こひな「デートなのです」 (28)
ガラララ ピシャン
こひな「ただいまなのです」
ド ド ド ド ド ド
コックリさん「こひなぁーーーーーーーーーーッ!!」
狗神「我が君ーーーーーーーーーーーーーッ!!」
こひな(ものすごい勢いで、家の奥から獣が走って来るのです)
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ガ シ ィ ッ ! !
コックリさん「もー!勝手に1人で出かけちゃダメでしょー!!」
コックリさん「どこ行ったか心配したんだぞ!!」プンプン
狗神「我が君、私めを置いて何処かへ行かれるなど、あまりにもむごい!」
狗神「このまま帰ってこないのではないかと心配いたしました!!」ウルウル
こひな「・・・・・・」
こひな「カプめんを買いに行っただけなのに、過保護すぎるのです。コックリさん、狗神さん」
信楽「よう嬢ちゃん。ま、最近は春になって暖かくなったとはいえ、陽はまだ短けぇんだ」
信楽「用心しねぇと、夜道は危ないぜ?今度はおじさんと出かけような」
狗神「私めを差し置いて、我が君と2人で出かけようなど断じて許しがたき行為!今すぐ殺してくれる!!」
信楽「オイオイ。俺ァ嬢ちゃんの買い物のついでに、ちょっと嬢ちゃんに頼みごとするだけさ」
信楽「パチンコでお金スッっちゃったら、貸してほしいからついて来て、ってだけサ」
コックリさん「テメーーこの馬鹿狸!!こひなを何処に連れて行くつもりだーーーー!!」
狗神「そんなお出かけ、ナンセンスにもほどがございます」
狗神「私めが我が君と出かけるならば、最高のプランで、我が君に退屈を与えない、素晴らしいひとときをお過ごしいただけるように致します!!」
狗神「そう、あんなところや、こんなところへ・・・ハアハアハアハア」ジュルリ
コックリさん「狗神・・・お前・・・ちょっといい加減にしろよ・・・?」
コックリさん「・・・大体、信楽はたまにこひなと散歩行ってるし、狗神はたまにこひなが散歩に連れて行ってくれてるし、それで十分だろ。
コックリさん「出かけるときは俺がついていく。お前らだととんでもない所に連れて行かれそうだからな」ケッ
狗神「何ですと?聞き捨てなりませんね」
信楽「おいおい、けっきょくお前さんは、嬢ちゃんを独り占めしたいだけじゃねえのかい?」
コックリさん「何だァ?変態と無職親父に子守が出来んのか?あ?」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
こひな「では、デート対決をすればよいのです」
コックリさん「え?」
狗神「は?」
信楽「お?」
こひな「みなさんそれぞれが計画したデートに市松を連れて行って」
こひな「市松が一番満足したデートを計画した方が優勝というのは、いかがでせう」
コックリさん「それは名案だ!これで白黒ハッキリつけられるな」
狗神「我が君、この私めを試そうなど・・・いいでしょう、受けて立ちましょう」
信楽「嬢ちゃんもなかなか面白いこと考えるじゃねえか。おじさん、若い子とデートなんてうれしいな~」
こひな「ではこれから3週にわたって、毎週日曜日は、市松とデートの日なのです」
コックリさん「・・・誰が保護者にふさわしいかハッキリさせてやる!」
狗神「我が君とデート我が君とデート我が君とデートハアハアハア・・・・・・」
信楽「ま、大人のデートってのを見せてやろうじゃねえか」
コックリさん、狗神、信楽( 絶 対 負 け な い ・ ・ ・ ・ ・ ・ ! !)バチバチバチバチ
こひな「・・・・・・」
こひな「大人による、大人げない争いが、始まってしまったのです」
翌日曜日
こひな「最初の日曜日なのです」
こひな「最初に市松に立ち向かうのは、どなたでせうか」
ザ ッ ! !
狗神「それは私めにございます、我が君」
こひな「・・・・・・」チッ
コックリさん「今舌打ちしたよこの子」
信楽「これじゃあ先が思いやられるねえ」
狗神「何をおっしゃいますか。本日の私のデートプランは完璧。抜かりなどございません」
狗神「かつてない最高のデートにいたします!我が君!」
狗神(・・・いよいよ、この日が来てしまいました・・・)
狗神(我が君に喜んでいただきたい、その一心で、私めは念密な計画を立ててまいりました)
狗神(今日この日、一瞬一秒に、全身全霊をかける!!)
狗神(我が君、どうか私めの愛を受け止めて下さいませ!!)
狗神「ぐへ、ぐへへへ、ぐへ」エヘエヘ
コックリさん「大丈夫かあいつ・・・おいこひな、危険だと思ったらすぐアレを使うんだぞ」
こひな「コックリさんから以前頂いた、退魔のお札のことでせうか」
コックリさん「そうだ、危険を察知したら、これをアイツに貼り付けるんだ」
こひな「なるほど、こうですね」ペタリ
信楽「アッーーーーーーーーーーー!?」ドジュワーーーーーーーーーーッ
コックリさん「おいーーー!!信楽に貼って確かめるんじゃないーーーー!!」
AM11:00
狗神「我が君、最初は映画鑑賞から参りましょう」
こひな「して、そのような映画をみるのでせうか」
狗神「はい我が君、本日ご覧頂く映画は、巷で大ヒット中の、号泣必死の恋愛映画でございます」
狗神(恋愛映画を鑑賞して、我が君と良い雰囲気になる作戦でございます!)
こひな「恋愛映画・・・」
狗神「左様でございます。お互い伴侶が居ながらも、惹かれあう男女の、愛の絆を描く作品にございます」
こひな「それは、不倫をテーマにしている、ということでよろしいのでせうか」
狗神「えっ」
こひな「不倫をした際に、本人と、不倫相手に課せられる慰謝料は非常に莫大だと聞きますが」
こひな「果たしてそれが幾らほどになるのか、とても興味があるのです。オープンプライス」
狗神「えっいや、そういう映画では、ちょ、ちょっと我が君、我が君ィーーーッ」
映画鑑賞中
狗神「・・・」
こひな「・・・」
狗神「・・・」
狗神(・・・椅子の肘掛の上に、我が君の愛らしい手が・・・)
狗神(これは、手を握るチャンスでございます!!)キュピーン
狗神(暗闇のなかでそっと手を握ると、お互いの仲は急進展でございます!やはり私めの計画通りでございます!)
狗神(それでは、我が君、いざ・・・・・・!)ソ~~ッ
こひな「・・・・・・」
こひな「・・・狗神さん?」
狗神「な、なんでございましょうーーーっ!?」ドキーーーンッ
こひな「市松のポプコンがほしいのですか?」
狗神「えっ」
こひな「残念ですが、只今の市松のエネルギー補給源はポプコンとなっております。ポプコンはあげられないのです」
狗神「えっちょ、ちょっとちが」
こひな「あまり喋ると、他のお客さんに迷惑なのです」
こひな「狗神さん、クワイエット」
狗神「は、はい・・・」ショボーン
狗神(計画失敗でございます・・・)
PM13:00
こひな「お腹が減ったのです。やはりポプコンでは満たされないのです」グ~グギュギュルル
狗神「我が君、ご心配なく。ランチにふさわしい素晴らしいお店を予約済みでございます」
狗神「さ、参りましょう」
狗神(最初の計画は失敗でしたが、まだ次がございます。私めはあきらめません!)
こひな「して、どのようなランチを用意しているのでせうか」
狗神「ハッ、この店にございます」
ジ ャ ー ン ! ! 高級イタリアンレストラーン
狗神「この店は予約でいつも満員、取れたとしても2ヵ月先という、超人気店でございます」
狗神「今回は色々とアレして、予約を取る事に成功いたしました」
狗神「評判に劣らない、素晴らしい料理が揃っております。さ、参りましょう」
チリリーン
いらっしゃいませ、ご予約頂いた狗神様でございますね。
ご予約席へご案内いたします。
こひな「ラグジュアリーなのです」
狗神「カップ麺とは全く違う、味わい深い料理をお楽しみ下さい、我が君」
本日はご来店、誠にありがとうございます。
ご注文がお決まりでしたら、お伺いいたします。
狗神「では私は、Tボーンステーキ赤ワインソース添えをひとつ」
狗神「こちらの麗しい君には、新鮮ウニとフレッシュ野菜のパスタをひとつ」
狗神「それと、コーンスープ クリーム仕立てをふたつ」
~~♪
狗神(店内はシックな内装で、いつもと違った雰囲気を演出)
狗神(穏やかな曲がゆったりとした空気を演出)
狗神(・・・フフ、まさに我が君と私めにふさわしい、最高の空間!!)
狗神「我が君、いかがです?お口に合いますでしょうか」
こひな「・・・・・・」モグモグモグモグ
狗神(・・・ふふ、我が君も言葉を忘れて食事に没頭してらっしゃる。よっぽど美味しいのでしょう)
狗神(しかし私の注文したTボーンステーキも美味でございます)
狗神(がっしりとした骨にふさわしい力強い肉付きと、それを美味しく彩る味付け)
狗神(この太い骨がなんとも食欲をそそります。硬くて噛みごたえのありそうなこの骨)
狗神(この骨、骨、骨、私だけのものにしたい)
狗神(どこかに埋めたい、いえ、埋めなくては!!今すぐ!!)ガタッ
狗神(アニマル)「ハアッ、ハアッ、ハァッ・・・」
狗神(アニマル)「フゥ~~~~~~~ッ、 満 足 でございます」
狗神(アニマル)「ってアアッ!?わ、私めは、私めは一体何を!?」ボワン!
こひな「お店から出入り禁止令をいただいてしまったのです」
狗神「エエッ!?」
狗神(だ、大失敗でございます!!まさかこのような失態を私めが犯すとは・・・!!)
こひな「大丈夫です狗神さん。市松は全然気にしていないのです」
狗神「わ、我が君ぃ~~」ウルウル
こひな「食事もいただき、出禁もいただくとは、随分豪勢なランチだったのです」
狗神「ハウア!!」ガビーン
PM14:30 公園
狗神「・・・」
こひな「・・・」
狗神(ハァ・・・)
狗神(狗神、一生の不覚、でございます・・・)
狗神(本来は、映画館で手を握り、ときめきと恥じらいを感じた後)
狗神(ランチで楽しく食事をした後、花の美しいこちらの公園にきて、和やかに談笑)
狗神(という計画だったのですが・・・)
狗神(そんな雰囲気ではございませんね・・・)
狗神(ああ、私めは一体何処で計画を違えてしまったのでしょう)
狗神(何度も何度も計画を練って、これ以上にない素晴らしいデートを計画して)
狗神(楽しみで楽しみで、昨晩も眠れないほど楽しみにしていたのに)
狗神(失敗ばかり・・・私は・・・私・・・は・・・)
狗神(・・・・・・)
こひな「・・・・・・」
(・・・・・・)
狗神(・・・あれ・・・?)
狗神(ってあれ!?)
狗神「あれっ!?」
こひな「どうしたのですか、狗神さん」
狗神「わ、我が君!?今何時でございますか!?」
こひな「今は、夕方の4時なのです」
狗神「 」 ガーン
狗神「わ、我が君!!どうか私めの頬を叩いて下さいませ!殴って下さいませ!」
狗神「デート中に居眠りをするなど、マナー違反以上の問題外!!」
狗神「さあ我が君!私めを蹴って詰って縛って鞭打ちしてローソクでハアハアハアハア」
こひな「狗神さんが、あまりにも気持ちよさそうに寝ていたので、起こすのが憚られたのです」
狗神「えっ・・・」
こひな「それに、色とりどりの花を見ていましたので、退屈ではなかったのです」
狗神「わ、我が君・・・」
こひな「そろそろ帰る時間なのです。狗神さん、帰りませう」
狗神「我が君~~~~~ッ!!」ボワン
狗神(女)「我が君!今日の私は、我が君に対して無礼なことばかり!!」
狗神(女)「それなのに、その全てを受け入れてくださる我が君は、なんて心の広いお方なのでしょう!!」
狗神(女)「ああ、やはり私の見初めた方に違いはございませんでした!我が君、私めにはやはり我が君しかおりません~~~~~ッ!!」
こひな「狗神さん、どさくさにまぎれてベタベタさわるのはおやめください」
退魔のお札ペタリ
狗神(女)「アッーーーーーーーーーーーーー!!!!」ジュワーッ!!
・・・お?そこの美人さんとカワイコちゃん、いいねぇ!!
よかったら、写真の被写体になってくれないかい?
狗神(女)「・・・なんだ貴様は、突然現れて何の用だ?」
こひな「不審者なのです。退魔のお札を貼るのです」
いや~そんなこと言わないでさ。今日の思い出だと思って!
撮った写真も一枚、あげるからさ!
狗神(女)「・・・思い出・・・」
狗神(女)「・・・」
コックリさん「お~~~い!!こひな~~~!!」
信楽「お、おい待てよ狐ェ・・・お、おじさん息切れしちゃうよ~」
こひな「コックリさん、信楽おじさん。どうしたのですか」
信楽「コイツが、帰りが遅いから心配だ、迎えに行くって言い出したんだよ」
コックリさん「門限厳守!1分でも遅れたらいけません!!」
狗神(女)「・・・このオカンと親父も一緒に撮って頂けるなら、写真を撮ってもかまいませんよ」
コックリさん「へ?」
信楽「んぁ?」
狗神(女)「いいから、さっさとここにお座りなさい。私めの気が変わらない内に」
こひな「4人で初めての写真なのです。記念写真なのです」
は~いそれじゃいくよ~!!
ハイ、チーズ!!
パシャッ
・・・
信楽「犬の嬢ちゃん、おじさんにも写真見せてよ」
狗神(女)「嫌でございます。これは、私とこひな様の思い出なのでございます」
コックリさん「寿命縮んだ寿命とられた寿命縮んだ寿命とられた寿命縮んだ寿命とられた」ブツブツ
狗神(女)「狐殿は時代錯誤の迷信をまだ信じておられるのですか。馬鹿馬鹿しい」
こひな「狗神さん、市松にも写真を見せてほしいのです」
狗神(女)「もちろんでございます。お写真でも麗しい我が君と、私めの姿を、ご確認ください」
こひな「いえ、心霊写真が撮れていないものかと思いまして」
信楽「嬢ちゃん、霊が写ってたらおじさんに貸しな。おじさんが除霊 してあげよう」
こひな「信楽おじさん、目がお金の形になっているのです。心霊写真を売るつもりですか」
狗神(女)「貴様、私の思い出を金に換えるつもりか!!渡すものか!!」
狗神(女)「この写真は、金品には変えがたい、かけがえのないものが詰まっているのでございます」
狗神(女)「だから―――」
だから、額に入れて、居間に飾っておきましょう。
今日の出来事。大切な日々を覚えておくために―――。
今日はここまでです
次は信楽とデートします。
面白い
続きも楽しみに待ってます
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