男「約束守ったぞ」女「うん!」(76)

これから書かせて頂くのは、
男「約束?」女「うん!」の続きです。

では皆様、どうぞ駄文にお付き合い頂ければ幸いです。

季節は春。
俺達も進級し、三年生になっていた。
部活に新しい部員が増えたり、受験だったり就職だったり。
皆忙しそうにしていた。
俺は、女とあれから一緒に帰ってはいなかった。
理由は一つ。俺に、彼女がいたからだ。

だけど、俺はつい最近彼女と別れた。
この半年ちょい、よく持ったほうだと思う。

そして今日この時、俺は、帰り道で女の背中を眺めていた。
相変わらずの小さな背丈。俺と一緒に帰っていた時はショートだった綺麗な黒髪も、今じゃセミロングほどになっている。
小さな背中に、華奢な肩。
それは守りたいという思いを上昇させる。
っと…何呑気に解説してんだ俺。

声…かけてみるか。

男「お嬢ちゃん、寂しそうな背中をして、どうしたんだい?」

女「え?あ、あの……って、男?」

ぱちくり、そんな擬音がしそうなほど目を大きく開け、俺を凝視する女。
その上目遣いやめろ…理性飛ぶぞちくしょう。

男「お、おう。久しぶり…だな」

本当に久しぶりだ。
お互い陸上部の部長になったので事務的な話しはするのだが、こうやって二人きりで帰ったこと自体が久しぶり。
だから二人きりで落ち着いて話すのも久々だ。

女「あぅ、お、お久しぶりです…」

なんで敬語になってんだ?こいつ。

男「なあ、女」

女「な、なに?」

男「久々に、一緒に帰らないか?」

女「あぅ!?い、いいい、一緒に!?」

なんだ、女のこの反応。
もしかして…いやだったかな。

男「わり、嫌だったか?」

女「嫌なわけにゃいよ!…ないよ!」

噛んだから絶対言い直したろ今。まあ、追求はせんが…。

男「ならさっさと行こうぜ。もうくたくただ」

そう言って、俺は歩き出した。
久しぶりに、女と一緒に帰れる…!
やべ、にやけそうだ。

男「お、女?その、なんだ。最近どうだ?」

とりあえず、何か言わないゃきゃ。
何か言って、会話して、この頬の緩みきった顏をなんとかせねば!

小説っぽい

支援

続編か、期待してる(^^)

それにしても男の声の掛け方が恐ろしく寒いな…

今度こそハッピーエンドにしてくれよ

昨日寝てしまった…
という事で投下再開します。

女「あぅ…最近…最近…そだ、あのね」

再びあの日と変わらない談笑が始まった。
別段、大事なことを話すわけじゃない。
でも、とても大切なことに思えた。

男「そうだったのか…ん?」

ふと気になって、女の前を見る。
いや、正確には目の前にある歩道信号。
………赤だ!

男「ちょ、おい、女!止まれ!」

そう言いながら俺は女の腕を掴んだ。

女「ぁぅ…あ、本当だ」

信号を見て今更のように言う女に、俺は少し呆れながらも腕を離す。

女「ぁぅ…」

男「ん?どした?」

女「な、なんでもない!」

なんだなんだ、何不機嫌になってんだこいつ?

今日こそはいっぱい書きます。
では、投下始めます。



男「なあ、女。何怒ってんだ?」

女「あぅ、怒ってないよっ」

いや、どう考えてもその反応は怒ってるだろ。
意地っ張りな奴だな。…いや、俺もそうか。

女「あぅ、そだ、最近のことだけどね。部活…だらけてるな~って」

部活…部活か。
たしかにそうだ。最近の陸上部はだらけてきていた。
顧問がわけのわからない上の階級にあがり、部活に顏を見せなくなった。
それから、三年は部活をやらなくなり、二年はボイコット。一年は来ても遊んでる。
かなり酷い有様だ。
今や部活をやるのは、ほんの数人。
俺と女、あと男子の副部長だけだった。

男「まあ、たしかにありゃ問題だな。女子なんか、女しかやってねーしな」

俺と副部長に混ざっていつも一人で女がやっている。
女子はその間どこそこのカフェがなんたらだ、やれあの教師がうざいやらで大盛り上がりだ。

女「どうしたらいんだろーね…」

男「せめて、顧問がもっと部活に顔見せてくれりゃあな」

そうは言ってみたものの、この提案は望み薄だ。
と、なると…待つしかないか…もう一つは…。
あまり、やりたくないな。

男「ま、俺に任せてくれ」

その日は、部活の事で帰り道の話しは終わってしまった。
実行は…明日にするか。
何かきっかけがあればいいけどな…。

翌日。
特に面白くもない授業も終わり、とうとう部活の時間。

副部長、以下副長「どうした男?」

男「いや、ちょっとな」

副部長に話しかけられ、適当に相槌を打つ。
俺たちがいつも荷物置き場にしてる場所。そこで二人並んで休んでいると、ボールが飛んできた。
荷物置き場にしてる場所は、ガラスの窓がついた扉がある。ボールはそこのガラスを破壊した。
ボールを当てたのはサッカー部ではなく、陸上部一年。
きた。絶好のチャンス。

男「…お前ら、ちょっとこっちにこい」

サッカーで遊んでいた一年を全員呼び出す。
そして座らせ、作戦を実行した。

男「いい加減にしろよ。なあ!?」

一年部員「いいんじゃないですか?皆遊んで……っ!!」

鈍い音と共に、拳に僅かな鈍痛が広がる。
そう、俺は部員の頬を殴ったのだ。
結構な威力を込めたため、部員はそこへ倒れる。

女「ちょ、男!」

女が部活中に初めて俺の名前を呼んで止めに入る。

しかし、頭に血がのぼっている俺は止まれない。

女「おと…こっ!」

男「っせぇよ!」

女が掴んでいた左腕を少し強めに振り、女を振りほどいた。
そこで、どてっ、と女が地面に投げ出される。

男「ぁ…」

女「ぃ、いっ…」

女の悲痛な声。
そして同時に聞こえる、周りからの非難。
そこまでしなくてもいい。
女子に暴力をふるった。
最低。
最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低。

男「ちが…女……そんな…つもりじゃ…!」

俺はその場にいられなくなり、鞄を持って駆け出した。

シャワールームに入って頭を冷やす。
何てことしちまったんだよ、俺…。
後悔は部員を殴ったことではない。
女に怪我をさせてしまった事、大切な人を…。

男「くそっ!」

俺はシャワールームから出て、制服に着替える。
そして、校門を出ようとした所で、慣れ親しんだ声が聞こえた。


女「男っ」

男「なんで…来たんだよ…」

顔をあげられない。
女の顔を、見ることができない。
冷たい目を想像すると、動けなくなる。

女「男?男は悪くないよ?」

その予想外な言葉に、思わず顔をあげ、女の顔を見つめる。

女「あれは一年生がわるいし、あたしが怪我したのはあたしのせいだよ」

男「女…」

どこまで優しいんだろう。この子は。

女「あたしは…男の味方だよ」

その言葉で、俺は、救われた気がした。
いや、事実、救われたんだ。女の一言で。

女「それとね…あたし、男に謝らなくちゃいけないことがあるんだ」

男「謝らなくちゃいけないこと?」

女「うん。あたし…男にないしょにしてたことがあるの。でも、もう言っておこうかなって」

女のその一言を聞いた瞬間、俺は心臓を掴まれたような、そんな気がした。
嫌だ、その先を聞きたくない。
聞いたら、戻れないような気がしてならない。
言わないでくれ、女…!
そう思う気持ちとは裏腹に、俺の口は言葉を紡いでくれない。

女「あたし…あたしね……」






















女「あたし…病気……なんだ。あと…三年しか生きられない…」

目の前の儚い少女を。
俺は、悪魔に連れていかれてしまう少女を、
ただ見ている事しか、見つめることしか出来なかった。


男「な…びょ…病気…?」

ようやく出せたその言葉は、どれだけ震えていただろう。

女「本当は運動も禁止なんだけどね。無理してやってるんだ」

病気…?
そんなはず………いや、兆候はあった。
過呼吸、練習中にぶっ倒れる事も少なくなかった。
俺が…気づかなかった。

女「だから…もう、あたしに関わらないほうがいーよ…」

男「っ!ちょっと来い!」

俺は女の腕を引っ張り、人気のない校舎裏へと引っ張っていった。

女「いっ、いたいよ…ぁぅ…」

少し力を入れすぎたのか、女がそう言う。
俺は女の両肩に手を起き、真正面から見つめる。

男「俺も…どんな事があっても、お前の味方だ」

女がそう言ってくれたように。
俺がその言葉で救われたように。
女も救えないか、そう考えた。だけど、

女「なんで…なんでそんなこと言うの…?あたし、死んじゃうんだよ…?」

男「まだ死ぬって決まったわけじゃねぇだろ!」

女「決まってる!決まってるんだよ!言わないでよ!そんな優しいこと!!そんな事言われたら…はなれたくなくなるよ…」

女の目尻に涙が溜まって行く。
なんでだよ。なんでこいつは…こうなんだよ。

男「ならそばにいりゃいいだろ!」

女「だって!だってだってだって!!あたし死んじゃうんだよ!?そしたら男独りになっちゃうんだよ!?」

涙はついに溢れだし、雫を飛ばしながら女が叫ぶ。

男「だからなんで決めつけんだよ!わかんねぇだろうか!」

女「そうだよ!わかんないよ…男にあたしの気持ちが、わかるわけないよ!!勝手なこと言わないで!!」

男「俺にはわかる!!」

女「なにがわかるの!?どうしてわかるの!?誰にもわかんないんだよ!!!あたしは皆とは違う!!皆とは違って長く生きていられない!その気持ちは…誰にもわかんないよ!」

大粒の涙を流しながら俺の言葉を否定する女は、俺の記憶の底に焼き付いている一人の少年と重なって見えた。

女「あたし男のこと好きだよ…なのにもうすぐで死んじゃう…だから!!っぅむぅ!」

女がこれ以上何か言う前に、俺は女の言葉を遮った。
キス、という強引な方法で。

すみませんが、今日はここまでにします。
また明日同じくらいにきますので。

では、お休みなさい。

唇を離し、女を固く抱きしめる。

男「もう、いい。もういいんだ」

女「はなっ…離して…」

腕の中でもがく女を、俺は少し力をいれて抱きしめる。

男「辛かったな。苦しかったな。怖かっただろうな。世界が自分一人に感じて…目の前が真っ暗になって、光が見えなくなって。でも、もういいんだ。お前はもう、頑張らなくていいんだ。我慢しなくていいんだ。だってそうだろ?もう十分頑張ったお前を、誰も咎めたりしない。暗闇の中に一人でいるのなら、俺が光明になってやる。だから、もう離れんな。また、一緒に帰ろう?」

そう言い切った途端、女はまた大粒の涙流し出した。

女「い、いいの…?男、辛い思いするんだよ…?」

男「………。あのな、辛い思いはするさ。でも、後悔なんざしねぇよ。もし、お前がいなくなっちまっても、俺は女の事を覚えてるし、いつでも思い出す。箱の中にしまったりしないで、ずっと、手のひらの中で温めておく。俺は…女と一緒にいたいんだ」

それから、女はようやく納得してくれた。
今だ泣いていたが、それは、きっと…嬉し涙だと思いたい。

(ノд`)…

それから、女は制服に着替えて鞄をとってくると言い、校内に戻っていった。
少しして、女がやってくる。

女「あぅ、お待たせ」

男「んなに待ってねーよ。行くか」

女の笑顔に、俺はそう返すも内心バクバクだ。
な、なんかデートみたいだな、こういうの…。すっげぇ緊張するな。

男「さ、さあ、行くか」

そう切り出し、俺達は歩き出した。

男「そういや、さっき思ったんだけどよ。女ってちっこいのに加えて、ほっせぇのな」

そう、さっき抱きしめた時に思ったのだ。女、細すぎる。

女「ち、ちっこくないよぉ!それに、細くなんて…最近、その…」

女が何かもごもごと口籠ってる。
なんだ…?あ、まさか…。

男「太ったのか……って、ぅぐっ!」

そう言った途端、腹に鈍い痛みが広がった。
こ、こいつ…いいパンチしてやがる…。

女「それ以上言ったら…なぐっちゃうからね?」

男「いや、もう殴ってんじゃねぇかよ…」

女「あぅ…で、でもでも、今のは男がわるいよ~、女の子に向かって太ったのか?なんて…でりかしーなさすぎ!」プクー

なんか怒られてしまった。
女はすっかりご立腹の様子だ。頬まで子どもらしく膨らませてらっしゃる。
か、可愛いなちくしょう…。

女「あぅ~、そだ!」

女はそう言い、俺の後ろにとてとて、と回り込み、

女「えいっ」

まったく覇気のない掛け声とともに俺の背中に飛び乗った…って、ちょ、

男「お、おいっ、あぶねーだろ!落っこどすとこだったぞ!?」

後ろに乗ってる女に抗議するも、まったく懲りた様子はない。
それどころか、

女「重くないでしょー」

と言いながら足をぷらぷらさせ始める始末だ。
まあ、可愛いからいいけどよ…。

(^q^)「あぅ…」

てかその…やっぱ、胸ってちっこくてもあるもんなんだな。
さっきから背中に地味に柔らかい感触が…。

男「い、いい加減降りろ」

そう言いながら後ろを向くと、意外と女の顔が近くて恥ずかしい。
そのまま顔を元の位置にもどす。

女「あぅ~、なんでー?あ、わかった。重いって言いたいんでしょ~っ」

男「何でそうなる!?だ、だから…その…む、む…むねが…当たってんだよ…」

女「ふぇ!?」

女がそんな謎言語を発した途端、俺の頭ん中の危険察知センサーが鳴り響いた。
ガンッ、そんな音とともに後頭部に衝撃が走る。背中の地味な重みが消えると、女が俺を指差してきた。

女「へ、変態っ!」

男「っつー、なんつー石頭だよ」

女「へんたいへんたいへんたい!!」

男「ばっ、声でけぇっつの!」

女「だっ、だって、男が…」

男「悪かった。俺が悪かったよ」

とりあえず謝っておく。
まあ、たしかに配慮に欠けたかもしれないが、だからと言ってあのままなのもなんかな。

女「あぅ~~…わかればいいよぉ」

再び頬を膨らませながら、女がそう言って許してくれる。
とりあえず、一安心だな。

女「ねぇ、男…?」

男「ん?」

再び歩き出すと、女がそう声を出した。

女「約束、覚えてる?」

男「約束?」

俺が女とした約束は何個かあるので、それをどれをさしてるのかわからなかった。

女「この前一緒に帰った時…あたしが信号みてなくて、男まもってくれたよね」

ああ、あったなそんなこと。
って事はあれか。女が今言ってる約束は、いざって時は守るって約束……。
いざって時…か。

男「バーカ」

女「あぅ?」

恥ずかしいな、これ言うの…。
いや、もう後にはひけない。ここでひいたら男がすたるっつーの!

男「これからは…その……いざって時じゃなくても、守ってやんよ」

あーっ!!
言っちまった。顔真っ赤なんだろうな俺…。
見れば女の顔も赤くなってきてる。って、大丈夫かこいつ!?
耳までかなり真っ赤だぞ!?

女「うん!約束ね!」

男「ああ、約束だ」

女目線。


ーーーいざって時じゃなくても、守ってやんよ。

女「あぅ~~~っ!」

男の言ってくれたセリフが、男の声でリピートされてあたしは身悶える。
恥ずかしかったけど…嬉しかったな…。

女「あぅ~…ぎゅ、牛乳のもっ」

うん、だめだめ、このままじゃ、おーばーひーとしちゃうよ!
あたしは自分の部屋をでて、階段の手すりを掴んで一段一段、ゆっくり降りる。
そしてリビングにつくと牛乳をとって、そのまま飲んだ。

女「っぷはーっ」

あれ、少しおやじくさいかな?
まあ、いっか。

女母「こら、女っ。また直接飲んで…コップを使いなさい」

急に聞こえたお母さんの声にびっくりしたあたしはパックを強く掴みすぎたのか中身が出ちゃって、あたしの服とか顔にかかる。
あぅー、べとべとだよぉー。

女「は、はーい。あ、もうお部屋戻るね」

今のお母さんはお説教さんもーどだ。せんりゃくてきてったいだよっ!
しかし、階段を上がろうとした時、お母さんの声が聞こえた。

女母「女、もう薬飲んだの?」

その薬、という言葉に、あたしは胸が苦しくなる感じがした。
病院からもらったお薬。あたしを縛る、鎖…。

女「あ、ま、まだだ。早く飲むねっ」

そう言ってあたしは自分の部屋へと少し急いだ。
どうしてだろ…男といる時は、こんな気持ちにならないのに。
男に、会いたいな…。

男目線。



男「はあ…言っちまった…」

あー、恥ずかしい…。
やっぱ言わなきゃよかったかな。
でも、言わなきゃいけねぇ気がしたんだよなー。
さっきからこんな思考をずっと繰り返している。

男「やめだ、やめ…」

俺は立ち上がり、インスタントコーヒーを作るためにキッチンに向かった。
インスタントコーヒーを作り、一口あおる。
携帯でも、確認するか。

名前何時の間に外れたんだ…?



携帯にはメールが二通届いていた。
一通目は女、

ーーーーーーーーーーーーーー
今日はありがとね。
嬉しかったよ。
また一緒に帰ろうね?
ーーーーーーーーーーーーーー

という内容のものだった。
とりあえず、返信しとくか。
えーっと、おう、また帰ろうな、と。
さて、二通目はっと。副部長からか。

ーーーーーーーーーーーーーー


マネージャー(以下マネ)が事故った。
ーーーーーーーーーーーーーー

え……?
事故…?

男「嘘だろ…っ!」

どうする、どうする!?
考えろ…いや、違う。
考える必要なんてないな。
俺は、女だけいればいい。
他は、どうでもいいんだ。
とりあえず俺は副部長に、あっそ。とだけ返しておいた。
これで副部長が俺を避けるようになれば尚更いい。
あいつ、少し馴れ馴れしいからな。
うっとおしく感じてたところだ。

男「………女は、なんて言うだろうな…」

副部長からマネが事故った事を聞いておいて、何もしない俺を、女は何て言うだろう。
軽蔑?哀れみ?それとも…怒り?
少し…怖いな…。

それから数日たった。
女は俺に、何も言わなかった。
いつも通りの俺達。変わらない毎日。
そして、幸せに満ち溢れた帰り道。

男「なあ、女」

女「あぅ?なぁに?」

やっぱ、可愛いな。
上目遣いといい、仕草の一つ一つが全部可愛い。

男「そろそろ体育祭近いだろ?お前何出るんだ?」

そう、うちの高校はそろそろ体育祭なのだ。
今年は俺と女は同じクラス。だから俺が女の出る競技を知っていてもおかしくないのだが、俺は競技を決める日に用事があり学校を欠席していた。

女「んー、4×100メートルリレーと、障害物競争と、借り物競争だよ」

競争ばっかじゃねえーか。

女「男は?」

男「俺は…4×100と、4×200と、100メートル走…」

今日担任に呼ばれ、競技を決めるってなった時、残っていたのはこれだった。
4×100は男女混合競技、4×200は男子のみ。100メートル走はクラスで男女二人ずつ選抜される。

男「ってか、体育祭っていつだっけか?」

女「あぅ?えーっと、今日なんにち?」

女にそう聞かれ、俺は携帯を取り出し確認する。

男「5月12日だな」

女「たしか体育祭は31日だよ?」

って、もうすぐじゃねぇかよ。
っあー、めんどっくせぇ。
まあ、女の晴れ舞台が見れると思えばいいか。
そんな事を話しながら、帰り道を二人で歩く。
そしていつもの十字路についた時、

男「な、なあ、女。今度の土日、ど、どっちか…で、で、デートしねぇか?」

突然で申し訳ないですが、高校での欠かせないエピソードなどはありますでしょうか。
体育祭は書くつもりなのですが、もしあるならば文化祭やその他も書くつもりです。
何かありましたら言ってください

土曜日。
特に何もなく、部活もない。
今まで通りの俺なら、そうだった。
だが、今日ばかりは違う。
今日は、女とので、デートの日だ。
この前女と一緒に帰った時にデートに誘ったら、喜びながらokしてくれた。
これから、デートの集合場所に向かうところだ。

男「準備よし、と。さて、行きますか」

俺達が待ち合わせ場所にしたのはいつもの十字路だった。
私服できたのはいいものの…。

男「変じゃねぇかな」

自分の服装を見回していると、

女「お~い、おとこー」

女の声がした。
声がした方を向くと…天使がいた。
白いワンピースを着た女。元々肌が白く、真っ黒で綺麗な髪が良く映える。
私服だと小学生にしか見えんな。

女「あぅ、お待たせっ、待った?」

男「あんま待ってねーよ。行くぞ」

女「うんっ!」

女「ねえねえ、どこ行くの??」

男「そうだな…んー、考えてなかった…」

そうだ。まったく考えてなかった。
なにせ昨日は女とのデートが楽しみすぎてまったく寝れなかったくらいだ。

男「ま、適当にぶらつくか」

女「うんっ」

どこ行くかアテもないのに、女は嬉しそうだな。
なんか、俺まで嬉しくなってきたぞおい。
しかし、事が簡単にいかないのが世の常。俺と女が歩いていると、前方から不良らしき男達が三人歩いてきた。

不良a「キミ可愛いーね。俺らと遊ばない?」

女「あぅ、あ、あの、あの…」

女は俺の服の袖をきゅっと掴みオロオロしている。
ちくしょう可愛いな。

不良b「あれ、もしかして連れがいんのー?そんなのほっといてさ、遊ぼうよ」

あれ、こいつどこかで…。

男「なあ、お前もしかして…」

不良b「あ、あなたは…も、もしかしてお、おおお、お、男先輩!?」

俺の顔を見た途端、不良の一人が慌て始める。

男「久しぶりだな。こいつ俺の連れなんだ。わりぃが退いてくれ。」

不良c「あぁ!?なに調子こいてんだてめぇ」

不良b「ば、バカッ、やめとけ!」

不良の一人が止めるも、キレたのか不良の一人は止まらない。
そして俺に殴りかかってきた。
俺はその拳をいなしつつ、相手に右肘打ちを叩き込む。そしてそこから左でパンチ、最後に鳩尾に膝蹴りを入れた。

男「やべ。ついくせで…」

不良b「だ、だからやめとけっつったろ!」

不良a「な、なんだこいつ!逃げんぞ!」

そう言い残し、倒れている一人を抱えながら三人は走り去っていった。

男「あー、またやっちまった」

女「だ、だいじょぶ?」

男「見てたろ?さ、今度こそ行くぞ」

大きなショッピングモールに到着した俺達はとりあえず色々な店を見て回ろうということになった。
女が服を見たいというので後ろをついていく。
しかし、すっげーな。
こんなちみっこくてお子様体型な女でも、やっぱすごく可愛いからか通っていく男共が女を見ていく。

女「男?どしたの?」

女が俺のほうを上目遣いで首を傾げながら見てくる。
ダメだ、理性が飛びそうになる。

男「いんや、なんでもねーよ。なんかいいのあったか?」

女「あぅ~、まだいいのあんまり見つかってないんだよ~」

男「そか。なら、ゆっくり見て決めろ。なにせ時間はたっぷりあるんだしな」

女「うんっ」

ぱんつ脱いだ

そんなこんなで、この日は最高に楽しかった。
女が試着した服、全てが似合ってたし、色々な店を見て回る女を眺めながら楽しい雑談をして、
幸せだったな。

時間は進み、
今日はもう体育祭。

男「っしゃ、行きますか」

次は俺が出る種目だ。
すると、女が俺のほうへとやってきた。

女「おとこっ、がんばろーねっ」

そう言いながら、ガッツポーズのような仕草をする。
可愛い。

男「あいよ。でも、あんま無茶すんなよ。俺はお前が大切なんだ、無茶したら怒るかんな」

俺は女の頭に手を置き、撫でながらそう釘を刺した。

>>47
すまない、もう少し待ってくれればもしかしたらそういうシーンを書くかもしれない。


結果、俺達は圧勝だった。
まあ、当然だ、陸上部の最速二人が出りゃこうもなる。
体育祭の昼休み、つまり昼食をとる時間。
俺は副部長に呼び出された。

副長「なんで、マネージャーのお見舞いにこなかった?」

やっぱ来たかその質問。
呼び出しがかかった時点で予想はしてたが…。

男「行く必要性がなかったからだ」

ぱんつ穿いた

副長「必要性がないって…!どういうことだよ」

男「言った通りだよ。俺はあいつとは関係ない」

副長「どうしてだよ、元カップルだろ!?だったら…」

男「だったら!!だったらなんだよ」

その瞬間に、俺は自分の中の何かが切れたのを感じた。
だめだ。もうこうなったら止まれない。

男「俺はなあ、もうあいつとは関係ねぇんだよ!下らない事に時間を割いてる余裕なんかねぇんだ!」

副長「下らない事!?部活の仲間が怪我したのが下らない事か!?仲間が怪我したら、傷ついたら助け合うのが普通だろ!?」

男「勝手にてめぇの気持ちわりぃ理想を押し付けんじゃねぇよ!てめぇの普通が他の奴の普通だと思うなよ!」

副長「人間としての最低限の普通だって言ってんだよ!」

男「全部が全部そう善人なわきゃねぇだろ!」

副長「どうしてだよ!?部長さんには優しいくせに、どうして他の奴には目を向けられないんだよ!?」

部長さん、とは女のことだ。
お互いヒートアップしてきている。
ダメだ、このままじゃ、俺の知られちゃいけない事がバレる。
でも、止まれない。

男「あいつの事を見てなにが悪いんだよ!?時間がねぇんだよ!他人を見てる暇なんかねぇんだ、その他大勢に気を回してる暇なんかねぇんだよ!!」

副長「時間がない…?」

マズイな。
副部長は勘が鋭い。
これは…ばれたな。

副長「まさか…男、お前…」

男「ああ、そうさそうだよ。俺は病気だ。もって後半年のな」

そういうと副長は黙り、ごめんとだけ言い残して去っていった。
俺は一人、屋上へと向かう。

初めて女に会った時に気になったのは、
後ろ姿からでもわかるほど女が綺麗だった、可愛かったからじゃない。
たしかにそれもあった。
でも、それ以上に心のどこかで、直感で思ったんだ。
ああ、こいつは俺と同じだ、って。
こいつならきっと、俺を理解してくれるって。
それから話すようになって、段々と好きになっていった。

でも、本当は違ったのかもしれない。
こいつは俺と同じ。
俺を理解してくれるんだ。
そういう気持ちから、女を慕っていったのかもしれない。
俺はただ、逃げていただけ。
自分の後ろにある重圧から必死に逃げていただけ。
足掻くのがみっともなく思えて、全てを諦めて。
自分は人とは違う。
人と違って、長く生きられない。
そう自分で自分を縛り付けて、
劣等感を感じて、
その下らない劣等感から他人を拒絶した。
他人を突き放した。
親友を…殺した。

嫉妬、劣等感、憎悪、妬み。
今まで他人にはドス黒い感情しかわかなかったはずなのに、
女にはそんな感情はなかった。
ただ一つの想い、好き、しかなかった。
それは、共感と言えるだろう。
同種の闇を抱える者の共感。
だから、俺は決めたんだ。

死ぬまで好きでいようと。

死ぬまで一緒にいようと。

死ぬまで大切にしようと。

人が人に抱く好意なんか比較にすらならない。

俺は女さえいればいい。

俺は女さえいれば何もいらない。

俺のこの気持ちは、

共感であり、

狂愛。

俺は思考の海に沈んでいた自分を引き上げ、そろそろ午後の種目も始まるのでグラウンドへと向かう。
すると、小さな悲鳴が聞こえた。

男「なんだ?」

悲鳴の発声源を辿り、そこへ辿りつく。
そこには、体操服を少し破かれ、胸元に顔を踞れている女がいた。
女は後ろから羽交い締めにされ、身動きが取れないように固定されている。
そこへ、一人の男子生徒が女の胸元に顔をうずくめているのだ。
しかもその胸元は肌が、胸が露出してしまっている。

ん?二人共病気? しかも男のほうが早死なの?え?

女「や、はなしっ…っ…はなしてっ」

駄目だ、女にまだ距離が遠い。
女が涙を流しながら首を振る。
胸元に顔を埋めている男子生徒は、女の胸に舌を伸ばした。

女「やだっ、やだやだやだ、やだよぅっ、やっ…っ…ん…」

男子生徒a「やだって言いながらも感じてんじゃんかよー」

女「舐めっ…ないでぇ…やっ…だっ!やあっ」

胸を舐めている男子生徒は、更に激しく舌を動かす。

女「や、やだっ、やめっ…あっ…ああっ…お、おと…おとこ…」

気が付いた瞬間、俺は飛び出していた。

更に加速し、まだ遠かった距離を全身の筋肉を使い肉薄する。

男「女に…触れんなあああ!」

スピードを殺さないまま跳躍して、女の胸を舐めてる男を蹴り飛ばす。

女「おとこっ!」

女の顔を見る、やっぱり泣いていた。
泣いてた。こいつら…こいつら…!

男「女を、泣かせたな…。女を泣かせたなああああ!!!」

俺は女を羽交い締めしていた奴を殴り、まずは女を解放させる。
そしてそのまま地面に倒し、マウントをとる。
顔面に幾度となく拳を叩きつけた。
何度も、何度も。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
相手の顔がぐしゃぐしゃになるまで。

女「お、おとこ、も、もういいよっ!」

男「泣かせた!泣かせた!泣かせたああ!」

女「おとこっ!!」

男「っ!」

意識が…トンでた…?
俺ははっとして馬乗りになっていた男子生徒を解放する。

男「女!」

俺は倒れている男子生徒二人を見向きもせず、女の元へと走る。

男「大丈夫か!?怪我してないか!?」

女「ぅ、ひぐ…お、おとこ……こわっ…こわかっ…」

再び泣き出しながらも言葉を紡ごうとする女を、俺は抱きしめる。

男「大丈夫、大丈夫だから。ごめんな、一人にさせて。ごめんな…!」

硬く硬く抱きしめていると、ようやく女は落ち着きを取り戻した。
俺はきていたジャージを女に着せて、教室へと戻る。
この際、体育祭はサボタージュしよう。

男「少し、落ち着いたか?」

女「うん…」

男「そっか」

女「おとこ…ありがと…」

男「え?」

女「守ってくれて。あたしね、すごくこわかった。だから、約束守ってくれてありがとう」

男「俺は…守れたのかな。約束」

女「もちろんだよ」

男「そっか」

今日はこの辺にします。
しばらく更新せずにすみませんでした。

やっぱ、エロは難しいね。
声の表現が特に。

あと、男の病気の件に関しては自分なりに結構伏線をはったつもりです。
では、また明日にでも更新します。

>>64
いや、伏線っつうか……
男は治ったんじゃねーの?

??
二人とも死ぬレベルの病気なのか?

それからは、二人とも何とか気を持ち直して体育祭をした。
もちろん、女を襲っていた二人の男子生徒は教師に突き出したけどな。
家に帰った俺は一人考えにふけっていた。
このままでいいのか。
女に俺の病気の事を黙っていていいのか。
俺は子どもの頃に入院していた。
友を殺してしまって、少したった時、俺は退院したんだ。
もう、手の施しようがなく、余命もあまりない。
だから家で好きなことをできるように、と。
今は、たまに病院に行き、検査をしてもらうだけ。

男「いいのか…このままで」

自問してみるが、答えなんか帰ってくるわけない。

男「言わなくちゃかな。」

やっぱり、言わなくちゃなんだと思う。
黙ってていいわけがない。
こんなのきっといつかバレる。
いつか、綻びが生まれる。
俺は携帯を取り出し、女に電話をした。

男「女か?」

『うん、どしたの?』

男「少し話したいことがあるんだ。今から会えるか?」

『あぅ、いいよ?じゃあ、いつものとこでね』

いつものとこ。
それは十字路だろうな。
覚悟を決めなきゃな。
俺は十字路に向かう、しばらく歩いて十字路につくと、そこにはすでに女がいた。

男「…よっ」

女「あ、男。どしたの?」

男「お前に話したいことがあってな」

女「話したいこと?」

男「ああ。落ち着いて聞いてくれ。俺は………」

ここで言ったら二度と元には戻れない。
壁を乗り越えたなら、その壁は俺の退路を塞ぐ障害となる。
でも、言わないなんて卑怯だと思うから。

男「俺は、病気だ。それも、余命半年の」

女「あぅ…?」

男「少し、昔話をしようか」

男「俺は、子どもの頃から体が弱かった。病気だったからだな。入院してたんだ。ずっと」

昔を懐かしむように俺は語る。
心の奥底にしまい込んだ箱の蓋を開けていく。

男「ずっとずっと、一人でさ。同年代の友達なんかいなかった。相手はいつも年寄りばかり。でもさしょうがないと思ってたんだ。俺は、他の人とは違って長く生きられないから」

俺はいつもその劣等感に縛りつけられてきた。

男「でもさ、そんなある日、俺がいる病室に一人の男の子が入ってきたんだ。俺と同い年の、そして、俺と同じ病気の」

女「…」

女はなにも答えない。
今、どんな顔をしているだろうか。
見ることなんて、出来やしない。

男「俺はさ、そいつとすぐに仲良くなった。親友だって思ってた。でも、俺とあいつは違った。俺の病気はもう治しようがないところまで来ていたけど、あいつの病気はまだ初期の段階で、普通に治せたんだ」

男「そいつは手術をして治った。俺は祝福するべきだったのに、裏切られたと勝手に勘違いして、親友を責めた。最低だよ俺は。お前の手術なんか失敗すればよかった。そう言ったんだ」

そう、その言葉は俺が何をしようと取り消せない。
言葉は不完全だ。不完全だからこそ、間違ってはいけない。
しっかり考えて、紡がなくちゃいけない。
なのに俺は、言葉を刃にして、友の心に突き立てた。

男「子どもながらの嫉妬だったんだろうな。でもさ、その言葉が引き金となったのか。そいつは自殺した」

女「っ!」

女が息を飲むのが聞こえる。

男「俺はさ、一人の人間の人生をぶち壊しにして、のうのうと生きてる。そんな罰だろうな。もう、長くないんだ俺」

男「ごめんな。俺は、お前との約束。守れそうにない」

俺が女とした約束は、ずっとそばにいる。
何よりも大切な約束だったはずなのに。
その約束は、脆い。

女「ぁぅ…な、なんで…なんで…」

男「ごめんな。俺とはもう、関わるな」

突き放す。
結局、俺はまた突き放す。
なにも出来ないんだ。俺は。

女「どうして…どうしてそんなこと言うの…?」

男「俺はお前より長くない。俺の事は綺麗さっぱり忘れろ」

失うくらいなら、最初から何もないほうがいい。
俺は友を失ってからそう学んだ。
どうせ、失くなってしまうんだから、と。

女「どうして、どうしてもっと早く言ってくれなかったの!?」

女が俺のほうを向く、涙の軌跡は夕焼けの中で映えて、俺の心に一つの釘を打つ。

男「言ったらどうにかなったか?どうにもならないだろ?どうしようなもないんだよ」

女「そんな、そんなことない!たしかに何も出来ないよ、でも、あたしは…男の支えになりたい!」

男「もうすぐ、いなくなるんだぞ…」

女「それでも、それでも…あたしは男のそばにいたい…」

優しい言葉を投げかけられる度、俺は揺れてしまう。
女に悲しい思いをさせるなら、離れたほうがいいと思ってた。
でも、もし女が俺が離れるほうが辛いとしたら…俺は…。

男「それでも、俺は…」

女「約束…したのに……」

約束。
それは俺と女の思い出の数々。
風化することのない、大切なもの。

男「そばに…いてもいいのか…?」

女「当たり前だよ…」


男「なあ、女。ずっと一緒にいる約束、守るからな」

女「うんっ」

俺は、生涯愛そう。
この子を。
そして、手術を受けよう。
成功率は二割。
でも、受けてみよう。
約束を守るために。
聞けば女も手術を受けることになったそうだ。
俺は、一歩をようやく踏み出せたのかもしれない。
友、絶対幸せになるからな。

なんかすごいグタグタになってしまった。
でも、これ以上伸ばすと更にグダグダになるから、これで終わりです。

本当に消化不良になり申し訳ありません。

本当に駄文になってしまったよ。


お付き合い頂いた方はありがとうございました。

よかった乙!

もう少し長引かせてもよかった

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