穂乃果「犯人はアナタだよね」 (80)

高坂家

???「…ちゃん おねえちゃ…」

穂乃果「ムニャ…もうちょっと寝かせて…」

雪穂「お姉ちゃんってば!」

穂乃果「うわ! いきなり大声出さないでよ」

雪穂「いきなりじゃないよ何回起こしたと思ってるの」

穂乃果「たはは…」

雪穂「お姉ちゃん今日μ‘sの練習あるんでしょう? …もうお昼だよ練習行かなくていいの?」

穂乃果「お、お昼!? 今何時!?」

雪穂「そこにお姉ちゃんのケイタイあるじゃん」

穂乃果「えっと…何々ってもう12時になってる!? 今日の練習は10時からだったのに! しかも海未ちゃんから何十件ものメールと電話の履歴が・・・」

穂乃果「とりあえず『今から行くね』と返信してと…今から急いで学校行ってくるね」

雪穂「ったく昨日も夜更かしするからだよ…ってもういない」

穂乃果「いってきまーす!」

雪穂「そんなに早く準備できるのに何で遅刻するかなぁ…」


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学校 校門前

穂乃果「はぁ…はぁ…練習前からこんなに走ってきたら体力消耗しちゃうよ」

穂乃果(あれ? お日様が眩しい日曜なのにグランドでどの部活も練習してない…そっか! 試験前だから部活はお休みになってるんだった。ライブが近いから我らがμ‘sはことりちゃんのママに許可をもらって練習できるんだけどね。うう…ますます遅刻した罪悪感が)

穂乃果(多分みんな屋上で練習してると思うけど荷物置いて着替えたいからまず部室に寄ろう)

部室前

穂乃果(あれ?部室の扉の前でμ`sのみんなが集まってる)

穂乃果「みんなー!ホントにごめん!遅刻しちゃった」

みんな「うう…グスグス…」

穂乃果「え…何でみんな泣いてるの? 穂乃果が遅刻したことがそんなに悲しかった?」

海未「穂乃果…ふざけている場合じゃありません」

穂乃果「ごめん…ってあれ? みんな集まってるのに花陽ちゃんだけいないね。トイレかな?」

みんな「…」

穂乃果(うわ…シリアスな雰囲気だ)

海未「穂乃果…落ち着いてきいてください。花陽が…花陽が…」







海未「殺されました」




穂乃果「え? …ころさ…? ってなに言ってるの海未ちゃん、そんなわけないよね…ジョークだよね…」

海未「残念ながら嘘じゃないです。この部室の扉の向こうに花陽の…花陽だったものが」

穂乃果「嘘だよね! 穂乃果をからかってるのでしょ! さっさと部室に入るね!」

海未「待ちなさい穂乃果!」

部室内

穂乃果(部室内に入ると頭から血を流してうつぶせで花陽ちゃんが部室に倒れていた…嘘、なんだよね…)

穂乃果「…」

海未「だから言いましたよね。部室で花陽が殺されていると…」

穂乃果「ハッ! ぼうっとしてる場合じゃないよ! 警察! 通報はしたの?」

海未「落ち着いてください警察にはすでに連絡してあります。穂乃果は絶対に通報しないでくださいね」

穂乃果(絶対?)

穂乃果「これは現実だよね… ああ花陽ちゃん… 穂乃果からは眠ってるようにしかみえないよ」

みんな「…」

穂乃果(ってあれ? 花陽ちゃんが右手の近くに血文字が…これって噂のダイイングメッセージかな? しかも・・・)

穂乃果「へたな字でひらがなで『まき』って書いてある…」

真姫「気付いた? 私が犯人よ 花陽と言い争ってるうちについ突き飛ばしちゃって…当たりどころが悪かったみたいね」

にこ「ちょっとアンタ! 当たり所が悪かったみたいねじゃないわよ!人ひとり殺してるのよ!なんでそんなに冷静でいられるの!?」

真姫「ッ…!? ちょっとにこちゃん!私はにこちゃんのためを思って言ってるのよ。なのにそんな態度をとって…イミワカンナイ!」

にこ「私のことを思って? それってどういう意味なのよ!」

絵里「ちょっと一旦落ち着きましょ。このままじゃ互いの不信感が募るだけよ。真姫、あなたは警察が来るまで使ってないA教室で一人で待機しておきなさい」

真姫「そうね。私は犯罪者だものね…隔離されて当然よ」

絵里「ことり、鍵を貸してくれないかしら? 学校が休みの今日は理事長の娘のことりが全部の教室の鍵を管理しているんだったわね。私は真姫が逃げないようにA教室の扉の前で見張っておくわ」

真姫「逃げ出すわけないじゃない ほらエリーいくわよ」

穂乃果(そうして余裕満々の態度で真姫ちゃんはA教室に向かう…でも穂乃果の横を通り過ぎる瞬間、小さく耳元で…)

真姫「穂乃果、助けて」

穂乃果(と聞こえた気がした)

部室内

穂乃果「やろう…いや絶対やるんだ! 穂乃果、やるったらやる!」

海未「急にどうしたのですか穂乃果?」

穂乃果「穂乃果、μ`sで殺人事件なんて絶対納得いかないもん! 外部の人が来たらその人たちに流されてこの事件は終わっちゃうよ。外部の人が来てない今こそ事件のことを調べられるチャンスなんだもの。穂乃果が納得するまでこの事件のことを調べてみよう!」

海未「フフ…それでこそ穂乃果です。しかし探偵には助手役がつきものです。私が助手を務めましょう」

穂乃果(あれ…海未ちゃん、予想外に乗り気だな? 『不謹慎です』とか言われると思ったのに)

凛「穂乃果ちゃんがんばって! かよちんの無念を晴らしてくれにゃー!」

穂乃果「え…? あ、うん!」

希「! ちょっと凛ちゃん! えっと…残ったウチらはB教室で待機しておくな。じゃあ穂乃果ちゃん頑張ってな!」

穂乃果「じゃあ海未ちゃん、2人でガンバろっか!」

海未「そうですね」

穂乃果「じゃあまず花陽ちゃんの状態の確認だね。頭から血を流してるから頭をぶつけっちゃったのが死因だと思うけど」

海未「脈は…やはりないですね。頭をぶつけたのはこの本棚でしょうか?本棚の角に血がついています」

穂乃果「へぇ…そういえば殺人現場って言うと仰々しいけどキレイに片付いてる部屋だね」

海未「ふふっ実は今日私が一番に部室に来たので部室を軽く掃除したのですよ」

穂乃果「おおっ!? さすが海未ちゃん! ちなみに軽くってどれくらい?」

海未「本棚から床や壁の拭き掃除そしてCDの裏面を布で拭く程度ですよ」
穂乃果「ううっ!細かい…」

海未「部室が掃除されていないと練習に集中できませんからね。穂乃果も汚してばっかりじゃなくてたまには掃除もしてくださいね」

穂乃果「えへへ…見習わないとね」

穂乃果(ふと本棚をみるとμ`sのCDが右から夏色、ぼららら、WR、スノハレ、MUSIC START、もぎゅっとが並んでいる。今まで私たちが出した曲! ってあれ? まぁいいか…)

海未「さて推理ものでは現場の保存は基本です。現場の捜査は一旦やめて皆が待機しているB教室に移動して事情聴取といきましょう」

穂乃果「うん!」

穂乃果(ちょっと早い気がするけどこのまま花陽ちゃんを見てるのは辛いもんね)

B教室に移動中

穂乃果「そういや花陽ちゃんが殺されちゃったのに凛ちゃんはあんまり落ち込んでないように見えたね」

海未「そう…ですか? やはり凛はみんなを落ち込ませないよう、気丈にふるまっただけだと思いますよ」

穂乃果「ああ…そういう考えもあるんだね。海未ちゃんは大人だなぁ」

海未「そんなことありませんよ。でも凛だけじゃなくにこもつらい思いをしてるかもしれませんね」

穂乃果「そうだね。真姫ちゃんとにこちゃんは仲が良かったから」

海未「仲が良いだけじゃなくてここだけの話、あの2人は付き合っていたんですよ」

穂乃果「え!? そうなの!?」

海未「穂乃果は恋愛ごとには疎いですからね…さてB教室に着きましたよ」

B教室

穂乃果「みんな、今日の午前中のこと教えてくれないかな? 今日の事件納得できないことがいくつかあってね」

みんな「…」

穂乃果(やっぱりみんな暗いな)

穂乃果「ってあれ? にこちゃんは?」

絵里「にこは私と交代で真姫を見張ってるわ」

穂乃果「そうなんだ」

絵里「ふぅ…今日のことをとりあえず話してみようかしら…話している間に整理できるかもしれないし」

絵里「朝は10時に穂乃果以外の全員が集まったわね。そしてライブが近いといことでそれぞれ役割分担して練習に臨んだわ」

穂乃果「役割分担?」

絵里「ええ…海未とことり、にこは生徒会室でそれぞれ作詞と衣装づくり、真姫は音楽室で作曲、残りの4人は屋上でレッスンという段取りになったの」

穂乃果「適材適所ってことだね」

穂乃果(そして真姫ちゃん以外互いが互いのアリバイを証明できる状況でもあるね)

絵里「でも花陽は朝来たときから体調が悪かったらしくて練習に参加することをやめて部室で休むことにしてたわ。そういえば練習の直前まで凛が看病してたわね。」

穂乃果「そのことはみんな知ってた?」

絵里「ええ…部室で休むことを決めたときはまだ全員いたから」

穂乃果「じゃあ殺されちゃった花陽ちゃんを発見したのは何時かな?」

絵里「あれは穂乃果が来た直前よ。12時ぐらいになるわね」

穂乃果「へぇ、ならはじめて殺されちゃった花陽ちゃんを発見したのは誰だったの?」

絵里「えっとそれは…」

にこ「にこよ。にこが部室に衣装作りで使う道具を取りに行ってる道中で花陽の悲鳴が聞こえて急いで部室へ向かったわ。そのあとすぐ同じく生徒会室にいたことりと海未がきたの」

穂乃果「ことりちゃんたちも花陽ちゃんの悲鳴が聞こえたってこと?」

ことり「生徒会室にいたらどこからかダレカタスケテーって花陽ちゃんの声がしたの。花陽ちゃんが部室で休んでるってことを知っていたから急いで部室に向かったよ」

穂乃果(花陽ちゃんの声が聞こえたってことは直前まで生きていた! …と言えるよね?)

穂乃果「部室にきたときの様子は?」

にこ「えっと…これ言っちゃっていいの?」

海未「…ええ」

にこ「頭から血を流して倒れている花陽とそのそばで立ち尽くしている真姫ちゃんがいたわ」

穂乃果(それだけ聞くと真姫ちゃんが犯人以外あり得ない気がするなぁ)

みんな「…」

ことり「そこで屋上にいるみんなにもケイタイで連絡をとって呼んだんだ、そこに穂乃果ちゃんがきて…」

穂乃果「ありがとう、ことりちゃん! だいたい分かったよ。辛いこと思い出させてごめんね」

ことり「うんうん、いいよ」

穂乃果「それではみんなに最後の質問だよっ! 他に12時前に部室に寄った人はいる?」

みんな「…」

穂乃果「えへへ…だよね。じゃあ一応聞いておこうか12時より前に一人で行動した人はいる?」

海未「たしかことりが…」

ことり「うん、11時ころかな? 可愛い可愛いアルパカさんの餌やりにいってました♪でもそんなに時間がかからないうちに
生徒会室に帰ったよ」

穂乃果「そのことを証明できる人は?」

ことり「穂乃果ちゃん人をむやみに疑っちゃだめ、でもアルパカ小屋に行ってた証明はできないなぁ」

希「そういえば凛ちゃんはすぐ練習に来ずに花陽ちゃんを10時すぎまで看病していたやん?」

凛「! 凛は最初一人で看病してたけど、かよちんに練習行ってきていいよって言われたから10時すぎに屋上に行ってみんなと合流したよ。体調が悪いかよちん一人だけだから誰かがイタズラしないようにμ`sで使っている鍵をかけていったはず」

穂乃果「それって大丈夫なの? 花陽ちゃんが閉じ込められちゃうんじゃ…」

凛「それは大丈夫! 鍵は部屋内からなら自由に開けられるんだよ」

穂乃果「あはは…そうだったね」

海未「それで…穂乃果、次はどうします?」

穂乃果「そうだなぁ とりあえず直前まで真姫ちゃんがいた音楽室にいってみよう、せっかく部室と音楽室が近いんだから部室から直接音楽室に向かえばよかったかもね」

海未「そうかもしれませんね」

穂乃果「よし! ダッシュでいくよ」

海未「あ、待ってください!」

音楽室

穂乃果(音楽室に入るのも久しぶりだなぁ、キレイな声とピアノの音に誘われて真姫ちゃんと初めて会ったのもここだったっけ)

穂乃果(やっぱり音楽室だからピアノや木琴や鉄琴など色んな楽器があるね。穂乃果が名前を知らない楽器の方が多いけど。ああっそれともちろん学校の教室だから黒板や机、放送が流れるスピーカーもあるよ)

海未「穂乃果! 待ってくださいってば!」

穂乃果「あっ海未ちゃん!遅かったね」

海未「遅かったね、じゃありません!まったくもう、ずっと穂乃果に待ってくださいと呼んでいたのに」

穂乃果「ごめん、ごめん全く気付かなかった」

海未「でも音楽室なら聞こえなくても仕方ないかもしれないですね」

穂乃果「え? それってどういう意味?」

海未「この学校の音楽室は設備に力を入れていて外からも内からも音が聞こえない防音仕様になっているそうですよ」

穂乃果「へぇー知らなかったなぁ」

海未「この学校の生徒なら知っておいでください、全く穂乃果は…」

穂乃果「えへへ、ごめん」

海未「で、どこから調べます?」

穂乃果「やっぱり真姫ちゃんが使ってたピアノを調べよう」

海未「ええ、そうですね」

穂乃果「ピアノってたくさん鍵盤があるね。穂乃果が弾くなんて絶対無理だよ」

海未「こういうことはやはり小さいころからやってないとできないものなのでしょうね」

穂乃果「ところでこのピアノは蓋が空きっぱなしになっているね」

海未「真姫も焦っていたといことでしょうか」

穂乃果「これは…楽譜だよね、穂乃果は読めないけど、すごい量があるね。これなら12時より前に花陽ちゃんに会う時間はなかったんじゃないかなぁ」

海未「それだけでは証拠としては弱いですね。元々準備していたことも考えられますから」

穂乃果「うう…イジワルだなぁ、おっとこれはテープレコーダーかな?音楽を録音しておいて後で自分やみんなで聞いたりするのに使うのだろうね」

穂乃果「ってもしかして時間表示があれば真姫ちゃんがこの部屋にいた証明ができるかも!? 」

海未「とりあえずそのレコーダーの中を聞いてみませんか?」

穂乃果「そうだね! えっと再生ボタンはここかな? 日程を今日の12時ごろに合わせてと…」

テープレコーダー「………………………………………」

穂乃果「ありゃありゃ、何も録音されてないね」

海未「たしかに作曲といっても弾いてばかりではありませんからね。楽譜を書いたり既存の音楽を聴いたり」

テープレコーダー「……………………………………ダレカタスケテー」

穂乃果「! 海未ちゃん、これって!?」

海未「ええ、花陽の事件のときの悲鳴ですね…しかし残念ながら真姫の声が入ってないのでこのときに真姫が音楽室にいた証明にはならないでしょう」

穂乃果「ええーっそんなぁ!」

海未「でもこれらが重要な証拠になるかもしれませんよ、楽譜とテープレコーダーを持っていきましょう。せっかくだから穂乃果が持っておいてください」

海未「穂乃果、次はどこか調べたい場所はありますか?」

穂乃果「じゃあそこの大きなレコーダーはどうかな? 穂乃果、小学校の頃から音楽室にある機械をイジってみたかったんだよね」

海未「ちょっと穂乃果、学校の機械を壊すと弁償になるかもしれませんよ」

穂乃果「ってあれ!? 鍵がかかってる」

海未「当然です。穂乃果みたいな人が音楽室の設備を壊さないように対策をしてるのでしょう」

穂乃果「むむ…ならいっか、海未ちゃん、もう音楽室は調べるところないから別の教室に移動しよう」

廊下
 
海未「次はどこの教室にいきます?」

穂乃果「そうだね…直前まで海未ちゃんたちがいた生徒会室に寄ってみよう」

海未「分かりました」

生徒会室

海未「音楽室と違って穂乃果もこの部屋によく入りますからね、何か変わった点はありますか?」

穂乃果(そう、穂乃果もよくこの部屋には出入りする。この部屋は長机とイス、そして後ろに大きなホワイトボードが設置されている。壁には大きな窓と放送用のスピーカーもあるね)

穂乃果「この机の上にあるのは何かな?」

海未「これはことりとにこが作っている途中の衣装ですね。私は向かいの机で作詞をしていました」

穂乃果「この衣装キレイだね、フリルがついててとっても可愛い」

海未「今回はそれぞれのイメージカラーに即して衣装を作ってるそうですよ。穂乃果のはこのオレンジのものですね」

穂乃果「アイドル=イメージカラーのイメージはあるけど私たちのグループはいつのまにかイメージカラーができちゃったね。たまにはカラーを変えてみない?」

海未「なにか希望の色でも?」

穂乃果「黒とかどうかな? なんかビシッーって感じでカッコイイ!」

海未「却下です。穂乃果には似合いません」

穂乃果「そんなぁ…」

穂乃果「そういえば海未ちゃんは作詞をするときどんなことを考えて作詞をしているの? もしかして穂乃果のことを考えていたり、なんて」

海未「ふふっ…どうでしょうかねっ」

穂乃果(はぐらかされた!?)

穂乃果「なら事件のことを聞くけど10時にこの部屋に来て12時に花陽ちゃんの悲鳴を聞いて出る間にこの部屋から出た人はいるかな」

海未「ことりが言ってたように、ことりは11時ごろにアルパカにエサをやると言って退出しました。11時半には戻ってきましたが」

海未「そういえば12時前ににこがことりに頼まれて一人で衣装づくりで使う道具を部室に取りに行ってましたね、私はずっとこの部屋にいましたよ」

穂乃果「そうなんだ、なら海未ちゃんがこの部屋にいたとき花陽ちゃんの悲鳴はどこから聞こえた? 例えば殺人現場と発見現場が違うときがあるよね」

海未「えっと…深くは覚えてません。花陽が部室で休んでることを知っていましたから、つい部室の方へ駆け出してしました」

穂乃果「たしかに穂乃果でもそうするよ」

穂乃果「…。前からずっと思ったけどμ`sのメンバーってすごいよね」

海未「すごい…ですか」

穂乃果「だってみんな作詞や作曲ができたり衣装作れたり、歌やダンスがとてもうまかったり…」

穂乃果「穂乃果にはなんにもないかも…」

海未「穂乃果…」

穂乃果「ごめんね、急に変なこと言っちゃって」

海未「何でもできる万能人間ではないからこそできることがあって思いませんか?」

穂乃果「そう…かな?」

海未「心配しなくても穂乃果には誰も持っていない大きな力がありますよ」

穂乃果「大きな力…?」

海未「具体的には秘密ですけどね」

穂乃果「ええっ!? 教えてよー」

海未「なにか少し恥ずかしくなってきましたからね、さて次の部屋を調べましょうか」

穂乃果(またはぐらかされちゃった)

穂乃果「分かったよ、次は…いよいよ真姫ちゃんの話を聞きに行こうか」

A教室 扉前

にこ「あらアナタたち、何やってるの」

穂乃果「えっと…この事件にまだ納得できないところがあって海未ちゃんと一緒に調べているんだ」

にこ「はぁ!? この後に及んで探偵ごっこ? 遊びじゃないのよ」

穂乃果「遊びのつもりはないよ、μ`s内で起きた事件だから穂乃果が納得するまで調べてみたいんだ」

にこ「…。しょうがないわね~ 穂乃果がそこまで言うなら協力してもいいわよ。にこに何でも聞いてよ」

穂乃果「この扉の奥にはえっと…真姫ちゃんがいるわけだけど事件が起きるから今まで何か話した?」

にこ「いいえ、にこと真姫ちゃんは何にも話してないわ」

穂乃果「そっか、なら一対一で真姫ちゃんとお話しさせてくれる?」

海未「穂乃果、危険があるかもしれませんよ」

にこ「…。どうせ断っても穂乃果なら引かないのでしょうね、いいわこの扉を開けて真姫ちゃんと話してきなさい」

穂乃果「ありがとう! にこちゃん、大好きだよ」

にこ「またすぐ人にそんなこと言って…」

A教室 部屋内

穂乃果「真姫ちゃーん!いるー?」

真姫「う``ええ、ちゃんといるから大声出さないでよね」

穂乃果「おっとごめんごめん、それで事件のことなんだけど」

真姫「…」

穂乃果「やっぱり真姫ちゃんが花陽ちゃんを殺しちゃったの?」

真姫「ええ…そうよ、最初からそう言ってるじゃない」

穂乃果「なら動機を教えてよ」

真姫「動機…?」

穂乃果「花陽ちゃんと口論になったって言ってたよね、何で口論になったの?」

真姫「動機なんてないわ、ただ花陽が気に入らなかっただけ」

穂乃果「え…!? 今なんて言った?」

真姫「だから花陽が気に入らなかったって言ったのよ!」

穂乃果「ちょっと真姫ちゃん! 自分が言った言葉の意味が分かってる!? 花陽ちゃんは大切な仲間の一人なんだよ!」

真姫「ええ、自分が言った言葉の意味ぐらい分かってるわ」

穂乃果「…。 見損なったよ、真姫ちゃん」

真姫「もう話したいことは終わった? なら出てってくれる?」

穂乃果「…分かった、じゃあね」

A教室 扉前

にこ「穂乃果、お疲れ様」

希「真姫ちゃんと口論になってたみたいやん?」

穂乃果「おおっと!? 希ちゃん、いつのまに!?」

希「ちょっと気分転換ににこっちと話したくなってな。で、ちゃんと真姫ちゃんと話はできた?」

穂乃果「えっと、真姫ちゃんが全然本音を話してくれないからちょっと感情的になってしまったかも…」

希「そっかー、…もしかして真姫ちゃんは話さないんじゃなくて話せないじゃないかな、例えば…」

穂乃果「例えば?」

希「誰かさんのせいで」チラッ

にこ「なによ」

穂乃果(…?)

海未「次はどうします? 穂乃果も疲れているようですが」

穂乃果「なら気分転換にみんなが練習していた屋上にいこうか」

海未「屋上…ですか、分かりました」

屋上

穂乃果「屋上にきたぞー! やっぱり解放感があるね」

海未「屋上が何もない場所だからではありませんか? それだけに調べるものがないようにも見えますが」

穂乃果「なら人が落ちないように囲ってある柵を調べてみよう、運動神経がいい凛ちゃんあたりがロープを使って部室に侵入したのかも」

海未「今回の事件ならどこから侵入しようと同じようにみえますが…」

穂乃果「よっし、やるぞー」

海未「…。待ってください穂乃果」

穂乃果「どうしたの?」

海未「ちょっと雑談しませんか?」

穂乃果「堅物の海未ちゃんが雑談を振ってきた!?」

海未「誰が堅物ですか、全く…穂乃果は家にいるとき何をしていることが多いですか?」

穂乃果「えっと、たいてい寝てるなぁ」

海未「よく寝てるのに遅刻したのですか!? ホントにしょうがないですね」

穂乃果「えへへ」

海未「誉めてません! 答えが寝るでは話が広がりませんよ」

穂乃果「ごめんごめん、寝る以外なら少女マンガ読んでることが多いよ。そういえば海未ちゃんはマンガとか読む? 全くイメージがつかないけど」

海未「あまり読みませんね、今度貸してもらいましょうか?」

穂乃果「もちろんだよ! 同じ話題で話せる同志が増えると嬉しいな♪ 穂乃果は汚れるの気にしないから、どんどん貸すよ」

海未「何かオススメなどありますか? あまり知識がないもので」

穂乃果「この前ドラマ化したやつがオススメかなぁ あ!やっぱりダメだ、あのマンガの3巻だけ無くなってるのだった」

海未「ちゃんと整理しないのがいけないのですよ。この前も穂乃果の家に行ったとき本棚をふと見ると巻数がバラバラに入ってました」

穂乃果「あはは、よく見てるねぇ」

海未「私なら絶対に巻数順に揃えますよ」

穂乃果「………?」

海未「だから 私なら絶対に巻数順に揃えますよって言いました」

穂乃果「…! 穂乃果、あのときの違和感の正体が分かったかも!」

海未「違和感ですか…?」

穂乃果「ちょっと先にいってるね!」

海未「ふぅ…世話が焼けますね」

部室

穂乃果(海未ちゃんは巻数順にマンガを揃えるって言ってた。それはCDでも同じこと、海未ちゃんが掃除したはずの部室の本棚にはμ`sのCDがリリース順を無視してバラバラに入っていた)

穂乃果(たぶん、海未ちゃん以外の誰かが朝から昼までに間に誰がCDを触ったんだ)

穂乃果(ならCDジャケットに何かヒントが残されてるかもしれない)

穂乃果「あれ? シングルの一つが空っぽだ、誰かが持ってるのかな?、そして何のためにCDを持ち出したのかな?」

穂乃果(CDといえば音楽を聞くために使うけど学校で音楽を聞ける施設といえば音楽室…? いやいや音楽室はピアノ以外のものは鍵がついてて触れられない状況だった)

穂乃果「ほかに学校ってどんな施設があったけ?」

穂乃果(必死に学校の施設を思い出す…機械がある場所といえばちょっと前、放送室でμ‘sの宣伝したことがあった気がする。あの場所ならCDを使えるかもしれない、まだCDの用途は分からないけど)

放送室

穂乃果(あれ鍵が開いてる…機械の電源もついてる?)

穂乃果(部屋の中に入りCDが入りそうな機械を探す。機械オンチな自信はあるけどCDを入れる機械ぐらいは分かる)
 
穂乃果「あっとこのボタンかな」

穂乃果(▽と書いているボタンを押しCDを取り出す。やっぱりμ‘sのシングルCDだ。ただ急いでたのか扱いが雑でCDの裏に人が触った跡がある)

穂乃果(穂乃果! そろそろ証拠が揃ってきたはず! 連想するんだ!放送室でCDといえば聞くものじゃなくて全校に流すもの。そして今日みんなが聞いたセリフと言えば…!?)

穂乃果( ! 目の前の霧がさっと晴れた気がした。急に視野が広がったみたい。あとはその時間にアリバイがない人を問いつめれば…)

穂乃果「ってまだだよ! 」

穂乃果(まだダイイングメッセージの件が残っている。あれは真姫ちゃんが犯人だと告げる大きな証拠だ。あのメッセージに納得する理由を付けられないとこの事件は解決しない)

凛「あれ? 穂乃果ちゃん、こんなところにいたの? 海未ちゃんが探していたよ」

穂乃果「うわ! びっくりした、急に出てきたから驚いたよ」

凛「凛を幽霊みたいに言わないでよ! って穂乃果ちゃんが持ってるそれは何? CDと楽譜かな…?」

穂乃果「う…うん!そうだよ、それがどうかした?」

凛「もしかして穂乃果ちゃんが作曲してるの!? すごいにゃー!」

穂乃果「ええっ!? 穂乃果が作曲できるわけないよ、これは真姫ちゃんのだよ。音楽室から持ってきたんだ」

凛「なぁんだ、真姫ちゃんのか、残念。そういえば穂乃果ちゃん、いつか作曲してみたいと言ってたときあるよね」

穂乃果「ああ言ったことあるような、ないような」

凛「その楽譜に書き加えたらいいんじゃないかにゃ? そうすれば穂乃果ちゃんも作曲者を名乗れるにゃ~」

穂乃果「ダメだよ!そんなことしちゃあ!、初心者の穂乃果が手を加えたら元々の意味と変わっちゃうからね」

凛「へぇ、手を加えたら元々の意味と変わってしまうんだね」

穂乃果「うん、そうだよ。…そうだよ? そうだよ!」

凛「どうしたの、いきなり大声だして」

穂乃果「ありがとう、凛ちゃん」

凛「よく意味が分からないにゃ」

穂乃果「ちょっと用事ができたからいってくるね」

凛「そっか、がんばって」

穂乃果「じゃあ行ってきま~す」

凛「あらら、もう見えなくなっちゃった。でも穂乃果ちゃんが気付いてよかったよ」

廊下

穂乃果「ケイタイを取り出しってっと…もしもし…うん、穂乃果だよ、今回の事件で相談したいことがあるから一人で音楽室に来てくれないかな? え?何でかって? そりゃあアナタが一番信用できる人だからだよっ! じゃあ待ってるね」

音楽室

???「ごめ~ん、遅れっちゃった」

穂乃果(逆光で顔がはっきりと見えないな、でも声と雰囲気で呼び出した人が来たってことは分かる)

穂乃果「いいよ、穂乃果も今来たところだから」

???「この掛け合いって穂乃果ちゃんとデートみたいだねっ! うれしいっ! 」

穂乃果(なんかいまいち緊張感がでないなぁ、まぁいいけどね)

穂乃果「で、さっそく相談なんだけど、結局この事件の犯人って誰だと思う?」

???「私はやっぱり真姫ちゃんが怪しいと思うな。というより真姫ちゃん以外あり得ないと思う」

穂乃果「へぇー、何で?」

???「あのダイイングメッセージだよ、どうみても『まき』って書いてたよね?」

穂乃果「うん、たしかに書いてたね。でもどうして目の前で見ていた真姫ちゃんはその字を消さなかったのかな?」

???「それは罪を認めていたからかなぁ?」

穂乃果「穂乃果もその線は考えたよ、でも直後の真姫ちゃんとにこちゃんのセリフでなにか裏があると思ったんだ」

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真姫「気付いた? 私が犯人よ 花陽と言い争ってるうちについ突き飛ばしちゃって…当たりどころが悪かったみたいね」

にこ「ちょっとアンタ! 当たり所が悪かったみたいねじゃないわよ!人ひとり殺してるのよ!なんでそんなに冷静でいられるの!?」

真姫「ッ…!? ちょっとにこちゃん!私はにこちゃんのためを思って言ってるのよ。なのにそんな態度をとって…イミワカンナイ!」

にこ「私のことを思って? それってどういう意味なのよ!」
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穂乃果「この真姫ちゃんのセリフのにこちゃんのためを思ってどういうことだろう?」

???「ちょっと分からないなぁ」

穂乃果「穂乃果の想像だけどね、真姫ちゃんがにこちゃんをかばったと考えればすごくシックリくるんだよ。風の噂で聞いたけど2人は付き合ってたらしいしね。恋人をかばうために真姫ちゃんがにこちゃんの罪を被ったじゃないかな」

???「2人は付き合ってるんだぁ 初めて知ったなぁ」

穂乃果(知ってたくせに…)

穂乃果「さて、にこちゃんが花陽ちゃんを殺したとしても実際にダイイングメッーセージに書いてあったのは『まき』だよね。どうしてこんなことが起きちゃったのだろう」

穂乃果「こんなの簡単だよ、真姫ちゃんがかばうためにダイイングメッセージを『まき』に書き換えたんだよ。楽譜と同じ、手を加えたら意味が変わってしまう」

???「でも血文字は鉛筆とちがって消すことはできないよね」

穂乃果「そうだけど、ここまでくれば元の字は想像するのは容易だね。元の字は『にこ』だったんだよ」

???「それは無理があると思うけど?」

穂乃果「そうかな? はじめてみたとき『まき』の字はひらがなだし、いくらなんでも下手だなって思ったよ。でも理由があった。『にこ』の字の『に』の両方の横画を縦棒を貫くようにして横に延長、そして縦棒に下に○を書くように延長すると「ま」に見えるね」

???「…」

穂乃果「同じく『こ』の字の両横画を貫くように縦棒を書き、そしてその左下のスペースに左上から右下に短い画を書くと…」

???「『き』にみえるね、ということはにこちゃんが犯人!?」

穂乃果「という線でも考えたけどにこちゃんが犯人だとやっぱりにこちゃんの真姫ちゃんに対する反応の意味が分からなくなるんだ。もしかして真犯人は別にいて『にこ』という字はすでに書き加えられた文字だったのかもしれない」

???「書き加えて『にこ』という文字にするのは難しい気がするよ」

穂乃果「…。穂乃果たちは、にこちゃんを知っているから書かれた文字の順番も『に』→『こ』だと思い込んでしまう。本来の書かれた順番は『こ』→『に』だったかもしれないのに。ここからは完全に想像だけどよく聞いてね」

???「…うん」

穂乃果「つまり」

穂乃果「花陽ちゃんは犯人の名前が『こ』から始まる名前だったから『こ』を書いた。けれど『こ』を書いたあたりで息絶えてしまった。そこで犯人は『こ』の前に『に』を付け加えてにこちゃんに罪をなすりつけた。そこで名前が『こ』から始まる人物を探して、死んじゃった『こ』泉花陽ちゃんを除外すると…」

穂乃果「犯人はアナタだよね」







穂乃果「南ことりちゃん」




ことり「!!!!!!!!」

ことり「ちょっとひどいよ!穂乃果ちゃん 私の名前が『こ』から始まるだけで犯人扱いなの!?」

穂乃果「我ながら想像力を膨らませすぎた感はあるけどね」

ことり「そもそも犯行が行われた12時ごろ私は海未ちゃんとにこちゃんと一緒に生徒会室にいたから私も容疑者から外れるよね?」

穂乃果「まぁ犯行時間が12時ならね」

ことり「違うっていうの? じゃあ生徒会室で聞こえた花陽ちゃんの悲鳴はなんだったの? 聞き間違いかなぁ、私以外にも海未ちゃんやにこちゃんがその悲鳴を聞いてるんだけどなぁ」

穂乃果「あの声が花陽ちゃんの生の声ならね」

ことり「…。どういう意味かな?」

穂乃果「このテープレコーダーは音楽室で見つけたものだよ。中には真姫ちゃんの声は入ってないけれど花陽ちゃんの悲鳴は入ってるんだ」

ことり「それがどうしたの? ただ今日の悲鳴がレコーダーに入っちゃっただけだよね」

穂乃果「それはあり得ないんだよ!だってあの音楽室は外の声が聞こえない防音設計だもの!」

ことり「!?」

穂乃果「でも現にレコーダーに花陽ちゃんの音声は入ってる…。これがどういう意味が分かるかな?」

穂乃果「あの悲鳴は部屋内から部屋内に聞こえたのに違いないんだよ! そう!どこの教室にもある放送用のスピーカーを通してね!」

ことり「…」

穂乃果「もちろん裏はとってある、これが証拠の放送室にあったCDだよ。穂乃果たちのCDは曲だけでなくドラマパートも入ってる。花陽ちゃんはダレカタスケテーが口癖。多分ドラマパートの中に入ってあるんだろうね。このダレカタスケテーという音声が12時ごろに放送室で自動で流れるようにセットして12時まで花陽ちゃんが生きていると思わせたんだ」

穂乃果「ちょっとこんがらがっちゃったから時系列順にことりちゃんがしたことを整理するね」

穂乃果「まず11時ごろにアルパカのエサやりと言って生徒会室を出て部室に向かったんだね。多分屋上に行く前凛ちゃんが鍵をかけていたけど、鍵を管理していることりちゃんがマスターキーを使って部室に侵入」

穂乃果「ことりちゃんが鍵を管理していることは絵里ちゃんが言っていたからね。想像がついた。」

穂乃果「殺意があったか分からないけどそこで花陽ちゃんを殺害、『こ』と自分の名前を書かれそうになっていたけど『こ』を『にこ』に変える偽装工作を行い、CDを持って放送室の鍵を開けて侵入、放送室でダレカタスケテーっと12時に放送されるようにセットする」

穂乃果「あとは12時前ににこちゃんに部室に衣装の道具を取りに行ってもらうように頼み12時に花陽ちゃんの悲鳴が放送されるのを待つ。悲鳴が聞こえたら海未ちゃんと部室に向かい倒れている花陽ちゃんとそこで立ち尽くすにこちゃんを発見する」

穂乃果「予定だった」

穂乃果「でも音楽室と部室が近いため、にこちゃんより真姫ちゃんが先に到着しててしかも部屋に侵入、さらにダイイングメッセージを『まき』に変えてたため真姫ちゃんが犯人だと流れになった」

穂乃果「自分が犯人じゃなかったら誰でもよかったんだね。ことりちゃん」

ことり「でもでも…証拠がないよね。ことりが11時に部室の鍵を開けたって言ってたけど、そもそも事前に花陽ちゃんがうち側から部室の鍵を開けていたかもしれないし、放送室の鍵もかかっていなかったかもしれないしね。ことりが放送を流した証拠があるの?」

穂乃果「…ことりちゃんは普段、物を大事に扱うから気付かないかもしれないけれど、CDの裏面って指で触ると指紋が残っちゃうんだ。この指紋とことりちゃんの指紋を照合すれば分かるんだよ。ことりちゃんがCDを持ち出したってことはね!」

ことり「…でもその指紋が今日付いたものかは分からないよ」

穂乃果「…」

ことり「あはっ私の勝ちかな?」

穂乃果(今日は何気ないみんなの発言がヒントになった。みんなありがとう。穂乃果は絶対忘れません、みんながいるおかげで今の穂乃果がいるってことを。)

穂乃果「ことりちゃん…」

ことり「何かな? 穂乃果ちゃんの降参宣言?」

穂乃果「海未ちゃんがとてもキレイ好きなこと知ってる?」

ことり「もちろん知ってるよ。ことりたちは幼馴染だもん」

穂乃果(ああ良かったことりちゃんが私たちを幼馴染と思ってくれていて。そしてさようなら目の前の幼馴染…)

穂乃果「海未ちゃんは朝早くきてCDの裏面を掃除するほどキレイに部室を掃除したらしいね」

ことり「えっ!?」

穂乃果(そして私は涙が浮かぶことを自覚しながら幼馴染だった人に引導を渡す)

穂乃果「ということはね。ことりちゃんの指紋は今日の朝から昼までについたとしか考えられないんだよ」

ことり「…」

穂乃果「もう認めてくれるよね?」

ことり「…はい」

穂乃果「最後に聞かせて、なんでことりちゃんは花陽ちゃんを殺しちゃったの?」

ことり「…、私は穂乃果ちゃんのことが昔からずっと好きだったんだよ。でも初めての恋愛だし女の子どうしの恋愛だから相談相手が欲しかった。そこでよく相談していたのが花陽ちゃんだったんだよ」

穂乃果「…」

ことり「最初は花陽ちゃんも親身になって相談してくれていたんだよ、でも最近になって花陽ちゃんも穂乃果ちゃんのことが好きだってことを明かされた」

ことり「私は花陽ちゃんに裏切られた気持ちになった、今ままで相談に乗ってくれたりアドバイスしてくれたりした花陽ちゃんは何だったの? 私の方がずっと前から穂乃果ちゃんが好きだったはず」

ことり「そう思うとだんだん花陽ちゃんに対して憎しみを持つようになってきた」

ことり「それだけだよ、でもこのことを知って穂乃果ちゃんはどう思った? もしこの話を事前に知っていたとしても何かできた?」

穂乃果「正直、その話を聞いて戸惑っているっていうのが素直な感想、でもたしかに穂乃果には何もできなかったかもしれないね」

ことり「ほらやっぱり」

穂乃果「それでも! 穂乃果でも話を聞くことぐらいはできたんだよ! 3人で話し合えばなんとかなった未来があったはずなのに…」

穂乃果「いや…そもそも穂乃果が2人の気持ちに気付かなかったのも悪かったのかな…ごめん、ごめんね…2人の気持ちに早く気付いてあげられなくて…グス…ずっと辛い思いをさせちゃったよね」

ことり「ごめん…泣かせるつもりはなかったんだよ」

ことり「…。ここあたりで潮時かな? 実はもう一つ真相があったんだけど」

穂乃果「もう一つの…真相?」

ことり「みんな~、入ってきていいよ~!」

穂乃果(ことりちゃんそう言うとμ`sのみんなが次々に音楽室に入ってきた。ってそこにはいないはずの…)

穂乃果「花陽ちゃん!? え? な、なんでそこにいるの?死んだんじゃなかったの!?」

花陽「えっと…やっほ」

穂乃果「やっほ、じゃなくてさ!」

花陽「う~んと、ここまで感情移入してくれた穂乃果ちゃんには申し訳ないんだけれど…これ全部…ドッキリだったんだ」

穂乃果「ド、ドッキリ~~~~!?、つ、つまり今日起きたこと全部、嘘だったってこと?」

花陽「そ、そうなるね、ごめんね穂乃果ちゃん」

穂乃果「いや…花陽ちゃんが無事ならいいんだけれど、えっと何がどうなってるのか混乱しちゃってさ」

海未「私が説明しますね、穂乃果が12時ごろ私のケイタイに返信したとき、大事な練習に遅れてくる穂乃果に何かお灸を据える方法はないか考えました」

絵里「そこで私が考えたμ`s殺人事件を決行することにしたのよ」

希「でもただの殺人事件やったらおもしろくないからウチと真姫ちゃんを中心に考えた、若干の推理要素を付け加えてみたわけ」

穂乃果「じゃああのとき海未ちゃんが絶対通報するなっと言ったのも?」

海未「ええ、ドッキリなのに本当に通報したらあちらも迷惑でしょうし」

穂乃果「凛ちゃんが親友の花陽ちゃんを殺されたのにやたら元気だったのも?」

凛「あれ? そんなに元気だった? 凛、結構演技がんばったんだけどな」

希「凛ちゃんは大根役者すぎ! 見てるウチの方がヒヤヒヤしたわ」

真姫「ついでに音楽室が防音ってのも嘘よ。そもそもこんな昔からある学校に防音設備なんてあるわけないでしょ。そもそも本当に防音なら私と穂乃果は出会えてないし」

凛「あれ? そんなに穂乃果ちゃんと出会えてうれしかったんだ」

真姫「ちょっと! そこまで言ってないでしょ」

穂乃果「なら、にこちゃんと真姫ちゃんが付き合ってるって聞いたのも」

にこ「ええ、嘘よ。そもそもにこは宇宙ナンバーワンアイドルなの、特定の誰かと付き合うわけないわ。にこにーはみんなのも・のだからね?」

穂乃果「きもちわるい」

にこ「おいこら」

穂乃果「ホントに全部ウソだったのか~。穂乃果、安心したよ。ね、ことりちゃん」

ことり「…」

穂乃果「…え?」

ことり「この事件は嘘ばっかりだったかもしれないけど、ことりは気持ちは嘘じゃないよ。私、普段の天真爛漫な穂乃果ちゃんと私を追い詰めるシリアスな穂乃果ちゃんとのギャップにゾクゾクきちゃった♪」

にこ「まさに穂乃果にほの字ってわけね」

凛(ちょっと寒くないかにゃ)

花陽「穂乃果ちゃんのことが好きなのはことりちゃんだけじゃないよ!」

穂乃果「まさか…」

花陽「うん、そのまさかだよ。私をμ‘sに誘ってくれたときから穂乃果ちゃんに憧れの気持ちを持っていたけど、私のために頑張ってくれてる穂乃果ちゃんを見て確信したよ、この気持ちはただの憧れだけじゃないって」

穂乃果「そう…なんだ」

花陽「今なら穂乃果ちゃんだけでご飯3杯はいけちゃうかも♪」

凛(それはいつもどおりのかよちんにゃ!)

ことり・花陽「「だから穂乃果ちゃん!」」

ことり「私と」

花陽「私と」

ことり・花陽「付き合ってください!」

穂乃果「えっと…。急にそんなこと言われても…。ううん…誰か助けてー!!!」ダッ!

絵里「あっ逃げたわね」

ことり・花陽「ちょっと待っててー!!!」

そんなこんなで事件は解決? しました。

もちろんこのあとライブの練習をみっちりやったけどね。

えっとことりちゃんと花陽ちゃんとの関係? そのことなら穂乃果なりになんとかなっています。

今回の事件についてちょっと考えてみたけどこの事件は穂乃果にお灸を据える以外の目的があったような気がしてます。

穂乃果はライブに試験に色々と目の前にして穂乃果は目の前のことに精一杯になっていて大事なことを忘れていました。

それは目の前にあることを楽しむって気持ち、

それと全力で挑戦できるものがあるってことに喜びを感じる気持ちのこと、それと…

ある日 教室

穂乃果「はぁ~、やっと授業終わったなぁ。今日は練習もないし家に帰ってゆっくりしよっと」

海未「穂乃果! なんでこんなとこでボサッとしているのですか、行きますよ!」

穂乃果「えっ!? 行くってどこに? またドッキリじゃないよね?」

海未「ドッキリならどんなによかったことか、さぁ早く来てください、穂乃果がいないとどうにもならないですから」

穂乃果「 ! なら急いでいくね よし! ファイトだよっ!」

これからも穂乃果たちにおもしろいことが待ってるってことです。                  おわり

リアルタイムでスレが伸びて完結するの初めて見た。おつかれさまです、面白かった。
ガチ事件だったらどうしようとドキドキしてました、途中匂わされてはいたけど

全員が全員怪しく書かれてたからどうなんだよ……って思ったけど、なるほどドッキリね
乙です

おつ


面白かった

乙、海未ちゃんの世話が焼けますね発言でドッキリってわかったけどまさか全員仕掛け人とは...


乙です

乙にゃ!

一気にやり遂げたね

おつ

アニメで見てみたいくらいクオリティが高かったな

最初の発見描写で死んでないパターン考えたけどドッキリとはたまげたなぁ

実はPV撮影でしたー!とかかと思ってた
面白かった

ガチじゃないのは凛ちゃんの雰囲気でわかった
ドッキリだったかー

おつおつ

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