兄「オレとは違って綺麗な部屋だなあ…」

兄「…」

妙に大きな独り言が真っ白な壁に跳ね返って響く

兄「二日前にはここに居たんだもんな」


兄「お別れも言わずにどうして…」

走馬灯って自分が死ぬ時に見るはずじゃ……

それは言っちゃならねえよ

ss期待

走馬灯がなにかわかってんのか？


別になにもおかしかない

一般的に死に際に対して以外でほぼ使わない比喩

間違いだとは言わないが違和感はパネェ

母「兄ー、居るの？入るわよ」

兄「…母さん」

母「あんたー…1時間もここに居て何も片付いてないじゃないの」

兄「ああ、ごめん母さん」

母「あんたがいくら泣いたって悔やんだって、死んじゃった人は帰ってこないの」

兄「…」

母「いつまでもメソメソしてたら妹ちゃんも死にきれないよ？」

母「とりあえずお盆に妹ちゃんが安心して帰ってこれるようにせめてお部屋はキレイにしてあげなさい」

母「それはこの家を3年空けてたあんたの役目。いいわね？」

兄「…ああ」

ガチャ

期待してもいいの？

兄「まあ片付けると言っても教科書の処分くらいなんだけどね」

兄「あーあ、参考書もこんなにたくさん…」ガサ

兄「死んだらもとも子もないけど勿体無いな」

兄「ん？これは…」

兄「日記か」

兄「こうなった今、特に見ない理由もない」

兄「罪悪感はあるけど勘弁な」ペラ

兄「…」ペラペラ

兄「何も書かれてない」


兄「まあ、あいつは何をするにも飽きっぽかったし」

兄「日記を毎日つけるなんてできやしないよなー！」


兄「…期待させんなよ、妹のあほ」

兄「さてと、片付け片付け」

兄「ん、これは？」ヒョイ

兄「オレの大学の過去問か」

兄「でもあげたっけかなこんなん」

兄「いや、2010年版…ってことは」


兄「あいつ、オレと同じ大学を受けるつもりだったのか？」

兄「いや、でもそんなこと聞いてないし」

兄「第一あいつは就職活動してたはずだが」

兄「まあいいや、次だ」

兄「あれ？これは…」ガサ


兄「スケジュール帳か」

兄「しかし妹は無駄な買い物しかしないな」

兄「続けられないと予定もないだろうに」

兄「そしてサイズも無駄にでかい」

兄「b4サイズどころじゃねえな」

兄「持ち運びできないだろこれ」ペラペラ

兄「しかしもったいねーな。2011年のならオレが…ん？」


2010年7月19日

やっと１学期が終わった。
待ちに待った夏休み！
今年の夏はお兄ちゃん帰ってくるかな


兄「…なんだと」

(´・ω・`)

(´；ω；`)

(´；ω；`)ｯブワ

なん……だと……

兄「…」

兄「月別の予定の方には何も書いてなかったのに」

兄「スケジュール帳に日記書き込むとか…」

兄「使い方間違ってないか、これ」

兄「まあ女の考えていることはわからないからな」

兄「これもまた良しなのかも知れない」

兄「とりあえず次のページを」ペラ

2010年7月20日

夏休み初日の今日は起きたらおやつが食べたい時間だった。
今日くらいはいいよね
こんなに寝れたのは何時振りだろう。
夏の終わりに焦って宿題やるのは嫌だから
英語のワークにちょっと手を付けた
えらいわたし

2010年7月21日

部活も去年辞めちゃったから
毎日何もすることがない、訳ではない。
わたしは今日から短期のアルバイトで
市営プールの監視員をやっている。
ほとんど座ってるから帰るころには
お尻の感覚がなくて気持ち悪い

2010年7月22日

今日もバイトに行ってきた。
屋内だけのプールだから言う程暑く無いし苦にならない。
仕事こんなに楽なのにお金もらっていいのかなあ
ってお母さんに言ったら、じゃあお母さんにちょうだいって
言われたからとりあえずお皿洗いと肩揉みしてごまかしとた