女「殺人はいけない事だよ。」男「そうかな?」(23)

女「どんな理由があろうと駄目だよ。」

男「誰かを助ける為とか。」

女「だめー。」

男「死にたがってる人を殺してあげるとか。」

女「だめ。」

男「うーん…でも、人間だけだよね。」

女「何が?」

男「1人殺されたぐらいで騒ぎになるの。」

男「蚊が1000匹殺されようと、
  誰も興味は持たないだろうしね。」

女「へりくつ言わないのー。」

男「もー…ガンコだなー…」

女「お互い様だよね。」

男「どうしても駄目なの?」

女「もちろん。」

女「殺人はいけない事だからね。」

男「…自分が対象でも?」

女「…正当防衛ってこと?」

男「違う違う、そっちじゃない。」

男「僕が僕を殺害するんだ。」

女「…自殺って言ってよ。」

男「まわりくどい言い方好きなんだ。」

女「…何で急にそんな事言い出すの?」

男「殺人ができないなら、
  生きててもしょうがないしね。」

女「殺人鬼みたいだね。」

男「あながち間違ってないかもね。」

女「じゃーさ…」

女「私を殺せば?」

男「…」

男「ズルイね…無理だとわかってて
  そーゆー事言うんだから…」

女「へへーん。」

男「さてと…どうしよっかな。」

女「何が?」

男「殺人と自殺。どっちにしよっかなって話。」

女「…ガンコだなー、どっちも選んじゃダメなんだよー。」

男「…それは難しいかな。」

女「周りの人が悲しむよー。」

男「ある人が幸せになればそれでいいんだ。」

男「…それに、どちらの選択肢も僕の自己満足だしね。」

女「自己中っていうんだよ、そーゆーの。」

男「僕は最悪な称号は、全て持ってるつもりだよ。」

女「殺人っていっても、誰を殺すつもりなの?」

男「人生で一番怨んでる人。」

男「…絶対に殺す。」

女「…」

男「命をかけてでも…絶対に…」

女「何があったの?」

男「…」

女「うーん…まあ、答えてくれないよね。」

男「知らない方が良いこともあるんだよ。」






女「私の為でしょ?」

男「……っ!」

男「…」

男「はぁ…分かってたのか…最初から…」

女「気付いてないと思ってたのー?」

男「…理由は女が知ってる通りだよ。
  今すぐにでも殺してやりたいんだ。」

女「ダメだよー。そんな事したら捕まるよ?」

男「殺せれば、その後の事はどうでもいいよ。
  死刑になったとしても、どうでもいい。」

女「私は悲しいけどな。」

男「…」

男「はぁ……」

女「もう諦めるのです。」

男「自殺……」

女「も、しちゃダメ。」

男「…」

女「…」ジー…

男「わかったよ…降参……僕の負けだ…」

女「うーん…じゃあ二つ約束して?」

男「…約束?」

~2年後~
TV『今日、2年前から逃走を続けていた
  殺人犯の○○容疑者が逮捕されました。
  詳しい状況は……』

男「遅すぎるよ……
  約束守るのどれだけ辛かったと思ってるんだ。」

男「…」チラッ

カレンダーを横目に見る。
今日は女の誕生日だ。

男「久しぶりに会いにいこうかな。」

電車を乗り継ぎ、1時間くらいで目的地の駅に着いた。

近くのコンビニと花屋で、
りんごジュースとピンクの花を買った。

そのまま20分ぐらい道なりに歩く……






男「…着いた。久しぶり、女。」

返事が返ってこない事なんか分かってる。
一方的でいいんだ。ただの自己満足だから。

男「自分で言うのもなんだけど…」

男「約束をすぐ破る僕が、約束を守れたんだ。
  これって奇跡だよね。」

男「あ、はい。プレゼントだよ。」

石段の上に、りんごジュースとピンクの花を置く。

男「…そっか、もう一つの約束も残ってたね。」

男「守れるかどうか分からないけど、守ってみるよ。」

男「だからそっちも約束守ってね。」






ーもちろんだよ♪ー

【約束】
女「2つ約束して?」

男「…何?」

女「1つは、殺人と自殺をしない。」

男「それ2つじゃん…」

女「つべこべ言わないの。」

男「…分かったよ。次は?」

女「……幸せになって。」

男「……え?」

女「幸せな人じゃないと、
  他人を幸せにはできないんだって。」

男「…」

女「だから、最高に幸せな人になって
  私に会いに来てよ。」

女「世界で一番幸せになって?それが2つ目の約束!」

男「…難しいね。」

女「男ならできるよー。頑張れ!」

男「…分かった。」

男「じゃあ、こっちからも1つ約束していい?」

女「?」

~?年後~
「あー…やっと見つけた…」

『!よくわかったねー!』

「探すだけで1か月ぐらいかかったよ…」

『幸せになったー?』

「うん。たった今ね、世界で一番の幸せ者になったよ。」

『?』

「…君に会えたからね。」

『……///』

『…じゃあ、私も約束守んなきゃね!』

「…自分で言っておいて何だけど…
 約束だからって無理しなくていいよ?」

『ううん。むしろこっちからお願いしたいくらいだよ。』

『私とー…』

「あー、そーゆーのは僕の役目だよ。」







「……女、僕と結婚してください。」

『…はいっ、喜んで!』///

これで終わりです。

つたない文章でしたが、
読んでくださりありがとうございました。

乙!

乙ー
面白かった

読み返してみて、わかりづらかったので補足。
っていうよりネタバレ。


女は1か月前に既に死んでいて幽霊状態で男と会話。
男は、[女は死んでいる事に気づいていないのだろう]
と思い気付かせないように接し続けてきた。
(実際、女は全て知っていた。)

女が死んだ理由は殺人犯に殺されたから。
男の怨んでいる相手はそいつ。
2年後に捕まったのがその殺人犯。

そして自殺もすることなく、寿命で死んだ男は
あの世で女と再会。

ちなみに、あの二人は元々付き合っていた。
ので、結婚してくださいって流れに。


やっぱりシリアスは向いてない…
以上、蛇足でした。

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