仁美「…今日もまた、打ち合わせですか」
恭介「…うん、すまないね」
仁美「いいですのよ、私、頑張ってる恭介さんが大好きですから」
恭介「うん、ありがとう」
仁美「…えぇ、行ってらっしゃい」
ガチャッ
仁美「…ふふ、行ってらっしゃい…ですか」
仁美「…」
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仁美(ずっと憧れを抱いていた恭介さんと結ばれてから早三年)
仁美(…やっとの思いでここまで来たのに)
仁美(…満たされないのはなぜでしょうね?)
仁美(…毎晩遅くまで帰ってこない彼と)
仁美(…毎日夕食を作っている私)
仁美(…一体どこですれ違ったんでしょうね)
仁美「あなたは何処へ行くんでしょう?恭介さん」
仁美「…」
仁美「…さて、今日も今日とて頑張りますわ」
仁美「折角恭介さんのために磨いた料理の腕ですのに」
仁美「気付けばそれも意味が無いです」
仁美「…はぁ、今日もご飯にお味噌汁かけましょうか…」
仁美「…お父様が見たら嘆きそうですね」
仁美「…ん、あれは?」
仁美「…暁美さん!」
「…!」
仁美「…暁美さん…ですわよね?」
仁美「ほ、ほら、見滝原中学の二年生…!」
ほむら「…あぁ、志筑仁美ね」
仁美「…なっ、い、いきなり呼び捨てですの?」
ほむら「…失礼、志筑さん」
ほむら「…何のよう?」
仁美「…べ、別に用なんてないですけれど…」
ほむら「そう、じゃあ」
仁美「ま、待って」
ほむら「…何?」
仁美「せっかく会ったんですもの、お茶でもいかがですか?」
ほむら「…私、あなたとそれほどの仲ではなかったと…」
仁美「なら、これから仲良くなれば宜しくて!」
ほむら「…はぁ」
ほむら「…それも、そうね」
仁美「…えぇ」ニコッ
ほむら「…ふぅ」
仁美「…んー、やはり落ち着きますわね、ここのお茶は」
ほむら「…そうね」
仁美「…あら?暁美さんはこの店を知っておいでで?」
ほむら「…」
ほむら「…まぁ、知り合いがね」
仁美「あらあら、それは」
仁美「是非その方ともお知り合いになりたいですわ」
ほむら「…の」
仁美「…え?」
ほむら「…もう、居ないの」
仁美「…」
ほむら「…」
仁美「それは、どういう…」
ほむら「…言葉通りに受け取ってくれればいいわ」
ほむら「…私にこの店を教えてくれた先輩は、もう、居ないの」
仁美「…そう、でしたか」
ほむら「…別に気にすることでもないわ」
ほむら「彼女だって覚悟していただろうし」
仁美「…」
仁美「…暁美さんは…」
ほむら「え?」
仁美「…とても、大人っぽいですのね」
ほむら「…もう私達は24よ、大人も大人よ」
仁美「…そう、ですわね」
ほむら「…ふふ」
仁美「…え?」
ほむら「…出会ったばっかりの頃はあなた程大人らしい人もいないと思っていたけれど」
ほむら「…案外、子供なのかしら?」
仁美「そんな、こと…」
仁美「…いえ、そうかもしれませんわね」
仁美「あの頃から、私は一つも進んでない」
ほむら「…」
仁美「結局大人ぶりたかっただけですのよ」
仁美「…私は」
ほむら「…私もよ」
仁美「…?」
ほむら「いくら世界を俯瞰で眺めたって心はあの時のまま」
ほむら「踏み出せないまま、体だけが成長してる」
ほむら「おんなじよ、あなたと」
仁美「…」
仁美「うふふ、俯瞰なんて難しい言葉私にはわかりませんわ」
ほむら「あらあら、良家のお嬢様なら知っておいでではなくて?」
仁美「似てませんわよ」
ほむら「あら、自信があったのに」
仁美「…ふふ」
ほむら「…ふふ」
「…あははははは!」
仁美「…それでは」
ほむら「ええ、久々に楽しいお茶だったわ」
仁美「えぇ、私もとっても楽しかったです」
ほむら「…じゃあ」
ほむら「…」
ほむら「さよなら」ニコッ
仁美「…ふふ」
ほむら「…?」
仁美「またね、ですわ」
ほむら「…!」
ほむら「またね、志筑さん」ニコッ
仁美「ええ、ほむらさん」ニコッ
仁美「…」ガチャッ
仁美「ふぅ、今日は久々に楽しかったです」
仁美「…暁美さん、笑うともっと美人ですのね」
仁美「笑顔ですか」
仁美「…もう、どれくらいあの人の前で」
仁美「心の底から笑ってないでしょう」
恭介「…」ガチャッ
恭介「…ただいま、仁美」
仁美「恭介さん、おかえりなさい」
恭介「…寝てても良かったのに」
仁美「いえ、そういうわけにも行かないですわ」
恭介「そうか…」
仁美「…お仕事、忙しいですの?」
恭介「…まぁね、発表の段取りがなかなか…」
仁美「…そうですの」
恭介「…主催者は僕を起用してくれるそうだけど」
仁美「それはそうですの、恭介さんの本業はバイオリンですから」
恭介「…うん」
恭介「…今回、僕は出たくないんだ」
仁美「…えっ?」
恭介「…」
仁美「どうしてですの…?」
恭介「…本当の事をいうとさ」
恭介「…僕は、もう、自信が無い」
恭介「…あの時から、僕のバイオリンはずっと止まってるから」
仁美「…っ!」
仁美「…っそんなこと、ないですの!」
恭介「…いいや、そうだよ」
恭介「誰よりも、僕が一番わかってる」
恭介「もう、僕の音楽は、誰の心も動かせない」
恭介「分かってるんだ、もう」
恭介「…だから…」
仁美「…やめてっ!」
仁美「聞きたくないですの!」
恭介「…あの時から僕は、おかしくなったんだ」
恭介「…「さやか」が死んだ時から」
仁美「…やめてぇっ!!!」
ーーーーーーー
ーーー
本当の気持ちに向き合えますか?
(私は、あの人にこう問うた)
(本当の気持ち、それはあなたが彼へ向けている気持ち)
(自身への問でもあった)
(本当の気持ちに向き合えますか?)
(…彼女との絆に亀裂が入ってでも)
(それでも、譲れない気持ちが私にはありますか?)
(自分への、覚悟の確認だった)
「美樹さん、最近どうしたんだろうね」
(私が聞いた後から、彼女の様子は少しずつおかしくなった)
(…親友であった彼女なのに)
(小さい頃から知り合っている筈なのに)
(…私は少しだけ、心の中で喜んだ)
(…少しだけ、有利になったと思って、喜んだ)
(…それが原因かはわからない)
(…だけど、全く無関係というものでもないでしょう)
「…ねぇ、美樹さん、行方不明だって…!」
(心臓が止まるかと思いました)
(…だってそれは)
(私のズルくて、汚くて、最低の)
(その願いは、最悪の形で叶ったのですから)
(親友、美樹さやかさんの失踪)
(…それは、奇しくも、私が彼に思いを伝えた数日後だった)
ーーーーーーー
ーーー
仁美「いや、ですわ」
仁美「聞きたくない…!」
恭介「…ごめん」
(違う)
(私が聞きたくないのは)
(最低の自分を思い出すだけでなく)
(まだ、彼の心のどこかにいる彼女が)
(いずれフラッと現れて、私の大切なものを奪い去っていきそうだから…!)
(…親友の死に対してあくまでも利己的)
恭介「…ごめん、もう寝るよ」ガチャッ
仁美「…ふ、ふふ」
仁美「…本当、最低ですわ」
(悪魔、いや、魔女みたい)
仁美「…ん」
仁美「…寝てしまったのですね」
仁美「…ふふ、目が腫れてますの」
ピラッ
『昨日はごめんね、今日は先に出るよ』
仁美「…」
仁美「…はぁ、久々に話せたというのに」
仁美「…どうしてこうも、上手くいかないんでしょうか」
仁美「…そうね、それも全て、私のせい」
ピンポーン
仁美「…?」
仁美「宅急便…?」
ほむら「…」
仁美「…あら?」
仁美「あ、暁美さん?」ガチャッ
ほむら「…おはよう」
仁美「お、おはようですの」
ほむら「寝癖、凄いわよ」
仁美「あ、ああっ、な、直してきますの!」
仁美「どうして私の家の場所が?」
ほむら「…さぁ、どうかしらね」
仁美「どうかしらねって…」
ほむら「嫌だった…?」
仁美「…いいえ、とっても嬉しいですの」ニコッ
ほむら「ふふ」
ほむら「珍しい茶葉を見つけたの」
ほむら「飲んでもらおうと思って」
仁美「…まぁ…!」
仁美「これは…」
ほむら「…大切な人に、教わったのよ」
仁美「…あ…」
ほむら「ふふ、そんな顔しなくてもいいわ」
ほむら「もう、昔のことだから」
仁美「…」
仁美「…きっと、素敵な人だったのでしょうね」
ほむら「…そうね」
ほむら「…誰より強くて、でも誰より脆くて」
ほむら「…素晴らしい人だった」
仁美「…そうですの」
ほむら「…でもね」
ほむら「…私は悲しくないわ」
仁美「え?」
ほむら「…彼女の、心は、魂は」
ほむら「…私の中に受け継がれているから」
ほむら「…いくつも見た死も、それが全て私になる」
仁美「…」
仁美「…言っていることはよく分かりませんが…」
仁美「羨ましいですわ」
ほむら「…」
仁美「…私は、大切な友人が死んだのに」
仁美「…そのことについて、未だに向き合えていない」
仁美「ふふ、滑稽ですわね」
ほむら「…美樹」
仁美「…!!」
ほむら「美樹、さやか、ね?」
仁美「…」
仁美「…あまり、聴きたくないですわ」
ほむら「…」
ほむら「…どうして?」
仁美「…どうしても、です」
ほむら「…」
仁美「…だって」
仁美「…彼女が居なくなったのは、きっと私のせいだから…!」
仁美「…私は、誰にも、言えない…ひどいことをしてしまった…!」
仁美「…私は…!私は…!!!」
ほむら「…聞くに耐えないわ」
仁美「…!」
仁美「そう、ですわよね」
仁美「…今更、こんな懺悔…」
ほむら「ついてきなさい」
仁美「…え?」
ほむら「あなたに見せてあげる」
ほむら「彼女が居なくなった理由と」
ほむら「彼女が残していったものを」
仁美「…」
ほむら「…さぁ、ついてきて」
「…らぁぁぁぁっ!!!」
「…ふぅ、こんなもんか」
「…にしてもほむらのやつ、おせーんだよなぁ」
「…いつもはこんなに遅れねーんだが」
ほむら「…ごめん、待たせたわね」
「おっせーぞー、もう倒しちまったから…」
「…ってなんだそいつ?」
「そいつも同業者か?」
仁美「…こちらの方は?」
ほむら「…」
ほむら「…佐倉杏子」
ほむら「さやかを語るには、彼女は必要不可欠だから」
仁美「…?」
杏子「…?なんだなんだ?」
杏子「へー、そうか、さやかの友達か」
仁美「え、えぇ」
仁美(なんだかとっても怖い人ですの…)
杏子「…へへ、あいつ友達いたんだな」
ほむら「あなたよりは多いと思うわよ」
杏子「るせぇ」
杏子「で、なんだ?」
杏子「何しにきたんだこいつは?」
仁美「…あ、あの…!」
仁美「…さやかさんの、最期について、ですの…」
杏子「…!」
杏子「あんまり、話したくねぇ話題だな」
仁美「…」
杏子「シラフじゃな」ニカッ
仁美「えっ?」
ほむら「はいはい」
ほむら「…ここなら安くていいかもしれないわね」
杏子「へへ、じゃあそこにすっか」
仁美「えっ?えっ?」
杏子「飲みに行くんだよ」
仁美「えええええ!」
杏子「…っぷはー!身体動かしたあとはうめーなー!」
ほむら「あまり飲みすぎないでね、もう介抱はごめんよ」
仁美「…」チビチビ
杏子「ん?どうした?飲めよ」
仁美「あっ、その…えっと…」
ほむら「杏子、それじゃ怖がるわ」
ほむら「自分のペースで飲みなさい、仁美さん」
仁美「…あっ、はい」
杏子「…んだぁ?そんな怖い顔してるかぁ…?」
杏子「んで、何が聞きたいんだ?」
仁美「…さやかさんの、最期について…」
杏子「…ふーん」
杏子「…ほむらぁ」
ほむら「さぁ、良いんじゃない」
ほむら「別に彼女も言いふらすわけではないでしょうし」
ほむら「…ただ、恥ずかしいけれどね」
杏子「…はは、だな」
仁美「…?」
杏子「…あたしらはよ、仁美」
仁美「は、はいっ!」
杏子「…魔法少女なんだ」
仁美「…」
仁美「…」
仁美「…え?」
恭介「…ただいま」
恭介「…あれ?仁美、帰ってきてないのかい?」
恭介「…」
恭介「…嫌気がさしたのかな」
恭介「…そうだね、僕だってゴメンだ」
恭介「…自暴自棄になって人に当たるやつ…」
恭介「…さやかが死んだ日から僕は進めてないよ」
恭介「さやか、君はどこにいるんだい?」
仁美「…そ、それじゃあ」
仁美「貴方達は、さやかさんは、魔獣というのを倒すために…?」
杏子「ま、そーいうこった」
仁美「…し、信じられませんわ…」
杏子「だろーな」
杏子「だけどさ、これが真実、現実なんだ」
杏子「信じてもらうしかねーよ」
仁美「…」
杏子「…さやかはさ」
杏子「…大好きなやつのために死んでったんだよ」
仁美「…!」
杏子「はは、なかなかいねーぜ?」
杏子「自分の事を顧みず人のために死ねる奴」
杏子「…ほんと馬鹿だよなぁ」
杏子「…残った奴らがどんな気持ちなのかも知らないで…」
仁美「…」
仁美「…杏子さん」
杏子「…ん?」
仁美「…私、謝らなくちゃいけないことが…」
恭介「…え?そっちにも帰ってないんですか?」
仁美父「…そうだね、こちらには居ないよ」
恭介「…分かりました、ありがとうございます」
ガチャッ
恭介「…仁美…!」
恭介「…ど、どこに行ったんだ…!仁美!」
ガシャァァァン!!
ほむら「杏子っ!」
杏子「…てめぇ、もう一度行ってみろ」
仁美「…私は、さやかさんに対して…あうっ…!」
杏子「…死んで都合がよかっただぁ…!?」
杏子「どの口が言いやがる!!」グイッ
ほむら「やめなさい!杏子!」
杏子「…あいつは、あいつは…!」
杏子「…ただ自分の好きな奴の為に…!」
杏子「…なんで、そんなこと言われなくちゃ…ならねぇんだよ…!」
仁美「…そう、ですわ」
仁美「…私は、あの時、最低な事を思った…」
仁美「親友であるさやかさんに対してとても失礼なことを…」
仁美「…だから…!」
杏子「…」
杏子「…バカが」パッ
仁美「…!」
杏子「…お前がさやかの好きな奴と結ばれてよーが関係ねぇ」
杏子「…ただ、そんな所にいながら、辛い顔してんじゃねぇ」
ほむら「…杏子…」
杏子「…あいつはな…あいつはな…!」
杏子「誰よりも明るくて、誰よりも正しくて…!」
杏子「…そんな、あいつが…!」
杏子「…なんで死ななくちゃ…ならねぇんだよ…!」
杏子「…ふざけんな…」
杏子「そんな辛そうな顔するなら、あたしが殺してやる」
杏子「…さやかの代わりに、あたしが…」
仁美「…」
杏子「…ちっ、馬鹿らしい」
杏子「…もう行け、酒がまずくなる」
仁美「…申し訳、ありませんでした」
杏子「…あたしにいうんじゃねぇよ…!」
ほむら「…すまなかったわね」
杏子「…何が」
ほむら「…辛いこと、思い出させて」
杏子「けっ、マミが死んだ時もこんな感じだったろ」
杏子「いまさらさ」
ほむら「…」
杏子「…あたしはよ、別にあいつと坊やが結ばれたことが気にくわねぇんじゃねぇ」
杏子「…あいつ、さやかの親友なんだろ?」
杏子「…さやかはよ、どんな形であれ、あいつのあんな顔、望んじゃいねーよ」
ほむら「…あなた、大人になったわね」
杏子「はっ、そんなんじゃねーさ」
杏子「…ならざるを得なかっただけさ、あたしもあんたも、マミもな」
ほむら「…そうね」
仁美「…ただいま、ですの」
恭介「…仁美っ!?」
仁美「き、恭介さん?」
恭介「…どこにいってたんだい!心配したんだよ!」
仁美「…あ…」
恭介「…居なくならないでくれよ…」ギュウッ
恭介「…もう、失うのは怖いんだ」
仁美「…」
仁美「…ねぇ、恭介さん」
恭介「…なんだい?」
仁美「…私は、さやかさんの、代わりですの?」
恭介「…」
恭介「…どういう意味だい?」
仁美「…ごめんなさい、怖いんですの…!」
仁美「…あなたが失うのが怖いように…!私も…!」ポロポロ
仁美「凄く、怖い…!」ポロポロ
恭介「そんなわけ無いだろ」
恭介「君がさやかなもんか、君は君だ」
恭介「…僕は君だから好きになったんだよ」ニコッ
仁美「…!」
仁美「…ありがとう、ございます…!」ポロポロ
杏子「こちら、魔獣の反応なーし、どうぞ」
ほむら「こちらもないわ」
ほむら「というか真横にいてやる事じゃないわ」
杏子「はぁ、今夜は随分暇な夜になりそうだ」
杏子「…いんや、そうでもねーか」
仁美「…」
恭介「…」
杏子「…よぅ、仁美、それと、坊やかな?」
仁美「ごめんなさい、杏子さん」
杏子「はぁ?うぜぇ、超うぜぇ」
杏子「あたしに謝るようなことしたのかよ?」
杏子「…なぁ、坊や」
恭介「…」
杏子「…知ってるか?あんたの腕のこと」
ほむら「き、杏子…」
杏子「良いんだよ、さやかはもう、居ねぇ」
杏子「…あんたの腕、誰が治したか知ってるか?」
杏子「魔法少女は、やむにやまれぬ事情を持つ奴だけにふさわしい」
杏子「人のために願うのは、馬鹿のやることだ」
杏子「これがあたしの信条でね」
杏子「なのにどうした、あいつはその馬鹿を最後まで貫いた」
杏子「すげぇと思わねぇか?」
恭介「…うん、そうだね」
恭介「…さやかは、凄いよ」
杏子「…」
恭介「そうか、やっぱり、さやかは…」
杏子「どーすんだよ、え?」
杏子「あんたはさやかの思いを無駄にするのか?」
恭介「…仁美」
仁美「…はい?」
恭介「…僕はね、君が君だから、君だからこそ、君が好きになったんだ」
杏子「…」
恭介「…さやかはもう、ただの幼馴染じゃない」
恭介「…彼女は、僕の一部だよ」ニコッ
仁美「…そうですか」
仁美「…私は怖かった」
仁美「…いつかあなたがどこかへ行ってしまうんじゃないかって…」
仁美「…でも、もう大丈夫」
仁美「あなたの一部として、あなたごと、さやかさんを」
仁美「…もっともっと、好きになる」ニコッ
杏子「…けっ、くだんねぇ」
杏子「…そうだよ、それでいいんだよ」
杏子「…人間なんだ、間違うこともあるさ」
杏子「…でもそいつを引きずって、辛そうな顔すんなよな」
杏子「…誰だって、そんな顔は見たくねぇ」
恭介「さやか、あの時言えなかった」
恭介「…進めなかった一歩だけど」
恭介「これから、進むから」
恭介「…みていてくれるかい?」
恭介「もう、迷わないよ」
恭介「これは君のために捧ぐ曲」
恭介「君を通して、今から」
恭介「僕が進む為の、曲だよ」ニコッ
杏子「へーえ、名前は?」
恭介「アヴェ・マリア」
「だって」
「ふふ、こっぱずかしいなぁ」
「それだけ、愛されてるってことだよ」
「そだね、ありがと、仁美、恭介、杏子」
「私はいつでも、居るよ」
「あんたたちのそばにね」
「ありがとう、そして」
恭介「さようなら」
「うん、さようなら」
(人間という生き物は、生きていればこそ、清くは居られない)
(長く深く生きれば生きるほど、その罪は増えていく)
(そこから進む人もいれば停滞する人だって、いる)
(何も得られない人だって、ございます)
(だけど、少なくとも)
(すごく月並みな言葉ですけれども)
(そんな中、掛け替えのないものを得られた私は)
(…きっと、世界で一番幸せです)
「へー、マミの味だ」
「ふふ、彼女、なかなか筋がいいわ」
(本当の気持ちに向き合えますか?)
(はい、私は今、とっても幸せです)
マミ「セリフがないなら死ぬしかないじゃない」
QB「僕も死のう」
お疲れさまでした
仁美が大好きです
みんな大好きです
設定としては反逆しなかった改変後
俺も死ぬさようなら
乙 年数経ったからできる話ってあるよな
また読みたいから死ぬな
乙
あとがきでも触れられないまどかちゃん…
「だって」って まどかのセリフじゃないの?
乙
そだな
よかったよ
>>56
まどかちゃんを二次でしか知らないから分からなかったんだろ
乙
優しいSSだった
表面上反省して良い話し風に書いてるが
さやかを忘れて幸せになりますってワカメの開き直りがイラッとくるな
忘れるどころか一緒にもっともっと好きになるって書いてある件について
亡くなった相手は泥棒猫しても反論できないから幾らでも都合のいい思い出に出来るからね
そりゃ前より好きになるわ
さやかちゃんは怒らず祝福するかもしれないけどね
乙
オチつけるのが芸風になってる人か。
俺は十分優しい話だと思うけど、やっぱり仁美が嫌われるのは仕方ないのかなぁ。
このSSまとめへのコメント
感動できるssをありがとう、なんか救われたよ‥‥・゚・(つД`)ノ