「ﾀﾀﾞｲﾏｰ」

蛇口「あの声は、妹ちゃん…！助かった！」

蛇口「いやーちゃんと水止まってないと落ち着かないよなやっぱ」

蛇口「人間で言う尿漏れ？的な？」

蛇口「しかしよかった。下手すりゃ夕方に母ﾊﾊさんが帰るまで漏れっぱなしになるとこだった」

蛇口「ジャーーー」

…ｷｭｯ
蛇口「ふぅ…やっぱ妹ちゃんは馬鹿みたいに水出し過ぎたりしないな。感心感心」

ﾎﾟﾀｯ…ﾎﾟﾀｯ…ﾎﾟﾀｯ…

蛇口「あああ゛あ゛あ゛゛！！また水洩れてんじゃねーか」

蛇口「しかもさっきより漏れひどくなってんよ」

「ｱｯ、ﾐｽﾞﾓﾚﾃﾙ」
ｷｭｯ

蛇口「おっ」

蛇口「やっぱり妹ちゃんは男みたいにガサツじゃないな。ちゃんと気づいてくれた」

「ｵｯ、ｲﾓｳﾄｵｶｴﾘ」「ﾀﾀﾞｲﾏｰ」

蛇口「あっそういや俺、妹ちゃんにおかえり言ってないな」

蛇口「おかえりー」

蛇口「まあ言ったとこで伝わるわけじゃないんですけどね」

蛇口「排水口に流れた水ってどうなるんだろうな」

蛇口「自分の口から出たものだ。なんとなくその行方は気になる」

蛇口「我が子…ってほど愛着あるわけでもないが、排泄物ってほど忌み嫌ってるわけでもない」

蛇口「…あー、下水道ってやつに流れてくんだったか？」

蛇口「………」

蛇口「下水道はゲスいどうｗｗｗｗｗ」

蛇口「………」

蛇口「うん」

「ﾌ～ﾌ～　ﾌﾌﾌﾌﾌﾌﾌﾌ～ﾌ～♪」

蛇口「あれ、男がまたやってきた」

蛇口「なんで鼻唄なんか口ずさんでるんだ」

蛇口「しかも音痴が過ぎてメロディわけわからんぞ」

蛇口「………」

蛇口「あーあー　かわのながれのよーにー」

蛇口「……俺の方がもっと下手だな」

「…ﾅﾝｶｷｺｴﾀｿﾞ？」

蛇口「！？」

「………ｵｷｮｳ？」

蛇口「ちょｗｗｗｗｗｗ」

蛇口「……まあ男より更に下手なんだから、お経みたいなもんだよな…」

蛇口「いやいや俺の歌がお経みたいなのはとりあえずどうでもいい」

蛇口「それより、俺の声が聞こえたってのか…？」

蛇口「おーい男ー」

「…ﾓｳｷｺｴﾅｲﾅ…ﾅﾝﾀﾞｯﾀﾝﾀﾞ…？」

蛇口「おーい」

「ｿﾗﾐﾐ…ﾀﾞｯﾀｶ…？」

蛇口「空耳じゃないぞー」

蛇口「……」

蛇口「…聞こえないか」

蛇口「マジでどっかからお経でも聞こえただけなのかもな」

蛇口「んで男は洗面所になんの用だ？」

蛇口「トイレに入るでもないようだし」

「ﾌﾌﾌ～ﾌﾌ～ﾌﾌ～ﾌﾌ～ﾌﾌﾌ～♪」

蛇口「ゴキゲンで鏡なんか見てんよ」

蛇口「……色気づいたか？」

蛇口「まーどうでもいいか」

ｷｭ
蛇口「グゲェーーーーー」

…ｷｭｯ

蛇口「ゲホゲホ…うぅ、そんなに水量いらんだろ……」

蛇口「なんだ？なんか取り出したぞ」

蛇口「洗顔ジェル？」

蛇口「ああホントに色気づいたんか」

蛇口「まあお年頃だm
ｷｭ

蛇口「グゲェーーーーー」

蛇口「しかし夕前にわざわざジェル使って洗顔とか」

蛇口「新品を試しに使ってみた…ってとこかね」

蛇口「……お年頃ですなあ」

………ﾎﾟﾀｯ

蛇口「まあああああああああああああああああた水洩れてんよ」

「ﾀﾀﾞｲﾏｰ」

蛇口「おぉ母(ﾊﾊ)さんだ」

「ｵｶｴﾘﾅｻｰｲ」
「ﾀﾀﾞｲﾏｲﾓｳﾄｰ」
「ｵｶｴﾘｰ」
「ﾀﾀﾞｲﾏｵﾄｺｰ」

蛇口「おかえりなさーい…」

蛇口「……………」

蛇口「……」

……ﾎﾟﾀｯ……

ｷｭ

蛇口「ジャーーー」

…ｷｭｯ

「ｵﾄｺｰ、ﾐｽﾞﾁｮｯﾄﾃﾞﾃﾀﾜﾖｰ」
「ﾏｼﾞﾃﾞｰｺﾞﾒｰﾝ」

蛇口「…」

蛇口「母(ﾊﾊ)さんは俺にとってのオムツだな」

蛇口「水洩れ＝尿洩れを始末してくれる的な意味で」

蛇口「…なんか失礼な喩えだったな」

蛇口「しかも全然上手くないな」

蛇口「それにしても……」

蛇口「洗面所にいる連中で俺の他に誰か喋れるやつはいないんだろうか」

蛇口「……そもそも"喋れる"ってなんだろ」

蛇口「いくら喋ったって誰にも伝わってないんじゃ、"喋れる"も何もないな」

蛇口「独り言…どころか、脳内で呟いてるようなもんだ」

蛇口「フォロワー0の状態で鍵かけて呟いてる、みたいな」

蛇口「……なんで俺ツイッターとか知ってるんだろう」

蛇口「うーむ、つまり俺は人間の言葉が理解できるってだけで」

蛇口「"喋れる"ってわけじゃないのかもな」

蛇口「仮に俺みたいなのを"喋れる"とするなら、この洗面所にも"喋れる"やつは他にもいるのかもな」

蛇口「それぞれが発信能力を持ってないだけで、さ」

蛇口「…そう考えるとちょっと面白いな」

いちいち蛇口捻るときに吹くwwwwww

いつも勢いよく出してごめんなさい