ジャックバウアー「今すぐゼロを尋問するぞ!」スザク「今すぐじゃなくても」 (228)

コードギアス×海外ドラマ24のクロスssです

ギアスは時系列に沿ってますが、24はシーズン意識してません

ノリで書いたのでノリで読んでください。矛盾は気にしたら負け

でも頑張って完結させます


SS投稿初めてです。指摘あればどうぞ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429261630

ジャック「本当に助かった。礼を言う」

スザク「いいえ、僕は溺れている人を助けただけです。……ところでなぜあんなところにいたんですか?」

ジャック「それが俺にもよくわからないんだ……」

スザク「わからない?」

ジャック「一仕事終えた帰りのことだった。誘われるように裏路地に入るといきなり光に包まれて、気付いたらあの扉の前にいたんだ。俺はてっきり核爆発に巻き込まれたと思ったんだが」

スザク「(核爆発??)それが神根島の扉だったんですね。ところで、そこから何故溺れていたんです?」

ジャック「端末の電波が繋がらなくてな」

スザク「端末?」

ジャック「これのことだ」スッ

スザク「(携帯じゃん)はあ」

ジャック「繋がる位置を探して歩き回っている内に……」

スザク「海に落ちてしまったわけですね」

ジャック「ああ……クソッ、俺としたことが!」

スザク「……まあ、とにかく身分を証明するものを。自宅まで送りますよ」

ジャック「頼む。俺にはここがどこかすらわからん」スッ

スザク「えーと、……CTUロス支局勤務??(ブリタニア本国かな)」

ジャック「どうした」

スザク「確認ですけどブリタニアの方ですよね?」

ジャック「は?ブリタニア?」

スザク「ブリタニア」スッ 国旗を見せる

ジャック「なんだその中世にありそうなマークは」

スザク「??」

――――

ジャック「なんということだ……元の世界に戻るにはどうしたらいい……キム……」

スザク「(あーなんかめんどくさいことになったな)とりあえず、政庁で保護しましょうか」

ジャック「そ、そうか。それは助かる」

スザク「では輸送機に乗って下さい。小さいですが幸い2人用なので乗れますよ」

ジャック「すまない。ところで君はどうしてここへ?」

スザク「ああ、皇帝陛下からの命令で」

ジャック「皇帝陛下?」

――――

ジャック「……つまり君はその若さでブリタニア軍のトップなのか?」

スザク「まあそんなところです」

ジャック「見上げたものだな」

スザク「ありがとうございます」

ジャック「今はどんな任務についている?」

スザク「エリア11の統治です。それと、ゼロの捕縛」

ジャック「ゼロ?」

スザク「……黒の騎士団というテロリストを束ねr」

ジャック「テロリストだとッ!!?」クワッ

スザク「!?」

ジャック「詳しく聞かせてもらえるか」

スザク「は、はあ」

かくかくしかじか

ジャック「……」

スザク「あ、あの……」ソワソワ

ジャック「……わかった」

スザク「は?」

ジャック「俺もそのゼロの捕縛及び黒の騎士団の壊滅に協力しよう」

スザク「へ??」

ジャック「君には命を助けられたという恩がある。それを返すにはこれしかない」

スザク「い、いや、よりによってそんなことしてもらわなくていいですって。一般人の方
に」

ジャック「最大限の感謝の気持ちだ」

スザク「話聞いてます?」

ジャック「それに俺は一般人ではない。俺が所属しているCTUとはテロ対策ユニットのこと。テロを未然に防いだ経験は数知れない」

スザク(通りで身のこなしが普通じゃないと思った)

スザク「ですがあなたの世界とこの世界は勝手が違います。あなたがそちらの世界でどうだったかは知りませんが、同じようにいくとは限りませんよ」

ピピピ

スザク「あ、電話だ……」

スザク「もしもし」

『俺だ』

スザク「!!っ、ルルーシュ」

『お前に伝えて欲しいと先生が言っていたのだがな……』




ピッ通話終了

スザク「ふう」

ジャック「友だちか?」

スザク「ええ」

ジャック「……君が探っている相手だな」

スザク「!?」

ジャック「君の反応を見ていればわかる」

スザク「……」

ジャック「黒の騎士団の関係者か?」

スザク「……これ以上は話せません。国家機密になりますので」

ジャック「だが俺はこの世界の人間じゃない。君以外に知り合いもいないし、機密の漏らしようがない」

スザク「そういう問題じゃありません」

ジャック「だったらテロ対策の専門家として相談に乗ろう。君は優秀なのだろうが経験は浅いと見た」

スザク「そんなことはありません。一度はゼロを捕えてます」ムッ

ジャック「しかし今は八方塞りに陥ってるんだろう。大方、疑いはあるものの尻尾を掴み損ねてる、という状況なんじゃないのか?」

スザク「それは……」

ジャック「本当にゼロを捕まえたければ出来ることをすぐにやるんだ!!」

スザク「(なんだろうこの説得力は!?)そ、その…」

ジャック「なんだ!?」

スザク「実は、彼が……ゼロなのではないかと、疑っています」

ジャック「!?」


スザク「……」

ジャック「……」

スザク「……」

ジャック「……今どこにいる」

スザク「は?」

ジャック「その友だちはどこにいる、と聞いているんだッ!!」

スザク「(急に怒りだしたよこの人!?)た、多分学校だと」

ジャック「すぐに向かえ!!」

スザク「へ?」

ジャック「今すぐ彼を尋問するぞ!!」

スザク「い、いや今すぐじゃなくても」

ジャック「なにを悠長なことを言っているッ!!そんなことを言っていたら24時間経ってしまうぞ!!」

スザク「2、24時間?」

ジャック「恐らく俺がこの世界にいられるのは24時間が限度だ!」

スザク「そうなんですか?」

ジャック「そんな気がする!!」

スザク「だったら無理しなくてもいいですよ」

ジャック「君は一分一秒でも早くゼロを捕まえたくないのか!?」

スザク「つ、捕まえたいですけど」

ジャック「だったらつべこべ言わずにさっさと向かうんだッ!!!」

スザク「(あれ、僕この人に恩返しされるんだよな??)」

14:55

――――


15:30

ジャック「ここが君たちの学校か」

スザク「ルルーシュを呼び出せばいいんですね?」

ジャック「ああ。出来れば防音設備のある部屋がいいのだが」

スザク「だったら視聴覚室かな」

ジャック「何処にある?」

スザク「あそこの棟の3Fの端です」

ジャック「わかった。俺は先に行っているから頼むぞ」

スザク「はあ(何をするつもりだろう)」



スザク「ルルーシュ」

ルルーシュ「どうしたんだ、学校の校庭に輸送機で降りてくるなんて。皆驚いているぞ」

スザク「一分一秒でも無駄にするなって言われて」

ルルーシュ「は?」

スザク「とにかく一緒に来て欲しいんだ」

ルルーシュ「なんで」

スザク「僕たち、友だちだろ?」

ルルーシュ(なんなんだいきなり……一応ロロに報告しておくか)






ルルーシュ「視聴覚室?こんなところでなにを」

ガスッ!!

ルルーシュ「ぐおっ!?(鳩尾を蹴られる)」フラフラ

ジャック「今すぐ両手を頭の後ろで組んで跪けッ!!」

ルルーシュ「なっ……!(銃!?)」フラフラ

ジャック「早くッッ!!!」

スザク「ル、ルルーシュ、言う通りにした方がいい。彼は本気だ!」

ルルーシュ「なんなんだ……?」トン

ジャック「椅子を」

スザク「は、はい」ガー

ジャック「座れ」

ルルーシュ「お前一体、」

ジャック「喋るな!!腕を背凭れの後ろに回せッ!!」

ルルーシュ「くっ……(背後にいるからギアスも使えない)」

グッ、グルグル、ギュ!

スザク(手近にあったコードで腕を縛った。しかも無駄のない動き……)

ルルーシュ「貴様、一学生にこんなことしてただで済むとは」

ジャック「俺はこの世界の人間じゃない」

ルルーシュ「は?」

ジャック「お前にいくつか質問がある」チャキ

ルルーシュ「(よし、前に回った!ギアスを)キュイイイーー、



ガッ!!

ルルーシュ「ぬっ!?」

ジャック「ギアスの話は聞いている」

ルルーシュ(クソ、スザクめ……)ギロリ

スザク(許しは乞わないよ)フイッ

ジャック「目を塞げるものを」

スザク「このハンカチで良ければ」スッ

ルルーシュ(クソ……)

ジャック「お前はゼロか」

ルルーシュ「!?」

スザク(直球!?)

ジャック「答えろッ!!」

ルルーシュ「なんのことでしょう」

ジャック「イエスかノーかと聞いているッ!!」

ルルーシュ「声を荒げないでくださ、がっ!?」

ジャック「イエスかッ!!!ノーかッッ!!?」チャキ!

ルルーシュ「(く、首が!!)ノ、ノーで、す……」

ジャック「……」

ルルーシュ「ハアハア……」


ジャック「……嘘だな」

ルルーシュ「へ?」

ジャック「俺に嘘は通用しない。正直に答えろ。お前はゼロだな」

ルルーシュ「だ、だから違うと」

ジャック「嘘を吐くなッ!!」チャキ!

ルルーシュ(無茶苦茶だぞコイツ!!)

ルルーシュ「そんなに言うんだったら何か証拠でもあるのか?」

ジャック「証拠は?」

スザク「……」フルフル

ルルーシュ「ほら見ろ。いくらラウンズと言っても勝手な解釈で」

ジャック「お前は嘘を吐いている」

ルルーシュ「話聞いてるか?」

ジャック「脱がせろ」

スザク「は?」

ジャック「脱がせろと言っているッ!!」チャキ!

スザク「は、はい!」

ゴソゴソ

ルルーシュ「な、何するんだ触るな!!」

スザク「言っただろう。許しは乞わないよ」ゴソゴソ

ルルーシュ「お前自分の立場がわかってるのか!?一市民にこんなこと!!」

スザク「だったら素直に答えるんだ。君はゼロか?」

ルルーシュ「ち……違う」

スザク「これでいいですか?」

ルルーシュ「スザァァァック!!」



ジャック「ああ」

スザク「あの、どうして千切れたコードなんかを持ってるんですか」

ジャック「すぐにわかる」スッ

ルルーシュ「な、なにをするつもりだ」ビクビク

ジャック「もう一度聞く。お前はゼロか」

ルルーシュ「だから違うと言って、」

ビリビリ!!

ルルーシュ「ぐおおおっ!!?」

スザク「!?」

ジャック「どうだ、痛いか。熱いか」

ルルーシュ「ハアハア、くっ……こんなことを、して!!」

スザク「ちょ、ちょっとそれはさすがに」

ジャック「お前はゼロか」

ルルーシュ「ちが、ぐあああっっ!!!」ビリビリ!

ジャック「お前が素直に吐くまで続けるぞ」






10分後

ルルーシュ「ハアハア……ぐすっ」

スザク(これはさすがに不味い気がする……そろそろ止めるか?)

ジャック「……」ポイッ

スザク(じ、自分からコードを捨てた!?)

ジャック「枢木」

スザク「は、はい」

ジャック「こいつが学校で一番仲の良い奴を連れて来い」

スザク「え?」

ジャック「いいから早くッ!!」

スザク「はい!!」ダダダッ!

ジャック「……お前は、」キュイイイーーン

ルルーシュ「う、動きが止まった?」

ロロ「兄さん!」

ルルーシュ「ロロ!来てくれたのか!」

ロロ「こいつ、兄さんになんてことを!」

ルルーシュ「待てロロ早まるな!!」

ロロ「でも!」

ルルーシュ「ここで殺したらどう考えても面倒なことになる」

ロロ「そうだけど!」

ルルーシュ「今考えるから……(クソ、痺れのせいで頭が回らない)」

スザク「戻りました!」

ルルーシュ「早!!ロロ、すぐに隠れろ!」コソコソ

ロロ「う、うん!」コソコソ


ジャック「――ん?やけに早いな」

シャーリー「どうしたのよスザクくん、こんなところに呼び出し、ってあなたは?」

ジャック「俺はジャック・バウアーだ」

シャーリー「はあ。私はシャーリー・フェネット、って、ええ!!ルル、なんで上半身裸なの!!?」
カアアア

ルルーシュ「シャ、シャーリー……(スザクめ、馬鹿正直に連れてきやがって!!)」

スザク「あのー、それで何をするつもりなんですか?」

ジャック「……彼の横に座ってくれ」

シャーリー「え?」

ジャック「頼む」チャキ

シャーリー「銃!?」

ルルーシュ「頼むシャーリー、今はこの男の言う通りに」

シャーリー「う、うん」ストン

トコトコ、チャキ!

シャーリー「えっ!?」

スザク「ど、どうしてシャーリーに銃を突き付けるんだ!!」

ジャック「こいつはどんなに自分が痛めつけられても吐かない。だが自分の大切な人が痛めつけられるのは黙っていられない」

ジャック「そうだろう?」

ルルーシュ「くっ」

スザク(ジャックの言っていることは事実だ。こうでもしないとルルーシュは本当のことを言わないだろう。しかし、シャーリーは関係ないし……)

シャーリー「ル、ルル……」ビクビク

ルルーシュ「やめろ、シャーリーは関係ないだろう!!」

ジャック「どうかな。片棒を担いでいる可能性もゼロじゃない」

ルルーシュ「適当なことを……!おいスザク!黙って見てないでこの男をどうにかしろ!!」

スザク「え」

ルルーシュ「え、じゃない!何の関係もないシャーリーまで巻き込むつもりか!!」

スザク(そ、そうだ。今ここでシャーリーを巻き込んでまでゼロの正体を突き止めるべきじゃない)

スザク「ジャック、今日はもうこの辺で」

ジャック「近付くな」チャキ!

スザク「え!?」

シャーリー「きゃあ!!」



ジャック「今、君は友人を巻き込むのは忍びないと思ったな?しかしここでこいつを見逃して、1時間後に爆弾テロを企てたらどう責任を取る!?」

スザク「そ、そんな急展開なんて」

ジャック「有り得る話だ!現に俺はそういう状況に何度も遭遇してきたッ!!」

スザク「えー……」

ジャック「さあ吐くんだ!!お前はゼロかッ!!!」

ルルーシュ「だから違うとっ」

ダァーン!!

シャーリー「きゃああああ!!!」

ルルーシュ「シャーリー!」

ジャック「今のは威嚇だ!!だが次は本当に撃つ!!まずは太ももから!次は脛だ!!そうなると彼女は二度と歩けなくなるぞッッ!!!」

シャーリー「いやあああルル助けてぇぇ!!」ガタガタ

ルルーシュ「やめてくれえっ!!」

ジャック「だったら答えるんだ!お前はゼロかッ!?イエスかノーで答えろおぉぉ!!!」

ルルーシュ「……ッ!」

ジャック「……そうか、残念だ」チャキ!

シャーリー「いやああああっっ!!!」

ルルーシュ「待ってくれ!!言う、言うから!!!」

ジャック「……」チラッ


ルルーシュ「俺が………………ゼロだ!」

ジャック「……」

シャーリー「……え……?」

スザク「ルルーシュ……君は……」

ルルーシュ「これでいいだろう……シャーリーを、解放してやってくれ……」

ジャック「……いいだろう。枢木」

スザク「シャ、シャーリー、大丈夫だったかい?」

シャーリー「こ、腰が抜けて……ヒック、動けな……」グスグス

ジャック「だが話は終わっていない」

ルルーシュ「こ、これ以上なにを!!」

ジャック「次は黒の騎士団の解散だ」

スザク「ちょ、ちょっと待ってください。ゼロさえ捕まえられれば、黒の騎士団はブリタニア軍でどうにか出来ますので」

ジャック「君の国では捕虜への尋問はどのように行う?」

スザク「そりゃあ普通に、拘置して、所定の手続きを踏んで、上官からの承諾を待ってから尋問に、」

ジャック「それでは遅い!!」

スザク「は?」

ジャック「そんな悠長なことをしている間にこいつの仲間が神経ガスを入手したらどうする!?」

スザク「ないとは言い切れませんけど」

ジャック「そういうわけだ。このままの流れで黒の騎士団を壊滅させる」

ルルーシュ(無茶苦茶だなコイツ……)

ジャック「その前に」

ダァーン!


シャーリー「きゃあああ!!!」

スザク「ど、どうして誰もいないところに向けて発砲を!?」

ジャック「そこに隠れている奴、出て来い!!」

ルルーシュ「!?」

ジャック「出てこないのならこいつの頭が吹っ飛ぶぞ!!」ガッ、チャキ!

ルルーシュ「ガァッ!(またしても首が!!)」

ロロ「兄さん!!」バッ!

スザク「ロロ!?」

ジャック「枢木!今すぐにそいつを取り押さえろ!!」

スザク「は、はい!」

ロロ「しまった!」

クルクルキーック!!

ロロ「うわあ!」

スザク「ふう」

ジャック「恐らく、そいつもギアスを持っている」

スザク「!!」

ジャック「時間を止める類のものだろう」

ルルーシュ「!?」

ロロ「どうしてそれを……!?」


ジャック「さっき枢木がここを離れた時。戻ってくるのが異様に早いと感じたこと、その前と後であそこの椅子の位置が微妙にずれていたこと」

ジャック「そしてこいつ――ゼロを尋問している間に殺気がありありと感じられた」

スザク(あまりの尋問の迫力に気付かなかった)

ルルーシュ(こいつとんでもなく鋭いな……)

スザク「ロロ、君はいつの間に寝返っていたんだ」

ロロ「くっ、兄さん、すぐに助けるからっ!」

スザク「無駄だよ」ガッ

ロロ「くう……」ガクッ

ジャック「ではゼロ。今すぐに黒の騎士団を解散させてもらおうか」

ルルーシュ「そ、そんなこと出来るわけないだろう」

ジャック「……わかっているとは思うが俺は誰に対しても容赦はしない。特にテロリスト相手にはな。お前が頷くまで俺はなんでもやるぞ」チラ

シャーリー「!?」ビクッ

ルルーシュ「違う、よく考えろ!テロリストといえど今や立派な組織だ!リーダーの一声で今すぐ解散ってわけにはいかないだろう!!」

ジャック「なら考えろ」

ルルーシュ「は!?」

ジャック「頭はキレると聞いている。考えるんだ、一分一秒でも早く黒の騎士団を解散する方法を。さもなくば」チラ

シャーリー「!?」ビクビクッ

ルルーシュ「わ、わかった、考えるから!!」



5分経過

ジャック「まだか」イライラ

ルルーシュ「まだ5分程度しか経っていないだろう!」

ジャック「ここで考えていても仕方ない。直接黒の騎士団の元へ乗り込むぞ」

ルルーシュ「考えろと言ったのはお前だろ!!」

ジャック「アジトは何処だ」

ルルーシュ「……蓬莱島だ」

ジャック「ホウライジマ?」

スザク「中華連邦の島です」

ジャック「中華連邦?中国のことか?」

ルルーシュ「は?」

スザク「そんな感じです(多分だけど)」

ジャック「行くぞ」

スザク「ちょっと待ってください。いくらなんでも中華連邦まで行くのは無理です」

ジャック「なぜだ?」

スザク「ルルーシュはゼロだし、そもそもあなたこの国のパスポート持ってないでしょう」

ジャック「問題ない」

スザク「へ?」


ジャック「この学生はゼロだ。ゼロは中華連邦とやらをアジトにしている」

ジャック「つまりこの学生がゼロとして中華連邦を自由に行き来できる方法がある、ということになるだろう」

スザク「なるほど」

ジャック「誰にも気付かれずに海外へ出る方法……小型潜水艦のようなものか」

スザク「まさか蜃気楼か?」

ルルーシュ(くそ、なんなんだコイツは!!……だがこれ以上は八方塞がりだ。とりあえず蓬莱島まで連れていって、その道中で対策を練るか)

ルルーシュ「わかった……連れて行こう……」

ジャック「待て」

ルルーシュ「今度はなんだ!?」

ジャック「罠が仕掛けられている可能性もある」

スザク「そんな暇はなかったと思いますけど……」

ジャック「これから敵地に乗り込もうというんだ。用心に越したことはない」

スザク「だったら同僚に先回りさせましょうか」

ジャック「いや。どこに裏切り者がいるかもわからない。今ここにいるメンバーだけで動いた方が得策だ」

スザク「裏切り者なんて」

ジャック「そいつはなんだ」ギロリ

ロロ「!」ビクッ

スザク「失礼しました」

ジャック「あとは、クロエさえいれば……」


ピピピッ

ジャック「俺だ」

クロエ『ジャック!?』

ジャック「クロエか!?今どこにいる!!」

クロエ『わかりません。気付いたらここへ……なんかブリタニアって書いてあります』

ジャック「同じ世界へ来てしまったのか」

クロエ『どういうことですか?』

ジャック「クロエ。そこにパソコンはあったりしないか?」

クロエ『そんな都合よく……、ありました!!』

ジャック「よし!!だったら今すぐに頼みたいことがある!!」

クロエ『それよりこれはどうなってるんですか!?私、帰れるんですか!?』プンスカ

ジャック「説明は後だ!!とにかく衛星を使えるようにしろ!!」

クロエ『もうやってます!』プンスカ

ジャック「使えるようになったらまず俺のいる場所を探すんだ!この端末の電波から探せるだろう!!」

クロエ『もうやってます!』プンスカ

ジャック「どのくらいかかる?」

クロエ『使い慣れないパソコンなので、半日はかかるかと』

ジャック「それじゃあ遅い!!5分でやれ!」

クロエ『そんなの無理です!』

ジャック「クロエ!元の世界に戻れなくていいのかッ!?」

クロエ『っ、30分は待ってください!!』カタカタカタ


スザク「そ……そんなに急がなくても(パワハラかよ)」

ジャック「事態は一刻を窮する」

スザク(そうだっけ)

ジャック「クロエから衛星の画像が届くまでに準備するぞ。おい、蜃気楼とやらのところまで連れて行け」

ロロ「兄さん、」

ルルーシュ「くそ……こっちだ」

ジャック「君も来るんだ」

シャーリー「え!?」

ルルーシュ「待て、彼女は何の関係もない!これ以上はいいだろう!」

ジャック「話を聞き過ぎた。このまま放っておくわけにはいかない」

ルルーシュ「お前が聞かせたんだろうが!!」

シャーリー「わ、私も行く」

ルルーシュ「シャーリー!」

シャーリー「ルルがゼロとか、こんな中途半端に聞いたままじっとなんてしてられないよ。今もまだ混乱してるし」

スザク「……」

シャーリー「本当のことを知りたいの。ルル、本当のあなたを」

ルルーシュ「シャーリー……」

スザク「そうだ、ルルーシュ。君は本当のことを話さなければならない」

ルルーシュ「……」

ロロ「兄さん、」

ジャック「話は後だ今すぐ蜃気楼の元へ案内しろ」


――――



蜃気楼内部

ジャック「せ、狭い……」

ルルーシュ「仕方ないだろう1人用なんだから!」

シャーリー「わー私ナイトメアって初めて入ったぁ」

スザク「キーボード型の操作パネルなのか」

ロロ「ああっ、兄さんその男から離れてっ!」

ルルーシュ「あー!くそお前ら好き勝手に動くな!!」

ピピピッ

ジャック「クロエか!!」

クロエ『ジャック。大丈夫です、進行方向に罠らしきものは仕掛けられていません』

ジャック「わかった。ならそのまま衛星で見張っていてくれ」

クロエ『はい』

ジャック「よし。発進しろ」

ルルーシュ「はいはい」ブツブツ


15:59

――――

――――

17:00

シャーリー「き、記憶が変えられて……?」

ルルーシュ「それが今までに起きたことだ」

シャーリー「そんな……それだったらルルは、ルルーシュはお父さんの仇ってこと?」

ルルーシュ「……そうだ」

シャーリー「うそ……」

スザク「ルルーシュ、それがユフィの死の真相だというのかっ!?」

ルルーシュ「そうだ」

スザク「君がっ、ユフィに日本人の虐殺を命じてっ!!」バッ!

ロロ「止めてください枢木卿!!」

シャーリー「スザクくんっ!!」

ジャック「狭いから暴れるなッ!!」

ルルーシュ「っ!!……?スザク、何故殴り掛かってこない」

スザク「本当は君を今すぐ八つ裂きにしたい気分だ。だが……君のその目は知っている。秘密をしまいこんで罰を受けている目だ」バッ

ルルーシュ「スザク……」

スザク「だからといって僕は……僕は……」

シャーリー「今はいいじゃない」

スザク「シャーリー?」

シャーリー「許せないことなんてないよ。許すか、許さないかだけ」

ルルーシュ「……」

スザク「君はルルーシュを許すというのかい。お父さんの仇を」

シャーリー「今はまだわからない。頭が混乱してるし……でもルルーシュにも色々あるんだよ。それを言わないだけ」

シャーリー「スザクくんだってわかってるでしょう?」

スザク「……」

シャーリー「私はルルーシュを、ルルを信じるわ」ニコッ

ロロ「」ギリッ

スザク「……僕は、」

ジャック「このレバーでいいのか」グイッ

グォォォォーーーンッ!!

「ぎゃーーーーーーっっ!!」

ルルーシュ「勝手に触るなあっ!!!」

ジャック「すまない、クロエから蓬莱島に到着すると連絡があったものだから」

ルルーシュ「だったら口頭で言え!!」






蓬莱島



ルルーシュ「で、どうするんだここから」

ジャック「黒の騎士団を全員集めて解散を宣言するんだ」

ルルーシュ「だから言ってるだろう。最早俺1人の独断で解散できないくらいにこの組織は肥大している」

スザク「やっぱりブリタニア軍で総攻撃をかけた方がいいのでは」

シャーリー「戦うなんてダメよ!大勢の人達が死んじゃうでしょ!」

ロロ「シャーリーさんは黙っててください。素人なんですから」

ジャック「軍を総動員するには時間がかかり過ぎる。ここは外国だしな。この場合、内々で処理を進めたほうが迅速に事が進む」

スザク「でもどうやって」

ジャック「……枢木。ちょっとこっちへ」

ルルーシュ(何を考えている)



スザク「なんですか?」

ジャック「ゼロを俺達で拘束し、その首を直接持っていく」

スザク「え?」

ジャック「そこで新しいリーダーを宣言するんだ」

スザク「中から破壊する、ということですか?でも僕はブリタニアの軍人だし」

ジャック「元は日本人だろう。軍に入ったのは一時の気の迷いとか言っておけば信じるさ」

スザク「いや、それはさすがに無理が」

ジャック「ところで丈夫なナイフか何かを持っているか?」

スザク(話聞いてないなこの人)

スザク「ありますけど、何に使うんです?」

ジャック「だから言っただろう。ゼロの首を持っていくんだ」

スザク「…………………………首って、生首?」

ジャック「当たり前だ」キリッ

スザク「いやいやいやいやいや!!!それはさすがに!!!」

ジャック「さっき八つ裂きにしたい気分とか言ってただろう」

スザク「それはものの喩えみたいなもので!!」

ジャック「大丈夫だ。人間の首の切断は慣れている」キリッ

スザク(なんなんだこの人は!?)

スザク「というかそもそもゼロは仮面の男で、ルルーシュの首を持っていったところで信じてもらえなければそれまでですから!」

ジャック「……そうなのか」ショボーン





ロロ「何を話してたんです?」

シャーリー「なんかスザクくん、すごく慌ててたみたいだけど」

スザク「うん……ちょっとカルチャーショックを」

ルルーシュ「ところで俺も考えてみたんだが」

ジャック「なんだ。言ってみろ」

ルルーシュ「黒の騎士団に俺の正体を話す」

スザク「なんだって!!」

ルルーシュ「黒の騎士団といえど、とりあえずは幹部にだけだが」

ロロ「全員に話すとさすがに収拾がつかないものね」

ルルーシュ「いつかは話さなければと思っていたしな」

スザク「それでどうするつもりだ?」

ルルーシュ「彼らに決めさせる。このまま俺についていくか、ブリタニアの皇子である俺を追放するか」

ジャック「駄目だ。それでは黒の騎士団の壊滅にならない」

ルルーシュ「はあ……スザク。お前はこいつにちゃんと話していないようだな」

スザク「なにをだい」ムカッ

ルルーシュ「“何故黒の騎士団が存在するか”。その存在意義さえなくなれば黒の騎士団はなくなる」

スザク「それはナナリーの、」

ルルーシュ「俺にとっての、ではない。彼らにとっての、だ」

ジャック「どういうことだ」

スザク「……日本の解放?だけどそれは君が彼らに嗾けたことだろう。それを今更撤回するというのかい」

ルルーシュ「違うな、間違っているぞ」

スザク「」ムカッ

ルルーシュ「彼らがそれを望む限り、ゼロの存在は不可欠ということだ」

ロロ「ゼロの正体がどうあれ彼らは兄さんを認めざるをえない、そういうことだよね」

ルルーシュ「そうなれば俺は今後も黒の騎士団のトップとして君臨することになる。ゼロとしてではなく、ルルーシュとしてになるが」

ジャック「話を理解していないようだな」チャキ!

ロロ「に、兄さん!」

ジャック「それでは黒の騎士団の壊滅にならない。やはりお前の首を持っていった方が早そうだ」

シャーリー「や、やめて!」

ルルーシュ「話を最後まで聞いたらどうだ」

ジャック「説明が回りくどいぞ!結論から言えッ!!」

ルルーシュ「だ、だから俺が日本の解放をすれば黒の騎士団は自然と解散するということだ!!そのための構想が今の俺の頭の中に色々とだな、」

ジャック「それはどのくらいかかる?」

ルルーシュ「最短でも数カ月は」

ジャック「それじゃあ遅い!!やるなら1時間以内にやれ!!」

ルルーシュ「そんな無茶な!!」

スザク「そうだ!それじゃあ結局君の思う通りになるだけじゃないか!!」

シャーリー「もういい加減にして!!」




シーン

シャーリー「ルルは自分のことしか考えてないしスザクくんは否定するばっかりで、ジャックさんは人の話聞いてなさ過ぎ!!」

ルルーシュ「シャ、シャーリー」

スザク「う……」

ジャック「……」

ロロ「……シャーリーさん。あなたは部外者なんですから」

シャーリー「確かに私は政治のことも戦争のこともよくわからないし、今の状況もあんまり理解してない」

シャーリー「でもやっぱり殺したり殺されたりは良くないよ」

ロロ「そんな綺麗事なんて言ってられないんですよ」イライラ

ルルーシュ「シャーリーは……どう思う」

ロロ「兄さん!」

ルルーシュ「参考までだ。……俺に何が出来ると思う」

シャーリー「……黒の騎士団の人達に全部話すっていうのに賛成。日本の解放とかはよくわかんないけど、本当のこと話して、一度話し合った方が良いと思う」

ルルーシュ「そうか」

ジャック「待て。それじゃあ黒の騎士団の壊滅に繋がらない」

スザク「ジャック。……僕も同じ意見です」

ジャック「なに?」

スザク「確かにルルーシュの一声での解散は不可能だ。それは僕も認めよう。方法があるとしたら、日本が解放されるか、1人1人の意識の変化しかない」

ジャック「総攻撃をかける方法もあると言ったじゃないか」

スザク「それじゃあ血が流れます」

ジャック「君はブリタニアの軍人だろう」

スザク「……本当はそんなことは避けたい。同じ日本人だから」

ジャック「ならばそれまで待つというのか。その間君はテロリストをのさばらせておく気なのか?」

ジャック「それこそ君が守るべき帝国臣民の犠牲者が増えるだけなんじゃないのか?」

スザク「そんなことはさせません。そうだろう、ルルーシュ」

ルルーシュ「……」

スザク「こうなったからには、彼には血が流れない方法で日本の解放を目指してもらいます」

ジャック「馬鹿な。相手はテロリストだぞ?」

スザク「彼ならばそれが出来るはずだ」

ルルーシュ「……全く、相変わらず甘い奴だ」

ロロ「に、兄さん?」


ルルーシュ「血を流さずに日本を解放する?買い被り過ぎだ、さすがに」

スザク「出来るだろう。君なら」

ルルーシュ「俺1人では無理だ」

スザク「、」

ルルーシュ「だが、ブリタニア側に協力者がいたらその限りではないかもしれない」チラ

スザク「……君が、ルルーシュが黒の騎士団に認められることが条件だ。僕はゼロに協力する気はない」

ルルーシュ「ゼロではなく俺ならば、構わないというのか」

スザク「だからといって君を許したわけじゃない。勘違いしないでくれ」ギロリ

ルルーシュ「……」フッ

ロロ「兄さん?まさか」

ルルーシュ「やるしかないだろう。この状況下では」

シャーリー(ルル、笑ってる)

ジャック「おい。信じるのか、テロリストの言うことを」

スザク「はい」

ジャック「貴様、それでも軍人かッ!!」チャキ!

スザク「確かに彼はテロリストです!だけど同時に、血を流すことの哀しさも知っている」

ジャック「……」

スザク「納得できないのならこれ以上協力しなくても構いません。その代わり、銃を下ろして、24時間経過するまで何処か安全なところへ行っていてください」

ジャック「……いいだろう」スッ

シャーリー(ほっ)

ジャック「血を流さないテロリストか」ボソッ

スザク「え?」

ジャック「俺はそいつの言うことを信じたわけじゃないが、君が認めるのなら大人しく従うさ。今はな」

ルルーシュ「……」

ジャック「だが時間が来るまでは見張らせてもらう。こいつが裏切るような素振りを見せれば、それなりの処理はさせてもらうが」ギロリ

スザク「ジャック……ありがとう」



ジャック「そうと決まればこのまま乗り込むぞ」

ロロ「え、もう?」

ルルーシュ「準備とかあるだろう」

ジャック「お前が黒の騎士団の前で仮面を外すだけだ。準備も何もない」

シャーリー「ルル、私も行きたい」

ルルーシュ「それはダメだ。君はスザクと一緒に、一度エリア11へ戻ってくれ」

シャーリー「でも正体を話して、何もされないって保証はないじゃない。心配だよ」

ロロ「それは大丈夫です。僕が兄さんを守るんで」

シャーリー「そっか……でもやっぱり気になるよ」

スザク「大丈夫だよシャーリー。気に入らないけど、彼にはギアスがあることだし」

シャーリー「うん……」

ルルーシュ「スザク、お前はこれからどうする」

スザク「とりあえずエリア11に戻るよ。ただ、逐一の連絡は入れて欲しい」

ジャック「いや。枢木はここに残れ」

ル・ス「え?」

ジャック「彼女の言う通り何かあった時の、不測の事態に備えるんだ。逆上して拘束される可能性もある」

ジャック「その場合、外から突入して救出に当たるんだ」

スザク「僕にルルーシュを助けろと?」

ジャック「一番最悪なのがこいつの身柄が黒の騎士団に落ちること。それだけは避けねばならない」

ルルーシュ「お前はどうするんだ」

ジャック「一緒に行く」

ルルーシュ「え!?」

ジャック「貴様が裏切らないよう見張らせてもらうんだ。言っただろう、俺は信用したわけではないと」ギロリ

ルルーシュ「……好きにしろ」

シャーリー「じゃあ、私はスザクくんとここで待ってる。どうせ1人じゃ帰れないし、いいよね」

ルルーシュ「そうだな……スザク、シャーリーを頼めるか」

スザク「わかった。でも、中の様子はどうやって探る?」

ジャック「問題ない。――クロエ、聞いてるか」


クロエ『はい』

ジャック「おい。これからあそこに見える斑鳩とかいうやつの中に行くんだよな?」

ルルーシュ「ああ」

ジャック「クロエ。これから言う監視システムに侵入しろ。――わかるな、言え」スッ

ルルーシュ「(そういうことか)システムの管理サーバーは……」ゴニョゴニョ

クロエ『……侵入出来ました。感度良好』

ルルーシュ(こいつ、俺やディートハルトが設計したシステムへいとも簡単に)

ジャック「ではそれを今から言う端末に送れ。――君のアドレスを」スッ

スザク「は、はい。アドレスは……」ゴニョゴニョ

クロエ『送ったわ。確認出来る?』

スザク「はい。……ああ、音声ファイルなんですね」

クロエ『映像もちゃんとあるわよ。送らないのはデータ容量が重いから。あなたの端末普通のでしょ』

スザク「え、ええ」

クロエ『ジャック達の行動は全部私が把握するわ。必要だと思った音声だけそっちに送る』

クロエ『希望があれば映像も送るけどあまりおススメはしないわ。普通の端末だとそれだけで動きが鈍くなるから。わかった?』

スザク「はい。ありがとうございます(き、気難しい人だな)」

ジャック「これで準備は整った。早速乗り込むぞ」

ルルーシュ「スザク、ちょっといいか」コソコソ

スザク「なんだい」コソコソ

ルルーシュ「中で俺に何があっても決して突入するな」コソコソ

スザク「なんだって?シャーリーがいるからか?」コソコソ

ルルーシュ「それもある。だが絶対に俺は彼らを納得させてみせる」コソコソ

ルルーシュ「ゼロはルルーシュであり、今後もその指示に従うことを。そのときお前の横槍が入ると、信用されなくなる恐れがある」コソコソ

スザク「……そうだな」コソコソ

ルルーシュ「頼むぞ」コソコソ

ジャック「おい。何をしている」

ロロ「行こう、兄さん」

ルルーシュ「ああ」

シャーリー「ルル、気を付けてね」

ルルーシュ「シャーリー、本当にすまない。こんなことに巻き込んで」

シャーリー「いいの。でも、今度ゆっくり話そうね」

ルルーシュ「そうだな」

スザク(ルルーシュ……わかってる。僕が黒の騎士団の中に入れば絶対に無事では済まない。君はそれを危惧して言ってくれたんだろう)

スザク(だけどもしそうなったら、僕は……)


17:40








18:00



斑鳩内部



ジャック「随分と独創的な恰好をするんだな」

ゼロ「この方が象徴的だろう」

ジャック「……こんな男を信用するなんて、この世界の日本人はよっぽど切羽詰まっているらしい」

ロロ「あ、あれは」

C.C.「おい、戻るなんて連絡受けてないぞ」テクテク

ゼロ「C.C.。突然だが黒の騎士団幹部に俺の正体を話すことにした」

C.C.「は?どうした突然。……そっちの男は?」

ジャック「俺はジャック・バウアー」

C.C.「名前はどうでもいいんだが」

ゼロ「指令室に幹部を集めてくれ。重要な話があると言ってな」

C.C.「状況が読めないんだが」

ゼロ「実は」

ジャック「説明は後だ。指示を聞け」

C.C.「私に命令するな。誰なんだお前は?」ギロリ

ゼロ「と、とにかく幹部を集めてくれ。事情は後で説明する」

C.C.「……わかった」スタスタ

ジャック「あの女、お前の正体を知っているのか」

ゼロ「よくわかったな」

ジャック「仮面の下に話しかけていたからさ」

ロロ(そんなのよくわかるな……)

ゼロ「あいつには同席してもらう。ゼロが仮面の男である以上、俺の正体を知っている人間が証人になってもらう必要があるからな」

ジャック「それがいい」





――――







玉城「なんなんだよゼロぉ、突然重要な話ってよぉ」

ゼロ「……玉城もいるのか」

玉城「んだよ、俺がいちゃ不味いってのかぁ?」

C.C.(許せ。こいつだけは勝手についてきた)

藤堂「ゼロ。話とやらの前に聞いておきたいのだが」

ゼロ「ああ、この2人のことか?」

ディートハルト「見たところブリタニア人のようですが」

ゼロ「ジャックとロロ。2人共入団希望者だ」

ラクシャータ「まあ、今更外国人の入団希望者も珍しくないけどねぇ」チラ

朝比奈「ちゃんとスパイじゃないって確認は取ったんだろうね?」ギロリ

ゼロ「ああ」

千葉「だったら入団の動機を私達にも教えてもらおうか」

扇「そ、それは今でなくてもいいんじゃないか?」

ゼロ「いや、今こそ話そう。この私が黒の騎士団を組織した動機を」

「!!!!???」

シュパッ、ウィィーン

ルルーシュ「――俺の名は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ」





――――





朝比奈「ゼロが……ブリタニアの皇子?」

藤堂「そうか、思い出したぞ。君はあの時の」

千葉「知ってるんですか、藤堂さん?」

藤堂「ああ、昔、枢木神社で会ったことがある。確か車椅子の妹と2人で」

ラクシャータ「それが現在の総督のナナリーってこと?」

扇「その妹のために黒の騎士団を作ったのか……?」

玉城「な、なんなんだよそれっ!!俺達は駒だったっていうのか!?」

ルルーシュ「そうだ」

「!!!!??」







ルルーシュ「だが、それは君達だって同じだろう。日本の解放のため、私を、ゼロを利用している。違うか?」

扇「そんなことない。俺達は君を本当の仲間だと思ってるよ」

ルルーシュ「ならば一度も俺のことを疑ったことがないのか?」

扇「え?」

ルルーシュ「疑問には思わなかったのか?何故ブリタニア人がブリタニアに反旗を翻したのか。何故その素顔を一切見せないのか」

扇「それは……」

ルルーシュ「疑問には思っていたはずだ」

ルルーシュ「それを口に出さなかったのは、聞けば私が君達を見捨てると思っていたから。それでは日本の解放が遠ざかってしまうから」

扇「……」

ルルーシュ「同じだ。俺も、君達も。目的のために、お互いがお互いを利用していたんだ」

藤堂「……そうかもしれんな」

千葉「藤堂さんっ!?」

藤堂「確かに我々は君がいなくなることを恐れていた。それ故、踏み込むことを避けていた」

藤堂「我々――日本の解放を願う人々にとって、ゼロの存在は不可欠だったからだ」

玉城「な、なんだよそれ。お互い様だからって、捨て駒みたいに扱われてたこと許せってのかよ!?」

玉城「そんなの納得出来ねーよ!!なあ、そうだろ扇ィ!!」

扇「……」

朝比奈「それを言うのだったら今の告白だってどこまでが本当なんだか」

朝比奈「皇子ってことは皇位継承レースに日本を利用してたってことだって考えられるよね?」チラ

ロロ「有り得ません。彼は皇位継承権は8年前に失いました」

朝比奈「新入り君は黙っててくれないかな。このタイミングでの入団希望だなんて、どうせオウジサマの肝入りなんだろうから」ギロリ

藤堂「待て朝比奈、論点がずれているぞ」

ラクシャータ「あのさぁ、継承レースに利用してるかどうかなんてどっちでもいいんじゃないのぉ?」

千葉「ラクシャータ、こいつに味方するのか?」

ラクシャータ「そういうわけじゃないけどさあ。あたしだってあんた達のこと、あたし自身のナイトメア開発に利用させてもらってるし」

ディートハルト「つまり、あなた方は日本の解放が実現されればそれでいい」

ディートハルト「ゼロ、もといルルーシュの目的の1つにそれが含まれるのなら、あなた方には何の問題もないではありませんか」

朝比奈「まあ、そういうことにはなるよね……」

扇「……ならばゼロ。いや、ルルーシュ。1つだけ聞かせてくれ」

ルルーシュ「なんだ」

扇「1年前のブラックリベリオンの時、どうしてあの土壇場で戦場を離れたんだ?」




C.C.「……」

扇「あと一歩だったんだ。あと一歩、君の力があれば達成出来たんだ。その機会を捨ててまで、どうして君は俺達を……」

玉城「そうだっ、どうして俺達を見捨てたんだッ!!」



シーン



ルルーシュ「……敵の手によって、妹が囚われた」

扇「……え?」

ルルーシュ「救出に向かっていた。結果、俺が枢木スザクによって囚われてしまったが」

藤堂「あ、あの局面を、そんな理由で、離れたというのか?」

朝比奈「僕達は私的なことを全て犠牲にしてあの闘いに臨んでたんだよ!?それなのに君は妹1人のために!!」

千葉「私達はそんな理由で1年もブリタニアに囚われていたのか……!?」

ロロ「だから救い出したでしょう」

朝比奈「そういう問題じゃないだろ!!」

玉城「そうだそうだ!!ふざけんなっ!!」

ラクシャータ「へえ、随分妹想いだこと」

ディートハルト(あまり良くない雰囲気だな。さて、どう乗り切るか……)

ルルーシュ「君達はどうして日本の解放を願う」

「!?」

ルルーシュ「名誉ブリタニア人となって支配国に恭順の意を表せば、最低限の生活は保証される。枢木スザクのように成り上がるのも夢じゃない」

ルルーシュ「それでも泥を吸い、地べたを這いずり回り、常に死の恐怖に苛まれながらも祖国の復興を願うのは何故だ?」

藤堂「取り返したいだけだ。自らの名を、誇りを」

朝比奈「与えられた平和なんて仮初めでしょ」

玉城「いらねーんだよそんなもんっ!!」

ルルーシュ「それは一体誰のためだ」

扇「……日本人のためだ。死んでいった、仲間達のため……」

ルルーシュ「それが君達の出発点だった。君達の、魂だ」

扇「魂……」

ルルーシュ「俺にとっての魂は妹だ。彼女のためなら、俺は世界を壊すことも厭わない」

藤堂「だから戦場を離れたことが正当化されると?」

ルルーシュ「ではもし仮に日本の解放が成されたとして、その前の戦争で日本人が全員死んでしまったら?君達のやったことに意味はあるのか?」

朝比奈「暴論だよそんなの。1人と日本人全員は比べられない」

玉城「そうだ!暴論だ!!」

ルルーシュ「俺にとっては同じことだ」

千葉「藤堂さん……」

藤堂「……」




ディートハルト(少し情に訴え過ぎている嫌いがあるが……これ以上は押し問答になるな。早急に切り上げるか)

ディートハルト「皆さん、議論はこの辺りで一旦中断しましょうか」

千葉「ディートハルト。お前はただの報道屋だろう。この問題に口を挟むな」

ディートハルト「当事者同士では話が纏まりそうもないから私が話してるんです。それにある程度の道筋は見えた。そうでしょう、藤堂将軍?」

藤堂「……そうだな。ゼロの真の目的がなんであれ、我々は最初から持ちつ持たれつの関係だった。今後もそれは変える必要が無い」

朝比奈「でも今後も続けるかどうかはまだ白紙の状態ですよね?ブラックリベリオンの妹の件を聞いちゃ、さすがに信頼できませんよ」

藤堂「朝比奈、それは感情論だ。実益を考えろ。今やゼロなくして、日本の解放はありえない」

朝比奈「だけど……」

扇「藤堂さん、それは俺もよくわかってます。でも、俺は感情がついていかなければ今まで通り彼についていくのは……正直難しい」

扇「それは他の団員もそうだと思います。だからもう少し、考える時間が欲しい」

玉城「……」

藤堂「……そうだな。結論を出すのは今すぐでなくてもいいかもしれん」

ルルーシュ「俺は君達の判断に従おう」

藤堂「しかし何故このタイミングで話したんだ?」

ルルーシュ「これからは国際的に勢力を拡大していきたいと思っている。そのためには旧メンバーである我々の結束を深める必要であると思ったんだ」

ルルーシュ「それに元々、いつかは話さなければと思っていたしな」

藤堂「……そうか」

ラクシャータ「じゃあさぁ、話してくれるついでに聞きたいんだけどぉ」

ルルーシュ「なんだ」

ラクシャータ「前から疑問に思ってたのよねぇ。あんたは頭がキレるけど、それにしたってここまで来るのにトントン拍子過ぎない?ってねぇ」

ルルーシュ「……」

ラクシャータ「あんた、実はまだ秘密があるんじゃないのぉ?」

扇「秘密……?」

玉城「どういうことだ?」

ロロ(まずい、この女、ギアスのことを勘付いているのか?)

ジャック「話せばいいだろう。ギアスのことも」

ル・ロ「!!?」






朝比奈「ぎ、ぎあす?」

ロロ「ちょ、ちょっと何言ってんですかいきなり!?」

ジャック「中途半端に隠すことはないだろう。後でボロが出ればせっかくここで信頼を得ても、すぐに失うことになる」

ロロ「だ、だからって兄さ、じゃなくてルルーシュにも話す順番ってものがあるんですよ!!何考えてんですかあなたは!!」

ジャック「他人の口から漏れることの方が問題だろう。人の意思を奪い強制的に従わせる力のことなんて」

「!!!??」

ル・ロ・C「……」

藤堂「人の意思を」

朝比奈「奪い」

千葉「強制的に」

玉城「従わせる」

扇「力……?」

ラクシャータ「へえ~~?」

ディートハルト(この男は……ゼロの味方なのか、敵なのか……?)

玉城「な、なんなんだよそのオカルトは?いくらなんでもおちょくり過ぎだろ!」

扇「そ、そうだよ。そんな不思議なこと急に言われても」

朝比奈「いや、でもそんな力があったとしたら今まであった違和感も説明がつくかも」

千葉「今まで有り得ないことが多すぎた。それが全てその力によるものだとしたら」

藤堂「待て、さすがに話が飛躍している!ゼロ、ギアスとはなんなんだ?」

ロロ(ここでギアスの話になるなんて……でも、大丈夫だ。兄さんならこれくらいの状況、すぐに切り抜けてみせて、)チラ

ルルーシュ「」ダラダラ

ロロ(ひ、冷や汗掻いてるーーーっっ!!!?)

C.C.「仕方あるまい。ここは私が一肌脱いで、」

玉城「ちょっと待てよお!!!もしかしてその力、俺達にも使ってたんじゃないだろうなあ!!?」

扇「な、なに?」

玉城「そうだ、そうに違いねえ!!そうじゃなかったら俺は今頃黒の騎士団の財務大臣に
なってるはずだ!!!」

ラクシャータ「それはないと思うけどぉ」

朝比奈「そうだとしたらこの状況だって信用ならないね。さっきは納得しかけたけど、それだって力を使われたのかも」

千葉「そもそも我々があいつについてきてしまったのもその力が?」

ディートハルト「皆さん落ち着いて。そんな力があったとしてもこれまでのゼロの実績が否定されるわけではありません」

藤堂「これはそれ以前の問題だ」

ディートハルト「ブリタニアに対する武器になる、そう考えることはできませんか?」

玉城「俺達に使われてたんじゃ元も子もねえよおおぉぉぉ~~~!!!ちっくしょぉぉ~~~!!財務大臣~~~!!!!」ダンダン

扇「ゼ、ゼロ……説明してくれないか?」オロオロ

ルルーシュ「君達にはギアスは使っていない。神に誓って」

朝比奈「この状況でそんな証言信じられると思う?」

ルルーシュ(クソ、だったらどうしろっていうんだ!!今、ギアスのルールを話したところで説得力はないし、使ってみせるにしても……。クッ、C.C.!!)

C.C.「」フルフル

ルルーシュ(あの魔女め!!!)





ジャック「……もしかして俺の所為か」

ロロ「紛れもなくね!!!どうしてくれるんですかこの状況!!!収拾がつかない!!!責任取ってください!!!」

ジャック「わかった」

ロロ「え?」

ジャック「黙れッ!!!」



シーン



朝比奈「……ちょっと、新入りは口挟まないd」

ジャック「失礼する」ガッ!

ルルーシュ「ぐおっ!?(またしても首をっ!!)」

ジャック「落ち着いてよく考えたらどうだッ!?本当に操られているというのならどうして今、疑問を感じている!!?特にお前ッ!!」

朝比奈「!?」

ジャック「さっきからこいつに嫌悪感向けまくりじゃないか!!それが操られている者の態度か!!?」

朝比奈「……」

ジャック「大体さっきからごちゃごちゃと揉めているがさっさと結論を出したらどうだッ!?俺がブリタニア側の連邦捜査官だったらこの間に全員捕まえているぞ!!!」

藤堂「れ、連邦捜査官だと?」

ディートハルト「大体あなた何者なんです?」

ジャック「俺は入団希望者だッ!!!」

(みえねーーーー)

ロロ「ちょっと!いい加減兄さんの首を放せ!!」

ルルーシュ(く、くるしい)ギリギリ

ジャック「まだだ!!おいそこのツリ目の日本人!!」

藤堂「わ、私か?」

ジャック「こいつもギアス能力者だ!!直ちに取り押さえろ!!」

朝比奈「なにっ!?」

藤堂「!!」ダッ

ロロ「うわあっ!!」ガクン!

ロロ(くそぉ……僕を抑えて、何をする気だ?)

ジャック「これ以上は待てない!!今すぐ結論を出すんだ!!」

朝比奈「結論?」

ジャック「こいつについて行くのか行かないのか!!どっちだッ!!?」

扇「い、今すぐなんてそんなの!」

ルルーシュ(くるしー)ギリギリ

ジャック「いい加減話し合っただろう!!!」

ラクシャータ「あのさあ、今までの話聞いてた?」

ジャック「ついて行かないのならこいつを殺す!!」

「!!!!??」




玉城「な、何言ってやがんだお前!!?」

ディートハルト(カオス……)ゾクリ

ジャック「それ以上近付くなッ!!」

C.C.「!?」

ジャック「隙を窺っていたのはわかっている。こいつを殺されたくなければそこから一歩
も動くんじゃない!!」

C.C.(こいつ、この私の気配を)

ジャック「さあ、結論を出せぇッ!!!」

ルルーシュ(こ、呼吸が)ギリギリ

扇「と、藤堂さん。ここでゼロを殺されても困るし、ここは一旦、」

朝比奈「ちょっと待った。そんな得体の知れないギアスなんて力持ってる奴について行くなんて僕は御免だよ」

千葉「同感だ」

藤堂「朝比奈、千葉……」

ディートハルト「いいえ、ものは考えようです。利用するという手もある」

ラクシャータ「私は興味あるけどねぇ~」

玉城「でもよお、ここでゼロが殺されるのはよお」

扇「あ、ああ……」

ジャック「ギアスがなければお前達は納得するんだな」サッ

朝比奈「え?」

ディートハルト「そのナイフをどうするつもり、」

ジャック「こうする」スッ

ルルーシュ「え、――ちょ、ちょちょちょちょ!!!!待て…………っっ!!!」



ピーーーーーー(音声自粛)



「ぎゃーーーーーーーーーーーッッ!!!!!!!!!!!」





ロロ「兄さ~~~~~~んッ!!!!!??」

C.C.「……」ボーゼン

朝比奈「こ、こいつ本当にやったよ……!?」

玉城「ゼロっ!?おいしっかりしろ!!ゼロォォォォ!!!!」

扇「」

千葉「扇!気絶するな!!」

藤堂「ラクシャータ!応急処置は施せるか!?」

ラクシャータ「や、やってみるわ」サササッ

藤堂「千葉!外に出て数人連れてこい!!こいつを拘束するっ!!」

千葉「しょ、承知!」

藤堂「朝比奈!!」ダダッ

朝比奈「承知!!」ダダッ

ジャック「ふんっ!!」



ガッ、ガッ、ズバッ!!



藤堂(なんという身のこなし!!明らかに実戦慣れしている!!)

ジャック「おい、ロロとか言ったか!!お前も加勢を、」

ロロ「兄さん、兄さ~~~んっ!!」

ジャック「落ち着けその出血量なら死にはしない!!それよりも今はッ!!」

千葉「つ、連れてきました!!」

藤堂「こいつを拘束するんだ!!あの少年も一緒に!!それとゼロを医務室に!!」

ジャック「クソぉッ!!!」

ジャック(こんな時トニーがいてくれれば……!!)





――――

噴いたwwwwww

面白すぎて笑いっぱなしですわ
期待

めちゃくちゃだよw

おーレスありがとー!






斑鳩の外



スザク「ルルーシュ!?」

トニー「ジャック!!」

スザク「!!!??」

スザク「だ、誰だっ!!?」

トニー「僕はトニー・アルメイダ」

スザク「名前を聞いてるんじゃなくて!!」

トニー「気付いたらここへ……」キョロキョロ

クロエ『その声、もしかしてトニー?』

トニー「クロエか!?これはどうなってる?」

クロエ『わからない。私も気付いたらここに。今はとりあえずジャックの指示に従ってる』

トニー「そのジャックは?」

クロエ『敵に拘束されたわ』

トニー「助けにいく。サポートを頼む」

クロエ『了解』

シャーリー「ね、ねえ。中で何が起こったの?音声だけじゃわからないよ」

スザク「……」

シャーリー「スザクくん、なんで黙るの?ルルは大丈夫なの!?」

クロエ『ジャックがゼロの左目を抉っただけよ』

シャーリー「えッッ!!……っ」フラ~

スザク「シャーリー!っ、ちょっと!もっとオブラートに包んだ言い方してください!!」

クロエ『悪かったわねこんな言い方しか出来なくて』

トニー「クロエ。俺の端末にも中の様子がわかるものを送ってくれ」

クロエ『もう送ったわ』

トニー「ありがとう」

スザク「突入は待ってください」

トニー「何故だ」

スザク「ジャックと中に入った僕の……仲間は、すぐには突入するなと指示を出しました。もう少し様子を見させてください」

トニー「ジャックが拘束されたなら彼も拘束されただろう。そうなればもう動けない」

スザク「今ここで突入したら僕らの作戦が水の泡になる」

トニー「仲間を助けるだけだ。チャンスは混乱している今しかない」

スザク「でも」

シャーリー「ス、スザクくん」

スザク「シャーリー。大丈夫かい?」

シャーリー「スザクくんだって知ってるでしょ?ルルはいつも自分を顧見ない。ルルの言葉に、自分の安全は含まれてないんだよ」

スザク「……」

シャーリー「ルルを助けるんなら行くしかないよ。スザクくん、こんなところで別れるわけにはいかないんでしょう?」

スザク「……僕は」

オレンジ「私が行こう」


スザク「え、ジェレミア卿!?」

オレンジ「久しいな、枢木よ」

スザク「何故ここに?」

オレンジ「ゼロを、ルルーシュを探していたらここへ」

スザク「彼に何の用です?」

オレンジ「貴公に話す義務はない」

スザク「……では違う問いを。ジェレミア卿、貴方は現在もブリタニアに忠誠を誓っているのか?」

オレンジ「我が主はただ1人。それを確かめるために、ここへ来た」

スザク「それは一体」

オレンジ「話は以上だ。私は行く」ズンズン

トニー「協力する」

オレンジ「すまない」

シャーリー「スザクくん」

スザク「……待て!!」



18:40





――――






19:00



スザク(二手に別れることになった。僕はトニーという男と組んでジャックとロロの救出に[クロエの情報から2人は同じ部屋に拘束されていた])

スザク(ジェレミア卿はシャーリーと一緒にルルーシュの救出に)

スザク(クロエさんのナビゲートは正確で、ここまで誰にも見付からずに来れた。そしてトニーの言う通り、黒の騎士団は混乱していて隙だらけだった)

トニー「クロエ。この中にジャックが?」

クロエ『ええ。でも鍵がかかっているわ』

トニー「そうか、ピッキングはあまり得意じゃないんだが」

スザク「僕が開けます」

トニー「え?」

ドガッ!!

トニー「……」

スザク「ジャック、ロロ!」

ロロ「く、枢木卿!」

ジャック「トニー!?どうしてここに!」

トニー「わかりません」

スザク「とにかくここは早く逃げましょう」

ジャック「待て!!何故助けにきた!?」

トニー「え?」

ジャック「まさかゼロも誰か救出に向かってるんじゃないだろうな?」

スザク「……」

ジャック「今すぐ撤退させろ!!」





――――






19:00



オレンジ「この部屋で間違いないんだな?」

クロエ『だから言ってるでしょ』

シャーリー「ルル、今助けるからね」

クロエ『でも気を付けてね。中に見張りがいるから』

オレンジ「問題ない」

ドガッ!

団員A「!?」

団員B「だ、誰だ貴様らっ!!」

オレンジ(婦女子の前だ。気絶させるに留めておくか)

オレンジ「ハッ!!」

団員AB「うわあっ!」バタバタッ

シャーリー「ルル、ルル!大丈夫!?」

ルルーシュ「う……シャーリー?」

シャーリー「左目、こんなになっちゃって……ひどい……」ウルウル

ルルーシュ「左目?そういえば視界が狭いな……、っ!?」

クロエ『ねえ、見張りは全員倒した?』

オレンジ「倒したが」

クロエ『もう1人、動いてるけど』

オレンジ「!?」

C.C.「動くな」スッ

シャーリー「え、誰?」

ルルーシュ「シャーリー、こっちへ」グイッ

オレンジ「C.C.、やはりルルーシュと一緒に」

ルルーシュ「オレンジくん、遠路遥々こんなところへ迎えに来てくれた理由を教えてもら
おうか」

C.C.「嚮団の命令か?ルルーシュを殺せ、もしくは私を捕えろ」

オレンジ「フッ」

ルルーシュ「なにが可笑しい」

オレンジ「私はただ確かめに来たのだ。我が忠義を」

C.C.「忠義?」

オレンジ「ルルーシュよ、なぜお前はゼロを演じ、祖国ブリタニアを、実の父親を敵に回す?」

(中略)

ルルーシュ「ジェレミアと名乗ることを許す」

ジェレミア「イエス、ユアマジェスティ!!」

C.C.「驚いたな。まさかお前がマリアンヌの護衛についていたとは」

ジェレミア「素晴らしいお方でした」

シャーリー(な、なんか蚊帳の外……)



ピピピッ

シャーリー「あ、スザクくんからだ。……もしもし、こっちはルルを見付けたよ。そっちはどう?」

ルルーシュ「シャーリー、すまないが代わってくれるか?」

シャーリー「いいよ」スッ

ルルーシュ「ありがとう。……おいスザク、突入するなとあれほど」

「そこまでだ!!」ザザザッ!


ルルーシュ「!?」

C.C.「囲まれていたか」

ジェレミア「クロエよ、どういうことだ!何故報せなかった!?」

クロエ『……ジャックからの指示よ』

ジェレミア「なに!?」

スザク『ルルーシュ』

ルルーシュ「無事か?」

スザク『今はジャック達と一緒に拘束されたところだ』

ルルーシュ「逃げなかったのか?」

スザク『放っておくと君はすぐに無茶をするからね』

ロロ『今回はジャックの所為だけどね!!』

ルルーシュ「フッ……俺もすぐに投降しよう」

シャーリー「え?何言ってるの、ルル?」

ジェレミア「これくらいの敵兵、私1人でどうにか出来ます」

ルルーシュ「いいんだ。最初からそのつもりだったから」

C.C.「……。おい、藤堂はいるか」

藤堂「逃がさんぞ」

C.C.「ゼロはそんなつもりはないんだと。意識も戻ったし、さっさと拘束してくれ」

藤堂「いいのか?」チラ

ルルーシュ「ああ。無駄な抵抗はよしておく。そうだな、ジェレミア?」

ジェレミア「イエス、ユアマジェスティ」

藤堂「……連れて行け」



――――






19:30



ジェレミア「ギアスキャンセラー!」キュイイイーーン

シャーリー「あ、記憶全部戻った」

スザク「良かったね、シャーリー」

シャーリー「あー、なんか大体ルルの言う通りだあ」

ルルーシュ「俺は嘘は言ってないぞ」

シャーリー「そうだね。でも先にルルに教えてもらってて良かった。いきなり戻ってたら、私、絶対混乱してたよ」

ロロ「」チッ

スザク「ところでどうして素直に拘束されるつもりだったんだ?」

ルルーシュ「黒の騎士団に話し合いをさせる為さ」

スザク「でも、君を処刑するという判断を下す可能性だってあるだろう」

ジャック「それはないな。さっきの彼らの反応からして」

ルルーシュ「俺を認めるという判断を下すだろうな」

ジェレミア「そうならなかった場合はこの私にお任せ下さい。ルルーシュ様のお命はこのジェレミアが必ず」

C.C.「その必要はなさそうだぞ。随分と自信があるようだし」

ジャック「それにしたってどうしてあの場ですぐに決められない」

トニー「ジャックじゃないんですから」

シャーリー「ねえルル、ところで、なんだけど……」

ルルーシュ「ん?」

シャーリー「私さ、これからすごく差し出がましいこと言うよ?」

ルルーシュ「なんだい」

シャーリー「ルルがゼロになったきっかけを聞いて思ったんだけど……ルルってナナちゃんのために世界を変えたいって、そう思ったんだよね?」

ロロ「シャーリーさん、あなたがそこまで踏み込む権利はないですよ」イライラ

ルルーシュ「ロロ、いい」

ロロ「兄さん」

スザク「……」

ルルーシュ「今やナナリーは皇族に復帰してエリア11の総督を務めてはいるが、最初のきっかけはそうだった」

シャーリー「月並みな表現になっちゃうんだけど……ナナちゃんって本当にそれを望んでるのかな」

ルルーシュ「……さすがに俺は手を汚し過ぎた。知られたら、軽蔑されることは覚悟している」

シャーリー「違うよ。そういうこと言ってるんじゃない」

ルルーシュ「?」

シャーリー「私がナナちゃんだったら、世界がどうより、ルルと一緒にいられることを望むと思うの」

シャーリー「明後日殺される未来があったとしても、明日お兄様と一緒にいられたら、それでいいって」

ルルーシュ「……それは違うな、シャーリー」

シャーリー「え?」


ルルーシュ「現実は様々なものによって支配されている。思い通りになることはない。だからこそ俺は抗おうと思ったんだ」

スザク「その方法がギアスか。自分の思い通りにするために、人の心を踏み躙ってきたのか、君は」

ルルーシュ「必要だったんだ、力が」

シャーリー「でもルルはギアスで私を助けてくれたよ」

スザク「ユフィは殺した!それももっとも惨い方法で!」

ルルーシュ「……」



ジャック「なあトニー」

トニー「なんですかジャック」

ジャック「さっきも思ったんだが彼らは議論が好きだな」

トニー「そうですね」

ジャック「しかも一向に答えが出ない」

トニー「若いからでしょう」

C.C.「仕方ないさ。人はそう簡単に分かりあえない」

ジャック「その通りだな。だからこそ折り合いをつけるものだが」

トニー「諦めも必要ですよね」

C.C.「実感が籠ってるな」

トニー「……ああ」ハァ

C.C.(相当苦労しているらしい)






ジャック「おい、いつまで議論を白熱させる気だ」

スザク「今はルルーシュを追及していて」

シャーリー「ルルのこと分かろうとしていて」

ルルーシュ「弁解中だ」

ジャック「堂々巡りになってるからもう止めろ。それより次の手を考えるぞ」

ロロ「次の手って。兄さんが黒の騎士団に認められればまずは日本の解放へ向けて」

ジャック「それは後回しでいい。まずはお前の妹を取り戻すんだ」

ルルーシュ「は!?なぜそうなる!!」

ジャック「最愛の妹が敵の手に落ちているんだろう?何故取り戻さない」

ルルーシュ「ナナリー自身の意思であそこにいるからだ」

ジャック「さっき自分で言ってただろう。いつ殺されるか、政治に利用されるかわからな
いと」

ルルーシュ「それでもナナリーの意思を捻じ曲げるわけにはいかない」

ジャック「散々ギアスを使ってきたクセに何を言う」

スザク「そうだぞ」

ルルーシュ「」

ジャック「大体最愛の家族がそんな淵に立たされているというのにどうして呑気にしてられるんだ?俺だったらいてもたってもいられないぞ!!」ダンッ!

トニー(ジャックだったら単身でも乗り込むだろうな)

ルルーシュ「……しかし、今ナナリーを取り戻したところで、彼女に合わせる顔なんて」

ジャック「全て話せ」

ルルーシュ「今までの話聞いてたか」

ジャック「お前、腹を割って話さないタイプだろう」

C.C.「その通りだ」

ルルーシュ「おい魔女」

ジャック「そういうタイプはな、誤解を招きやすいんだ。俺がそうなんだが」

トニー「そうですよね」

ジャック「俺も職業柄色々あった」

ジャック「家族が人質に取られ、大統領暗殺未遂を犯し、仲間に裏切られ、妻を殺され、仲間を殺し、麻薬中毒になり、」

ジャック「娘の恋人の腕を切り落とし、解雇され、復職を果たしたが、まあ他にも色々と」



シーン






ジャック「中でも一番辛かったのは……最愛の娘からもう一緒にはいられないと、言われたことだ」

トニー「キムにそんなこと言われたんですか」

ジャック「もちろん国の為に戦ってきた。だが何より娘がいたからだ」

ジャック「いつか娘と静かに過ごせる日が来ると夢見ていれば、拷問されようが心臓停止しようがアメリカ中に指名手配されようが、我慢は出来た」

ジャック「だが、そんなことを言われて俺は目の前が真っ暗になった」

スザク「それで……最後まで戦えなかったんですか」

ジャック「俺はいつも最後まで戦ったさ。結果的に中国に囚われて1年以上に渡り拷問を受けたりしたこともあったがな」



シーン



ジェレミア「なんというか……私以上に奇想天外な人生を送っているのだな」

シャーリー「わ、私なんかには想像がつかない」

ロロ(この人の場合自業自得なような気がするのは何故だろう)

ジャック「俺の話はいい。とにかく君の話を聞く限りまだ遅くはない。今すぐに妹に全てを話せばわかってくれるさ」

ルルーシュ「しかし」

ジャック「何を迷ってるんだ!!いいのか、最愛の妹に悪魔だ下劣だと罵られそばに寄るな疫病神と疎ましがられても!!俺のようにッ!!!」

トニー「キムはそこまで言ってないでしょう」

ルルーシュ「…………い、」

ジャック「い?」

ルルーシュ「いやだ……そんなこと、ナナリーに言われたと、想像するだけでも……うううっ」ガクッ

スザク「ルルーシュ!?」

シャーリー「ルルっ!」

ロロ「兄さん!」

ジェレミア「ルルーシュ様!!」

C.C.「ドン引きだな」


ルルーシュ「し、しかし、このままではナナリーが安全に過ごせる世界が……」グスッ

ジャック「何も世界を変える必要はないだろう。南の島にでも行って、妹と2人で静かに暮らせばいい」

ルルーシュ「暗殺の恐怖に怯えねばならない」

ジャック「返り討ちにすればいいだけだろう」

ルルーシュ「だけって!」

ジャック「なら名前を偽れ」

ルルーシュ「そんなの碌な職に就けない」

ジャック「日雇い労働者くらいならどうにかなるぞ。身元が不安定でも」

ロロ(なんでわかるんだそんなこと)

ルルーシュ「……そうだろうか」グスッ

ジャック「ああ。なんだったら俺が息を顰めながら生きる方法を教えてやろう」

シャーリー「う、うん。そんなことが出来るんだったらそれがいいかも」

ロロ「待ってよ兄さん。兄さんは抗って生きるんでしょ。このままナナリーと隠居なんて」

ルルーシュ「ナナリーに全身で拒否されるよりは……いい……」グスッ

ロロ「」

スザク「僕はそんな楽な生き方許さないぞ。君のしてきたことを考えれば!」

ルルーシュ「わかってる。お前との約束通り、日本の解放を果たして黒の騎士団は解散させる。だがまずはナナリーを取り戻す」

ルルーシュ「そして全てを話そう!ジャックのような手遅れになる前に!!」キリッ!

ジャック「」

ジェレミア「私はどこまでもついて行きます!」

ロロ「ぼ、僕だって!」

C.C.「私も忘れるなよ」

シャーリー「わ、」

ルルーシュ「俺はナナリーと2人で静かに過ごしたい」

スザク「……」








???「ゼロ様!!」



バーン!



「!!?」

スザク「か、」

ルルーシュ「神楽耶、様?」

神楽耶「いいえ、改めルルーシュ様!」ピョーン!

ルルーシュ「ぅぐっ」ドサッ

神楽耶「もうご安心くださいまし!あなたの正体がたとえ誰であろうと、この皇神楽耶は何処までもついていきますわ!」ニーッコリ

C.C.「と、いうことは……」

星刻「我々の同盟は続くということだ」

ルルーシュ「星刻、戻っていたのか。……ということは、神楽耶様達が」

神楽耶「と、言いたいところですけれど、私達が到着した頃にはもう結論は出ていましたわ」

ルルーシュ「え?」

星刻「そうだな、扇事務総長」

扇「……ああ」スッ

ルルーシュ「……」

ロロ(一番兄さんに反感を抱くかと思ったけど)

ルルーシュ「……扇。お前だけは俺を起こした奇跡だけでなく、信頼という絆があると信じて認めていた」

ルルーシュ「そんなお前が俺の告白を聞いて、それでも俺を認めるというのか」

扇「正直言って、裏切られたと思ったよ。君が俺達を駒だと思ってるなんて信じたくなかったことだったから」

扇「……だけど、それでも一緒に戦った日々までも否定するなんて、俺には出来ないんだ」

ルルーシュ「ギアスで操られた日々かもしれない」

扇「それも考えた。だけど、どうしてもそうとは思えない」

ルルーシュ「根拠なんてないんだろう」

扇「ない。だけど……君がたった1人の妹の為に世界を変えようとしていると聞いて、俺は……もう一度君を信頼しようと思ったんだ」

ルルーシュ「勝手だとは思わないのか」

扇「そう言う奴もいたよ。でも俺は初めて、君が人間らしいと、そう思ったんだ」

ルルーシュ「……」


ジェレミア「つまりこれからも変わらずルルーシュ様をゼロとして認める、そういうことだな?」

扇「ああ。……ゼロ、全てを話してくれてありがとう。これでやっと君を心から信じられる」

ルルーシュ「……だがまだ納得しない連中もいるんだろう」

藤堂「朝比奈や千葉は特にな。だが、その左目のことを話せば渋々ではあるが承諾はさせ
た」

ルルーシュ「ぐっ……」

扇「あれはさすがに演技じゃないんだろう?」

ロロ「当たり前でしょう!!あれはこの人が勝手にやったことです!!」

ジャック「いつまでも揉めているからだ」

ルルーシュ(死ぬかと思った)

C.C.「残念ながらもうギアスは使えないな」

ルルーシュ「やはりそうなのか」

C.C.「だが、その代わりに協力な力を手に入れただろう」ニヤリ

ルルーシュ「……まあな」フッ

星刻「だがそう上手くはいかないようだぞ、ゼロ」

ルルーシュ「?」

扇「ああ。朝比奈や千葉はギアスの件で納得はしたんだけど、南や杉山達はどうしても納得し切れないって」

C.C.「まあ、普通はそんなものだ。お前がお人好し過ぎる」

扇「だからゼロ、条件がある」

ルルーシュ「条件?」

扇「ブリタニアに囚われたカレンを取り戻してくれ」

ルルーシュ「!」

神楽耶「ルルーシュ様、非難轟々だった黒の騎士団を彼が纏めたのですわ。この条件を呑ませる、ということで」

ルルーシュ(あの扇が……そこまで……)

藤堂「ゼロのカリスマと同程度に、彼女の戦力は必要だ」

扇「ゼロ、呑んでくれるだろう?」

ルルーシュ「……」


シャーリー「ルル、私からもお願い。カレンを助けてあげて」

ルルーシュ「……」

神楽耶「三人官女がいないと始まりませんわ」

ルルーシュ「……」

C.C.「あいつがいないとからかう奴がいなくて退屈だ」

ルルーシュ「……カレンは黒の騎士団のエースだ。彼女がいたから突破口が開けた」

藤堂「……」

ルルーシュ「俺にとっても大切な、仲間だ」

扇「ゼロ!」

ルルーシュ「そんな条件呑むまでもない。カレンは必ず取り戻す」

扇「あ、ありがとう!」

星刻「ならば次なる行動は決まったな。紅月、そして君の妹をブリタニアから奪還すること」

ルルーシュ「っ!星刻、何故……」

星刻「恩返しをさせてもらう。それだけのことだ」

ルルーシュ「……ならば礼は言わない」

星刻「構わない」

C.C.(ルルーシュと星刻。似ている分、余計な話は必要ないようだ)

神楽耶「これで大体纏まりまして……と言いたいところですけど、1点だけ確認してもよろしいですか、ルルーシュ様?」

ルルーシュ「なんです、神楽耶様」

神楽耶「何故枢木さんがここに居座っているのでしょうか?」ニッコリ

スザク「……」

藤堂「それは私も気になっていたことだ。理由がどうあれ、君がここにいるのは色々とよろしくない」

スザク「……それは、」

ルルーシュ「待て。俺から説明、」

クロエ『これ以上悠長に話し合ってる時間はなさそうよ』

ジャック「なに?どういうことだ、クロエ」

クロエ『これから日本、ああいや、エリア11の政庁へ乗り込もうって話ですよね』

ジャック「そのようだ」

クロエ『ブリタニア本国からの増援があと数時間で到着します』

ルルーシュ「なに?誰が来るんだ?」

クロエ『ええっと……軍関係者はビスマルク・ヴァルトシュタイン、ルキアーノ・ブラットリー』

スザク「ナイトオブワンにナイトオブテン?どうしてこのタイミングで」

クロエ『あと、帝国宰相のシュナイゼル・エル・ブリタニア』


ルルーシュ「なにっ、シュナイゼルだと!?何故あいつが!!」

クロエ『知らないわよ。とにかく行くなら早くしないとかなり面倒なことになるんじゃない』

ジャック「そのようだな。ありがとう、クロエ」

クロエ『いいえ』

ジャック「ゼロ。いや、ルルーシュ。君の反応を見る限りシュナイゼルというのは相当厄介な相手のようだな」

ルルーシュ「ああ……ブリタニア皇族内で最も頭の切れる男だ。大した理由もなしに奴がエリア11へ訪れることはない」

ジャック「枢木はなにか知っているか?」

スザク「いえ、僕も何も聞いてません。ただ、」

ジャック「ただ?」

スザク「現在政庁にラウンズは2人いるので、更に2人も来れば4人ものラウンズがエリア11にいることになる」

スザク「そうなればクロエさんの言う通り、極秘裏にカレンやナナリーを連れていくことは困難を極めると思います」

ジャック「そうか。ならこれ以上話している時間はないだろう」

ジェレミア「どういうことだ?」

ジャック「各々思う所はあるだろうが今すぐに日本へ戻るぞ。そして政庁へ乗り込んでその2人を奪還する」

扇「い、今すぐ!?」

ジャック「時間がないんだ」

藤堂「しかし何の準備もなしに、」

ジャック「だったらすぐに動けッ!!」

神楽耶「ちょっとどうしてあなたの命令を受けねばなりませんのっ!さっきから偉そうじゃなくて!?」

ルルーシュ「い、いや、彼の言うことは正しい。作戦はエリア11への移動中に考えるから、とにかく準備を、」

C.C.「ルルーシュ、威厳」

ルルーシュ「あ。――ゼロが命じる!!黒の騎士団はただちに日本へと向かう!!全団員、発艦準備にかかれ!!」



20:00





――――






21:00



エリア11へと向かう斑鳩内。

扇「ゼロ……ああいや、ルルーシュ」

ルルーシュ「どちらでも構わない」

扇「だったら、ゼロ。カレンは無事かな、情報を吐かせるために酷く扱われてはいないだろうか」

ルルーシュ「カレンなら梃子でも吐かないだろう。しかしどんな扱いをされているかまではわからない」

ルルーシュ(ナナリーがいるから心配はいらないだろうが……)

ジャック「彼女が拉致されてどのくらい経つ」

扇「もう一週間は経つかな」

ジャック「それだけあれば完落ちしているだろう。十代の娘ならば1時間もあれば足りる」

トニー(あなたならね)

ルルーシュ「フッ。カレンを甘く見るなよ」

扇「えーと、ジャックはそういう経験があるのか?」

ジャック「日常茶飯事だ」

扇「へ、へえ。ちなみにどんな方法を?」

ジャック「特別なことはないぞ。恫喝から始まり銃での威嚇、発砲、致命傷にならない程度に傷め付け、自白剤を投与、たまに人質も取る。それでも吐かなければ……」

トニー「ジャック。一応その辺で」

扇「そ、それって尋問というより拷問じゃあ」ブルブル

スザク「そんなことしてませんよ」

ルルーシュ「スザク」

スザク「彼女の尋問は僕の担当ですから」

扇「そうなのか!?」

スザク「ちゃんと人権は守ってます」

ジャック「ちなみにどんな方法で?」

スザク「特別なことはありません。『ゼロの正体は?』『黒の騎士団のアジトは何処だ?』とか、捕虜の扱いに関する法律に則って尋問を重ねています。なかなか口を割りませんが」

扇「そ、そうか。良かった」ホッ

ルルーシュ「」ホッ

ジャック「それは尋問というより質問じゃないのか」コソコソ

トニー「恐らくそれがブリタニア式尋問なんでしょう」コソコソ

ジャック「これがカルチャーショックというやつか」コソコソ

トニー(もう突っ込むまい)






南「扇、ちょっといいか」

扇「ああ」テクテク

スザク「……ルルーシュ。君は黒の騎士団に認められる事に対して自信を持っていたようだけど」

ルルーシュ「まあな」

スザク「理由を聞いても?」

ルルーシュ「いいだろう。俺にとってのキーは、扇だった」

ジャック「あの風見鶏が?」

ルルーシュ「あいつは司令塔には向かないが、その人柄から独特のカリスマ性を持つ」

ルルーシュ「だからあいつさえ落とせば組織内の一定の指示は得られるんだ。逆にあいつの反感を買えば、こちらが窮地に立たされる」

スザク「だから話したのか、ナナリーのことまで」

ルルーシュ「あいつはテロリストらしからず、人情話に弱いからな」フッ

スザク「そしてまんまと君の思う通りに事が運んだ、というわけか」

ジャック「だが彼が仲間と取引を交わしてまで君を認めさせた、というのは予想外だったんじゃないのか?」

ルルーシュ「……さあな。どちらにせよ、彼らはいつも俺の期待以上の働きを見せてくれたから仲間に選んだことに、変わりはないさ」スタスタ

スザク「……」

ジャック「どうした、枢木」

スザク「いえ、僕はこのままでいいのかなって」

ジャック「何を迷っている」

スザク「なし崩し的にルルーシュの、黒の騎士団に手を貸す形になってる。僕は彼らのやり方を否定していたはずなのに」

ジャック「否定?」

スザク「彼らはテロリストだ。暴力で解決する方法を選んだ。そんな方法は間違っている。あなたもテロと闘う立場にいたのならわかるでしょう」

ジャック「……」

スザク「それに……ルルーシュはユフィを殺したんだ。シャーリーはああ言うけど、僕は彼を許すなんて、到底、」


ジャック「枢木」

スザク「はい?」

ジャック「手を出せ」

スザク「え?っ、うわ!なんで銃を持たせ、っ!」チャキ!

ジャック「この銃口の先にいるのはルルーシュだ。君が憎む男だ」

スザク「……」

ジャック「どうしても許さないというのなら5秒以内に彼を撃て」

スザク「な、この状況で!?」

ジャック「先のことは考えるな。後始末には全力で協力する」

スザク「」

ジャック「さあ、今ならあのジェレミアという男もロロという少年もいない。君なら一発で決められるだろう」

スザク「」

ジャック「5」

ジャック「4」

ジャック「3」

スザク「……っ」

ジャック「2」

ジャック「1」

スザク「――ッ!!」グッ






ジャック「…………0」

スザク「うっ……」ガクッ

ジャック「……」スッ

スザク「僕は……ユフィの仇をっ!」ダンッ!

ジャック「それが君の決断だ」

スザク「……こんなの、間違ってますよね」

ジャック「いいや。間違っているかどうかは全てが終わるまでは誰にもわからない。結果はいつも決断を下した先にある」

スザク「……」

ジャック「大切なのは決断をすること。そして結果を受け止めることだ。それがたとえ自分の望みとは掛け離れたものだとしても」

スザク「……だったら、黒の騎士団のテロ行為も、僕が間違ってるって断罪する権利なんて、ない、ってことですよね」

スザク「僕は、いつだってそうだ。独り善がりで……」

ジャック「それに納得出来ないから君は彼らと闘ったんだろう。それが君の決断だ」

ジャック「その決断もまた、否定されるべきことじゃない」

スザク「ジャック……ありがとう」グスッ






シャーリー「あ、スザクくんにジャックさん」トコトコ

スザク「シャーリー。どうしたんだい?」

シャーリー「なんかこういう雰囲気って落ち着かなくて……」

スザク「エリア11に着くのはもうすぐだから。そしたら君も学園に帰れるよ」

シャーリー「う、うん、それはいいんだけど……あのさあ、スザクくん、あのC.C.って人のことなんだけど」モジモジ

スザク「シャーリー。君の言ってた許せないことなんてない、って言葉の意味、わかったよ」

シャーリー「え?」

スザク「僕はずっとルルーシュのことは許しちゃいけないって思ってきた。今も、許そうとはどうしても思えない」

シャーリー「スザクくん……」

スザク「でも、心の何処かで彼をまだ信じたいって思ってる自分がいる。馬鹿だよね、あれだけ裏切られたのに」

シャーリー「……」

スザク(だから殺せないんだろうな)

スザク「今はね、見極めようと思うんだ。彼が僕の知ってるルルーシュなのか。そのために今は彼と行動を共にする」

シャーリー「……そうね。その方が、きっとルルも助かると思う」

スザク「ありがとう、シャーリー」

シャーリー「ううん。ねえ、アッシュフォード学園での、アーサーの事件覚えてる?」

スザク「僕が転校してきた頃のこと?」

シャーリー「あの時さ、屋根から落ちそうになったルルをスザクくんが引っ張り上げたんだよね」

スザク「そうだったね」

シャーリー「……」

スザク「シャーリー?」

シャーリー「……ううん、なんでもない。なんか、ごめんね。2人のことよく知りもしないで勝手なことばっかり」

スザク「いいんだ。それよりも君を巻き込んでごめん」

ジャック「おい枢木、そろそろ作戦の最終確認に行くぞ」

スザク「そうですね。じゃあ、シャーリー。また」

シャーリー「うん」





――――






21:20



エリア11



ルルーシュ「シャーリー。悪いがここから1人で帰れるか?」

シャーリー「平気。さすがにここからは足手纏いだもんね」

ルルーシュ「すまない」

ジャック「おい、こいつも連れて行け」ドンッ

ロロ「うわっ!」フラフラ

シャーリー「え?」

ルルーシュ「どうしてロロを?」

ジャック「気付かなかったのか。こいつ、お前の妹の名が出る度に殺気を醸し出してたぞ」

ジャック「理由はわからんが妹に会わせれば刺し違えかねないぞ」

ルルーシュ「ロロ、お前っ!!」

ロロ「な、そ、そんなわけないよ!そんな、兄さんの気持ちを無視するようなこと!」

ジャック「だったらその“兄さん”呼びを止めてもらおうか」

ロロ「!?」ビクッ

ジャック「やはりな。嫉妬だな?お前の感情は。妹を殺して自分がその座を乗っ取ろうとしている」

ルルーシュ「ロロ……!!」

ロロ「に、にいさ……」

シャーリー「待って」

「?」




シャーリー「ロロはルルのそばにいさせてあげて」

ロロ「え?」

ルルーシュ「しかしこいつはナナリーを!」

シャーリー「ロロはこの中で一番、ルルを大好きだもん。何があってもルルの味方でいてくれるのはきっとロロだけだよ」

ルルーシュ「……っ」

シャーリー「そうだよね、ロロ。何があってもルルを守ってくれるでしょ?」

ロロ「」コクリ

シャーリー「じゃあね、約束しようか。ルルを哀しませることは絶対にしないって」

ロロ「……それは、ナナリーに手出ししないってことですか」

シャーリー「それとあなた自身も守ること」

ロロ「!」

シャーリー「私じゃルルを守れない。だから代わりにあなたと約束したいの」

ロロ「シャーリーさん……」

シャーリー「約束、ね?」ニッコリ

ロロ「……はい」

シャーリー「はい、これでいい?ジャックさん」

ジャック「……ルルーシュ、君が許すなら」

ルルーシュ「……」

ロロ「兄さん……」

ルルーシュ「……当初計画していた奪還作戦からお前を外す。それと、俺の指示は絶対に守れ」

ロロ「う、うん!」

シャーリー「ありがとう、ルル」





ジャック「おい、そろそろ戻らないと」

ルルーシュ「シャーリー、気を付けて」

シャーリー「うん。――ねえ、ルル」

ルルーシュ「ん?」

シャーリー「私、ルルのこと許すね」

ルルーシュ「え……」

シャーリー「お父さんの仇だけど、どうしても嫌いにはなれなかったから」

ルルーシュ「……憎くはないのか」

シャーリー「その逆だよ」

ルルーシュ「逆?」

シャーリー「っ、」モジモジ

シャーリー(ああっ、どうしても言えない!!)

シャーリー「と、とにかく!私は何があってもルルの味方だからね!」

ジャック「おい、もう行くぞ」

ロロ「兄さん、早く」

シャーリー「行ってらっしゃい、ルル。ナナちゃんとちゃんと話すんだよ」

ルルーシュ「……シャーリー、君には本当に今まで、」

シャーリー「謝らないでいいよ。私、ちゃんとわかってるんだから」

ルルーシュ「……行ってくる」タタタッ

シャーリー「うん」

シャーリー(あなたはもう独りじゃないからね)





――――

おつ
クロエ早く続きを書けーーーーーーー

なんと言う展開の速さ

無茶苦茶だけどいい話になってるのがすげぇ

今書きます!プンスカ

――――





21:50



エリア11 政庁



ジノ「おースザクー!」

スザク「ジノ」

ジノ「何処行ってたんだよ?しばらく姿が見えなかったが」

スザク「ああ、ちょっとね。皇帝陛下からの勅令で」

ジノ「ふうん」

スザク「それより、総督は?」

ジノ「まだ執務室。勤勉だよなあ、こんな時間まで」

スザク「わかった。ありがとう」

ジノ「スザクからも言ってやれよーちゃんとお休みも取ってくださいってなー」

スザク「ああ」スタスタ

ジノ「……?なんか変だな、あいつ」





執務室



スザク「ナイトオブセブン、枢木スザク。ただいま戻りました」

ナナリー「お帰りなさい、スザクさん」

スザク「お疲れ様、ナナリー。まだ仕事してたのかい?」

ナナリー「あら、もうそんな時間ですか?集中してたので気付きませんでした」

スザク「そろそろ休もうか」

ナナリー「ええ。待って下さいね、今、片付けますから」ゴソゴソ

スザク「手伝うよ」ゴソゴソ

ナナリー「……」ゴソゴソ

スザク「……」ゴソゴソ

ナナリー「スザクさん。何かお話があるんじゃないんですか?」

スザク「え」

スザク(……もう、腹を括るしかないか)

ナナリー「どうしたのですか?」

スザク「――ルルーシュに、会いたくはないかい?」








廊下



ナナリー「本当ですか?お兄様に会えるというのは!」

スザク「ああ、本当だよ」

ナナリー「嬉しいです……!あの、お兄様も皇族に復帰なさるんですよね?」

スザク「それはどうかな……まだ上には報告してなくて」

ナナリー「ならば行方不明のままなのですか?」

スザク「そうなるね……」

ナナリー「……。スザクさん」

スザク「ん?」

ナナリー「お兄様は、本当に行方不明だったのですか?」

スザク「!」

ナナリー「先日の電話の方、あれはお兄様だったのでしょう?」

スザク「……」

ナナリー「どうしていきなり会わせてくださるのですか?お兄様は今まで何を?」

スザク「ナナリー、今は話せないんだ」

ナナリー「スザクさんまで……私に嘘を吐くんですか?」ギュ

スザク「……ナナリー」






22:00



フッ(暗転)



ナナリー「え?急に光が、」

ゼロ『ブリタニア軍に告ぐ!!』

ナナリー「ゼロ!どうして!?」

スザク「どうやら黒の騎士団がトウキョウ租界の都市機能を麻痺させたようだね」

ナナリー「そんないきなり!一体どうやって?」

スザク「説明は後だ。とにかく今は逃げよう!」ダッ!

ナナリー「きゃあっ!」

スザク(タイムリミットはブリタニア軍が完全に迎撃態勢を整えるまで)

スザク(それまでにナナリーを連れ出さないと、戦闘が始まってしまう!)

アーニャ「スザク」

スザク「っ、アーニャ!」

アーニャ「緊急事態。出撃準備」

スザク「実は、ランスロットが故障中だから出撃出来ないんだ。だから僕が総督を安全なところへ運ぶ」

アーニャ「あなた、ラウンズ。前線に出るべき」

スザク「となれば僕が出来るのは指揮だけだけど。僕の指揮で闘う気かい?」

アーニャ「……敗戦濃厚」

スザク「ははっ、そういうこと。とにかく前線は君とジノとギルフォード卿に任せるよ。とりあえず僕は総督を」

アーニャ「わかった」タタタッ

ナナリー「あの、スザクさん」

スザク「ごめん、今は早く逃げないと!」ダダッ!

ナナリー「逃げないでください!」

スザク「え?」キキッ

ナナリー「私はこのエリアの総督です。このまま何もしないで真っ先に逃げることなんて出来ません」

スザク「何を言ってるんだい。君はコーネリア元総督のような武人じゃないんだから、逃げたって」

ナナリー「それでも出来ることがあります!まずはゼロと通信を繋いでください!」

スザク「いいんだ、君がそんなことしなくたって!」

ナナリー「スザクさんまで私をお飾りの総督として扱うのですか!?」

スザク「そんなつもりはない。でも今はっ!!」

ナナリー「今は、なんですか?」

スザク「っ!」

ナナリー「スザクさん、本当は私を何処へ連れていく気なんですか?」

スザク(くそ、なんて勘の鋭さなんだ)

ナナリー「答えて下さらないと、私はここを動きません!!私は、このエリアの総督ですから!!」キリッ!

スザク(どうしたらいい。このままナナリーの意思を捻じ曲げるなんてこと、僕には!)



ジャック「枢木!!」ダダダッ!

スザク「ジャック、トニー!」

ナナリー「え?」

ジャック「何をもたもたしている!!急げッ!!」

スザク「それが」

ナナリー「スザクさん、彼らは一体誰ですか?」

ジャック「彼女か?」

スザク「はい。でも彼女自身はここを離れることに難色を示していて」

ジャック「それがどうした!!さっさとしなければ戦闘が開始されるぞッ!」ヒョイ

ナナリー「きゃあっ!?な、なにを!!」オロオロ

スザク「ちょっと!ナナリーをそんな荷物みたいに持ち上げないでください!!」

ジャック「君が迷うと日が暮れる!!」ダダッ

スザク「わかった、わかりましたよ!」ダダッ

ジャック「ぬおっ引っ張るな!!」グイッ

スザク「ナナリーは僕が!……ふう、大丈夫だったかい?」

ナナリー「は、はい。って、一体何がどうなって」

ジャック「説明は後だッ!!黙らないと舌を噛むぞ!!!」ダダッ

スザク「そういう脅し文句言わないでください!!」ダダッ

ナナリー(全然状況が掴めません……お兄様ぁ)グスン





――――






20:30(作戦開始の1時間半前)



斑鳩内



ルルーシュ「まずはブリタニアへ宣戦布告する」

スザク「なんだと?血は流さない約束だろう!」

星刻「囮、だな?」

ルルーシュ「そう。突然の宣戦布告の混乱に乗じて、ナナリーとカレンの奪還を同時に行う」

藤堂「それは場合によってはブリタニア軍と一戦交える、と解釈すべきなのか?」

スザク「それには賛成しかねます」

ジャック「俺もだ」

扇「俺も、出来れば避けたい」

ディートハルト「しかしその方が確実に時間は稼げます」

ルルーシュ「今回は戦わない、という前提で作戦を考えるつもりだ」

藤堂「ならばブリタニア軍の迎撃態勢が整うまでの時間を稼ぐ必要がある」

ルルーシュ「それに関しては対策済みだ」

ルルーシュ「トウキョウ租界にはゲフィオンディスターバーが仕掛けてある。それを起動させ、都市機能を麻痺させる」

星刻「なるほど。政府は都市の混乱への対応に追われ、軍のナイトメアはすぐには起動できない」

扇「時間は稼げるな……」

藤堂「どちらにせよ多くの時間はない。戦うつもりがないがないのなら速やかな作戦遂行が求められることになるが」

ルルーシュ「第一部隊と第二部隊に分ける。第一部隊はナナリーの奪還、第二部隊はカレンの奪還。第一部隊の主導はスザク、お前だ」

スザク「そうだね。僕なら一番自然にナナリーを連れ出せる」

ディートハルト「しかし黒の騎士団が進軍してきたとなればラウンズは真っ先に駆り出されるでしょう」

藤堂「スザク君が出撃しない理由が必要になってくるな」

ディートハルト「そうですね、たとえば操縦桿を握れない状態にする、というのはどうです?」

扇「や、止めてくれないかそういうのは」

星刻「いや、パイロットではなく機体が動かない状態にさせる、というのはどうだろう。急な故障で」

ディートハルト「細工をすると?敵陣の真ん中にあるナイトメアに?」

藤堂「それだと我々がそこまで乗り込まねばならん」

スザク「政庁の格納庫の中ですからね。敷地の外側にはありますが、そう簡単には入れませんよ」

藤堂「黒の騎士団の工作員は今も日本にいるが、その任務は荷が重いだろう。しかもこの短時間だ」

ジャック「その問題に関してはこちらでどうにか出来そうだ」

藤堂「なに?」

ジャック「今、カーティスという俺の部下から連絡が入った。チームも一緒にこちらに来ているらしい」

「????」

トニー「細かいことは気にせずに」

ジャック「彼のチームなら潜入・突入・諜報活動もお手の物だ。今すぐ秘密裏にそのランスロットとやらの故障工作に入らせる」

ジャック「トニー、頼めるか」

トニー「はい。……カーティス、僕だ。ジャックからの指示で――」


ディートハルト「いいんですかゼロ、こんな怪しい人物を信じて!?」

ルルーシュ「今はそれしか方法がない。ジャックに任せよう」

ディートハルト「」チッ

ジャック「俺とトニーも枢木の補佐に入ろう。ブリタニア人に見えるようだから君達よりは怪しまれまい」

ルルーシュ「助かる」

スザク「これでナナリー奪還計画の首尾は整ったね」

扇「第二部隊のカレン奪還計画は誰が主導する?」

ルルーシュ「篠崎咲世子、という隠密行動に優れた俺の協力者がいる。彼女とロロに任せるつもりだ」

スザク(サヨコ、ってあの咲夜子さんか?)

藤堂「紅蓮はどうする?」

ルルーシュ「もちろん同時に奪還する。スザク、カレンと紅蓮の場所は教えてくれるな?」

スザク「ああ。ある程度口は通しておくよ」

星刻「潜入だけでなく脱出も速やかに行う必要がある。紅月には紅蓮に乗った状態でそのまま正面突破してもらおう」

藤堂「作戦の方向性はこういったところか」

ディートハルト「ただ、宣戦布告を行う以上は覚悟を決めねばなりません」

ディートハルト「彼らがタイムリミットまでに目的達成出来なければ、我々は戦闘開始に踏み切るというリスクも背負うべきでしょう」

ルルーシュ「……そうだな。星刻や藤堂はその選択を視野に入れた上で万全の準備を整えていてくれ」

星刻「私は中華連邦の人間だから、最初から姿を見せるのは避けたい。もちろんそんな状況になれば加勢するが」

ルルーシュ「構わない」

スザク(そんなことには絶対させない)

扇「ゼロはどうする?」

ルルーシュ「俺はもちろん進軍の最前線に立ち、囮である黒の騎士団の指揮を執る」

扇「行かなくていいのか?妹さんのところへ」

ルルーシュ「いいさ。スザクが行くからな」フッ

スザク「……」





――――







スザク(ジャックの話によると第二部隊の作戦は順調で、カレンの奪取にも成功したらしい。あとは紅蓮の元に行くだけだ)

軍人A「枢木卿!」

スザク「っ、どうした」

軍人A「どうされたのです、早く前線へ!」

スザク「ランスロットは故障中だ。僕は総督を避難させる」

軍人B「ヴィンセントへご搭乗を!」

スザク「ランスロット以外は苦手なんだ」

軍人C「ナイトオブラウンズが戦場へ出ないでどうされます!総督は私達が!」

スザク「だっ、だから!」

ジャック「ちょっとよろしいか」

軍人A「ん?誰だお前は」

スザク「彼らは極秘任務に当たってる僕の協力者だ」

軍人A「そうでしたか」

ジャック「枢木卿はこれから重大な任務のためここを離れねばならないのです」

軍人B「この状況より重大な任務とは?」

ジャック「証拠を見せます。こちらへ」

軍人B「なんだ?」テクテク

ジャック「もうちょっと近付いて」

軍人B「?……ガッ!!」バタッ

軍人AC「っ!!?貴様、何を!!」

ジャック「トニー!」

トニー「!」

ガッガッ、ドサッ!

スザク「ちょ、ちょっと何してるんです!?」

ジャック「気絶させただけだ!!」

スザク「こんなことしたらすぐバレますよ!!」

ジャック「緊急事態だッ!!止むを得ん!!!」

軍人D「おい、何の騒ぎだ……!?」

軍人E「倒れてるぞ!?」

軍人F「枢木卿、なにを!!」

トニー「見付かりました!!」

ジャック「走れ!!このまま強行突破だ!!!」ダダダッ!

スザク「ああ~~これじゃあ僕がこの作戦に当たった意味がない~~!!!」ダダダッ!





――――






藤堂「スザク君からの連絡はまだか?」

C.C.「ああ。あのジャックとかいう男の連絡も途切れたな」

ディートハルト「ゼロ。ここは速やかにプランBの決行に臨むことを提案します」

ルルーシュ「いや、待つ。まだ時間はある」

ルルーシュ(信じてるからな、スザク)

C.C.「そういえばあいつは何処行った?」





――――





スザク「ナナリー!耳を塞いで!!」チャキ!

ナナリー「っ!」サッ

バンバンッ!
ドサッ
ガッガッ、ズガッ!

スザク(くそ、緊急事態信号が送られてしまったようだ。さっきからどんどん増えてきてる)

スザク(僕はナナリーを抱えていて銃での威嚇が精一杯)

スザク(ジャックとトニーが頑張ってくれてるけど、これじゃあタイムリミットまでに外に出られるかどうか……)

スザク「どうしたらいい、どうしたらっ――!!」



キュイイィィィーーン!

スザク「!?」

ジャック「動きが止まった?」

???「枢木卿!!」




スザク「ロロ!?」



ザッ!



ロロ「ここは僕が引き受けます!!枢木卿は早くナナリーを兄さんの元に!!」

ナナリー「“兄さん”?」

スザク「君はゼロの援護じゃ!?」

ロロ「いいから!!」

ジャック「君はどうする?」

ロロ「僕には時間停止のギアスがあります。これくらいの歩兵部隊だったら1人で足ります!」

トニー「ジャック、この好機を逃したら」

ジャック「……そうだな」

スザク「助かるっ、ロロもすぐ追ってくるんだぞ!!」ダダッ

ロロ「ナナリーをお願いしますっ!!」





――――






キュイイィィーーン!
バンッバンッバンッ!



軍人「――ぐあっ!?いつの間、に……」ドサッ

軍人「取り押さ――」



キュイイィィーーン!
バンバンッ!



軍人「――えろ、っう」ドサッ



キュイイィィーーン!



ロロ「ハア、ハア」

ロロ(さすがにそろそろヤバいな……心臓がもたない)

バン!

ロロ(さすがはエリア11の中枢、増援が次から次へと。こんなの僕1人で倒すなんて無理だ)

軍人「子ども1人だぞ!何を――」



キュイイィィーーン!
バンバンバンッ!



ロロ(でもいいんだ、これで。ずっと誰かの道具だった僕の人生だけど、兄さんとの思い出のおかげで僕は人間になれた)

軍人「――しているっ!……ぐはぁっ!」ドサッ

ロロ「くっ」



キュイイィィー、

ロロ「ごめんなさい、シャーリーさん……あなたとの、約束……守れそうに、ありません」ハアハア

軍人「囲めっ!」チャキ!

軍人「蜂の巣にしてやる!!!」チャキ!

ロロ「……でも、ナナリーは兄さんの元へ送り届けたよ」フッ

軍人「撃てーーーーッッ!!!」

ロロ「っ!!」グッ










バンバンバンッ!!

ドサッ、ドサッ、ドサッ



軍人「な、なんだ!?」

???「逃げるぞ!!」

ロロ「えっ……ジャック!!?」

ジャック「来いッ!!」グイッ

軍人「逃がすな撃てぇーっ!!!」



バババババババンッ!!



ロロ「ひいっ」

ジャック「屈めッ!!!」

バンッバンッ

軍人「ぐはっ」

軍人「があっ!」

ロロ(な、なんでジャックはあれだけ撃たれて被弾しないのにジャックの弾は当たるんだ!!?)

ジャック「すぐに枢木達に追い付くぞ!!」

ロロ「どうして僕を!?」

ジャック「説明は後だッ!今は先を急ぐ!!」

ロロ「は、はい!僕も少し休んだらすぐにギアスを、」

ジャック「あれからだいぶ人数も減った、もう必要ない!!」

ロロ「ひ、1人でここを切り抜ける気ですか!?」

ジャック「ヘリや戦闘機で狙われるよりはマシだ!!」

ロロ(だからなんなんだこの人は!!?)





――――






星刻「ゼロ、もうさすがに」

ルルーシュ「……」

クロエ『通信が入ったわ。第一部隊よ』

ルルーシュ「っ!!繋げてくれ!!」

スザク『――ル、ゼロ!!無事目標は奪取した!!』

ルルーシュ「そうか!よくやったスザク!!」

扇「あとは第二部隊のカレンだが……」



ドカーーンッ!!



藤堂「政庁の壁が!」

ディートハルト「光が、ブリタニア軍の無数のナイトメアの群れを擦り抜けて!?」

ラクシャータ「ふうん?」



シュパ!!



カレン『ゼロ・親衛隊隊長紅月カレン!ただいまをもって戦線に復帰しました!!』

ルルーシュ「カレン!無事だったか!!」

カレン『はい!ゼロ、救出してくれてありがとうございます!!』

扇「カレン、良かった!」

カレン『早速ご命令を!!ずっと捕まってたからうずうずしてたんです!!』ウズウズ

ルルーシュ「ああ!!それでは早速!」

カレン『はいっ!!』ウズウズ

ルルーシュ「撤退だ!!!」

カレン『撤退!!――って、ええぇ!!?戦わないんですかぁっ!!!』

ルルーシュ「ゼロが命じる!!黒の騎士団は早急に撤退するんだーーっ!!」ジリジリ

黒の騎士団「おおっーーー!!」ジリジリ

カレン『えっえっえっ!!?ちょっと状況が呑み込めないんですけど!?』

C.C.『そういうわけだ、カレン。帰るぞ』

カレン『久し振りねC.C.……じゃなくてえっ!!誰か説明してよっ!!』

C.C.『説明は後だ』

カレン『なんなのっ!!?』





――――

ジリジリにワロタ

ロロ(な、なんでジャックはあれだけ撃たれて被弾しないのにジャックの弾は当たるんだ!!?)

まさに、「それな!」と言わざるをえないwwwwwwwwwwww

本当に...すまないと思っているっ!

ようやくまともなツッコミ担当が来たか……






23:00



斑鳩



C.C.「どうだ、理解したか?」

カレン「したような、してないような……?」

C.C.「無理もない」

カレン「とりあえず私はゼロに――ああいや、もうルルーシュでいいのよね。ルルーシュに会いたいんだけど」

C.C.「そんなに恋しかったか」

カレン「そういうわけじゃないわよっ!ただ私だって彼の口から事情を聞きたいだけ!」

星刻「残念だが彼は今、妹と2人きりで話をしている」

カレン「ナナリーと?私はともかく、よく総督まで連れ出せたわね」

スザク「僕がやったんだ」ゲッソリ

カレン「スザク!?」

C.C.「お前、やけに疲れて帰ってきたな」

スザク「気疲れっていうか……ジャックがね……」ゲッソリ

カレン「なんであんたがここにいるのよ!?」ガシッ!

スザク「話せば長くなるよ」

ジャック「いや、今こそ君も話すべきだろう」

カレン「誰!?」

ジャック「俺はジャック・バウアー」

トニー「トニー・アルメイダ」

カレン「名前なんてどうでもいいわよ!!」


ジャック「枢木。どうやら君は彼らに誤解をされているようだ」

スザク「構いません。それが僕の選んだ道だから」

ジャック「構え。ほんの少しの誤解を許してしまえば取り返しがつかなくなることだってあるんだ」

藤堂「誤解とはどういうことだ?」

玉城「そいつは日本人のくせにブリタニアに媚売った裏切り者だろーが!!」

朝比奈「父親と同じ売国奴でしょ」

扇「お、おい話くらい聞いてやろうよ」

神楽耶「枢木さん」

スザク「神楽耶」

神楽耶「今回の件に関してはお礼を言わせていただきますわ」

神楽耶「ですが今までしてきた日本への裏切り行為を許すわけにはいきません。どんな事情があろうと」

スザク「許されようなんて思ってないよ」

神楽耶「ですがルルーシュ様があなたのことを全面的に信頼しているのも事実。一度、裏切られたにも関わらず」

スザク「……」

神楽耶「あの方があなたを認めるというのなら、私も」ギュ

C.C.(神楽耶、あれだけスザクのことを憎んでいたのに)

スザク「無理をしなくていいよ。僕は君達の仲間になるわけではないから」

神楽耶「え?」

カレン「じゃあなんでここにいるのよ?」

スザク「結果的にそうなっただけだ。僕は黒の騎士団のやり方には賛同できない」フイッ

藤堂「認められて変えていける力を持つ。それが君の選んだ道だったな」

スザク「はい」

扇「待ってくれ。それって君も、君なりの方法で日本を取り返そうとしていたってことなのか?」

玉城「扇ぃ、そりゃこいつに都合よく考え過ぎだぜぇ?」

カレン「そうよ」

玉城「はあっ!?」

カレン「あなたはあなたなりに日本のことを考えていた、そうよね?」

スザク「……」コクン

朝比奈「あの枢木スザクが……?」

千葉「日本を裏切ったとばかり」

神楽耶「ですがあなたが選んだのは侵略国に隷属する道でしょう。それが枢木家の嫡男が選ぶ道ですか?」

スザク「君達のやり方は血が流れる」

神楽耶「だから敵国に従うのですか」

スザク「最低限の平和は約束される」

神楽耶「それは虐げられる平和ですわ」

カレン「だから私達は戦ってきたのよ、スザク」

スザク「僕のように組織を使うという手だってあったはずだ」

カレン「組織に入れない人はどうなるの?それは違うって、どうやって言えばいいのよ!」キリッ

スザク「入るしかない人はどうなる?正義とは!」キリッ






ジャック「正義とか言い出してしまった」

トニー「また平行線が始まりましたね」

ジャック「とにかく俺は彼らの愛国心は理解したぞ」

トニー「ここまでくれば分かり合えそうなものだが」

C.C.「人間とは愚かなものだからな」スッ

ジャック「君は議論に参加しないのか」

C.C.「私は人とは違う理の中で生きている」

ジャック「……これがジャパニーズ・スラングでいう厨二病、というやつか」コソコソ

トニー「よくそんなマニアックな単語知ってますね」コソコソ

C.C.「聞こえてるぞ。……ところでジャック・バウアー。私はお前の人生に興味があるんだが」チラ

ジャック「大したことはないぞ」

トニー「大したことはありますよ」

C.C.「奴らの答えの出ない議論よりは面白そうだ」ワクワク

トニー「いいんじゃないんですか。珍しく時間もあることですし」

ジャック「構わないが」

C.C.(ルルーシュ達も当分終わらないだろうしな)





――――






ナナリー「――お兄様が、ゼロだったのですね」

ルルーシュ「そうだ」

ナナリー「今まで、ずっと私に嘘を」

ルルーシュ「……」

ナナリー「どうして――私の為ですか?」

ルルーシュ「っ、俺は、お前が安心して暮らせる世界が欲しかったんだ」

ナナリー「私はそんなこと頼んでません!お兄様と2人きりで暮らせれば、それだけで良かったんです!」

ルルーシュ「ナナリー、それは理想だ。辛い現実から目を背けているだけだ」

ナナリー「だから戦ったのですか?戦う力のない私の代わりに」

ルルーシュ「お前の未来の為だ。現実に負けない為にも」

ナナリー「負けることが、弱いことがそんなにいけないことなんですか?」

ルルーシュ「そうじゃない。戦って、自分の力で勝ち取ることが大切なんだ」

ナナリー「だけどお兄様はその過程で、大勢の人達を……!」プルプル

ルルーシュ「……だからこそ俺は、やり遂げなければならない」グッ

ナナリー「それにギアスなんて卑劣な力を使うなんて!」

ルルーシュ「必要だったんだ、力が」

ナナリー「目が見えない私には使えないでしょうが、どんなものなんです!?」ペタペタ

ルルーシュ「ああいや、今はちょっと」アセアセ

ナナリー「…………、あら?」ピタッ

ルルーシュ「」ダラダラ

ナナリー「お兄様、左目……眼帯?なにか足りないような……」ペタペタ

ルルーシュ「その、ギアスはもう使えないんだ」

ナナリー「どうして?」

ルルーシュ「ギアス、というか、目、が……その、な…………」

ナナリー「……」

ルルーシュ「……」

ナナリー「……」

ルルーシュ「……」



ナナリー「…………っ!!!!??えっ!!!!ないんですかッ!!!?」

ルルーシュ「ふ、2人で1つの眼球になってしまったな」(錯乱)

ナナリー「なぜっ!?どなたかに強制的に!!?」

ルルーシュ「まあそうなるかな……」ダラダラ

ナナリー「ど、どうしましょう!?今すぐその方の眼球を奪いに行かないと!!」(錯乱)

ルルーシュ「待て!あいつにだけは関わるな!!というか落ち着け!!」ガシッ

ナナリー「は、はいっ!」

ルルーシュ(良かった)ホッ

ナナリー「……でも、お兄様は今、ここにいるんですよね」

ルルーシュ「ナナリー……」

ナナリー「…………会いたかったです!」ギュ

ルルーシュ「俺もだっ……!」ギュゥゥ

スザク「ルルーシュ入るよ」ガチャ

ルルーシュ「(チッ、空気の読めない奴め)なんだ、スザク」グスッ

ナナリー「……」グスッ


ルルーシュ「!?お、お前なんだその殴られた痕は?」

ナナリー「え!?」

スザク「これはまあ。それより君達もちゃんと話したのかい」

ルルーシュ「ああ……」

ナナリー「……」

スザク「僕も彼らと話したよ」

ルルーシュ「どうだった?」

スザク「全然ダメだ。分かり合えそうもない」フルフル

ルルーシュ「そうか……」

スザク「でもさ、カレンが助けてくれたよ」

ルルーシュ「カレンが?」

スザク「凄く空気が悪くなって、これだけの人数はさすがに相手に出来ないぞって思ってたら、カレンが僕を一発殴ったんだ」

ナナリー(あら、カレンさんってどういう方でしたっけ?)

スザク「それでなんか、おあいこみたいな空気になって」

スザク「敵になるんだったら戦うし、味方になるんだったら足引っ張らないでよねって言われて」

ルルーシュ「カレンらしいな」

スザク「まあ、何も解決はしてないんだけど……少しだけ楽になったよ」

ルルーシュ「分かってもらえなかったんだろう?」

スザク「最初からそんなつもりはなかったしね」

スザク「でも自分の言葉を伝えて、彼らの言葉も聞けて良かったと思ったよ」

ナナリー「スザクさん……日本人の方々の為に、今まで頑張ってきたのに……」

スザク「いいんだよ」

ルルーシュ「……。どちらにせよ俺達の目的は変わらない。スザク、お前ブリタニア軍にナナリーを連れ出す姿を見られたんだろう」

スザク「ああ。ロロのおかげで助かったけど」

ルルーシュ「ロロは?」

スザク「休んでる。ちなみにジャックはピンピンしてる」

ルルーシュ「だろうな」

ナナリー「ロロ?ジャック?」

ルルーシュ「説明は後でするよ。……つまりお前はもうブリタニア軍には戻れない、ということになる」

スザク「わかってる。というか、この作戦に協力した時点で覚悟はしてたよ」

ルルーシュ「ならばこれから先も俺達に協力してもらおうと思うのだが」

スザク「君が約束を守るのなら」

ルルーシュ「ああ、それはもちろん」

スザク「なら」

ルルーシュ「……」

スザク「……」




ナナリー「……お兄様、スザクさん」

ルルーシュ「ん?」

ナナリー「お2人の確執は、ユフィ姉様の死にあるのでしょう……?」

ル・ス「!!」

ナナリー「はっきりさせませんか?あの日、何故あんな悲劇が起きてしまったのか」

スザク「……そうだね。前に、というか数時間前にも聞いたけど、改めてナナリーの前で確かめさせてくれ」

ルルーシュ「……」

スザク「君がユフィにギアスをかけたのか?」

ルルーシュ「ああ」

スザク「日本人を虐殺しろと?」

ルルーシュ「俺が命じた」

スザク「っ、何故そんなギアスを?」

ルルーシュ「日本人を決起させる為だ。行政特区日本が成立すれば、黒の騎士団は崩壊し
ていた」

スザク「どうしてユフィを殺したんだ。君の実の妹だろう!」

ルルーシュ「……もう止めにしないか。何度聞かれても俺の答えは変わらない。憎みたければ」

ナナリー「お兄様」ギュ

ルルーシュ(いつの間に手を)

ナナリー「それは、嘘ですね」

ルルーシュ「!?」



ナナリー「お兄様こそもう止めにしてください。これ以上嘘を重ねるのは」

スザク(ルルーシュ、君も僕と同じなのか。後付けの理由を)

ナナリー「どうして本当のことを話してくださらないのです?」

ナナリー「私は知っています、お兄様がそこまで非道ではないことくらい」

スザク(憎まれても当然だから。だから弁解しないのか)

ルルーシュ「だが俺はゼロだ」

ナナリー「それでもです。スザクさんだって私と同じでしょう?だからこそお兄様の口から、本当のことを聞きたいのでしょう?」

スザク「……ルルーシュ。どうして僕に“生きろ”とギアスをかけたんだ」

ルルーシュ「……俺が生き残りたかったからだ」

スザク「……」

ルルーシュ「……」

ナナリー「…………そんなの、スザクさんに生きて欲しかったからに、決まってるじゃないですか」

ルルーシュ「……」

スザク「……」

ナナリー「……」

ルルーシュ「……変わらないよ。お前達が本当のことを知ったところで」

ナナリー「お兄様」

ルルーシュ「俺がゼロとなり、混乱を引き起こし、ユフィを殺した。その事実は変わらない」

スザク「罪は消えない」

ルルーシュ「ああ」

スザク「償わなければならない」

ルルーシュ「そうだ」

ナナリー「――でも、人はやり直せると思います」

ル・ス「……」

ナナリー「それがどんな過ちでも……。お兄様、私も罪を償います。それからやり直しましょう。私と一緒に」

ルルーシュ「何言ってるんだ。お前に罪なんてない」

ナナリー「全て私の為だったのでしょう。ならば私も同罪です」

ルルーシュ「止めろ。お前にそんなことを言わせたくて話したわけじゃないんだ」

ナナリー「なによりもう、お兄様と……離れたくないんです」ギュ

ルルーシュ「ナナリー……」

スザク「……」





――――






0:00



政庁



シュナイゼル「それで、紅月カレンと紅蓮は奪取され、ナナリーはスザク君と行方不明、というわけかい」

ジノ「申し訳ございません」

カノン「謝る必要はないわ。今回の件は枢木卿の謀反が原因のようだし」

ジノ「お待ちください。まだそうと決まったわけではありません」

カノン「枢木卿がナナリー様を抱えて制止する軍人達を振り切って逃げていた、という証言をどう説明するつもり?」

ジノ「そう見えただけかも」

カノン「それに協力者を自称する謎の男達が逃亡を補佐していた、という証言もあるわ。彼らは明確にこちらへ危害を加えていた、と」

アーニャ「だけど、証拠はない」

カノン「アーニャ、何を言うの」

シュナイゼル「彼女の言う通りだよ」

カノン「殿下?」

シュナイゼル「不思議なことに監視カメラの映像にはナナリーとスザク君の姿が映っていないんだよ」

カノン「消したのでしょう」

シュナイゼル「見事なまでにね。今本国の分析官に調べさせているが、全く痕跡が残っておらず犯人の割り出しはほぼ不可能らしい」

ジノ「スザクにそんなこと出来ませんよ」

シュナイゼル「そうなると、この件についての検討は保留にせざるを得ないね」

シュナイゼル「スザク君は皇帝陛下の騎士だ。下手な嫌疑をかけるわけにはいかない」

カノン「同時に起きた黒の騎士団の進軍と紅月カレン及び紅蓮の奪取のことを考えれば、己ずと答えは見えてきますが」

ジノ「マルディーニ卿。それはラウンズがテロリストに与した、と仰るのか」ギロリ

カノン「可能性の1つよ」

アーニャ「……」


シュナイゼル「ところでジノ。スザク君が復学した理由を知っているかい?」

ジノ「は?なんですか急に」キョトン

カノン「あなた達とは違って枢木卿は総督の補佐として赴任した。本来ならそんな時間ないはずでしょう」

ジノ「これといった理由は聞いてないですけど……なあアーニャ」

アーニャ「」コクリ

シュナイゼル「……不思議に思ってね、少し調べてみたんだよ。すると興味深いことがわかってね」

ジノ「なんです?」

シュナイゼル「1年前のブラックリベリオンの前後、アッシュフォード学園の生徒が一部を除きほぼ一新されていたんだ」

ジノ「戦争が起きたんです、おかしなことではないでしょう」

シュナイゼル「私も最初はそう思ったよ。でもね、その一部の生徒の名前を確認すると、見覚えのある名前を発見してね」

ジノ「お知り合いですか?」

シュナイゼル「もしも“彼”とスザク君に関係があれば……これまでの出来事が一本の線で繋がる」

ジノ「よく、意味がわからないのですが」

シュナイゼル「いや、全ては私の推論。証拠の無い話だ」ニコリ

アーニャ「……」

カノン「とにかく総督が行方不明の今、エリア11統治軍の指揮権はシュナイゼル殿下へ暫定的に移るわ」

シュナイゼル「あなた達2人はナイトオブワンとナイトオブテンと共に、黒の騎士団の再起へ備えてちょうだい」

シュナイゼル「頼むね」

ジ・ア「イエス、ユアハイネス」





――――






ジノ「――とは言ったものの、あんな撤退をしたんだからまた、ってことはないだろうなあ」

アーニャ「攻めるなら絶好のチャンスだった」

ジノ「なんでゼロはあんな行動取ったんだろう。まるでナナリー様とカレンを連れ出すためだけにやったような……」

アーニャ「それ、スザクも共犯だって言ってる」

ジノ「はっ!?ち、違う!!私はそんなこと思っていない!!」

アーニャ「……」スタスタ

ジノ「待ってくれよアーニャ!お前だってスザクがそんなことするわけないって思うだろ?」アセアセ

アーニャ「ジノ。私達は、ラウンズ」

ジノ「知ってるけど」

アーニャ「陛下の敵を討つのが仕事」

ジノ「スザクはまだ敵だって決まったわけじゃない」

アーニャ「だから戦わない」

ジノ「アーニャ!」

アーニャ「でも陛下を殺めるようなことがあれば、戦う」

ジノ「そんな、有り得ないだろ」

アーニャ「そういうこと。だから何も分からない内は、何もしない」スタスタ

ジノ「あ、ちょっと待ってくれよ!」アセアセ

ジノ(……そういえば、シュナイゼル殿下はどうしてこんな時間にエリア11へ来たんだろう?)





――――






シュナイゼル「ゼロの動きが思ったより早いね……」

カノン「新たに参謀でも雇ったのでしょうか」

シュナイゼル「それは有り得ないよ。“彼”の性格からしてね」

カノン「ですが、殿下の予想が全て正しかったとして、ナナリー様と枢木卿が向こうに渡ったと考えると少々面倒なことになりませんか?」

シュナイゼル「ふむ。まあ、楽観的に考えよう。おかげで我々も早めに対策を打てるようになったわけだ」

シュナイゼル「当初の予定より早くエリア11へ来ることになってしまったが、これも結果オーライというやつかな?兄上には感謝しないと」

カノン「……まさかオデュッセウス殿下に勘付かれるなんて、思いませんでしたね」

シュナイゼル「考えても仕方ないよ。今は計画を迅速に進められそうなことを幸運に思わないとね」

カノン「ですが準備が不完全です。この状況でまずは何から取り掛かるおつもりですか?」

シュナイゼル「そうだね……では彼の十八番を借りて、足場を崩しに行こうか」ニコリ

カノン「なるほど。ですが証拠がまだ十分ではありませんが」

シュナイゼル「今のままで足りるよ。もう少し状況に味方して欲しかったけれど、この際贅沢は言っていられない」

カノン「向こうが早く動く以上、こちらもそれに対応せねばなりませんしね」

シュナイゼル「そういうことだ。では、取りに行くとしようか――ゼロの駒を」





――――






0:30



斑鳩



C.C.「それで、スザクやナナリーには分かってもらえたのか」

ルルーシュ「……」

C.C.「だろうな」

ルルーシュ「まだ何も言っていない!」

C.C.「お前の顔を見てればわかる」

ルルーシュ「最初から分かってもらおうなんて」

C.C.「思ってない、と言うつもりか?」

ルルーシュ「……」

C.C.「……無理をするな、私の前では」

ルルーシュ「……。なあ、C.C.。どうしてこんなことになったんだ」

ルルーシュ「俺はただナナリーには笑っていて欲しかった。スザクにはそのナナリーを守って欲しかった。2人にはそれしか願ってなかったんだ」

C.C.「あいつらにも願いはある。それがお前とは違っただけだろう」

ルルーシュ「自己満足だったというのか、俺の今までの行動は」

C.C.「知らんな。魔女に答えを求めるな」

ルルーシュ「……間違っていたのは、俺の方だったのか?」

C.C.「それでもお前は止まることなど出来ない」

ルルーシュ「わかっている!既に俺はルルーシュとして反逆の狼煙を上げた。日本の解放は遂げて、それから……」

C.C.「ナナリーやスザクのいない世界で生きるのか」

ルルーシュ「……俺の存在は2人にとってノイズだ…………」

C.C.「……私とお前は共犯者。契約が履行されるまで私は何処までもお前と共に在る」

ルルーシュ「……C.C.。お前の願いとは一体、」




ジャック「おい」ヌッ

ルルーシュ「っ、なんだ」

ジャック「シャルル・ジ・ブリタニアとはブリタニアの皇帝で間違いないか」

ルルーシュ「そうだが、どうした」

ジャック「日本に来ているらしい」

ルルーシュ「なにっ!確かな情報か!?」

ジャック「クロエが通信を傍受したものだから間違いない」

ルルーシュ(それ、ロイヤルプライベート通信だろ。しかも皇帝専用チャンネル……どうやって傍受したんだ)ボーゼン

ルルーシュ「それで、目的は?」

ジャック「わからない。だから君に聞きに来た」

ルルーシュ「皇帝が本国を離れること自体レアケースだからな。可能性が高いのは」チラ

C.C.「……神根島だろう」

ジャック「俺が最初に着いた場所だ」

C.C.「そうだったのか」

ルルーシュ「シャルル……」ギリギリ

ジャック「……ルルーシュ。どうやら君は皇帝を、父親を憎んでいるようだな」

ルルーシュ「ああ」

ジャック「廃嫡されたことで?それとも母親の暗殺のことで?」

ルルーシュ「おい、そこまで話した覚えはないが」ジトリ

ジャック「クロエに調べさせた。君は第五皇妃マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアの長子として産まれ(中略)」

ジャック「――日本への侵略戦争の際戦乱に巻き込まれて行方不明、そうだな?」

ルルーシュ(だからそういう皇族のプライベートな情報をどうやって……)ボーゼン

ジャック「それで、質問の答えは?」

ルルーシュ「教える義務はない」プイ

C.C.「話しとけ、ルルーシュ。こいつに一度睨まれたら地獄の果てまで追ってくるぞ」

ルルーシュ(納得はいかない。だが何故か説得力がある……)

ルルーシュ「実は――」








ジャック「――なるほど。母親の暗殺犯を一切調べようとしなかったことから不信感を抱いたわけか」

ルルーシュ「あいつは母さんのことを愛していたと思ってた。それなのにっ!」

ジャック「そして君はその暗殺は単なるテロリストの仕業とも、皇室内権力抗争の結果だとも考えていない」

ルルーシュ「ああ。当日は母さん自らが警備を遠ざけていたり、遺体をシュナイゼルが運び出していたり、不審な点が多すぎる」

ジャック「……皇帝は?」

ルルーシュ「は?」

ジャック「皇帝は一切の調査をしなかった。それを冷淡と取るのか、それとも――自らも暗殺に関わっていたと取るのか」

ルルーシュ「!!」

C.C.(こいつ……)

ルルーシュ「そんな馬鹿な!」

ジャック「君にとっては最悪の答えだ。無意識の内に考えることを避けていたのだろう」

ルルーシュ「あ、有り得ない。母さんは寵妃と言われていたし、殺す理由なんてない!!」

ルルーシュ「それに一国の皇帝が皇妃の暗殺に関わっていたというのか!?」

ジャック「有り得る話だ。一国の大統領がテロを主導していた例だってある」

ル・C「それはひどい」

ルルーシュ「だ、だがその事件でナナリーは目と足が不自由になったんだ」

ルルーシュ「その話が正しかったとしたら、ナナリーまで狙われていたことになる」

ジャック「狙われていたのだとしたら既に殺されているだろう。皇帝ならいくらでもチャンスはあった」

ルルーシュ「だとしたらナナリーはたまたま巻き込まれただけ……」

ジャック「もしくはあの場にいなければならない“理由”があった」

ルルーシュ「理由?」

ジャック「そこまではわからない。だがはっきりさせないことには君の妹に安寧は訪れないだろう」

ルルーシュ「やはり母さんの死の真相は突き止めなければな……」


ジャック「ああ。だから今すぐ神根島に行くぞ」

ルルーシュ「え、今?」

ジャック「丁度近くに来ているんだ。直接確かめれば良いだろう」

ルルーシュ「だ、だが俺の計画にも順序というものがある。皇帝と対峙するにはもう少し時間が」アセアセ

ジャック「真相を突き止めるのに早いも遅いもあるかッ!!こうしている内に皇帝が核戦争の準備でもしていたらどうする!!?」

ルルーシュ「わかったわかった!行けばいいんだろう!!」ウンザリ

C.C.(完全にジャックのペースに呑まれてるな……)

ジャック「ではどうやって向かう。この斑鳩で突っ込むか」

ルルーシュ「それじゃあ目立ち過ぎる!!とにかく、個人的な話になるから俺とC.C.だけ
で向かおう」

ジャック「わかった。俺も行く」

ルルーシュ「お前は来るな!!碌な事にならない気がする!!」

ジャック「いざとなったら俺が締め上げて答えさせる。皇帝の陰謀となれば世界的な影響が計り知れないからな」

C.C.「拷問するのか」

ジャック「尋問だ」キリッ

ルルーシュ「勝手にしろ……」ハア

スザク「ルルーシュ」

ルルーシュ「スザク」

スザク「今、何処かに行く行かないって話をしてなかったかい」

ルルーシュ「いや、なんでもない。お前はナナリーの」

ジャック「皇帝に会いに神根島へ行くんだ」

ルルーシュ「言うな!!」

スザク「皇帝陛下に?」

ルルーシュ「違うんだ。その」

スザク「ルルーシュ。この期に及んで僕に隠しごとをするのか?」ギロリ

ルルーシュ「くっ」

C.C.「観念しなければならないようだな」チラ

ルルーシュ「しかし斑鳩内にナナリーを置き去りにするわけには」

C.C.「カレンがいるから大丈夫だろう」

ジャック「トニーには事情を話しておこう。何かあれば報告させる」

スザク「これで準備は万端だね。さあ、僕には全てを話してもらおうか」

ルルーシュ(こいつめ。吹っ切れたのか遠慮がなくなってきたな)コノヤロウ



遠慮してるとドンドン一人で突き進むルルーシュにはこのくらいでいいのかもしれない






神根島へ向かう蜃気楼内

ジャック「やはり狭いな」

C.C.「おい、レディーファーストだ。私にもっとスペースを明け渡せ」

ルルーシュ「だから1人乗り用だって言ってるだろう!」

スザク「ルルーシュ、さっきの話は本当なのかい?君のお母さんの暗殺に陛下が関わっているかもしれないという」

ルルーシュ「……可能性の話だ」

スザク「それで君はどうするつもりだ」

ルルーシュ「どうって?」

スザク「もしもその可能性が現実になった時だよ。君は復讐をするのか?」

ルルーシュ「……その為に今まで闘ってきた」

スザク「僕が言うのもなんだが、相手は実の父親だぞ」

ルルーシュ「相手が誰であろうと関係ない」

スザク「ルルーシュ……それは僕の十字架だ」

ルルーシュ「なに?」

スザク「君まで背負う必要はない。陛下の騎士として僕が不正を正す」

ルルーシュ「自分が何を言っているのかわかっているのか?」

スザク「そもそも陛下は全てを知っていた。ギアスのことも」

スザク「だからユフィのことだって助けられたはずなんだ。それなのに何もしなかった。だから僕は陛下を」

ジャック「ルルーシュも枢木も待つんだ」

ル・ス「?」


ジャック「復讐するのも制裁を加えるのも自由だ。だが相手は一国のトップ。影響は計り知れない」

ルルーシュ「見逃せ、というのか」ギロリ

ジャック「そうじゃない。しかるべき手順を踏んで正当に裁かれるべきだと言っているんだ」

C.C.(お前がそれを言うか)

スザク「正当、か」

ルルーシュ「皇帝を被告人として裁判を開けと?笑わせるな、握り潰されるのがオチだ」

ジャック「やってみる価値はある」ゴソゴソ

スザク「なんですか、それ?」

ジャック「小型のビデオカメラだ。これで皇帝への尋問の一部始終を記録する」

スザク「……まあ、それも1つの方法か」

ルルーシュ「俺は納得できない」

スザク「まだ結果が決まったわけじゃないよ。とりあえずジャックの言う通り、陛下から真実を聞き出そう」

スザク「後のことはそれから考えても遅くない」

ルルーシュ「まあな……」

ジャック「それより俺にもギアスや皇帝と神根島のことについて教えてくれないか」

ルルーシュ「お前には関係ないことだろう」

ジャック「ある。俺は神根島にある扉を介してこの世界へ来たんだ。そこに手掛かりがあるかもしれない」

スザク「そういえばそうでしたね」

ルルーシュ「なら、それについては俺より適任者がいるぞ」チラ

C.C.「面倒だ」ツーン

ジャック「さっき散々聞かせただろう」

C.C.「……これで貸し借りはなしだからな」チッ









1:00



ジャック「……???」

C.C.「考えてみればお前、間近でギアスを見たことがないものな」

ルルーシュ「不老不死のコード、皇帝の神を殺す計画……俺でも初耳だぞ」

ジャック「?」

スザク「確かに陛下はそれを企んでいた。その為のキーがC.C.であると」

ジャック「??」

C.C.「V.V.もコードを持っている。恐らく計画の実行にV.V.だけでは足りないのだろう」

ジャック「???」

ルルーシュ「皇帝は既に達成人なのか?」

C.C.「ああ」

ルルーシュ「ならば何故V.V.のコードを奪わない。目的に必要ならそうするはずだ」

C.C.「さあな。その辺りも自分達で聞いたらどうだ」

スザク「いや、もしかしたら陛下は既に不老不死なのかもしれない」

ルルーシュ「なんだと?」

スザク「根拠はないよ」

スザク「でもC.C.の捜索に本腰を入れたり、今回みたいな突然の神根島の訪問。もしかしたら計画は佳境に入っているのかもしれない」

ルルーシュ「なるほどな。だからこそこれまで泳がせていたV.V.のコードを最近になって奪った、という可能性もあるか」

ルルーシュ「怪我をしてもすぐに治ったら周囲に不審に思われるから、ギリギリまで奪わなかったのかもな」

ジャック「……」

C.C.「着いたぞ」










ジャック「皇帝は何処にいる?」

ルルーシュ「あの扉だ。間違いないだろう」

スザク「っ、危ない!!」ドンッ!

ルルーシュ「うわっ!」ドサッ

???「さすがの反射神経だな」

C.C.「お前は」

スザク「ヴァルトシュタイン卿!?トウキョウ租界にいるはずじゃあ!!」

ビスマルク「そちらはナイトオブテンに任せた。私は陛下からの勅令を受けて、ここにいる」

ルルーシュ「足止めか……」チッ

スザク「まさかあなたもギアスのことを」

ビスマルク「知っているのは自分だけだと思っていたか?残念だったな。お前のような裏切り続けの男を誰が信じるというのか」

ジャック「裏切り?」

ビスマルク「今もこうして敵であるゼロに加担している」

スザク「これは僕の決断だ!!」シャキ!

C.C.「何処から剣を」

スザク「ルルーシュ、彼は僕が足止めをする。君は先に行け!」

ルルーシュ「っ、わかった!」ダダッ

C.C.「……」ダダッ




ビスマルク「枢木スザク。ゼロの為に己の剣を振るうというのか!」ガキン!

スザク「違う。僕自身、全てに答えを出す為だ!」ガキン!

ビスマルク「規範なき強さなどただの暴力!」ズバッ!

スザク「くっ!」ズザァッ

スザク「……だけど僕はもう迷わない。弱さは捨てた!!」バッ!

ビスマルク「愚かな!!お前の弱さこそが優しさという強さの裏付けであったものをっ!!」ギィィンッ!!

スザク「うわあっ!!」

スザク(いけない、僕にかかっている生きろというギアスが、ここは逃げろと叫んでいる!)ハアハア

スザク(それほどまでに危険な相手か、ナイトオブワン!!)ハアハア

ビスマルク「ここまでだ、枢木スザク。お前の本来の強さと共に死ぬがよい」

スザク「こんなところでっ……!!」








パンッ!



ビスマルク「くっ!?け、剣が!!」

ジャック「枢木!加勢するぞ!!」

スザク「ジャック!!」

ビスマルク「誰だ貴様!」

ジャック「うおおおっ!!」



ガッガッガシッ!ドサアッ!



ビスマルク「舐めるな!!」ゴスッ!

ジャック「ぐおぅ!!」フラッ

スザク「はああああっ!!!!」ガスッ!!

ビスマルク「しまっ!!?……っ、」フラ~、ドサッ

スザク「ジャック、大丈夫ですか!?」

ジャック「っ、肋骨が何本かやられただけだ」

スザク「え!?」

ジャック「問題ない!それより先を急ぐぞッ!!」ダダダッ!

スザク「肋骨折れてるんですよね!!なんでそんなに元気なんですかっ!?」

???「枢木ィ!!」バッ!

ジャック「次は誰だッ!!」






スザク「コ、コーネリア皇女殿下!!?」

コーネリア「見てたぞ!!貴様、ユフィの騎士のクセしてルルーシュに協力するとは!!」

スザク「待ってください、これには訳が!!」

ジャック「ええいっそこをどけえッ!!」チャキ!

スザク「ちょ!皇女殿下に銃なんて向けないでください!」アワアワ

ジャック「時間の無駄だ!ここで処理する!!」

コーネリア「この私に銃を向けるとはいい度胸だな!!何者だ!?」

ジャック「俺はジャック・バウアーだ!!」

スザク「ジャック!ここは僕が説得するので、あなたは先に行ってください!」

ジャック「君はいかにも女に甘そうだ!俺が処理した方が早いッ!!」

スザク「大丈夫ですから!!と、とにかくあなたは先に行ったルルーシュが勝手なことをしないように見張っていてください!!」

ジャック「……それもそうだな」スッ

スザク(良かった)ホッ

ジャック「すぐに追い付くんだぞ」ダダッ

スザク「はい」

コーネリア「……枢木。仲間は選ぶのだな」

スザク「痛感してます」

コーネリア「それにルルーシュがユフィにしたことを忘れたのか?」

スザク「忘れるはずがありません」

コーネリア「ならば何故!!」

スザク「話せば長くなります。それに殿下には、きっと理解されません」

コーネリア「……どうやら私達は相容れ無さそうだな」ギロリ

スザク「それよりも殿下はどうしてここへ?」

コーネリア「ユフィの汚名を濯ぐ為にギアスについて調べていたらここへ辿り着いたんだ。こいつのおかげだ」スッ

V.V.「久し振りだね、枢木スザク」

スザク「き、君は……!」





「何者だ!?」→「俺はジャック・バウアーだ!!」

かっこよすぎワロタ
そして謎の説得力

――――





扉の中



シャルル「久しいなぁぁルルゥゥーーシュゥゥ我が息子よぉぉ」

ルルーシュ「ぐっ、8年前の質問に答えてもらう!何故母さんを守らなかった?他の皇族達が母さんを疎んじていることを知りながら!!」

シャルル「人はぁぁ平等ではないぃぃ」

ルルーシュ「なに!」

シャルル「お前はぁぁ他のものにはない力ぁぁ『ギアス』を持ってぇぇ…………、ないぃぃぃぃ??」

ルルーシュ「……」フイッ

C.C.「シャルル。これには諸事情が」

シャルル「痛くなかったかぁぁぁぁ」

ルルーシュ「痛くなんてないっ」フイッ

シャルル「むうぅぅぅ……仕方あるまいぃぃ、ならば教えてやろうぅぅ。この世界の真の姿をぉぉぉぉぉ」

C.C.(親バカか)

ルルーシュ「真の姿?いや、そんなものはどうでもいい。貴様は何を企んでいる?」

シャルル「おかしなことよぉぉ。嘘にまみれた子どもがぁぁ人には真実を望むかぁぁ」

ルルーシュ「なに!?」

シャルル「お前はゼロという仮面の嘘でぇぇなにを見たぁぁ?」

ルルーシュ「手に入れた!ただの学生では手に入れられない軍隊を。部下を。領土を!」

シャルル「ユーフェミアを偽ってまでぇぇ?スザクやナナリーにも姿をさらせなかっただろうぅぅぅ?」

ルルーシュ「黙れ!人は誰でも嘘をついて生きている。俺もそうしただけだ!」

シャルル「何故嘘をつくのだぁぁ?お前は本当は本当の自分を分かって欲しいと思っているのではないかぁぁぁ?」

ルルーシュ「!!」

シャルル「そう望みながら自分をさらけ出せないぃぃ。それ故仮面を被るぅぅ。本当の自分を知られるのが恐いのかぁぁぁ?」

ルルーシュ「違う!!」

シャルル「嘘などはつく必要はないぃぃ。何故ならお前はワシでワシはお前なのだからぁぁぁ」

ルルーシュ「な!?」

シャルル「そうぅぅ。人はこの世界に1人しかいないぃぃ。過去も未来も人類の歴史上たった1人ぃぃぃ」

ルルーシュ「1人?何を言って、」






パンッパンッ!



シャルル「」ドサッ

ル・C「!!!!??」

ジャック「死んだか!?」

ルルーシュ「ジャ、ジャック!!?何をしている!!」

ジャック「呂律が回っておらず意味のわからない妄想を並べ立てていた!!典型的な麻薬中毒者の症状だ!!!」ドタドタ

C.C.「ま、麻薬?」

ジャック「おまけにあの図体だ!襲い掛かられでもしてみろ、一溜まりもないぞ!!」

ルルーシュ「だからっていきなり脳天撃ち抜く奴があるか!!!」

ジャック「この男は不老不死なのだろう!!」

ルルーシュ「話聞いてたか!?」

ジャック「ならば一度殺して確実に動きを止めるのが最善だ!!今の内に縛り上げる!!そして生き返り次第尋問を開始する!!」

ジャック「おいルルーシュ、ロープのそっち側を持ってくれ!!」

スザク「ルルーシュ!!」

コーネリア「父上!?」

ルルーシュ「な、何故コーネリアがここに!?」

C.C.「おい、それよりも」ダラダラ

V.V.「やっと会えたね、C.C.」

ルルーシュ「!?」ビックリ

C.C.「ということは」

ルルーシュ「皇帝は不死身ではなく」

コーネリア「父上、父上っ!!?」ダッ

スザク「お待ちくださいっ!」ガシッ

V.V.「……え?シャルル??」



シーン








ルルーシュ「…………どーするんだ、これ」ボーゼン

コーネリア「ルルーシュ貴様ぁ!!ユフィだけでなく父上までぇっ!!」

ルルーシュ「なっ、違う!姉上、これは誤解です!!」

コーネリア「問答無用!!!この場で貴様を討つっ!!」ダダッ

スザク「お待ちください殿下っ!!彼はやっていないと言っています!!」ガシッ

コーネリア「放せ枢木!!貴様、ルルーシュの言葉を信じるのか!?この嘘塗れの男を!!」

スザク「っ、自分は……」

コーネリア「親族を平気で殺す奴だ、こいつがやったに決まっているだろう!!」

スザク「自分はそうとは思いません!!」

コーネリア「庇うのか!?」

スザク「いえ、正しくは……わかりません」

コーネリア「なんだと?」

スザク「自分は……彼がわからない。ルルーシュがやったのかどうかも…………」

コーネリア「枢木、貴様」

ルルーシュ「スザク……」

スザク「………………だけど、」

C.C.「だけど?」

スザク「ジャックならやる」キッパリ

「!!??」


ジャック「……」

ルルーシュ「おい、黙ってないで何か言え!!」

スザク「多分陛下が不老不死だと考えて動きを止める為に一度殺そうとしたんだと思います」

C.C.(ほぼ正解だ……)

コーネリア「なんだその滅茶苦茶な男は。そんな都合の良い話信じないぞ!!」

ルルーシュ「おい!さすがの俺もこの濡れ衣はごめんだぞ!!」

ジャック「弁解も償いも後でいくらでもしてやる。しかし今はこの緊急事態を乗り切ることの方が先だッ!!」

C.C.「滅茶苦茶都合の良い解釈だな」

ジャック「となれば方法は1つ!」

ルルーシュ「誤魔化すつも」

ジャック「ルルーシュ、君が皇帝になれ」

ルルーシュ「りなのか、ってハアァッ!!?なんでそうなる!!!」


ジャック「当初の目的はテロリストの駆逐。その為の日本の解放だ」

ジャック「しかし皇帝が代わればエリア政策は全くの不透明になる。それどころか世界的に混乱を招く恐れすらある。テロリストも増長するだろう」

ルルーシュ「念を押しておくがお前の所為だからな!!!?」

C.C.「それとルルーシュが皇帝になることとどう繋がるんだ」

ジャック「君が皇帝となり真っ先に全エリアの解放を宣言するんだ。そして世界の手綱を握れ」

ルルーシュ「馬鹿な!そんなの出来るはずがない」

ジャック「君なら出来る。俺の見たところでリーダーとしての素質は非常に高い」

ルルーシュ「それは当然……じゃなくて!!」

ルルーシュ「皇籍を離脱した皇子が何の準備もなしにいきなり皇帝になれるはずがないだろう!!」

コーネリア「そうだ。それでなくてもオデュッセウス兄上とシュナイゼル兄上もいるのだからな」

コーネリア「ルルーシュ如き、皇帝の椅子に座れるはずがない」

ジャック「座れるさ。この首を持っていけばな」スチャ

「!!!!??」



ピーーーーー(音声自粛)



「………………」


クソワロタwwwwww




ジャック「よし、これでいい」ヒョイ

ジャック「ん?どうした、お前達何故目を逸らす」

ルルーシュ「……こ、皇位を纂奪した、と触れ込むのか」フイッ

ジャック「公表する必要はない。現皇帝が死んだという事実とそこへ居合わせた証拠になる」

C.C.「確かに優位には出られるだろうが」フイッ

コーネリア「納得しない者は大勢いる」フイッ

ジャック「そこに関しては俺の方で根回しが可能だ」

ルルーシュ「なんだと?どうやって?」

ジャック「さっきある方と連絡が取れた。その方を通せば君が皇帝になることも夢じゃない」

ルルーシュ「誰なんだ、そいつ」

ジャック「説明は後だ。とにかく君は一度皇位に就きさえすればどうにかなるだろう」

ルルーシュ「勝手なことばかり!」

スザク「ジャック」

ルルーシュ「そうだ、スザクからも何か言ってやって、」

スザク「賛成だ」キリッ

ルルーシュ「頭打ったか!!?」

スザク「よく考えれば僕がナイトオブワンになるより君が皇帝になるほうが色々と手っ取り早い!」

C.C.「キャラ変わってないか」

ルルーシュ「待て。ブリタニアに棄てられた俺がブリタニアのトップに立つ?何の冗談だ、それは」

スザク「しかし張本人である皇帝陛下は亡くなったよ」

ルルーシュ「そういう問題じゃない」

スザク「自信がないのかい」

ルルーシュ「っ、そんなわけないだろう!!いいさ、なってやるぞ!皇帝に!!!」バッ!



ジャック「そうと決まれば今すぐブリタニア本国へ行って宣言するんだ」

ル・ス「今!?」

スザク「ジャック、いくらなんでもそれは急ぎ過ぎですよ」

ルルーシュ「せめて1カ月とか」

ジャック「やると決めたことを先延ばしにする必要はない」

ジャック「それに自分達に時間を作るということは敵にも時間を与えるということになる」

スザク「敵って?」

ジャック「皇帝になると目論むんだ。邪魔が入らないはずがない」

ルルーシュ「まあ、シュナイゼル辺りなら妨害策を考えるだろうな」

ジャック「枢木、俺達でも本国へ行く手段はあるか?」

スザク「アヴァロンを使えば。ですがこんなことになっているので使えるかどうか」

ジャック「やってみよう」

C.C.「おい、コーネリアの姿がないぞ」

スザク「本当だ。いつの間に」

C.C.「どうする?お前達のやろうとしていることが奴には筒抜けになっているが」

ルルーシュ「これだけ早く動くんだ。いくら姉上でも妨害し切れないだろう」

ジャック「それにこいつはここにいるから問題ないだろう」チラ

V.V.「……」

C.C.「V.V.。まだいたのか」

V.V.「……見て分からなかった?ずっとこの男に捕まってたんだけどね」

ルルーシュ「貴様、母さんの死の真相を知っているのか?」ギロリ

V.V.「さあね。シャルルが死んだ今、僕は何も話す気はないよ」プイッ

ジャック「……死んだ方がマシだと思えるような拷問を受けたことがあるか?」

V.V.「そんなの僕には効かないよ。不老不死だからね」

ジャック「痛みや苦しみは感じるのなら、むしろ死ねないことを後悔するようになるかもしれない」

V.V.「え?」ゾクリ

ジャック「試してみるか」ボキボキ





――――

ジャック絶好調だなww

おつ
VVさんにげてーーーーー

レスありがとーう
ここからルルーシュ達一休み
多分カロリーメイト食べてる






2:00



斑鳩



神楽耶「ご用件はそれだけですの?」

カノン「……ちゃんと聞いていましたか?私達は今、ゼロの正体とギアスの話を」

星刻「生憎だがそれらの件についてはゼロ本人の口から聞いている」

シュナイゼル「なに……?」

カノン「正気ですか?あなた達は捨て駒として利用されていたのですよ?」

藤堂「我々も彼を利用していた面も否めない」

カノン「ギアスもあなた達に対して使われていたかもしれない」

朝比奈「最初はそう思ったけど、操られてるんならそうやって疑うこと自体しないよね」

シュナイゼル「ならばあなた達はゼロを、ルルーシュを信じると?」

扇「彼と積み重ねてきた時間を裏切るわけにはいかない」

玉城「そうだそうだぁっ!親友を裏切るもんかよぉ!!」

シュナイゼル「……そうですか、わかりました」

カノン「殿下!?」

シュナイゼル「お時間をお取らせして申し訳ない。私達はこの辺りでお暇しましょう」スック

玉城「そーだ!帰れ帰れぇ!!」

扇「おい玉城!」

朝比奈「日本人の恥晒し……」ハア

シュナイゼル「ああ、最後に1つだけ」

星刻「なんだ?」

シュナイゼル「ここに我が国の騎士・枢木スザクと我が妹・ナナリー・ヴィ・ブリタニアはお邪魔していないでしょうか?」

「!!!!」

扇「そ、それは」

神楽耶「おりませんわ」キッパリ

カノン(皇神楽耶……)

神楽耶「残念ですわ。少しも貴方がたのお役に立てなくて」ニッコリ

シュナイゼル「いいや。しかし、もしも今後姿を見せるようなことがあれば連絡をいただきたいのですが」

神楽耶「もちろん。ですが私、夫の判断を最優先にしますので」

シュナイゼル「構いません。ただ心配している、とだけはお伝え願えますか?」

神楽耶「ええ。お義兄様の優しいお言葉は必ずお伝えしますわ」ニッコリ

シュナイゼル「頼もしいよ、聡明な義妹がいてね」ニッコリ










斑鳩の甲板



カノン「殿下。よろしかったのですか、あんなに簡単に引き下がって」

シュナイゼル「元からカードが揃い切っていなかったからね、仕方ないよ」

シュナイゼル「だけどせめてスザク君をルルーシュと接触させて、ナナリーを切り札として持っておきたかったところなんだが」

カノン「では今回の黒の騎士団への対応は?内部分裂を狙っていたのでは?」

シュナイゼル「自信がなかったわけではないよ。……だけどルルーシュが自ら全てを話していたことは完全に想定外だったね」

カノン「他人を絶対に信用しない、仮面も外さない、それ故黒の騎士団内部では不信感が蔓延っている。それが殿下の読みでしたものね」

シュナイゼル「……異様に早い動きといい、彼にしてはらしくない行動が目立つね」

カノン(そうか。今回の訪問はその偵察も兼ねていたのね)

ディートハルト「シュナイゼル殿下!!」タタッ

カノン「裏切り者のブリタニア人が何の用かしら」チャキ

ディートハルト「私も連れていっていただけないでしょうか」

カノン「なんですって?」

ディートハルト「私が求めていたのは破壊すら躊躇わないカオスの権化。今の黒の騎士団、いや、ゼロは手緩くなってしまった」

カノン「どうします?ゼロのスパイの可能性もありますが」

シュナイゼル「いいだろう」

ディートハルト「!」

シュナイゼル「ただし、それなりの情報は渡してもらうことになるよ」

ディートハルト「イエス、ユアハイネス!」

シュナイゼル「」ニッコリ





――――






斑鳩内

カレン「――ダメ。何処探してもいないわ」

ナナリー「そうですか……」

カレン「ったく、よりによってどうしてスザクを連れていくのよ。C.C.まで……」ブツブツ

ナナリー「また私だけ、置いてけぼりにされてしまったのですね」

カレン「ナナリー……」

ナナリー「カレンさんはゼロの正体を教えてもらっていたのですよね?」

カレン「まあ、成り行きみたいなものだけど」

ナナリー「私はあんなにそばにいたのに何も。……信頼の差でしょうか」

カレン「そ、そういうわけじゃないと思うわよ。巻き込みたくなかったのよ」

ナナリー「戦うと決めたのなら一緒に戦いたかったです」

カレン「うーん、あなたが本当に大切だからこそ遠ざけておいたのかも」

ナナリー「どういうことですか?」

カレン「言ったでしょ?私にもお兄ちゃんがいたんだけど、お兄ちゃんは私もレジスタンスの活動するのに反対してたのよ」

カレン「自分はレジスタンスに身を捧げてたクセにね」

ナナリー「カレンさんの身を案じていたのですよ」

カレン「そうね。でも結局私もレジスタンスになったわ。色々理由はあるけど、多分……お兄ちゃんの近くにいたかったのかも」

ナナリー「……わかります」

カレン「難しいわよね。お互い想い合ってるのに擦れ違ってばかり」

ナナリー「では、カレンさんはお兄様がいなくなってしまったにも関わらず、まだ戦い続けているのはどんな理由があるのですか?」

カレン「そうねえ、お兄ちゃんの意思を継ぎたかったっていうのが一番強いかしら」

カレン「それに、結局は一番大切なものは戦うことでしか守れないのよ。お兄ちゃんを喪ってそれが身に染みてわかったわ」

ナナリー「戦うことでしか……」





――――






16:00



ピロピロピロピロ……

リヴァル「はいはいアッシュフォード学園生徒会唯一会長リヴァル・カルデモンドの携帯電話ですが……って、会長!?」ビックリ

リヴァル「どうしたんですか、え?テレビ?……おーいシャーリー、テレビ付けてくれって会長が!」

シャーリー「もー今の会長はリヴァルでしょー?」テクテク

リヴァル「役員ほぼ全滅状態の生徒会会長なんてなあ……ああいや、会長、なんでも」



ピッ

ルルーシュ『私が第99代ブリタニア皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです』

リ・シャ「!!!!???」

ルルーシュ『そして我が騎士、枢木スザク。彼にはラウンズを超えるラウンズとして、ナイトオブゼロの称号を与える』

スザク『』ドヤァ



リヴァル「ど、どどどどどどういうことだ!!!?ルルーシュが皇帝!!!??スザクまで!!!!!」

シャーリー(ルル、ついに……)

リヴァル「ま、まさかルルーシュの奴自分が会長になれなかったからって皇帝になったんじゃ!!?」

シャーリー「リヴァル落ち着いて」

リヴァル「シャーリーは落ち着き過ぎだって!!!……え、うるさい?す、すみません会長!!!」

リヴァル「あ、そうだこれドッキリですね!!会長の新しい遊びなんですよね!!いやー手が込んでて気付かなかっ……あっ!何すんだよシャーリー!」バッ

シャーリー「会長、シャーリーです。……はい、冗談なんかじゃありません。彼は私達の知ってるルルです。……実は――」



ルルーシュ『――そして全エリアの解放。同時にナンバーズ政策の廃止。これらを公約として私は――』





――――

どう見ても皇位簒奪でしかないw






21:00(ブリタニア時間) 【13:00(エリア11時間)】
皇帝宣言から3時間前



ブリタニア皇宮



ギネヴィア「お父様、こんなお姿になられて……」シクシク

カリーヌ「お父様ぁ」グスグス

オデュッセウス「残念なことだ……」

ギネヴィア「一体誰がこんなことを!?すぐに犯人を捜し出して死刑に処するのよ!!」キリッ!

オデュッセウス「落ち着きなさいギネヴィア。今はそれよりも先に決めなければならないことがあるだろう?」

カリーヌ「そうよ。誰が次の皇帝陛下になるの?」

ギネヴィア「決まっているでしょう、カリーヌ。現状だとシュナイゼルしかいないわ」

カリーヌ「ふーん。なんかフツー過ぎるけど、それでいっかぁ」

ギネヴィア「オデュッセウス兄様が良ければ、のお話ですけれど」

オデュッセウス「私は皇帝になるつもりはないよ」ハハハ

カリーヌ「じゃあシュナイゼル兄様で決定?」

オデュッセウス「ただし、第一皇位継承者として推薦したい人物がいるんだ」ハハハ

ギネヴィア「推薦?シュナイゼルじゃないのですか?」

オデュッセウス「ああ。……入ってきてくれ」ハハハ


カッカッカッ……カツッ!


皇族一同「!!!??」




ルルーシュ「お久し振りですね」

ギネヴィア「あ……あなたまさか!?」

オデュッセウス「私達の兄弟であり、マリアンヌ様の長子であるルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ」ハハハ

カリーヌ「ウソ、生きてたの!?」

ギネヴィア「に、兄様、何を血迷ったことを!?この男は長らく皇籍を離れていましたのよ!!?」

オデュッセウス「けれど皇子であることには変わりないよ。ナナリーだって生存が確認され次第、皇族に復帰しただろう?」ハハハ

ギネヴィア「それは陛下が認めたからで!!」

オデュッセウス「その陛下はもう居られない。ルルーシュにだって皇位継承権が認められて然るべきではないかい?」ハハハ

カリーヌ「嫌よ!!どうしてナナリーなんかの兄に忠誠を誓わなきゃならないのよ!」

ギネヴィア「そうですわ!皇族はもちろん、貴族も忘れられた皇子が皇帝になるなんて認めるはずがありませんわ!!」

皇族一同「そうだ!そうだ!」

オデュッセウス「第一皇子である私が後ろ盾になっても、かい?」

「!!!!??」

ギネヴィア「な、何を仰っていますの!?」

オデュッセウス「ルルーシュは8年前から変わっていないよ」

オデュッセウス「皇族としての高潔さ、聡明な頭脳、何より陛下――父上の血を最も色濃く継いでいる。この中の誰よりも」ハハハ

ギネヴィア「……ルルーシュに逆らう、ということはオデュッセウス兄様に逆らう、ということと同義になりますのね」ギリギリ

カリーヌ「だからって納得出来ないっ!!」プンスカ

ルルーシュ「ならばこうしましょう」

カリーヌ「なによぉ!!」

ルルーシュ「今から3時間後、日付が変わる時刻までに我こそはと思う皇族が次期皇帝に名乗りを挙げてください」

ルルーシュ「そして共に世界中継で皇位継承を宣言するんです」

ギネヴィア「有り得ないわ。皇室が纏まってないと国民に触れ込むようなものよ」

ルルーシュ「皇帝不在が長引く方が国民が不幸になるのでは?」

ギネヴィア「……それでどうする気?」

ルルーシュ「国民に選んでもらうのです、誰が皇帝に相応しいか……。そうですね、国民投票でも実施しましょうか」

カリーヌ「ハア?何言って、」

ギネヴィア「本当にそれでいいのね?」

カリーヌ「ギネヴィア姉様!呑むの!?」

ルルーシュ「構いません」

ギネヴィア「フッ……いいわ。自分が国民に人気のあったマリアンヌ様の子どもだからって選ばれると思っているのでしょうけど?」

ルルーシュ「正々堂々と戦いましょう。私も無駄な血は流したくない」

オデュッセウス「うんうん。これで穏便に皇位継承が済みそうだ」ハハハ





――――






オデュッセウスの離宮



ルルーシュ「兄上、色々と取り計らっていただきありがとうございました」

オデュッセウス「いやいや、私も昔からルルーシュには期待していたからね。チェスでもあのシュナイゼルと良い勝負をしていたようだし」ハハハ

ルルーシュ「そのシュナイゼル兄上ではなく、私を推してくれた理由というのは……?」

オデュッセウス「私も彼こそが次期皇帝に相応しいとずっと思っていたのだよ。……だが彼には不穏な噂があってね」

ルルーシュ「噂?」

オデュッセウス「何より彼の頼みとあれば、ルルーシュを推さないわけにはいかなかったからね」ハハハ

ルルーシュ「彼、というのは」

???「君がルルーシュか」

ジャック「大統領!」タタタッ

パーマー「ジャック。久し振りだな」

ジャック「こちらこそ。まさか、また会えるだなんて」

パーマー「不思議な力が働いているようだ」

スザク(ジャックも敬語使えるんだ)ヘー

オデュッセウス「デイヴィット・パーマー。決断力・協調性・カリスマ性をも兼ね備えた、極めて有能な指導者だ。色々あって友人となってね」ハハハ

ルルーシュ「はあ」

ルルーシュ(またジャックの世界の住人か)

オデュッセウス「彼と話している内に私の世界が変わったんだよ。指導者とはこうあるべきだ、とね」

オデュッセウス「だからこそ私はルルーシュ、君にブリタニアを託そうと決断できた」ハハハ

ルルーシュ「ありがとうございます」

オデュッセウス「さあ、日付が変わるまでは時間がある。長旅で疲れているだろう」

オデュッセウス「これから忙しくなるのだからゆっくりしていってくれ。皇帝宣言の手配は私がしておくから」ハハハ

テクテク、ガチャン






ルルーシュ「ふう……」

C.C.「随分とチョロイ皇子だな。お前の優等生の仮面を信じ込むなんて」

ルルーシュ「性善説なんだ、オデュッセウス兄上は。凡庸ともいえる。しかしこの皇室内でそれを貫き通せるとはな……」

パーマー「いや、彼もまた立派な施政者の1つの姿だ。この時代、この国には合っていないが」

C.C.「そうか?」

パーマー「必要以上に敵を作らない、立派な才能だ」

ジャック「私はああいう人間の元では働けませんね」

パーマー「君はそうだろうな、ジャック」フッ

スザク「それよりも良いんですか?僕達のことを簡単に信じて、オデュッセウス殿下にまで話を通してくれて」

パーマー「ジャックの頼みだ。間違いはないんだろう」

ジャック「恐縮です」

ルルーシュ(凄い信頼だな。あいつが国を何度も救ってきた話も嘘ではなさそうだ)

ジャック「ところで枢木はどうする。ルルーシュが皇帝になってもナイトオブセブンのままか?」

ルルーシュ「いや。俺が皇帝になるからにはスザクには特別な地位を与えたいと思っているが」チラ

C.C.「ならばナイトオブワンか」

スザク「ヴァルトシュタイン卿を倒したわけではないから、それは難しいんじゃないかな」

パーマー「ならば新しく地位を作ってしまえばいい」

スザク「そんな横暴な」

パーマー「トップに立つんだ、出来ないことはない」

ジャック「ナイトオブゼロ、とかどうだ。ワンより偉そうだ」

ルルーシュ「それ貰った。よし、スザクはナイトオブゼロだ」ワクワク

スザク「ゼロ……なんか複雑な気分なんだけど」ムスッ

C.C.「あながち間違ってはいないな」クスクス

スザク「まあ僕のことは置いておいて、ルルーシュ、これから本当に大丈夫なのかい」

スザク「あんなことを言ってたけどこれまで皇族として名を馳せてきた方と比べられて、君が国民に選ばれるとは到底思えないよ」

ルルーシュ「間違いなくシュナイゼルを担ぎ出すつもりだろうな、ギネヴィアは。それを考えて快諾したのだろうから」

スザク「ならば尚更だ。帝国宰相と無名の皇子、結果は見えている」

ルルーシュ「わかっていないな、スザク。俺が負け戦をするとでも?」

スザク「思わないから、君が何を企んでいるのか聞きたいだけだ」ギロリ

ルルーシュ「フッ。いいだろう、教えてやろう。お前にも一役買ってもらうことになるの
だからな――」





――――

どんなカラクリで……と思ったら大統領とは

ぶっちゃけ穏やかで人望あるオデュッセウスが皇帝になってルルーシュとシュナイゼルを
補佐にするのが一番幸せになりそうだよな。平凡ではあるが無能とは言われてないし






0:30(ブリタニア時間)【16:30(エリア11時間)】



皇帝就任宣言から30分後。

玉座。



ルルーシュ「つい24時間前は学生だったような気がするんだがな」

スザク「僕はゼロの正体も知らなかったはずなんだけど」

C.C.「そんなことより見ろ。深夜にも関わらず凄い反響だぞ」

ルルーシュ「当然だろう。何処の誰かも知れない学生が皇帝になったんだからな」フッ

C.C.「『ルルーシュ皇帝の親友だけど何か質問ある?』
『【悲報】俺達の妹・ニャニャリー総督の実兄が現れてしまった件』
『枢木スザクの次の主を予想するスレ』
『【独身】ルルーシュ皇帝の皇妃に立候補【イケメン】part32』
――お、皇妃スレの伸びが早いな」カタカタ

ルルーシュ「何の話だ!!?」

スザク「ルルーシュ」

ルルーシュ「っ、なんだ!」

スザク「君の予想だとシュナイゼル殿下も皇帝宣言するのではなかったのかい?」

ルルーシュ「……そうだ。しかしあれから30分も経過するのに何の音沙汰もない」

スザク「これだと計画を実行に移せないじゃないか」



――――



数時間前



ルルーシュ『国民の指示は当然シュナイゼルに向くだろう。そこまでは想定の範囲内だ。だがスザク、ブリタニアの正義とはなんだ?』

スザク『――力、だね』

ルルーシュ『そう。俺は力を以てしてシュナイゼルを討ち倒す』

スザク『シュナイゼル殿下に戦いを挑むってことかい』

C.C.『なるほど?シュナイゼルは今エリア11にいるから本国の正規軍は使えない。挑むなら絶好のチャンスということか』

ジャック『ラウンズはどうする?』

ルルーシュ『彼らはシャルル皇帝に忠誠を誓っている。シュナイゼルの為に戦うことはない』

スザク『つまり君のいう力、というのは僕のことか』

ルルーシュ『お前と俺、力を合わせれば……。不本意かもしれないが』

スザク『……平和の為ならば』



――――






現在



ルルーシュ「ギアスさえあればもっと楽に事を済ませたものを」ギロリ

ジャック「本当にすまないと思っている」

ルルーシュ「思ってないだろう!!」

パーマー「ジャック、ちょっといいか」

ジャック「なんでしょう」テクテク

ルルーシュ「あいつめ……おい、スザク。お前の話ではジャックは24時間で元の世界に戻る、と言ってたんだよな?」

スザク「そうだけど、もう過ぎてるよね」

C.C.「時差が影響してるんじゃないか」


ジャック出現:14:00(エリア11時間)
現在時刻:0:00(ブリタニア時間)
∴残り時間:14時間


C.C.「みたいな」

ルルーシュ「そんなアホな」

スザク「ルルーシュ、ジャックがいちゃ不味いことでもあるのか?」

ルルーシュ「――実はな」








ジャック「フレイヤ?」

パーマー「この世界でつい最近完成された大量破壊兵器だ」

ジャック「核爆弾ですか?」

パーマー「それとは違うみたいだ。しかし首都へ使用された場合の被害予測は100万人を超える」

ジャック「そんなものが……」ギリギリ

パーマー「その開発を推進していたのが第二皇子のシュナイゼル・エル・ブリタニア。彼はそれを利用し何かを企んでいるらしい」

ジャック「なるほど。オデュッセウスが言っていた不穏な噂とはそのことだったんですね」

パーマー「その何か、を君に突き止めてもらいたい。ここは別の世界とはいえ、大量破壊兵器を見逃すわけにはいかない」

ジャック「わかりました。他に情報は?」

パーマー「シュナイゼルは同時に空を飛ぶ要塞を建造しており、それもまた完成されたと聞いた」

ジャック「その要塞とフレイヤ、関係があるのでしょうか」

パーマー「その可能性は高いだろうな」

ジャック「クロエに調べさせましょう。……クロエ、聞こえてるか」

クロエ『はい』

ジャック「フレイヤと、空を飛ぶ要塞について調べてくれ」

クロエ『フレイヤ――ニーナ・アインシュタインがチーフを務める研究チームによって製造された兵器ですね』

クロエ『放射性物質は出ないから原子爆弾とは違うみたい』

パーマー「私が見た実験映像では強い閃光の後、巨大なクレーターが現れていた」

クロエ『空を飛ぶ要塞については……ああ、これかしら』

クロエ『カンボジアのトロモ機関ってところが製造してます。名前はダモクレス。全長3キロ。塔みたいな形。高度300㎞まで上昇可能』

ジャック「そんなに高く?」

パーマー「制空権を握ることを目的としているのだろう」

クロエ『構造は……とにかく凄い複雑。あらゆる武器を搭載しましたって感じ』

ジャック「データを送れるか?」

クロエ『もう送りました』

ジャック「すまない」

パーマー「どうだ?」

ジャック「……!!この下部にある発射口、まさか」

パーマー「フレイヤか?」

ジャック「可能性は高いでしょう」

パーマー「制空権を握る要塞から大量破壊兵器を発射するつもりか?」

ジャック「クロエ!フレイヤを開発した研究チームとダモクレスの現在の位置はわかるか!?」

クロエ『ええっと……エリア11です』

ジャ・パ「!!!!」










ルルーシュ「――その名は『ゼロレクイエム』」

スザク「……君が世界の敵になり、その君をゼロが討つ……」

ルルーシュ「スザク、お前は英雄になるんだ」

スザク「……そして世界を1つにする……」

C.C.「……」

ルルーシュ「やってくれるか」

スザク「……それは償いなのか」

ルルーシュ「ああ。そして、ナナリーの為」

スザク「ナナリーがそんなこと望むと思うのかい?」

ルルーシュ「違う。今、罪のないナナリーまでも俺と共に償う気でいる。そんなことはさせない。贖罪は俺1人でする」

スザク「……違うよ」

ルルーシュ「なに?」

スザク「2人だ」

ルルーシュ「スザク、それは」




ジェレミア「ルルーシュ様!!」ダダダッ!

ルルーシュ「どうした」

ジェレミア「す、すぐにテレビ中継を!!」

ルルーシュ「なんだ?」ピッ



コーネリア『ルルーシュはシャルル皇帝を殺した』

「!!!!??」

コーネリア『私はこの目で見た。皇帝陛下が息を引き取る瞬間を。その時近くにいたのはルルーシュだった』

シュナイゼル『ならばルルーシュは皇位纂奪犯、ということになるね』

コーネリア『ブリタニア皇帝を名乗る資格などありません』

シュナイゼル『皇帝陛下が崩御されたのは事実』

シュナイゼル『次なる皇帝を選ばなければならない状況にあるのは確かだが、今は皇帝を自称する故シャルル陛下殺人犯を討つことの方が先ではないだろうか』

コーネリア『仰る通りです』

シュナイゼル『ならば私は帝国宰相として、皇帝陛下殺人犯・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの討伐命令を出そう』

コーネリア『ブリタニア本国の諸君。シャルル皇帝に忠誠を誓ったのなら絶対にルルーシュを認めるな』

シュナイゼル『我々は現在エリア11にいるが、すぐにそちらへ向かおう。ルルーシュを討つ準備は出来ているのでね』

コーネリア『覚悟しろよ、ルルーシュ。必ず貴様を捕まえて真実を白日の元に晒してやる』ギロリ

アナウンサー『――以上がシュナイゼル殿下とコーネリア殿下によるビデオ通信です。民方各局は0:30頃に流すよう指示を受けており――』






C.C.「……短い天下だったな」

ルルーシュ「うるさい!!」

ジェレミア「これはブリタニア全国に流れています」

ルルーシュ「クソッ!完全に誤算だ!!」

スザク「誤算?計画通りシュナイゼル殿下に勝てばいいだけじゃないのか?」

ルルーシュ「シュナイゼルは自ら皇帝になると宣言したのではなく、シャルルの仇討ちを宣言したんだ!つまりシャルルの名を後ろ盾にしている!」

ジャック「こうなればシャルルに忠誠を誓ったブリタニア軍とナイトオブラウンズはシュナイゼルに力を貸すだろう」

パーマー「これではオデュッセウスが会見を開いても無駄だろうな」

ルルーシュ「ギネヴィア達があれから大人しくなっていたのはシュナイゼルの指示だろう」

ルルーシュ「俺を衆目の目に晒し、皇帝宣言をさせるため……クソッ、先手を取られた!!」ギリギリ

C.C.「これでシュナイゼルはお前を討つ大義名分と力を得た、ということか」

スザク「だけど陛下を実際に殺したのはジャックだろう?」

ジャック「これだけの騒ぎになってしまうとな……俺なんかが出ていっても見向きもされないだろう」

C.C.「そういえばビデオカメラをあの場に持って行っていたはずだろう?あれはどうした?」

ジャック「……」

ルルーシュ「おい、まさか」ダラダラ

ジャック「すまん。撮影は出来ているはずなんだが、いつの間にか失くしていた」

ルルーシュ「貴様っ!!トラブルというトラブルを散々持ち込んでおきながらッッ!!」ガーッ!

ジェレミア「ルルーシュ様落ち着いてください!」

ジャック「V.V.から真実を聞き出した。それで勘弁してくれないか」

ルルーシュ「拷問の印象が強すぎて真実の印象が薄まったがな……」ウッ

スザク「」ウッ

C.C.「」ウッ




ジャック「それよりもこれからのことを考えたらどうなんだ」

ルルーシュ「勝手な奴め」ブツブツ

スザク「だけどこうなったからにはあまり人目につかない方がいいんじゃないかな」

ルルーシュ「俺に隠れろと?」

スザク「堂々としてるよりは安全だ」

ルルーシュ「宣戦布告されたんだぞ。受けて立ってやるさ」フッ

ジェレミア「私は何処までもついていきます!」

ルルーシュ「ブリタニア軍はオデュッセウスの口利きでどのくらい動かせるか……そうだ、スザク、例のアレは完成したのか?」

スザク「報告はまだだけど」

ロイド「こ~て~へ~か~」フラフラ

セシル「皇・帝・陛・下!!……失礼しました。陛下、スザクくん。ついに完成しました」フラフラ

スザク「そうですか!!」

ジェレミア「本当に完成させるとは……」ボーゼン

ロイド「ブリタニアの科学力は世界一ィィィィ!!!だからねぇ」

ロイド「本国に到着して急ピッチで骨組みから仕上げに取り組んだら、あっという間だったよぉ~」

セシル「あとは動作を確認するだけです」ニッコリ

ルルーシュ「悪いがそんな時間はない」

ロ・セ「は??」

C.C.「皇帝をクビになったのさ」

ルルーシュ「なってない!!」

ジェレミア「ニュースを見ていなかったのか?」

セシル「ラボに籠りっ放しで全然……」

ロイド「30分皇帝ですねえ~!最短記録!!就任して早々歴史に名を残すなんて、さすがぁ!!」

ルルーシュ「……スザク。こいつには悪意があるのか、天然なのか」

スザク「両方かな」



ルルーシュ「とにかく!!アレが完成したとなればこちらにも分がある!早速シュナイゼルを迎え撃つ準備を整えるぞ!!」バッ!

ジャック「ここは慎重に行った方がいい」

ルルーシュ「お前が言うか!!?」

ジャック「考えてみろ。敵のシュナイゼルはお前をよく知っている、そうだな?」

ルルーシュ「ああ」

ジャック「ならば奴はお前の今の判断を読んでいるだろう」

ルルーシュ「!!!」

ジャック「逆の判断を下すんだ」

ルルーシュ「……ジャック。お前ならどう決断する?」

ジャック「俺ならまずは敵のアジトを調べる」

ルルーシュ「潜入か?」

ジャック「幸いエリア11にカーティスのチームを残している。発つ前に潜らせよう」

ルルーシュ「今の言い方だとシュナイゼルが今すぐにエリア11を出ると確信しているように聞こえるが」ギロリ

ジャック「……大統領」

パーマー「彼らに全てを話そう。恐らくシュナイゼルはダモクレスとフレイヤを使用するつもりだ」

スザク「ダモクレス?」

ジェレミア「フレイヤ?」

パーマー「ブリタニアだけではない。これは世界の危機に繋がるだろう」





――――






17:00(エリア11時間)【1:00(ブリタニア時間)】



斑鳩内



ロロ「兄さんが突然皇帝宣言したと思ったら、シュナイゼルに殺人犯呼ばわり。黒の騎士団も収拾がついていないみたいだし……僕はどうしたら」テクテク

ロロ「あっ」

ロロ(あそこにいるのはナナリー。でも、今の僕には彼女を殺すことは)

ナナリー「――どちら様ですか?」ウィーーン

ロロ「!」

ナナリー「もしかして……政庁でスザクさんと一緒にいた方?」

ロロ「う、うん」オドオド

ナナリー「お名前は?」

ロロ「ロ、ロロ」

ロロ(って、何で素直に答えてるんだ)

ナナリー「そうですか」

ロロ「……」

ナナリー「……」

ロロ「……聞かないの?」

ナナリー「え?」

ロロ「色々、聞きたいことがあるでしょう。気になってることがあるでしょう」

ナナリー「ええ。でも、聞きません」

ロロ「どうして?」

ナナリー「もう人に真実を求めるのは止めにしたんです。……皆、嘘を吐くから」

ロロ「耳を塞ぐつもり?君は目も見えないのに」

ナナリー「逆です。これからは自分の力で真実を求めることにしました」

ロロ「自分の力って……歩けもしないのに」

ナナリー「ですがちょっとした駆け引きは得意なんです。私はお兄様の妹ですから」ニコ

ロロ「なにそれ」




ナナリー「ロロさん。私をシュナイゼル兄様の元へ連れていってくださいませんか?」

ロロ「え!!?に、ルルーシュの所じゃないの?」

ナナリー「違います。私はシュナイゼル兄様の側につき、お兄様と戦いたいのです」

ロロ「君はルルーシュのことが好きなんでしょ?どうして戦うのさ!」

ナナリー「大切だからです」

ロロ「大切だから味方になるんじゃないの!?世界中が敵になっても!!」

ナナリー「お兄様が世界の敵になるくらいなら、私が世界の敵になります」

ロロ「なっ……!?」

ナナリー「私の戦いとはそういうことです」

ロロ「意味がわからない……!」

ナナリー「ロロさん、もう一度お願いします。私をシュナイゼル兄様の元へ連れていってくださいませんか?」

ロロ「……どうして僕に頼むの」

ナナリー「だってあなた、私のことをあまり好いていないでしょう?」

ロロ「!!」ギクッ

ナナリー「自分が危険を冒そうとしていることはわかっています。だからこそそういう方に頼みたいのです」

ロロ「……見殺しにすると思ってる?」

ナナリー「あなたにお任せします」ニコリ

ロロ「……」

トニー「待ってくれ」

ロロ「トニー!」

ナナリー「え?」

トニー「シュナイゼルの所へ行くのなら僕も一緒に行こう」

ロロ「ジャックに黒の騎士団を見張っとくよう言われたんじゃないの?」

トニー「状況が変わった。恐らく君達が考えているよりも事態は深刻になっている」

ナナリー「どういうことですか?」

トニー「子どもの手に負えるような事態じゃないってことさ」

ロロ「……ジャックの指示?」

トニー「ああ」

ロロ「わかったよ」

トニー「じゃあ早速移動しよう。黒の騎士団には見付からないようにしたいんだが」

ロロ「だったら僕のヴィンセントを」

トニー「頼む」

ナナリー(どんな状況になろうと、私は必ずお兄様と……)





――――

三日すらもたない天下か……ww

1時間すらww

※注※
ここから先24シーズン1を見終わってない人は要注意!!






17:30(エリア11時間)【1:30(ブリタニア時間)】



ダモクレス内部



シュナイゼル「出発準備は?」

カノン「整っております」

シュナイゼル「恐らくルルーシュは正面から戦いを挑んでくるだろう。このまま出発すれば、ぶつかるのはハワイ沖かな」

コーネリア「ならば現地民に避難を要請しないと」

シュナイゼル「必要ないんじゃないかな?」

コーネリア「しかしフレイヤを使用するのでしょう?」

ディートハルト「初めて実戦で使用するのです。効果は広く知らしめるべきでしょう」

コーネリア「……」

シュナイゼル「本国の軍部はどうなってるかな?」

カノン「ルルーシュには手を貸さないよう、本国に駐留しているナイトオブラウンズとギネヴィア皇女殿下を始めとする皇族方が呼び掛けております」

カノン「恐らく、裏切り者は出てもごく少数かと」

コーネリア「当然だ。あのような世迷言、誰が信用するものか」

シュナイゼル「ギアスがあればまた違っただろうね」

ディートハルト「最早ただの少年。記録する価値もない」

シュナイゼル「ならばルルーシュ側の戦力は実質スザク君1人となるね」

ディートハルト「ジェレミアも力を貸しています」

カノン「こちらは枢木卿を除くナイトオブラウンズ全員に加えて、本国から合流する正規軍。抜かりはありませんわ」

シュナイゼル「そうだね。だけどそれは可能な限り威嚇で済ませよう」

シュナイゼル「今はルルーシュに力をつけさせないことが最優先事項だからね。穏便に争いを終わらせる為にも」ニコリ

コーネリア「……兄上はルルーシュを倒した後、皇帝になられるのですか?」

シュナイゼル「さあ。それは私が決めることじゃないから」

コーネリア「……フレイヤを使用した者が皇帝になれるのでしょうか」

???「ナポレオンは英雄として名を残す一方で虐殺者としての側面も持っている」




コーネリア「っ、誰だ!!」

カノン「」チャキ!

???「それでもナポレオンが英雄と呼ばれているのは、革命戦争の勝利者であったからよ」

シュナイゼル「勝てば官軍、という考え方かな」

???「大量破壊兵器は自国を勝利へ導く。それを証明すれば道徳的問題なんて吹き飛ぶわ」

シュナイゼル「名前をお聞かせいただいても?」

ニーナ「ニーナ・マイヤーズ。以後、お見知りおきを。殿下」

カノン「どうやってここまで来たの?」

ニーナ「警備が甘いのよ。偽造IDだけでここまで来れたわ」ヒラヒラ

カノン(ブリタニア製の認証装置を騙したというの!?)

コーネリア「おい、警備!何をぼさっとしている、侵入者だぞ!!」

警備「は、はい!!」ダダダッ

シュナイゼル「待ちたまえ」

コーネリア「兄上!?」

シュナイゼル「ミス・マイヤーズ。ここを訪れた理由は?」ニコリ

ニーナ「ある男への復讐よ」

ディートハルト「男?」

ニーナ「さっきの会話聞こえたんだけど、向こうも正面から挑んでくると考えているの?」

シュナイゼル「ルルーシュならそうするはずだね」

ニーナ「ジャック・バウアーならまず工作員を潜入させてくるはずよ」

「!!!??」

コーネリア「ジャ、ジャック・バウアーを知っているのか!?」

ニーナ「誰よりも」

カノン「殿下……」チラ

シュナイゼル「……身体検査をして銃器を所持していないか確認してもらおう」

ニーナ「ふん」ペタペタ

コーネリア「兄上、このような怪しい女を信用するおつもりですか!?」

シュナイゼル「今日1日のルルーシュの行動を思い出してごらん、コーネリア。彼にしてはらしくない行動が多すぎると思わないかい?」

コーネリア「それは……」

シュナイゼル「緊急事態に熟練し、状況判断能力に優れ、行動力に溢れた仲間に助言を受けていたとしか考えられない。ルルーシュがそれを望んでいたかはわからないがね」

シュナイゼル「それが、ジャック・バウアーと名乗る謎の男であるとはディートハルトからの情報だ」

ディートハルト「ですが私もあの男の情報はそれ以外調べようがありませんでした」

シュナイゼル「今のルルーシュと対峙するのならジャック・バウアーの情報は最優先に得る必要があると思うのだけれど、どうだろう」

コーネリア「……あの女がルルーシュの手の者だという可能性も拭えません」

ディートハルト「それならば呑気に会話など聞いて、あまつさえ声などかけて来ないのでは?偽造IDまで披露して」

ニーナ「疑うのもわかるわ。だけど時間も差し迫っている」

コーネリア「何が言いたい」ギロリ

ニーナ「本当にジャックが工作員を送り込んできたのなら信用してもらうわよ」

シュナイゼル「ああ、それがいい」

コーネリア「兄上……!」



「殿下!」タタッ

シュナイゼル「なんだい」

「中に入らせて欲しい、という通信が」

シュナイゼル「誰だい?」

「そ、それが……行方不明だったナナリー皇女殿下だと名乗っております」

コーネリア「ナナリーが!?」

シュナイゼル「……繋いでくれるかい」

カタカタ、ウィーーン

ナナリー『――シュナイゼル兄様ですか?』

シュナイゼル「君が本当にナナリーだというのなら、ここへ来た理由を教えてもらえないかな?」

ナナリー『シュナイゼル兄様がお兄様に対する切り札として私を必要としている、と思ったからです』

シュナイゼル「……通してくれ」

カノン「よろしいのですか?」

シュナイゼル「あの発言は偽物からは出ないよ」

ディートハルト「ルルーシュが送り込んだ可能性も」

コーネリア「それは有り得ない」



ウィーン



ナナリー「ありがとうございます、シュナイゼル兄様」

ロロ(シュナイゼル……)オドオド

シュナイゼル「ナナリー。無事で何より……おや。見慣れない顔だね」チラ

ニーナ「!」

トニー「ニ、ニーナ!!!??」

ニーナ「やっぱりあなただったわね」ニヤリ

トニー「何故ここへ!?だって君は……!!」

ニーナ「早速信用してもらえそうよ」

カノン「もしかして、彼がジャック・バウアーが送り込んだ工作員?」

ニーナ「トニー・アルメイダ。ジャックの腹心の部下よ」

シュナイゼル「我が妹を通行手形とするなんてね。拘束してくれ」

「イエス、ユアハイネス!!」ダダダッ

トニー「くそっ!!」

ロロ「トニー!!」バッ

トニー(いい!君はナナリーのそばに!!)

ロロ(トニー……)グッ

ナナリー「……乱暴には扱わないと約束してください」

シュナイゼル「彼が大人しくしていればね」ニコリ



コーネリア「ナナリー、私達がルルーシュと敵対していると知っていながら、どうしてここへやって来たんだ?」

ナナリー「お兄様を止めるためです」

コーネリア「だがナナリー……」

シュナイゼル「ふむ。具体的にはどう考えているんだい?」

ナナリー「フレイヤのことは聞きました」

ニーナ「トニーから?」

ナナリー「え、ええ」

ニーナ「ならばジャック達も知っているでしょうね」

ディートハルト「知ったからといってどうにか出来る代物ではない」

ナナリー「そのフレイヤのスイッチを、私に押させてください」


「!!!??」


コーネリア「な、何を言っているんだ!?フレイヤは大量破壊兵器で!!」

ナナリー「だからです。……私は戦うことも守ることも出来ません。だからせめて……罪
だけは背負いたいのです」





――――






2:00(ブリタニア時間)【18:00(エリア11時間)】



アヴァロン内部



ジャック「なに、どういうことだカーティス!!」

ルルーシュ「どうした」

ジャック「潜入に失敗した……偽造IDがバレたらしい」

スザク「彼らは無事なんですか?」

ジャック「ああ、辛うじて。……しかしどういうことだ、クロエが作ったものだぞ。そんな簡単にバレるはずがない……」

ジャック「ああ、とりあえず待機していてくれ、カーティス」プツッ

ルルーシュ「偽造IDに対する警戒を強めていた、という可能性が高いな」

ジャック「誰か別の者が先に偽造IDで潜入していたのかもしれない」

スザク「誰が?」

ジャック「わからない。しかしこれで潜入は難しくなった。先に潜入しているトニーとは連絡が取れなくなってしまったし」

C.C.「こうなれば正面突破のみか?」

ルルーシュ「ダモクレスは近付けばブレイズ・ルミナスが展開されるようになっている。正面から侵入したくとも隙が無い」

セシル「フレイヤを撃った直後はどうでしょう。展開するにもタイムラグが生じると思います」

ロイド「それってフレイヤを無効化するか囮を使うかしないと無理だよねぇ」

セシル「まあ……そうなりますけど」

スザク「無効化って、そんなこと出来るんですか?」

ロイド「無理だよお、この短時間じゃあ。開発者にだって不可能だ」

C.C.「では囮を使うしかなくなるな」

ジャック「それでいこう」

ルルーシュ「お前、他人事だと思って!!」

スザク「まさかジャック自身が?」

ジャック「ヘリや戦闘機ならともかくナイトメアの操縦はさすがに無理だ。急過ぎる」

C.C.「そうなのか」ビックリ

ルルーシュ「さすがにそうだろう……」



スザク「だったら、アルビオンが囮になります」

ルルーシュ「それはダメだ!!」

スザク「大丈夫。直前で逃げるから」

ルルーシュ「その無駄な自信は何処から!?」

C.C.「ならば私が」

ルルーシュ「C.C.!!」

C.C.「なんだかんだで言うタイミングを逃してしまったが、我が願いは死ぬこと。フレイヤならそれが叶うかもしれん」

ルルーシュ「どさくさに紛れて重大発言を、ってそういう問題じゃない!不老不死だからって、」

ジャック「囮は蜃気楼だ」


「!!!??」


ロイド「……まあ、囮としてはこれ以上ないよねぇ」

ジェレミア「有り得ん!!!ルルーシュ様が囮になるくらいなら、この私めがっ!!!さあ、お命じくださいルルーシュ様!!!俺の為に死ねと!!!!!」フヌーーッ

ルルーシュ「落ち着け!!」

ルルーシュ(クソ!!どいつもこいつも勝手なことばかり!)

セシル「ですが陛下ご本人が亡くなったらこの戦いに勝っても意味がないのでは」

スザク「そうです、ジャック。目的を履き違えてる」

C.C.「私は一緒に乗ってやるぞ」

ジャック「作戦はこうだ」


ゴニョゴニョ






ルルーシュ「――なるほど、その手があったか」

ロイド「技術的にはやれるはずだねぇ」

ジェレミア「……」ムスッ

C.C.「不満そうだな」

スザク「ならば残る問題はどうやってシュナイゼル殿下の軍隊を掻い潜ってダモクレスに近付くか、だけど」

ルルーシュ「スザクとジェレミア、そして俺の蜃気楼でどこまでやれるか……おい、ロイド」

ロイド「はいはい~」

ルルーシュ「アルビオンの性能は他の世代のナイトメアを大きく凌駕するんだったな?」

ロイド「そりゃあもう!あらゆるスペックの最高値を目指して製造したものですからぁ」

セシル「というかロイドさんの趣味を詰め込んだものですけどね」

ロイド「キミ、人のこと言えるのぉ?」

セシル「(無視)……陛下、スザクくんとアルビオンであればたとえナイトオブラウンズであろうと一騎当千も夢ではありません」

セシル「しかしシュナイゼル殿下の軍隊全てを突破するのはさすがに不可能です」

ルルーシュ「やはりこちらも軍が欲しいところだが……」

スザク「ブリタニア軍は頼れない。オデュッセウス殿下が働きかけてくれてるようだけど」

ジェレミア「第一皇子は軍関係にコネクションが無いから、すぐには難しいだろう」

ジャック「だったらこのメンバーでやるしかない」キリッ

ロイド「戦死はご遠慮願いたいんですけどぉぉ?」ヘラヘラ

ジャック「祖国の為なら命すら賭ける!それが軍人だろう!!」

ロイド「ボク、軍人である前に科学者なんだよねぇ~」

ジャック「貴様ァ!!それでも祖国に忠誠を誓った身かッ!!!」バッ

ロイド「でもさぁ~今はどこが祖国なんだかわかんないしねぇ」ヘラヘラ

スザク「ジャック落ち着いて!」

ルルーシュ「論点がずれてるぞ!!?」


ピピピッ


セシル「あら?――秘匿コードからの通信だわ」





――――






18:30(エリア11時間)【2:30(ブリタニア時間)】

ダモクレス、ブリタニアへと移動中。

ナナリーとロロは屋上庭園。



コーネリア「――システムと力で平和を実現すべき。それが兄上がフレイヤを造り、使用する意味ですか?」

シュナイゼル「ルルーシュとの戦いに勝利した後、戦争を行う全ての国にフレイヤを撃ち込む」

コーネリア「世界を恐怖で支配しようというのですか!?」

シュナイゼル「平和というのは幻想だよ。戦うことが人の歴史。幻想を現実にする為には、躾が必要では?」

コーネリア「人類を教育するつもりですか?そのようなこと、神でなければ許されない!」

シュナイゼル「だったら神になろう」

コーネリア「!!」

シュナイゼル「人々が、私に平和を望むならば」ニコリ

ディートハルト「素晴らしい!!貴方についてきて正解でした。ゼロのカオスをも凌駕する完璧なる虚無、多様なる変幻!!」イエーイ

ニーナ(くだらない)フン

シュナイゼル「最も被害の少ない行動だとは思わないかい。例え10臆、20臆の命がなくなったとしても、恒久的な平和が」

コーネリア「違います!強制的な平和など、それは!」ダダッ!

シュナイゼル「」グッ



コーネリア「――っ」ピタッ

シュナイゼル(襲い掛かって……こない?)

コーネリア(そうだ。私には、切り札がある)

コーネリア「……兄上。フレイヤを撃つ理由はルルーシュが父上を殺害したから、その報復というのが表向きの理由ですよね?」

シュナイゼル「そうだね」

コーネリア「ナイトオブラウンズもその事実があると“信じている”から兄上に力を貸すと」

シュナイゼル「ああ」

カノン「コーネリア殿下、何を仰りたいのです?」

コーネリア「私に何かあれば、あるビデオテープが世間に流れるように仕掛けた」

ディートハルト「それには何が映っているのですか?」

コーネリア「父上を殺害した犯人だ」

「!!!!」

カノン「ま、まさかルルーシュではなかったのですか?」

コーネリア「実は私もまだ見ていない。専用の機器でないと再生出来なくてな」

シュナイゼル「それに映っているのがルルーシュでなければこの戦いの大義名分が失われる……そう言いたいのかい?」

ディートハルト「いつの間にそんな仕掛けを」

コーネリア「私が兄上よりも信頼するのはたった1人。ルルーシュから離れて兄上の元へ行く途中、彼に一度会ったのだ」

カノン「ギルフォード卿……そういえば行方がわからなくなっています」

コーネリア「兄上、考え直してはくれませんか。戦争での犠牲とフレイヤでの虐殺は違う」

コーネリア「目指すところは同じ平和でも、そこには人の意思が存在しない!ユフィだってこんなこと望んでは……!」

シュナイゼル「捕えてくれ」

警備「イエス、ユアハイネス!」ダダッ

コーネリア「兄上!――兄上ッ!!!」ズルズル



カノン「……殿下、どうされます?もしも皇帝陛下殺害犯がルルーシュでなかったら」

ディートハルト「心配する必要はないでしょう。動機があるのはルルーシュだけです」

ニーナ「動機が無くとも殺害する男はいるわ」

カノン「まさか、ジャック・バウアー?」

ニーナ「必要とあればね」

シュナイゼル「……計画に変更はないよ」

カノン「え!?」

シュナイゼル「ダモクレスは既に離陸した。後は天上まで昇り、鉄槌を振り下ろすだけだ」

ディートハルト「神には誰も逆らえない……!」

カノン「しかしそれではフレイヤの正当性が……」

シュナイゼル「案ずることはないよ、真実はいくらでも刷り込めるからね。ビデオテープに映っているのがルルーシュでもジャック・バウアーでもね」ニコリ

ニーナ「貴方がいくら口が立っても、本人が弁解すればまた変わってくるんじゃない?」

シュナイゼル「それはないよ」

ニーナ「どういうこと?」

カノン「……弁解する気があるのならもっと早くにしているはず」

シュナイゼル「ルルーシュが何を企んでいるのかは知らない。だが少なくともこの戦いの間は弁解をしないと私は踏んでいるのだよ」

ニーナ「なるほど?勝って“死者に口なし”にするわけね」

ディートハルト「向こうは勝利するつもりで挑んでくるでしょうからね」

シュナイゼル「舞台は整っている。――後は世界に“正義”を示すだけだね」ニコリ





――――






18:45(エリア11時間)【2:45(ブリタニア時間)】

屋上庭園。



ロロ「――ナナリー、自分が何をしようとしているかわかってるの?」

ナナリー「なんのことです?」

ロロ「ダモクレスの鍵を使って大量虐殺を……ルルーシュを殺そうとしているんだよ!?」

ナナリー「私はこの鍵を使うつもりはありませんよ」

ロロ「え?」

ナナリー「ロロさん、お兄様はこれから何をしようとしているのでしょう?」

ロロ「そんなのわかんないよ。何も教えてくれないし」

ナナリー「恐らくお兄様はご自身に世界中の憎しみを集めようとしています」

ロロ「憎しみを……?」

ナナリー「ずっと考えていたんです。どうして急に皇帝になったのか、どうしてお父様殺しの件について弁解なさらないのか……」

ロロ「自分を悪役に仕立て上げる為だっていうの?」

ナナリー「恐らく」コクリ

ロロ「どうしてそんなことを?」

ナナリー「罪の償い……いいえ、皆で明日を迎える為です」

ロロ「明日……?」

ナナリー「」ニコリ

ロロ「……どうしてルルーシュがそんなこと考えてるって、君にわかるのさ」

ナナリー「お兄様の口からゼロであることとその本音を聞いた……からでしょうか」

ロロ「君とは相容れないと思うけど」

ナナリー「その通りです。ですがお兄様の本質は変わっていないと思うのです」

ロロ「……」

ナナリー「それに、何も知らないままでいたら……私も同じことを考えていたから」

ロロ(この、兄妹は……)ゴクリ

ナナリー「ですから、お兄様がその為に覇権を握るつもりでいるのなら必ずフレイヤを手に入れたいはずです」

ナナリー「だからここへやってくる。その時こそ、私はお兄様を取り戻すんです」

ロロ「……それが君の戦いなんだ」

ナナリー「はい」

ロロ「……」





――――

コーネリアが駆け引きをしているだと……

おつ






6:00(ハワイ時間)

ダモクレス



シュナイゼル「さあ、ついにこの時が来たね」

カノン「ルルーシュはどういう手を打って来る気でしょう」

ディートハルト「あ、あれは!?」ビックリ


ゴオオォォォォ


ディートハルト「斑鳩!!!??」


ピッ、ウィィィィン


カノン「アヴァロンから通信です」

ルルーシュ『ごきげんよう、兄上』

シュナイゼル「黒の騎士団を味方につけるとはね……素顔で生きるといいことがあるものだね」ニコリ

ルルーシュ『あなたこそ、胡散臭い仮面はいい加減外したらいかがです?』

シュナイゼル「立場がわかっていないようだね。切り札はこちらにあるというのに」チラ

カノン「」コクリ

ピッ

ルルーシュ『ナ、ナナリー!?(そしてロロ!)貴様、ナナリーを誘拐したのか!!』

シュナイゼル「自分の意思でやって来たんだよ。君から全てを聞かされたから、とね」

ルルーシュ『何故……』ボーゼン

シュナイゼル「素顔を晒し過ぎるというのも考えものだね」




ピッ、ウィィィィン


カノン「今度は斑鳩からです」

神楽耶『シュナイゼル殿下。ルルーシュ様を脅そうなんて、無意味ですわ』

シュナイゼル「これはこれは皇さん。よろしいのですか、黒の騎士団が纂奪皇帝ルルーシュに味方しても?」

神楽耶『貴方が掲げているのはシャルル前皇帝の仇討ちでしょう?残念ながら正義の味方である私達には関係のないお話ですわ』

シュナイゼル「正義がどちらにあるのか……なるほど、戦わなければ出ない答えだ」ニコリ

ディートハルト「だが黒の騎士団とブリタニア軍。戦力の差は歴然としている」

星刻『それはどうかな』

カノン「黎星刻!まさか、中華連邦もルルーシュ側に付くと?」

星刻『天子様直々の御命令だ。我々の信じる者を信じろ、と』

神楽耶『それに勝利の女神はここにいますしね!』

ルルーシュ『……そういうことです、兄上。最早戦力の差はないも同然』

シュナイゼル「降伏しろと?」

ルルーシュ『いいや。この戦場は全世界に中継されている、それをお伝えしたかったのです』

ディートハルト「一発でもフレイヤを放てばそれが記録される……」

星刻『そうなればこの戦いの正義は混沌とする』

シュナイゼル「そんな脅しに私が屈するとでも?」

ルルーシュ『……ナナリーは必ず取り返す』ギロリ

シュナイゼル「安心していいよ。彼女には指一本触れないから」ニコリ

ルルーシュ『……』プツッ



アヴァロン内部



C.C.「……誤算だったな。まさかナナリーがシュナイゼルの元にいただなんて」

ジャック「すまない」

ルルーシュ「ジャック貴様!知っていたのか!!」

ジャック「怪しまれずトニーがダモクレスに潜入するにはそれしかなかった」

ルルーシュ「だがそのトニーとは連絡がつかなくなったんだろう!!」

ジャック「……これは俺のミスだ。まさか見破られるなんて」

スザク「ルルーシュ落ち着け。ナナリーは取り返せば済む話だ」

ルルーシュ「っ、わかってる!!……最初からダモクレスには侵入する予定だったしなっ」

セシル「フレイヤの件はどうなるでしょう。あれで使用を思い留まってくれれば良いのですが……」

ジャック「微妙なところだな。だがそうなれば例の作戦を実行するのみだ」

セシル(大丈夫かしら……今はロイドさんとラクシャータに仕込みを任せているけれど)




神楽耶『ルルーシュ様』

ルルーシュ「神楽耶様。よろしかったのですか、俺に協力して」

神楽耶『名前が異なっても私の夫は1人ですわ』ニコリ

扇『そして黒の騎士団の総意だ』

ルルーシュ「扇」

扇『言っただろう。君と共に戦うと』

玉城『それに正義の皇帝だしなっ!!』ヒョーイ

C.C.「正義?」

扇『あ、ああ。就任早々エリアの解放とナンバーズ制度を廃止したから、元植民地エリアの人達からそう呼ばれているらしいよ』

玉城『さすがは俺の親友だぜっ!!』ヒョーイ

ルルーシュ「……礼を言おう。星刻」

星刻『なんだ』

ルルーシュ「作戦の総指揮はどうする?」

星刻『ブリタニア皇帝が持て。我々はあくまで協力する身だ』

ルルーシュ「わかった」

星刻『“いつも通り”頼む』

ルルーシュ「ああ」フッ


プツッ


ルルーシュ「では俺達も準備に移るぞ」

「イエス、ユアマジェスティ!」タタタッ

ルルーシュ「スザク」

スザク「なに?」

ルルーシュ「わかってるな。もしもフレイヤを使用された場合は例の作戦を」

スザク「もちろん」タタッ

C.C.「お前達、本当にやるのか。全てが終わったら」

ルルーシュ「それが償いだ……俺が犠牲にしてきた人達への」

ジャック「なんの話だ?」

ルルーシュ「なんでもない」

ジャック「……」





――――






7:00



ルルーシュ「この戦いこそが、世界を賭けた決戦となる!(中略)恐れることはない!未来は我が名と共にありっ!!!」

カレン『……とりあえずオールハイルルルーシュとか言っておけばいいのかしら』

藤堂『なかなかのセンスだな紅月君』

カレン『と、藤堂さん聞いてたんですか』カァァ

千葉『回線閉じてないぞ紅月』

玉城『オールハイルルルーシュッッ!!!フッーーイッ!!!』ノリノリ



――――



シュナイゼル「ルルーシュは世界のすべてに悪意を振り撒く存在だ。(中略)そして願わくば、これが人類にとって最後の戦争であることを祈りたい」

ルキアーノ『……なんかあっちの方が派手だな』

モニカ『ナイトオブテン不敬罪ですよ』

ビスマルク『私語は慎め。我々はシャルル陛下の仇を取るのみ』

ジノ(スザク……)

アーニャ(記録にしてあげる)



――――





開戦

ルルーシュ「(中略)」

シュナイゼル「(中略)」

玉城『なんだよ全然戦いになんねえっ!!』

朝比奈『玉城煩いよ』

玉城『ルルーシュゥゥーもっと派手にいこうぜぇぇぇーー!!!』ノリノリ

カレン『黙ってろこのアホッ!!』ガスッ

玉城『いてっ』



――――




ビスマルク『殿下』

シュナイゼル「ヴァルトシュタイン卿、なにか?」

ビスマルク『膠着状態が続くのはあまりよろしくない。ここはナイトオブラウンズにお任せを』

シュナイゼル「ああ。頼むよ」

ビスマルク『ラウンズよ!!ナイトオブワンの指示に従え!!!』

ラウンズ『イエス、マイロード!!!』


ギュインギュインギュイン!!!



――――



セシル「ナイトオブラウンズが最前線に出てきました!!」

ルルーシュ「やはり仕掛けてきたか……こちらもアルビオンを先頭に迎え撃てっ!!」

玉城『イエスユアマジェスティ!!』ノリノリ

千葉『お前はブリタニア人じゃないだろう!』

玉城『一度言ってみたかったんだよぉぉぉ』

カレン『あんたは下がってな!!』ギュイン!



――――




ジノ『スザクゥッ!!』

スザク『ジノ!』

ジノ『何故ルルーシュに従うっ!!皇帝陛下の仇を!!』

スザク『ルルーシュをシャルル陛下の仇だというのなら、君は彼が陛下を殺すところを見たのか?』

ジノ『なにっ?』ドキッ

スザク『いや……最早真実なんてどうでもいい』

ジノ『どういうことだ?まさかルルーシュは?』

スザク『大切なのは何を信じ、決断するかだ!!俺はもう決めたっ!!』バッ!

ジノ『くうっ!!』ガキィィン!

ジノ(なんて強さだ第九世代ナイトメアフレーム!!このままではっ)


ゴーーーッ!


スザク『ハドロン砲!?』バッ

ジノ『アーニャ!!』

アーニャ『スザク。あなたは皇帝陛下の敵』

ジノ『しかしアーニャ、もしかしたらルルーシュは』

アーニャ『私達はラウンズ。スザクは敵。敵の言葉を真に受けるの?』

ジノ『だけどスザクは……友だちで』

アーニャ『だったら帰って』

ジノ『!!』

アーニャ『スザクは私が討つ』ゴーーーッ

スザク『ハドロン砲は厄介だ、けど!!』シュシュイン!

スザク『後ろに回り込めばっ!』ザッ


ガキンッ!


スザク『っ、ジノ!』

ジノ『私はラウンズ!最後まで戦うっ!!』バッ!

アーニャ『……』

スザク『2対1、それでも!!』


ガキンガキン、シュパッ!
ゴーーッ、キィィン!!






アーニャ『……アルビオン、思ったよりも』ハアハア

ジノ『たとえスザクといえど、ラウンズの戦場に敗北はないっ!!!』キリッ

ビスマルク『その通り!』

スザク『ナイトオブワン!!』

ビスマルク『アルビオンさえ落せば戦力は激減する!ジノ、アーニャ!補佐をしろ!!』

ジ・ア『イエス、マイロード!』


ガガガッ!!


スザク(ジノとアーニャに加えてヴァルトシュタイン卿まで!さすがにこれは!!)

???『はあああぁぁぁーーーっっ!!!!』

アーニャ『!!!??』フラッ

ジノ『ぐあっっ!!!』ガンッ



シュパ!



スザク『紅蓮!!?カレンか!!!』

カレン『この2人は私が引き受ける!!あんたはナイトオブワンをっ!!』

スザク『カレン、しかし君は僕を』

カレン『もう何も言う必要ないっ!』

スザク『!?』

カレン『あんたとは分かり合えそうもないけど、散々殴り合ったでしょ?』

スザク『カレン……殴ったのは君だけだ』

カレン『味方になるなら足引っ張らない、それだけよっ!!』キュイン!

ビスマルク『枢木スザク!!』

スザク『!!』

ビスマルク『貴様の目的はナイトオブワンになることと聞いた!しかし!私こそが唯一のナイトオブワン!!貴様如きに譲る道理などないっ!!』ギィィンッ

スザク『自分はラウンズを超えるラウンズ、ナイトオブゼロです!!』ガッ!

ビスマルク『プライドなくして名前などぉッ!!!』ガッ、キィィィ!!



――――




セシル「スザク君がナイトオブワンと交戦中です!紅蓮はナイトオブスリーとシックス、他の騎士団幹部もラウンズと交戦中!」

ルルーシュ「戦局はどうだ」

セシル「ほぼ互角です」

ジャック「ここを制した方が戦略的に有利になるな」

ルルーシュ「だからこそ負けるわけにはいかない……特にスザク、お前は!」ピッ

ルルーシュ「スザク、わかっているな!」

スザク『ああ!ゼロレクイエムの為にも負けるわけにはいかない!!』

ルルーシュ「ならばお前は“生きろ”!!」

スザク『!!』キィィーーン



――――



ビスマルク『我がギアスは未来を読む!!』キィィーーン

スザク『はああぁぁぁーーーーっ!!!!』ギュイン!!

ビスマルク『このギアス、マリアンヌ様以外に使うことになろうとはッ!!!』

スザク『ああああぁぁぁああああッッッ!!!』ギュイン!!

ビスマルク『貴様の動きは読めて……っ!!?』

ザッ!!!

ドーーーーンッッ!!!



――――




セシル「!!!!!」

ジャック「おい、どうなった!?」

セシル「か、勝ちました。スザクくんがナイトオブワンに!!」

ルルーシュ「!」ガタッ

C.C.「やったな」フッ

ルルーシュ(スザク、尋常な精神力ではない。俺がかけた生きろというギアス、それを逆手に取って……。やっぱり大した奴だよ、お前は)フッ

ジャック「俺もナイトメアに乗りたくなってきたな」ウズウズ

C.C.「無駄に犠牲者が増えるな」

セシル「続いて紅蓮がトリスタンとモルドレッドを撃墜!!神虎がナイトオブフォーに勝利!!」

セシル「そしてジークフリートがナイトオブテンを、藤堂将軍や朝比奈・千葉機、次々と白星を挙げています!!」

ジャック「枢木の勝利に触発されたか」

ルルーシュ「よし!!アルビオンは一度アヴァロンに戻り、他の機体は前進!!特に紅蓮は最前線で敵を狩り取れっ!!!」

カレン『オーケー!!』

ルルーシュ「こちらも準備を!」ザッ

ロイド「……は~い、準備は整ってま~す」フラフラ

セシル「ロイドさん空気ぶち壊さないでください」

ロイド「だってセシル君がラクシャータと2人きりにするからぁ」



――――

スザクの殴ったのはカレンだけだに吹いたww




ダモクレス

カノン「……まさかナイトオブラウンズが破れるとは」ボーゼン

ディートハルト「しかしこれで口実が出来ました」

シュナイゼル「ナナリー。聞こえているね?」

ナナリー『はい』

シュナイゼル「今こそフレイヤの力を使う時だ。正義を行う為にも」

ナナリー『……』

シュナイゼル「ナナリー?」

ナナリー(シュナイゼル兄様。残念ながら私はこのスイッチを押すつもりは)ギュッ



カチ



――――



セシル「!!!??」

ロイド「まさか!!?」

セシル「陛下!!!フレイヤが!!!!!」

ルルーシュ「くっ……脅しは無駄だったか!!」ピッ

ルルーシュ「全軍に告げる!!!フレイヤが放たれた!!!全力でダモクレスから離れるんだ!!!!」



――――



カッ ドーン!!!



カレン『なっなによあれ!!!?』

藤堂『あれがフレイヤなのか……!?』

星刻『あんなもの、戦術の域を超えている!!』



――――



ジノ「新型の兵器だと聞いていたが、これは……!」

アーニャ「……」ボーゼン

ジノ「シュナイゼル殿下、これが貴方の正義か!?」



――――



扇「なんなんだ……一体……!?」

神楽耶「至急黒の騎士団の安否確認を!!被害状況をアヴァロンに送って下さい!!!」



――――





スザク「ルルーシュ!!フレイヤが!!!」タタッ

ルルーシュ「知っているっ!!!斑鳩からの被害状況を確認しているところだ!!」

C.C.「お前の指示が早かったから大きな被害にならずに済んだが」

セシル「あんなもの何発も撃たせられませんよ!?」

ルルーシュ「全軍に告げる!!低空飛行で固まらず散り散りに移動し、被害を抑えるんだ!!」

ジャック「~~ッ、許さんッッ!!!!」

スザク「ジャック!!!?」

ジャック「もうこんなところで大人しくしていられるかっ!!!今すぐにダモクレスに乗り込むんだ!!!」ダダダッ

ルルーシュ「おい待て!!威力が想定を超えている、一度作戦を建て直さなければ!!」

ジャック「放たれてしまったからには一発でも多く撃たせないことを優先させる!!!作戦は敢行だッッ!!!」ダダダッ

スザク「はい!!!」ダダダッ

ルルーシュ「くそっ……!!」ダダダッ



――――



ジェレミア『受けよ!!!忠義の嵐ィィィィ!!!』ガガガガガガガ!

カレン『ジェレミア、どう!?』

ジェレミア『いかん!!このブレイズ・ルミナスの出力は桁違いだ!!!』

カレン(ルルーシュはこのダモクレスとフレイヤの対策は考えてると言ってた。でもこんな化け物染みた要塞と兵器を、どう突破するつもりなの?)



――――



カノン「蜃気楼とアルビオンがアヴァロンから出てきました!」

シュナイゼル「丁度いい頃合いだ。次弾発射が今に整う」

ディートハルト「そういえばあのニーナとかいう女はどうしました?さっきから姿が見えませんが」

シュナイゼル「彼女は客人だ。必要なことは聞けたから放っておいて構わないよ」

ディートハルト「はあ」



――――





ロロ「ナナリー……君は、なんてことを」

ナナリー「……私ではありません」

ロロ「え?」

ナナリー「私はこのスイッチを押しては……いません」

ロロ「だけど実際にフレイヤは放たれたんだよ!!?」

ナナリー「押してませんっ!!!」

ロロ「だったらどうして!!」

ナナリー「……まさか」カチ

ロロ「ちょ!!!」



シーン



ナナリー「やっぱり、このダモクレスの鍵は偽物です」

ロロ「え!?じゃあシュナイゼルが偽物を君に?」

ナナリー「いいえ……恐らくこれはあのニーナ、と呼ばれた方の仕業だと思います」

ロロ「あのトニーと知り合いだった女?……あ、そういえば見せてって言われて取られたっけ。すぐに取り返したけど」

ナナリー「あの方、なんだかとても嫌な感じがしたんです」

ロロ「嫌な感じ?」

ナナリー「声音は落ち着いてましたけど、内面にはとても静かで研ぎ澄まされた――悪意、を秘めているように感じたんです」

ロロ「……」

ナナリー「ロロさん。ニーナという女性を探してきてくれませんか?」

ロロ「僕が?」

ナナリー「あなたにしか頼めません。見付けたら、鍵を取り返して私の元へ持って来てください」

ロロ「……わかった。行くよ」グッ

ナナリー「ありがとうございます。あと、トニーさんを助けて一緒に探した方が確実だと思います」

ロロ「うん、必ず取り返すから。――兄さんの幸せには君が必要だ」ボソッ

ナナリー「え?」

ロロ「行ってくる!」ダダダッ


ピッ


シュナイゼル『ナナリー。発射準備が整ったよ』

ナナリー「……」グッ

シュナイゼル『照準は、ルルーシュだ』

ナナリー「!!!??」



――――




ルルーシュ『全軍、蜃気楼から離れるんだ!!!』

カレン『えっ何言ってるの!?』

藤堂『まさかルルーシュ!!』

ルルーシュ『最凶兵器・フレイヤ弾頭と蜃気楼の絶対守護領域、どちらが上か!!?』

星刻『正面から!!?』

玉城『マ、マジかよお!!?』



――――



セシル「フレイヤ、2発目放たれました!!」

ロイド「周囲は?」

セシル「避難済みです。軌道は蜃気楼一直線!」

C.C.「上手くいくか……!?」



――――



神楽耶「ルルーシュ様!!?」

扇「止めるんだルルーシュっ!!!」

藤堂『待て紅月!!!』

カレン『ふざけないでよ!!!!私はまだあんたに何もッッ!!!!』ギュイン!

千葉『紅月!!!』

朝比奈『追うなっ!!』



ナナリー「止めてえええええぇぇぇぇぇーーーッッ!!!!!!!!!」



カッ ドーーーンッ!!!














「………………」



カレン『うそ…………でしょ…………………』

千葉『紅月……』

朝比奈『……』






ギュイン!!
ガンッッ!!


スザク『なっ、ブレイズ・ルミナスが!!!』


ピッ


シュナイゼル『囮を使って侵入を試みるとはね』

スザク『オープンチャンネル!?』

ジェレミア『読んでいたか……素早い反応だと思ったら』チッ

シュナイゼル『随分と手の込んだ囮だ――――ねえ、ルルーシュ?』

「!!!!??」





――――






アルビオン内部

ルルーシュ「……」

クロエ『はあ!?どういうことですか、私は完璧に!!』

ジャック「君じゃない……何者かが俺の思考を読んでいる」ゴクリ

スザク「誰が?」



――――



ニーナ「これもあなたの作戦ね。ジャック」ニヤリ


ピピッ


カノン『助かったわ。ミスマイヤーズ』

ニーナ「いいえ。蜃気楼の操作システムの情報をあなた達が得ていたからこそよ」

カノン『まさか外部から蜃気楼のシステムに侵入し操縦、おまけに絶対守護領域まで完全再現するなんてね……』

カノン『とんでもないスペシャリストがいたものだわ』

ニーナ(覚えているわよ、クロエ・オブライエン。私のワームを駆除した分析官)

カノン『その方法さえあれば遠慮なく囮作戦が使えるものね。……それにしてもどこにいるの?殿下もお礼がしたいみたいだけど』

ニーナ「すぐに戻るわ」ピッ

ニーナ「……フレイヤ、文句なしの兵器ね。これなら世界中のテロリストが喉から手が出るほど欲しがるわ」

ニーナ(ジャックへの復讐なんて本当はどうでもいい。あの男に関わったら碌なことがないもの)

ニーナ(本当の目的はこのフレイヤ。その価値を知らしめてテロリストに売り捌くこと)ニヤリ



――――







シュナイゼル『どうするんだい?最早フレイアを攻略する術も、ダモクレスに侵入する術も失ってしまったけれど』

ルルーシュ「……」

シュナイゼル『ショックで口も聞けないのかな?』

カレン『ルルーシュ、生きてるのっ!!!?返事して!!!』ジワッ

シュナイゼル『アルビオンの中にいることはわかってるんだ。さあ、今ならこれ以上の犠牲を抑えられる』

スザク「殿下、自分達は降伏など絶対にしません!!」

シュナイゼル『ならばあるのかな?この絶対的不利な状況を打開する手立てが』

スザク「くっ……」

シュナイゼル『これ以上手荒な真似をする気はないよ。大人しく捕まるのなら、』



扇『まだだ!!!!』



スザク「え?」

ジェレミア『斑鳩!?』


ゴオォォォォォ!!!


扇『砲撃開始ッ!!!』



ガガガガガッ!!





――――





カノン「無駄よ。ブレイズ・ルミナスの前には」

ディートハルト「彼らにはそろそろ消えてもらいましょう」

シュナイゼル「フレイヤの準備は整っているね」

カノン「はい」





――――







セシル「そんな正面から向かったら恰好の的になるのに!!」

ロイド「まさか彼らは……!!」

C.C.「おい斑鳩、応答しろ!!!」


南『フレイヤが放たれる瞬間ならダモクレスは数秒裸になる!!』

扇『その時、わずかでもダメージを与えられれば突破口が開けるかもしれない!』


セシル「それじゃああなた達が!!」


神楽耶『これは扇事務総長を始めとした斑鳩クルーの総意ですわ!』


C.C.「……!!」


神楽耶『この戦いに勝てば日本は必ず再興されます!たとえ我々がいなくとも!』


ピッ


スザク『止めるんだ神楽耶っ!!!皇が日本の再興を見届けなくてどうする!!!?』

神楽耶『日本のことはあなたに託しますわ。……スザク』

スザク『神楽耶ァッ!!!』





――――





シュナイゼル「愚かな判断を」

ディートハルト「最高の絵面になりますよ」ニヤリ

シュナイゼル「ナナリー。ルルーシュを堕落させた黒の騎士団に、止めを刺そう」





――――





ジェレミア『ブレイズ・ルミナスが開いた!!』

スザク『だけどフレイヤの発射口も!!』

カレン『扇さぁんっっ!!!皆ぁ!!!!』


扇「ハドロン重砲、発射!!!」



ゴーーーッ!





――――






ニーナ「さあ……世界よ、究極の兵器に戦慄しなさ――」





「させないっっっ!!!!」



キュイィィィーーーン!!



ニーナ(マ)「――――」


ロロ「ニーナ・マイヤーズ!ダモクレスの鍵は返してもらう!!」バッ





――――








ドォン!!!



カノン「なっ!ハドロン砲が直撃した!!?」

ディートハルト「フレイヤは!!!??」





斑鳩クルー「!!!!??」

神楽耶「扇事務総長!!!チャンスですわ!!!」

扇「あ、ああ!!このままダモクレスへ突撃!!」


ゴオオォォォォ!!


扇「輻射障壁展開ッッ!!!!!





セシル「せ、成功です!!障壁干渉でブレイズ・ルミナスが破られました!!」

ロイド「ひょええぇ~~……」

C.C.「スザク今だっ!!」



スザク『ああ!!』


ギュイン!!


スザク『よし!!!侵入成功です!!』

ジャック『あとはダモクレス内部の敵を蹴散らし、シュナイゼルを!!』





――――








グラグラッ


ロロ「うわっ」フラッ

ニーナ「――い、え?スイッチが……!?」

ロロ(しまった、ギアスが!!)

ニーナ「!!!!」


バンバンッ!


ロロ「うわあっ!!」バタッ

ロロ(くっ、肩を撃ち抜かれた!)

ニーナ「返してもらうわよ」ツカツカ

ロロ「渡さな」

ニーナ「」バンッ

ロロ「うあああッ!!!?」

ロロ(ダメだ、あまりの激痛にギアスが使えない!)

ニーナ「さようなら」チャキ

ロロ「!!!」ギュッ










バンッ!


ニーナ「うっ!!」フラッ

ロロ「!?」

トニー「ニーナッッッ!!!!!」ダダダッ

ニーナ「トニー!!!?」

トニー「動くなっ!!銃を下に置き両手を頭の後ろに!!」

ニーナ「勘違いしないことね!形勢はこちらが有利よ」チャキ!

トニー「ロロ!」

ロロ(ギアスさえ使えれば!)クッ

トニー「観念するんだニーナ!!さっきの振動はダモクレスが攻撃された音!すぐにここは攻め落とされるッ!!」

ニーナ「あら。あのシュナイゼルとかいう男が大人しく負けると思う?」

トニー「なに?」

ニーナ「こうなることも想定して自爆装置を仕掛けているはずよ。今頃それを起動させているはず」

トニー「!」

ニーナ「私なんか放っておいて早く逃げた方がいいんじゃない?この子も手当てしないと出血多量で死ぬわよ」

トニー「くっ……!」

ニーナ「ふん」タタタッ

ロロ「トニー、僕はいいからっ」

トニー「喋るな!すぐに止血する!!」タタッ


ビリッ グルグル ギュッ!


ロロ「自爆装置だなんて……!」

トニー「僕はニーナを追う」

ロロ「えっ!?逃げないの!」

トニー「あの女がこんなに簡単に諦めるはずがない。恐らくこの混乱に乗じて何か仕掛けてくるはずだ」

ロロ「っ、死んじゃダメだからね!」

トニー「ああ。君は早く逃げて治療を、」

ロロ「僕はこのダモクレスの鍵をナナリーに渡さないといけない」ギュッ

トニー「……。わかった、グッドラック」

ロロ「お互いにね!」





――――


ロロがんばれ超がんばれ

ギアスも24も大まかにしか知らないが、シュナイゼルってこんなマジキチだったのか
そして24は原作もこんな感じ?

ジャックは原作だともっとひどいことしてる気がする

>>180
自分含めてチェスの駒しか思ってないからな
ルルーシュや父親シャルルとは真逆の性格

これより酷いって、人の目玉くりぬいたり早とちりで人[ピーーー]以上のことをやってるのか…

>>180
ギアスはアニメをほぼなぞってるから、シュナイゼルはこんな感じですね
ジャックは原作で目玉くりぬき(未遂)、人は殺しまくってるから何が何やら…
生首を手土産に敵アジトに潜入してたことならありましたw






ダモクレス内部



スザク「斑鳩が突撃したことでこちら側の援軍が多く、内部の制圧はほぼ完了したけど」

ジャック「シュナイゼルが一向に見付からんな」

カレン『スザク!』

スザク「カレン、君のおかげで早く制圧出来たよ」

カレン『ルルーシュは?本当に生きてるの?』

スザク「ああ」

カレン『どうして声を聞かせてくれないのよ?せめて顔を見せて!』

スザク「……えーと」

ジャック「しょうがないだろう」

ルルーシュ「……」



ウィィィーン



カレン「ルルーシュ!!……怪我でもしてるの?」タタッ

スザク「怪我はないよ」

カレン「じゃあどうして肩を貸してるのよ」

ルルーシュ「……カ、レン」

カレン「ルルーs」

ルルーシュ「――うっ」フラッ

「!!!??」


ピーーーーーッ(本人の名誉の為音声自粛)






「…………」


カレン「……酔ったのね」

スザク「酔ったんだ」

ジャック「軟弱な奴め」

ルルーシュ「……お前ら…………あの凄まじい揺れで、どうして平然としてられるんだ……」オエッ

スザク「僕やカレンはちゃんとコクピットに座ってるからね」

ルルーシュ「ジャックは……?」

ジャック「今回は3人だったから狭くは感じなかった」

ルルーシュ「そういう、問題じゃない……」オエッ

カレン「この酔っ払いは置いておいて、これからどうするのよ?」

スザク「シュナイゼル殿下を探してるんだけど」

カレン「それならさっき報告があったわ。出発準備がしてある飛行艇が上の階にあったって」

ジャック「それだ!!!」

スザク「だけどルルーシュがこの状態じゃあ」

ルルーシュ「へ、平気だ……すぐに、」オエッ

ジャック「仕方ない!俺と枢木が先に行き足止めをしておく!!行くぞッ!!」ダダッ!

スザク「はい!!!カレン、ルルーシュを頼む!」ダダッ!

カレン「ええっ!?」オロオロ

ルルーシュ「……」

カレン「……」

ルルーシュ「……」オエッ

カレン「……私、あなたには聞きたいことが沢山あったんだけど」

ルルーシュ「……」

カレン「その姿見たらなんだかどうでもよくなってきたわ」

ルルーシュ「……」オエッ

カレン「ったく。あんたには私がいなきゃダメみたいね」

ルルーシュ「……すまない」





――――







屋上庭園

ロロ「ナナリー!!」タタッ

ナナリー「ロロさん!さっきの振動は……?」

ロロ「多分兄さ、ルルーシュ達が突入に成功したんだよ。それとダモクレスの鍵、取り返してきたよ」サッ

ナナリー「ありがとうございます」

ロロ「だけど早く脱出しないと。自爆装置が起動したらしいんだ」

ナナリー「自爆装置?」

ロロ「時間が来ればダモクレスは爆発する。ルルーシュを待ってる暇はないよ」

ナナリー「……」

ロロ「どうしたの?早く逃げないと」

ナナリー「ロロさんは1人で逃げてください」

ロロ「えっ!?」

ナナリー「そしてお兄様へ……世界へ伝えてください。フレイヤを撃ったのはナナリー・ヴィ・ブリタニアであると」

ロロ「な、なにを言ってるの。君はスイッチを押していないじゃないか!!」

ナナリー「ですがフレイヤは放たれました。その責任は誰かが取らねばなりません」

ロロ「君が取る必要なんて!」

ナナリー「ならばお兄様が世界の敵となりますよ」

ロロ「!!」

ナナリー「それを阻止する為にはこうするしかありません」

ロロ「……」

ナナリー「……ロロさん。お兄様を、よろしくお願いします」

ロロ「ナナリー……」

ナナリー「きっと良い“弟”になれますよ」ニコリ

ロロ「!!……っ」タタタッ

ナナリー「――さようなら」





――――







飛行艇



シュナイゼル「世界の平和と1人の命……哀しいことだが比べるまでもないよ。自爆装置は起動させたし……ん?」スタスタ

カノン「どうされました?モニターを見つめて」

シュナイゼル「いや。おかしな考えが頭を過ってね」

カノン「なにか?」

シュナイゼル「何故かあのモニターにルルーシュが映るような気がしたんだよ」

ディートハルト「ははは、そんな馬鹿な」

シュナイゼル「そうだね」

カノン「さあ、出発よ。出して頂戴」



シーン



カノン「何をしているの?早く、」


チャキ!


「!!!??」


カノン「まさかパイロットが寝返った!?」

ディートハルト「いや、違う!奴は!!」





ジャック「誰も動くなッ!」チャキ

ディートハルト「ジャック・バウアー!!!」

シュナイゼル(彼が)

カノン「警備!何を黙ってみているの、!?」

スザク「申し訳ありませんが言うことを聞いてください」チャキ

カノン「枢木スザク……!」

ディートハルト「くっ!」

コーネリア「動くな!」チャキ

ディートハルト「コーネリア殿下!?捕まっていたはずでは!」

コーネリア「ロロとかいう少年が助けてくれたんだ」

シュナイゼル「ユフィを殺したルルーシュを助けるのかい?」

コーネリア「違います。私は兄上の考えが認められないだけです」

シュナイゼル「敵の敵は味方、というわけか……」フウ

ジャック「さっき自爆装置がどうとか、言ったな」

シュナイゼル「ああ。だからこんなことをしている暇はないよ。早くしないと皆で塵になってしまう」

ジャック「お前が解除すれば済む話だ」

シュナイゼル「しかしそれは私にメリットがない」

ジャック「なに?」

シュナイゼル「爆発すればルルーシュが死ぬ。それで私達の目的は果たされる」

ジャック「お前も死ぬんだぞ!?」

シュナイゼル「構わないよ。平和の礎となれるのなら」

ジャック「狂っている……!」

コーネリア「兄上には執着すべき欲がないんだ。世が世なら卓越する王であったものを」

スザク「だけどジャック、俺達はここで死ぬわけにはいかない!」

ジャック「仕方あるまい。強硬手段に出るしかないな」

シュナイゼル「……何をする気かな」

ジャック「皇子だろうが俺は甘くないぞ」ゴキゴキ





――――








制御室



ニーナ「ここまで追ってくるとはね」

トニー「観念するんだ、ニーナ」

ニーナ「あなたに私が撃てる?」

トニー「僕を舐めるな!」チャキ!

ニーナ「そういうことじゃないわ。ここの自爆装置を解除出来るのは私だけってこと」

トニー「なに?」

ニーナ「このままシュナイゼルとジャック達さえ逃げ出してもらえれば、ダモクレスはもぬけの殻になるわ」

トニー「それから自爆装置を解除すると……?」

ニーナ「そうすればここは私のものになる」

トニー「大量破壊兵器を積むこの要塞を手に入れて、またテロリストと取引をするのか!?」

ニーナ「私を止める?」

トニー「当然だ!!」

ニーナ「だけどあなたはこの世界の捜査官でもなければ一般人ですらないのよ」

ニーナ「そんなあなたが私を捕まえてどうするの?」

トニー「……さあな」

ニーナ「だったら」

トニー「だけどミシェルならこうする。どんな世界にいても、捜査官としての矜持は失わない」

ニーナ「……私の前で今の女の名前を出すとはね、トニー」

トニー「そして僕はミシェルの元に帰るんだ。……ジャックと共に」






ニーナ「…………。私には帰る場所はないわ」

トニー「……」

ニーナ「奪われたのよ、ジャックに。あなただってそうでしょう?」

ニーナ「ジャックさえいなければこんなに人生は狂ってなかった。私達のことだって!」

トニー「っ、だけど君は最初から裏切っていた!!」

ニーナ「お願いよ、トニー。せめて見逃して。ダモクレスは諦めるから」

トニー「……」

ニーナ「平穏な毎日が欲しいの」

トニー「ニーナ……」

ニーナ「トニー……愛してるわ」



バンッバンッ!バンッ!



ニーナ「」ドサッ


トニー「……」スタスタ、サッ

トニー「ポケットに小型銃……やっぱり狙っていたか」

トニー「もう君には騙されないよ、ニーナ」





――――








飛行艇



ルルーシュ「シュナイゼルは!!?」ザッ

ジャック「倒してしまった」

ル・カ「」

コーネリア「来るなら早く来い……見たくないものを見てしまっただろう」

ルルーシュ「その、頭にビニール袋らしきものを被り床に倒れている男はもしや」オソルオソル

スザク「シュナイゼル殿下だ」

カレン「殺しちゃったの!?」

ジャック「死んじゃいない。軽く拷、尋問にかけたら気絶しただけだ。ヤワな奴め」ペッ

ルルーシュ(最早誰が悪者だかわからなくなってるな)

スザク「そんなことよりルルーシュ。自爆装置が起動してしまったんだ」

ルルーシュ「なに!止める方法はあるのか!?」

カノン「ジャック・バウアーがその可能性を潰したわ……」

コーネリア「カノンは知らないのか?」

カノン「解除コードは殿下だけが知っていました」

スザク「本当ですか?」ギロリ

ジャック「嘘は吐いていないようだ。こうなれば早く脱出する以外にない」

ディートハルト「白々しい!!大体貴様の所為だろう!!」

コーネリア「全面的に同意だが今は脱出が優先だ!」

コーネリア「ルルーシュ、ここは迅速な避難誘導を優先させるぞ。不本意ではあるが黒の騎士団にも協力を仰ぎたい」

ルルーシュ「内部の混乱を思えば適当な判断ですね」




ジャック「しかしこの男、よくもフレイヤを発射させたな!!一国の宰相の風上にも置けん!!」プンスカ

カノン「フレイヤのスイッチを押したのは殿下じゃないわ」

ジャック「なに?」ビックリ

スザク「じゃあ誰が?」

カノン「ナナリー様よ」

ルルーシュ「なっ!!まさかシュナイゼルが強制的に!!?」

コーネリア「スイッチを預けてくれと、自ら嘆願したんだ」

ルルーシュ「どうして」

コーネリア「罪だけは背負いたいと。……ルルーシュ、これがお前の残した結果だ」

ルルーシュ「……」

ジャック「お前の妹が……」



???「ナナリーは屋上庭園にいるっ!!」



カレン「え!?」

ルルーシュ「ロロ!!」

ロロ「ごめんなさい、片腕じゃ車椅子を押せなくて!」ハアハア

ルルーシュ「ど、どうしたんだその怪我は!!」

スザク「銃で撃たれてる。腕の神経がやられたのか」

ロロ「僕のことはいいから早く行ってあげて!彼女はダモクレスと運命を共にしようとしてるんだ!!」ハアハア

ルルーシュ「なんだと!?」

スザク「ルルーシュ!!」

ルルーシュ「カレン、黒の騎士団への指示は頼む!ロロのこともだ!!」

カレン「わ、わかったわ!!」

ルルーシュ「行くぞスザクっ!!!」ダダダッ!

スザク「ああ!!!」ダダダッ!

カレン(やっぱり連れていくのはスザクなのね……)ブツブツ

コーネリア「カノンも協力してもらうぞ。ダモクレス内部の人間に避難指示を出さなければ」

ジャック「おい」

コーネリア「!!ち、近寄るな!!」ビクッ

ジャック「何もしない。それより君に頼みたいことがある」






――――






屋上庭園



ナナリー「そこにいるのはお兄様ですか?」

ルルーシュ「そうだよ」

ナナリー「……来てしまったのですね。スザクさんも」

スザク「ああ」

ナナリー「お兄様達の目的は、このダモクレスの鍵ですか?」

ルルーシュ「……違うよ。俺はお前に、」テクテク

ナナリー「来ないで!」

ルルーシュ「?」

ナナリー「それ以上近付いたらこのスイッチを押します」

ル・ス「!!!??」

スザク「ナナリー、何を考えてるんだい?今それを押せば!」

ナナリー「ダモクレスが自爆する。お兄様もスザクさんも、そして私も」

スザク「それがわかっていてどうして!!」

ナナリー「そうしたくないのならすぐに引き返してください」

スザク「出来るわけないだろう!君1人を残していくなんて!」

ナナリー「ならばお兄様も考え直してください」

ルルーシュ「なんのことだ?」

ナナリー「……ご自身に世界中の憎しみを集めようという考えです」

ルルーシュ「!!?」




スザク「ど、どうしてそれを」

ナナリー「私はお兄様の妹です。それくらいわかります」

ルルーシュ「……。わかっているのなら、ナナリー。ダモクレスの鍵を渡すんだ」

ナナリー「」フルフル

ルルーシュ「皆で明日を迎える為にはこれしかない」

ナナリー「あなたが全てを背負う必要はありません」

ルルーシュ「必要はある。俺はあまりにも多くを犠牲にしてきた。これは俺の償いでもあるんだ」

ナナリー「ならば私も償います」

ルルーシュ「なに?」

ナナリー「最悪の兵器、フレイヤを放ったのはこの私です。罪は私にあります。その清算を、今ここで」スッ

スザク「本当に君が」

ナナリー「そしてフレイヤを放った虐殺皇女を討った英雄として――お兄様は正式にブリ
タニアの皇帝となれます」

ルルーシュ「お前を、討つ……?」

ナナリー「そこからやり直すんです。そして優しい世界を築き上げてください。それだって罪の償いになるはずです」

ルルーシュ「……違うな。間違っている」

ナナリー「え?」






ルルーシュ「明日を築くのは俺じゃダメだ。この手は血に汚れ切っている。……俺を憎む者だって大勢いる」

ナナリー「負の連鎖を断ち切る、と?」

ルルーシュ「ああ」

ナナリー「ならばそれも私が」

ルルーシュ「お前には無理だ」

ナナリー「っ、どうしてですか?私はそれほど無力だと?」

ルルーシュ「お前の手は血に染まっていない」

ナナリー「でも私はフレイヤを!」

ルルーシュ「押していない」

ナナリー「!!」






スザク「ルルーシュ、それはどういうことだ?」

ルルーシュ「ナナリーがここにいる理由だ」

ルルーシュ「シュナイゼルに連れて来られたならいざ知らず、お前は自分自身の意思でここへ来た。それは何故だ?」

ナナリー「……」

ルルーシュ「俺に逢うため……違うか?」

ナナリー「」ギュッ

スザク「止めるのではなく、逢うため」

ルルーシュ「斑鳩の中でお前は言ったな。ただ、そばにいられればいいと」

ナナリー「……お兄様」

ルルーシュ「俺も同じだ」

ナナリー「!」

ルルーシュ「俺もお前に逢いに来たんだ」スッ

ナナリー「こ……こないで」フルフル

ルルーシュ「そんなお前が罪を背負うはずがない」

ルルーシュ「そうすればそばにすらいられなくなると一番知っているのは、お前だからな」テクテク

ナナリー「お願いっ……!」フルフル

ルルーシュ「……鍵を」スッ

ナナリー「嫌ですっ……絶対に渡しません!!」

ルルーシュ「それは俺が背負うべきものだ」

ナナリー「あなたに渡すくらいなら押します!!」

スザク「君には押せないよ」

ナナリー「スザクさん……」プルプル

スザク「ルルーシュの真意を知ってしまった君では、その覚悟は出来ないだろう」

ナナリー「……でも、これを渡せば、お兄様は、遠くへ、」ポロポロ

ルルーシュ「……」

ナナリー「そんなの嫌です!お兄様のいない明日なんて、そんなのっ!!!」









「ナナリー・ヴィ・ブリタニアァァァァァ!!!!」



「!!!!!??」


スザク「ジャ、」

ルルーシュ「ジャック!!?」

ジャック「貴様ァ、よくもフレイヤを放ってくれたなあッッ!!!!」ドスドスドス!

ナナリー「ど、どどどどどなたですか!!!?」ビクビク

ルルーシュ「落ち着けジャック!!フレイヤを放ったのはナナリーじゃn」

ジャック「身内だからといって庇うのかッ!!!俺には通用しないぞ!!!」ドスドスドス!

ルルーシュ「とにかくお前は人の話を聞けっ!!!」




スザク「ジャック!!」バッ

ジャック「枢木!貴様、そこをどけ!!」

スザク「どきません!!」

ジャック「貴様が本気で平和を願っていると思ったからここまで協力したんだぞ!!」

ジャック「それなのにここへきて虐殺犯を庇うというのかッ!!?」

スザク「彼女は撃ってません!」

ジャック「しっかりとスイッチを握りながら何をほざく!!!」

ナナリー「まあそうですよね」ギュッ

ルルーシュ「い、今の内に渡せ」

ナナリー「嫌ですっ」ギュウッ!

スザク「……ナナリーをどうする気です?」

ジャック「虐殺犯として吊るし上げる。もう二度と同じ考えを持つ輩が現れないようにな」ギロリ

ナナリー「」ビクッ

ルルーシュ「貴様、そんなことしてみろ!!ただじゃおかないぞ!!」

ジャック「庇うのならお前も同罪だ!」

スザク「だったら尚更どくわけにはいかない」

ジャック「……枢木。自分が何を言ってるのかわかってるのか?」

スザク「あなたが言ったんですよ。何が正しいか間違ってるかは決断を下してからでないとわからないって」

ジャック「……そうか、お前は」

スザク「世界がなんて言おうが関係ない、俺はルルーシュとナナリーを護る」キリッ

ナナリー「スザクさん」

ルルーシュ「スザク」

ジャック「いいだろう!ただしどんな結果であろうと受け容れるんだぞッ!!」ダッ

スザク「わかっています!!」キュイィィーーン!









トニー「ジャック!!」ダダッ

スザク「」ピタッ

ジャック「トニー!!?無事だったのか!!」

トニー「か、彼らの言う通りです。ナナリーは何もしていません」ハアハア

ジャック「なに?」

トニー「ニーナです。あいつもここに」

ジャック「ニーナだとッ!!!今何処にいる!!?」クワッ!

トニー「もう終わりました。ニーナはダモクレスとフレイヤを掌握しようとしていたんです」

ジャック「そうだったのか」



ルルーシュ「おい……」

ジャック「本当にすまないと思っている」

ルルーシュ「だから思ってないだろう!!」

スザク「まあ誤解は解けたんだし」

ジャック「ニーナが迷惑をかけた」スッ

ナナリー「い、いいえ。私にも非はありますから」

ジャック「しかしそんなものがあるからどいつもこいつも狂うんだ。ちょっと貸してみろ」

ナナリー「あ、はい」サッ



ボキッ!!!



ル・ス・ナ「…………」

ジャック「これでいい」ポイッ

トニー「ジャック、自爆装置が間もなく起爆します。早く逃げないと」

ジャック「そうだな。おい何をぼさっとしている!!さっさと行くぞッ!!!」ダダッ

ルルーシュ「…………行くか」

スザク「そうだね」

ナナリー「そうですね」





――――



おつ
本当にすまないと思っている     キターーー

駄目だ、某芸人が頭をよぎる……


こんなにも心に響かない謝罪も珍しいなww

近距離で怒鳴った後は形だけの謝罪

どきどきキャ〇プが頭を過るな……






アッシュフォード学園



ロロ「……」

ミレイ「おっかえりーーロロ!!」

ロロ「か、会長!?なんで?」

リヴァル「急にこんなことになって仕事どころじゃなくなったんだってさ」

シャーリー「皆でテレビ中継見てたとこなんだよ」

ロロ「シャ、シャーリーさん……」オドオド

シャーリー「偉いね、ロロ。ちゃんと私との約束、守ってくれたんだね」ニコッ

ロロ「」フイッ

リヴァル「おおっ!?どうしたんだよロロ、お顔が真っ赤だぜ!?」

ロロ「そそそそそんなことありませんっ」カァァァ

ミレイ「おやあーー!?これはもしや、アレに落ちてしまった瞬間かなぁ!?」ニヤニヤ

ロロ「へへへへ変なこと言わないでください!!」カァァァァ

シャーリー「ねえ、ロロ。ルルはどうなった……?」

ロロ「……兄さんはもうこの学園には戻れないって」

シャーリー「そう」

リヴァル「……ま、そうだよな。皇帝陛下が学校通えるわけないもんな」

ミレイ「はぁーい、落ち込まないっ!二度と会えなくなるわけじゃないんだからさっ」

シャーリー「そうですよねっ!こうして生きてれば、いつかまた会えますよねっ!」

ミレイ「そーいうことっ!」

リヴァル「お前が皇帝だからって俺達が悪友であることにゃ変わらないからなっ!」

ミレイ「それで、ロロは?ルルーシュのそばにいなくていいの?」

ロロ「……お前は俺の代わりにちゃんと学校を卒業しろって。ルルーシュ・ランぺルージの弟として」


「…………」


リヴァル「……なんか、あいつらしいな」フッ
ミレイ「ふふっ、随分可愛がられてるのね」

シャーリー(もう大丈夫なんだね、ルル。孤独なんかじゃないんだね。……でも、私の気持ちはずっとずっと、変わらないんだからね)





――――








ブリタニア皇宮



ルルーシュ「――それで、俺達の契約はどうなるんだ」

C.C.「お前は左目ごとギアスを失ったからな……契約不履行か」

ルルーシュ「ならばこれからお前はどうする?別の人間にギアスを与えるのか」

C.C.「どうかな……だが、今はもっと生きていたいと思ってる」

ルルーシュ「!」

C.C.「願いを叶えるよりも、お前が創っていく世界を見ることの方が面白そうだ」ニヤリ

ルルーシュ「……ならば新たに契約を、いや、約束をしよう」

C.C.「え?」

ルルーシュ「お前が死んで願いを叶えるんじゃなく、笑って生けていける世界を俺は創ろう」

C.C.「……結局私の願いは叶わないのだな」

ルルーシュ「だが単なる経験の積み重ねにはしない」

C.C.「フッ。童貞坊やのクセに生意気な口を」

ルルーシュ「素直じゃないな、相変わらず」

C.C.「恨んでないのか?」

ルルーシュ「誰を?」

C.C.「私を。ギアスを与えたことで、お前の運命は大きく変わってしまった」

ルルーシュ「魔女のクセにらしくないことを」フッ

C.C.「なに……」

ルルーシュ「お前がくれたギアスが……お前がいてくれたから、俺は歩き出すことができたんだ。そこから先は全て俺の」

C.C.「初めてだよ、お前みたいな男は」フッ

ルルーシュ「だからだ、C.C.。新たな約束をお前に与えたい」

C.C.「……どうするかな」

ルルーシュ「断るのか?」

C.C.「お前がこの状況を本当に受け容れているのなら、考えなくもないが」チラ

ルルーシュ「なに……」

C.C.「それに抜け駆けは面白くないしな」

ルルーシュ「抜け駆け?」

C.C.「おい、出て来たらどうだ!」

ルルーシュ「は?」






???「……いつから気付いてたのよ」

ルルーシュ「カレン!」

C.C.「盗み聞きとは趣味が悪いな」ククッ

カレン「ち、違うわよ!ここに来たら入るタイミングを逃しただけで」

ルルーシュ「どうしたんだ。黒の騎士団は?」

カレン「……ええっとね、実は…………解散することになったの」

ルルーシュ「解散!?」

カレン「元々ゼロあっての組織だったし、日本の解放が目的だったし」

ルルーシュ「存在意義がなくなったってことか」

カレン「それでまあ、それぞれ好きな道を選ぼうってことになって」

C.C.「素直に言ったらどうだ。ルルーシュのそばにいたいって」

カレン「なっっっ!!!何言ってんのよ!!!」カァァァァ

C.C.「隠してももろバレだぞ」

カレン「あ、あんただって同じよ!!」

ルルーシュ「何がだ?」キョトン

C・カ「……」

カレン「……と、とにかく、あんたって危なっかしいから。私がついててあげるっていうのよ」

ルルーシュ「ありがとう。戦力は多いに限る」

カレン(戦力扱い、ね……。いいわよ、どうせ私はC.C.にもスザクにもナナリーにもなれないわよ)フン

カレン(でもいいの。あなたが私をどう思ってようと、あなたを信じてついていくって決めたんだから)







???「その通りですわっ!!」

ルルーシュ「か、神楽耶様!?」

神楽耶「申しましたでしょう?仮面があろうとなかろうと私の夫はただ1人!」

ルルーシュ「まさか」ダラダラ

神楽耶「三人官女、改め三人皇妃!!結成ですわ!!!」

ルルーシュ「い、いや、神楽耶様。俺は皇妃を娶るつもりはなi」オロオロ

神楽耶「ですが第一皇妃の座は渡しませんわよ!」

カレン「わ、私は皇妃になんてなったつもりは!!」

C.C.「私は何番でもいいぞー」

カレン「あんたは否定しないわけ!!?」

ルルーシュ「勘弁してくれ……!」





――――








「スザク」


スザク「ジノ、アーニャ!?どうしてここに」

ジノ「そりゃあ職場復帰さ」

アーニャ「」コクリ

スザク「ってまさか、ラウンズに復帰するつもりかい?」

ジノ「スザクとジェレミア卿と2人だけじゃ心許ないだろ?」

スザク「だけどほとんどのラウンズはさっき離反を表明したのに」

ジノ「そりゃ、あんだけしてやられればなあ。でもルルーシュのシャルル陛下殺害の容疑は晴れたわけだし」

アーニャ「だったら2人とも、敵じゃない」

スザク「だからって僕達でいいのかい?現に今は、ブリタニア軍のみならず国内で意見が割れてるし」

ジノ「ルルーシュとコーネリア殿下、オデュッセウス殿下と、それにシュナイゼル殿下か」

アーニャ「有力なのはシュナイゼル殿下」

スザク「ニュース見ただろう」

ジノ「ああ、ニーナ・アインシュタインが発表したフレイヤの平和利用について、だろ?」

ジノ「シュナイゼル殿下考案の。あの方も変わり身早いよなあ」

スザク「悪くはないんじゃないか。それなりの支持を集めてるみたいだし」

ジノ「だけど、戦場であの威力を間近で見たらな……あんなもの存在して欲しくないと思うぞ」

アーニャ「」コクリ

スザク「そうか」






ジノ「だからこっちなんだ。ルルーシュは知らない仲じゃないし、スザクもいることだしな!」ニカッ

アーニャ「スザク、仲間」

スザク「ありがとう」フッ

スザク「ところでアーニャ、携帯は持ってないんだ?」

ジノ「ああ、なんかさっきジェレミア卿と会ってからこんな感じなんだよなあ」

アーニャ「記録はもう必要ない。大切なことは、もう記憶できるから」

スザク「はあ」

ジノ「な?よくわかんないだろ」

スザク「ああ……。そういえば、コーネリア殿下を見なかったかい?」

ジノ「殿下なら療養棟にいるってよ。ギルフォード卿と一緒に」

スザク「わかった。ありがとう」タタタッ

ジノ「さてっと、ナイトオブゼロってことは、スザクが俺達の上司になるってことか?」

アーニャ「下剋上」

ジノ「ははっ、そりゃいい!ならば早速トリスタンを改造しなくちゃな!」タタタッ

アーニャ「……記憶」ボソ





――――








療養棟



スザク「失礼します」

コーネリア「……枢木か」

スザク「お加減いかがですか?」

コーネリア「おかげさまでな。……ギルフォード、少し外してもらえるか」

ギルフォード「イエス、ユアハイネス」テクテク

スザク「殿下、お伺いしたいことがあるのですが」

コーネリア「あの生中継の件、か?」





数時間前。

生中継。

コーネリア『――これがシャルル皇帝陛下殺害映像だ』

アナウンサー『こ、これは衝撃映像でしたね……』

アナウンサー『なにより驚くべきは、犯人はルルーシュ殿下ではない、という点にあると思うのですが』

コーネリア『そうだ。陛下を銃殺したのはジャック・バウアーと名乗る謎の男だ』

アナウンサー『誰です、それは?』

コーネリア『詳しい情報は私にもわからない。だが奴は殺害後、私の目の前で鬼のような形相で陛下の首を切断した!!』

アナウンサー『恐ろしい人間がいたものですね』

アナウンサー『ですがこの映像と先刻のシュナイゼル殿下とコーネリア殿下の証言は食い違っていませんか?』

コーネリア『……あの時はこの映像を確認せず、先入観のみでルルーシュを犯人扱いしてしまった』

コーネリア『恥ずべき行為だった。この場で謝罪したい』

アナウンサー『ということは、コーネリア殿下はルルーシュ殿下の皇位継承を認める、と解釈してもよろしいのでしょうか?』

コーネリア『――――』










スザク「――ルルーシュを認める、と」

コーネリア「勘違いするなよ、枢木。だからといってあいつを赦したわけじゃない」

スザク「ならばなぜ?」

コーネリア「償わせる為だ」

スザク「……ユフィのことを?」

コーネリア「虐殺皇女の汚名を雪ぎ、ルルーシュを罰する。ずっと望んでいたことだが……それは果たしてユフィが望むことなのか」

スザク「ユフィは最後までゼロの正体を言いませんでした」

コーネリア「……そういうことなんだろう。ユフィが望んでいたのはそういう世界なんだ」

スザク「だから殿下はルルーシュを認めるのですか?ユフィが望んだ世界を創らせることが、償いになると?」

コーネリア「もしも良からぬことをしようものなら、私自らが鉄槌を下すつもりでいる」

スザク「……殿下も、決断されたんですね」

コーネリア「フッ、そう簡単なことではなかったがな。ある男に言われたんだ」

スザク「それってまさか」

コーネリア「全てはジャック・バウアーのおかげだ」





――――








スザク「ジャック!」タタタッ

ジャック「枢木か」

スザク「聞きました、コーネリア殿下から。あのテープを公開するよう指示したのはジャック自身だと」

ジャック「言っただろう、弁解も償いもすると。最初から皇帝を殺害したのは俺だと白状するつもりだった」

スザク「だけどあれが公開されたせいで、今やジャックは国際指名手配犯に」

ジャック「慣れてるから気にするな」

スザク「な、慣れ?」

ジャック「それよりもルルーシュの潔白が証明されて良かったな。これで無事に皇帝になれそうじゃないか」

スザク「……課題は山積みですが」

ジャック「どうした、浮かない顔をしているな」

スザク「……僕がかつて忠誠を誓った女性をルルーシュに殺されたって話はしましたよね」

ジャック「ユフェーだったか」

スザク「ユフィです。……今更追及するつもりはないんです。この1日でそれが意味の無いことだとわかったから……」

スザク「だけど、彼女が今の僕を見たらなんて思うか……いいや、それは違う、責任転嫁だ」

ジャック「君自身がルルーシュの騎士として生きていくことに疑問を感じている、ということか」

スザク「過去の色んなことが思い出されて、これでいいのかって。また後悔をするんじゃないかって」

ジャック「……俺も色々あった」

スザク「ジャック」

ジャック「愛する人間を一番信頼していた人間に殺されたこともあるし、自分の肉親を手に掛けたこともある。ついでに仲間に裏切られることは日常茶飯事だ」

スザク「」

ジャック「そんな辛い出来事に直面しても俺が立ち止まらないでいられるのは、家族を幸せにしたいという願いと祖国を護るという使命があるからだ」

スザク「だけど過去はどうなるんです。なかったことには出来ない」

ジャック「過去を顧みることが無駄だとは思わない。だが自分の願いや使命よりも過去が重要と考えるのは自分の心が許さない」

ジャック「どんなに辛くてもその場その場で自分で考えて決断していくことが大切なんだ」

スザク「自分の、心……」

ジャック「少なくとも俺はそれで後悔したことはない」




ルルーシュ「本当にそうか?」

スザク「ルルーシュ!」

ルルーシュ「テープの件、実は意図的なものだったんじゃないのか?」

ジャック「……」

スザク「どういうことだ?」

ルルーシュ「タイミングが良すぎる。あれで俺に対する世間の風当たりは一気に弱まった」

ジャック「良かったじゃないか」

ルルーシュ「それだけじゃない。ダモクレスの自爆の件だってそうだ」

スザク「ジャックがダモクレスの鍵を折ったことか?」

ルルーシュ「違う。俺達が脱出した直後にダモクレスが自爆したことだ」

スザク「タイミングが良すぎる……?まさか、あれもジャックが?」ビックリ

ルルーシュ「クロエが既に自爆装置を制御していたんじゃないのか?それであのタイミングで自爆させた」

スザク「なんのために?」

ルルーシュ「結果で考えてみればわかることさ。そのおかげで俺がフレイヤを掌握することができなくなった」

ルルーシュ「そしてテープが公開されたことで疑惑の皇帝の潔白が証明された。――だからこそ俺達は今、こうしている」

スザク「計画が……ゼロレクイエムが行えなくなってしまった」

ルルーシュ「お前、全部わかっていたのか?俺達が何をしようとしていたのか」

ジャック「……死を覚悟した人間の顔はわかる」


ル・ス「!!!」






ジャック「その必要はないと思った」

ルルーシュ「っ、だがお前はこの世界の人間じゃないだろう!」

ジャック「世界なんて関係ない。俺が妥協しないためだ」

スザク「妥協?」

ジャック「1度でも妥協を許せばあっという間に妥協して生きるのが当たり前になる。ニーナやシュナイゼルだって本当は俺や君達となんら変わりないんだ」

ジャック「全ては妥協からだ、たった1度の」

スザク「だから僕達を?」

ジャック「少なくとも俺の目には、君達が妥協して生きているようには見えなかった」

ルルーシュ「……だが、ゼロレクイエムは、俺やスザクの……」

ジャック「自分が赦せないか」

ルルーシュ「……」

ジャック「ならば生きろ」

ルルーシュ「!」

ジャック「妹を幸せにして、世界に尽くせ。そして自分を赦す方法を探すんだ。……辛く長い道のりになるだろうが」

ルルーシュ「……死ぬのは、生きるより楽な道だと?」

ジャック「らしいな。……これはある男からの受け売りだ。俺の代わりに死んでいった男のな」

ルルーシュ「……だがスザクは」

ジャック「枢木はもう決めている」

ルルーシュ「え?」

スザク「ジャック」

ジャック「誰がどう言おうが関係ない、自分の心に従った決断を下すんだ」

ジャック「……本当の君はそれが出来る強い男だと俺はずっと思ってたよ」

スザク「」コクリ




スザク「……ずっとゼロが憎かった。ユフィを殺し、ルルーシュを奪い、俺の傷を抉る」

ルルーシュ「ゼロは俺自身だ」

スザク「だけどこの1日君と行動を共にしていてわかったんだ。君の本質は何1つ変わっていないと」

ルルーシュ「……」

スザク「ゼロを棄てろ、ルルーシュ」

ルルーシュ「それは俺の存在を否定するということか?」

スザク「それが君にとっての罰となる。君はルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとして生きていき、ゼロの仮面を被ることはもうない」

ルルーシュ「……。だったらお前は、枢木スザクとして生きていけ。俺の騎士としてではなく」

スザク「ああ」

ルルーシュ「ならすぐに解任を」

スザク「その必要はないよ」

ルルーシュ「は?」

スザク「俺の願いは今の場所でないと果たせない。ルルーシュとじゃなきゃ」

ルルーシュ「優しい、世界……」

スザク「俺達2人で力を合わせてできなかったことなんて、ないだろ?」

ルルーシュ「スザク……」

スザク「友だちだろう、俺達は」フッ

ルルーシュ「……8年前からずっと」フッ

スザク「ジャック、これで」クルッ










シーン





スザク「ジャック?」

ルルーシュ「スザク、時計を」



14:00



スザク「…………24時間(時差抜き)、経ったんだ」

ルルーシュ「……滅茶苦茶な奴だったが、いなくなると……静かなものだな」

スザク「……」

ルルーシュ「……」

スザク「……行こうか、ルルーシュ」

ルルーシュ「ああ」





――――








アリエスの離宮

最上階のテラス



ルルーシュ「……」

スザク「行きなよ」



テクテク



ルルーシュ「咲世子」

咲世子「はい」

ルルーシュ「今までのようにナナリーを頼めるか」

咲世子「もちろんです」ニッコリ

ルルーシュ「ありがとう」

スザク「咲世子さん、ちょっと」

咲世子「はい」テクテク










ルルーシュ「……」

ナナリー「お兄様ですね」

ルルーシュ「そうだよ、ナナリー」

ナナリー「ここは昔と変わっていますか?」

ルルーシュ「いいや。シャルルが……父上が保全を命じていたらしい」

ナナリー「きっといつか私達が帰ってくると信じていたのでしょうね」

ルルーシュ「そうかもしれないな」

ナナリー「覚えていますか?よくこのテラスから、お母様と一緒に風景を眺めていたことを」

ルルーシュ「ユフィを招いてお茶会も開いたね」

ナナリー「楽しかったですよね。……本当に幸せでした」

ルルーシュ「……」

ナナリー「でも今は、風の匂いが昔とは違うみたい」クンクン

ルルーシュ「そうかい?」

ナナリー「――あれからあの事件が起きて、スザクさんと出会って、アッシュフォード学園に通うようになって生徒会の皆さんと楽しい毎日を過ごしました」

ルルーシュ「その裏で俺はゼロとなり、多くを傷付け騙し続けた」

ナナリー「私達は引き離されて、再会した時は敵同士」

ルルーシュ「そしてジャック・バウアーに出会って――」

ナナリー「お兄様、私は今の風の匂いも好きです」

ルルーシュ「あの頃のように幸せに満ちたものでなくても?」

ナナリー「ええ。だってお兄様が、隣にいますから」

ルルーシュ「ナナリー……」

ナナリー「お兄様、いつかにお話した私の願いごとのお話、覚えていますか?」

ルルーシュ「覚えているよ。お前が願った優しい世界。それをこれから俺達が創ってみせる」

ナナリー「……私の優しい世界はもうここにあります」ボソッ

ルルーシュ「え?」

ナナリー「いいえ!でも、楽しみです。お兄様やスザクさんが創る世界が。私も――」




ルルーシュ「ナナリー?」

ナナリー「――――」

ルルーシュ「――ナナリー、お前!!!」

ナナリー「おにい、さま?」パッチリ

ルルーシュ「見えるようになったのか……!」

ナナリー「――はい。たった今……」

ルルーシュ「どうして……!」

ナナリー「お兄様達が創っていく世界を私も見てみたいって思ったのです。そうしたら……」

ルルーシュ「そうか……」

ナナリー「……8年ぶりにお兄様のお顔を見ました」

ルルーシュ「ああ」

ナナリー「それが明日を創った方の、お顔なのですね」ウルウル

ルルーシュ「ナナリー……」

ナナリー「お兄様……」



ルルーシュ「愛している、ナナリー」

ナナリー「お兄様、愛しています」





14:59



おしまい。


レスくれた人たちありがとう!
読んでくれた人たちありがとう!


最後に、こんなご都合主義で滅茶苦茶な話に付き合せて……

本当にすまないと思っている!!!

お疲れ面白かったで



24見たくなった

乙!
なんて心のこもった謝罪なんだ!

乙!
面白かったよ!

おつ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom