??佐世保鎮守府
朝潮「艦娘派遣?」
「ああ」
大潮「なになに……『指揮官が中将以上の階級を持つ鎮守府から、設置されて一ヶ月以内の鎮守府へと特定の練度の艦娘を派遣し、一定の期間該当鎮守府の管轄の下に置く』……ですか」
荒潮「つまり、艦娘を派遣してその鎮守府の初期の戦力増強と勢力拡大を支援するって事ね?」
大潮「おまけに派遣された艦娘は多く活躍できるから、普段よりも練度の上昇も大きい!」
「そういうことだ。艦娘の練度が低すぎた場合あまり力になれず、高すぎてもその艦娘が鎮守府を牽引してしまい支援の範疇を越えてしまう」
朝潮「その派遣元の鎮守府の一つとしてここが選ばれた、と」
満潮「ふん、この鎮守府も名目上はそれなりに認められているってことね。ま、私には関係のないことだけど」
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「そこで、我が鎮守府からは満潮を派遣することにした」
満潮「……はっ!?」
大潮「満潮を?」
満潮「ちょ、ちょっと!何で私なのよ!!」
「その『特定の練度』に君が当てはまるからだ」
満潮「いや何も私じゃなくたって、他にも条件を満たす艦娘はいるでしょ!?」
「まあ、いないことはないが……」
荒潮「満潮ちゃんは私たちと離ればなれになるのが寂しいのよ~」
朝潮「以外と寂しがり屋ですからね」
満潮「ばっ、そんなワケないじゃない!」カァァ
「だが、条件を満たす艦の中でも特に君が適していると思ってね。君の責任感と指揮能力は練度以上のものがあると私は信じてる」
満潮「……っ」ピクリ
「もちろん、強要はしない。嫌だと言うなら別の艦娘に頼むが――」
満潮「……」ソワソワ
満潮「ま、まったく……そこまで言うならしょうがないわね。私がその鎮守府に行って新人共をビシッと鍛えてあげるわよ!」
朝潮(ちょろい)
大潮(ちょろい)
荒潮(ちょろいわねぇ)
「そうか、ありがとう。詳細は追って伝える」
満潮「ふん!」
大潮「あれ、どこいくの?」
満潮「ちょっと用事がね。生憎暇じゃないから」
バタン
「……」
荒潮「……で、本音はどうなのかしらぁ?」
「む……?」
荒潮「とぼけないで。艦娘派遣とやらに満潮ちゃんを選んだことよぉ」
大潮「え?なにかあるの?」
朝潮「確かに……姉の私が言うのもあれだけど、満潮は新人の指導をするようなタイプには見えないわね」
「聡いな。その通り、練度以外にも理由はある」
「まず一つ。満潮はこの鎮守府の中でも比較的新参の部類に入る。つまり艦娘として人の姿を手にしてまだ日が浅い」
「その為か、はたまた性格の問題か、彼女は周囲と打ち解けることができていないように見える」
朝潮「そう……ですね。他の駆逐艦はおろか、私たち姉妹艦とも距離を置いている気がします」
荒潮「意地っ張りだからね~」
「彼女の過去……大戦の時の記憶も原因かもしれないがな。その辺りは君たちの方がよく分かるだろう」
大潮「……」
「この鎮守府は主力の面々が概ね固定されているため、満潮が多くの艦娘と組む機会は少ない。だが、新しい鎮守府は当然戦力が乏しい。暫くは彼女が艦隊の中心となるだろう」
「そこでは必然的に色々な艦娘との交流があるはずだ。その中で、彼女の仲間と距離を置きたがる性格に少しでも変化が見られればと思ってね」
荒潮「……他には?」
「ああ。偶然かどうかは分からないが、我々が派遣するよう求められている鎮守府について……これがまた彼女に少なからず縁のあるところでな……」
朝潮「?」
*****
大潮「満潮、大丈夫?忘れ物はない?」
満潮「ああもううるさいわね……あんたは私の親か」
大潮「姉です!」ドヤァ
満潮(うざい……)
朝潮「しっかり頑張ってくるのよ。朝潮型として恥じない働きをしてくるようにね」
満潮「分かっているわよ」
荒潮「ホームシックになったらいつでも帰ってきていいのよぉ?」
満潮「なるか!むしろせいせいするわよ」
大潮「こら満潮、そんなこと言わない!そんな子に育てた覚えはないよ!」
満潮「だから親か!!」
間宮「あ、満潮ちゃん。お願いしておいたお土産を渡すの頼むわね」
満潮「了解よ」
「それでは満潮、任せたぞ。派遣先での武運を祈る」
満潮「どうも……満潮、出るわ!」
荒潮「まぁ移動は公共の交通機関なんだけどね~」
朝潮「そんなこと言わないの」
*****
-―佐伯湾泊地
満潮「さて、と。ここが私が過ごすことになる鎮守府ね……」
満潮(見た感じは……私のいた鎮守府より小さいけど、構造はあまり変わりないっぽいわね。新たに設置されただけあって建物自体は新しい)
満潮「にしても――」
シーン
満潮(いくらなんでも閑散としすぎでしょ……)
満潮(新規に設置された鎮守府とは聞いたけど、ここまで人の気配がないとはね)
満潮(そもそも、迎えすらないなんてどういうことなのかしら。こっちはわざわざ来てやったってのに)
満潮「ま、その辺も追々文句を言うとして」
満潮「ひとまずはここの司令官に挨拶という名の指導をしないとね」ツカツカ
*****
執務室
満潮(ここね……)
コンコン
?「どうぞ」
ガチャ
?「おや、貴女は……」
満潮「朝潮型駆逐艦三番艦、満潮よ。あんたがここの司令官ね」
?「ああ、貴女が派遣艦娘の方ですね」
提督「僕はこの鎮守府の提督を務めております、原口少佐であります。新米の若輩者ですが、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします」
満潮「そう。じゃあ遠慮なく指導に入らせてもらうわ」
満潮「私はあんたらの鎮守府を支援するためにわざわざ来てやったってのに、迎え一つ寄越さないなんでどういう精神をしているのかしら?」
提督「迎え、ですか」
満潮「そうよ。まさか私が来るのを忘れていたとでも?」
提督「いえいえ、そんなまさか」
提督「おかしいですね……出迎えは秘書艦に頼んでおいたはずなのですが……」
満潮「秘書艦?そういやここにはあんた一人しかいないけど、秘書艦はどこよ」
提督「貴女を迎えに行かせに――あっ」
満潮「?」クルリ
?「ふわぁ~。提督ぅ、派遣艦娘っての来なかったぞー?」ポリポリ
満潮「……あんたが秘書艦?」
?「ん?おお、誰だあんた!?」
満潮「……あんたが迎えるはずだった派遣艦娘ですけど?」
?「んん?」
提督「貴女に出迎えは任せたはずですが、どこにいたのですか?」
?「んーと、だって派遣艦娘が来るのって一三〇〇だろ?」
提督「いえ、一四○○ですが」
満潮「そして今の時刻は一四一○ね」
?「へ?」
提督「……まさか、時間を勘違いしてたと?」
?「あっははー、そうみたいだねぇ!一三○○になっても誰も来なかったから日陰に行って居眠りしていたよ!」
提督「……はぁ」
満潮「……これがあんたの秘書艦?」
提督「そうなりますね」
?「ん、つまりあんたが派遣艦娘ってやつかい?」
満潮「だからそう言ったでしょうが」
提督「僕はもう名乗り終えましたよ。ほら、貴女も自己紹介を」
?「おう!」
涼風「ちわー、ここの秘書艦の涼風だよ!これからよろしくな!!」
プロローグ終了
今回は以上となります
このssには独自の解釈が加えられています
キャラの口調に違和感があるかもしれませんが(特に江戸っ子口調の涼風)ご了承下さい
基本的にある程度書きためてからの投下となりますので、亀更新になるかもしれません。こちらもご了承下さい
それでは、ご読了ありがとうございました
乙 涼風好きの俺得スレ
しかしssでは初めて見る組み合わせだな楽しみにしてる
乙
これはなかなか
乙
居眠りだけで加古さんと見間違えてしまった、涼風かわいい乙
投下します
作中の原口提督は、満潮が第24駆の時の艦長である原口昇中佐から取っています(参考:Wikipedia)
間違っていたら申し訳ない
満潮「そう……涼風、ね。私は――」
涼風「おう、あんたのことは知ってるぜ。書類で見た!」
涼風「名前は……そう」
涼風「マンチョウだろ?」ドヤァ
満潮「」
満潮「……は?」
涼風「だからぁ、マンチョウだろ?満ちた潮と書いて、マンチョウ!」
満潮「みちしおよ!み ち し お !!」
涼風「んん?そうだったのかい?ごめんよ」
涼風「とにかくよろしくな!マンチョウ!」
満潮「あんたわざとでしょ!ねぇ!」
提督「あはは、早速打ち解けたようでなによりです」
満潮「どこがよ!!」
涼風「まあまあマンチョウ、落ち着けって」
満潮「あんたのせいよ!」
提督「こほん。とにかく、満潮にはこれより我が鎮守府の一員として活躍してもらいます」
満潮「……ええ」
提督「私は新米ですので、経験豊富な貴女の指示を仰ぎます。まずは何をするべきでしょう」
満潮「そうね……ひとまず全艦娘を集めて。艦隊を組むに当たって、どんな艦娘がいるか確かめておきたいから」
提督「でしたら、ここに当鎮守府全ての艦娘が揃っています」
満潮「は?」
提督「ですから、貴女と涼風。二人がこの鎮守府の全戦力なのです」
満潮「……はあ!?」
満潮「ちょ、それ本気!?」
提督「ここで冗談を言う必要はありませんし」
満潮「つまり、やけに鎮守府の中が静かなのも……」
提督「私たち以外でこの鎮守府にいるのは、食堂の方と妖精さん方のみですからね」
満潮「……」クラッ
満潮(派遣艦娘の対象となるのは設置一ヶ月以内の鎮守府。当然戦力が不足しているのは分かっていたけど……)
満潮「よりによって、なんで本当に設置されたばかりの鎮守府に派遣されたのよ!!」
提督「はは……」
涼風「?」キョトン
提督「一応大本営から支給された資源で建造は行っていますが、完了するまでにはまだ時間がかかりそうなのです」
提督「新設された鎮守府なので、まだまだ工廠の設備も不十分だからでしょうかね」
満潮「つまり、それまでは二隻でやっていかなくちゃならない、と」
提督「そうなります。ざっと3,4日といったところでしょうか」
満潮「はぁ……まあ、今さら文句いったところで仕方ないわね」
涼風「マンチョウは強いんだろ?なら平気さー」
満潮「だからみちし……もういいわ、めんどくさい」
提督「今日は出撃するつもりはありません。移動でお疲れでしょうし、本日はゆっくり休んで下さい」
提督「なんなら涼風に鎮守府の案内もさせますが」
満潮「そうね……食堂に用があるし、お願いするわ」
涼風「腹が減ったのかい?」
満潮「手土産よ、ここに伊良湖って艦娘がいるんでしょ?うちの間宮から頼まれてね」
提督「そうですか。では涼風、お願いします」
涼風「がってんだ!」
*****
司令部
涼風「まずはここだなー」
満潮「司令部はどこの鎮守府も変わりないみたいね」
満潮(といっても、佐世保にはいる大淀がここにはいないけど)
涼風「作戦の時は提督がここで指示をだすんだってさ」
満潮「……だって?」
涼風「あたいはまだ出撃したことないからよく分かんねぇんだよな」
満潮「実践経験がないってこと?」
涼風「おう!」キリッ
満潮「なんでそんなキメ顔なのよ」
満潮(……不安だわ……)
*****
食堂
涼風「ちわーっす!」
?「あ、涼風ちゃん。いらっしゃいませー!」
?「あら、そちらの方は……?」
涼風「ああ、こいつは派遣艦娘のマンチョ--」
満潮「満潮よ、本日付けで暫くここに配属されることになったわ」
伊良湖「そうですか!ここの食堂を任されている伊良湖と申します。まだまだ拙い部分も多いですが、よろしくお願いしますね!」
満潮「あんたが伊良湖ね。間宮から預かりものがあるわ」
伊良湖「間宮さんから!?ありがとうございます!」
涼風「……」チョイチョイ
満潮「なによ」
涼風「間宮って誰だ?」
満潮「佐世保にいる給糧艦。食堂を経営してるわ。ここでの伊良湖みたいな存在ね」
伊良湖「そ、そんな……私なんて間宮さんとは比べ物になりません!」ブンブン
涼風「メシは上手いのか?」
満潮「ま、佐世保では好評ね。特に甘味がね」
涼風「ふーん、そっか」
涼風「まぁ、あたいは伊良湖の作るやつの方が好きだぞ、きっと!」
伊良湖「涼風ちゃん……ありがとうございます」
満潮「……で、間宮からは何が?」
伊良湖「あ、はい。お手紙と、料理について書かれた本です」
伊良湖「これを見て、私も早く間宮さんに少しでも近づけるように努力しなくちゃ」
満潮「そう。ま、頑張りなさい」
伊良湖「あ、そうだ!」
満潮「ん?」
パタパタ
伊良湖「これ、私の作った最中です。お近づきのしるしにどうぞ」
満潮「そ、そう……受け取っておくわ」
涼風「へへ、伊良湖の最中は絶品なんだぞー?」
伊良湖「珍しく無事に焼き上がったんです!」
満潮(珍しいんだ……)
*****
工廠
カーン カーン カーン
満潮「」ゾクッ
満潮(いつ聞いて寒気がする音ね……)
涼風「どうした?マンチョウ」
満潮「あんたは平気なのね」
涼風「?」
妖精さん1「かんむすさんです?」
涼風「お、妖精さん。ちわーっす」
妖精さん2「まだけんぞうはおわらないですよ?」
満潮「心配ないわ、ちょっと見に来ただけだから」
妖精さん3「そちらは?」
妖精さん1「あたらしいかんむすさんです?」
妖精さん2「しんじんさんです?」
妖精さん3「でもぼくたちまだけんぞうちゅうですよ?」
妖精さん1「とつぜんあらわれることもあるのだ」
妖精さん2「せいめいのしんぴ?」
妖精さん3「ふしぎふしぎー」
満潮(私の知ってる妖精と違う)
涼風「あっははー、こいつは他の鎮守府からきたマンチョウってんだよ!」
満潮「満潮ね」
妖精さん3「ほかのちんじゅふからですかー」
妖精さん1「たしかそういうせいどがあるらしいです」
妖精さん2「なるほどー」
妖精さん3「でもここではしんじんさんです?」
満潮「まぁ、そうだけど……」
妖精さん1「けんりょくしゃへのみつぎもの?」
妖精さん2「ぼくらとかんむすさんどちらがけんりょくしゃです?」
妖精さん3「ぼくらかんむすさんさらおかしもらってます」
妖精さん1「つまりかんむすさんのほうがえらい?」
妖精さんs「「……」」
妖精さんs「「ははー」」(土下座)
満潮「なにこれ」
涼風「面白いよなー!」
満潮「あっはい」
*****
-―夜
食堂
涼風「ごちそうさまでしたー!」
満潮「ごちそうさま」
涼風「な?伊良湖の料理美味いだろ?」
満潮「まあまあね」
伊良湖「ありがとうございます!」
涼風「あ、提督だ」
提督「ん?……おや、二人とも」
涼風「今から食事かい?」
提督「ええ、ちょうど仕事に一段落つきましたので」
提督「では伊良湖、お願いします」
伊良湖「はい!」
提督「さて……満潮、この鎮守府は如何ですか?」
満潮「……まだ一通り見ただけだからなんとも」
提督「そうですか。早く気に入ってもらえればいいのですが」
満潮「善処するわ」
満潮「ところで、まだ私の寝る部屋について聞いてないんだけど」
提督「ああ、言ってませんでしたね」
提督「貴女は涼風と同室になってもらいます」
満潮「へっ!?」
満潮「な、なんでよ!!艦娘寮は十分空いてたわよ!?」
提督「現時点では伊良湖を除いて二人しか艦娘が居ませんからね。一部屋一人ずつというのは寂しいでしょう」
満潮「……別に、そんなことないわよ。佐世保でも私は一人部屋だったし」
提督「……」
涼風「マンチョウは、あたいと一緒の部屋は嫌なのかい?」
満潮「うっ……べ、別にそんなワケじゃないけど……」
涼風「あたいはマンチョウと一緒の部屋がいいけどなー!」
満潮「……っ」
提督「涼風もこう言ってることです。相部屋になってやってくれませんか」
提督「佐世保とは違う環境で過ごすのも、悪くはないと思いますよ」
満潮「……」
満潮「……もういいわよ。めんどくさい」
涼風「おう、やったぜ!」
満潮「……ったく」
提督「決まりですね」
提督「さあ、今日はもう休みなさい。明日からはきっと忙しくなるでしょうからね」
*****
艦娘の部屋
涼風「マンチョウー、布団は窓側がいいかい?それともドア側?」
満潮「どっちでも。好きにしたら?」
涼風「じゃ、あたいがこっちなー!」
満潮「つーかあんた、いい加減に私の名前覚えなさいよ」
涼風「ん?マンチョウだろ?」
満潮「……」
満潮「電気消すわよ」
涼風「おう」
カチッ
満潮「……」モゾモゾ
涼風「なあマンチョウ」
満潮「みちしおだって言ってんでしょ。……で、なに?」
涼風「明日から頑張ろうな!」
満潮「……ったく、そんなことでわざわざ声をかけるんじゃないわよ」
涼風「あははー、ごめんごめん。やっとあたい以外の艦娘が来てくれて嬉しくてさー」
満潮「伊良湖がいるじゃない」
涼風「伊良湖は食堂にいるだろ?一緒に過ごす艦娘はあんたが始めてなんだ」
涼風「あたいは5日前にここに来たんだけど、大本営から資材が来るのが遅れたせいで次の艦娘を建造し始めたのは昨日でさ」
満潮「……」
涼風「だから、マンチョウが来てくれて嬉しかったよ」
満潮「……そう」
涼風「うん」
満潮「……ねえ」
涼風「んー?」
満潮「あんた、なんでそんなに私に馴れ馴れしくしてくるわけ?」
涼風「?」
満潮「私は所詮派遣艦娘よ。暫くしたら元の鎮守府に戻る」
満潮「それに、あと数日したら新しい艦が完成するわ」
満潮「私と仲良くする必要なんてないじゃない」
満潮「なのに、なんで-―」
涼風「そんなの、友達だからに決まってるだろ?」
満潮「えっ……」
涼風「派遣艦娘なんて関係ねぇ。これから一緒に戦って、一緒にメシを食って、一緒に過ごす」
涼風「あたいらはもう友達だよ。違うかい?」ニカッ
満潮「……」
満潮「……バカ」
涼風「ん?何か言ったかい?」
満潮「なんにも」
涼風「そっか!」
涼風「とにかく、これからよろしくなー」
満潮「……そうね」
満潮「…………よろしく」ボソッ
今回は以上です
別に人類は衰退してません(深海凄艦の跳梁によってある意味衰退してますが)
クサい台詞を堂々と言えるのが涼風の魅力
書き溜めが完全に無くなりました。次の投下は15日以降となると思われます
では、ご読了ありがとうございました
満潮ちゃんにマンチョーしたいです
なかなか乙!
乙!
派遣期間を終えて、一回り大きく成長した満潮が佐世保で頑張る姿もみたいね
なんで初期艦が涼風なんだろ なにかあんのかな
ともかく涼風かわいい
投下します
-―翌日
満潮「んっ……」
満潮(見慣れない天井……ここは……?)
満潮(……そっか、艦娘派遣で佐伯湾に来たんだっけ)
満潮(それにしても……なんか息苦しいわね)
満潮(暑苦しいし、圧迫感があるし、まるで誰かに抱きつかれているような-―)チラッ
涼風「くかー……」ギュー
満潮「」
満潮(What Happened!?)
満潮(……っと、思わず金剛みたいになってしまったわ)
満潮(状況を整理しましょう。こいつはここの秘書艦の涼風。私と同室の艦娘)
満潮(で、なんでこいつは私に抱きついて寝ているのよっ!?布団は別々でしょうが!!)
満潮(どうりで息苦しいわけだわ……というか真面目に暑い)
満潮「んしょ……」グイグイ
涼風「ぐー……」zzz
モソモソ
満潮「ふぅ……脱出完了」
満潮「ったく、なんで朝っぱらから汗をかかなくちゃいけないのよ……」
満潮(ちょ、こいつの格好……スカート脱いでセーラー服も捲り挙げて……だらしないにも程があるでしょ)
満潮(昨夜は気にしなかったけど、そもそも寝巻ですらないし……)
満潮(仮にも女子なんだから少しは恥じらいを覚えなさいっての)
満潮「……」
涼風「むにゃ……もう食えねぇぞぉ……」zzz
満潮(いくらなんでもこの格好じゃ……)
満潮「……ったく」
バサッ
涼風「すぴー……」zzz
満潮「ほんっと、世話が焼ける秘書艦だこと!」フン
*****
いい忘れていました
今回の投下分には、名前だけとはいえ未実装の艦が登場します。ご了承下さい
-―波止場
満潮「……」
満潮(やっぱり一人は落ち着くわ。こうやって波の音を聞いていると特に)
満潮(……誰かと一緒に寝たのって、いつぶりかしら……)
満潮(あんなに誰かと話したのも久しぶり。まあ、あっちから一方的に絡んできたんだけど)
満潮「……」
満潮(あんな風に誰かと一緒に過ごした後にこうやって一人になると、どうしても思い出してしまう)
満潮(あの大戦の記憶……何度も仲間を喪って一人になったこと、最期に戦ったあの地獄のこと……)
満潮(艦娘として目覚めて暫くは毎晩あの頃の夢を見ていた。当時はまだ荒潮と同室だったっけ)
満潮(一人部屋になって暫くしてようやく悪夢は見なくなったけど、誰かと長く接し続けると嫌でも記憶が脳裏をよぎるのは変わらない)
満潮(だから佐世保では皆と距離を置いていたのに……昨日あいつと会ったせいでまた思い出してしまった)
満潮(白露型駆逐艦十番艦、涼風。二十四駆で一緒だった……と言っても、たった三ヶ月だけど)
満潮(こんなところに来てまでかつての知り合いに会うなんて……本当にツイてないわ)
満潮(よりによって、何で私はこんなところに……)
満潮「はぁ……」
提督「おや、満潮」
満潮「ひゃうっ!?」ビクッ
満潮「し、司令官?……なによ」
提督「外を歩いていたらたまたま見かけましてね。おはようございます」
満潮「わざわざそれを言いに?随分と暇なのね」
提督「朝は好きでしてね。毎朝外に出て歩いているんですよ」
提督「それにしても、満潮も随分と早起きですね。まだ○五三○近くなのに。佐世保でもそうだったのですか?」
満潮「別に。たまたま今日は早く目が覚めただけ」
提督「そうですか」
満潮「……」
提督「どうですか?涼風は」
満潮「は?」
提督「昨日一日彼女と過ごしてみた印象です」
満潮「どうって……馴れ馴れしくて、バカで、図々しくて、人の名前も覚えない……そんなヤツよ」
提督「……」
満潮「ただ……いや、やっぱりなんでもない」
提督「……」ニコニコ
満潮「……なによその反応、うざい!」
提督「おっと失礼」コホン
提督「……涼風は、あれでなかなか寂しがり屋なのですよ」
満潮「……あいつが?」
提督「本来あの子は、この鎮守府の初期艦となる予定ではなかったんです」
満潮「えっ……」
提督「当初の予定では、初期艦は彼女の姉にあたる、五月雨という艦娘でした」
提督「ですが、大本営からこの佐伯湾へと来る途中らとある鎮守府に立ち寄っていた時、ある事件がおきました」
提督「深海凄艦による鎮守府の強襲。貴女も聞いたことがあるのでは?」
満潮「聞いたことあるもなにも、つい最近のことじゃない。まだ設置されて間もない鎮守府で、なおかつ主力部隊が出払っている時に奇襲されたせいで、鎮守府にいた艦娘はほぼ壊滅したっていう……」
提督「はい。貴女がここに来ることとなった艦娘派遣の制度も、実はあのような事件を二度と起こさないなめに新設鎮守府の早期戦力拡充を狙って作られたそうです」
提督「話を戻しましょう。その深海凄艦の強襲があった際、防衛のためにその場にいた五月雨も出撃し……そして、沈んだそうです」
満潮「……っ」
提督「貴女が言った通り、主力部隊が出払っていたので、彼女も鎮守府を守るために出撃せざるをえなかったのでしょう」
提督「そして涼風……あの子は、その鎮守府の艦娘の唯一の生き残りです」
満潮「っ!?」
提督「彼女は、襲撃があったその日に建造されたそうです。そのため、まだ出撃できる練度すらなかったのでしょう。その結果、彼女だけが生き残ってしまった」
提督「その鎮守府には、五月雨以外の姉妹艦……これまた彼女の姉にあたる海風や山風もいたそうです」
提督「彼女たちもまた、五月雨同様鎮守府を守るために戦い、沈んでしまった」
提督「涼風は、艦娘として生まれたその日に姉を喪い、一人ぼっちになってしまったのです」
満潮「……」
提督「その後、沈んでしまった五月雨の代わりとして、涼風が初期艦としてここへとやってきました」
提督「初めて涼風と対面したとき、彼女の快活な言動に面を食らいましたよ。この子は姉を喪ったという実感がまだないのかな、と」
提督「ですが、その日の夜、涼風が僕の私室を訪ねてきてこう言いました」
提督「『一緒に寝てほしい』と」
満潮「……は?」
提督「……そんなドン引きしたような顔しないでくださいよ」
満潮「まさにドン引きしてるんだけど?」
提督「もちろん僕は憲兵の世話にはなりたくないのでそんなことはしませんでしたが、だからといって追い返すわけにもいきませんでしたから、彼女が眠りに落ちるまで付き添っていました」
提督「寝ている彼女は……涙を浮かべてうなされていましたよ」
満潮「……」
提督「涼風は普段はあんな感じですが、内面では一人になることへのトラウマを抱えています」
提督「きっと、貴女のように」
満潮「……ふん」
提督「派遣艦娘が来ると聞いたとき、涼風はとても喜んでいました」
提督「伊良湖がいたとはいえ、事実上涼風は一人ぼっちといえましたからね」
提督「ですから、彼女にとって貴女は特別な存在なのだと思います」
満潮「特別な存在……」
提督「はい。確かにもう暫くすれば新しい艦娘が着任します。ですが、涼風にとって初めての友人は貴女なんです」
提督「貴女の過去……大戦の時の出来事はある程度把握しているつもりです」
提督「貴女にとって、彼女といることは辛い思い出を呼び起こしてしまうことになるかもしれません」
提督「ですが……どうかあの子をよろしくお願いします」ペコリ
満潮「……」
満潮「仮にも司令官が簡単に頭を下げてんじゃないわよ」
満潮「私はただの派遣艦娘。必要以上に派遣先の艦娘と交流を深める義理はないわ」
提督「……」
満潮「けど……」
満潮(……あいつは、出会ってすぐの私を『友達』と呼んだ)
満潮「けど……せいぜい善処はするわ」
提督「……ありがとうございます」
満潮「勘違いしないでよね。別にあいつのためじゃないわ」
満潮「あいつを放っておくと危なっかしいことこの上ないからよ。それに、名前を覚えさせる必要もあるし。それだけなんだから!」
提督「はは、そうですか」ニコニコ
満潮「わ、笑ってんじゃないわよ!うざいのよ!!」
提督「おっと失礼」ニコニコ
満潮「謝る気ないわよね!?だから笑うなっつてってんのよこのクソ司令官ー!!」
今回はここまで
ちょっと満潮がデレるのが早すぎたかなーと自己反省
今回の内容はもう少し短くまとめる予定でしたが予想以上に長引いてしまいました
週一、できればそれ以上のペースの投下ができたらと思います。生暖かく見守っていただければば幸いです
では、ご読了ありがとうございました
乙です
五月雨
ジーンときたよ
乙
投下しま
*****
〇七〇〇、自室
満潮(あいつ、まだ寝てるのかしら。そろそろ起こしとかないとマズいわよね)
満潮「ったく、秘書艦なんだからもっとしっかりしなさいよね」
ガチャ
涼風「おっすマンチョウ、おはようさん!!」
満潮「起きてたの……って、だから満潮だっての」
涼風「おう、今起きた!……ん、そうだったっけ?」
満潮「ったく……秘書艦の仕事はいいわけ?」
涼風「んー、とりえーずメシを食ってから行くよ。マンチョウはメシはまだかい?」
満潮「……まだだけど?」
涼風「んじゃ、一緒に行こうぜー」
満潮「えっ?」
涼風「ん、あたいを待っててくれたんじゃねぇのかい?」
満潮「ばっ、バッカじゃないの?そんなわけないでしょうが」アセアセ
満潮「ま、まぁ、私もお腹が減ってきたところだし、ついていってあげるわ」
涼風「おう、じゃあしゅっぱーつ!」
*****
〇七四〇、執務室
ガチャ
涼風「提督、ちわーっす!」
提督「おはようございます。今日は早いですね」
涼風「おう、気合いへぇーってるからな!」
満潮「……うそ、これで早いの?佐世保だと秘書艦は〇六〇〇までに執務室に行くみたいだけど」
提督「そうなのですか。ここは着任当時こそは忙しかったですが、まだ艦娘も資源も装備も少ないですし、そちらの面でやることはあまり多くありませんから」
提督「それに、涼風はまだ秘書艦の仕事を勉強している最中ですので、執務は僕一人でこなしています。無理に早起きする必要もないでしょう」
満潮「……そう」
満潮(秘書艦にも勉強があるのね……)
涼風「マンチョウはもちろん秘書艦の仕事もカンペキにこなせるんだよな!」
満潮「はっ?えっと、あの、その……」
涼風「なんつったって派遣艦娘だもんな!あたい物覚えがわりぃからさー、今度教えてくれよ」
満潮「……そ、そうね。考えとくわ」
満潮(なにか言い訳考えておかなくちゃ……)
涼風「んで提督ぅ、今日は何をするんだ?」
提督「昨日満潮が来てくれたことですし、本日は出撃をしようと思います」
涼風「出撃かい?いよっ、待ってましたぁ!」
提督「近頃は深海凄艦の動きが益々活性化してきており、今までなかったことに、この鎮守府近海にも姿を見せ始めています」
提督「人々の安全を守るのが我々の役目。沿岸部の人々へと被害が出る前に、少しでも奴等の力を削いでおかなくては」
涼風「よぉし、なら早速――」
満潮「待った」
提督「どうかしましたか?満潮」
満潮「勝手に話が進んでいるけど、出撃なんてまだ出来ないと思うわよ」
満潮「あんた、まだ出撃経験がないんでしょ?海に出たことは?」
涼風「えっと……航行訓練なら一度だけ」
満潮「砲雷撃戦の訓練はなし、と。そんな状態で出撃したところで沈むだけよ。まずは最低限の動きを出来るようにならないと」
満潮「実戦は一番の経験とはいえ、無謀な出撃を繰り返すより、しっかり訓練をして本番に挑んだ方が効率がいいはずよ。こんなこと常識だけれど」
涼風「……おお、マンチョウが初めて派遣艦娘っぽい事を!」
満潮「あんたは私のことをなんだと思ってたの」
提督「確かに、満潮の言う通りでしょう。今日は貴女方の訓練に徹するとします。では満潮、嚮導艦を任せてもいいでしょうか」
満潮「了解。ま、二隻しかいないのを艦隊と呼べるかは微妙だけど」
涼風「ん……話は終わったのかい?」
満潮「ええ。それじゃあさっさと始めるわよ。ビシビシしごいてあげるから」
涼風「がってんだ!」
*****
鎮守府湾内
満潮「まずは航行訓練から行くわよ……って、大丈夫なのあんた」
涼風「お、おう。でも、まだ海面を浮くのは慣れてないっていうか……」ユラユラ
満潮「最初はそんなもんよ。昔は浮きっぱなしだったんだし、いずれ慣れるわ」
涼風「……よし、いけるよ!」
満潮「じゃ、始めましょう。陣形は……二隻なら単縦陣一択よね」
満潮「行くわよ……両舷前進原速」
涼風「おうっ」
スイーッ
満潮(……うん、佐世保から届いた艤装の調子は上々)
満潮「ま、これは普通よね。次、横一列」
涼風「えっと……こう……?」
満潮「加速するわよ。両舷前進第一戦速」
涼風「加速加速……っと」
満潮「次、第二戦速!」スーッ
涼風「んんっ!?」
満潮「あんた、遅れてるわよ!」
涼風「ちょ、待ってくれよ、早すぎ――あっ」ズルッ
バシャーン
満潮「……っ!?涼風!!」
涼風「いったた……海面でも勢いよくこけると痛ぇんだな……」ヨロヨロ
満潮「ふぅ、無事ね。……しっかし、思った通り基礎がなってないみたいね」
涼風「へへ……一人で航行訓練したときはゆっくりだったからさー」
満潮「まだ二回目の訓練なら仕方ない……と言いたいけれど、あんたは少しでも早く自由に動けるようになっておかないと」
満潮「今は私が嚮導艦をしてるけど、新しい艦娘が来たらあんたがこの役目をやるのよ」
涼風「あたいが!?なんでマンチョウじゃねぇんだよー」
満潮「当たり前でしょ、私はあくまでも派遣艦娘なんだから、必要以上に関わりはしないわ。軽巡が来ればそいつに任せられるんだけどね」
涼風「うーっ……分かった。出切るだけ早く動き回れるようになるよ」
満潮「それじゃ、さっさと再開するわよ。時間は有限なんだから」
涼風「合点!」
*****
一三四〇
涼風「くーっ、疲れたーっ!」
満潮「ふん、もうバテたの?だらしないわね」
満潮(……とはいえ、私もこんなにぶっ続けで訓練したのは久しぶりだし、かなり体力は消耗している)
満潮(一応佐世保で経験を積んできた私についてこれるなんて、こいつ体力だけは相当なものね……)
満潮「じゃあ、さっきまでの動きをもう一度――」
涼風「えぇー、まだやるのかい?もう昼だし休憩しようよー」
満潮「は?なにを甘えて――」
ギュルル―…
満潮「……」カァァ
涼風「ん?今のはマンチョウの……」
満潮「し、仕方ないわね、一四一〇には再開するわよ!」
涼風「よっしゃ!じゃあ伊良湖のところに行こうぜ!」
*****
満潮「腹ごしらえもすんだし、始めるわよ」
涼風「おう、まずはさっきの動きをもう一回、だっけ?」
満潮「いや、やっぱり航行訓練は今日のところはもうやめて、砲雷撃戦の訓練をしましょう。こっちも重要だしね」
満潮「まずは砲撃。妖精に標的を設置してもらったから、所定の位置についてその場から撃つの。的も自分も動かないんだなら簡単よね」
満潮「じゃ、まずは私からやるから見てなさい」スッ
満潮「……目標確認、砲撃戦用意」ガチャ
満潮「……撃つわ!」ドンッ!
ガーン・
>>87 訂正
*****
満潮「腹ごしらえもすんだし、始めるわよ」
涼風「おう、まずはさっきの動きをもう一回、だっけ?」
満潮「いや、やっぱり航行訓練は今日のところはもうやめて、砲雷撃戦の訓練をしましょう。こっちも重要だしね」
満潮「まずは砲撃。妖精に標的を設置してもらったから、所定の位置についてその場から撃つの。的も自分も動かないんだなら簡単よね」
満潮「じゃ、最初に私からやるから見てなさい」スッ
満潮「……目標確認、砲撃戦用意」ガチャ
満潮「……撃つわ!」ドンッ!
ガーン!!
満潮「……初弾命中?」
涼風「おおっ、すげぇなぁ!初弾の命中率って一割以下なんだっけ?さすがマンチョウだ!!」
満潮「そ、そうでしょ?」
満潮(運が良かっただけだけど)
満潮「残りの弾は夾叉数発の後にもう片方の標的に直撃、と……まあまあね。次はあんたよ」
涼風「おうっ、涼風の本気、見せたげるぅ!」スイーッ
満潮(さっきから思ってたけど、あいつの艤装随分と変わってるわよね)
満潮(魚雷管は……まあ雪風や島風と似たようなものだろうけど、主砲が二丁拳銃タイプだなんて。あいつは改白露型とも呼ばれているみたいだし、その影響かしら)
涼風「……よし!」スチャ
満潮(両手にそれぞれ主砲を持っていると反動が凄そうだけど、そこらへんをどう修正するかが問題でしょうね)
涼風「いっけぇーっ」!
ドンドンドン!
バシャーン!
満潮「」
満潮「ちょっ!連射しすぎ――」
涼風「てやんでーいっ!!」
ドンドンドンドンドンドン!!
バシャバシャーン!!
満潮(水柱が上がりまくって標的がどうなっているか見えないっ……!)
満潮(それに案の定反動でどんどん後ろに下がってきてるし……こいつ考えなさすぎ!!)
涼風「喰ーらえーい!」カチッ
涼風「……あれ?」
満潮「弾切れよ、バカ。的一つに全弾使うなんて普通あり得ないわよ……」
満潮「標的は脆いんだからとっくに砕け散って……あれ?」
標的「」
満潮「当たって……ない……?」
涼風「あれー?やっぱりマンチョウみたいにはいかないなー」
満潮「いやいやいや!命中弾無しって嘘でしょ!?あんだけ乱射してたのに!?」
満潮「実戦で敵一隻に弾切れなんてしてたらあっさり沈んじゃうし、敵味方ともに動くんだから命中率はもっと下がるのよ?分かってんの!?」
涼風「ん?」キョトン
満潮(全然分かってない……)イラッ
満潮「はぁ……呆れた。こんなヤツと一緒に戦わないといけないだなんて……ホンット面倒だわ」
涼風「うう……なんかよく分からないけど、ごめんよマンチョウ……」シュン
満潮「……ったく、謝ったり落ち込んだりする暇があったらとにかく特訓するわよ」
満潮「弾薬は後で補充すればいいとして、次は魚雷戦の練習ね。残った標的に向かって、さっきみたいに一人ずつ順番に――」
――――――ッ!!
涼風「……っ!?な、なんだ!?」
満潮(このサイレン……敵襲や緊急事態の時のもの!?)
満潮「……まさか!?」
短いですが今回は以上です
陽炎抜錨を参考にしたいけど難しい
次回は戦闘シーンがありますが、個人的に台本形式じゃ書きにくいため地の文が入るかもしれません。ご了承下さい
では、閲覧ありがとうございました
乙
ドジっ子属性がうつったか
涼風は五月雨に守られてるんだろうな
ドジっ子的にも
年度末のバタバタであまり書けませんでしたが投下します
提督『鎮守府正面海域にて深海凄艦の姿を確認。駆逐級が二体、鎮守府方面に進行中』
提督『涼風、満潮の二名は直ちに訓練を中止。燃料・弾薬を補給後、迎撃に当たってください』
撤退『なお、まだ無線機の配備が済んでいないため、現場での指示はできません。なので、進退は各々のその場での判断に任せます』
満潮「やっぱり……」
涼風「ま、マンチョウ……これって」
満潮「言われた通りよ。ったく、なんてタイミングの悪い……!」
満潮「グダグダしている暇はないわ。早く補給して出撃しないと!」
涼風「お、おう!」
*****
鎮守府正面海域
満潮「……」
満潮(情報によれば敵は駆逐級二体。ノーマルだったら油断しない限り大丈夫だと思うけど……)チラ
涼風「……」
満潮(コイツはまだ航行が精一杯。砲撃はろくにできないし、魚雷は恐らく撃ったことすらない)
満潮(実質戦力は私だけ。私がしっかりしないと……)
満潮「あんた、私の足だけは引っ張らないでよね!砲雷撃には期待してないから、相手の砲撃を受けずに、出来るだけ相手を錯乱させるように動いて!」
涼風「が、合点……」
満潮「……?」
「――――ッ!」
満潮「……見つけた!」
イ級「――――ッ!!」
満潮(エリートタイプでもないただのイ級が二匹……いける!)
満潮「行くわよ!一気に片付けるわ!」スチャ
涼風「……」
満潮「……あんた、聞いてるの!?敵は目の前に――」
涼風「あ……あ……」ブルブル
満潮「えっ……」ピタッ
イ級「――――ッ!!」ドン!
満潮「くっ!」サッ
満潮(初弾から夾叉!?偶然だとは思うけど……それより)
満潮「涼風!どうしたの!?」
涼風「だ、ダメだマンチョウ……あたい、動けない…… 」ガクガク
満潮「――っ!?」
ドン!
満潮「っ!危ない!」グイッ
涼風「あうっ」
ザバーン!
満潮(いくら相手が駆逐級でも、こっちが棒立ちになってたらいい的になっちゃう……!)
満潮「動けないって、どういうことよ!訓練の時はあんなに元気だったじゃない!」
涼風「そ、そうだけど……」
満潮(……まさか)
満潮(艦娘の中にはトラウマを抱えている娘もいる。大戦の記憶によるものや、深海凄艦の脅威を目の当たりにし、恐怖によって動けなくなるとか)
満潮(コイツは前の鎮守府で出撃できずに姉たちを喪って一人になっている。きっとそれがトラウマに……!)
イ級「――――ッ!」
涼風「どうしよう……どうしようマンチョウ……」
満潮「……」
満潮「あんたは下がってなさい」
涼風「え……」
満潮「逃げろっつってんの。戦場で棒立ちになられたって邪魔なだけよ」
涼風「でも、それじゃあ……」
満潮「私は佐世保で経験を積んできた派遣艦娘よ?たかがイ級二匹程度、私一人で十分よ」
満潮「あんたは後ろで私の戦い方でも見てなさい」スッ
涼風「……っ」
イ級「――――ッ!」
満潮「さて……待たせたわね。遊んであげるわ、深海凄艦」
イ級「――――ッ!!」
満潮「あら、怒ってるの?こっちの言葉は通じるのかしら」
イ級「――――ッ!!」ドン!
満潮「遅いのよ!」バッ
ザバーン!
満潮「両舷前進全速!砲撃戦用意……撃ち方始め!」
ドン!
イ級「――ッ……」
ドカーン!
涼風「い、一撃……?」
満潮(駆逐艦の火力でも、同じ駆逐級の装甲くらいなら直撃弾一撃で貫ける)
満潮「残りは一匹、このまま仕留めるわ!」
イ級「――――ッ!!」ドン!
満潮「くっ!」サッ
ザバーン!
満潮(予想以上に砲撃の精度が高い。ただのはぐれだと思ってたけど、違うのかしら)
満潮(……いや、そんなことは今はどうでもいい)
満潮「……いくわよ」
ザアアアッ!
イ級「――ッ!」
ドン! ドン!
満潮「……っ!」
涼風(自分から深海凄艦の方へ突っ込んでいってる……!?)
涼風(距離が近づくにつれて敵の砲撃も当たりやすくなるはずなのに、マンチョウは全部避けてる……)
イ級「――ッ!」ドン!
ザバーン!
満潮(この程度で怖じ気づくようじゃ駆逐艦なんてやってられないっての)
満潮(……よし、この距離なら狙える……イ級の口内の主砲を!)
満潮「……撃てっ!」
ドン!
イ級「――――ッ!?」
カッ!
ドォオオオン!!
満潮「ふん、手応えのない子」
涼風「す、すげぇ……」
満潮「……流れ弾は無いみたいね」
涼風「今の、何があったんだ?」
満潮「大したことじゃないわ。敵が砲撃する直前に、砲口にこっちの弾をぶちこんだのよ。それで体内で誘爆させたってわけ」
満潮「ある程度近づかないと狙えないっていうリスクはあるし、ムダに図体のでかい駆逐級くらいにしか有効じゃないんだけどね」
涼風「ほえー……よくわかんねぇけど、やっぱりマンチョウってすげぇんだなぁ」
満潮「……それより、あんたは大丈夫なの?」
涼風「あっ……う、うん、マンチョウが倒してくれたから震えは止まったよ」
満潮「そう……でも、今回は私一人でも済んだけど、これからはあんたも戦っていかなくちゃならないのよ」
満潮「戦えなくなった私たち艦娘に価値はない。一刻も早く戦えるようになることね」
涼風「……分かった」
満潮(動けない原因は分かってるってことは……言う必要はないかしら。これに関しては私にどうこう出来る問題じゃないし)
満潮「さあ、司令官が報告を待っているはずよ、帰投しましょ――」
「――――ッ」
満潮「っ!?」バッ
ドォオオオン!!
涼風「えっ……」
満潮「がっ……!」
ザバーン!
涼風「ま、マンチョウっ!!」
満潮「ぐ……あっ……」ヨロッ
満潮(この損傷……ギリギリ回避して直撃は免れたハズなのに、衝撃だけで中破!?)
満潮(いや、それよりも一体どこから……?明らかに駆逐級の射程じゃない)ググッ
「…………」
満潮「……見つけ、た」
涼風「あ、あいつは……」
満潮(あの人形のシルエット、遠目でも分かる。黒の長髪と、それに相反する病的な白い肌。砲のついた馬鹿デカい盾)
満潮(私たちに駆逐艦にとって空母ヲ級に並ぶ最悪の敵)
満潮「戦艦、ル級っ……」
ル級「――ァアアアアアッ!!」
戦闘全然書けない辛い
今回は以上です。閲覧ありがとうございました
次の投下分でとりあえず一つの区切りがつく……はずです
乙
ブクマブクマ
乙
今週はちょっと厳しいかもです
遅筆で申し訳ありません
続きはよ
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