晶葉「靴の行方」 (16)


・地の文あり

・書き溜めあり

・一人に一人のプロデューサー

・短い


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総選挙の中間の結果が出た。

そこに私の名前はなかった。

私は頑張ってきた。それは胸を張っていえる。

たまたま他の子が人気だっただけだ。仕方ない。

そう自分に言い訳し続ける。

だけどさ。それでも、悔しいんだ。

たまらなく悔しい。



女の子は誰でもシンデレラになれる。それがこの事務所の理念だ。

本当にそうなのだろうか?

ガラスの靴をもらえたのは今までで3人。今回で4人。

私がガラスの靴をもらえる未来は本当にあるのだろうか?

そんなことを考えるとたまらなく悲しくなる。泣きたくなる。

モバP「どうした晶葉?こんな遅くまで事務所に残って。」

晶葉「ああ、P。少し聞いてほしいことがあるんだ。」

モバP「わかった。ここでいいかな?」

晶葉「別にいいぞ。」

息を大きく吸って私はPに問う。

晶葉「ガラスの靴は手に入るのか?」


モバP「当たり前だろ?女の子は誰でもシンデレラになれる。それがこの事務所の理念だろ?」

晶葉「建前の話をしてるんじゃない。どうやったら私はシンデレラになれるのだ?」

モバP「どうやったらって、地道にアイドル活動を頑張ろう。」

抑えてた感情が溢れてくる。

晶葉「頑張ってるさ。今までだって。」

頑張ってるさ。頑張ってはいるんだ。

晶葉「トップのほうの子達にあって私にないものはなんなんだ?彼女たちが優れていて私は劣っているのか?」

モバP「違うんだ晶葉。誰が優れているとか誰が劣っているとかそういう話じゃないんだ。」

晶葉「じゃあ何だというんだ。私にどうしろというんだ?」


モバP「晶葉は今のままでいいんだ。」

晶葉「今のままでシンデレラガールズになれるのか?もっと…もっと高みを目指せるのか?」

モバP「一回落ち着こう。」

Pが困った顔をする。違う私は困らせたいんじゃない。でも止まらない。止められない。

晶葉「私だって悔しいんだ。私だって…私だって…。」

涙まで溢れてくる。もう自分でも何がしたいのかわからない。

モバP「晶葉…。少し聞いてくれるかい?」

Pの声はどこまでも優しかった。そして頭を撫でてくれた。

Pの手は暖かい。安心する。私は少し冷静になった。


モバP「晶葉はシンデレラの童話を知っているかい?」

晶葉「もちろんだ。知ってない人のほうが少ないぐらいじゃないか?」

モバP「そうだね。この事務所の人なら大体知ってるだろうね。じゃあ晶葉に質問だ。主な登場人物を挙げてくれ。」

晶葉「えっと、シンデレラ、意地悪な継母、姉、魔法使い、王子様ぐらいか?」

モバP「そうそう。この中で継母、姉を抜いた三人を自分たちでたとえるとしたら?」

晶葉「シンデレラがアイドル、魔法使いがファンかな?王子様は…Pかな。」

モバP「ちょっと俺の考えと違うね。シンデレラがアイドルなのは言うまでもない。そして魔法使いがプロデューサーで王子様がファンだ。」

晶葉「Pが魔法使いなのか?」

モバP「舞踏会というステージに行くためにドレスを用意したりかぼちゃの馬車を用意したり。」


晶葉「じゃあなんでファンが王子様なのか?」

モバP「それはだな。ファンがアイドルのことを見つけてくれるからだ。そして求めてくれるからだ。」

晶葉「この話に何の関係があるんだ?」

モバP「まあ焦るな。じゃあ次に魔法使いがシンデレラに与えたものは?」

晶葉「さっき言ってたじゃないか。ドレスやかぼちゃの馬車だろ?」

モバP「それらの魔法は12時に解けてしまう。だからシンデレラは帰ってきた。そうだよね?」

晶葉「そうだ。あっ。」

Pの言葉の真意に気づく。


モバP「ガラスの靴は誰が用意した?」

晶葉「自分自身が持っていた?」

モバP「そうだな。最初に晶葉は言ったよな。私はガラスの靴は手に入るのかって。晶葉はもうすでに持っているんだよ。」

晶葉「そう…なのか?」

モバP「確かに事務所が決めたシンデレラガールズになれるのは一人しかいない。だけどなファンのみんなにとってはお前はもうシンデレラなんだよ。」

晶葉「私はもうシンデレラ…。」

Pの言葉を繰り返す。

モバP「だから悩む必要なんてないんだ。頑張っていれば王子様が必ず見つけてくれる。」

晶葉「でも…。トップになれないなら…。」

モバP「みんなのトップじゃなくて誰かのトップになればいいのさ。」



誰かのトップ…か。

晶葉「P…。Pにとってのトップに私はなれているか?」

モバP「当たり前だ。魔法使いってのは一番最初にシンデレラの魅力に気づいたんだぞ?」

晶葉「そうか。そうだよな。Pが私をこの世界に導いてくれたんだ。」

ずっと裏方だった私を光の当たる舞踏会へ導いてくれた。

モバP「それとだな。さっきも言ったけど誰かが優れていて誰かが劣ってるんじゃないんだ。お前にはお前の魅力がある。」

晶葉「私の魅力。」

モバP「それとも晶葉には晶葉の靴があるといったほうがいいか?」

晶葉「私の靴?」

モバP「原作のシンデレラでもさ、靴はガラスの靴だけじゃなくて毛皮の靴や金の靴、銀の靴。バラのついたサンダルまであるんだ。」

晶葉「たくさんあるな。」


モバP「晶葉の靴は歯車で出来ているのかもな。」

晶葉「それは履いたら痛そうだな。」

モバP「ガラスの靴も大概だろ。」

晶葉「それもそうだ。」

二人で笑いあう。さっきまでの不安が嘘みたいだ。

靴の話題でクックッと笑う…。言うのはやめておこう。私のキャラじゃない。ほかに適任がいるから。

私は私の魅力があるからな。

モバP「とにかく、晶葉はもうシンデレラだ。シンデレラガールズになった人が見つけてもらえるのがガラスの靴なら、晶葉は晶葉の靴を見つけてもらえ。」

晶葉「Pは見つけてくれているか?」

モバP「もちろんだ。俺は魔法使いで王子様だからな。」

晶葉「ありがとう。最後にPにお願いしたいことがあるんだがいいか?」

モバP「なんだ?」



晶葉「またこうして私が迷ったら魔法使いとして道を示してほしい。」

モバP「もちろんだ。」

次のセリフは少し恥ずかしいな。

晶葉「12時の魔法が解けたなら私に靴を届けに来てくれるか?」

Pがはっとした顔になる。少し考えて真剣な顔で答える。

モバP「俺でよければ迎えにあがるよ。」

顔が熱いな。







晶葉「…約束だよ。」

以上短いけど終わりです

ランキングに乗らなくても晶葉は自分のシンデレラです

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俺も博士に全ツッパするぞ!頑張ろうぜ!

ボイス争奪選挙を追ってた感じじゃ
一部に人気という訳じゃないんだよな

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