パワプロ「アウターヘブン高校?」(13)
小さな頃から野球が大好きだったオレは、より実戦的な野球を目指してアウターヘブン高校へ入学した。
そこは部活動同士がサバイバルの腕を競い合う、究極の実戦訓練を行う高校だった。
そんな中オレの所属する野球部は、最弱ゆえに練習さえまともに出来ずにいた。
入部して2年が経ったある日、突然野球部に「廃部」の二文字が叩きつけられた…。
矢部「まずいでヤンス、パワプロ君…」
パワプロ「ああ…まさか、廃部になるとはね…」
アウターヘブン高校に入学し、野球部に入部して2年が経った八月、その知らせは突然訪れた。
「野球部の部活動を、今年12月を以って永久に停止する」
この高校のモットーは、サバイバル。
厳しい現代社会を生き抜くために、様々サバイバルな技術を「教育」というカテゴリに組み込んだこの高校は、設立してまだ10年も経っていないが、今では立派な進学校になっている。
スポーツの面においても、全国制覇を成し遂げた部活動が増えている。
しかし、オレの所属する野球部は未だに甲子園の旗を持ち帰るどころか、毎年予選一回戦で敗退という、ある意味校内では伝説として語り継がれている。
パワプロ「だけど、こう書いてあるね。ただし、他部活動とのサバイバル訓練に勝ち抜いた場合は、存続を許可する、って。」
矢部「つまり、全国制覇をいとも簡単に達成している他の部活生と勝負をして、勝ち抜けば野球部は廃部にならない、ってことでヤンスね。」
パワプロ「…甲子園優勝よりも不可能な気がする…」
矢部「無理ゲーにもほどがあるでヤンス!!勝負依然にこの野球部にはオイラたちを含めて五人しか部員がいないでヤンス!」
パワプロ「先月の予選を最後に先輩たちも辞めていっちゃったからね…成り行きでオレがキャプテンになったけど、部員が足りないんじゃあ部活動すら出来ないしね…」
矢部「そうだパワプロくん!まずは部員補充から始めるでヤンス!」
パワプロ「そうだね!まずは野球部の基準である試合可能な人数を集めよう!」
夏休みが終わり、九月の一週目
矢部「パワプロくん!格闘部にすごく強いヤツがいるのを知っているでヤンスか?」
パワプロ「たしかネイキッド君だっけ?一年生にして主将のザ・ボスとタッグを組んで全国制覇をしたという…」
矢部「それでヤンス。格闘部は校内でも随一を誇る部活でヤンス。その最強のふたりを野球部に連れ込めば、きっと大丈夫でヤンス!」
パワプロ「そんな簡単にいくかなぁ…どう説得するつもりなの?」
矢部「オイラにいい案があるでヤンス」
矢部「たのもーでヤンス!ネイキッド君とざザ・ボスはいるでヤンスか?」
パワプロ「おい矢部くん!いきなり道場破りみたいなマネはよしてよ!部員がめっちゃ睨んでるよ怖いよ!!」
ネイキッド「ん?俺に用か?」
矢部「ネイキッド君でヤンスね!さっそくでヤンスが、野球部に入ってほしいでヤンス!」
ネイキッド「いきなりなんなんだ!話の意図がわからん。それに俺は格闘部に所属しているんだ。残念だが、掛け持ちをするつもりもない。帰ってくれ。」
矢部「まぁそう言わずにこれを見るでヤンス」
ネイキッド「そ、それは…!!」
ーちょっと前の話ー
矢部(ネイキッド君はとても食いしん坊で、うまいものには目がないらしいでヤンス。特にこのカロリーメイトは大好物らしいでヤンス。)
パワプロ(そうなの…?それが何かこちらに有利になるの?)
矢部(ネイキッド君が入学してからなぜか購買のカロリーメイトが販売中止になったでヤンス。それまで特に売れ行きもよくなくてお店が取り扱いを終了したらしいでヤンスが、これをうまく使えばいけるでヤンス。)
ネイキッド「うますぎる!」
矢部「うまいでヤンス!チョコレート味もあるでヤンスよ!」
ネイキッド「最高だ!」
矢部「ところでネイキッド君…。これが毎日食べられるとしたら、最高でヤンスね?」
ネイキッド「ああ!スタミナも回復するし、練習にも精が出る。いいことずくめだ!しかし、この高校の購買では買うことは出来ない…周辺のコンビニでもなぜか取り扱ってない。一体どうやって?」
矢部「フフフ…実はオイラのお姉ちゃんは大○製薬の社員でヤンス。だからそこから横流しで入手することができるでヤンス!」
ネイキッド「何だと…カロリーメイト・ロンダリングか!?」
パワプロ(何言ってんだ…)
矢部「それが出来るのは、オイラの所属する野球部だけでヤンス!もしネイキッド君が入部してくれたら、このカロリーメイトはネイキッド君のものでヤンス。」
ネイキッド「わかった、入部しよう!」
パワプロ「早!!」
矢部「ようこそでヤンス!よろしくでヤンス!」
ネイキッド・スネーク(補)が入部しました。
格闘部モブ「お、おいネイキッド!それをザ・ボスが許すとでも思うか!?」
ネイキッド「大丈夫だ、しばらく体験入部ということでいいだろう?それに最近ボスは特別合宿で学校にすら来ていない。帰ってくるまで格闘部を任せられてるんだ。それまでの間だけってことで、いいだろう?」
格闘部モブ「まあ…お前がそう言うなら…わかったよ。」
パワプロ(特別合宿…噂には聞いたことがあるが、校内でもトップクラスの生徒だけが参加できる合宿があると…)
矢部「ボスはいつ帰ってくるでヤンスか?」
ネイキッド「12月に帰ってくる予定だ。それまで掛け持ちをする。それ以降どうするかは、お前たちの熱意次第だ。よろしく頼むぞ、矢部、パワプロ!」
パワプロ「おう!!よろしく!!」
それからパワプロと矢部はサッカー部を引退したばかりのソリッド・スネーク、将棋部のリキッド・スネーク、陸上部のソリダス・スネークの3人を勧誘し、入部させた。
それからてんやわんやあって工学部の雷電と、サイボーグ忍者を勧誘。
メンバー
投…パワプロ
補…ネイキッド
一…リキッド
二…サイボーグ忍者
三…モブ部員
遊…雷電
左…ソリダス
中…矢部
右…ソリッド
パワプロ「なんとか12月に間に合ったぞ!これで練習も出来る!よかったー!」
矢部「サードがいかにも埋め合わせみたいで変でヤンス」
季節は秋も色付く10月になった。
野球部は小さいながらもグラウンドでの練習に励んでいた。
リキッド「そんなものかスネーク!フハハハハハハハ!」
ソリッド「リキッドオオオオオオオオオ!!」
ソリダス「サンズオブリバティになるのだあああああああああああ!!!」
パワプロ「あの兄弟、あまり仲がよくないね…協調性もないし…」
矢部「個々の能力で言えば最高なんでヤンスけどね。」
パワプロ「雷電くんは忍者さんと同じ工学部だけあって息はピッタリなんだけど…」
雷電「ゲホッ!!ゲホゲホッ!!」
忍者「ぎゃあああああああああああああ」
パワプロ「あの二人…工学部の実験でサイボーグの体になったらしいけど、発作が起きちゃうみたいだね…」
矢部「雷電くんは咳が止まらなくなって、忍者さんはどうしても叫びながら走り回りたくなるらしいでヤンス。」
パワプロ(こんなんで部活対抗サバイバルに勝てるのかな…?)
???「やっと見つけたぞ」
ネイキッド「誰だ?」
???「俺の名はシャラシャーシカ…またの名を」
矢部「紹介するでヤンス、オセロットくんでヤンス。」
オセロット「おい貴様!俺の決め台詞を奪うな!」
矢部「今月転入して来たばかりの新人でヤンス。サード希望とのことで連れてきたでヤンス!」
パワプロ「ようこそ野球部へ!オレはキャプテンの…」
オセロット「会いたかったぞ、スネーク。いや、ジャックか?」
ネイキッド「!」
雷電「!」
オセロット「いやそこのサイボーグじゃないよ」
雷電「…」
オセロット「お前の話はボスから聞いている。格闘部へ道場破りに行ったがボスに敗れ、それから師弟関係だというのと、うまいものには目がないということも…」
ネイキッド「…お前はボスとどういう関係だ?」
オセロット「家が隣だ」
ネイキッド「なにっ!?幼馴染か!?」
パワプロ・矢部(なんなんだこいつら)
オセロット「まあ、どんなつもりで野球部に入ったのかは知らないが、あまりボスを裏切るようなことはするなよ。いずれ格闘部とも戦うことになるかもしれん。」
ネイキッド「…」
パワプロ(そうか、サバイバル対決で格闘部にあたってしまうと…)
ネイキッド「その時は戦うさ。」
パワプロ「えっ!でもネイキッド君、格闘部は君の…」
ネイキッド「ボスは言った。戦う相手は常に相対敵だと。時の流れで戦う相手も変わる、思想も変わる。それはつまり、俺にも当てはまる。」
オセロット「つまり、ボスに歯向かうと…?」
ネイキッド「違う。俺は、ボスとは違う生き方をする。」
パワプロ(うーん、なんだかややこしくなってきたな。どうすれば…)
???「おーい、パワプロ!」
パワプロ「あっ、キャンベル先生!」
キャンベル「どうやら野球部が再始動したらしいな。監督か顧問の先生はついてるのか?」
パワプロ「あっ!!部員に気を取られていてそこまで考えてなかった…でも今更やってくれる先生なんて…」
キャンベル「私でよければやらけてくれんか?」
パワプロ「えっ!いいんですか?けどキャンベル先生は野球の知識とかは…?」
キャンベル「お前も知ってる通り、私は来年度で定年退職だ。ここしばらくは体も弱り、教壇に立つことに精一杯だった。しかし、お前たちのやる気をみていると…なんだかな、若い頃の私を思い出してね。」
キャンベル「老いてもなお、現役でいたい、とね。野球もそこそこやっていたんじゃよ。」
パワプロ「本当ですか!!助かります…ありがとうございます!」
キャンベル「よし、それじゃあよろしく頼むぞ。」
監督もメンバーも揃い、まずは年末に行われるサバイバル大会に向けて練習を開始する!
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません