※鳰(少し乙)春です。R-18要素多分にアリ。
・また純愛ではなく、鳰&乙哉がNTRする感じなので、NTRモノ苦手な方は閲覧注意
・類似した題材のSSが現在進行中ですが、出来るだけ被らない様にしていきます
・時間軸は『春紀が予告上を出さなかったら』というパラレルの9話前後です。乙哉は例の如く脱走してきます
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♥ ❤ ♡
<金星寮2号室>
春紀「……あと1週間、か。」
伊介様とあたしが決めていた、晴ちゃんへ予告上を"順番に"送りつける予定日。その日は、刻一刻と迫っていた。
本来なら、あたしは学園祭の時に予告上を送りつけて暗殺するつもりだったのを、焦り過ぎてはいけないと伊介様に引き留められていた。
正直な所少しでも早く冬香達の元へと資金面で援助したいという想いが今でも燻っているが、それでも止めたのは正解だった。
何故なら、あの晴ちゃんの守護者である兎角サンの戦闘力はあたしが予想していたよりも遥かに高かったからだ。
もしあのまま暗殺に向かっていたら。……恐らく、叶わなかっただろう。でも、今は違う。
伊介「は~るき♥ なに辛気臭い顔して突っ立ってんのよ、邪魔♥ 」
春紀「お、ごめん伊介様。いや、そろそろだなって思ってさ。」
伊介「な~んだ、そんな事? 大丈夫よ、今のアンタなら東さんを必ず仕留められるから♥」
春紀「……ホントに感謝してるよ。対策から有効な戦術、紛れもなくプロの戦い方を教えてくれて。」
伊介「当たり前でしょ?♥ 伊介の技術とあんたのその力があればどうとでもなるわよ♥」
クスクス、と笑う何時もと変わらない彼女の様子に妙な安心感を覚えたあたしも思わずつられて笑ってしまった。
此処まで来たのだから、順番をわざわざ譲ってくれた伊介様の為にも必ず成功させてみせる。
不意に、伊介様があたしの手を引き、よろめくようにして前のめりになると、すぐ目の前には長い睫毛と鋭い瞳があり、ふわりと香った彼女の香水の匂いに思わずドキリとしてしまう。やっぱり、良い匂いだ。
伊介「伊助はあんたに同情したわけじゃないよ?……ただ、恋人に優しくするのは当然でしょ♥」
春紀「んっ……」
其処からはなされるがままで、唇を重ねたかと思えば強引に割って入ってくる伊介様の柔らかい舌の感覚を感じ、あたしも必死で絡ませる長く深い口付けをした。
……ヤバい、伊介様の匂いがどんどん入ってくるだけで、クラクラしそうになる。
どれくらい経ったか、息苦しさを感じた辺りでゆっくりと伊介様があたしの腕を離すと、まるであたしの唾液を味わうように、艶めかしい唇に舌を這わせる様子に、
伊介「続きはお風呂に入ってから、ね♥」
春紀「……うん。」
柄にもなく、頬を染めて照れてしまった。
いいねいいね
久しぶりの新しいリドルSSだと思ったら変化球ね
※基本一人称ですが、特にキャラの感情を強く出したい時は「~っス」の様にキャラの口調にします。
口調やら何やらがおかしい時はどんどん指摘お願いします。あと意見とか諸々も良ければ。
<金星寮鳰の部屋>
……そんな熱い口付けを交わす二人へと、無機質な視線を向ける者がいた。
ウチは愛用のパッド型端末に指を滑らせながらも、二号室で行われていた情事を見て、思わず息を呑んでいた。
だって、あの春紀さんがあんな蕩けた表情で甘い声を出すなんて、いわゆるこれがギャップ萌えという奴なのだろうか。
普段強気な人間が唐突に見せる弱い一面というモノは、とても興奮するし、それに……激しい嗜虐心を煽られた。
じんじんと痺れるような快感がウチの背筋を這いずり回った時、考えていたのは、そんな彼女を手中に収めたという妄想。
元々理事長の性格もあって受ける側に回り続けていたウチっスけど、自分の心の中にこんなドス黒く煮えたぎるような衝動が浮かんだのは初めて。
春紀さんに類似して、兎角さんでもそうだ。彼女が弱気な表情を浮かべた時にも、薄々と"コレ"に気付いていた。
鳰「っ……ぁっ」
気付いた時には二人の情事を見つめながら、自分の股を弄る。思った以上に声を上げてしまい、思わずベッドの枕へと顔をうずめた。
二人が息も絶え絶えに重なり合ったところで、ウチもどろどろになった指をふき取った。
そして、身なりを整えながらも、『あと一週間』という彼女らの予告表提出期間を頭に入れつつ、ニヤリと笑みを浮かべた。
欲しいモノなら、どんな手段ででも手に入れるのが、葛葉流っスよ? 春紀さん。
<学園屋上>
翌日。此処から七日間の間、伊介様もまた兎角サンに対抗する為や自分の計画を立てる為色々と調べ物をするらしく、別行動を取る事にした。
あたしはこれまで通り毎日トレーニングを欠かさず、特に重要なイメージトレーニングのために屋上に来ていた。
兎角サンの得物はナイフと自動拳銃。拳銃に関しては、ズルいかもしれないが事前に伊介様が上手く細工をするらしい。
問題なのは純粋な格闘術においても兎角サンは一級らしく、あれだけ場数を踏んできた伊介様でもまともにやりあって勝てる相手ではないとか。
そんな殺しのために生きてきたような化け物と一対一で相対するという事を考えるだけで、学園祭の時のあたしがどれだけ馬鹿やらかしそうになっていたのかが分かる。
軽いシャドウボクシング終えて、本格的にナイフを『捌き』『弾く』ための特訓や、また得意な力による柔道の様な投げ技もイメージする。
そう、まさしく、こんな風に相手が突き出して――――――――――――て!?
春紀「うわっ!?っと……鳰サン、こんなところでなにやってるんだよ?」
鳰「いやぁ~春紀さんが熱心にトレーニングしてたもんっスから、差し入れにと思いまして。スポドリいかがっスか?」
丁度ナイフが突き出してくると予想したところから本当にペットボトルが突き出されたのには驚いたモノの、其処に居たのは妙にツヤツヤとした肌で笑みを浮かべていた鳰サンだ。
正直なところ、この何かを見透かしている様な瞳はあまり好きじゃないけど、なるほど裁定者としてはメンバー全員の管理がどうこうとか言っていた気がする。
春紀「ま、ありがたく受け取っとくよ。それで、他にはなんか用事でもあるんかい?」
鳰「そんな露骨に嫌そうな顔しないでほしいっス! 流石の鳰ちゃんも傷つくっスよ! プチメロを要求するっス!」
春紀「あたしにはアンタがそんなタマには見えないんだけど……」
鳰「あ、そうそう、特に用事はないっスよ。」
春紀「ないんかい!」
鳰「春紀さんが最近特に兎角サン兎角サンってトレーニングしてるから、もしかしたらもしかすると?っていう、個人的な興味っスよ。」
春紀「……まぁ、悪い気はしないよ。」
鳰「あ、ウチの事は気にしないで続けてください。こっちでプチメロ食べてるんで~」
小柄な体格な鳰サンは、鉄柵とそれを支える土台の細いスペースに座ると、提げていたビニール袋からメロンパンを取り出してはむはむ食事を始めた。
……まぁ、いっか。
受け取ったスポーツドリンクを口にした後、先ほどまでと同じように宙に存在する兎角サンの幻を相手に動き続けた。
<学園屋上>
一発、締めのストレートを打ちこんで今日のトレーニングは終了した。
未だに不安感はあるが、しかし確かに掴めてはいる。あと一週間で、それを確かなモノに……。
そんな風に一人拳を見つめたまま黄昏ていると、何時の間にやらいくつもあったメロンパンを全て平らげていた鳰があたしのところにニコニコとした、意図のつかめない笑みを浮かべながらも、背中で手を組んで歩いてきた。
妙に、フラフラと横に大きく揺れる様な。
ただ、そんな彼女の"歩き方"に違和感を覚えた途端、視界がグラグラと揺れ始めた。
疲労から来た立ちくらみだろうか、いや、にしては、明らかに……おかしい。なぜなら、すぐ目の前に、鳰、の―――――――
鳰「……春紀さんに予告表は出させないっスよ。ウチのモノになるまでは、ね。」
春紀「お前、の、モノ、だっ、てっ……?」
簡単な振り子による催眠術の一種、睡眠導入剤の効果もあるとはいえ、ゆらゆらと左右に揺れているウチの動きは疲労と緊張感から解放された無防備な春紀さんには充分な効果があった。
額を抑えながらも、何度も崩れそうになる両足でなんとか踏ん張ろうとしている春紀さんの姿は、まさしく生まれたての小鹿の様だ。
ウチはまだ幻術何ていう大層なモノは使ってはいない。やろうと思えば、いつだって幻術を掛けて彼女の身体を蹂躙出来るというのに。
ソレをしないのは、今こうしてこちらに向かって反抗的な視線を向けながらも苦しげな表情を浮かべる彼女の様子を見れば分かる事だろう。
それでは、奪う意味が無いからだ。
鳰「(……あっさり堕ちて、ただの木偶なんかじゃあウチも相手してて面白くないっスからね。)」
春紀「…ッ、て、めぇっ……質、問に、答え、ろッっ……」
鳰「とはいっても人が来るとマズイので。さっさと済ませるっスよ、春紀さん。」
一度、パンと彼女の目の前で両手を叩くと、それまでの抵抗が嘘の様に糸の切れた人形よろしく春紀さんはその場に倒れ伏した。
気が強く姉御気質な彼女を象徴するかのような長い赤髪がしなだれかかっていく光景を、ウチは少し綺麗だなぁと思っていた。
倒れたとはいえぼんやりと意識は残っている……"あえてそうさせた"状態の春紀さんの顔元へ屈むと、彼女の顎を押し上げて視線を合わせて
鳰「春紀さんはウチが柏手を打つと、全身の感覚が敏感になる。ほら、唇をなぞってあげるだけでも気持ちいいっスよね?」
春紀「んぶっ……んぁ…」
体格差や力も、睡眠欲という人間の本能に訴えかけるウチの術によって全てが逆転してしまう。
程よい膨らみと艶のある薄ピンクの唇を、親指でなぞると、そのまま口内へと差し込み、ぐちゅぐちゅと唾液交じりの水音をわざと聞かせる様に激しく春紀さんの舌を弄ぶと、それだけで彼女の身体がピクピクと震え始める。
じんわりと上気した頬に薄めでこちらを見つめる彼女の様子に、思わずこの場で襲い掛かってしまいたい衝動に駆られそうになるが、
鳰「もう一つ、ウチが指を弾くと、それだけで全身が脱力して考える事を止めてしまう。」
パチン、と指を鳴らした途端、今度こそ春紀さんの全身から力が抜け落ちて眠りに落ちてしまった。
唾液が薄らと纏わりついた自分自身の手を一瞥しつつも、ウチは一先ずの目標を達成し、これからやろうとしている計画の事を考えると背中にゾクゾクとした心地よい感覚を感じた。
【遅レスですみません。コメント等ありがとうございます】
期待
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