男「ちょっと何を言ってるのか意味が解らない」
幼「良い名前だと思わない?」
男「思わない……っていうか何なんだよそれ」
幼「新興宗教」
男「ぅゎー」
幼「ちょっと、まだ引かないでよ!」
男「お前とは長い付き合いだが、それは……それだけは駄目だ」
幼「ちょっとだけ話聞いてよ!」
男「勧誘をしに来たのなら、お前との付き合い方を考えさせてもらうぞ」
男「お前とは宗教と政治の話だけはしたくない!」
男「炎上する事だってあるんだぞ?」
幼「ん?炎上?何が?」
男「なんでもない」
幼「とにかく少しだけ理由を聞いて」
男「俺が知ってるお前は……そんな得体の知れない物に傾倒したりしない」
男「確かに宗教は個人の自由だけど、お前は騙されてるんだよきっと」
男「普段ぽややんとしてるから付け込まれるんだ」
男「大学の誰かか?俺が知ってる奴か?話つけてやるから、誰か教えろ」
幼「失礼だなぁ、キミは」
幼「良いから黙って5分だけ私の話を聞いて!」
男「……解った。5分だな?」
幼「ふぅ……やっと本題話せるよ」
幼「あのね、これは男が考えてるような事じゃないの」
男「……」
幼「突然だけど、今朝誰か来なかった?」
男「ん?……そう言えば玄関のチャイムは鳴ってたが、俺は出なかった」
男「まだ寝てたし、親が出たと思う」
幼「と、言う事は、そのチャイムの音で目が覚めた。つまり起こされたんだよね?」
男「まぁそうだな」
幼「私の家にも来たんだよ」
男「ん?」
幼「その来客者はその……宗教の勧誘だったんだよ」
男「そうなのか……そういえば日曜の朝に来るよな」
幼「そう!で、そういう人たちってさ」
男「……」
幼「熱心だよね」
男「確かにな」
幼「ウチも極力出ないようにしてるんだけどね」
幼「今朝はお母さんが出ちゃったの」
男「まぁ、チャイムを一定間隔で3分近く鳴らされたら、普通出るだろう」
幼「だよねー」
男「あの人たちの団体に入ったのか?」
男「いやでも、あの人たちはもっと別の…普通っぽい名前だったような……」
幼「まさか。私は基本的には無神論者だよ」
男「は?じゃあさっきのナントカ教ってなんだよ」
幼「私が勝手に考えた架空の新興宗教」
男「架空?意味がわからんが」
幼「あのね」
幼「私は宗教は個人の自由として尊重はしてるつもり」
男「ふむ」
幼「信じる者は救われるって言うじゃない?」
男「言うな」
幼「あの勧誘に来る人たちってさ」
男「ん」
幼「アナタも信じる事で救われるんですよって事を伝える為に、歩いてる訳じゃない?」
男「そうだな」
幼「その努力は認めたい」
男「それでも入信には至らないんだろ?」
幼「私は魂の存在は信じるけど、神様・仏様はあまり信じてないんだよ」
男「それ、似て非なるものだな」
幼「死んだ人の魂はどうなるのか?って言われたら」
幼「生まれ変わるのか、お墓の下にいるのか、死んだ場所に在るのか……とか、想像はするけど」
幼「そんなの自分が死ぬまで絶対にわからない事だし」
幼「でも全く信じてないかって言うと、それも違う」
男「む?」
幼「例えば……試験が始まる直前にさ」
幼「神様、どうかヤマが合ってますように!って祈ったりとか」
男「……やらなくもないな」
幼「お正月だって、神社でお賽銭を供えて、お願い事するでしょ?」
幼「このままずっと……幸せでいられますように……とか」
男「そうだな……そう言う意味では俺も少しは神様・仏様って思ってるかもな」
幼「傾倒してはいないけど、それくらいには思ってるよね、お互い」
男「そうだな。そう言えば死んだ人間は少しだけ体重が減るらしいな」
幼「あぁ、魂の重さ?21グラムね。映画あったもんね」
男「それこそ信者の方々は、その21グラムの魂をさ」
幼「うん」
男「我々が信じている幸せな国に導くのですって使命感で動いてるんじゃないか?」
幼「うん、そうだと思うよ」
男「……それでさっきのナントカ教がどう関わってくるんだ?」
幼「つまりぶっちゃけて言うとね」
男「おう」
幼「日曜の朝からチャイムを鳴らされたくないの」
男「……」
幼「ウチは両親共、日曜は遅くまで寝てるからさ」
男「おじさんたち昼前まで寝てるんだよな。毎日帰りが遅いから仕方ないだろう」
幼「そう。そして私も予定が無いならダラダラと惰眠を貪りたいタイプなの」
男「知ってる」
幼「だから考えたの」
男「架空の教団をか」
幼「男はあの人たちの話をちゃんと聞いた事ってある?」
男「あー、玄関開けるとグイグイ来て……」
男「色々書かれた小冊子を渡されて、その一節を朗読させられて」
男「その事について、30分くらい話してた…かな」
幼「内容は?」
男「覚えてない」
幼「そこが問題なんだよ」
男「ん?」
幼「あの人たちは、男がその小冊子を喜んで受け取る様になるまでさ」
幼「きっとずっと来るんだよ。来続けちゃうんだよ」
男「でも喜んで受け取っちゃったら、今度は入信するまで来るだろ?」
幼「そうなっちゃうね」
男「どうしろと?」
男「俺は何度か五月蝿いって怒鳴りそうになったが、面倒なのでやめた」
男「凄く言い表しがたいんだけどさ」
男「あの人たちって多分善意で動いてるだろ?」
幼「そうだね、善意だね。善意の中の善意だね」
幼「まぁ、中には悪意で動いてる人も居るかもだけど」
男「善意に対して、怒鳴り散らして追い返すのはちょっと違うと思う訳だ」
幼「うんうん。教義を理解した上でお断りするのは良いかもしれないけどね」
幼「宗教弾圧や迫害の様な行為には罪悪感がついてまわるもんね」
幼「特に私たちみたいに、真剣に宗教を考えない人だとね」
男「そこまで考えてないけど」
幼「だからね」
男「ん」
幼「パラレピッチリオ教の出番なんだよ」
男「何故?」
幼「あの人たちを無下にせず、私たちの安眠を確保する方法の一つ」
幼「私たちが、聞いた事無い新興宗教の教徒だって言えば良いと思うんだよね」
男「……」
幼「どう?」
男「なるほど、他宗派から改宗させるのは難しいだろうからな」
幼「団体が違っても、神様・仏様を信じているんだって安心させれば」
幼「あの人たちも来なくなると思うんだよね」
男「ふむ」
幼「そこで、男にも協力して欲しいって訳なのよ」
男「俺にも片棒担げって訳か」
幼「言い方悪いなぁ」
男「神様を冒涜する行為だな」
幼「そんな事ないよ」
男「だって勝手に神様を作るんだろ?」
幼「神様を作る訳じゃないよ、教団を作るんだよ。正確には作ったフリだけど」
男「……」
幼「私はそれなりに真剣にこのパラレピッチリオ教について考えてるよ」
男「真剣に考えちまったら、それはもうフリじゃなくて、本物の宗教じゃないか?」
幼「あらあら、私が教祖なんだよ?崇拝してくれるの?真剣に」
男「お前を崇拝とか、冗談も良い所だな」
男「俺はお前とはいつでも対等で居たいからな」
幼「……」
幼「だ、だからフリで良いんだよ」
男「そうまで言うなら、少しだけ乗ってみようか」
幼「そう!?男ならそう言ってくれるって思ってたよ!」
男「……期待に添えて良かったよ」
幼「それじゃまずは河原に行こう!」
男「は?なんでそうなる?」
幼「外は良い天気だし、目はちゃんと覚めてるし!」
幼「アイスでも食べに行こっ!」
男「……」
幼「ねっ?」
-----------------
男「で、河原に来た訳だが?」
幼「まずは座ってアイス食べよ」
幼「溶けちゃうよ」
男「……暑いなぁ」
幼「夏を感じられて良いでしょ?」
男「俺、日焼けしたくないんだよ」
幼「じゃあ長袖で来れば良かったのに」
男「この炎天下に長袖とか、冗談だろ」
幼「チョコミント美味しいなぁ」
ペロペロ
男「ストロベリーチーズケーキには敵うまいよ」
ガツガツ
幼「なんでアイスクリームをガツガツと食べるかね、男は」
男「逆に何でそんなにゆっくり舐めて食べられるのか」
幼「このじんわりと柔らかくなって行くのを少しずつ舌の上で感じるのが……」
男「俺はこの歯ごたえが好きなんだよ」
幼「歯ごたえを求めるならガリガリくんでも食べてなさいよ」
男「お前がサーティーワンまで行こうって言ったんだろ」
男「で?途中の100均で何か買ってたみたいだけど」
ガツガツ
幼「あぁ、これね」
ガサガサ
男「油性ペン?」
幼「ふふふ、これ重要なアイテムだよ」
男「金色と銀色だな、珍しい」
クシャクシャ
幼「あ、食べ終わったね?」
男「おう」
幼「それじゃあ、石探してきて」
ペロペロ
男「石?」
幼「濡れてなくて、出来れば綺麗な形……でこぼこしてない石」
男「お前は探さないの?」
幼「私はまだ食べてますから」
ペロペロ
男「一つで良いのか?」
幼「5個くらい欲しいかなー」
幼「大きすぎず、小さすぎずの良い感じな石をお願いね」
男「解った」
ザッザッ
幼「ふぅ……冷たくて美味しい」
ペロペロ
-----------------
男「こんな感じでどうだ?」
ゴロゴロ
幼「おー!良いね良いね!」
男「良いのか」
幼「それじゃあ、はいこれ」
男「ん?なんだ?この石に絵でも描くのか?」
幼「塗りつぶすの」
男「これ、何の意味があるんだ?」
幼「こっちがゴールドパワーストーンに」
幼「男が持ってる石がシルバーパワーストーンになるんだよ」
男「パワーストーン?」
幼「重要なアイテムだからなるべく丁寧にね」
男「はぁ……」
幼「さ、塗って塗って」
キュッキュッ
男「ん……」
キュッキュッ
-----------------
男「あちぃな」
キュッキュッ
幼「そうだね……暑いねー」
キュッキュッ
男「なぁ、これって家に帰ってからやれば良かったんじゃないか?」
幼「油性ペンの臭いが部屋にこもったら嫌じゃない?」
幼「エアコン使えなくなっちゃうし」
男「……一理ある」
幼「帰ったらシャワー浴びれば良いじゃない」
男「頭から冷水浴びたい」
幼「あんまり冷やしすぎないようにね」
-----------------
男「こっち塗り終わったぞ」
幼「ちょっと待ってね……キュキュっとな」
ペタペタ
幼「こっちも終わりー」
幼「ちょっと乾くまで放置ー」
男「お互い綺麗に塗れたな」
幼「久しぶりに図工した気分」
男「気分じゃないだろ、実際工作した訳だし」
-----------------
男「ん、全部乾いたみたいだぞ」
幼「それじゃこのレジ袋に入れて持って帰ろう」
男「あー、汗だくだ。早く帰ってシャワー浴びてぇ」
幼「日焼けもしちゃったね。男、鼻の頭が真っ赤だよ、ふふふ」
男「だから外は嫌なんだ」
幼「まぁまぁ……それじゃ一旦帰ろっか」
男「おう」
幼「駄菓子屋でラムネ買って帰ろうよ」
男「いいな」
-----------------
幼「それじゃ、乾杯っ」
カキンッ
ゴクゴク
男「はー……風呂上りのラムネは最高だな」
ゴク
幼「男はシャワーだけなのに長風呂だったねぇ」
男「お前が早すぎるんじゃないか?」
幼「どうだろうね」
男「まぁそれは良いとしてだ」
幼「うん?」
男「その石をどう使うんだ?」
幼「これはね、パラレピッチリオ教のシンボルなんだよ」
男「偶像崇拝?」
幼「そんな訳でもないけど」
男「どうしろと……」
幼「とりあえず男に2個あげる」
男「どうも」
幼「これ、玄関先の靴箱の上に目立つように置いてね」
幼「あと、おばさんたちにもちゃんと言っといてね」
男「おう」
幼「あとの3個は私が持って帰るんで」
男「で、どう使うんだ?」
幼「今から2人で、解りやすくて覚えやすい教義を考えます」
男「教義?」
幼「台本作りって事だよ」
男「解るように言ってくれ」
幼「私の家も男の家もさ」
男「ん」
幼「今朝、あの人たちの話を聞いちゃったでしょ?」
男「そうだな。ウチの親も聞いたって言ってたからな」
幼「今度の日曜もきっと来ると思うんだよね」
男「そうだな……一度聞いちまったからな」
男「多分また熱心に話をしに来るだろうな……」
男「!」
幼「そう言う事なの」
男「なるほどな……それなら角が立たないな。あっちから来るんだからな」
幼「ふふふ、私って天才でしょ?崇拝してくれても良いよ?」
男「それは無理だな」
幼「それじゃ教義を決めていこうか」
男「取り敢えず紙に書こうぜ」
幼「はいはいー。そのつもりで準備して来たよ」
幼「まず、名称はお昼にも言ったけど『パラレピッチリオ教』ね」
男「長くて覚えにくいんだが」
幼「それが良いんだよ」
男「何で?」
幼「この名前なら、本当にある団体と被らないでしょ?」
男「む…そうかな?」
幼「大丈夫、グーグル先生で調べ済みだよ」
男「でももうちょっとなんとかならないか?」
幼「変に感じて貰えればそれでまずは成功なんだよ」
男「そうなのか?」
幼「まずは名前からしておかしいぞって感じて欲しいからこその団体名だよ」
男「ふむ」
幼「あと、教義は基本的な事だけ決めるよー」
男「細かく決めても覚えられないからな」
幼「そう言う事」
男「俺はさっぱり見当もつかないけど、ちょっとは考えてきたんだろ?」
幼「ざっくりとね」
幼「まず信仰する神様の名前は教団名と同じで『パラレピッチリオ神』」
男「うん」
幼「呼ぶ時は『パラレピッチリオ神様』」
幼「大宇宙の意思って設定」
男「ん?」
幼「宇宙にある全ての理はパラレピッチリオ神様が定めた事で」
幼「選ばれた私たちはそれを聞く事が出来る……と」
男「なるほど」
幼「そして、このパワーストーンを持つ事によって……」
幼「まだ解脱していない一般の方も、パラレピッチリオ神様の声を聞く事が出来る…と」
男「宗教じみてきたな……」
幼「フリとは言え、宗教だからね?」
男「わかってるよ」
幼「ポイントは、最初に話すときは早口でうっとりとした顔で話す事」
男「……」
幼「ちょっと練習してみよっか」
男「えぇー……」
幼「これ、重要な事だよ?紙に書いてるだけでは伝わらないと思うんだよね」
男「そうか?」
幼「だからちょっと練習を」
男「わかった」
幼「私が来訪者役するから、上手に対応してね」
男「おう……なんかコントみたいだな」
幼「真面目に!」
-----------------
ピンポーン、コンコンコン
男「はい、どちらさまですか?」
幼「おはようございます、今少々お時間宜しいでしょうか?」
男「はい」
ガチャ
幼「どうもおはようございます」ペコ
男「おはようございます。なんでしょう?」
幼「あなたは神の国を信じてらっしゃいますか?」
男「えっと…」
幼「はい、ダメー」
男「ん?まだ何も言ってないが?」
幼「最初にえっとなんて言ったらダメでーす」
男「む……」
幼「そこはあえて、相手の話に乗るのです」
男「神様を信じるって言うのか?」
幼「正確には神様を信じている、だよ」
男「ふむ」
幼「それじゃもう一回」
幼「あなたは神の国を信じてらっしゃいますか?」
男「えぇ、信じてますよ」
幼「それは素晴らしい!それではこれを……」
ガサゴソ
幼「……」
男「なんだよ」
幼「はい、またダメー」
男「お前が何か出そうとしたから待ったんだろ?」
幼「それがダメー」
男「あぁ、もう。じゃあとりあえず手本見せてくれよ」
男「間違えてばっかりで面倒くさい」
男「それにあの人たちが来るのって、道順から言って幼の家が先だろ?」
幼「あぁ、たぶんそうだね……主演女優は私になるかもね」
男「だから俺は練習しなくてもいいんじゃないか?」
幼「念のためにだよ」
男「じゃあ手本見せてくれよ」
幼「わかった。じゃあ、男が訪ねてくる側やってみて」
男「おう」
幼「それじゃ、神の国を信じているかどうかの質問からね」
男「…あなたは神の国を信じてますか?」
幼「はい!信じています!」
グイッ
男「ちょ……顔近いよ」
幼「これくらいグイグイ行った方が良いんだよ」
男「少し離れろよ。あと少しは照れろっつーの……」
幼「!」
男「な、なんでビックリしてんだよ?」
幼「男がそんな事言うのが意外過ぎてビックリ」
幼「変な事言われたら意識しちゃうでしょ」
男「意識させる為に言ったからな」
幼「……もうっ!続けるよっ!」
男「はいはい……えーと、カバンから…あぁ、あの小冊子を出すのか」
幼「そうそう、出すフリだけしてみて」
男「それではこれを……」
ガサゴソ
幼「アナタも神の国を信じる方なのですね!素晴らしいです!」
グイッ
男「えっ」
幼「パラレピッチリオ神様の御声が聴こえる方ですね?」
男「えっと、あの……」
幼「素晴らしき大宇宙の意思を感じられるなんて素敵です!」
グイグイッ
男「あの……パラレピッチリオって何?ってなるんじゃないか?」
幼「そうなるでしょうね。だって絶対に聞いた事無いはずだし」
男「その……グイグイ押せば良いんだな?来訪者に対して」
幼「そういう事」
幼「ほら、あれと一緒だよ」
男「どれだよ」
幼「ある出来事にキレてる人が居たとしてさ」
男「おう」
幼「扱いに困る事あるじゃない?」
男「確かにあるな」
幼「そんな時の対応の一つにね」
幼「その上を行くキレっぷりを見せつけるって言うのがあるのです」
男「あぁ、かぶせて行くのか。まぁ人によっては有効かもな」
幼「大抵の人は自分よりキレてる人を見ると引くよね」
男「まぁ、そうなるな」
幼「それと一緒だと考えた訳です」
男「わかってはいたけど、ちょっとやって見せてくれよ」
幼「まずは神様の肯定から入って、グイグイ行くじゃない?」
男「ちょっと待て。あんなに近付かれたら、普通引くだろ」
男「大体、お前だからあんなに接近を許したのであって」
男「全く知らない赤の他人なら、俺はもっと引いて速攻で逃げるぞ?」
幼「……」
男「なに変な顔してんだ、続きどうした?」
幼「罪作りだなぁ、キミは」
男「ん?」
幼「ま、いいや。次はね」
男「おう」
幼「このゴールデンパワーストーンとシルバーパワーストーンの出番なのです」
男「ついに出番か」
幼「この石、どれくらいの価値があると思う?」
男「は?河原で拾った石だぞ?価値なんか付けられるかよ」
幼「ところが、教祖である私が命の次に価値があるって言ったら、とたんに価値ある石になるんだよ」
男「誰が欲しがるんだ、そんな物」
幼「熱心な信者は欲しくなっちゃうんだよ」
幼「徳を積む為にね」
男「おい、これは宗教団体のフリなんだよな?」
幼「もちろんそうだよ」
男「その石は只の河原で拾った、ただの石だよな?」
幼「んー、まぁ、夏の暑い日、男と一緒に河原で色を塗った事で」
幼「私にとってはかけがえのない石……なんだけどねー」
男「?」
幼「ま、今はそっちの意味じゃなくて、宗教的な意味ね」
男「その石が命の次に価値があるって言って売りつけるつもりなのか?」
幼「いやいや、売ったりしないよ」
幼「これはあくまでも今回の計画のシンボル。信仰の対象になってるって設定の物だよ」
幼「御神体と言っても良いかも」
男「名前はパラレピッチリオなのに、神道なのかよ」
幼「言い方は別に大した問題じゃないんだけどね」
男「拾った石に色塗って御神体も無いもんだ」
幼「鰯の頭も信心からって言うでしょ」
男「あの人達に、じゃあその石くださいって言われたらどうするんだよ」
幼「それは無いと予想するね」
男「言い切れるか?」
幼「宗教に傾倒する人って言うのは、やっぱり信じてるからね」
男「自分の信じている神様の存在を……か」
幼「そう」
幼「だから、いきなりパラレピッチリオ教って言われてもピンと来ないだろうし」
幼「このチープな石が御神体だって言われても、引くと思うんだよね」
男「なるほどな」
幼「そう思わせられたら、私たちの朝が静かになると思うんだよね」
男「理解した」
男「口で言うだけでは、まだ決定打に欠けると考えたんだな?」
幼「そうです。この石がある事で、あれ?この人は本当にそんな神様を信じてるの?って言うね」
幼「目に見える石がある事で具体性を持たせるんだよ」
男「上手く行くもんかな?」
幼「私は成功すると思ってるよ」
男「根拠は?」
幼「神様を信じている人達の大元は一緒の思考だと思うんだよね」
幼「基本的には『この世で徳を積んで、あの世での幸せを確実な物にしたい』」
男「暴論だな。そんな人ばかりじゃないだろう」
幼「言い方はかなり乱暴だけど、本質はそうだと思うんだよね」
幼「無償の愛って言うけど、あの世での見返りを求めてる時点で既に無償ではないって感じ」
男「まぁ……そうか?」
幼「だから、なかなか諦めてくれないんだよ」
男「ふむ……そこには死後の世界での自分自身の幸せを願うって事も含まれているからか」
男「打算……とは、あの人たちは考えてないかもしれないが、俺はそう感じてしまうな」
幼「うん、わかるよ」
幼「割と視野狭窄だと思うんだよね」
幼「一方向しか見えてない感じ。それ自体は決して悪い事ばかりではないんだけどね」
幼「だからそんな人たちの目を欺くのは簡単だと思うんだ」
幼「ちょっと向いてる方向を変えるだけでね」
男「それ、入信した家族を脱会させるのに役立つやつじゃないか?」
幼「男が変な宗教に入信したら、私が助けてあげるからね」
男「俺は大丈夫だ」
幼「そう言ってる人の方が、案外コロっといっちゃうんだよ」
男「行かねーよ」
幼「フフ……どうだろうね」
男「……俺は俺で信じてる物があるしな」ボソッ
幼「で、話ちょっと戻すけど」
男「おう」
幼「来訪者に対して、パーソナルスペースを侵食する勢いでグイグイ行くんだよ」
男「嫌悪感しか感じないだろうな」
幼「でも私は神様を信じてるんだよ?」
幼「来訪者も話に乗らざるを得ないでしょ」
幼「自分から神様どうですか?って訪ねて来ておいて」
幼「私、信じてます!って言ってくる人を無視して帰ったりしないでしょ」
男「ふむ」
幼「でも、信じてる神様は、自分が信じてる神様ではなくて」
幼「そこで私が弱気でいると、多分改宗させようとするんじゃないかな」
幼「道に迷っているこの人を正しく導く事こそが」
幼「神様が私にお与え下さった試練なんだーとか思ってね」
男「そこでさっきのキレ話が関係してくるんだな」
幼「そう。そこでグイグイ押していって」
幼「むしろあなたがパラレピッチリオ教に入らないとダメですよ、位の勢いで」
幼「温度差の違いを如実にあらわす訳ですよ」
男「んー」
幼「あの人たちって穏やかでしょ?外見は」
男「そりゃ、最初から喧嘩腰では来ないだろ」
幼「普通のセールスマンとも違うでしょ?」
男「あからさまに低姿勢だったり、威勢良かったりでは無いな」
幼「そこに熱い態度で接すると、拒絶反応が起きるはずなの」
男「そうか」
幼「私がパラレピッチリオ教に改宗しませんか?って言ったら」
幼「あの人たちはどんな反応すると思う?」
男「んー……2つ考えられるな」
幼「言ってみて」
男「超引く」
幼「うんうん。超引いてくれたら一番良いね」
幼「もう一つは?」
男「超キレる」
幼「そうだねー。人によって、信じてる神様によってはそうなるかもねー」
男「引かれたら成功だけど、キレられたらどうすんだよ」
男「かなり怖い事になるんじゃないか?」
幼「そこでも更に上行く感じでキレれば良い訳ですよ」
幼「例えば相手が引く程、大号泣するとか」
男「朝からそこまでテンション上がるのか?」
幼「たった一度のお芝居で、平穏な日曜の朝を取り戻せるんだよ?」
幼「来週の日曜だけ、我慢して早起きしようよ、お互い」
男「ふむ……」
幼「そんな怪しげな宗教が2軒も続けば、相手も引くと思うんだよね」
男「……やってみるか」
幼「それじゃ具体的に計画立ててみようよ」
-----------------
------------------------
ピンポーン コンコンコン
幼「はーい、どなた様ですかー?」
女「朝早くから申し訳ございません、今少しだけお時間頂けませんか?」
ガチャッ
幼「はい、なんでしょうか?」
女「あなたは死んだ後の世界を考えた事がありますか?」ニコニコ
幼「はいっ!いつもその事を考えていますっ!」
グイッ
女「そ、そうなんですか。それは素晴らしい事ですね」ニコニコ
年配の女「あなた、お若いのにしっかりしてらっしゃるのね」ニコニコ
幼「いえいえ!とんでもありませんっ!」
幼「肉体が滅んだ後、魂はパラレピッチリオ神様の意思と一つになりますもんね!」
女・年配女「へ?」
幼「お姉さん達も肉体が滅んだ後の事をしっかり考えてるなんて素敵です!」ウットリ
幼「あぁ、パラレピッチリオ神様……この奇跡の出会いに感謝いたします!」ウットリ
女「あの……パラレ?なんの事をおっしゃってるのか、意味が……」
幼「!?」
女・熟女「な、何ですか?」
幼「お二人は神様を信じてらっしゃるんですよね?」
年配女「そうですよ。神はあなたの……」
幼「はい!このゴールドパワーストーンさえあれば」
幼「いつでも大宇宙の意思とダイレクトスペースリンクが可能ですから!」
女「神様はあなたの心の中にいらっしゃるんですよ?」
幼「そうですね!私の中の内宇宙にパラレピッチリオ様を感じます」ウットリ
女「ぅゎ」
年配女「ちょっと、アナタ!」
幼「何でしょう。あ、おばさまもパラレピッチリオ神様の御声を聴きたいのですね!」
幼「それでは特別に……これは私がフラッグメンバーだから出来る事なんですけど!」
幼「このパワーストーンを特別にお譲りいたします!」
幼「今日の素晴らしき出会いに感謝して、あなた方だけにっ!」
幼「このゴールドとシルバーのパワーストーンをセットでお譲りしますっ!」
幼「これでいつでもパラレピッチリオ神様の御声を聴けますよっ!」
幼「……あぁ、パラレピッチリオ神様、お褒めの言葉ありがとうございます」ウットリ
年配女「な、何よそのガラクタ……」
幼「はいぃ?今何て言いましたか!?」
年配女「ガラクタだって言ったのよ!そんなの只の石じゃないの!」
女「ちょっと…年配女さん、帰りましょうよ」
年配女「いいえ、これは神様が私達に与えたもうた試練なのです!」
年配女「この子は可哀想に……俗世界の悪い大人に騙されているのです!」
年配女「この子を救うのが私達の使命なのです!」
女「えぇー……」
年配女「入信したてのあなたにはまだ解らないかもしれないけれど」
年配女「これは大切な事なの!」
女「……」
幼「……今、私の崇拝するパラレピッチリオ様を馬鹿にしました?」
年配女「だからそれは」
幼「馬鹿にしましたねっ!コケにしましたねっ!侮辱しましたねっ!」
幼「確かに私は入信して年月も浅い信者ですがっ!」
幼「パラレピッチリオ神様を信じる心は教祖様にも負けてませんっ!」
幼「それを幼いからと、無理やりどうこうさせるつもりですか?」
幼「迫害ですか?宗教弾圧ですか?」
幼「わ、わた…私がこんなにも幸せになれたのは、パラレピッチリオ神様のお陰なのにぃー!」
幼「う…うわーーーーーーーーーーーん!!!!!!」
年配女「あ、あの、お嬢ちゃん…ちょっと聞いt」
幼「ああぁあんまりだぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!」
幼「し、信じる者が救われるこの世界でぇぇ!!」
幼「信じる事も許されないなんてぇぇえ!!」
幼「うわーーーーーーーーーーーん!!!!」
女「ちょ、ちょっと不味いですよ、年配女さん」
年配女「でもこの子を救わないと……」
ガチャ
スタスタスタ
男「どうかしましたか?」
女「あっ!い、いいえ、何でもないんですよー」ニコニコ
年配女「ちょっとこの子が癇癪を起こしたみたいでね、でも何でもないんですよ」ニコニコ
幼「うわーーーーーーーーーーーん!!!!」
男「あぁ、そうなんですか……彼女はたまに癇癪を起こしますからね」
男「ほら、幼。しっかりしろ、俺はここにいるぞ」ギュウ
ポンポン
幼「うぅーー…男ぉ、うぅう…」グスグス
男「今回はどうした?また俺が力になるから」
幼「こ、この人達、パラレピッチリオ神様の事を馬鹿にしたんだよ?」
幼「酷くない?」
年配女「そ、それがそもそも…」
男「……酷いな」ボソ
年配女「えっ?」
男「あなた達は神様を信じていますか?」
年配女「え、えぇ勿論よ!神様は天の国からわたk」
男「俺たちも信じてるんですっ!」
年配女「……」
男「この宇宙の全ての理をお創りになられた、パラレピッチリオ神様を!」
年配女「そんなものは偽物でインチキよ!あなたたちは騙されt」
男「じゃあそちらの神様が本物だって事は誰が証明してくれるんですか?」
年配女「なっ!?そんなの、世界中の信者が……」
男「それは信じている人数の証明は出来るでしょうけど……」
男「神様の証明には……なってませんよねぇ」
ユラァ
年配女「な、何よ……何で私に近付いてくるの!」
男「早く証明して見せてくださいよぉ……」
男「そちらの神様が証明出来ないなら、パラレピッチリオ神様をインチキ呼ばわりも出来ませんよねぇ……」
ユラァ
男「僕たちは証明出来ますよ……このゴールドパワーストーンを使って、ね?」
ニヤァ
年配女「か、神は…信仰は私達の心の中に在るものなの!見せろと言われても見せられるものじゃないの!」
年配女「そんな石ころなんかで何が出来るって言うの!」
男「やっぱり証明出来ないんですね……」
ユラァ
年配女「ひっ!それ以上近づかないで!」
男「だって神様の証明を証明してくれないんでしょう……」
男「あぁ、じゃあ、おばんさんたちもパラレピッチリオ教に入ればイイんですよ……」
ユラァ
幼「そうだね……お姉さんも、ほら……今ならこのパワーストーンを……」
幼「セットで譲ってあげますから……これは特別な事なんですよ?」
幼「持っているだけで、徳が積める、大変貴重な石なんですから……」
幼「パラレピッチリオ神様からの大宇宙意思を受け取れますから」
幼「ね?」
ニコッ
女「ひっ!」
年配女「そんな幼稚なっ!」
幼馴染の父「……朝から騒がしいな」
年配女「あ、あら、親御さんですね?この子が…」
幼「お父さん、この人たち、パラレピッチリオ神様の事を馬鹿にするんだよ」
幼馴染の父「へぇ……」ギロリ
年配女「え」
幼馴染の父「私たちが信じているパラレピッチリオ様を馬鹿にするんですか」
幼馴染の父「失礼ですがあなた方はどこの宗教団体の方ですか?」
年配女「え、えっと…」
幼馴染の父「広報誌を持ってらっしゃいますか?」
幼馴染の父「ちょっと見せてください」
幼馴染の父「我が教団から正式に抗議させて頂きますので」
年配女「み、見せません。と言うか広報誌なんて持ってませんっ」
幼馴染の父「……おかしいなぁ」
年配女「え?」
幼馴染の父「あなた達、先週の日曜日もいらしてませんでしたか?」
年配女「え、えぇと、どうだったかしら?」
女「き、来てないんじゃないですかね?」
幼馴染の母「……どうして嘘をつくんですか……先週いらしてたじゃないですか」
ユラァ
女・年配女「!?」
幼馴染の母「広報誌を私に手渡して、あなた達の神様の話を30分もしてくださったじゃないですか」
幼馴染の母「お陰で私はパラレピッチリオ神様に…」ブツブツ
女(年配女さん、これは不味いですよ、やっぱり)
年配女(そ、そうね、ここは一旦戻って、準導師様に起こし頂くしか…)
幼「ひそひそ話ですか?」ニコニコ
女「ひっ!?」
男「大丈夫ですよ、パラレピッチリオ教に入信すれば」ニコニコ
ユラユラ
幼「皆の心が繋がるから、ひそひそ話なんてしなくても良いんです」ニコニコ
年配女「い、石を持って、近付かないで!」
男「え?俺がこの石をどう使うか知りたいんですか?ねえ、知りたいんですかぁ?」ニコニコ
ユラユラ
女「す、すみませんでしたぁっ!」ペコッ
幼「えー?どうして謝るんですかぁ?」ニコニコ
男「何に対して謝ってるんですかぁ?」ニコニコ
女「その……か、神様を信じる事が大事なのであって、私達の教義を押し付けるのは違いますよね!」
女「えっとその……パラなんとか…」
幼「パラレピッチリオ神様ですよぉ」ニコニコ
女「パラレピッチリオ神様を馬鹿にするつもりはなかったんです」
幼「お互い、宗派は違っても神様を信じているという意味では仲間ですもんね?」ニコニコ
女「は、はいっ!そうですね!」
幼「それじゃ、これからもお互い神の国に行ける日まで、徳を積みましょう、ね?」ニコニコ
女「そ、そうですね、それでは私は失礼します!」
タタタッ
年配女「ちょっと!女さん!?」
男「あのお姉さんは解ってくてたみたいで良かったです」ニコニコ
幼「パラレピッチリオ教に入ってくれたらもっと良かったんですけどね」ニコニコ
幼「あのー、おばさん」ニコニコ
年配女「な、なによ」
幼「私、おばさんには是非パラレピッチリオ教の事、よく知って欲しくって」
幼「だからウチの中で、ゆっくりお話しましょうよ」ニコ
幼「お父さん、お母さん、良いよね?」
幼馴染の父「もちろんだ。丁度朝の祈りを捧げていた所だから是非ご一緒に」
年配女「あ、あぅ……」
幼馴染の母「そうですよ、是非話を聞いて行って下さい……」ブツブツ
幼「ね?良いですよね?」
グイッ
年配女「そ、それ以上近付かないでっ!」
タタッ
年配女「アンタ達みんな、地獄に落ちるわよっ!」
幼「大丈夫ですよ、あの世には天国も地獄も無いんですよぉ」ニコニコ
年配女「う、うるさいっ!!」
タタタッ
幼「是非また来てくださいねぇ」ニコニコ
幼「次こそキチンとパラレピッチリオ神様の素晴らしさをお教えしますからぁ」ニコニコ
年配女「に、二度と来ないわよ!狂信者!」
タタタッ
男「……二度と来ないって言ったな」
幼「あのおばさんは後者だったね」
幼馴染の父「ふわぁぁ……まだ眠い」
幼馴染の母「私もよ……ふわぁ」
男「おじさん、おばさん、ご協力ありがとうございました」
幼馴染の父「まぁ、こんな事で来なくなるなら、どうって事無いけどな」
幼馴染の母「そうねぇ。日曜の朝は遅くまで寝ていたいからね」
幼「それじゃ、二度寝してきなよ」
幼馴染の父「そうさせてもらう」
幼馴染の母「男ちゃん、お構いもしないで、ごめんなさいね」
男「いえいえ」
男「……さて、と」
幼「うん?」
男「良い芝居だったな」
幼「概ね想定の範囲内で良かったよ」
男「あの若い人、脱会するかもだな」
男「入信して日が浅いって言ってたし」
幼「そうだね、割と早い段階から引いてたしね」
幼「こう言うのも同族嫌悪って言うのかなぁ」
男「どうかな」
ミーンミーン
男「はぁ……今日も暑い一日になりそうだなぁ」
幼「そうだねぇ、セミも元気に鳴いてるし」
男「俺も二度寝すっかなー」
幼「せっかく起きてるんだしさ」
男「ん?」
幼「海にでも行かない?」
男「突然どうした」
幼「偉大なパラレピッチリオ様に感謝したいなーと思って」
男「それはもう良いだろ」
幼「えへへ。でも今日はお芝居の中でさ」
男「ん?」
幼「演技とは言え、男にぎゅーってされちゃった」
男「あぁ、ちょっとやり過ぎだったか?」
幼「嬉しかったんだよ、久しぶりに頭ポンポンもされたし」
男「……」
幼「だから海に行こうよ」
男「だからの意味がわからんが」
幼「そう言う気分なんですよっ」
男「……まぁ、たまには良いか」
幼「ありがと、男。大好きっ」
男「……俺もだよ」ボソッ
幼「えへへ、それじゃ準備してくるね!」
男「あいよ」
男「俺は……泳ぐ訳じゃないし、別に何も要らないか」
男「……でもタオルと着替えくらいは用意してくるか」
-----------------
キュルルルル ブロンブロロロン
男「ドライブもひさびさだな」
男「エアコン……じゃなくて良いか。窓開ければ涼しいだろ、たぶん」
ウィーーーン
男「……」
男「やっぱ宗教に入信してる人ってのは幸せを感じてるんだろうなぁ」
男「神様に奉仕出来る幸せ……か」
男「そう考えたら、俺の神…女神か…それは……」
幼「お待たせー。一人で何をブツブツ行ってるの?」
男「いや、別に何でもないよ」
幼「そう?」
男「俺にとってのパラレピッチリオ様はお前の事だって話だ」
幼「へ?偽神様って事?」
男「……何でもない。ほら早く車乗れよ。出発だ」
幼「はーい」
バタン ブロロロロロー
-----------------
幼「結局のところさ」
男「ん?」
幼「神様はいるかもしれないけど、信じてなくても人は幸せになれるよね」
男「ん……」
幼「だって私には男が居るもんね、えへへ」
男「そうかい、ありがとよ」
男「……俺もそう思ってるよ」ゴニョゴニョ
男「俺が信じてるのは、目に見えない神様なんかじゃなくて……」ゴニョゴニョ
幼「えー?なーにー?風の音でよく聞こえなかったー」
男「目の前にある、目に見える幸せを感じて日々生きて行きたいと思うよ!」
幼「そうだねー!」
男「お前の……幼の側でな」ゴニョゴニョ
おわり
このSSはもちろんフィクションです
もしも、これを試して何らかの被害等に遭われたとしても、責任はとれません
ていうか真似しないでください
あと公式のパワーストーンを持っていない方は
パラレピッチリオ様を信じるという事もおやめください
いいとおもいました
ちょっとパラレピッチリオ教に入信してくる
>>90
お前公式パワーストーン持ってんのか?
なんということだ、こんなところに同志がいたとは
布教活動たいへん乙であった
準導師様編が始まるんでしょう?ユラユラ
乙
俺もパレオガピッチリ教信じるわ
パラレロピペドンかな?
乙
次回は女さんがパラレピッチリオ教に入信したいって幼の所に来るんですね?
乙
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