※モバマス
※短編
※菜々さんほぼ出てきません
※タイトルで落ちてる感あります
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「――いやあ、無理だろ」
「やってみないとわからないじゃないですか」
「そう……かもしれないけど」
「いいですよ。それなら、賭けましょう」
「賭け?」
「17歳の間にトップアイドルになれたら」
「うん」
「なんでも言うことを聞いてくれる、ってのはどうですか?」
「ああ、いいぜ」
「それじゃ、5月14日にプロポーズしてください」
「……うん?」
「次の日にふたりで届を出しに行くんです」
「そりゃ、誕生日同じだし、俺も18歳になるからなー。確かに結婚できるけど」
「トップアイドル、電撃引退! 相手は幼馴染!? ……どうですか?」
「ははは、無茶苦茶だなあ」
「あ、本気ですからね!」
「いいよ、面白いから。その賭け、乗った。17歳の5月14日、な」
「!! 約束ですからね!!」
「はいはい。約束な。応援してるよ」
………
……
…
ちひろ「そういえば、プロデューサーさん」
モバP「なんですか?」
ちひろ「プロデューサーさんって、お幾つなんですか」
モバP「17歳ですよ?」
ちひろ「大学、卒業してますよね」
モバP「……いいですかちひろさん、世の中には飛び級という制度がありましてね」
ちひろ「そういうのいいですから」
モバP「じゅうななさいです」
ちひろ「プロデューサーさんじゅうななさい」
モバP「いや、流石に37歳じゃないですよ」
ちひろ「それは見ればわかりますけど……って、流石にって言いました?」
モバP「気づかれましたか」
ちひろ「それ明らかに17歳じゃないじゃないですか!」
モバP「17歳ですって」
ちひろ「菜々さんの担当だからって、プロデューサーさんまでつきあわなくていいのに」
モバP「キャハッ☆モバピーじゅうななさい♪」
ちひろ「うわぁ……」
モバP「さて、そろそろ菜々を迎えに行ってきますね」
ちひろ「あ。はい、行ってらっしゃい」
モバP「送ったら戻りますので。飲み行きましょう」
ちひろ「17歳の人とは行けませーん」
モバP「残念だなあ、17歳だから仕方ないなー」
ちひろ「もう。ホントは幾つなんですか」
モバP「ははは」
ちひろ「もうっ」
モバP「仕事ありますし、どっちにしろ戻ってきますけどね」
ちひろ「私も残業確定です」
モバP「あー。それじゃ、ふたりで楽しくやりましょうか」
ちひろ「はいはい。行ってらっしゃーい」
モバP「はい、行ってきます」
…
……
………
モバP「っはー、休憩休憩、っと。ちひろさん、コーヒー飲みます?」
ちひろ「あ、お願いします」
モバP「いやあ、思ったより掛かりましたね。イベント近いんで仕方ないですけど」
ちひろ「あ、明後日は菜々さんのバースデーライブでしたっけ」
モバP「ええ。5月15日、17歳のバースデー! ですね」
ちひろ「菜々さん、いまでも17歳ですよね」
モバP「ええ」
ちひろ「誕生日になっても17歳なんですね」
モバP「不思議ですねえ」
ちひろ「……前から思っていたんですけど、プロデューサーさんと菜々さんって、事務所に来る前から知り合いだったんじゃないですか」
モバP「ははは。何言ってるんですかちひろさん。俺が菜々より後に入社してきたのは知ってるじゃないですか」
ちひろ「それです」
モバP「それ?」
ちひろ「菜々さんが17歳って言い出したの、プロデューサーさんが来てからなんですよ」
モバP「……へ? いや、いやいやいや」
ちひろ「プロデューサーさん、入社したその日に菜々さんの担当になったじゃないですか」
モバP「え、ええ。菜々なら慣れてるし、新人の俺でも大丈夫だろう、って」
ちひろ「初顔合わせの時に私もいましたけど、プロデューサーさんが自己紹介したあと、菜々さんが自己紹介しましたよね」
モバP「よ、よく覚えてますね」
ちひろ「びっくりしましたもん。『安部菜々、17歳です! キャハッ♪』ですよ?」
モバP「……菜々は、いつもそうじゃないですか?」
ちひろ「プロデューサーさんが来るまでは違ったんですよ!」
モバP「え、ええー……ってことは、アレを……いや、でもなあ……」
ちひろ「やっぱり知り合いだったんですね?」
モバP「あっ」
ちひろ「この際だから教えてくださいよ」
モバP「いや、その」
ちひろ「今ならスタドリもつけますよ!」
モバP「……他の人には、秘密にしてくださいよ?」
ちひろ「約束しましょう」
モバP「嘘ついたら?」
ちひろ「エナドリ1000本飲ませます」
モバP「針じゃないんだ、と思ったけどそれ俺が飲むなら得する話だし、いいか……」
モバP「とは言え、面白い話じゃないですけどね。俺、中学まで千葉……まあ、ウサミン星に住んでまして」
ちひろ「そこ言いなおさなくても。あ、じゃあ、もしかして」
モバP「家が近くで、まあ、幼馴染、みたいなもんだったんですよ」
ちひろ「その頃から菜々さんはアイドルを?」
モバP「目指してましたね」
ちひろ「でも、それがどうして17歳に」
モバP「うーん、いや、本当にこれのせいかはわかんないんですけど、賭けをしまして」
ちひろ「約束?」
モバP「ええ。菜々が17歳までにトップアイドルになったら、なんでも言うことを聞く、って」
ちひろ「なんでも、ですか?」
モバP「ええ。ただ、俺が中学を卒業した後引っ越してしまって」
ちひろ「でも、連絡は取れますよね」
モバP「離れちゃうと意外と話題もなくて。半年くらいでお互いに、自然消滅、というか……」
ちひろ「……恋人でもない男の子と女の子だと、そういうものかもしれませんね」
モバP「約束のことは覚えてたんですけどね。テレビで見ることもなくて」
ちひろ「色々仕事はしてたんですけどね。本当に有名になったのはプロデューサーさんがついてからですけど」
モバP「ええ。俺もこの仕事はじめてから知りました」
ちひろ「それじゃ、どうしてプロデューサーさんはプロデューサーに?」
モバP「どうして、でしょうね。菜々のことが引っ掛かってたのかもしれません。アイドルになる、ってずっと言ってましたし」
ちひろ「うちに入ったのは?」
モバP「誓って偶然ですよ。菜々がアイドルしてるって知らなかったんですよ?」
ちひろ「でも、結果的に菜々さんのプロデューサーになった」
モバP「ってことです。でも、初めて会ったときから17歳って言ってたんで、そういうキャラで売ってるんだと思ってました」
ちひろ「……プロデューサーさんが17歳って言ってるのは」
モバP「同じ年ですからね。一応は……ってのと、約束を覚えてるのかなー、と思ってですね」
ちひろ「なんでも言うことを聞く、なら、菜々さんが覚えてない方がいいんじゃないですか?」
モバP「……ま、そうなんですけどね」
ちひろ「ははあ、まだ何か隠してますね?」
モバP「本当に秘密にしてくださいよ?」
ちひろ「勿論です。それで?」
モバP「俺、菜々が17歳の間にトップアイドルになったら、5月14日にプロポーズするんです」
ちひろ「……なんでも言うことを聞く、の内容がそれですか?」
モバP「約束したときは、ですけどね」
ちひろ「もしかして」
モバP「その、俺の誕生日も菜々と同じで5月15日なんですよ」
ちひろ「歳も同じ、なんですよね?」
モバP「ええ。で、男は18歳になったら結婚できるじゃないですか。だから、ふたりとも18歳になる誕生日に、って」
ちひろ「ですよねー!」
モバP「とは言え、直接聞くわけにもいかなくて。今日までその約束を菜々が覚えてるかどうかはわからなかった、んですけど」
ちひろ「あっ」
モバP「俺が来てから17歳って言い出したなら、もしかして、って思っちゃうじゃないですか」
ちひろ「……この間、総選挙で2位でしたよね」
モバP「覚えてるなら、タイミングではあるんですよね……」
ちひろ「実際、プロポーズするんですか?」
モバP「……いえ。今の俺の仕事は菜々をトップアイドルにすることですし。菜々は2位で終わる存在じゃないです」
ちひろ「本音は?」
モバP「俺の中では再会した時からずっとトップアイドルです! 今すぐにでもプロポーズしたい!」
ちひろ「アイドルとの恋愛は?」
モバP「御法度です!」
ちひろ「わかってるならいいんですけど」
モバP「まあ、菜々が覚えてるのは、約束の前半だけかもしれませんし。なんだかんだ大分離れてたから、全部覚えてるとは思えなくて」
ちひろ「プロデューサーさんは全部覚えてたんですよね?」
モバP「いや、その。初恋の女の子との約束、って覚えていたいじゃないですか」
ちひろ「……これ、どう考えても……」
モバP「何か?」
ちひろ「いえ、何も?」
ちひろ「……プロデューサーさん」
モバP「あ、はい」
ちひろ「明日、バースデーライブの打ち合わせありますよね」
モバP「はい」
ちひろ「プロデューサーさん菜々さんのとふたりだけですよね」
モバP「確認だけですしね」
ちひろ「その場で菜々さんに聞いてみましょう」
モバP「はい? ちょ、ちょっとちひろさん?」
ちひろ「夢見る女の子はそういう約束に弱いんです」
モバP「はあ」
ちひろ「菜々さんは誰より夢見る女の子ですよね?」
モバP「ええと、まあ、そう、ですかね」
ちひろ「いいですか、絶対に約束の事、聞いてくださいね?」
モバP「いや、でも」
ちひろ「聞かなかったらスタドリの値段を倍にします」
モバP「!?」
ちひろ「わかりましたか?」
モバP「は、はい!」
…
……
………
モバP「打ち合わせ終わりましたー」
菜々「ぷ、プロデューサーさん。菜々はこれで帰りますので!」
モバP「お、おう。明日は頑張ろうな! バースデーライブだしな!」
菜々「は、はい! 頑張りましょう! バースデーライブですし!」
モバP「お、おう! バースデーライブだからな!」
ちひろ「プロデューサーさん」
モバP「……なんですか、ニヤニヤして」
ちひろ「どうなりました?」
モバP「……来年は」
ちひろ「ええ」
モバP「18歳を目指す、そうです」
ちひろ「おめでとうございます。……あ、でも、アイドルは」
モバP「恋愛禁止、ですよね。ええ。その日までは、俺はあくまでプロデューサーです」
ちひろ「プロデューサーさん」
モバP「はい」
ちひろ「応援、してますから」
モバP「……はい!」
ちひろ「ところで」
モバP「はい?」
ちひろ「結局、お幾つなんですか?」
モバP「17歳です!」
おしまい。
菜々さん17歳のお誕生日おめでとうございます!
おっつおっつ
コレは素敵なシンデレラストーリーですわ
乙です
スレタイ的にネタスレかと思ったら良い話だった
乙
いい話だった
乙
良かった
菜々さんかわいい
乙、いい話でした。
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