六月上旬…
珠瑠市 葛葉探偵事務所…
…タッタッタッ!…ウィーン…
ライドウ「はぁ…はぁ…すみませ~ん!遅れましたぁ…」
轟所長「来たか…」
またき「やっほ~!ライドウちゃん!」
ネコマタ「バイトのくせに遅い!…三十分も遅刻だにゃ」
ライドウ「ご…ごめんなさい…」ふえぇ…
たまき「こらこら…アンタが偉そうにしないのっ!」ぐいぃ~
ネコマタ「うにゃ~!ほっぺ引っ張らにゃいでぇ…」ジタバタ…
ライドウ「あ…はは…」
轟所長「さて、ライドウ…お前さんに依頼がきているんだが…」
ライドウ「あ…はい!ヤタガラスの使者の方から大まかな話は伺いました」
轟所長「なら、早速本題に入るとするか…たまき君、悪いが席を外してくれるか?」
たまき「了解で~す!それではごゆっくり~」ガチャ…バタン…
ゴウト「わざわざ人払いなどする必要があるのか?…キョウジよ」ヒョコ…
轟所長「それほどまでに重要な案件でな」
ライドウ「…雛見沢連続怪死事件…でしたっけ?」
ライドウ「四年ほど前から始まって毎年死者と行方不明者が一人ずつ出るっていう…」
轟所長「そうだ」
ゴウト「なんとも面妖な話であるな…単なる愉快犯ならそれはそれで良いが…」
ライドウ「私達が呼ばれたってことは当然、悪魔絡みの事件なんですよね?」
轟所長「そうかもしれんし…そうでないかもしれん…」
ライドウ「え?」
ゴウト「なんだ…お前にしては随分歯切れが悪いな?」
期待
轟所長「お前達は“東京”という組織を知っているか?」
ライドウ「知ってるもなにも…ある意味、私達の同業者じゃないですか…」
ゴウト「うむ…我々が所属する特務機関“ヤタガラス”がこの国の表沙汰にできない事件や超常現象の解決を担当する裏の治安維持部隊ならば…」
ゴウト「ヤツら“東京”はこの国の政(まつりごと)の暗部を司る影の内閣府といったところだな」
轟所長「まぁ、そういう理解でも構わんだろう…」
ライドウ「それで、その東京がどうしたんですか?」
轟所長「俺が調べたところ、数年前から東京の組織内で次期トップの座を賭けた派閥争いがあることがわかった」
轟所長「そして調査を進める内に、その争いに乗じて何やら不穏な動きをしている連中共がいるらしいこともつきとめてな…」
轟所長「今この珠瑠市にまん延している“噂が現実になる”現象もそいつらの仕業だと、俺はみている」
ゴウト「なんと…!?」
ライドウ「私、その噂の力のせいでこの帽子、人前で脱げなくなっちゃったんですよね…」ハ…ハハ…
ライドウ「まったく誰よ…私が“人前じゃ帽子を絶対脱がない”なんて妙な噂流したのは…!」ブツブツ…
ライドウ「見つけたら絶対八つ裂…やっつけてやるんだから…」ブツブツ…
ゴウト「…」
轟所長「話を戻してもいいか?」
ライドウ「…(ハッ!)…す、すみません…お願いします」
轟所長「それで話は最初の連続怪死事件に戻るんだが…」
轟所長「その不穏な連中…数年前からとんでもない実験をしているようでな」
ゴウト「ほう…して、その実験とは?」
轟所長「数年前にヤツらはこんな噂を流したそうなんだ」
轟所長「“雛見沢という村には昔から精神に異常をきたす風土病がある”…と」
ライドウ「どうしてそんな事を?…それもそんな田舎で…?」
轟所長「とどのつまり、ヤツらは噂の力で未知の殺人ウイルスの作成が可能かどうかを片田舎の人間を生犠にして調べているんだろうな」
ゴウト「馬鹿なことを…!」
轟所長「未知の病気によって村が壊滅した際に国内に広がるであろう未曾有のパニックの責任を追求し、他の派閥を失脚させる材料にするも良し…」
轟所長「はたまた、その病気の原因となるウイルスを研究して、自分達の都合が悪い人間を確実に、そして証拠もなく葬り去る事ができる細菌兵器の開発するも良し…といったところか」
轟所長「…ここからは俺の推理だが…」
轟所長「毎年一人が死に一人が行方不明になるというところから、ヤツらは秘密裏に人体を用いてウイルスの実験をしているとみて間違いないだろう」
ライドウ「派閥争いだなんてくだらない目的の為に、そんな…!」グッ…!
轟所長「確かにな…正気の沙汰とは思えん話だ…」
ライドウ「とにかく私、すぐにでも現地に行ってみます!」
轟所長「分かった…と言いたいところだが少し待て…」
ライドウ「なんでです?」
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