【ミリマスSS】昴「朋花が変だ」 (16)

ミリオンライブのSSです。
設定がゲームと違い本家AS組とシアター組は同期ではなくAS組がずっと上の先輩です。設定は映画に近いです。
あと百合が含みます。苦手な方は退避してください。ともはるです。







「最近ロコの奴がペイントアートに目覚めたらしくてさー」

「ふふ、そうだったんですか?」

渋谷の人通りの多い街中。765プロ所属のアイドル天空橋朋花と永吉昴は他愛もない雑談をしながら歩いていた。アイドルでありながらだが街中でも騒ぎになるほどは知名度もまだ出ていない。

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ふと二人の足が止まった。厳密に言えば朋花の足が止まりつられて昴の足が止まった流れだった。
昴は朋花の目線を合わせた。先には同じ事務所の先輩にしてトップアイドルとして活躍している天海春香のポスターが張られていた。

「あ、トップアイドル天海春香じゃん」

「かわいいよなー。1回でもいいから彼女にしてー」

「お前には無理だろ。彼女は国民的有名な天海春香だぞ」

立ち止まってる朋花に声をかけようとした矢先に昴はそんな言葉を耳にした。
昴の隣にいた朋花は苦めたような顔をする。昴はなぜだろうと疑問に思った。朋花は人一番に春香の事を尊敬しているはずだ。 

「朋花?」

昴は彼女の腕をつつく。

「……朋花、どしたの?」

昴は恐る恐る尋ねてみた。
朋花は顔で不機嫌そうに彼女を振り返る。

「どうしましたか??昴ちゃん」

朋花はファンの言葉くらいで不機嫌になるような奴じゃない事は昴もよくわかっている。しかし今の朋花は立ち止まる前の彼女よりどこか感情を込めた表情になっていた。

「どうしたんだよ朋花」

「どうしたって、私何もしてないですよ」

「えっと、顔がいつもより怖いよ」
 
 そこで朋花は自分がいま初めて表情を歪めていることに気付いたようだった。感情管理の上手な彼女にしては珍しい反応だった。

「何か気にさわることあったのか。さっきの奴に変なこと言われたとか」

「……特に何もありませんよ。間違った事も言われてません。……ここは人が多いですしさっさと行きましょうか」

人混みの中唐突に小走りで駆けていく朋花の後ろを慌てて昴は追いかけた。

「……って事があったんだよ」

「それ、ただ昴さんの見間違いじゃないですか」

本のページをめくりながら昴の体験談を最後まで聞いていた百合子の第一声は否定からだった。


「でも最近朋花が思い詰めた表情すること多いじゃん。偶然とは思えないんだよな?」

「でもそれだと朋花さんが春香さんの人気に嫉妬しているという事になりますよ」

「いや、それは違うと思うけどさ」

朋花の春香への尊敬の念は昴も百合子も十分承知している。人を贔屓しない朋花が唯一アイドルを語るときしきりに彼女の名をあげる。おそらく意識も無くに。

「そこまで気になるのなら朋花さんに直接聞いてみてはいいのではないでしょうか」

「いやなんていうのか、聞きづらい雰囲気なんだよ。冗談半分ではやれないんだよな」

昴自身問いただそうとは思った。だがあのときの表情が浮かび躊躇させた。
あの時は怖い顔としか表現できなかったがとっさに出た言葉であの表情はそうーーー自分でもわかっている事を苦み潰して受け入れるような、そんな…。
昴は同じ朋花の表情を見たことがあった。あれは確か春香さんとの合同レッスンの時に……

「女の子には一つか二つ秘密をもっているものなのですよ」

「わっ、まつりさんいつのまに」

百合子は思わず飛び上がりそうになる。
突然表れた765プロふわふわアイドル(本人談)徳川まつりが横やりをはさんだ。

「先ほどからいたのですが真剣そうな話をしていたので気配を消していたのですよ」

「まつりさんは何者何ですか……」

「姫は姫なのですよ。ところで昴ちゃん」

まつりの昴に向ける視線が真面目になったのを昴は感じた。

「えっ、なんだよまつり」

「人には知らない方がいい秘密もあるのですよ。これ以上は後悔するのです……ね」

「な、なんかまつりに言われると説得力あるよな」

「ほ?なんのことかわからないのですね」

笑顔でその言葉を残すとまつりは部屋を後にした。疑問は残されたまま……。
そのあと昴も百合子もその事を言及できないまま次の話題へと移していく事になった。

期待

「やっぱちょっと肌寒いなー」

それからいくらか日が経った寒さが残る秋。今日は765プロのライブが行われる日である。
しかし出れるのは創立から支えてきた先輩13人だけ。まだ実力も知名度も出てない昴は影ながら応援することしかできない。
この日昴はオフだったがどうせならライブの雰囲気だけでもとかけなしのこづかいを集めてチケットを確保し会場に駆け付けた。

「男の人だらけで慣れないな。こんなことならロコの奴も誘ってやるんだったかな。でもチケット一つしかとれなかったし。あ、やっば時間ギリギリだったんだ」

慣れないライブ会場に戸惑う昴を気にも止めずライブは進行する。やがてTHE IDOLM@STERのイントロが流れ格歌い手が登場し始める。
待ってましたと歓声が各自あがっていく。

「うわすげー。ライブはこんなにも迫力が違うものなのか」

そのパフォーマンスの姿に昴は圧巻され振り方も知らなかったサイネリウムをただ振って……そんな昴の目に映ったのは一人佇む朋花の姿。

ともはるとか俺得

「なんだよ朋花も来てたんじゃんか。どうせなら教えてくれればよかっ……」

かけようとして近づいたところでかけようとした言葉が詰まり、触れようとした手が膝の前に落ちた。この盛りがる会場の中虚ろに近い目でステージを見上げていたからだった。
朋花はずっと春香を見つめていた。曲がREADY!! に変わった後もずっと、春香が出番でない時もずっと春香の残像を追っていた。

昴は気づいた。朋花は自分が想像していた以上に、後戻りできないくらいに春香を想っているのだと。
そして今、もしかしたら生涯かけてもの自分ではその隣に立つことは出来ないという現実に聞かせている事に。

「あ、トップアイドル天海春香じゃん」

「かわいいよなー。1回でもいいから彼女にしてー」

「お前には無理だろ。彼女は国民的有名な天海春香だぞ」

「まあ俺達一般庶民は誰も釣り合わない。彼女の隣にたてるのはせいぜい同じ765プロの如月千早くらいだな」

昴は聞こえなかった言葉。それは意識の差、朋花は誰よりもその事を理解し言い聞かせていたからこそ聞こえた言葉。
その薄く灰色に混じった感情を理解し表すには15歳になったばかりの昴にはとても難しすぎるもので、昴はただただ立ち尽くすことしかできなかった。

「……昴ちゃん?」

放心してる心を元に戻してくれたのは朋花の呼び掛けだった。いつの間にか立場が逆転していたらしい。

「……と、朋花かよ偶然だよな。こんなところで会うなんて」

「ええ、そうですね。昴ちゃんも来てたのですね」

朋花はいつもの朋花に戻っていて、なんだかさっきの姿は嘘のように思える。だが付き合いも永くなる昴は朋花が自分達の前では素の自分を隠すのが上手いことも知っていた。

そんな昴でも朋花に問いかけることも励ますこともできない。今の昴にはあれをどう表現するのかさえわからなかった。

朋花の声が止まる。曲は春香のソロである乙女よ大志を抱けに差し掛かっていた。

「朋花……オレ達もいつかあのステージへ行こう」

昴がなんとか振り絞って出した言葉だった。

「ええ、そうですね」

朋花は笑顔で返した。その笑顔が偽りか本心かどうかは昴にはわからなかった。

ともはるが少なくてカッとなって書いた。今は反省している。

短くてつまらないでしたが終わりです。
読んでいただきありがとうございました 。



誤字に気をつければもっと良かった

乙っした

おつおつ!

ともはるわっほい!!

ろうきゅーぶかと思ったわ

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