モバP「 Hurry Go Round」 (21)
モバマスSSです。
実在の人物が話題に上がるので苦手な方はご注意ください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399040001
狂い咲く季節が止めど無く溢れる
また いつかと同じ繰り返す戯れ
「Pさん!仕事終わりましたよ!」
「うん?おお、終わったか。じゃあ事務所に戻るぞ。」
「はい!お願いします!お隣失礼しますね。」
「おいおい、後ろ空いてるんだからわざわざ隣に座らなくてもいいだろ?」
「だって前の方がCD替えやすいじゃないですか。」
「お前もいまや売れっ子アイドルなんだから、あまり男の隣に座って欲しくないんだが。」
「Pさんなら大丈夫ですよ。私も信頼してますし、それに……。」
「それに?」
「私はロックですからね!」
「車出すぞー、シートベルトちゃんと付けとけよ。」
「ちょ、ちょっと何でスルーするんですか!」
蔦の葉密やかに根を広げた頃に
目に映る景色は音も無く過ぎ去る
「ねえPさん?」
「何だ?」
「このCDってPさんがかけたんですか?」
「ああ、家にあるのを持ってきんだ。久しぶりに聞きたくってな。」
「へえ、珍しいですね。いつもは私か、なつきちのCDくらいしか流さないのに。」
「まあ事務所の車に、自分のCD置いとくわけにもいかないしな。かといって毎回持ってくるのもめんどくさいし。結果的にお前達が持ってきたのしか流してないな。」
「ロックじゃないですね。」
「何でもロックで済ませばいいと思うなよ。」
期待
何処か 彼方を目指し過ぎた記憶 足蹴に
悲しい訳じゃなくでも 嬉しくもない
「そういえばこの前、輝子がCDを持ってきたな。」
「何て曲ですか?」
「確かキノコパワーだったかな。」
「……輝子ちゃんらしいですね。」
束の間に意味など知り得る術も無く
ただ 鮮やかさだけ昨日に駆け抜けた
「おい李衣菜、おい起きろ。」
「うーん、やっぱり私ってロック?。」
「寝言なのか?事務所着いたぞ、起きろ。」
「はっ!?」
「起きたか、事務所に着いたから車から降りてくれ。」
「プ、Pさん!」
「何だ?」
「私、夢の中でもすごいロックでした!」
「じゃあ、俺はちひろさんと話してくるから、李衣菜は今日はもう仕事入ってないよな?帰っていいぞ。」
「スルー!?えっ、えーと、今日なつきちとカラオケに行く約束してるんで事務所で待っててもいいですか?」
「いいぞ、夏樹は確か後1時間もすれば戻ってくるはずだ。」
「Pさんってアイドル全員のスケジュール覚えてるんですか?」
「もちろんだ、俺はプロデューサーだからな。」
「そ、そうですか。」
まるで 回るMerry-go-round痛み忘れ巡り行く
まだ たどり着く場所見当たらず進む
ただ 例えれば実る果実の芳しく眩い香りも
ひとつ 季節彩りそっと 枯れ落ちたとて
「うーん、なつきちまだかなぁ、カラオケする時間なくなっちゃうよ。」
「そういえば、さっきPさんの聞いてた曲何て歌なのかな。いい歌だったな」
「なつきちに聞けば知ってるかな。」
ガチャン
「だりー!いるかー。」
「あっ!なつきち、遅いよぉ!」
「悪い、悪い、輝子がアンコールに応えちゃって時間が押しちゃってさ。」
「へえー。」
「で、LIVEが終わったら輝子のやつ萎びるみたいに倒れちゃってさ。」
「し、萎びる?それって大丈夫なの?」
「ああ、それを見た幸子と小梅が慌ててPさんに連絡してさ、そしたらPさんが凄い速さで飛んできてエナドリを輝子に飲ませてたんだ。」
「それで輝子ちゃんは治ったの?」
「それどころか、もう一度アンコールしようとしてPさんと幸子に羽交い締めにされてたぜ。」
「へ、へえ。あっ!ちょっとなつきちに聞きたいことがあるんだけど。」
「何だ?またギターのコードを教えろとか言うなよ。」
「そうじゃなくてさ、さっきPさんの車に乗った時にPさんがCDを聞いてたんだけど。」
「Pさんが?珍しいな。」
「そうそう、それでその歌をなつきちなら知ってるかなって。」
「どんな歌なんだ?」
「えっとねー、ゴホン、くるいざくきせつが?♪とめどなくあふ「ああ、分かった分かったHURRY ?GO ?ROUNDだなhideの。 」
「もう分かったの!?」
「結構有名な曲だな、勉強不足だぜだりー。それをPさんが聞いてたのか?」
「うん。何か久しぶりに聞きたくなったんだって。」
「ふーん。……ああ、そういうことか。」
「何が?」
「いや、こっちの話だ。そうだな、だりー、Xは知ってるか?」
「うん?あっ!もしかしてX ?JAPANのこと?」
「そうだ、昔はXだけでJAPANはついてなかったらしいけどな。この曲はhideっていうXのギタリストが歌ってる曲なんだ。」
「へえー、Xって紅しか知らなかったよ。」
「……今度、うちでLIVEのビデオ見せてやるよ。まあ、この曲はhideのソロの曲だからXはあまり関係無いんだけどな。ちょっと待ってろ、確かアタシのウォークマンに入ってたはず……これだろ?」
蔦は絡まり 身は朽ち果てて
思い出の欠片 土に帰り
また 花となるでしょう
Like a merry-go-round
また 春に会いましょう
「ああ!これこれ!これだよ!さすがなつきち!」
「曲もイイけど見た目もカッコいいんだぜ、この人は。The ?last ?liveの時の格好なんか神憑ってたな。」
「ねえねえ、なつきち。カラオケでこの人の歌教えてよ。」
「お?いいぜ。じゃあ行くか!ちひろさーんさようなら!」
「さようならー!」
「はい、さようなら。二人ともあんまり遅くならないようにね。」
あの日見えなかった 愛でるべき花たち
今 日だまりの中 首かしげ
それでもやさしく 微笑んでいる
「で、歌い疲れてこうなったと?」
「いやー、アタシもだりーも久しぶりにカラオケ行ったからさ、二人で盛り上がっちゃって。悪いね迎え頼んじゃって。」
「まあ、そこらのタクシーを使われるよりはいいが……。お前達もアイドルなんだからもっと気をつけてくれよ?タチの悪いパパラッチなんかに見つかったら何を書かれるか分かったもんじゃな「ウッヒョー」おい今の寝言か?」
「まあまあ、寮まで運転頼んだぜPさん。」
「ああ、寝ててもいいぞ?」
「いや、起きてるよPさんの話し相手くらいにはなってやんなくちゃな。」
まわる まわる
こま切れの記憶の奥で 瞬く
涙も雨も 砂に呑み込まれて
急ぎ 廻れ 砕けても果敢無く散るが故にも
「なあ、Pさん。」
「ん?」
「やっぱさ、この曲を今日流してるってことはPさん、hideのファンだったのか?」
「なんだ夏樹、hideのこと知ってたのか。 」
「まあ、ヴィジュアル系の産みの親みたいな人だしな。バンドやってれば耳に入ってくるよ。」
「そうか。」
今を待たずに
まわれ Hurry merry-go-round
「……ちょうど俺が李衣菜くらいの歳の時だったかな。あの事件があったのは。」
「もう、朝ニュースを見た時に信じられくってさ。それで、Xのメンバーがコメントしてるの見て現実だって分かったとき目の前が真っ暗になったよ。」
「昨日まで自分のヒーローだった人がいきなり居なくなるんだぜ?まだ、俺も高校生だったからさ、一回もコンサートとか行ってなくて……。後になってすごい後悔したよ。」
「……」
「……悪い、嫌な空気にしちまったな。そろそろ着くぞ李衣菜を起こしてくれ。」
「ああ。起きろ、だりー寮に着くぞ。」
生き溺れてもまた
?春に会いましょう
「ううう。眠いよなつきちー、Pさーん。」
「寝るのは、メイク落としてからにしろよ
李衣菜。じゃあ夏樹、後は頼むぞ。」
「あいよ、それとPさん。」
「何だ?」
「PさんはアタシらのLIVEを誰よりも間近で見てるよな?」
「そうだな。」
「Pさんは、アタシらをトップアイドルにするんだろ。」
「ああ」
「だったら、Pさんは未来のトップアイドルのLIVEを誰よりも近くで見てるってことだろ?それってPさんが見れなかったものに見劣りしてるか?」
「……してない。」
「だったらもっとシャキッとしなよ、Pさん!今のPさん何だかロックじゃないぜ。」
「……ああ、そうだな。お前らをトップアイドルにするんだったらこんなことでくよくよしてらんないよな。」
「そうだぜ。Pさん!」
「ありがとな、夏樹。少し元気が出てきたよ。また明日事務所でな。」
「ああ、またな。ほら、だりーも。」
「Zzzz…ウッヒョー。」
「駄目だこりゃ完璧に寝てるよ。」
「ははは、部屋まで送ってやれよ。」
「ああ。おい、だりー!自分で歩けよ!」
「Zzzz… ロックだぜー♪」
ガチャン
「……行ったか。」
「まさかこの歳になってアイドルに慰められるとは……。」
「……未来のトップアイドル達のLIVE、か。夏樹に言われるまで気がつかなかったよ。」
「プロデューサー失格だな。」
「そうだ、アイツらをトップアイドルにするために、こんなことで落ち込んでなんかいられないんだ。」
「……考えてみれば落ち込む必要なんてなかったな。」
「俺はもっと大切なものに出会ってんだから。」
「さて……帰るか。明日の仕事に備えないとな。」
「日付も変わったことだしな。」
春に会いましょう
春に会いましょう
この曲は大好きだ
さて、これでこのSSは終わりです。
ちなみに夏樹が事務所で
何かに気がついたような場面がありましたが、
あの場面では実は夏樹はカレンダーを見ています。
では1時間後にhtml依頼を出してきます。
ちょうどWOWOWのLIVE見てたわ
もうそんなに経つんだなあ・・・
だりーなとなつきちは真っ直ぐにロックし続けてほしいね。
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