッコにぐいぐい押し込まれる。
最後にダメ押しとばかりにドンと押された。衝撃で俺と雪ノ下はトロッコに倒れこむように入れられてしまった。
思ったより先輩方の押す力が強く、勢い良くトロッコの中に転がり込んでしまう。
そして、すでにトロッコの中にいる雪ノ下に向かって、俺の身体が──
八幡「っと……あっぶねぇ……危うくぶつかるところだった……ちょっと、強く押し過ぎじゃないですか?」
陽乃「ちぇっ、あと少しだったのに。比企谷くんそこまでいったらもうチューしちゃいなよチュー」
八幡「あんたの仕業か! っと、悪い雪ノ下すぐに退くから……」
雪乃「……べ、別にその……あ、当たっても……」
そしてそれぞれの舞台が幕を開ける。
葉山「どうかした?」
めぐり「あ、相模さんが連絡つかなくて……」
めぐり先輩が葉山に事情を説明する。
すると、葉山はすぐに動いた。
葉山「副委員長、プログラムの変更申請をしたい。もう一曲追加でやらせてくれないか。……時間ないし、口頭承認でいいよね」
雪乃「そんなことができるの?」
葉山「ああ。……いろは。もう一曲、踊りながら歌える?」
いろは「もっちろんですよー、任せてください」
葉山「結衣、いきなりだけど、頼めるかな」
結衣「うん、大丈夫だよ! 任せて!」
葉山「姫菜、悪いね。でも、頼りにしてるよ」
海老名「まさか私が前に出るとはねー。でもまぁ楽しそうだし、一回くらいはやってみてもいいかな?」
葉山「城廻先輩、突然で申し訳ありませんが、頼めるでしょうか」
めぐり「うんっ、頑張っちゃうね!」
葉山「相模さん、準備は大丈夫?」
相模「うん! うち、ずっと準備してたから大丈夫!」
葉山「玉縄くん、君と肩を並べて演奏する日を待ち望んでいたよ」
玉縄「ぼくもさ、葉山くん。共に、ベストを尽くそう!」
葉山「そして……優美子。弾きながら、歌うことは出来る?」
三浦「隼人……。もちろんだし。今のあーしなら、何曲でも出来る気がする!」
葉山「じゃあみんな、準備はいい? 最高のステージにしよう!」
皆『うん!!』
八幡「え、いや、待って。そこにいる奴さえいればもう一曲やらなくていいんだけど、あ、その、えぇ……?」
そしてそれぞれの舞台が幕を開ける。続
雪乃「この私に、貸しを一つ作れる。これをどう捉えるかは、姉さん次第よ」
陽乃「ふぅん……雪乃ちゃん、成長したのね」
雪乃「いいえ……私はもともとこういう人間よ。十七年間一緒にいて見てこなかったの?」
八幡「……はっ」
雪乃「……何か?」
八幡「いいや……」
雪ノ下にじろりと睨まれて、また笑ってしまう。
──ああ、まったくそうだ。雪ノ下雪乃って奴はこういう人間なんだ。
陽乃「で、どうするつもりなの?」
雪乃「場を繋ぐわ。私と、姉さん……あと、二人いればなんとか。できればあと一人」
雪ノ下がちらっとステージ袖の楽器を見る。それだけで彼女が何をしようとしているのか、おおよその見当がついた。
陽乃「はぁん、楽しいこと考えちゃうねぇ。で、曲は?」
雪乃「ぶっつけ本番で行くのだから。私たちができるものをやるしかないでしょう。昔、姉さんが文化祭でやった曲。今もできる?」
陽乃「誰にものを言っているのかな? 雪乃ちゃんこそ、できるの?」
雪乃「私は、姉さんが今までやってきたことなら大抵のことはできるのよ」
……こいつ、陰で練習してきたんだろうな、きっと。
陽乃「そう。じゃああと一人いれば大丈夫なわけだ」
平塚「……仕方ない。私がベースを──」
陽乃「わたしが素早く動いて分身するから、これで足りるでしょ」シュバババッ!!!
平塚「!?」
雪乃「あら、なら私も分身してさらに増やそうかしら」シュバババッ!!!
八幡「!!?」
陽乃「へぇ、いつの間に雪乃ちゃんも分身を身につけてたんだね。お姉ちゃん、ちょっとびっくりしちゃった」シュバババッ!!!
雪乃「言ったはずよ、姉さんが今までやってきたことなら大抵のことは出来るって。なんならもっと増やしてオーケストラでもやってみる?」シュバババッ!!!
陽乃「それ面白そうだね、でも雪乃ちゃんについてこれるかな?」シュバババッ!!!
八幡「待ってやめてこれ以上は体育館が雪ノ下姉妹で埋まるぅぅぅううううう!!!!」
相模捜索
悲しいかな最新の着信履歴にそのままコールする。
材木座『我だ』
八幡「材木座、お前普段学校に一人でいるときどこにいる?」
材木座『なんだ藪からスティックに。ばほん、我は常にサスペンドモードを』
八幡「早く答えろ急いでる」
材木座『……本気、なのだな?』
八幡「ちっ。もう切るぞ」
材木座『まてまてまて待ってお願い! 保健室かベランダだ! 図書室の場合も多い! あとは特別棟の上だな。……誰か捜しているのか?』
八幡「ああ、実行委員長を捜している」
材木座『ほう、あの挨拶をしていた女性か。どうやら我の力が必要なようだな……』
八幡「手伝ってくれんのか?」
材木座『是非もない。どこを捜せばいい?』
八幡「新刊のあたりを頼む、サンキュー! 愛してるぜ材木座!」
材木座『おう、我もだ!』
八幡「うるせぇきめぇ!」
海老名「我が生涯に一片の悔い無し……ぐ腐っ」バタッ
結衣「姫菜ぁぁぁあああ!! しっかりしてぇぇぇえええ!!」
三浦「ちょ、息してな……海老名、海老名ぁぁぁ!!」
葉山「比企谷、お前ってやつは……!!」ガシッ!!
八幡「俺は悪くないだろうがぁぁぁあああ!!!」
相模捜索 続
八幡「川崎……」
川崎「あんた、何はぁはぁ言ってんの……。文実だったんじゃないの?」
川崎のちゃちゃや質問には取り合わない。
八幡「お前、前、屋上にいたことあったろ」
川崎「は? いきなり何言ってんの?」
八幡「いいから」
あまり時間がないせいで、焦りが強く出た。つい突き放したような言い方になってしまう。
川崎「そ、そんな、お、怒んなくても……」
川崎が涙目になっておろおろし始める。
八幡「別に怒ってない。その文実のことでちょっと急いでるだけだ」
川崎「な、ならいいけど……」
ほっと胸を撫で下ろす川崎。案外打たれ弱いのだろうか、こいつ。ああ、いかん、それより今は屋上のことだ。
八幡「で、前、屋上いたことあったよな? あれ、どうやって入ったんだ?」
川崎「あんた、よく覚えてるね……」
ノーパンのことについては記憶の中から無理矢理追い出した。
川崎「中央階段からの屋上の入り口、鍵壊れてるんだよ。女子の間では割と有名。それがなんなわけ?」
……そうなのか。なら、相模が知っていてもおかしくない。川崎の問いかけに答えるよりも早く、俺の足は動いていた。
ただ急いでいても礼くらいは言っておかないと。
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
言い捨てて全力で走る。
廊下を曲がったところで、後ろからなんだかものすごい絶叫が聞こえた。
× × ×
川崎「跳べよぉぉぉおおお!!!」ギューン
相模捜索 続
八幡「川崎……」
川崎「あんた、何はぁはぁ言ってんの……。そ、そういう目で見られるのもやぶさかではないけど……」
川崎のちゃちゃには取り合わない。台本にあった台詞とは違うような気がしたが取り合わない。
八幡「お前、前、屋上にいたことあったろ」
川崎「……あたしのスカートの中身を覗いた件がどうかしたの」
八幡「ふざけてる場合じゃないんだ」
あまり時間がないせいで、焦りが強く出た。つい突き放したような言い方になってしまう。
川崎「あっ……そういう風に怒られるのも……いいかも……」
川崎が両手で我が身を抱きながら、身を捩らせる。あれ、こんなシーンだったかな……。まぁいいや。
八幡「別に怒ってない。文実のことでちょっと急いでるだけだ」
川崎「……あ、文実ね……。うん、文実がどうかしたの」
八幡「前、屋上いたことあったよな? あれ、どうやって入ったんだ?」
……あれ、この台詞前にも言ったことあったような。いや、このドラマはノンフィクションなので実際に高校二年の時にも言ったことはある。しかしその過去のことではなくて、ほんの少し1レス前にも同じようなことを言ったような……。デジャブというやつだろうか。
川崎「あんた、やっぱり覚えてくれてるんだね……」
川崎は懐かしむように、柔らかな声で呟く。その視線が照れくさそうに俺を捉える。
……急いでるって言っただろ。そんな気持ちが顔に出てしまったらしく、川崎は慌てて話を元に戻した。
川崎「あ、あの、中央階段からの屋上の入り口、鍵壊れてるんだよ。女子の間では割と有名。それがなんなわけ?」
……そうなのか。なら、相模が知っていてもおかしくない。川崎の問いかけに答えるよりも早く、俺の足は動いていた。
ただ急いでいても礼くらいは言っておかないと。
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
言い捨てて全力で走る。
廊下を曲がったところで、後ろからなんだかものすごい絶叫が聞こえた。
× × ×
川崎「繰り返す。あたしは何度でも繰り返す。ただその言葉を聞くためだけに、あたしはまた過去に跳ぶ……!!」ギューン
相模捜索 続
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
八幡「サンキュー! 愛してるぜ川崎!」
川崎「あ、あたしは……何度でも……過去に……!!」
陽乃「はーいストップ。……どうやってやったのかは分からないけど、ここまでにしとこうか」
川崎「は、離して! あたしは、あたしは……!!」
相模捜索 続々
八幡「エンディングセレモニーが始まるから戻れ」
相模「別にうちがやらなくてもいいんじゃないの」
八幡「残念ながら事情があってな、そうもいかない。あまり時間がないんだ。早くしてくれると助かる」
相模「時間……って、もうエンディングセレモニー始まってるんじゃないの」
八幡「ああ、本来ならな。でも、どうにかして時間を稼いでいる。だから」
相模「ふーん、それって誰がやってるの」
八幡「あー、そうだな。三浦とか雪ノ下たちとかだ」
相模「そうなんだ……」
八幡「わかったら戻ってくれ」
相模「……うん、わかった」
予想通り、七面倒くさいことを言い出……さない……? あれ、今こいつ素直にうんって言わなかったか?
相模「でも、その前にひとつやることが」
相模はそう言うと、制服の懐から何かを取り出し、そして俺に向かって駆け出してきた。その手元にはきらりときらめく銀色の何かが握られており──
相模「死ッッッ……ねェェェエエエ!!!」
八幡「っぶねぇぇぇえええ!!? さ、相模、お前一体何をっ」
相模「思えば高二のこの時から全てが狂い始めた……比企谷、お前を殺してあの時の屈辱を晴らす!!」
八幡「いや待て全部自業自得だろ!? だから大人しくそれを捨てて」
相模「キェアアアアアアアアアッ!!」
八幡「うおおおおおおおおおっ!?」
陽乃「あーもう、今日はなんだか面倒事が多いねぇ……」
この後めちゃくちゃ陽乃さんに助けられた。
ようやく彼と彼女は正しい答えを見つけ出す。
雪乃「あら、ようこそ。校内一の嫌われ者さん」
八幡「喧嘩売ってんのか……」
雪乃「打ち上げはどうしたの? 行かないの?」
八幡「聞かなくてもわかることをいちいち聞くな」
回答に代えてそう答えると、雪ノ下は楽しげに微笑む。その可愛らしい微笑でまたとんでもないことを言い出すのだろう。
雪乃「どう? 本格的に嫌われた感想は」
八幡「ふっ、存在を認められるってのは、いいもんだな」
雪乃「驚くべきか呆れるべきか……。あなた、やっぱり変ね。……その弱さを肯定してしまう部分、嫌いではないけれど」
八幡「ああ、俺も嫌いじゃないんだ。むしろ大好きだね、こんな自分が。で、お前、ここで何やってんの」
雪乃「進路希望表を書かないといけないのよ。あなたは何をしにきたの?」
八幡「報告書まとめるんだよ。静かで集中できるとこでやりたくてな」
雪乃「そう……。似たようなことを考えるものね」
八幡「選択の幅が少ないからな。ぼっちの収斂進化の結果だ。俺とお前が似てるわけじゃねぇよ」
──そう。
──俺と彼女はちっとも似ていない。
──だからだろうか、こうして交わす言葉がいつも新鮮で心地いいと、そう感じていた。
──祭りの余熱が身体の中で燻っているのを感じた。問い直して、新たに導き出した答えはちゃんと結論になっている。
──なら、
──なら俺と彼女は。
八幡「……なぁ、雪ノ下。俺と」
雪乃「なんですかそれ口説いてるんですかごめんなさいそれは無理」
八幡「っだぁ! またそれかよ!」
いろは「だから雪ノ下先輩! 人の台詞取らないでください!」
結衣「あはは、まぁまぁいろはちゃん」
雪乃「ごめんなさい。……でも、やらねばならないと思って」
いろは「いいんですよ別にやらなくても!!」
……けれど。
けれど、こういうふざけたやり取りを、俺はとても心地よく感じていた。
ぼーなすとらっく! 彼女たちの、うぃー・うぃる・ろっく・ゆー♡
八幡「……っと、こんなもんか」
結衣「あ、ヒッキー、文化祭の報告書書き終わったの?」
八幡「ま、だいたいな。後は家でやる」
結衣「ゆきのんは? 進路希望表、終わった?」
雪乃「ええ。後は提出するだけ」
結衣「よし、じゃあ後夜祭に行こう!」
八幡「行かねーから」
雪乃「行かないわよ」
結衣「……ぐすん」ウルウル
八幡「じょ、冗談だ、なぁ雪ノ下?」オロオロ
雪乃「え、ええ、そうね。行っても、いいかもしれないわね」オロオロ
結衣「ほ、ほんと?」パァッ
いろは(どうでもいいんですけど、昔よりあの二人結衣先輩に対してかなり甘くなってきたような……)
比企谷家
八幡「たでーまー」
小町「およ? お兄ちゃん、おかえりー」
八幡「小町、飯はー?」
小町「え? あ、あー……。てっきり打ち上げとかあると思って用意してなかったんだけど……」
八幡「なんだ、小町らしくもない。俺は合唱コンクールだろうが卒業式だろうが、問答無用で直帰してただろ。今回も同じだ」
小町「えーどうせ雪乃さんと結衣さんといろはさんと沙希さんとめぐりさんに呼ばれたくせに」
八幡「それは前回の文化祭編撮影後の打ち上げだろ……ていうか今撮影中なんだけど、小町ちゃん?」
小町「ところでその前回は結局誰と打ち上げに行ったの? 家には帰ってなかったじゃん」
八幡「え? あ、あー……」
雪乃「私ではないわ」
結衣「あたしでもないよ」
いろは「わたしも断られたんですけどー」
川崎「……もう一度……でも、今度はどうやって過去に……」ブツブツ
めぐり「私でもないよ?」
小町「じゃあ誰と──」
相模「……」ポッ
小町(えっ、え──っ!? な、なんであんな殺されそうにまでなってたのに、どうやってあれから南さんと仲良くなったの──!? こ、これは本当にお兄ちゃんヒモの才能あるよ!! ていうか本当に何があったの──!?)
後夜祭
戸塚「どっかお店入ったほうがいいんじゃないかな?」
小町「そうですね。じゃあ、何食べましょうか?」
材木座「ふむ。何肉にする? 八幡」
八幡「肉決定かよ……」
小町「あ、小町もお肉、さんせー!」
結衣「あたしもお肉な感じかなぁ。おにくー!」
雪乃「私は……気分的には魚介系かしら。……伊勢海老」
戸塚「ぼくは野菜メインだと嬉しいな」
平塚「私も野菜だな。……アンチエイジング」
いろは「わたしもそうですねー、野菜系がいいかもです」
めぐり「私はなんでもいいかなぁ。おいしいものは、なんでも好きだよ?」
川崎「あたしは……けーちゃんも入れるところなら、どこでも」
大志「俺も、姉ちゃんと同じで」
秦野「千葉なら、やはりラーメンが」
相模「僕も、やはりラーメンが」
葉山「俺もどこでも……優美子は、どこがいい?」
三浦「あ、あーしは……隼人がいるなら……別に……」
玉縄「僕もなんでも……ああ、でも店主のこだわりが伝わる店がいいかもね」
折本「こだわり! それある!」
陽乃「あっはっは、まとまるかなぁ?」
八幡「フリ──ダムッ!! ええい、全部混ぜて鍋にするぞオラァ!!」
戸部「ウェ──イッ!!」
八幡「……もちろん撮影が終わってからな」
『お好み焼き、もんじゃ焼きよしえ』
平塚「では、文化祭の成功を祝して、」
皆『かんっぱーい!』
(中略)※もんじゃ焼き作成
陽乃「そろそろよさそうだね」
平塚「お、そうだな。では、いただくとしよう」
結衣「なにこれ!? うまっ! なにこれっ! 見た目のわりに超うまい!」
八幡「おい、見た目とか言うな。まじまじ見ると食べる気なくしちゃうだろうが」
陽乃「あら、比企谷くん。食があまり進んでいなそうだね。しょうがない。お姉さんが手伝ってあげよう。はい、あーん」
八幡「いや、あの、自分のペースで食べたいので結構です」
結衣「あ、あの……ヒッキー! あ、あーん……」
雪乃「そ、その……あ、……あーん……」
小町「ほうほう、これは面白そうな……お兄ちゃん、はいあーん♡」
八幡「え? お、おい、お前ら何をして……」
戸塚「は、八幡……あ、あーん……?」
八幡「戸塚! 神が告げている、これは戸塚ルートへ向かえと!」
材木座「ぬふぅ手が滑り申した」ガッ
戸塚「あっ、ごめん八幡! もんじゃ焼き落としちゃった!」
八幡「あっづぅ!! て、てめぇ材木座、何をしやがる!!」
材木座「ええい八幡! 貴様だけにいい思いなどさせるか──!!」
八幡「上等だテメェ表出ろ!!」
戸塚「ふ、二人とも……仲良く、ね?」
<テイクツー、アクショーン!!
平塚「では、文化祭の成功を祝して、」
皆『かんっぱーい!』
玉縄「それでは、ぼくがもんじゃ焼き作成を任されよう」グルグルグル
八幡「ぶはっ!!」
<ハチマン,アウトー
八幡「ええい綿あめの時といい、ぐるぐる回す系の仕事をこいつに回すな!!」
玉縄「安心してくれ、任されたからにはおいしいもんじゃ焼きができることを約束しよう」グルグルグル
八幡「誰も任せた覚えはねぇ──!!!」
総武線ゲーム
陽乃「じゃあ、お題は『趣味』にしとこうか」
小町「とりあえず、やってみましょー!」
陽乃さんが模範解答からお題をピックアップし、小町がスタートの合図をかける。
そして、もちろん音頭を取るのは平塚先生である。
平塚「総武線ゲーム♪」
皆『イエーイ!』
平塚「古今東西、今自分の中で熱い趣味~」パンパン
小町「カラオケ!」パンパン
手拍子が打たれ、由比ヶ浜が続く。
結衣「先言われちゃった! えと、料理!」パンパン
雪乃「乗馬」パンパン
戸塚「テニス!」パンパン
材木座「うむ、原稿執筆」パンパン
平塚「婚活!!!」パンパン
皆『…………』
平塚「……最近な、ほとんど毎週のように婚活パーティに行ってるんだがな?」
八幡「毎週!?」
平塚「それでもな、成果が出なくてな? あんまり行ってるもんだから、もうスタッフの人ほとんどと顔見知りになってきちゃってな? 前回なんか、行ったらスタッフに『あ、平塚さんまた来たんですか? いい加減誰かとくっついてくださいよ~』って言われた……」
八幡「…………」
八幡(お、重いッ……!! 早く!! 早く誰かもらったげて!! じゃないと俺が貰いそうになっちゃうから!!)
趣味捜し
戸塚「八幡ってお家では何してるの?」
八幡「え、いや……、別にこれと言ったことは……」
陽乃「小町ちゃん? お姉さんたちに教えて?」
結衣「あ、あたしも知りたい! くないこともない、かな、うん」
平塚「ほう、興味深いな」
小町「えーっとですね……」
八幡「よせ、やめろ小町」
言ったところで聞いてくれるはずがなかった。
小町「兄は帰ってくると、大量に溜まってるメールに返信してますね……まぁほとんど留美ちゃんか沙希さんで、残りは皆さんのですけど」
結衣「……」サッ
雪乃「……」サッ
戸塚「?」
小町「そして今度はけーちゃんとか留美ちゃんに教える勉強の教材作りとか、次に出かける人とのデートコース考えてたりとか、あとは必要に応じてこまめに連絡取ってたりとか」
八幡「あ、あの、小町ちゃん?」
材木座「フンッ!」バキッ
八幡「がはっ」
小町「ううっ……お兄ちゃんが人と関わるようになったのは嬉しいですけど、このままじゃ本当に将来ヒモに向かってまっしぐら……どうすれば……」
陽乃「うーん、誰かひとりとさっさとくっつけばいいんだろうけど……」
雪乃「比企谷くん、その、次は私と」
結衣「ヒッキー、あ、あたししばらくどこにも行ってないよ? だから……」
八幡「と、戸塚! 次の休み空いてるんだが暇か?」
戸塚「ぼくは暇だけど……ええと、他の人がよくないんじゃないかな……」
陽乃「あっはっは、この様子じゃまだまだ掛かりそうだねぇ」
小町「うう、小町はお兄ちゃんがいつか本当に誰かに刺されそうで心配です……」
趣味捜し 続
戸塚「まぁ、学校も部活もあるから仕方ないよね。じゃあ、休日は?」
小町「えっと休日は、スーパーヒーロータイムのあと、プリキュア観て、……で、プリキュア観て泣いてますね……」
結衣「わぁ、その年で……」
由比ヶ浜をはじめ、みんなドン引きしていた。
意義あり。ていうかみんな見てないとかどういうことなの? 今時、幼稚園児でも観てるよ? 遅れてるんじゃないの? スマイルになったり、ドキドキしたり、ハピネスになったり、Goしたりしないの?
小町「あとは、図書館行ったり本屋さん行ったりしますけど、基本的にはいつも変わらないですよ?」
雪乃「比企谷くんが楽しいのなら、それで構わないけれど……」
八幡「るせー。お前に言われたくねぇんだよ。だいたい、お前だってそう変わらないだろ、友達いないし、読書好きだし」
反論すると、雪ノ下はふっとバカにするように笑うと肩にかかった髪を払う。
雪乃「一緒にされては困るわね。私は……」
陽乃「ふふふ、最近の雪乃ちゃんの生活はね~」
雪乃「……最近!? 姉さん、やめて。絶対にやめて。ちょっと待ちなさい。なぜ知ってるの、姉さんやめて。やめてください」
陽乃「ひきが『由比ヶ浜さん! 止めないで!』やくんの『止めるよ! そのヘラで陽乃さんを刺そうとしてたらさすがに止めるよ!』写真を『離して由比ヶ浜さん! こうなったら由比ヶ浜さんごと……』見ながら『えっ、ちょっ、あたしまで!? 待ってゆきのん!?』部屋でお『ドンガラガッシャーン!!』ちょっと雪乃ちゃん、危ないじゃない」
雪乃「あなたを殺して私も死ぬわ!!」
八幡(……こえーこえー……)
いぬねこファイト
雪乃「比企谷くん、猫よね?」
結衣「ヒッキー、犬だよね!?」
八幡「いや、その、こっちに話を振られても……、あと雪ノ下、お前は猫と勝負ごとのときだけ本気出しすぎだからな」
結衣「犬っ!」
雪乃「……猫」
小町「修羅場キタ────ッ!」
陽乃「雪乃ちゃん、負けるなー!」
小町「というわけで、やってまいりました。『俺のクラスメイトと知り合いが修羅場すぎる。』実況は比企谷小町でお送りいたします。猫派犬派が入り乱れてのドッグファイト、い、いやキャットファイトかな? まぁ、なんでもいいや、いぬねこファイト、レディー・ゴー!」
そして、どこからどもなくカーンと鳴り響くゴング。
留美「……八幡は私が猫耳をつけたときに強く反応してたから、多分猫派」
八幡「ちょっと待てあれはお前が勝手に『ヒッキーの変態!!』理不尽だぐあべらっ!!」ドシャッ
めぐり「えー、でも私が犬の首輪つけてた時も、なんか反応がいつもと違った気がするんだけどなぁ」
八幡「あんなもんいきなりつけられてたら誰だって『比企谷くん、あなたっていう人は……!!』だからなぜ俺がどぐがはっ!!」ドシャッ
川崎「……あんた、けーちゃんに猫耳を強要したらしいって聞いたんだけど」
八幡「それは留美が置いていったやつをけーちゃんが『ヒッキーのロリコン!!』首が720度回ったぁぁぁああああああっ!!」
いろは「あーでも先輩って、女の子を犬みたいに従わせるの好きそうですよねー」
八幡「それもうただの言いがかりだろ!!『この一撃に、全てを賭けるわ……!』ひぃ! た、助けてくれ戸塚ぁ!」ダキッ
玉縄「おや、どうしたんだい比企谷くん。いきなりぼくに抱きついてくるなんて」
八幡「死っっっねぇぇぇぇぇぇええええええ!!!」バキィッ!!!
玉縄「理不尽すぎどばぁっ!!」ドシャアッ
葉山(……比企谷、君はすごいな。周りの人を、こうも変えていくなんて……)
>>318
シュタゲゼロでもやったのかな
誤字 相模が僕と言っている
趣味捜し 続々
結衣「この調子だといつまでたってもヒッキーの趣味見つからなそう……」
雪乃「さすが比企谷くんね。物事を否定から入らせたら勝てる人間がいなさそうだわ」
八幡「え、お、俺が悪いの……? 趣味が見つけられないのって俺の性格が原因?」
平塚「比企谷。そう深刻に考えるようなものでもないさ。趣味なんて無理に見つけるものじゃない。誰かと話をあわせるためだったり、流行に乗るために始めるなんて、君の一番嫌うところだろう」
八幡「まぁ、そうなんですけど……」
平塚「やりたいことを探すのなら君の周りを見渡してみればいい。今の君の周りには刺激的なものがたくさんあるはずだよ」
八幡「……先生」
玉縄「趣味というのであれば、自分磨きなんかいいんじゃないかな。資格勉強とか、将来役に立ちそうなものを今のうちからやっておくのも助かる時が来るかもしれないよ」
折本「自分磨き! それある!」
葉山「サッカーはどうかな? 君にやる気があるなら……」
戸部「ヒキタニくんがサッカーとかそれマジウケっしょー!」
海老名「だったらヒキタニくんもこちらの世界に来たらどうかな? なんなら今すぐにそこで実演してもらっても構わなぐ腐っ!」ブシャッ
三浦「あー、ほら海老名、擬態しな」
大志「ほら姉ちゃん、今がチャンスだよ!」
京華「ちゃんす!」
川崎「お、押さないでよ……あ、あんたがよかったら、その、裁縫とかなら、教えられるけど……」
留美「八幡、意外と教えるの上手いし、教師目指して勉強とかでもいいんじゃないの」
めぐり「お昼寝なんかもいいよ? ついうとうとしちゃって、気持ちよく眠っちゃうんだよね」
材木座「なに、貴様には我が原稿を読むという重大な任務があるであろう!!」
戸塚「あはは、また今度テニスしようね」
陽乃「比企谷くんは見てて飽きないから、色々なことをやってみてもらいたいなー」
いろは「やることないんなら、またわたしの買い物に付き合ってくださいよー」
結衣「あ、そうだヒッキー、サブレのお散歩、今度一緒に行こうよ!」
雪乃「……私は、ただあなたの傍で本を読めるだけでも……」
八幡「……刺激的……ですか……」
平塚「ああ、そうだろう? ……昔からは信じられないほどに、な」
小町「……よかったね、お兄ちゃん」
八幡「……ああ」
八幡(それはいいんだけど、一応真面目な撮影中なのにお前ら自由過ぎない?)
>>325
シュタゲ0はやった
そこの相模は遊戯部
ライブハウス
陽乃「うん、楽器のセッティングも問題なし。ほら、あなたたちのステージだよ」
平塚「ここまでやられたら、やるしかないな……。私、ガンバッ!」
雪乃「なぜ私まで……」
戸塚「わあ、なんかドキドキしてきたね。ライブの始まる前の雰囲気ってすごい独特だなぁ……」
小町「ですね! 静かなのに、だんだん気分が盛り上がって行くのが不思議です」
材木座「ふむ! ライブは最高だな。我もライブ大好き愛してる! ラブライブ! 誰ぞある! 誰ぞ我がサイブコマンダーとサイリウム一色を持てぃ!」
結衣「……ヒッキー」
八幡「由比ヶ浜か。どうした、お前は準備しなくていいのか?」
結衣「あ、うん。あたし、楽器弾かないし。……あ、あのさ、ヒッキー……な、なんか懐かしいね、ここ」
八幡「お前、だから撮影中だって……。……まぁ、そうだな。結構久々に来たし」
結衣「……あれからさ、色々あったよね。」
八幡「……だな、色々あった」
結衣「……あたしはさ、ヒッキーのこと、あれからも……今も、ずっと、ちゃんと見てた。ヒッキーは、どう?」
八幡「まぁ、ここまできて見てない振りも出来なかったしな。……ちゃんと見てたよ、お前らのことを」
結衣「……ん」
雪乃「何を話しているの、あなたたち。リテイクなのだけれど」
結衣「あ、ゆきのん。……あたしたちのことをね、話してたの」
雪乃「そう、できれば後にして欲しかったけれど。それで、何か言ったの?」
八幡「あれからも、今も、ずっとちゃんとお前らのことを見てたって話をな」
雪乃「あら、そうだったの。てっきり目移りばかりしているものとばかり思っていたわ」
八幡「んんっ、まぁそんなこともなきにしもあらず……だったかもしれないが、……まぁ、そういうことだよ」
雪乃「どういうことなのかしら……。とりあえず今はいいわ。けれど、そのうち何か言って欲しいものね」
結衣「そうだよ、ヒッキー!」
八幡「……善処する」
雪乃「それはだいたい後で何もしない人の台詞なのだけれどもね。……まぁいいわ。撮影に戻りましょう」
八幡「ん、悪い……。ありがとな」
あの時はうまく答える答えを持ち合わせておらず──そして、今も持ち合わせてなどいないかもしれないが。
それでも。
結衣「ほら、ヒッキー早く!」
雪乃「誰のせいでリテイクになったと思っているのかしら……」
八幡「……今行く」
それでも、俺は。
祭りの後の祭りが終わり、すべては後の祭り。
花火だろうがロケットだろうが、打ち上げてしまったもののほとんどは戻らない。
けれど、花火が人々の思い出になるように、あるいはロケットが星になるように、何かを残すことはあるのだろう。
しかし、このドラマは、観てくれた人に何を残すのだろう。
八幡「……さみっ」
時期は九月。まだまだ夏の暑さが残っているかと思いきや、夜遅くになると思った以上に吹く風が冷たくなっていた。
もうじき完全に秋に移り、そしてそれから間もなく冬を迎えることになるだろう。
……冬、か。
八幡「…………」
ふと、上を見上げると、そこには雲一つない満天の星空──なんて都合のいいことは当然なく、普通に雲もある普通の夜空が広がっているだけだった。しかし、雲の合間からはきらりと小さく瞬いている星が顔を覗かせていた。
そんな普通の夜空を眺めながら、俺は何を残せたのだろうと想いを馳せた。
彼女たちに。
……それは、多分今後の俺次第なんだろうな、と思う。
結衣「あ、ヒッキー、おーい」
雪乃「待たせてしまって申し訳ないわね」
八幡「いや、別に」
けれども。
彼女たちに自分の存在が、何かしらの形で残ればいいなと。
そんなことを思った。
あっ、秦野もいたのか…っておい
とりあえず言い訳から。卒研忙しくて月のほとんどを研究室で寝泊りとかしてたらSS書く暇がありませんでした。てへぺろ。
それも含む諸々の事情から、当SSはこれで完結とさせていただきます。
11巻までやるとか言っておいて結局出来なかったことについては本当に申し訳なく思っていますが、ご理解いただけると助かります。
感謝のやっはろー、RPGはちゃんと完結させる予定ですが、まだまだ時間は掛かりそうです。もうしばらくお待ちください。
それではここまで読んでくださった方々、ありがとうございます。また別作品でお会いしましょう。
P.S.
円盤5巻特典の俺ガイルhの内容がタイムリーでとても面白かったです。
とりあえず乙
乙乙
荒らしに耐えてよく頑張った!感動した!
気が向いたらでいいから7巻以降もやって欲しい
てへぺろとか気持ち悪いな
乙です!
頑張って!!
散々人のスレ荒らし回っておいてしれーっと自分のスレ更新してくスタイル嫌いじゃない
アンチ乙
>>336
お前マジ消えろ
乙
キチガイがうっとおしいけど、おれはアンタを応援してる
自分のペースでいいから頑張って
俺もRPGが他スレ荒らして炎上しまくるの傍観するの大好き
すっげーすかっとする。応援してるからこれからも頑張って荒らしまくって欲しい
おつ
楽しみが終わってしまった…
またいつでも続き書いてくれ
マジかぁ…個人的にはこのスレが一番楽しみだったんだが、まあ乙です
SS以外の方向性すき。もっと頑張ってほしい
>>343
もっと荒らせってことか?しねよ
>>344
がんばれー
保守
このSSまとめへのコメント
これ好き
おもしろい。絆創膏。
いいぞもっとやれ
続きはよ
面白いやん!!!続きめっちゃ気になる!!!!!
この作者矢っ覇露ーやらRPG色々書いててクオリティ落ちず面白いとか化け物かと
いろはすはよ。わら
笑った。
今回の更新くっそ笑った
ヒッキーのメール誤爆シリーズがヤバい
突然のエドわろたww
オチとか話の流れがバカテスの雰囲気に似てて好きだや
ホントおもしれーなあ
続きはよ。。
玉縄に毎回笑わせられるwwwこの作者最高だわ~
これはやべー笑
息抜きと言わずどんどん書いちゃって〜!
玉縄で毎回ツボるwwwww
作者凄い才能あるわ
全く酷いssだ(いいぞもっとやれww)
面白いわー
続きもまったり書いてくれ
クソワロタ
あくしろよ
おもろい
この作者絶対バカテス好きだろ
面白いけどさ
更新キター!
玉縄の運用が神掛かりで困るwww
お疲れ様でした!
面白かったです♪