トレイン「ゲルテナ? 誰だそれ」 (124)
スヴェン「流石エキドナ=パラスを知らない非常識人だけの事はあるな」
トレイン「おい、今馬鹿にしただろ」
イヴ「ワイズ=ゲルテナ……実在する人や物は描かなくて独特の雰囲気の絵を描く人だよ」
スヴェン「ほれ見ろ! 流石イヴ、こんなの知ってて当たり前だよな! 」
イヴ「でもスヴェン、この人マイナーなんだって」
スヴェン「」
トレイン「非常識人はどっちだろうな?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424611284
イヴ「行こうスヴェン」
スヴェン「ああ、じゃ、ゲルテナ展に行ってくるわ」
トレイン「おいおい、せめて誘うとかするだろ」
スヴェン「逆に行きたいか?」
イヴ「トレインの事だから40秒ぐらいで抜け出しそう」
スヴェン「違いねぇ」
トレイン「……ほぅ、そこまで馬鹿にするか」
スヴェン「ん?」
トレイン「いいぜ! 俺も行ってやる! そんで途中で帰らずにお前らと見てやる!」
スヴェン「言ったな? 途中で帰ったらメシ抜きだぜ?」
トレイン「受けて立つ!」
イヴ「メシ抜き確定だね」
スヴェン「そうだな」
トレイン「言ってろ言ってろ!」
このSSはBLACK CAT×ibのクロスSSです
※オリジナル設定あり
※◯◯はそんなこと言わないのに言う
※突っ込みどころ満載
美術館
トレイン「あー……帰りてー……」
イヴ「想定内だね」
スヴェン「ああ」
トレイン「こんなの見て何が楽しいんだよー……分かんねーよ……」フラ〜
イヴ「どっか行っちゃったよ」
スヴェン「まぁ外に出ないだけまだいいだろ」
イヴ「……スヴェン」
スヴェン「なんだ?」
イヴ「トイレ行ってもいいかな?」
スヴェン「おう、いいぞ。 そこら辺で待っとくわ」
イヴ「あ、でもこの美術館狭いからはぐれる事はないと思うから……先に行ってていいよ」
スヴェン「そうか? じゃあ先に行ってるな」
イヴ「うん」
期待
イヴ「……ふぅ」
イヴ「スヴェン、どこに行ったのかな……」
『絵空事の世界』
イヴ「大きな絵だ……凄い」
イヴ「この絵を描くのにどれぐらい時間がかかったんだろう……」
パッ
イヴ「……停電?」
シーン……
イヴ「……あれ? 普通は停電になると騒ぐはずなんだけど……」
イヴ「……とりあえずスヴェン達探そう」
イヴ「スヴェーーン! トレイーーン!」
イヴ「スヴェン達どころか……誰もいない」
イヴ「……みんな外に出たのかな?」
ガチャガチャ
イヴ「出口が開かない……なんで?」
イヴ「みんな……どこに行っちゃったの?」
ポタッ……
イヴ「……さっきの絵……絵の具が垂れてる」
イヴ「……何でだろう?」
パッ
イヴ「!! 地面に文字が……」
お い で イ ヴ
イヴ「……どういうこと? なんで私の名前を知ってるの?」
し た へ お い で よ ひ み つ の ば し ょ お し え て あ げ る
イヴ「……下? 一階の事?」
タッタッタッ……
イヴ「……! 足跡がある……この絵に入るってこと?」
イヴ「どうしよう……誰かの罠だったら……」
イヴ「でも今は何もできないし……行くしかないよね」
ドボンッ!
イヴ「待ってて……スヴェン、トレイン!」
猫の間
トレイン「うーん……」
トレイン「……どこだここ」
回想
トレイン『あーあー……なんで俺あんなにムキになっちゃったんだろ……帰りてー……』
『絵空事の世界』
トレイン『随分とでけー絵だな……こんなの描いてたら途中で飽きるだろ普通……』
パッ
トレイン『おっ、停電』
シーン……
トレイン『……ん?』
トレイン『スヴェーン、姫っちー』
トレイン『……スゲェな、停電になった途端に人がいなくなりやがった。 しかも出口開かねーし』
トレイン『……まさか美術館の奴ら全員が仕掛け人とかじゃないよな』
トレイン『……おーーい! 俺が悪かった! だからもう終わろうぜーー!』
シーン……
トレイン『……ドッキリじゃねぇのか、だったら』
スチャ
トレイン『誰も見てねぇから窓ぐらいいいよな?』
バァン!
キイン!
トレイン『!! 嘘だろ……あの窓、弾を弾きやがった』
トレイン『つーかよく見たらこの窓、鍵かかってねーじゃん、おかしくね?』
ポタッ
トレイン『……ん? あの絵、さっきまでは絵の具は垂れてなかったよな……』
パッ
トレイン『おっ』
い け に え に な れ
トレイン『……生贄?』
し た へ お い で よ ひ み つ の ば し ょ お し え て あ げ る
トレイン『……おいおい、罠かもしんねーのにノコノコと罠にハマりに行くやつがいるかよ』
トレイン『……つっても現状、何もできねーし行くしかねーな……』
タッタッタッ……
トレイン『!! 足跡……それにあの絵……』
トレイン『……成る程ね、じゃ、お言葉に甘えて……』
トレイン『行ってみるか!』ドボン
トレイン「……深く潜ったらこんな部屋に来てしまった」
トレイン「うーん……ハーディスでも窓を破れなかったりみんな消えたり絵に入れたり……」
トレイン「……てことは知らないうちに星の使徒の医者野郎みたいな能力にはまっちまったってことか? けど同じ〈道〉を持ってる奴なんて聞いたことねーし……」
トレイン「……しかしこの部屋、魚の窪みといい、耳や目といい……野良猫の俺にはぴったりだな」
トレイン「そんで通路は左右だけ、か……」
トレイン「……考えてもしょうがねぇ、とりあえずまずは左の部屋に行ってみるか……」ツカツカ
グシャッ
トレイン「!!!!!!?」
トレイン「がっ……はぁ……!」
トレイン「な、なんだ……急に胸が……はぁ……」
トレイン「……」
トレイン「……治ったか」
トレイン「……この黒いバラを踏んだ瞬間に急に……」
トレイン「まさか……な」
ギュー
トレイン「ぐっ!!!」
トレイン「はぁ……お……おい、嘘だろ……つねっただけでもかよ……」
ヒラ……
トレイン「……ん? 紙が……」
『その花 朽ちる時 あなたも朽ち果てる』
トレイン「……忠告が遅いっつーの……」
トレイン「……」
トレイン「……面白ぇ、誰が俺をこんなところに巻き込んだかは知らねぇが……」
トレイン「ここを出た時にはそいつにとびっきりの不吉を届けてやらねーとな!」
今日はここまで
ゲルテナ展は原作とは違う構造になってます
続きは明日の夜10時半に書きます
乙
待ってる
乙を…届けに来たぜ
左の部屋
トレイン「……なんだこの棒人間」
「かくれんぼ する?」
トレイン「……かくれんぼ?」
ササッ
トレイン「ははーん……この8つのスイッチのうちの一つを押せば棒人間の絵がでるって訳か……」
トレイン「……ここだ!」ポチッ
「あたり」
トレイン「はっはっはっ! 天才トレイン様の勘を舐めたら困るな!」
「みつかった けいひん あげる」
トレイン「景品?」
コトッ
トレイン「……なんだこれ、魚の頭?」
トレイン「そういえばさっき魚の窪みがあったな……」
トレイン「……っつーことは右の部屋には魚の尻尾があって……その二つをはめればいい……みたいな感じか?」
トレイン「右の部屋も見てみるか」
右の部屋
トレイン「うげー……なんだこの石像……趣味悪りーな」
トレイン「でもこーゆーの、姫っち喜びそうだなー」
ゴゴゴゴゴ……
トレイン「……ん? 石像が動いた」
ゴゴゴゴゴ……
トレイン「……けどスゲー遅えな」
トレイン「ほいほい、こっちですよー」ダッ
ゴゴゴゴゴ……
トレイン「あっはっはっ! おっせーーー!」
ゴゴゴゴゴ……
トレイン「おいおい、周回遅れだぜ石像さん」
ゴゴゴゴゴ……
ガシャーン!
トレイン「あ、ヒビにつまずいた……ん?」
トレイン「なんだこれ……あ、魚の尻尾」
トレイン「……この二つをあの窪みに入れればいいのか」
トレイン「……そらっ」
ゴゴゴゴゴ……
トレイン「……なんだこの揺れ」
ニャーーーーーー!!
トレイン「……道ができた……っつーことは第一関門クリアってことか?」
トレイン「よっしゃ! このまま行くぜ!」
青の間
イヴ「どこだろここ……青色しかない」
イヴ「……あっ」
イヴ「女の人の絵……笑ってる」
イヴ「……綺麗だなぁ」
イヴ「……あ、赤いバラもある」
イヴ「……ちょっと触ってみよう」
パッ
イヴ「……あれ、また文字が……」
か え せ
イヴ「!!」
イヴ「女の人の絵が……怒ってる!」
イヴ「ご、ごめんなさい! あなたのだとは知らなかったの!」
イヴ「も、元の位置に戻せばいいよね?」コトッ
あ り が と う
イヴ「……良かった、元の笑顔の絵に戻った」
イヴ「あの……聞きたいことがあるんですけど……いいですか?」
イヴ「スヴェン達は……私の仲間達はどこにいるんですか?」
あ な た を ま っ て る ひ と が い る
イヴ「待ってる人……スヴェン達のことですか!?」
シーン……
イヴ「でも……私以外の人がいるってことですよね!?」
イヴ「……ありがとう! 私もう行くね!」ダッ
緑の間
イヴ「すごい、今度は全部緑の部屋だ……」
アリ「やぁ ぼく アリ」
イヴ「!!」
アリ「ぼくの え かっこいい」
イヴ「アリの絵……あの絵?」
アリ「うん」
イヴ「……うん、かっこいい」
アリ「きみを まってる ひとが いる」
イヴ「!! さっきの人と同じ……」
アリ「はやく いった ほうが いい」
イヴ「……うん、ありがとう!」ダッ
イヴ「……」タッタッタッ
ニョキ!
イヴ「!! ……手!?」
手「←」
イヴ「……こっちに行けってこと?」
手「b」
イヴ「道を教えてくれるんだね……ありがとう!」
ニョキ! ニョキ! ニョキ!
イヴ「うわっ……こんなに沢山」
手達「「「b」」」
イヴ「……みんなありがとう!」
イヴ「あの人達のお陰で迷わないで行けた……」
イヴ「この先には何があるんだろう……?」
ガチャッ
唇「はら へった くいもの よこせ」
トレイン「言っとくけどこれはドーナツじゃねーからな!」
イヴ「……トレイン!」
トレイン「おっ、姫っち」
イヴ「良かった……無事で」
トレイン「そう簡単にくたばんねーよ。 それより姫っち、ここがどこだか分かるか?」
イヴ「ううん……周りが暗くなって気づいたら誰もいなくて……そしたら絵に入れるようなったからそこに入ったらこの世界に来たの」
トレイン「……俺と同じだな」
イヴ「トレインも?」
トレイン「ああ」
イヴ「……スヴェンも大丈夫かな……」
トレイン「それなんだけどよ姫っち……俺の予想では俺達はドクターの野郎の時みたいに別の世界に来た可能性があるんだ」
イヴ「別の世界?」
トレイン「ああ、だからこの世界にはスヴェンはいねーかもしれねー……まぁ俺らと同じで巻き込まれた可能性もゼロじゃねーけどな」
唇「おれ の はなし きけ」
トレイン「うっせーな、こっちは大事な話してんだよ」
イヴ「……その唇の人は?」
トレイン「食いもんがほしーんだってよ」
唇「その じゅう よこせ」
トレイン「美味しくねーよ」
唇「じゃあ その バラ くわせろ」
トレイン「食ったら俺が死ぬって」
イヴ「そのバラどうしたの?」
トレイン「ああ、この世界に来たら近くにあってよ……花びらが千切れたり傷ついたりすると俺もダメージを受けるんだ」
イヴ「本当?」
トレイン「こんな状況で嘘はつかねーだろ」
イヴ(そっか……だからあの絵の女の人は怒ったんだ……花びらが千切れて自分が傷つかないために)
唇「くいもん くいもん」
トレイン「わーかったわーかった! ……姫っち、食いもん探しに行くぞ」
イヴ「うん」
トレイン「食いもんどこだー」
ニョキ!
トレイン「うおっ! 手!?」
イヴ「大丈夫だよ、この人は道を教えてくれるから。 さっき会ったの」
トレイン「そうか……で、食いもんはどこにあるんだ?」
ガシッ
トレイン「……おい姫っち、何が教えてくれるだよ。 俺今締めつけられてるんだが」
イヴ「トレイン!! ……お手手さん、どうして……?」
トレイン「しかも力弱えーし……おら!」ガンッ
手「!!」パッ
トレイン「ふぅー……あーあー姫っちに嘘つかれたわ」
イヴ「ち、違うよ! さっきの人達は本当に……ほら、私が近づいても襲ってこないよ!」
トレイン「……実はこの手、スヴェンなんじゃねーの?」
イヴ「!!」
トレイン「冗談だ冗談……まぁこいつらは通路の真ん中通れば大丈夫だろ、行こうぜ」
イヴ「うん……」
イヴ(なんでトレインしか襲わなかったんだろう……)
トレイン「食いもんになりそーなのはこれしかなかった」
イヴ「でもそのリンゴ、木でできてるけどいいの?」
トレイン「ハーディスを食いたいって言ってたやつだぜ? 食べるって」
トレイン「ほらよ」
クッチャクッチャクッチャクッチャ……
唇「うまい これ」
イヴ「本当に食べてる……」
トレイン「だろ?」
ゴゴゴ……
トレイン・イヴ「!!」
唇「おまえ きにいった ここ とおす くち の なか はいっていけ」
トレイン「うげー……入りたくねーよ」
イヴ「そんなこと言ってたら抜けだせないよ」
トレイン「……しょうがねぇ、行くか」
トレイン「すっげーな……口の中でも普通の部屋と変わんねえ」
イヴ「早くスヴェンを探そう!」ダッ
トレイン「お、おい待てよ姫っち! まだスヴェンがここにいるって分かった訳じゃ……」ダッ
タッタッタッ……
トレイン「……しっかしこの横にあるギロチンの絵……わざわざ上に上がるのを一々絵に描く必要があるか?」
トレイン「パラパラ漫画ならぬパラパラ絵画ってところか?」
ゴオオオ!
トレイン「……げっ、マジでギロチンかよ」
イヴ「!! トレイン危ない!」
イヴ(変身・盾!)
ガキイイイン!
イヴ「……間に合った」
トレイン「便利だなー変身」
ゴゴゴゴゴ……
イヴ「ギロチンが上に行った……トレイン大丈夫?」
トレイン「おう……てゆーか姫っち、守ってくれたのはありがたいんだけどよ」
イヴ「何?」
トレイン「俺普通に避けれたわ☆ だって見ろよ、俺ギロチンからめちゃくちゃ離れてるだろ?」
イヴ「……」
トレイン「……あ、ありがとな」
イヴ「……いいよ、無事なら」
トレイン「……けど妙だな。 姫っちが通り過ぎても何も起こんなかったのに俺が通り過ぎた瞬間にギロチンが降ってきた……」
トレイン「さっきの手も俺だけ襲ったり俺にだけバラがあったり……異様に俺だけ狙われ過ぎじゃね?」
イヴ「トレインだからじゃない?」
トレイン「答えになってねーぞ姫っち」
赤の間
スヴェン「……」
スヴェン「……美術館にこんなところあったか?」
回想
スヴェン『イヴの言葉に甘えて先に行ってるか』
『絵空事の世界』
スヴェン『ほー……これまた大層な絵を……』
パッ
スヴェン『……ん? 停電か』
数分後
スヴェン『……まだかよ』
シーン……
スヴェン『……つーか人気もなくなってねーか?』
スヴェン『イヴ! トレイン!』
スヴェン『……誰かいるか!?』
シーン……
スヴェン『……全員いなくなっちまった』
スヴェン『……外に出てみるか』
ガチャガチャ
スヴェン『……開かねぇな』
スヴェン『……それにこの窓、鍵はかかってねーのに開かない……どういう仕組みだ?』
スヴェン『……誰も見てねえよな』
ガゴン!
スヴェン『よっと』
ガキイイン!
スヴェン『お、おいおい……ダイヤモンドも斬るんだぞこれ……ダイヤモンド以上の固さの窓なんて聞いたことねぇぞ』
スヴェン『あちこち見たが……やっぱり誰もいねえ……』
ポタッ
スヴェン『……絵の具が垂れてる? さっきまでは垂れてなかったが……』
パッ
スヴェン『ん?』
つ い で に お じ さ ん も
スヴェン『……なんだついでって』
し た へ お い で よ ひ み つ の ば し ょ お し え て あ げ る
スヴェン『……おい、誰だ! どこにいる!』
シーン……
スヴェン『……大人しく行けってことかよ……』
タッタッタッ……
スヴェン『足跡……それにこの絵……』
スヴェン『……今の俺には行くしか選択肢がねぇみてぇだな……』
ドボン!
スヴェン「……美術館にいる人全員がいなくなったのは……この世界に飲み込まれたからか?」
スヴェン「だとするとどこかにいるはずだ……」
スヴェン「……あいつら無事だといいが……」
スヴェン「とりあえず行動しねぇと始まらねえ……向こうに行ってみるか」
スヴェン「しかしどこもかしこも真っ赤だな……ん?」
『赤い服の女』
スヴェン「ほう……これまた美しい女性を……」
パリーン!
スヴェン「!!!」
赤い服の女「……」
スヴェン「……おいおいマジかよ、生きてる絵とは……」
スヴェン「……だがどんな女性でも優しく接するのが紳士……おいでお嬢さん、俺と一緒に……」
赤い服の女「……」ツカツカ……
スヴェン「……無視かよ、しかも絵から抜けだせてねーし進むの大変そうだな……」
赤い服の女「……」ツカツカ
スヴェン「おいアンタ! 無理すんなよ! 俺が担いでやるぞ!」
赤い服の女「……」ツカツカ
スヴェン「嫌われたか……つーかどこに行こうとしてるんだ?」
赤い服の女「……」ピタッ
スヴェン「……ん?」
赤い服の女「……」
スヴェン「あれは……青いバラ」
赤い服の女「……」プチッ
スヴェン「!!!!!!?」
スヴェン「な、なんだ……この激痛は……くっ……!!」
赤い服の女「……」プチッ……プチッ……
スヴェン「俺と……あのバラが関係してんのか?」
赤い服の女「……」プチッ……プチッ……
スヴェン「早く……なんとかしねーと……」
スヴェン「……支配眼!」
スヴェン「やめろって……」ガシッ
赤い服の女「!!」
スヴェン「言ってんだろーーが!」ブンッ!
ガッシャーン!!
スヴェン「……悪いな、危ない女は紳士道の適応範囲外なんだ」
スヴェン「しかし……どういう事だ? このバラは一体……」
ヒラ……
スヴェン「……紙?」
『その花が朽ちる時 あなたも朽ち果てる』
スヴェン「……成る程ね」
スヴェン「……俺はどうやらゲームに強制参加させられたらしい」
バタン!
イヴ「……スヴェン!」
トレイン「なんだ、あんたもいたのか」
スヴェン「イヴ! トレイン!」
トレイン「……偽物じゃねーよな?」
スヴェン「……つい最近お前が勝手に使ったお金は……」ペラペラ
トレイン「あー……悪かった悪かった、こりゃ本物だな」
イヴ「うん」
イヴ「……スヴェン、そのバラは?」
スヴェン「これか? なんか知らねーがこいつと俺は一心同体みたいなもんでな……バラが傷つくと俺も傷つく」
トレイン「あんたもか……」
スヴェン「『も』?」
トレイン「実は俺も黒いバラを……」
スヴェン「そうか……どうやらこの世界にやって来たやつはみんな持ってるのか」
トレイン「そういや姫っちはバラとか見なかったのか?」
イヴ「うん、見たけど他人の人のだった」
スヴェン「他人? ほかに人を見たのか?」
イヴ「うん、正確には人じゃなくて絵なんだけど……」
トレイン「絵?」
イヴ「私が誰のか知らないでバラを取ろうとしたら返せって言われて……だからあの絵の人もバラが傷つけば傷つくと思う」
スヴェン「……」
トレイン「どした?」
スヴェン(元の世界にいたやつが全員バラを持ってるとする……)
スヴェン(そしてこの世界の絵達の目的が誰かのバラを千切ることだとすると……イヴが言ってた絵も例外じゃない、誰かのバラを千切ろうとするはずだ)
スヴェン(その絵がイヴにバラを返せって言ったのはそのバラを傷つけてイヴを殺そうとするのが目的じゃないのか?)
スヴェン(……いや、だとしたらイヴはとっくにその絵にやられてるはず……今こうして俺の前にいるということは違うか……)
スヴェン(何か理由があって生かしているのか? それともそのバラは俺達以外の誰かの物なのか?)
スヴェン(そもそも仮定が間違ってるのか?……くそっ、頭がごちゃごちゃしてきやがった)
イヴ「……ねぇスヴェン」
スヴェン「……なんだ?」
イヴ「スヴェンはどうやってこの世界に来たの?」
スヴェン「あー……確か絵を見てたら停電になって……そしたらお前らを含めてみんないなくなってな……停電の時、お前らはどこにいたんだ?」
トレイン「俺が聞きてーよ。 俺も停電したらみんな消えちまった」
イヴ「私も……その後文字が出てきて『おいでイヴ』って……私の名前を言われたの。 『下においで』って言われたから下に行ったらこの世界に入って……」
トレイン「そこも一緒か……けど俺は『おいで』なんて言われてねーな」
スヴェン「なんて言われたんだ?」
トレイン「『いけにえになれ』って」
スヴェン「……生贄?」
イヴ「スヴェンは?」
スヴェン「俺か? 俺は……『ついでにおじさんも』」
トレイン「あーーーはっはっはっ! ついでって……あーーーはっはっはっ!」
スヴェン「うるせえ」
イヴ「トレインと間違えたんじゃないの?」
トレイン「姫っち、それ酷くない?」
スヴェン「……どうやらこの世界に誘われた理由は別々らしいな」
イヴ「うん」
スヴェン「それと……停電した時を思い出したんだが……妙じゃなかったか?」
トレイン「妙?」
スヴェン「ああ……トレインはともかく……イヴ、『絵空事の世界』っていう絵、見たか?」
イヴ「うん、横に物凄く大きい絵でしょ?」
トレイン「おーあれかー」
スヴェン「ああ……それを見てる時はなんとも思わなかったんだが……今、美術館に来た時にもらったパンフレットをふと思い出してな」
イヴ「?」
スヴェン「その『絵空事の世界』が飾ってある通路は……」
トレイン「通路は?」
スヴェン「……本来はあるはずじゃねーんだ」
イヴ「つまり本来は美術館の二階の構造は『凹』の形だったのに『回』の形だったってこと?」
スヴェン「ああ……俺はその絵を見たと同時に停電、みんないなくなった」
イヴ「……私も同じだ!」
トレイン「マジかよ、俺もなんだが」
スヴェン「……つまりこの世界への入り口はあの『絵空事の世界』なんじゃねーかと思うんだが……」
イヴ「そういえば……あの作品だけ見ている人がいなかった……それも関係しているんじゃないかな?」
スヴェン「そうだな……この世界の主が俺達に『ないはずの通路と絵』という幻覚を見させてこの世界に来させた。 そしてただ無作為に選んだんじゃなくて理由があって俺達を選んだ……」
トレイン「ついでが理由かよ……プッ!」
スヴェン「お前は黙れ」
イヴ「じゃあ……その主に会わないと今は何も始まらないね」
スヴェン「そうだな……そのためにも進まねえとな」
トレイン「ここに扉あるけど」
スヴェン「……よし行ってみるか」
イヴ「うん……」
続きは明日の夜10時半に書きます
乙です、期待
乙
イヴこの世界似合いすぎって思ったらそもそもゲーム名がイブだったわww
灰の間
無個性達「「「「「……」」」」」タッタッタッ……
赤い服の女達「「「「「……」」」」」タッタッタッ……
イヴ「こっちに来る!」
スヴェン「どうする、撃つか?」
トレイン「いや、ちょっと試したい事がある」
スヴェン「?」
トレイン「バラ貸してくれ」
スヴェン「何に使うんだ?」
トレイン「いいからいいから……姫っち! 俺達のバラを持って上に飛んでくれ!」ヒョイ
イヴ「うん」ガシッ
イヴ「……変身・天使の翼!」
バサッ
無個性達「「「「「……」」」」」ドドドドド
赤い服の女達「「「「「……」」」」」ドドドドド
トレイン「あっはっはっ! 見ろよ! あいつら一点に集まってるぜ! しかも飛べねーからグルグル回ってやんの!」
スヴェン「……まるでイヴのファンだな」
トレイン「さてと……密着している所を反射ショットで……」
スヴェン「待てトレイン、そいつはもったいねえ」
トレイン「ん?」
スヴェン「こいつを使おう」
ガゴン!
スヴェン「おらぁ!」バサッ
無個性達「……」ジタバタ
赤い服の女達「……」ジタバタ
トレイン「おー捕獲用ネット」
スヴェン「この先どんな敵がいるか分からねーからな、弾は大事にとっとけ」
トレイン「了解了解」
スヴェン「……イヴ! 降りた方がいい! さっきお前が話してたみたいにギロチンが降りてきたらまずい!」
イヴ「うん……!」
紫の間
イヴ「……! 見てスヴェン、絵の具の足跡が……」
スヴェン「ああ……あの扉に続いてるな」
トレイン「よし、じゃあ入るか」ガチャッ
スヴェン「お、おい! 罠かもしれねーんだぞ!」
ガンッ!
トレイン「いてっ」
??「きゃっ!」
イヴ「……!!」
??「いてて……」
スヴェン(女の子……イヴと同年代か?)
スヴェン「……君、大丈夫か?」
??「うん、大丈夫」
スヴェン「悪いな、うちのドーナツ野郎が……」
トレイン「誰の事だよ……」
スヴェン(まさかここで人に会えるとは思わなかった……彼女もあの絵を見てたのだろうか?)
スヴェン「……君は美術館にいた子かい?」
??「……うん、そうだよ」
スヴェン「そうか……君の名前は?」
??「私、メアリーって言うの」
スヴェン「そうか、よろしくなメアリー」
メアリー「よろしくね ……ええっと……」
スヴェン「ああ、自己紹介がまだだったな。 俺はスヴェン、紳士だ。 んで、このマヌケ顔がトレイン、君と同じぐらいの女の子がイヴだ」
トレイン「おい」
メアリー「よろしくねイヴ!」
イヴ「……うん、よろしくねメアリー」
スヴェン(メアリーも同じぐらいの女の子がいて少しは安心しただろうな)
スヴェン「……! そうだ……メアリー、バラを持ってるか?」
メアリー「持ってるよ! 見て! 黄色いバラ!」
スヴェン「そうか……それは大事に持っておけよ。 花びらはお前を守るからな」
メアリー「うん!」
スヴェン(今ここで死ぬだの言っちまうのはきついだろうからな……)
トレイン「自己紹介も終わったしそろそろ行かね?」
スヴェン「そうだな……歩けるかメアリー?」
メアリー「うん! イヴも一緒に行こう!」
イヴ「うん」
メアリー「私、クッキーも好きだしケーキも好きなんだ!」
イヴ「私も……美味しいもんね」
メアリー「うん!」
トレイン「あの二人、この短期間ですっかり打ち解けちまったな」
スヴェン「そうだな……」
メアリー「すごーい! イヴの髪の毛色んな形にできる!」
イヴ「……うん、変かな?」
メアリー「そんなことないよ! すっごい可愛い! 私もやりたーい!」
スヴェン「……それにイヴにも……新しい友達ができたしな」
トレイン「お父さん感激?」
スヴェン「うるせえ」
無個性達「……」ドドドドド
赤い服の女達「……」ドドドドド
トレイン「また来やがったか……!」スチャッ
スヴェン「あの二人の為にもやるか……」ガゴン!
メアリー「やめて!」
トレイン・スヴェン「!!」
イヴ「……メアリー?」
メアリー「攻撃しないで! 可哀想!」
トレイン「……つってもよー、こいつらどうにかしねーと……」
スヴェン「……銃をしまえ、トレイン、走って逃げるぞ」
トレイン「……は?」
スヴェン「……俺の紳士道がそう言ってる」
トレイン「……はいはい」サッ
スヴェン「メアリー! 俺が担いでやる!」
メアリー「ありがとうスヴェン!」
スヴェン「しっかり掴まっとけよ!」
メアリー「うん!」
イヴ「……」
トレイン「姫っち、逃げるぞ!」
イヴ「う、うん!」
タッタッタッ……
スヴェン「いいか! そのバラは絶対に手放すなよ!」
メアリー「分かった! ……あっ」ポロッ
イヴ「!!」
スヴェン「やべえ……! このままだと!」
無個性達「……」ドドドドド
赤い服の女達「……」ドドドドド
スヴェン「!!?」
トレイン「バラ素通りしてんじゃん」
イヴ「……どういうこと?」
スヴェン「考えてる暇はねぇ……イヴ! 俺達が敵を引きつけてる間にバラを回収してくれ!」
イヴ「うん!」
イヴ「変身・天使の翼!」バサッ
メアリー「イヴすごーい!」
イヴ「……スヴェン!」ヒョイ
スヴェン「手に入れたか……でかした!」ガシッ
トレイン「次はあの部屋じゃねーの?」
スヴェン「ああ、メアリー掴まってろよ!」
メアリー「うん!」
バタン!
イヴ「……なんとかなったね」
スヴェン「……ああ」
メアリー「あー危なかった」
トレイン「そうか? 俺はスリル満点で楽しかったと思うけど」
スヴェン「……」
スヴェン(どういうことだ……? どうしてあいつらはメアリーのバラを襲わなかったんだ?)
スヴェン(……イヴのバラが襲われないのと関係があるのか? もしそうだとすればここの敵は子どものバラは無視するってことか?)
スヴェン(だとすると……この世界の主の目的は俺とトレインを殺すことなのか?)
スヴェン「……メアリー」
メアリー「何?」
スヴェン「……君がこの世界に来る時に文字みたいなのが浮かばなかったか?」
メアリー「……うん! 『ひみつのばしょおしえてあげる』って言われたよ!」
スヴェン「……もう一つメッセージがなかったか?」
メアリー「うーん……覚えてない」
スヴェン「そうか……もう一つ質問いいか?」
メアリー「えーやだーー! 私イヴとお話したーい!」
メアリー「お話しよーイヴ!」
イヴ「う、うん」
スヴェン「……」
トレイン「嫌われちゃったなスヴェンちゃん」
スヴェン「……」
スヴェン(あのバラをどういう経緯で手に入れたかを知りたかったが……ん?)
スヴェン(あのメアリーの持ってるバラ……)
トレイン「……どうした?」
スヴェン「……いや、何でもねぇ」
スヴェン(……気の所為か?)
イヴ「扉が二つある……」
スヴェン「まずは左の方に入ってみるか」
ガチャッ
トレイン「げっ! なんだこの部屋!!」
スヴェン「人形と……その人形の絵だな、無駄にでけえ」
メアリー「うわーーーー! 可愛いーーーー!」
トレイン「はぁ!? 可愛いかこれ!? 変わった趣味してんなー……」
スヴェン「人の感性はそれぞれだろ……まぁ俺も可愛いとは思わねーけど」
メアリー「ねぇねぇ! イヴも可愛いと思うでしょ!」
イヴ「うーん……」
トレイン「正直に言った方がいいぜ姫っち」
イヴ「……確かにホラー要素もあるかもしれない、でもこの殴り描きみたいな感じは子どもが描いたみたい……それを想像すると可愛いかも」
メアリー「でしょ!? 可愛いよね!」
トレイン「おいおい、可愛いって言ってんのは絵じゃなくて絵描きのこ……いででででで!」
スヴェン「空気の読めない子どもは静かにしてましょーね、ト・レ・イ・ン・く・ん?」
トレイン「……分かったよ、おじいちゃん」
スヴェン「誰がおじいちゃんだ」
スヴェン「ここは特に何もねーみてーだしもう一つの部屋に行くか」
イヴ「うん」
スヴェン「じゃあこっちの扉に……」
メアリー「あ! 見て見てーー! 絵があるよ!」
スヴェン「……絵?」
『嫉妬深き花』
トレイン「……こえータイトル」
イヴ「でもこれも芸術の一つじゃない?」
ゴゴゴゴゴ……
トレイン「……ん?」
メアリー「なになに!? なんの揺れ!?」
スヴェン「……下からだ! 避けろ!」
イヴ「……危ないメアリー!」ガシッ
メアリー「きゃっ!」
ドゴオォォォォォン!
トレイン「……下からは新パターンだな」
スヴェン「……大人と子どもで分断されたか」
イヴ「スヴェン! 大丈夫!?」
スヴェン「俺達は大丈夫だ! そっちは!?」
メアリー「大丈夫ーー!」
スヴェン「そうか……なら良かった」
イヴ「凄い……この植物、石でできてる」
トレイン「……姫っち! メアリー! その石から離れてろ!」
イヴ「……トレイン?」
メアリー「なんでー?」
トレイン「ぶっ壊してやるからな……この石を!」
イヴ「……離れてよメアリー」
メアリー「うん」
トレイン「……炸裂弾!」
ドゴオォォォォォン!
イヴ「……あれ?」
トレイン「……あり?」
スヴェン「……割れねぇな」
イヴ「わ、私がやってみる!」
メアリー「頑張れイヴーー!」
イヴ「……ナノスライサー!」
キイン!
イヴ「……弾かれた!?」
スヴェン「……もしやこれも」
ガキイイン!
トレイン「……おいおい、ウォーターカットもダメだったら絶望的じゃねーか」
スヴェン「しょうがねえ…… イヴ! メアリー! 二人でもう一つの扉に行ってくれるか!?」
イヴ「そっか……そこに何かあるかもしれないしね」
スヴェン「俺達はさっきの人形の部屋にしか行けねーからな……悪いな」
イヴ「気にしないで」
スヴェン「イヴ……メアリーは頼んだぞ」
イヴ「うん!……行こうメアリー」
メアリー「わーい! イヴと二人っきりだー!」
タッタッタッ
トレイン「……暇だし俺達もさっきの人形と絵の部屋に戻らねぇ?」
スヴェン「……そうだな」
イヴ「この部屋……奥にも何かあるね。行ってみよう」
メアリー「うん!」
ツカツカ……
メアリー「ねーねーイヴ」
イヴ「何?」
メアリー「もし元の世界に1人だけ帰れなかったらどうする?」
イヴ「……どうして?」
メアリー「なんとなくだよ! なんとなく!」
イヴ「……もし1人だけ帰れなかったら……」
メアリー「帰れなかったら?」
イヴ「……私が犠牲になる」
メアリー「!!」
イヴ「だって私……スヴェンも……トレインも……それにメアリーがいない世界なんて嫌だもん」
メアリー「そ、そんなこと言わないでイヴ! 私だってイヴのいない世界なんて嫌だよ!」
イヴ「!! ご、ごめんねメアリー、私……」
メアリー「……ううん、こんな質問した私がいけないの」
メアリー「……大丈夫だよ! そんなことないから!」
メアリー「だから一緒にここを出ようね! 約束だよ!」
イヴ「……うん!」
人形がある部屋
トレイン「……おいスヴェン!」
スヴェン「どうした?」
トレイン「本棚動かしたら穴があったぞ!」
スヴェン「……先に何かありそうだな」
トレイン「行ってみよーぜ」
スヴェン「ああ」
ガチャ
人形「……」
トレイン「……おい、また人形があるぞ」
スヴェン「……何か書いてあるな」
『こんにちは トレイン スヴェン わたし ひとり で さびしいの だから いっしょに つれてって』
トレイン「……無視」ダッ
スヴェン「おいおい……」ダッ
タッタッタッ……
人形「……」
『ねぇ どうして つれてって くれないの』
トレイン「かーー、しつけーな……無視!」ダッ
スヴェン「……」ダッ
タッタッタッ……
人形「……」
『なんで むし するの? わたしの こと きらいなの?』
トレイン「あーそーだよ、嫌いだよ」ダッ
スヴェン「……まだ続くのか……」ダッ
タッタッタッ……
人形「……」
『ねぇ あそぼうよ ここ おもしろいもの たくさん あるんだよ』
スヴェン「……まさか連れて行くまでループとかじゃないよな」ダッ
トレイン「……もう少し進んでから考えようぜ」ダッ
タッタッタッ……
人形「……」
『わたしの おともだちも たくさん いるんだ しょうかい して あげるね』
トレイン「やだ!」ダッ
スヴェン「ガキか……」ダッ
タッタッタッ……
人形「……」
『えいえんに ここにいろ』
トレイン「……悪いな、ネコは自由に生きるもんでな」ダッ
スヴェン「別にカッコよくねーからな」ダッ
タッタッタッ……
トレイン「……おっ、扉!!」
人形「……」
スヴェン「……また人形が置いてあるな」
トレイン「……何? この人形をゴリ押ししたいの?」
トレイン「とりあえず一発……」
スヴェン「……」
メアリー『攻撃しないで! 可哀想!』
ガシッ
トレイン「!」
スヴェン「……大人げねぇよ、それにメアリーが泣いちまう」
トレイン「……へいへい」サッ
『つ れ て い け』
スヴェン「……」
トレイン「……行こうぜ、何するか分かんねーし」
スヴェン「ああ……」
スヴェン「広い部屋に出たな……」
トレイン「……おいスヴェン! こっちの部屋、玉座あるぞ!」
スヴェン「玉座?」
『七つの色彩……絵の具玉を集めよ そなたの 架け橋と なるだろう』
トレイン「……七つ集めれば先に行ける的な?」
スヴェン「多分な……」
トレイン「さっさと探そーぜ」
数分後
トレイン「スヴェン、あといくつだ?」
スヴェン「二個だ……鍵がかかってる部屋を除けばあとはこの部屋だけだな」
トレイン「さっさと終わらせよーぜ」ガチャッ
スヴェン「……図書室みたいだな」
トレイン「はぁ? 美術館なのにか?」
スヴェン「図書室がある美術館は普通にあるぞ、アホ」
トレイン「……あっそ」
スヴェン(……何か手がかりになる本は……どれも絵本や小説ばかりだな……ん?)
スヴェン(この本だけ分厚いし、色も違うな……『この世の定理』?)
スヴェン(……ちょっと読んでみるか)
『存在を交換することにより空想が現実に成り得る』
スヴェン(……はぁ、お偉いさんの考えてることは分かんねーな)
スヴェン(……ん?)
『ゲルテナ作品集』
スヴェン(……敵がゲルテナの作品なら……何か弱点とかも分かるかもな)
ペラ……ペラ……
スヴェン(……こーしてみると本当に独特の……ん?)
『メアリー』
スヴェン「!!!!」
『‐‐‐‐年。
ゲルテナが生涯最後に手掛けた作品 』
『その少女はまるで実在するかのように佇んでいるが、実在しない人物である』
スヴェン「この絵……それにこのタイトル……嘘だろ?」
トレイン「スヴェンちゃーん、玉あったぜー……どした?」
スヴェン「……トレイン、これ見ろ」
トレイン「ん?……!!」
トレイン「……これマジ?」
スヴェン「ここはゲルテナ展だぞ? それに瓜二つ……」
スヴェン「間違いない……メアリーの正体は絵……ゲルテナの作品だ!」
トレイン「けどあいつ、バラ持ってたぜ?」
スヴェン「ああ……だがあのバラをよく見たが……あのバラは造花だった」
トレイン「俺達と同じ美術館にいた人って思わせるためか」
スヴェン「そうだな……そんでもう一つ気になる事がある」
トレイン「なんだよ?」
スヴェン「さっき一冊だけ違った色をした本があったから気になって読んだんだが……この本に書かれている事が事実だと合点がいく」
スヴェン「メアリーは俺かお前を殺して……空想の存在……絵にするつもりなんだ」
スヴェン「そして自分は俺らの変わりに外の世界でイヴと暮らす……イヴと外に出たいからバラを持たせようとしなかったんだ。 そうだとすればお前に向けられた『いけにえになれ』ってメッセージも納得がいく」
トレイン「『ついでに』は?」
スヴェン「……気紛れだろ、メアリーの」
トレイン「とりあえずその話はメアリーに直接聞くとして今は玉探そーぜ」
スヴェン「ああ……」
トレイン「これであと玉は一個……あっ!」
人形「……」
トレイン「……俺ってストーキングされやすい人なの?」
スヴェン「そうなんじゃねーのか?」
人形「……」ササッ
スヴェン「!! 鍵のかかってた部屋に入った……」
トレイン「……入れってことか」
ガチャッ
トレイン「うげーーーー! まだこんなに人形あんのかよ!」
スヴェン「……好かれてるなお前」
トレイン「別に嬉しくねーよ……キョーコの方がまだマシだ。 とりあえずあそこに絵の具玉あるしさっさと出よーぜ」
スヴェン「そうだな……ん?」
トレイン「どうした?」
スヴェン「扉が……開かねえ! 鍵が閉まってる!」
トレイン「……もしかして罠だった?」
スヴェン「……!! 扉に文字が……」
『また たから さがし しようよ だれが カギを もってるかな?』
トレイン「宝探しねえ……」
ゴーン……ゴーン……
スヴェン「……鐘の音?」
ゴゴゴゴゴ……
人形の絵(『赤い目』)「……」ゴゴゴゴゴ
トレイン「……マジ?」
スヴェン「あの絵……動いてやが……」
ズキン!
トレイン・スヴェン「!!」
スヴェン「くっ……なんだ……急に頭痛が……」
トレイン「俺もだ……この部屋が原因か?」
スヴェン「精神的に参る前に鍵見つけろってことかよ……」
赤い目「……」ゴゴゴゴゴ……
スヴェン「おいおい、迫ってきてるじゃねーか……」
トレイン「……二発で十分だ」
スヴェン「二発?」
トレイン「……炸裂弾!」
バァン!バァン!
ビリビリビリビリ!
スヴェン「……成る程、爆風を利用して一気に人形を裂いた訳か」
トレイン「この人形の素材が今までと同じ青い人形と同じだったら脆いはずだからな……鍵はあれじゃねぇのか?」
スヴェン「あれか……よし、これでさっさと……」
赤い眼「……」ゴゴゴゴゴ
トレイン「やべ、もうそこまで来てる……スヴェンちゃーん!」
スヴェン「ああ、しっかり掴まってろ!」
スヴェン「……支配眼!!」ダッ
スヴェン「……ふぅ、間に合ったみたいだな」
トレイン「……」
スヴェン「どうした?」
トレイン「いやーん、スヴェンちゃんにお姫様だっこされたーもうお嫁に行けなーい」
スヴェン「一生行くな」
トレイン「まぁまぁ……とりあえず玉も全部揃ったしはめてみよーぜ」
スヴェン「ああ」
玉座がある部屋
トレイン「これで全部……っと」コトッ
ギイ……
スヴェン「扉の音……」
トレイン「一箇所だけ鍵がかかってた部屋があったからな、そこじゃねーの?」
スヴェン「そうか……行ってみるか」
スヴェン「開いてる……」
トレイン「行こうぜ」
スヴェン「ああ」
続きは明日の夜10時半に書きます
乙
メアリー救われてほしいけど…どうなるか
イヴ「あちこち探してみたけど……脱出の鍵になりそうなのはなかったね」
メアリー「……」
イヴ「……メアリー?」
メアリー「あはは……あははははは」
イヴ「ど、どうしたの?」
メアリー「邪魔だなぁ……あの二人本当に邪魔だなぁ」
イヴ「お、落ち着いて! 何があったのメアリー!?」
メアリー「あはははは わたし メアリーっていうの あはははは」
トレイン「……スヴェン! 今の声、聞こえたか!?」
スヴェン「ああ……イヴとメアリーの声だ! 急ぐか!」ダッ
メアリー「あははははははは」
イヴ「メアリー……どうして?」
ガチャッ
トレイン「姫っち!」
イヴ「スヴェン! トレイン! 大変、メアリーが……」
メアリー「ねぇ……なんであの部屋から出ちゃったの? もう少しだったのに」
イヴ「!?」
スヴェン「……やっと本性を現したか」
スヴェン「イヴ……今から言うことは信じられないかもしれねぇが……嘘じゃねぇ」
イヴ「……?」
スヴェン「メアリーは……ゲルテナの描いた作品だ!」
イヴ「……へ?」
メアリー「ねえ、どうして私の邪魔をするの? 私はイヴと一緒に行きたいの」
トレイン「逆に俺達も生贄なんてなりたくねーからな」
イヴ「待って……みんななんの話をしてるの!?」
メアリー「イヴ、こんな人ほっといて早く行こう」
イヴ「ま、待ってメアリー! 私に教えて! どういう事なの!?」
メアリー「私、イヴと一緒に外にでたいの! けどトレインとスヴェンは邪魔なの!」
イヴ「……邪魔?」
スヴェン「……こいつが外の世界に出るには現実に存在する物と入れ替わらなきゃいけねえ……だから俺達のどっちかを殺そうとしてるんだ」
イヴ「そんなの……嘘だよ!」
メアリー「本当だよ」
イヴ「!!!」
メアリー「なんでそんなにしぶといの? なんでおとなしく死なないの? 」
トレイン「そんなの決まってんだろ、生きてーからな」
メアリー「……そうだ! ねえイヴ」
イヴ「……?」
メアリー「イヴは私の事好きだよね? だったら私の為に一緒に戦ってよ!」
イヴ「!?」
トレイン「……姫っち! 聞く耳を持つな!」
メアリー「私達友達だよね? いいよね?」
イヴ「……私は……私は……」
ガシッ
イヴ「!!」
スヴェン「逃げるぞイヴ! ずっとここにいたらまずい!」ダッ
イヴ「スヴェン……でも!」
スヴェン「いいから逃げろ! 掴まってろ!」
イヴ「……うん」
スヴェン「……」
スヴェン(俺はアホか……何堂々と言ってんだよ……しかもメアリーの目の前で)
スヴェン(もう少しなんか……違う言い方は思いつかなかったのかよ!)
無個性達「……」
赤い服の女達「……」
スヴェン「!!」
メアリー「あははは! どんなに強くてもこれだけいたら追いついちゃうよ!」
トレイン「……この数はさっきの数倍あるぜ?」スチャッ
スヴェン「ああ……」ガゴン
イヴ「やめて二人とも!」
トレイン「……姫っち?」
イヴ「大切な人達だから……メアリーの……大切な……」
スヴェン「!!」
トレイン「……スヴェン、あっちの部屋だ、あそこはまだ行ってねえ」
スヴェン「ああ……」
イヴ「……スヴェン、もう大丈夫。 1人で走れるよ」
スヴェン「……いいのか? 無理すんなよ?」
イヴ「……うん」
トレイン「よし! 全速力!」ダッ
イヴ「はぁ……はぁ……」
トレイン「……撒いたか」
スヴェン「みたいだな……」
イヴ「……」
スヴェン「……イヴ、さっきは悪かった」
イヴ「……なんで謝るの? 本当のことでしょ?」
スヴェン「!!」
イヴ「大丈夫……メアリーは優しい人だから……私の友達だから……」
イヴ「説得すれば……きっとなんとかなるよ!」
スヴェン「イヴ……」
スヴェン(完全に……大人だな)
トレイン「……つーかここどこだよ? スッゲー変なんだけど」
イヴ「……何か書いてあるよ」
『sketchbook』
トレイン「……美術館の次はスケッチブックってか?」
スヴェン「……とりあえず行ってみるか。 メアリーのこと……この世界のことが分かるかもしれないしな」
イヴ「……うん」
トレイン「どこ行っても何もねーな」
スヴェン「ああ……家の中を見たが特に重要そうなのはなかったな……」
イヴ「あとはこの家だけだね」
ガチャッ
スヴェン「……何かあるな」
トレイン「なんだこりゃ……おもちゃ箱か?」
イヴ「……! 待って、このおもちゃ箱……底がない!」
トレイン「……これもうおもちゃ箱じゃねーな」
メアリー「入ってみる?」
三人「!!!」
ガンッ!
イヴ「……はっ!! ……ここは?」
トレイン「……おもちゃ箱の中みてーだな」
イヴ「おもちゃ箱……」
イヴ「! そうだ、私達メアリーに突き落とされて……」
スヴェン「……上は天井だな、戻れねえらしい」
イヴ「そんな……」
トレイン「この先に通路あるし進んで行けばいいんじゃねーの?」
スヴェン「そうだな、とりあえず行って……ん?」
イヴ「どうしたのスヴェン?」
スヴェン「ない……俺のバラが!」
トレイン「そこらへんに落ちてんじゃねーの?」
スヴェン「ああ、だといいが……とりあえずさが……」
スヴェン「……ぐあ!!!」
イヴ「スヴェン!?」
トレイン「スヴェン……もしかしたら……」
スヴェン「ああ……メアリーに持っていかれたらしい……はぁ……!」
イヴ「……メアリー! どこにいるの!? やめて!」
トレイン「言っても無駄だぜ姫っち……直接止めねーと」ダッ
イヴ「待ってトレイン! スヴェンを置いてくの!?」
スヴェン「イヴ……はぁ……俺のことは気にすんな……」
イヴ「……でも!」
スヴェン「今俺がついていったって……はぁ……足手まといになるだけだ……」
スヴェン「それにトレインとお前がいるんだ……はぁ……大丈夫だ」
スヴェン「……があっ!!」
イヴ「スヴェン!!」
トレイン「姫っち! 早く行くぞ!」
イヴ「……うん!」
スヴェン「……イヴ」
イヴ「……?」
スヴェン「……心配すんな」ニッ
イヴ「……うん!」ダッ
スヴェン「行ったか……ぐっ!! ……はぁ……はぁ……」
スヴェン「トレイン……イヴを頼んだぜ……」
スヴェン「……ロイド……俺ももうすぐそっちに……」
メアリー「イヴは私の事が好きー」プチッ
メアリー「イヴは私の事がきらーい」プチッ
メアリー「イヴは私の事が好きー」プチッ
メアリー「……あれ、あと一枚だ……でもいっか! 茎を数えればいいもんね!」
メアリー「イヴは私の事が……」
イヴ「メアリー!!」
メアリー「!!」
トレイン「……見つけたぜ」
イヴ「メアリー……そのバラを返して!!」
メアリー「どうしてー? 私、今花占いやってるんだよー」
メアリー「私ね、イヴが私の事好きかどうか知りたいのー」
イヴ「……」
シュルルルルル……ガシッ
メアリー「あっ! バラが!」
シュルルルルル……
トレイン「……姫っち、スヴェンのバラは?」
イヴ「……あと一枚だけ花びらがある」
トレイン「そうか……良かった」
メアリー「ねーイヴ、そのバラ返してよー。 花占いできないじゃん」
イヴ「返さない……絶対に返さない!」
メアリー「えー……じゃあいいや、イヴに直接聞くね!」
メアリー「イヴは私の事好き? 私はイヴの事大好きだよ!」
イヴ「……」
トレイン「……姫っち、思った事を言え。 なんかあれば俺がなんとかする」
イヴ「……嫌い」
メアリー「!!」
イヴ「私の大切な人を傷つける人なんか……大嫌い!!」
メアリー「……」
メアリー「どうして……? どうしてそんなこと言うの?」
メアリー「私、イヴと仲良くなれると思ったのに……一緒に遊びたいって思ったのに……」
メアリー「……もういいや」
イヴ「……」
メアリー「イヴなんか死んじゃえ」
イヴ「!!」
トレイン「来るか……?」
メアリー「……」
イヴ「……メアリー?」
トレイン「……どうした、殺すんじゃないのか?」
イヴ「!!!!!!?」バタッ
トレイン「姫っち!?」
青の間
赤い服の女「……」プチッ……プチッ……
イヴ「はぁ……はぁ……」
トレイン「お前……まさか!」
メアリー「そうだよー! 赤い服の女にイヴのバラを千切らせてるの!」
イヴ「あっ……はぁ……あああ……」
メアリー「あはははは! もうすぐイヴ死んじゃうねー!」
イヴ「はぁ……はぁ……」
トレイン「……」スチャッ
イヴ「トレイン!!」
トレイン「!!」
イヴ「やめて……はぁ……撃たないで……はぁ……」
トレイン「姫っち……」
メアリー「あはははは!」
トレイン「……」
トレイン「……やめろメアリー」
メアリー「!!!!!」ゾクッ
青の間
赤い服の女「……」ピタッ
イヴ「はぁ……はぁ……激痛が……止まった」
トレイン「……本当にやめてくれたみたいだな」
メアリー「……」
イヴ「はぁ……はぁ……」
スヴェン「……俺は無駄に遺言を残しちまったらしいな」
トレイン「スヴェン……動いて平気なのか?」
スヴェン「ああ……取り返してくれてありがとな」
トレイン「お礼なら姫っちに言えよ」
スヴェン「そうか……ありがとうイヴ」
イヴ「……うん」
メアリー「……」
イヴ「……メアリー」
メアリー「……」
イヴ「……ごめんね」
メアリー「!!」
イヴ「私、メアリーの事……大嫌いって言っちゃって……本当にごめんね」
メアリー「イヴ……」
イヴ「メアリーは私と外に出たくてたまらないのに……私は自分の事ばかり考えちゃって……本当にごめん」
イヴ「信じてくれないかもしれないけど……私、本当はメアリーの事好きだよ?」
メアリー「!」
イヴ「さっきは……スヴェンが危なかったから……カッとなっちゃって……本当にごめんなさい」
メアリー「……イヴ」
ギュッ
イヴ「……?」
メアリー「私も……ごめんなさい。 イヴの友達の事、何も考えてなくて……」
メアリー「トレインもスヴェンも……いなくなったら寂しいよね」
イヴ「メアリー……」
メアリー「ごめんなさいイヴ……トレイン……スヴェン……ごめんなさい」
トレイン「……」
スヴェン「……」
メアリー「ごめんなさい……本当にごめんなさい……」
イヴ「二人共……メアリーを……許してくれる?」
トレイン「……逆に許さないなんて言うと思うか?」
スヴェン「……女の子のワガママを許す……それが紳士だ」
イヴ「……ありがとう!!」
メアリー「ごめんなさい……」
トレイン「……そんなに謝んなくてもいいぜ?」
スヴェン「ああ、気持ちは十分に伝わったからな」
メアリー「……」
スヴェン「さて……問題はここからだ……どうすれば誰一人傷つく事なく帰れるか……」
メアリー「……本当にそんなことできるの?」
スヴェン「……安心しろメアリー、必ず方法があるはずだ。 だから笑っていてくれ」
メアリー「……うん!」
スヴェン「絶対に帰るぞ……四人で」
トレイン「スヴェン……」
スヴェン「……」
『私、オニなの……オニごっこしよ……』
スヴェン「……」
トレイン「……照らし合わせてるだろ、あの時のアイツと」
スヴェン「ああ……あの子は自分が作品ってこと以外は普通の女の子と変わりねーんだよ……」
スヴェン「なんとか……犠牲なしで帰れる方法はねーのかよ……!!」
トレイン「……」
イヴ「メアリー……本当に誰かと入れ替わらないと外に出れないの?」
メアリー「うん……だって図書室の本にそう書いてあったもん」
スヴェン「『この世の定理』か……俺も見たぜ」
トレイン「……なぁスヴェン、その本の文面、まんま覚えてるか?」
スヴェン「覚えているが……なんでだ?」
トレイン「いいから」
スヴェン「ああ……たしか『存在を交換することにより空想が現実に成り得る』って書いてあったな……まぁ後は作者が何がきっかけでそう思ったかっていう内容で冒頭に対する意味には一切触れてなかった」
トレイン「……成る程ね」
イヴ「……トレイン?」
トレイン「スヴェン……そこには存在を交換って書いてあったんだよな?」
スヴェン「それがどうしたんだ?」
トレイン「……悪魔で『存在』している物と交換しなきゃいけないってことだよな?」
メアリー「どういうこと?」
トレイン「交換は……人じゃないといけないなんてどこにも書いてねーんだろ?」
三人「!!!」
トレイン「つーことはよ……」
プチッ
トレイン「この『現実に存在する』俺の髪の毛一本と……『空想に存在する』メアリーって女の子を交換すればいいんじゃねーのか?」
スヴェン「……まさかお前に考えるって行動があるとは」
トレイン「おい」
イヴ「そっか……それならメアリーは外に出られるかもしれない……メアリー! 私達外に出られるよ!」
メアリー「本当に!? 四人で!?」
イヴ「うん!」
トレイン「さて……メアリー、この世界の出方、教えてもらえるか?」
メアリー「すっごく大きい絵に行けば帰れるよ!」
スヴェン「そこまで案内してもらえるか?」
メアリー「うん! 一緒に行こうイヴ!」
イヴ「うん!」
メアリー「こっちの通路だよ!」
イヴ「分かった!」
スヴェン「足の速いお嬢さんだこと……」
トレイン「子どもは元気が一番だろ」
パッ
イヴ「!! 文字が……」
そ と に は い か せ な い
トレイン「!!」
スヴェン「どういうことだ……? メアリー、お前か?」
メアリー「ううん、私じゃないよ……なんで外に出たら行けないの?」
そ と の せ か い は き け ん
メアリー「……外って危険なの?」
トレイン「確かにテロとかあるし100パー安全って訳じゃねーな」
スヴェン「おい!」
イヴ「……でも大丈夫だよメアリー、私達が守るから……」
メアリー「本当!? ありがとう!」
さ い ご の し れ ん
トレイン「……?」
ゴゴゴゴゴ……
スヴェン「な、何だ!?」
イヴ「!! 見て! 壁が……! 通路ができた!」
メアリー「凄い……こんな部屋あったんだ!」
スヴェン「メアリーでも知らない部屋だと……?」
トレイン「つまりこの部屋にある『試練』を乗り越えたら外に出してやってもいいってことだろ?」
そ う
メアリー「!!」
トレイン「要するにその試練で俺達がメアリーを守れる程強えーかどーかを試すんだろ?」
そ う
トレイン「……過保護だな」
メアリー「イヴはとっても強いんだよ! 髪の毛を使ってバーッとやってドッカーンってやって! 色んな形になるんだよ!」
み ん な つ よ く な い と だ め
トレイン「分かった分かった……その目に刻んでおけよ! 俺の強さ!」
スヴェン「……けどこの文字がメアリーじゃないとなると……誰なんだ?」
トレイン「……まさか誰かの意思が文字に反映されてるんじゃねーの?」
スヴェン「つまりメアリーをこの世界に出したがってないやつ……」
スヴェン「……まさか!」
トレイン「まあその話は置いとこーぜ」
スヴェン「……」
メアリー「イヴ……」
イヴ「大丈夫だよメアリー……! スヴェンもトレインも強いから!」
メアリー「……うん!」
トレイン「……よっしゃ! 今日のトレイン様は路線変更だ!」
スヴェン「路線変更?」
トレイン「とびっきりの吉を届けてやるぜ……メアリーにな!」
この展開しか浮かばなかった……なんだよ髪の毛って……
続きは明日の夜10時半に書きます
乙!!
まあ確かにイヴの使用済みナノマシンの残骸とかのがそれらしさはあったかも。
乙
メアリーが救われるなら細かい事はいいのさ!
乙
ハーディスとかおいてくのかと思ったぜ
乙
橙の間
トレイン「さて……いつでもいいぜ『試練』」
ヒュン!
スヴェン「! 上からナイフが!」
イヴ「!」
メアリー「危ないイヴ!」
ガキン!
イヴ「ふう……」
メアリー「すごーい! 盾が出てきた!」
トレイン「……どうやら姫っちにも襲いかかるみたいだな」
スヴェン「つまり『試練』ってのは上から降るナイフに気をつけながら進めってことか?」
ヒュー……
トレイン「また来たか……」
イヴ「……! 待って、あれって」
失敗作「……」ヒュー
四人「!!」
スヴェン「逃げるぞ!」ダッ
トレイン「戦わねーの?」
スヴェン「ナイフが降ってくるのにそれどころじゃねーだろ!」
イヴ「そうだね……!」
スヴェン「くそ……メアリーに当たったらどうすんだ!」
ヒュン!
メアリー「あっ……」
スヴェン「!! しまっ……」
ヒョイ
イヴ「!! ナイフがメアリーを避けた!?」
トレイン「……どうやらメアリーには当たらないようにしてるみてーだな」
スヴェン「なら良かった……よしメアリー、俺に掴まってろよ!」
メアリー「うん!」
ヒュンヒュンヒュンヒュン!
トレイン「上からナイフ……」
失敗作「……」
トレイン「後ろから人……」
トレイン「……そんで前には」
双子「……」
スヴェン「……あれは人食い花って感じしかしねーぞ。 しかもうじゃうじゃいる」
トレイン「……こいつの出番か」スチャッ
トレイン「……反射ショット!」バァン!
双子達「!!!」ドゴォン!
トレイン「一丁あがり!」
メアリー「トレインすごーい!」
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!
イヴ「……ナイフの数が増えてる気がする」キイン!
スヴェン「そうだな……さっさと行くか」ヒョイ
トレイン「はいよー」
カチッ
トレイン「ぐあっ!」
イヴ「どうしたのトレイン!?」
トレイン「な、なんだ……急に痛みが……」
スヴェン「……!! トレイン! お前のバラ……!」
トレイン「……! 花びらが勝手に……」
メアリー「……どうして?」
スヴェン「……その床が関係してんじゃねーのか?」
トレイン「……この黒いバラの床か?」
スヴェン「ああ……恐らくそのバラが朽ちるまでにゴールしろってことだろ」
トレイン「タイムリミット付きかよ……はぁ……」
タッタッタッ……
スヴェン「無理すんなよ、おんぶしてやるぜ」
トレイン「いや、平気だ……はぁ……」
メアリー「見て! あそこ!」
ゴ ー ル
スヴェン「あそこに行けば……行くぞ!」
イヴ「うん!」
ゴゴゴゴゴ……
メアリー「壁が閉まっちゃうよ!」
スヴェン「くそ……この距離じゃ間に合わねえ!」
トレイン「……どいてろ……はぁ……」
イヴ「……トレイン?」
トレイン「黒……」
スヴェン「まさか……閉まる壁を無理矢理ぶっ壊すつもりか!?」
トレイン「……十字!!」タンッ
イヴ「!! 一瞬で壁の所まで……!」
ドゴオオオオン!
トレイン「はぁ……はぁ……」
スヴェン「……やりやがった」
トレイン(くそ……意識が……花びらが……)
トレイン「……」バタッ
トレイン「……ん?」
スヴェン「……目が覚めたか」
トレイン「ああ……」
イヴ「良かった……!」
トレイン「……俺のバラは?」
メアリー「あと一枚だけあるよ」
トレイン「そうか……なら良かった」
ご う か く
四人「!!」
メアリー「合格ってことは……私外に出られるの!?」
そ う
メアリー「やったーー!」
イヴ「良かったね……メアリー!」
メアリー「うん!……ありがとうみんな!」
トレイン「いいっていいって」
スヴェン「……紳士として当然の事をしたまでだ」
『絵空事の世界』前
メアリー「ここだよ!」
スヴェン「やっぱり入り口はこの絵だったか……」
トレイン「さっさとここからおさらばしよーぜ」
イヴ「いよいよだね……メアリー」
メアリー「うん! すっごく楽しみ!」
スヴェン「……」
スヴェン(あの『この世の定理』には続きがあった……)
スヴェン(『それを破った者には『無』という末路が待つ』……と)
スヴェン(けど言ってやれなかった……絶望を与えたくなかった……)
スヴェン(頼む……『存在』の定義を……髪の毛でも……)
トレイン「入るぞ」
スヴェン「ああ」
イヴ「うん」
メアリー「……ねえみんな」
三人「?」
メアリー「……手、繋いで入ろう!」
イヴ「……うん!」
ガシッ
トレイン「せーの……とうっ!」
スヴェン「うおおっ!? 引っ張るなよ!」
シュウウウウウウン……
娘を……よろしく頼む……
イヴ「!!」
イヴ(今の声……)
イヴ「……うーん……」
イヴ「……あれ? さっきまで何があったか思い出せない……」
トレイン「奇遇だな姫っち、俺もだ」
イヴ「……あれ、まだ帰ってなかったの」
トレイン「あたりめーだろ、晩メシがかかってるからな」
スヴェン「……しかし俺も思い出せない……なんでだ?」
メアリー「うーん……」
三人「!!!」
トレイン「……そうだそうだ」
スヴェン「……思い出した」
イヴ「……メアリー!」
メアリー「うーん……あれ、イヴ……?」
イヴ「私達……帰って来れたんだよメアリー!」
メアリー「本当に……? 私、もうあの世界にいなくていいの?」
イヴ「うん!」
ギュッ
イヴ「良かった……! 一緒に帰れて本当に良かった!!」
メアリー「うん! ……私も同じ気持ちだよ!」
スヴェン「うっ……うぅ……」
トレイン「スヴェンおじちゃん、泣いております」
スヴェン「う、うるせえ……うぅ」グズッ
イヴ「……そうだメアリー! これから私達と一緒に暮らそう!」
メアリー「いいの!?」
イヴ「うん! 私もメアリーとずっと一緒にいたいの!」
メアリー「本当にいいの!? 一緒にお菓子食べたりしてもいいの!?」
イヴ「うん!」
イヴ「……ダメかな? スヴェン、トレイン……」
スヴェン「うっ……うぅ……」
トレイン「……いいってよ」
イヴ「やった! メアリー、私達これからずっと一緒だよ!」
メアリー「うん!」
数日後
メアリー「私、掃除屋になりたい!」
スヴェン「何ぃ!?」
トレイン「どうしたんだよメアリー、急に」
メアリー「うん、私イヴにもトレインにもスヴェンにも迷惑かけちゃったでしょ? だから恩返しがしたいの!」
スヴェン「い、言っとくが掃除屋ってのはいつ命を落としても可笑しくないんだぜ?」
メアリー「三人共戦って私だけ何もしないっていうのは嫌なの! お願い!」
スヴェン「……デシャヴだ」
トレイン「……こりゃ姫っちより頑固かもしれねーぞ」
スヴェン「ああ……」
キャスター『今日のニュースです』
メアリー「あ、ニュースだって! 一緒に見ようイヴ!」
イヴ「うん!」
キャスター『ゲルテナ展を開催していた美術館付近でゲルテナ氏の作品と思われる絵が見つかりました』
メアリー「お父さんの作品だって!」
スヴェン「ゲルテナ展付近とは……凄い偶然だな」
キャスター『それがこの絵です』
四人「!!!!」
トレイン「……おい、これって……」
スヴェン「マ、マジかよ……」
メアリー「お父さんだ! きっとお父さんが描いてくれたんだ!」
イヴ「うん……きっとそうだよ!」
メアリー「イヴ、私達ずっとこんな絵みたいでいようね!」
イヴ「……うん!」
男「まさかゲルテナの本当の最後の作品が見つかるとはね」
女「そうね……これがその『家族』って絵でしょ?」
男「うん。 ……けど男の人二人、女の子二人って家族には見えない様な……」
女「そんなのいいじゃない。 ……それにしてもこの四人、凄い笑顔ね、微笑ましいわ……」
男「そうだね、これが生涯最後の作品で良かったと思うよ」
女「そうね……確かこれが見つかる前に生涯最後の作品って言われてたのは……」
男「『野良猫の毛』じゃなかったか?」
女「そうそう! あれが最後の作品じゃなくて良かったわ……」
男「そうだね、こっちの方が如何にも有終の美って感じがするしね」
女「……私達もこの絵に負けない様な幸せな家族になりましょうね!」
女「……ねっ、イヴ!」
イヴ「……」コクリ
ED いつまでも一緒
これで終わりです。最後のイヴはibの方のイヴです。 読んでくださりありがとうございました。
おつりん
やっぱ最後はハッピーエンドで〆だな
一言で言うとそびえ立つクソ
ただ、周りからボロクソ言われながら完結まで続けられるメンタルは素晴らしい
次はメアリー・スー系「以外」のSSをよく読んで出直してくれ
? ボロクソに言うような批判もなければメアリー・スーでもないよな?
定型文系の荒らしかな?
最後に変な奴来ちゃったけど完結乙! ブラックキャット大好きだったから楽しめたわ。
乙
こういうハッピーエンドもいいよね
乙乙
面白かった
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