観測世界の艦娘達 終焉 (367)
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観測世界の艦娘達 - SSまとめ速報
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観測世界の艦娘達 日常・完結編 - SSまとめ速報
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立て乙です
前回までのあらすじ
男は仲間を守る為に、日本を守る為に。防衛機構が極秘に保持していた『虚構型戦艦2番艦 夢幻』を駆り、仲間の制止をも振り切り戦場へと向かう。
その道中、夢幻の独断での解放の罪を被り少佐は防衛作戦の指揮を強制的に降ろされてしまう。
少佐の意志を引き継ぎ夢幻を守ると誓ったのは少佐の懐刀である不知火。
彼女とその配下の部隊の力を借り、辿り着いた先には虚構型戦艦を模した紛い物、戦艦 虚が待ち構えていた。
圧倒的な力の差に徐々に追い詰められる夢幻。しかしそこへ大蜘蛛型重巡洋艦を操縦し武蔵が現れる。
優勢になったかと思った束の間。戦艦レ級が現れ、再び圧倒された。そして、大切な家族である武蔵を失う。
怒りと憎悪に身を焦がし、命をも厭わぬと猛攻を仕掛け、互いに疲弊し、その命を削っていく。
身が砕け、意志は奪われ、最早まともに戦う事も出来ずにいたその時。古鷹の声を聞く。
彼女の呼び掛けと激励に我を取り戻した夢幻はついに虚を討ち果たした。
不知火や男の部下である艦娘達も追いつき、感染者や深海棲艦の掃討に当たろうとしていた時、姿をふいに眩ましたレ級が現れ、過去を独白する。
彼女の願いを聞き届け、銃殺しひと段落ついたのも束の間。虚構と霧島に通信が繋がり、人間にとって最凶の海上母艦が存在している事を知る。
攻略の糸口を見出せぬままにいたその時、指揮を降りたはずの少佐からの通信が入ったのだった……
男「しかし……どう戻ったのですか……?」
少佐『前総指揮官である防衛機構総司令官は先ほど作戦指揮を解任された』
少佐『何故この非常事態に防衛機構から総戦力を戦場に投入しなかったか』
少佐『何故現場で最良の判断を下した私を拘束、投獄したのか。詰問の末だそうだ』
男「……」
少佐『……私も、もう少し人付き合いというものを考えてみるべきだったな』
少佐『私を救ってくれたのは、君の他の将官達だった』
少佐『それに……国防軍にも知り合いがいてな。やってみればなんとかなるものだ』
男「……少佐」
少佐『現時点で私は防衛機構全体の指揮権を保持している』
少佐『最高戦力である君を全力で援護しよう。深海棲艦の猛攻を防ぐにはどうすればいい』
虚構『少佐……か』
少佐『ん……聞き馴れない声、だな』
虚構『……』
男「……少佐。この人は」
霧島『解放旅団所属、霧島。同じく解放旅団所属、虚構です』
少佐『解放旅団……そうか。なるほど……』
少佐『中尉。いや、虚構でもいい。現状を把握したい』
男「それなら俺が……」
霧島『客観的な報告は私から』
少佐『頼む』
少佐『……』
少佐『空挺部隊に支援要請……掛け合ってはみるが一体どうするつもりだ』
虚構『それと、移動式のダイビングマシン……進水機もあればいい』
少佐『……それなら大型車両が用意出来る』
虚構『空挺部隊を囮に空から虚構、夢幻が降下』
虚構『深淵へ突入し制圧。その後深淵内部、移動式進水機から同時に深淵の電子世界部分へ攻撃』
虚構『システムを掌握する』
少佐『その深淵はどうする気だ』
虚構『光学迷彩は外さない。あたかも深海棲艦が撤退した様に見せかけ、そのまま略奪する』
少佐『……随分と。無謀だな』
男「……」
虚構『……』
少佐『……わかった。少し時間をくれ』
少佐『なんとかしてみせよう』
男「……ありがとうございます」
少佐『なに。なんとかなるさ』
少佐『……頼んだぞ。中尉、それに……解放旅団』
虚構『……あぁ』
ここまでです
乙です
男「不知火」
不知火『はい』
男「他の艦娘……日向達にも状況を伝えてくれ』
日向『それなら問題ない。全員通信に参加している』
男「……そうか」
龍鳳『その……大型車両から深淵に繋がる艦娘は誰なんでしょうか』
虚構『君達夢幻の部隊が防衛機構で随一の電子世界部隊だと聞いているけど』
北上『でも私達の艤装の修復って……』
霧島『それなら問題ありません。今防衛機構に直接繋いで……高速修復を掛けています』
霧島『それと。戦艦夢幻の準備も』
男「……俺の電子世界での艤装……という事か」
霧島『はい。既に上書きを開始しています』
神通『電子世界でなら、提督のお手伝いも出来ます』
古鷹『全員でならきっと……乗り切れます!』
霧島『けれど……それ以前に……』
男「……どうした?」
霧島『夢幻。貴方の損傷が激しすぎる』
男「……」
虚構『データ転送を』
霧島『既に送りました。左腕の消失に装甲の脆弱化』
霧島『それに、搭乗者本人へのダメージも深刻なはず』
日向『なに。その次世代兵器に乗っていれば……』
霧島『次世代兵器には視覚、聴覚、触覚が備えられています』
霧島『当然。痛覚も存在する』
古鷹『それじゃあ……提督……』
霧島『左腕部分の痛覚は遮断しました。ですが……』
虚構『触覚が消えるという事は相当なハンディキャップになる』
虚構『被弾した事にも気がつかずに死ぬ……という事もあるからな』
男「俺は問題ない。左腕が無くとも痛みがあろうとも全力を尽くすのみだ」
男(戦いがひと段落し、体の熱も冷めてきた頃)
男(全身は針の筵に寝転がっているかの様な激痛に襲われていた)
男(高翌揚感、激しい感情が痛みを緩和していたのだろう)
男(だがこの程度で動じている様では、先に待つ本当の決戦を生きて帰る事は出来ないだろう)
霧島『……触覚のレベルを下げる事なら出来ます。痛覚を損なわず、痛みを和らげる他ないでしょう』
虚構『対処はそれでいいな。それと……』
ジジッ...
響『こちら響』
霧島『状況は?』
響『もうすぐ到着するよ』
日向『響、一体今まで何処へ……』
響『輸送任務だよ。もうすぐにそちらへ到着する』
虚構『今回の戦闘において必要である兵装を空輸してもらっている』
虚構『陸路での輸送も考えたがこれだけ戦場が荒れてしまってはこれしか方法はない』
虚構『良くも悪くもそこは要塞と化しているからな。そこで兵装を装備するといい』
ここまでです
乙です
虚構『夜では敵を目視しにくいがそれは向こうも同じ』
虚構『単一の戦力なら深海棲艦なんて比べ物にもならない』
虚構『なんとかなる』
男「……」
不知火『えっと……司令?』
男「どうした?」
不知火『いや、少佐が戻られたから司令では……ですが……』
男「……夢幻でも中尉でも好きな方を選べばいい」
不知火『では中尉』
不知火『再び感染者が接近しています。深海棲艦の存在は無し』
不知火『良くもこの瓦礫は中心から円を描く様に構築されています』
不知火『爆破した侵入口正面及び瓦礫頂上部に展開』
不知火『……敵は任せて下さい。中尉』
男「わかった。頼む」
不知火「発炎筒を投げろ!」
チッ...シュゥゥゥ!!!
不知火「ここが正念場です。一歩も引かない様に」
神通「では。私達も……」
不知火「皆さんは下がっていて下さい。この後に重要な役目がある」
不知火「それよりも。中尉の側に居てあげて下さい」
不知火「……不知火には、それほど気丈な人間には見えません」
隊員「感染者、射撃範囲へ到達します」
不知火「斉射で薙ぎ払う。車両にも通達しろ」
隊員「はっ!」
日向「気丈には見えない……か」
北上「確かに。なんとなーく、そんなかんじはするよね~」
龍鳳「私には強くて、頼もしく見えますけど……」
神通「私も……ですね。頼もしく見えています」
古鷹「……」
北上「ね」
古鷹「?」
北上「一番側に居てあげなきゃいけないのは、古鷹でしょ?」
古鷹「……!」
お仕事です
乙です
バララララ...
男(俺の丁度上空を飛ぶのはつい先刻俺自身を吊るしていたヘリだった)
男(巨大兵器の代わりに今度はなにやら黒い箱の様なものを吊るしている)
男(そしてその荷物を吊るすワイヤーに掴まり、髪を靡かせているのは)
響『到着した。これより降下を開始、兵装の装備作業に入るよ』
男(響だ)
古鷹『提督!』
男『上空を見上げているとすぐ近くには古鷹やその他の艦娘達が集まっていた』
古鷹『身体の痛みは……大丈夫ですか?』
男(不安気な様子でこちらを見上げている)
男『あぁ、触覚の緩和がされたのだろう。大分楽にはなった』
古鷹『そうですか……』
あっ……だめだ。睡眠頂きたいです
最近いきなり大量の鼻血出たり貧血っぽくなって急に体調崩してます。気温の変化もそうですけど食事バランスとか睡眠はきっちりした方がいいと思います、今の時期特に
無理して投下しなくていいから
まずは自分の体調を大事にしてほしい
体調不良が続くなら病院にいったほうがいいよ
とりあえず病院行きました。しばらくは様子見で
今日はお休み下さい。次は明後日になります
電子世界から一年以上ずっとシリアスな硬い話を書いてきて、このお話も終盤に差し掛かりシリアス展開も大詰めという状況にあります
考えて煮詰めてる間も楽しいんですけどこうたまーに…やっぱり何も考えないでバカみたいなのも書きたい欲に駆られたりします。少し息抜きも入れながら、このお話も完結までゆるりと書いて行きたいと思います
お大事にー
了解
頑張って体調治してください
>>21 修正
バララララ...
男(俺の丁度上空を飛ぶのはつい先刻俺自身を吊るしていたヘリだった)
男(巨大兵器の代わりに今度はなにやら黒い箱の様なものを吊るしている)
男(そしてその荷物を吊るすワイヤーに掴まり、髪を靡かせているのは)
響『到着した。これより降下を開始、兵装の装備作業に入るよ』
男(響だ)
古鷹『提督!』
男(上空を見上げているとすぐ近くには古鷹やその他の艦娘達が集まっていた)
古鷹『身体の痛みは……大丈夫ですか?』
男(不安気な様子でこちらを見上げている)
男『あぁ、触覚の緩和がされたのだろう。大分楽にはなった』
古鷹『そうですか……』
男「……そうだ。古鷹」
古鷹『はい』
男「……俺はこの戦いでわかった事がある」
古鷹『わかった事……ですか?』
男「あぁ、そうだ。正確には、思い出した。だがな……」
男「その上で、理解した」
男「激情に駆られ、代価の元に理解出来た」
男「……」
古鷹『……』
男「それは……」
バララララ!!!!!
男(言葉を遮る羽音。垂れた綱から次々と兵士が降りる)
響『装備の変更に多少の修復処置を行うよ。しゃがんで動かないで』
男「わかった」
虚構『霧島。電子世界での戦闘はどうなっている』
霧島『深海棲艦の侵攻も大分弱まっています。私の構築した防衛システムと艦娘が一名居れば問題ないかと』
虚構『わかった。その旨を通達してくれ』
虚構『……これが。最後の戦いだ』
短いですが
乙です
木曾「ありったけ鉛を撃ち込んでやれ!!」ドンドンドンッ!!!
金剛「私に続いて!!フォロミー!!」ドンドンドンッ!!!
比叡「こいつら、いくら倒してもキリがないッ!!」ドンドンドンッ
榛名「榛名はまだまだ大丈夫です!!」ドンドンドンッ
翔鶴「敵の艦載機が多いわ……!」
天龍(戦闘が開幕してからひっきりなしに深海棲艦は押し寄せる)
天龍(いくら沈めても、沈めても。同じ数だけこちらへ向かってくる)
天龍(これじゃあいくら弾薬がいくらあったってオレ達がへばっちまう……)
電「はぁ……はぁ……」
天龍「大丈夫か、電」
電「大丈夫……まだ戦えるのです」ジャキンッ
天龍(事実。オレと電は体力をかなり消耗している)
天龍(戦闘のブランクがあったとはいえ艦娘としての能力が発揮されているのにも関わらずだ)
天龍(それだけ激しく、厳しい戦いだ)
木曾「どうした、もう疲れたのか?」
天龍「るせぇ!んな訳ねーだろ!」
天龍(ここを抜かせる訳にはいかない)
天龍(……絶対に)
ブンッ...ブンッ...
天龍『……』
電『はい。タオルとお茶です』
天龍『さんきゅ』
ゴクッ...ゴクッ...
天龍『ぷはっ!』
電『最近無理しすぎじゃないですか?』
天龍『無理なんかしてねぇよ』
天龍『人に物を教えるのにオレが出来なきゃどうしようもねぇ……』
天龍『さて、そろそろガキ共が起きてくる頃か……』
ガラッ...コツ...コツ...
電『……?』
電『お客さんでしょうか?』
天龍『……こんな朝っぱら客なんか来んのかね』
ブンッ!!!
天龍『それに……足音。なんかおかしくねーか?』スッ
天龍『電。裏口を開けて逃げ道を作っておけ』
コツ...コツ...
天龍『ガキ共は起こすなよ。騒ぎになったら面倒くせぇ』
電『お姉ちゃんはどうするのですか!?』
天龍『トチ狂いに犯罪者なら全力で叩き潰す』
コツ...コツ...
天龍『玄関は締め切ってたはずだ。それに……』
コツ...コツ...
天龍『忍ぶ様な歩き方……軍人か?音を立ててる辺り素人だけどよ』
天龍『……いや。オレを釣ろうとしてわざと?』
天龍『なんにせよ。普通の人間じゃねぇ』
コツ...コツ...
電『開けて来ました』
天龍『よし……後は下がって……』
ガララッ!!!
天龍『……』
電『……』
バサッ...
コツ...コツ...
天龍『……』
電『は、はわ……』
『久しぶりだなぁ』
天龍『……そうだな。久しぶりだ』
『あんまり、昔と変わらないな。姉貴も』
天龍『……お前は少し変わったな。木曾』
木曾『そうかもしれないな』
ここまでです
乙です
おつ
おいやめてこのタイミングで回想とか嫌な予感しかしない
天龍『それで、人ん家の鍵を勝手に開けて来た理由は?』
天龍『まさか。遊びじゃあなさそうだよなぁ?』
木曾『手短に話す。もう一度、艤装を付けてくれ』
天龍『……』
電『艤装……』
天龍『……悪りぃがオレにはもう守らねぇといけないもんがあるんだ』
天龍『今更、戦場に立てって言われてもな』
木曾『その守らなければいけないものが危険に侵されるとしてもか』
天龍『……どういう事だ』
木曾『先日。電子世界で深海棲艦の大規模侵攻があった』
木曾『かなみ市防衛機構の中枢目指してな』
電『防衛機構というと……中尉さんの』
木曾『中尉を知っているのか?』
天龍『あいつに今剣の稽古を付けてる。うちの門下生みたいなもんだ』
木曾『そうか……どうも。あの時も、今も。因果ってのを感じるな』
天龍『勿体ぶらないで話せよ。木曾』
木曾『その中尉の命が狙われている』
木曾『中尉はあの元帥の弟だ』
天龍『なっ……!!』
電『……!!』
木曾『だが裏でなにかに手を染めている訳でもなんでもない』
木曾『だがな、中尉には姉と同じく深海棲艦の力の適性がある』
木曾『深海棲艦は中尉を拉致し、駒にしようとしているんだよ』
GW二連休(普通に週休だけど)という奇跡が起きたけどそんな急に言われても予定もクソもないのでゆっくり休養してまた書きます
乙です
乙です、最近になって電子世界の艦娘を読みはじめて
BGMにFLOWのWORD OF THE VOICE が似合う作品だと思いました。
木曾『それと同時に二つの世界での大規模な侵攻も企てている』
木曾『深海棲艦の勢力はもう集結しつつあるんじゃないか?』
天龍『……』
電『お姉ちゃん……』
木曾『だから、天龍。それに電』
木曾『もう一度、戦ってくれ』
木曾『艦娘として、この国を守るんだ』
天龍『……木曾。お前は……なにもんだ?』
木曾『俺は……』
木曾『解放旅団。深海棲艦と人間』
木曾『この世界と電子世界を隔離する為に戦っている』
木曾『それに俺だけじゃない』
木曾『あの施設で、一緒に戦った皆もいる』
天龍『……』
電『みんなが……いる』
天龍『……提督と翔鶴姉は。二人で幸せになったんじゃねえのか』
天龍『金剛姉は自分の田舎に帰って』
天龍『お前は……因縁の相手を追って』
天龍『オレ達二人はここにいる』
天龍『みんな違う道を歩んで来た。違うのか』
木曾『最初は。そうだったかもしれない』
木曾『けれど、皆また同じ場所に集まった』
木曾『世界を守る為に。そうしなければならないから』
木曾『……頼む。姉貴の力が必要なんだ』
木曾『電の力が必要なんだ。頼む……』
天龍『……』
電『……』
天龍『……天龍なんて捨てた名前だ』
天龍『今は天河龍子。こいつは天河稲』
天龍『どうする?どうしたい』
電『私は……』
電『子供達が危険に晒されているのなら、……戦います』
電『"電"は……戦います』
天龍『……そーゆーこった』
天龍『オレ達はあくまでガキ共を守る為に戦う』
天龍『その解放旅団とやらに入るつもりは全く無い。それでいいなら……』
天龍『もう一度だけ、天龍として。戦う』
木曾『それで十分さ。ありがとう……二人共』
ペルソナはプレイした事も観た事もないのですがFLOWはかっこいいですよね。個人的にエウレカのイメージ強いです
乙です
天龍「ここを抜かれたら、絶対にいけねぇんだよ」
天龍「こんな所でくたばる訳にはいかねぇ!!」ジャキンッ
木曾「……その目」
木曾「あの時と同じだ」
天龍「なんでもいい。オレはただガキ共のお守りをしてやらなきゃいけねぇ」
天龍「だから戦う。それだけの話だ」
天龍(激しい砲火に水平線が揺れる)
天龍(敵の攻勢は更に激しく、オレ達の身を削った)
霧島『みんな!待たせたわね』
金剛「霧島!」
霧島『これより防衛システムを作動させます。私が稼働させるんだから安心して戦闘を続けて』
比叡「霧島!早く作動させて!」ドォォンッ!!!
天龍「防衛システム……?」
翔鶴「霧島さんが構築してくれていたものね」
霧島『さて、これからが本番よ。深海棲艦!』
ゴゴゴゴゴ...
天龍(その声と同時に、地鳴りの様な音が響く)
天龍(海面は更にざわつき、波を立てた)
バシャァァァンッ
電「なにか出てきたのです!」
天龍(そして海深くからなにかが一斉に飛び出す)
榛名「あれは……タレット!」
天龍(黒色の機関銃程の大きさのタレットだった)
天龍(オレ達を広く囲う様に飛び出したそれは空中で静止し、緑色のラインで結ばれる)
ズダダダダダダ!!!!!
天龍(それに間髪を入れずに銃口が同時に火を吹いた)
ガガガガンッドシュッドシュッドシュッ
天龍(高速の弾丸が一斉に深海棲艦へと放たれ、僅か一瞬で分厚い装甲が穴だらけになり)
ブシュゥゥゥ...
天龍(原油の様な色の血を吹き出し、沈む)
霧島『艦娘の艤装を応用したものだからそう安々とは防げないはず!』
天龍「……すげぇ」
霧島『まだまだ終わらない!』
戦艦タ級「……」ジャコン
ザァァ
戦艦タ級「……!!」
キランッ
ドシュッ!!ズブッ...
戦艦タ級「ゴボッ……」
天龍(今度は海中から鋭い刃が飛び出し、深海棲艦を貫いていく)
ドシュッドシュッドシュッドシュッ...
天龍(至る所から、獲物を待っていたかの様に)
天龍(深海棲艦を串刺しにしては海中に戻る)
霧島『これはね。龍田さんの艤装を元にした防衛兵器』
天龍「……龍田の」
天龍(もう一度、その名前を聞くとは思ってもいなかった)
天龍(かつて同じ場所で暮らし、戦った仲間)
天龍「……」
天龍(確かに、飛び出す刃を正確には捉えられないが)
天龍(あいつが握っていた得物に形状は似ている気がする)
天龍(……時間が経つのも、良い事ばっかじゃねえな)
天龍(その名前を聞いても、大した同様はなかった)
天龍(オレの中で確実に、その記憶は薄れていたという事か)
比叡「これだけの火力なら!!押し返せる!!」
金剛「全員気は抜かないデ!!確実に殲滅していきマショウ!!」
榛名「はい!」
木曾「ここで奴らの戦力を削るぞ!!」
電「お姉ちゃん、頑張りましょう」
天龍「そうだな。さっきまでの仕返しをしてやんなきゃな」
翔鶴「空は任せて!」
天龍(劣勢が防衛兵器の登場で覆されようとしている)
天龍(休む間もなく押し寄せる深海棲艦も、防衛兵器によって数を減らされている)
天龍(圧倒し、戦力と共に戦意も消失させるッ!!)
ここまでです
乙です
,.へ
___ ム i
「 ヒ_i〉 ゝ 〈
ト ノ iニ(()
i { ____ | ヽ
i i /__, , ‐-\ i }
| i /(●) ( ● )\ {、 λ
ト-┤. / (__人__) \ ,ノ  ̄ ,!
i ゝ、_ | ´ ̄` | ,. '´ハ ,!
. ヽ、 `` 、,__\ /" \ ヽ/
\ノ ノ ハ ̄r/:::r―--―/::7 ノ /
ヽ. ヽ::〈; . '::. :' |::/ / ,. "
`ー 、 \ヽ::. ;:::|/ r'"
/ ̄二二二二二二二二二二二二二二二二ヽ
\_二二二二二二二二二二二二二二二二ノ
いきなりどうしたよ
翔鶴姉改ニっぽくて激アツ大勝利ですやばいまじやばい時代がやっと追いついた
そういや初代のパートナーだっけ翔鶴無え
久しぶりに出てくるのかな?
天龍(防衛システムとオレ達の猛攻に徐々に押されていく深海棲艦)
天龍(包囲網を一点から破り一ヶ所に集める様に押し込み、攻撃を加えていく)
天龍(唯一の空母である翔鶴姉の指揮だ)
天龍(艦載機での航空戦の最中、戦場を把握して的確に指示を与えている)
翔鶴「天龍ちゃん!そのまま電ちゃんと攻撃を続けて!」
天龍「っしゃあ!!任せとけって!!」
電「いきましょうお姉ちゃん!」
翔鶴「金剛さんと比叡さんも一緒に攻撃を!天龍ちゃんと電ちゃんと一緒に敵を挟撃して下さい!」
金剛「任せて!!」
比叡「お姉様となら、どんな作戦だって!!」
翔鶴「木曾ちゃんと榛名さんはその場で敵を威嚇射撃!」
翔鶴「天龍ちゃん、金剛さんのペアが挟撃に成功したらそこに加わって!」
木曾「三点から攻撃を加え後退させる作戦か……わかったぜ翔鶴姉さん!!」
榛名「それならこちらに寄せ付けない様に、果敢に砲撃を続けましょう!」
天龍(なにも今までこの艦隊で作戦を行っていた訳じゃない)
天龍(なのにこれだけの統制が取れて、戦術を使えるのは並の事じゃないくらい分かる)
ザバァッ!!!!
天龍「っらぁッ!!!」ジャキンッ
ドンドンドンッ
天龍(水上を駆け回り、踊り狂っているかの様な動きと共に撃つ)
チャキッ...
ズバッ...ブシュゥゥゥ!!!!
天龍「……」
ビチャッ...
天龍「……久しぶりだなぁ。この感覚」
天龍(今まで眠っていたものが呼び起こされたかの様に闘争心が燃える)
天龍(もっともっと派手に動き回って剣を振るいたいという衝動に駆られる)
天龍(ずっと忘れていた感覚)
天龍(もしかしたら……やっぱりこれが恋しかったのかもしれない)
天龍(あの時もそうだった)
天龍(隣に守るべき存在がいて、共に戦ってくれる存在がいて)
天龍(夢中だった)
天龍(……いや。今は違う)
天龍(ただ戦いを楽しむ為にここにいる訳じゃない)
天龍(口の端を噛みながら、敵を見据えた)
天龍(作戦は順調に進み、敵を後退させる事にも成功した)
天龍(敵の押し寄せる数も少しずつ減っていき)
天龍(最初の姿の面影も無いくらいまでに深海棲艦の戦力は弱体化していた)
霧島『虚構より作戦通達!』
霧島『目標。敵海上母艦 深淵への二世界同時攻撃を敢行します!』
霧島『これより防衛部隊と攻略部隊に分かれ、次作戦を遂行します』
翔鶴「……やっと。来たのね」
天龍「海上母艦……?」
金剛「深海棲艦の秘匿戦力にして対次世代兵器用次世代兵器デス」
木曾「つまるところを言うとこいつはとてもまずい存在で」
木曾「こいつを倒せば全て終わるってこった」
ここまでです
乙です
響『装備換装、もうすぐ終了するよ』
男(兵士達が次々に身体取り付き、新たな艤装を接合させていく)
男(その間、動く事も出来ず。視覚は自分で遮断出来る事を知った俺は視界を暗闇に落とし、束の間の休息を得ていた)
不知火『どうやら国防軍は深海棲艦を押し返す事に成功している様ですね』
不知火『現在。最前線は海岸沿いまでに下っているそうです』
虚構『こちらでも確認した。国防軍の次世代兵器が深海棲艦と交戦している』
虚構『とりあえず。今そちらに向かっている』
虚構『もう少しだけ待って欲しい。もうすぐに着く』
男「……そういえば。解放旅団は国防軍に認知されても大丈夫なのか?」
虚構『いや。良くはない。出来れば正体不明のままでありたいが』
男「巨体で移動していたらすぐにでも露呈するのではないか?」
寝落ちしてました
これは土壇場で翔鶴姉改二覚醒フラグなのでは?
虚構『熱光学迷彩』
男「熱光学迷彩……だと」
男(恐らく海上母艦 深淵は量子ステルスという技術を利用している)
男(この技術は研究段階でありながら安価、と言っても軍艦一隻ともなれば相当の費用になるだろうが)
男(光を回折させ姿を隠すものではあるが)
男(熱を隠せる訳ではない)
男(赤外線スコープなどを使えばその姿は容易に把握出来るだろう)
男(だが熱光学迷彩はちがう)
男(熱量を放出する事なく、光学迷彩の機能を果たす)
男(赤外線で捉える事も出来ない。正しく透明と化してしまうのだ)
男(光学迷彩技術は各国で研究が続けられ)
男(米軍では既に仮導入の段階に入っていると報じられていた)
男(だが熱光学迷彩は空想上の技術とされ、その開発は困難を極めているはず)
男「……一体何故その様な技術を」
霧島『熱光学迷彩は周囲の気温に体温を同化させる』
霧島『カエルの様な変温動物が普段行っているそのものね』
男「だが物質が動けば必ず熱量は発生する」
男「それが巨大になればなるほど。ましてや兵器など……」
霧島『熱が発生するのならそれを漏らさなければいいだけの話ね』
男「その至極単純な事がどれだけ困難か。考えずとも分かる」
男(熱が発生するとしてそれを外部に放出しない)
男(それはつまり内部に熱を押し込めるという事)
男(普通に考えれば精密機器は熱で壊れ、内部の人間は焼け死ぬ)
男(夢幻の様なこれだけの巨体を稼働させるためには莫大なエネルギーを必要とする)
男(仮に放出される熱の少ない電力で全てを補っていたとしても。発生した莫大なエネルギーは熱となり)
男(やはり結果は同じだろう)
霧島『僅かな熱量排出でそれを外部へ漏らさず、尚且つ内部の温度を平常に保つ技術』
霧島『難しく考えるから深みに落ちる。簡単に考えてしまえばいいのよ』
霧島『出た熱をどう処理するか。きっと単純で明快な答えが出てくるはず』
虚構『まぁ。その話はいいだろ』
虚構『俺だって夢幻だって技術者じゃない』
虚構『……次世代、近未来の技術を行使出来るのは深海棲艦だけではないという事だ』
男「……」
虚構『あまり難しい事は考えずにしばらく休んでいてくれ』
男「……そうさせてもらう」
虚構『もうすぐだ。もうすぐにそちらに着く』
響『艤装の換装作業が終了したよ』
響『これより移動の作業に入る』
熱光学迷彩。ロマンですよね
乙です
謎連休からずっと連勤で調子崩してます。今日のところはお休みでお願いします
男(それからしばらく。沈黙を保ったままに、俺は動かずにいた)
男(様々な思考が駆け巡る)
男(深海棲艦との戦争の行く末、大切な家族の死、この戦いが終わった後に待っているものは)
男(浮かび上がるのは後悔と自分に対する憤怒と軽蔑)
男(自分の目的に仲間を巻き込み、守ると誓った家族を守れない)
男(自分の周りにいる誰もが俺に手を差し伸べてくれた)
男(それにすら、答えられない)
男(全てが裏目に出た。家族や仲間達の想いが、深く傷を負った精神を抉った)
男(苦しみや絶望。狂気など比べ物にならないくらいに)
男(優しさが、辛い)
男(全て、自分の選択の辿り着いた結果)
男(……自分を責めるだけならいくらでも出来るな)
男(自分の首を絞めて懺悔するのは終わってからにしよう)
男(もう……なるようにしかならない)
少佐『中尉、虚構。聞こえるか』
男「少佐」
少佐『長野空挺部隊現在埼玉上空を移動中だそうだ』
少佐『協力要請を受けてのスクランブル発進だ』
虚構『これで全て整った』
少佐『それで。どうすればいい』
虚構『空挺の指揮官に繋いで貰いたい。ブリーフィングだ』
響『こちら響。虚構、夢幻を捉えたよ』
バララララ...
男(聞いた事のある羽の音が複数。こちらに近づいていた)
男「……」
男(視界を開き、黒く染まった空を見上げるとMi-26が数機、空中をホバリングしていた)
最近寝落ち率がはんぱないです
乙です
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーー
男(ブリーフィングを済ませている間に、防衛機構から飛び立った時と同じ様に身体がワイヤーで繋がれた)
男(瓦礫の向こう側の空にもワイヤーを垂らしたMi-26ヘイローが空に留まっている)
男(あそこに、虚構がいるのだろう)
虚構『準備はいいか、夢幻』
虚構『装備の感触はどうだ?』
男「悪くない」
男(艤装換装の施された夢幻は先ほどとはまた違う姿となっているに違いない)
男(頭部のモノアイを覆う様に、暗視、赤外線ゴーグル)
男(失った左腕には新たな太刀が埋め込まれ)
男(小型のコンバットナイフ)
男(先ほどの物よりも取り回しの利く短小銃に大型のマグナム)
男(両肩には主砲、背には小型の対空ミサイル)
男(明らかに重装備である)
虚構『作戦通りに動けばいい。速攻戦だ』
少佐『虚構、こちらも作戦の準備が整った』
少佐『中尉、何度も繰り返し済まないとは思うが……』
少佐『頼んだ』
男「はい」
響『上昇開始、作戦決行地点まで移動するよ』
響『後は霧島さんのオペレートを頼って。電子世界で私も一緒に戦うよ』
男(地上で日向以下の艦娘達と共に佇んでいる)
日向『提督』
男「どうした、日向」
日向『表は任せたぞ。電子世界で存分に力を振るってみせる』
男「期待している」
神通『武蔵さんは……残念でしたが。ここまで斬り開いてくださった道』
神通『神通。提督も、皆さんも、誰一人欠けさせる事のないよう参ります』
男「……皆の事は頼んだ」
北上『まぁ……さ。なんて言えばいいんだろうね』
北上『生きて帰ろう』
男「勿論だ」
龍鳳『提督。全部終わったらまた私の手料理を食べて下さい!』
龍鳳『腕によりを掛けて作りますから!みんなでお腹いっぱいに食べましょう!』
男「そうだな。楽しみにしている」
不知火『中尉、皆さんの護衛は任せて下さい』
不知火『全力で、戦って下さい』
男「任せたぞ。不知火」
古鷹『提督!さっき提督が言おうとしてた事は……』
男「……そうだな。勿体振るつもりはないが……」
男「これが終わったら、言おうと思う」
古鷹『……必ず、絶対に話して下さい』
男「あぁ。わかった」
霧島『上昇開始。空挺部隊との連携を取りつつ目標まで移動します』
男(足が地を離れ、皆の姿が小さくなっていく)
男(一方で虚構を吊るしているワイヤーを先を見やるが……)
男(姿が見えない。少しは歪みが生じる為か背景が僅かに浮き姿がかたどられている様にも見えるが)
男(視界を赤外線状態にしてもその姿をはっきりと捉える事は出来なかった)
虚構『さて、行こう。この戦争を終わらに』
ここまでです
乙です
終わらせたいね虚構=サン……
>>92 修正
古鷹『提督!さっき提督が言おうとしてた事は……』
男「……そうだな。勿体振るつもりはないが……」
男「これが終わったら、言おうと思う」
古鷹『……必ず、絶対に話して下さい』
男「あぁ。わかった」
霧島『上昇開始。空挺部隊との連携を取りつつ目標まで移動します』
男(足が地を離れ、皆の姿が小さくなっていく)
男(一方で虚構を吊るしているワイヤーを先を見やるが……)
男(姿が見えない。少しは歪みが生じる為か背景が僅かに浮き姿がかたどられている様にも見えるが)
男(視界を赤外線状態にしてもその姿をはっきりと捉える事は出来なかった)
虚構『さて、行こう。この戦争を終わらせに』
男(夜の戦場は明るく輝いていた)
男(爆炎を上げる小型船。炎に包まれ動かない護衛艦)
男(沿岸では深海棲艦と感染者の群れ)
男(国防軍にその次世代兵器がお互いに砲火を上げる)
男(空では無数の赤い光が高速で飛び交い、爆発する)
男(暗視など必要ないほどに戦場は熱を持ち輝く)
男(これが煉獄、修羅の姿ではないかと錯覚してしまうほどに激しい)
男(だがその中でも特に異様な姿が見える)
男(いや、姿は見えない。見えないが……)
男(なにもないはずの海上から砲火が見える)
男(絶えず撃ち出されているのは恐らく機銃)
男(あの場所に、深淵がいる)
虚構『手はず通りにいけば問題ない』
短いですが
乙です
男(俺と虚構を吊るしたヘリは徐々に姿の見えない敵へと近づいていく)
男(遠い足下では深海棲艦との激しい戦闘が)
『休まず撃てッ!!』
駆逐ハ級『グオオオオオ!!!』
男(唸りを上げ、同時に進む感染者を蹴散らしながら深海棲艦は国防軍の兵士へと襲いかかる)
『小銃じゃあダメージが入らない!!対戦車兵は!?』
感染者『ガァァッ!!!』ガバッ
グジュッ
『助けてくれッ!!身体がッ!!身体が食われ…あがあああああッッッ!!!』
男(次々と取り乱した兵士へと感染者は群がり、その肉を喰らう)
『そんな……対戦車兵が居なくなったら……あ』
駆逐ハ級『……』
グジャッブチブチッ...
男(深海棲艦は兵士の身体の半分をもを食い千切り、浴びる銃弾をもろともせず、咀嚼した)
男(あるいは)
軽巡ト級『……』
ドンッドンッドンッ
『衛生兵!!衛生兵はいないのかッ!!』
『クソッ……みんなあいつらの餌食に……』
ドゴォォォッ!!!
男(砲撃の巻き添えになり、形を残すこともなく飛び散っていく)
男「……ッ」ジャキンッ
虚構『ここから撃った所でどうにもならない』
男「……わかっている」
男(わかってはいるが。それを見ているのはあまりにも……苦痛だ)
ドタンッドタンッドタンッ...
男「……っ!」
男「あれは……」
虚構『国防軍の次世代兵器だな』
男(凄惨な戦場へ後方から鋼鉄の狼が走り寄る)
男(狼型駆逐艦。艦娘という存在以外にも深海棲艦との戦闘を行える様に開発された次世代兵器のうちの一つ)
男(体長はワゴン車程の大きさ。四本の脚を動かし獣の様に走る)
男(その速度は高速で走る車両と同等か、それ以上か)
男(両肩に備え付けられた機銃を打ち放しながら食事に勤しむ深海棲艦へと飛び付き)
グジュッ!!!
男(装甲に覆われていない脚部へと食らい付き、千切る)
軽巡ト級『グギャアアアアア!!!!!』
男(深海棲艦の姿は電子世界のものとは違う)
男(現実のこの世界。地上でも活動が可能なのは脚部などのないはずの部位が形成されているからである)
男(だがそれが、やつらの弱点の一部でもある)
狼型駆逐艦『ギィィィィッ!!』
男(黒い液体が滴る口を開き、再び深海棲艦へと食らいつく)
バキンッ!!!ベキッ...
男(食らい付かれた深海棲艦の頭部装甲は軋みを上げ、徐々にひしゃげていく)
男(ギリギリと音を立てながら少しずつ潰れていき)
ブチッ!!!
男(柔らかなものが潰れる音。姿の歪んだ深海棲艦は動かなくなった)
ロボット兵器ってやっぱりかっこいいと思うんですよ
乙です
軽巡へ級『……』
ズドンッ!!!!!
ドゴォォォッ...
狼型駆逐艦『ギギィ……』
男(それもつかの間。別の深海棲艦による砲撃を受け、狼型駆逐艦は膝をついた)
感染者『ガアアアアッ!!!』
男(そこへ大量の感染者が取り付き、覆い被さる)
ガンッガンッガンッガンッ!!!
ベキッ...バキンッ
男(決して感染者の攻撃でではない。重さに耐え切れなかったのだ)
男(脚が折れ、身体を動かす事の出来なくなった狼型駆逐艦はただその場に留まるのみの存在となった)
ズドンッ...ズドンッ...
男(多数の狼が深海棲艦へと食らいついていく最中更に後方から別の次世代兵器がそこへと向かう)
ジャコンッ...
男(武蔵が搭乗していたものよりも小柄で、装備も軽い)
男(蜘蛛型駆逐艦。これも次世代兵器の一つである)
男(まるで獲物を待ち構える蜘蛛の様に、六本の脚を大きく開き、胴体から伸びる砲塔を深海棲艦を向ける様は、固定砲台にも見える)
ズドンッズドンッズドンッ!!!
男(隊列を成し、同時に主砲が放たれる)
ズドォンッ!!!!!
駆逐艦イ級『ッ!!!』
男(爆炎に包まれた深海棲艦は、黒い液体を撒き散らし、息絶えた)
『次世代兵器の援軍だ!!』
『深海棲艦は次世代兵器に任せて、俺たちは感染者を撃つぞ!!』
男(指揮系統の乱れた国防軍の兵士達は増援により体勢を立て直し始めていた)
男(指揮官が殺害されていた様だが、各々まとまりながら感染者の掃討を始める)
男「……これが次世代兵器の威力」
虚構『これなら各国が研究するのも頷けるだろう』
虚構『これがあれば地上での戦闘能力は飛躍的に上昇する』
虚構『空の戦い、空からの攻撃が徐々に脆弱化して来ている今だからこそ、新たな地上兵器が必要になる』
虚構『……』
男(そう言った後、僅かに歯軋りの様な音が聞こえた)
虚構『深海棲艦との戦闘が終われば、待つのは次世代兵器を使った新たな大戦だ』
虚構『分かってはいるけど……深海棲艦の侵攻を無視する事も出来ない』
虚構『……』
男「……例え行く末を理解していたとしても、止められない……か」
虚構『あの時、ほんの少しでも上手く。出来ていたなら……また違ったのかもしれない』
虚構『……結局は。運命に抗う事すらままならず』
虚構『最初から結末は決まっていた』
男「……」
男「……運命論だの宿命論だの。その様なものに意味はない」
男「過程が違えば結果も違うものだ。その事は……痛いほどに感じた」
男「人間の行動など数学や理論では証明しきれるはずもない」
男「それで行く末がわかるのなら、最初から苦労などしないはずだ」
男「自分の行動で全てが決まる。結果は自分の選んだ選択肢の結末だ」
男「それを一生に背負いながら、また新たな選択肢を選ぶ」
男「結果は変わらないが、先の選択肢に連なる結末は幾つも残されている」
男「良くなるも悪くなるも、その後の自分の行動に付随してくるのだから……」
男「だからこそ、選ぶしかない。結果をいつまでも見続け立ち止まる訳にはいかない」
男「……違うか、虚構」
虚構『……君は強い人間だよ、夢幻』
男「……いや、本質は普通と比べても脆弱だ」
虚構『そうか……いや。羨ましい限りだよ』
虚構『俺も……そういう気持ちを持っていたのなら、違ったのかもしれない』
虚構『……』
男「……」
霧島『もうすぐ沿岸部につくわ!』
虚構『構えろ、夢幻』
男「……」
ジャキンッ
ここまでです
乙です
タタタンッ...タタタンッ...
男(沿岸部での戦闘は先ほどよりもさらに激しかった)
男(海上から上陸しようとする深海棲艦を食い止める様に、隊列を成した次世代兵器が抗戦している)
男(道路の真ん中のラインに蜘蛛型駆逐艦、小蜘蛛が並び、その後方では更に頑丈で強力な武装の施された次世代兵器)
男(大蜘蛛型重巡洋艦、親蜘蛛がいた)
ドンッドンッドンッ...
男(だが一部は防衛の手が回らず深海棲艦の上陸地点ともなっている場所があった)
男(そこへ揚陸艦が数隻、停泊しているのと更にそこへ海上から恐らく感染者を乗せた揚陸艦が続けて停泊しようとしている)
男「……次世代兵器ばかり見ていて気がつかなかったが」
男「従来の戦車などもいるのだな」
男(国防軍……軍の名称が変わる以前から使用されてきた10式戦車が上陸した深海棲艦に砲を放っている)
虚構『なにも従来の戦車が廃れた訳ではないさ』
虚構『それに大半が次世代兵器到着前に破壊されているんだろう』
お仕事です
10式はアレは戦車なのか自走型狙撃砲なのかよく分からん
乙
乙です
男(10式戦車の主砲が次々に放たれ、深海棲艦の装甲を抉る)
男(だが深海棲艦と拮抗した戦闘を行えている最中)
男(歩兵の数があまりにも少ない様子が見て取れた)
男(押し寄せる感染者を倒しきれず、勢いに押されているのが前線が後退している理由か)
男「感染者への攻撃はしないのか」
虚構『違う。出来ないんだ』
虚構『深海棲艦をギリギリの戦力で抑えているのに感染者への対抗までするとなると深海棲艦に対する火力が少なくなる』
男「……つまり、どうにもならないと言う事か」
虚構『いや、そうでもないぞ』
ジャコンッジャコンッ...
男(朽ちたビルの陰からなにかが動き出した)
男「あれは……」
男(現れたのは人型の次世代兵器)
男(虚構型よりも一回り小さく細身。小銃を構えその銃口を感染者達へと向ける)
ダダダダダ!!!!!
男(高速の弾丸の雨が感染者へと降り注ぐ)
ブチブチブチッ!!!
男(次々と車に撥ねられた様に吹き飛び、身体の形を変えていく)
男(あれは傀儡型軽巡洋艦。虚構型戦艦をモデルに作られた無人機)
男(軽装、軽量だが機動力があり歩兵への制圧力が強い)
男(その姿はまさに機械歩兵)
男(更にその後方に、また別の次世代兵器の影が見える)
男(仁王立ちのその背から、次々と小型の物体を射出している)
男(弓兵型空母。有人機であり、二足歩行)
男(近接戦闘能力は無いが小型のドローンを装備している)
男(ドローンに装備された機銃で後方より射撃支援を行う次世代兵器)
男(また対物ライフルでの遠距離支援も可能らしい)
男「次世代兵器の大盤振る舞いだな」
虚構『それだけ国防軍は総力を集結させているという事だ』
男(激しい戦闘地帯のはるか上空をヘリが闊歩する)
男(一つは次世代兵器を吊るし、もう片方はワイヤーだけが垂れている。なんとも異様な光景だろう)
虚構『さて……準備はいいか。夢幻』
男「あぁ……」
男(ここまで来てはもうやるしかない)
男(必ず、深淵を止める)
『こちら長野駐屯地空挺部隊、チームα』
『手はず通りにやらせてもらう』
虚構『頼む』
キィィン...
男(俺たちの後方から聞こえたのはジェット音)
男(そしてそれはすぐに俺たちを抜き去り、深淵のいる海上へと飛び込んでいった)
男(F-2戦闘機の小隊だ。航空戦の行われる空へと突き進み、ばらけては踊る様に弾丸の雨を交わしている)
虚構『至って簡単だ。ヘイローに吊るされ深淵の丁度真上へ向かい、ワイヤーを切断し降下する』
男『なっ……!?』
男『その様な策が通じる相手とでも!そもそも対空砲火の中に飛び込むなど……』
虚構『海上からの接近はほぼ不可能に近い。なら空を掻い潜りそこから突入する他ないだろう』
虚構『その為に、空挺部隊に支援を頼んだ』
虚構『俺たちの降下空域への接近と同時に後方から空挺部隊が侵入』
虚構『陽動を掛けたのち、全機フレアを一斉に射出してもらう』
虚構『降下中に敵の機銃さえ無力化出来れば対空ミサイルも心配いらず』
男『……』
虚構『……冗談だ。それだけじゃない』
霧島『私が一時的にハッキングで敵の対空装備を無力化します』
霧島『空挺部隊は万が一の保険。大丈夫、やれますよ』
虚構『という訳だ』
霧島『ですがそう長くは無力化出来ません。出来たとしても数十秒……』
虚構『それだけあれば十分だ。強力な敵とは今まで何度も対峙してきた』
虚構『なんとかなるさ。多分』
男『……』
男(言葉が出ない程に、無謀だと思った)
男(だがこれしか方法がないのなら、それを成し遂げるしかない)
ここまでです
乙
F2ニキまだ現役なのか……
霧島『降下まであと3分!』
男(爆発する空を全速で駆ける)
男(それでも鈍足であり対空攻撃や敵艦載機に狙われればひとたまりもない)
男(だが自分達を守る様に空挺部隊のF-2戦闘機が周囲を飛び交い、それを許さない)
男(恐ろしい程に訓練されていると、それだけで十分に分かる)
虚構『赤外線に切り替えるんだ。深淵がよく見える』
男「わかった」
男(そう言われ視界を赤外線モードへと切り替えると)
男「……なんとも巨大な」
男(遠目から見ても巨大ではあったがこれだけ近づいて見ると更にその大きさが見て取れた)
男(通常の空母など軽々と超える程の大きさ。化け物じみた兵装の数々)
男「……」
霧島『敵制御区画に侵入。これより掌握を行います』
虚構『降下は大きな衝撃を受ける。気をつけてくれ』
男「わかっている」
男(それよりもこれだけの高度から落とされては潰れてしまうのではないかという不安の方が圧倒的に強い)
霧島『……ッ!』
霧島『対空ミサイルが来ます!!気をつけて!!』
男「なに……」
虚構『武器を構えろ!!』
ドシュッドシュッドシュッ
男(巨体に備え付けられた対空ミサイル砲から数発。俺たちに向けて放たれる)
虚構『撃て!!』
男「ッ!!」
ダダダダダッ!!!!!
男(構えたライフルを迫るミサイルへと向けトリガーを引く)
男(高速の弾丸が幾つも射出されていくが……)
男(自ら動きながらでなおかつ相手も動いている。そう簡単に当たるわけもない)
虚構『……ッ!!』
多分これくらいの時代背景だと丁度新型と入れ替えの途中なのではないかという推測の元出演していただきました(F-2ニキ
乙です
ズドォォォン!!!
男(虚構の弾丸が一発のミサイルを炸裂させた)
男(だが、それまでだった)
虚構『チッ……ナイフを構えろ!!』
男(ダメだ。間に合わない……ッ!!)
男(煙を上げながらミサイルは俺たちへと迫り)
男(目前まで到達し……)
男(せめて……今度は右腕で受ければ……!!)
ゴォォォッ!!!!!
男「……ッ!?」
虚構『っ……』
男(耳元を掠めて後方へと進んで行った)
男(ふと頭上を見上げると……)
『危なかったな』
男(薄暗い空に赤い花びらが舞い散っていた)
虚構『……フレアか』
『アラートが聞こえたもんでな、悪いが勝手に撃たせてもらったよ』
男「……」
虚構『……』
『大丈夫だ。まだもう一回行ける』
『こちらは一機も損傷を受けていない。気にせず作戦を遂行してくれ』
霧島『掌握に成功しました!恐らく持つのは30秒』
霧島『降下カウントダウンに入ります!』
虚構『合図と同時にワイヤーが切り離される』
霧島『10、9、8、7…』
虚構『衝撃に備えてくれ』
霧島『6、5、4…』
虚構『降下成功と同時に対空兵装、及び敵勢力を制圧する!』
男(流れる様に、あっという間に作戦の本番がやってきた)
霧島『3、2、1……』
男(……考えろ。冷静に……だが、心は燃やしたままに)
霧島『降下!!』
バキンッ!!!!!
男(ヘリのワイヤーが切断され、空中へと放り出された)
男(吸い込まれる様に、落ちる)
ゴォォォ!!!!!
男(鋼鉄の塊は空を裂き、弾丸の様に巨大母艦へと迫る)
男「……っ」
男(ヘリに輸送されていた時とは違う。明らかな重力を肌で感じる)
男(遠く見えていた甲板がみるみるうちに目前へと迫っていく)
男(夢で高所から地面へと落ちていくのを見たことがある)
男(それが現実で、起きている)
男(……大丈夫だ。なんとかなる)
虚構『深海棲艦の電子妨害で無線が効かなくなる』
虚構『すぐに深淵に繋ぐ形で無線を繋ぐ。だから……』
ゴォォォ!!!!!
男「怖くはないのか!俺は流石に……生理的に恐ろしさを感じて……」
虚構『俺だって怖いさ!!さて、着地だ!!』
男(ブツリという音と共に無線が途絶えた)
男(気がつけばすぐそばに、甲板の白線が見えていた)
男「ぐ、うおおおおお!!!」
男(ぶつかる。直感でそう感じた)
ズドォォォンッ!!!!!!!!!
男「ッ!!!!!」
男「……」
男「……ぐ、俺は……」
男(強烈な衝撃を感じた瞬間。一瞬で視界に感覚が途絶えた)
男(頭が痛む。吐き気がする)
男(黒く染まった視界を開こうと、頭の中で念じた)
ザリッ...ザリザリザリ
男(黒かった視界は白の混じった砂嵐がまた一瞬で埋め尽くした)
男(そこから少しずつ。視界が開けていく)
ここまでです
乙
男(痛みは、ある。それも激痛だ)
男(聴覚は、ある。音が揺らいで聞こえるがじきに治るだろう)
男(視界が次第に開けていくと、薄ぼんやりとした世界が揺れていた)
男(とりあえず……生きてはいる)
男(まずは……状況の把握を……)
グジャリ...
男「……」
男(手に伝わる感触。なにかぬるりとした塊が……)
『グオオオオオオオオ!!!!!』
男「……ッ!!!」
男(獣が発する様な叫び声によって加速的に意識がはっきりとしていく)
男(赤外線モードの目で周囲を見渡すと、薄暗い格納庫の様な場所だった)
男(天井には大穴。甲板を突き抜けて落ちたのか)
男(床は凹み、無数のヒビが入っている)
男(よく生きていたものだと。関心してしまうほどの事だと思う)
男(それよりも……)
男(俺の足元には潰れた肉のカーペットが敷かれていた。落ちた時に感染者を潰したのだろう)
ガンッガンッガンッ
男「……」
男(それでもやつらは怯まずに不意の侵入者に対して攻撃を仕掛けていた)
男(未だこの艦内に残っていた感染者がこちらに集まってきているようだ)
男(鋼鉄の身体にまとわりつき、拳を叩きつけている)
男(更にその奥には、人間よりも明らかに大きな動体)
男「……囲まれているのか」
男「鬱陶しい!!」
ブンッ
男(半立ちの身体を起こし、感染者を振り払う)
感染者『ガアアアアアッ!!!』
男「フンッ!!」
男(迫り来る感染者の波。それを左腕の代わりに埋め込まれた刃で薙ぎはらう)
グジャッ!!!
男(肉を潰し切る感触に衝撃が直接肩に、胴体へと伝わる)
男(ぐっ……少し足元が不安定だな)
男(落下の衝撃の影響だろうか。だがそれ以外にはおかしな点は感じない)
男(むしろこれだけで済んでよかったと言える度合いだろう)
ドゴォォォッ...
男(さらに、頭上から爆音と破壊音が聞こえ始める)
男(虚構が対空兵装の破壊を始めたのだろう)
男(まだ通信は回復してはいないが、いずれ復旧するだろう)
男(その為には……)
ジャコン
ズガガガガガッ!!!!!
男(感染者の向こう側の存在がこちらから遠ざかろうとしていた)
男(そこへ右手で構えた小銃を撃ち込む)
男「貴様らの相手は俺が務める」
軽巡ト級『……』
男「俺を殺したくばこちらへ来い。深海棲艦」
ここまでです
乙です
キキィィィ...
不知火「進水機が到着したようですね」
不知火(爆破で開けられた道から、大型のトラックがこちらへやってきた)
不知火(その後方からは武装車両が数台。歩兵が僅かに続く)
ガチャ...バタン
「これが……戦場の空気か。久しいな」
不知火(止まったトラックの助手席から降りてきたのは、私が最も信頼し、待ちわびていた人物)
不知火「お疲れ様です、司令」ピッ
少佐「不知火。状況はどうだ」
不知火「現在周囲は制圧済みです。この場所を要塞として籠城するつもりです」
少佐「わかった。出来るだけ深淵に近づいていた方が戦闘を有利に運べる」
少佐「幸いここは破壊された街並みの中でも比較的戦闘が容易で前線より僅かに離れている程度」
少佐「丁度いい場所ではある」
1レスだけですが今日はここまででお願いします。眠くて死にそう
もうそろそろ完結も近いと思います。とか言ってなんだかんだ長くなるのであまりあてにはならないですけど
日向「少佐」
少佐「君たちか。怪我は無い様だな」
少佐「……あれが。そうか」
不知火(司令は押し潰され胴体の原型を無くした次世代兵器を見ながらそう呟きました)
少佐「……彼女の事は残念に思う。中尉にとって、かけがえのない存在だった事だろう」
古鷹「……」
神通「……」
北上「……」
龍鳳「……」
不知火「……」
不知火(その言葉に、この場にいた誰もが口を開く事が出来ませんでした)
少佐「……戦場に出るという事は。友であろうが師であろうが。皆平等に死の危険を孕むという事だ」
少佐「誰しもが死の危険に晒され、大切な者を失う。誰が悪いという事はない、そういうものだ」
少佐「理不尽だとも思う。かけがえのないものを失う気持ちは痛いほど理解出来る」
少佐「だからこそ。人の死を悼み、決して誰も失わぬ様に、自分の命を失わぬ様に、戦うんだ」
少佐「……俺は電子の世界に赴いて戦う事は出来ない」
少佐「だから君たちが、中尉を守るんだ」
少佐「全員で無事に帰れる様に。戦うんだ」
少佐「君たちのその後の居場所を得る為に私は尽力しよう」
少佐「必ず。再び同じ様な生活を送れる様に、戦おう」
少佐「……頼む。友を、守ってくれ」
少佐「かなみ市を、日本を……頼む」
古鷹「……絶対に提督は私たちが守ります」
古鷹「絶対に!みんなで一緒に帰ります!」
不知火(古鷹さんがそう言うと、他の皆さんも力強い眼差しで、頷きました)
少佐「ありがとう。では、今乗ってきたトラックに進水機を積んでいる」
少佐「今すぐに指定の位置に着き、進水を開始してくれ」
不知火「全隊、対象のトラックを守り抜け。ここが日本の生命線になり得る」ザザッ
少佐「不知火、国防軍の部隊がこちらの付近を通過する様だ」
少佐「ある程度重要事項は伏せ、事情を説明してこちらの作戦に協力を願えないか要請しよう」
不知火「はい。それならば心強いですね」
ここまでです
乙です
本当にあっけなく逝っちまったよな
少佐「では全員。配置に着いてくれ」
不知火(そう少佐が促すと、古鷹さん達はトラックの後部から荷台へと向かって行きました)
少佐「……」
不知火「……」
不知火(少佐は険しい表情で空を見つめています)
不知火(はぁ、と一つ。嘆息をつくと横目に私を見て口の端を軽く上げて目を細めました)
少佐「私も歳を取ったものだ……」
不知火「……」
少佐「戦場。ましてや作戦に私情を挟むなどもっての他だと」
少佐「そう分かってはいたつもりなのだがな」
少佐「不知火」
不知火「司令。不知火はただ司令についていくだけです」
不知火「司令の選んだ道なら、不知火は最後までお供します」
少佐「……ありがとう。不知火」
隊員『隊長!!南方向より未確認の動体が接近しています!!』
不知火「総員迎撃態勢ッ!!』
不知火(その無線と同時に、電流が流れたかの様に緊張感が走った)
不知火(未確認の動体……未知の深海棲艦ッ!?)
少佐「識別信号を確認しろ!!」
隊員『み、味方……国防軍の物です!!ですが急速にこちらに接近しています!!』
少佐「青の信号弾を上げろ!」
バシュゥゥゥッ!!!
不知火(司令の指示と同時に薄暗い空に青い光が打ち上がりました)
隊員『ダメです!!止まりませんッ!!』
少佐「……国防軍。未確認……」
少佐「信号弾を認識していない……」
少佐「ッ!!!」
少佐「不知火!攻撃を許可する!」
不知火「!?」
少佐「構わん。射程距離に入ったら直ちに"敵"を制圧しろ!」
不知火「はっ!!総員、攻撃を許可する!!」
不知火(司令がこの時どのような判断を下したのかはわかりませんでした)
不知火(ですが司令が敵だと仰るのならば)
不知火「敵はまだ認識出来ないかッ!?」
不知火「ッ!」ダッ!!!
不知火(不知火は迷わずに敵のやってくる南の瓦礫の上に走った)
不知火「ハッ……ハッ……」
カチッ...キュィィィン...
不知火(赤外線ゴーグルを装着し、電源を入れる)
少佐「こちら防衛機構ッ!!敵の"次世代兵器"の攻撃を受けているッ!!」
少佐「繰り返すッ!!こちら防衛機構!!」
不知火「はぁ……はぁ……ッ!!」チャキッ
ゴゴゴゴゴ...
隊員『隊長!!敵射程距離までわずか!!』
隊員『あれは……』
不知火「攻撃翌用意!!」
不知火(瓦礫の上に立ち、国防軍の識別信号を持った敵を見やる)
不知火「なっ……撃て!!」
ズダダダダダダ!!!!!
不知火(あれは……国防軍の次世代兵器……ッ!!!)
狼型駆逐艦『ギィィィィッ』
不知火(犬の様な姿をした鋼鉄がこちらへ駆けて来るッ!!)
ズドンッ...ズドンッ...
不知火(その後方からは六足歩行型。武蔵さんが乗っていたものよりも小型のものが押し寄せている)
ズダダダダダダ!!!!!
不知火(まるで隊列を成していない……一体これは?)
地震大丈夫でしたか?私はすし詰めで死にそうです(白目
乙です
ザッ...
少佐「やってくる次世代兵器の特徴を捉えてみろ」
不知火「……」
少佐「全て無人機だな。本部より電波での指示を受け自律的に行動する」
不知火「……深海棲艦に操られている」
少佐「そうだ。敵味方認証システムを破壊……いや、掌握されたのだろう」
少佐「装甲車両を陣地中央に配置!対戦車兵を瓦礫に配置!」
少佐「迫撃砲でもなんでもいい!ありったけの武装と集中され、次世代兵器を破壊するんだ」
隊員「第一波来ますッ!!」
不知火(深海棲艦のものとなった"犬"がこちらの前線へと最接近した)
>>162 修正
ザッ...
少佐「やってくる次世代兵器の特徴を捉えてみろ」
不知火「……」
少佐「全て無人機だな。本部より電波での指示を受け自律的に行動する」
不知火「……深海棲艦に操られている」
少佐「そうだ。敵味方認証システムを破壊……いや、掌握されたのだろう」
少佐「装甲車両を陣地中央に配置!対戦車兵を瓦礫に配置!」
少佐「迫撃砲でもなんでもいい!ありったけの武装と集中させ、次世代兵器を破壊するんだ」
隊員「第一波来ますッ!!」
不知火(深海棲艦のものとなった"犬"がこちらの前線へと最接近した)
ズダダダダダダ!!!!!
不知火(隊員達の集中的射撃が先陣を切る犬へ降り注ぐ)
狼型駆逐艦「ギィィィィッ!!!」
不知火(それでも止まる事なく隊員の一人に喰らいついた)
ブチィッ!!!
不知火(少しの断末魔を上げ、胴体を切断された)
不知火「……これが、次世代兵器」
不知火(目の前で四肢を瓦礫に踏み込ませ、銀色の塗装は黒く汚れ、口元は赤い液体を滴らせながら開かれている)
不知火(犬……違う。これは……)
不知火(あまりの迫力と、まとわりつかせた死の気配に。不知火には幻想の存在の様に見えた)
少佐「不知火!!!」
不知火「ハッ……!?」
少佐「全隊前線を引き下げろ!!」
少佐「トラックを離脱させる。装甲車両を囮に退却を……」
不知火「司令!!!」
少佐「なっ……!!」
不知火(不知火へ駆け寄って来た司令に気がついたのか)
不知火(首をこちらへ向け、唸った)
不知火「司令っ……逃げ……」
少佐「いいぞッ!!俺を見ろ、深海棲艦の犬!!」
タタタンッ!!タタタンッ!!
不知火「司令……なにを……」
少佐「早く後退しろ不知火!!」
不知火「それでは司令が……」
少佐「俺は大丈夫だ。早く後退するんだッ!!」
隊員「隊長ッ!!!」
不知火「五月蝿いッ!!!司令を囮になんてさせない!!!」
不知火(そうだ。司令は囮になられるつもりだ)
不知火(不知火や隊員達の後退を邪魔されない様に……)
狼型駆逐艦「……」
ガバァッ!!!
少佐「ッ……来たか。伏せろ!!!」バッ
不知火「!?」
不知火(次世代兵器が口を大きく開き、姿勢を低くこちらに向いた)
不知火(瓦礫の向こう側からは、大量の次世代兵器が眼前に迫っている)
不知火(不知火は司令に押し倒され、少し皺の多い大きな手に、抱きしめられた)
不知火「っ……」
少佐「……」
狼型駆逐艦「ギィィィィッ!!!」
不知火(……ここで、終わり……か)
不知火(何故か。司令と一緒ならそれもいいかもしれないと、そう思ってしまっていた)
お仕事です
乙です
ズガガガガガッ!!!!!
不知火(けれど。次に聞こえるものは司令と不知火の断末魔では無かった)
ドゴォッ...
不知火(狂犬が身体に無数の穴を開けて、倒れる)
不知火「は……これは?」
不知火(一瞬の出来事に思考が追いつかない)
不知火(何故?どうして?なにが起きて……)
『間に合った……のかな?』
不知火(拡声機を通したような。若い男性の透き通った声が辺りに響く)
不知火(迫る振動の波とは反対からも、重みのある振動が地面を伝わる)
『戦況は?』
『国防軍所属、次世代兵器の反応が数十。深海棲艦の存在も確認が取れています』
不知火(次に聞こえたのは凛として落ち着いた女性の声)
少佐「既の所だったな……」
不知火(不知火に覆い被さってくださっていた司令は不知火の頭を優しく撫でるとゆっくりと立ち上がりました)
不知火(それに続き、私も立ち上がり……)
不知火「……ッ!!」
不知火(トラックを跨ぎ、長身の銃を構える鋼鉄の巨人が目の前に、見えた)
不知火「……これは。夢幻に似ている……」
不知火(夢幻よりは細身で、白を基調にした都市迷彩柄)
不知火(無駄の無いような、余計な装備が無い様に見えた)
不知火(頭部の青く光るモノアイがこちらを見ている)
不知火(夢幻が細身の男性だとしたらこの巨人は女性だと。そう感じた)
『直接ご挨拶出来ず失礼。日本国防軍陸上隊所属、大尉です』
『私は日本国防軍陸上隊所属、曹長。加藤静賀』
少佐「かなみ市防衛機構、少佐」
不知火(混乱が和らぎ、国防軍の援軍なのだと。そう理解した瞬間に私は少佐に続いて埃を払い挨拶をした)
不知火「かなみ市防衛機構所属。不知火軍曹です」
大尉『少佐、状況把握は……』
不知火(鋼鉄の巨人はそう言いながら、カービンライフルに形状の似た銃を構え、トリガーを引いた)
ズガガガガガッ!!!!!
不知火「くっ……!!!」
不知火(強烈な発砲音に思わず耳を塞いだ。司令も同じように、しゃがみながら耳を塞いでいる)
ドゴォォォッ...バキンッバキンッバキンッ
不知火(それでも爆発音と鉄を穿つ音が鼓膜を大きく振動させる)
ザザッ...ザザザ...
不知火(続けて、装着していた無線のイヤホンからノイズが聞こえ、続けてノイズが止むと声が聞こえる)
大尉『戦闘を介しながらになりますがよろしいでしょうか?』
少佐「構わない。まずは不知火、あの次世代兵器の後方へ移動するぞ」
不知火「対戦車兵器を集結させ、再度前線を形勢します」
少佐「頼んだ」
不知火(鋼鉄の巨人は瓦礫を乗り越えて次世代兵器達との戦闘を本格的に開始した)
不知火(不知火と司令は古鷹さん達が眠るトラックの後方に着き、一息ついていた)
少佐「戦況は以上の通りだ」
大尉『つまり防衛機構の艦娘の皆さんが深海棲艦へ攻撃をしている間、防衛すればいいんですね』
少佐「可能か」
大尉『本部に連絡してみます。最前線にも有人の次世代兵器が向かっていますし恐らく大丈夫だとは思いますが』
少佐「しかし……その見た目は虚構や夢幻に似ているな」
大尉『はい。これは……』
大尉『虚構型戦艦3番艦、空想です』
少佐「虚構に夢幻に空想……か」
大尉『日本国の秘匿戦力という意味合いがあるらしいですけど、もう意味無しですね』
大尉『虚構型戦艦2番艦、夢幻とは少し設計が違って……』
静賀『こちらは複座式になっています』
静賀『一人がメインの操縦、もう一人がその補助と言った役割になりますね』
大尉『こうでもしないと複雑すぎて安定した能力を出せないんです』
大尉『夢幻は単座式で、操縦者に求める技能が膨大すぎる欠点があります』
大尉『話には聞きましたがそちらの中尉、あれだけの操縦桿に機材を一人で運用しているのですよね……天才ですよ』
少佐『あぁ……そうだな。文字通り自分の身体の様に乗りこなしている、並の人間に出来る事ではないな』
ここまでです
加賀さんかな
乙です
男(恐らくここは航空機などの格納庫だろう)
男(この母艦の、恐らく中央を先端から後尾まで一本の線の様に敷かれている)
男(壁の照明が付いている様で、赤外線状態を外しても視界は十分に見えた)
男(遠く奥まで続いている格納庫の視野の内部では深海棲艦や感染者が間隔を開けてこちらに向かっている)
男(幅はそれなりにある。多少動いても中央部であれば十分だろう)
男(左右を囲まれた文字通り袋小路)
男(今回は殲滅戦だ。ここを全滅させない限り離脱は許されない)
チキッ
男(先に迫るのは感染者。左腕の刃を立て、ライフルを片腕に構える)
ブンッ!!!
男(刃での前方への薙ぎ払い。その勢いのままにその場で回転する様に右手側からの感染者も薙ぐ)
ベコンッ!!!!!ドチャッ...
男(狭い場所に纏まった感染者の塊を斬り裂く事は出来ず)
男(泥団子の様に壁に叩きつけられ、潰れた)
男「いくぞ……ッ!!」
男(まずは母艦の前方部、左手の方向の殲滅を開始する)
グッ...
男(膝を深く折り曲げ、飛び出す)
ズダンッ!!!!!
男(音を上げて床を蹴り、二歩目、三歩目と体当たりをするかの如く前傾で踏み込む)
男(巨体の全力を持っての突撃。自身を鼓舞する様に勢いに乗せる)
男(実際に俺の心臓は高鳴っていた)
男(躊躇えば強力な兵器と言えど残骸にもされてしまう様な極限の状況)
男(それでいて捨て身の様な作戦とも呼べない攻撃。自らの戦闘能力だけで全てが左右される)
男(それでしか活路が見いだせず、それ以外の選択は一切無い)
男(脳からは麻薬の様な成分が溢れ出ているだろう)
男(これを思い切り吸い込み、吸収し、心臓を早く、破裂してしまうほどに鼓動させる)
男「穿てッ!!!」
ズダァンッ!!!!!
男(勢いに乗せた左腕の突き)
男(一匹の深海棲艦の口内へと吸い込まれる様に侵入し、突き破った)
ブシュゥゥゥ!!!!!
男(重油の様に黒い血液を浴びる)
ズブッ...
男(刃を引き抜き、血液を滴らせながらそれを更に)
ブンッ!!!!!
男(振るう)
ザバァァァッ!!!!!
男(人間の身体の一部が生えだした様な深海棲艦への一撃)
男(その生身の様な白い部分が裂け、同じ様に血液をほとばしらせながら地に伏した)
男(だがそこまでの一連の動きに寄って、夢幻の重大な損傷に気がつく)
男「ッ……!!」
男(右の膝に強烈な痛み。見れば関節に当たる部分の形状が歪んでいた)
男(恐らく着地の衝撃によるもの……これだけの損傷があるという事は……)
男(動き続ける度に状態は悪化し行動に悪影響を与えるのは明白だ)
男(最悪、右膝が全く動かなくなってしまう事も考慮しなければなるまい)
男(だがそれでも……)
男「ここで戦闘の一切を躊躇う事は……許されない、か」
ここまでです
虚構『夢幻、無事か』
男(隣の深海棲艦を見据え、攻撃の型を取ると虚構からの無線が入った)
男「通信は確保出来たようだな」
男(会話を続けながらも戦闘は止まる事はない)
男(腰を低く構えてからの蹴り)
ブンッ!!!
男(巨体が踊り、鋼鉄の柱が深海棲艦の装甲を直撃する)
ガギィィィィンッ!!!
男(黒い身体が横転し、感染者をすり潰しながら船体に激突する)
ドゴォォォッ!!!!!
ジャキンッ
バララララ!!!!!
男(間髪入れずにライフルでの掃射を行う)
男(壁には次々と穴が空いていき、黒い血飛沫が次々と上がっていく)
虚構『やけに敵の姿が少ない。兵装の破壊は楽でいいけど……』
男「それならば、役目は果たせているようだな」
軽巡ホ級「グオオオオオ!!!」
男(倒せども、倒せども敵の波は止まない)
男(接近し、攻撃を仕掛けてくる者を蹴散らし)
男(遠距離から砲口を向ける者を弾丸の餌食にする)
男(まるで地獄の鬼にでもなった気分だ)
虚構『……役目。まさか敵がそちらに集結しているッ!?』
男「こちらは任せろ。兵装の破壊に集中してくれ」
虚構『クソッ……夢幻は持久戦に向いている兵器じゃないッ!!』
虚構『装甲が薄い分攻撃での自身の劣化も激しい』
虚構『すぐにいくッ!!』
男(確かに、攻撃の度に痛みが身体を襲う)
男(深海棲艦を攻撃する度に自身の身体が歪み、削れていくのもわかる)
男(だがここを耐えなければ迅速に作戦を遂行する事は出来ない……!!)
男「キリがないな……」
男(両肩の主砲に対空ミサイルを使えばこれだけの数を一層する事は容易だろう)
男(だがこのような閉鎖的な空間で、しかも近距離の敵に使用すれば自分も巻き込まれる可能性がある)
男(迂闊に使う事は出来ないが……)
男(このままでは埒があかない)
ジャキンッ
男(両肩に備え付けられた戦車砲を感染者の群れの向こうの深海棲艦へと向ける)
男(装填されているのは榴弾だ。上手く巻き込めれば)
ガンッ!!!!!ガキンッ!!!!!
男(攻撃の手を休めず、動きながら撃つ必要がある)
男(よく狙い……迅速にッ!!)
ドンッ!!!!!
ドゴォォォッ!!!!!!!!
ここまでです
乙です
すいません。今日はお休みでお願いします
日向「今回の作戦は私が旗艦とさせてもらう」
日向「全員ヘッドセットを装着!位置に着け!」
古鷹(……これで、提督と一緒に戦える)
古鷹(提督はいつもそうだった。私を庇う様に、自分から進んで何にでも立ち向かっていた)
古鷹(現実の世界で私はなにも提督の役立てる事が出来なくて……)
古鷹(電子世界でも私は提督の指示のおかげで戦えていた)
古鷹(提督の影に隠れて、提督に甘えていた)
古鷹(上司と部下の関係は本当はそういうものなのかもしれない)
古鷹(けれど……私は嫌だ)
古鷹(私は提督の力になりたい)
古鷹(違う……私は……)
古鷹(柱になりたいんだ……!!)
日向「作戦概要を確認するぞ」
日向「敵海上母艦、深淵へ対する解放旅団との共同作戦。連合艦隊を編成し全力で深淵を破壊する!!」
日向「主たる攻撃は解放旅団が。私たちはその援護を受け持つ」
日向「だが状況によっては私たちも矢面に立つ可能性は十分にあり得る。そこは戦況を把握しつつ対応する」
古鷹(提督と私。お互いに支え合う柱になりたい)
古鷹(提督一人に辛い思いはさせたくない。提督一人が全てを抱え込んでいる姿を見たくない)
古鷹(全部はだめでも少しでも……提督の痛みを和らげて、分かち合いたい)
古鷹(だって……私は……!!)
霧島『戦闘のサポートは私が務めさせてもらうわ』
日向「全員待機完了。いつでもいける」
神通「ここが正念場ですね」
龍鳳「でも私がかなみ市の……日本の……命運を握っていると考えると……」
北上「固く考えないでさ。気楽にいこうよ」
北上「全部私たちに掛かってる。シビれるじゃん」
北上「こういう時、漫画とかだったら最後は絶対に勝つんだからさ」
北上「私たちも勝つよ。絶対に」
古鷹「そう。私たちは絶対に勝つんだ!!」
古鷹(だって……提督が好きだから)
古鷹(好きで好きでたまらないから。だから……)
古鷹(諦めないッ!!!)
霧島『戦闘支援を開始!』
霧島『脳波、心音、数値、生体反応、全て異常無し』
霧島『個人データ解析、解凍、展開します』
日向「いくぞ……!!」
古鷹(提督の為に……私の為に)
古鷹(私はもう……逃げない)
霧島『全ての確認、クリア、クリア、クリア、クリア、クリア……』
霧島『カウントは省略します!みんな……頑張って』
霧島『平和の礎に』
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
やっと艦これっぽい海上決戦です
乙です
古鷹(一面の黒を明るく光る0と1が粒子の様に飛び交う世界を、落ちる)
古鷹(この世界で私は今までしっかりと目を開いていた事はなかった)
古鷹(目を閉じて、深く息を吸い込んで)
古鷹(先に見えてくる緊張と恐怖に耐える様に)
古鷹(唇を噛みながら……)
古鷹(だけど、今は違う)
古鷹(目を開いて、途方も無い奈落の先を見据えて逆さまに落ち続ける)
古鷹(ゆっくりと息を吸い込んだ)
古鷹(肺の中に少し留めた後、またゆっくりと吐き出す)
古鷹(緊張を抑える為でもない)
古鷹(恐怖に耐える為でもない)
古鷹(決意を、自分で決めた使命を)
古鷹(覚悟を、全うする為に)
古鷹(ふと周囲を見渡した)
古鷹(仲間も又皆、目を見開いていた)
古鷹(日向さんはそれどころか和かに微笑んですらいた)
日向「ん……古鷹」
古鷹「はい」
日向「……いい顔をしてる」
古鷹(それに私は答えを返さず)
古鷹(日向さんと同じ様に、微笑んで見せた)
日向「さて、そろそろだ」
古鷹(再び奈落を見据えると、少しずつ光が見えてきた)
古鷹(小さな光はどんどん大きくなっていく)
古鷹(0と1が不規則な動きを始めて、型を作っていく)
古鷹(白と黒しかなかった世界に色が産まれ始める)
古鷹(気がつけば、私は色と光の波に飲まれて)
古鷹(……)
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーー
バチンッ...バチッ!!ジジジ......
古鷹「……っ!」
古鷹(目を開くと、そこは夜の海上だった)
日向「各人陣形を……」
キィィ...
龍鳳「6時方向に敵艦載機!!」
日向「開幕からか……ッ!!」
古鷹(全員の姿がまだ火花を散らして完全にもなっていない瞬間の事)
古鷹(ジェット機音が暗い空に木霊していた)
霧島『ロックオン確認!!日向艦隊は退避!!』
日向「散れッ!!!」
古鷹(霧島さんのナビゲートの直後、右腕を大きく振り日向さんが叫んだ)
古鷹(逃げなきゃ……!!)
古鷹(私は咄嗟に左手方向に駆ける)
ズドォォォン!!!!!!
古鷹(2、3歩脚を動かした瞬間。背中側から大きな水柱が上がり)
古鷹「っ……!!」
古鷹(前へ身体が投げ飛ばされた)
バシャアアアンッ!!!
ここまでです
乙
乙です
古鷹(脚に力を込めて水を切りながら滑り、転倒は免れた)
古鷹(直後、水柱は大量の雨粒となって降り注ぐ)
日向「解放旅団は!?何故敵の攻撃が届いているんだ」
霧島『現在敵深海棲艦と道中で交戦しています』
北上「足止めされてるって事?」
神通「なら一旦後退して加勢に向かえば……」
龍鳳「その余裕は無さそうですッ!!」
キリリ...
古鷹(他の皆も損傷を受けた様子はなかった)
古鷹(龍鳳ちゃんが携えた弓を引き絞り、撃つ)
キィィン...!!!!
古鷹(暗い海に黒色の渦が現れた)
古鷹(そしてジェット音と共に、戦闘機が次々と飛び出していく)
日向「主砲射程外すぐ側に敵影!!」
霧島『敵艦隊がすぐそばまで来てる!!今座標を送るわ!』
北上「それじゃあ、軽く準備運動って所かな」チャキッ...
神通「気を引き締めて、行きましょう」
短いですが
男「まだッ!!」
ガキンッ!!!!!
男(どれだけ剣を振るったのか。数えてはいないが相当数は撃破したに違いない)
男(戦闘の開始直後よりも敵の密度は減っている)
男(確実に数は減らせているはずだ。その筈だが……)
男「ぐ……」
男(打ち合い、撃ち合いの度に軋む身体)
男(機動力を失えばあっという間に呑まれてしまう。故に動き続ける)
男(だがその行動一つ一つが身体を破壊していく)
男(虚との戦闘で破損した身体を換装と調節で修復したとはいえ突貫ではたかが知れている)
男(各部の出力は落ち始め、十分な威力すら発揮出来なくなっていく)
男(残弾も半数をとうに切っている)
男(真綿で首を絞められているが如く徐々に追い詰められている感覚だ)
男(それでも……動き続けるしかない)
チャキッ
ズガガガガガッ!!!!!
ズガンッ
男「弾切れか……ッ」
男(再装填の為に空になった弾倉を落とし……気がついた)
男(まだ弾丸が残っている……?)
ドンッドンッドンッ!!!!!
男「チッ!!」
ドゴォォォッ!!!!!
男(咄嗟に小銃を盾に、敵の砲撃を受ける)
男(衝撃が収まったあと、小銃は折れ曲がり使い物にならなくなっていた)
男(弾詰まりか……ッ!!)
ガシャンッ
男(鉄くずを放り投げ、右の拳を握る)
男(結局最後は自分の拳か……)
終盤、出詰まってるかんじです。少しずつですが書いていきたいと思ってます
乙です
ズドォォォッ!!!!!
男「……!?」
男(握った拳を深海棲艦へ突きたてようとした瞬間だった)
男(数十メートル先の天井が突然、大穴を穿ち崩れた)
バチンッ!!!ジジジッ...ジジッ
虚構『待たせた。共闘ならそれほど殲滅に時間はかからないだろう』
男(積み重なった瓦礫の上、電流が迸り何も無い空間から巨大な姿が浮かび上がる)
男(漆黒に塗られた、重装甲の巨体)
男(虚の所持していたチェーンソーの様なものを右手に持ち)
男(左手には大型の自動拳銃に似たものを)
男(赤く光る二つの瞳がこちらを見ていた)
男「……あれが、虚構」
男(電子の世界で見た虚構の姿とはまた違った印象を持った)
男(威圧的な、押し殺しても漏れ出す殺気を感じる)
男(無機質であるが故に、恐ろしい)
虚構『ここにほぼ全ての深海棲艦が集結しているようだ』
虚構『ここを制圧した後、電子世界へ突入する』
男「……」
男(それ以上の言葉は無かった)
男(お互いを見合った後、迫り来る深海棲艦へ暴力を振るう)
男(重量は夢幻よりもありそうなものだが、なのに夢幻と同じように)
男(いや、軽快に。動く)
男(俺の戦いとは別格だ。自分の戦闘が稚拙に見えるほどに)
男(強かった)
長かった戦いも大詰めです
男「……」
男(戦闘が終わり。動くものは俺と虚構だけになった)
男(だが依然深淵の外からは戦闘音が絶え間なく聞こえ続けている)
虚構『損傷は?』
男「損傷……見ての通りだ」
男(夢幻はあちこちが破損し傷ついていた)
男(左腕に埋め込まれた刃はこぼれ、右手は殴打により潰れた)
男(脚部は軋みを上げて満足に動かす事は叶わず)
男(身体のあちこちには切創や銃痕)
男(痛覚をある程度遮断しているとは言え、激しい痛みの波は絶え間ない)
虚構『現実での戦闘は……困難だろうな』
男(対する虚構はそれ程損傷は見られず)
男(これが……戦歴の差か)
虚構『霧島。そっちは?』
霧島『解放旅団と防衛機構の合流が深海棲艦に妨害されていますが、問題はさほど無いかと』
虚構『こちらは内部の制圧をほぼ完了した。ヘイローで部隊を降下させてクリアリングをしてくれ』
霧島『指示を出します。接続は?』
虚構『今行う。頼むぞ』
男(深淵内部を制圧した後、次は電子世界へ接続)
男(深淵の電子ファイルを破壊するのが目標になる)
虚構『すぐに解放旅団の制圧部隊が降下する』
虚構『次世代兵器は放棄して、制御室へ向かおう』
男(やっとこの痛みから解放されるのかと思うとそれだけで少し気分が楽になった)
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
※
霧島『接続を解除します。虚構、夢幻、お疲れ様でした』
バチッ...
男(一息ついたのもつかの間、急激に意識が薄れていくのを感じた)
男(眠りに落ちる様に意識が途絶えると、すぐに目の前で火花が飛び散り)
男(目覚めると、俺は薄暗い座席にもたれ掛かっていた)
男「……」
男(周囲を見渡し、手を握り、開き。少し腰を左右に捻った後で自分の手の平を見た)
男(先ほどの無機質な両手ではない。本来あるべき人間の手だった)
男「……はぁ」
男(額はじんわりと汗ばみ、身体は熱を持っていた)
男(先ほどまでの光景や経験を思い出し、痛みがまた現れるような感覚がしたが、そのような事もなかった)
ブシュゥゥゥ...ガコン
男(正面のパネルとなっている部分が動き、持ち上がる)
男(俺が作った残骸が散らばる気分の悪い光景とむせ返る様な血の臭いが俺の意識を覚醒させていく)
カコン...カコン...スタッ...
男「……」
虚構「この姿で、直接顔を合わせたのは初めてだね」
男(生身の虚構は電子世界で見たものと同じ)
男(だが滲み出る様な殺気も覇気も感じない)
男(白髪混じりの、細身の中年サラリーマン)
男(そのような所か)
虚構「イメージとは違った?」
男「いや……そういう訳ではない」
ここまでです
乙です
男「……」
虚構「……」
男(数秒間。お互いを見合った後、虚構が背を向けて歩き出す)
虚構「まだ少しの感染者が残ってるかもしれない。注意しながら、向かおう」
男「その制御室はどこに」
虚構「一度下部の船倉まで降りて、そこから制御室までの道のりをいく」
虚構「この状況で甲板まで上がるのは得策ではないと思う」
男(確かに。当たり前だが攻撃に晒されるかもしれない外へ出るのは不注意としか言いようがない)
男(小銃を腰だめに構えながら、歩く虚構の背中を追った)
虚構「……」チャキッ
男「……」
男(足音を立てない様に静かに。かつ迅速に)
男(虚構の背を守る様に、後方を時折みやりながら追従する)
虚構「……クリア」
男(曲がり角の先を確認した後に、ハンドシグナルを交えながらにボソリと言う)
男(もし生存している深海棲艦に出くわせばただでは済まない)
男(緊張感が身体の筋肉を弛緩させる事を許さない)
虚構「……もう少しだ」
男「……」
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーー
ガチャ...
虚構「……」
男「……」
バタン...カチャン
虚構「ここだ。今……準備をする」
男「……ここが制御室」
男(結局道中に敵と相対する事は無かった)
男(扉を開けると膨大な量の機材と、寝台が二つ目に入る)
男「これは、進水機か」
虚構「恐らく虚と幻の二人が使用していたものだろうな……」
男「……レ級は?」
虚構「……ドス黒い血がこびりついたプラグが転がっているが……」
男「……直接身体に突き刺していた?」
虚構「さぁ……深海棲艦の事は分からない」
虚構「とりあえず俺たちはこの敵のダイビングマシンを使って電子世界に進入する」
スッ
男(虚構は懐を弄ると、小さな端末の様な物を取り出し)
カチャ...ピピッ
男(機械群の一部へ取り付けた)
虚構「霧島。聞こえるか?」
霧島『聞こえます。接続を確認しました』
霧島『3分で……そちらの機材を使用可能状態にします』
虚構「わかった」
虚構「小休止だ。3分だけだけどな」
男「……」
男(小銃をゆっくりと降ろし、俺は片膝をついた)
男「……煙草は」
虚構「精密機器の周囲だから……あぁ。排気口の近くでなら」
男(ごく自然な動作で、胸ポケットから一本。潰れた煙草を取り出し、火を点ける)
カチンッ...パチン
男「……はぁー」
男(じんわりとヤニが喉を伝い脳へと染み込む)
男(随分と長い間吸っていなかった様な気がして、満足感が少しずつ広がっていった)
虚構「……」
男「……」スッ
虚構「……銘柄は?」
男「ハイライト」
虚構「……俺はラークしか吸わないんだ」
男「……そうか」
ここまでです
乙です
乙です
男「……」
虚構「……」
男「……」
ジジッ...
虚構「……君の仲間が、亡くなったそうだね」
男「すぅ……」
男「はぁー……」
虚構「……」
男「……家族だった。今でもそうだ」
虚構「……」
男「彼女がいたからこそ。今の俺がいる」
虚構「……恋仲だった?」
男「……違う」
男「ただ……お互いに支え合って。いや、少し……寄りかかりすぎていたかもしれない」
虚構「……君が気に病む必要はない。彼女は……」
男「運が悪かった。か」
虚構「……」
男「……俺の選択がそこまで導いたのか。武蔵の選択がそこまで導いたのか」
男「……結果はこれだ。今更どうこう出来るはずもない」
男「……俺はこの結末を背負いながら生き続ける」
男「苦痛も、苦悶も、全てが今の俺の一部になる」
男「全てを受け入れながら、また進むだけだ」
虚構「……そうか」
男「……あいつは。よく俺の煙草を抜いて吸っていた」
男「俺に今出来るのは……墓標を立ててそこへ煙草と酒を供えてやる事だけ」
男「それだけ……だな」
男「……虚構」
虚構「ん?」
男「……貴方にも、大切な人間はいるのか」
虚構「……居るよ」
虚構「解放旅団として付いてきてくれる皆は勿論」
虚構「……俺を地獄から救い出してくれた、人がいる」
虚構「理不尽に入れられた底なし沼から、引っ張り上げてくれた」
虚構「……大切な。俺の一部だよ」
男「……」
霧島『ダイビングマシンの掌握に成功しました』
虚構「よし。行こう」
男「……」スッ
グリッ...
虚構「……運命を呪う事はある」
男「……」
虚構「逃れられない運命を……ただ呪い疎ましく思う。思っていた」
虚構「……けれど。あの頃は違った……かもしれない」
虚構「運命は自分の手で切り開くものだと。受け入れるものじゃないと」
虚構「……そう思って、戦っていたと思う」
男「……」
虚構「……夢幻。君のおかげで思い出したよ」
虚構「行こうか。運命を切り開きに」
男「……選択肢を、掴む為に」
虚構「ああ」
ここまでです
懐かしみ
ちょっとじっくり考えたいので少しお休みをいただきたいです
これが終わったら次になにを書こうかもなんとなく考えてます。とりあえず候補は救われない話と某ロングセラーR-18RPGの中の一作風味なやつと
それかしばらくはまったり読み専でもいいのかなぁと。昔エタッたやつのリベンジもしたいなぁ……(白目
把握
読み専に徹していたら新作のネタが湯水のように湧いて書かずにはいられない呪いかけておきますね
了解
男「……」
男(電子の世界へと落ちていくのには慣れていたはずだ)
男(0と1の光が飛び交う世界を落ちながら、浅く切られた爪が皮膚に食い込むほどに拳を握った)
男(汗が額を伝い、情報の欠片となって消えていく)
男(暖かさも冷たさも感じないはずの空間だが、やけに空気が重く熱を持っているかの様に感じた)
虚構「大丈夫か?」
男「……あぁ」
虚構「そんなに気負う必要はないさ」
虚構「俺の仲間に君の仲間」
虚構「それに、俺だっている」
男「……」
男(情報が結合していき、次第に形を成していく)
男(星の誕生の瞬間の様に)
男(漂う数字が密集し、一点を軸に回転し、形作っていくのだ)
男(そして目を瞑った瞬間俺は……)
ザァァ...
男「……」
虚構「……」
男(遠くに巨大な船を据える。巨大な海原に立っていた)
虚構「最終決戦が海……か」
男(先ほどとは違う。生き生きとした顔の虚構が言った)
男(やはり……現実の世界とは違う、な)
虚構「……」スッ
男(虚構はスーツの胸ポケットから赤い箱を取り出し、中から煙草を一本取り出した)
カチッ...
虚構「……ふぅ」
男「……」
スッ
男(それを見て俺も青いパッケージの煙草を咥え、火を点ける)
男(煙草を咥えたスーツ姿の男が二人。海原の真ん中で佇んでいる光景はさぞやおかしなものだろう)
虚構「……」
男「……」
霧島『報告、解放旅団は敵防衛線を突破!』
霧島『防衛機構はただちにそちらへ向かいます』
虚構「……霧島、アレは?」
霧島『今準備を……少し時間が掛かります』
虚構「わかった」
虚構「さてと。仲間が来るまで少し待機……かな」
男「……」
男(そうだ。そもそも俺はこの世界へと降りても)
男(戦う事は出来ない)
男(虚構の様に深海棲艦の力を持っている訳でもない)
男(現実世界の武蔵の様に、兵器を巧みに操る訳でもない)
男(ぶら下げた小銃と、拳銃にナイフ)
男(……最終決戦の舞台に立った所で俺は……)
虚構「君の戦術が勝敗を握っている」
男「……」
虚構「君の指揮で仲間を生かすか[ピーーー]かが決まるんだ」
虚構「……」
男「……そうだな」
ここまでです
乙です
乙です
虚構さんはそういや鬼強いんだったね
>>242 修正
男(虚構の様に深海棲艦の力を持っている訳でもない)
男(現実世界の武蔵の様に、兵器を巧みに操る訳でもない)
男(ぶら下げた小銃と、拳銃にナイフ)
男(……最終決戦の舞台に立った所で俺は……)
虚構「君の戦術が勝敗を握っている」
男「……」
虚構「君の指揮で仲間を生かすか殺すかが決まるんだ」
虚構「……」
男「……そうだな」
霧島『虚構、夢幻へ伝達!敵艦隊が深淵より出撃!!』
霧島『そちらへ向かっています!!』
虚構「到達時間は……」
男(虚構は眼前に浮かび上がった文字列を指でなぞり、それを払いのけた)
虚構「規模も大したものじゃないな。夢幻は後方から付いてきてくれ」
男「戦うのか?」
虚構「あぁ。少しでも数を減らさないとな」
ドゴォォォッ!!!
男(そう言った瞬間。虚構の足元から水柱があがり、虚構は弾丸の様に飛び出して行った)
男「くっ……!」
男(水飛沫を受け、視界を腕で覆った次の瞬間には虚構の姿はとてつもなく小さなものとなっていた)
男「……艦娘とは比べ物にならないな」
男(改めて虚構が尋常ではない存在なのだと理解した気がする)
男「……俺の指揮が彼女達の命を握っている……か」
男(こんなにも、この言葉は重いのか)
男(今までの自分は仲間の死など考えた事は無かった)
男(勝つ為の手段を幾重にも重ねて考え、負けても最良の選択で最小の被害で)
男(だが……武蔵を失ってから)
男(俺の作戦の、指揮の末路に死が待ち受けている事を知ってしまった)
男(俺に仲間を無事に帰す指揮を取る事が出来るのだろうか)
男(ただでさえこれは。今までのものとは違う決戦なのだ)
男(俺の指揮で……)
ドンッ...ドンッ...
男(虚構の飛んで行った方向を見ると、米粒よりも小さなものが動き、爆炎を上げていた)
男(霧島の伝達から1分も経っていない)
男(……)
フッ...
男(フィルターのすぐそこまで燃え尽きた煙草を海へ落とし)
男(俺はゆっくりと虚構の元へと移動を開始した)
寝落ちしてました
乙です
男(水上を滑りながら移動し、虚構の姿が徐々に大きく見えてくると)
虚構「遅いッ!!!」
男(深海棲艦の砲撃を、スケーターの演技の様にかわし)
ドゴォォォッ!!!!!
男(拳を打ち込み次々と爆散させていく)
男(視界の効かない夜でさえも明るく、虚構の演舞ははっきりと見えていた)
男「……」
チャキッ
男(銃を構えた所でどうにも出来ないのはわかっている)
男(だがそれでも、武器を構えているという事それだけでも心持ちは違うものだ)
男(俺はただ立ち尽くしながら、虚構の戦いを見ている)
虚構「数だけは……異様に多いな」
男(虚構を取り囲み押し潰さんとしているが如く深海棲艦の群れは囲いを作りながら迫る)
虚構「だぁぁッ!!!」
男(姿勢を低く構え、驚異的な瞬発力で深海棲艦の喉元へ迫り)
ドゴォォォッ
男(駆逐艦級の下顎への蹴りが装甲を突き上げ、爆発した)
男(さらにそこから後方の深海棲艦へ切り返しの蹴り)
男(両脇からも迫る深海棲艦へはその勢いのままに拳を叩きつける)
ドゴォドゴォドゴォォォッ!!!!!
男(炎と煙が充満し黒い血が果実を思い切りに握りつぶしたかのように弾け飛ぶ)
男(艦娘の戦いじゃない……)
男(古く。戦いというものは存在した)
男(初めは素手の戦いから、今から見れば陳腐な武器を使った戦いへ)
男(青銅や鉄器の時代を経て、遠距離からの攻撃が台頭しやがて主流となっていく)
男(遠距離から相手を殺す分には自分の手は汚れない)
男(射程が長くなれば長くなるほどに自分の身が近接的に傷つけられる確率は低まる)
男(近距離戦闘よりも遠距離戦闘が優れている。それが遠距離戦闘が発達し今の様な形になった理由でもある)
男(艦娘という存在もまたそれに準ずる戦いを主とし、行使する)
男(だが虚構はまるで……)
虚構「疾ッ!!」
ドゴォォォッ...
男(格闘技……いや、古代の剣闘士の様な。己の肉体の力を用いて戦う事が至上であり至高であると)
男(そう錯覚させてしまうほどに……強い)
男(勿論遠距離からの攻撃も出来るだろう)
男(だが虚構は自ら深海棲艦へと突入して行った)
男(遠距離戦闘を駆使し数の暴力をも使う者よりも)
男(はるかに高い近接戦闘能力を有したたった一人の存在こそが恐ろしく、驚異的なのか)
男「……!!」
男(思えばそうだ。先ほどの現実での自分の戦闘ですらそうだった)
男(最先端の技術を利用し作られた次世代兵器が深海棲艦という化け物を次々と屠る)
男「……戦争は」
男(戦争は……変わるのか?)
男(一周巡り戦闘の形はこのような形になるのでは)
男(次世代兵器の台頭した近未来は、そう言った世界なのではないか)
男「……」
キュッ...
ここまでです
乙
乙です
男(よもや始めから俺がこの戦闘の一切に付け入る隙はない)
男(仲間もこちらに到着していない以上指揮を振るう事も出来ない)
男(ただなにもせずに待つだけか……)
男(どうもそれだけでは腑に落ちない部分はあるが)
男「……仕方ないか」
男(こうも敵が近くては煙草を吸う事も出来ない)
男(周囲を見渡しながら。俺は戦場を把握する事に努める事にした)
男(周囲は遮蔽物の一切無い海。夜間の為見通しは効く地形のものの視界はやはり狭まる)
男(目標は数キロ先に浮かぶ巨大空母)
男(現実ではあれだけの重武装を十分に生かしきれてはいなかったが電子世界では恐らく違うだろう)
男(そして敵の数は……未知数)
男(どれだけの深海棲艦が待ち受けているのか)
男(今の所駆逐艦級が主だが恐らくこれは斥候の類だろう)
男(奴らの本陣である以上、生半可な戦力で決戦に挑むなどほぼあり得ない事である)
男(戦艦級、空母級などの強力な深海棲艦が待ち受けている事は予想も容易い)
男(対するこちらの戦力は)
男(解放旅団が有する第一艦隊)
男(防衛機構の最高戦力である俺が指揮する艦隊)
男(バックアップ、サポートには霧島)
男(数でこそ劣るが練度においてはこちらが優勢だと思いたい)
男(なにもない場所であるからこそ。単純な戦法で挑むしかない)
男(隊列を組み、迫る敵を撃滅し、目標を破壊する)
男(艦娘の運用は従来、現実での艦隊を運用するのと同様に行われてきた)
男(船特有の隊列を組み、敵の向かう先と並行に移動を続けながら撃ち合う)
男(だが俺はそれではならないと思い、陸の兵士、戦車を運用するのと同様に運用した)
男(結果は……言わずもがな)
男(防衛機構では最高戦力とも言われる艦隊を指揮する事となったのだ)
男(……だがそれでも俺はまだ物足りなさを感じていた)
男(何かが違う。ライフル兵の組む隊列、小銃をもった小隊の様な運用)
男(……今先ほど、その違和感が解けた様な気がした)
男(ただ遠距離から攻撃するだけでなく。近接戦闘に持ち込む事もまた重要な要素であると)
男(剣を構え、弓を引く騎士の様に)
男(近接と遠距離を織り交ぜた戦術こそが一番の運用方法なのだと)
男(俺はさながら馬にまたがり剣を掲げる将軍の様に)
男(艦娘は槍や弓を携え突撃する兵の様に)
男(これでいい。この陸戦術を用いて俺は……)
ザバッ...
男「……ッ!?」
男(思考に耽っていると背後で水音が聞こえた)
バッ!!!!
男(反射的に固い水を蹴り斜め方向へと飛び出し身体を反転させる)
ドゴォォォッ!!!!!
男(直後俺のいた場所で水柱が上がり、空から海へと帰る水の合間に……)
深海棲艦「……」コォォ...
男(口から煙を上げる深海棲艦の姿を捉えた)
ここまでです
男「ッ……!」
男(背後からの奇襲とは……!)
男(細身に白い両腕が生えた姿)
男(頭に光る緑色が俺を覗いている)
男(駆逐ニ級……か)
男(艦娘からすれば弱小な分類)
男(だが俺は当然ただの人間だ……)
男「……」チャキッ
タタタンッタタタンッ
男(小銃を腰だめのまま撃つ。だが当然銃弾は装甲に傷すら与える事なく無力にも弾かれた)
駆逐ニ級「……」
グバァッ
男(目の前の駆逐艦級は大顎を開き、こちらへと猛スピードで突撃してきた)
男「チッ……!!」
バッ!!!
ザバァッ!!!!!
男(咄嗟に右手方向へと身体を投げ出して噛み砕かれるのを回避したが)
男「ぐっ……」
男(硬い水に身体を打ち据えた)
ザバババッ!!!!!
男「……ッ!!」
男(俺が身を起こそうとしたその時、駆逐ニ級はその勢いを殺さないまま水上を滑り方向をこちらへと向け……)
コォォ...!!
男(口内が一瞬。煌めいた)
ドゴォォォッ!!!!!
男「……」
ザバァァァッ...
男「……ん」
駆逐ニ級「……」ゴボッ
「提督!!」
男「……!」
男(俺の危機を救ってくれたのは……)
男「古鷹……」
古鷹「大丈夫ですか!?」
ここまでです
乙です
乙
日向「全速航行で来てよかったな」
神通「提督、お怪我はありませんか?」
男「あぁ……大丈夫だ」
龍鳳「艦載機、攻撃開始!」
北上「さてと。早く指示してよ」
男「……」
男(古鷹に続いて皆がこちらに集まっていた)
男(踊り狂う虚構の周囲では日向と龍鳳の艦載機が深海棲艦への攻撃を始めている)
男「……総員。敵母艦への攻撃を開始する」
男「いくぞ……!」
男(深海棲艦母艦、深淵への攻撃が始まった)
男(解放旅団は未だ道中での深海棲艦の攻撃により進軍を阻まれているらしい)
男(もしかすると、それの影響で敵の戦力が小さいのかもしれない)
日向「航空戦艦の名は伊達ではない。斉射ッ!!」ズドォンッ!!!
北上「さーてと。一発ぶちかましますかね~」
ドンッドンッドンッ
男(敵は虚構を取り囲む部隊と母艦を防衛する部隊に分かれているようだ)
男(虚構ならばなんとでもなるだろうと。俺は防衛部隊への攻撃を指示した)
男(それに加え、虚構に大多数の深海棲艦が群がっており)
男(母艦の守備が手薄になっていたのもある)
神通「参ります……ッ!!」
古鷹「重巡洋艦を……馬鹿にしないでッ!!」
男(日向と北上が敵へ砲撃を加えた後に、出来た隙から神通と古鷹が突入する)
男(さらにそこで分断された深海棲艦を龍鳳の艦載機が叩くという戦法だ)
また寝落ちでした……
乙です
男(激しい戦闘が始まり、敵陣に切り込んで行った部隊は次々と深海棲艦を屠っていく)
神通「ッ……!」チャキッ
ズドォンッ!!!
北上「さぁて。魚雷をたっぷり食らうといいよ!」
ボンボンボンッ!!!
古鷹「撃ちますッ!!」
ドンッドンッドンッ!!!
日向「航空戦艦を侮るなよ!」
ドゴォォォッ!!!
龍鳳「艦載機、爆撃降下!!」
男(敵の陣営は崩壊。防衛ラインはあっという間に消し飛んだ)
男(寸断され、個々となった深海棲艦が反撃しようとするが……)
虚構「これじゃあ艤装を出す意味もないな」
ブンッ!!!
男(群がる敵を殲滅し終えた虚構がこちらに加わりさらに深海棲艦は散り散りとなり、その数を減らしていった)
男「……」
男「……なにか。おかしい」
男(俺はこの戦闘のあまりにも呆気ない内容に違和感を覚えていた)
男(敵の命綱とも言えるここの防衛がこれほどまでに貧弱?)
男(ありえない……必ずなにかあるはず……)
どうしても納得のいく戦闘シーンが思いつかなかったのでかなり簡略化していきます。一応最後の強敵なんかも出す予定も考慮して構想してたのですがどうしましょうか……
これが終わったらエンディングというか。終わりの終わりなので
乙です
乙
納得いくまで考えればいいと思う
生存報告だけあれば
霧島『解放旅団、戦闘海域に突入します!』
男「全員、解放旅団の合流を待ち深淵へ攻撃を掛ける」
男(解放旅団本隊が到着したならば、わざわざ防衛機構だけで攻撃を仕掛ける必要はない)
男(伏兵が存在するのか。それとも……)
男(やがて深海棲艦の姿がほとんど消えた海域は、凶悪な姿の母艦を残し)
男(退却を始める深海棲艦以外はとても静かなものだった)
男「……」
木曾「解放旅団。総員到着」
虚構「あぁ。お疲れ」
男(これが……あの事件の……)
男(虚構の側に並んだ艦娘達は、皆凛とした表情をしていた)
男(……こちらとは練度も比べ物にならないほどなのだろう)
翔鶴「……日向、さん?」
日向「……久しぶりだな。翔鶴」
金剛「日向!元気だったデスカー!」
男(日向はその事件の当事者でもある。皆とは旧知の仲なのだろう)
男「……」チラッ
天龍「……中尉」
電「……」
男「……まさか。龍子に稲、か」
男(二人の顔に既視感を覚えた瞬間。俺はどきりとした)
男(今まで剣の稽古をつけてくれていた養護院の院長と、その妹が……)
男(あの蜂起の当事者であり、解放旅団だったのか……と)
天龍「……事情は全部聞いてる。狙われてるってのは本当なのか?」
男「……そうだ。それよりも……」
男「龍子は。ずっとかなみに潜伏していたのか」
天龍「潜伏?なんの話だ。それと今のオレは天龍」
天龍「こっちは電だ。名前は……知ってるよな」
男「ならば天龍。君はずっと……解放旅団としてかなみ市に潜伏していたのか」
男「俺と接触したのも。偶然では……」
天龍「オレは解放旅団になった覚えはねぇ。最初から養護院の院長としてかなみに居た」
天龍「今は……稽古を付けてた門下生がやばい目にあってるって聞いたからなのと」
天龍「……ガキ共を守ってやらなきゃいけねーからだ」
天龍「だからオレはここにいる。こうして大昔の艤装なんざ背負ってここに来てんだ」
男「……」
男(天龍の目は真っ直ぐに俺の顔を見ていた。決意と、覚悟の混じった表情が尚更に)
男(本気なのだと感じさせた)
男「……すまない」
虚構「久しぶりの再会に会話もいいけど……」
虚構「深淵を沈めるぞ、全てそれからでもいいだろう」
霧島『なっ……深淵よりミサイル発射確認!武装も多数展開!』
霧島『あえて防衛を薄くしていた……それほど対次世代兵器用兵器としてのポテンシャルが……?』
虚構「霧島!!深淵のファイル防壁を破壊!武装解除!」
霧島『わかりました。すぐに……』
男「全員、攻撃翌用意!!」
虚構「先頭は戦艦だ。一点に集中して攻撃を行うッ!!」
とりあえず。書きたい欲に任せて書いてみることにします
更新頻度はかなり低下してると思いますが、よろしくお願いします
乙
書きたいもの書くのが一番よ
乙です
ズドドドド...
男(煙と共にミサイルが撃ちあがる)
男(しかもそれはたかだか一発の斉射では無かった)
男「なっ……」
虚構「連発!?一体どうなってるんだ!!」
霧島『次弾装填までは時間が掛かるはず……なんで……』
日向「まずいんじゃないのか!?」
男「全航空部隊はミサイルの迎撃!!全員散会して回避行動!!」
男(幾重にも積み重なった煙は雲の様に分厚く深淵を覆う)
男(空には無数のミサイル群が……こちらに向かってくる)
虚構「こちらも回避行動に移る!」
虚構「霧島、艤装の用意を」
霧島「はい!!」
男「ッ……」
ザッザッザッ!!!
男(艦娘達が動き出すのと同時に俺も水面を蹴り走り出した)
男(あんなものを食らえば艦娘ですら危うい)
男(俺ならば……余波ですら異様な程の脅威だ)
龍鳳「ミサイル、こちらへ向かってます!」
翔鶴「これだけ多いと落としきれない!」
金剛「対空攻撃!!」バララララ!!!
天龍「オレは……とんでもねぇもんと戦ってんじゃねぇか?」バララララ!!!
木曾「そりゃあ対次世代兵器用兵器、だからな」
少し少し進めます
乙です
乙
生存報告です。スランプと言ってしまえば簡単ですがこう……どうもシリアスな話を書こうとすると指が止まってしまうような状態です
これだけやったら最後までやりたいし、途中で投げ捨てたくはありません。少しだけお時間を下さい。身勝手ではありますがどうぞよろしくお願いします
報告乙
イベントもあるしゆっくり納得するもの書いてくれ
報告乙
保守
ageんなゴミクズ
生存報告です。徐々にシリアス欲溜めてやっとこさなんとか出来そうです
お待たせして申し訳ありませんでした。時間を少し開けて、また書かせていただきたいと思います。よろしくお願いします
報告乙
保守作業
保守
ほ
男(各々対空砲火を空へと放つがあまりにも数が多すぎた)
ズドォォォ!!!
男(空中で次々ミサイルは爆発し、視界を煙で覆う)
男(そしてその中からこちらに向かって、獲物を捉えた獣の様に迫る……!!)
男「間に合わないか……ッ!!」
虚構「チッ……全員深淵の懐まで飛び込む!!」
虚構「混乱した深海棲艦は放っておけ!!」
虚構「いくぞ!!!」
霧島『戦艦虚構、アプリケーション起動!!』
男(先頭に飛び出し駆け出した虚構の身体から火花と電気が迸り始める)
バチンッ!!ジジジ...
男(電流は広がり、光を放ちながら巨大な形を作り上げていく)
バッ!!!
男(刹那、視界を遮る程の光が辺りを覆った)
ズドォォォンッ!!!!!
男(先ほどまでの中年サラリーマンの姿は消え、黒色の巨体が海を滑り出した)
男「俺たちも続くぞ!!」
男(最早迷っている時間もない。小銃を抱え込み全力で走り出す)
古鷹「提督!!私の手に捕まって下さい!!」
男「あぁ!!」
男(隣にいた古鷹の手を強く握りしめる)
ズドォォォッ!!!
男(水柱をあげて虚構の後ろを追従する様に、古鷹に引かれながら俺の身体も異様な速度で海面を滑る)
金剛「私も遅れない様に続くネ!!」
木曾「こいつは……中々に面白くなってきたな……!!」
ちまちまと最後まで書かせていただきます
待ってた乙
乙です
男(自然と陣形を組みながら深淵へと猛進していく)
北上「ミサイル落ちてくる!!」
男(北上が後方を振り返りながらそう叫ぶ。つられて俺も後方を見やったその瞬間)
ズドォォォッ!!!!!
男(すぐそばで落雷があったかの如く轟音が聴覚を奪い、すぐに強烈な水しぶき)
男(いや、水の壁が俺の身体を……)
男「ッ!!!」
ドゴォォォ...
男「ごぼッ……!!」
男(直撃し、呑み込んだ)
古鷹「提督!!!」
男(そのあまりの強烈さに、繋いでいた手が離され)
男(身体が水流に押し流される)
男「ごばっ……ごふっ……」
男(視界は暗く乱れ、水が身体の内部に侵入していく)
男(叩きつけられた様な全身の痛みに喉から胸の内までの痛み)
男(手を伸ばすが……)
男(あっという間に皆の影は消え去り、押し流されていった)
男「……」
男(まずい……このままでは……)
男(死ぬ……)
男(走馬灯など見えない。ただただ痛みや視界、感覚が薄れていく)
男(意識が消えていく)
男(まだ……ッ!!)
男(必死に体制を変えようとするが勢いの激しい水流がそれを許さない)
男(あぁ……これほどにつまらない所で……)
男(……)
ゴポッ...
『提督、よもやこんな所で終わるつもりか?』
男「……」
『あの世でまったりもさせてくれないか……やれやれ』
男(……)
『これで最後だぞ?後は……頼るべき人間がいるはずだ』
男(……)
『手を伸ばせ。さぁ、早く』
男「……」スッ...
虚構「くっ……!!!全員波に呑まれるなよ!!」
古鷹「提督が……!!提督が!!」
霧島『夢幻が波に呑まれました!!』
虚構「なっ……チッ……!!」
虚構「突撃を続けろ!!!止まれば的にされるだけだ!!」
神通「っ……!!」
木曾「俺がソナーで探索する!!誰か援護しろ!!」
金剛「比叡!!榛名!!」
比叡「任せて下さい!!」
榛名「木曾さんは私が守ります!!」
虚構「……分かった。ただし120秒だ!!それ以上は許さない!!」
天龍「オレも手伝うぜ!!」
電「電もお手伝いします!」
翔鶴「艦載機!!敵空母を攻撃!!」
龍鳳「兵装を集中的に狙います!!」
日向「ならば私は防衛に努めようか」
神通「敵陣を切り開きます!!」
北上「んじゃま、気合い入れないとね!!」
虚構「速攻で……沈める!!!」ジャコン!!!
霧島『亜音速徹甲弾、射撃翌用意!!』
虚構「撃てッ!!!」
ズガガガガガッ!!!!!
>>315 修正
天龍「オレも手伝うぜ!!」
電「電もお手伝いします!」
翔鶴「艦載機!!敵空母を攻撃!!」
龍鳳「兵装を集中的に狙います!!」
日向「ならば私は防衛に努めようか」
神通「敵陣を切り開きます!!」
北上「んじゃま、気合い入れないとね!!」
虚構「速攻で……沈める!!!」ジャコン!!!
霧島『亜音速徹甲弾、射撃用意!!』
虚構「撃てッ!!!」
ズガガガガガッ!!!!!
虚構「なっ……」
霧島『……これは」
虚構「弾丸が……消えた……?」
虚構「……ならば近接で……ッ!!!」
ズドォォォッ!!!!
ガンッ!!!!!
虚構「……ッ!?」
神通「なっ……なんですか……!?」
北上「……今、なにかにぶつかった?」
虚構「……障壁か……ッ!!!!」
霧島『し、深淵の周囲に超高度の障壁を確認!!』
霧島『……なんてプログラム。一箇所に何重にも暗号化が重ねられてる』
虚構「クソッ!!!」
『お困りの様だな!!』
虚構「……やっと来たか……」
男(……手を、伸ばせ……か)
男(力無く、腕を身体の上へと伸ばす)
男(その瞬間だった)
グッ...
男(誰かが……俺の手を握った……?)
男(その手は……俺の身体を強く引く)
男(沈みかけていた身体が急速に浮かび上がっていく)
男(何故だか……懐かしい……ような)
男「ゴバッ!!!ガハッ!!ゴボッ……」
「ほう……随分な荷物が沈みかけていたみたいだな」
男「はぁ……はぁ……」
男(呑み込んだ水を一気に吐き出し、朦朧とした視界に一人の女性の姿が映る)
「済まない。深海棲艦が思ったより多くて遅くなった」
男「……」
虚構「夢幻も拾ってくれたか。助かる」
「いいさ、それより……奇襲からの挟撃の手筈だったが予定がずれたみたいだな」
木曾「なぁに、これからさ」
天龍「……そういや見かけないと思ってたけどよ」
電「あ……貴方は」
「よし、この私が来たからには戦況は覆させてもらうぞ」
長門「解放旅団、戦艦長門。これより砲雷撃戦に突入するッ!!」
流石にこれだけ間が空くと温めてたシナリオとかいろいろ頭からすっとんでますが……なんとか書き切ります
乙
艦これでも実際の艦でも大和型より長門型二隻の方がカッコいいし好きや
乙です
陸奥「私も忘れないでよね。さぁ、いくわよ長門ッ!!」
長門「何も考える必要などない。一点を集中して攻撃しその暗号化共々破壊してやれッ!!」
男「がはっ……はぁ……はぁ……」
男(飛沫をあげながら移動を開始した長門と陸奥を見やりながら、俺は息を大きく吸い込んだ)
男「すぅ……はぁ……」
男(四肢に力が入らない。水面に浮かびながら俺は解放旅団に視線を移す)
男(まさか……長門に陸奥……か)
男(まさかあの施設の一員の半数以上が今、解放旅団に所属しているのか)
男(艦娘という存在の先駆け達。今の時代の先駆者達がここに集結しつつあるのだ)
男(俺は今、とんでもないものを目撃しているに違いない)
男(おおよそこれだけの戦力で敗北するという事すら想像も付かなくなっていく)
男「……まだ。やらなければ」
男(身体に力を込める。徐々に感覚を取り戻していき上半身を起こす)
古鷹「提督っ!」
男(片膝まで立てた時、こちらまで駆け寄って来た古鷹に……)
男「っ……」
古鷹「提督……」
男(抱擁された。冷たく濡れた身体に古鷹の体温が伝わる)
男(どきりと、心臓が高鳴った気がした)
古鷹「お怪我は……ありませんか?」
男「あぁ。大丈夫だ……それよりも」
男「防衛機構全軍、解放旅団の攻撃に合わせ障壁を破壊しろ!!」
男「古鷹も、攻撃に加わってくれ」
古鷹「嫌です」
男「……」
男(強く、身体を抱かれる。古鷹の鼓動が伝わるほどに、強く)
古鷹「私は提督のそばに居ます。提督を守ります」
古鷹「提督の指揮が私達には必要なんです」
ザァァ...
男(甘い香りが鼻の奥を刺激する。確実に、俺の鼓動は早くなっていた)
男(……この、感覚は)
古鷹「……だから。提督はここに居て下さい」
男(そう言うと古鷹は腕を引き離し、立ち上がる)
男(周りを見ると、散り散りになっていた深海棲艦がこちらを取り囲む様に集結していた)
男「……そうか。俺は、戦えないからな……」
古鷹「私達は提督の指揮が無ければ戦えない」
男(お互いに目を合わせて、頷く)
男「……頼んだ」
古鷹「はい……ッ!!」
長門「撃て!!撃って撃って撃ち尽くせ!!」
虚構「どれだけ堅いんだこの障壁はッ!!」
日向「ミサイル第二波来るぞ!!!」
男「全員散会ッ!!一点への攻撃は保ちつつ回避だ!!」
木曾「これだけ集中砲火を当てても未だびくりともしないか……」
霧島『いえ……僅かにですが暗号化が解除……破壊されています』
翔鶴「このまま攻撃を続ければ……ッ」
龍鳳「どうにかなるかもしれませんね!」
古鷹「っ……」ダッ!!!
ドゴォォォッ!!!
古鷹「まだッ!!」ジャコンッ
ズドンッズドンッズドンッ!!!
北上「ねぇ、一人で大丈夫なの!?」
神通「古鷹さんを信じましょう」
天龍「それよか、オレ達の心配をした方がいいんじゃねえのかッ!?」
電「落ちて来ますッ!!」
金剛「回避ーッ!!!」
ドゴォォォッ!!!!!
比叡「ひえええええ!!!」
榛名「榛名はこんなミサイルには負けませんッ!!」
ここまでです
乙
乙です
虚構「チッ……中々攻めきれないな……」
翔鶴「相手の攻撃をかわしながらでは攻撃にブレが出ます」
虚構「一点をより集中的に叩く必要がある……が」
虚構「……」
男(考えろ。何か策はあるはずだ……)
ズドォォォッ!!
古鷹「くっ……」
男(俺の周囲を高速で移動し、次々に深海棲艦を穿っていく古鷹)
男(だが徐々に敵の攻撃を受け、疲弊していく)
男「古鷹。まだやれるか?」
古鷹「まだまだ……これからですッ!!」
男「……頼む」
男(破れない障壁……こちらの総力をもってしても僅かに揺らぐ程度)
男「霧島、そちらから障壁は破れそうか?」
霧島『いえ……ファイアウォールを突破してもものの数秒で再展開されてしまいます』
男(霧島も攻めあぐねている。突破は困難……か)
男(……せめて、あの障壁の裏側に潜り込む事が出来れば)
男(だが破壊せずに潜り込む事など出来るのか……?)
男(言わば鍵の掛かった戸の様なものだ)
男(鍵を、どうにかしなければ……)
男(……鍵?)
男「霧島。その障壁は暗号が掛かっていて突破出来ないのだったな」
霧島『はい。しかし暗号の割り出しをするのは非常に時間が掛かります』
霧島『短時間で突破するには無理矢理突破する他に方法は……』
男「そう上手くいくはずも無し……か」
男(せめて向こうから開いて貰えれば楽なのだがな……)
男(……ッ!!)
男「……霧島」
霧島『はい』
男「俺たちの識別情報を一時的に深海棲艦に偽装する事は出来るか?」
男「ほんの一瞬でもいい。あの見えない障壁をすり抜ける間だけで十分だ」
霧島『しかしそれは……敵に姿を晒した状態で上手くいくでしょうか……』
虚構「霧島ッ!!それでも構わない。実行してくれ」
虚構「俺に金剛型、それと軽巡だけでいい。一気に間合いを詰めて内外から叩くッ!!」
霧島『わかりました!!』
虚構「さて、夢幻。君にも艤装を用意している」
男「……」
虚構「霧島の準備が整い次第。君の情報を上書きする」
虚構「……やはり今回の作戦は君の指揮に掛かっていそうだ」
男「……」
男(さて……あとは……)
霧島『偽装プログラム構築開始。簡易的なものですからもって5秒が限界ですね』
虚構「それだけ出来れば上出来だ」
霧島『セッティング。第一段階構築、第二段階……』
霧島『なっ……なに!?』
虚構「どうした!?」
霧島『深淵後方から大量の情報が……押し寄せて来ます!?』
霧島『これは……違う。改変プログラム!』
霧島『全員退避して下さい!!早く!!』
男(霧島がそう言った瞬間。巨大な船体の後ろから、砂嵐の様なものが現れ、こちらに溢れ出した)
ゴォォォォォォッ!!!!!
男(それはあっという間に俺たちを包み、視界に聴力を奪う)
男「ぐっ……これは……」
ザリッ...ザリッ...
男(まさに砂嵐そのものだ。まるで荒れ狂う砂漠の真ん中にいるような感覚)
ジジッ...ジジジッ...
男(強烈な砂と風の音と、火花が爆ぜる音が入り乱れる)
男(目を開ける事も叶わず、眼前を手で遮り)
男(なんとか薄めを開けた)
ザリッ...ジジジッ...
男「ッ!?」
男(そこに見えたのは、形が崩れ始め消えていく俺の右腕だった)
男「なんだこれは……誰か!?なにがどうなって……」
ここまでです
乙
乙です
男「……」
男「……」
男「……」
男(砂嵐に呑まれ、身体が消えかけ、意識が途絶えてからどれくらいが経ったのか)
男(気がつけば先ほどと同じ体勢で俺は居た)
男(静かだ)
男「……」
男(ゆったりとした漣と、少しの風音)
男(先ほどとは比べものにならないほど穏やかだ)
男「……ここは」
男(視界を覆っていた手をどけて、辺りを見回す)
虚構「……」
男(すぐ近くには虚構がいた。ただ艤装は装備しておらず、最初に見た姿だ)
男(それに解放旅団の艦娘達も)
男「……古鷹。大丈夫か?」
男「……」
男(返事はない。もう一度辺りを見回す)
男(……返事がないどころか)
男(防衛機構の艦娘達の姿が、忽然と消え去っていた)
男「……これは、一体……?」
虚構「……くく」
男「……」
男(虚構が声を発した。だがその様子は尋常ではなかった)
男(腕はだらりと下がり、口元は笑いを堪えきれないかの様に歪み)
男(眼差しは……それだけで深海棲艦を殺せそうな程に鋭い)
虚構「……くははははは!!!」
虚構「どこまでも……因果というか、因縁というか。そういうものを感じるよ」
虚構「まさか……ここにまで来て、またこの光景を見る事になるなんて……な」
翔鶴「そんな……どうして……」
金剛「それに、比叡や榛名の姿も消えてマス」
長門「陸奥に、防衛機構もだ。いや……夢幻を残してだな」
木曾「……この編成」
天龍「……おいおい、冗談だろ……?」
電「あの時と……同じ?」
男(その場に居た全員が、驚愕していた)
男(ここに残った俺以外の者、それで思い浮かぶのは……)
男(彼女達が起こした、蜂起時の編成)
男(そして全員が視線を合わせて見る先には……)
男(白い尖塔)
男「……あれは、何だ」
虚構「……かつて俺たちが暮らした場所」
虚構「俺たちの全てを狂わされた場所」
虚構「俺たちが、破壊した場所」
虚構「解放旅団が、始まった場所」
男「……!!」
男(それはつまり……俺と武蔵、日向が見たその世界。その場所だと言うことか……!!)
虚構「通信は……やはり効かないか」
虚構「まさか、あの場所と深淵とは距離が離れている。あの一瞬で移動させられたとは思い難い」
虚構「ならば、ここは……敵性勢力が構築した空間。アプリケーション内部か、それとも……」
虚構「どちらにせよ。外界からは遮断された」
虚構「補給や支援も無い。ここで敵の総攻撃を受ければ無事で済むかどうか」
木曾「ならばそうならない為に動くべきじゃないか?」
虚構「そうだな。なら……あの場所を目指すか」
長門「しかし……悪趣味ではある。まるで記憶を覗かれているような気分だ」
天龍「……」
電「……お姉ちゃん」
天龍「大丈夫だ。心配すんな」
翔鶴「行きましょう、提督」
虚構「あぁ……夢幻も、ついてきてくれ」
男「分かった。行こう」
男(静かな海を俺たちは進む)
男(遠くに見えていた尖塔は近づくにつれその大きさを増していく)
男(何もない海にそびえ立つそれは美しく見え、同時に禍々しくも見えた)
翔鶴「……なにも、現れませんね」
男(目的地へと近づいてはいくものの、敵の妨害がある訳でもなく)
男(ただただ全員が固唾を呑む様な表情で進むだけ)
男(ここは一体なんだ。敵の目的は?)
男(全く、推測が出来ない)
天龍「なぁ、ここに居ない連中は大丈夫なのかよ」
木曾「さてな。俺たちは知る事は出来ないが……」
木曾「きっと大丈夫だ」
男(そうだ。他の解放旅団や……防衛機構の艦娘達はどうなったのだろうか)
男(今もまだ深淵と戦っているのか)
男(……俺は不安に駆られた)
男(仲間達は無事なのだろうか。それぞれの顔が浮かび上がる)
男(そして最後に……)
男(潰れた大蜘蛛型の姿が、目に浮かぶ)
男「……」
男(……いや、大丈夫だ)
男(彼女達なら、無事だ)
男(彼女……なら)
『よく、来たね』
虚構「!?」
男(不意に、声が聞こえる)
『よくここまで追い詰めたと言うべきか』
『深淵の最終防衛プログラムが作動して、君達は今ここに居る』
翔鶴「……」ギリッ
長門「……どこまでも、悪趣味だ」
『このプログラムは君達の潜在意識、深い場所にある記憶と、一番痛烈に残っている記憶とを照合して』
『より強力な兵器を、より優位に立てる戦場を構築するもの』
木曾「……この声は」
天龍「……クソッタレが」
電「……」
虚構「それでこのメンバーと、この場所という訳か」
『そういう事になる。まだ未完成品でね、不具合はあるが……』
『この様な技術は既に様々なものが開発を進められているんだ』
『電脳に義体、現実が電子世界と混ざり合うのもそう遠くはない』
虚構「その話し方に、声からなにから。全部俺たちの記憶から?」
『その通り。素晴らしいだろう?』
虚構「そうだな……最高に狂ってる」
コツ...コツ...
男(硬い地面を歩く音が響く。尖塔の方向から、誰かがこちらに向かって歩いていた)
コツ...コツ...
木曾「全てが俺たちの記憶から作られた存在なら、俺たちには勝てないさ」
長門「私達は既に、貴様を倒している」
『果たしてそれはどうだろうな』
コツ...コツ...
男(次第に近づき、その姿が……見えた)
男「……!!!!」
男「……それも、そのはずか」
男(向こうから歩いてくる人物。それが誰なのか)
男(なんとなく目処はついていた)
男(ついてはいたが……)
男「……」
男(出来れば、そうであっては欲しくなかった)
『久しぶりだね。少佐、皆も』
『それと……男。元気にしていたかな?』
男「……」
あくまで観測世界の艦娘達では、電子世界の艦娘達の背景や紐解き、因縁などを書きたかったのでこういう展開に。くどいかんじは自分の中でしてますが
乙
乙です
お約束の年末激務で死にそうなので年明け以降に続きを書きたいと思います。皆さんよいお年を
男(あの写真を思い出す)
男(父と隣り合わせに、微笑んでいた姿)
男(それと同じものなのに、それはまるで違うものの様に見えた)
男「……姉……さん」
姉「済まなかったね。男には随分辛い思いをさせた」
男(決別したつもりでも、その姿と声は俺の心の奥底を抉り出す様に鋭い)
虚構「夢幻。あれは君の姉じゃない」
男「……わかっている」
男(一つ深呼吸をして、偽物の姿を見据える)
チャキンッ
男(静かに自動拳銃をその顔に向けて、構えた)
男(あの夢の時の様に、もう一度撃てばいい。それだけだ)
姉「フフ……それで私を撃てるのか?」
姉「男が望めば、男の望んでいる普通の家庭を創る事だって出来る」
姉「男の望むままの形で……」
男「黙れッ!!」
男(幻惑に惑わされてはいけない)
男(……決着はもう、自分でつけた)
姉「フフン……まぁ、男には私よりも相応しい相手がいる」
男(姉は不敵な笑みを湛えながら、パチンと指を鳴らした)
男(ブクブクと、俺の目の前で海が泡立ち始める)
男「ッ……」
男(咄嗟に後ろへと下り、その泡の先を見た)
男(影が……浮かんでくる)
男(透明な海だがその先は見えない。だがその影の先端が海中から姿を現した時、俺は言葉を失った)
男「な……ぁ……」
男(カタカタと銃口が揺れる)
男(嘘だと思いたかった。最低の現実だと思った)
木曾「チッ……まさかこんなものまで用意しているとはな……」
長門「……こちらもまた再び相見えるとは思わなかった」
男(解放旅団達の前でもまた同様に海中から何かが現れていた)
虚構「……」
翔鶴「……大和、さん」
大和「……」
天龍「……クソッタレ」
電「……」
男「……なんて、趣味の悪い」
男「最高に、最悪だな……」
武蔵「先ほどぶりだな、提督」
武蔵「君の煙草と酒が恋しくなって戻ってきてしまったよ」
男(いつもと変わらない口調、姿)
男(だからこそ……これほどまでに心を揺さぶるのか)
男「……お陰で退屈しない反面、心労で倒れそうだが」
武蔵「倒れられては困るんだがなぁ……」
木曾「提督ッ!!大和の相手は俺たちがするッ!!」
木曾「だから……」
虚構「分かっているさ。もう一度沈め、元帥」
姉「もう一度沈むのは君だ、少佐」
姉「もう幸運の女神の加護なんぞ付いてはいないからな」
男「単刀直入に聞くが……お前は俺を[ピーーー]か?」
武蔵「死なない程度に痛めつけて捕らえる、のが一番だとは思う」
武蔵「けれども艤装を付けた私と君、相対して加減など出来るだろうか」
武蔵「せいぜい死なない程度に頑張ってくれ」
男「……チッ」
>>356 修正
木曾「提督ッ!!大和の相手は俺たちがするッ!!」
木曾「だから……」
虚構「分かっているさ。もう一度沈め、元帥」
姉「もう一度沈むのは君だ、少佐」
姉「もう幸運の女神の加護なんぞ付いてはいないからな」
男「単刀直入に聞くが……お前は俺を殺すか?」
武蔵「死なない程度に痛めつけて捕らえる、のが一番だとは思う」
武蔵「けれども艤装を付けた私と君、相対して加減など出来るだろうか」
武蔵「せいぜい死なない程度に頑張ってくれ」
男「……チッ」
男(落ち着いて、考えろ)
男(一歩、二歩と後退りしながら考える)
男(余裕の表情でこちらに歩む武蔵を見ながら思考を巡らせた)
男(惑うな。姿形は同じでもアレは深海棲艦なのだ)
男(だが俺たちの記憶からアレが形作られているのならば勝機はある)
男(武蔵の戦闘は一番俺が間近で見てきた)
男(攻勢も守勢も。癖まで俺は分かっている)
男(性格までもが似かよるならば……)
男(まだ……諦めるには早すぎる)
武蔵「さぁ、いつもの鍛錬の成果を見せてもらおうか」
男「……」
思うに究極のクライマックスイベントかと。王道が熱いのは王道が故に。故に王道なんだと思います
乙
王道といわれる程使われてるのに熱くなれるからこその王道だな
乙です
男「ッ!!」
男(腰だめの姿勢から鋭い右拳が飛来した)
男(そこそこに距離は開いていたはずなのにそれは一瞬でこちらの顔面を捉え、狂った車両の様に迫る)
男(瞬間の判断でそれを顔を右に逸らしいなす)
男「……」
男(顔に当たる風圧に左目を閉じる)
男(これがもし当たっていたならば……)
武蔵「ほう……流石だな。だがこれからだぞ」
男「それは……恐ろしいな」
男(隙を見て一撃加えたい所だが反射が恐ろしい)
男(ましてや奴の一撃を受け流そうとでもすれば鉄塊が飛んできている様なもので)
男(当たる事すら許されない)
武蔵「これならどうだ!!」
男(武蔵の身体に僅かなひねりが加わるのが見えた)
男(瞬間、左脇を抜ける様に身体を飛び込ませ)
男(振り返り二歩離れると、俺がいた場所には鋭い右脚があった)
武蔵「流石に……読まれているか……」
男「……」
武蔵「だが一撃でも当たれば私の勝ちだ。提督よ」
武蔵「いつまで逃げ切れる……?」
男(脚を降ろし振り向きざまに見せた表情は……冷め切っていた)
長門「全砲門、撃てぇぇぇッ!!」
ドンッドンッドンッ!!!
木曾「ありったけ撃ち込め!!」
翔鶴「艦載機、発艦します!!」
天龍「とんでもねぇ相手が出てきちまったな……」
電「それでも……負けられません!!」
金剛「大和……」
大和「ふぅん……こんなものなの?」
長門「な……あれだけ撃ち込んで無傷……?」
大和「これでも世界最強の戦艦の名前を冠している訳で」
大和「侮られては困るわね」
とりあえずここまでで
乙
乙です
このSSまとめへのコメント
完結まで頑張ってください!
このSS好きなので最後まで頑張って下さい!