暁「とある司令官と電のケッコン」 (61)
初スレ立て
一部独自解釈設定有り
電「以上注意なのです!」
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暁「ふわぁ……眠い……。今日みたいに穏やかな日は、何だか久しぶりね」
暁「電達を連れて、間宮さんの所にパフェでも食べに行こうかな……」
<おっおー!
暁「ん……?なんだか曲がり角の向こう、騒がしいわね……何だろう」
島風「提督おっそ~い!早く早くぅ!」
司令官「こら島風!廊下は走るな、危ないだろう!」
島風「大丈夫大丈夫!おっおお~♪……お゛ぅっ!?」
暁「ふぇ?」
ドンガラガッシャーン
司令官「ちょ、何だ今の音!……あちゃー」
司令官(尻餅をつく暁と島風、そして周囲にぶちまけられた大量の改修資材)
暁「いったぁい……もう、なんなのよぉ」
島風「うぅ、いてて……はっ!暁ちゃん!?」
司令官(ああ、これは派手にぶつかったんだろうなぁ)
島風「ご、ごめんね。怪我はない?」
暁「だ、大丈夫よ、これくらい……へっちゃらだし……」
島風「そっか……良かった……」ホッ
司令官「暁、立てるか?ほら……」
暁「あ、ありがと……よいしょ」
司令官「大事が無くて良かったけど……島風、次からは廊下を走らないこと。良いね?」
島風「はい……ごめんなさい」
司令官「よしよし」ナデナデ
島風「んっ……」
司令官「暁も、災難だったな。涙目になっているけど、本当に大丈夫か?」ナデナデ
暁「大丈夫だってば、ちょっとおしりを打っちゃっただけで……」
暁「って!なでなでしないのー!!」!カスンプ
司令官「はは、大丈夫そうだな、良かった良かった。……さて、このネジを拾わないと」ヨッコラセ
暁「あっ!暁も手伝うわ。でも、こんなにたくさんのネジ、どうするの?」
司令官「ちょっとね。とある装備を改修しようと思ってさ、島風と一諸に明石の所へ行くとこだったんだよ」
暁「ふーん。……ねぇ、その装備って――」
島風「てーとく!集め終わったよ!」
司令官「おおう、さすが早いな。じゃあ暁、そういうことで明石の工廠に行ってくるよ」
暁「あ、うん」
島風「提督遅いよー!」
司令官「こらこら、早歩きなら良いってもんじゃないんだぞー」
暁「……。行っちゃった」
暁「いつも、改修資材が足りないって泣いてるのに。あんなに何に使うのかしら」
電「あれ、暁ちゃん?」
暁「あ、電。丁度よかった。ねぇ、これから一諸にパフェを食べに行かない?」
電「間宮さんですか?食べたいのです!」
暁「よーし、じゃあ行くわよー!」
電「なのです!」
甘味所 間宮
暁「でね、それで走ってきた島風とぶつかっちゃって」
電「はわわわ!暁ちゃん、怪我はなかったのですか?」
暁「ちょっと痛かったけど……ほら、暁はもう練度93だから。全然へっちゃらなのよ」
電「れ、練度は関係ないような……電ももう98だけど、痛い時は痛いのです」
暁「98……そっかぁ。しかももうすぐよね、99。何だか最近司令官も張り切ってるし。」
電「思えば、練度90を超えてるのは電と暁ちゃんだけなのです。駆逐艦なのに、戦艦や空母の艦娘さん達より練度が高いのは、何だかちょっとこそばゆいのです」
暁「何でなのかしらね。一人前のレディとしては、練度は高い方が良いけど!」
間宮「ふふ。それはきっと、二人が司令官にとって思い入れの強い艦娘だからでしょうね」
電暁「間宮さん!」
間宮「はい、パフェおまちどおさま。……電ちゃんはこの鎮守府の初期鑑で、ずっと旗艦を努めている。暁ちゃんも電ちゃんの直ぐ後に着任して、一緒に戦ってきた」
間宮「今の鎮守府があるのは、元を辿れば二人のお陰だもの。提督さんも、二人を特別に思っているのよ」
電「はぅ……な、何だか照れくさいのです」
暁「あ、暁は分かっていたわよ!司令官が暁を頼っていたことくらい!司令官が……暁を……えへへ」ニコニコ
電間宮(可愛い)
間宮「とにかく。この鎮守府最高練度の四人、第六駆逐隊の中でも特に練度の高い二人なんですもの。これからも、この鎮守府のみんなと、提督さんを宜しく頼むわね?」
電「なのです!」
暁「当然よ!」
暁「はむっ……ん~~~っ!おいしいっ!やっぱり間宮さんのパフェはピカ一ね!」
電「ほわぁ……えへへ、甘くてとっても幸せなのです」ホワワワ
暁(目の前に天使がいる)
暁「けど……珍しく今日は人がいないわね。みんなどこにいるのかしら」
電「んー、響ちゃんも雷ちゃんも、見かけなかったのです……」
青葉「号外号外~!青葉新聞、大ニュースですよぅ!!」
青葉「ってあれ、人少ないですねぇ。ま、それもそっか」
暁「青葉さん?」
青葉「おお、暁ちゃんに電ちゃんじゃないですか!2人は、執務室へ行かないの?皆さん集まってますよ!」
暁「えっ、執務室に?今日って何かあったかしら。電は知ってる?」
電「さぁ……今朝は特に何もなかったような……」
青葉「なんと!まだ知らないんだね!ではこの青葉新聞をどうぞ!」
暁「また司令官の冤罪記事を載せてるんじゃないでしょうね……」
青葉「いやいや~、今回ばかりは本物ですから!執務室に証拠だってありますし」
暁「ふ~ん。えっと、何々……『司令官、ついに結婚か!?机の上に指輪の小箱が!』……え?」
電「……ふぇ?」
電暁「ええええええぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
暁(司令官が、結婚……?)
電(そんな……そんな……)
執務室
榛名「大丈夫……はい、榛名は大丈夫、大丈夫です……はい……」ブツブツ
瑞鳳「あんなに格納庫まさぐっておきながら……そんな……」シクシク
多摩「ふしゃーっ!」
卯月「お、落ち着くぴょん!見えない相手に威嚇してどうするぴょ~ん!ぷっぷくぷぅ~!」
19「提督……イ、イクだって、本当は、本当は……ううっ……」
ガチャ
電「はわ、本当に人がいっぱい集まっているのです」
暁「ええと、例の物は……」
響「暁、電。2人も来たんだね」
暁「響も雷も、執務室にいたのね」
雷「ええ、そうなのよ。響が司令官を訪ねて執務室を訪れたらとんでもない物を見つけたって言って……」
響「こんなに騒ぎ立てるつもりはなかったんだけれど……青葉さんが通りかかったのは誤算だったよ」
暁「なるほど、それで一気に情報が鎮守府内に広がったのね……。」
暁「で、そのとんでもないものっていうのは、やっぱり……?」
雷「机の上に置いてあるわよ。……指輪の入った小箱がね」
初春「こういう物をしまわず放置しておく殿方は、でりかしーという物が欠けておるわ……」ハァ
電「しかも開けっ放しなのです……」
那珂「あ、ごめん!それ開けたの私!」
暁「ええっ!勝手に開けたの!?」
那珂「だってぇ、本当に指輪が入ってるだなんて、那珂ちゃんこれっぽっちも思わなかったんだもん!」
雷「まぁでも、こんな風に置いてあったら本当に指輪の小箱だとは思わないかも知れないわね」
那珂「でしょー?」
金剛「結婚……テートクが、結婚……」ズーン
一同「……」
暁「……、でも司令官、さっき明石さんの工廠に行く時は全然そんなそぶり見せなかったけど……」
金剛「明石の、工廠……?」ピクピク
金剛「提督はそこにいるのデースね?テートクウウゥゥゥゥ!!」ダッ
雷「な、何だか凄い勢いで行っちゃったけど」
響「……私達も行こう。あの状態の金剛さんが何をするか分からない」
暁「そ、そうね!行くわよみんな!」
電「はわわ!ま、待って~!」
明石の工廠
明石「どういうことですか、それ!私は何も聞いていませんよ!?」
島風「提督、結婚しちゃうの……?ど、どうして何も言ってくれないの?ねぇ!」
司令官「い、いやその、これはだな……」
金剛「ヘーイ提督ゥ!一切合切洗いざらい、話してもらうネー!」ブンブン
司令官「こ、金剛!頼むから身体を揺らさないでくれええぇ」オエェ
響「遅かったか……」
雷「金剛さん、『提督!勝手な結婚は許さないネー!』って叫びながら来たものだから、青葉さんの新聞と相乗効果で更に多くの人が知っちゃったわね……」
司令官「た、たのっ!助け……っ!」
暁「こ、このままじゃ司令官がシェイクになっちゃう!」
響「取り敢えず、金剛さんを離すよ」
電「なのです!」
司令官「っはー、はー……助かった……」
金剛「提督!」机バァン
司令官「ひぇっ!?」
金剛「相手は誰なのデース?舞鶴のぽちゃ子さん?ラバウルのロリ美ちゃん?……ま、まさか一般市民の方とか……」
司令官「え、えっとだな。みんな、何を勘違いしてるか分からないけど、僕は結婚なんてしないぞ?」
金剛「じゃあ――」
暁「じゃああの指輪はなんなのよ、司令官!」
司令官「指輪……?」
金剛「ツッキー?」
暁(あ……。何故だろう、自然に口が開いちゃった……。しかも、食いかかるように……)
司令官「……あっ!もしかして、机の上に指輪を置きっぱなしに……」
金剛「イエース!あんなもの見せられたら、気になって仕方がないネ」
司令官「ふぅ……。まぁ、ちゃんとした説明は必要か。電、鎮守府内の全艦娘に招集を掛けてくれ」
電「は、はいなのです!」
大広間
一同「ケッコンカッコカリ!?」
司令官「そうだ。今説明した通り、この指輪は練度99という上限を更に上げるための物。艦娘と強い絆を結び、次のステップへと続く物だ。結婚ではなくケッコン……しかもカッコカリだからな」
金剛「oh、取り敢えず提督が結婚する訳じゃなくて、一安心デース」
司令官「結婚なぁ……まぁ少なくとも他所の鎮守府や一般人との縁談は、今は全然考えられないからな……」
瑞鳳「あのー、提督?ひとついいかな」
司令官「お?どうした、瑞鳳」
瑞鳳「さっきの提督の説明をまとめるとさ……まるで、艦娘と結婚し、強い絆……愛し合うことで、私達が更に張り切って強くなれて、次のステップ……その、共に鎮守府での結婚生活を送っていく、とも聞こえるんだけれど……」
一同「」ガタガタッ
司令官「は、いや、ちょっと待て!今は指輪は一つしかないけれど、大本営に言えばいくつでも支給してもらえるし別に一人だけと決まった物でもないんだ!た、確かに読みはケッコンと付いているが、結婚ではないんだよ!」
霧島「お言葉ですが司令。他鎮守府によってはケッコンカッコカリした艦娘と挙式を上げ、挙げ句の果てにはその、子をなしている例も聞いております。それに、一夫多妻が禁じられているのはあくまで人と人……人と艦娘が一夫多妻の関係になってはならないという法律はありませんし、そもそも人と艦娘が夫婦になってはならない、といった法律もありません」
司令官「霧島、お前どこからそんな情報……というかケッコンカッコカリについて知ってたのかよ、なんか論点も変わってきてるし……」
霧島「いえ、あくまで私はケッコンがそのまま結婚に繋る例もある、と言っているだけで……」
金剛「じゃあ提督は、私達艦娘と『結婚』する可能性もあるって事デースか?」
一同「」ジッ
司令官(うわなんか視線が凄い怖い)
司令官「いや、まぁ……あるかも知れないなんて言い出したらきりがないからな」
金剛「……それもそうデースね。指輪の理由が分かった以上、これ以上問い詰める意味もナッシングネ」
比叡(あれ、お姉様何だかずいぶんあっさりしてるなぁ)
初春「ふむ……まぁ、なればここらで解散した方が良さそうじゃの」
多摩「にゃー。」
ナンカカタノチカラヌケタワー、アンシンシタラオナカスキマシタ、コノアトドウスル?ナニスル?
司令官「ふぅ、やれやれ……」
暁(みんな素直に解散して行ってるけれど……、司令官自身が指輪の意味をどう考えているのか)
暁(あの指輪を誰に渡すのか、気にならないのかしら……)
暁(少なくとも、私は――。そんなこと聞くなんて、レディとしてははばかられるけれど……)
雪風「しれぇ!しれぇはみんなに指輪を配るんですか?」
暁「!」
司令官「え?いや、うーん……どうだろうな。まだ分からないや」
司令官「仮にもケッコンって付いてるしね、どうしても意識はしちゃう物だからさ」
一同「」エッ
雪風「じゃあじゃあ!しれぇはその『最初の指輪』を渡す相手は決まってるんですか?」
司令官「ああ」
暁「えっ……」
一同「」ザワザワッ
一同「ええええええええぇぇぇぇぇ!!!?」
司令官「わ、わっ!お前ら一気に駆け寄るな怖い!」
暁(決まってる、の?誰に指輪を渡すのか……)
<ヤメローツブレルー
暁(それは誰、なの?司令官……)
暁 ギュッ……
電「……」
暁(その後、皆の興奮を収めるため司令官は、指輪を渡す相手をしっかり公表することを宣言した)
暁(ただし、その相手が練度99に到達して、先に個人的に話をしてからだという事だ)
暁(それから鎮守府内ではケッコンの話で持ちきりで、夜になっても中々皆の熱は冷めなかった)
暁(私達第六駆逐隊の部屋でも、それは同じで――)
響「しかし、本当に今日は驚きの連続だったね」
雷「本当よね。司令官ったら、もう少し早く言ってくれれば良かったのに」
電「中々、切り出すのも難しい話だとは思うのです……」
雷「それにしても誰なのかしら、司令官のお相手!もしかして私だったり……」
雷「きゃーっ!これ以上司令官に頼られたら、私どうしようかしら!」
暁「もう、雷ったら。大人のレディは、これくらいで騒いじゃ駄目なのよ!」ソワソワ
響雷電(一番そわそわしてる/のです)
雷「でも、だってほら!私達って練度だけならこの鎮守府の誰にも負けないじゃない?」
雷「雷と響だって、80も後半だし、暁と電に至ってはもうすぐ99よ?」
響「でも、実際問題私達駆逐艦がケッコン相手に選ばれるのかな。司令官の話だと、ケッコンしたら燃費も安くなるみたいだし、それこそ戦艦や空母の方が確率は高いかもしれないよ」
響「容姿的にも……」
響(……容姿的には私達に部があるのか……あの司令官だし……)ムナモトサワサワ
電「司令官さんは、きっと……性能では相手を決めないと思うのです」
電「司令官さんは、そういう人だから……」
響(……ああ)
響(愛とか恋とか……私には良く分からないけれど、それでも)
響(それでも、司令官のことを話す電の表情が普段と違うことは分かる)
響(そして……)
雷「もしかするともしかすると!この四人全員同時に指輪を渡してくれるのかも!」
暁「ま、まぁ司令官がどうしてもケッコンしたいって言うのなら、あ、ああ暁は構わないけれどね!」
響(いつも通りに見えて……暁の表情に陰りがあることも……)
響「私は、どうかな……あまりそう言ったことは考えられないや」
雷「なーに言ってるのよ響。あなただって、司令官と話をしてるときはいつも顔がほころんでいるじゃない!」
響「私が……?」
響(……そうか。私も、恋をしているのかもしれないな。けれど……)ギュッ
響(ああ、なるほど、そっか。そういうことだったんだ。暁、君は……)
響「ふふっ」
電「響ちゃん?」
響「司令官のことだから、本当に私たち全員が指輪をもらえるかも知れないね」
雷「ねーっ」
響(それが同時だったら……こんな思いも。そうだろう?姉さん……)
暁「……」ギュッ
軽空母寮広間
瑞鳳「っふぅ……」
隼鷹「おお?なんだ、今日はいつもよりペースが良いなぁ」グビグビ
瑞鳳「飲まないと、やっていられないからね」
隼鷹「なんだいなんだい、弱気になるのは早いんじゃないのぉ?軽空母どころか一航戦二航戦の先輩達を差し置いて、空母唯一練度80に達してる瑞鳳様じゃねぇか!」
瑞鳳「私より練度の高い子が、他に五人もいるじゃないの」
隼鷹「ってもほとんどがお子様だろ?……まぁ瑞鳳も見た目はお子さm」
瑞鳳「」ジロッ
隼鷹「おう、悪かったって」
瑞鳳「いいですよーだ。どうせわたしの胸部装甲はぺったんこですぅー」グビーッ
隼鷹「おいおい、いくら飲めるったってちゃんぽんでそれやると朝辛いぜ?あたしが言えた立場じゃないけどさ」
瑞鳳「……この鎮守府で」
隼鷹「ん?」
瑞鳳「ずっと、最初の頃からこの鎮守府で、あの子達と一諸に戦ってきた。だからこそ、分かるのよ」
隼鷹「……」
瑞鳳「提督が、あの子に視線を向ける時間は……私たちの誰よりもずっと、ずっと長いの」
瑞鳳「叶わないって知りながら……恋、しちゃってるんだなぁ……私」
隼鷹「……あたしから言わせて貰えばさ。あんたは、幸せだよ」
隼鷹「きっとあんたは、あたし達と違って提督から指輪をもらえる艦娘だ。……一番最初じゃなくてもな」
瑞鳳「……」
隼鷹「飲もうぜ?付き合ってくれよ。あたしも付き合うからさ」
瑞鳳「……うんっ」
<クハー、ヤッパコノタマゴヤキウメェワ
<マダマダオツマミ、ツクルカラネ
<ウルサイワネ、ネムレナインダケレド……
<ヒヨウ!オマエモノモウゼ
<エェ?イイケレド……
巡洋艦寮球磨型部屋
多摩「提督は……」
木曾「ん?」
多摩「提督は、ケッコンしたら……もう、多摩とは遊んでくれないのかニャ……」パチ
多摩「はぁ……」
北上「多摩姉ぇ、だいぶ参ってるねぇ……」パチ
大井「お気持ちは分かります、姉さん……好きな相手がケッコンしたら、遠くへ行ってしまうのではないかと、不安にもなりますよね……」
北上(大井っちはなんでこっちを見ながら言うんだろう……)
木曾「分からないな。提督が誰とケッコンするかなんて、まだ発表されてないだろう?多摩姉さんは悲観しすぎだと思うが」パチ
球磨「あ、それロンだクマ」
木曾「げっ、マジかよ」
北上「でもあれだよねー。多摩姉ぇはさ、一応うちら巡洋艦組の中でも古株だし練度だって高いわけで」パチ
木曾「そうそう、可能性は十分あるだろ」パチ
球磨「……」パチ
多摩「……多摩は、ただ提督と一諸にひなたぼっこをして」スッ
多摩「一諸に、お昼寝して」カチッ
多摩「ただのんびりと、ただ一諸に過ごす時間があれば……それで、いいのにゃ……」パチ
大井「……甘い、甘いわよ姉さん!」
大井「恋する女は、もっと積極的に!略奪するくらいの勢いで行かないと!」
球磨「あ、カンだ球磨。おっ」
大井「球磨姉さん……。姉さんからも言ってあげてよ!」
球磨「……、……多摩」
球磨「きっと提督は誰とケッコンしても、多摩との時間も大切にしてくれるはずだクマ」
球磨「だから、だから安心していいクマよ」
大井「姉さん!そうじゃなくて……」
球磨「大井」ジッ
大井「っ……?」
球磨「多摩は、もう、分かっているクマ。覚悟も決めている。だからこそ、ほんの少しのワガママを、望んでいるクマ」
球磨「だからもう。球磨達は、何も押しつけてはいけないんだクマ」
大井「えっ……それって……」
球磨「大丈夫、大丈夫。高嶺の花は中々手に入らない物だけれど……そこにあるのは、変わらないクマ」ナデナデ
多摩「……にゃぁ」
球磨「」チラッ
球磨(……こんな話をしているときにツモるなんて、神様も酷いクマね)スッ
球磨(この嶺上開花は、咲かせず捨てておくとするクマ)パチン
北上「あ、ロンだー」
球磨「……グマーッ!」
戦艦寮金剛型部屋
霧島「お姉様方……すみません、いい加減寝かせて下さい……」ウツラウツラ
金剛「イーエー霧島!今夜は朝までガールズトークに花を咲かせるのデース!」
金剛「そもそもなぜ霧島は、ケッコンカッコカリの事を知っていたのデースか!」
霧島「それは、艦隊の頭脳として、どんな、情報も……欠かさず、収集を……」Zzz
金剛「霧島?ヘーイ、霧島ーっ!」
比叡「あららら……仕方ない、このままじゃ風邪引いちゃいますし、ベッドまで運んできます」
金剛「むぅ、まぁ無理はノーですか……」
榛名「それにしても榛名、気になります!果たして提督が誰をパートナーに選ぶのか……」
榛名「そして!もしかしてもしかすると、その相手とケッコンからそのまま結婚へ移ってしまうのか!」
金剛「ンー……自然と結婚に移ってしまう、というのはあり得るかもしれまセーン」
榛名「金剛お姉様もそう思われますか!やはり……ああでもっ、惜しむらくは私たちの練度ですね……」←練度48
霧島「Zzz……」←練度18
比叡「ん?どうされました?」←練度54
金剛「ま、こればっかりはネー……」←練度7
榛名「提督は私達艦娘の中の、誰とケッコンなさるおつもりでしょう……」
榛名「この鎮守府には100人近くの艦娘がいますし、気になります……」
比叡「あはは、榛名はまだまだお子様だなぁ。そんなの、見てれば大体は絞り込めるわよ?」
榛名「え、本当ですか?比叡お姉様」
比叡「もっちろん。お姉様を愛し日々見詰める者として、恋の眼は鍛え上げてるつもりなんだから!」
比叡「ずばり!練度も高く初期の頃からずっといる、暁ちゃん、響ちゃん、雷ちゃん、電ちゃん。そして瑞鳳さん、多摩ちゃん辺りね」
榛名「なるほど、言われてみれば……」
比叡「さすがに、この中の誰が、かは分からないけれど……」
金剛「……っふふ……」
比叡「お姉様?」
金剛「比叡、あなたもまだまだデースね」
比叡「えっ?」
金剛(全く……どれだけアタックしても届かないというのは……むなしいものデスね……)
金剛「誰が、ではなく。どちらが、デスヨ」
暁(眠れない)
暁(響と雷は、ぐっすり眠っているわね……)
暁(電は……)
電「……、……」スッ
暁(電……?トイレかな)
暁(暁も、ちょっと水でも飲みにいこう……。丁度トイレの向こうに給水所があるし)スッ
暁(べ、別に一人でそこまで行くのが怖いわけじゃないんだから!)
暁「あれ……?」
暁「電、どこに行くんだろう……トイレとは逆方向だし……」
暁「ついて行こう」コソコソ
暁(あ、あの部屋に入った……って)
暁(ここ、執務室?こんな時間に、なんで……電は今日の時報担当じゃないし)
暁(少しだけ隙間が……。……覗いてみよう)
暁(中には司令官と、電……二人だけ)ジーッ
暁「」ハッ
暁(こっ、これは仕方ないのよ、うん。ほら、あれ、ふじゅんいせーこーゆー?だっけ?それの監視なの!)
暁(って、誰に言いわけしているのかしら……)
司令官「こんな時間にごめんな、電」
電「ううん、大丈夫なのです、司令官」
暁(……ん?)
暁(電が、司令官を呼び捨て……?)
電「でも、びっくりしたのです……朝に、その、告白されたと思ったら、見せて貰った指輪をそのまま置いておくなんて……」
暁(えっ?え……?)
司令官「ごめんごめん、本当僕はどこか抜けてるよな。まぁおかげで、ケッコンカッコカリをみんなに説明するいい機会にはなったけど」
電「もうっ。みんなを集めたとき、あの場でいきなり発表されるんじゃないかとすごくドキドキしたんですよ?」
電「司令官がみんなにはまだナイショに、って言ったから……今日一日、ずっとみんなに嘘をついていたみたいで、ちょっぴり苦しかったのです……」
司令官「本当にごめんな、電には迷惑をかけた」ナデナデ
暁(な、に……それ……。電は、司令官に告白されて……司令官は、電を、電を、)
司令官「……みんなにはああ言ったけどさ。明日、朝一番に招集をかけて、そこでもう発表しちゃおうと思うんだ。その方が、電の負担も少ないだろうし……」
司令官「そしたら、明日一日かけて。練度を99まで上げよう。そして、夜……もし無理でも明後日には。ケッコンしよう、電」
電「……、はい、司令官。えへへ……」
司令官「電……。……」
電「……んっ……」
暁(っ!!)ダッ
暁(苦しい……胸が、すごく苦しい……っ)
暁(司令官は、電に告白して……二人は、いつの間にかそういう関係になっていて……)
暁「っ、う……ぐ、うぅ、うえぇ……しれ、い……かん……」ボロボロ
暁(涙、止まらない……)
暁(ああ……ああ、暁は……暁は、こんなにも……)
暁(司令官のこと、好きだったんだ……)
朝 大広間
雷「何かしらね、司令官からの発表って。」
文月「おはよぉ~、響ちゃん雷ちゃん~。……あれれ?暁ちゃんは?」
響「おはよう、文月。暁ならもうすぐ来ると思うよ」
雷「もう、お姉ちゃんなのに寝坊するんだもの。暁も仕方ないわねー」
皐月「そういえば、昨晩廊下を走る姿を見たけど、ずいぶん遅くまで起きてたみたいだね」
雷「えっ、そうなんだ。というかそんなこと言う皐月も遅くまで起きていたのね?」
皐月「いや、ボクはその、あれだよ。お手洗い」タハハ
響「なるほど」
文月「あれ?電ちゃんもいないねぇ」
響「電は、少し用事があるとか言っていたけれど……」
皐月「あっ、司令官がきたよ!」
司令官「あー、んん。よし、マイクは入っているな」
暁「ま、間に合った……」
雷「暁!良かったわ、ぎりぎり間に合って」
暁「と、当然よ!レディーは、遅刻なんてしないんだから!」
司令官「みんな、おはよう。朝から集まって貰ってすまない。……なぜだか軽空母の面々が少ない気がするが……まぁ、良いだろう」
司令官「今日はみんなに、ケッコンカッコカリの事について発表があるんだ。……昨日は、相手が練度99に達したら伝えると言ったが……今日、今ここで。紹介しようと思う」
一同「」ザワザワザワッ
司令官「……来てくれ」
電「……」コクン
エッアレ! ザワザワ ハハーンヤッパリナ ザワザワ デンチャン!? デンチャンイウナ
電(うう……恥ずかしいよぉ……)
響「ほぉ……」
雷「い、電だったのね!きゃー!電ーっ!ねぇねぇ暁!電よ!電だって!」
暁「う、うん、そう……ね」ズキッ
響(……)
司令官「みんなも知っての通り、電は我が鎮守府の初期艦で、今日までずっと、僕と共に戦ってきてくれた。そんな彼女だからこそ、指輪をあげたいと思っている。今はまだ練度98と、足りないが……明日には、ケッコンするつもりだ」
一同「……」
司令官「だから、その……」
19「提督!なにしてるのね!」
司令官「えっ……?」
19「ほらほらみんなも!そうと決まったら、電の練度を上げるのに協力するのね!早速編成を組んで、キス島沖に出撃するの!」
司令官「イク……」
赤城「そうね……電さんは駆逐艦ながら常に旗艦として、先陣を切って我が鎮守府をここまで大きくしてくれた。一人はみんなのために、みんなは一人のために。提督と電さんのケッコンを、私達がサポートしましょう!」
オォーッ!
司令官「みんな……」
間宮「でしたら、今夜はケッコン前夜と言うことになりますね。これは、腕によりをかけて料理を作らなくては」
夕立「ただのお食事会じゃなくて、最高に素敵なパーティしましょ!みんなでお祝いするっぽい!」
オッシャーナンダカメガサメテキタゼェ! コノイソカゼモウデニヨリヲカケヨウ! ワタシモオテツダイシマスッヒエー! カザリツケナラマッカセテヨ!
電「司令官……なんだか、胸が温かくて……泣きそうなのです……」グスッ
司令官「僕もだよ、電。本当に、良い子達に恵まれたな」
電「なのです!」
暁(……、……)
暁(暁は……)
ヒトハチマルマル 鎮守府演習場
電「命中させちゃいます!」
ドオオォン……
司令官「これで、五戦目……っと。ふぅ、今日の演習も終了だな」
司令官「今日一日、出撃と演習のおかげでだいぶ経験が積めたな、電」
電「なのです!けれど、練度99には僅かに届きませんでした……」
司令官「ドックも埋まっているし、みんなも疲れてるだろう。今日はここまで、だね。明日朝一の演習を以て、練度を上げよう!」
電「はい!」
司令官「よし、じゃあ第一艦隊総員、装備を外し食堂へ!先程連絡があったが、もう準備は整っているようだ」
オォーッ
鎮守府 食堂
司令官「こ、これはまた……」
電「はわわわ!すごいのです!」
雷「あっ、司令官!お帰りなさい!ねぇ、どうどう?すごいでしょ!」
司令官「ものすごい量の料理だね……すごく豪華だ」
電「内装もキラキラしてて……ほわぁ、きれいなのです…‥」キラキラ
司令官「何だか申しわけないな、ここまでして貰って……」
隼鷹「なぁに気にすんなよぉ!二人にあやかって今日はたーっぷり飲めるんだからな!」
瑞鳳「今日も、でしょ?」クスクス
卯月「しれいかぁん、ささ!こっち座るぴょん!電ちゃんもぉ、隣に座るぴょ~ん!」
霧島「さぁさぁみんな、席について下さい!」
夕立「パーティを始める前に、司令官から一言あるっぽいよ!」
司令官「えぇ!?い、いきなり振られるのか」
島風「提督っ」クイクイ
司令官「ん……?あ、そうか。丁度良いか。よし」
司令官「えー、では。コホン」
司令官「皆さん、今日はお集まり頂き誠に、えーありがたく存じ上げます、このような場も設けて頂いて……」
鈴谷「提督ったら超難いじゃーん」クスクス
熊野「全く……言葉遣いもむちゃくちゃですわ」ハァ
司令官「何が言いたいかって言うと……!みんな、本当にありがとう!ここまでこれたのは本当に、みんなのおかげだ!そして……」
司令官「電。君のおかげで、僕達は今ここにある。ありがとう」
電「はわっ……う、うぅ……」プシュー
アハハハハ! カワイイー ヒューヒュー!
司令官「明日、電には指輪を渡すけど……実はもう一つプレゼントがあるんだ。指輪と一諸に渡そうかなとも思ったけれど、今日を記念に、渡そうと思う」
ナニカナナニカナ? シレイカンモヤルネェ
司令官「えっと……よいしょ。電、僕の気持ちだ、受け取ってくれ」
電「司令官、さん……」
大井「えっ……」
北上「いや、あれって……」
電(魚雷に、リボン……)
鈴谷「うわっ、あれはないわ……」ボソッ
熊野「提督……あそこまでアホでしたなんて」ズーン
ザワザワ チョットオクリモノトシテドウナノサ ヒソヒソ マァソウナルナ ザワザワ
司令官「ま、まてまて!この魚雷は包装みたいな物であって実際のプレゼントは魚雷を発射する――」
電「司令官さん」
司令官「お、おう?」
電「――ありがとう」ニコッ
司令官「」ドキーン
暁(天使ね)
響(天使だ)
雷(天使がいるわ)
多摩(好きな人から貰う物は何だって嬉しい物にゃ)
那珂「よーし!それじゃあ司令官の言葉も終わったところで!パーティを始めましょーう!那珂ちゃんオープニングソング、歌っちゃうよ-!」キャピッ
ウオォーナカチャーン!
暁(その後、ケッコン前夜祭は大盛り上がり)
暁(みんながみんなどんちゃん騒ぎして、飲んで食べて)
暁(歌ったり踊ったり、芸を始める人がいたり)
暁(ずっとずっと、みんな笑っていた)
暁(その中で、暁は、ずっと)
暁(ずっと……胸が苦しいままだった……)
見てる人居るかわからんが一旦区切って飯食ってきま
速度でわかると思うけど書き溜めとります
見てるよてらら
冬と違って暖かいから裸で俟ってるよ
おお……人がいて感激
艦隊が帰投ぉ~、再開します
マルヒトマルマル 食堂
間宮「ごめんなさいね、片付けを手伝って貰って……しかも、主役の電ちゃん達にも」
電「そんな、これだけの量を一人で片付けるのは、大変なのです」
暁「そうそう。雷じゃないけれど、もっと暁達に頼っても良いんだからね?」
司令官「みんなかなり飲んでいたからなぁ……まぁ、思ったより早く片付いたとは思うけれど。間宮さんも、本当にありがとうね」
間宮「いえいえ」
司令官「さて、シャワーだけ浴びて寝るかなぁ」
電「電も、お風呂に入ったら寝ようと思います。暁ちゃん、一諸に入ろう?」
暁「そうね……。じゃあ、そういうわけで司令官。ごきげんようです」
司令官「はい、ごきげんよう」
暁「料理、おいしかったね、電」
電「なのです!」
暁「楽しかったね、パーティ」
電「とても、とても素敵な時間だったのです。暁ちゃんも、ありがとう、なのです!」
暁(電……)
暁(いつも困ったような表情を浮かべていて、とても優しくて。可愛い、可愛い暁の、妹……)
暁(でもいまは、そんなあなたが……その、笑顔が……)
電「暁ちゃん?」
暁「えっ?」
電「どうしたのですか?何だか、元気がないような……。大丈夫、ですか……?」
暁「っ……」
暁(どこまでも、健気で……純粋で……)ギリッ
暁「電……司令官のこと、好き?」
電「えっ……えっと……はい……」
暁(少し照れたような、はにかみ)
暁(きっと、立場が逆だったなら……暁も、あんな顔を浮かべていたに違いない)
暁(けれど……立場が逆だったなら、電は……)
暁(こんな感情なんて抱くことなく、笑顔で、喜んでくれただろう)
暁(いやだよ……こんな、自分……いや、だよぉ……)
暁「電……」
暁(……でも。止められないんだ)
暁「装備を持って演習場に、来て」
暁(だから――)
マルヒトサンマル 鎮守府演習場
電「暁ちゃん、今から何を……」
暁「仮にも、暁は練度93。今暁を倒せば、きっと……電の練度は99に上がると思うわ」
電「えっ……」
暁「暁が、電の演習に付き合って上げるって言ってるのよ。明日……すぐにでも司令官とケッコン出来るように、ね」
電「暁ちゃん……!」パアァ
暁「でもね、電」
暁「暁は、あなたを沈めるつもりで行くから」
暁「本気で、かかってきなさい」
電「!?」ゾクッ
暁「……なんてね、やるからには真剣勝負ってことよ!負けないんだからね!」
電「あ……は、はいなのです!」
暁(嘘だ。暁は、電を沈める気でいっぱいだった)
暁(けれどそれは、きっと叶わない。暁に、電を沈めるなんて事、できるわけがないんだ)
暁(だからせめて、負けない。勝ったって誰が褒めてくれるわけでもない。何も問題が解決するわけでもない。ただ、ただ暁は、自分の自己満足のために)
暁(電に、勝つ……!)
暁「行くわよ……、電っ!」ドォン
電「っ……!」
暁(まずは昼戦、ライトアップされたこの中で、どれだけ戦えるか)
暁「電の装備は……」チラッ
電「なのですっ!」ドォン
暁(遠目でよくわからないけれど、主砲と魚雷……いつもの装備ならあとは電探、かしら)
暁「やぁっ!」ドォン
暁(電には癖がある……そこを突ければ、)
電「そこなのです!」ドッ
暁「きゃあっ!?」小破
暁(被弾した!ううん、まだ小破よ、問題ないわ!それよりも!)
電「魚雷装填です!」ガシャン
暁「!ここだぁっ!」
電「!?ふあぁっ!あ、ぅ……!」中破
暁「このまま雷撃戦で、たたみ掛けるわよっ!」ガシャンッ
電「っ!ああっ、あ……!」ドオォン
暁「直撃……」
電「っは、はー……はー……」
暁「ううん、かわされた……でも!」
ブゥ……ンッ
電(ライトが……!)
暁(ここからは、夜戦!)
暁「突撃するんだから!」
電「!」
暁(月明かりしかない中での肉薄戦は駆逐艦の十八番だわ)
暁(でも、それは相手も同じこと)
電「っ!」ガチャ
暁(だからっ!)ビカァッ!
電「っあ、目が……っ!」
暁(司令官がくれた、探照灯……。暁に似合うからって、暁だけにって装備させてくれた、暁だけの特別な――)
電「電は……、電はっ!負けないのです!」ガシャンッ
暁(魚雷!無駄よ電、探照灯で一瞬遅れたのあなたの魚雷は、暁には届かない!)
暁(勝つんだ、暁は!誰が褒めてくれなくても、誰も見ていてくれなくても!暁は、電に……!)ガチャッ
暁「勝っ――」
暁(――え?)
暁(どう、して……届くはずがないのに……暁の方が早かった、はずなのに……)
暁(どうして……足下に、魚雷――)
司令官『ちょっとね。とある装備を改修しようと思ってさ、島風と一諸に明石の所へ行くとこだったんだよ』
――あんなに、改修資材が足りないって泣いていたのに――
司令官『えっと……よいしょ。電、僕の気持ちだ、受け取ってくれ』
司令官『ま、まてまて!この魚雷は包装みたいな物であって実際のプレゼントは魚雷を発射する――』
――本当の、プレゼントは――
電「っ……!五連装酸素魚雷、なのですっ!!」
暁(――ああ、なんだ)
暁(最初から暁に……勝ち目なんて、無かったんだ――)ツゥ……
ドオオォ……ンッ……
……ん、ちゃんっ……
暁(う……?)
電「暁ちゃんっ!!」
暁「いな……づま……?」
電「ああっ、良かった!良かったのです!」ギューッ
暁「ここ……お風呂……?」
電「暁ちゃんどうして、どうして演習用のガードを付けていなかったのですか!?暁ちゃんが、暁ちゃんが目の前で沈んでいく姿が……っ!とっても、ごわがったのです!!」ポロポロ
暁(……そっか……暁は、そこまで自棄になっていたんだ……)
電「でもっ、よかった……よかっだのでず、あかつきぢゃあん!」ギュゥ
暁「電……。ごめん、ごめんね……」
電「っ……」フルフル
暁「電……練度、上がった……?」
電「はい……」
暁「良かった……。えへへ、これで、明日は司令官と晴れてケッコンね」
電「暁ちゃん……」
暁「ほら、もう……いつまでそんな顔してるのよ。暁はもう、大丈夫だから……ね?」
電「はい、なのです……」クシクシ
暁「ねぇ電……このことは、他に誰か知ってるの?」
電「ううん……演習場から慌てて連れてきたから、誰も知らないのです」
暁「そっか……じゃあ、今夜のことは二人だけの秘密、ね?ほら、ガードを忘れるなんて失態、レディとして恥ずかしいじゃない。ね?」
電「でも……」
暁「ほらほら、暁はもう大丈夫なんだから!」ザバァ
暁「身体を拭いて、髪を乾かしたら部屋に戻るわ。電のことだから、暁に付きっきりで、お風呂も入ってないでしょ?だから、もう気にしないでゆっくりお風呂につかって?」
電「……、……」コクン
暁「良い子良い子、それでこそ暁の妹なんだから!」ナデナデ
電「暁ちゃん……」
暁「……」ナデナデ
電「ふぁ……えへへ……」
暁(マルサンマルマル、かぁ。明日も寝過ごしちゃうかも……)テクテク
暁(結局、電には勝てなかったな……戦闘も、恋も……)
暁(それでも、それでもさっきよりかは、心が晴れている気がする)
暁「あ……」
暁(執務室……さすがに、電気はついていないわね)
暁(……)
ギイィ
暁「お邪魔、します」ポツリ
暁(司令官……寝てる、よね?うん……)
暁(……何しにここへ、来たんだろう。何となく入っちゃったけど、ここにいてもやることないし)
暁(辛いだけ、よね……。……戻ろう)
司令官「暁、か?」
暁「!」ビクッ
暁「あ、司令官……起こしちゃった……?」
司令官「んー……いや、構わないぞ。トイレかい?」フアァ
暁「ちっ、違うわよ!デリカシーがないんだから!ぷんすか!」
司令官「あはは、ごめんごめん」
暁「もう……っ。……」
司令官「ん?……暁、ちょっとこっち、おいで」
暁「え?あ、な、なんで」
司令官「いいから」
暁「……」トコトコ
司令官「……」ギュッ
暁「わ、わ!ししし司令官っ!」
司令官「暁……どうした?何かあったか?」
暁「っ!……なんで……、どうして、そんな……」
司令官「だって、暁……いまにも泣きそうな顔してるじゃないか……」
暁「う、う……」
司令官「暁……」
暁「……どうして……」
暁「どうして……っ、そんな、ことっ!言う、のよぉ……!」ボロボロ
暁「司令官の……司令官のっ、ばかばかばかぁ!」ポカポカッ
司令官「……」
暁「うう、ううぅ……ぐすっ、ふえぇ……」
司令官「暁……」ポスッ
司令官「なぁ、今だけで良いからさ。撫でても、いいか?……頼む」
暁「ふぇ……ぐずっ……今だけ……だからねっ……撫でさせて、あげる……」グスグス
司令官「……」ナデナデ
暁「しれい、かん……」
暁(ああ……暖かい)ギュ
暁(司令官の、一番でなくても構わない……でも、)
暁(でも、この温もりを、ずっと……ずっと感じていたい……)
暁「司令官……ずっ、と……一諸、に……」スゥ…
司令官「……ああ」
司令官「一諸にいるよ……暁――」
チュン、チュンッ
暁「ん……ふぁ」
暁「あれ……ここ、執務室……?」ポケー
暁(そっか……あのまま、寝ちゃったんだ……)
暁「……司令官の、布団」
暁「……」キョロキョロ
暁「……」ポフッ、スンスン
暁「司令官の、匂いだ……」エヘヘ
司令官「お、暁起きたか」ガチャ
暁「ぴゃあああああぁぁあぁあぁぁぁ!!?」
暁「司令官はどこで寝たの?」
司令官「ん?僕はソファーで寝たよ……って言えれば良かったんだけど。僕も眠かったしあのまま寝ちゃった」タハハ
暁「そ、そうだったの」
司令官「いやぁ、女の子と1つの布団で寝るなんて経験無かったから、朝起きたときは緊張したけど」
暁「もうっ、司令官は本当にデリカシーがないんだから!」
暁「……ん?初めて?電とは?」
司令官「電とも、さすがになかったなぁ」
暁「そう、なんだ……暁が初めて……えへへへへ」
司令官(可愛いなぁ)
司令官「しかし、もしかしたら電もまだ寝てるのかな……だとすると……」
暁「どうしたの?」
司令官「いや実はみんながさ、ケッコンカッコカリだろうが式を挙げようとか言いだして。いつの間にやら準備がされててさ」
司令官「後は僕と電待ちらしいんだけど、今朝はまだ電がここに来ないなーって……」
暁「えぇっ!?そうなの?もしかしたらというか、多分まだ寝てるかも……」
司令官「やっぱりそうか」
暁「もうっ!仕方ないわね、暁が呼んできて上げるわ!ああ急がないと。司令官はここで待っててね!」
司令官「ああ、ごめんよ!」
司令官「……ありがとう、暁。……君のことはちゃんと、見ているからね」
司令官「はぁ……電に恋しながら、暁にも恋して……それでも、やっぱり甲乙付けれないなんてことはなくてさ……」
司令官「僕は、最低だな……」ハァ
暁「もう、本当にもう……」
暁「……あれ?でも、電が練度99になったの、二人しか知らないはずなのに、なんで式の準備が?」
暁「……ま、いいわ!電ー!起きなさーい!」
電「ふにゃあ……もうお腹いっぱいなのれす……」
暁「うぐ、そんな寝顔につられないわよ!起きろーっ!」
電「はわわわ!暁ちゃん、ごめんなさいなのです!」
暁「いいから!じっとしてて……よし、髪留めもばっちりよ。司令官は執務室にいるから、早く早く!」
電「あ、暁ちゃんも、」
暁「パジャマで行けるわけないでしょーっ!暁はこれから準備するから、早くっ!」
電「はわわっ!あ、ありがとうなのです!」ダッ
暁「もう、全く世話が焼ける妹なんだから……」
暁「……でも」
暁(暁の、大切な妹)
暁(大好きな司令官が居て、大好きな妹たちが居て……大切な仲間たちが居る)
暁(そんなみんなと一緒に……そんなみんなを守れるこの場所が、なによりも大好きなのかもしれない)
暁「もし暁が指輪を貰ったら……ううん、貰わなくても」
暁「包み隠さず、愛を伝えよう。大好きだって気持ち、我慢しないんだから」
暁「はっ!」キョロキョロ
暁「……」カオマッカ
暁「ふ……ふふふ。あははははっ」
暁「本日はお日柄も良く、なのです!」
終わり。
お目汚し失礼&全裸待機してくださってた方、濡れ場がなくてスマソ
何かありゃ答えます、なんもなきゃ少ししたらHTML化頼んできま。
取り敢えず何が言いたいかってーと電ちゃんも暁も天使。響暁より雷電より電暁派です
掛け値なしに面白かった!乙です!
感情移入させられる良いSSだった
おもしろかった!また何か書いてくれ
最高だった
天使はやっぱり天使だな
乙!
いいねぇこういうの
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