ジャン「よし、この調子で晴れてくれりゃあ夕方には全部乾くだろ」
ジャン「さーてこれからどうすっかな。特に予定もねぇしどっかで昼寝でも……」
アニ「どうも」ヒョコ
ジャン「……お前、こんなところで何やってんだ?」
アニ「ちょっとした探しもの。……誰かと話してるのかと思ったら……あんた、随分と独り言が多いんだね」
ジャン「べ、別にどうだって良いだろそんなこと!大体、女子がこんなとこ彷徨いてんじゃねぇよ!」
アニ「別に、あんたらの洗濯物になんて興味はないよ。私は私の特等席を探してるだけ」
ジャン「特等席?」
アニ「この時期に眺めたいものなんて決まって……」スッ
ジャン「おい、どうし……もっふぁ!」バサッ
ジャン「何しやがる!!」
アニ「早く布団の反対側を持ちな!離すんじゃないよ!!」
ジャン「はあ?なんだってんだ、いきな……」
エレン「うわあああああああああ!!」
エレン「もがっ!」ボフン
ジャン「り……」
アニ「まったく……本当、死に急ぎ野郎だね……」
ジャン「は?」
アニ「運が良いんだか悪いんだか分かりゃあしないよ」
ジャン「へ?」
アニ「じゃ、後は任せたよ」スタスタ
ジャン「おいちょ、ま……」
エレン「あれ?何だこれ!?痛くない?けど、真っ暗!!けど、心地良い……」モフモフ
ジャン「おう、落ち着け俺。落ち着いて状況を整理すると……」
ジャン「洗濯物を干してたらエレンが降ってきた」
ジャン「」
ジャン「訳わっかんねぇ!!なんで空からテメェが降ってくるんだよ!!」
エレン「なんだ!?ジャンの声がする?おいジャン!ここどこだよ!どうなってんだ!?」バタバタ
ジャン「うるっせぇ!俺の布団で暴れんな!!」グルグル
エレン「うわあああ」
ジャン「よお、簀巻き野郎。乾きたての布団はさぞかし心地良いんだろうなぁ?」
エレン「このまま寝れそうだな」
ジャン「川にでも投げ捨ててやろうかこの死に急ぎ野郎が!!」
エレン「やめろよ死んじゃうだろ!」
ジャン「……その状態で言われても緊張感出ねぇよ」
エレン「お前が巻いたんだろうが!」
ジャン「テメェが空から降ってこなきゃあこんな事にはならなかったんだよ!」
エレン「俺が空から降ってくる訳ねぇだろ!屋根から落ちただけだ!!」
ジャン「危ねぇだろ馬鹿!俺とアニと布団がなかったらどうなっていたのか分かってんのか!?」
エレン「おう!助けてくれてありがとう!!」
ジャン「どういたしまして!じゃねぇよこの死に急ぎ野郎が!!」
エレン「これ以上何を言えばいいんだよ!?」
ジャン「んなもん自分で考えやがれ!あと俺の布団で心地良さそうな顔すんな!」
エレン「…………」モフモフ
ジャン「…………」
エレン「いや、開放してくれよ」
ジャン「……おう」
ジャン「で、お前はなんで空から降ってきたんだ?」
エレン「屋根から落ちただけだって」
ジャン「……どうして屋根の上に?」
エレン「コニーとサシャと一緒に走り回ってた」
ジャン「で?足滑らせて落っこちたってか?間抜けな奴……」
エレン「んだよ、ほっとけよ……」
ジャン「あ?あのなぁエレン、お前屋根から落ちたんだぞ?意味分かってんのか?」
エレン「はいはい分かってるって!助けてくれてありがとよ!」
ジャン「そうじゃねぇだろ!お前が怪我したらミカサがどんだけ心配するか分かってんのか羨ましい!」
エレン「はあ!?何言ってんだお前?」
ジャン「うるせぇ!」
エレン「何なんだよ!?」
ジャン「チッ……とりあえず、お前俺の布団についた土どうにかしろよ」
エレン「ああ、そうだよな。叩けば落ちるか?」
ジャン「何言ってんだよ洗ってこい」
エレン「こんくらい大丈夫だろ、ほら」ポンポン
ジャン「張り倒すぞ」
エレン「分かった分かったって!ちょっと布団叩き借りてくるから待ってろよ!」
ジャン「いやそうじゃなくて洗ってこい……っつーの……」
ジャン「人の話を最後まで聞け!」
ジャン「……まあいいか。怪我もしてねぇならミカサも心配なんか……」
ミカサ『エレン!?屋根から落ちたの!?大丈夫?怪我はない?本当?』
ミカサ『怪我をしなくて本当に良かった。……でもエレン、危険な遊びは駄目だとアレほど……』
ジャン「……するだろうな」
ジャン「ああくそ!なんであいつばっかり!俺は!俺に感謝は!?」
ジャン「ちくしょう!礼くらいしてくれるんだよなぁ!?なぁ!?」
エレン「えっ?お、おう?」
ジャン「」
エレン「礼って言っても、俺何も持ってないけど?いや、布団叩きはあるけどこれ借りもんだし……」
ジャン「……どこから聞いてた?」
エレン「なんであいつばっかりー……って辺りから。急に大声出すなよな、びっくりしちゃうだろ」
ジャン「セーフ……」
エレン「セーフ?……それよりあいつって誰の事だ?」
ジャン「さあなぁ?誰の事だろうなぁ?」
エレン「うわっ、面倒くさいなお前」
ジャン「喧嘩売ってんのかテメェ」
エレン「いや、そう言うんじゃねぇけど……」
ジャン「あーはいはいそうですか。じゃあさっさと布団綺麗にしてどっか行け」
エレン「……なあ、ジャン」
ジャン「なんだよ」
エレン「お前はどうして空が青いのか知ってるか?」
ジャン「あ?ああ……太陽の光がどうのこうのって聞いたことがあるような……」
エレン「へぇー」
ジャン「知らねぇのかよ!!」
エレン「おう」
ジャン「チッ、貴重な俺の時間をどうしてこんな奴に……」
エレン「どうせ暇なんだろ?」
ジャン「……たった今用事ができた。そんなに殴られたいのかテメェ!」
エレン「え?やだよ、痛いし」
ジャン「遠慮はいらねぇって」
エレン「してない」
ジャン「一発くらい貰っておけよ」
エレン「いらん」
ジャン「いいから殴らせろ!!」ブン
エレン「うわっ!?……何すんだよ!危ないだろ!」
ジャン「ああん?先に煽ってきたのはお前の方だろうが!いいから一発貰っとけ!!」ブン
エレン「い・や・だ!!」ダッ
ジャン「チッ、干してある布団の裏なんかに隠れてどうするつもりだ?こんなもんめくっちまえば……」バッ
サシャ「可愛い女の子かと思いました?残念、とっても可愛い女の子でした!!」
ジャン「」
サシャ「あれ?いまいち反応が薄いですねー」
ジャン「なんでお前がいるんだよ芋女!」
サシャ「芋女じゃありません!そんなにエレンが良いんですか貴方は!!」
ジャン「良い訳無いからこうなってんだよ!芋女も死に急ぎ野郎もチェンジだ!!」
エレン「まあまあ、そんなつれない事言うなよ」ツンツン
ジャン「チェンジ!!」ブン
エレン「おっと!」サッ
ジャン「くそっ、また隠れやがった!どうせ次はバカがいるんだろ!?」バッ
コニー「バカだと思ったか?残念!天才のコニー様だ!!」
ジャン「いやバカだろ」
コニー「てんっさいのコニー様だ!!」
ジャン「いややっぱりバカだろ」
コニー「……バカはお前の方だぜ、ジャン」
ジャン「は?いくらなんでもお前よりは……もがっ!?」バサッ
エレン「よう、ジャン。布団の中は快適か?」
ジャン「ッテメェ!!放せ!放しやがれ!!」
エレン「放せって言われて放す奴がいるかよ」
サシャ「狙った獲物は逃しませんよ!」
ジャン「この野郎!三対一なんて卑怯なマネしやがって!」
コニー「三人で連携してんだよ。な?俺はバカじゃなく天才だろ!?」
エレン「それはあやしい気がするけど」
コニー「なんだとエレン!!」
ジャン「一瞬で仲間割れしてんじゃねぇよ」
サシャ「まったく、これだから男という生き物は」
ジャン「食いもんにしか興味ねぇ奴が何言ってんだよ芋女」
サシャ「くっ!間違っていないから何も言えません!!」
エレン「間違ってないのかよ、分かってたけど」
サシャ「女の子をいじめてそんなに楽しいですか!」
コニー「いじめてないし、楽しんでもいないぜ!」
サシャ「そんなに笑顔で言われても!!」
ジャン「そんなことどうでもいいからいい加減俺を開放しろ!!」
エレン「いやだ」グルグル
ジャン「のわっ!?」
エレン「よし、簀巻き完成!」ドスン
ジャン「人の上に座ってんじゃねぇ!!早く退けろ!!」
エレン「そのうちな」
ジャン「……お前後で覚悟しておけよ」
コニー「ふああ……っと、暖かくて眠くなってくるよなー」
サシャ「そうなんですよ。座学中も眠くって……」
ジャン「お前はいつも寝るか食ってるかの二択だろ」
サシャ「あーあー!眠くなってきちゃいました!おやおやこんな所に良さそうな背もたれが!!」ドサッ
ジャン「なっ!?」
コニー「おっ?いいなそれ!!じゃあ俺も!」ドサッ
ジャン「おい!」
エレン「あんまり揺らすなよ、落ちるって!……あっ!」
ジャン「んだよ、いい加減降りろよ」
エレン「桜の花びらが降ってきた」
ジャン「……まあ、春だからな」
エレン「ジャン」
ジャン「なんだよ」
エレン「ジャンの上に乗ってたら春が降ってきた」
ジャン「……ああ、春だからな」
おわり
ハルダヨーアメダヨー
お誕生日おめでとう
ほのぼのしてええやん
乙
すき
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