花陽「絵里ちゃんの笑う顔が見たい」 (36)
絵里「……」
花陽「絵里ちゃん、どうしたの? 眠い?」
絵里「……あのね、最近寝不足なのよ。だからこう、目をこうして閉じたり開いたりしてみてるの」
花陽「夜更かししてるとか?」
絵里「ううん、してない」
花陽「じゃあ何でだろう……」
絵里「なんでかしらね」
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花陽(このままじゃ、絵里ちゃんが不機嫌そうに見えちゃうよぉ)
花陽(私が何とかしてあげないと……絵里ちゃんは生徒会の仕事もμ'sとしての活動も頑張ってるんだし)
絵里「花陽はよく眠れる方法知らない?」
花陽「えっ? 私? 私は……そうだねぇ」
花陽「……しっかりご飯を食べて、ゆっくりお風呂に浸かってベッドに入る、かなぁ?」
絵里「あら残念。今はできないわね」
花陽(し、しまった!)
花陽「じゃ、じゃあ羊を数える、とかは? 割と典型的なものだと思うけど……」
絵里「羊ね、羊……」
花陽(こ、これなら……)
絵里「羊……数えるのが億劫だわ」
花陽(……どうすれば)
絵里「枕がいけないのかしら」
花陽「まくら?」
絵里「そう、枕」
花陽「固いの?」
絵里「ううん、そんなことないわ」
花陽「じゃあ柔らかすぎるとか?」
絵里「そうでもないの。普通よ」
花陽(あれ?)
絵里「どうしてかしらね……」
花陽「え、じゃあどこがいけないの?」
絵里「たぶん花陽の膝じゃないからよ」
花陽「ええっ!?」
花陽(わ、私、絵里ちゃんに膝枕なんてしたことあったっけ?)
花陽(……もしかすると覚えてないだけ?)
花陽「絵里ちゃんは私の膝なら眠れるの?」
絵里「もちろんよ」
花陽(で、でもここ部室だし、いつみんなが来るかわからないし……でも)
花陽「絵里ちゃんが眠れるなら……!」
絵里「いいの、花陽。好きでもない相手に膝を使わせてあげるなんて」
花陽「絵里ちゃんならいいよぉ。好きでもないなんて言わないで」
絵里「……ありがとう」
花陽(あ、ちょっとうれしそう)
絵里「少しだけ借りてもいいかしら。おひざ」
花陽「うん……頑張るね」
絵里「頼むわね」
絵里「よいしょっと」
絵里「……」
花陽(あ、あれ? 急に真顔になった!?)
花陽「……もしかして寝心地悪かった?」
絵里「いや、その逆よ。想像以上のフィット感だわ……」
花陽(う、それってお肉ついちゃってるってことじゃ……)
絵里「下から見える花陽の顔もかわいいし、文句のつけようがないわ」
花陽「や、やめてぇ! 花陽を見ないで!」
花陽(お顔の回りはお肉ついてないと思うけど、下から見られたら絶対に変な風に見えちゃうよ!)
絵里「ねぇ花陽」
花陽「……見ちゃダメだよ?」
絵里「うん。見てない」
花陽「本当に?」
絵里「本当よ。そもそも花陽の顔は見えるわけないじゃない」
花陽「え?」
絵里「可愛い顔してこんな……2つの巨大な武器を持ち合わせてるなんて……花陽は本当に侮れないわ」
花陽(武器? 武器って何?)
花陽「ねえ絵里ちゃん、武器って?」
絵里「今それを口にすると眠気が吹き飛んじゃうから内緒」
花陽(……何だろう)
絵里「でもやっぱり見立て通り、花陽の膝枕は格別ね」
花陽「あ、そうだ絵里ちゃん。私が絵里ちゃんに膝枕したことって……これが何回目になるのかな?」
絵里「1回目よ」
花陽「あれ!?」
花陽(で、でもやったことあるようなセリフだったのに……)
絵里「……実は花陽に甘えてみたかった、なんて言ったら笑う?」
花陽「えっ?」
花陽(絵里ちゃんが……私に?)
絵里「いや、さっきのはナシ。忘れて」
花陽「ううん、笑わないよ」
絵里「……本当?」
花陽「うん、だってうれしいもん」
絵里「うれしい……?」
花陽「そうだよ。絵里ちゃんは花陽の……憧れみたいなものだから」
ちょっとここまで
所用で今日は中断なのです
乙
我肉棒激硬我慢不出来
絵里「憧れ? 私が?」
花陽「うん、憧れだよぉ」
絵里「それはどうしてかしら?」
花陽「絵里ちゃんは廃校を阻止するために、ずっと1人で頑張ってきたでしょ?」
絵里「まあそうね。あの時は周りが見えてなかったというか……」
花陽「でも諦めなかったよね?」
絵里「うん、諦めたら誰も助けてはくれないもの」
絵里「……正直に言うと、あの時は誰かに頼る方法を思いつかなかったのよ」
絵里「どうにかしようと思うのも、全部自分の中だけで完結してて」
花陽「本当はもっと自由に、やりたいことがあったのに我慢してたんだよね」
絵里「……今は我慢してない」
花陽「ふふ、それならよかった」
花陽「でも事実、絵里ちゃんはこうやって弱音を吐かずに頑張った」
花陽「それが強さなんだと思うなぁ」
絵里「強さ?」
花陽「そう、意志の強さ。私にはそれがないの。周りに流されちゃって」
絵里「今はそうでもないんじゃないの?」
花陽「そうかも。前は凛ちゃんがいないと何もできなかった」
花陽「絵里ちゃんに憧れて、絵里ちゃんみたいになりたいと思ったからだろうね」
絵里「私みたいな意志の強さを持ちたかった、ってこと?」
花陽「うん、そういうこと」
後輩に甘える弱気チカいいぞ~
絵里「嬉しいわ」
花陽「私も、絵里ちゃんがこうして甘えてくれるのは嬉しいよ」
花陽(まあ絵里ちゃんはみんなにこうして甘えることができるんだろうけど……)
絵里「あはは、そうね。花陽は話やすいから」
花陽「話しやすい?」
絵里「ええ、近すぎず遠すぎず。一番いい位置にいてくれるから」
花陽「で、でもそれは希ちゃんの方が……」
絵里「ああ見えてあの子は脆いの。自分のことに鈍感だから、私が頼ってると知らない間に傷つけてしまうかもしれない」
絵里「それに付きっきりで相手に寄り添ってくれるの。それが自分の負担になるのに気付かずに、ね」
花陽(そんなの全然気づかなかった……)
絵里「だから友達として心配なのよ。希は誰かに頼るべきだって」
花陽「……たとえば、誰がいいと思う?」
絵里「そうねぇ……それは……意外と真姫かしら」
花陽「真姫ちゃん?」
絵里「そう。希は私も真姫も不器用で似てる、なんて言ってたけど、本質的に似てるのは真姫と希の方なのよ」
絵里「本当のところで素直に慣れないとこが、特にね」
花陽(……絵里ちゃん、ちゃんと見てるんだ)
絵里「それにしても花陽の膝は落ち着くわ。花陽を選んで正解だった」
花陽「ありがとう、うれしいなぁ」
絵里「こんなこと、絶対に花陽以外には頼めないわね……みんなには内緒にしておいてよ?」
花陽「……」
花陽(私以外には頼めない?)
絵里「どうしたの花陽。黙っちゃって」
花陽「い、いや。どうして私以外には頼めないのかなぁって」
絵里「うーん、たぶん聞くと花陽は驚くと思うんだけど……」
花陽「?」
絵里「私もね、花陽のことに憧れてる部分があるのよ」
花陽「ええっ!?」
花陽(こ、こんな私のどこがいいの!?)
絵里「花陽、膝が、膝が揺れてる」
花陽「あ、ご、ごめんなさい」
絵里「いいのよ。びっくりさせちゃったの私だから」
絵里「さっき私に憧れてるって話を花陽がしたでしょ? それを聞いて思ったの」
絵里「花陽はずっとアイドルに憧れてて、それを叶えた」
絵里「次は私に憧れて、それを叶えようとしてる、違う?」
花陽「そ、それは……」
花陽(確かに自分で動くようにしたり、気持ちだけは叶えようとしてる……のかも)
絵里「まあそれはいいとして、とにかく私は花陽の、自分の限界を理解してるところがすごいと思うの」
花陽「限界?」
絵里「穂乃果は見てわかる通り、自分の限界を超えてまでみんなのために動こうとするでしょ?」
花陽「うん、それは見てて思うよ。どこにそんな力があるんだろう、って」
絵里「だからこそストッパーがいるの。海未とことりっていうね」
花陽「ストッパー……」
絵里「にこもかなり無茶するし、μ'sって意外と根性でなんとかしようとする人が多いの」
花陽(う、確かに……)
絵里「だから堅実に、一歩一歩目標に近づこうとする花陽は、見てて一番安心する」
花陽「安心するの?」
絵里「そうよ。だからこうして一緒にいて落ち着ける」
絵里「情けないこと言うけど、花陽は急に私を追い越したり、いきなり倒れたりしないでしょ?」
絵里「私はそういうのを見ただけで動揺しちゃうのよ。早く追いつかなきゃ、助けなきゃって」
花陽「絵里ちゃんらしいね」
絵里「あら、驚かないの?」
花陽「うん、あこがれてたって言うのが一番びっくりしたから」
絵里「じゃあもっとびっくりさせることを教えてあげる」
花陽「?」
絵里「私はね、そんな花陽をずっと隣で見ていたい」
花陽「……ぷ、プロポーズ?」
絵里「そうとってもらって構わないわ」
花陽(絵里ちゃんからそんなこと言われるなんて……うぅ、どうしよう)
絵里「答えは私が寝るまでにちょうだい」
花陽「え、えぇっ!?」
花陽(でも私は、絵里ちゃんがμ'sに入ったその日から絵里ちゃんのことが気になり始めてたんだよ)
花陽(絵里ちゃんが困ったら助けてあげたいって思う)
花陽(それならたぶん、答えになるんじゃないかな?)
花陽「絵里ちゃん」
絵里「あら早い。もう決めたの?」
花陽「決めた、って言うより決まってたの」
絵里「……聞かせて」
花陽「絵里ちゃん、起きて」
絵里「隣に座ればいいかしら」
花陽「うん」
花陽「私もね、絵里ちゃんを傍で見ていたい」
絵里「うれしいわ」
花陽「だって絵里ちゃん、1人じゃ心配だから」
絵里「う、痛いとこ突かれた」
花陽「ふふ、それに絵里ちゃんには甘える人がいるからね」
絵里「じゃあ花陽は、その……」
花陽「うん、私も絵里ちゃんが好きだよ」
絵里「……やっぱり花陽って強いわ。私は目を合わせなかったのに、わざわざ起こしてから言うんだもん」
花陽「そうかなぁ?」
絵里「そうよ」
花陽「じゃあもう1回寝ていいよぉ」
絵里「ありがとう。今度はぐっすり眠れそうな気がするわ」
花陽「うん、それじゃあおやすみ」
絵里「おやすみ」
絵里「……」
花陽「……絵里ちゃん、起きてる?」
絵里「……何でわかったの?」
花陽「絵里ちゃん顔真っ赤なんだもん。わかるよぉ」
絵里「バレてたかぁ」
花陽「ふふ、絵里ちゃんやっと笑った」
絵里「そう?」
花陽「うん、今までずっと難しそうな顔してたもん」
絵里「そりゃ緊張するわよ。初めて好きな人に甘えてみようと思ったんだから」
花陽「でも、寝不足って言うのは本当だよね」
花陽(きっちりクマができてるし)
絵里「まあね。今日が一番いい日だったから今日言おう今日言おうって気持ちだけ先走っちゃって」
花陽「あ、そっか。みんな用事で先に帰っちゃったもんね」
絵里「ええ、こんなに都合のいい日はなかったわ。だから、眠れなかったの」
花陽「そうなんだ」
花陽(でもたぶん、その用事って言うのは……)
花陽「絵里ちゃん、みんなには内緒にしておくからね」
絵里「ん? どうしたの急に」
花陽「ううん、安心してね、ってこと」
絵里「うん。信じてるわ花陽。おやすみ」
花陽「おやすみなさい」
花陽(……みんな、ドアの隙間から見てるのバレバレになってるよ)
おわり
おつ
暴れる凛ちゃんを皆で抑えてそう、乙
かわいい…たまらんなぁ
乙でした
乙
おつ
このSSまとめへのコメント
最近、絵里のカップリング作品が多い
春夏秋冬シリーズはよ