ヒストリア「…」エレン「…」の続き
ヒストリアとエレンがロッド・レイスに捕まった後の話
―レイス家―
ヒストリア「…」
エレン「…」
ヒストリア「…」
エレン「…」
ヒストリア「…」
エレン(ヒストリアのやつ…だんまりだな。まあ、元から口数少ない奴だが)
―ヒストリア、今まですまなかった
エレン(やっぱりあれが気になって仕方ないのか…)
ヒストリア「…」
エレン「…なあ、ヒストリア」
ヒストリア「…」
エレン「おい、ヒストリア」
ヒストリア「…」
エレン「…たぶん、さっきのあれで何か考え込んでるんだろうけど…」
ヒストリア「…グー…グー…」タラー
エレン「って寝てるんかい」
ヒストリア「…んあ?」パチッ
エレン「お前…なに寝てんだよ」
ヒストリア「あ、おはよう」ゴシゴシ
エレン「こんな状況で寝るなんて暢気にも程があるぞ。よだれまで垂らしやがって」
ヒストリア「…こんな状況だからこそ寝て疲れを取るんだよ」ゴシゴシ
エレン「………そうか」
ヒストリア「…それに、今の私は仲間がたくさんいるから……心の余裕があるからね」
エレン「ああ…そういって貰えるとみんな嬉しいだろうが…それでも余裕ありすぎだ」
ヒストリア「ありがとう」
エレン「いや誉めてる訳じゃ無いからな」
ヒストリア「…」
エレン「…さっきのロッド・レイスのあれの事だが…」
ヒストリア「あれか。急に抱き着くなんてセクハラだよね」
エレン「いやいやいやいや」
エレン「…俺…あいつ只の悪人だと思ってたけど……顔も本気そうだったし…」
ヒストリア「…」
エレン「なんかもう分かんなくなって来たな…」
ヒストリア「…」
エレン「…お前、ロッド・レイスの事どう思ったんだ?」
ヒストリア「ん…」
ヒストリア「まあ…でも、なんか………何だろう。よくわかんない」
エレン「…」
ヒストリア「最初は驚いたよ。そして一瞬だけ心が揺らいで『お父さーん!!』って言いそうになった気がしたけど……気がしただけだった」
エレン「…どういう事だ?」
ヒストリア「だってさ…実際、今までロッド・レイスと私って1日も一緒にいたこと無いの。そんな他人同然のオッサンに急に『君の父親だ』って言われても実感無いわけ」
エレン「…ああ、なるほどな…確かにその辺の知らないオッサンに急に『お前の父親だ』って言われても『は?』としか思えんよな」
ヒストリア「言わば変質者と一緒だよ。知らない人に付いていってはいけませんって奴だよ」
ヒストリア「それならまだ三年間一緒にいたキース教官に『ヒストリア…私は実は君の父親のキース・レイスだ』とか言われた方が説得力あるわけ」
エレン「うん、例えがなんかあれだがまあ何となく分かるよ」
ヒストリア「それに私に取ったらお母さんを見捨てた悪い奴って印象しか無いわけ……まあ、お母さんからも酷い事されてたけどさ」
エレン「…なんか嫌な事思い出させたなら悪いな」
ヒストリア「気にしないで…今の私には新しい家族がいるから心の余裕もしゃくしゃくだから」
エレン「そうか」
ヒストリア「…という訳で二度寝していいかな」
エレン「だから余裕ありすぎだっての」
ここまで泰然と構えてるとある意味王者の風格だな
ヒストリア「…エレンは心配性だね」
エレン「当たり前だ、何があるかわからないこんな状況だぞ」
ヒストリア「大丈夫だよ…私達は必要な存在みたいだし、たぶん死ぬような事は…」
―――――別の場所
ハンジ「レイスはエレンを食う気だ」
エルヴィン「そりゃ大変」
―――――
エレン「………なあ、なんか今ものすごい嫌な予感がしたんだが」
ヒストリア「実は私もだよ」
エレン「そうだ…この世界は何があるかわからない…」
ヒストリア「…」
エレン「例えば…」
ヒストリア「…」
エレン「俺が喰われるとか」
ヒストリア「………」ブルブル
エレン「…なんて、まさかな!まさかそこまで残酷な事があるなんてあり得ないよな!!」
ヒストリア「だよねー、さすがにそれは言い過ぎだよー」
エレン「あはははは」
ヒストリア「あはは」
エレン「…はあ…しかしやっぱ心配だな……今までも予定外の事が何度も起きてるし」
ヒストリア「大丈夫だよエレン義兄さん。ミカサ義姉さんとアルミィンが助けてくれるよ」
エレン「まあ、もう何も突っ込まないが……そりゃあいつらは頼りになるしリヴァイ兵長もいるけど……」
ヒストリア「…信じるしか無いよ。私達は何も出来ない状態だから」
エレン「…そうだな」
ヒストリア「それに……壁内のゴタゴタを片付けなきゃ壁外の話もマトモに描けないし進めれないから、何だかんだで上手く行くと思うよ」
エレン「って、そういう事は言っちゃダメだろ!!?前も変なこと言ってたしよ!!」
ヒストリア「あ、ゴメン…エレンといるとついメタ的な発言を」
エレン「意味がわかんねぇよ」
ヒストリア「私とエレンが訓練兵時代に絡みがなかった理由もきっとこれだね。私がメタ発言をしちゃうからだね」
エレン「どんな理由だよ。本当に止めとけよそういうの」
ヒストリア「わかったよ」
エレン「だいたい俺がお前に話さなかった理由は気持ち悪かったからだし」
ヒストリア「…酷い…」
エレン「前にも言っただろ。でも今のお前はいいと思うよ」
ヒストリア「わかった。ならもっとメタな事を…」
エレン「それは駄目だ」
ヒストリア「厳しいなあ、エレンは」
エレン「…そろそろ真面目な話するがな」
ヒストリア「…ネガティブになりたくないからふざけてたのに」
エレン「現実から逃げるな。…もしクーデターが成功したら、お前は女王は本気でやる気あるのか?」
ヒストリア「…わからない…やりたくないけど、やらなくちゃいけないんだと思うし……」
エレン「…」
ヒストリア「…私は…皆とも打ち解けられたし…皆好きだよ。でも……やっぱりまだ、自分がどうすればいいのか…何をして生きればいいのかは良くわかってない。だから流されるがままになってる」
エレン「…やっぱりまだ悩みはあるんだな。それを紛らわそうとふざけてたんだな」
ヒストリア「バレたか」
エレン「お前はいちいち難しく考え過ぎなんだよ。生きる目的なんてそう難しいもんじゃなくていいと思うよ」
ヒストリア「…」
エレン「例えば…今の俺達は力を持つ奴等に追われてばかりで自由なんかあったもんじゃないだろ。だからまずは自分達の邪魔する奴を倒して自由になる。生きる目的なんてそんな事でもいいんじゃないか」
ヒストリア「…そうだね」
エレン「まあ、もちろん問題を後回しにするのは駄目だが……だからと言って深く考え込みすぎるのも駄目だな。お前は自分の中で塞ぎ込んで考え込む癖があるだろ、そういうの良くないぞ」
ヒストリア「…ありがとう。ちょっとは楽になったよ」
エレン「ああ。まずは無事に成功させて皆のとこに帰るんだ」
ヒストリア「うん。帰ったらミカサとまた蒸かした芋を食べよう」
エレン「…考え方が暢気なのは元からなんだな」
はよはよ
コンコン
ヒストリア「はい、鈴木です」
エレン「またそれかよ」
ガチャッ
ケニー「エレン、ヒストリア、元気にしているか」
ヒストリア「…」
エレン「こんな拘束されてて元気に出来る訳ないでしょう」
ケニー「それもそうだな、ははは!」
ヒストリア「…」
エレン「何の用ですか?」
ケニー「ロッド・レイスが一緒にご飯を食べたいそうだ」
ヒストリア「!?」
エレン「は!?」
―――――
ロッド「ヒストリアと一緒に食べる初めてのご飯、楽しみだなぁ」ワクワク
食堂
カチャカチャ
ロッド「いっぱい食べて大きくなるんだぞ」モグモグ
ヒストリア「…うん」モグモグ
エレン(何考えてんだよこの人)
ロッド「エレン君も遠慮せず食べられなさ…間違えた。食べなさい」
エレン「いま食べられなさいって言おうとしませんでした?」
ロッド「気のせいだよ、あはは」モグモグ
ヒストリア「…」モグモグ
ロッド「ヒストリア…本当にすまなかったな」ぎゅううう
ヒストリア「…ご飯中に抱き締めないで…」
ロッド「ああ、すまないヒストリア…許してくれ」
ヒストリア「もういいよ」モグモグ
エレン(何かただの娘大好きな親父にしか見えねぇ)モグモグ
ロッド「美味しいか?野菜も食べるんだぞ?おかわりもいっぱいあるぞ?」
ヒストリア「うん、美味しいし野菜も食べるしおかわりも貰うから…ベタベタしないでよ」モグモグ
エレン(なんか怪しむ気も失せたな)モグモグ
ロッド「ヒストリア…友達は出来たか?」
ヒストリア「うん」モグモグ
ロッド「彼氏は出来たか?」
ヒストリア「いない」
ロッド「もったいないなぁ」
エレン(俺ここにいるの邪魔な気がしてきたな)
ロッド「エレン君、ヒストリアと仲良くしてくれてありがとうな」
エレン「いえいえ、仲間ですから当然ですよ」
ロッド「エレン君はイケメンだな…私と同じくらい。きっと彼女もたくさんいるんだろう」
エレン「いやいや、そんなこと…」
ヒストリア「ミカサ」
エレン「あ?」
ヒストリア「何度だって巻いてやる。これからもずっと俺が何度でも」
エレン「おい待て」
ヒストリア「ありゃもうプロポーズだね」モグモグ
エレン「へ、変な事言ってんじゃねぇよ!ミカサはただの家族…」
ヒストリア「家族…要するに妻って事ね」
エレン「おいコラ!!」
ロッド「そうか、エレン君はもう結婚してるのか」
エレン「はああ!?」
中央憲兵「大変です、レイス卿!!」
ロッド「なんだ、私は今娘と食事中なんだ」
中央憲兵「レイス家が調査兵団に制圧されました!!」
ロッド「なんだと!?」
ヒストリア「あ、助けに来てくれたんだね」
エレン「あいつらならやってくれると信じてた」
中央憲兵「どうしましょう…このままでは」
ロッド「まあいいや。ヒストリアと一緒にご飯食べれたから満足だよ」モグモグ
中央憲兵「んな!?」
ヒストリア「じゃあもう心配なくゆっくりご飯食べれるね」モグモグ
ロッド「ああ、まだたくさんあるから食べるんだぞ」
エレン「この暢気な感じ…やっぱ親子なんだな」
ミカサ「エレン、ヒストリア…助けに来た」ガチャッ
アルミン「良かった、無事だったんだね」
エレン「おう、信じてたぜ二人とも」
ヒストリア「一緒にご飯食べよう」
ミカサ「これは美味しそう…私も食べる」モグモグ
ヒストリア「美味しいでしょ?」
ミカサ「ええ、とても美味しい」モグモグ
アルミン「ちょ、何敵の領地で暢気に食事なんか…」
ロッド「君も遠慮せず食べなさい」
アルミン「は!?」
エレン「もうこの人なんなんだろうな」
ドタドタドタドタ…
サシャ「ご飯!!!」ガチャッ
コニー「おい、何してんだよお前!」
ジャン「ここは敵の領地…」
ヒストリア「あ、三人も来た」
ミカサ「一緒に食べよう」
コニー「は!?」
サシャ「ほら、私の言った通りここでご飯食べてました!!」
ジャン「なにしてんだよお前ら…」
ヒストリア「ご飯だよ」
ロッド「…ヒストリア…良かった、こんなに友達が出来ていて。きっとよく笑う子になったんだろう」
ヒストリア「そんな事ないよ。私は空っぽな人間…」
アルミン「いや、それはないよ」
ミカサ「どこも空っぽではない」
エレン「お前は普通の人間だよ」
ヒストリア「…あははっ!!」
おしまい
乙乙
今回も良かった
暢気なクリスタが書きたかったって事?
原作と大きな展開の違いがあるようにも思えないし
何がしたかったのか分からん
何をしたかったのかわからんてよく聞くがこんなチラ裏紛いの所で目的を求めてどうすんだよ
単純にツマランってことだろ。意図があるなら納得できる場合もあるからな
このSSまとめへのコメント
なかなか楽しい展開になっていったんだww