安部菜々「プロデューサーさんじゅうななさい」 (20)


※モバマス

※短編

※菜々さんほぼ出てきません

※タイトルで落ちてる感あります


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「――いやあ、無理だろ」

「やってみないとわからないじゃないですか」

「そう……かもしれないけど」

「いいですよ。それなら、賭けましょう」

「賭け?」

「17歳の間にトップアイドルになれたら」

「うん」

「なんでも言うことを聞いてくれる、ってのはどうですか?」

「ああ、いいぜ」

「それじゃ、5月14日にプロポーズしてください」

「……うん?」

「次の日にふたりで届を出しに行くんです」

「そりゃ、誕生日同じだし、俺も18歳になるからなー。確かに結婚できるけど」

「トップアイドル、電撃引退! 相手は幼馴染!? ……どうですか?」

「ははは、無茶苦茶だなあ」

「あ、本気ですからね!」

「いいよ、面白いから。その賭け、乗った。17歳の5月14日、な」

「!! 約束ですからね!!」

「はいはい。約束な。応援してるよ」

………

……



ちひろ「そういえば、プロデューサーさん」

モバP「なんですか?」

ちひろ「プロデューサーさんって、お幾つなんですか」

モバP「17歳ですよ?」

ちひろ「大学、卒業してますよね」

モバP「……いいですかちひろさん、世の中には飛び級という制度がありましてね」

ちひろ「そういうのいいですから」

モバP「じゅうななさいです」

ちひろ「プロデューサーさんじゅうななさい」

モバP「いや、流石に37歳じゃないですよ」

ちひろ「それは見ればわかりますけど……って、流石にって言いました?」

モバP「気づかれましたか」

ちひろ「それ明らかに17歳じゃないじゃないですか!」

モバP「17歳ですって」

ちひろ「菜々さんの担当だからって、プロデューサーさんまでつきあわなくていいのに」

モバP「キャハッ☆モバピーじゅうななさい♪」

ちひろ「うわぁ……」


モバP「さて、そろそろ菜々を迎えに行ってきますね」

ちひろ「あ。はい、行ってらっしゃい」

モバP「送ったら戻りますので。飲み行きましょう」

ちひろ「17歳の人とは行けませーん」

モバP「残念だなあ、17歳だから仕方ないなー」

ちひろ「もう。ホントは幾つなんですか」

モバP「ははは」

ちひろ「もうっ」

モバP「仕事ありますし、どっちにしろ戻ってきますけどね」

ちひろ「私も残業確定です」

モバP「あー。それじゃ、ふたりで楽しくやりましょうか」

ちひろ「はいはい。行ってらっしゃーい」

モバP「はい、行ってきます」




……

………

モバP「っはー、休憩休憩、っと。ちひろさん、コーヒー飲みます?」

ちひろ「あ、お願いします」

モバP「いやあ、思ったより掛かりましたね。イベント近いんで仕方ないですけど」

ちひろ「あ、明後日は菜々さんのバースデーライブでしたっけ」

モバP「ええ。5月15日、17歳のバースデー! ですね」

ちひろ「菜々さん、いまでも17歳ですよね」

モバP「ええ」

ちひろ「誕生日になっても17歳なんですね」

モバP「不思議ですねえ」

ちひろ「……前から思っていたんですけど、プロデューサーさんと菜々さんって、事務所に来る前から知り合いだったんじゃないですか」

モバP「ははは。何言ってるんですかちひろさん。俺が菜々より後に入社してきたのは知ってるじゃないですか」

ちひろ「それです」

モバP「それ?」


ちひろ「菜々さんが17歳って言い出したの、プロデューサーさんが来てからなんですよ」

モバP「……へ? いや、いやいやいや」

ちひろ「プロデューサーさん、入社したその日に菜々さんの担当になったじゃないですか」

モバP「え、ええ。菜々なら慣れてるし、新人の俺でも大丈夫だろう、って」

ちひろ「初顔合わせの時に私もいましたけど、プロデューサーさんが自己紹介したあと、菜々さんが自己紹介しましたよね」

モバP「よ、よく覚えてますね」

ちひろ「びっくりしましたもん。『安部菜々、17歳です! キャハッ♪』ですよ?」

モバP「……菜々は、いつもそうじゃないですか?」

ちひろ「プロデューサーさんが来るまでは違ったんですよ!」

モバP「え、ええー……ってことは、アレを……いや、でもなあ……」

ちひろ「やっぱり知り合いだったんですね?」

モバP「あっ」

ちひろ「この際だから教えてくださいよ」

モバP「いや、その」

ちひろ「今ならスタドリもつけますよ!」

モバP「……他の人には、秘密にしてくださいよ?」

ちひろ「約束しましょう」

モバP「嘘ついたら?」

ちひろ「エナドリ1000本飲ませます」

モバP「針じゃないんだ、と思ったけどそれ俺が飲むなら得する話だし、いいか……」


モバP「とは言え、面白い話じゃないですけどね。俺、中学まで千葉……まあ、ウサミン星に住んでまして」

ちひろ「そこ言いなおさなくても。あ、じゃあ、もしかして」

モバP「家が近くで、まあ、幼馴染、みたいなもんだったんですよ」

ちひろ「その頃から菜々さんはアイドルを?」

モバP「目指してましたね」

ちひろ「でも、それがどうして17歳に」

モバP「うーん、いや、本当にこれのせいかはわかんないんですけど、賭けをしまして」

ちひろ「約束?」

モバP「ええ。菜々が17歳までにトップアイドルになったら、なんでも言うことを聞く、って」

ちひろ「なんでも、ですか?」

モバP「ええ。ただ、俺が中学を卒業した後引っ越してしまって」

ちひろ「でも、連絡は取れますよね」

モバP「離れちゃうと意外と話題もなくて。半年くらいでお互いに、自然消滅、というか……」

ちひろ「……恋人でもない男の子と女の子だと、そういうものかもしれませんね」


モバP「約束のことは覚えてたんですけどね。テレビで見ることもなくて」

ちひろ「色々仕事はしてたんですけどね。本当に有名になったのはプロデューサーさんがついてからですけど」

モバP「ええ。俺もこの仕事はじめてから知りました」

ちひろ「それじゃ、どうしてプロデューサーさんはプロデューサーに?」

モバP「どうして、でしょうね。菜々のことが引っ掛かってたのかもしれません。アイドルになる、ってずっと言ってましたし」

ちひろ「うちに入ったのは?」

モバP「誓って偶然ですよ。菜々がアイドルしてるって知らなかったんですよ?」

ちひろ「でも、結果的に菜々さんのプロデューサーになった」

モバP「ってことです。でも、初めて会ったときから17歳って言ってたんで、そういうキャラで売ってるんだと思ってました」

ちひろ「……プロデューサーさんが17歳って言ってるのは」

モバP「同じ年ですからね。一応は……ってのと、約束を覚えてるのかなー、と思ってですね」

ちひろ「なんでも言うことを聞く、なら、菜々さんが覚えてない方がいいんじゃないですか?」

モバP「……ま、そうなんですけどね」


ちひろ「ははあ、まだ何か隠してますね?」

モバP「本当に秘密にしてくださいよ?」

ちひろ「勿論です。それで?」

モバP「俺、菜々が17歳の間にトップアイドルになったら、5月14日にプロポーズするんです」

ちひろ「……なんでも言うことを聞く、の内容がそれですか?」

モバP「約束したときは、ですけどね」

ちひろ「もしかして」

モバP「その、俺の誕生日も菜々と同じで5月15日なんですよ」

ちひろ「歳も同じ、なんですよね?」

モバP「ええ。で、男は18歳になったら結婚できるじゃないですか。だから、ふたりとも18歳になる誕生日に、って」

ちひろ「ですよねー!」

モバP「とは言え、直接聞くわけにもいかなくて。今日までその約束を菜々が覚えてるかどうかはわからなかった、んですけど」

ちひろ「あっ」

モバP「俺が来てから17歳って言い出したなら、もしかして、って思っちゃうじゃないですか」

ちひろ「……この間、総選挙で2位でしたよね」

モバP「覚えてるなら、タイミングではあるんですよね……」


ちひろ「実際、プロポーズするんですか?」

モバP「……いえ。今の俺の仕事は菜々をトップアイドルにすることですし。菜々は2位で終わる存在じゃないです」

ちひろ「本音は?」

モバP「俺の中では再会した時からずっとトップアイドルです! 今すぐにでもプロポーズしたい!」

ちひろ「アイドルとの恋愛は?」

モバP「御法度です!」

ちひろ「わかってるならいいんですけど」

モバP「まあ、菜々が覚えてるのは、約束の前半だけかもしれませんし。なんだかんだ大分離れてたから、全部覚えてるとは思えなくて」

ちひろ「プロデューサーさんは全部覚えてたんですよね?」

モバP「いや、その。初恋の女の子との約束、って覚えていたいじゃないですか」

ちひろ「……これ、どう考えても……」

モバP「何か?」

ちひろ「いえ、何も?」


ちひろ「……プロデューサーさん」

モバP「あ、はい」

ちひろ「明日、バースデーライブの打ち合わせありますよね」

モバP「はい」

ちひろ「プロデューサーさん菜々さんのとふたりだけですよね」

モバP「確認だけですしね」

ちひろ「その場で菜々さんに聞いてみましょう」

モバP「はい? ちょ、ちょっとちひろさん?」

ちひろ「夢見る女の子はそういう約束に弱いんです」

モバP「はあ」

ちひろ「菜々さんは誰より夢見る女の子ですよね?」

モバP「ええと、まあ、そう、ですかね」

ちひろ「いいですか、絶対に約束の事、聞いてくださいね?」

モバP「いや、でも」

ちひろ「聞かなかったらスタドリの値段を倍にします」

モバP「!?」

ちひろ「わかりましたか?」

モバP「は、はい!」




……

………

モバP「打ち合わせ終わりましたー」

菜々「ぷ、プロデューサーさん。菜々はこれで帰りますので!」

モバP「お、おう。明日は頑張ろうな! バースデーライブだしな!」

菜々「は、はい! 頑張りましょう! バースデーライブですし!」

モバP「お、おう! バースデーライブだからな!」

ちひろ「プロデューサーさん」

モバP「……なんですか、ニヤニヤして」

ちひろ「どうなりました?」

モバP「……来年は」

ちひろ「ええ」

モバP「18歳を目指す、そうです」

ちひろ「おめでとうございます。……あ、でも、アイドルは」

モバP「恋愛禁止、ですよね。ええ。その日までは、俺はあくまでプロデューサーです」


ちひろ「プロデューサーさん」

モバP「はい」

ちひろ「応援、してますから」

モバP「……はい!」

ちひろ「ところで」

モバP「はい?」

ちひろ「結局、お幾つなんですか?」

モバP「17歳です!」

おしまい。

菜々さん17歳のお誕生日おめでとうございます!

おっつおっつ
コレは素敵なシンデレラストーリーですわ

乙です
スレタイ的にネタスレかと思ったら良い話だった


いい話だった


良かった

菜々さんかわいい

乙、いい話でした。

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