雪歩「アムリタ」P「誕生日おめでとう、雪歩」 (60)



雪歩、誕生日おめでとう!

・Pと雪歩
・サザエさん時空
・アイマスシリーズ、アニマスのネタバレを含むので注意


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1419413247



重要!

このSSは、

雪歩「アムリタ」
雪歩「アムリタ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413184148/)

に、雪歩誕向けにちょっとだけ加筆修正を加えたものです。
以前読んでくださいました方には既視感どころではないSSかもしれません。あらかじめご了承ください。






あの日から、1635日。

Since 2010/07/04……



765プロ


P「ゆーやけこやけで ひがくれてー♪」カタカタカタカタ

小鳥「キーボードをうつ 音がするー♪」カタカタカタカタ

P「うーん……世はクリスマスイブだと言うのに、今年もパソコンとにらめっことは」ノビー

小鳥「私はクリスマス関係なくずーっとそうだったのですが……」カタカタカタカタ

P「いやー頭が下がる思いです」

小鳥「ふふん、感謝してくださいよっ♪」

P「でも一日の半分くらいはサボってますよね」

小鳥「ピヨッ!?そ、そんなことは!」

P「ここに知り合いから貰った高そうなシャンパンがあるのですが……」スッ

小鳥「同人誌描くのがやめられなくて……ハッ!?」





P「まったく…………」カタカタカタカタ

小鳥「ピヨォ……」カタカタカタカタ

P「そういえば今日って事務所にいたの俺と音無さんだけですね」カタカタカタカタ

小鳥「そういえば……竜宮小町が地方ロケで昨日からいなくて、春香ちゃん、千早ちゃん、雪歩ちゃんがテレビとラジオの収録、さらに雑誌の取材で朝から……まさか社長が付き添いを買って出るとは……」カタカタカタカタ

P「『クリスマスくらい外に出てもバチは当たらないだろうよ君ィ!』って……音無さんがまさにそれなのに……」カタカタカタカタ

小鳥「あとのみんなはオフ……といっても今夜は1カ月ぶりにみんな集まりますね。もうちょっとで春香ちゃんたちのお仕事が終わる予定ですね、竜宮もパーティには間に合わせるです」カタカタカタカタ





P「まったく…………」カタカタカタカタ

小鳥「ピヨォ……」カタカタカタカタ

P「そういえば今日って事務所にいたの俺と音無さんだけですね」カタカタカタカタ

小鳥「そういえば……竜宮小町が地方ロケで昨日からいなくて、春香ちゃん、千早ちゃん、雪歩ちゃんがテレビとラジオの収録、さらに雑誌の取材で朝から……まさか社長が付き添いを買って出るとは……」カタカタカタカタ

P「『クリスマスくらい外に出てもバチは当たらないだろうよ君ィ!』って……音無さんがまさにそれなのに……」カタカタカタカタ

小鳥「あとのみんなはオフ……といっても今夜は1カ月ぶりにみんな集まりますね。もうちょっとで春香ちゃんたちのお仕事が終わる予定ですね、竜宮組もパーティには間に合わせるそうですよ」カタカタカタカタ






P「夕焼けがきれいだなぁ……この季節にしては珍しいですねー」カタカタカタカタ

小鳥「パソコンのブルーライトもきれいですよ…………」カタカタカタカタ







……………………ポツ

P「…………ん?」

小鳥「あれ…………?」


……ポツ…………ポツ……




ポツポツ…………




サァァァァァァ………………


P「ありゃ、降り出した……あれ?雨か」

小鳥「春香ちゃんたち、大丈夫かしら……」




サァァ…………

P「雪まじりかな?……ちょっときれいですね」カタカタカタカタ

小鳥「本当ですね……」カタカタカタカタ







小鳥「雨粒が光に照らされて、まるで銀色の雨…………なんちゃって♪」カタカタ


カタ…………







小鳥「……プロデューサーさん?」

P「銀色の、雨…………か」





プロ………ーサー



……穴掘って………てますぅ…!!






サァァ…………

P「……すいません、ちょっと外出てきます」スクッ

小鳥「へ!?この寒い中をですか!?」

P「すぐに戻ってきますから。あ、帰りにコンビニで何か買ってきましょうか?」スタスタ

小鳥「え、あ、いや……でも、すぐに止むと思いますから今出かけなくても」

P「特にないですか?じゃ、適当になんか買ってきますよ」ガチャ

小鳥「プロデューサーさ「バタン」……いったいどこへ…………?」



サァァァ…………



__どこかのカフェ……の近く


サァァァァァァ………………

P「………………」カササシテアルク



P「………………」キョロキョロ









P「!」タッタッタッタッ

「………………!!」




P「傘もささずに突っ立って……風邪ひくぞ?」

「やっぱりそう見えますか?」

P「見てるこっちが寒々しいよ…………ユーレイか何かなのか?」

「えーっとぉ…………そうですね、そういうことにしておいてくれませんか?」














P「久しぶりだな…………雪歩」

「えへへ……お久しぶりです。プロデューサー」





P「カフェは……混んでるな。歩きながら話そうか」








サァァァァァァ………………

P「あれから、4年くらいか?」

「そうですね……もう、そんなに経っちゃったんですね」

P「4年前か…………懐かしいなぁ」

「『私』、もう4年間も穴を掘ってないんですよ?」

P「こっちの方では翌日に早速事務所に大穴を開けてたよ」

「ふふ……やっぱり私は、変わらないんですね」





P「てか、他の人に雪歩は見えてるのか?見えてないと俺、独り言ブツブツ言ってる非リア充に見られちゃうんだけど」

「大丈夫ですよ、私たちのことをわざわざ気にする人は、いないでしょうから……きっと」

P「そんなものかな…………ま、いいか」

雪歩「毛利蘭死ね キモい毛利蘭死ね ブサイク毛利蘭死ね ゴリラ毛利蘭死ね 彼女気取り毛利蘭死ね
毛利蘭死ね キモい毛利蘭死ね ブサイク毛利蘭死ね ゴリラ毛利蘭死ね 彼女気取り毛利蘭死ね
毛利蘭死ね キモい毛利蘭死ね ブサイク毛利蘭死ね ゴリラ毛利蘭死ね 彼女気取り毛利蘭死ね
毛利蘭死ね キモい毛利蘭死ね ブサイク毛利蘭死ね ゴリラ毛利蘭死ね 彼女気取り毛利蘭死ね
毛利蘭死ね キモい毛利蘭死ね ブサイク毛利蘭死ね ゴリラ毛利蘭死ね 彼女気取り毛利蘭死ね
毛利蘭死ね キモい毛利蘭死ね ブサイク毛利蘭死ね ゴリラ毛利蘭死ね 彼女気取り毛利蘭死ね
毛利蘭死ね キモい毛利蘭死ね ブサイク毛利蘭死ね ゴリラ毛利蘭死ね 彼女気取り毛利蘭死ね
毛利蘭死ね キモい毛利蘭死ね ブサイク毛利蘭死ね ゴリラ毛利蘭死ね 彼女気取り毛利蘭死ね」



サァァァァ…………


P「しかし4年かぁ……いやー、雪歩と初めて会った日が懐かしい」

「そうですね……あの頃は本当に男の人と犬が苦手で……」

P「あれ?今も苦手じゃなかったか?」

「もう9年なんですよ?『私』だって……」

P「おや、あんなところに獰猛そうなゴールデンレトリーバーと大柄なマッチョが」

「ふぇ!?」ビクッ!

P「……雪歩?」ニヤニヤ

「……プロデューサー、嫌いですぅ」プクー

P「ははは、悪かったよ」ナデナデ

「うぅ……いぬ美ちゃんなら平気なんですけど……」




P「しかし、最初は大変だったな……出会って早々にストーカー扱いされたと思ったら……なんだかなぁ、すっごい引っ込み思案だったよな」

「だって、『私』って本当にひんそーでちんちくりんで、どうしようもない子でしたから……765プロに入ったのも、そういう自分を変えたくて、だったんです」

P「とにかく自信をつけるところからだったな。三歩進んで、二歩下がる」

「うぅ……あの時はいろいろとご迷惑を……」

P「まぁそうやって頑張る雪歩が可愛かったんだけどな」

「ふぇ!!?」

サァァァァ…………



P「で、どうにか初ライブまで漕ぎ着けた……雪歩の『First Stage』、舞台袖で感極まってしまってな……」

「初めてのライブ、すごく楽しかったですぅ……とっても小さなステージだったし、お客さんもほとんどいなかったですけど」

P「信じてたとはいえ、あの雪歩がここまでやれるってのは驚いたよ」

「えへへ……ライブの時はとにかく必死になっちゃって……終わったあとになって腰が抜けちゃって、しばらくたてませんでしたぁ」




P「そこから、まぁ順風満帆とは言えなかったけど、少なからず人気は出てきた」

「あの頃から、みんなも少しずつ売れ始めてましたよね。……美希ちゃんは違いましたけど」

P「もしかしたら美希は、本当に生まれついての『天才』だったのかもな。才能の差だけを考えれば、美希がレッスンが嫌になるのも無理はなかったのかもしれない…………まぁ仕事は来ないよな、レッスンしてないからそもそもダンスも歌も覚えてないし」

「美希ちゃんが本当の意味で開花するのはもう少し先…………」




サァァァァ…………

P「…………の、はずだったんだよなぁ」

「まさか、ちょっとした喧嘩で961プロに行っちゃうなんて……」

P「フェアリーでデビューした時は面食らったよ……あんなにキラキラした美希は見たことがなかった」

P「やり方には到底共感できないけどな……なんだかんだ凄い人なんだよ、黒井社長は」

「『私』、四条さんと何回も対決しましたけど……四条さん、とても辛そうでした。顔にはあの時まで出していませんでしたけど」

P「孤独を強要され、過度に期待され、その重圧に押し潰されてたな、あの時の貴音は…………響も、そして美希でさえもそうだった」






「IUで優勝して、四条さんがいなくなっちゃって……せっかく優勝したのに、あんなに泣いたのは初めてでしたぁ……」

P「あの後、順一朗社長がフェアリーを連れてきた時にはもう俺は夢かなんかでも見てるんじゃないかと思ったよ。その直後『新しい仲間だ!』って言われた時はドッキリかと思った」

「みんな唐突な再会に立ち尽くしすしかなくて……フェアリーはフェアリーでものすごく気まずそうで……」




P「……雪歩、知ってたか?それから少ししてから、ようやくお前が貴音に話しかけて……その勢いで抱きついて大泣きしてたな……貴音、泣いてたんだぞ」

「え、あの時は四条さんしか………プロデューサー、見てたんですか?」

P「事務所を覗いたら雪歩と貴音が抱きあってるのが見えたから営業に行ったんだ」

「い、言い方に悪意がありますぅ!」







サァァァァ…………


P「……あれ?」

「プロデューサー、どうしたんですか?」

P「初めて会ったのは9年前で、フェアリーが765プロに来たのは5年前だろ?そうそう、ディアリースターズと出会ったのも同じ年だ……」

P「で、あの日から4年ってことは、俺はもう雪歩と過ごした年月の倍近くの時間を過ごしているってことか?」

「……そうですね。今年でもう9年、来年は10年目ですから……」








「『私』……もう一人の私に、もうすぐ追い越されちゃうんです」


P「………………そうだ、な」

「……………………」



サァァァァ………サァァァァ………




P「……………………なぁ」

「?」












久しぶりに、雪歩の歌が聴きたいな






__テレビ局

雪歩「うぅ……せっかくの誕生日なのに……やっぱり私はだめだめなんですぅ…………」

春香「大丈夫だよ雪歩、たまにはこんな日だってあるんだから」

千早「そうよ萩原さん、いつも完璧だなんてことはありえないのよ、完璧を目指すために努力することはできるけど」

雪歩「でも……こんなひんそーでちんちくりんな私が努力したって…………」

春香「ほらぁそんな顔しないでっ!そんな雪歩を見たらプロデューサーさんが泣いちゃうよっ!」ダキッ

雪歩「ふぇっ!?は、春香ちゃん、こ、これは……」ワタワタ

春香「ふふふ、雪歩はかわいいなあ」ギューッ

雪歩「えと、えと、あの、その……………………ふぇぇ///」カァァァア

千早「春香、萩原さんが困ってるわ」

春香「えへへ、ごめんごめん」




春香「そういえば、高木社長は?」

千早「玄関の方に車を回してくれるそうよ、そろそろかしら……」

ジドウドア<ウィーン

サァァァァ……

春香「うわぁ、雨降ってる……」

千早「いや、雪まじりだわ……寒いわ、濡れるのは嫌ね」

雪歩「さっきまで晴れてたのかなぁ…………でも、なんだろう」






雪歩「どこか…………きれいな雨だなぁ……って」

春香「雪歩…………?」

千早「萩原さん…………?」




ブロロロロ……プップー



高木「おーい、早く乗りたまえー!」

千早「はーい!」タッタッタッタッ ガチャ

春香「ありがとうございまーす!……ほら雪歩、帰ろうよ?みんな待ってるから」

雪歩「……………………」ポヤァ

春香「雪歩?」

雪歩「………………あの、春香ちゃん、えっとね………………」








サァァァァ……サァァァァ……

ブロロロロ……

春香「雪歩、どうしちゃったんだろう……この雨の中を歩いて帰るなんて」

千早「やっぱり、収録のことを引きずっているのかしら……」

高木「なに、心配する必要はないだろう。萩原君は、強い心を持っているからな」

春香「でも…………」

高木「天海君、君にもあるのではないかね?人知れず、一人になりたいという時が……これは、何も悲しい時だけには留まらない」

高木「彼女にはきっと、何か思うことがあるのだろう。今は、そっとしておこうじゃあないか」

ブロロロロ……





「キラリ 光の列♪」

「すり抜けたら二人……♪」



サァァァァ…………


パチパチパチパチ


P「……ありがとな、すごく良かったぞ」

「えへへ……ありがとうございますぅ」テレテレ

P「……懐かしいな、雪歩の歌声。4年ぶりのライブはどうだった?」

「雨の中の屋外ステージ、観客はプロデューサー……えへへ、プロデューサーに聴いてもらえただけで最高です」

P「……懐かしいか?IUのステージ」

「……はい」

P「本当はさ……あの時のようなステージで歌う雪歩も見たいんだけどな……なんか、ごめんな」

「大丈夫ですよ……『私』の思いは、みんな、向こうの私が受け継いでくれましたから」






P「あぁ……律子が引退して、竜宮小町がデビューひて……っと、後で律子はステージに帰ってきたけどな」

「961プロからジュピターがデビューして……運動会で765プロが優勝して……」

P「…………千早の一件を、みんなで乗り越えて、346プロ、さらに315プロが現れて、後輩もできた」

「オーバーランクのアイドル、玲音さんとも対決してましたぁ」

P「…………だめだな、話し出したら止まらなくなりそうだ」

「ふふ……また、ゆっくり話せたらいいですね」

サァァァァ…………サァァァァ……






P「あぁ……律子が引退して、竜宮小町がデビューして……っと、律子はステージに帰ってきたけどな」

「961プロからジュピターがデビューして……運動会で765プロが優勝して……」

P「…………千早の一件を、みんなで乗り越えて、346プロ、さらに315プロが現れて、みんなに後輩もできた」

「オーバーランクのアイドル、玲音さんとも対決してましたぁ……凄いですね、あの人」

P「…………だめだな、全部語ると10年あっても足りないかもしれない」

「ふふ……じゃあ、続きはまた、ゆっくり話しましょうね」

サァァァァ…………サァァァァ……





P「…………さて、と」

「着きましたね…………」

P「あぁ」

「…………大きな建物、ですね」

P「そうだな…………」










P「…………なぁ、あの時のこと、話してもいいか?」

「……………………はい」





P「…………あれは、雪歩がIUで優勝して、しばらく経った後だったな」

「……………………」

P「ある日、俺は普段通り出社した。社長と音無さんはもういた。で、いつも通り仕事を始めると、伊織、あずささん、やよい、亜美真美……みんながやってきた。その中には雪歩、お前もいたな」

「……………………」

P「それで、まぁいつもの一日が始まったわけだが…………俺は、どこか違和感を感じた。……何でだか分かるよな?」

「………………はい」

P「……………………なぁ、雪歩」







P「どうして、急にいなくなったんだ?」




サァァァァ………………




「…………ごめんなさい、『私』も分からないんです」

「ただ…………少し前から、分かってはいたんです……自分は、もうすぐいなくなってしまう……ってことだけは」

P「でも……何故なのかは、分からない」

「はい…………ごめんなさい、本当に…………」

P「いや、雪歩を責めてる訳じゃないんだ……その、さ」



P「俺もな…………雪歩がいなくなった、っていうのが、何となくわかった」

「プロデューサーもですか?」

P「うーんとな……正確には違うよな。雪歩が、いなくなるけど、いなくならない……はは、訳が分からないよな、こんなの」




P「いや待て……雪歩、それは違う……かもしれないぞ」

「ふぇ?いや、だってあの時違和感を感じてたのは」

P「俺だけ……だが…………俺の見間違いかもしれないぞ」

P「…………真と、貴音だ」

「真ちゃんと四条さん……」

P「といっても、それぞれ違う理由だ……真はな、ほとんど見せてはいなかったが……なんか、ぎこちない感じでな……結局、なんでなのかは聞けなかったけどな」

「真ちゃん………!」

P「で、貴音の方なんだが…………あいつな、なんか…………その……」

「…………面妖な?」

P「そうそれ……なんだろなぁ、貴音を見ているとな…………あいつ、本当は何もかも知ってるんじゃないかって気がしてなぁ……」

「四条さんはいつも不思議な人でしたから……」

P「いつもはかわいいんだけどな、時々な、時々。いずれにせよ、真相は闇の中なんだけどな」






サァァァ…………サァァ……


サァ…………ポツポツ………………







ポツ…………ポツ…………








P「……止んだな、雨……雪も、か」

「はい…………」






…………スゥ


「…………!」

P「雪歩、手が…………!」

「えへへ…………ごめんなさい、もう…………お別れみたいですぅ」スゥゥ……

P「……止んだからか」

「それもですけど…………もしかしたら…………」スゥゥ……

P「?」







スゥゥ……

P「だいぶ消えてきたな…………また、会えるよな」

「はい……また、『銀色の雨』が降ったら」スゥゥ……




P「おっと……すまない雪歩、大事なことを言わなくちゃな」

「なんですか?」





P「雪歩、誕生日おめでとう」

「……!!」

P「ごめんな、遅くなっちまって」

「うんん……ありがとうございます、プロデューサー!」スゥゥ……




スゥゥ……

P「……ほとんど消えてしまったな」

「……プロデューサー、最後に一つ、いいですか?」スゥゥ……

P「おう……急げよ」

「はい…………その…………」スゥゥ……



プロ………サー…、




ま……





歩き出す……が…きた……



のは………………














ポツ…………











………………………………







P「…………そうだな」



P「最初はさ…………俺だって驚いたし、焦ったし、腹だって立ったよ」

P「みんな何食わぬ顔でさ……肝心の雪歩だっていつもの調子でさ…………」

P「そりゃ内心、ふざけんじゃねぇって思った時だってあったよ……だってそうだろ?こんな理不尽なこと、ないよ」

P「予感がしていたとはいえ、今までいっしょだった仲間が、違う『何か』にすり替わってるんだぜ?あの日は一睡もできなかったな……」










P「でもさ…………俺、気づいたんだよ」








P「男の人と犬が苦手で、自分に自信がなくて、気弱で、いつも大きな穴掘って埋まっててさ…………」







P「でも……健気で、優しくて、心に強いシンを持っている、アイドルの女の子」







P「そんなのはさ…………雪歩、お前しかいないんだよ」





P「『お前』は、やっぱりお前なんだよ……『雪歩』はやっぱり、雪歩なんだ」






P「それにだ、『雪歩』、いなくなってしまっても」


P「『お前』と出逢い、レッスンをして、オーディションに受かって、みんなと笑いあって、貴音と対決して…………IUで優勝した」





P「その思い出は、絶対に『無かったこと』にはなりゃしないんだよ」










P「いいか…………『お前』は『萩原雪歩』だ。これまでも……これからも」







P「そして…………『お前』だけじゃない、あいつもそうだ」

P「なぜなら「だって」」






P「…………!」











雪歩「私は、萩原雪歩だから」











P「…………雪歩」

雪歩「えへへ……春香ちゃんの真似をしてみましたぁ」

P「いや、お前……収録は」

雪歩「もう終わりましたよ?あ、春香ちゃんと千早ちゃんは先に高木社長と帰りましたぁ」

P「まじか……うわ、気がついたらもう真っ暗じゃないか」






P「って、いやいやいやいや、そうじゃないそうじゃない」

P「雪歩、どうしてこんなところに来たんだ?」






雪歩「えーっとぉ…………じゃあ、私も聞いていいですか?」

P「?」













雪歩「『私』は、元気でしたか?」








P「…………そうだよな、雪歩……ああ、そりゃそうだよな」


雪歩「そうですよ…………それに、プロデューサー、ここって……」





雪歩「『私』が、アイドル・アルティメイトで優勝したところ、じゃないですか?」

P「……なら、どうしてここに?」

雪歩「えーっとぉ……『私』の記憶?ですよね、それで何となく思いついた場所が、ここだったんです」

P「……よかったな雪歩、大正解だよ」

雪歩「えへへ、ありがとうございます……でも、私は『私』で、『私』は私なんですよ?だから、分かったんだと思います」

P「…………そうだな」

雪歩「ふふ…………それに、プロデューサー」






雪歩「『私』は、いつだってそばにいるんですよ?」

P「…………え?だって、雨はもう……」

雪歩「はい……プロデューサーには、今は見えませんし、私も見えないです」




雪歩「でも…………分かるんです。『そばにいる』『見守ってくれている』ってことが、私には分かるんです」

雪歩「だから…………私も、『私』も、大丈夫。また、歩きだすことができるんです」

P「……やっぱり強い子だよ、雪歩は。とっても強い」



P「……雪歩」

雪歩「なんですか、プロデューサー?」






P「誕生日、おめでとう」





雪歩「……はい!ありがとうございます、プロデューサー!」

P「さっき『雪歩』にも言ったよ。誕生日おめでとう、ってな……ごめんな、遅くなっちゃって」

雪歩「うんん、とっても嬉しいです!」



P「…………さ、帰ろうか」

雪歩「はい、みんなが事務所で待ってますから」

P「いやー気がついたらこんな遅くなっちまった……そうだ、予約してたケーキを取りに行かないと」

雪歩「…………あの、プロデューサー」

P「ん?どうした?」

雪歩「えと、その、あの…………手、つないでもらっても、いい…………ですかぁ?」


ギュッ


雪歩「ふぇっ!?」

P「ん、これでいいか?」

雪歩「は、はいぃ…………うぅ///」カァァ

P「?」


…………ヒラリ

P「……ん?なんだ?」

雪歩「…………わあっ!」



ヒラヒラヒラヒラ……




雪歩「……雪が降ってきましたぁ!」

P「おお、今度こそ雪だ……ホワイトクリスマスか」

雪歩「とってもきれいですぅ……」

P「よかったなぁ、雪歩」





コツ……コツ……


そういえば、雪歩と二人で歩くのって久しぶりな気がするな


あ、ほんとだ…………えへへ、プロデューサーと二人きりですぅ


そうだ、雪歩、いっしょに何か歌ってみないか?


いいですよ、何がいいですか?


そうだなぁ……ALRIGHT*とかどうだ?


いいですね!それじゃあ……








READY SET GO!! 行きたいトコ行ってみようよ…………♪











雪歩「……………………」



『雪歩』「……………………」













雪歩は笑ってて!








雪歩「……!」

『雪歩』「……!」





雪歩 コクッ

『雪歩』 コクッ














ニコッ







おしまい。


ご一読ありがとうございました。
気づいた方もいらっしゃるかと思いますが……
雪歩……CV:浅倉杏美さん
『雪歩』……CV:落合祐里香(長谷優里奈)さん

という設定でした。ゆりしーの雪歩もあずみんの雪歩も、どっちもいいですよね


これはどうでもいいことですが……
このSSを投下した動機なのですが、前回投下した際に「これって雪歩誕に出した方が良かったんじゃないか?」と思い立ち、また、お恥ずかしながら前回は投下し忘れてしまった部分が……

そんなわけで今回、誕生日に向けて加筆修正を行い、投下させていただきました。



 僕の中では、長谷さんは“卒業”という感覚はなくて。この世の中に、長谷さんが声を吹き込んだ雪歩の歌は存在するわけですし。確実に足跡はいっぱい残っている。たとえるなら、サッカーの選手交代みたいに、「いったんベンチには下がった、でもチームの中には残っている」というイメージが、僕の中の心に一番近いイメージです。試合結果を見たときにはしっかりと、「スタートから何分まで出場――落合さん、長谷さん」と名前が刻まれているんです。だから長谷さんには観客席じゃなくて、ベンチにいてほしいと思っています。

(長谷優里奈さんから浅倉杏美さんへの、雪歩役交代にあたっての当時の記事より抜粋)

_ディレ1こと、石原章弘さん

それでは、HTML化を申請してきます。ありがとうございました。



雪歩、10回目の誕生日、おめでとう。

くさっ

おつっ

おつん!

乙だな

1stVISONの雪歩(『私』)と2ndVISONの雪歩(私)の話って事でいいのかな
ともかく、乙でした

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