???「鹿目まどか。あなたは、自分の人生が貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」
まどか「わ、私は・・大切、だよ。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だよ」
???「本当に?」
まどか「本当だよ。嘘なわけないよ」
???「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。
さもなければ、全てを失うことになる」
まどか「え?」
???「あなたは、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」
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―夕方 街中―
右京「おや、 『今夜は真っ直ぐ家に帰る』と、昼間言っていませんでしたか?」
カイト「あー、悦子の仕事でトラブルがあったみたいで、飯作る必要がなくなっちゃったんですよね」
右京「そうでしたか。キャビンアテンダントの仕事も大変なのでしょう」
~~~
カイト「あれ? 杉下さん、花の里はこっちですよ」
右京「……」
カイト「杉下さーん」
右京「静かにしてくれませんか。聞こえません」
カイト「聞こえない・・って、何が?」
右京「聞こえませんか? 『助けて、まどか』と訴える声が」
カイト「助けて? いや、全然聞こえませんけど。ていうか『まどか』って誰?」
右京「君の耳も案外大した事はありませんねぇ」
カイト「空耳じゃないんですか? だって杉下さん以外、誰も反応してませんよ」
右京「・・確かに。見て見ぬ振りをしているというわけでもなさそうです」
カイト「ね。きっと気のせいですよ……って何処行くんですか」
右京「決まっているじゃありませんか。『助けて』と言っている以上、警察官が放っておくわけにはいきません」
カイト「だからそれは気のせいって」
右京「ああ、君は無理についてこなくても構いませんよ。僕の気のせいかもしれないのですからね」
カイト「・・いや、暇ですし行きますよ」
―某所―
???「そいつから離れて」
まどか「ダ、ダメだよ! ひどいことしないで!」
???「あなたには関係無い」
まどか「だってこの子、私を呼んでた・・聞こえたんだもん! 『助けて』って」
ブシュウウウウウウウウウウッ!!
まどか「さやかちゃん!」
さやか「まどか、こっち!」
右京「……声が途絶えました」
カイト「じゃあ早く出ましょう。立入禁止の看板踏み越えちゃってますし、見つかったら面倒な」
……タパタ
カイト「ん?」
パタパタパタパタッ
カイト「足音? ・・あっ」
さやか「だ、誰!?」
まどか「!」ビクッ
右京「僕達は警察の者です。落ち着いてください」
さやか「け・・刑事さん? 刑事さんがどうしてここに?」
カイト「それはこっちの台詞だな。ここ、立入禁止の筈だよ?」
まどか「あの、それは、この子が……」
右京「もしや、貴女が腕に抱いている“それ”が原因ですか?」
カイト「それ? 杉下さん、また何言ってんですか?」
右京「ですから、ピンクの髪の彼女が抱いている“あれ”ですよ」
カイト「・・あの、まさか、今度は幻覚ですか?」
右京「! 君、あれが見えないのですか?」
カイト「見えませんよ。しいて言うなら『あの子何で腕組みしてんだろう?』ですね」
まどか「この子、見えないんですか? そんな・・ちゃんと抱きかかえてる感触あるのに……」
さやか「ちょっと・・マジで何なのよこれ……」
カイト「え? もしかして、見えてないの俺だけ?」
「♪Das sind mir unbekannte Blumen.」
カイト「今・・何か、歌声が聞こえませんでした?」
右京「聞こえました。おそらくドイツ語でしょう」
「♪Ja, sie sind mir auch unbekannt.」
まどか「やだっ、何かいる!」
アントニー「♪♪♪」ゾロゾロゾロゾロ……
カイト「何だこいつら!?」
右京「いつの間にか風景まで歪に……まるで写真を切り貼りして作ったコラージュ作品の様です」
前にも見たことあるけど何なんだこれ
スレタイは変わってるし
(どうしよう───────とか言えない)
アントニー「♪Schneiden wir sie ab.」
右京「この生命体が歌声の主ですか」
カイト「さっきから何歌ってんだよクソッ!」
右京「『この花々は私には分からない花々だ。
そうだ、あの花々は私にも分からない物だ。
じゃあ、切ってしまおう』と言っています」
さやか「分かるの!? てか何でそんなに冷静なのよ!」
アントニー「♪Die Rosen schenken wir unserer Konigin.」
まどか「い、今のは何て言ったんですか!?」
右京「『切って、女王にこの薔薇を捧げよう』」
カイト「あの・・薔薇なんて見当たりませんけど……」
右京「・・“彼ら”にとって得体の知れない僕達を指して『薔薇』と言っているのでしょう」
カイト「その流れでいくと・・“薔薇を切って捧げよう”っていうのは」
右京「『女王』とやらに、僕らの首を差し出す気なのでしょうね」
さやか「何よそれ・・一体何が、どうなってるよ……悪い夢なら覚めてよ!! 何なのよもうっ!!」
???「大丈夫。今から片付けちゃうから」
銃刀法違反で捕まる未来が見える
さやか「す、すごい・・全滅させた……」
???「・・とりあえず、一安心かしら」
右京「景色が元に戻りましたね」
???「・・魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい」
まどか「えっ? ・・あ」
さやか「転校生!」
転校生「……」
???「あら、あなた達の知り合い?」
まどか「同級生の・・暁美ほむらちゃん……」
???「暁美さん・・今回は、あなたに譲ってあげる」
ほむら「私が用があるのは」
???「見逃してあげるって言ってるの。お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」
ほむら「……」スゥッ……
さやか「消えた……」ホッ
???「それじゃあ早速キュゥべえの手当てに移りましょうか」
QB「ありがとうマミ、助かったよ」
マミ「お礼はこの子たちに。私は通りかかっただけだから」
QB「どうもありがとう! 僕の名前はキュゥべえ」
まどか「あなたが、私を呼んだの?」
QB「そうだよ、鹿目まどか。それと美樹さやか」
さやか「何で、あたし達の名前を?」
QB「僕、君達にお願いがあって来たんだ」
まどか「お、お願い?」
QB「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」
まどか「えっ」
さやか「えっ」
右京「はいぃっ?」
カイト(やべぇ付いていけねぇ・・何が見えてんだよこの人達……)
―マミ宅―
カイト「……ぬいぐるみ?」
QB「一応生き物だよ」
カイト「うわ喋った!?」
QB「せっかく君にも見えるようにしてあげたのに」
マミ「驚くのも無理ありません。それにしても、大人で見える方がいたことに驚きです」
右京「どうやら僕は、大変珍しいケースの様ですね」
QB「成人男性が僕を認識するなんてイレギュラーだよ。普通は魔法少女の素質のある少女にしか見えないんだ」
右京「キュゥべえと言いましたか・・不思議な生き物ですねぇ」
カイト(あれ? 何か、この前の幽霊騒動と同じくらい目が輝いてねぇ?)
右京「僕にも、魔法少女について詳しく教えていただけないでしょうか」
カイト(やっぱり首つっこんだ……)
さやか「魔女って何なの? 魔法少女とは違うの?」
QB「“願い”から生まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は“呪い”から生まれた存在なんだ。
魔法少女が“希望”を振りまくように、魔女は“絶望”を蒔き散らす」
QB「しかも、その姿は普通の人間には見えないからタチが悪い。
不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ・・そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」
マミ「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ」
右京「不審死の陰に、そのようなものの存在があったとは」
カイト「にわかには信じがたいですけど・・というか、警察としては信じたくても信じられませんよ」
QB「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さない。だから普通の人間は気付かないんだ」
右京「結界? それは、先程のコラージュ作品のような空間のことでしょうか」
QB「そうだよ。あれに飲み込まれたら、普通は生きて帰れない。君達は本当に運が良かった」
まどか「マミさんは、そんな怖いものと戦っているんですか?」
マミ「そう、命懸けよ。だからあなた達も、願いを叶えるかどうかは慎重に選んだ方がいい」
右京「ひとつ、確認したいのですが」
マミ「何ですか?」
右京「その『あなた達』の中には、僕も含まれますか?」
マミ「えっ?」
カイト「……杉下さん、まさか、“魔法少女になりたい”って思ってます?」
右京「“キュゥべえが見える事”が素質の現れならば、僕にも素質があるという事ですから、念の為確認を」
カイト「杉下さん“少女”じゃないでしょ」
右京「だから『念の為』と前置きしたではありませんか」
QB「右京に素質があるのは紛れも無い事実だ。それも、ハッキリ言って規格外の素質を持っている」
マミ「キュゥべえの言う通り・・契約したなら、私を含めて大抵の魔法少女は足元にも及ばないでしょう」
QB「僕からまどかへのテレパシーをキャッチしたのは、強大な力の片鱗なのかもしれないね」
QB「けれど成人男性との契約は前例が無いし、魔法少女の責務を仕事の片手間にこなせるとは思えない」
カイト「あ、それについては問題なさすぎる。俺達、暇を持て余してますもんね」
右京「ええ。特命係は暇ですから」
さやか「さっきから気になってたんですけど・・“特命係”って何ですか? 聞いたことない」
右京「“頼まれれば何でもする”、それが特命係ですよ」
カイト「別名『警視庁の陸の孤島』、『人材の墓場』・・この人の下に付いた部下は悉く辞めるって噂なんだよ」
さやか「墓場って……じゃあ、甲斐さんも辞めちゃうの?」
カイト「俺は今のとこ辞める気無いかな。俺の前に特命にいたっていう二人も、長いこと勤めてたらしいし」
右京「前任の神戸君は3年ほど、その前の亀山君は10年近くいましたねぇ」
さやか「10年!? 全然『人材の墓場』じゃないじゃん」
カイト「まぁ、要は慣れだよ。よかったら今度遊びにおいでよ。きっと暇だから」
右京「君、いつの間に古参ぶるようになったのですか」
右京「失礼、話が脱線してしまいましたね。魔法少女について、もっと教えてくださいますか?」
マミ「魔法少女については大体お話ししましたし・・後は、実際にその目で見てもらう方がいいかと思います」
右京「巴さんの魔女退治に同行してもよい、ということでしょうか」
マミ「はい。鹿目さんと美樹さんも、魔女との戦いを目で見て確かめてみればいいわ。
その上で、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
カイト「まどかちゃん達ならともかく、俺達が付いて行っちゃって大丈夫?」
マミ「もちろん無理にとは言いません。ですが一応、杉下さんも素質を持つ人間ですから、知る分には構わないかと」
右京「カイト君。君、さり気なく『俺達』と言っていますが、付いてくる気ですね」
カイト「そりゃ行きますよ。だって気になるじゃないですか」
右京「幽霊にあれだけ怯えていた君がですか」
カイト「幽霊と魔女は違うでしょ。実体があるんなら殴ったりも出来るし、大丈夫ですよ」
マミ「あの、決して魔女を甘く見ないでくださいね。使い魔ですら普通の人には危険なんです」
カイト「大丈夫大丈夫。ホントに手を出したりはしないから」
マミ「そうですか? ならいいんですか……」
ひょっとして再放送かな
右京「では連絡手段として、僕の携帯番号を教えますね。巴さんの番号も教えていただけますか?」
マミ「はい。えっと、赤外線で送っていいですか?」
右京「構いませんよ」
さやか「あっ、あたしもマミさんのメルアド知りたい! 教えてもらえます?」
マミ「! もちろんよ。・・じゃあ、鹿目さんのアドレスも、聞いていい?」
まどか「はい!」
マミ(後輩とアドレス交換なんて、初めて……嬉しいな)
右京「ああ、鹿目さんにひとつ、伺いたいことがあるのですが」
まどか「はい、何ですか?」
右京「貴女の同級生で、魔法少女の暁美ほむらさんとは、どの様な方なのでしょう」
まどか「ほむらちゃんは心臓の病気で、ずっと学校をお休みしてたらしいんですけど、
今日から私とさやかちゃんのクラスに入ったんです」
まどか「さっき、私がキュゥべえに呼ばれてあそこに行ったら・・
ほむらちゃん、キュゥべえにひどいことをしようとしてたみたいなんです」
カイト「何があったの?」
まどか「・・ピストルで、キュゥべえを撃とうとしてたんです」
カイト「ピストルだって?」
まどか「やめてって言っても聞いてくれなくて・・
一緒にいたさやかちゃんが消火器を見つけて、その煙で目隠しをしてくれて、その隙に逃げたんです」
右京「その直後に僕達と出会ったというわけですね」
さやか「あいつ、学校でもまどかに変なこと言ったんだよ。訳わかんない」
右京「差し支えなければ、どの様な事を言われたのか教えてくださいますか?」
まどか「えぇと・・“自分の人生が貴くて、家族や友達が大事だと思う?”とか、
“今と違う自分になろうと思わないで、じゃないと全てを失うことになる”とかって、言われました」
右京「まるで、鹿目さんの未来が見えているかのようですねぇ」
カイト「編入初日にそれって・・その子、中二病とかいうやつじゃないよね?」
さやか「そう思いますよね! 変なこと言ってキャラ立てすぎだって、あたしも思ったんです。でも……」
マミ「少なくとも、キャラ立ての為のパフォーマンスなんかじゃないでしょうね。
そんな理由で魔法少女がキュゥべえを襲うなんて考えられない」
まどか「ほむらちゃんはどうして、キュゥべえを襲ったりなんかしたんだろう」
QB「おそらく、新しい魔法少女の誕生を阻止しようとしたんじゃないかな」
さやか「え、何で? 同じ敵と戦うんなら、仲間が増えた方がいいんじゃないの?」
マミ「それがむしろ、競争になることの方が多いのよね。魔女を倒せば、それなりの見返りがあるから。
だから時と場合によっては手柄の取り合いになって、ぶつかることもあるのよ」
カイト「シビアな面があるんだな」
さやか「つまりアイツは、キュゥべえがまどかに声かけるって最初から目星を付けてて、
それで朝からあんなに絡んできたってわけ?」
マミ「多分、そういうことでしょうね」
右京「……」
―翌日 魔法少女体験コース一日目―
マミ「基本的に、魔女探しは足頼みよ。こうしてソウルジェムが捉える魔女の気配を辿っていくわけ」
カイト「その、ソウルジェムだっけ、さっきより光が強くなってない?」
マミ「魔女が発する魔力の波動が強くなっている証拠です。昨日の魔女が、きっと近くにいます」
右京「魔力で魔女を識別する事ができるのですか?」
マミ「魔力にも微妙な個体差があるんです」
右京「では、魔力から相手の力量を推し量るといった事も可能でしょうか?」
マミ「大体は。けれど魔法少女も魔女も、どんな能力を持っているか分かりませんから、それだけで断定はできません」
まどか「能力?」
QB「魔法少女は願いの内容によって、それぞれ固有の特殊能力を得るんだ。
“病気を治したい”と願えば治癒能力を、“人に話を聞いて欲しい”と願えば、相手を惑わす幻覚能力って具合にね」
まどか「すごいなぁ。じゃあ、マミさんも特別な能力があるんですか?」
マミ「・・私の場合は、リボンかしら」
さやか「リボンですか? 何かかわいい」
QB「見た目はね。だけどそれは、マミが“命を繋ぎ止めたい”と強く願ったことの現われさ」
まどか「えっ・・命?」
マミ「・・昔、私と、私の両親が乗っていた車が事故を起こしてね。
『私、死んじゃうのかな』って思った時に、キュゥべえが目の前に現れたの」
右京(この歳で一人暮らしだったのは、そういう事情があったのですね)
さやか「あっ・・ごめんなさい、あたし、のん気に『かわいい』だなんて」
マミ「美樹さんは悪くないわ。悪いのはキュゥべえよ。言わなくたっていいのに喋っちゃうだなんて」
QB「詳しく説明した方がいいかと思ったんだけど、余計なお世話みたいだったね」
マミ「キュゥべえはそういうところでデリカシーに・・」
マミ「! 魔女の気配が更に強くなった・・間違いない、ここにいるわ」
カイト「廃ビルか。確かに何か出そうな雰囲気……えっ?」
さやか「ひ、人が!? まさか飛び降り」
女「……」フラッ
まどか「きゃっ!?」
マミ「任せて!」バッ!
シュルルルル……ガシッ!!
さやか「やった! マミさんナイスキャッチ!」
マミ「・・魔女の口づけ。やっぱりね」
右京「魔女の口づけ?」
マミ「彼女の首筋を見てください。紋章のような物があるのが分かりますか?
魔女に目をつけられた人間に刻まれ、その人を内側から蝕む、呪いの印です」
まどか「この人、大丈夫なんですか?」
マミ「気絶からさめない限りは大丈夫よ。早く先へ進んで、魔女を倒さないと」
―魔女ゲルトルートの結界 最深部―
カイト「あれが・・魔女? 想像してたのと、かすりもしないんだけど……」
QB「魔女というのはあくまで呼び名さ。魔法少女と対の存在だから、呼び名も似ているだけだ」
さやか「うわ、グロっ……」
まどか「あんなのと戦うんですか……?」
マミ「大丈夫。負けるもんですか」
~~~
マミ「惜しかったわね……
ティロ・フィナーレ!!
ちょうど2年前か
これも茶番とかしたね
突然犯罪者とかしたカイト
う
このSSまとめへのコメント
はよ続き
続きは?