綾乃「Tomorrow」 (24)

3月31日 夜


綾乃「はぁ~、いよいよ明日かぁ~…」

綾乃「船見さんと歳納京子が東京に行くのは…」


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3週間前、私たちは七森中学校を卒業した。
卒業式が終わった後、私と千歳は歳納京子から衝撃の事実を伝えられた


「4月から私たち、東京で暮らすから」

船見さんと歳納京子が七森高校に進まないのはずっと前から知っていた。
だけど、まさか船見さんと2人揃って東京に行くなんて…

その後、歳納京子と船見さんは東京に行く理由とずっと内緒にしていた訳を話していたけれど、
私は全く覚えていない。
突然の事で頭が回っていなかったからだ。
でも、最後に歳納京子が言った一言だけは覚えてる

「綾乃、ごめんね」

期待

千歳「綾乃ちゃん、元気出してや」

綾乃「私は大丈夫よ」

千歳「新幹線が出来たから東京まで2時間半で行けるで」

綾乃「ほんと、新幹線が出来てさらに便利になるね」

その後も千歳は私を必死に励ましてくれたけど、本当は千歳自身も知っているはず。
東京から高岡の間は飛行機で行っても空港までのバスの時間を入れても2時間で着く。
新幹線が出来たからって便数が多くなったのと気軽に行けるようになっただけで東京までの時間はあまり変わらない。
そして私と歳納京子の間には東京ー高岡間の410キロの距離よりさらに長い距離が出来てしまった。
それは転校を繰り返して来た千歳自身が知っているはず。
友達がどこかに行ってしまえばそれは実距離より遥かに遠く感じる事を。

綾乃「いくら気軽で行けるようになったとは言え、お金も時間も掛かるし、まだそう簡単には行けないわ」

綾乃「はぁ~、こんな時にどこでもドアがあったらな…」

綾乃「あれがあれば歳納京子にいつでもすぐに会いに行けるのに…」

綾乃「東京には高校・大学と7年間いると言ってたよね」

綾乃「さらに就職先が東京の場合はしばらく東京に住み続けるとも言っていたよね」

綾乃「時々帰って来ると言っていたけど…」

綾乃「」ジワッ

綾乃「…近くに居て欲しい」


「私の近くに居て欲しい」



「だって私は歳納京子が好きだから」

綾乃「…もうすぐ日付が変わって4月1日か…」

綾乃「いよいよ出発の日ね…」

綾乃「別にこれが最後の別れでも無いからまた会えるわけだけど…」

綾乃「…」


「明日なんか来ないで欲しい」


「4月1日なんか来ないで欲しい」


「4月1日が来なかったら…」


「4月1日が来なかったら…」

…ヤノー

…アヤノー

綾乃「そ、その声は!」

京子「目が覚めた?」

綾乃「歳納京子! 何でここに」

京子「今日は綾乃に伝えたい事があって来たんだ」

綾乃「伝えたい事?」

京子「私は約束するよ」

京子「必ず綾乃に会いに高岡に戻って来るよ」

京子「私は綾乃が大好きだから」

京子「だから、私が戻ってくる日まで変わらずに真面目で優しい綾乃でいてね」

綾乃「…」

綾乃「うん、変わらないでいるわ」

綾乃「いつでも今の私のままで歳納京子を待ってるわ」

京子「そうか」

京子「じゃあ、私はそろそろ行くね」

綾乃「えっ、ちょっ…」

京子「あっ、言い忘れてた」

京子「綾乃、千歳をよろしくね」

京子「あと、あかりとちなつちゃんもよろしくね」

京子「あかりとちなつちゃんは私と結衣がいなくなって寂しくなると思うから」

京子「綾乃、良いお姉ちゃんとなって2人をよろしくね」

京子「じゃあ」スー

綾乃「行かないでーーー」

綾乃「歳納京子ーーーー」ガバッ

綾乃「あっ、夢だったのね…」

綾乃「いつの間にか眠ってしまったのね」

チュンチュン

綾乃「もう朝か」

綾乃「ついに明日が来てしまった…」

綾乃「あと数時間で歳納京子は東京に行ってしまう…」

綾乃「…」

綾乃「…」グッ

数時間後 新高岡駅


結衣「ありがとう、わざわざお見送りに来てくれて」

綾乃「まだ発車まで時間があるよね」

京子「!」

綾乃「船見さん、ちょっと歳納京子を借りるわね」

結衣「いいけど、出発時間までには戻してね」

千歳「綾乃ちゃんと歳納さんが二人きり…」ダラー

結衣「あー、また鼻血を出して」

結衣「(こうやって千歳にツッコミを入れるのもしばらくお別れだろうな)」

少し離れた所で


綾乃「ここでいいよね」

京子「綾乃、何で私を連れ出したの?」

綾乃「あなたに伝えたい事があって」

京子「伝えたい事?」

綾乃「私、歳納京子の事が好きだったの」

綾乃「歳納京子が船見さんと東京に行くと聞いたときは凄いショックを受けたの」

綾乃「だけど、夕べ、あなたが私にこう言ってくれたの」

綾乃「「私は約束するよ」」

綾乃「「必ず綾乃に会いに高岡に戻って来るよ」」

綾乃「「私は綾乃が大好きだから」

綾乃「「だから、私が戻ってくる日まで変わらずに真面目で優しい綾乃でいてね」」

京子「私、そんな事言ったっけ?私、夕べは結衣の家にいたよ」

綾乃「ううん、夢よ。夢の中に歳納京子が出て来てこう言ったの」

綾乃「私も約束したわ」

綾乃「いつまでも変わらないで今の私のままで待ってる事」

綾乃「そして赤座さんと吉川さんの良いお姉さんになる事」

綾乃「だから歳納京子、安心して東京に行ってね」

綾乃「赤座さんと吉川さんは私がちゃんと見るから」

京子「綾乃…」

京子「ありがとう綾乃、東京で頑張ってくるよ」

綾乃「たまにはここに帰って来てね」

京子「うん、帰って来るよ。新幹線も出来たから気軽に帰れるようになったし」

綾乃「もし、何かあったら私と千歳に相談してね」

京子「うん」

綾乃「そろそろ改札に行かないと」

京子「綾乃、手を繋いで行こう」

綾乃「(歳納京子と手を繋ぐなんて…)」ドキドキ

綾乃「(でも、ここは勇気を出して)」

京子「綾乃の手って温かいね」

綾乃「と、歳納京子の手も温かいわよ」

京子「もっと綾乃の手を繋いでいたかったな」

綾乃「か、帰ったらいつでも何度でも手を繋いであげるわよ」



「私も歳納京子と手を繋ぎたいから」

ホーム


結衣「じゃあ、行ってくるね」

千歳「東京でも元気で~」

京子「まだドア閉まらないよね」

結衣「京子、何するの?」

京子「綾乃、こっち来て」

綾乃「何?」


チュッ


綾乃「え、えええ/////////」

京子「手を繋いでくれたお礼だよ」

京子「綾乃、私との約束守ってね」

綾乃「うん、歳納京子との約束守るよ」

綾乃「歳納京子も私との約束守ってね」

京子「うん、守るよ」

新幹線が去った後


綾乃「…」

綾乃「ついに行っちゃったわ…」

綾乃「しばらく歳納京子と会えなくなるけど、手を繋いだり、そしてキスされたり…」

綾乃「この歳納京子の温もりとキス、次に帰って来るまで忘れないわ」

綾乃「今の私のままで待ってるわ」

綾乃「あれ、千歳は?」


ガヤガヤガヤガヤ

アノコ、ダイジョウブカ
タイリョウニシュッケツシテイルゾ
チヲダシテイルワリニハイイカオシテイルナ


綾乃「あー、忘れてたーーー」

綾乃「ごめん、千歳、今助けるわーー」


おしまい


この曲を聴いていたら思いついて書いてみました。 
ttps://www.youtube.com/watch?v=GS5FlTVYN8c



乙!

オッツリーン

乙乙

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