>>2>>3>>4で頑張ります
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マッチョ
メガネ
ビッグバン
「はー疲れた! ねぇあなた、今日晩御飯は何?」
「いつもお仕事お疲れ様。今日は生姜焼きだよ」
「嬉しいな、生姜焼き大好き。最近あなた料理上手って近所で評判よ」
「はは、自慢の旦那って言ってもらえるように頑張ったからな」
それは瞬く間に世界中に広がってしまった。
『男女逆転現象』。
立場も性格も仕草も好みも癖も服装も、何もかもが逆転を始めた。
女性が権利を主張し始めてから、気づけば1000年が経っていた。
「ギャハハハ、このチンポエッロ~」
「うわやばい何コレ濡れるわ~」
「アンタ馬鹿ぁ?キャハハハハハ」
男は華奢になり、女は力持ちになった。
男に持てない荷物は女が持ち、道路側は女が歩き、飯代は女が多めに出す。
そんな世の中に一人、
「お前男のくせに何だよその身体」
「まじムキムキなのな、ギャハハハ」
「……」
マッチョが取り残されてしまった。
遺伝かはたまた別の要因なのか、千年前あれ程男子の象徴だった筋肉は、今では蔑みの的だった。
「ぼ、僕だって、……痩せたいし、お洒落な服着てみたいし、……でも、体質で、仕方なくって」
「ねぇマッチョが何か言ってる~」
「マジ受けるんですけどォ」
「ぼ、僕は……」
歯向かうことなどできようか。
ここで歯向かって、万が一男子にあらざる強靭な力で相手を倒してしまえば、その事さえ揶揄の対象となり得るのだ。
彼は自分がマッチョに生まれた事を憎みながら、唇を噛んでじっと耐え忍ぶしかないのだった。
自身の中の牙に怯えながら。
「あー面白かった。こんなマッチョほっといてさっさと帰ろうよ」
「そうだねー。 あ、マック寄っていこうよ」
「賛成~!」
男のくせに。
イジメてくる彼女らよりも、自身の鋼の様な筋肉が疎ましかった。
視界も滲む。
「何で僕だけこんなマッチョなんだ……う、うう……好きでマッチョに、生まれた訳じゃない、のに……」
「どうしたの?」
「!」
泣いていると声がした。
見上げると知った顔。
彼女はクラス委員をやっていた。
皆に慕われながらも真面目で、マッチョを気にせず話しかけてくれる数少ない女子だった。
「ねぇ、これで涙拭きなよ?」
ハンカチを差し出す彼女が、彼は好きだった。
「あ、あり、がと……」
こんな自分に話しかけてくれる彼女。
惚れた人に対して情けない姿を見せるのが恥ずかしくて、彼は起き上がりながらおずおずとハンカチを受け取った。
動きがぎこちないのが自分でも分かった。
「いつもの人たちでしょ? ひどいよね、ちょっと筋肉質なだけでいじめなんて……」
「う、うん……でも、僕が悪いんだ……こんな身体だし、ずっといじめられてたせいで性格だって」
「こら!」
「ぅえっ?!」
「自分なんて……とかって言うの禁止! 余計あいつらの思うつぼだよ? ホラ、もっと自信もって胸張って!」
明るく話しかけてくれることで、彼がどんなに救われているか彼女は知らない。
胸を張るとどうしても主張してくる大胸筋も、彼女の前でなら堂々として見せられるような気がした。
「その、ね」
「ん?」
「ありがとう、いつも」
「……へへ、いいってことよ! さ、帰りましょ?」
メガネで三つ編みで、ちょっとイモくさい彼女。
その内側から滲み出る優しさが、彼はたまらなく好きだった。
「ねぇ、ちょっとその大腿四頭筋触らせてよ!」
「ええちょ、恥ずかしいよ……!」
「いいからいいから」
「うわぁあ……」
彼女と並んで帰る道が、いつまでも続けばいいと思った。
10分でこの設定思いついたのか…すげぇ
以上です。お題くれた方ありがとうございました
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