戦人「──問おう。お前が俺のマスターか?」 (427)



士郎「───マス、ター?」


戦人「──先に敵を退ける。ここにいろ、マスター」ダッ


ランサー「本当に七人目だったとはなぁ…」


戦人「………」


ランサー「丸腰か。さっき俺の槍を防いだ、黄金の剣はどうした」


戦人「…必要ない」 


ランサー「そうかいっ!!」バッ


ギィン!!



突進するランサーを、戦人が防ぐ。



ランサー「…青い剣、だと…?」


戦人「どうした、ランサー。来ないのか?」


ランサー「チッ。さっき戦ったアーチャーといい、テメェといい。英霊なら、ただ一つ誇りを持った宝具で来やがれ───!!」バッ


戦人「!!」バッ



ギィン!ガッ!ギィン!



戦人「っ……!」


ランサー「なんだよ、剣の腕は思ったより大したことねぇな。───貴様、セイバーじゃあねぇな?」




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何か冒頭から泣きそうなんだけど。

戦人「…………」


ランサー「…黙ってるのは、図星ってことかい?」


戦人「……ごたくはいい。来るなら来い」



ランサー「はっ!!接近戦は不得意と見たが、挑発か?…こっちもよ、予想外の事態続きなんでな。この辺で分けって気はねぇか?」


戦人「───断る。お前はここで消えろ、ランサー」


ランサー「────そうかよ。これは俺なりの気づかいだったんだが…仕方ねぇな」バッ



戦人「!?」



ランサーの槍に魔力が貯まっていく。
おびただしいほどの量の魔力は、一目でそれが宝具の発動とわかる。


戦人「………………」スッ


戦人の両手は、いつの間にか空手。その腕を、静かにランサーに向けた。
──戦人の指が、青く、光輝く。

戦人「『お前の宝具は、グングニルである!!』」


ランサー「──!?」


グサッ!!





ランサー「なん…だ、こりゃあ」


ランサーの身体に、深く青い刃が刺さっている。


ランサー「いったいどうやってこれを当て…ぐっ、なんだこのくそ気持ち悪い脱力感は…──ステータスが、下げられた…!?」



戦人「そうだ。俺の『青き真実』を受けた奴は、【赤き真実】で反論しない限りステータスが下がる」


ランサー「意味…わかんねぇぞ!」



戦人「青き真実!!『お前の宝具は、ガ・ボーである!!』」


ドシュッ!


ランサー「うぐっ!?」

マント付けてるバトラだな

戦人「どうした?違うなら反論してみろ。そう念じて言葉を使えば、お前でも青に対しての赤は使える」 


ランサー「奇妙な魔術使いやがって……ちくしょう………キャスター!!」


戦人「反論がないなら、こちらからいく!」バッ


戦人が、青い剣を手に突進する



ズバッ!!


ランサー「くっ…!?」ポタポタ


戦人「流石のお前でも、二度ステータスを下げられてからでは上手く対応できないようだな。動揺もあるだろうが」



ランサー「チッ。テメェのルールに従うしかねぇってことか…」



凛「───急いで来てみたら、なによ…あれ…」


アーチャー「さあな。新しいサーヴァントのようだが。(彼女じゃない…だと…?)」

無能じゃないだと……?

これは期待

変態は出ますか?

ランサー「【俺の宝具は、グングニルでもガ・ボーでもない!!】」

パリィン!!



戦人「…そうこなくちゃな」



凛「ランサーに刺さっていた、青い刃が…消えた?」


アーチャー「なるほと、そういう魔術か。なかなか珍しいな」 


士郎「いつのまにか庭が大所帯な件について」ポカーン



ランサー「やってくれたな、キャスター風情が。今度は、こっちの番だぜ」ゴォォオ!!


再び、ランサーの槍に魔力が溜まり始める。


戦人(流石に、もう青き真実での不意打ちでは動じないか?…マズいな)



凛「…アーチャー、加勢して」 


アーチャー「ほう、どちらにだ?」


凛「キャスター…?の方に決まってるでしょ!」


アーチャー「断る。あの即死数秒前の死地に踏み入れと?サーヴァント同士潰し合ってくれるのだ、漁夫の利をとるならわかるが、今乱入するメリットはないと思うがね」


凛「貴重な宝石使ってまで助けたのを忘れたの!?わたしの気がすまないのよ!」


アーチャー「それもサーヴァントのほうを助ける理由にはならないと思うがね。…まあいい、残しておいて厄介なのはランサーだ。加勢はしなくとも、助言ぐらいはしておくか」


凛「助言…?」


ランサー「行くぜ…!」


戦人「…くっ!」















チェス盤ひっくり返しそう

アーチャー「キャスター!その男の真名はおそらく、アイルランドの光の神子だ!」


戦人「──アイルランドの…?」


ランサー「アーチャーめ、余計な真似を…!」


アイルランドの光の神子。



──知っている。
ミステリー以外でも、知識を深めるためにざっと読んだ本の中で、その言葉を。
あれは、確か……!!



戦人「──アイルランドの光の神子。『お前の名は、クー・フーリン。宝具は、ゲイ・ボルグ』」


ドォォォン!!


ランサー「───かはぁっ!」



それが、この聖杯戦争において致命的な情報だからか。
先ほどとは違う、長さにすれば身の丈ほどはありそうな巨大な青い刃か、ランサーの腹部を貫いた。


ランサー「ぐ……が…」


戦人「勝負アリ、だな。反論があるなら赤で言え。もっとも、この青き真実が外れていないのなら、その楔は消せないが」


ランサー「……くそったれが……チッ!…認めるよ。確かにテメェの青き真実とやらは、間違っちゃいねぇ」


戦人「─そうか。ならばこの瞬間、俺の今の青き真実は赤き真実に昇華される」スッ


戦人の手に、赤い剣が現れる。


戦人「赤き真実!!【お前の真名は、クー・フーリン!宝具はゲイ・ボルグだぁぁぁぁぁあ!!】」

ズバッ!!


赤い斬撃が、ランサーの身体に引導を渡した。



ランサー「…はっ。こんなにも早くやられるたぁ……な……」シュゥゥ





戦人強いな

凛「終わった…の?」


アーチャー「油断するな、凛。いつヤツが
仕掛けてくるかわからん」


凛「そ、そうね」



戦人「──……ずいぶんな言われようだなぁ。そんな、恩を仇で返すような人間じゃねぇぜ?」 


凛(あれ、なんだか雰囲気が変わった?)


戦人「そこの日焼け兄ちゃんのおかげで、なんとか勝てたからなー。助かったぜ」


アーチャー「……」ピクッ


凛「日焼け兄ちゃん…」プッ


戦人「そこの嬢ちゃんよ。アンタが友好的なら、俺のマスターに状況を説明してやってくれないか?ほら、今もそこでポカーンとしてるだろ?」


士郎「えっと…今日殺し合いを見たと思ったら殺されて…生きてて?また殺されそうになって、土蔵から知らない人が出てきて、そいつが俺を殺したやつと戦って何故か遠坂が来て…」ブツブツ



凛「──そうね」ハァ




────────────────────



士郎「聖杯戦争か…いきなりそんなこと言われても…」


凛「とりあえず教会行くわよ」



戦人「おk」



────────────────────



言峰「喜べ少年。君の願いはようやく叶う」


言峰(こいつらいきなりランサー消すとか。パシリいなくなってメンドイんですけどー)



士郎「俺は…こんな争い、止めないと!!」

イリヤ「さーてお兄ちゃんに会いにいこーっと」 

バーサーカー「」ズシーンズシーン 


??「ま、待ちやがれ!」


イリヤ「?」


本編だとキャスター召還して死んだ魔術師「おれがお前を倒す!!」


イリヤ「えー、今弱い人相手にしてる時間ないんだけどなー」


本編ry「よ、弱いだと!?それは、俺のセイバーを倒してから言え!!」


イリヤ「セイバー…?」


セイバー「やぁ!僕は富竹。フリーのセイバーさ!」


イリヤ「」


セイバー「くらえバーサーカー!富竹フラ」
「───■■■■■■■■■■!!」ザシュッ!!




イリヤ「…気が済んだかしら?」ハァ


本ry「そ、そんな…セイバーが…」  



イリヤ「気を取り直して、行こ、バーサーカー」



イリヤ(おかしい…サーヴァントの魂が、入ってこない…?)


─────────────────────


??「ククク…まさかアレが、もう聖杯として使えるとはの…そう思わんか、アサシン」



??「…さあ?私には、その辺りの事情は良くわかりませんもので。それと、我が主。アサシンなんて呼び方、犯人のようで私好みではありませんね」


??「仕方なかろう、真名で呼ぶわけにはいかぬのだからな」


??(チッ…気持ち悪い、虫ジジイが。──それはそうと、まさかアナタまで呼ばれてるなんて。楽しみですね…戦ぁっ人さぁん…)ニヤリ



変態探偵きた!!

真名はバトラと見たが、表記は戦人か…まぁ、同じだが。
泥をかぶって黒戦人…いや、なんでもない。

鯖って他作品キャラ召喚物だと異様に下方修正されるな

だってクロス先持ち上げるには鯖弱くした方が楽だからな。

逆じゃねクロス先が上方修正だろ

戦人本人ではないけどどっかの安価スレで戦人貴方が居たな

真名暴けたから勝ったけど助言無かったらたぶんゲイボルグで負けてたっぽいし戦人らしい能力で妥当じゃね

確かに青や赤の刃は刺さるだろうけど
戦人側ゲーム盤のルールが分からないことには、それがどの程度のダメージになるのか……
うみねこキャラ→相手の真名と宝具を暴け。元キャラ→自分の正体を隠せ。反証不可→死亡?
通常真名隠しが定石だけど、自分で真名バラして「いかにも。私は~だ」とか言い出す馬鹿がいたらどうなるんだ

至極どうでもいいことだが、モードの声が井上さんで変換される。お陰でアルトリア、モードレッド姉妹という妄想ががが。

アサ小次のNOUMINとしての名前当てろだったら[ピーーー]るな


まあ、彼いないみたいですがね

──────────────────

士郎「色々ありがとう、遠坂」


凛「ルールも知らないで死んだらフェアじゃない。それだけよ。これで明日からは敵同士ね、衛宮くん。聖杯戦争続けることを選んだんだから」


士郎「?俺は、遠坂と戦おうなんて思ってないけど」


戦人「良かったなぁ、マスター。敵とかいいつつちゃんとここまで良くしてくれてよ。ベアトのヤツは説明もなく不親切ってレベルじゃなかったからなー…いっひっひ」


士郎「そうだ、キャスターにもまだちゃんとお礼を言ってなかったよな。改めてさっきはありがとう」


戦人「いいってことよ。あと、キャスターなんて堅苦しい呼び方は無しだぜ?普通に戦人って呼んでくれよ」


凛「こいつら…なんて呑気なの」


アーチャー「放っておけ」ヤレヤレ


士郎「わかった、バトラ。俺のことも、士郎でいいから」


戦人「おう!よろしくな、士郎」


士郎「…バトラって珍しい名前だよな?」


戦人「だろ?文字を聞いたらもっと驚くぜぇ、いっひっひ。戦に人って書いて、戦人だ」


士郎「うわっ。凄い読ませ方だな」


戦人「んで、フルネームで右代宮戦人。士郎は衛宮ってんだろ?さっき表札で見たぜ。一文字でも同じだとなんだか親近感沸くよな」


士郎「ははは」



凛「真名わかっちゃったんですけど」イライラ


アーチャー「構うな、凛」


凛「心当たりがまったくないから、無名の英霊なのかしらね。日本で戦人とか言う偉人がいたら絶対、変な名前で印象に残るもの」


アーチャー「もしくはイレギュラーか、だな。まあ深く考えずとも良いだろう。先の戦いで手の内は知れたし、あの真名暴きの戦法なら私が負けることはないだろう」


凛「そう言えばアンタも、アーチャーのくせに剣とか使ってたわね。お互い様ってこと?──ん、待ちなさいアーチャー。今の言い方、もしかして記憶が──」


アーチャー「戻っていない。…なに、単に私も、そんな名の知られてる英霊ではないだろうと予想してみただけだ」

何だかんだで推理力はあるからなぁ…戦人
案外、ヒントが多ければアーチャーの正体に気づけるかも?

イリヤ「──こんばんは、お兄ちゃん。これで会うのは2度目だね」

士郎「!?」


イリヤ「ちゃんとサーヴァントを召還出来たんだ。…これで、戦えるね」


士郎「」ゾクッ

凛「アーチャー…!」


アーチャー「ああ。あの後ろにいるサーヴァント。ずいぶんと強力な英霊のようだな」

イリヤ「わたしは、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。よろしくね、お兄ちゃん」ペコッ


凛「アインツベルンですって…!?」


士郎「待て、なにもいきなり戦うなんて…」


イリヤ「…どうしたの?そんなこと言ってたら────死ぬよ」


戦人「!!───下がれ、士郎!!」バッ


バーサーカー「───■■■■■■■■■!!」グオッ!!


ギィン!!


戦人「ぐぅ…!」


バーサーカーの斬撃を、戦人が黄金の剣で受け止める。
ランサーとの戦いが終わってから消滅していた彼のマントが再び現れたのは、それが彼の戦闘状態である証か。


バーサーカー「─────■■■■■■!!」

ドシャア!!

戦人「────がっ!」


しかし、この巨人がそんなもので止められる筈がない。
再び振るわれた斬撃は、剣で受け止めたものの衝撃で大きく後ろに吹き飛ばされた。


戦人「いてて…なんて馬鹿力だよ、かなう気がしねぇぜ…」

バーサーカー「──■■■■■■■!!」


凛「っ!!────アーチャー!!」


アーチャー「やはりこうなるか、仕方ないっ!」バッ

アーチャーが弓を構え、バーサーカーに照準を合わせる


アーチャー「はぁっ!!」バシュウッ!バシュウッ!

ドドド!!

アーチャーの矢がバーサーカーを捉える。────が。

バーサーカー「──■■■■■■■■!!」


戦人「無傷…かよっ」


イリヤ「あははっ、なにそれ?そんな弱い攻撃じゃ、バーサーカーに傷一つつけられないよ?」

士郎「戦人!!」

凛「バカ、下がってなさい!あれに巻き込まれたら、わたし達なんて即死よ」


士郎「くそっ…」




戦人(バーサーカー。狂化した英霊か。聖杯からの知識だと、本来このクラスは弱い英霊のステータスアップに使うもの。…だが、どうみたってアレは元々弱いようなやつに見えねぇよな…)



戦人「凛!!さっきのこと、詳しく話してくれ!アインツベルンってのはなんだ!?あのバーサーカーのマスターは!!」


凛「え?こんな時にそんな話!?」



戦人「いいから早く!!」バッ


バーサーカー「■■■■■■■■■!!」


ドカーン!!


戦人(あっぶねぇ、紙一重!) 


凛「えっと、──元々この聖杯戦争は、アインツベルンと遠坂、マキリの三家で始めたもので──!!」



───────────────────


戦人「──なるほど、おおよそは理解はできたぜ」



イリヤ「戦ってる間に、お勉強?どうでも良いけど、どんどんスキだらけになってるわ、キャスター」



バーサーカー「───■■■■■■■■■!!」



ズシャア!!


戦人「くっ!!」


紙一重で避ける戦人。だが、その無防備状態に、バーサーカーの拳が───!!


戦人「…っあ!!」


直撃。
岩を砕くバーサーカーの怪力が、戦人を吹き飛ばした。


士郎「戦人!!」


アーチャー「ち、これでは援護にすらならん!ここは──」スッ

遅くなったけど、赤青真実についての補足


『青き真実』
推理のスキル。
当てるとステータスを下げることが出来る。
解除には赤き真実を使う。
基本的には直接のダメージは与えられないが、真名など核心をつくものにはダメージも付与され効果があがる。
基本的に物理的な回避は不能(赤や青で直撃前に相殺することはできる)だが、あまりにも弱い青(推理として破綻していたり、『お前はランサーだ』など推理でもなく誰でもわかっている事柄など)は、効果が無いか物理的に弾くことが可能。

尚、サーヴァントや霊体にしか効果はない。
(マスターなどの人間にはダメージはない。推理の応酬等はできる)



【赤き真実】
青き真実が確定した時や、青き真実への返しに使える。
青き真実と同じく核心をつく事柄には最大の威力を発揮する。
真名を暴いた時の威力はAランク相当である。

しかし、防御では使えば使うほど自らの情報を露呈してしまう両刃の剣。


青と同じくサーヴァントや霊体にしかダメージは与えられない。



これが基本ルールと言うことでw
状況によっては違う使い道も出るかもしれません。

ヤバい普通に面白いんですけど

面白いな

凛「アーチャー…。わかったわ。衛宮くん、わたし達も下がるわよ」


士郎「でも、戦人が」



凛「サーヴァントはそんなに柔じゃないわ。それよりも、今アーチャーが一度離れて、バーサーカーを倒す一撃の準備をしてる。キャスターはその時に退かせなさい」


士郎「…く」



戦人「…その、通りだぜ士郎。俺に任せて、下がっててくれ」ヨロッ



イリヤ「へぇ、魔術師のクラスなのに、結構頑丈なのねキャスター」


戦人「ったりめぇだぜ…」



戦人(凛の話だと、アインツベルンは今回こそ聖杯戦争に勝とうと躍起になっているはずだ)


戦人(そんなヤツらが、わざわざ危険をおかしてバーサーカーなんてもんを引くとは思えない。セイバーのクラスで大英雄を呼ぶのが一番確実だからだ)


戦人(しかし、アインツベルンが呼んだのはバーサーカー)


戦人(セイバーを引けなかったのか、あるいはすでに前回で引いて、なおかつ失敗したのか)



戦人(そしてあの、イリヤスフィールの余裕と自信)


戦人(これらの情報をもとに…推理する)




戦人「ここで、チェス板をひっくり返すぜ!!」









セオリー無視の真名ばらしされると推理じゃなくなるので青き真実として成立しなくなるってことか?

あくまで推理での解明じゃないと効果は発揮しないってことかな

あえて真名をを晒していくスタイル(これだ)

きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひふひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ

きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひふひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ

そのきひひ言うの止めなさい!

前回セイバー呼んで大失敗…あってるな

だいたいマスターのせい

アイリスフィールさんのせいだと?(すっとぼけ)

戦人「『お前達アインツベルンは、今度こそこの聖杯戦争の勝利のため、入念に準備に勤しんだ』」


戦人「『今でどんなサーヴァントを召還して来たかは知らないが、今回バーサーカーを召還したのは、相当な自信があるってことだ!』」



戦人「『単純にパワーで言ったら、とんでもなく強い英雄を更に強化すればほとんどの奴は太刀打ちできねえもんな!』」



戦人「『さっき戦ったランサー、あいつも相当に有名な英霊だったが、そのバーサーカーはもっと強力だ。つまり、格上ってことだろう』」



イリヤ「それがわかったから、何?貴方達が適うようなサーヴァントじゃないって認めてるようなものじゃない」 



戦人「そうかもな。だが、どんな強者だって、思いもよらぬ奇策で敗れるものだぜ?」ニヤリ



イリヤ「───へぇ。じゃあ、それを見せて貰おうじゃない」



バーサーカー「■■■■■■■■■■■!!」




戦人(──まだだ、まだ時間を稼がないと、ヤツの真名にたどり着けない)



──戦人の足下に、魔法陣が浮かぶ。


戦人「──頼むぜ。少しの間、時間を稼いでくれ」


それは、召喚の魔法陣。
凶戦士の猛追を、戦人は己の家具で応戦する──!!



カカカカカ!



高速で飛び跳ねる何かが、7つの軌跡を描きバーサーカーに向かって行った。



ドス!ドスドス!!



バーサーカー「■■■■■■■■!!」



ルシファー「煉獄の七姉妹、ここに!」


レヴィアタン「こいつ、かったぁーい!一体何で出来てるのよ!!」


サタン「串刺しは無理そう!」


ベルフェゴール「構わん。戦人様の命は、時間稼ぎだ。撹乱するぞっ」


マモン「そうよ。ここで主のため、全力を尽くすのが家具の役目!」


ベルゼブブ「美味しくないけど…戦人様の命令ならっ!!」


アスモデウス「とことんやっちゃうわよ!!」




カカカカカ!カカカカカ!



煉獄の七姉妹が、全方位からバーサーカーを攻撃する。



凛「召喚術か。やっとキャスターらしいことするじゃない」


士郎「でも、バーサーカーには効いてないみたいだぞ」



戦人(あの七姉妹の攻撃にも遅れることなく、バーサーカーは対応している。もって30秒ってとこか…)


戦人「その間に、突破口を開く!」

結構面白い

戦人(敵はおそらく、クー・フーリンすら超える大英雄。まずは確実にわかるところから考えると、あの見た目通りなら伝承も相当古いだろう…。まるで神話に出てくるような…) 



バーサーカー「───■■■■■■■■!!」




戦人(そして大事なのは、バーサーカーとして召喚されたのなら、それにまつわるエピソードを持っているはず)



七姉妹「「───きゃあ!」」シュウウ



「「申し訳ありません、戦人様───」」



戦人「!!くっ、20秒も保たなかったか!すまねぇ…!」



バーサーカー「───■■■■■■■!!」


バーサーカーの瞳が、再び戦人を標的として捉える。



戦人「くっ!」






「─────我が骨子は、捻れ狂う──!!」




戦人「!?」




ドォォォォン!!



刹那。

2キロは離れているであろう距離の上空から、流星のような光がバーサーカー目掛けて着弾した。


バーサーカー「」


イリヤ「そんな…バーサーカーが一回、殺された…!?」

凛「今のって…アーチャー!?」


士郎「凄い威力だ…!」





戦人「ゴホッ、ゴホッ!あいつ、コッチまで巻き込まれる所だったじゃねぇか…!」



ロノウェ「──ご無事ですか?戦人様」



戦人「ああ…とっさにお前を召喚するのが間に合って良かったぜ」



ロノウェ「しかし、凄い一撃でしたな…。直撃したわけでもないのに、衝撃だけで私のシールドにヒビが入りました」



戦人「あれがアーチャーの宝具か…?とんでもない威力だぜ。これなら、バーサーカーだって…」



バーサーカー「」シュー




ロノウェ「…いえ、どうやら終わりではないようですね。傷の再生が始まっている」



戦人「なんだって…!」



イリヤ「驚いた?バーサーカーはね、十二回殺さないと倒せないの」クスッ



凛「そんな…反則ってレベルじゃないわよ、それ」



士郎「いや…」



士郎が己のサーヴァントを真っ直ぐ見据える。
…その重大な情報を、彼が聞き逃すはずがない




ロノウェ「ぷっくっく。これは、大ヒントでございますね。…では私は、この辺で。戦人様に余計な魔力を消費させるわけにはいきませんので」シュウウ



戦人「助かったぜ。…じゃあ、答え合わせといこうじゃねーか」ニヤリ

戦人「青き真実!!『バーサーカーは、ギリシャ神話の英雄である!!』」


ザンッ!

青い刃が、バーサーカーに突き刺さる。



バーサーカー「■■■■■■■■!!」




しかし、青き真実の楔すらモノともしないのか、変わらずバーサーカーは突進する



戦人「ゆっくりやる時間はなさそうだな。…このまま核心をつくぜ」



バーサーカー「────■■■■■■!!」



バーサーカーが、戦人に斧剣を振り下ろす。




戦人「『お前の真名は、ヘラクレス!!ギリシャ神話の大英雄、ヘラクレスだ!!』」



ドドドド!!


ランサー戦と同様、巨大な青い刃がバーサーカーを貫き通き、その動きを止めた。




戦人「イリヤスフィール!どうだ、反論はあるか!!」


イリヤ「…あなたの言う通り、わたしのバーサーカーはヘラクレスだけど」


戦人「これにより、赤き真実に昇華!!【英雄ヘラクレス!!】これで、チェックメイトだぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」



ズバッ!!



戦人の手に現れた赤い太刀が、バーサーカーを切り裂いた。



バーサーカー「」シュウウ



イリヤ「──これで二回目…」



戦人「どうだバーサーカー!このまま後十回、切り捨ててやらぁぁぁぁぁ!!」


戦人が再び刃を振り下ろす。


ガキィン!!


戦人「!?」

戦人「バカな!赤き真実の太刀が…!!」


イリヤ「あははっ。ホントにそんなモノでバーサーカーを倒し切れると思ったの?」   


イリヤ「教えてあげる。バーサーカーの宝具、十二の試練の効果はね。命のストックの他にも、Aランク以上の攻撃じゃないと効かない効果と、同じ手段では殺せない効果があるの」



戦人「何…!?」



イリヤ「けっこう頑張ったけど、そこまでね、キャスター。…それと、わたしは別にバーサーカーの真名を隠そうとも思ってなかったよ?だって、知られた所で負けるはずないもの」



イリヤ「今のあなたが、バーサーカーを倒しきれなかったようにね」クスッ



戦人「────!!」




ドドドド!!




戦人とバーサーカーの間を割るように、アーチャーの射撃が降り注ぐ。
先ほどの宝具ではないため、バーサーカーは傷を負わないが。


イリヤ「アーチャー…警告のつもり?」



アーチャー「……」



イリヤ「…まあ確かに、バーサーカーを一回殺せたアーチャーにこの距離から狙われてるのは、面倒ね」ハァ




溜め息をついたイリヤは、まるで遊びに飽きたかのように瞳が冷めている。



イリヤ「今日はここで退いてあげる。…次に会うまで、死んじゃだめだよ、お兄ちゃん」



士郎「……」




そうして、アインツベルンの少女と巨人は去っていった──

同じ攻撃方法は効かないとか戦人じゃ勝ち目ない?

七姉妹でこの程度じゃあ、戦人には殺しきれそうにないな。
サーヴァントの戦人は元の戦人より制限されてる?
でも枠に収めるから弱体化するんだから、キャスターにしかなれない戦人はそれほどでもないのかな。

ベアトがいてくれたなら倒せる可能性あるんかな

ベアトリーチェの本来の魔術は「黄金」と「無限」なのだから
「さぁ、思い出してご覧なさい」が使えるんだけれど、バトラは“そうじゃない”からなぁ…

ベアトは多分1回だけでも殺せればその1回を100回殺したことにできる
一応、その由来は口裏合わせだから
共犯関係以外のマスター(目撃者)がその場いないことが条件かな
ラムダは単純に強い+絶対の意志補正で、最善かはともかく決めた目的は絶対に遂げる
ベルンは数千億回のトライ&エラーによって、わずかでも可能性があれば掴み取れる

そういえば最古の魔女?だったかなら時間停止+本により好きに物語を変えられるから聖杯戦争じたいを無くすこと可能なんか?

たぶん理論上はできるけど実際にやろうとすると魔翌力足らずマスターが干からびそう。

イリヤと士郎の関係を赤で証明したら、何らかの反応は起きそうだ
勿論、物理的なダメージは無いけど

バトラが前で頑張ってる間に凛とアーチャーが頑張って5回殺す

その後アーチャーがもっと頑張って7回殺す

最後に志郎が頑張ってカリバーンb

戦人の対魔法抵抗力は神話の神々以上って言われてるから
おそらく対魔翌力は最高なのに、本人がキャスターなんだよなぁ…

日常と、日常との落差の激しい凄惨な悲劇と、厨二バトルの盛り上げとBGMはとっても好きなうみねこ

士郎バトラがキャスター陣営ならセイバーとアサシンは誰が召喚するんだろうか

士郎→キャスター(戦人)
 凛→アーチャー(本編通り)
言峰→ランサー(本編通り)
イリヤ→バーサーカー(本編通り)
蟲爺→アサシン(ヱリカ)
キャスター召喚のマスター→セイバー(富竹)
??→ライダー(??)

今の所こんな感じ?

確定した訳じゃ無いしどうなんだろうね

>>62
合ってます。まとめありがとう
一応HFルートの流れで進行していくので、まだ登場していませんがライダーは本編通りです

────────────────────
衛宮邸



士郎「───ふぅ」


イリヤスフィールが去り、戦人と遠坂、アーチャーと共に家へ帰ってきた。
…もう、ずいぶん久しぶりに帰ってきたような感覚。
今日は1日色々ありすぎた。
学校でランサーとアーチャーの戦いを目撃して、ランサーに二度殺されかけて、戦人に助けてもらって、聖杯戦争の話を聞いて、バーサーカーと戦って────
正直、頭はパンク寸前だ


凛「どうでも良いけど、この部屋寒くない?」


士郎「──ああ。そういえば、窓ガラスが割れていたっけ」


ランサーの襲撃の時、無我夢中で突き破って逃げたんだ。
開いた大穴から、外の冷気がこれでもかってくらい入ってきて、確かに寒い。



戦人「よし、任せておきなっ」


戦人が立ち上がり、ガラスに手を当てる。



戦人「──────」パァァ


すると、彼の手が輝き、窓に────どこから現れたのか、黄金の蝶が、群がっていった。


凛「綺麗…」


すると、窓ガラスも呼応するように光輝き───瞬きの間に、まるで元々壊れていなかったような、破損前の状態に戻っていた。



戦人「──こんなもんか。ここは反魔法の毒素がないから、やりやすいぜ」



士郎「…凄いな、戦人。さすがキャスター」


凛「なかなか洒落てるじゃない」


戦人「いっひっひ。やめろよ、照れるぜ」



士郎「いや、助かったよ。俺じゃそんな風に直せないし」


凛「──ちょっと待って。確かにキャスターの今の魔術は、やり方こそ派手だったけど、ガラスの修復は魔術としては初歩中の初歩よ?」


士郎「そうなのか?でも俺は、魔術は強化しか使えないから」


凛「…は?」


──その後、遠坂に「ありえない」と言われ俺の魔術についての知識を説明した後、なんだか怒ったような様子で魔術について教えてくれた。




アーチャー「──凛。半人前未満の相手はそこまでにしておけ。君のフェア精神はわかったが、もうこれ以上付き合う必要はないだろう」


凛「あんたが言いたいことはわかるけど、もうちょっと待ってなさいよ。まだ、コッチの用件は済ませてないし。…ま、確かに衛宮くんのせいで話が脱線したけど」ハァ


士郎「俺のせいって…なんでさ」


凛「ここまでまるっきり素人だとは思わなかったからよっ!!」


士郎「…む」


それを言われたら、弱い。確かに、魔術の知識なんて遠坂に比べたらほとんどないに等しい自分にとって、今の説明はためになった。
…実際にやれるかは別として


戦人「それで、士郎に用件ってなんだ?」



凛「──バーサーカーが、あんなに強力なサーヴァントとわかったのよ。少なくとも、1対1ならアレに適うサーヴァントはいないでしょうしね。だから、同盟を提案しようと思って」


士郎「同盟?」


凛「そうよ。バーサーカーを倒すまでだけどね。同盟中はお互い情報共有し、助け合う。衛宮くんは魔術のこと全然知らないみたいだから、その点はわたしが魔術のことを教えてサポートするわ。どう?悪い条件じゃないと思うけど」


士郎「確かに、助かるけど」


凛「何?それでも不満なの?」


士郎「不満なんてないぞ。むしろこっちから願いたいぐらいだ。でも、同盟を組むなら俺の意見だけで決められない。…戦人、お前はどうなんだ?」


戦人「異論はないぜ。凛が言うように、これ以上ないくらい好条件だろ。こっちの魔術ってのは、俺じゃ士郎に教えられないしな」


士郎「──そういうことだ。よろしく頼む、遠坂」


遠坂「同盟、成立ね」


アーチャー「……ふん」


ともかく、遠坂が味方してくれるなら心強い。
アーチャーが何やら不満そうなのは、少々気にかかるが。

うーん面白い

────────────────────
夜中 土蔵



士郎「────ふぅ」



強化の魔術の鍛錬が終わり、息をつく。
どういうわけか、ランサー襲撃から強化の魔術がうまく成功するようになっている。
今までの失敗が嘘みたいだ。


──遠坂とアーチャーは、同盟の話が終わると、また明日今後のことを話し合うと約束し家に帰った。
俺も一度床につこうとしたが…なんだか落ち着かず、こうして土蔵に来てしまった。
戦人には洋間の客室で休んでもらっている。



士郎「…でも、いくら強化が成功したって」 


思い浮かぶのは、ランサーやバーサーカーとな戦い。
ランサー襲撃の時は、強化の魔術を使っても…赤子をあしらうようで、戦いにすらなっていなかった。戦人が助けてくれなかったら確実に死んでいただろう。
バーサーカー戦では、それこそ何も出来ず…ただ、見てただけだ。あの戦いに近付くだけで、衛宮士郎は死んでいただろう。


サーヴァントとの力の差は、充分に痛感した。
適う相手ではない。しかし──



士郎「ダメだ、こんなことじゃ。いつまでたっても、正義の味方には───」



無意味な殺し合い、そして当初の俺のような無関係の人が傷つくのを止めるために、この戦いを続けることを決めた。
けれど、自分の力では何も出来ていないことが、この上なく悔しくて───!!



戦人「───士郎?」



士郎「…戦人」



戦人「どうしたんだよ。寝たんじゃなかったのか?」ニコッ



…戦人。
この聖杯戦争を戦い抜く上での、俺のパートナー。
見た目は同い年くらいだけど、彼にはこの1日で助けられっぱなしだ。

そう言えば、まだ改めてちゃんと話をしていなかったな。

久々の当たりのSSだな

士郎「眠れなかったんだ。…なんて言うか、自分の無力さを痛感して」


戦人「マスターの代わりに戦うのが俺の役目だぜ?そんなこと気にしなくてもいいんじゃねーか?」


士郎「確かに、そうかもしれない。でも、ダメなんだ。笑われるかもしれないけど、俺は…正義の味方にならないと」 


戦人「正義の味方、か。俺は笑わないぜ?…士郎のこと、教えてくれよ」



士郎「…戦人」



真摯に耳を傾けてくれる戦人だったから、話しやすかったのかもしれない。
今まで誰に話すこともなかった、十年前の大災害、そして切嗣のこと。
俺が正義の味方を目指すキッカケと理由を、全て話した。



─────────────────────


戦人「──そうか」



士郎「長々と、ごめんな。こんな話」



戦人「いや。士郎のことが知れて、俺は嬉しいぜ」


士郎「自分のマスターが何考えてるかわからないのは、不安だろうし…な」


戦人「それもあるかもしれねーが…俺は、士郎の心が知れて良かったと思ってる」


士郎「心?」


戦人「ああ。心だ。…俺は、ミステリーでもホワイダニット───動機、だな。それを一番重視してるんだ」


士郎「犯人や、トリックじゃない…ってことか?」



戦人「心の力ってのは、一番大切なんだと、俺は思う。ミステリーの殺人だってそうさ。人が人を殺すのには、それ相応の覚悟…つまり、心が揺れ動いてるはずなんだ。人間なんだから」



戦人「俺は今、士郎の心の在りようが知れた。他のサーヴァントはどうか知らないが、少なくとも俺は…それでマスターと深く繋がれたと、思ってるぜ」


士郎「戦人…」



戦人「士郎は、自分のやりたいようにやればいいさ。いざって時は俺が付いてるしな、いっひっひ」


士郎「ありがとう、戦人」



戦人「なぁに、これも士郎の心が知れたからだぜ」


士郎「なんだか、胸が軽くなった。…今は、俺に出来ることをやらなきゃな。──よろしく頼む、戦人」


戦人「ああ!」

────────────────────
暗い、地下室。
おぞましい何かが蠢くそこで、人影が動く。


臓硯「──おぉ、アサシン。どうじゃ、偵察の首尾は」


ヱリカ「…キャスターとアーチャーが、我が主の仰っていたアインツベルンのバーサーカーと戦ったようです。勝敗は着かなかったみたいですけれど」



臓硯「そうかそうか。ご苦労じゃったな」



ヱリカ「…我が主。あれは…?」



臓硯「ああ、孫の“教育”じゃよ。あやつめ、衛宮の小倅がマスターになったと教えてやったら、泣き叫んでおったわ」 



ヱリカ「…はぁ。どうするんです?ライダーは」



臓硯「聖杯戦争に妄執しておる兄に渡したようじゃ」



ヱリカ「ああ、あのワカメ頭の」フッ



ヱリカ(くだらない。趣味の悪い毒虫マスターに、虐げられるしかできない愚かな女と身の程知らずの兄)



ヱリカ「──でも、そんな狂った物語だからこそ…面白いんですよね」クスクス



魔女の方の我が主が、こんな世界を知ったらどう思うのだろう。
また色んなカケラを集めて、グチャグチャにして────




ヱリカ「──グッド。なら、この私、古戸ヱリカが…そんなカケラにしてあげましょう。しばらくは、探偵としての出番はないようですし。サーヴァントとして、暗殺者として──魔女として」ニヤリ


やはり赤では1殺までしか出来なかったか

このへんで戦人のステータスを投下。




クラス:キャスター

真名:バトラ



筋力:C

耐久:C

敏捷:C

魔力:A

幸運:E


宝具:???



クラス別スキル

陣地作成:D


道具作成:C


保有スキル


対魔力:EX
通称エンドレスナイン。神話級魔法攻撃であっても傷一つつかない、対魔力の境地。
純粋な魔術は彼の前には無力である。しかし、戦人の対魔力は精神状態の影響を受けるので、極度に動揺している時や追いつめられている時などは一時的に消失してしまう。



推理:A
所有者の知識の深さ、頭の回転や発想力に影響するスキル。
ここまでランクが高い場合、難しい謎でも時間をかければ解けないことは殆どない。
聖杯戦争における真名暴きなども例外ではない。


赤青真実:E~A
戦人の主な攻撃方法。ランクはその時の赤青真実によって変動する。
この手のスキルには珍しく、魔力消費が無い。



ベアトリーチェの猫箱:A
またの名を、黄金郷。魔力を消費するが、黄金郷の眷属、住民を具現化することが出来る。





※書き忘れましたが、戦人も原作のセイバーと同じく士郎とのパスが繋がっていません。
しかし赤青真実が魔力消費しないことと、戦人の普段の自力での魔力精製量が高めなことから、ベアトリーチェの猫箱を長時間使ったり、宝具を使わなければ魔力が枯渇することはありません

うみねこSSって何か面白いの多い気がする
期待


スレタイ見てうみねこクロスは無理があるだろって思ったけどよく出来てて面白いな

何故かミステリーもののはずなのにガキンガキンしてるからバトル出来ちゃうしな

─────────────────────



士郎「───ん」



目が覚める。なんだか、身体がいつもより重い。
…いけないいけない、とりあえず朝食の支度をしなくては。


台所に行き、すぐに調理に取りかかった。



士郎「──夢じゃ、ないんだよな。昨日のことは」


包丁を握って、視界に入った腕の令呪を確認する。



士郎「イリヤフィール・フォン・アインツベルン…か」


昨日の少女の名を思い出す。
そういえば、つい先日その名を聞いたような──


『─ところで衛宮士郎。アインツベルンの娘は壮健かね?』


士郎「そうだ。確か慎二の爺さんが…」 
 


※このSSはHFルートの流れなので、士郎は一度臓硯に会っています。



…イリヤスフィール、か。
こんな殺し合いに似つかわしくない、まだあどけない少女。


士郎「遠坂と組むってことは、あの子と戦うんだよな」


自分でもどうかしてると判っているんだが、俺は、あの子とは戦いたくない。
遠坂と同盟を結んだ以上、いつかは戦うしかないのだが──


戦人「士郎?起きてたのか」



士郎「戦人」



戦人「おはようさん。どうした、難しい顔してたぜ?」



士郎「ちょっとな。イリヤって子のことを考えてた」トントン


戦人「今日の嬢ちゃんのことを?」


士郎「ああ」トントン



戦人「士郎はああいう子が好みなのか?いっひっひ」


士郎「──ば、違うぞ!単に、こんな戦いにあんな小さな子が参加してるのが信じられないっていうか、嫌っていうか─」 


戦人のやつ。間違って指切りそうになったじゃないか。

戦人「冗談冗談。にしても、美味そうな匂いだな~!士郎は料理得意なのか?」



士郎「得意かどうかはともかく、ずいぶん長いな、始めてから」 



戦人「こりゃ楽しみだな、いっひっひ」




───────────────────


士郎「ご馳走さま」


戦人「ご馳走さま!いや~、美味かったぜ士郎!!右代宮家で働けるレベルだぜ」 


士郎「働けるって…戦人の家はずいぶん金持ちみたいなんだな」


戦人「爺さんの屋敷はな!使用人雇ってるくらいだからよ。ウチは普通だぜ?…あれ、今は俺が当主なんだっけか?うーん、あれはゲーム盤でのことだからなぁ」


士郎「??」



ごめん。何言ってるのかさっぱりわからない。
そういえば戦人って何気に着てる服も高そうだし、やっぱり庶民とは程遠い気がする。
…英霊なんだから当たり前か。



戦人「おっと、話が脱線したな。…そろそろ、聖杯戦争の方針について、話し合おうぜ」


士郎「…そうだな」


戦人「俺は士郎の方針に従うぜ」


士郎「うーん…しばらくは、様子を見るって場合でもないよな。他のマスターがどんな奴らかはまだ判らないし、イリヤって子の事も気になる。…犠牲者を出さない為にも、他のマスターを捜すくらいはするべきなんだろうが──」


後で遠坂とも話さないと。
あれ、そういえば今日って日曜日じゃないか!
学校で会うのは明日だな。

戦人「やっぱりあの嬢ちゃんが気になるのか?」
 

士郎「え…いや、どうして俺達のことを狙うのかって気になったんだ。それに、あの子とは昨日が初対面じゃなかった。前にすれ違った事もあるし、その、アインツベルンって名前にも覚えがあるんだよ」 



戦人「覚えがあるのか?」



士郎「覚えがあるっていうか、ただ聞かれただけなんだ。あの子に会う前に、アインツベルンの娘は健在か、なんて、全然関係ないやつに」



戦人「興味深いな。それは誰に?」



士郎「間桐臓硯っていう、爺さんにだよ」



戦人「…マトウ?」  



戦人(…確か、バーサーカーとの戦いの時に凛から聞いた、始まりの御三家は遠坂、アインツベルン、そして…マキリ)



戦人(偶然とは思えない)
 


戦人(…いや、そもそも。俺が士郎に呼び出されたのは、本当に偶然か?)



戦人(…士郎の話では、死んだ親父さんには十年前の大災害で助けてもらったって)



戦人(…すべて偶然にしては、あまりにも出来過ぎてる)



士郎「どうした?戦人」



戦人「…士郎。お前の親父さんについて、ちょっと聞きたい」



士郎「切嗣について?いいけど、なんでいきなりそんな」



戦人「──お前の親父さんは、前回の聖杯戦争に参加していたんじゃないのか?」

士郎「───な、んだって?」



戦人「いや、知ってるはずはないか。そもそも今まで聖杯戦争について何も知らなかったんだもんな」




士郎「……」



戦人「……悪い。少し、強引な方法をとるぜ」



戦人『お前の親父さん、衛宮切嗣は前回の聖杯戦争に参加していた。その時なんらかの理由でアインツベルンとの関係があった。イリアスフィールが最初からお前のことを知っていたのも、マトウの爺さんがそんな事を聞いたのも、それが原因である可能性がある』



士郎「…!そんな、まさか…」



戦人「…赤で答えてくれ。──復唱要求!『衛宮切嗣は、聖杯戦争に参加していない』」



士郎「赤で…?できるのか?」



戦人「俺が許可したから、出来るさ」



士郎「う…【親父は、聖杯戦争に参加して】」



士郎「うっ!?」ズキッ



戦人「…赤で、言えないようだな。それは、赤は真実しか語れないからだ」 



士郎「そんな…親父が…?」



戦人「…ごめんな。辛かったろ」ナデナデ




少し考えればわかる謎が原作ではいろいろあるが
原作士郎は意図的に考えるのを放棄してるところあるよな。
魔術師である切嗣は何故冬木に来たのか?→冬木だけにある魔術的価値のあるものは何か?

士郎「…大丈夫だ。おかげで、俺の中でも少し腑に落ちた事がある」



戦人「…ああ」



士郎「──教会に行こう。こんなこと、もし聞けるとしたら…」



聖杯戦争の監督役である、あの神父…しかいない。
気は進まないが…



─────────────────────

教会





※原作の会話中略

>>81
かと言ってプレイヤーが選択肢で知ろうとすると一成に殺されたりするって言うねwww

言峰「いっそ聖杯に英雄になりたいと願ってみるのはどうだね?」


??「英雄とは人々から与えられる過去の称号。なろうと思ってなるものではないし、なりたいと思ってなれるものでもない」



士郎「誰だよアンタ」



??「馬鹿なっ!!」


─────────────────────


言峰の長ーい話が終わったあと




士郎「悪い、待たせた」




戦人「どうだった?」



士郎「かくかくしかじか」




戦人「長い産業で」




士郎「切嗣鬼畜
   アインツベルン激おこ
   怪我人出たら言峰にヘルプ」 



戦人「おk」


────────────────────
夕方。





夜になるのを待って、外に出る。
それが戦人と話し合った結果だった。


俺はマスターを感知できない。
敵の気配を察知できるのは戦人だけで、それでも他サーヴァントの気配は近付いた時じゃないとわからないらしい。



戦人「となると、危険だが確実なのは町を巡回することだな」



士郎「少なくとも手掛かりくらいは得られるよな。運が良ければ出くわすだろうし」



戦人「方針は決まったな。さぁ、士郎、メシ食おうぜ~!」



士郎「はいはい」




戦人の話だと、俺からの魔力供給が上手くいっておらず戦人の自己回復のみで戦わなくてはいけないらしい。
だから、なるべくは休んで魔力を温存しないといけないんだが…



戦人「メシも大事な魔力供給元だぜ!士郎の料理、楽しみだな~!」


これである。
まあ、期待されてるならこっちも腕の見せ所だ。
マスターとしての役割が出来ていないぶん、せめてこういう所ではサポートしてみせなくては。


士郎「あー、そうだ。もうすぐ来ると思うから、さっき言ったとおり口裏を合わせてくれ」



戦人「おう、わかってるぜ」





大河「──ただいまー!士郎っ!今日の晩ご飯は何かなー?」


桜「おじゃまします、先輩」




来た来た



──結論から言うと、戦人が下宿するのはすんなり受け入れられた。
別に異性を泊めるわけじゃなかったし、切嗣の知り合いの息子さんってことで納得してもらえた。


戦人の人柄もあって、藤ねぇとは今日初めて会ったとは思えないほど意気投合したみたいだ。

…桜は、何故か終始元気がなかった。
人見知りだからだろうか?




戦人「なあ、士郎」コソコソ



士郎「ん?」



戦人「桜ちゃんって、胸大きいよな」


士郎「ぶっ!!」


戦人「俺だったら、乳揉ませろーい!って言うぜ」ニヤニヤ


士郎「…殴るぞ」



戦人「士郎はウブなんだな」ニヤニヤ



士郎「なんでさ」



ただでさえ最近桜のことを色々意識しちまってるのに、戦人の冗談はちょっと刺激が強すぎるな。

俺だって言う。みんなそーする

オレはそんなことはしないただ視姦する

戦人巨乳好きだもんな

おっぱいソムリエだからなww

────────────────────



戦人「さぁて、行くとしようぜ」


士郎「ああ」


夜の巡回を始める。


戦人「あまり離れないようにするんだぜ?」
 

士郎「わかってるよ。無茶はしないから」



戦人「…無茶しそうな性格だから、言ってるんだがなぁ」



士郎「そんなことないって」



戦人「なんだか見てて危なっかしいんだよ、士郎は」



士郎「どういう意味だよ、それ」



戦人「ははは」


いつ敵に出くわすかもわからない巡回中だと言うのに、戦人といるとついつい気が弛む。
同性の藤姉ぇがいるようなものだからだろうか。


────────────────────
一時間後


戦人「──特に収穫なし、か」



士郎「もう少し見て回ろう」



戦人「ん…そうだな。士郎の家に戻るまで、大回りで行ってみるか」



士郎「新都まで来たからな。…ちょっと張り切り過ぎたかな?」




戦人と一緒にいて、巡回も特に何も起こらなかったからか。
本当に今日は何ないだろうな、と思ってしまったその時



キャ───!!!



士郎「!!」


戦人「悲鳴だ!!」


できれば何も起こらず終わってほしい。
ふと考えてしまったその小さな感情は、無情にもその悲鳴で消えてしまった。

すぐに、その悲鳴があった方に駆けつける。
幸いにも、渡っていた橋の下の公園だった。



士郎「────う?」




それは、一瞬映画でもみているのかと思うような光景。



ライダー「………」ジュルジュル



女性「」




そのサーヴァントは、まるでよくある吸血鬼のように、女性の首筋に口をあて血を吸っていた。



戦人「魔力を、吸ってやがるのか」



士郎「………」



戦人「士郎?」



その光景も充分衝撃だったが、俺が動けないのはそのせいではない。

良く見知った同級生が、そのサーヴァントの後ろで平然と、満足気に笑っていることだった。


慎二「──へぇ。誰かと思えば衛宮じゃないか。凄いな、ここまでくるとお前の甘さも長所だね」

士郎「──慎二。お前」


慎二「どうしたんだよ、衛宮。呆けちゃってさ。まさか、まだ事態が飲み込めないとか、信じられないとか思ってるわけ?」



士郎「──殺したのか?」



慎二「はぁ?バカだな、お前。魂を餌にしてるんだぜ?考えなくてもわかるだろ?」



戦人「……野郎」ギリッ



慎二「まあ、僕も別にやりたくてやったわけじゃないんだぜ?でも魔力を供給しなくちゃいけないんだ、仕方ないだろ?」



士郎「…そこを退け」ダッ



ライダー「……」バッ



慎二のサーヴァントが立ちふさがる。




慎二「何、お前がやるの?死にたくないなら下がってろよ。僕はサーヴァント同士の戦いってやつが見たいんだ。そのためにわざわざ目立つようにやったんだからねぇ?」



士郎「この……!!」



慎二「はぁ?なんだよその目は。ムカつくな!もういい、やれライダー!」



ライダー「……!」


ライダーの体が沈み、衛宮士郎を獲物として定める。



戦人「──下がれ、士郎!!」



ガキィン!!


すかさず割って入った戦人が、ライダーと武器を交えた。



ギィン!ガッ!


戦人とライダーが交戦する。
翻弄するように素早く飛び回るライダーに、戦人は青い剣で防戦する。



慎二「ははっ!なんだ、防戦一方じゃないか!ヘボいマスターのサーヴァントは、やっぱりヘボいんだな!」



士郎と同じく、離れた場所で戦いを観戦する慎二が高笑いする。



士郎(サーヴァントを援護する様子は…ない。慎二も、俺と同じで偶然選ばれたマスターなのか?)


ギィン!バシュッ!



慎二「ほらほら、早く決めちゃえよ、ライダー!!」


ライダー「………!」ヒュッ!!



戦人(こいつ…)




ガッ!!




慎二「くそ!何手こずってるわけ!?」




戦人(…妙だ。このサーヴァントからは、他のサーヴァントから感じるような威圧感がない)



ライダー「………」バッ





ギィン!






戦人(あのマスターからも、魔力はほとんど感じない。とてもじゃないが…魔術師には見えないな)



慎二「くそ!何やってる!ライダー!」 




戦人「外野がうるさいな。女性の容態も気になるし、さっさと終わらせる!」ブワッ



ライダー「!?」


攻めに入る戦人に、ライダーが押され始める。

戦人「はぁ!!」ブン!!


ライダー「っ!」バッ


戦人の横薙ぎを、後ろに宙返りしながら避けるライダー





戦人「…悪いな」



戦人「チェックだ」




ライダーの着地点。そこにすでに、戦人は罠を仕掛けている。




戦人「ベアトリーチェの猫箱」




ライダーの真下に、召喚の魔法陣が現れた。




ライダー「!?」



楼座「………」



ライダー「え」




バキィ!!



ライダー「───……っが!?」



ゴールデンドリーム(黄金のインゴットスイング)が、ライダーの体を吹き飛ばした。

ライダー「──…一体、何が…」



ライダーは目を疑う。
目の前には、片手にブランケットに包んだインゴットと、もう一方の腕に銃を持つ女。


それが、瞬く間に



ガッ!バキィ!ドカッ!


楼座がライダーに肩からぶつかるッ、回るッ、逆肘がライダーの顎を打ち上げ、突き出た腹に膝を打ち込むッ!!



そして内臓の苦痛に身を屈めたライダーの眉間に銃口が突きつけられるッ!



ライダー「あぐっ…!?」



楼座「私の目の前にそのピチピチな体をもう一度晒してみろ。元来た地獄が生ぬるかったことを教えてやるよ」


バァン!



ウィンチェスターの45口径が放たれる。
もちろん、それは実弾ではなく魔力の塊。
だがそれは、容赦なくライダーの体を吹き飛ばすッ!!



バァン!バァン!バァン!バァン!


吹き飛んだライダーを追い討つように、楼座の銃が四度火を噴いた。


ライダー「くっ!」ヒュッ


しかしライダーも、そのままやられてるほど甘くはない。一瞬で態勢を立て直し、楼座に向かって行くッ!!

楼座「ちっ!」

楼座は銃を空に投げ手放すと、インゴットのブランケットを両手で掴み、それを引きずりながら、自らも疾走する!!


楼座「見せてやるよ…黄金の夢ってやつをおおおおおおおお!!」


ライダー「──!!」



2人の女が、殺意をぶつけ合いながら衝突する!!


凄まじい重量のインゴットが遠心力でライダーに打ち込まれッ

怪力では勝るライダーの回し蹴りが楼座の頭を捉えるッ!!


容赦のない女同士をどつき合いが、熾烈を極めるッ!!




慎二「」ガクガク


士郎「」



マスター2人は呆然自失。


それも当然、所詮男ごときが、この女の争いを前に割って入れるわけがない!!!



…そう、ただ一人を除いて。


戦人「終わりだ」


ライダー「…っ!」


ズバッ!!

楼座さんって繊細な心のお方なんですね(冷や汗)

BGM:Worldend dominator

まさかのキャットファイトにくっそわろたww

ローザ△


まさかの楼座無双キタwwwwwwww

ライダー「……うっ」ドサッ


背後からの戦人の一閃を受けたライダーが崩れ落ちる。



慎二「───なんだよ。何やってるんだよライダー!!立てよ、お前が立たなきゃ僕がこんな奴に負けたことに…ああもう!いいから立て!ライダー!!!」




ライダー「………」



ライダーに反応はあるが、傷は深くとても立てるような状態ではない。



士郎「やめろ、慎二。見ればわかるだろう。ライダーはもうそんな力は残っていない。お前の負けだ」 



慎二「くそ…誰に指図してるんだよ衛宮ぁ!僕は負けてないぞ、そうだ、負けてない!そこのクズが使えないから!くそくそ、僕に恥をかかせやがって…!お前のせいだぞライダー!」



戦人「うるせえ!!」バキッ



慎二「あぎゃ!?」ドサッ




戦人「お前のために戦ったサーヴァントをクズだと!?ばか言え、クズはテメェだ!!」ギロッ



慎二「あ…わわわ…」ビクビク




ボウッ!!




士郎「!?」



戦人「奴の持ってた本が…?」



突然、慎二が持っていた本が燃えた。
…そして、闇の中から浮かび上がるようにソレは現れた。


臓硯「──やれやれ。孫可愛さに好きにやらせてみたが、やはりコヤツには宝の持ち腐れだったようじゃな」

ライダー「」スゥ

ライダーの姿が消える。


慎二「…く、爺さん!僕はまだやれる!」


臓硯「黙れ愚か者。敗者はさっさとこの場から去れ。お前の父のように、無能なりに屋敷に閉じこもり余生を過ごすが良い」


慎二「…ちくしょう!」タタタ



慎二は、おぼつかない足取りで逃げていく




臓硯「…やれやれ。愚か者と言えど、みすみす孫を死なせるわけにもいくまい。どれ、キャスター。この老体で良ければ、斬って捨てるのだな」



戦人「…断る。無益な殺生をするつもりはない。マスターの方針でもあるからな」


臓硯「…ふ。そうかそうか」ニヤッ


士郎「…待て。どういうことだ。何故慎二が…魔術師でもないアイツが、この聖杯戦争に参加していた」


臓硯「妙なことを言うものじゃな。我がマキリの家が、聖杯戦争に参加していないわけがなかろう」


士郎「なんだと…!?」


戦人(…やはり、マキリ)

臓硯「…とは言え、我が家は最早廃れる道でな。すでに一族の者に魔術師の素養を持つものはいない。だが、あの愚か者はプライドと執念だけは一級品でな。自らに魔術の素養がないと知っていても、どこからかマキリの秘伝の書物を見つけて紐解きおったわ」



臓硯「どのみちこれが最後になるだろうと、好きにやらせてみたが…結果は見ての通り。ヤツは敗北し、マキリはこの代で終わりじゃ」



士郎「ちょっと待て。じゃあ、桜は。桜も、魔術師や聖杯戦争のことを知っているのか!?」



臓硯「また妙なことを。魔術師の家系は、家を継ぐ者にしか魔術やその知識を相伝せぬ。妹である桜は、そんな事は知らず普通の人間として育っている」 


士郎「…そうか」ホッ



臓硯「──もういいかな?我々は敗北した身。これで隠居させてもらおうかのう」スゥ



現れた時のように、再び闇の中に戻った臓硯は、そのまま溶けるように消え去って行った。



戦人「──士郎」 



士郎「そうだ、早くあの人を助けないと!教会に連れて行こう、戦人」



戦人「あ、ああ」バッ



戦人(…腑に落ちねぇな。あのジジイが言ったこと、なんか胡散臭ぇぜ。ライダーも、アレは消滅したと言うより──)




─────────────────────

言峰「──負傷者が出たら連れて来いとは言ったが、まさかその日のうちに連れて来るとは思わなかったぞ」   




言峰の治療のおかげで、なんとか女性は持ち直したようだ。





────────────────────



士郎「──ありがとう、戦人」


戦人「ん?何がだ?」


士郎「戦人のおかげで、あの人を助けられた」


戦人「士郎の方針に従っただけさ」ニコッ


士郎「戦人がいてこそだけどな。とりあえず、夜の巡回は意味があった。明日からも続けて行こう」


戦人「ああ」



そうして、士郎と戦人は帰路についた。


────────────────────

戦人(問桐臓硯、か。油断ならねぇな)



戦人(聖杯戦争を諦める?そんなはずはない、マキリの五百年の悲願…そんな簡単に諦められるものの筈がない)


戦人(ジジイの妄執の厄介さは、ウチの爺様を見てたっぷりわかってるからな)


戦人(そして、あのライダー。多分、まだ存在しているだろう。マスターがあのワカメ野郎だってのも…なんでかな、納得できない。魔術師でもないヤツが、サーヴァントを呼べるものなのか?)


戦人(だが、桜ちゃんを大切に思っている士郎には…このことはまだ話せないな。余計に心配させてしまうだろう)


戦人(俺が、警戒しておかないと。ライダーのマスターが臓硯の可能性もある。油断はできねぇぜ)

───────────────────

「妾を否定してみろ!右代宮戦人ぁぁぁ!!」


「上等だ!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「【そなたは無能だ】」


「屈服したなァ?右代宮戦人!」


「ついに…見つけたわぁ…黄金」


「駄目だな……ああ、全ッ然駄目だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「いつまでこんな所で遊んでるつもり!?右代宮戦人!」


「そなたの十年前の罪のことだ」


「【早く帰ってきて、お兄ちゃん!!私を独りぼっちにしないで!!】」 


「私は、だぁれ……?」



────────────────────
朝。

士郎「……ん」


──長い、夢を見た。
戦人の記憶の断片。その惨劇の世界と、熾烈な魔女のゲームに身を投じた彼の姿を。


士郎「…朝飯、作らないと」 



士郎「──魔女のゲームか。さっぱりわからなかったなぁ…」


彼が挑んだ無茶苦茶なゲームの謎に、首を捻る。


士郎「でも、小型爆弾はないだろ」プッ



──朝食を作り、食べた後学校へ行く。
桜はいつもと変わらず、朝から家に来てくれた。
慎二の様子はどうだったかなんて、聞けなかったけど。



戦人「何かあったら令呪ですぐ呼んでくれよ」 


戦人にそう見送られ、学校についた束の間──




士郎「しまった。桜がいつも通り来てくれたから安心してたけど、よく考えたら慎二は…!!」



きっと、桜が家に帰ったら慎二がいるだろう。
今日慎二は休みのようだが…荒れているであろうアイツの所に帰って、もし何かあったら…

そもそも、問桐の家が聖杯戦争に関係しているとわかった以上、絶対に安全とはいえない。



士郎「俺の馬鹿!!どうして気付かなかった!!」



どうする、どうする! 

こんなこと、相談できるのは──!!



凛「な、どうしたの衛宮くん?そんな息を切らしちゃって。そんなに慌てないでも、同盟の方針はゆっくり…」


士郎「違う!そのことじゃないんだけど…頼む、助けてくれ遠坂!!」


凛「??」

※原作の会話中略

──────────────────


士郎「桜をウチに泊める事になった」 


戦人「士郎って意外とプレイボーイなんだな」ニヤニヤ


士郎「ばっ……!そういうことじゃないだろ!」アセアセ


戦人「──守ってやれよ」


士郎「え?」



戦人「好きな子なら、大事ならちゃんと守ってやれ」


士郎「待て待て待て!たしかに桜は大切な後輩だけど……好きとかそういうんじゃ…!」


戦人「そうかぁ?俺の推理じゃそうなんだけどな。士郎が自分で気づいてないだけさ、いっひっひ」


士郎「ちゃ、茶化すなばかっ」


戦人「茶化してなんていないさ。…いいか、士郎。自分の気持ちに気づいたら、待たせるようなことしちゃいけねぇぜ。…絶対な」


士郎「……」


突然真剣な顔でそう言った戦人に、俺は言葉を返せなかった。

夕方


士郎「…なぁ、戦人」


戦人「どうした?」


士郎「俺、もっと強くなりたい。…鍛えてくれないか?」


戦人「いいぜ。って言っても場所はどうすんだ?」


士郎「道場を使おう」



戦人「わかった。…別に俺は武道の心得があるわけじゃないから、あんまり期待しちゃいけないぜ?」

─────────────────


士郎「───はぁ、はっ…!」



戦人「どりゃあああ!」



バシン!


士郎「…っ!」


戦人「大丈夫か?士郎」


士郎「──まだだ。もっと。手加減なんかしないで、思いっきりきてくれ」


戦人「…わかったよ」


士郎(このままじゃダメだ。もっと、もっと─!)



────────────────────

バシンッ!


士郎「……う」



戦人「もう限界だ。いいだろ、このあたりで」



士郎(くそ、やっぱりまるでかなわない。せめて──)


思い浮かべるのは、強い自分。
今の衛宮士郎ではサーヴァントには絶対に適いはしない。
ならば、


士郎(人真似でもいい。もっと戦える動きを──)

──ふと、思い浮かんだのは。
あの夜に見た、アーチャーの────

ヒュン!!


戦人「!?」バッ


戦人が後ろに飛び退く。
士郎の剣筋が、突然別人のように変わったからだ。


戦人「驚いたぜ、士郎」


竹刀をあらためて構え直す。
どうやら、自分のマスターの根性は並大抵の物ではなかったようだ。


士郎「はぁ、はぁ──ここからだ、戦人」


戦人「…おもしれぇ」ニヤ


それでも、今の士郎では戦人の相手にはならないだろう。


でも。


士郎のこの先…彼の夢の為にも。



戦人「本気で、鍛えるぜ…士郎」


士郎「ああ。頼む、戦人」


戦人「────」パァァ


士郎「!?」


戦人の足元に、魔法陣が現れる。


嘉音「──嘉音、ここに」


譲治「呼んだかい?戦人くん」


戦人「2人には、俺のマスターをたっぷり鍛えてもらうぜ。ほら、嘉音くん、竹刀。譲治の兄貴は素手でいいだろ?」


士郎「戦人、これは──」


戦人「見ての通りだぜ士郎。とにかく、体に戦いを覚えさせるんだ」


──────────────────


士郎「………はぁ、はぁ…」グッタリ

戦人「おつかれ…さん」


士郎「ありがとう、戦人…悪い、無駄に魔力を使わせた」


戦人「いいってことよ。ま、だけど今日の巡回は休みだな」




士郎「桜、風呂に入ってから随分たつなぁ」 


戦人「様子見てきたらどうだ?」ニヤニヤ


──────────────────


桜「……」ハァハァ


士郎「のぼせてる!?藤ねぇ!大変だっ!」


──────────────────


戦人「どうだった?湯上がりの桜ちゃんは」


士郎「……////」カァァ


戦人「その顔は良いことあったな?」


士郎(くそっ……あんな時に桜に邪な事考えちまった……)



ヱリカ(──蟲ジジイに監視を命じられましたが、なにこの三流ラブコメは)


大河「あ、黒猫。庭にいるなんて珍しいわねー」



ヱリカ「ここにいても、成果はなさそうです」ハァ



ヱリカ(──それよりも) 



ヱリカ(私と戦人が戦いに勝利するために、必要なサーヴァントの真名。…それが、未だにわからないヤツがいる)  


ヱリカ(そっちも偵察に行かないと行けませんね。…ふふふ、灰色の脳細胞が疼きます)ニヤ



─────────────────────


凛「…今日も、成果はなし、か」



アーチャー「ランサーとバーサーカー以降、まったく他のサーヴァントと出会う気配はないな。今回のマスター陣は、よほど慎重か臆病と見える」


凛「まだ確認してないのは、アサシンとセイバーね」



アーチャー(セイバー…か。もしかしたら彼女は、衛宮士郎意外の誰かに召喚されたとでもいうのか?)





「───セイバーなら、もう脱落してますよ?」




凛「!?」


アーチャー「貴様…!」スゥ


実体化したアーチャーが、凛を庇うように現れる。


ヱリカ「初めまして、こんにちは。アサシンと申します」ペコッ


凛「アサシン…?」


アーチャー「随分と礼儀正しいアサシンがいたものだ。暗殺者がわざわざ自己紹介とはな」

更新乙!

ヱリカ何を使うのかな

探偵権限とか
青の乱れ打ちとか
歪み切ったアヘ顔混じりの顔芸とか

おはし

宝具はガムテームだな、間違いない

黄金郷を襲った黒い羊(?)とか

原作ep5で辞めちゃったけどネタバレ見ると正解だったと思っちゃう不思議

 ヱリカちゃん可愛いマジ天使っと・・・
  カチャカチャ              なんで私の人気が出ないの!
                     ヱリカちゃん可愛いマジ天使カチカチカチっと・・・・
                              _, 、__
                          ,-<スミミ三≧-、

                        , -lノ__}`ヽrノミミ彡彡 、
. ────┬┐        /´` ‐-‐'´:::::::::Ⅵ ゝ人のノリレ/rミハ
  ___,,,...-‐''"| |        ,'::::::/:::::::/:::::::/:::`- 'ハゝ-イ 、く、 ノリ、, - 、
 ̄7     | |  .      i::::://:::://::::://:::∥:ll:::`しィ⌒i トj-、ノ、ハ::::::::ヽ
  i      | |       i::::∥:::://::::::i::l:::::ll::::ll:::::::l:`´T、! !_) )´,、)::::::::::::',
 .|   .|   | |      ,':::∥:::::l::l::::::_l_l____ll__ll:::::::l:::::::l:::ヽ_ノノノ、::::::::::::!
 |   |   | | .     ,'::::∥:::,、__,、__,ヽ、__,、__,'::::l::l::::::::::!iヽ、ヽ、:::::i
 |   |   | |.     ,'::::::ii:ゝハ テtー。r   rtー。テミ,':::::!:L::::::::::!', ', ヽ、ヽl
     :   | |    //::::i:i:::::::!ハ.`"´ ノ  u `` ' ´,'::::::!:l !::::::::i ', ',ヽ ヽヽ
     :   | |  . //::::::i:!::::::i:::::l""   ___  """∥::::!:i_ノ::i::i::::li', '、、ゝ ' ノ
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 ̄ ̄ ̄__/  /::/::::::::/_r┐.!:i::::::i:::i-イ´l‐'´'、,、,、,,//::::::∥ノ  /   `ヽ、',:::::ヽヽ
 ̄ ̄ ̄|__‐ /:::/::::::し| .i '7''7、フ  l'ヽ、r‐-r‐‐/:/:::::∥´i ヽ/      ヽヽ:::::ヽヽ

ニ二二i -二ニ---、と.し∪し ''ヽ!7 j   ヽ--/:/:::::∥ レ'        ヽヽ::', ヽヽ
________________ンー|.|  i""""`^ゝi  !  ''"´ゝ./::/::::::/- l           ',',ヽ  ヽヽ

凛「マスターは…この周辺にはいないようね」 

ヱリカ「ご心配なく。ここにはこの私1人だけですので」


アーチャー「どこまで本当かは知らんが、暗殺者ごときが敵の正面に出るとは、自棄でも起こしたか、アサシン」


ヱリカ「あら?そちらこそ、弓兵ごときがこの間合いで…随分余裕そうですね」クスッ


ヱリカ「そんなことでは…すぐにでも死体になってしまいますよ?」


ヱリカ「…あなたのマスターが」ヒュンッ




凛「──え」


刹那。
瞬きの間に姿を消したヱリカが、凛の後ろに現れる。
その死神の鎌で凛の首を刈ろうと──


アーチャー「くっ!」


ギィン!!


が、ギリギリで間に合ったアーチャーの双剣がその一撃を防いだ。


凛「───…っ!」ドドドッ!!


すかさず、凛が後ろにステップしながらガンドをヱリカに向け放つ。



ヱリカ「おっと♪」ヒュンッ


が、先ほどの見せた敏捷さを持つヱリカに当たるはずもなく。涼しい顔で全て避けきる。


ヱリカ(…反応速度は上々のようですね)ニヤッ




アーチャー「貴様…」


ヱリカ「おや、どうしました?怖い顔で」クスッ


ヱリカ「これが、あなた方の言う暗殺者というものでしょう?──ただ、そこにマスターがいるだけで。この程度の暗殺が可能です。いかがです?皆さん──」ニヤッ



アーチャー「…ふん、弓兵ごときに防がれる暗殺では、そう自慢できたものではないと思うがね」


ヱリカ「そちらこそ。弓兵ごときにしては、大した剣捌きでした。…おかしいですね?弓兵なのに剣とは」ニヤニヤ


アーチャー「…凛、もっと下がっていろ」



凛「ええ」



アーチャー「さて、小手調べは終わりかな?アサシン。いつでもくるといい」チャキ


ヱリカ「…では、遠慮なく」クスッ



──ヱリカの指が、青く光輝く。



アーチャー「!!」



身構えるアーチャー。
──その輝きを、彼は知っている。



ヱリカ「青き真実!!【あなたは弓兵のはずなのに弓を構える仕草すらしない!クラスの偽り、またはクラス適性が多々ある可能性があるッ!!】」バシュウッ!!


青き刃が、アーチャーに向かって打ち出される!


そうだっけ?
セイバーには基本スペックが基準値にたりない。
ランサーは敏捷が足りない。
ライダーは乗るものがない。
バーサーカーは誰でも可能。
アサシンは基本的にはハサンになる。

キャスターってほど魔翌力は足りない。

弓使う方のアーチャーが珍しく始末

アーチャー「──!!」


青き刃が迫る。
しかし。



アーチャー「『君の主観での物言いはやめてもらいたいな。果てしない歴史の中、剣を好む弓兵がいた可能性だってあるだろう?』」



ギィン!!


アーチャーの放つ青が、ヱリカの青を相殺した。



ヱリカ「………へぇ。射抜く前に防ぎましたか」



アーチャー「初見で出来る芸当ではないがな。幸い、同じものを前に見ていてね。…キャスター以外にその戦いをする者がいるとは、いささか驚いたが」



ヱリカ「…グッド。どうやら私と戦うにあたってそこそこの頭をお持ちのようです」



アーチャー「──ならば、対応はこれしかあるまいっ!」バッ


アーチャーがヱリカに向かって駆ける。


ギィン!!


ヱリカ「…なるほど。青き真実を使わせないための接近戦ですか」


アーチャーの剣を大鎌で受け止めるヱリカ。


アーチャー「わざわざそっちの土俵で戦う義理もあるまい?」


ガッ! ギィン! バッ! ガキィン!


アーチャーとヱリカが、凄まじい斬撃の応酬を繰り広げる。




ヱリカ(あの剣…)


接近戦の最中、ヱリカはアーチャーの持つ夫婦剣に注目する。


ヱリカ(たしか、あれは干将莫耶…)



ギィン!



ヱリカ(弓兵があの剣を?まさか!)



アーチャー「どうしたアサシン。やはり接近戦は得意ではないか?」


ヱリカ「はっ!…どうやらアンタの正体、ずいぶんときな臭いモノみたいですね」


アーチャー「さあな。ぬんっ!」


ヱリカ「…!」


力、技量で後れをとるヱリカが押されている。
一見、圧倒しているアーチャーだが…


アーチャー(…何故だ。こいつと打ち合っていると、得体の知れない寒気に襲われるのは────そう、内側を覗き見られているような…)




バッ!!




これ以上は不利と悟ったのか、大きく後ろに下がるヱリカ。



ヱリカ「…ぞくぞくします。得体の知れない英霊の正体を解き明かす。ああ、これこそ私が欲していた謎──」ウットリ


アーチャー「っ!どうにも気味が悪いな、さっさと終わりにさせてもらうぞアサシン──!」


ガシィッ!!


アーチャー「!?」


地面から生えてきた何かが、アーチャーの足を掴み動きを止めた。



アーチャー「これは──」


ヱリカ「貴方のおっしゃる通り、接近戦では分が悪いようなので。怪力の山羊達に任せることにしますね」ニヤッ



地面から、山羊達が現れる。
山羊と言っても、それは頭の部分だけであり、胴体は筋肉の膨れ上がった人そのものだ。

一匹はアーチャーの足を掴み。
その後ろから、二匹目、三匹目、と。
合計十体もの山羊がヱリカとの間を阻むように出現した。



アーチャー「ちっ!!」


ズバッ!!


アーチャーが、足を掴む山羊の両手首を切断し離脱する。


が。



山羊「─────!!」



それを待っていたとばかりに、残りの山羊達が押し寄せる──!!



アーチャー「見た目に反し存外脆いようだが…この数では!」ブン!



アーチャーの一閃。
だが、一撃斬った程度では山羊達にとって致命傷ではなかった。


山羊「────!!」



山羊が迫る。
その腕に、魔力による刃が宿る。



ギィン!!



アーチャー「厄介な数だ!」


アーチャーの夫婦剣と、山羊の刃が交わる。 


その最中。


ヱリカ「さあ、推理はこれからですよぅ…?」



不適な笑みを浮かべるヱリカの、指が青く輝く。



ヱリカ「『神話の英霊の可能性!』『中世の英霊の可能性!』『近代の英霊の可能性!!』『中華の偉人の可能性!』『英雄ですらない可能性!』どぉぉぉぉですぅぅぅぇあ!??まだまだぁぁぁぁ!!」



ザク!ザクザクザクザク!!




アーチャー「ぬっ…!?」


山羊の対応に注意を逸らされていたアーチャーに、数多の青き刃が突き刺さる。
1つ1つは大雑把な推理で、大した効果は見込めなくても─────それが、重なり続ければ。




アーチャー「くっ…」ズシン



まるで重りでも身体中に巻かれたように…それは、アーチャーのレスポンスを奪う。



ヱリカ「ヒャッハァァアァア!!まだまだいきますよぉぉお!?『干将莫耶の作者の可能性!!』『拾った武器を我がモノ顔で使っている可能性!!』『そもそも偽物の可能性!!』ああ、どこの世界に偽物を振りかざす英雄がぁぁぁあ!?決まってます、そんなの詐欺師か、思い上がった正義の味方気取りの馬鹿くらいです!!『もしかしてアンタもその口ですかぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあ!?』」



ドシュ!!ドシュ!!ドシュ!!


凛「アーチャー!!」


青い刃に串刺しにされるアーチャーを見て、凛は宝石を取り出す。

凛「────!!」ゴォォ!!


凛の持つ宝石が光輝き、ソレをアーチャーを囲む山羊達に打ち放つ!!


ブォオオ!!



風の魔術が激しくうねり、山羊達を吹き飛ばした。



凛「今よ!」



アーチャー「ああ!」



飛び上がるアーチャー。
その手に持っていた夫婦剣は一度砕け散り、空手になった所に彼の弓と、バーサーカーを殺した「矢」が現れる。



ヱリカ「………………」ニヤッ



アーチャー「我が骨子は捻れ狂う───カラドボルグ!!」バシュウッ


ヱリカ「!!」



ドォォォォォン!!



吹き飛ばされた山羊達と、その奥のヱリカを照準としたその一撃が爆散した───!!





凛「やった……の?」



アーチャー「どうかな」




シュゥゥ



ヱリカ「ふ…ふふふ。山羊達を肉の壁にしたとは言え、大した威力です」


煙が晴れる。
ヱリカは、どうやら山羊を盾にしたが余波は受けていたらしく、身体中傷だらけにしながらも存命していた。

アーチャー「しぶといな」チャキ


再び、アーチャーの手に夫婦剣が現れる。


ヱリカ「へぇ…出し入れ自在なんですね、その剣。…いや、その都度生み出している──といった方がなんだかしっくり来ますね」



アーチャー「!!」



ヱリカ「…どうやら図星のようで」ニヤッ



アーチャー「それがどうした。どの道、ここで貴様を消せば済むこと」


ヱリカ「そうですね。青の楔が抜けてないとは言え、私のダメージからしてこのまま戦ったら貴方が勝つでしょう。…ここは、一度退かせていただきます」



アーチャー「逃がすとでも思うか!!」ダッ



アーチャーが地面を蹴り、距離をつめようとするが。



アーチャー「!?」



身体が、動かない。
先ほどまで刃の形状だった青い楔が、チェーンの形になりアーチャーを縛り付けていた。



ヱリカ「驚きました?そういう使い方もできるんですよ、それ。先に抜いておかなかったのは失敗でしたね」クスッ


アーチャー「チッ───!」


ヱリカ「では、この辺で。思案する材料をずいぶん頂いたので、貴方の正体については帰ってからじっくり熟考いたしますね──?」スゥ



───そうして、奇妙な暗殺者は姿を消した。

戦人にこの事を話すんかな続き気になるな

めっちゃ面白いなこのバトル、エミヤの知名度なら無敵と思ったがこの戦闘は厚すぎる

ヱリカさんマジ怖い顔
そしてアチャー強い

─────────────────────
…また、夢を見ている。





あれは…遠坂と、美綴…?






夕方の学校。




妖艶な雰囲気を醸し出す2人が…そういう行為にふけっている。




身体は、動かない。




そうしてるうちに、遠坂が俺に気付いて───




遠坂の顔が迫る。身体も。いやらしい手付きで、俺の身体に触れて、それから、それから──────





士郎「うわぁぁぁああ!?」ガバッ


飛び起きる。
…うん、今度はちゃんと現実。
──まてよ、なんだか下半身に違和感が…


士郎「あ」


下着の中で起こっている現象に、血の気が引いた。

戦人かな?

士郎「…まずい」


直ちに入浴、衣服の洗濯、漂白をしなければ。
そうだ、昨日から家には桜もいる。
こんな失態知られては先輩の株大暴落、衛宮士郎の発言権も危うくなっていき───


バッ


俊足で部屋を脱出しただちに脱衣所へ。
三秒で下着をバケツにぶち込み漂白、その間にシャワーを浴びてそれから──


戦人「なぁにやってんだ?士郎」ガチャ


士郎「」



戦人「……ん?」


戦人が状況を二秒で把握する。
下着の浸けてあるバケツ、今まさにシャワーを浴びようと半裸の士郎。
……これでわからない男はいない


戦人「じゃ、邪魔したな…」パタン


士郎「」


最悪だ…

────────────────────

桜「おはようございます、先輩。…どうしたんですか?元気ないみたいです」


士郎「あ、ああ…おはよう桜。大丈夫だ」


士郎(見られたのが桜じゃないのは不幸中の幸いだな)


桜「…ほんとですか?なんだか、そういう先輩珍しいですから心配です」


士郎「本当に大丈夫だって。それより桜こそ体調はどうなんだ?昨日風呂で逆上せてたろ?」


桜「大丈夫ですよ?ほら、もう元気ハツラツです」ニコッ


士郎「そうか?桜は無理するとこあるからな」


桜「そんなことないですっ。それを言ったら先輩のほうこそ無理しそうじゃないですか」



戦人「なんだなんだぁ、朝から痴話喧嘩かぁ?」


士郎「戦人」



桜「あ、おはようございます」


戦人「おはよう。今日はどっちが朝食作ってくれるんだ?もう朝から楽しみでよ」


士郎「もちろん俺が作るけど」


桜「もちろんわたしが作ります」

士郎「桜はダメだ。本調子じゃないんだから」 

桜「大丈夫ですっ。先輩こそ、家主さんなんですからどっしり構えててください」


士郎「あのなぁ、家主が具合悪い客を働かせるほうがおかしいだろ?」


桜「でもわたし、昨日も迷惑かけたのに…」


戦人「おーい。そんなこと続いてたら学校遅刻するぞ」ニヤニヤ



士郎「…わかった。じゃあ朝は桜に任せるから、なるべく簡単なものを」


桜「はい!腕によりをかけて作っちゃいます♪」  


士郎「だから簡単なものでいいって」



桜「早速とりかかりますね!………ぁ」フラッ



士郎「桜!?」ガシッ


フラついた桜の身体を支える。


士郎「熱い……桜、やっぱりまだ熱があるじゃないか」


桜「……え?熱なんて、ない、ですよ」


士郎「ばかっ!いいから今日も寝てろ!今部屋まで連れて行くから」


桜「先…輩…」


戦人「士郎」


士郎「悪い、戦人。少し茶の間で待っていてくれないか?桜を寝かしつけたら行く」


戦人「…ああ」



( ゚ω^ )ゝ 乙であります!

「魔女を否定できるものでない限り効力を持たない」としていた原作と違ってだいぶ広い汎用性を持ってるようだな……青き真実

アチャの正体当ても兼ねてアニメやってるUBWやるかと思ったが初戦でランサー消えたしやれないっちゃやれないか
HFってのは知らないから期待

今更だがバトラの対魔力は死にステじゃないか?

セイバー(?)は出落ち、ランサーはルーン魔術使えるらしいけど脱落、バサカは魔術使えない、ライダーも魔術らしい魔術は
使ってなかったと思う、アサシンは魔女を否定する側のヱリカだし、バトラがキャスターだからキャスターは対象外。

アチャーは、まあ・・・

>>144
他の人にも言われたけど、確かに役に立ちそうにはないなぁ…一応使う場は考えてあるけど。
まー、強いスキルが役に立たないってのもFateっぽいってことでwww

続き行きます

─────────────────────
桜にお粥を食べさせてから寝かしつけて、学校の藤ねぇに欠席の連絡を入れる。…ついでに俺も欠席させてもらった。
今日はこれから買い物にでも行って、桜に昼食を作らなくては。


士郎「それじゃ、行ってくる。桜が無理をして起きてきたら、叱っといてくれ」 


戦人「了解。待ってるぜ」 



────────────────────

士郎「───こんなもんかな」


買い物を終え、帰路につく。
どっさり買っておいたから、一週間近く持つだろう。
…いや、戦人が案外大食いだったから、無理か。藤ねぇと言う怪物もいるし。



ちょんちょん



士郎「─────え」


何やら、後ろからつつかれたので振り向くと。



イリヤ「…こんにちは、お兄ちゃん。よかった、ちゃんと生き残ってたんだね」ニコッ


士郎「イリヤ、スフィール……?」


イリヤ「イリヤで言いよ。お兄ちゃんは特別にそう呼んでもいいわ」


士郎「そうか、イリヤだな。…じゃなくて!なんだいきなり!まさか、昼間から戦いに──!?」



イリヤ「??…戦いは夜じゃないとダメなんだよ?…それとも、お兄ちゃんは戦いたいの?」


士郎「…いや、戦いじゃないなら、それにこしたことはないけど…」


イリヤ「そうでしょ?ねぇねぇ、お話しようよ、お兄ちゃん!」


士郎「あ、ああ…」


ひとまず公園に移動する。
…その無邪気な瞳と言動は、先日の夜に見た少女のものと正反対で、年相応に感じた。

  








※原作の会話中略



イリヤ「…バーサーカーが起きちゃった。もう帰るね」


士郎「ああ。またな」


イリヤ「次は──戦う時だよ?」


士郎「いつかは戦うかもしれない。でも、またこうして話すのもいいだろ?イリヤはつまらなかったか?」


イリヤ「つまらなくなんて…ないけど」


士郎「昼間なら、イリヤはいいんだろ?また話そう」


イリヤ「し、シロウがどうしても話したいって言うなら…考えとく」


士郎「ああ。それでいい」


今日話して、やっぱりこの子とは戦いたくない、戦いなんてさせたくない──と思った。
それが叶わなくても…せめて、こんな平穏な時間を、もう一度。


イリヤ「またね、シロウ」ニコッ


笑顔で帰っていく少女。
今日話していて、少し思ったのは。
彼女は、本当は切嗣に───




─────────────────────

間桐邸



ヱリカ「───昨日の戦いを、再構築」



薄暗い、書庫の中。
アサシンのサーヴァント、古戸ヱリカはその能力を持って思考に身を委ねていた。


ヱリカの両手には、拳大ほどの青い水晶のカケラ。
──それは、昨日の戦いの記憶。
探偵権限と言うスキルの中で、瞬間記憶能力を持つヱリカは、このカケラに昨日の戦いの記憶を映し出すことで、様々な方向から現場の状況を見通すことができる。
さながら、精度の非常に高い監視カメラの映像を隅々まで見れるようなものだ。
ほんの小さなものでもしっかりアップして見れる機能やスローモーションまで完備している。

ぶっちゃけFateのスキルは燕返しクラスじゃないとただの雰囲気テキストだよね。

ヱリカ「──やはり、これは武器の創造…と言ったほうがしっくりきますね」ニヤ


ヱリカが重視して見るのはアーチャーの手元。
あの戦いで、アーチャーは自在に剣と弓を入れ替えていた。



ヱリカ「そして、特筆すべきは──あの時の矢。…いや、これは…剣で間違いない!」


あの時、アーチャーは言った。
──カラドボルグと。
カラドボルグと言ったら、あの伝説の剣しかないだろう。確かに、こうして再構築した現場の映像を見ると、撃ち出されたあの宝具はカラドボルグの見た目に酷似している。


ヱリカ「若干形が違うのは、矢として運用するための術…と考えれば、特に矛盾はない」 


あとは、どうやってそれを成しているか。



ヱリカ「…ふふ。必ずタネがあるはず。カラドボルグと干将莫耶、同時に使用していた人物がいないはずの2つを使っていた以上、今推理すべきはそれを可能とする魔術があるかどうか」


ならば、ここから先は自らの知識だけでは推理できない。
だが…


ヱリカ「落ちぶれてるとは言え、魔術師の家系であるマトウに呼ばれたのは幸いでした。膨大な書物がありますからねぇ……あっはっは!!すかした弓兵さん。すぐにアンタの化けの皮、剥がしまくってやる…くひゃひゃひゃ!!」

>>148
星の開拓者チートなはずなんだけどなぁ…

うみねこ知らないけど面白いな

真名暴きがちゃんと意味のあるものになってる。ぶっちゃけ原作だと真名バレてマズい奴あんまいないからな

────────────────────

士郎「──そういうわけで。バーサーカーのマスターと色々話しをしてきたんだけど」


戦人「へぇ……」


家に帰って、イリヤと話したことを戦人に報告する。


戦人「良かったな。どんな相手でも、ちゃんと話さないとお互いのことなんてわかりっこねぇもんな」


士郎「ああ。…俺は、やっぱりあの子と戦いたくなんてない。どうにか、戦わないで済む方法はないか?」 


本当は、サーヴァントである戦人にこんなこと相談するべきではないかもしれない。
敵マスターとは、いずれ戦わないといけない。
だけど、戦人ならこんな悩みも真摯に聞いてくれると思った。


戦人「いいと思うぜ、それで」


士郎「え?」


戦人「士郎は戦いたくないんだろ?じゃあ、それでいいじゃねぇか。話し合いでなんとかなるなら、それにこしたことはないぜ」


士郎「でも、イリヤは…無邪気な所も本当のイリヤなんだろうけど、マスターとしてのイリヤの面もある。そう簡単には…」


戦人「誰にでもそういうとこはあると思うぜ?大事なのは、士郎がそれを理解してやれるかどうかだ」


士郎「戦人…」


戦人「愛がなければ…真実は見えない」


士郎「?」


戦人「相手を信じなければ、始まらないってことさ。お前がそのイリヤちゃんの奥にある気持ちを見つけて、信じることができれば…きっと上手くいくさ」


士郎「そうか…そうだよな」


戦人「もう士郎は気付いてるんだろ?イリヤちゃんの本心に」


士郎「確信はないけど──」


きっとあの子は、切嗣に色々複雑な想いを抱いて、会いにきた。
でも、その切嗣はもういなくて──


士郎「ありがとう、戦人。なんだか、戦人には助けられてばかりだ」


戦人「そんなことないぜ。士郎がいつも相談してくれるからさ」


士郎「頼りきっちゃってるよな。…悪い」


戦人「それだけ信用してくれてるんだろ?」


士郎「ああ。戦人が俺のサーヴァントで良かった」


戦人「俺もだぜ、いっひっひ。…士郎は強いぜ。いざと言う時の覚悟も、決意も立派なもんだ」


士郎「よし!明日イリヤがまた来てくれたら、もう一度ちゃんと話してみる」

プルルル、プルルル

士郎「電話?」 


ガチャ


凛「アンタなに無断で学校休んでんのよ─────────!!!!」キーン


士郎「」


スピーカーにしてるわけでもないのに、遠坂の怒号が室内に響きわたった。


…一瞬意識が飛んだぞ。



士郎「待て待て!落ちつけ!」


凛「こっちは報告することもあるっていうのに、学校休んだら意味ないでしょうが!!協力関係だったわよね、わ・た・し・た・ち!!??」


士郎「わかった、わかったから謝る!でも今日は、桜が体調崩してて…」


凛「…桜が?」ピタッ


士郎「そうなんだ。熱出して寝込んでてさ。本っ当に悪かった遠坂!あとでちゃんと話し合うから、とりあえず今日は勘弁してくれ」


凛「…仕方ないわね、わかったわよ」


士郎「そういうことで…」ガチャ


戦人「すごかったな…」


士郎「ああ…嵐が通り抜けた気分だ。いや、連絡しなかった俺が悪かったんだけど」


───────────────────

凛「まったくもう」


アーチャー「これを機に、同盟とやらは解消したらどうだ?」


凛「そういうわけにもいかないでしょ!昨日のアサシンのこと、キャスターに聞かないといけないし。そういえばアーチャー、傷はいいの?」


アーチャー「問題ない。あの青き真実とやらはアサシンが去ったあとに消えたしな。おそらく戦闘範囲外に離れたら効果を失うのだろう。物理的ダメージを受けたわけでもなし、支障は見当たらんな」

─────────────────────
桜に昼食を持って行ったあと。
昨日と同じく、戦人に稽古をつけてもらった。


戦人「───今日はここまでだな。夜の巡回に向け体力を残しておこう」


士郎「もう夕方か…少し休んだら、夕飯つくらないとな」


戦人「士郎もだんだん動きのキレが良くなってきたな。普段から身体も鍛えてるみたいだし、良い感じだ」


士郎(アーチャーの戦い方を真似て、ようやくってとこなんだけどな。でも、確かにだんだん動きが付いて来るようになってきた。…でも、本物にはまだ遠いな…)


────────────────────


コンコン



士郎「桜、夕飯だぞ」


桜「──先輩」


士郎「ちゃんと寝てたか?」


桜「はい。すいません先輩、今日は迷惑ばかりかけて」


士郎「ばか、迷惑なわけあるか。いいから、よく食べて、寝て早く治せ」


桜「───はい」クスッ


士郎「……」ドキッ



微笑む桜は、なんというか……綺麗だった。
後輩としてではなく、女性を意識してしまうほどの。
よく見ると、パジャマの上から…その豊満な身体が、ますますそれを訴えているようだ。


士郎「早く、治せよ。桜が体調悪いと、心配だから」


桜「──ありがとうございます」ニコッ

桜「…ほんとは」


士郎「?」


桜「寝るのが、怖いんです。怖い夢ばかり見るから」


士郎「そうなのか」



桜「先輩…食べ終わったら、寝ますから。少しだけ、手を握っていてもらえませんか?」


士郎「いいよ。それぐらい、お安いご用だ」



そう言うと、桜はまたニコりと笑って夕飯を綺麗に平らげた。
食欲はあるみたいで安心だ。

横になった桜が、布団から手を出したのでそれを軽く握る。


…くそ。軽く触れてるだけなのに、女の子の手っていうのはなんでこんなに柔らかくてドキドキしちまうんだ。



桜「──先輩」


士郎「ん?」


桜「もしも、わたしが悪い子になったら許せませんか?」


桜が、悪い子に?あまり想像できないが。


士郎「ああ、桜が悪いコトをしたら怒る。きっと、他のヤツの何倍も怒ると思う」


桜「────良かった」


なぜか桜は、その一言に安心したように…目を閉じて、そのまま眠りについた。

─────────────────────



戦人と共に巡回に出る。
しかし、一通りグルッと回ってみたものの、特に変わったこともサーヴァントと遭遇することもなく、帰路についた。


─────────────────────



臓硯「──なんじゃ、アサシン。ずいぶんと機嫌が良いな」


ヱリカ「…はい、我が主。収穫がありましたので」


臓硯「それは結構。もう埃を被って久しい我が家の書庫だが、有意義に使ってくれたのなら価値があったろうて」


ヱリカ「ええ。明日からは再び、偵察に出ようと思います」


臓硯「───期待しとるぞ」スタスタ



ヱリカ(ふ…ふふ。間違いない。投影、魔術───)

─────────────────────


静まり返った、夜の街。



??「───────タリナイ」



闇を徘徊する影が、さまよっていた。
それは、純粋な食欲。



??「───────タリナイ」



歩いて


歩いて


歩いて



そうして進み続けた何かは、獲物を見つける。




市民「──あ?なに…─────ガッ──」



??「────」ムシャムシャ


復唱要求
青き真実
赤き真実

懐かしいなあメタ世界好きだったわ

更新乙
とはいえ、この戦人はマスター権限はもてないだろうしなぁ
黄金の剣をどうやって使ったのかはわからんが

フレーバーテキストというかFate的に考えたらドラちゃんの赤鍵、青鍵もかなりヤバい。ノックスを持ち出せば魔術や神秘や宝具まで全て『ゲロカス妄想』にまで堕とされるからなぁ…聖杯に呼ばれるイレギュラーなら本体より弱体化してるかもしれんけど

アーチャーの正体ってそう簡単にバレないとは思うがこのヱリカ相手だと意外とすぐにバレそうで怖い

────────────────────
朝。


起床すると、すでに起きていた桜が朝食を作ってくれていた。


士郎「桜。もう体調はいいのか?」


桜「はい!もう、元気有り余っちゃってます!」ニコッ


どうやら本当に具合は良いらしい。



桜「あの…先輩。良かったら、これどうぞ」スッ


士郎「ん…?ああ、弁当じゃないか。作ってくれたのか?」


桜「はい。あの、先輩はお弁当とか普段は作らないんですか?」


士郎「ああ。一成と生徒会室で食べる時だけだな、作っていくのは。教室で食べると周りの奴らが集ってきて」


気が付くとおかずの半分は消滅しているのだ。



桜「あの、なら…弓道場で食べるなんてどうでしょうか!?人もいないですし、ピッタリの場所だと思います!」


士郎「ああ、それもいいかもな」


桜「ですよね?ものすごく良いと思います!」


なんだか今日の桜は、いつもより元気だ。



戦人(士郎のやつ、わかってるのか?…いや、あいつ鈍感みたいだからなぁ…)


2人の邪魔をしないよう、空気を読んで隅で静かにしている戦人が不安に思っていた。


「────十数名が昏睡を起こし病院に運ばれています。以上、冬木市からの中継でした」



戦人(テレビのニュース…この街で、昏睡事件だって?)


桜「最近なんだか物騒ですね」


士郎(…戦人が顔をしかめている。まさかこれも、聖杯戦争と関係あるのか?)



─────────────────────
学校にて


凛「今回の聖杯戦争は、ずいぶんときな臭いわ」


士郎「どうしたいきなり」



凛「実は2日前、アサシンと遭遇したんだけど、あなたのキャスターと似た戦いをしてたのよ、そいつ」


士郎「戦人と…?」


凛「そして昨日、昏睡事件があったでしょ?あの夜ね…見たのよ」


士郎「?」


凛「ランサーよ」


士郎「そんなバカな。だって、ランサーは戦人が倒したはずじゃ…」  


凛「わたしもちゃんと対峙したわけじゃない。でもあれは、確実にランサーだった」


士郎「でもおかしくないか?あの時、ランサーは消滅した。いくら素人の俺だって、それはわかる」 


凛「そうよ。消滅したはずのランサーに、どうみてもイレギュラーなキャスターとアサシン。今回の聖杯戦争は、どこかおかしい」


士郎「その原因がわかるまで…戦うとか言ってられないな」


凛「そうね。しばらくは原因の調査をしたいと思ってるわ」


士郎「これで、残る不明なサーヴァントはセイバーのクラスか」


凛「セイバーは脱落しているそうよ。アサシンからの情報だから、信用できるかっていうと微妙だけど」


士郎「…アサシン、か。どんなサーヴァントだったんだ?」


凛「さっきも言った通り、キャスターと似た戦いをするわ。青きナントカとか、赤きナントカとか。外見は見た目私達と変わらないような年の、ツインテールの女だった。一見言葉使いは丁寧だけど、中身は色々ぶっ飛んでたわね」



士郎(…俺が夢でみたゲーム盤での登場人物に、そんなやついたか?)


※士郎はEP4までしか知りません

─────────────────────
遠坂との情報交換が終わる。
俺の弁当を遠慮なく、つついてきた遠坂だったが、これが桜の作ってくれた弁当であることを話すと

凛「……やば。やっちゃったか…」


申し訳なさそうに箸を置き、黙ってしまった。

───────────────────

桜「───あ…先輩」


昼休み終了間近、階段を降りて校舎内。
俺のクラスの近くで立っている桜と出くわした。



桜「………」


その表情は、朝とうって変わって暗い。



士郎「桜?」


桜「──どうして、遠坂先輩と」


凛「あー、ごめん桜。こいつは、あなたとの約束をすっぽかしたわけじゃないわ。わたしが勝手に連れ出したの。ついでに言うと、こいつ何もわかってない」 


士郎「──?どういうことだ?」


凛「バカ!!弁当作ってくれた意味は、2人で食べたかったってことよ!」


士郎「──あ」


桜の手にある、未開封の弁当に気付く。



士郎「──す、すまん桜!急げばまだ間に合う、すぐ食べに行こう!」グイッ


桜「せ、先輩?」


凛「あと3分もないのに何ができるのよ」ハァ


士郎「………あ」


桜「……」クスッ


士郎「桜?」


桜「いいんです。その言葉で、わたしは充分ですから」ニコッ





─────────────────────
凛「放課後、商店街の中華料理店で待ってるから」





士郎「───って、遠坂は言ってたけど」



放課後。
指定された中華料理店、泰山の前で足を止める。
何を隠そう、この店は有名な超激辛店である。
一見さんは裸足で逃げ出し、前情報を得ていたとしてもやっぱり裸足で逃げ出す地獄のような辛さが売りだ。
もはやその辛さは地獄と表現するのも生ぬるい。
誰かが例えたのが、針千本刺された舌に塩をぶっかけられたような辛さ、とか。
俺が中華料理に苦手意識を持っている理由はまさしくこの泰山のせいである。


士郎「遠坂のやつ、今頃後悔してるんだろうな…」


これは最早話など出きるような状態ではないと思うが。
…俺も覚悟を決める。
断じて食べる覚悟なんかじゃない、水だけで乗り切る覚悟だ。


士郎「──よし」ガチャッ



意を決して中に入る。



言峰「──ハフッ、ハフッ、ハフッ、ガチャッ、ハフッ、ゴクン」



士郎「」


何故だろう。
神父が麻婆食べてる。


食うか?

きれいきれいさんwwww


言峰「──ハフッ、ハフッ、…来たか、衛宮。なに、早めについたのでな、ハフッ、先に食事を進めていた」 


士郎「」


神父が汗をたっぷり流しながら、いつもの無表情で匙を進めている。
麻婆はあと数口。
こいつ、これを余裕で完食すると───!?



言峰「──ハフッ、ハフッ───…食うか───?」


士郎「食うか───!!」


全力で否定した。


言峰「──まあ、凛に頼んでお前を呼んだわけだ」


士郎「何か用か?」


言峰「なに、すでにサーヴァントを2体倒したと聞いてな。賞賛を送ろうと思っただけだ」


士郎「あんたがそれだけでわざわざ呼び出すわけないだろ」


言峰「──フ。今回の聖杯戦争は何やら勝手が違うようでな。お前が体験してきた話を聞かせてもらおいと思っただけだ」


士郎「別に、あんたの期待するような情報はないと思うけどな──」


この数日の出来事を言峰に話す。
やはり大部分は興味ない、つまらないといった反応の言峰だったが…その中で、「間桐臓硯」という言葉には唯一反応を見せた。



言峰「──間桐臓硯、か。とっくに老衰していたかと思っていたが、まだ存命していたとはな」


士郎「知っているのか」


言峰「──ああ。なるほど、あれが関与していたのなると今回の聖杯戦争のおかしさにも納得がいく。精々気をつけるんだな、衛宮。臓硯はそう簡単に聖杯を諦めるような男ではない。なにせ数百年聖杯を追い求めていた害虫だ」 


士郎「数百年?人間がそんなに生きれるはずが…」


言峰「間桐臓硯はすでに人間ではない。その体は人間の血を啜って生き長らえている、醜い蟲だ」


士郎「血を吸って生きてるって…臓硯は吸血鬼なのか?」


言峰「似た存在だがな。あれは吸血鬼と言うより、吸血蟲だよ。先ほども言ったとおり、汚らわしい害虫だ」


言峰は臓硯のことは本気で嫌っているようで、その表情は嫌悪で満ちている。





言峰「ともかく、お前の話に出てきたライダーも消滅したかは怪しいな。まだアサシンのマスターが判明していないのも気にかかる」


士郎「ああ…」  


ともかく、よりいっそう注意しなければならないのは確実だ。



士郎「───言峰」


店主「ハイ!麻婆豆腐お待たせアル──!!」


バァーン!!


と、テーブルに二皿目、三皿目の麻婆が置かれる。


言峰「───フ」ガチャッ


シャキーン☆と言う効果音が出そうな感じで、言峰が再び匙を手にする。

間違いない、コイツおかわりまで頼んでいやがった。


言峰は、一瞬俺に目を向けると。


言峰「──────食うのか?」


士郎「──────食べない!」


言峰はちょっとだけ残念そうに、「そうか」と言って麻婆に向き合った。

───────────────────

泰山を出て、帰路につく。



──間桐臓硯。
言峰から聞いた話で、いっそう油断ならない相手と認識できた。
あの夜の臓硯の言葉はどこまで真実なのか。
ライダーはどうなった?
慎二は?
そしてなにより、桜の安全は?


ダメだ、考えることが多すぎる。



「────────ら──────!!」



ひとまず、家に帰ったら戦人に相談だな。
今日は遠坂や言峰と色々話したから、パートナーである戦人にはちゃんと全部言っておかないと。




「─────シ─────ら────!」



そういえば今日桜はちゃんと家に来ているだろうか。
昼間あんな酷いことをしてしまったし、なにか埋め合わせも考えておかないと───




イリヤ「もう!シロウったら、聞いてるの──!?」



士郎「うわっ!?」

士郎「イリヤ…」


イリヤ「もう、シロウったら。商店街から話しかけてるのに、全然聞かないで先に進むんだもん」プンプン


士郎「え?」


イリヤ「せっかくわざわざ来てあげたのに…」シュン


そうだ。
公園でまた会おうといっていたのに、それをすっぽかすなんて───


イリヤ「………」プイッ



怒ってる。当たり前だが…


士郎「ごめん、イリヤ」



イリヤ「…………」プイッ



士郎「イリヤ」


イリヤ「なぁに?生半可な言葉じゃ許さないんだから」


士郎「ああ。だから、言葉じゃなくて態度で示す。イリヤ、これから家に来ないか?招待するよ」


イリヤ「え?シロウの家に?」


士郎「ずっと公園で待っててくれたんだろ。家なら暖まれるし、お茶もご馳走できる」

イリヤ「──いいの?わたしは、キリツグにフクシュウに来たんだよ?」


その瞳の中に、どれだけの想いが籠もっていたのだろう。
冷めたような、泣き出しそうな、懇願するような様々な複雑な感情が見てとれた。



士郎「──ああ。いいんだよ。俺は、イリヤに遊びに来てほしいんだから」


イリヤ「…………シロウ」


だからこそ。
俺はこの少女を放ってはおけない。


──切嗣に復讐に来た、アインツベルンの少女。2人の関係には、もう気付いてしまった。


切嗣はもういない──ならば、息子である俺に出きることは。



イリヤ「シロウがどうしてもっていうなら…行ってあげる」


士郎「そうか」ニコッ


少しだけ、微笑んでくれたイリヤの手を取る。



イリヤ「あったかい──」


士郎「ごめんな、こんな冷たくなるまで待たせて。…行こう」


イリヤ「うん♪」


やっぱイリヤルート作るべき菌糸類

その前に早くリメイク出してさつきルートをですねぇ……

─────────────────────
戦人「──よぉ、いらっしゃい」


イリヤを連れて家に帰ると、戦人が出迎えてくれた。
前にイリヤのことを相談していたからか、何故連れてきたのかとか、そんなことは言わなくてもわかっているようだった。



戦人「おっと、俺がいたら落ちつかねぇか?席外してるぜ」


イリヤ「別にいてもいいわ。敵意はなさそうだし」


士郎「まずはお茶でも淹れるか」


イリヤ「…へぇ、これが日本のワシツっていうものなのね」


戦人「そか、イリヤスフィールは外国の生まれだったな和風の建物は珍しいだろ、いっひっひ」



────────────────────


イリヤにお茶と和菓子をご馳走する。
紅茶ではイリヤの城の物にはとてもかなわないので、とっておきの緑茶を出した。
苦かったら薄めると言っておいたが、イリヤは


イリヤ「えっと…結構なお手前でした」


どこで覚えたのか、ちゃんと行儀良く正座で飲み干したあと、そう口にした。
ちょっと緊張してるのか、動きは堅かったけど



────────────────────


イリヤ「お屋敷の中見てみたい!」


お茶を飲んだ後は、はしゃぐイリヤを連れて家の中を案内した。


イリヤ「ここが庭?日本人も大変ね、こんな猫の額みたいなガーデンじゃ」


とか



イリヤ「これがシロウの部屋?嘘よ、こんな所に人が住めっこないんだから!」



とか



イリヤ「ここ知ってる。ドージョーって言うんでしょ?日本人は裸足で斬り合う野蛮な種族だってお爺様が言ってたもの」



とか


イリヤ「嫌!!物置の中なんて見たくない!!」



とか。
コメントはともかく、イリヤなりに楽しんでくれたようだ。


────────────────────

イリヤ「………………」


はしゃぎ疲れたのか、茶の間に戻ってくる頃にはすっかり大人しくなったイリヤ。
……いや。きっとそれだけじゃない。



士郎「イリヤ。…どうだった?」


イリヤ「うん。楽しかったよ。でも…」


士郎「でも?」


イリヤ「…変だね。わたし。だって…」


イリヤがまた、氷のような無表情になっている。
でも、もうわかってしまう。その奥の気持ちが。


イリヤ「わたしは、キリツグにフクシュウに来たのに。…でも、ホントにもう、いないんだね」


この屋敷を回ったことで、本当の意味で切嗣がもういないということを、イリヤは実感したのだろう。


復讐と言う気持ちでしか、切嗣にぶつかれなかったイリヤ。
その相手が、もう存在してすらいないと言うのは…イリヤにとって、どう感じるのだろう。

きっと、複雑すぎて受け止め切れないのかも知れない。


郷田「そんな時は。この郷田の作った特製パンプキンティーを飲んでみてください。なぁに、大抵の問題は、紅茶一杯飲んでいるうちに解決するものです」ニヤッ


イリヤ「あ、ありがと」


士郎「って!誰だよアンタ!?」



郷田「申し遅れました。使用人の郷田です」


士郎「あー、そういえば魔女のゲームの夢で見たな、この人。影薄いから忘れてた」


郷田「そんなっ!?マジカル☆郷田シェフである私が影薄いと!?」


士郎「戦人、この人もお前が召喚したのか?」



戦人「そうだぜ。まぁ郷田さんの言うことはさておき、美味しいのは保障するから2人とも飲めよ」


イリヤ「い、いただきます」


士郎「いただきます…」





士郎・イリヤ「「お、美味しい……」」 



郷田「そうでございましょう?そうでございましょう!?」

戦人「イリヤスフィール。色々思うところはあるかもしれない。でも、そんな時は全部吐き出していいんだぜ。今は、お前の目の前に全部受け止めてくれるヤツがいるんだからよ」


イリヤ「………」



士郎「イリヤ…」



イリヤ「…そうね」フッ



士郎「また、こうして話をしよう」



イリヤ「うん。でも、今日はもうダメかな。もうすぐ日が暮れるから、帰らないとバーサーカーが起きちゃう」



士郎「ああ。…そうだな」



イリヤ「また───明日ね。お兄ちゃん」



士郎「公園まで送っていくよ」



イリヤ「ちゃんとレディの扱いわかってるじゃない、シロウ♪」



────────────────────

慎二「────来たか」


??「…………」


慎二「呼び出した理由はわかってるだろ。ほら、もう一度僕に本を作るんだ」


??「………………」フルフル



慎二「なんだ、嫌なのか。……じゃあお前が、衛宮と戦うしかないね」


??「!!」


慎二「それは絶対に嫌だって?そうだろう、だから僕によこせって言ってるんだよ。心配しなくても、もう争ったりしないさ」


??「………………」



シュウ……



ライダー「…………」


慎二「……そうだ、それでいい」



ライダー「今一度聞きます、シンジ。私を使役するのは、あくまで身の安全を守るため…ですね?」


慎二「ああ。最近物騒だからね」ニヤッ




ヱリカ(…懲りないワカメ。さぁて、私はまた偵察に行くとしますか)

士郎が投影しなければアチャーの正体は露見ほぼしないだろうけど……

HFだし青が人間相手に効くかどうかが重要じゃね?

>>30を見直してみましょう

>>184
サンクス
これはヱリカ終わりですわ

どうだろうな?黒い山羊を使ってたとはいえ黄金郷を破壊しベアトを殺したやつだし

まだか?

─────────────────────

戦人「──さて、今日も鍛錬と行こうぜ。今度は、ちゃんと見回りに出られるよう余力を残してな」


士郎「ああ。よろしく頼む、戦人」



─────────────────────
鍛錬後




士郎「そうだ、まだ戦人に報告してなかったな」


戦人「ん?」


士郎「遠坂が、昨日赤青真実を使うサーヴァントと戦ったらしい」


戦人「!!」


士郎「青い髪の、ツインテールの少女だったらしいんだが…」


戦人「…なるほどな」ニヤッ


士郎「戦人?」



戦人(お前も喚ばれていたんだな。面白くなってきやがったぜ)






─────────────────────



巡回に出る。
バーサーカーと戦闘にならなければ、敵対すべきサーヴァントは遠坂が言っていたアサシンくらいだろう。



士郎「昨日よりも、サーヴァントに出会い辛いかな、これは」


戦人「…どうだろうな」


戦人(妙だな。ヱリカのやつが、俺に仕掛けてこない筈はない。マスターの意向ってなら、わかるが…そのマスターは誰だ?ヱリカと戦った凛にも、監督役の神父にもわかっていないヱリカのマスター。士郎が神父から聞いた話から、一番怪しいのはやっぱり臓硯だが…)



士郎「…戦人。アサシンのマスターは臓硯なのか?」


戦人「っ?」


士郎「…やっぱり、そう考えていたのか」


戦人「ああ。よくわかったな、士郎」


士郎「戦人が俺に気を使ってくれてたのは、なんとなくわかってた。桜のことで、余計な心配をさせないようにってことだろ?」


戦人「……」


士郎「俺も言峰の話を聞いて、自分なりに推理をしてみた。俺なんかの推理じゃ、真に迫れるとは思えないけど…でも、臓硯に警戒することにこしたことはないと思ったんだ」


戦人「そうだな。俺もそう思ってる。すまねぇ、士郎。隠し事するような真似をして」


士郎「いいんだ。俺、ちょっと戦人に頼り過ぎてたよな。今日のイリヤのことで、思ったんだ。もっと自分で考えないとって。桜のことも…大切なら、自分で考えて、対策を練らないとな」


戦人「士郎────ああ。それでいいと思うぜ。でも、どうしようもない時は、パートナーとしてちゃんと頼ってくれよな」ニコッ


士郎「もちろんだ。信頼してる、戦人」







続き待ってた

─────────────────────
橋の下の公園


戦人「──士郎、あそこに!」


士郎「遠坂とアーチャー…?」


見つけた2人は遠目でもわかるほど緊迫感を感じさせて、戦闘の構えをとっている。


戦人「もちろん加勢に行くんだろ?マスター」


士郎「ああ。遠坂とは同盟関係だ。迷う余地もない──」ダダダッ


地を蹴って駆け出す。



士郎「───遠坂!」


凛「え、衛宮くん!?」


アーチャー「……ふん」



驚いたように振り返る遠坂。
彼女の周りには───何十匹もの虫が、囲むように散らばっている。
アーチャーの周りにはその倍だ。


───そして、その更に奥に。



臓硯「─────む」


夜の闇に溶けこむように、その老人はいた。

臓硯「カカカ。まさか援軍を用意してるのはの。流石は遠坂の小娘、抜け目が無いわ」


凛「馬鹿言わないで。彼がここに来たのは偶然よ」キッ


士郎「間桐、臓硯───!!」


臨戦態勢の遠坂とアーチャーに、臓硯。
考えなくてもわかるこの状況に、拳を握り締める。


士郎「どういうことだ。お前は、聖杯戦争を降りたんじゃなかったのか──」


この状況で、今更そんなことは問わなくてもわかるものだが──最後の歯止めとして、そう聞かずにはいられない。


戦人「……」スッ


己のマスターの憤りを感じて、静かに青い剣を取り出し臨戦態勢に入る戦人。
あの老人が敵意を見せるか、士郎が飛び出しそうになったら即座に対応できるようにである。



臓硯「……マズいの。サーヴァント2体を相手にしては、生き残れようもないわな」コツン


臓硯が、持っていた杖で地面を叩く。


そこから、ぬるりと。
黒い、何かが現れた。


富竹「─────────」



遠坂「サーヴァント…?」


アーチャー「いや、あれは…サーヴァントであるがそれは外殻だけだな。能力はそのままだろうが、中身はない。完全な操り人形、みたいなものだ」



まさかのトミーww

アーチャー「とはいえ、やってくれたな、魔術師」


戦人「死体を玩ぶなんざ、趣味が悪いってもんじゃねぇな」



臓硯「所詮はサーヴァントなど只の道具。こうして使ってやってコヤツも本望じゃろうて」


アーチャー「敵とはいえ言え、そいつは英霊。その亡骸を好きに使った代償、払ってもらおう───!!」ダッ



アーチャーが、周りの虫を吹き飛ばし駆ける─────!!



富竹「───────」スッ


静かに、そのサーヴァントは己の宝具を構える。
意志はない。しかし、その解号に、強く叫ぶ───!!



富竹「────富竹フラッシュ!!」


戦人「まずい!!」



瞬間、眩い光が辺りを包み─────




ドオォォォォォン!!








富竹フラッシュ!!

トミーwwちょっww待てwww

戦人「────くっ、無事か、みんな!」


士郎「なんとか…」


凛「ええ…助かったわ」



士郎と凛の前には、戦人が呼び出した従者が結界を張って佇んでいる。


ロノウェ「凄まじい閃光と衝撃でしたね…士郎様」


士郎「ありがとう。確かロノウェ…だよな?」


ロノウェ「ぷっくっく。戦人様の主である貴方様に名を覚えられているとは、光栄でございます」


紗音「あの、怪我はありませんか?」


凛「大丈夫、あなたのおかげよ」



戦人「──2人は無事なようだな。俺よりも後ろにいたし、そこまで強い衝撃じゃなかったみたいだな。俺も充分距離が離れているから、大きなダメージは受けなかったが…アーチャーは」



アーチャー「───く」


アーチャーも無事だったようだ。
花弁の盾で、なんとか凌いでいた。しかし、近距離での衝撃ゆえか、その盾にはヒビが入っている。



アーチャー「投擲武器ではないとは言え、アイアスに亀裂を入れるとは──」



富竹「────富竹フラッシュ!!」パシャっ



────ドオォォォォォ!!


再び、閃光。



アーチャー「………っ!」



戦人「おいおい…この規模で連射も可能なのかよ。見たところ、前方60°ぐらいの角度への範囲攻撃みたいだが…厄介だぜ」


凛「アーチャー!!」


士郎「今は凌げてるみたいだけど、あのペースでやられたら──」


トミーが英霊ってwwwwしかも富竹フラッシュwwww

富竹「富竹───」


アーチャー「3度は食らわん!!」ビュン!!


富竹が指を動かすより速く、瞬時に夫婦剣の片方を投擲するアーチャー。


ギィン!!



富竹「!?」


それは富竹の宝具を弾き飛ばし───



アーチャー「───はぁ!!」ズバッ



無防備になった富竹に、一太刀を浴びせる。



富竹「─────!!」



ヒュン…ヒュン…ヒュン…



アーチャー「終わりだ」



投擲し、富竹の背後へ飛んで行ったはずの剣が、アーチャーの持つ剣に引き寄せられるかのように戻ってくる。



ズバッ!!



富竹「─────」


タンクトップの英霊が、その背中を貫かれ地に伏せた。



戦人「あとはお前だけだぜ。何を企んでるか知らねえが、一連の事件、裏で糸を引いていたのはお前だ!!覚悟しやがれ、臓硯────!!」


臓硯「───ぬ!?」


その攻防の間、一気に距離を詰めた戦人が青い剣を振り下ろす。


宝具がカメラってのもどうなんだろ

面白そう



「───反論。『あなたの憶測だけで、か弱き老人を犯人に仕立て上げるのは早計なんじゃないんですかぁ?犯人を決めるなら、相応の証拠と根拠から語っていただかないと』」



ギィン!!




戦人「────な」



戦人の剣が、青い刃で弾かれる。




戦人「…そうか。そうだよな、そろそろ来る頃だと思ってたぜ」ニヤリ




振り向いた戦人の後ろには。



ヱリカ「──────フ。フフフ…!!」



込み上げる笑いを抑えきれない、因縁の相手。




戦人「いいぜ。存分に相手をしてやる。…来い!!古戸ヱリカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」



ヱリカ「楽しませてくださいよぉぉぉお!?戦っっっ人ぁさぁぁぁぁん!!??」




アーチャー「──やれやれ、また奴か。しかし、これでは臓硯を逃してしまうな。どれ、私も──」


ガシッ


富竹「────」


アーチャー「こちらも、しぶといな」チャキッ







ギィン!ガッ!バッ!!



激しい斬撃の応酬を繰り広げる、戦人とヱリカ。


戦人「へ!ゲーム盤以外でこんな戦いが出来るたぁ、英霊とやらになれて良かったぜ!」ギィン


ヱリカ「概ね同意です。まあ、推理の刃を交わせないのは些か残念ですけどっ!」ギィン!!



戦人「真名暴きか!?俺達2人の間じゃ、意味ねぇな、いっひっひ!」ガギィン!!



ヱリカ「…っ!いいでしょう、こんな戦いでも、屈服させてあげますよ、戦っ人さぁん!」ギィン!!



戦人「おっと、女の子に手をあげるのは俺のポリシーに反するがなっ!」ギィン!!


ヱリカ「─────チ」



ヱリカ(やはり、馬鹿正直な接近戦じゃ、私が不利。仮にも私達がいた世界の領主、どうやら単純な力比べでは適いそうもない──)



戦人「どうした、ヱリカ!!まだまだこれからだぜ!!」ギィン!!


ヱリカ「っ!当たり前です…!」


ヱリカ(───ならば、この不利を逆転できる切り札を切るしかないっ!)


バッ!


一旦下がって距離をとるヱリカ。


ヱリカ(────────)



その足下に、魔法陣が浮かぶ──



戦人「あれは────」


ヱリカ「───フフフ。今の隙に斬りかかってこない、その甘さが命取りですよぉぉ!?」



ドラノール「───────」シュウゥ


現れたのは、魔女狩りの大神官。


戦人「…へっ!やっぱり、お前とドラノール、2人が揃ってなきゃな」


ドラノール「ズイブン余裕があるようデスネ、戦人。その驕り、ワタシが断ち切ってみせマショウ──!!」


ヱリカ「ヒャッハァァァア!!」


両者の戦いは、ドラノールを加え更に激しく高ぶる────!!

凛「キャスター、押されてるわよ。流石に2対1はキツいみたいね」


士郎「ここは、俺が囮になって──」


凛「バカ!囮どころか死体になるわよ!わたしに任せなさい!」


遠坂が、宝石を取り出す。


士郎「──せめて、武器の強化だけでも。──同調、開始」


持っていた木刀に強化の魔術で魔力を通す。



ドラノール「───」


が、そんな小さな行為さえも、魔女狩りのドラノールは見逃さない。


凛「行くわよ───」


凛が宝石を構えた瞬間────



$・A・$「【ノックス第2条!!超自然能力の使用を禁ズ!!】」



凛「───う?」パリィン


士郎「がっ───」バキィッ



魔女狩りの十戒により、その魔術は砕かれた。



凛「何、今の──わたしの宝石がっ?」


士郎「俺の木刀も折れちまった…」



ヱリカ「フフフ…余計な邪魔をしようとも無駄です。ドラノールの赤鍵は、人間の魔術を封殺する───!」


ドラノール「…デス」



だよなぁ
こうしないと士郎凛無双なるもんな

fateの世界でノックス10条使うのかwwwwwwww
無敵やないか、ドラちゃん

「人間の魔術を封[ピーーー]る」って言ってるしサーヴァントは無効化できないんだろう
中国人禁止で中華系サーヴァントが死ぬかもしれんが

トミーは100年以上時報鳴らしてるからある意味英霊だな

どっちも何らかの方法で幻想をはがされたら一気に弱体化しそう。

犯行への魔法(魔術)の使用を禁じても、魔女(サーヴァント)の存在を禁じる訳じゃない
キャスターの魔術相手には効きそうだけど、今回のキャスターは戦人なので問題ない
英霊の超身体能力や宝具に効くのかどうかかな

そもそも聖杯戦争はミステリーじゃなくね

うみねこもミステリーじゃないから問題ないね

富竹をまともに扱おうとしたら、アーチャーでひぐらし時代より少し若い感じになりそうだな

まあ、完全シリアスなら龍騎士つながりでルチアとかもおもしろそうだな(毒でマスターが自爆する未来しか見えないけど)

ごめん、スレに関係ないんだがうみねこってエピソードは今何処まで出てる?
8までは確認してるんだが
ミステリー放棄したよなぁ…うみねこ

原作→無印(1~4)、散(1~8)、翼&羽(イベント小冊子のゲーム化)
漫画→EP1~6完結。EP7(~8巻まで)、EP8(~6巻まで)、その他
アニメ→無印まで じゃないか?
あとは彼岸花とかローズガンズデイズとかひぐらし総集編(奉)とか

ドラちゃんのノックス十戒ですが、戦闘で唯一使えるのは前レスの第2条だけです。
他の十戒は戦闘に適したものは無いかと…
補足として、効果は>>207>>210の言う通り、人間の魔術師の魔術行使を封じます。 
サーヴァントには効果はありません。

尚、このSSではドラノールも十戒とは別にヱリカや戦人と同質の赤青を使います。

戦人達が激しい戦いを繰り広げる中、アーチャーもタンクトップの英霊に苦戦する。
富竹はすでに、空手。
しかし、両の手でアーチャーの両腕を押さえつけ、戦いは最早宝具の応酬ではなく、単純な力比べ─────!!



アーチャー「貴様───」


膠着状態のそれは、まさに押し相撲。
だが、徐々に、富竹が力で勝り押し始める。
ガッチリ掴んで離さないその手は、アーチャーの離脱すらも許さない。


富竹の突進に、アーチャーが後退させられていく。



富竹「──────!!」




富竹は─────走った。



アーチャー「ぬっ──!!」


更にかかる重圧。
その突進は──まるで機関車のよう



富竹「──────!!」


雄叫びは汽車の警笛。


汽車の前方に人がいたら警笛を鳴らすのはなぜ?
汽車が傷つくからじゃない。

──怪我をしたくなかったらどけと、警告しているのだ!!



アーチャー「──…ぐっ!」ズシン


富竹「─────」


富竹は不敵に笑う…?

いや、笑わない。


──機関車は笑わないッ!!


また捕まるのか…

アーチャー「───投影、開始」



ドス!ドスドスドス!!


富竹「」


富竹の背後から降り注いだ10本の剣が、その身を貫く。



富竹「」シュゥゥ


───今度こそ、富竹は消滅した。


アーチャー「やれやれ、だな」


息をついて辺りを見回すと、あの老魔術師はすでに逃げおおせたようだ。



アーチャー「…チ。時間をかけすぎたか」


ヱリカ「─────────!!」ピクッ


アーチャーと富竹の決着の瞬間。
ヱリカの探偵の耳が、反応した。


ヱリカ(あの男、今確か…)



トレース、オン。

確かに、そう口にした。


その言葉は────つい先ほど、別の人物からも出た筈だ。いや、確かに聞いた。


ヱリカ(これは…後で現場の再構築のしがいがあるというもの)ニヤリ



戦人「──────く!」



押されている。
流石の戦人も、魔力を温存した状態でヱリカとドラノールを相手にできるほど余裕はないし、相手も甘くない。



ドラノール「───戦人」


戦人「あ?」


ドラノール「何故、本気を出さないのデス」


戦人「─────!!」



ドラノールが静かに見据える。
…今の自分は、士郎との魔力のパスが繋がっていないので、多少は融通がきいても大きな魔力消費は出来ない。
この強敵には、ベアトリーチェの猫箱を持ってしても、持久戦に持ち込まれればいずれ敗北してしまうだろう。

ヱリカとドラノールのことだ、魔力が充分でないということもいずれ看破されてしまう。



ドラノール「────戦人」ガギィン



戦人「!!」


剣を通してドラノールが訴える。


───本気で来なサイ。




戦人(……そうだよな)



かつての強敵であり、仲間であるドラノールの訴えに。


戦人「─────本気で行くぜ」


戦人の青い剣が、黄金に染まった。

人間の魔術行使を封じるらしいがそれは敵側のみで味方の爺には効果ないの?

>>215
さんきゅ
わかりやすかった

屁理屈をこねるなら、ミステリーという現実に存在するというルールを押し付けるノックスに対し、聖杯戦争はミステリーじゃない。と言うなら聖杯戦争は何と答える?現実には実在しない、赤き真実では言えない自らがファンタジー(幻想)の事柄である聖杯戦争では、現実に実在し赤き真実で言えるミステリーの定義としてのルールであるノックスは否定出来ない。
…と、俺なら屁理屈をこねるな、我ながらひどい屁理屈だがw

追いついた
やっぱヱリカはうみねこの花だよな

うー!うー!

そのうーうー言うのをやめなさい!さんの出番はいつですか

ライダー戦で出た

懐かしいなww
うみねこ本スレがその楼座無双の台詞で埋め尽くされたあの日々が

>>221
爺は半分人間辞めてるから対象外かなーと思ってたw
まあ、ロジックエラー起こしたくないんで、ノックス第2条は対象を選べるということにする。


>>1>>223の解釈に近いです。

英霊=神秘の存在そのもの。人間相手に適用するノックスでは無効にできない。
それを言ったら魔術も神秘じゃん!!ってツッコミが入ると思うけど
「この戦いに人間がファンタジーを使うことは許さないよー」ってことで。

人によって解釈は違うだろうし、設定に矛盾が出るかもしれないけど、このSS内ではこういうルールということでお願いします。

狂気の霧江さんはでますかね?

蟲爺「たかだか20年程度の嫉妬で調子に乗るでない……」


戦人「どぉりゃあぁぁぁぁぁあ!!」ブォッ!!



──黄金の一閃。


ヱリカ「きゃあぁぁぁ!?」


ドラノール「────ぅ…!!」



それは、直接触れずとも、ヱリカとドラノールを纏めて吹き飛ばす程の衝撃波。



ドラノール「相変わらず…見事な、黄金の輝き……デス」


ヱリカ「ふん…こうでなきゃ、倒しがいがありません…」



──それは、ある世界の領主であることを証明する一振り。
「無限の魔術師バトラ」の象徴たる宝具──!!





     ステータスが更新されました。


    宝具:領主の剣 

ランク?? 真名解放??

無限の魔術師バトラの宝具。
この剣を具現化することで、全てのステータスが一段階上がる。
具現化している間の魔力消費は高く、ベアトリーチェの猫箱で眷属を全員同時に召喚するよりも燃費が悪い。魔力供給のない戦人では10分以上使用すると魔力が枯渇する。
魔力を一点に集中することで、純粋な破壊力に特化させたランクA 相当の一撃も放つことが出きるが(カリバーンみたいな感じで)それを使用すると剣を具現化する魔力は消費してしまい、戦闘続行できるほどの余力は残らない。

>>230
まさに>>231の展開を考えてたw
爺の人外っぷりが良く書けるかなーって思ったけと、テンポが悪くなるのでカットしました。

>>232
訂正。
ランクA相当→ランクA+相当

半角の+は文章に出来なかったみたい

ってことは狂気の霧江さんでないのか…
縁寿を子供と思わない考え方は嫌いだがあの狂い方がキャラとして好きなんだがな…

戦人「勝負はここからだぜ、ヱリカ。ドラノール」


ヱリカ「…そのようですね」



アーチャー「──私を忘れてもらっては困るな」ヒュッ


ドラノール「───!!」バッ


ガキィン!!


接近してきたアーチャーの剣戟を、ドラノールが弾く。



アーチャー「…防がれたか」


ドラノール「サーヴァント数での現状の戦況、2対1。こちらが不利デスね、ヱリカ郷」


ヱリカ「そんなこと言われなくてもわかってます。ここは潔く撤退するとしましょう」バッ


大きく跳躍し、距離をとろうとするヱリカ。



アーチャー「二度も逃がすと思うか!!」バシュ!!



が、アーチャーが瞬時に弓を放つ。
打ち出したのは三本。
どれもヱリカの急所を穿つ必殺の一撃──!!



───キィン!!




───が。
それは目前にして、突如現れた防壁に阻まれた。


ガートルート「…謹啓、謹んで申し上げたて奉る。ヱリカ郷の撤退を阻むことは出来ないなりや」


コーネリア「汝の矢は、届かないと知りたて奉れ!!」



ドラノールの部下、アイゼルネ・ユングフラウのガートルートとコーネリアの作る強固な結界
が、アーチャーの矢を弾いたのだ。



ヱリカ「──2度、逃がすことになりましたね」クスッ


アーチャー「チッ……!」


ヱリカ(アンタの正体は、また帰ってからゆっくり思考させてもらいますよ……弓兵さん)



そうして、ヱリカとその眷属は去って行った。

士郎「戦人!」タッタッタッ


凛「逃げられはしたけど、こっちもそう被害は受けてないみたいね」タッタッタッ


戦人「…ふぅ。やれやれだぜ」シュゥゥ


戦人の黄金の剣が消える。
何はともあれ戦いの集結に、安堵の息を漏らした。


アーチャー「…貴様」


戦人「ん?俺?」


アーチャー「何故アサシンを見逃した。貴様が先ほどの剣で追い詰めれば、2人掛かりで倒すことは難しくなかった筈だ。最低でも手傷は負わせられただろう」


戦人「……」



凛「なるほど、アーチャーの言うことも最もだわ。説明してくれる?キャスター」



戦人「…あそこでヱリカを追い詰めれるのは、危険だと判断したからだ」


士郎「危険?」


戦人「…ああ。今は何だか、アーチャーに興味を持ってるみたいだからあまり派手なことはやらねぇみたいだが…」


アーチャー「要領を得んな。つまり何が言いたい?」


戦人「…ここでチェス盤をひっくり返すぜ?2対1の、負けが濃厚な戦いだとする。まだ余力が残っているなら…負けん気が強いなら、相討ちだろうが最後っ屁だろうが、一矢報いてやる…と思わねえか?」


凛「それはわかるけど」



戦人「…ヱリカまさにそんなタイプだ。しかも、爆発させたらマズい爆弾みたいな、な。ヱリカの宝具は、俺の推理が正しければ…ここいら一帯何も残らないような規模のものだろう。そんなの見境なくやられたら周りも危ねえし、何より士郎と凛が巻き添えくらっちまう」



アーチャー「フン。貴様の推理とやらが合っている保証はないがな。何にしろ他にもやり方があ───────」



凛「アーチャー?」



硬直するアーチャーに、凛が眉をひそめる。
そして、アーチャーの視線の先を見て──


凛「───なによ、あれ……」



戦人「────!!」


士郎「─────!?」


闇の中、その異様な影は現れた。




ガートルートがガードレールに見えてビビった


??「………………」ユラユラ


闇の中浮かぶのは、見つめるだけでも吐きそうになるような異質な影。


士郎「───────」



それを。



───どうして、懐かしいと思ってしまったのか。


臓硯「──有り得ぬ。有り得ぬわ───」


とうにそこから離脱し、遠くから様子を窺っていた臓硯も、驚愕していた。


??「──────」ユラユラ


影は、その腕らしき部分をゆっくり振り上げ──


士郎「…………マズい。遠坂───!!」バッ


凛「え?」

ドン!


嫌な予感だけが首筋を走ったので、気が付けば遠坂を突き飛ばし、庇うように──


ズブゥ!


凛「し、士郎!?」



遠坂がさっきまでいた場所。…今は俺が立っている場所か。
黒い何かに、飲み込まれた。


────────────────────


士郎「───────────が」



熱い。


     焼けるようだ。



熱い。

    溶ける、溶けてしまう。



熱い。


  気持ち悪い、気持ち悪い、気持ちワルイ─────



士郎「ぁ──────あああ!!」


パチン!!



凛「──大丈夫!?わたしがわかる!?」



士郎「あ────」



痛みで、現実に戻される。



士郎「──わかる。この状況でビンタをしてくるのは、間違いなく遠坂だ」


凛「…なんか納得がいかないわね、それ」


戦人「良かった、士郎!心配したぜ…」


士郎「ありがとう、戦人…」フラッ



くそ。なんだ、気持ち悪い…



アーチャー「無事だったか。まあ、本体に触れたわけでもなし、命を取られるほどではなかったようだな」


凛「…アーチャー。アンタ、あれが何か知ってるの」


アーチャー「さてね。ともあれ、あれが出てきた以上、私怨を優先している場合ではなくなったようだ」


戦人「アレは、いったい…」



アーチャー「少なくとも、これで聖杯戦争どころでは無くなったわけだ。早くアレをなんとかしないと、取り返しがつかなくなる」


凛「それは、アレの異質さからしてなんとなく理解はできるわ」


戦人「ともかくだ!今は士郎を連れて帰ろう!とんでもなく顔色が悪いぞ!」


みんなの顔が、途切れ途切れになる。


意識が、シャットアウトされ────



戦人「士郎!」

─────────────────────


ヱリカ「──現場を、再構築」



ヱリカの掌に浮かぶのは、青い水晶の欠片。





ヱリカ「…やはり、アーチャーも…戦人さんのマスターも、魔術行使の際に同じ言葉を口にしている」



トレース・オン。
その、言葉は…




ヱリカ「いや、まだ断定は出来ませんが…これからの推理の、重要な鍵になるはず」





ヱリカ「聖杯戦争で喚ばれるサーヴァント、ですか。もしそれが、過去や未来、時間軸など関係なく喚ばれるとすれば────」



思案の余地はある。
ならば、やはり欠かせないのは情報収集。



ヱリカ「真実の魔女、そして探偵古戸ヱリカに解けない謎はありません。ふふ……あはははは!!」

────────────────────

また、夢を見ている。




「──ただそこに碑文があるだけで。古戸ヱリカにはこの程度の推理が可能です。いかがです?皆様方───」



「黄金の魔女の謎は、お前にはくれてやらねぇ。こいつは俺が解く。俺達2人だけの謎なんだ。な、ベアト」



「立ってください。片足で」



「ありがとう……うそつき……さよなら……そして………ごめんね」


「愛がなければ…真実は見えない…」


「【夏妃伯母さんは純潔にして貞淑だ!!貴様ら好みの下劣な物語は許さない!!】」



「「──もう、邪魔なのだから」」



「また貴方は…帰らないのですか」 


「【クローゼット内に嘉音はいない】」


「【申し訳ないが】」


「【そなたを迎えても】」


「「【17人だ】」」
 


「」


「───そして、辿り着く。全ての真実の最深奥に」

「あまり深く考えるな。頭痛がすらぁ」


「君を、さらう」


「ベアトリーチェを殺したのは…お前だ」


「──聞け!我は我にして我等なり!」


「その時は、白馬にまたがって迎えに来るぜ♪」


「──幻は幻に。約束されし死神は、物語に終止符を打つ!!」


「【これは全て真実───」


「──という訳だ。足掻くぜ、ベルンカステル」


「私達は、奇跡を諦めない──!!」




「「【この物語に、ハッピーエンドは与えない】」」

「生きろ!!縁寿ぇぇぇぇぇぇえ!!!」


「……18歳」


「味噌汁で顔を洗って、出直してきやがれぇぇぇぇ!!」


「あちゃー…。最初はパーだから、チョキ出して一人勝ちしてやろうと思ったのに。やっぱパーはパー出してなきゃダメねー」




「これは魔法?それとも手品?」




2人は、きつく抱きしめました。
…もう、運命は2人を引き裂こうとはしませんでした。

2人は1つになって、奈落に沈んでいきました。

そして、何も見えない真っ暗な世界で、ぽっと輝きました。


それは、温かな黄金の輝き。


それは、黄金の薔薇でした。



それがふわりと、純白の無垢な砂の敷き詰められた世界に、辿り着きます。


そこには白い砂に半分埋まった小さな箱が。


それは、静かな海で安らかに眠る、ベアトリーチェの猫箱。

その上にふわりと、黄金の薔薇は舞い降りるのでした……

それは、深い深い海の底のお話。

真っ暗な真っ暗な暗闇の中に。

ほのかに輝く、黄金の薔薇が眠っているという……とてもささやかな物語……







─────────────────────
士郎「──ん」


また、ゲーム盤の夢を見た。


士郎「戦人がベアトリーチェと海に沈んでいった所で終わったみたいだけど…」



彼に救いはなかったんだろうか?
大切な相棒の最後に、胸が痛む。



士郎「──戦人と話し、してみるか」



士郎「戦人の書き置きだ」


居間のテーブルには、「ちょっと出掛けてくる」と俺宛の手紙。


士郎「どこに行ったんだ?」


まあ、いないものは仕方ない。
朝食でも作って、待っていよう───




─────────────────────




アーチャー「──それで。話とは、いったい何の用だキャスター」


戦人「悪いな、わざわざ呼び出して」






戦人「ちょっとお前と話がしたくてなアーチャー。─────いや、士郎」




アーチャー「────!?」




戦人「ああ、俺達の周囲には結界を張っておいたから、他のヤツに話を聞かれる心配はねぇぜ」




アーチャー「────………」



スゲェな戦人っち

これは有能な戦人

アーチャー「…笑えない冗談だな。この私が衛宮士郎だと?」



戦人「ああ。見てて、思った。お前と士郎は似すぎている」



アーチャー「…ふん。確信はないのか。お得意の青き真実とやらはどうした?」



戦人「お前が士郎なら、俺の敵じゃないってことだろ。そんな強引に暴くことはしたくない」



アーチャー「…そうか。───私が仮に衛宮士郎だとしよう。だがそれがどうした?言っておくが、貴様と話すようなことは何もない。そもそも、私は貴様のことなど知ないからな」




戦人「──1つだけ聞かせてほしい」




アーチャー「答えるとは限らんがな」




戦人「正義の味方っていう夢を叶えて。…後悔してるのか?士郎」




アーチャー「───────!!」




戦人「…士郎」




アーチャー「貴様に、話してやる義務はないが」



戦人「……」



アーチャー「正義の味方なんて、そんなものはなかった。そこにいるのは、いつだって後始末するだけの……掃除屋だ」



戦人「!!」



アーチャー「これで満足だろう。私は失礼する。それと、金輪際この話はごめんだ。私は、もう衛宮士郎などではないからな」ダッ




戦人「──────」

これを読んでうみねこ漫画買った
ちょうどエピソード5読み終わってるあたりだからまぁまぁ良い

まだか

─────────────────────

士郎「お、戦人。おかえり」


戦人「士郎…」


士郎「どうしたんだ?元気ないみたいだけど」


戦人「いや…そんなことはねぇさ」


士郎「まぁ、昨日あれだけの戦いをしたばかりだし。朝メシでも食べて力をつけてくれ。魔力を補充できない俺にできるのはこんなことぐらいだからな」


戦人「…悪い、待っててくれたのか。いただくぜ」



士郎「?」



…やっぱり、元気ないな。
これは、夢のことを聞く雰囲気でもなさそうかな。

パチッ

『……がなく、不審に感じた住民が周囲の住宅の調査を要請したところ───』


ニュースが流れる。
食事中、気まぐれにつけたテレビでは、昨夜起きたらしい事故が報道されていた。



『…発見された体調不良者は三十名におよび、ただちに病院に運ばれました。今月に入ってから七件目の昏睡事件ですが、診察の結果はやはり何らかの食中毒に近いと───』



朝食を終えて、登校の支度をする。
昨夜の出来事──間桐臓硯とあの黒い影について、あいつと話合わなくてはならない。



……昏睡事件を起こしているのは、あの影だと。
あの後にアーチャーは言っていた。


三十名に及ぶ意識不明者。
その昏睡がどのようなモノなのか、俺は自分の体で味わった。


あれは…魔翌力を吸い上げていた。
いや、そんな生易しい表現よりも


戦人「食事……だな、まるで」


戦人は俺の考えてることを察していたのだろう、ニュースを見ながらボヤいた。


士郎「戦人」


戦人「ああ」


士郎「また、今後の方針の話で申し訳ないんだが」


戦人「…あの影だな?」


士郎「…うん。アレが何であるかは判らない。ただ、あいつはあいつで俺達の敵だ。マスターにもサーヴァントにも見えなかったけど、意図的に俺や遠坂を狙ってきたし、街の住民からも魔翌力を集めている。──なら」


戦人「当面は、あの影の探索と調査、ってわけだな。もちろん異論はないぜ」


士郎「ありがとう、戦人。あの影は放っておけない。これは聖杯戦争より優先すべき事だと思う」


戦人「ただし、無茶はするなよ?昨日みたいなことになったら、次は無事なんて保証はねーんだから」


士郎「う…それは反省してる」   


戦人「あの影は尋常な相手じゃねぇ。ぶっちゃけるとよ、バーサーカーの相手でもするほうがマシに思えるくらいだ」


士郎「ああ、それは肌で感じた。あいつは、その…強いとか弱いとかいう次元の話じゃなくて、ただ不吉だった。殴れば倒せるって相手でもないと思う」


戦人「きっと、アレとの戦いは普通に聖杯戦争を戦い抜くよりも過酷だぜ。…士郎」


士郎「?」


戦人「約束してくれ。士郎だけは、必ず生きて帰る」


士郎「それは、方針を決める以上そうするけど…生き残るのはお前も一緒だろ、戦人」


戦人「…いや。たとえ何があっても、自分の命だけは守るんだ。…士郎には、待ってる人がいるんだから」


士郎「……」


戦人「お前だって、もう気付いてるんだろ?自分の気持ちに。だから……絶対に、何があってもその人の所へ帰るんだ」


士郎「戦人」


戦人「これが、この方針でいく以上俺から出す条件だ。異論は?」


士郎「…ないよ。戦人の言うとおりだ」


戦人「よしよし。士郎は危なっかしいからな、ちゃんと釘さしておかねぇと、簡単に命を投げ出しそうだ」


士郎「そ、そんなことないぞ」


戦人「昨日すでに一回やらかしてるんだが?」


士郎「…うっ」

─────────────────────


戦人「───さて」



士郎は、凛と相談をしに学校へ行った。




戦人「黒い影、か」



士郎に、共にアレと戦うと誓った。
──しかし



戦人「なんだ…このどうしようもない悪寒は」



…いや、とっくに気付いている。
ゲーム盤とは言え、何度も、何度も死というのを体験した。修羅場をくぐり抜けてきた。
…この悪寒は、間違いなく、不吉の前兆…




戦人「…昨日の現場を、再構築」



しかし、それでも。
士郎…マスターだけは、守らなくてはならない。彼には、帰るべき場所があるのだから。



戦人「───やはり、実体があるようには感じない。こっちの攻撃は通じそうにないな」



戦人「そして、こいつの特性。恐らく、魔力を奪うことだが…この仮説が正しいなら、霊体のサーヴァントの天敵なのかもな」





戦人「──なんにせよ、手を打っておくことにこしたことはない」

───────────────────

凛「──そうね。衛宮くんの意見には賛成する。わたしもあの影は見過ごせない。どこの魔術師だか知らないけど、わたしの土地で好き放題やってくれてるんだから」


士郎「じゃあ、同盟は継続でいいって事か?」


凛「当然でしょ。あの影を排除するまで余裕ないんじゃない?お互い」




話し合いは驚くほど簡潔に済んだ。



凛「貴方は夜の巡回を続けて。そうして表立って動いてくれてる間、わたしは臓硯を追うから」


士郎「…間桐臓硯?あいつ、あの影に関係あるのか?」


凛「可能性はゼロじゃないわ。あの影を抜きにしたって臓硯は放っておけないでしょ。セイバーの死体を操ったり、魔術師でもない慎二をけしかけてマスターにしたり、きな臭いったらありゃしない」


士郎「そうだな。アサシンだって連れてるわけだし、油断できない」


凛「ええ。あの影の相手はまわりを綺麗に片付けてからにしましょ。見つけても、偵察にとどめておいて。アレと戦うのはもっと足場を固めてからにしないとダメよ」


士郎「…そうだな。アサシンはどうする?影も厄介だけど、アイツは色んな意味で厄介だぞ」


なにせ、ゲーム盤で終始戦人を苦戦させたヤツだし。


凛「ま、向こうも情報収集をきっちりしてからくるタイプみたいだから大丈夫じゃない?今のところは。まともに戦えばアーチャーに分があるし、あなたのキャスターも昨日の様子なら問題なかったみたいだけど?」 


士郎「そう、だな」


戦人もそのあたりは警戒しているだろうから大丈夫なんだろう。


凛「じゃあまた明日、お互いの成果を報告しあいましょ」




桜「先輩、まだ学校にいるかな…」


夕方、授業を終えた桜は士郎の教室を訪ねる。
しかし、すでに彼は下校してしまったようだ。


一成「…む、間桐の妹か。衛宮ならおらんぞ。先ほど出て行ったばかりだ」


桜「…入れ違いになっちゃったんですね」シュン


一成「まてまて。衛宮から、もし君が来たらと伝言を頼まれている。その時は、校門で待っているそうだ」


桜「…ありがとうございますっ」タタタ




────────────────


桜「…良かった、先輩───」


校舎を走る。いや、走ってはいけないから、早歩きにみえるくらい小走りで。



ヱリカ「…あらあら。ずいぶんと嬉しそうですね」


桜「」ピクッ


桜「…何の用、ですか?」


ヱリカ「あら。貴方に話し掛けるのは初めてなのに、ずいぶん対応が冷たいじゃないですか」


桜「……」 


ヱリカ「だんまりですか。まあいいです、勝手に喋ってますので」 


桜「………」


ヱリカ「……あの戦人とかいうサーヴァントがいなければ、そのマスターも危ない目にあわずに済むのに」


桜「」ピクッ


ヱリカ「今日も懲りずに巡回に行くんでしょうねー」


桜「……」


ヱリカ「……けれど。昨日のあの黒い影が。戦人さんだけを飲み込んだら、衛宮士郎は戦いから降りるしかありませんよねぇ…」クスッ


桜「…!!」


ヱリカ「あ。今のは私の独り言なのでお気にせずに」シュッ

───────────────────




士郎「…よし、行くか」 


戦人「士郎、これ」ジャラッ


士郎「これは…前に学校でランサーに襲われた時、そばに落ちていたペンダントだ。どうしてこれを?」


戦人「勝手に持ち出して悪い。いや、魔力を込めるのに一番適してたのがそれだったんだ」


士郎「魔力?」



戦人「一種の御守りみたいなもんさ。…そういえば、真里亜がサソリの御守りをくれたことがあったな。懐かしいぜ」


士郎「はは、これも魔女除けなのか?ありがたく受け取るけど」


戦人「おいおい、どっちかと言うと魔女は士郎の味方だぜ?いっひっひ」


士郎「確かに。言うまでもなく信頼してる。どうしたらいい?首から下げるのは、少し恥ずかしいんだが」


戦人「ポケットにでも突っ込んでおけばいいさ」


士郎「それでいいのか…?」



戦人(これで…もし俺の身に何か起こったり、士郎に危険が迫ったとしても、何とかなるはずだ)










一時間経過


士郎「特に…変わった様子はないな」


戦人「…士郎。あの上は?」


士郎「ああ。柳洞寺っていうんだけど。そういえばまだ見てないな」


戦人「…丁度、あの上の空気がよどんでる。嫌な予感がするぜ」


士郎「──くっ、あそこには一成や修行僧の人達が大勢いる。行こう、戦人」


戦人「ああ───」



士郎「────!!」



山門を登り切った瞬間。
流石の自分でも、その異変に気付いた。



士郎「静かすぎる──まるで、人の気配がしない」


それは、おかしい。
いくら時間帯が夜、場所が場所だからと言って、柳洞寺の中の人間は数十人の大所帯だ。



戦人「やっぱり、薄気味悪いな。士郎、ここは慎重に───────っ!?」


刹那。
戦人の瞳には、マスターの首を狩るまいとする死神の鎌が見えた。



ギィン!!



戦人「────ふぅ、間に合った」チャキ



ヱリカ「…くすくす。マスターの首をはねて終わりと思いましたが、流石は戦人さん」


士郎「古戸ヱリカ……!!」


戦人「…どういうことだ、ヱリカ。お前らしくないぜ」


ヱリカ「相変わらず甘まっちょろいことです。いいですか?私は探偵であり真実の魔女───の前に、この戦いではアサシン。しがない殺し屋です。その役目はまっとうしなきゃ」


続きはよ

戦人「───ッ!ああ、そうかよ…ッ」


ブオッ


士郎「うわっ!?」


バタン!!



戦人が士郎を本堂の中に押し込める。



士郎「戦人!?」ドンドン!


戦人「…悪い、士郎。どうやら庇いながら戦う余裕はねえみてーだ」


士郎「───わかった」ギリッ



…情けない。いくら鍛えても、サーヴァント同士の戦いには足手まといにしかならないのか。



士郎「…いや……落ちつけ。この状態でも、戦人のためにやれることはあるはずだ。…考えろ、COOLになれ衛宮士郎!」



思考停止は、その時点で敗北。
あのゲーム版で、そう教わったじゃないか─!!





カサカサ…




士郎「!?」





待て。なんだ今の気配は。


…だれかいる、この本堂の、闇の中に。


いや、誰か───なんて決まっているだろう。
ここに古戸ヱリカがいる時点で。



士郎「間桐………臓硯!!」



臓硯「………気付いたか、褒めてやりたいとこじゃがな……衛宮の小倅。おぬしも不運だの、このタイミングでワシらに出くわすとは」ユラァ



─────────────────────

ギィン!ガッ!バシュウ!



戦人「くっ────!」



本堂の外で加速する、戦人とヱリカの撃ち合い。
意外なことにも、古戸ヱリカが押している。


ヱリカ「──────ふん」バッ


防戦一方の戦人に、ヱリカはつまらなそうに鼻を鳴らして、大きく後ろに跳躍し距離をとった。


ヱリカ「……どういうことですか、戦人さん」 

戦人「へっ…!何がだ?」 


ヱリカ「今のアンタの魔力は昨日と比べて、どうみても半分…いや、それ以下です。ドラノールを呼ぶまでもない」


戦人「…やっぱヱリカにゃお見通しってわけか」


ヱリカ「…何を企んでるかはわかりませんが。はっきり言って今のアンタとの戦いはつまらない。糞以下です」



戦人「…やってみなきゃわからねぇぜ?」



ヱリカ「…そうですね。腐ってもアンタは右代宮戦人。今まで何度も、ムカつくほど窮地をくぐり抜けてきた」


戦人「おいおい、らしくないぜ、お世辞かよ?」



ヱリカ「これでも素直に賞賛してるんですよ?──待ちに待ったアンタとの新たな戦いの場が、こんなつまらない終わりで残念ってことです」


戦人「だから、やってみなきゃわからねぇだろ?お前が言うとおりこの右代宮戦人!!こんな所でくたばるほどヤワじゃねぇ!!足掻いてやらぁ!!」チャキッ







ヱリカ「ですが、アンタ自身がいくらしぶとくても───これは聖杯戦争。マスターが殺されれば、駒は消えるのみ。あは、なんだかゲーム版のルールに似てると思いませんかぁ?」



戦人「──!!」



ヱリカ「…気付いたようですね」ニヤリ



戦人「くっ!!」


戦人は躊躇いなくヱリカに背を向け、本堂の扉に斬りかかる─────!!



ガキィン!!



……が、それは───



ガートルード「謹啓、謹んで申し上げ奉る。この扉は、我らの結界にてすでに閉じられたなりや」 


コーネリア「汝の今の魔力では、破ることが出来ない壁だと知りたて奉れ!」



2人の門番により、堅く閉ざされてしまった───!!



戦人「───くっ!」


ヱリカ「…だから言ったでしょう?つまらない終わりだと」


戦人(…落ちつけ。士郎の守りは、すでに手を打ってる。今本当にヤバいのは、間違いなく魔力不足の俺だ。…こうなるのは、覚悟してたんだ。だからこそ、俺に何があっても士郎だけは無事でいられるようにした。──そうさ、もうなにも失うものはない。今俺に出来るのは、意地汚くても最後まで諦めないことだ───!)



戦人「…ヱリカ」


ヱリカ「なんですか?まさか、ここにきて命乞いでも?」


戦人「…命乞い、か。確かにそう聞こえるかもな。──ヱリカ、お前はいいのか?俺達の決着がこんなので。つまらないんだろ?本当にいいのか!?」


ヱリカ「今更なにを────」


戦人「…お前だって、本当はこんな決着は望んじゃいないはずだ」


ヱリカ「…フェアな戦いを望んでいるとでも?」


戦人「ああ。そうじゃなきゃ、俺が今こうして話をしていられることもなかった。俺を消そうと思えば最初から全力でかかれば出来たはずだ。さっき背中を見せた時も、お前は攻撃してこなかったしな」


ヱリカ「………」


戦人「決着は、全部カタがついたら必ず付けてやる。だから」


ヱリカ「共闘しろと?ゲーム盤でも最後まで交わることがなかった、私とアンタが?」


戦人「──ああ。チェス盤をひっくり返して考えると、お前もそれを望んでるはずなんだ。あの時着かなかった俺とお前の決着…つけようぜ。最後に、フェアに、思いっきりよ」ニヤ

ヱリカ「………」


戦人「お前に、アサシンなんて似合わないぜ。お前はいつだって……探偵、だろ?ヱリカ」 


ヱリカ「戦人、さん」



シュゥゥ


それが、答えなのか。
扉の結界と、ガートルードとコーネリアが静かに消えた。



戦人「わかってくれたんだな、ヱリカ」



ヱリカ「戦────」



ドプゥ!!


その瞬間。
どこから現れたのか──あるいは、最初から潜んでいたのか。
巨大な影が、ヱリカを飲み込もうと喉を広げた。



戦人「ヱリカァァ!!」


ヱリカ「───ッ!!」バッ


寸前で、それをかわすヱリカ。



が。



ヱリカ「うっ!?」 


鞭のように軌道を変えた影が、ヱリカの左腕に絡みつく。


戦人「ヱリカ!」



ヱリカ「来ないでください!戦人さんも巻き込まれる!」


戦人「バカ野郎!見捨てれるわけないだろうが!」シュィン 


戦人の手に、黄金の剣が現れる。 
現在の魔力での具現化は、それこそ魔力を使い切る行為に等しい。
しかし、この影を一瞬でも吹き飛ばすには──


戦人「迷う余地はねぇ!うおぉぉぉぉお!!」


黄金の一閃が、ヱリカに絡みつく影を吹き飛ばした。




一瞬だが、影を退ける。
しかし、すぐ退避しなければまたすぐにでも捕まってしまうだろう。
あの影は既に、沼のように広がって目前まで押し寄せている───!


戦人「大丈夫か、ヱリ────」


ズブゥ!!


戦人「───カ?」ポタポタ



腹部への、違和感



戦人「なんで───ヱリカの鎌が、刺さっ──」


理解するよりも先に。



ズバッ!ドン!!



腕を切り落とされ、目前の影の沼へ蹴り落とされた。



戦人「が─────ヱリ、カ───?」


すがるように、見つめた先には。



ヱリカ「──────ふ」






ヱリカ「フヒャヒャヒャヒャ!あーはっは!」ゲラゲラ



顔を歪ませて笑い転げる、古戸ヱリカ。


ヱリカ「どぉぉおおおしたんですかぁぁぁあああ!?ブァッとらさぁぁアァアんんんんン!!!???
あら大変んんん!!溺れちゃぅぅう!!ホラァ、早く手を伸ばしてェェェェ!!!
でっきるわけねェェェェ!!腕がぁ!ウデがないですよぉぉ!?だって私が切り落としたカラァァァァ!!!フヒ、フヒヒヒヒ!!
情けない顔!!さっきまでぇぇぇ!キリッとカッコつけてたくせにぃぃぃいイイイ!!
アサシンなんて似合わないィィィ??痒い!痒すぎるんだよおおお!アンタの三流口説き文句ぅぅぅうわぁぁあ!ホラァ見てぇえ!じんましん!!!笑いこらえるの大変だったんですよぉおオオオ!?!?」




戦人「ぐっ─────」



戦人が、影に飲まれていく。




ヱリカ「そ、その表情!そのヒョウジョウだよぉおおおおお!??見たかったのはぁあああああ!??
フェアな戦いぃぃぃ?決着ぅぅぅ!?
んなもんどうでもいいんだらぁあああアアアアア!!!!
アンタのその惨めな!その顔!それが見たかったんだっつぅぅぅぅのおオオオ!
グッド!!ベリィィィギュュュュ!!
フヒ、フヒヒヒヒヒヒヒ!!」



戦人「ちくしょうがぁぁぁあああ──!!」




ヱリカ「は、はひぃぃ…───ブァッとらさぁぁアァアんんン!!あと、あとで教えて下さいねぇぇぇ!?その中の感想おおおお!忘却の深遠とどっちがエグいか、存分に語り明かしてあげるからあああああああ!!」


戦人「────ぐぅ…」 

沈んでいく。全て。



戦人「すまねぇ……士郎────」


悪魔の笑い声が響くなか、無限の魔術師は闇に呑み込まれた────

戦人ぁあああー!


ヱリカてめぇ……うん、わりと予想ついてた……

いつものw

黒戦人来る?


なんというか…様式美!!w

あらゆる生物を溶解し吸収する魔術を操る対英霊最強が相手だからなぁ戦人の天敵であるヱリカと一緒に現れた物だからもうあっ(察し)になるのは仕方無い

EP6の再来である


────────────────────


臓硯「さて。そのような棒切れ一本で、何をしようというのかな、小僧──」


士郎「───────」



強化された木刀を一瞥して、臓硯が口元をニヤリと吊り上げる。
ヤツにとって、俺は戦人のおまけ。警戒など無いに等しいようだ。


木刀を握って、構えたまま立ち尽くす。
臓硯に踏み込むための前進も、戦人を追いかけるための後退もできない。

──老魔術師の周囲には、キイキイと蠢くもの。
いや、周囲だけじゃない。暗い影、月光を遮断する闇そのものが移動している。



士郎「───虫」


見えなくともわかる。
闇の正体は細かく、おぞましいほど密集した虫の群れだ。
このお堂の四隅、壁という壁に闇より黒いモノが敷き詰められている。
この空間は、ガサガサと壁を這う虫の音と、肉の腐った臭いで支配されていた。


臓硯「どうした、何を躊躇う?遠坂の小娘と組んでワシを始末する腹ではなかったのか?」


臓硯は明らかに愉しんでいる。
木刀一本で、この何万と集まった虫を払うことなど出来るはずが無い。
臓硯が命令を下せば、何をやっても虫の波に飲まれるだろう。


臓硯「よいぞ、ワシは幾らでも待とう。キャスターの帰還を信じて待ち続けるか、その武器でワシを仕留めるか、それとも蟲共を振り払い外に逃げるか。好きな死に方を選ぶがよい」


余裕の笑みを見せる臓硯。
…ふん。
どうしたってここから逃がす気はないらしい。

──それでも、下手に動くことはできない。
戦人は心配だ。今すぐにでも駆けつけて無事を確かめたい。
だが、そのためには臓硯に背を向けることになる。その行為こそがよっぽど致命的だ。



戦人と約束した。何があっても生きる、と。
俺を守ると言ってくれた彼のためにも、家で待っていてくれる…桜のためにも。


───戦人を、信じて待つ。

だからこそ俺は、ギリギリまで持ち堪えるだけだ。


臓硯「──ほう。良い信頼関係を持ったものじゃ」


臓硯の言葉には惑わされない。
木刀をしっかり握り直し、いつ仕掛けられても対応できるように神経を集中する。



臓硯「よかろう。では根競べじゃ。お主の判断が正しかったかどうか、答えを待つがよい」


臓硯から殺気が消える。
老魔術師は一歩後退し、虫達の闇に溶けるように薄れていった。


……。
…………。
………………。
…………………………。



────そうして、一分の後。


ズキィ!!


士郎「え────────」


左手が、痛んだ。
左手の甲が痺れる。
痛みの発信源はまさに、令呪。


士郎「戦人…………?」


嫌な予感がする。
嫌な予感がする。
嫌な予感がする。
左手の痛み。
気配──目に見えるほどの殺気を伴って笑う、蟲遣いの老魔術師。

臓硯「どうやら片付いたようじゃな。おぬしもマスターなら判ろう?己のサーヴァントが、この世から消滅した事実がな!」


なにを、言っているのか。
左手は痛い、確かに左手は痛い。
だが令呪は消えていない。
今にも消えそうに、だんだんと薄れて行ってるがまだ消えていない。


士郎「戦人、来い…………!!」


ありったけの魔力を左手に注ぎ込む。
令呪の使い方など知らない。
ただ、これがマスターの願いに応えるというのであれば、今すぐここに戦人を───




士郎「──────!!」


反応が、ない。
令呪は、確かに一度起動しようとしたが、止まってしまった。


臓硯「無駄なことを。令呪と言えど、失われたサーヴァントを蘇らすことは出来ぬ。さて、これで理解できたろう?キャスターはとうに、我がサーヴァントによって死に絶えたわ」



士郎「…寝、言───────」



臓硯「では仕舞いにするか。遠坂の小娘はまだ使い道があるがな、お前はここで用済みよ小僧。キャスター共々、我が聖地で死に絶えるが良い」



士郎「言ってんじゃねぇぞ、テメェ───!!」ダッ



臓硯へ向かって走る。
嫌や予感を振り払うように、木刀を振り抜く───!!


バキィ!!


士郎「────!?」


強化したはずの木刀が易々と砕かれる。
そんな、臓硯はまだなにも───


ドラノール「…無駄デス。アナタ程度の魔術など、十戒を使わずとも断ち切れマス」

…断ち切ったのは、赤の大剣。
そう、臓硯を守りに現れたのは、あの魔女狩りの──ドラノール・A・ノックス。


ならば。

ヱリカ「──────ふっ!」


士郎「うぐっ!?」ズサァ


と、真横に現れた古戸ヱリカに蹴り飛ばされる。
それも当然、ドラノールがいるならその主であるヱリカだってすでにいるだろう。



士郎「───はぁ、はあ────!!」


痛む脇腹を抑える。
今のがただの打撃で助かった、あの鎌だったらここで息をする資格すら剥奪されていたはずだ。

とはいえ、状況は絶望的。
こちらは唯一の魔術である、強化をした木刀を軽々と砕かれ。
片や相手は老獪な魔術師と、サーヴァント。そしその眷属。


1対3という数字ではあるが、実際には獅子の群れと対峙する一匹のウサギよりも、状況は悪いだろう。


臓硯「間に合ったか、アサシン。では、その小僧の始末も任せよう。ゆるりと愉しむがいい」

士郎「くそ─────」 

死ぬ。間違いなく、衛宮士郎は殺される。


──無理だ。 
この状況で、どう生き残れと?
戦人だって…もう、いないんだ。


それを考えるだけでも脳はモヤモヤと曇り、身体は金縛りを受けたように固まってしまう。




勝ち目なんて、ない。



生き延びる術も、ない。





まさに───




??(思考停止は、敗北を意味するぞ?)


士郎(仕方ないだろ。もう負けているようなモノなんだから)



??(戦人だったら、諦めるか?)



士郎(──!)



??(戦人だったら、最後までしぶとく足掻く。そうであろう?)



士郎(いやいや、待て待て。そもそもお前はいったい───)


??(モタモタしているとヱリカ達が仕掛けてくるぞ?ほら、意識を外に向けよ)




士郎「!!」



…今のは、何だったのか。
だが妙に、ポケットのペンダントが熱を帯びている。
そうだ、戦人にお守り代わりに持たされたんだっけ。



士郎「────トレース、オン」


───撃鉄が落ちる。
今の言葉は、魔術の発現のためじゃなく。
同様し、諦めてかけた自分をクリアな思考に移しかえる為の言葉。


考えろ。



考えろ。



今の状況、魔術師としての衛宮士郎に勝ち目はない。



相手は古戸ヱリカ。サーヴァント。



衛宮士郎では勝てない。
戦闘での勝利はゼロに等しい。



だが、知っているはずだ、ゲーム盤の夢で。
古戸ヱリカの性格、思考、本質を。


これこそが衛宮士郎唯一の利。
サーヴァントではなく、古戸ヱリカ自身の本質を捉えろ─────!!

ドラノール「ヱリカ卿」


ヱリカ「何ですか?」


ドラノール「殺そうとすれば先程できたはずデス」


ヱリカ「私の考えでは、あの男はアーチャーの真名の手掛かりになる。もう邪魔な戦人もいないし、いつでも消せますからね」




士郎「古戸ヱリカ」


ヱリカ「何ですか?命乞い?戦人さんと同じですね」クスクス


士郎「俺と勝負だ、ヱリカ」


ヱリカ「はぁ?…バッッカですねアンタも!わかってます!?一秒もあればアンタなんて───」


士郎「違う。探偵として、勝負をうけてくれ」


ヱリカ「────!?」



士郎「お前に挑戦状だ。俺の作ったミステリーを、見抜いてみせろ」



…もちろん、半分はハッタリ。
この勝負、ヱリカが受けなければ衛宮士郎は死ぬ。
受けても、即興でヱリカを超えるミステリーを生み出さなければ死ぬ。

ヱリカとのミステリー対決なんて、勝率が限り無くゼロに近いのは分かっている。
だが、ゼロじゃない。
たとえ0.000000000000000001%でも、ゼロじゃない。

ヱリカ「─────フフフ」




ヱリカ「この探偵、古戸ヱリカにミステリーで挑むですって?アンタ如きが?」




士郎「ああ。…それとも、手袋を叩きつけないとわからないか?」






ヱリカ「─────グッド!!!」パチン



ヱリカが指を鳴らすと、空間が歪み──


魔女裁判が行われた、大聖堂へと変わっていった。



ヱリカ「まさか人間如きとミステリーの刃を交わすとは思いませんでしたが。どうやら私の灰色の脳細胞は、どんなちっぽけなミステリーも欲しているようです。野蛮な戦闘ばかりで飽き飽きしていましたからね」



ヱリカ「この空間では、全員が赤と青を使えます。さあ、アンタのミステリー…見せてみやがれぇぇぇ!!衛宮士郎ぉぉぉぉぉぉお!!」



士郎「…やってやるさ。行くぞ、古戸ヱリカ─────!!!」














宝具 「魔女裁判」


ランク:EX


この宝具の発動と持続には魔力を必要としない。
唯一の発動条件として、相手の同意の言葉、または意思が必要。
この宝具の効果内にいるものは、赤と青の真実でのみダメージを負う。(本来ならダメージを受けない人間も)
ロジックの有効は空間が判断し、ロジックエラーを起こした者は消滅する

ミステリーで巻き返しとはやるな

まってた

ヱリカ「──とは言え、アナタ程度にミステリーが構築できるんですかぁ?」


士郎「…確かに複雑なミステリーなんて俺には作れない。…今から見せるのは、単純な【犯人当てクイズだ】───行くぞ」



士郎(ゲーム盤の夢で付け焼き刃程度の知識はついたとは言え、マトモにやったらとてもじゃないが勝てない。トリックなんて適当でいい、とにかくヱリカを出し抜く一手を──!!)




───夜の学校。
激しい雷雨の中、肝試しを行おうと言ったのは誰だったか。


慎二「ああもう!寒いんだよ!僕はタクシーで帰るからな!」


間桐慎二が、いつものように当たり散らすようにして教室を出て行った。…その30分後。


「が…が…ぎゃああああ!!」


士郎「──慎二。そんな…」



悲鳴を聞いてかけつけた衛宮士郎が、二階の教室で変わり果てた姿の間桐慎二を発見した。



───三階、教室───


士郎「どうしてこんなことに…くっ」


第一発見者、衛宮士郎。
悲鳴を聞いて二階教室に駆けつけたが、施錠されていたので宿直室にいた藤村大河に鍵を借り、現場に入った所被害者を発見。

大河「間桐くん……ヒネてたけど、いい子だったのに──」


藤村大河。事件発覚当時は宿直室に。
一人でいたのでアリバイは無し。


凛「……バカだったけど、殺されるほど憎まれるようなやつじゃなかったわね……」


遠坂凛。事件発覚当時は三階の教室に。
アリバイ有り


桜「────兄さん」


間桐桜。事件発覚当時は凛と三階の教室に。
アリバイ有り。



一成「なんということだ…まさか、間桐が」


柳洞一成。事件発覚当時衛宮士郎と行動していた。アリバイ有り。



葛木「………………」


葛木宗一郎。事件発覚当時一階を巡回中。アリバイ無し。

ヱリカ「……説明が雑ですね」


士郎「広い校内だ。場所を限定する」


士郎「【今みんなが集まっている三階教室、死体発見現場の二階教室、一階の宿直室、校舎外の弓道場。この四カ所と、各階の廊下、弓道場までの道にしか人は立ち入っていない】」


ヱリカ「…弓道場?」



士郎「【なお、慎二の背中には弓矢が刺さっていた。凶器、死因は間違いなくこの弓矢である】」



ヱリカ「…現場が密室であったか確認します」



士郎「【現場は衛宮士郎が立ち入るまで密室であったことを保障する】」



ヱリカ「…密室の定義は?」


士郎「【もちろん窓などの施錠はされており、扉を開ける以外に立ち入ることは出来ず、隠し扉等も存在しない】」



士郎「…チェーンロックはないけどな。物足りないか?」


ヱリカ「…いえ、密室であることが確認できれば充分です」

ヱリカ「…各人物の詳しい行動を」


士郎「…ああ」



間桐慎二

22:00
衛宮士郎、遠坂凛、間桐桜、柳洞一成と三階教室にいたが一人で出て行ってしまう。

22:30
悲鳴を上げる

22:35

衛宮士郎に発見される。




士郎「【以上、これは嘘偽りのない真実だと保障する】」




衛宮士郎(駒)「22時?みんなと一緒にいたな。五分ぐらいしてから、弓道場に1人で行った。肝試しの道具が置いてあったから、片付けようと思って。22時20分ぐらいになったから、校舎に戻ったら一階にいた一成と葛木先生に会ったんだ。それで一成と二階に行った。廊下で一成の遠坂に対する愚痴を聞いてたら…慎二の悲鳴が聞こえたから、そこに向かったんだ。でも鍵がかかっていたから、一成と宿直室に行って鍵をとってきて…教室を開けたら、慎二が倒れてるのを見つけたんだ」

凛「わたしは22時から慎二を見つけた士郎に呼ばれるまで、ずっと三階教室で桜と話をしてたわ」


桜「はい…【ずっと遠坂先輩と一緒にいました】」


一成「俺は衛宮が出て行ったあと三階廊下で葛木先生と話していた。22時10分には一緒に二階に移動、20分に一階に移動したな。少しして衛宮が来て、衛宮と二階に行った。【あとは衛宮の証言通りだ】宿直室で衛宮が鍵を探している間、居眠りしていた藤村先生を起こして状況を説明した。そして三人で二階教室に行った」

大河「うーん、私実は22時前から士郎が来る間で、つい寝ちゃってたのよねー。…うう、申し訳ない」


葛木「…柳洞の証言通りだ。共に行動していた。間桐の姿は…最初に出てきて、階段を降りて行った所までしかみていない。柳洞と別行動をとってからは、一階にいたが…衛宮達に呼ばれるまでは【1人だったな】」



────────────────────


ヱリカ「────────」



ヱリカ「若干説明下手な気はしますが…気になるところは青で言及するので、ひとまずは良いでしょう」



ヱリカ(一見犯行は不可…に見えるのは、証言を鵜呑みにした場合。証言の所々に赤が入っているという事は、赤くない証言は嘘が混じっている可能性があるということ)



ヱリカ(さらにもし犯人が共犯であるなら──遠坂凛と間桐桜はお互い一緒にいたことしか証言していないため、アリバイはないに等しい)



ヱリカ(鍵の管理も問題。いつでも鍵が盗めるなら密室の質としては大したものではない)



ヱリカ「…なんてお粗末なミステリー」



士郎「…悪いな。流石に、魔女のような構築はできない」



ヱリカ「当たり前です」



士郎「だが…これはあくまでもお前が犯人を当てられるかだ。たとえミステリーの質は最低てでも、犯人さえ特定されなければ──俺の勝ち…だろ?」


ヱリカ「ふん───この私、古戸ヱリカが、この五流ミステリーを解けないと?」



ヱリカ「いいでしょう。──すぐに、そのツギハギのボロミステリーを剥がしてやります」ニヤッ

おお、思ったよりがっつり来た!
確認したい事項がいくつかあるけどヱリカがどんだけ詰めてくかなー

>>292
気になるとこは、読んでる皆もレスしてくれれば、作中でヱリカが言及したこととして答えさせてもらいます。
さあ、ヱリカと一緒に士郎を追い詰めてくれ!
(ヱリカの頭の良さを>>1じゃ再現しきれないので助けてw)
なお、犯人が誰であるかというレスには答えないものとします

そんじゃーぱっと思いついたので

弓道場と校舎との位置関係、特に二階教室の窓と死体からの距離
22時半の悲鳴は弓で刺されたのが原因かどうか
階段は一ヶ所のみか
犯人は名前が挙がっているなかにしか存在しないか、単独か複数か
事故・自殺は含まれるか

これくらい
あとちょっと気になったのが、帰るっていって出てったのになんで二階教室に、ってのかなー

おお、まさかの参加式ww

とりあえずお約束として聞いておきたいのは
「士郎がワカメを発見当時ワカメは死亡していたか」
「大河は宿直室から出てないか」

それが駄目なら
「葛木の赤の【一人】の定義、具体的には死体を人間とカウントするか否か」
…とか??

凶器の弓矢は誰でも入手可能か…っていう聞き方だと思わぬ抜け道ができそうだな
凶器の弓矢の出処はどこか、で

どうもこの弓矢が士郎の生命線になりそうな気がする

大河と葛木が事件以前で最後に鍵を確認したのはいつか
鍵は一つしかないのか

あとはなんで部屋のドアを開けるまで慎二が倒れてる事に気付かなかったか

>>294
士郎「【弓道場は校舎の裏手にあり、一階裏口の連絡通路を通って行く。走れば一分もあれば間に合うな。弓道場からは校舎の教室は見えない】」


士郎「【また、慎二は教室の真ん中にうつ伏せで倒れていた。窓は施錠されており、傷もついていなかった】」


士郎「悲鳴については答えない。また、衛宮士郎は探偵役ではないため、【ノックス第9条観測者は自分の判断、解釈を主張することが許される】」



士郎「【階段は校舎の両端に二カ所】よって、葛木宗一郎が巡回していても発見されず行動することは可能だ」


士郎「【犯人Xは存在しない。登場人物のみである】」


士郎「犯人の人数についてはまだ答えないが……【慎二は他殺である】」


士郎「慎二が二階教室にいたことについてはか【ちゃんとした動機がある】」

>>295

士郎「ただの登場人物の一人である衛宮士郎には、慎二の検死は出来ず慎二が死んでいたと保障はできない。が、赤き真実にて【慎二発見後、全員が三階教室に集まった時点ではすでに間桐慎二は死亡している】」


士郎「【衛宮士郎が宿直室に来るまで、藤村大河は宿直室の外には出ていない】」


士郎「【死体は人数に含まれない】」




>>296

士郎「【弓矢は弓道場から持ち出されたものであり、手に入れるには弓道場へ行く必要がある】」


>>297

>>297

士郎「【22時以前までには藤村大河も葛木宗一郎も宿直室に鍵があることを確認している】」


士郎「【三階教室の鍵は1つであり、合い鍵やマスターキー等は存在しない】」

ヱリカ「……なるほど。ですが、教室のドアといえばガラス窓がついていて中に入るまでに様子を見ることができるはず。…どうして立ち入るまで中の様子がわからなかったんですかぁ?」


士郎「慎二が倒れていたのは教室の外からでも見えた。それをみたからこそ、急いで鍵を取りに行った」



>>301

訂正。「【二階教室の鍵は1つであり、合い鍵やマスターキー等は存在しない】」

これ面白いなww
青で攻撃するのもあり?

>>303
やりすぎると士郎勝てなくなっちゃうんですけどwww




…かかってこいやぁ!!w

>>304
やったあああ!

・葛木犯人説
>>299の赤の真実【慎二発見後、全員が三階教室に集まった時点ではすでに間桐慎二は死亡している】から逆説的に、士郎が発見時には慎二はまだ生存していた可能性が浮上する。
すなわち、士郎による開錠~全員が二階教室に集合するまでの間は密室ではない状態で、外部による他殺が十分に可能な状態だった。
この環境で慎二を殺害できるのは一階を巡廻していた葛木、同じく一階の大河のみである。
さらに凶器の弓矢は弓道場に行かないと調達できないため、大河が犯人と仮定すると巡廻する葛木に見つからずに行動するのは不可能である。
よって、犯行が可能だったのは葛木のみだったと考えられる。

>>302
鍵ってのがあれだな
1つだけど本物かどうか、22時の確認した時点もしくは鍵が使用されるまでの間にどこかですり替えられた可能性は?

後ついでに5分前の悲鳴が被害者本人のものであったかどうかとかも

ヱリカ「…さて、では本格的に赤と青の攻防へ入る前に、この戦いの勝利条件を決めておきましょう」


士郎「──勝利条件?」


ヱリカ「はい。ぶっちゃけ、解答数に制限をつけなければ、出題者側のアンタが圧倒的に不利です。…ですから、犯人を限定する、青に回数をつけようと思いまして」


士郎「その青を耐えきれば…俺の勝ちか」   

ヱリカ「ふ、そんなことにはなりませんけどね。…万が一、私が全ての推理を外せばそうなります」ニヤッ


…古戸ヱリカが不適に笑う。
──くそ、なんてプレッシャーだ。戦人やベアトリーチェは、こんな気分でこいつと対峙してたのか?


士郎「…犯人断定の回数は?」


ヱリカ「一回で充分──と言いたい所ですが。何ぶん、まだ情報不足なもので。不確定要素の確認も含めて、三回の推理で挑ませていただきます。異論は?」


士郎「───ああ。それでいい」


ヱリカ「────グッド!!」


ヱリカの背後に現れる、三本の巨大な青い刃。
…あれが貫くのを許したら俺の負け。凌ぎきったら俺の勝ち、か。


ドラノール「………」サラサラ

ドラノールは、論戦には参加せずメモにこれまでの赤き真実を書き留めている。
俺相手じゃドラノールの出番は無いってことだろうが────圧倒的に実力不足の俺には、ありがたい。


奇策でも、戦人の模倣でもなんでもいい。
この三回、ヱリカの猛攻を凌ぎ切る───!
 

>>306
>>307

士郎「【鍵の偽物なども存在しない。すり替えトリックもなしだ】鍵の所在については、22時以降衛宮士郎が宿直室に来るまで、誰でも好きに持ち出せる可能性はある」


ヱリカ(…単独犯で攻める場合、実際に一人で制限の少なく動ける人物が犯人の可能性としては高い)


ヱリカ(証言を鵜呑みにするなら、柳洞一成は常に誰かと行動しているため除外。これは遠坂凛と間桐桜にも言えます。藤村大河も…22時半以前の行動が制限されているため、ひとまず保留としましょう)


ヱリカ(つまり、犯行が一番しやすい人物は衛宮士郎と葛木宗一郎)



ヱリカ(証言の中で弓道場へ行ったとされるのは衛宮士郎ですが…こんなにわかりやすいミスリードはないでしょう)


ヱリカ「…まずは、>>305葛木犯人説で行きます───!!」


士郎「───!?……くるなら、こいっ…!」



ヱリカ「『間桐慎二の死亡が全員の集合までと言われている時点で、衛宮士郎が二階教室で発見した時点では生存している可能性が浮上します!!』」


ヱリカ「『つまり、間桐慎二発見~三階教室に全員が集合するまでの間は、密室は効果を失い外部からの他殺が可能になると推測される!!』」


ヱリカ「『この環境で殺害を行えるのは、一階にいた葛木宗一郎と藤村大河であり、衛宮士郎が来るまで一階宿直室から出ていない藤村大河では弓道場に行く際、一階にいる葛木宗一郎に目撃されるため不可!!』」



ヱリカ「『葛木宗一郎は柳洞一成と別れた後弓道場に行くことは可能であり、凶器を調達してから間桐慎二を殺害した!!』」

巨大な青い刃が、士郎に向かって放たれる。


士郎「22時半の慎二の悲鳴の説明はどうする?」



ヱリカ「はっ!そんなもの赤で宣言されていないなら『衛宮士郎の虚言』で通ります!」 


士郎「【悲鳴は確かに22時半にあった!!】そして>>307【慎二本人の悲鳴である!】」


赤き刃が、青の巨大な刃に向かって放たれる。
相殺する力はなくとも、青の刃の勢いを殺す一撃。
…そう。あの巨大な刃を打ち砕くには、推理ごと否定する必要がある。

───まだ一度目の青だが、赤き真実を惜しんでいる場合じゃない…!!



士郎「【弓道場には、22時以前と、22時20分以降は誰も立ち入っていない!!】」


士郎「つまり、【22時から22時20分まで一成と行動していた葛木】に、凶器の回収は不可能だ────!!」


バリィン!!


再び放たれた赤い刃が、青の刃を打ち砕いた





ヱリカ「──まずは、防ぎましたか」


士郎「……ぐっ」


ヱリカ「でも、防ぎきれなかった青の破片もあるみたいですね…。『間桐慎二発見後の殺害』の青が、刺さってますよ…?」


士郎「────」


士郎(……マズい。いきなり、密室以外での殺害が看破された。これを認めれは他の推理を容易に展開されるぞ。でも、発見時に慎二が死亡していたとすればロジックエラーまで追い込まれちまうかもしれない……)



ヱリカ「ああ、あとは間桐慎二の悲鳴の説明でしたっけ?」


士郎「…ああ」   


ヱリカ「普通に考えたら、犯人に教われた…と考えるべきですけど」   


士郎「【慎二が悲鳴を上げた時、教室内に同室者はいない】」


ヱリカ「ならゴキブリを見たでも、ワザと悲鳴を上げたでも理由はなんでもいいでしょう。…ホワイダニットを暴くミステリーではないわけですし」

結構詰まってきたな!

・慎二自演説
実は慎二は「殺されたふり」のドッキリをしたかったのではないか?
慎二は教室から出たあと自ら弓道場に行き、凶器の弓矢を調達。その後教室に施錠し頃合いを見計らって悲鳴をあげる。
ただ慎二にとって誤算だったのは士郎たちが解錠したのち本当に殺害されてしまったこと。
このタイミングはさっきの攻防で士郎が負った傷通りで、実行可能なのは葛木。
また三階の教室からの出入りを整理すると、葛木と慎二は一度会っていることになるから、そこで葛木は慎二のドッキリ作戦を聞き、密室殺人を思いつき実行した。

よって犯人は葛木。これでどうだ!?

おおお、うみねこ式ミステリーバトルが見られるとは感激だ!

では……『事件発覚当時に慎二は生存しており、皆が三階教室に集まるまでのあいだに死亡した』とすると
『実際の殺害時刻のアリバイは誰もない』ことになる
そして『凶器の入手者と殺害者が同一人物である必要はない』
ついでに『背中に刺さった弓矢が一本のみ』という赤字もない……

――よって全員が犯人説を提唱する!
そう、つまり事件発覚後、二階教室に集まった面々が次々と慎二の背に矢を射たのだ!!

あ、慎二の悲鳴はドッキリ自演説に賛同します

なるほどな!
「犯人当てゲーム」と銘打っておきながら全員犯人とか中々にうみねこっぽいwww

てかそう考えてみると、ある程度限定はされるけど(多分5パターン)全員に殺害機会はあるんだよな…

わかった!!これ魔女ゲーム特有のロジカルトリックだ!!!「犯人当てゲーム」の以上どう足掻いてもヱリカに勝ち目ねぇわ、士郎すげぇ!!!!

動機の確認くらいしようぜ
・この校舎で肝試しが行われる以前の慎二の言動
・なぜ慎二は怒って帰るなんて言い出したのか
・この事件は突発的な犯行か
・この中で慎二を殺害するに値する動機を持つ人間は?
・士朗が施錠を確認した際、一成も鍵がかかってる事を確認したか、また士朗以外の誰かが鍵の施錠を確認したか
・サーヴァントは人間としてカウントするか

>>317
少なくとも施錠については士郎が着くまでは完全な密室であることが赤で保証されてるぞ
鯖出しても多分ドラノールのノックス十戒のどれかで斬られると思うな…

動機はヱリカ様がホワイダニットじゃないと仰ったので潔く除外した!
フーダニット、ハウダニットが満たされればいいかなと……全員、ってのは奇をてらった結果だけど

・施錠については問題なし。>>288【現場は衛宮士郎が立ち入るまで密室であったことを保障】されている
・サーヴァントは犯人に含まれない。>>298の赤字参照【犯人Xは存在しない。登場人物のみである】
・慎二の動機については上述の通り

まあ、ライト卿は憤慨しそうだね……でもこのSSには登場してないし……

中国人は禁止

待った、いまの説既存の赤で撃退されちゃわね?
>>314
慎二と会ってるなら葛木は一人だったの赤に抵触
>>315
士郎解錠~「三階で」全員集合までの間に死亡だから、凛と桜に犯行は不可能

その辺はこんな感じー

>>290参照
凛「わたしは22時から慎二を見つけた士郎に呼ばれるまで、ずっと三階教室で桜と話をしてたわ」
桜「はい…【ずっと遠坂先輩と一緒にいました】」

>>299参照
【慎二発見後、全員が三階教室に集まった時点ではすでに間桐慎二は死亡している】

凛の証言は赤字じゃないし、そうだったとしても「呼ばれるまで」となっている
つまり凛と桜は事件発覚後、士郎に呼ばれて二階に移動したのち、皆といっしょに三階に戻った
二人が三階教室を一度も出ていない、という意味になる赤字はないはず

>>291の【1人だったな】については、前後の補足がないから、どこかの時間帯に一人でいれば成り立つ
実際、>>312【22時から22時20分まで一成と行動していた葛木】の赤字が両立してる

なるほど!
遠坂姉妹は思ったより自由に動けたのか…!

おまいらすげぇよwwwwww
ここまでのレスで、ミステリーの心臓は打ち抜かれてるわwwwwww

午後から解答編、ヱリカとの決着を書きます

そりゃきのこ節とうみねこ式ミステリーの両方に嗜みがあるからこそこのスレにいるわけですからw
さあヱリカとの決着、楽しみだ

うみねこ式ミステリー知らないけどいるよ

いよいよ決着か!
楽しみに待ってます

そういや朱志香のキャラソン(アニメ版)って、どっきゅん☆ハートだったなぁ
あれはもしや心臓を射抜く的な暗喩……ないな

うおぉぉ!屁理屈推理スレが消えてから見かけ無かったうみねこ式のゲームが行われてたなんて…参加したかったぜ

決着期待してます!!

ところで全員犯人オチだったらワカメがすっごく哀れな気がする…wwwwww

ヱリカ「さて…第二の刃を放つ、その前に確認しておきたいことがあります」


士郎「何…?」


ヱリカ「『間桐慎二発見後の衛宮士郎、藤村大河、柳洞一成の行動』について、です。他の人間を呼びに行ったとのことですが…この際、三人はお互いに行動を監視していたか。…もっと砕けて言うと、『この行動中に誰か1人が不審な行動をした場合、見つかるか』───です」



士郎「……」


……なるほど。
まずは葛木以外の単独犯としての可能性をつぶしにきたか。
…この青を通してしまえばこの三人を軸にした推理を展開され──もっと危険な赤を使うはめになるかもしれない。



士郎「【事件発覚後、衛宮士郎と柳洞一成、藤村大河は完全に共に行動している。その間、お互いに何か隠れてするようなことはできない状況だった】」



ヱリカ「…グッド。わかりました」ニヤッ


士郎(…まだ単独犯、共犯であることを明言する赤き真実は使っていない)  


士郎(…そもそも、ただの犯人当てゲームで真実を1つに決めていたら、ヱリカの攻撃を防ぐのは不可能に近かった)


士郎(…だが、回数制限があるなら…。逆に、真相に複数いたれるゲームにして、ヱリカの推理が当たっていた場合それを赤き真実で否定して凌ぐ)


士郎(それが、唯一ヱリカに勝てる可能性があるであろう作戦)


士郎(まあ、いきなり一度目の青で葛木先生の単独犯説が当てられた時は驚いたけど…。単独犯は葛木先生で最初考えていたからな)


士郎(あと、2回だ…!それを凌げれば──)



ヱリカ「────行きます」


ヱリカ「───私が提唱するのは、>>314間桐慎二自演説を元にした…>>315全員が共犯説!!」


士郎「───!?」



ヱリカ「『間桐慎二の悲鳴は、ただの自演』そして、全員が『共犯の犯行ならば』今までのアリバイや証言はほぼ無意味。よって『全員が共犯であり発覚後に誰かが殺害した可能性!』『または衛宮士郎、藤村大河、柳洞一成が共犯で殺害した可能性!』『遠坂凛、間桐桜が共犯で殺害した可能性』と『複数浮上します!!』『遠坂凛と間桐桜は、>>322の通り教室から出ていないという赤き真実は使われていません』」



ヱリカ「──よって、この『不特定共犯説!!』くらいやがれぇぇぇぇ!!!!」



────ヱリカの放つ、第2の青の巨大化な刃が、分裂し───弾幕となって、襲いかかる。


士郎「ぐっ────?」



ダメだ。
コレを食らったら、死ぬ。
分裂した青い刃を、まとめて相殺できる赤き真実はただ1つ───!!




士郎「くっ…【殺害は、単独犯である!!共犯は存在しない!!】」



最後に自らを守るはずだった切り札を、切るしかなかった。


ヱリカ「…あら。防がれてしまいましたか。残念です」クスッ


士郎「……はぁ、はぁ───」


ヱリカ「…しかし、ずいぶんと串刺しになっちゃいましたねぇ。『遠坂凛と間桐桜が教室からでていないとは限らない』『弓矢は入手した者じゃなくとも使用できる』など…さっきの赤で否定できなかった青がたくさん刺さっちゃってますよ?」



士郎「…ぐ、ぅ…」



ヱリカ「ねえねえ、いつから私がアンタの作戦に気づいていたのか、知りたいですか!?知りたいでしょおおぉお!?」



ヱリカ「確かにアンタの作戦なら、マトモにやってたら解答回数が足りず私の負けだった!まだ葛木単独犯説、衛宮柳洞藤村共犯説、遠坂間桐共犯説、全員共犯説が残っていましたもんねえぇぇえぇ!?」


ヱリカ「だが不可!不可不可不可ぁ!!この私ぃ!探偵!古戸ヱリカがぁ!そんな三流トラップにかかるわけないだらぁあああああ!!」 



ヱリカ「────はぁ、はぁ。これで、フヒヒ、残るは単独犯のみぃ!バカなあんたは!可能な犯人を葛木1人にしちまってるんだよぉぉおぉおぉおぉおぉお!」



ヱリカ「……複数の犯人のいう可能性を構築した発想は悪くありませんでしたが。…またまだ、赤と青の駆け引きの経験値が足りませんでしたね…」ニヤッ

ヱリカ「…さぁ、終わりにしましょうか」


士郎「……!!」


ヱリカが、三本目───最後の青の刃をこちらに向ける。


ヱリカ「───最後はもちろん、>>314間桐慎二自演、葛木単独犯説。これで、終わりです!!衛宮士郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」







士郎「────────」



死神の刃が迫る。


…古戸ヱリカの言うとおりだ。もう、俺に打つ手はない。新たな真相も思い浮かばない。




────すまない、戦人……




……桜。








───いや、上出来であったぞ。




────後は、「妾」に任せろ。






士郎「────え」



その瞬間。

ふわりと、黄金の蝶が横を通り抜けた気がした。  






ベアトリーチェ「【葛木宗一郎は犯人ではない!!!】」




ガシャーン!!!!




赤い軌跡が、巨大な青を打ち砕いた。

ベアトきたーー!!!



士郎「─────!?」



ヱリカ「───べ、べ…」



ベアト「久しぶりだなァ、古戸ヱリカァ。戦人の仇、とらせてもらいにきたぜェ…?」


ヱリカ「ベアト…リィィィチェェェェ!!!!」


ベアト「まあまあ、気を静めよ。三本目の青き真実が防がれた時点で、そなたの負けは決まっているのかだからなァ」ニヤッ


ヱリカ「──!!ドラノォォォォォル!!今の赤き真実は有効なの!?ロジックエラーはないの!?」


ドラノール「…有効、デス」


ヱリカ「~~~っ!?」



ベアト「そなたの宝具だろうに。ロジックエラーならとうにこの身が焼かれているぞ」



ヱリカ「くっ、くぅ…!アンタが…アンタがいると知っていたら…!」 



ベアト「もっと警戒していた、かァ?…勘違いするなよヱリカ。そなたが敗れたのは妾にではない。衛宮士郎の、ミステリーにだ。妾はこのミステリーの可能性を示したに過ぎぬ」



ヱリカ「は───?私、古戸ヱリカが…?こんな、人間如きのミステリーに、や、敗れた…っですってぇ……?」



ベアト「そうだ。【そなたは衛宮士郎のミステリーに敗れた】」



ヱリカ「うわぁあああああああぁぁおあああぇあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」   



パリィン!!



ヱリカが発狂するのに呼応するかのように、宝具であるこの空間…大聖堂が、砕け散った







ベアトリーチェの構築した犯人についてはまた後で。



ヒント


【衛宮士郎は犯人ではない】


【間桐慎二が行おうとしていた狂言殺人のことを、その人物は知っていた】(このミステリー開始前から慎二に協力を頼まれていた)

なるほど、大河か

おもしれえええ!

答えといてなんだけども、共犯説が否定されてよかった
いくらなんでもワカメさん可哀想だもんね……

>>299
【衛宮士郎が宿直室に来るまで、藤村大河は宿直室の外には出ていない】
>>330
【事件発覚後、衛宮士郎と柳洞一成、藤村大河は完全に共に行動している。その間、お互いに何か隠れてするようなことはできない状況だった】

ここいらがネックになるんだよなあ

協力を頼まれていた…としたら、「慎二に頼まれていたことを実行しない」という消極的殺人なら可能なんじゃないかな?
ただそう仮定すると大河か一成か絞れないのと、放っておくだけで死ぬワカメさんが間抜けなのがちょっとなぁ…w

>>288
【なお、慎二の背中には弓矢が刺さっていた。凶器、死因は間違いなくこの弓矢である】
これで他殺である以上は積極的に殺しにいかないと……うーん

弓矢の入手はワカメさん本人も可能なんだよな

例えばだが凛と桜が死んだふりしてる慎二を発見して桜は本当に死んでると思いこんで、凛はすぐそれを見抜いて桜に気づかれずに慎二を仕留める…とか

要は一緒にいたってだけで犯人は単独犯だからありえないというのは否定してみたい

大河が宿直室の内側から廊下にいる慎二の背に矢をかけて
慎二が自力で二階に移動して教室の内側から施錠した後に
悲鳴をあげて倒れれば成立する(戦人の小型爆弾並説)

桜の【ずっと遠坂先輩と一緒にいました】が上手いこと崩せれば……
でもそれだと桜か凛かが絞れなくなるような

あとは悲鳴が録音したのを時限式で流したとかでも可なら
赤字の隙間に自由行動があったと仮定して一成犯人説いけないかなーと思ったけど
ちょっと苦しいなあ

やべ、もうほとんど見抜かれてたw
んじゃ、潔く解答を出します。
以下の話は、へっぽこミステリーに付きあってくれた皆さんに感謝して捧げる物語なんで、本編とは関係ないものとします



士郎「それにしても…いったい、どうやって犯人を構築したんだ?」


ベアト「知りたいか?ならば真相を見せようぞ」


ベアトリーチェ「きに」

──22時以前、教室


遠坂「…狂言殺人?」


慎二「ばか、声がデカいぞ」


桜「そんなことしてどうするんですか、兄さん」


慎二「決まってるだろ、イマイチ盛り上がらなかった肝試しのフィナーレを飾りながら、ついでに仏頂面の葛木の反応を見るんだよ」  


凛「悪趣味ね」



慎二「いいから、協力しろよ。…まずはだな」



凛「───ふーん、密室殺人か」


慎二「そうだ。まず僕がキレたふりをして、教室を出て弓道場へ行く。弓矢の刺さった死体になるんだ。血糊と、矢尻が刺さらないようにするように背中に薄い雑誌を仕込んでな」



桜「そんなものまで用意してたんですか…」 


慎二「お前達もやるんだぞ。僕が矢を三本回収してくるから、僕の死体が見つかったら、後でお前らも抜け出してどこかで死んだふりをするんだ」


遠坂「幼稚ね。ま、でもちょっと驚かすくらいならいいかしら」 


桜「姉さんまで…」


慎二「お前だぞ、桜。どんくさいんだから、失敗するなよ」


桜「……」イラッ

────22時


慎二「ふう、自然に抜け出せたな。よし、急いで弓矢の調達だ」パタパタ


葛木「…間桐か」


慎二「!?」


葛木「どうした、1人で」


慎二「あ、ああ…帰るんだよ。ほら、これ以上雨が酷くなるまえにさ」


葛木「そうか。気をつけて帰るように」


慎二「……ふぅ」



弓道場


慎二「よし、三本回収!」



一階


慎二「……ん?階段から音が。反対側の階段に隠れるか」


士郎「ふー。弓道場肝試しの道具で散らかしたままだったよな。片付けないと」スタスタ



慎二「…危なかった。アイツ、こんな時でも1人で行かなくてもいいのに、バカだなホント」



二階


慎二「…さて。決行の時間までまだあるけど」


葛木「~~」

一成「~~」


慎二「げ、あいつらも降りてきた。予定より早いが教室に入るか」


二階教室


慎二「鍵をかけて、死体のふり、…と」

悲鳴後


凛「…始まったわね。行くわよ、桜」


桜「はい」


二階と三階の間の階段

凛「───士郎達が鍵をとりに行ったわね。密室殺人ってことなら、ちょっと待ってましょうか」



慎二発見後


桜「────あ、先輩達が一階へ行きました」 

凛「葛木を呼びに行ったのね。今のうちよ、桜」



二階教室


桜「…姉さんは、ドアの所で廊下を見張っててください。わたしが矢と兄さんの持ってる血糊を回収してきます」スタスタ


凛「…え?いいけど」 


桜「…(よし、こっちは見てない)」


桜「(口を抑えて…背中の雑誌をとって)」シュッ


慎二「桜?なにして───むぐっ?」


桜「ふんっ!」ザクッ 


慎二「」


桜「…姉さん」スタスタ


凛「あら、桜?矢は?」


桜「作戦変更だそうです。やっぱり大事になったら大変だから、みんなが教室に集まったらネタバラしするって兄さんが」


凛「そうなの?──あ、士郎達がそろそろ戻ってきそうね。はやく三階の教室に戻りましょう」  


桜「…はい」 




士郎「ムチャクチャだな」


ベアト「だが、赤には触れてないぞ?」 





と言うわけで、桜犯人説でした!
凛犯人説でも可能なので、桜と凛のどちらかが、犯行可能だと見抜いた方は正解です!

動機:どんくさいって言われたから

>>350
動機については適当でいいって作中で言ってるから勘弁www

あとは【現場は衛宮士郎が立ち入るまで密室だった】と【衛宮士郎が来るまで藤村大河は宿直室を出ていない】とか、言葉遊びで抜け道可能なトリックを考えたりしたんだけど、思いつかったんだよなー。
もっとうまくやれたらと反省してます



んじゃ、次回の書き込みから本編に戻るよー 

魔女ゲーム面白かった、おつ!
これからも期待してるぜ!

士郎が事件前に一度宿直室に行ってたから自由に動けるとか、そんな落ちかと予想してたがこうなったか
この一見無茶だが筋は通ってる感じ嫌いじゃない

ガチバトル楽しかった!
やっぱり参戦できると面白さの度合いが違うわ
いや本当よく考えたなー

本編も楽しみに待っとります

続きはまだかの~

遅くなってすいません!
明日更新します

ui

待ってた!
期待

やっほい


ヱリカ「う・・・・・ぁぁ!!認めない・・・・・認めてたまるものか・・・・・!!」


士郎「ベアトリーチェ・・・・・本当に、あの・・・・・?」


ベアト「ベアトでよい。戦人のマスターであるそなたには、特別にそう呼ぶことを許そうぞ」


士郎「なんで、お前が?」


ベアト「・・・・・そなたの持っているペンダント。戦人はそれを依代として魔力の大半を込め、駒の妾を宿した」


士郎「そうか、これに・・・・・」ジャラッ


戦人は、自分が消滅しても俺のために・・・・・


ヱリカ「許さない・・・・・ベアトリーチェ・・・・・そして・・・・・衛宮・・・・・士郎ぉぉぉぉお!!」キッ


士郎「っ!?」


強い憎悪。プライドをズタズタにされたヱリカは、怒りを隠せない。


ヱリカ「ドラノール!もう一度宝具を使います!今度はグウの音も出ないくらい、こいつらをーーーー!」

臓硯「茶番はそこまでじゃ、アサシン。いい加減ワシも待ちくたびれたわ」


ヱリカ「我が主?ですが・・・・・!!」


臓硯「くどいぞ。逆らうならば令呪を使うことになるが、良いのか?」


ヱリカ「くっーーーー!!」



ヱリカは苦虫を噛み潰したような面持ちで、こちらに向き直り大鎌を構えた。


士郎「結局、振り出しか・・・・・!」


士郎「ベアト、お前はどうだ?戦えるのか」


ベアト「うむ。せいぜい、ドラノールと戦えるかどうか・・・・・ぐらいであるな。所詮は駒、戦闘能力はそれほどでない」


士郎「くそ、万事休すか・・・・・」



ヱリカ「ふん、しょせんさっきのは悪あがき。ここで葬ってやりますーーーー!」


士郎「くっ!」



バキッ!

ヱリカ「うぐぅっ!?」


瞬間。ヱリカの身体が吹き飛ぶ。


ドラノール「ヱリカ卿ーーーーァッ!?」


駆け寄ろうとしたドラノールも、弾き飛ばされ。



士郎「なっーーーー!?」


ライダー「・・・・・・・・・・・・・・・」


ライダーが、俺達を守るように割って入っていた


ヱリカ「・・・・・なにしてやがるんですか、アンタっ!」


ライダー「・・・・・何も。ただ、マスターの命令を守っているだけです。エミヤシロウを、守れと」


ヱリカ「この・・・・・三流サーヴァント風情が!」ヒュッ


ドラノール「!!」バッ


ヱリカとドラノールが、ライダーに向かっていく


が。


ドカッ!バキッ!


ヱリカ「ぐはぁっ!?」


戦いは、すぐに決した。
一瞬のうちに、ヱリカを超えるスピードで、ライダーは2人を叩き伏せてしまった。


臓硯「・・・・・おのれ、ワシに逆らうか・・・・・!」


士郎「すごい・・・・・!」


明らかに、今のライダーは戦人と戦った時とは違う。
スピードも、パワーも、威圧感も。


臓硯「・・・・・退くぞ、アサシン。おぬしではコヤツには勝てぬ」


ヱリカ「ぐっ・・・・・!」


ヱリカ(うかつだった・・・・・!接近戦じゃ勝てないなんて。私なりに戦おうとしようとしても、コイツの真名に繋がる情報はまだ無い!)


ヱリカ「はい、我が主・・・・・。衛宮士郎!ベアトリーチェ!いずれ決着をつけます。覚えていなさい!」


ベアト「はっ、それはやられ役の台詞だぜぇ?古戸ヱリカァ。味噌汁で顔を洗って、出直してくるんだなぁ?」


士郎「悪役の台詞じゃないか、それ」


そうして、臓硯とヱリカ達は去って行った。

ライダー「・・・・・行ったようですね。私も、これで。護衛はいるようですし、送っていく必要はないでしょう」

士郎「待ってくれ、ライダー。どうして助けてくれたんだ?」


ライダー「言ったはずです。マスターの命令、と」


士郎「慎二の・・・・・?」


ライダー「・・・・・・・・・・」


ベアト「どうして黙っている?」


ライダー「別に。敵同士なのですから、答える必要はないでしょう?」


士郎「それもそうだけど・・・・・最初から、助けてくれるつもりだったのか?」


ライダー「そうですね。あなたがいきなりアサシンを挑発するものですから、タイミングは外してしまいましたが」


士郎「うっ」


ベアト「ほう、ならばミステリー対決は意味なかったのではないか?」


士郎「お前も後押ししてきたじゃないか。あの時の声れそうなんだろ?」


ベアト「妾が出てこなかったら負けてたけどなー」


ライダー「あの宝具を展開されていた間は、手の出しようがありませんでしたね」


士郎「俺が余計なことしたみたいじゃないか」


ライダー「はい」


士郎「」

ベアト「まあ、ミステリーバトルに大事な経験は少し身についたのだから、妾は良いと思うぞ?」


士郎「ベアト・・・・・」


ベアト「【妾がいなかったら負けていたがな!】」ニコッ


士郎「」


戦人。やっぱりコイツ連れて行ってくれ。
俺には手に負えない。遠坂がもう1人いるみたいだ



ライダー「話は終わりですか?なら、私はもう行くので」


士郎「あ、待ってくれライダー!」


ライダー「まだ、なにか?」


士郎「まだお礼してなかっただろ?助けてくれて、ありがとう」


ライダー「礼なんて。私達は敵同士。明日は私があなたを殺しているかもしれない」


士郎「それでも、助けてくれたんだから言っておきたかったんだ敵でも味方でも、それは関係ないだろ」


ライダー「・・・・・・・・・・」ポカーン


士郎「どうした?」


ライダー「・・・・・いえ。律儀なのですね、あなたは」クスッ


士郎「えっ」


初めて見るライダーの笑顔に、少し照れてしまう。


ベアト「戦人以上に女たらしだな、士郎」


士郎「えぇぇぇ?な、なんでさ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

衛宮邸



士郎「・・・・・戦人」


長かった夜が、終わろうとしている。



士郎「・・・・・落ち込んで、いられない。まだ影も、臓硯もいるんだ」


大切な相棒を失ってしまった。
悔やんでも悔やみ切れない。だけど、立ち止まってもいられない。
喪失感を誤魔化すように、眠りについたーーーー

乙乙

さて、これから先どうなるか……

おつで~す

ーーー今日も、先輩はボロボロになって帰ってきた。


大きな怪我はしていない。
だけど、だけどーーー


先輩のことだから、きっとまた無茶をする。
心配だ。どうしたら先輩は、もう危ないことをせずにいてくれるのだろう




考えて、考えて。





「・・・・・なんだ。外に、出さなければいいんだ」



「うん。歩けなくなるぐらいの怪我をしちゃえば、もう危ない目に遭わずにすみますよね・・・・・先輩」







ーーー朝になった。
昨日の出来事は・・・・・夢だったのか。
そんな淡い期待さえも、手の甲にあったはずのそれが消えている現実に打ち砕かれる。



士郎「・・・・・夢じゃ、なかったんだな」



ベアト「・・・・・士郎」



士郎「ああ、ベアト。おはよう」



ベアト「うむ。・・・・・大丈夫か?」


心配そうに覗きこんでくるベアト。俺はそんなひどい顔をしてるのか。・・・・・してるんだよな。



士郎「大丈夫だ。気にしないでくれ」



ベアト「しかしだな・・・・・」



士郎「さてと、まずは朝飯朝飯。あ、ベアトって他の人にも見えるのか?もしそうなら戦人の時みたいに説明しないとな」


ベアト「いや、魔力を持たない者には見えないはず、だったと思うぞ。ペンダントの中に姿を隠すことも出来るであろうしな」



士郎「そうか、ならそうしてもらおうかな。よくわからないけど、その方が魔力だって温存できるんだろ?」



ベアト「う、うむ。妾の魔力は今や有限だからな。戦人が最初に込めてくれた分しか残っておらぬ。まったく、無限の魔女も形無しだ」



士郎「そうか。・・・・・じゃあ、魔力が尽きたら?」



ベアト「もちろん消滅するであろうな。まあ、それでも今の魔力量ならば、サーヴァント相手に全力で戦ったりしなければ尽きたりはせぬ。もっとも、サーヴァント一体倒すほどの力も今の妾にはないが」



士郎「・・・・・わかった。それでも、ベアトがいてくれるだけで有難い。本当なら、もう俺は脱落した非力なマスターだしな」



ベアト「士郎・・・・・」

ベアト「それで。これからどうする?・・・・・昨日の、あの危機は脱せた。もうそなたは戦わなくてもよいのだぞ?」


士郎「・・・・・いや」



士郎「俺はまだ、諦めない。一緒に戦ってくれた戦人に誓ったんだ。あの影を倒すって。臓硯も放っておくわけにはいかない」



ベアト「・・・・・そうか。ならば妾は、戦人に変わってそれを手助けしようぞ。非力な魔女だがな」



士郎「ありがとう、ベアト」



ベアト「妾の夫が守ろうとした男だ。当然であろう」



士郎「ああ、そういえば結婚してたんだっけ」



ベアト「うむ!結婚とはいいものだぜぇ~?士郎もそのうちわかるだろう」


士郎「ははは」




落ち込んでいる暇はない。
まずは学校に行って、昨日のことを遠坂に話そう

きてたーー!!!

ーーー学校で、遠坂に昨日のことを話す。


俺が戦いを続ける旨を話すと顔を真っ赤にして「あんたバカなの!?」っと怒ってきたが、どうにか粘り続けて一応認めてもらえた。


凛「ベアトリーチェ、だっけ?まあそいつがいるならアサシンとの戦いがあった時何かの役に立つかもしれないしね」


ベアト「ほほう。言ったな小娘ぇ。よかろう、妾の力を甘く見るでないぞ!?」


ちょっと一触即発な感じもしたが、気のせい気のせい。



あと、いくつかの条件を飲むなら、協力関係は継続とのこと


条件というのは


「戦いの時私の指示に従えるか?」


・・・・・まあ、これはとりあえずオッケー。時と場合にもよるけど


「どんな時も裏切らないか?」


これは当たり前だからベアトに頼んで赤で言った。


士郎「【ああ。俺は絶対に遠坂を裏切らないって約束する】」


凛「・・・・・」ポカーン


士郎「どうした?」


凛「な、なんでもない!嘘はつかない奴だってわかってたけど、そんな堂々と言ってくるとは思わなかっただけよっ」


ベアト「士郎。女というのはなぁ、そういう男らしい言葉にキュンときちゃうものだぜぇ~?」ニヤニヤ


士郎「そ、そうなのか?」


凛「う、うるさい!違うわよっ。あまりにもバカ正直なのに驚いただけっ!」



「私の命令に、絶対服従するか?」


・・・・・これはないな。


士郎「ーーーするか!!」


凛「・・・・・ち、ダメか」



まあ最後のとんでもない要求は断ったけど、同盟関係は継続。
遠坂が魔術について鍛錬をしてくれると言うので、遠坂の家に行くことになった。

ベアトとコンビで新体制か

乙乙

どきどき

HFルートに沿ってて桜犯人説のミステリーが構築されてるのがちょっと面白い

遠坂の家で魔術について学ぶ。
どうやら俺の魔術は遠坂からしたらかなり異端だったらしく、かなり怒られた。
それと、強化ではなく投影が俺の本質だとも。

しばらく指導を受けたが、遅くなってきたし家にいる桜も心配なので帰ることに。


ベアト「しかし、士郎も師に恵まれておるな。妾ではこの世界の魔術は教えられぬし、凛がいて助かったなァ?」


士郎「遠坂には感謝してる。あの影や、臓硯に対抗策がないままじゃいられない。まだちっぽけな力でも、ないよりはいいし」


ベアト「それを伸ばせるかどうかはそなた次第、か。面白くなってきたではないか」


士郎「あとは・・・・・古戸ヱリカだな」


ベアト「ほう?」


士郎「アイツがこのまま黙って引き下がるはずはない。次に戦う時までに、ミステリーのほうも磨かないと。ベアト、帰って落ち着いたら・・・・・相手してくれるか?」


ベアト「それは構わぬが・・・・・」



士郎「どうした?なにか不都合でもあるか?」


ベアト「いや、感心してるのだぞ?士郎も辛いだろうに、もう前を見てるからな」


士郎「いつまでも、ウジウジはしてられないさ。・・・・・それに、どんな時も諦めずに次の思考をする。戦人から学んだことだからな」


ベアト「士郎・・・・・」


士郎「じゃあ、後で頼むよベアト」


ベアト「うむ!無限の魔女の名において、そなたに最高の密室論争をプレゼントしようぞ」


士郎「はは。お手柔らかに」


士郎(魔術の練磨。戦人はいないけど、剣の稽古。それにミステリー対策。そうだ、まだ足を止めてる暇なんてあるものかーーー!)

家に戻る。
玄関に上がった途端、違和感に気付いた。


士郎「桜ーーーー?」


おかしい。
人の気配が、ない。


士郎「桜?いないのか?」


居間や客間を覗くが、桜の姿はない。



プルルルル


と、帰宅したタイミングを見計らったように、電話が鳴った


士郎「もしもし」


慎二「よぅ、衛宮」


士郎「・・・・・慎二」ギリッ


慎二「なんだよ、穏やかじゃないねぇ」


いつもの調子で話す慎二だが、今回ばかりはタイミングが良すぎる。むしろいつもより流暢に話す声は、やはり


士郎「桜はどこだ。何をしたんだ、慎二!」


慎二「何って、連れ戻しただけさ。僕の妹だぜ?おかしなことじゃないだろ?」


士郎「くっ・・・・・」


ベアト「士郎、冷静になれ」


士郎(・・・・・ああ、わかってる)


士郎「・・・・・それで。何の用なんだ?慎二。わざわざ電話までしてきたんだ。何かあるんだろ?」


慎二「お、今日の衛宮は話がわかるじゃん。・・・・・今から学校に1人で来いよ。いいか、1人でだぞ?」


士郎「・・・・・わかった。1人で行けばいいんだな。すぐ行くから、待ってろ慎二」ガチャ



凛「・・・・・・・・・・」


士郎「うわ!と、遠坂!?」


凛「・・・・・・・・・・」


士郎「なんでここにいるんだ?」


凛「同盟を継続するとなったからにはコッチを拠点にしたほうがいいかもって色々準備しに来たんだけど・・・・・そうも言ってられない事態になってるみたいね、」


士郎「聞いてたのか?」


凛「もちろん。ずっと後ろでね。受話器から慎二のムカつく声がダダ漏れだったわよ」


士郎(ベアト、なんで言ってくれなかった)


ベアト(いや、凛は協力関係だし別に隠す必要はないと思っただけであるが・・・・・)


凛「なにしてるのよ?急ぐんでしょ?わたしも行くわ」



士郎「いや、慎二は俺1人で来いって」


凛「あんた馬鹿?向こうにはライダーがいるの忘れたの?そのままノコノコ行ったら最悪殺されるわよ!?」


ベアト「うむ。昨日のライダーの実力から見て、妾では士郎を守りきれぬ。人質も考えると、まさに自殺行為だな」


凛「わたしが慎二に気付かれないようにすればいいんでしょ?何かあったらすぐ割り込めるようにする」


士郎「わかった。正直協力してくれるならありがたい。頼む、遠坂」


凛「あたりまえじゃない」


・・・・・なんだか、すごい気迫だ。

おっ来てたか乙!

休む暇もねえな……

まだ?

ごめん、今週中に書くからもう少し待って

あいよ

今週とは何だったのか

ーーー学校に着く。
道中で、だいたいの作戦は決めた。

凛「わたしは出来るだけ近くで身を隠してるから、とにかく桜を助けてあげて。そうしたら、たとえ1秒後に殺されるって状況でも、絶対に貴方を助けるから」


士郎「わかった。あとのフォローは任せる、遠坂」


ベアト「妾はどうする?」


凛「慎二がどれだけ今の現状を把握してるかはわからないけど、ベアトリーチェの存在が知れている可能性は低いわ。貴女も、いざという時まで依り代の中で待機していて」


士郎「頼む、ベアト」


ベアト「わかった。士郎、無茶をするなよ?」


士郎「ああ」


凛「キャスターがいない今、ベアトリーチェの存在はかなり大きいわ。たとえ桜を取り戻しても、アーチャーと言えどこの人数を守りながら戦うのは厳しいはずだからね」


アーチャー「・・・ふん、小僧を守ってやる義理はないからな。せいぜいそこの魔女とやらにお守をしてもらうことだ」



凛「アーチャー、あんた」


士郎「・・・俺もお前に守ってもらおうなんて思ってない。ただ、桜だけは傷つけるな」


アーチャー「貴様の指図を受ける筋合いもないな。まあ、それが凛の方針だ。それに従いはするがね。貴様はせいぜい、邪魔にならないようにしていればいい」


士郎「・・・ふん」


アーチャー「・・・・・・」


凛「もう!息を合わせろとまでは言わないけど、なんでそんな険悪になるのよ!」


ベアト(・・・同一人物ゆえの、嫌悪か。・・・妾には、わかるな)

士郎「慎二の居場所は判るか、遠坂」


凛「あいつの性格から言って校舎の中でしょ。高いところで、かつ馴染んだ場所に陣取ってるに決まってるわ」


なら該当する場所は1つだけだ。
3階の教室に慎二はいる。


士郎「先に行く。遠坂は後から来てくれ」


凛「・・・ええ。10分経ったらわたしも正門を潜るわ。まだ話してなかったけど、ここには結界が張られている。気配を隠したところで見つかっちゃうから、そうならないようにライダーと慎二の注意を引きつけて」



こくん、と頷いて走り出す。


ーーー背中には熱い鉄が入っている。


魔術回路はとっくに成っている。
俺に許されたただ1つの武器・・・強化は、敵を倒す為ではなく桜を守るために使うのだと、焦る心に言い聞かせた。

士郎「ーーーー!!」


足を止める。
3階の廊下にはライダーと、桜を脇に従えてる慎二がいたら、その手に握られたナイフの切先は、桜に向けられている。



士郎「おまえーーー!!」


ベアト(待て、士郎!)


思考が弾ける。
ベアトの制止も聞かず、止まっていた足が再び地を蹴るら、



そこに、ライダーが立ち塞がった。



ライダー「止まりなさい。それ以上前に出れば、彼女の無事は保証できない」


士郎「っ!!」


慎二「そういうこと。余計なことはするなよ、衛宮」ニヤッ


士郎「約束が違うぞ慎二。1人で来れば桜に危害は加えないんじゃなかったのか」


慎二「はぁ?約束?僕のしたのは命令さ。約束なんてした覚えはないね」



ベアト(下衆が・・・)


士郎「・・・わかった。何が望みなんだ」



慎二「わかってるだろ。あの夜の決着だよ」

士郎「決着だって?」


慎二「ああ。あの夜はお前のキャスターに無様にライダーがやられたけど、あれは僕の実力じゃない。それをわからせてやるって言ってるんだ」



士郎「そんなことのために、桜を巻き込んだのか」


慎二「ふん。いくら僕が優れていると言っても、こんなハズレサーヴァントじゃお前のキャスターには勝てなかった。だから1人で来いって言ったんだ」



士郎(・・・ん?)


ベアト(こやつ、まさか)


士郎(戦人が消えたのを知らないのか?)



士郎「・・・じゃあ、俺とお前のサシってことか」



慎二「それでもいいんだけどさぁ、お前は魔術を使えるのに僕は使えないってフェアじゃないだろ?だから」



ライダー「・・・・・・」ザッ



慎二「ライダーと戦ってもらおうじゃないか。なぁに、僕の気が済むまでサンドバッグになったら、桜は解放してやるよ」ニヤッ



士郎「・・・それは約束だな、慎二」



慎二「ああ。もちろん」ニヤッ



ベアト(くっ、あの卑怯者め!決着と言っておきながら、ただ士郎を痛めつけたいだけではないか!)



士郎(ベアト、手は出すなよ。・・・まずは桜を助けるのが先決だ)



ベアト(わかっている・・・。士郎、気付いたか?)



士郎(ああ)


士郎(まず、慎二は戦人が消滅したことを知らない可能性)


士郎(これは今の発言と・・・今の、桜を人質にしていることから推理出来る)


士郎(知っていたら、そもそもこんな手の込んだことをする必要がない。俺が1人の時に襲えばいい話だからだ)



士郎(・・・そして、ライダー)



士郎(今のライダーは、あの柳洞寺でのプレッシャーがない。戦人と戦った時のライダーだ)


士郎(そもそも、あの柳洞寺でのライダーにはいくつかの疑問が残ってる)



士郎(なぜ、俺を助けたのか。・・・とてもじゃないが、今の慎二の様子を見る限り臓硯に敵対してまで助けてくれる様には見えない)



士郎(そして・・・あの場にライダーがいたのに、戦人やベアトのことを慎二が何も知らないこと。報告していないとしか考えられない)



士郎(そうなってくると、『ライダーが自らの意志で俺を助け、慎二に黙っている可能性』が出てくるが・・・)



士郎(それはイマイチ考えにくい。理由がわからないし、ライダーの強さの違いに対する説明にもなってない)





士郎(あとは、慎二の令呪。俺や遠坂とは違い、慎二の令呪が本だっていうのはよく考えたらおかしい)



士郎(そこから考えられるのは・・・『慎二は正規のマスターではない可能性』)



士郎(その場合の正規マスターは臓硯に思えるけど、柳洞寺での件からしてそれはない)



士郎(ーーーと、なると・・・)



慎二「おい!何だよ衛宮、ビビってるわけ?」


士郎「っ・・・」


慎二「早くしろよ、衛宮。もう深呼吸は充分だろ?それとも桜を置いて逃げるのか?ははは!」


ーーー桜は、ずっと俯いていてその表情は読めない。
くそ、考えてる場合じゃない。早く助けないと


士郎「逃げるわけないだろ。わかってる、来いよ」


慎二「そうこなくちゃぁね」ニヤッ

ワカメェ

やめとけわかめ、死ねずに苦しむ時間が伸びるぞ

ワカメ……もういい、休め……っ

ライダー「・・・・・・」


慎二「なに、命までは取らないさ。ライダーには手加減するように言ってある。ま、これからうろちょろされるのも目障りだから、骨の2、3本は折らせてもらうけど」


ライダーの手には短剣がない。
たしかに、手加減らしきものはする気のようだ。
それでも、サーヴァントと生身で戦えなんて死ねと言われていることとあまり変わりはなさそうだが。


慎二「ああ、けど簡単には倒れるなよ衛宮?僕が満足する前に気絶なんかしたら、桜は僕が連れて帰ることになるからね」



ライダーが近づいてくる。
あと3歩。
たったそれだけで、ライダーの手がこちらに届く。


士郎「・・・ふん。抵抗はするな、けど簡単に倒れるな、か。矛盾してるぞ慎二。決着とか言っておいてお前、何がしたいんだ」


慎二「は・・・そんなの決まってるじゃないか」


ニヤニヤと笑っていた慎二の顔が歪む。


慎二「僕はさ、単にお前をぶちのめしたいだけなんだよ・・・・・・っ!!」


ライダーの体が跳ねた。


ベアト(ーーーくるぞ、士郎!!)

防御の姿勢をとり、同時に薄い学生服に強化をかける。


ブンッ!



士郎「ーーーーーがっ・・・!」



右腕が、吹き飛んだようなかの衝撃が襲った。
いや、右腕は付いている。ただ、そう錯覚してしまうくらいの痛みで、完全に麻痺して感覚がなくなっただけ。


ーーードスン!


次に、顔を守る左腕にもライダーの蹴りが打ち付けられ、大きくブレる。
大槌でも振るわれているかの怪力じみた一撃は、強化した服を容赦なく貫通し左腕を壊しにかかっている。

感覚がないのは、右腕と同じく1発で麻痺してしまったから。



くそ、これじゃ両腕は満足に使えない。
動くには動くが、こんな鈍い反応じゃ防ぐことなんて出来ないぞ。


ライダー「・・・・・・・・・」


ライダーは無機質な機械のように、続けて拳を振るおうとする。


だめだ、とにかく顔だけはガードしないと。
もとよりライダーの打撃を見て防ぐなんて芸当は出来ない。
・・・こともない。が、それは戦人との特訓のおかげ。
柳洞寺ほどの威圧感のないライダーなら、武器さえあればそれこそ数秒は耐えられるかもしれないが・・・



ないものねだりをしても仕方が無い。
意識だけは奪われないよう、頭を守ることに専念する


ーーードスッ!!ドカッ!



士郎「つ、くっーーーーーー!」



それをらライダーはどう取ったのか。
隙だらけの両腕の守りを、ライダーは狙ってこない。
がら空きの腹と胸だけを強打してくる。


・・・それはそれで悶絶しかねない一撃だったがら両腕を麻痺させた程の強さはなかった。


・・・やはりおかしい。
手加減しろ、という慎二の命令を差し引いても、このライダーはあきらかにそれ以上に加減しようとしている気がする。


本来なら簡単に俺の胃袋を破裂させられるはず。




ライダー「・・・・・・」


ブンッ!



更に何度も、胴体に拳が打ち付けられる。
・・・まて。確かに、痛い。倒れそうなくらいの衝撃だが、ライダーは俺の反応を伺うように段々と威力を弱めている。


慎二「はは、いいぞライダー!」


・・・慎二はそれに、気付いていない。
ライダーの思惑はわからないが、拳から俺を本気で痛めつけようとしていないのは感じられる。
いや、痛いけど。力を込めてなきゃ今にも今日の昼飯を吐き出しそうな命令くらい痛いけど、肋骨を持ってかれるまでではない・・・多分。

これなら、慎二を出し抜くチャンスがあるかもしれない

しばらく、ライダーの拳を耐え続ける。


と、それまで無機質にただ拳を振るうだけだったライダーが、無駄に拳を引き、構える。


ライダー「ーーーはっ!」



それは、傍から見たらトドメとも思える一撃。



士郎「・・・・・・ぐぅっ!」



が、打撃の瞬間の勢いは殺され、先程と同じ衝撃。
やはり、これはただのパフォーマンス・・・!


勝機を見出し、わざとらしく膝をつく。



慎二「どうした衛宮!終わりかよ?桜の前なんだからしっかりしろよ!そんなんじゃ全然格好つかないな、ははは!」



ライダー「・・・・・・」



ライダーは、黙って俺が倒れそうになるのを見届けている。


士郎「ーーっ・・・あ・・・・・・!」



ライダーの腕を掴んで、強引に身体を持ちこたえさせた。


慎二「・・・ははは!まるでゴキブリ並のしぶとさだな、衛宮!」


慎二「あー、けどまあ、見世物としちゃ三流だったな。このまま続けても同じことの繰り返しだ。そろそろ飽きてきたし、豪快なKOシーンで締めくくろうか」



ーーー同じ?
馬鹿、どこが同じだって言うんだ。
さっきとは立ち位置が違う。
ライダーに寄りかかった時、彼女の腕を引いてあからさまに立ち位置を逆にした事をどうとも思わないのか、アイツは。

ライダー「・・・距離は5メートル程です。我慢強い貴方の勝ちですね」


士郎「・・・えっ」


ライダーが小声で囁く。
ああ、やっぱり。ライダーは・・・




ライダー「・・・・・・」ヒュッ


再び、ライダーの攻撃が始まり、先ほどと同じくそれを受ける。
じりじりと後退させられるが・・・それは着実に、慎二に近づいてるということ。


慎二「ーーーよし、もういいライダー!殺せ!」


桜「ーーー!兄さん、待っ・・・・・・!」


やはり、慎二は気づいてない。


ベアト(チャンスだぞ、士郎!)


士郎(ああ!)


ライダー「・・・お覚悟を」


ライダーの身体が深く沈む。


ベアト(蹴り上げるつもりだ!士郎!)


ここまでお膳立てがあれば、嫌でもタイミングを合わせられる。


・・・せーの



ズン!!!


ライダーの蹴りを受け止める。
思いっきり吹き飛ばすつもりで放たれたそれは、マトモに受けたら意識か吹っ飛ぶだろう。
だから、それに合わせて後ろに飛んだ。



桜「先輩!!」



身体が、浮いている。
いや、砲弾のように横っ飛びで慎二の方に飛ばされてる。


・・・よし。
後は、身体を反転させて、着地と同時に・・・地を蹴る!


士郎「・・・・・・ぐっ・・・あああ!!」バッ


ーーー成功。
一秒もかけず、慎二の前にたどり着く。


慎二「ーーー・・・・・・へ?」

いっけえええ

士郎「・・・慎二」


慎二「ち、ちち近づくな!?ほら、このナイフが見えないのか・・・・・・あぁ?」


ベアト「往生際が悪いぞ、ワカメ郷」


いつの間にか慎二の背後に回っていたベアトがナイフを弄んでいる。その傍らには桜も。


慎二「ひぃ!?ら、ライダー!何やってるんだ、早くコイツらをーーー」


ライダー「」バタッ


凛「士郎、無事!?」


と、最後の頼りのライダーもアーチャーに切り伏せられていた。
・・・これで、慎二を守る物は何もない。



ベアト「本来なら妾が無限の拷問をしてやるんだがなぁ?ここは逆上してる我がマスターに譲るろうぞ」ニヤ



・・・逆上だって?
ああ。今すぐに思いっきり殴り飛ばしてやりたいって、湧き上がってることか?
それなら


士郎「してる。ありがとう、ベアト。・・・慎二、歯、食いしばれよ」



慎二「は、あわあわあ・・・!」



ーーー士郎が慎二に肩からぶつかるッ!回るッ!逆肘が慎二の顎を打ち上げ、突き出た腹に膝を打ち込むッ!!
そして内臓の苦しみに身を屈めた慎二のその顔面に、拳を叩きつけるッッ!!!


慎二「ごふぁっ!?・・・あががっ!?」


仰向けに倒れた慎二のマウントを取り、更に拳を振り上げる!!



士郎「俺の前でもう一度桜を巻き込んで見ろ。間桐の家が生温かったことを教えてやる」


慎二「あ、がぁぁぁ?ひぃぃぃ!?」


士郎「・・・ハバナイスデイ、慎二」



バキィ!!!
渾身の力を込めた一撃に、慎二は白目を向いた。




凛「・・・なによ。あいつ、冷静に見えてかなり切れてたんじゃない。あーあ、わたしの分が無くなったわ」


アーチャー「君の魔力を込めた一撃こそ、人殺しものだと思うがね。・・・認めたくはないが、衛宮士郎は間桐慎二の命を救ったようだな、君から」


凛「な、なによぅ?ちょっと宝石握って殴ってやろうと思ってただけよ!?」


アーチャー「・・・・・・」フゥ

ケンカ殺法かな?

>ハバナイスデイ
士郎がエンジェ化しとるwwwwww

魔翌力で一撃(物理)w

その宝石、身体強化のじゃないだろうなw

【オリロンパ】ダンガンしようぜ!【安価とコンマ】
【オリロンパ】ダンガンしようぜ!【安価とコンマ】 - SSまとめ速報
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安価を無視するクソスレ

まだかね

毎回遅くなって申しわけない‥‥
日曜日に書きにきます

マジか
待ってたぞい

よっしゃ

もう月曜日なんだが

士郎「桜‥‥!」


桜「先、輩‥‥」


桜は俯いたまま。外傷はないようだが、力なく床に座り込んだ。
まるで俺を避けるように。ここに来た時からだが、その瞳は頑なにこちらを見ようとはしなかった。
慎二のことが原因なのか、今までの隠し事が原因なのかはわからない。
わかるのはただ、桜の身体が朝より熱を持っているということだけだ。


士郎「話はあとだ。今はとにかく家にーーー」



慎二「がっーーーま、待てよ‥‥衛宮‥‥」



と、慎二が意識を取り戻してヨロヨロと身体を起こした。
フラフラで、もう戦いが望める状況ではないのは明白だが、その瞳にこもった憎悪はしっかりとこちらを見据えている。


凛「あら、まだ動けるんじゃないアイツ。士郎も甘いわね」


と言いながらも宝石をジャラっと鳴らして喜々としている遠坂。
やめろ。別に慎二を殺したいわけじゃないからな。そこんとこわかってるのか遠坂は。


アーチャー「ふん、いくら憎くとも学友相手には無意識に加減をしてしまうか。‥‥衛宮士郎の肩を持つつもりはないが、君はその物騒なものをしまったほうがいいと思うぞ凛」


凛「アーチャー?貴方、いったいどっちの味方なの?」


アーチャー「牙をもがれた仔羊を、猛獣が蹂躙するのは見ていて気が引けると思っただけだよ、マスター」


凛「‥‥そのニュアンスは気に入らないけど。ま、言いたいことはわかったわよ‥‥」


渋々と遠坂が凶器をおさめる。


凛「で、桜をこんなふうに巻き込んでおいてどうケジメをつけるのかしら、間桐くん?」


‥‥怒りはおさまっていないようだ。

慎二「くっ‥‥なんだよ、お前も桜かよ。‥‥桜。桜、桜、桜、桜桜桜桜桜‥‥‥‥‥‥!!お前も衛宮と同類かよ!!よく見ろ、僕はマスターになったんだ!」


慎二「お前もマスターなら、気にかけるのは桜じゃなく、僕だけだって決まってるんだよ‥‥!」




凛「まったく。往生際だけは悪いのね。じゃあ自慢のサーヴァントに戦わせたら?アーチャーは致命傷は与えてない。貴方が一人前のマスターなら今すぐにでもライダーを治してあげなさい」



慎二「この‥‥言わせておけば‥‥!」


ベアト「凛も容赦がないな。‥‥奴には無理だろうと、わかってるだろうに」


士郎「どういうことだ?ベアト」


ベアト「見ていればわかる。道化師の仮面が、剥がれる時だ」


慎二は俺たちから離れつつ、一冊の本を取り出した。


士郎「あれはーーー」


公園で燃え尽きたはずの慎二の令呪。
まだ残っていたのか?


慎二「たて、ライダー!マスターの命令だぞ!」


ライダー「‥‥‥‥」


ライダーに返答はない。治癒の力が働いてる様子は見られないし、ライダーが動けないのは明白だ。
そんな命令は彼女の死期が早まるだけと俺でもわかる。


慎二「立てって言ってるだろ!役立たずが!」


士郎「やめろ慎二!それ以上はライダーがもたない、諦めろ!」



バチバチと、ライダーに慎二の令呪から魔力が伝わる。しかしそれは傷をおったライダーを無理矢理にでも動かそうとしているだけのもので、無茶でしかない。




桜「ーーー駄目‥‥それ以上、は‥‥!!」



士郎「ーーー桜?」



その瞬間。


慎二「ーーーなっ!?」



慎二の令呪が、燃え上がった。

ワカメの道化っぷりよ…

ワカメは噛ませが一番輝いてるから…

舞ってる

【明日書きにくる】

よしきた

ごめん、なんか携帯が調子悪い。
書きためてからくるから待っててくらはい

あいさー

書き溜めなげーなぁ

士郎「あの時と同じ‥‥」


その瞬間。‥‥激しい風が吹いた。


士郎「ーーーなっ!?」


ベアト「ぬぅっ!?」


何かが俺の横を通り抜け、ベアトから桜を拐う。


それは‥‥ライダーだった。
アーチャーから受けた傷は全て塞がっており、先程より魔力に満ちていることがわかる。
そしてーーーこの威圧感。紛れもなく、柳洞寺で会ったライダーだ。


凛「‥‥やっぱりか」


士郎「やっぱりって、どういうことだ遠坂」


ベアト「そもそも令呪とは、マスターの身に浮かぶ聖痕。あのような形をとることはない‥‥そうだな、凛?」


凛「‥‥ええ。元々、おかしいと思ってたのよ。間桐の家は没落し、慎二には魔術師の才能はない。だから、わたしは臓硯あたりがライダーを召喚し慎二に与えているものだと思ってた」


凛「でもね、1人だけいたのよ。臓硯以外でライダーを召喚でき、慎二に与えられる人間が」



凛「それが、桜。間桐の正当な後継者。そうでしょ?」


桜「‥‥‥‥‥‥‥‥」



士郎「ーーーそんな」


慎二「おい!桜!もう1度だ!もう1度、コマンドスペルを寄越せ!」


桜「‥‥いやです」


慎二「ーーーはぁ!?オマエ、自分は戦いたくないって言ってたじゃないか!だからボクが変わりに戦ってやってたんだぞ!?」



桜「兄さんは、約束をやぶりました。‥‥先輩だけは傷つけないって」



慎二「おい!」


慎二が掴みかかかろうとするが、ライダーが立ちはだかる。

ライダー「それ以上は、私のマスターへの敵対行為と見なしますよ、シンジ」



慎二「‥‥う‥‥じゃあ、オマエが戦え!間桐の後継者だろ!」


桜「ーーーそれも、お断りです。諦めて下さい、兄さん。もうわたし達は負けたんです」



慎二「桜ぁぁぁ‥‥オマエ‥‥!」



遠坂「やめなさい、慎二。もうわかったでしょ。桜には戦う意思はないし、アンタはマスターにもなれない。最初から部外者なのよ。わかったら、さっさとどこかに行きなさい。アンタがマスターじゃない一般人だとわかったから我慢してるけど、それ以上喚くなら容赦しないわよ」


遠坂が指先を慎二に向ける。


慎二「‥‥くくく。ハーハッハッハ!!」


ワカメさん実にワカメさん

慎二「わかってたさ‥‥僕に魔術師としての才能がないくらい!痛いほどね‥‥!そのせいで僕は爺様に失敗作と罵られ、魔術師として才能のある桜には同情された!!‥‥わかんないよなぁ、才能に溢れた遠坂には!それでも必死に知識だけでも蓄えようとして、無駄だと吐き捨てられた時のこの気持ちがさぁ!!日を重ねて行く事に自分が無力だと思いしらされて!」



士郎「‥‥慎二」


ベアト「‥‥‥(そうか‥‥この男も、十何年も自分の生まれ持った体質に苛まれてきたというのか‥‥)」




慎二「‥‥わかるか衛宮。その同情の眼差しさえ、僕にとっては身を引き裂かれるようなものなんだ。半人前でも、欠片でも魔術が使えるオマエには‥‥わからないだろうけどなぁ!!」



凛「‥‥それで?だから自己満足のためにこんな魔術師ごっこをしたっていうのかしら?‥‥やっぱりアンタはバカよ、慎二。何の解決にもならず、周りをただ傷つけてるだけなんだから」



慎二「‥‥ふん。そうだね。道化でしかない敗者は潔く、去れば良いんだろう?遠坂」



凛「わかってるじゃない」



慎二「‥‥それじゃあ。オマエ達の前には2度と現れないよ。衛宮、桜をよろしくな」


士郎「慎二」



慎二「ーーーとでもいうと思ったかよ、バァァァァカ!!」


パリン!!



お手本のような小物らしさだ

ageないんかね?

待ってる

133 茂野球磨 ◆18mUoAOPGY sage 2016/02/14(日) 11:23:30 ID:Rmk2oDIo
おはようございます。
サブロンパの茂野です。

未明に投稿したのですが、時間が時間だったのと眠気が眠気でしたので、
朝起きたら告知しようと思っていたのですが……まさか、もう読んでくださった方がいるとは、感激です。
取り敢えず、朝はカレーでも食べます。

さて、今回更新したのは、chapter1の探索編、前編。
と言っても、探索後編で各部屋に行くことになるので、探索編のさわりとなります。


chapter1 【倒錯する裏切りの絶望ロンド】 -探索前編-
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6396100


地図については、後編と一緒に開示します。
後編も早めに公開できるように頑張っていきますね。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月10日 (金) 15:32:28   ID: fMZW-jjL

続き期待

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