凛「この人痴漢です!」花陽「た、多分…」 (25)
ー電車・土曜日早朝ー
ガタンゴトン
男「はぁ… 今日も朝からバイトか」
男「何するにも金が必要だし、大学生活って思ったより楽じゃねえんだよな」スマホポチポチ
男「あ、今日夕方からサークルの飲み会じゃん」
男「バイト終わったらATMで金降ろさなきゃなー…」
男(ーー俺は某大学の二年生)
男(想像してたキャンパスライフには程遠いが、まあそれなりに楽しい日々を過ごしてる)
男(最近はサークル内の気になる女の子と、少しだけ良い雰囲気にもなったりしちゃってるし)
ーーーそう、順風満帆な日々だった。…この日の《ある出来事》を迎えるまではーーー
男「あれ、あの二人…?」
凛「今日は久々に一日お休みだねー、かよちん」
花陽「うん!動物園楽しみだねぇ」
凛「μ'sのみんなでお出かけも楽しいけど、やっぱりかよちんと二人でデートするのも楽しみにゃー!」
花陽「デ、デートォ!?////」
凛「かよちん顔真っ赤~!タコさんみたいにゃー」
男「あれって、有名なスクールアイドルの子だよな…ネットで見たことある」
男「たまたま同じ車両だなんて、俺今日ツイてるかもな」ウヒヒ
男「でも土曜だってのに混んでるな… この距離だと二人とも頭しか見えねえ」
男「まあいいか。バイト先まで15分、音楽聞きながら暇つぶしとこう」イヤホングイッ
ーガタンゴトン
男(今日の飲み会こそあの子持ち帰れるかな…)
ーガタンゴトン
花陽「… 」
凛「…かよちん?具合悪いの?」
花陽「う、うん…大丈夫…」
ーガタンゴトン
ー15分後
プシュー
ノリカエノゴアンナイデス、サンバンセンガ…
ワイワイガヤガヤ
男「おっ、着いたか…降りよう」
男「さあて今日もバイトでしっかり稼がなきゃな…」スタスタ
?「…ちょ、ちょっと待って!」
男「時間に余裕あるからコンビニで飯買っていこう」スタスタ
ワイワイガヤガヤ…
?「…だから待てって…」
男(…? さっきからなんか後ろがうるさいな)フリムキ
凛・花陽「…!」
男「ってあれ、君達はさっきのスクールアイドルの…」
男(どうしよう、これがいわゆる逆ナンというやつか!?にしてはやたら顔が険し…)
凛 「…… 」スゥーッ
凛「みなさん!!この人、痴漢です!」
男「…… 」
男「…ハァ!?」
凛「しらばっくれたら駄目だよ!あなたがかよちんのお尻触るの、凛見てたんだから!」
花陽「う、うん… 」
男(…まさかこれが、痴漢冤罪ってやつか!?)
男「ちょ、ちょっと待ってくれ、俺はやってない!」
凛「凛たちはお金なんかいらないから!かよちんに謝って!今すぐ!ここで!!」
男(駄目だ話にならねえ!)
男(どうすりゃいいんだこれ…ギャラリーも出来上がってるし…)
男(確かネットでは痴漢冤罪はほとんど勝ち目がないからとにかく逃げろって書いてたよな)
男(でもニュースじゃ痴漢扱いされて逃げた男が結局逮捕されてた気がするし)
男(ギャラリーの反応も…)チラッ
ーーー
「えーやだ痴漢?」
「あんな気弱そうな子を触るとかサイテー…」
「てか駅員とか呼んだ方がよくない?」
「男取り押さえなくていいのー?」
ーーー
男(ど、どうすれば…)
駅員「お客様!どうされましたか!?」
男「駅員早ッ!?」
凛「駅員さん!この人がかよちんを… 私のお友達を痴漢したの!」
男「ちがう、俺はやってない…!」
凛「しらばっくれないでよ!凛見たんだからね!ねえかよちん!」
花陽「わ…私は顔見てなくて…背中だったから…ええと…」グスン ヒグッ
ーーー
「あー、被害者の子泣き出しちゃったじゃん」
「かわいそー」
「待って、あの子ってスクールアイドルの花陽ちゃんじゃない?」
「じゃあアイツドルオタかよ、キモッ」
ーーー
男(ち、違う…)
男「俺は、俺はやってなくて…」
駅員「…お客様、事務室まで来ていただけますか」
男「… 」
男(…落ち着け、俺はあんなに離れた位置に立ってたんだ)
男(俺がやったって言ってる子も、今は混乱してるだけ…落ち着いて話せばきっと分かってくれるはず)
男(どのみち、今更逃げたところで…)
男「…分かりました」
男(…大丈夫、きっと冤罪だと分かってもらえる…)
書き溜め終わったからここから一気に遅くなる
逃げろカス
駅事務室
男「ーーーだから、俺は真ん中の扉付近に立ってたんです。あの子たちは、もっと遠くの方に立ってて…」
駅員1「はいはい、それはもう何回も聞いたから。まあ警察にも同じ事言ってもらうことになりますけどね」
駅員2「可哀想だからアドバイスしとくけど、どちらにしても早めに認めたほうが楽ですよ」
男「そんな…」
男(…駄目だ)
男(事務室に入ってしばらく経つけど…こいつら、最初から話を聞く気がない)
男(俺が犯人だろうが何だろうが、どうでもいいって面してやがる…)
男(どうなるんだ俺… バイトは、大学は…)
ガチャッ
女駅員「駅員1さん、ちょっと…別室の被害者たちなんですが…」
駅員1「…なるほど、そうなったか」
男(もうやだ…どうなるんだ俺…)
駅員1「男さん、あの女の子たちに感謝したほうがいいですよ」
男「…ハァ?」
駅員1「いやね、あの子達も警察沙汰にしたいわけじゃないし、お金が欲しいわけじゃないって言うんですよ」
駅員1「だから、僕ら同席のもとしっかり謝罪してもらえればそれで構わないと… なので、まだ警察も呼んでません」
男「謝罪って… 俺、やってないんですよ」
駅員1「それならそれでもいいんですけど… その場合は警察を呼ばせてもらいます」
駅員1「そうなれば逮捕と裁判は免れませんよ」
男「… 」
駅員2「普通、こんな温情的措置を取ってくれる子はいませんよ。辛いかもしれませんが、もう謝ってしまいましょう」
男( …裁判って、沢山金がかかるし…大学も辞めることになるのかな…)
男(やってもない前科が着くなんて耐えられない…)
男「…分かりました」
駅員1「ということは…」
男「謝ります…この場で、彼女たちに…」
男(何で… こんな事に…)
*
ーーーそして俺は、駅員同席のもと二人に謝罪した。
男「…今回私は、電車内で無抵抗の被害者女性に対し、痴漢という許されざる行為を計15分に渡り行いました」
花陽「……グスン…ひぐっ……」
凛「………」ムスッ
男「…もう二度とこの様な卑劣な犯罪をしない事を誓うと共に、被害女性へ深く謝罪します…」
凛「…ごめんなさいってちゃんと言ってにゃ」
男「…ごめんなさい、もう二度とこのような行為は行いません」
男(二度とどころか一度もやってねえよ…)
女駅員「…というわけだけど、どう?彼を許せる?」
凛「凛はまだ許してないにゃ!本気で謝ってる感じがしないもん!」
男(…当たり前だろ、やってねーんだからよ)
女駅員「…実際に被害を受けたあなたは?どうかしら?」
花陽「私は…」
あれ?なんでだろう二人ともすっげぇぶん殴りたい
遅すぎやしないか?
ごめんリアルの用事出来てたから放置してた
続きは日付変わる前ぐらいに
花陽「私は…大丈夫です…」
凛「かよちん!我慢しなくたっていいんだよ! あんな変態、心から謝らせてやらなきゃ駄目なんだって!」
花陽「で、でも… グスッ… この人がやったって、私が見たわけじゃないし… ひぐっ、ぅ… 」
凛「でも、凛は見たんだもん…」
花陽「…あの、お時間取らせてすみませんでした…」
男「…いえ、こちらこそすみませんでした」
花陽「も、もう大丈夫です…気持ちも落ち着いたし…私たちも行く場所があるんで」
女駅員「… というわけなので、三人とも帰って頂いて大丈夫ですよ」
駅員1「ただ男さん、次にこういう騒ぎを起こしたら問答無用で警察呼びますからね。そこらへんお願いしますよぉ」
男「はい、すみませんでした」
男(俺は何にもしてねえって言ってんだろ…)
花陽「そういうことだから…行こう凛ちゃん!ねっ、花陽はもう大丈夫だから…」
凛「…かよちんは優しすぎるんだにゃ! でもいいよ、かよちんの可愛さに免じて許してあげる!」ギュッ
花陽「びゃあ! い、いきなり抱き着かないでよ~」
キャッキャ…ワイワイ……
男「… 」
男(これで…これでいいんだよな… あの惨事はあの時ホームにいた奴ら以外誰も知らないんだし…)
男「ああそうだ、バイト先に連絡しなきゃ…」
男「もうとっくにシフト始まってるからな…」
男「あー、やっぱ着信沢山入ってる…」プルルルル
店長『……あ、男か?』
男「すみません店長、詳しくは着いてから話しますけど今から駅を出てーー」
店長『あー、いやいい。とりあえずゆっくりこっち来い、事情は何となく分かってるから』
男「え?あぁはい」
男「…事情知ってるって、どういうことだ?」
やめろ
やめろ
晒されたか
*
ー月曜日 放課後 部室
穂乃果「にしてもびっくりしたよねー!」
ことり「うん、まさか花陽ちゃんがその…変な人にいたずらされちゃった上に」
海未「凛がその犯人を捕まえるだなんて…」
凛「むふふ~!凛ちゃんお手柄だったんだにゃ!」
真姫「ことりの言い方だと何だか語弊があるわね… まあいいわ」
絵里「でも凄いじゃない凛、今や学校中の有名人よ」
絵里「まさか凛が犯人を見付けて問い詰める場面が…」パソコンカチャカチャ
PC『ーーーこの人、痴漢です!』
絵里「動画サイトにアップされてるなんてね!」
凛「本当もーびっくりしたにゃ!かよちんと遊んでる最中も沢山メールが来るんだもん。凛ちゃんすごいね~って!」
にこ「にしてもこの痴漢も運が悪かったわねー」
PC『お、俺はやってない…!』
にこ「こんなにはっきり顔が映ってちゃ、知り合いにもバレバレなんだもん」
絵里「動画をアップした人はμ'sのファンだったらしいわよ。凛が急に叫びだしたから慌てて撮影し始めたって書いてるわ」
にこ「痴漢した相手が悪かったわねー。
花陽みたいな子ならお尻触っても怖がって声出せないって思ったんでしょうけど、μ's相手に痴漢なんて百年早いわよ」
穂乃果「でも警察は呼ばなかったんだよね、何で?」
凛「凛は呼んだ方がいいと思ったんだけど、かよちんのおんじょー?で呼ばないことにしたんだにゃ」
ことり「インターネットの掲示板でも、良心的な対応だと思うって褒められてるよ~!」
海未「にしても…」チラッ
海未「…花陽の精神的ダメージが心配ですね。こんな大事になったからか外に出にくいみたいですし」
ことり「今日も学校お休みだもんね… 一応動画には顔映ってないんだけど…」
真姫「別に大丈夫じゃない? インターネットの話題なんかすぐに移り変わるもの。野次馬感覚の人達だって、その内花陽が痴漢された事も忘れちゃうわよ」
凛「そうそう、かよちんもすぐ元気になるにゃ~! 痴漢野郎のせいで学校来れないなんて、すっごく損だもんね!」
穂乃果「だよね~!」
キャッキャワイワイ
絵里「…ところで希、さっきから一人で何を占ってるの?」
希「あ、えりち… うん、ちょっとな」
絵里「花陽なら大丈夫よ。まあ私たちも火消しのお手伝いした方がいいでしょうけど…」
絵里「あの子、案外強いもの。」
希「…そうやないよ、えりち」
希(そうやなくてうちが心配なのは…)
絵里「あら、このカード… 塔ね。意味は…何だったかしら」
希「…ちょっとよろしくないカードやなぁ」
希(決して思い上がったらあかんよ、
… 凛ちゃん)
書き溜め終わったから続きはまた後で
*
水曜日 大学内にて
男「…」スタスタ
ーーーあっ、あの人動画で出てた…
ーーースクールアイドルに痴漢した人でしょ?気持ち悪いよねー
ーーーえ、何それー あの人変態なの? うっわぁ…
ーーー俺あいつとサークル一緒なんだよね、早くやめてほしいわー
男(…今日もまだ、忘れられてないんだな)
土曜日、バイト先に行った俺を待ち受けていたのは…今と変わらぬ冷たい視線と罵倒、そして解雇宣告だった
店長『男君は仕事ぶりも良かったし、卒業まで続けてほしかったんだけどね… まあ許してくれ。昨日までの給料は振り込むから』
同僚『お前花陽ちゃん痴漢したってマジかよ… ふざけんなよ、俺はりんぱな推しなんだよ!!』ボコォ
後輩『あ、男先輩… あの、すみません… 失礼します…』
何故こんな事になってしまったのか、判明するのは早かった
店長が自身のスマートフォンで見せてくれたのだ。
…俺が痴漢呼ばわりされて事務室に連れて行かれるまでの、一部始終が。
その後、すっかり飲み会に行く気力を失った俺は幹事へと欠席連絡のメッセージを送った
いつまで経っても既読にならないので確認してみたところ、彼からは既にブロックされていた
五人ほど、他のサークルメンバーにも試してみたが、結果は同じだ。
恐らく集団特有のノリで一斉ブロックでもしたのだろう。
片思いしてたあの子にブロックされているかどうかは、確かめる勇気もなかった。
流石にテレビでは放送しなかったためか、ネットに疎い実家の両親にはまだバレてないらしい
しかし、あと数日もすればお節介な従兄弟あたりが動画を見せに来るだろうと思う
俺だって、知人のこんな動画を見付けたら、きっと意気揚々と拡散に励んでいたと思う
そして月曜日、重い身体を引きずって登校した俺を待ち受けていたのは…小さな地獄だった
ごめん眠いわ
続きはまた明日
これが折り返しぐらい
凛を思いっきり殴りたくなってきた
あげ
このSSまとめへのコメント
凛ちゃんは悪くないんだろうけどさぁ・・・なんか凛推しやめかけた。
続きがすごい気になる。
今回だけはまじ凛ゆるせねぇ。相当の報いをあたえろ。
こんなことが現実で実際に起こってるって考えると身が震える
たかがssで凛ゆるせねえとか頭おかしいだろ
頭おかしくなるほど痴漢冤罪ネタは苦手なんだ。
男性車両の設置をいそいでほしい。
ssはss、そこは分けて考えないと楽しめなくなるのは自分よ。
痴漢えん罪怖すぎ 電車では意識的に女性と距離取ってる。
てかそんな事より彼はいつ目覚めるんだ…
早く続きをだね
りんちゃんは、いいとして
リアルの勘違いクズ女は許せない
続きはよ!
はよ起きるんや!
リアルでもまじでこんな感じで人生詰むしな
頼むから続きを書いてくれ〜!
つづきはよ