501基地 格納庫
芳佳「バルクホルンさーん」
バルクホルン「ん? 宮藤か。すまないが今から訓練がある。あとにしてくれ」
芳佳「あ、すぐ終わりますから」
バルクホルン「5分だけだぞ」
芳佳「はい。十分です。あの、明日買い出しに行くんですけど」
バルクホルン「いいだろう。同行する」
芳佳「え!?」
バルクホルン「なんだ? 買い出しだろう?」
芳佳「あ、えっと……まぁ……そうですけど……」
バルクホルン「いつ出発するんだ?」
芳佳「えと、1000時丁度です」
バルクホルン「了解。では、またあとでな」
芳佳「あ……」
芳佳「欲しいもの聞こうと思っただけなのに……」
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翌日 朝
バルクホルン「……」
エーリカ「ふわぁぁ……。まさかトゥルーデも行きたかったなんてね」
バルクホルン「……宮藤は?」
エーリカ「え? 宮藤はいないけど、この子がいるからいいじゃん」
ルッキーニ「にゃはっ」
バルクホルン「……」
シャーリー「ルッキーニ、怒られないようにしろよ」
ルッキーニ「あいっ!」
ミーナ「バルクホルン大尉、これが買い物リストよ。あと非常時のためにストライカーユニットを積んでおいたわ」
バルクホルン「……ああ」
美緒「どうした? お前が行きたいと言ったのだろう? 宮藤はそう言っていたが」
バルクホルン「その通りだ。任務を遂行する」
シャーリー「迷子にだけはなるなよ」
ルッキーニ「はぁーい!」
車内
ルッキーニ「もっとスピードだしてぇ」
エーリカ「私は安全運転がモットーだから」
ルッキーニ「シャーリーだったら、この崖のとこですごい速度だして、スリル満点なのにぃ」
バルクホルン「ルッキーニ少尉。珍しくハルトマンは正しいことを言っているんだ。大人しくしていろ。この悪路では舌を噛むぞ」
ルッキーニ「えぇー?」
エーリカ「珍しくってなんだよぉ。失敬だなぁ」
バルクホルン「ふん……」
ルッキーニ「なんか機嫌悪くない?」
エーリカ「宮藤と一緒に買い物行けなくて拗ねてるだけだから気にしなくていいよ」
ルッキーニ「にゃーんだ」
バルクホルン「黙って運転しろ!!」
エーリカ「はいはい。で、トゥルーデは何を買うの?」
バルクホルン「お前には関係のないものだ」
エーリカ「……クリス」
バルクホルン「……」ピクッ
ルッキーニ「大尉がピクってなったー。にゃはははっ」
エーリカ「分かりやすっ」
バルクホルン「私が妹のものを買いに行って何が悪い!! 言ってみろ!!」
エーリカ「別に何もいってないって」
ルッキーニ「何買うの?」ギュッ
バルクホルン「こら。膝の上に乗ってくるな」
ルッキーニ「ねーねー。なにかうのー?」
バルクホルン「何でもいいだろう。聞いてどうする」
ルッキーニ「にゃにかうのー!!」ユサユサ
バルクホルン「やめろぉ!!! 服だ!! 服!!!」
ルッキーニ「そっかぁ。服かぁ」
バルクホルン「はぁ……」
エーリカ「今日のトゥルーデは楽しそうだなぁ。私がいるから?」
バルクホルン「運転に集中せんかぁ!!!」
501基地 食堂
芳佳「もう街に着いたころかなぁ」
リーネ「運転はハルトマンさんだから、もう少し掛かると思うよ」
芳佳「あ、そっか。そうだよね」
シャーリー「なぁ、エイラ?」
エイラ「今日の占いをしているところだから喋り掛けないでくれ」ペラッ
シャーリー「今、あたしは宮藤たちに責められたか?」
エイラ「ノーコメント」
シャーリー「あーあ、あたしも行きたかったよ、買い出し」
エイラ「仕方ないだろ。防衛上、三人が限界なんだし」
シャーリー「でもさ、ハルトマンとルッキーニが一緒ってどう思う?」
エイラ「ウルトラエースとスーパーエースがいないってことか? いなくても問題ないから行かせたんだろー」
シャーリー「少佐やエイラ、そしてあたしががいるからか」
エイラ「ま、なんてことな――」ペラッ
シャーリー「……それ死神のカードっぽいけど、どんな意味があるんだ?」
滑走路
美緒「はっはっはっは!!」ブンブンッ
ペリーヌ「少佐ぁ……凛々しいですわぁ……」
ペリーヌ(こうして二人きりでいられるなんて久しぶりですわ。この時間が永遠になればいいのに)
美緒「ん……?」
ペリーヌ「少佐? どうかされましたか?」
美緒「向こうの空がかなり黒くなってきている」
ペリーヌ「本当ですわ。これは荒れそうですね」
美緒「あの方角は……。バルクホルンたちが心配だな」
ペリーヌ「買いだしに行かれたのでしたね。悪天候で基地に戻ってくることができない場合も考えた方がいいでしょうか」
美緒「そうだな。ペリーヌ、訓練は中止だ」
ペリーヌ「え!?」
美緒「ミーナと相談しなくてはな」
ペリーヌ「あぁ……そんなぁ……」
ペリーヌ「曇天が憎い……!!」
車内
ルッキーニ「中尉ー、まだつかないのー?」
エーリカ「私はシャーリーじゃないから、わかんなーい」
バルクホルン「……」
ルッキーニ「なんか見えるの?」ギュッ
バルクホルン「おい。上官の膝の上に乗るな。……雲が気になってな」
ルッキーニ「雲? どんな形のやつ?」
エーリカ「向かってる方角にあるどす黒い雲?」
バルクホルン「この買い出しは早めに終わらせるほうがよさそうだ」
エーリカ「そうだね」
ルッキーニ「えー!? いっぱいお買いものしたいー!!」
エーリカ「そういえばルッキーニは何買うの?」
ルッキーニ「おかしー」
バルクホルン「ハルトマンは?」
エーリカ「おかしー!」
バルクホルン「はぁ……。まぁ、自分の給料で買うなら文句は言わないがな。もう少しマシな使い方はできないのか?」
エーリカ「どんなお菓子買う?」
ルッキーニ「えっとねー、おいしいおかしー!!」
エーリカ「だよねぇー」
バルクホルン「お前らは……。もういい」
ルッキーニ「ちゃんと大尉の分も買ってあげるからー」ギュゥゥ
バルクホルン「早く膝からどけ。……それにしてもすごい雲だな。雷雨になりそうだ」
エーリカ「帰れなくなったりして」
ルッキーニ「おぉー! なんかワクワクしてきた!」
エーリカ「これは一泊だね」
ルッキーニ「ホテル、予約しないと!」
エーリカ「スウィートルームでお願いね、ルッキーニ」
ルッキーニ「了解! うじゅじゅー!!」カチャカチャ
バルクホルン「通信機を弄るな!! 遊ぶな!!! そもそも予約などできるわけがないだろう!!!」
ルッキーニ「わかってるけど?」
501基地 執務室
ミーナ「あ。サルミアッキも頼めばよかったかしら?」
美緒「ミーナ、入るぞ」
ミーナ「どうかしたの?」
美緒「窓の外を見てくれ。そのほうが早い」
ミーナ「え? ……あら、トゥルーデたち、帰ってこられるかしら」
美緒「何か連絡はあったか?」
ミーナ「いいえ、まだ何も。まぁ、トゥルーデがいるから心配することもないわね」
美緒「ルッキーニとハルトマンも優秀なウィッチだからな」
ミーナ「ウィッチとして優秀でもねぇ……」
美緒「それはそうと、休憩にしたらどうだ?」
ミーナ「え? いいの?」
美緒「午後からの宮藤とリーネの飛行訓練もこの雲では無理そうだからな。書類もいくつかは処理しておこう」
ミーナ「ありがとう。それじゃ、少しの間お願いね」
美緒「気にせずゆっくり休憩してこい」
廊下
ミーナ「んー。やっぱり肩が凝るわね。また美緒にでも揉んでもらおうかしら」
芳佳「リーネちゃん、急いで!!」
リーネ「うんっ!!」
ミーナ「二人とも、何を慌てているの?」
芳佳「ミーナ中佐! すみません!! 一刻も早く洗濯物を取り込まないといけないんです!!!」
リーネ「今、降ってきたんです!!」
ミーナ「え? いつの間に……」
芳佳「急ごう、リーネちゃん!!」
リーネ「うん! ミーナ中佐、すみません! あの……!」
ミーナ「足を止めさせたわね、ごめんなさい」
リーネ「いえ!」
芳佳「わー!! どんどん強くなってきてるよー!!」
リーネ「ホントだ!! シーツが濡れちゃう!!」
ミーナ「……大丈夫よね、トゥルーデ」
街
エーリカ「あーあ、降ってきちゃった。でも、本降りになる前に到着できてよかったね」
バルクホルン「しばらく足止めだな」
ルッキーニ「うぇーん……まだ頭がジンジンしゅるぅ……」
エーリカ「トゥルーデが思い切り叩くから。宮藤いないのに」
バルクホルン「教育的指導だ。問題ない」
エーリカ「トゥルーデが先生なんて絶対嫌だね」
ルッキーニ「うんっ」
バルクホルン「早く店で買う物を買って来んかぁ!!」
エーリカ「了解。いくよー、ルッキーニ」
ルッキーニ「はぁーい!」タタタッ
バルクホルン「……」カチャ
バルクホルン「こちら、バルクホルン。ミーナ、応答してくれ」
美緒『ミーナは席を外している。私が聞こう』
バルクホルン「少佐か。こちらは今大雨だ。状況によっては帰還するのが遅れることになるかもしれない」
美緒『了解。こちらもたった今降り始めた。中々の降雨量になりそうだ』
バルクホルン「また戻る頃に連絡をする」
美緒『まて。ルッキーニとハルトマンはどうしている?』
バルクホルン「今は籠一杯に菓子を入れている最中のようだ」
美緒『はっはっはっは。そうか。楽しんでこい』
バルクホルン「楽しむ余裕などない」
ルッキーニ「大尉―!! 早くおいでよー!!!」
エーリカ「なにしてるのー? トゥルーデの分のお菓子、私が決めちゃうよー」
バルクホルン「私は菓子など買わない!! 勝手なことをするな!!」
美緒『うむ。楽しそうだな』
バルクホルン「楽しくない!! 少佐まで何を言っている!!」
美緒『良い息抜きだろう。しっかり休んでから帰ってこい、バルクホルン。これは命令だ』
バルクホルン「……命令なら仕方ないな」
美緒『気を付けてな』
バルクホルン「了解」
エーリカ「基地に連絡してくれたんだ。流石だね」ポンポン
ルッキーニ「かんしゃ、かんしゃ」ポンポン
バルクホルン「貴様ら、私の肩を気安く叩くな」
エーリカ「ま、この雨の中、車を走らせるのは危ないもんね」
バルクホルン「悪路も通るからな。万が一を考慮すればここに暫く留まるほうがいいだろう」
ルッキーニ「じゃあ、ゆっくりお買いものしてもいいの!?」
バルクホルン「限度はあるがな」
ルッキーニ「なんだぁ。じゃあ、もっと選ぼっと」
バルクホルン「どういうことだ? その籠に入っている菓子は全て購入するんじゃないのか?」
ルッキーニ「ちがうよー。急いだほうがいいって言ってたから、目にはいったやつをいれただけー」
エーリカ「棚のやつ全部くださいって言ったほうが早かったね」
ルッキーニ「そんな良い方法気がつかなかった!!」
バルクホルン「……」
エーリカ「あ、トゥルーデが呆れてる」
ルッキーニ「どれにしよーかなー?」テテテッ
ルッキーニ「これとー、これとー、これもー」
エーリカ「私はこれにしようかなっと」
バルクホルン「……ハルトマン。書店にはいかないのか」
エーリカ「なんでー? あ、これも入れて」
ルッキーニ「あいっ」
バルクホルン「お前自らが買い出しに出てきたのはそれが目的だろう」
エーリカ「そんなの最後でいいよー。ルッキーニ、こっちは新発売みたいだけどどうする?」
ルッキーニ「かうー!!」
バルクホルン「早く行ってこい。雑貨の類は私とルッキーニで買っておく」
エーリカ「そんなにルッキーニと一緒がいいの?」
バルクホルン「ちがーう。ほら、いけ」
エーリカ「ありがと、トゥルーデ。じゃ、行ってくる」
バルクホルン「購入したらすぐに戻ってくるんだぞ」
ルッキーニ「にゃはー、これもー!! あれ? 中尉は?」
バルクホルン「好きにさせておけ。努力しているところを見せるのが嫌いなだけだ。私達は予定通り買い出しを続けるぞ」
501基地 格納庫
ザァァァ……!!
シャーリー「すげー雨だな」
芳佳「わっ。今、遠くでピカッてなった」
リーネ「まるで嵐だね。ちょっと怖いよぉ」
エイラ「死神のカードはこれを暗示してたのか」
シャーリー「本当か?」
ペリーヌ「宮藤さん、リーネさん。坂本少佐からの伝言ですわ。午後の飛行訓練は中止だそうです」
芳佳「ありがとう、ペリーヌさん。なら、午後はなにしよっか?」
リーネ「お茶でもどう? ケーキを作る時間もありそうだから、ケーキも作ろうかな。材料もあるし」
芳佳「わーい。リーネちゃんの紅茶とケーキ、だいすきー」
ペリーヌ「基礎トレーニングをしなさい。わたくしが監督します」
芳佳・リーネ「「え?」」
シャーリー「ルッキーニのやつ、大丈夫かなぁ」
エイラ「このままだとサーニャ一人での夜間哨戒は危険だな。同行できるように申請してくるか」
執務室
エイラ「中佐ー。いるかー?」
美緒「エイラか。どうした?」
エイラ「あれ、中佐は?」
美緒「ミーナは遅い昼食を取っている頃だろう。話なら私が聞く」
エイラ「そういうことか。夜間哨戒任務に就きたいんだけど、いいか?」
美緒「今夜か。この嵐が続くならそれも已む無しか」
エイラ「じゃ、委細よろしくっ。今から寝るんだな」
美緒「待て、エイラ。まだ許可を出したわけではないぞ」
エイラ「いいじゃないか。サーニャ一人じゃ嵐の夜は危険だろ」
美緒「それは全く持ってその通りだが、天候が回復する可能性もある。そうなったら、二人で就く必要がなくなってしまう」
エイラ「どっちにしろサーニャと二人で夜間哨戒するだけなのにダメなのか?」
美緒「私が未熟な所為で優秀すぎるエイラの我儘はあまり聞いてはやれないんだ。すまない。様々な状況でお前に頼ることが多いからな」
エイラ「うっ……。そ、そうか。それなら仕方ないな。もう少し様子を見てから少佐が判断してくれ」
美緒「そう言ってくれると助かる、エイラ」
食堂
ミーナ「ごちそうさま。さ、デスクワークに戻らないと。美緒にずっと任せてもいられないし」
サーニャ「あ……ミーナ隊長……おはようございます……」
ミーナ「おはよう、サーニャさん。まだ起床時間までは少しあるけれど、目が覚めたの?」
サーニャ「はい……雨音で……」
ミーナ「ああ。確かに今日のは特に凄いものね」
サーニャ「今日は嵐ですね」
ミーナ「そうねぇ。これが夜まで続くなら、エイラさんにも夜間哨戒に就いてもらわないといけなくなるわね」
サーニャ「……あの、ハルトマンさんが今日買い出しに行くと言っていましたけど」
ミーナ「そうよ。もしかして買ってきてほしいものをいい忘れたのかしら?」
サーニャ「いえ、こんな雨の中を車でなんて心配で」
ミーナ「バルクホルン大尉も一緒だし、それに降りだす前には街に到着しているはずだから心配はいらないわ」
サーニャ「そうですか……」
ミーナ「不安なの?」
サーニャ「すみません。ハルトマンさんたちを信じていないわけではないんですけど……」
街 レストラン
ルッキーニ「はむっ……はむっ……!!」
エーリカ「おいしー、これ」
バルクホルン「ハルトマン、目的の物は買えたのか?」
エーリカ「バッチリ」
バルクホルン「よかったな。……む? こら、ルッキーニ少尉」
ルッキーニ「なに?」
バルクホルン「口の周りを拭け。はしたない」ゴシゴシ
ルッキーニ「むぐぐぅ」
エーリカ「雨、止まないなぁ」
バルクホルン「だが徐々に雨脚は弱まっている。ゆっくり買い物をしているうちに止むだろう」ゴシゴシ
ルッキーニ「むぅぅ……」
エーリカ「なら、予定通りに戻れそうだね」
バルクホルン「あとは……エイラとサーニャの分か……」
ルッキーニ「大尉の服もまだだよ?」
バルクホルン「ぐっ……」
エーリカ「それを選んでるうちに晴れちゃうかもね」
バルクホルン「何が言いたいんだ」
エーリカ「一番、時間がかかるってことっ」
バルクホルン「ふ、ふんっ。私の服選びなどまさにブリッツクリークの如く……」
エーリカ「またまた。時間かけないと気が済まないくせに」
バルクホルン「そんなことはない!」
エーリカ「まぁまぁ、私がモデルになってあげるから」
バルクホルン「お前とクリスでは似合う服が違いすぎる」
エーリカ「イメージすればいいじゃん」
バルクホルン「やめてくれ。虫唾が走る」
エーリカ「むしず……!?」
ルッキーニ「あたしはー!?」
バルクホルン「ルッキーニ少尉でもダメだ。私のことはいい。自分で選ぶ」
エーリカ「できるかなぁ?」
衣料品店
バルクホルン「うーん……こっちか……いや、こっちか……?」
エーリカ「ふわぁぁ」
ルッキーニ「中尉ー。全部買い終わったー」
エーリカ「了解。こっちはまだだから待っててよ」
ルッキーニ「あにゃぁ……。まだなんだ」
バルクホルン「これ……いや、これはクリスが嫌がる可能性も加味しなければ……」
エーリカ「これだもん。中々終わらないね」
ルッキーニ「もう雨やんじゃったよ?」
エーリカ「トゥルーデ、きいたぁ? 雨、やんだって。今の内に帰ったほうがいいんじゃない?」
バルクホルン「ま、まて、やっと5着まで絞ったんだ!」
ルッキーニ「全部買っちゃえばいいじゃん」
エーリカ「前、10着ぐらい一度に送ったら「こんなにはいらないよ」って言われて気にしてるんだよ」
ルッキーニ「そうなの?」
エーリカ「クリスは遠慮しちゃっただけなんだろうだけど、トゥルーデは嫌がられたと思ってるみたい」
バルクホルン「――さぁ、基地に戻るぞ」
エーリカ「ルッキーニ、おきろー」
ルッキーニ「うにゃ……。ふわぁぁ……おわったのぉ……?」
エーリカ「うん。2時間ぐらいかかったけど」
バルクホルン「大袈裟に言うな。110分程度だろう」
エーリカ「変わんないって」
ルッキーニ「それじゃ、かえろー!!」
エーリカ「はーい。じゃ、車にのりこめー」
ルッキーニ「にゃー!!!」タタタッ
バルクホルン「こちら、バルクホルン。応答してくれ」カチャ
ミーナ『――こちら501基地。買い物は済んだの?』
バルクホルン「ああ。全て手に入れた。これから帰還する」
ミーナ『今からだと、1800時には戻ってこられるわね』
バルクホルン「雨もあがったからな。その時間までには戻ることができるはずだ」
ミーナ『了解。安全運転でお願いとハルトマン中尉に伝えておいて。それでは貴方達の帰りを待っています。気を付けてね』
501基地 格納庫
芳佳「はぁー……はぁー……」
リーネ「も、う……だめぇ……」
ペリーヌ「だらしないですわよ。これぐらいのトレーニングで」
シャーリー「お? いつの間にか雨が止んでたんだな」
ペリーヌ「これなら今からでも飛行訓練はできそうですわね。やりますか?」
芳佳「え……いや……あの……」
リーネ「あ、あと……15分だけ……きゅうけいを……呼吸……が……整わなくて……」
ペリーヌ「冗談です。休んでなさい」
芳佳「ありがとう……ペリーヌ……さ……ん……」ガクッ
リーネ「芳佳ちゃん!?」
シャーリー「やりすぎじゃないか?」
ペリーヌ「少佐から頼まれましたから。手を抜くことなどできませんわ」
エイラ「雨、やんだのか……サーニャとの夜間哨戒は延期ダナ……」
サーニャ「よかった。これならハルトマンさんたちも安全に帰ってこれそう」
執務室
ミーナ「任務達成だそうよ」
美緒「基地に戻るまでが任務だがな」
ミーナ「うふふ。それもそうね」
美緒「しかし、予想よりも早く雨があがったな。これなら宮藤とリーネの訓練も……」
ミーナ「もしかしてこれからするつもり?」
美緒「体力が残っているならやらせてみてもいいかもしれないな」
ミーナ「体を壊さなければいいけれど……」
美緒「では、行ってくる」
ミーナ「む、無茶はさせないでね。宮藤さんもリーネさんも大事な存在なのよ?」
美緒「はっはっはっは。分かっている」
ミーナ「……大丈夫かしら」
ミーナ「それにしても、雲はまだ残っているのね」
ミーナ「もう一雨こなければいいけど」
ミーナ「さて、仕事仕事」
車内
エーリカ「おおぉ……。揺れるなぁ」
ルッキーニ「にゃはー!! たのしー!!」
バルクホルン「こらぁ! 大人しくしろ!!」ギュゥゥ
ルッキーニ「うぇぇ」
バルクホルン「かなりの泥濘だな。安全運転を心がけろ、ハルトマン」
エーリカ「クリスのために買った服を泥だらけにするわけにはいかないしね」
バルクホルン「心配無用だ。このように梱包にも気を遣っている。多少濡れても服が汚れることはない」
ルッキーニ「ねー、大尉?」
バルクホルン「どうした?」
ルッキーニ「帰ったら、一緒にこのお菓子たべよー。今、食べてもいいけど」
バルクホルン「いらん」
ルッキーニ「えー!? 折角、買ったのにぃ」
エーリカ「いーじゃん、トゥルーデ。ルッキーニは長時間に及んだ服選びにも文句一つ言わず待っててくれたんだから」
バルクホルン「ルッキーニ少尉は眠っていたと記憶しているが?」
ルッキーニ「おぉー。もうすぐ崖のところだぁ。中尉は崖越えジャンプできないの?」
エーリカ「やってみようか?」
バルクホルン「やってみろ」
エーリカ「……しないって」
ルッキーニ「ぶぅー。シャーリーならするのにぃ」
バルクホルン「基地に戻ったらシャーリーを詰問しなければならないな」
エーリカ「ああ、可哀想なシャーリー」
ルッキーニ「早く帰ってお菓子食べたーい」
エーリカ「私もお菓子たべたーい」
バルクホルン「頼むから運転に集中してくれ。この悪路では一歩間違えば崖から転落することになるんだぞ」
エーリカ「ならないよ。こんなにも安全運転してるんだし。むしろもっとスピード出したいくらいだ」
バルクホルン「おかしな真似をしてみろ。お前の右手があらぬ方向に曲がるぞ」
エーリカ「なにそれ、新手の魔法?」
ルッキーニ「おもしろそー、やってやって!」
エーリカ「あのさ、冗談でもそういうことは言わないで――」
501基地 基地周辺
芳佳「わぷっ!?」ベチャァ
リーネ「芳佳ちゃん!! 大丈夫!?」
芳佳「う、うん……へいき……」
ペリーヌ「何をしていますの」
芳佳「泥ですべちゃって」
ペリーヌ「怪我はありませんの?」
芳佳「うん。でも、泥だらけに……」
美緒「足腰が未熟な証拠だな。鍛練が足らんぞ、宮藤」
芳佳「すみません……。でも、これは疲れのせいも……」
美緒「言い分けするな!! さっさと走れ!!」
芳佳「は、はぁい!!」タタタッ
リーネ「芳佳ちゃーん、まってー!!」
ペリーヌ「そこも泥濘がありますわよ。気をつけなさい」
美緒「……そろそろ夕食の時間か。よーし!! あと基地の外周を1周したら終わりにする!! しっかり走れ!!」
食堂
シャーリー「はぁー。さっぱりしたぁ」
エイラ「シャーリー、風呂だったのか」
シャーリー「オイル臭いまま食堂に入るとうるさい奴がいるからね」
エイラ「大尉のことだな」
シャーリー「そうそう。で、その大尉殿は?」
エイラ「まだ帰ってきてないんじゃないか? 帰って来たら私たちが頼んだもの配るだろうし」
シャーリー「まだって、もう晩飯の時間なのに……」
エイラ「雨の所為で向こうを出発するのが遅れたんじゃないか?」
シャーリー「それはあるか」
エイラ「そんなことより、今朝の占いで出た死神のカードの意味がわかった」
シャーリー「お。なんだったんだ?」
エイラ「……私がサーニャと一緒に夜間哨戒に行けないことを暗示してたんだな」
シャーリー「あー、そうか。そりゃ、死神の仕業だなー」
エイラ「おい! こっちは本気で落ち込んでるんだ!! もっと慰めの言葉とかあるだろー!!」
執務室
ミーナ「あとはこれにサインを……。よしっ。おわりっ。ふぅー……」
サーニャ「ミーナ隊長、失礼します」
ミーナ「あら、何か用かしら?」
サーニャ「いえ……その……ハルトマンさんたちがまだみたいなので……」
ミーナ「そういえばそろそろ戻ってきてもいいはずね」
サーニャ「胸騒ぎがするんです」
ミーナ「分かったわ。ちょっと待って。今、連絡をとってみるから」カチャ
サーニャ「すみません」
ミーナ「いいのよ。サーニャさんは昼間から心配してくれていたものね」
サーニャ「は、はい……」
ミーナ「こちら、ミーナ。応答して、バルクホルン大尉。こちら、ミーナ。バルクホルン大尉、応答して」
サーニャ「……」
ミーナ「バルクホルン大尉、聞こえないの? ……おかしいわね。向こうに繋がらない」
サーニャ「え……」
森
バルクホルン「ぐっ……うっ……」
バルクホルン「こ、ここは……どこだ……?」
エーリカ「……」
バルクホルン「ハルトマン、起きろ。ハルトマン」
エーリカ「……」
バルクホルン「おい!! 起きろ、ハルトマン!!」
エーリカ「すぅ……すぅ……」
バルクホルン「呼吸は……しているようだな……。気絶しているだけか。よかった」
ルッキーニ「た、いぃ……」
バルクホルン「ルッキーニ少尉!! 無事か!!」
ルッキーニ「いたいよぉ……」
バルクホルン「見せてみろ」
ルッキーニ「うぅ……」
バルクホルン「脹脛の辺りを切ったか。割りと傷も深いな。止血しなければ……何かあったか……?」
ルッキーニ「大尉、あたしたちどうなったの?」
バルクホルン「ちょっと待て。お前の応急処置が先だ」
ルッキーニ「う、うん……」
バルクホルン「包帯はあるわけがないし、私たちの服は泥で汚れてしまっているし……清潔な布は……」
ルッキーニ「うぇぇ……血がでりゅう……」
バルクホルン「そうだ。これはどうだ……」ゴソゴソ
ルッキーニ「え? それって……」
バルクホルン「無事だったか。しっかりと梱包していたのが功を奏したな。さてと……ふんっ!!!」ビリッ!!
ルッキーニ「えぇー!? いいのー!?」
バルクホルン「何がだ?」
ルッキーニ「だってそれ……プレゼントするために買った服でしょ……?」
バルクホルン「いいから、じっとしていろ」ギュッ
ルッキーニ「大尉……」
バルクホルン「これでよし。さてと現状の把握しなければ」
ルッキーニ「……」
バルクホルン「どうやら大雨の影響で崖崩れが起こったな。私達が生き埋めにならずにすんだのは不幸中の幸いか」
ルッキーニ「これからどうするの?」
バルクホルン「車は荷台ごと見事に土砂の中か。ストライカーユニットは後ほど回収するとして今はこの場から移動しなくては」
ルッキーニ「移動するの?」
バルクホルン「また地滑りがあってはことだからな」
ルッキーニ「うん、わかった。よっと……いにゃ!? あ、あし、いたぁい……」
バルクホルン「無理をするな。その怪我ではまともに歩けないだろう。背負ってやる」
ルッキーニ「いいのぉ?」
バルクホルン「お前をここに置いていくわけにもいかないからな」
ルッキーニ「ありがとっ」ギュッ
バルクホルン「ハルトマンは小脇に抱えるしかないな」ヒョイッ
エーリカ「うぅん……」
バルクホルン「では行くぞ」
ルッキーニ「あいっ」
バルクホルン(それにしても都合よく車外に投げだされたな。普通なら車と共に土砂の中だろうに)
501基地 ブリーフィングルーム
美緒「バルクホルンたちと連絡がつかないだと?」
ミーナ「ええ。どうやら通信機がなんらかの原因で壊れてしまったみたい」
美緒「時間も時間だ。通信機だけでなくバルクホルンたちにも何かあったと考えるべきだな」
ミーナ「そこでストライカーユニットの使用を許可して三名ほど捜索に向かわせようと思うのだけど」
美緒「ミーナ、行ってくれるか」
ミーナ「最初からそのつもりよ」
美緒「それから宮藤も向かわせた方がいいな。疲れてはいるだろうが、あいつの力は必要になる」
ミーナ「あとは……」
サーニャ「行かせてください」
美緒「……だから、ずっと居たのか」
ミーナ「どうしても行きたいみたい。サーニャさんがいれば心強いのは確かよ」
美緒「そうだな。サーニャ、夜間哨戒前にすまないが、行ってくれるか」
サーニャ「了解!」
ミーナ「では、坂本少佐。宮藤軍曹、リトヴャク中尉の二名を連れ、捜索に向かいます」
食堂
宮藤「え? バルクホルンさんたち、まだ帰ってきてないんですか?」
シャーリー「そうなんだよ。で、今、エイラに占ってもらってたんだけどさ」
ペリーヌ「結果はどうですの?」
エイラ「死神のカードしかでねぇ……」
リーネ「えー!? そ、それってバルクホルンさんたちになにかあったってことですか……!?」
シャーリー「え、縁起でもないこと言うなって。エイラの占いは外れることもあるしアテにはならな――」
『宮藤軍曹は至急ハンガーへ。繰り返します。宮藤軍曹は至急ハンガーへ――』
ペリーヌ「……なにか、ありましたわね」
芳佳「行かなきゃ!! バルクホルンさんたちに何かあったんだ!!!」
シャーリー「宮藤が呼ばれたってことは怪我でもしたのか……!! くそっ!!」
リーネ「と、とにかく行かないと!!」
芳佳「うん!」
エイラ「私も行くぞ!! 手伝えることはあるはずだからな!!」
ペリーヌ「わたくしも行きますわ」
格納庫
芳佳「坂本さん!!」
美緒「来たか。時間はないぞ。急げ」
芳佳「な、何があったんですか!?」
サーニャ「芳佳ちゃん、詳しいことは現場に向かいながら説明するわ。だから、今は……」
芳佳「うん!! ユニットを装着する!!!」ダダダッ
ミーナ「宮藤さん!! これだけは見ておいて!! バルクホルン大尉が街まで行くために使ったルート地図よ」
芳佳「はい!!」
シャーリー「ルッキーニたちに何かあったんですね?」
美緒「恐らくな」
エイラ「サーニャもいくなら私も行くぞ!!」
美緒「エイラたちは残ってくれ。特にエイラまで基地を離れると不測の事態に対応することが困難になる」
エイラ「うっ……わ、わかった……」
ペリーヌ「了解」
ミーナ「準備が整い次第、すぐに出発します!! 急いで!!」
芳佳「準備できました!! 急ぎましょう!!」
美緒「宮藤!! バルクホルンたちが通ったであろうルートは頭に入っているか!?」
芳佳「はい!! 確認しました!!」
美緒「三人を頼むぞ。疲れが溜まっているところすまないが、お前の力を貸してくれ。だが無理だけはするな」
芳佳「了解!!!」
リーネ「芳佳ちゃん、気を付けてね」
芳佳「バルクホルンさんたちと一緒に帰ってくるから。リーネちゃんは信じて待ってて!!」
リーネ「うんっ」
シャーリー「中佐、ルッキーニを頼みます」
ミーナ「きっと大丈夫よ。バルクホルン大尉とハルトマン中尉も一緒なんだから」
サーニャ「エイラ、行ってくるわ」
エイラ「サーニャ!! きをつけてなー!! なにかあればいつでも出られるようにしておくからなー!!」
ペリーヌ「エイラさん。わたくしたちはここで待つように言われましたでしょう? サーニャさん、お願いします」
サーニャ「はい。任せてください」
ミーナ「――発進!!!」ブゥゥゥン!!!
森
ザァァァ……
バルクホルン「雨が降り始めたか」
ルッキーニ「大尉、疲れない?」
バルクホルン「魔法を使っているから何も支障はない。お前とハルトマンなど羽毛のようだ」
ルッキーニ「そっか。そういえばシャーリーもバルクホルンはゴリラだーって言ってた」
バルクホルン「そうか。貴重な情報提供に感謝する。……帰ったら拷問だ、シャーリー」
ルッキーニ「へっぷちゅ!!」
バルクホルン「雨で体温が下がってきたか?」
ルッキーニ「へーき、へーき!」ゴシゴシ
バルクホルン「雨を凌げる場所を見つけたらそこで休むぞ」
ルッキーニ「じゃ、あたし目を凝らして探すから! 大尉はそのまま歩くことに専念して!!」
バルクホルン「了解」
ルッキーニ「どこかなぁー? へ……へっぷちゅ!!」
エーリカ「すぅ……すぅ……」
ルッキーニ「あー! 大尉!! あそこは!! ほら!! 穴がある!!」
バルクホルン「ああ、雨宿りにはいいな。あそこで休むか」
ルッキーニ「あいっ! へっぷちゅ!!」
バルクホルン「急ぐか」
エーリカ「ふぁいとー、トゥルーデぇ」
バルクホルン「いつから起きていた?」
エーリカ「わかんなーい」
バルクホルン「……」ギュゥゥゥ!!!!
エーリカ「おぉう……!? し、しまってる……!! 胴が……しまってる……!! たべたもの、がでる……!!」
バルクホルン「歩けるか?」
エーリカ「ふぅ……。もうすぐそこだし、運んで」
バルクホルン「……地獄に堕ちろ」ダダダダッ
ルッキーニ「はやーい」
エーリカ「いけー、トゥルーデ号ー」
バルクホルン「乗り物扱いするなぁ!!」
洞穴
バルクホルン「うーむ。この様子では雨は暫く止みそうにないな」
エーリカ「ミーナたち、心配してるかな」
バルクホルン「既に捜索してくれているはずだ。ミーナかサーニャが捜索隊に居ればすぐにでも見つけてくれるだろう」
エーリカ「じゃ、慌てても意味ないね。寝とこ。マイスウィートルームが恋しい」
バルクホルン「仲間を信頼するのはいいが、もう少し緊張感を持てないのか」
エーリカ「だって、できることないもん。おやすみー」
バルクホルン「時々、こいつがエースだというのが信じられなくなる」
ルッキーニ「へっぷちゅ!!」
バルクホルン「ルッキーニ少尉。服は脱いだほうがいい。濡れたままだと体温は低下していくだけだからな」
ルッキーニ「だいじょーぶ! こういうときこそ、あたしの魔法だから!!」ピコンッ
エーリカ「お、そうだった。ルッキーニ!!」ギュゥゥ
ルッキーニ「うにゃ!?」
エーリカ「ルッキーニ、あったかぁい」スリスリ
バルクホルン「……」
空中
サーニャ「ミーナ隊長、あれを見てください」
ミーナ「あれは……。どうやら崖が崩れてしまったみたいね」
芳佳「道が落ちちゃってる。ま、まさか、バルクホルンさんたち……」
サーニャ「走行中に道が崩落して、そのまま崖下に……」
芳佳「た、大変!! 早くいかないと!! バルクホルンさんたちが生き埋めになってるかも!!!」
ミーナ「そうね。降りてみましょう」
サーニャ「急がないと……!」ブゥゥゥン
芳佳「バルクホルンさーん!! ハルトマンさーん!! ルッキーニちゃーん!!」ブゥゥゥン
ミーナ「……」
ミーナ(ところどころ、崖が抉られている箇所があるわね。これは地滑りで出来た跡じゃない……)
ミーナ(強い力がぶつかったような……そんな感じだけれど……)
芳佳「ミーナ中佐ー!! 大変です!!!」
ミーナ「何か見つかったの!?」
サーニャ「車が土砂の中に……」
ミーナ「これは……。ヘッドライトの部分しか見えないけれど、確かに501が所有していた車両ね」
芳佳「そんな!! なら、この下に三人が……!!! 助けないと!!!」ザッザッ!!!
サーニャ「芳佳ちゃん、やめて。手を怪我するわ」
芳佳「バルクホルンたちが助かるなら私の手なんてどうなってもいい!!」
サーニャ「……!」
芳佳「絶対に助ける……助けるんだから……!!!」
ミーナ「宮藤軍曹、やめなさい」グイッ
芳佳「離して!!」
ミーナ「落ち着きなさい!! どうして私とサーニャがいると思っているの!?」
芳佳「え……?」
ミーナ「サーニャさん。お願い」
サーニャ「はい」ピコンッ
芳佳「あ……そっか……サーニャちゃんの魔法で……」
ミーナ「どうかしら?」
サーニャ「土砂の中からは何も反応がありません。……三人の反応は向こう、森の奥にあります」
洞穴
エーリカ「すぅ……すぅ……」
ルッキーニ「大尉もおいでよー。あたしにくっつくとあったまるよー」
バルクホルン「無茶なことをするな。ただでさえ出血しているんだぞ。体力と魔法力は節約しておけ」
ルッキーニ「でも、大尉も中尉も……」
バルクホルン「ハルトマンがどうかしたか?」
ルッキーニ「え、ううん。なんでもにゃい」
バルクホルン「もう寝ろ。見張りなら私がする。何かあれば起こすからな」
ルッキーニ「……りょーかいっ。おやすみっ」
バルクホルン「ああ」
バルクホルン「……雨は弱まったか。だが、ミーナがここへ来るまでもう少しかかるかもなしれないな」
バルクホルン「宮藤も一緒ならいいんだがな」
エーリカ「なんで? クリスに似てるから?」
バルクホルン「……いつから起きていた?」
エーリカ「え? うーんと、ハルトマンがどうかしたかって辺り」
サーニャ「あっち」
芳佳「あっちだね!!」
ミーナ「どうやらあの洞穴にいるみたいね」
芳佳「あの穴ですね!! わかりました!!!」タタタタッ
ミーナ「宮藤さん!! ちょっと!!」
サーニャ「芳佳ちゃん、待って!!」タタタッ
ミーナ「サーニャさんまで……。心配なのはわかるけれど――」
芳佳「ハルトマンさーん!!! ハルトマンさん!! しっかりしてくださーい!!!」
ミーナ「フラウ!?」ダダダッ
ミーナ「――どうしたの、フラウ!?」
バルクホルン「起きているなら言わんか……そして見張りを交代する意思ぐらいみせろ……」グググッ
エーリカ「いたい! いたい!! あたまがわれちゃう!」
サーニャ「バルクホルンさん、やめてください! ハルトマンさんの頭が……頭が……!!」オロオロ
芳佳「そんなに強く掴んだら、トマトみたいに潰れちゃいますよぉ!!!」
ミーナ「……楽しそうね、トゥルーデ」
ルッキーニ「よしか!! サーニャ!!」
芳佳「ルッキーニちゃん!! 大丈夫だった!?」
ルッキーニ「うん!」
バルクホルン「宮藤、ルッキーニは足を負傷している。悪いが治療してやってくれ」
芳佳「わかりました!!」パァァ
ルッキーニ「はぁー。たすかったぁー」
サーニャ「ハルトマンさん、怪我はないですか?」
エーリカ「このとーり、なんともないよー。ま、服がかなり汚れちゃってて、見た目は酷い有様だけど」
サーニャ「あぁ……はぁ……」
エーリカ「心配した?」
サーニャ「はい……とても……」
エーリカ「ごめんね」
サーニャ「いえ……無事でよかったです……」
バルクホルン「すまない、ミーナ。帰りのルートを良く検討しなかった私に責任がある」
ミーナ「それはまた基地に戻ってからでいいわよ。今は胸を撫で下ろせたことで満足だから」
芳佳「はぁ……はぁ……」パァァ
ルッキーニ「芳佳? 凄い汗だけど……」
芳佳「私は平気だから」
ルッキーニ「よしかぁ」
芳佳「はぁ……はぁ……。よ、よし、これでもう傷は自然に治るよ」
ルッキーニ「ありがと!」ギュッ
芳佳「あとは……」
バルクホルン「ストライカーユニットは土砂の中にある。基地に戻ったら回収するように伝えておいてくれるか」
ミーナ「それは勿論よ。軍事兵器を捨て置けるわけないもの」
芳佳「バ、バルクホルンさ……ん……」グイッ
バルクホルン「な、なんだ、宮藤!?」
芳佳「は、はやく……腕を……みせ……て……」ガクッ
バルクホルン「宮藤!? どうした!! 宮藤!!」
サーニャ「芳佳ちゃん!? 芳佳ちゃん!!」
ミーナ「落ち着いて。これは訓練の疲れと安堵から気が緩んだだけだと思うわ。少し休めば大丈夫よ」
エーリカ「宮藤、疲れてるのに探しにきたんだ。少佐も無茶させるなぁ」
ミーナ「坂本少佐は貴方達が大怪我をしている可能性も考慮したからよ」
バルクホルン「宮藤が来てくれたからこそルッキーニの治療ができた。少佐の考えは間違っているとは言えない」
エーリカ「まぁ、確かに大怪我していたら大変だったけど」
ミーナ「貴方達も疲れたでしょう。雨も小康状態だし、これから基地に戻りましょう」
ルッキーニ「どうやって? 車もストライカーユニットもないよ?」
サーニャ「二人一組になれば問題ないわ」
ルッキーニ「そっかぁ。背負えばいいんだ」
ミーナ「宮藤さんは体力的にも限界なので、誰かが代わりに宮藤さんのユニットを使って――」
バルクホルン「装着完了した。いつでもいけるぞ、ミーナ」ブゥゥゥゥン!!!
ミーナ「……わかったわ。それでは、今から組を決め――」
バルクホルン「宮藤、意識はあるか?」ギュッ
芳佳「あ、はい。ちょっと疲れただけですから」
エーリカ「サーにゃん、おぶってー」
サーニャ「了解っ」
空中
ルッキーニ「へ……へ……へっぷちゅ!!」
ミーナ「大丈夫、ルッキーニさん? 体が冷えたかしら?」
ルッキーニ「あい」ゴシゴシ
ミーナ「……ルッキーニさん、どこでなにを拭いているのかしら?」
サーニャ「どうやって助かったんですか?」
エーリカ「トゥルーデがルッキーニを背負って、私をまるで捨てられた子犬を拾うようにして小脇に抱えてくれたからだね」
サーニャ「は、はぁ……」
バルクホルン「宮藤、寒くないか?」
芳佳「はい。何ともないです。それより、バルクホルンさん。腕を見せてください」
バルクホルン「私のことなどどうでもいいだろう」
芳佳「何を言っているんですか!! よくありません!!」
バルクホルン「わ、わかった。だが、宮藤も疲れているだろう。少し休んでからに」
芳佳「ダメです!! さぁ、はじめましょう!!」グイッ
バルクホルン「ま、まて!! こんな場所で治療をするつもりか!!」
ルッキーニ「へっぷちゅ!! よしかぁ、どうしたのー?」ゴシゴシ
ミーナ「ルッキーニさん……?」
芳佳「バルクホルンさんが腕を痛めてるみたいなのー!!」
バルクホルン「み、宮藤……! 大声でいうことじゃないだろう!」
サーニャ「もしかしてハルトマンさんを抱えていた腕のほうですか?」
エーリカ「さぁ、そこまで覚えてないよ」
ルッキーニ「たいい……」ゴシゴシ
ミーナ「……」ピキッ
芳佳「いきます!!」パァァ
バルクホルン「……ありがとう」
芳佳「お礼をいうのは私の方です!!」
バルクホルン「なに?」
芳佳「こんなに傷だらけでもハルトマンさんとルッキーニちゃんを守ってくれて、ありがとうございます!」
バルクホルン「いや……それは……」
芳佳「はぁ……はぁ……も、もうすこしでぇ……はぁ……はぁ……」パァァ
501基地 滑走路
美緒「うーむ……」キュィィン
リーネ「ま、まだ戻ってきませんか?」
美緒「いや、見えた!! 全員、いる!! 全員無事だ!!」
リーネ「本当ですか!! みなさーん!!! 全員無事だそうですよー!!!」
シャーリー「ルッキーニは!! ルッキーニはどうなんだ!?」ダダダッ
エイラ「サーニャは!? サーニャは傷一つないのか!?」
ペリーヌ「ご無事ですのね!!」
美緒「ハルトマン、バルクホルン、ルッキーニは服が酷く汚れているが目立った外傷はないな」
リーネ「あの、芳佳ちゃんたちは?」
美緒「ミーナとサーニャに変わったところは……いや、ミーナは背負っているルッキーニに対して叱っているようにも……」
リーネ「芳佳ちゃんは……?」
美緒「……多分、眠っているだけだろう。バルクホルンの背中でぐったりしているが」
リーネ「――リネット・ビショップ!! 発進します!!!」ブゥゥゥン
シャーリー「あ!? リーネ!! 一人で行くなよ!! あたしも行く!!」ブゥゥゥン
美緒「私の許可なく出ていく奴があるか」
リーネ「ごめんなさい……」
シャーリー「あたしはリーネを止めようとして……」
エイラ「サーニャ、なんともないか?」
サーニャ「ええ。大丈夫よ。それよりも芳佳ちゃんが大変で」
芳佳「うぅ……はぁ……ひぃ……」
バルクホルン「すぐに医務室に連れて行きたいんだが、いいだろうか」
ミーナ「早く行って」
バルクホルン「恩に着る!! 行くぞ、宮藤!!」ダダダダッ
芳佳「あぁぁう……」
エーリカ「わたしもいこっと。ルッキーニはどうする?」
ルッキーニ「あたしもいくー」
美緒「まて、お前たちには事情聴取が待っている」
エーリカ「えぇー。あとにできないのぉ?」
ミーナ「できません」
医務室
芳佳「すぅ……すぅ……」
バルクホルン「……ありがとう、宮藤」
ペリーヌ「あのぉ」
バルクホルン「どうした?」
ペリーヌ「い、いえ、宮藤さんの容態はどうなっているのだろうと思いまして……」
バルクホルン「丁度いい。私は事故の報告しなければいけないんだ。宮藤のことをみていてくれ」
ペリーヌ「へ!? いや、わたくしはそんなつもりはなくて……」
バルクホルン「任せたぞ、ペリーヌ」
ペリーヌ「あぁ……そんなぁ……わたくしはすぐに戻るつもりで……」
芳佳「すぅ……すぅ……」
ペリーヌ「ま、まぁ、宮藤さんがこうなったのもわたくしが無茶なトレーニングを課してしまったからですし、特別に看てあげますわ、特別に」
芳佳「うぅ……ん……」
ペリーヌ「幸せそうに寝ていますわね。全く」
芳佳「えへへ……リーネちゃぁん……さわらせて……くれるのぉ……えへへ……」
執務室
美緒「来たか」
バルクホルン「すまない。遅れたか。土砂に埋もれたストライカーユニットの回収はどうなっている?」
ミーナ「シャーリーさんとエイラさんを向かわせたわ。車両及び物資の回収は他の職員に任せたけれど」
バルクホルン「そうか」
美緒「事故が起こったときの様子を具体的に報告してくれるか?」
エーリカ「ミーナにも言ったことだけど、走行中に道が突然崩落して、そのままみんなで車ごと落下したんだって」
ミーナ「本当に?」
エーリカ「うんっ。ね、ルッキーニ?」
ルッキーニ「うじゅ」
バルクホルン「私もそう認識している。そのあと奇跡的に全員が車外に投げ出されて一命を取り留めた」
美緒「運転に問題があったわけでもなさそうだ。ここまでで良しとする。風呂にも入りたいだろうしな」
エーリカ「うんっ! はいりたいっ!」
ルッキーニ「裸の付き合い!」
ミーナ「はいはい。分かりました。では、もういいわ。任務、御苦労さま。解散っ」
事故現場
シャーリー「ここか……。ふーん……!!」ググッ
エイラ「なんで私達がー。全部、他の奴にやらせろよなー」
シャーリー「おーい、手伝ってくれー」
エイラ「了解ー。……ほいっ」グイッ
シャーリー「あーあ。エンジン部分も泥に浸ってるなぁ、これ。オーバーホールしないとな」
エイラ「なぁ、シャーリー。上のほう見てくれ」
シャーリー「んー? なんかあるのか?」
エイラ「あの崩れた崖のところ、変じゃないか? なんか土が滑り落ちたっていうより抉り取られてる気がするぞ」
シャーリー「……エイラ! こっちだ!!」
エイラ「なんだよ?」
シャーリー「車を掘りだすんだよ」
エイラ「私達の任務はユニットの回収だけだろ」
シャーリー「いいから」
エイラ「しゃーねーな。今回だけだかんなー」
大浴場
ルッキーニ「にゃはー!! おっふろー!!!」ドボーンッ
エーリカ「いやー。今日は色々大変だったねー」
バルクホルン「洗ってから湯船に浸からんか。全く」
ルッキーニ「ぷはぁ!! たいいー、あとでお菓子たべよー」
バルクホルン「あの菓子は無事だったのか?」
ルッキーニ「中尉の胸みたいになっちゃったけどぉ」
エーリカ「それは可愛くなってことだな」
バルクホルン「ならば食えたものではないだろう。やめておけ、流石のルッキーニ少尉も腹を壊すぞ」
エーリカ「たべろよー!!」
ルッキーニ「ちゃんとリーネに教えてもらうから」
バルクホルン「リーネに?」
エーリカ「なにそれ、ルッキーニが作るってこと?」
ルッキーニ「にゃはっ」
バルクホルン「……食えるものなら食ってやる」
執務室
シャーリー『報告は以上です』
ミーナ「ご苦労さま。気を付けて帰ってきてね」
エイラ『もしかして、このためだけに私達を……』
ミーナ「はい。通信終了」カチッ
美緒「なんと言っていた?」
ミーナ「私もあの何かで抉り取られたようなあとが気になっていたの」
美緒「地滑りではないのか?」
ミーナ「深く掘られているような箇所があったのよ。まるでそこに大きな力をぶつけたかのような跡だったわ」
美緒「大きな力か」
ミーナ「シャーリーさんの報告によると、車両の天井、窓、ドア、フロントガラスが全部吹っ飛んでいたみたいね」
美緒「……まるで車内から突風が発生したかのようだな」
ミーナ「報告はきちんとしてほしいわ」
美緒「しかし、あいつらしいな」
ミーナ「こういうことをするから大尉にはなれないのよね……。ふふっ」
食堂
ペリーヌ「どんなものなら食べられますの?」
芳佳「食欲はあるから気にしないで」
ペリーヌ「そうですか?」
リーネ「ルッキーニちゃん、砂糖はー?」
ルッキーニ「ここー!!」
リーネ「いそいでー」
ルッキーニ「はぁーい!!」
芳佳「あれ、リーネちゃん、何してるの?」
ペリーヌ「甘い匂いが……。ケーキでも作っているのですか?」
リーネ「はい。ルッキーニちゃんがどうしてもって」
ルッキーニ「リーネぇ! これは!?」
リーネ「え、えーと……」
芳佳「楽しそう!! 私も手伝う!!!」
ペリーヌ「宮藤さん。病み上がりで無茶なことはしないように。わたくしはバルクホルン大尉から任されているのですから、何かあったらわたくしが叱責を受けてしまうでしょう?」
バルクホルンさんイケメンすぎる
ハルトマンの部屋
エーリカ「あれ? ズボンない。……あ、あった」
バルクホルン『ハルトマン、入るぞ』
エーリカ「どうぞ。ルッキーニのお菓子、できたの?」
バルクホルン「いや。もうしばらくかかるだろう」
エーリカ「サーにゃんの分もしっかり作ってくれてるかな。夜間哨戒明けに分けようと思うんだけどいいでしょ?」
バルクホルン「ハルトマン。本はどうした?」
エーリカ「え? ああ、ドロドロだったから捨てちゃった。それが?」
バルクホルン「かなり高額だっただろう。医学書なんて」
エーリカ「また買うよ。お給料だけはたんまりあるしね、ひっひっひ」
バルクホルン「そうか……」
エーリカ「それよりトゥルーデのほうこそいいの? クリスのために買った服をびりびり裂いたんだろ?」
バルクホルン「……構わない。安いものだ」
エーリカ「真剣に選んだのに、時間の無駄じゃん」
バルクホルン「む、無駄なことはない! 次の買い出しのときに同じような服を選べばいいだけだからな!」
食堂
ペリーヌ「リーネさん、いつまでケーキの監視をしていればいいんですの?」
リーネ「あと1分ぐらいです」ジーッ
ペリーヌ「なるほど」ジーッ
芳佳「え? それじゃあ、あのルッキーニちゃんの足に巻いてあったのってクリスさんの服だったの?」
ルッキーニ「大尉は、なんでもないような顔であたしに巻いてくれたんだ」
芳佳「すごいね……」
ルッキーニ「それだけじゃないんだよぉ。中尉だってすごかったんだから」
芳佳「なになに? なにがあったの?」
ルッキーニ「あ、これは秘密だった」
芳佳「えー!? ここまで言ったんだからおしえてよー!!」
ルッキーニ「やだー! ひみつー!! 努力してるところは見られたくないんだって大尉がいってたからー!!」
芳佳「なにそれー!! ルッキーニちゃんの意地悪ー!!」
ルッキーニ「にゃははは」
リーネ「あ、できたっ。バルクホルンさんとハルトマンさんを呼んでこなきゃっ」
リーネ「どうぞ。準備ができました」
エーリカ「おぉー! おかしだー!! ケーキだぁー!! わーいっ」
バルクホルン「わずかな時間でよく仕上げたな」
ルッキーニ「リーネと芳佳が殆どやってくれたから。あたしは砂糖とお皿運んだけー」
芳佳「違います!! ルッキーニちゃんとリーネちゃんの共同制作です!!」
リーネ「はい!」
ペリーヌ「わたくしも手伝いましたでしょ!!」
バルクホルン「何もここまですることもなかったんだがな」
ルッキーニ「ごめんね。本当なら、もっと美味しいお菓子を一緒に食べたかったんだけどぉ」
エーリカ「なにいってるの。これ以上に美味しいお菓子はないよ」モグモグ
バルクホルン「ん……。ああ、これに勝るものは店先には並んでいないだろうな」
ルッキーニ「にゃはっ! たいいー!!」ギュッ
バルクホルン「こらぁ!! はなれろ!!」
ルッキーニ「にゃはははー。中尉もおいしい?」
エーリカ「はむっ。うん、おいひぃ」
数日後 格納庫
バルクホルン「よし。訓練を始めるか」
芳佳「バルクホルンさーん!!」
バルクホルン「どうした、宮藤?」
芳佳「明日、追加の買い出しに行くんですけど」
バルクホルン「買い出しのメンバーは?」
芳佳「あ、えっと、今のところは私と坂本さんです」
バルクホルン「わかった。私も同行する」
芳佳「え!? あ、そうですか……。よろしくお願いします」
バルクホルン「丁度、買いたい物もあったからな」
芳佳「私に言ってくれたら買いに行きますけど」
バルクホルン「いや、私が行きたいんだ。行かせてくれ」
芳佳「そっか。クリスさんの服も買わないといけないですもんね」
バルクホルン「……あと美味い菓子と医学書も、な」
おしまい。
お前さんは相変わらずストイックだな、2本目とは
訂正
>>16
美緒「私が未熟な所為で優秀すぎるエイラの我儘はあまり聞いてはやれないんだ。すまない。様々な状況でお前に頼ることが多いからな」
↓
美緒「様々な状況でお前に頼ることが多いからな。いつでも動けるようにしておきたい。すまない、私が未熟なばかりにお前の我侭を聞いてやれない」
>>40
ミーナ「落ち着きなさい!! どうして私とサーニャがいると思っているの!?」
↓
ミーナ「落ち着きなさい!! どうして私とサーニャさんがいると思っているの!?」
乙、非常に良かった
3人の魅力が伝わってきたと思う
乙ナンダナ(・×・)
乙
良かった
アスペな俺にはこの高コンテクストな結末が30秒ぐらい考えなければ理解できなかった
>>40訂正
芳佳「バルクホルンたちが助かるなら私の手なんてどうなってもいい!!」 →芳佳「バルクホルンさんたちが助かるなら私の手なんてどうなってもいい!!」
結局突風と深く抉られた~とか死神のタロットの伏線が理解出来なくて泣きそう
>>68
・土砂崩れが起きたのに都合よく助かった
(車の中からの突風によって岩が逸れた)
・少佐たちの会話「ちゃんと報告しないから」「大尉に昇進できない」
で、死神のタロット
これは全員死んでいてもおかしくなかった事を暗示している
俺は30秒考えたあとでそういうことかと感動した
アスペを炙り出すSS
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